JP7369797B2 - 金属充填微細構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の細孔を有する酸化膜に対して複数の細孔に金属が充填された金属充填微細構造体の製造方法に関し、特に、超臨界状態又は亜臨界状態で金属めっきを行なって、複数の細孔に金属を充填する金属充填微細構造体の製造方法に関する。
酸化膜等の絶縁性基材の厚み方向に貫通した複数の貫通孔に金属が充填された金属充填微細構造体は、近年ナノテクノロジーでも注目されている分野のひとつである。金属充填微細構造体は、例えば、電池用電極、ガス透過膜、センサー、及び異方導電性部材等の用途が期待されている。
異方導電性部材は、半導体素子等の電子部品と回路基板との間に挿入し、加圧するだけで電子部品と回路基板間の電気的接続が得られるため、半導体素子等の電子部品等の電気的接続部材、及び機能検査を行う際の検査用コネクタ等として広く使用されている。
特に、半導体素子等の電子部品は、ダウンサイジング化が顕著である。従来のワイヤーボンディングのような配線基板を直接接続する方式、フリップチップボンディング、及びサーモコンプレッションボンディング等では、電子部品の電気的な接続の安定性を十分に保証することができないため、電子接続部材として異方導電性部材が注目されている。
上述の金属充填微細構造体の製造方法において、複数の貫通孔への金属充填には、めっき法が用いられる。めっき法としては、電解めっき、又は無電解めっきが用いられる。他にも、例えば、特許文献1に記載されているように、二酸化炭素及び不活性ガスの少なくとも一方、金属粉末を金属粉末が溶解しなくなる量以上に添加して分散させた電気めっき液及び界面活性剤を含み、超臨界状態又は亜臨界状態で誘導共析現象を利用して電気めっきを行う電気めっき方法がある。なお、金属粉末は金属基体、電気めっき処理にて得られる金属被膜の少なくとも一方と同種の金属である。
また、特許文献2に記載されているように、磁性体を細孔内に充填する際に、磁性体含有粒子を含む超臨界流体又は亜臨界流体を用い、超臨界流体又は亜臨界流体を細孔内に流入させることで磁性体を細孔内に充填する方法もある。
特許第4163728号公報 特開2008-305443号公報
上述の金属充填微細構造体において、全ての細孔に対して、金属が十分に充填されないこと等の充填欠陥が生じる可能性を考慮する必要がある。上述の特許文献1、2では、いずれも超臨界状態又は亜臨界状態を利用しているが、超臨界状態又は亜臨界状態を利用しただけでは、必ずしも全ての細孔に金属を十分に充填できない可能性がある。
本発明の目的は、複数の細孔への金属充填に際し、複数の細孔への金属の充填欠陥を抑制した金属充填微細構造体の製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、金属部材の表面に複数の細孔を有する絶縁膜を設けて、金属部材と絶縁膜とを有する構造体を得る工程と、構造体に対して、少なくとも絶縁膜を有する側の面に、超臨界状態又は亜臨界状態で金属めっきを行い、複数の細孔に金属を充填するめっき工程とを有し、めっき工程の開始時において、構造体の細孔の底部にバルブ金属以外の金属層が存在しており、細孔の底部のうち面積にして80%以上の領域に対してバルブ金属以外の金属層が形成されている、金属充填微細構造体の製造方法を提供するものである。
構造体を得る工程と、めっき工程との間に、細孔の底部にバルブ金属以外の金属層を形成する工程を有し、めっき工程は、めっき工程の開始時において、細孔の底部のうち面積にして80%以上の領域に対してバルブ金属以外の金属層が形成された状態で実施されることが好ましい。
金属部材はバルブ金属以外の金属で構成されており、細孔の底部は、金属部材が露出していることが好ましい。
複数の細孔は、平均径が1μm以下であることが好ましい。
絶縁膜は、酸化膜であることが好ましい。酸化膜は、アルミニウムの陽極酸化膜であることが好ましい。
バルブ金属以外の金属層は、アルミニウムよりも貴な金属で構成されることが好ましい。金属部材は、貴金属又はバルブ金属で構成されることが好ましい。
本発明によれば、複数の細孔への金属充填に際し、複数の細孔への金属の充填欠陥を抑制することができる。
本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1態様の一工程を拡大して示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2態様の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2態様の一工程を拡大して示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法のうち、めっき工程に用いられる電解めっき装置を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた異方導電材の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの第3の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの第4の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第1の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第1の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第1の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第2の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第2の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第2の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第3の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第3の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の積層デバイスの第5の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の積層デバイスの第6の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の積層デバイスの第7の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の積層デバイスの第8の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の積層デバイスの第9の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例に用いられる積層体の製造方法の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例に用いられる積層体の製造方法の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例に用いられる積層体の製造方法の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例に用いられる積層体の製造方法の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例に用いられる積層体の製造方法の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第6の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第6の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第6の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第6の例の一工程を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第6の例の一工程を示す模式図である。 本接合条件の第1の例を示すグラフである。 本接合条件の第2の例を示すグラフである。 本接合条件の第3の例を示すグラフである。 本接合条件の第4の例を示すグラフである。 本接合条件の第5の例を示すグラフである。 本接合条件の第6の例を示すグラフである。 本接合条件の第7の例を示すグラフである。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の金属充填微細構造体の製造方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α~数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「直交」等の角度、温度、及び圧力について、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「同一」とは、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。また、「全面」等は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
非常に微細な貫通孔を有するアルミニウムの陽極酸化膜等の絶縁性基材の貫通孔内に金属を充填めっきする要望が多い。しかし、部分的な充填欠陥が発生する。充填欠陥は実験用途であれば問題にならないが、電池用電極、ガス透過膜、及びセンサー等に用いるために、金属充填微細構造体の面積を大きくすると、上述の充填欠陥により、接合不良等の影響が生じる。
以下、金属充填微細構造体の製造方法について、具体的に説明する。製造される金属充填微細構造体は、絶縁膜で構成される絶縁性基材を有する。絶縁膜は、例えば、酸化膜で構成される。酸化膜は、特に限定されるものではないが、アルミニウムの陽極酸化膜で構成される。酸化膜がアルミニウムの陽極酸化膜で構成されることを例にして説明する。この場合、金属部材は,アルミニウム部材が用いられる。
<第1態様>
図1~図5は、本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1態様を工程順に示す模式的断面図である。図6は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1態様の一工程を拡大して示す模式的断面図である。
まず、金属部材として、例えば、図1に示すアルミニウム部材10を用意する。
アルミニウム部材10は、最終的に得られる金属充填微細構造体20(図5参照)のアルミニウムの陽極酸化膜14の厚み、すなわち、絶縁性基材の厚み、加工する装置等に応じて大きさ及び厚みが適宜決定されるものである。アルミニウム部材10は、例えば、矩形状の板材である。
次に、アルミニウム部材10の片側の表面10a(図1参照)を陽極酸化処理する。これにより、アルミニウム部材10の片側の表面10a(図1参照)が陽極酸化されて、図2に示すように、アルミニウム部材10の厚み方向Dtに延在する複数の貫通孔12の底部に存在するバリア層13を有する陽極酸化膜14が形成される。上述の陽極酸化する工程を陽極酸化処理工程という。例えば、陽極酸化処理により、金属部材の表面に複数の細孔を有する酸化膜を設けて、金属部材と酸化膜とを有する構造体を得る。すなわち、アルミニウム部材10の片側の表面10aを陽極酸化処理して、アルミニウム部材10の表面10aに、複数の貫通孔12を有するアルミニウムの陽極酸化膜14を設けて、アルミニウム部材10と陽極酸化膜14とを有する構造体17を得る。
なお、構造体17は、アルミニウム部材10を陽極酸化処理することにより得ることに限定されるものではない。後述のように、酸化膜に金属部材を設ける方法でも構造体17を得ることができる。
複数の貫通孔12を有する陽極酸化膜14には、上述のように貫通孔12の底部にバリア層13が存在するが、図3に示すようにバリア層13を除去する。このバリア層13を除去する工程をバリア層除去工程という。
バリア層除去工程において、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いることにより、陽極酸化膜14のバリア層13を除去すると同時に、例えば、構造体17の貫通孔12の底部12cに、バルブ金属以外の金属(金属M1)からなる金属層15aを形成する。これにより、構造体17の貫通孔12の底部12cにバルブ金属以外の金属層15aが露出する。
