以下に、本発明の実施の形態にかかる手乾燥装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置1の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置1の断面図であり、図1におけるII−II線に沿った断面図である。図3は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置1における送風部6の概略構成を模式的に示す断面図である。図4は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置1の上部側面図である。図4においては、手乾燥装置1の構成の理解の容易のため、一部の縮尺を変更して示している。
図2に示すように、手乾燥装置1では、手乾燥装置1の外郭をなす本体筐体2の上部に開口部2cが設けられている。そして、本体筐体2の上部であり開口部2cの下方には、開口部2cから挿入されたユーザの手を覆う凹状の空間である手挿入部3が設けられている。手挿入部3は、側面視において断面U字状をなしており、手挿入部3における上部から下部に向かうに従って、正面側から背面側に向けて若干傾斜している。ここで、手乾燥装置1における正面側は、図1における手前側であり、図2における左側である。
手挿入部3は、正面側、すなわちユーザに近い側の張り出し部である前方突出部2aと、背面側、すなわちユーザから遠い側の張り出し部である後方突出部2bとの間の空間である。前方突出部2aと後方突出部2bとは、手挿入部3の最下部に設けられた水受け部4に繋がっている。このように、手挿入部3は、側面視において、上部が開口した有底の断面U字状をなしている。そして、図1に示すように、手挿入部3の幅方向における両側面は、開放されている。これにより、手挿入部3は、上方向または左右方向からユーザの手を自由に挿抜可能である。
水受け部4の一部には、水受け部4の水を排水する不図示の排水口が設けられている。排水口には、本体筐体2内において上下方向に延びる不図示の排水路の上端部が取り付けられている。排水路の下端部には、本体底部に配置されたドレンタンク5が接続されている。ドレンタンク5は、排水路を通って排水された水を溜めるものであり、本体筐体2の底部に着脱自在に取り付けられている。排水口は、水が流下するように勾配が付けられており、水受け部4に付着した水は排水路を流れて、ドレンタンク5へ溜められる。
本体筐体2の内部において、手挿入部3の下方には、図2に示すように、高速空気流を生成して正面側ノズル3aから空気流を噴出させる送風部6である前面送風部6aおよび背面送風部6bが設置されている。前面送風部6aは、本体筐体2の内部において上下方向に連なり前面側と背面側に分岐されて画成された送風路である前面排気ダクト12aおよび背面排気ダクト12bのうち前面排気ダクト12aの下方に配置されている。背面送風部6bは、背面排気ダクト12bの下方に配置されている。送風部6は、図3に示すように、モーター7と、モーター7によって回転するターボファン8を備えた高圧空気流発生装置により構成されている。送風部6は、吸気側を下面、排気側を上面として配設されている。
前面送風部6aおよび背面送風部6bの吸気側は、本体筐体2の内部において背面側に画成されて上下方向に連なる内部空気通路であるダクト9の上方に連絡している。ダクト9の下端は、吸気口10として下方に開口している。また、吸気口10には、エアフィルタ11が配置されている。これにより、エアフィルタ11を通してダクト9に外気を取り入れることができる。
前面送風部6aの排気側は、前面排気ダクト12aの下方に連絡している。背面送風部6bの排気側は、背面排気ダクト12bの下方に連絡している。前面送風部6aで高圧化された高圧空気は、前面送風部6aと接続して設けられた前面排気ダクト12aに排出される。背面送風部6bで高圧化された高圧空気は、背面送風部6bと接続して設けられた背面排気ダクト12bに排出される。前面排気ダクト12aおよび背面排気ダクト12bには、ヒータを組み込み、通過する高圧空気を昇温させる構成としてもよい。
前面排気ダクト12a、背面排気ダクト12bの上部には吹き出し口である正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bが設けられている。すなわち、手挿入部3において、手挿入部3の正面側壁面である前方突出部2aの内壁における開口部2cの近くには、手挿入部3に向かって空気流を噴出する手乾燥用のノズルである正面側ノズル3aが設けられ、手挿入部3の背面側壁面である後方突出部2bの内壁における開口部2cの近くには、手挿入部3に向かって空気流を噴出する手乾燥用のノズルである背面側ノズル3bが設けられている。正面側ノズル3aと背面側ノズル3bとは、手挿入部3を挟んで互いに対向している。正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bは、斜め下向きにやや波状に開口した複数の小孔である。各小孔は、水平方向、すなわち正面視において手乾燥装置1の幅方向に一列に配設されている。
正面側ノズル3aは、前面送風部6aにより生成された高圧空気を高速気流に変換し、該高速気流を吹き出し口から手挿入部3に向かって作動気流として噴射する。背面側ノズル3bは、背面送風部6bにより生成された高圧空気を高速気流に変換し、該高速気流を吹き出し口から手挿入部3に向かって作動気流として噴射する。作動気流は、正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bから手挿入部3の対面方向に水平方向よりやや下向きに傾斜した角度で噴射され、ユーザが手挿入部3に挿入した手首、手のひら、または手の甲に付着した水を手挿入部3の下方に吹き飛ばす。
前方突出部2aにおける正面側ノズル3aよりも下部、および後方突出部2bにおける背面側ノズル3bよりも下部には、手検知部13が内蔵されている。ユーザが開口部2cから手挿入部3の中へ濡れた手を奥側に向かって進入させていくと、手検知部13は、挿入された手を検知して、手挿入部3にユーザの手が挿入されたことを検知する。手検知部13は、手挿入部3にユーザの手が挿入されたことを検知すると、ユーザの手を検知した旨の手検知信号を後述する制御部14に出力する。手検知部13の詳細については、後述する。
また、本体筐体2の下方には、手検知部13の手の検知結果に基づいて送風部6である前面送風部6aおよび背面送風部6bの運転を制御する制御部14が組み込まれている。制御部14は、手検知部13から出力された手検知信号情報に基づいて、前面送風部6aおよび背面送風部6bの運転を制御して、正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bから手挿入部3内に空気流を噴出させる。図5は、本発明の実施の形態にかかる手乾燥装置1の制御に関わる主要部分の機能構成図である。