具体的には、図6に示すように、構造体17の貫通孔12の底部12cのアルミニウム部材10の表面10aは金属層15aが形成される。この場合、構造体17における貫通孔12の底部12cのうち面積にして80%以上の領域に対してバルブ金属以外の金属層15aで構成される。細孔の底部の領域においてバルブ金属以外の金属層が形成される割合のことを面積率という。構造体17における貫通孔12の底部12cのうち面積にして80%以上の領域に対して金属層15aが形成されていれば、金属層15aの面積率は80%である。
なお、貫通孔12の底部12cのうち面積にして80%以上の領域に対して金属層15aが形成されることが好ましく、貫通孔12の底部12cの面12dのうち面積にして95%以上の領域に対して金属層15aが形成されることがより好ましく、貫通孔12の底部12cのうち面積にして100%の領域に対して金属層15aが形成されることが最も好ましい。
上述のバリア層除去工程は、細孔の底部にバルブ金属以外の金属で構成された金属層を形成する工程を兼ねる。上述の金属層を形成する工程は、構造体を得る工程と、めっき工程との間で実施される工程である。
めっき工程は、めっき工程の開始時において、貫通孔12の底部12cにバルブ金属以外の金属層が存在しており、貫通孔12の底部12cにあるアルミニウム部材10の表面10aのうち面積にして80%以上の領域に対して、金属層15a等を形成する。これにより、貫通孔12への金属めっきによる金属充填の際に、めっきが進行しやすくなり、金属が十分に充填されないことが抑制され、貫通孔12への金属の未充填等が抑制される。
なお、構造体17におけるアルミニウム部材10の表面10aのうち、金属層15aで覆われる割合は、陽極酸化膜を厚さ方向に対してFIB(Focused Ion Beam)で切削加工し、その断面をFE-SEMにより表面写真(倍率5万倍)を10視野撮影し、各視野における細孔の露出した部材の表面に形成された金属層の面積率を測定し、その平均値として算出した。
構造体17の貫通孔12の底部12cのうち面積にして80%以上の領域に対してバルブ金属以外の金属層が形成されていれば、構造体17におけるアルミニウム部材10の表面10aのうち面積にして80%以上の領域を、図6に示すように金属層15aで覆う構成とすることに限定されるものではない。
次に、構造体17に対して少なくとも酸化膜を有する側の面、すなわち、陽極酸化膜14を有する側の面に、超臨界状態又は亜臨界状態で金属めっきを行うめっき工程により、図4に示すように、陽極酸化膜14の貫通孔12の内部に金属15bを充填する。貫通孔12の内部に金属15bを充填することにより、導電性を有する導通路16が形成される。この場合、金属(金属M1)からなる金属層15aを、金属めっきの際に電極として用いることができる。貫通孔12の内部に金属15bを充填するめっき工程については後に詳細に説明する。なお、金属層15aと金属15bとをまとめて充填した金属15という。
めっき工程の後に、図5に示すようにアルミニウム部材10を除去する。これにより、金属充填微細構造体20が得られる。アルミニウム部材10を除去する工程を基板除去工程という。
めっき工程の前のバリア層除去工程において、金属部材、例えば、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いてバリア層を除去することにより、バリア層13を除去するだけでなく、貫通孔12の底部12cに露出したアルミニウム部材10にアルミニウムよりも水素ガスが発生しにくい金属M1の金属層15aが形成される。その結果、金属充填の面内均一性が良好となる。これは、めっき液による水素ガスの発生が抑制され、電解めっきによる金属充填が進行しやすくなったと考えられる。
詳しいメカニズムは不明だが、バリア層除去工程において、金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いることでバリア層下部に金属M1の層が形成され、これによりアルミニウム部材と陽極酸化膜との界面がダメージを受けることを抑制することができ、バリア層の溶解の均一性が向上したためと考えられる。この場合も、構造体17におけるアルミニウム部材10の表面10aのうち面積にして80%以上の領域が金属層15aで覆われている。
なお、バリア層除去工程において、貫通孔12の底部12cに金属(金属M1)からなる金属層15aを形成したが、これに限定されるものではなく、バリア層13だけを除去し、貫通孔12の底にアルミニウム部材10を露出させる。貫通孔12の底の露出させたアルミニウム部材10の表面10aに、蒸着法、めっき法を用いて、被覆材として、例えば、金属層15aを形成する。
上述の第1態様において、金属突出工程、又は樹脂層形成工程を含んでもよい。金属突出工程、及び樹脂層形成工程については、後に説明する。
<第2態様>
図7~図10は、本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2態様を工程順に示す模式的断面図である。図11は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2態様の一工程を拡大して示す模式的断面図である。なお、図7~図11において、図1~図5に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
第2態様は、上述の第1態様に比して、金属部材にアルミニウム部材10を用いることなく、金属部材24(図9、図11参照)を用いる点が異なる。
また、第2態様は、上述の第1態様に比して、以下に示す工程が異なる。第1態様において、図2に示すアルミニウム部材10と陽極酸化膜14とを有する構造体17に対して、第2態様ではアルミニウム部材10を除去し、図7に示す陽極酸化膜14を得る。アルミニウム部材10の除去は、基板除去工程を利用することができるため、詳細な説明は省略する。
次に、図7に示す陽極酸化膜14の貫通孔12を拡径し、かつバリア層13を除去して、図8に示すように、陽極酸化膜14に厚み方向Dtに貫通する貫通孔12を複数形成する。
貫通孔12(細孔)の拡径には、例えば、ポアワイド処理が用いられる。ポアワイド処理は、陽極酸化膜を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬させることにより、陽極酸化膜を溶解させ、貫通孔12(細孔)の孔径を拡大する処理である、ポアワイド処理には、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸又はこれらの混合物の水溶液、又は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等の水溶液を用いることができる。
次に、図8に示す陽極酸化膜14の裏面14bの全面に、例えば、図9に示すように、金属部材24を形成する。これにより、金属部材24の表面24aに複数の貫通孔12を有する陽極酸化膜14を設けた、金属部材24と陽極酸化膜14とを有する構造体17を得る。金属部材24を形成する工程を、金属部材形成工程という。
金属部材形成工程では、金属部材24の形成に、例えば、蒸着法、スパッタ法、又は無電解めっき法等が用いられる。金属部材24は、バルブ金属以外の金属で構成することが好ましく、例えば、Au(金)等の貴金属で構成される。金属部材24は、上述の金属層15aと同じものでもよい。
ここで、図11に示すように、陽極酸化膜14の裏面14b側に金属部材24が設けられている。金属部材24は、貫通孔12の陽極酸化膜14の裏面14b側の開口を全て覆っている。金属部材24は、例えば、Auで構成されており、金属部材24の表面24aのうち、表面24aの100%がバルブ金属以外の金属で構成される。陽極酸化膜14の裏面14bに金属部材24を設けることにより、構造体17の貫通孔12の底部12cの面12dにバルブ金属以外の金属層が露出する。しかも、貫通孔12の底部12cの面12dの100%をバルブ金属ではないものとすることができる。これにより、貫通孔12へ金属めっきによる金属充填の際に、めっきが進行しやすくなり、金属が十分に充填されないことが抑制され、貫通孔12への金属の未充填等が抑制される。
次に、図10に示すように、陽極酸化膜14に金属部材24が形成された状態で、陽極酸化膜14の貫通孔12の内部に、第1態様と同じく、超臨界状態又は亜臨界状態で金属めっきを行うめっき工程により、複数の貫通孔12に金属15bを充填し、導通路16を形成する。
次に、金属部材24を除去して、図5に示す金属充填微細構造体20を得る。金属部材24を除去する方法は、金属部材24を除去することができれば、特に限定されるものではなく、エッチング、又は研磨が挙げられる。
<他の態様>
製造方法としては、例えば、上述の陽極酸化処理工程、保持工程、バリア層除去工程、めっき工程、表面金属突出工程、樹脂層形成工程、基板除去工程及び裏面金属突出工程を組み合わせて実施してもよい。
また、所望の形状のマスク層を用いてアルミニウム部材の表面の一部に陽極酸化処理を施してもよい。
以上の金属充填微細構造体の製造方法では、複数の貫通孔12(細孔)への部分的な充填欠陥の発生を抑制することができ、貫通孔12に対する充填欠陥が少ない金属充填微細構造体を得ることがきる。このため、金属充填微細構造体を用いて異方導電性部材を製造した場合、導通路の設置密度を飛躍的に向上させ、高集積化が一層進んだ現在においても半導体素子等の電子部品の電気的接続部材、又は検査用コネクタ等として使用することができる。
〔絶縁性基材〕
絶縁性基材は、無機材料からなり、従来公知の異方導電性フィルム等を構成する絶縁性基材と同程度の電気抵抗率(1014Ω・cm程度)を有するものであれば特に限定されない。
なお、「無機材料からなり」とは、後述する樹脂層を構成する高分子材料と区別するための規定であり、無機材料のみから構成された絶縁性基材に限定する規定ではなく、無機材料を主成分(50質量%以上)とする規定である。
絶縁性基材は、上述のように酸化膜で構成される。酸化膜としては、所望の平均径を有する貫通孔が形成され、後述する導通路を形成しやすいという理由から、バルブ金属の陽極酸化膜であることがより好ましい。例えば、酸化膜は、上述のように、アルミニウムの陽極酸化膜である。このため、金属部材は、バルブ金属であることが好ましい。
ここで、バルブ金属としては、具体的には、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。これらのうち、寸法安定性がよく、比較的安価であることからアルミニウムの陽極酸化膜であることが好ましい。このため、アルミニウム部材を用いて、金属充填微細構造体を製造することが好ましい。
〔金属部材〕
金属部材は、金属充填微細構造体の製造に用いられるものであり、上述のように、陽極酸化膜が形成できるものであることが好ましく、上述のバルブ金属で構成されることが好ましい。上述のように金属部材としてアルミニウム部材が用いられる。
また、金属部材としては、第2態様のように、陽極酸化膜に金属部材を設ける場合、バルブ金属以外に、例えば、貴金属を用いることもできる。貴金属は、例えば、Au(金)、Ag(銀)及び白金族(Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt)等である。
<アルミニウム部材>
アルミニウム部材は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハ、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
アルミニウム部材のうち、陽極酸化処理工程により陽極酸化膜を設ける表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であることがより好ましく、99.99質量%以上であることが更に好ましい。アルミニウム純度が上述の範囲であると、貫通孔配列の規則性が十分となる。
また、アルミニウム部材のうち陽極酸化処理工程を施す片側の表面は、予め熱処理、脱脂処理及び鏡面仕上げ処理が施されることが好ましい。
ここで、熱処理、脱脂処理及び鏡面仕上げ処理については、特開2008-270158号公報の[0044]~[0054]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
〔陽極酸化処理工程〕
陽極酸化工程は、上述のアルミニウム部材の片面に陽極酸化処理を施すことにより、上述のアルミニウム部材の片面に、厚み方向に貫通する貫通孔と貫通孔の底部に存在するバリア層とを有する陽極酸化膜を形成する工程である。
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、貫通孔配列の規則性を高くし、金属充填微細構造体の異方導電性を担保する観点から、自己規則化法又は定電圧処理を用いることが好ましい。
ここで、陽極酸化処理の自己規則化法及び定電圧処理については、特開2008-270158号公報の[0056]~[0108]段落及び[図3]に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
<陽極酸化処理>
陽極酸化処理における電解液の平均流速は、0.5~20.0m/minであることが好ましく、1.0~15.0m/minであることがより好ましく、2.0~10.0m/minであることが更に好ましい。
また、電解液を上述の条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。特に、かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため好ましい。このようなかくはん装置としては、例えば、「マグネティックスターラーHS-50D(AS ONE製)」等が挙げられる。
陽極酸化処理は、例えば、酸濃度1~10質量%の溶液中で、アルミニウム部材を陽極として通電する方法を用いることができる。
陽極酸化処理に用いられる溶液としては、酸溶液であることが好ましく、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸、グリコール酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸が特に好ましい。これらの酸は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には、電解液濃度0.1~20質量%、液温-10~30℃、電流密度0.01~20A/dm2、電圧3~300V、電解時間0.5~30時間であることが好ましく、電解液濃度0.5~15質量%、液温-5~25℃、電流密度0.05~15A/dm2、電圧5~250V、電解時間1~25時間であることがより好ましく、電解液濃度1~10質量%、液温0~20℃、電流密度0.1~10A/dm2、電圧10~200V、電解時間2~20時間であることが更に好ましい。
上述の陽極酸化処理工程は、金属充填微細構造体20を、巻き芯に巻き取られた形状で供給する観点から、陽極酸化処理により形成される陽極酸化膜の平均厚みが30μm以下であることが好ましく、5~20μmであることがより好ましい。なお、平均厚みは、陽極酸化膜を厚さ方向に対して集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)で切削加工し、その断面を電界放射型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FE-SEM)により表面写真(倍率5万倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した。
〔保持工程〕
金属充填微細構造体の製造方法は保持工程を有してもよい。保持工程は、上述の陽極酸化処理工程の後に、1V以上かつ上述の陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される保持電圧の95%以上105%以下の電圧に通算5分以上保持する工程である。言い換えると、保持工程は、上述の陽極酸化処理工程の後に、1V以上かつ上述の陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される保持電圧の95%以上105%以下の電圧で通算5分以上電解処理を施す工程である。保持工程により、めっき処理時の金属充填の均一性が大きく良化する。
ここで、「陽極酸化処理における電圧」とは、アルミニウムと対極間に印加する電圧であり、例えば、陽極酸化処理による電解時間が30分であれば、30分の間に保たれている電圧の平均値のことである。
陽極酸化膜の側壁厚み、すなわち、貫通孔の深さに対してバリア層の厚みを適切な厚みに制御する観点から、保持工程における電圧が、陽極酸化処理における電圧の5%以上25%以下であることが好ましく、5%以上20%以下であることがより好ましい。
また、面内均一性がより向上する理由から、保持工程における保持時間の合計が、5分以上20分以下であることが好ましく、5分以上15分以下であることがより好ましく、5分以上10分以下であることが更に好ましい。
また、保持工程における保持時間は、通算5分以上であればよいが、連続5分以上であることが好ましい。
更に、保持工程における電圧は、陽極酸化処理工程における電圧から保持工程における電圧まで連続的又は段階的(ステップ状)に降下させて設定してもよいが、面内均一性が更に向上する理由から、陽極酸化処理工程の終了後、1秒以内に、上述の保持電圧の95%以上105%以下の電圧に設定することが好ましい。
上述の保持工程は、例えば、上述の陽極酸化処理工程の終了時に電解電位を降下させることにより、上述の陽極酸化処理工程と連続して行うこともできる。
上述の保持工程は、電解電位以外の条件については、上述の従来公知の陽極酸化処理と同様の電解液及び処理条件を採用することができる。
特に、保持工程と陽極酸化処理工程とを連続して施す場合は、同様の電解液を用いて処理することが好ましい。
〔バリア層除去工程〕
バリア層除去工程は、例えば、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いて、陽極酸化膜のバリア層を除去する工程である。
上述のバリア層除去工程により、バリア層が除去され、かつ、図3にも示す通り、貫通孔12の底部12cに、金属M1からなる金属層15aが形成されることになる。
ここで、水素過電圧(hydrogen overvoltage)とは、水素が発生するのに必要な電圧をいい、例えば、アルミニウム(Al)の水素過電圧は-1.66Vである(日本化学会誌,1982、(8),p1305-1313)。なお、アルミニウムの水素過電圧よりも高い金属M1の例及びその水素過電圧の値を以下に示す。
<金属M1及び水素(1N H2SO4)過電圧>
・白金(Pt):0.00V
・金(Au):0.02V
・銀(Ag):0.08V
・ニッケル(Ni):0.21V
・銅(Cu):0.23V
・錫(Sn):0.53V
・亜鉛(Zn):0.70V
後述する陽極酸化処理工程において充填する金属M2と置換反応を起こし、貫通孔の内部に充填される金属の電気的な特性に与える影響が少なくなる理由から、上述のバリア層除去工程で用いる金属M1は、めっき工程で用いる金属M2よりもイオン化傾向が高い金属であることが好ましい。
具体的には、めっき工程の金属M2として銅(Cu)を用いる場合には、上述のバリア層除去工程で用いる金属M1としては、バルブ金属以外の金属が用いられ、バルブ金属以外の金属は、アルミニウムよりも貴な金属であることが好ましい。
なお、アルミニウムよりも貴な金属とは、アルミニウムよりもイオン化しにくい金属のことである。アルミニウムよりも貴な金属は、例えば、Zn、Cr、Fe、Co、Ni、Sn、Pb、Cu、Ag、Auである。
上述の金属M1としては、例えば、Zn、Fe、Ni、Sn等が挙げられ、中でも、Zn、Niを用いることが好ましく、Znを用いるのがより好ましい。
また、めっき工程の金属M2としてNiを用いる場合には、上述のバリア層除去工程で用いる金属M1としては、例えば、Zn、Fe等が挙げられ、中でも、Znを用いることが好ましい。
このような金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いてバリア層を除去する方法は特に限定されず、例えば、従来公知の化学エッチング処理と同様の方法が挙げられる。
<化学エッチング処理>
化学エッチング処理によるバリア層の除去は、例えば、陽極酸化処理工程後の構造物をアルカリ水溶液に浸漬させ、貫通孔の内部にアルカリ水溶液を充填させた後に、陽極酸化膜の貫通孔の開口部側の表面にpH(水素イオン指数)緩衝液に接触させる方法等により、バリア層のみを選択的に溶解させることができる。
ここで、上述の金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。また、アルカリ水溶液の濃度は0.1~5質量%であることが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10~60℃が好ましく、更に15~45℃が好ましく、更に20~35℃であることが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液等が好適に用いられる。
なお、pH緩衝液としては、上述のアルカリ水溶液に対応した緩衝液を適宜使用することができる。
また、アルカリ水溶液への浸漬時間は、5~120分であることが好ましく、8~120分であることがより好ましく、8~90分であることが更に好ましく、10~90分であることが特に好ましい。なかでも、10~60分であることが好ましく、15~60分であることがより好ましい。
〔バリア層除去工程の他の例〕
バリア層除去工程は、上述以外に、陽極酸化膜のバリア層を除去し、貫通孔の底にアルミニウム部材の一部が露出する工程でもよい。
この場合、バリア層を除去する方法は特に限定されず、例えば、陽極酸化処理工程の陽極酸化処理における電位よりも低い電位でバリア層を電気化学的に溶解する方法(以下、「電解除去処理」ともいう。);エッチングによりバリア層を除去する方法(以下、「エッチング除去処理」ともいう。);これらを組み合わせた方法(特に、電解除去処理を施した後に、残存するバリア層をエッチング除去処理で除去する方法);等が挙げられる。
〈電解除去処理〉
電解除去処理は、陽極酸化処理工程の陽極酸化処理における電位(電解電位)よりも低い電位で施す電解処理であれば特に限定されない。
電解溶解処理は、例えば、陽極酸化処理工程の終了時に電解電位を降下させることにより、陽極酸化処理と連続して施すことができる。
電解除去処理は、電解電位以外の条件については、上述した従来公知の陽極酸化処理と同様の電解液及び処理条件を採用することができる。
特に、上述したように電解除去処理と陽極酸化処理とを連続して施す場合は、同様の電解液を用いて処理するのが好ましい。
(電解電位)
電解除去処理における電解電位は、陽極酸化処理における電解電位よりも低い電位に、連続的又は段階的(ステップ状)に降下させるのが好ましい。
ここで、電解電位を段階的に降下させる際の下げ幅(ステップ幅)は、バリア層の耐電圧の観点から、10V以下であることが好ましく、5V以下であることがより好ましく、2V以下であることが更に好ましい。
また、電解電位を連続的又は段階的に降下させる際の電圧降下速度は、生産性等の観点から、いずれも1V/秒以下が好ましく、0.5V/秒以下がより好ましく、0.2V/秒以下が更に好ましい。
〈エッチング除去処理〉
エッチング除去処理は特に限定されないが、酸水溶液又はアルカリ水溶液を用いて溶解する化学エッチング処理であってもよく、ドライエッチング処理であってもよい。
(化学エッチング処理)
化学エッチング処理によるバリア層の除去は、例えば、陽極酸化処理工程後の構造物を酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬させ、細孔の内部に酸水溶液又はアルカリ水溶液を充填させた後に、陽極酸化膜の細孔の開口部側の表面にpH(水素イオン指数)緩衝液に接触させる方法等であり、バリア層のみを選択的に溶解させることができる。
ここで、酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸又はこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。また、酸水溶液の濃度は1質量%~10質量%であることが好ましい。酸水溶液の温度は、15℃~80℃が好ましく、更に20℃~60℃が好ましく、更に30℃~50℃が好ましい。
一方、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。また、アルカリ水溶液の濃度は0.1質量%~5質量%であることが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10℃~60℃が好ましく、更に15℃~45℃が好ましく、更に20℃~35℃であることが好ましい。なお、アルカリ水溶液には、亜鉛及び他の金属を含有していてもよい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液等が好適に用いられる。
なお、pH緩衝液としては、上述した酸水溶液又はアルカリ水溶液に対応した緩衝液を適宜使用することができる。
また、酸水溶液又はアルカリ水溶液への浸せき時間は、8分~120分であることが好ましく、10分~90分であることがより好ましく、15分~60分であることが更に好ましい。
(ドライエッチング処理)
ドライエッチング処理は、例えば、Cl2/Ar混合ガス等のガス種を用いることが好ましい。
〔めっき工程〕
めっき工程は、上述のバリア層除去工程の後に、超臨界状態又は亜臨界状態で金属めっきを行い、陽極酸化膜の複数の貫通孔(細孔)の内部に金属M2を充填する工程である。上述のように、めっき工程の開始時において、構造体の細孔の底部にバルブ金属以外の金属層が存在しており、細孔の底部のうち面積にして80%以上の領域に対してバルブ金属以外の金属層が形成されている。めっき工程において、金属めっきは電解めっき、及び無電解めっきのうち、いずれでもよいが、電解めっきの方が短時間で処理できるため望ましい。