制御部14は、例えば、図6に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図6は、本発明の実施の形態1にかかる処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。制御部14が図6に示したハードウェア構成の処理回路として実現される場合には、制御部14は、例えば、図6に示すプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御部14の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
つぎに、手検知部13について説明する。手検知部13には、相互容量方式の静電容量センサが使用される。静電容量センサは、複数の電極と、各電極に接続されて電極間の静電容量の変化を検出する図示しない回路部とを有する。前方突出部2aには、図2および図4に示すように、静電容量センサを構成する電極13aおよび電極13aの下側に配置された電極13bが設けられている。また、後方突出部2bには、図2および図4に示すように、静電容量センサを構成する電極13cおよび電極13cの下側に配置された電極13dが設けられている。電極13aと電極13cとは、対向配置されている。すなわち、電極13aと電極13cとは、手挿入部3を挟んで主面同士が対向した状態に配置されている。電極13bと電極13dとは、対向配置されている。すなわち、電極13bと電極13dとは、手挿入部3を挟んで主面同士が対向した状態に配置されている。ここで、「主面同士が対向した状態」とは、各電極における主面同士が対向している状態を意味する。ここで、主面は、各電極における面のうち、他の面よりも面積の大きい主なる面である。
また、電極13aと電極13bとは、主面同士が平面上において上下に位置する位置関係の状態に配置されている。電極13cと電極13dとは、主面同士が平面上において上下に位置する位置関係の状態に配置されている。すなわち、本実施の形態1では、2組の電極組が、各電極組の第1の電極と第2の電極とが本体筐体2の奥行き方向、すなわち前後方向において手挿入部3を挟んで対向した状態に配置され、各電極組において、一方の電極は、他の電極組における極性が異なる電極と平面上で上下方向において隣り合う状態に配置されている。
ここで、「電極13aと電極13bとが主面同士が平面上に配置された状態」とは、電極13aと電極13bとの各々における主面同士が平行であり、側面同士が対向している状態を意味する。電極13cと電極13dにおいても同様である。本実施の形態1においては、電極13a、電極13b、電極13cおよび電極13dは、同一形状および同一寸法の直方体形状を有する。ただし、各電極の形状および寸法は適宜変更可能である。
図7は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置1の手検知部13を構成する相互容量方式の静電容量センサの原理を説明する模式図である。相互容量方式の静電容量センサでは、電極間の静電容量の変化を検出する回路部を備え、回路部から送信電極に電圧を印加し、受信電極との間に電界を形成する。指先が近づくと、電界の一部が指先側に移り、受信電極で検知する電界が減少し、静電容量も減少する。回路部で電極間の静電容量の変化を検出することで、このときの静電容量の減少を捉えて、指先の接近を検出する。回路部は、指先が近づいていないときの電極間の静電容量を記憶している。
図7では、主面同士が対向した状態に配置された対となる2つの電極21aと電極21bとを有する相互容量方式の静電容量センサに手が接近していないときの静電容量センサの状態を示している。図8は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置1の手検知部13を構成する相互容量方式の静電容量センサの原理を説明する模式図である。図8では、主面同士が対向した状態に配置された対となる2つの電極21aと電極21bとを有する相互容量方式の静電容量センサに手が接近したときの静電容量センサの状態を示している。
図7に示すように電極21aに電圧を印加し、電極21bとの間に電界を形成し、電極21aと電極21bとの間に形成される静電容量を測定する。このように電極21aと電極21bとを対向した状態に配置し、電極21aと電極21bとの間の静電容量を測定することにより、電極21aと電極21bとの間に挿入された手を検知するセンサとして使用できる。電極21aと電極21bとの間に電位差が生じると、電極21aと電極21bとの間に容量結合による電界が形成される。静電容量の大きさは電極21aと電極21bとの間の距離に反比例するため、ここに金属のような導体が挿入されると、静電容量は増加する。また、誘電体、または空気よりも誘電率が大きい水といったものが挿入された場合も、電極21aと電極21bとの間の静電容量は大きくなる。
そして、図8に示すように、手のような人体の一部である導体が電極21aと電極21bとの間に近接または挿入されると、電界の一部が人体に誘導され、電極21aと電極21bとの間の静電容量が減少する。すなわち、電極21aと電極21bとの間に近接または挿入された人体は接地しているとみなせるため、静電遮蔽の状態となって電極21aと電極21bとの間の静電容量は減少する。このため、電極21aと電極21bとの間の静電容量を定期的に測定して静電容量の変化を検出することにより、手を検知することができる。
図9は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置1の手検知部13を構成する相互容量方式の静電容量センサの原理を説明する模式図である。図9では、主面同士が平面上に配置された対となる2つの電極21cと電極21dとを有する相互容量方式の静電容量センサに手が接近していないときの静電容量センサの状態を示している。図10は、本発明の実施の形態1にかかる手乾燥装置1の手検知部13を構成する相互容量方式の静電容量センサの原理を説明する模式図である。図10では、主面同士が平面上に配置された対となる2つの電極21cと電極21dとを有する相互容量方式の静電容量センサに手が接近したときの静電容量センサの状態を示している。ここで、「電極21cと電極21dとが主面同士が平面上に配置された状態」とは、電極21cと電極21dとの各々における主面同士が平行であり、側面同士が対向している状態を意味する。