ここで、図12は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法のうち、めっき工程に用いられる電解めっき装置を示す模式図である。
図12に示すめっき装置28は、めっき槽29と、めっき槽29を囲むオーブン30と、対向電極31と、電源部32と、制御部33とを有する。めっき槽29に、上述の構造体17が、対向電極31に対向して配置される。また、めっき槽29内にはめっき液AQが満たされ、構造体17と対向電極31とが浸漬される。構造体17は、上述のように金属部材と複数の貫通孔12を有する陽極酸化膜14とを有する。
電源部32は、構造体17と対向電極31とに電気的に接続されており、構造体17に電流を印加するものである。金属めっきの際に、構造体17の金属層、又は金属部材に電流が印加される。
制御部33は、電源部32に接続され、電源部32を制御するものである。制御部33により、電源部32が印加する電流の電流値、タイミング及び期間が制御される。制御部33には、例えば、印加する電流の電流パターンが複数記憶されており、いずれかの電流パターンで電源部32から構造体17に電流を印加する。
なお、電源部32に制御部33の機能を持たせてもよく、この場合、制御部33は不要である。また、印加する電流の電流パターンのことを電流制御パターンともいう。
オーブン30は、めっき槽29内のめっき液AQの温度を調整するものである。オーブン30は、めっき槽29内のめっき液AQの温度を調整することができれば、特に限定されるものではなく、公知のヒーター等を用いることができる。オーブン30により、めっき液AQの温度が、超臨界又は亜臨界に必要な温度に維持される。
めっき装置28は、供給部34、ポンプ35、及びバルブ36を有し、供給管37がめっき槽29の蓋29aに設けられており、例えば、高圧の二酸化炭素が、めっき槽29内に供給される。また、圧力調整部38が、めっき槽29の蓋29aに設けられた排出管39を介して、めっき槽29に接続されている。圧力調整部38により、めっき槽29内の圧力が超臨界又は亜臨界に必要な圧力に維持される。
供給部34は、超臨界又は亜臨界にする物質を貯留するものである。超臨界にする物質が二酸化炭素の場合、供給部34は二酸化炭素のボンベである。
ポンプ35は、超臨界又は亜臨界にする物質を加圧してめっき槽29内に供給するものであり、公知の加圧ポンプが用いられる。
バルブ36は、超臨界又は亜臨界にする物質のめっき槽29内への供給を制御するものである。
圧力調整部38は、上述のようにめっき槽29内の圧力を維持するものであり、また、めっき槽29内の圧力を減圧又は開放するものである。圧力調整部38は、例えば、バルブが用いられる。
超臨界媒体には、例えば、二酸化炭素が用いられる。二酸化炭素の臨界点(超臨界状態となる点)は、温度31.0℃、圧力7.38MPaであり、この臨界点以上の温度、圧力で、二酸化炭素は超臨界状態となる。このため、めっき槽29内の温度31.0℃以上、かつ圧力7.38MPa以上にする。このとき、同時に超臨界媒体を攪拌すると効果的にめっきできる。このため、めっき槽29内に、攪拌のためのスターラー(図示せず)を設けることが好ましい。
また、亜超臨界媒体には、上述の超臨界媒体と同じものを用いることができる。
図12に示すめっき槽29内に、構造体17と、対向電極31とを対向して配置する。そして、めっき槽29内をめっき液AQで満たす。
オーブン30により、めっき槽29内のめっき液AQの温度を、例えば、40℃にする。次に、例えば、供給部34から二酸化炭素を、ポンプ35に供給し、ポンプ35により加圧してバルブ36を経て、供給管37を介してめっき槽29内に供給し、めっき槽29内の圧力が、例えば、10MPaになるように加圧する。このとき、めっき液AQを撹拌することが好ましい。
上述のように二酸化炭素は、温度31.0℃、圧力7.38MPaの環境下で超臨界状態となるため、めっき槽29内は実質的に超臨界状態であり、めっき液AQは実質的にエマルジョン状態となる。エマルジョン状態のめっき液AQにより、めっき処理が進行し、陽極酸化膜における貫通孔の内部に金属M2が充填されて、導電性を有する導通路16が形成される。めっき工程では、超臨界媒体を用いた超臨界状態で金属めっきが行われる。また、圧力及び温度を調整して、例えば、二酸化炭素を亜臨界状態にして、亜臨界媒体を用いた亜超臨界状態で金属めっきを行うこともできる。
<超臨界媒体>
超臨界媒体としては、二酸化炭素以外に、例えば、酸素、アルゴン、クリプトン、キセノン、アンモニア、メタン、エタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルケトン、六フッ化イオウ、一酸化炭素、一酸化二窒素、窒素95%と水素5%の混合気体であるフォーミングガス、水素及びこれらの中の2以上の混合物を用いることができる。また、水も用いることができる。この中でも二酸化炭素が好ましい。
なお、水は温度374.2℃以上かつ圧力22.1MPa以上の環境下で超臨界媒体となる。メタノールは、温度239.4℃以上かつ圧力8.1MPa以上の環境下で超臨界媒体となる。エタノールは温度243℃以上かつ圧力6.4MPa以上の環境下で超臨界媒体となる。
<亜超臨界媒体>
ここで、超臨界状態とは、臨界点における温度(臨界温度)以上の温度かつ臨界点における圧力(臨界圧力)以上の圧力である状態をいう。亜臨界状態とは、臨界点近傍の、臨界温度よりもやや温度が低い状態又は臨界圧力よりもやや圧力が低い状態をいう.
亜臨界媒体は、超臨界媒体と同じものが利用可能である。亜臨界媒体は、超臨界媒体よりも、上述の亜臨界状態の説明のように、臨界状態に比して、やや温度が低い状態又はやや圧力が低い状態である。
<金属M2>
上述の金属M2は、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料であることが好ましく、その具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)等が好適に例示される。
中でも、電気伝導性の観点から、Cu、Au、Al、及びNiが好ましく、Cu、及びAuがより好ましく、Cuが更に好ましい。
<充填方法>
上述の金属M2を貫通孔の内部に充填するめっき処理の方法としては、電解めっき法を用いる。なお、無電解めっき法では、アスペクトの高い貫通孔からなる孔中に金属を完全に充填には長時間を要する。
ここで、着色等に用いられる従来公知の電解めっき法では、選択的に孔中に金属を高アスペクトで析出(成長)させることは困難である。これは、析出金属が孔内で消費され一定時間以上電解を行なってもめっきが成長しないためと考えられる。
そのため、電解めっき法により金属を充填する場合は、パルス電解又は定電位電解の際に休止時間をもうける必要がある。休止時間は、10秒以上必要で、30~60秒であることが好ましい。
また、電解液のかくはんを促進するため、超音波を加えることも望ましい。
更に、電解電圧は、通常20V以下であって望ましくは10V以下であるが、使用する電解液における目的金属の析出電位を予め測定し、その電位+1V以内で定電位電解を行なうことが好ましい。なお、定電位電解を行なう際には、サイクリックボルタンメトリを併用できるものが望ましく、Solartron社、BAS社、北斗電工社、IVIUM社等のポテンショスタット装置を用いることができる。
(めっき液)
めっき液は、金属イオンを含むものであり、充填する金属に応じた、従来公知のめっき液が用いられる。めっき液としては、固形分の主成分が硫酸銅であることが好ましく、例えば、硫酸銅と硫酸と塩酸との混合水溶液が用いられる。具体的には、銅を析出させる場合には硫酸銅水溶液が一般的に用いられるが、硫酸銅の濃度は、1~300g/Lであることが好ましく、100~200g/Lであることがより好ましい。また、めっき液中に塩酸を添加すると析出を促進することができる。この場合、塩酸濃度は10~20g/Lであることが好ましい。
なお、固形分の主成分とは、電解液の固形分中での割合が20質量%以上であることであり、例えば、硫酸銅が電解液の固形分中に20質量%以上含まれていることである。
また、金を析出させる場合、テトラクロロ金の硫酸溶液を用い、交流電解でめっきを行なうのが望ましい。
めっき液は、界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤としては公知のものを使用することができる。従来メッキ液に添加する界面活性剤として知られているラウリル硫酸ナトリウムをそのまま使用することもできる。親水性部分がイオン性(カチオン性・アニオン性・双性)のもの、非イオン性(ノニオン性)のものいずれも利用可能であるが、メッキ対象物表面への気泡の発生等を回避する点でカチオン線活性剤が望ましい。めっき液組成における界面活性剤の濃度は1質量%以下であることが望ましい。
<ポアワイド処理>
ポアワイド処理は、アルミニウム部材を酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬させることにより、陽極酸化膜を溶解させ、貫通孔12の径を拡大する処理である。
これにより、貫通孔12の配列の規則性及び径のばらつきを制御することが容易となる。また、陽極酸化膜の複数の貫通孔12の底部分のバリア皮膜を溶解させることにより、貫通孔12内部に選択的に電着させること及び径を大きくし、電極としての表面積を飛躍的に大きくすることが可能となる。
ポアワイド処理に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸又はこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は1~10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25~40℃であるのが好ましい。
ポアワイド処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1~5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20~35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液又は0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液又はアルカリ水溶液への浸漬時間は、8~60分であるのが好ましく、10~50分であるのがより好ましく、15~30分であるのが更に好ましい。
〔基板除去工程〕
基板除去工程は、めっき工程の後に、上述のアルミニウム部材を除去する工程である。アルミニウム部材を除去する方法は特に限定されず、例えば、溶解により除去する方法等が好適に挙げられる。
<アルミニウム部材の溶解>
上述のアルミニウム部材の溶解は、陽極酸化膜を溶解しにくく、アルミニウムを溶解しやすい処理液を用いることが好ましい。
このような処理液は、アルミニウムに対する溶解速度が、1μm/分以上であることが好ましく、3μm/分以上であることがより好ましく、5μm/分以上であることが更に好ましい。同様に、陽極酸化膜に対する溶解速度が、0.1nm/分以下となることが好ましく、0.05nm/分以下となるのがより好ましく、0.01nm/分以下となるのが更に好ましい。
具体的には、アルミよりもイオン化傾向の低い金属化合物を少なくとも1種含み、かつ、pHが4以下又は8以上となる処理液であることが好ましく、そのpHが3以下又は9以上であることがより好ましく、2以下又は10以上であることが更に好ましい。
アルミニウムを溶解する処理液としては、酸又はアルカリ水溶液をベースとし、例えば、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀、銀、パラジウム、白金、金の化合物(例えば、塩化白金酸)、これらのフッ化物、これらの塩化物等を配合したものであることが好ましい。
中でも、酸水溶液ベースが好ましく、塩化物をブレンドすることが好ましい。
特に、塩酸水溶液に塩化水銀をブレンドした処理液(塩酸/塩化水銀)、塩酸水溶液に塩化銅をブレンドした処理液(塩酸/塩化銅)が、処理ラチチュードの観点から好ましい。
なお、アルミニウムを溶解する処理液の組成は、特に限定されるものではく、例えば、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、及び王水等を用いることができる。
また、アルミニウムを溶解する処理液の酸又はアルカリ濃度は、0.01~10mol/Lが好ましく、0.05~5mol/Lがより好ましい。
更に、アルミニウムを溶解する処理液を用いた処理温度は、-10℃~80℃が好ましく、0℃~60℃が好ましい。