図9に示すように、電極21cに電圧を印加し、電極21dとの間に電界を形成し、電極21cと電極21dとの間に形成される静電容量を測定する。このように電極21cと電極21dとを面方向を平行な状態に配置し、電極21cと電極21dとの間の静電容量を測定することにより、電極21cと電極21dとに近接した手を検知するセンサとして使用できる。電極21cと電極21dとの間に電位差が生じると、電極21cと電極21dとの間に容量結合による電界が形成される。静電容量の大きさは電極21cと電極21dとの間の距離に反比例するため、ここに金属のような導体が近接すると、静電容量は増加する。また、空気よりも誘電率が大きい水などの誘電体が近接した場合も、電極21cと電極21dとの間の静電容量は増加する。
ここで、図10に示すように、手のような人体の一部である導体が電極21cと電極21dとに近接すると、電界の一部が人体に誘導され、電極21cと電極21dとの間の静電容量が減少する。すなわち、電極21cと電極21dとの間に近接した人体は接地しているとみなせるため、静電遮蔽の状態となって電極21cと電極21dとの間の静電容量は減少する。このため、電極21cと電極21dとの間の静電容量を定期的に検出して静電容量の変化を検出することで手を検知することができる。すなわち、手検知部13は、異なる極性の2つの電極からなる電極組を異なる位置に複数組備え、各電極間の静電容量の変化から手挿入部3に挿入された手を検知する。
前述のように、相互容量方式の静電容量センサは、誘電体、または空気よりも誘電率が大きい水といったものが2つの電極の少なくとも一方の表面に付着した場合には静電容量が増加する。一方、手などの人体の一部が2つの電極間に近接または挿入された場合には静電容量が減少する。これにより、相互容量方式の静電容量センサは、電極間に手が近接または挿入された状態と、2つの電極の少なくとも一方の表面に水などの誘電体が付着した状態との違いを区別して判断することができる。すなわち、相互容量方式の静電容量センサは、電極間に手が近接した場合または挿入された場合と、2つの電極の少なくとも一方の表面に水などの誘電体が付着した場合とを精度良く判別できる。
このような相互容量方式の静電容量センサを利用した手検知部13は、電極13a、電極13b、電極13cおよび電極13dの中の2つの電極間の静電容量を検知することで手の検知を行う。すなわち、手検知部13は、静電容量の変化を検出する2つの電極の組み合わせを4つのパターンに順番に変更して切り替えることで、手挿入部3における手の挿入および挿入位置を判定する。手検知部13は、パターン1からパターン4の4つの検出パターンで、2つの電極間の静電容量の変化を検出する。
パターン1において、手検知部13は、平面上において上下方向に隣り合う状態に配置された電極13aと電極13bとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極13aと電極13bとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における主に手前側付近への手の挿入の有無、すなわち手挿入部3における前方突出部2a側への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極13aと電極13bとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dに対応する。電極13aと電極13bとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン2において、手検知部13は、平面上において上下方向に隣り合う状態に配置された電極13cと電極13dとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極13cと電極13dとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における主に後ろ側付近への手の挿入の有無、すなわち手挿入部3における後方突出部2b側への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極13cと電極13dとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dに対応する。電極13cと電極13dとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン3において、手検知部13は、手挿入部3を挟んで対向した状態に配置された電極13aと電極13cとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極13aと電極13cとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における主に上部付近への手の挿入の有無、すなわち手挿入部3における開口部2c側への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極13aと電極13cとは、各々図7および図8における電極21aと電極21bに対応する。
また、パターン4において、手検知部13は、手挿入部3を挟んで対向した状態に配置された電極13bと電極13dとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極13bと電極13dとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における主に下部付近への手の挿入の有無、すなわち手挿入部3における水受け部4側への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極13bと電極13dとは、各々図7および図8における電極21aと電極21bに対応する。
本実施の形態1では、パターン1からパターン4の4つの検出パターンにおいて、電極13aと電極13dとをプラス側の電極として使用し、電極13bと電極13cとをマイナス側の電極として使用する。プラス側の電極は、図7および図8における電極21a、または図9および図10における電極21cに対応している。そして、手検知部13は、上記の4つの検出パターンで電極間の静電容量の変化を検出する際に、静電容量の変化の検出を行う電極の組み合わせを切り替える。これにより、上述した4種類の電極の組み合わせで各電極間の静電容量を検知する際に、各電極の極性を変更する必要がなく、すなわち各電極の極性のプラス側への変更またはマイナス側への変更を行う必要がなく、手の検知時間を短縮することができる。
以上のように、手挿入部3における手前側、後ろ側、上部側、下部側の4つのポイントで手挿入部3における手の挿入の有無を検知することで、手挿入部3における手の挿入位置を奥行き方向と上下方向との二次元方向で判定することが可能である。これにより、手挿入部3における詳細な手の挿入位置を検知することが可能である。
相互容量方式の静電容量センサは対になる電極が必要であり、4つのポイントの静電容量を検知するためには4×2=8極の8つの電極が必要となる。本実施の形態1では、対となる電極の組み合わせを切り替えるため、4つの電極で4つのポイントの静電容量を検知することができ、電極数の増加を抑制する効果が得られる。
また、手検知部13は、相互容量方式の静電容量センサを用いるため、空気よりも誘電率が大きい水といった誘電体が電極の表面に付着した場合には電極間の静電容量が増加し、手といった人体の一部が電極間に挿入された場合は静電容量が減少する。このため、手検知部13は、電極間に手が近接した場合または挿入された場合と、2つの電極の少なくとも一方の表面に水などの誘電体が付着した場合とを精度良く判別できる。
制御部14は、手検知部13から出力された手検知信号情報に基づいて送風部6の運転を制御する。制御部14は、手検知部13において手挿入部3に手が挿入されたと検知された場合に、前面送風部6aおよび背面送風部6bを運転させる。また、前面送風部6aおよび背面送風部6bのどちらかを先に運転させてもよい。また、制御部14は、手検知部13において手挿入部3の下側および上側ともに手が挿入されていないと検知された場合は、前面送風部6aおよび背面送風部6bを停止させる。
前面送風部6aおよび背面送風部6bの運転中に、手検知部13においてパターン1の検出パターンにより手挿入部3の手前側への手の挿入が検知された場合、すなわち手検知部13における手前側へ偏って手が挿入された場合は、制御部14は、前面送風部6aの出力を下げて、すなわち正面側ノズル3aへの高圧空気流を弱め、且つ背面送風部6bの出力を上げて、すなわち奥側の背面側ノズル3bへの高圧空気流を強くする。
逆に、前面送風部6aおよび背面送風部6bの運転中に、手検知部13においてパターン2の検出パターンにより手挿入部3の後ろ側への手の挿入が検知された場合、すなわち手検知部13における後ろ側に偏って手が挿入された場合は、制御部14は、前面送風部6aの出力を上げて、すなわち正面側ノズル3aへの高圧空気流を強め、且つ背面送風部6bの出力を下げて、すなわち奥側の背面側ノズル3bへの高圧空気流を弱くする。
すなわち、制御部14は、正面側ノズル3aから噴出される空気流の流速と背面送風部6bから噴出される空気流の流速とを、手検知センサ13の検知結果に基づいて独立して制御する。また、手検知部13における手前側へ偏って手が挿入された場合は、手挿入部3に挿入された手と第1の内壁である手挿入部3の正面側壁面である前方突出部2aの内壁との距離が短い場合である。手検知部13における後ろ側に偏って手が挿入された場合は、手挿入部3に挿入された手と第1の内壁である手挿入部3の正面側壁面である前方突出部2aの内壁との距離が長い場合である。
このように手挿入部3における前後方向における手の挿入位置によって、正面側ノズル3aと背面側ノズル3bとへの高圧空気流の供給量の配分を変えることで、手挿入部3における奥行き方向のどの位置に手を挿入した場合でも、手の裏側と表側をムラ無くバランス良く、効率的に乾燥させることができる。そして、手乾燥装置1を使用する全てのユーザが短い乾燥時間で手を乾燥できるため、無駄な電力を抑制することが可能となる。
なお、上記の実施の形態では、パターン1およびパターン2の検出パターンにより手挿入部3における手前側への手の挿入の有無および手挿入部3における後ろ側への手の挿入の有無を単独で検知している。別の実施の形態として、手検知部13が、パターン1の検出パターンにより電極13aと電極13bとの間の静電容量の検知を行い、つぎに手検知部13においてパターン2の検出パターンにより電極13cと電極13dとの間の静電容量の検知を行い、検出結果を制御部14に送信する。制御部14は、電極13aと電極13bとの間の静電容量と、電極13cと電極13dとの間の静電容量との検出結果を比較することで、手の位置が前後方向において手挿入部3のどこに位置しているかを推定検知することができる。
制御部14は、電極13aと電極13bとの間の静電容量と、電極13cと電極13dとの間の静電容量との比率または組み合わせに対応する、前後方向における手挿入部3での手の位置の位置情報をあらかじめ記憶しておく。制御部14は、位置情報を参照することにより、手の位置が前後方向において手挿入部3のどこに位置しているかを推定検知することができる。
したがって、前後方向において手が挿入されている推定位置に基づいて前面送風部6aおよび背面送風部6bの出力を調整してもよい。この場合は、前後方向における手の位置を細かな段階に分け、その段階位置に応じて前面送風部6aおよび背面送風部6bの出力を細かく調整することにより、手の位置が前後方向のどこにあってもバランス良く手の両面を乾燥させることができる。
また、別の実施の形態として、手挿入部3における手前側へ偏って手が挿入された場合、制御部14は、前面送風部6aの出力を上げて、正面側ノズル3aへの高圧空気流を強め、且つ背面送風部6bの出力を下げて、奥側の背面側ノズル3bへの高圧空気流を弱くする。
逆に、手挿入部3における後ろ側に偏って手が挿入された場合、制御部14は、前面送風部6aの出力を下げて、正面側ノズル3aへの高圧空気流を弱め、且つ背面送風部6bの出力を上げて、奥側の背面側ノズル3bへの高圧空気流を強める。このような制御を行うことで、前後方向に偏って挿入された手が手挿入部3の内壁に接触することを防止し、前後方向における手挿入部3の中心位置に手を押し戻すことができる。
常時、手挿入部3における手の位置が前後方向においてどこに位置しているかを推定検知することにより、手の位置が前後方向において手挿入部3の中心位置へと移動するにともなって、前面送風部6aおよび背面送風部6bの出力を順次、均等な状態に戻すことで、手の位置を前後方向の中間位置に導くことができる。手を前後方向における手挿入部3の中心位置に戻すことで、手の両面をバランス良く乾燥させることができる。
以上のように構成された本実施の形態1にかかる手乾燥装置1では、第1の内壁と第2の内壁との組み合わせは、手挿入部3の正面側壁面である前方突出部2aの内壁と手挿入部3の背面側壁面である後方突出部2bの内壁との組み合わせが対応する。第1ノズルと第2ノズルとの組み合わせは、正面側ノズル3aと背面側ノズル3bとの組み合わせが対応する。第1の送風部と、第2の送風部との組み合わせは、前面送風部6aと背面送風部6bとの組み合わせが対応する。
上述したように、本実施の形態1にかかる手乾燥装置1は、手挿入部3により検知される手挿入部3における前後方向での手の挿入位置に基づいて、正面側ノズル3aと背面側ノズル3bとへの高圧空気流の供給量の配分を変えて、正面側ノズル3aと背面側ノズル3bとから噴出される高圧空気流の流速を独立して制御する。これにより、本実施の形態1にかかる手乾燥装置1は、手の挿入位置が手挿入部3における前後方向において偏った場合でも、手の両面をムラ無くバランス良く、効率的に乾燥させることができる、使い勝手の良い手乾燥装置を提供できる。
実施の形態2.