また、上述のアルミニウム部材の溶解は、上述のめっき工程後のアルミニウム部材を上述の処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸漬法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒~5時間が好ましく、1分~3時間がより好ましい。
〔金属突出工程〕
作製される金属充填微細構造体の金属接合性が向上する理由から、表面金属突出工程及び裏面金属突出工程のうち、少なくとも1つの工程を有してもよい。
ここで、表面金属突出工程とは、上述のめっき工程の後であって上述の基板除去工程の前に、上述の陽極酸化膜の上述のアルミニウム部材が設けられていない側の表面を厚み方向に一部除去し、上述のめっき工程で充填した上述の金属M2を上述の陽極酸化膜の表面よりも突出させる工程である。
また、裏面金属突出工程とは、上述の基板除去工程の後に、上述の陽極酸化膜の上述のアルミニウム部材が設けられていた側の表面を厚み方向に一部除去し、上述のめっき工程で充填した上述の金属M2を上述の陽極酸化膜の表面よりも突出させる工程である。
金属突出工程における陽極酸化膜の一部除去は、例えば、上述の金属M1及び金属M2(特に金属M2)を溶解せず、陽極酸化膜、すなわち、酸化アルミニウムを溶解する酸水溶液又はアルカリ水溶液に対して、金属が充填された貫通孔を有する陽極酸化膜を接触させることにより行うことができる。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸漬法が好ましい。
酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸又はこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1~10質量%であることが好ましい。酸水溶液の温度は、25~60℃であることが好ましい。
また、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1~5質量%であることが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20~35℃であることが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液又は0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液又はアルカリ水溶液への浸漬時間は、8~120分であることが好ましく、10~90分であることがより好ましく、15~60分であることが更に好ましい。ここで、浸漬時間は、短時間の浸漬処理を繰り返した場合には、各浸漬時間の合計をいう。なお、各浸漬処理の間には、洗浄処理を施してもよい。
また、作製される金属充填微細構造体を異方導電性部材として用いた際に、配線基板等の被接着物との圧着性が良好となる理由から、上述の表面金属突出工程及び裏面金属突出工程のうち、少なくとも1つの工程が、上述の金属M2を上述の陽極酸化膜の表面よりも10~1000nm突出させる工程であることが好ましく、50~500nm突出させる工程であることがより好ましい。
更に、作製される金属充填微細構造体と電極とを圧着等の手法により接続(接合)する際に、突出部分が潰れた場合の面方向の絶縁性を十分に確保できる理由から、上述の表面金属突出工程及び裏面金属突出工程のうち、少なくとも1つの工程により形成される突出部分のアスペクト比(突出部分の高さ/突出部分の直径)が0.01以上20未満であることが好ましく、6~20であることが好ましい。
上述のめっき工程及び基板除去工程ならびに任意の金属突出工程により形成される金属からなる導通路は、柱状であることが好ましい。導通路の直径は、金属が充填される貫通孔の直径と略同じである。導通路の平均直径は、貫通孔の平均径であり、1μm以下であることが好ましく、5~500nmであることがより好ましく、20~400nmであることが更に好ましく、40~200nmであることが更に一層好ましく、50~100nmであることが最も好ましい。
また、上述の導通路は、アルミニウム部材の陽極酸化膜によって互いに絶縁された状態で存在するものであるが、その密度は、2万個/mm2以上であることが好ましく、200万個/mm2以上であることがより好ましく、1000万個/mm2以上であることが更に好ましく、5000万個/mm2以上であることが特に好ましく、1億個/mm2以上であることが最も好ましい。
更に、隣接する各導通路の中心間距離は、20nm~500nmであることが好ましく、40nm~200nmであることがより好ましく、50nm~140nmであることが更に好ましい。
〔樹脂層形成工程〕
作製される金属充填微細構造体の搬送性が向上する理由から、上述のように樹脂層形成工程を有してもよい。
ここで、樹脂層形成工程とは、上述のめっき工程の後(上述の表面金属突出工程を有している場合は表面金属突出工程の後)であって上述の基板除去工程の前に、上述の陽極酸化膜の上述のアルミニウム部材が設けられていない側の表面に、樹脂層を設ける工程である。
上述の樹脂層を構成する樹脂材料としては、具体的には、例えば、エチレン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びセルロース系樹脂等を挙げることができるが、搬送性の観点と、異方導電性部材として使用しやすくする観点から、上述の樹脂層は、剥離可能な粘着層付きフィルムであることが好ましく、加熱処理又は紫外線露光処理により粘着性が弱くなり、剥離可能となる粘着層付きフィルムであることがより好ましい。
上述の粘着層付きフィルムは特に限定されず、熱剥離型の樹脂層、及び紫外線(ultraviolet:UV)剥離型の樹脂層等が挙げられる。
ここで、熱剥離型の樹脂層は、常温では粘着力があり、加熱するだけで容易に剥離可能なもので、主に発泡性のマイクロカプセル等を用いたものが多い。
また、粘着層を構成する粘着剤としては、具体的には、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン-ジエンブロック共重合体系粘着剤等が挙げられる。
また、UV剥離型の樹脂層は、UV硬化型の接着層を有するもので硬化により粘着力が失われて剥離可能になるというものである。
UV硬化型の接着層としては、ベースポリマーに、炭素-炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に導入したポリマー等が挙げられる。炭素-炭素二重結合を有するベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするもことが好ましい。
更に、アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。
炭素-炭素二重結合を有するベースポリマーは単独で使用することができるが、UV硬化性のモノマー又はオリゴマーを配合することもできる。
UV硬化型の接着層は、UV照射により硬化させるために光重合開始剤を併用することが好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル系化合物;ケタール系化合物;芳香族スルホニルクロリド系化合物;光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。
熱剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、WS5130C02、WS5130C10等のインテリマー〔登録商標〕テープ(ニッタ株式会社製);ソマタック〔登録商標〕TEシリーズ(ソマール株式会製);No.3198、No.3198LS、No.3198M、No.3198MS、No.3198H、No.3195、No.3196、No.3195M、No.3195MS、No.3195H、No.3195HS、No.3195V、No.3195VS、No.319Y-4L、No.319Y-4LS、No.319Y-4M、No.319Y-4MS、No.319Y-4H、No.319Y-4HS、No.319Y-4LSC、No.31935MS、No.31935HS、No.3193M、No.3193MS等のリバアルファ〔登録商標〕シリーズ(日東電工株式会社製);等が挙げられる。
UV剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、ELP DU-300、ELP DU-2385KS、ELP DU-2187G、ELP NBD-3190K、ELP UE-2091J等のエレップホルダー〔登録商標〕(日東電工株式会社製);Adwill D-210、Adwill D-203、Adwill D-202、Adwill D-175、Adwill D-675(いずれもリンテック株式会社製);スミライト〔登録商標〕FLSのN8000シリーズ(住友ベークライト株式会社製);UC353EP-110(古河電気工業株式会社製);等のダイシングテープ、ELP RF-7232DB、ELP UB-5133D(いずれも日東電工株式会社製);SP-575B-150、SP-541B-205、SP-537T-160、SP-537T-230(いずれも古河電気工業株式会社製);等のバックグラインドテープを利用することができる。
また、上述の粘着層付きフィルムを貼り付ける方法は特に限定されず、従来公知の表面保護テープ貼付装置及びラミネーターを用いて貼り付けることができる。
〔巻取工程〕
作製される金属充填微細構造体の搬送性が更に向上する理由から、上述の任意の樹脂層形成工程の後に上述の樹脂層を有する状態で金属充填微細構造体をロール状に巻き取る巻取工程を有してもよい。
ここで、上述の巻取工程における巻き取り方法は特に限定されず、例えば、所定径及び所定幅の巻き芯に巻き取る方法が挙げられる。
また、上述の巻取工程における巻き取りやすさの観点から、樹脂層(図示せず)を除く金属充填微細構造体の平均厚みが30μm以下であることが好ましく、5~20μmであることがより好ましい。なお、平均厚みは、樹脂層を除く金属充填微細構造体を厚さ方向に対してFIBで切削加工し、その断面をFE-SEMにより表面写真(倍率50000倍)を撮影し、10点測定した平均値とする等の方法で算出できる。
〔その他の処理工程〕
本発明の製造方法は、上述の各工程以外に、国際公開第2015/029881号の[0049]~[0057]段落に記載された研磨工程、表面平滑化工程、保護膜形成処理、水洗処理を有していてもよい。
また、製造上のハンドリング性、及び金属充填微細構造体を異方導電性部材として用いる観点から、以下に示すような、種々のプロセス及び形式を適用することができる。
<仮接着剤を使用したプロセス例>
上述の基板除去工程によって金属充填微細構造体を得た後に、金属充填微細構造体を仮接着剤(Temporary Bonding Materials)を用いてシリコンウエハ上に固定し、研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上述の表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、先の仮接着剤よりも接着力の強い仮接着剤を塗布してシリコンウエハ上に固定した後、先の仮接着剤で接着していたシリコンウエハを剥離し、剥離した金属充填微細構造体側の表面に対して、上述の裏面金属突出工程を行うことができる。
<ワックスを使用したプロセス例>
上述の基板除去工程によって金属充填微細構造体を得た後に、金属充填微細構造体をワックスを用いてシリコンウエハ上に固定し、研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上述の表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、仮接着剤を塗布してシリコンウエハ上に固定した後、加熱により先のワックスを溶解させてシリコンウエハを剥離し、剥離した金属充填微細構造体側の表面に対して、上述の裏面金属突出工程を行うことができる。
なお、固形ワックスを使っても構わないが、スカイコート(日化精工社製)等の液体ワックスを使うと塗布厚均一性の向上を図ることができる。
<基板除去処理を後から行うプロセス例>
上述のめっき工程の後であって上述の基板除去工程の前に、アルミニウム部材を仮接着剤、ワックス又は機能性吸着フィルムを用いて剛性基板(例えば、シリコンウエハ、ガラス基板等)に固定した後に、上述の陽極酸化膜の上述のアルミニウム部材が設けられていない側の表面を研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上述の表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、絶縁性材料である樹脂材料(例えば.エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等)を塗布したのち、その表面に上述と同様の手法で剛性基板を貼り付けることができる。樹脂材料による貼り付けは、接着力が仮接着剤等による接着力よりも大きくなるようなものを選択し、樹脂材料による貼り付けの後に、最初に貼り付けた剛性基板を剥離し、上述の基板除去工程、研磨工程及び裏面金属突出処理工程を順に行うことにより行なうことができる。