図11は、本発明の実施の形態2にかかる手乾燥装置の上部側面図である。図11においては、手乾燥装置の構成の理解の容易のため、一部の縮尺を変更して示している。図12は、本発明の実施の形態2にかかる手乾燥装置の側面断面図であり、図2に対応する図である。図13は、本発明の実施の形態2にかかる手乾燥装置におけるノズル、排気ダクトおよび送風部の配置を説明するための模式図である。図13は、図12における矢視Aの方向から手乾燥装置を見た状態に対応している。図14は、本発明の実施の形態2にかかる手乾燥装置におけるノズル、排気ダクトおよび送風部の配置を説明するための模式図である。図14は、図12における矢視Bの方向から手乾燥装置を見た状態に対応している。
以下、図11に示す本実施の形態2にかかる手乾燥装置の、実施の形態1にかかる手乾燥装置1との相違点について説明する。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1の場合と同様とし、同一の機能および構成については同一の符号を用いて述べることとする。また、本実施の形態2にかかる手乾燥装置の、実施の形態1にかかる手乾燥装置1と同一の機能および構成についての説明は省略する。
本実施の形態2にかかる手乾燥装置においては、手検知部13は、相互容量方式の静電容量センサを構成する電極として、実施の形態1における電極13a、電極13b、電極13cおよび電極13dの代わりに、電極31a、電極31b、電極31cおよび電極31dを備える。電極31aは、前方突出部2aにおいて、正面側から見て左側に設けられている。電極31bは、前方突出部2aにおいて、正面側から見て右側に設けられている。電極31cは、後方突出部2bにおいて、正面側から見て左側に設けられている。電極31dは、後方突出部2bにおいて、正面側から見て右側に設けられている。
電極31aと電極31cとは、手挿入部3を挟んで主面同士が対向した状態に配置されている。電極31bと電極31dとは、手挿入部3を挟んで主面同士が対向した状態に配置されている。また、電極31aと電極31bとは、主面同士が平面上において左右に位置する位置関係の状態に配置されている。電極31cと電極31dは、主面同士が平面上において左右に位置する位置関係の状態に配置されている。すなわち、本実施の形態2では、2組の電極組が、各電極組の第1の電極と第2の電極とが本体筐体2の奥行き方向において手挿入部3を挟んで対向した状態に配置され、各電極組において、一方の電極は、他の電極組における極性が異なる電極と平面上で左右方向において隣り合う状態に配置されている。
本実施の形態2においては、電極31a、電極31b、電極31cおよび電極31dは、同一形状および同一寸法の直方体形状を有する。ただし、各電極の形状および寸法は適宜変更可能である。
本実施の形態2においては、手検知部13は、電極31a、電極31b、電極31cおよび電極31dの中の2つの電極間の静電容量を検知することで手の検知を行う。すなわち、手検知部13は、静電容量の変化を検出する2つの電極の組み合わせを4つのパターンに順番に変更して切り替えることで、手挿入部3における手の挿入および挿入位置を判定する。手検知部13は、パターン5からパターン8の4つの検出パターンで、2つの電極間の静電容量の変化を検出する。
パターン5において、手検知部13は、平面上において左右方向に隣り合う状態に配置された電極31aと電極31bとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極31aと電極31bとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における主に手前側付近への手の挿入の有無、すなわち手挿入部3における前方突出部2a側への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極31aと電極31bとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dに対応する。電極31aと電極31bとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン6において、手検知部13は、平面上において左右方向に隣り合う状態に配置された電極31cと電極31dとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極31cと電極31dとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における主に後ろ側付近への手の挿入の有無、すなわち手挿入部3における後方突出部2b側への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極31cと電極31dとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dに対応する。電極31cと電極31dとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン7において、手検知部13は、手挿入部3を挟んで対向した状態に配置された電極31aと電極31cとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極31aと電極31cとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における正面側から見て左側の領域への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極31aと電極31cとは、各々図7および図8における電極21aと電極21bに対応する。
また、パターン8において、手検知部13は、手挿入部3を挟んで対向した状態に配置された電極31bと電極31dとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極31bと電極31dとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における正面側から見て右側の領域への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極31bと電極31dとは、各々図7および図8における電極21aと電極21bに対応する。
本実施の形態2では、パターン5からパターン8の4つの検出パターンにおいて、電極31aと電極31dとをプラス側の電極として使用し、電極31bと電極31cとをマイナス側の電極として使用する。プラス側の電極は、図7および図8における電極21a、または図9および図10における電極21cに対応している。そして、手検知部13は、上記の4つの検出パターンで電極間の静電容量の変化を検出する際に、静電容量の変化の検出を行う電極の組み合わせを切り替える。これにより、上述した4種類の電極の組み合わせで各電極間の静電容量を検知する際に、各電極の極性を変更する必要がなく、すなわち各電極の極性のプラス側への変更またはマイナス側への変更を行う必要がなく、手の検知時間を短縮することができる。
以上のように、手挿入部3における手前側、後ろ側、左側、右側の4つのポイントで手挿入部3における手の挿入の有無を検知することで、手挿入部3における手の挿入位置を奥行き方向と左右方向との二次元で判定することが可能である。これにより、手挿入部3における詳細な手の挿入位置を検知することが可能である。