なお、機能性吸着フィルムとしては、Q-chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)等を使用することができる。
金属充填微細構造体が剥離可能な層によって剛体基板(例えば、シリコンウエハ、ガラス基板等)に貼り付けられた状態で製品として供されることが好ましい。
このような供給形態においては、金属充填微細構造体を接合部材として利用する場合には、金属充填微細構造体の表面をデバイス表面に仮接着し、剛体基板を剥離した後に接続対象となるデバイスを適切な場所に設置し、加熱圧着することで上下のデバイスを金属充填微細構造体によって接合することができる。
また、剥離可能な層には、熱剥離層を用いても構わないし、ガラス基板との組合せで光剥離層を用いても構わない。
また、上述の各工程は、各工程を枚葉で行うことも可能であるし、アルミニウムのコイルを原反としてウェブで連続処理することもできる。
また、連続処理する場合には各工程間に適切な洗浄工程、乾燥工程を設置することが好ましい。
上述の各処理工程を有する製造方法により、アルミニウム部材の陽極酸化膜からなる絶縁性基材に設けられた貫通孔由来の貫通孔の内部に金属が充填されてなる金属充填微細構造体が得られる。
具体的には、上述の製造方法により、例えば、特開2008-270158号公報に記載された異方導電性部材、すなわち、絶縁性基材(貫通孔を有するアルミニウム部材の陽極酸化膜)中に、導電性部材(金属)からなる複数の導通路が、互いに絶縁された状態で上述の絶縁性基材を厚み方向に貫通し、かつ、上述の各導通路の一端が上述の絶縁性基材の一方の面において露出し、上述の各導通路の他端が上述の絶縁性基材の他方の面において露出した状態で設けられる異方導電性部材を得ることができる。
以下、上述の製造方法で製造された金属充填微細構造体20の一例について説明する。図13は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の一例を示す平面図であり、図14は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の一例を示す模式的断面図である。図14は図13の切断面線IB-IB断面図である。また、図15は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた異方導電材の構成の一例を示す模式的断面図である。
上述のようにして製造された金属充填微細構造体20は、図13及び図14に示すように,例えば、アルミニウムの陽極酸化膜14(図5参照)からなる絶縁性基材40と、絶縁性基材40の厚み方向Dt(図14参照)に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導通路16とを備える部材である。金属充填微細構造体20は、更に、絶縁性基材40の表面40a及び裏面40bに設けられた樹脂層44を具備する。
ここで、「互いに電気的に絶縁された状態」とは、絶縁性基材の内部に存在している各導通路が絶縁性基材の内部において互いに各導通路間の導通性が十分に低い状態であることを意味する。
金属充填微細構造体20は、導通路16が互いに電気的に絶縁されており、絶縁性基材40の厚み方向Dt(図14参照)と直交する方向xには導電性が十分に低く、厚み方向Dt(図14参照)に導電性を有する。このように金属充填微細構造体20は異方導電性を示す部材である。例えば、金属充填微細構造体20は厚み方向Dt(図14参照)を、積層デバイス60の積層方向Dsに一致させて配置される。
導通路16は、図13及び図14に示すように、互いに電気的に絶縁された状態で絶縁性基材40を厚み方向Dtに貫通して設けられている。
更に、導通路16は、図14に示すように、絶縁性基材40の表面40a及び裏面40bから突出した突出部分16a及び突出部分16bを有してもよい。金属充填微細構造体20は、更に、絶縁性基材40の表面40a及び裏面40bに設けられた樹脂層44を具備してもよい。樹脂層44は、粘着性を備え、接合性を付与するものでもある。突出部分16a及び突出部分16bの長さは、6nm以上であることが好ましく、より好ましくは30nm~500nmである。
また、図15及び図14においては、絶縁性基材40の表面40a及び裏面40bに樹脂層44を有するものを示しているが、これに限定されるものではなく、絶縁性基材40の少なくとも一方の表面に、樹脂層44を有する構成でもよい。
同様に、図15及び図14の導通路16は両端に突出部分16a及び突出部分16bがあるが、これに限定されるものではなく、絶縁性基材40の少なくとも樹脂層44を有する側の表面に突出部分を有する構成でもよい。
図14に示す金属充填微細構造体20の厚みhは、例えば、30μm以下である。また、金属充填微細構造体20は、TTV(Total Thickness Variation)が10μm以下であることが好ましい。
ここで、金属充填微細構造体20の厚みhは、金属充填微細構造体20を、電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、金属充填微細構造体20の輪郭形状を取得し、厚みhに相当する領域について10点測定した平均値のことである。
また、金属充填微細構造体20のTTV(Total Thickness Variation)は、金属充填微細構造体20をダイシングで支持体46ごと切断し、金属充填微細構造体20の断面形状を観察して求めた値である。
金属充填微細構造体20は、移送、搬送及び運搬ならびに保管等のために図15に示すように支持体46の上に設けられる。支持体46と金属充填微細構造体20の間に剥離層47が設けられている。支持体46と金属充填微細構造体20は剥離層47により、分離可能に接着されている。上述のように金属充填微細構造体20が支持体46の上に剥離層47を介して設けられたものを異方導電材50という。
支持体46は、金属充填微細構造体20を支持するものであり、例えば、シリコン基板で構成されている。支持体46としては、シリコン基板以外に、例えば、SiC、SiN、GaN及びアルミナ(Al)等のセラミックス基板、ガラス基板、繊維強化プラスチック基板、ならびに金属基板を用いることができる。繊維強化プラスチック基板には、プリント配線基板であるFR-4(Flame Retardant Type 4)基板等も含まれる。
また、支持体46としては、可撓性を有し、かつ透明であるものを用いることができる。可撓性を有し、かつ透明な支持体46としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン及びTAC(トリアセチルセルロース)等のプラスチックフィルムが挙げられる。
ここで、透明とは、位置合せに使用する波長の光で透過率が80%以上であることをいう。このため、波長400~800nmの可視光全域で透過率が低くてもよいが、波長400~800nmの可視光全域で透過率が80%以上であることが好ましい。透過率は、分光光度計により測定される。
剥離層47は、支持層48と剥離剤49が積層されたものであることが好ましい。剥離剤49が金属充填微細構造体20に接しており、剥離層47を起点にして、支持体46と金属充填微細構造体20が分離する。異方導電材50では、例えば、予め定められた温度に加熱することで、剥離剤49の接着力が弱まり、金属充填微細構造体20から支持体46が取り除かれる。
剥離剤49には、例えば、日東電工社製リバアルファ(登録商標)、及びソマール株式会社製ソマタック(登録商標)等を用いることができる。
また、樹脂層44に保護層(図示せず)を設けてもよい。保護層は、構造体表面を傷等から保護するために用いるものであるため、易剥離テープが好ましい。保護層として、例えば、粘着層付きフィルムを用いてもよい。
粘着層付きフィルムとして、例えば、ポリエチレン樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されているサニテクト(SUNYTECT)〔登録商標〕(株式会社サンエー化研製)、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されているE-MASK〔登録商標〕(日東電工株式会社製)、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されているマスタック〔登録商標〕(藤森工業株式会社製)等のシリーズ名で販売されている市販品を用いることができる。
また、粘着層付きフィルムを貼り付ける方法は特に限定されず、従来公知の表面保護テープ貼付装置及びラミネーターを用いて貼り付けることができる。
以下、金属充填微細構造体20の構成を、より具体的に説明する。
〔絶縁性基材〕
絶縁性基材の物性、及び組成は上述のとおりである。
絶縁性基材40の厚みhtは、1~1000μmの範囲内であるのが好ましく、5~500μmの範囲内であるのがより好ましく、10~300μmの範囲内であるのが更に好ましい。絶縁性基材の厚みがこの範囲であると、絶縁性基材の取り扱い性が良好となる。
絶縁性基材40の厚みhtは、絶縁性基材40を、厚み方向Dtに対して集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)で切削加工し、その断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、絶縁性基材40の輪郭形状を取得し、厚みhtに相当する領域について10点測定した平均値のことである。
絶縁性基材における各貫通孔の間隔は、5nm~800nmであることが好ましく、10nm~200nmであることがより好ましく、50nm~140nmであることが更に好ましい。絶縁性基材における各貫通孔の間隔がこの範囲であると、絶縁性基材が絶縁性の隔壁として十分に機能する。貫通孔の間隔は、導通路の間隔と同じである。
ここで、貫通孔の間隔、すなわち、導通路の間隔とは、隣接する導通路間の幅w(図14参照)をいい、異方導電性部材の断面を電界放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、隣接する導通路間の幅を10点で測定した平均値をいう。
<細孔の平均径>
細孔の平均径、すなわち、貫通孔12の平均径d(図14参照)は、1μm以下であることが好ましく、5~500nmであることがより好ましく、20~400nmであることが更に好ましく、40~200nmであることが更に一層好ましく、50~100nmであることが最も好ましい。貫通孔12の平均径dが、1μm以下であり、上述の範囲であると、得られる導通路16に電気信号を流した際に十分な応答が得ることができるため、電子部品の検査用コネクタとして、より好適に用いることができる。
貫通孔12の平均径dは、走査型電子顕微鏡を用いて陽極酸化膜14の表面を真上から倍率100~10000倍で撮影し撮影画像を得る。撮影画像において、周囲が環状に連なっている貫通孔を少なくとも20個抽出し、その直径を測定し開口径とし、これら開口径の平均値を貫通孔の平均径として算出する。
なお、倍率は、貫通孔を20個以上抽出できる撮影画像が得られるように上述した範囲の倍率を適宜選択することができる。また、開口径は、貫通孔部分の端部間の距離の最大値を測定した。すなわち、貫通孔の開口部の形状は略円形状に限定はされないので、開口部の形状が非円形状の場合には、貫通孔部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。従って、例えば、2以上の貫通孔が一体化したような形状の貫通孔の場合にも、これを1つの貫通孔とみなし、貫通孔部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。
〔導通路〕
導通路は金属で構成される。金属の具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、及びニッケル(Ni)等が好適に例示される。電気伝導性の観点から、銅、金、アルミニウム、及びニッケルが好ましく、銅及び金がより好ましい。
<突出部分>
異方導電性部材と電極とを圧着等の手法により電気的接続、又は物理的に接合する際に、突出部分が潰れた場合の面方向の絶縁性を十分に確保できる理由から、導通路の突出部分のアスペクト比(突出部分の高さ/突出部分の直径)が0.5以上50未満であることが好ましく、0.8~20であることがより好ましく、1~10であることが更に好ましい。
また、接続対象の半導体部材の表面形状に追従する観点から、導通路の突出部分の高さは、上述のように20nm以上であることが好ましく、より好ましくは100nm~500nmである。
導通路の突出部分の高さは、金属充填微細構造体の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察し、導通路の突出部分の高さを10点で測定した平均値をいう。