本実施の形態2においては、実施の形態1における正面側ノズル3aおよび背面側ノズル3bの代わりに、手前左側ノズル3c、手前右側ノズル3d、奥左側ノズル3eおよび奥右側ノズル3fを備える。前方突出部2aの内壁における開口部2cの近くの領域において、左側に手前左側ノズル3cが、右側に手前右側ノズル3dが配置されている。後方突出部2bの内壁における開口部2cの近くの領域において、左側に奥左側ノズル3eが、右側に奥右側ノズル3fが配置されている。手前左側ノズル3cと奥左側ノズル3eとは、手挿入部3を挟んで互いに対向している。手前右側ノズル3dと奥右側ノズル3fとは、手挿入部3を挟んで互いに対向している。
手前左側ノズル3cは、本体筐体2の内部において上下方向に連なり前面側の左側に画成された送風路である前面左側排気ダクト12cを介して、左側送風部6cに接続されている。手前右側ノズル3dは、本体筐体2の内部において上下方向に連なり前面側の右側に画成された送風路である前面右側排気ダクト12dを介して、右側送風部6dに接続されている。奥左側ノズル3eは、本体筐体2の内部において上下方向に連なり背面側の左側に画成された送風路である背面左側排気ダクト12eを介して、左側送風部6cに接続されている。奥右側ノズル3fは、本体筐体2の内部において上下方向に連なり背面側の右側に画成された送風路である背面右側排気ダクト12fを介して、右側送風部6dに接続されている。
制御部14は、手検知部13において、正面から見て左側だけに手が挿入されたと検知された場合は、左側送風部6cのみを運転させ、手前左側ノズル3cおよび奥左側ノズル3eだけに高圧空気流を送る制御を行う。制御部14は、手検知部13において、正面から見て右側だけに手が挿入されたと検知された場合は、右側送風部6dのみを運転させ、手前右側ノズル3dおよび奥右側ノズル3fだけに高圧空気流を送る制御を行う。また、手検知部13において、正面から見て左右両側に手が挿入されたと検知された場合は、左側送風部6cと右側送風部6dの両方を運転させ、手前左側ノズル3c、手前右側ノズル3d、奥左側ノズル3eおよび奥右側ノズル3fに高圧空気流を送る制御を行う。
図15は、本発明の実施の形態2にかかる手乾燥装置におけるノズル、排気ダクトおよび送風部の他の配置を説明するための模式図である。図15は、図13に対応している。図16は、本発明の実施の形態2にかかる手乾燥装置におけるノズル、排気ダクトおよび送風部の他の配置を説明するための模式図である。図16は、図14に対応している。
手前左側ノズル3cは、本体筐体2の内部において上下方向に連なり前面側の左側に画成された送風路である前面左側排気ダクト12cを介して、前面左側送風部6eに接続されている。手前右側ノズル3dは、本体筐体2の内部において上下方向に連なり前面側の右側に画成された送風路である前面右側排気ダクト12dを介して、前面右側送風部6fに接続されている。奥左側ノズル3eは、本体筐体2の内部において上下方向に連なり背面側の左側に画成された送風路である背面左側排気ダクト12eを介して、背面左側送風部6gに接続されている。奥右側ノズル3fは、本体筐体2の内部において上下方向に連なり背面側の右側に画成された送風路である背面右側排気ダクト12fを介して、背面右側送風部6hに接続されている。
制御部14は、手検知部13において、手前側だけに手が挿入されたと検知された場合は、前面左側送風部6eおよび前面右側送風部6fのみを運転させ、手前左側ノズル3cおよび手前右側ノズル3dだけに高圧空気流を送る制御を行う。制御部14は、手検知部13において、後ろ側だけに手が挿入されたと検知された場合は、背面左側送風部6gおよび背面右側送風部6hのみを運転させ、奥左側ノズル3eおよび奥右側ノズル3fだけに高圧空気流を送る制御を行う。
この場合、制御部14は、実施の形態1の場合と同様に、電極31aと電極31bとの間の静電容量と、電極31cと電極31dとの間の静電容量とに基づいて手の位置が前後方向において手挿入部3のどこに位置しているかを推定検知することができる。そして、制御部14は、実施の形態1の場合と同様に、前後方向において手が挿入されている推定位置に基づいて、前面側のノズルに高圧空気流を供給する送風部6と、背面側のノズルに高圧空気流を供給する送風部6の出力を調整することができる。
また、手挿入部3における手前側へ偏って手が挿入された場合、または後ろ側に偏って手が挿入された場合に、実施の形態1の場合と同様に、前面側のノズルに高圧空気流を供給する送風部6と、背面側のノズルに高圧空気流を供給する送風部6との出力を調整して、前面側のノズルと背面側のノズルとへの高圧空気流の供給量の配分を制御してもよい。これにより、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
すなわち、手検知部13において手挿入部3の手前側への手の挿入が検知された場合、すなわち手検知部13における手前側へ偏って手が挿入された場合は、制御部14は、前面左側送風部6eおよび前面右側送風部6fの出力を下げて、手前左側ノズル3cおよび手前右側ノズル3dへの高圧空気流を弱め、且つ背面左側送風部6gおよび背面右側送風部6hの出力を上げて、奥側の奥左側ノズル3eおよび奥右側ノズル3fへの高圧空気流を強くする。
逆に、手検知部13において手挿入部3の後ろ側への手の挿入が検知された場合、すなわち手検知部13における後ろ側に偏って手が挿入された場合は、制御部14は、前面左側送風部6eおよび前面右側送風部6fの出力を上げて、手前左側ノズル3cおよび手前右側ノズル3dへの高圧空気流を強め、且つ背面左側送風部6gおよび背面右側送風部6hの出力を下げて、奥側の奥左側ノズル3eおよび奥右側ノズル3fへの高圧空気流を弱くする。
また、別の実施の形態として、手挿入部3における手前側へ偏って手が挿入された場合、制御部14は、前面左側送風部6eおよび前面右側送風部6fの出力を上げて、手前左側ノズル3cおよび手前右側ノズル3dへの高圧空気流を強め、且つ背面左側送風部6gおよび背面右側送風部6hの出力を下げて、奥側の奥左側ノズル3eおよび奥右側ノズル3fへの高圧空気流を弱くする。
逆に、手挿入部3における後ろ側に偏って手が挿入された場合、制御部14は、前面左側送風部6eおよび前面右側送風部6fの出力を下げて、手前左側ノズル3cおよび手前右側ノズル3dへの高圧空気流を弱め、且つ背面左側送風部6gおよび背面右側送風部6hの出力を上げて、奥側の奥左側ノズル3eおよび奥右側ノズル3fへの高圧空気流を強める。このような制御を行うことで、前後方向に偏って挿入された手が手挿入部3の内壁に接触することを防止し、前後方向における手挿入部3の中心位置に手を押し戻すことができる。
すなわち、制御部14は、手前左側ノズル3cおよび手前右側ノズル3dから噴出される空気流の流速と奥左側ノズル3eおよび奥右側ノズル3fから噴出される空気流の流速とを、手検知センサ13の検知結果に基づいて独立して制御する。
以上のように構成された本実施の形態2にかかる手乾燥装置では、第1の内壁と第2の内壁との組み合わせは、前方突出部2aの内壁と手挿入部3の背面側壁面との組み合わせが対応する。第1ノズルと第2ノズルとの組み合わせは、手前左側ノズル3cおよび手前右側ノズル3dと、奥左側ノズル3eおよび奥右側ノズル3fとの組み合わせが対応する。第1の送風部と、第2の送風部との組み合わせは、前面左側送風部6eおよび前面右側送風部6fと、背面左側送風部6gおよび背面右側送風部6hとの組み合わせが対応する。
上述した実施の形態2にかかる手乾燥装置は、実施の形態1における効果に加え、以上の構成を有するため、通常は両手が同時に手挿入部3に挿入されて手の乾燥が行われるものであるが、片手のみが手挿入部3に挿入された場合でも左右方向において手が挿入された位置だけに高圧空気流を送ることができる。これにより、実施の形態2にかかる手乾燥装置は、無駄な電力を抑制して効率の良い手乾燥装置とすることができる。
実施の形態3.
図17は、本発明の実施の形態3にかかる手乾燥装置の上部側面図である。図15においては、手乾燥装置の構成の理解の容易のため、一部の縮尺を変更して示している。図15に示す本実施の形態3にかかる手乾燥装置は、手検知部13を構成する電極が、実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせた配置を有する。すなわち、平面上で対になる電極が、平面上において上下方向および左右方向に隣り合う状態に配置されている。
なお、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1の場合と同様とし、同一の機能および構成については同一の符号を用いて述べることとする。また、本実施の形態3にかかる手乾燥装置の、実施の形態1にかかる手乾燥装置1と同一の機能および構成についての説明は省略する。
本実施の形態3においては、手検知部13は、相互容量方式の静電容量センサを構成する電極として、電極41a、電極41b、電極41c、電極41d、電極41e、電極41f、電極41gおよび電極41hを備える。電極41aは、前方突出部2aにおいて、正面側から見て左上側に設けられている。電極41bは、前方突出部2aにおいて、正面側から見て右上側に設けられている。電極41cは、後方突出部2bにおいて、正面側から見て左上側に設けられている。電極41dは、後方突出部2bにおいて、正面側から見て右上側に設けられている。電極41eは、前方突出部2aにおいて、電極41aの下側である、正面側から見て左下側に設けられている。電極41fは、前方突出部2aにおいて、電極41bの下側である、正面側から見て右下側に設けられている。電極41gは、後方突出部2bにおいて、電極41cの下側である、正面側から見て左下側に設けられている。電極41hは、後方突出部2bにおいて、電極41dの下側である、正面側から見て右下側に設けられている。
電極41aと電極41c、電極41bと電極41d、電極41eと電極41g、電極41fと電極41hは、各々、手挿入部3を挟んで主面同士が対向した状態に配置されている。電極41aと電極41e、電極41bと電極41f、電極41cと電極41g、電極41dと電極41hは、各々、主面同士が平面上において上下に位置する位置関係の状態に配置されている。電極41aと電極41b、電極41cと電極41d、電極41eと電極41f、電極41gと電極41hは、各々、主面同士が平面上において左右に位置する位置関係の状態に配置されている。すなわち、本実施の形態3では、4組の電極組が、各電極組の第1の電極と第2の電極とが本体筐体2の奥行き方向において手挿入部3を挟んで対向した状態に配置され、各電極組において、一方の電極は、他の電極組における極性が異なる電極と平面上で上下方向および左右方向において隣り合う状態に配置されている。
本実施の形態3においては、電極41a、電極41b、電極41c、電極41d、電極41e、電極41f、電極41gおよび電極41hは、同一形状および同一寸法の直方体形状を有する。ただし、各電極の形状および寸法は適宜変更可能である。
本実施の形態3においては、手検知部13は、電極41a、電極41b、電極41c、電極41d、電極41e、電極41f、電極41gおよび電極41hの中の2つの電極間の静電容量を検知することで手の検知を行う。すなわち、手検知部13は、静電容量の変化を検出する2つの電極の組み合わせを12のパターンに順番に変更して切り替えることで、手挿入部3における手の挿入および挿入位置を判定する。手検知部13は、パターン9からパターン20の12の検出パターンで、2つの電極間の静電容量の変化を検出する。
パターン9において、手検知部13は、平面上において左右方向に隣り合う状態に配置された電極41aと電極41bとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41aと電極41bとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における手前側上への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41aと電極41bとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dに対応する。電極41aと電極41bとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン10において、手検知部13は、平面上において左右方向に隣り合う状態に配置された電極41eと電極41fとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41eと電極41fとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における手前側下への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41eと電極41fとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dに対応する。電極41eと電極41fとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン11において、手検知部13は、平面上において上下方向に隣り合う状態に配置された電極41aと電極41eとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41aと電極41eとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における正面側から見て手前側左の領域への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41aと電極41eとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dとに対応する。電極41aと電極41eとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン12において、手検知部13は、平面上において上下方向に隣り合う状態に配置された電極41bと電極41fとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41bと電極41fとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における正面側から見て手前側右の領域への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41bと電極41fとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dとに対応する。電極41bと電極41fとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン13において、手検知部13は、平面上において左右方向に隣り合う状態に配置された電極41cと電極41dとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41cと電極41dとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における奥側上への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41cと電極41dとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dに対応する。電極41cと電極41dとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン14において、手検知部13は、平面上において左右方向に隣り合う状態に配置された電極41gと電極41hとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41gと電極41hとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における奥側下への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41gと電極41hとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dに対応する。