導通路の突出部分の直径は、金属充填微細構造体の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により観察し、導通路の突出部分の直径を10点で測定した平均値をいう。
上述のように導通路16は絶縁性基材40によって互いに電気的に絶縁された状態で存在するものであるが、その密度は、2万個/mm2以上であることが好ましく、200万個/mm2以上であることがより好ましく、1000万個/mm2以上であることが更に好ましく、5000万個/mm2以上であることが特に好ましく、1億個/mm2以上であることが最も好ましい。
更に、隣接する各導通路16の中心間距離p(図13参照)は、20nm~500nmであることが好ましく、40nm~200nmであることがより好ましく、50nm~140nmであることが更に好ましい。
〔樹脂層〕
上述のように、樹脂層は、絶縁性基材の表面と裏面に設けられ、上述のように導通路の突出部を埋設するものである。すなわち、樹脂層は絶縁性基材から突出した導通路の端部を被覆し、突出部を保護する。
樹脂層は、上述の樹脂層形成工程により形成されるものである。樹脂層は、例えば、50℃~200℃の温度範囲で流動性を示し、200℃以上で硬化するものであることが好ましい。
樹脂層は、上述の樹脂層形成工程により形成されるものであるが、以下に示す、樹脂剤の組成を用いることもできる。以下、樹脂層の組成について説明する。樹脂層は、高分子材料を含有するものである。樹脂層は酸化防止材料を含有してもよい。
<高分子材料>
樹脂層に含まれる高分子材料としては特に限定されないが、半導体チップ又は半導体ウエハと異方導電性部材との隙間を効率よく埋めることができ、半導体チップ又は半導体ウエハとの密着性がより高くなる理由から、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。
なかでも、絶縁信頼性がより向上し、耐薬品性に優れる理由から、ポリイミド樹脂及び/又はエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
<酸化防止材料>
樹脂層に含まれる酸化防止材料としては、具体的には、例えば、1,2,3,4-テトラゾール、5-アミノ-1,2,3,4-テトラゾール、5-メチル-1,2,3,4-テトラゾール、1H-テトラゾール-5-酢酸、1H-テトラゾール-5-コハク酸、1,2,3-トリアゾール、4-アミノ-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジアミノ-1,2,3-トリアゾール、4-カルボキシ-1H-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジカルボキシ-1H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール-4-酢酸、4-カルボキシ-5-カルボキシメチル-1H-1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、3-カルボキシ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジカルボキシ-1,2,4-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール-3-酢酸、1H-ベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-5-カルボン酸、ベンゾフロキサン、2,1,3-ベンゾチアゾール、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、カテコール、o-アミノフェノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、メラミン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
これらのうち、ベンゾトリアゾール及びその誘導体が好ましい。
ベンゾトリアゾール誘導体としては、ベンゾトリアゾールのベンゼン環に、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アミノ基、ニトロ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)等を有する置換ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、ナフタレントリアゾール、ナフタレンビストリアゾール、と同様に置換された置換ナフタレントリアゾール、置換ナフタレンビストリアゾール等も挙げることができる。
また、樹脂層に含まれる酸化防止材料の他の例としては、一般的な酸化防止剤である、高級脂肪酸、高級脂肪酸銅、フェノール化合物、アルカノールアミン、ハイドロキノン類、銅キレート剤、有機アミン、有機アンモニウム塩等が挙げられる。
樹脂層に含まれる酸化防止材料の含有量は特に限定されないが、防食効果の観点から、樹脂層の全質量に対して0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。また、本接合プロセスにおいて適切な電気抵抗を得る理由から、5.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。
<マイグレーション防止材料>
樹脂層は、樹脂層に含有し得る金属イオン、ハロゲンイオン、ならびに半導体チップ及び半導体ウエハに由来する金属イオンをトラップすることによって絶縁信頼性がより向上する理由から、マイグレーション防止材料を含有しているのが好ましい。
マイグレーション防止材料としては、例えば、イオン交換体、具体的には、陽イオン交換体と陰イオン交換体との混合物、又は、陽イオン交換体のみを使用することができる。
ここで、陽イオン交換体及び陰イオン交換体は、それぞれ、例えば、後述する無機イオン交換体及び有機イオン交換体の中から適宜選択することができる。
(無機イオン交換体)
無機イオン交換体としては、例えば、含水酸化ジルコニウムに代表される金属の含水酸化物が挙げられる。
金属の種類としては、例えば、ジルコニウムのほか、鉄、アルミニウム、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム、ベリリウム、インジウム、クロム、ビスマス等が知られている。
これらの中でジルコニウム系のものは、陽イオンのCu2+、Al3+について交換能を有している。また、鉄系のものについても、Ag+、Cu2+について交換能を有している。同様に、錫系、チタン系、アンチモン系のものは、陽イオン交換体である。
一方、ビスマス系のものは、陰イオンのCl-について交換能を有している。
また、ジルコニウム系のものは条件に製造条件によっては陰イオンの交換能を示す。アルミニウム系、錫系のものも同様である。
これら以外の無機イオン交換体としては、リン酸ジルコニウムに代表される多価金属の酸性塩、モリブドリン酸アンモニウムに代表されるヘテロポリ酸塩、不溶性フェロシアン化物等の合成物が知られている。
これらの無機イオン交換体の一部は既に市販されており、例えば、東亞合成株式会社の商品名イグゼ「IXE」における各種のグレードが知られている。
なお、合成品のほか、天然物のゼオライト、又はモンモリロン石のような無機イオン交換体の粉末も使用可能である。
(有機イオン交換体)
有機イオン交換体には、陽イオン交換体としてスルホン酸基を有する架橋ポリスチレンが挙げられ、そのほかカルボン酸基、ホスホン酸基又はホスフィン酸基を有するものも挙げられる。
また、陰イオン交換体として四級アンモニウム基、四級ホスホニウム基又は三級スルホニウム基を有する架橋ポリスチレンが挙げられる。
これらの無機イオン交換体及び有機イオン交換体は、捕捉したい陽イオン、陰イオンの種類、そのイオンについての交換容量を考慮して適宜選択すればよい。勿論、無機イオン交換体と有機イオン交換体とを混合して使用してもよいことはいうまでもない。
電子素子の製造工程では加熱するプロセスを含むため、無機イオン交換体が好ましい。
また、マイグレーション防止材料と上述の高分子材料との混合比は、例えば、機械的強度の観点から、マイグレーション防止材料を10質量%以下とすることが好ましく、マイグレーション防止材料を5質量%以下とすることがより好ましく、更にマイグレーション防止材料を2.5質量%以下とすることが更に好ましい。また、半導体チップ又は半導体ウエハと異方導電性部材とを接合した際のマイグレーションを抑制する観点から、マイグレーション防止材料を0.01質量%以上とすることが好ましい。
<無機充填剤>
樹脂層は、無機充填剤を含有しているのが好ましい。
無機充填剤としては特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカ、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
導通路間に無機充填剤が入ることを防ぎ、導通信頼性がより向上する理由から、無機充填剤の平均粒子径が、各導通路の間隔よりも大きいことが好ましい。
無機充填剤の平均粒子径は、30nm~10μmであることが好ましく、80nm~1μmであることがより好ましい。
ここで、平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒子径測定装置(日機装株式会社製マイクロトラックMT3300)で測定される、一次粒子径を平均粒子径とする。
<硬化剤>
樹脂層は、硬化剤を含有していてもよい。
硬化剤を含有する場合、接続対象の半導体チップ又は半導体ウエハの表面形状との接合不良を抑制する観点から、常温で固体の硬化剤を用いず、常温で液体の硬化剤を含有しているのがより好ましい。
ここで、「常温で固体」とは、25℃で固体であることをいい、例えば、融点が25℃より高い温度である物質をいう。
硬化剤としては、具体的には、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、脂肪族アミン、4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等のカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、ポリメルカプタン等が挙げられ、これらの硬化剤から、25℃で液体のものを適宜選択して用いることができる。なお、硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層には、その特性を損なわない範囲内で、広く一般に半導体パッケージの樹脂絶縁膜に添加されている分散剤、緩衝剤、粘度調整剤等の種々の添加剤を含有させてもよい。
<形状>
導通路を保護する理由から、樹脂層の厚みは、導通路の突出部の高さより大きく、1μm~5μmであることが好ましい。
以下、金属充填微細構造体20の適用例として、金属充填微細構造体20を異方導電性部材22(図16等参照)に用いた例について説明する。
図16は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの第1の例を示す模式図であり、図17は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの第2の例を示す模式図であり、図18は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの第3の例を示す模式図であり、図19は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの第4の例を示す模式図である。
また、図16に示す積層デバイス60のように、異方導電性を示す異方導電性部材22を介して半導体素子62と半導体素子64とを積層方向Dsに接合して、半導体素子62と半導体素子64とを電気的に接続してもよい。異方導電性部材22は、上述の金属充填微細構造体20と同じ構成であり、積層方向Dsに導通する導通路16(図5参照)を有し、TSV(Through Silicon Via)の機能を果たす。なお、異方導電性部材22はインターポーザーとしても利用することができる。
図16に示す構成以外に、例えば、図17に示す積層デバイス60のように、異方導電性部材22を介して半導体素子62と半導体素子64と半導体素子66を積層方向Dsに積層して接合し、かつ電気的に接続した構成としてもよい。
また、図18に示す積層デバイス60のように、インターポーザー23と異方導電性部材22を用いて、半導体素子62と半導体素子64と半導体素子66を積層方向Dsに積層して接合し、かつ電気的に接続した構成としてもよい。
また、図19に示す積層デバイス60のように光学センサーとして機能するものでもよい。図19に示す積層デバイス60は、半導体素子72とセンサチップ74とが異方導電性部材22を介して積層方向Dsに積層されている。また、センサチップ74にはレンズ76が設けられている。