電極41gと電極41hとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン15において、手検知部13は、平面上において上下方向に隣り合う状態に配置された電極41cと電極41gとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41cと電極41gとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における正面側から見て奥側左の領域への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41cと電極41gとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dとに対応する。電極41cと電極41gとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン16において、手検知部13は、平面上において上下方向に隣り合う状態に配置された電極41dと電極41hとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41dと電極41hとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における正面側から見て奥側右の領域への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41dと電極41hとは、各々図9および図10における電極21cと電極21dとに対応する。電極41dと電極41hとは、同一平面上に配置されている。
また、パターン17において、手検知部13は、手挿入部3を挟んで対向した状態に配置された電極41aと電極41cとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41aと電極41cとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における正面側から見て左側上の領域への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41aと電極41cは、各々図7および図8における電極21aと電極21bに対応する。
また、パターン18において、手検知部13は、手挿入部3を挟んで対向した状態に配置された電極41bと電極41dとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41bと電極41dとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における正面側から見て右側上の領域への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41bと電極41dは、各々図7および図8における電極21aと電極21bに対応する。
また、パターン19において、手検知部13は、手挿入部3を挟んで対向した状態に配置された電極41eと電極41gとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41eと電極41gとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における正面側から見て左側下の領域への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41eと電極41gは、各々図7および図8における電極21aと電極21bに対応する。
また、パターン20において、手検知部13は、手挿入部3を挟んで対向した状態に配置された電極41fと電極41hとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極41fと電極41hとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入部3における正面側から見て右側下の領域への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極41fと電極41hは、各々図7および図8における電極21aと電極21bに対応する。
本実施の形態3では、パターン9からパターン20の12の検出パターンにおいて、電極41aと電極41dと電極41fと電極41gとをプラス側の電極として使用し、電極41bと電極41cと電極41eと電極41hとをマイナス側の電極として使用する。プラス側の電極は、図7および図8における電極21a、または図9および図10における電極21cに対応している。そして、手検知部13は、上記の12の検出パターンで電極間の静電容量の変化を検出する際に、静電容量の変化の検出を行う電極の組み合わせを切り替える。これにより、上述した12種類の電極の組み合わせで各電極間の静電容量を検知する際に、各電極の極性を変更する必要がなく、すなわち各電極の極性のプラス側への変更またはマイナス側への変更を行う必要がなく、手の検知時間を短縮することができる。
以上のように、手挿入部3における手前側上、手前側下、手前側左、手前側右、奥側上、奥側下、奥側左、奥側右、左側上、右側上、左側下、右側下の12のポイントで手挿入部3における手の挿入の有無を検知することで、手挿入部3における手の挿入位置を奥行き方向と上下方向と左右方向との三次元方向で判定することが可能である。これにより、手挿入部3における詳細な手の挿入位置を検知することが可能である。
また、本実施の形態3においても、対となる電極の組み合わせを切り替えることで、8つの電極で12のポイントの静電容量を検知することができ、電極数の増加を抑制する効果が得られる。
制御部14は、上述した実施の形態1,2の場合と同様に、手検知部13から出力された手検知信号情報に基づいて送風部6の運転を制御する。制御部14は、手検知部13において手挿入部3に手が挿入されたと検知された場合に、送風部6を運転させる。また、制御部14は、手検知部13において手挿入部3の下側および上側ともに手が挿入されていないと検知された場合は、送風部6を停止させる。そして、制御部14は、手挿入部3における前後方向での手の挿入位置、すなわち手挿入部3において手が検知された2つの電極の組み合わせに基づいて、正面側ノズル3aと背面側ノズル3bとへの高圧空気流の供給量の配分を制御する。
制御部14は、実施の形態1の場合と同様に、手検知部13において手挿入部3の手前側だけに手が挿入されたと検知された場合は、前面送風部6aのみを運転させ、正面側ノズル3aだけに高圧空気流を送る制御を行う。制御部14は、手検知部13において手挿入部3の後ろ側だけに手が挿入されたと検知された場合は、背面送風部6bのみを運転させ、背面側ノズル3bだけに高圧空気流を送る制御を行う。
また、手挿入部3における手前側へ偏って手が挿入された場合、または後ろ側に偏って手が挿入された場合に、実施の形態1の場合と同様に、前面送風部6aと背面送風部6bとの出力を調整して、正面側ノズル3aと背面側ノズル3bとへの高圧空気流の供給量の配分を制御してもよい。これにより、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
また、制御部14は、実施の形態1の場合と同様に、手の位置が前後方向において手挿入部3のどこに位置しているかを推定検知することができる。そして、実施の形態1の場合と同様に、前後方向において手が挿入されている推定位置に基づいて、正面側ノズル3aと背面側ノズル3bの出力を調整してもよい。
以上のように構成された本実施の形態3にかかる手乾燥装置1では、第1の内壁と第2の内壁との組み合わせは、前方突出部2aの内壁と手挿入部3の背面側壁面との組み合わせが対応する。第1ノズルと第2ノズルとの組み合わせは、正面側ノズル3aと背面側ノズル3bとの組み合わせが対応する。第1の送風部と、第2の送風部との組み合わせは、前面送風部6aと背面送風部6bとの組み合わせが対応する。
上述した実施の形態3にかかる手乾燥装置は、実施の形態1における効果に加え、手挿入部3における手の挿入位置を奥行き方向と上下方向と左右方向との三次元方向で判定することが可能である。これにより、手挿入部3における詳細な手の挿入位置を検知することが可能である。
なお、上記の実施の形態においては、手検知部13として、静電容量センサーを用いる場合について示したが、これに限定されない。手検知部13には、赤外線センサーおよびその他の方式のセンサーを用いてもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。