半導体素子72は、ロジック回路が形成されたものであり、センサチップ74で得られる信号を処理することができれば、その構成は特に限定されるものではない。
センサチップ74は、光を検出する光センサーを有するものである。光センサーは、光を検出することができれば、特に限定されるものではなく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられる。
なお、図19に示す積層デバイス60では、半導体素子72とセンサチップ74とを異方導電性部材22を介して接続したが、これに限定されるものではなく、半導体素子72とセンサチップ74とを直接接合する構成でもよい。
レンズ76は、センサチップ74に光を集光することができれば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、マイクロレンズと呼ばれるものが用いられる。
なお、上述の半導体素子62、半導体素子64及び半導体素子66は、素子領域(図示せず)を有する。
素子領域とは、電子素子として機能するための、コンデンサ、抵抗及びコイル等の各種の素子構成回路等が形成された領域である。素子領域には、例えば、フラッシュメモリ等のようなメモリ回路、マイクロプロセッサ及びFPGA(field-programmable gate array)等のような論理回路が形成された領域、無線タグ等の通信モジュールならびに配線が形成された領域がある。素子領域には、これ以外に、発信回路、又はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が形成されてもよい。MEMSとは、例えば、センサー、アクチュエーター及びアンテナ等である。センサーには、例えば、加速度、音及び光等の各種のセンサーが含まれる。
上述のように、素子領域は素子構成回路等が形成されており、半導体素子には、例えば、再配線層(図示せず)が設けられている。
積層デバイスでは、例えば、論理回路を有する半導体素子と、メモリ回路を有する半導体素子の組合せとすることができる。また、半導体素子を全てメモリ回路を有するものとしてもよく、また、全て論理回路を有するものとしてもよい。また、積層デバイス60における半導体素子の組合せとしては、センサー、アクチュエーター及びアンテナ等と、メモリ回路と論理回路との組み合わせでもよく、積層デバイス60の用途等に応じて適宜決定されるものである。
上述の半導体素子62、半導体素子64及び半導体素子66は、上述のもの以外に、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASSP(Application Specific Standard Product)等のロジック集積回路が挙げられる。また、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のマイクロプロセッサが挙げられる。また、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、HMC(Hybrid Memory Cube)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、PCM(Phase-Change Memory)、ReRAM(Resistance Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、フラッシュメモリ等のメモリが挙げられる。また、例えば、LED(Light Emitting Diode)、パワーデバイス、DC(Direct Current)-DC(Direct Current)コンバータ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)等のアナログ集積回路が挙げられる。
更に、半導体素子としては、例えば、GPS(Global Positioning System)、FM(Frequency Modulation)、NFC(Near Field Communication)、RFEM(RF Expansion Module)、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)、WLAN(Wireless Local Area Network)等のワイヤレス素子、ディスクリート素子、Passiveデバイス、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、RF(Radio Frequency)フィルタ、IPD(Integrated Passive Devices)等が挙げられる。
次に、金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第1の例について説明する。
金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第1の例は、チップオンウエハに関するものであり、図16に示す積層デバイス60の製造方法を示す。
図20~図22は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第1の例を工程順に示す模式図である。
金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第1の例では、まず、異方導電性部材22が表面64aに設けられた半導体素子64を用意する。
次に、異方導電性部材22を、第1の半導体ウエハ80に向けて半導体素子64を配置する。次に、半導体素子64のアライメントマークと、第1の半導体ウエハ80のアライメントマークとを用いて、第1の半導体ウエハ80に対して、半導体素子64の位置合せを行う。
なお、位置合せについては、第1の半導体ウエハ80のアライメントマークの画像又は反射像と、半導体素子64のアライメントマークの画像又は反射像について、デジタル画像データを得ることができれば、その構成は特に限定されるものではなく、公知の撮像装置を適宜利用可能である。
次に、半導体素子64を異方導電性部材22を介して第1の半導体ウエハ80の素子領域に載置し、例えば、予め定められた圧力を加え、予め定められた温度に加熱し、予め定められた時間保持して、樹脂層44(図14参照)を用いて仮接合する。これを全ての半導体素子64について行い、図21に示すように、全ての半導体素子64を第1の半導体ウエハ80の素子領域に仮接合する。
仮接合に樹脂層44を使うことは方法の1つであり、以下に示す方法でもよい。例えば,封止樹脂等をディスペンサー等で第1の半導体ウエハ80上に供給して、半導体素子64を第1の半導体ウエハ80の素子領域に仮接合してもよいし、第1の半導体ウエハ80上に、事前に供給した絶縁性樹脂フイルム(NCF(Non-conductive Film))を使って半導体素子64を素子領域に仮接合してもよい。
次に、全ての半導体素子64を第1の半導体ウエハ80の素子領域に仮接合した状態で、半導体素子64に対して、予め定められた圧力を加え、予め定められた温度に加熱し、予め定められた時間保持して、複数の半導体素子64を全て一括して、第1の半導体ウエハ80の素子領域に接合する。この接合は本接合と呼ばれるものである。これにより、半導体素子64の端子(図示せず)が異方導電性部材22に接合され、第1の半導体ウエハ80の端子(図示せず)が異方導電性部材22に接合される。
次に、図22に示すように、異方導電性部材22を介して半導体素子64が接合された第1の半導体ウエハ80を、素子領域毎に、ダイシング又はレーザースクライビング等により個片化する。これにより、半導体素子62と異方導電性部材22と半導体素子64とが接合された積層デバイス60を得ることができる。
なお、仮接合する際に、仮接合強度が弱いと、搬送工程等及び接合する迄の工程で位置ズレが生じてしまうため、仮接合強度は重要となる。
また、仮接合プロセスにおける温度条件は特に限定されないが、0℃~300℃であることが好ましく、10℃~200℃であることがより好ましく、常温(23℃)~100℃であることが特に好ましい。
同様に、仮接合プロセスにおける加圧条件は特に限定されないが、10MPa以下であることが好ましく、5MPa以下であることがより好ましく、1MPa以下であることが特に好ましい。
本接合における温度条件は特に限定されないが、仮接合の温度よりも高い温度であることが好ましく、具体的には、150℃~350℃であることがより好ましく、200℃~300℃であることが特に好ましい。
また、本接合における加圧条件は特に限定されないが、30MPa以下であることが好ましく、0.1MPa~20MPaであることがより好ましい。
また、本接合の時間は特に限定されないが、1秒~60分であることが好ましく、5秒~10分であることがより好ましい。
上述の条件で本接合を行うことにより、樹脂層が、半導体素子64の電極間に流動し、接合部に残存し難くなる。
上述のように本接合では、複数の半導体素子64の接合を一括して行うことにより、タクトタイムを低減でき、生産性を高くできる。
金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第2の例について説明する。
図23~図25は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第2の例を工程順に示す模式図である。
金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第2の例は、金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第1の例に比して、3つの半導体素子62、64、66が異方導電性部材22を介して積層されて接合される点以外は、金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第1の例と同じである。このため、積層デバイスの製造方法の第2の例と共通する製造方法についての詳細な説明は省略する。
半導体素子64は、裏面64bにアライメントマーク(図示せず)が設けられており、かつ端子(図示せず)が設けられている。更に、半導体素子64には表面64aに異方導電性部材22が設けられている。また、半導体素子66でも表面66aに異方導電性部材22が設けられている。
図23に示すように、全ての半導体素子64が異方導電性部材22を介して第1の半導体ウエハ80の素子領域に仮接合された状態で、半導体素子64の裏面64bのアライメントマークと、半導体素子66のアライメントマークとを用いて、半導体素子64に対して半導体素子66の位置合せを行う。
次に、図24に示すように、半導体素子64の裏面64bに、異方導電性部材22を介して半導体素子66を仮接合する。次に、全ての半導体素子64を異方導電性部材22を介して第1の半導体ウエハ80の素子領域に仮接合し、全ての半導体素子64に、異方導電性部材22を介して半導体素子66を仮接合した状態で、予め定めた条件にて本接合を行う。これにより、半導体素子64と半導体素子66とが異方導電性部材22を介して接合され、半導体素子64と第1の半導体ウエハ80とが異方導電性部材22を介して接合される。半導体素子64、半導体素子66及び第1の半導体ウエハ80の端子(図示せず)は異方導電性部材22に接合される。
次に、図25に示すように、半導体素子64及び半導体素子66が異方導電性部材22を介して接合された第1の半導体ウエハ80を、素子領域毎に、例えば、ダイシング又はレーザースクライビング等により個片化する。これにより、半導体素子62と半導体素子64と半導体素子66とが異方導電性部材22を介して接合された積層デバイス60を得ることができる。
金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第3の例について説明する。
金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第3の例は、ウエハオンウエハに関するものであり、図16に示す積層デバイス60の製造方法を示す。
図26及び図27は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第3の例を工程順に示す模式図である。
金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第3の例は、積層デバイスの製造方法の第1の例に比して、異方導電性部材22を介して第1の半導体ウエハ80と第2の半導体ウエハ82とを接合する点以外は、積層デバイスの製造方法の第3の例と同じである。このため、積層デバイスの製造方法の第1の例と共通する製造方法についての詳細な説明は省略する。また、異方導電性部材22についても、上述の説明のとおりであるため、その詳細な説明は省略する。
まず、第1の半導体ウエハ80と、第2の半導体ウエハ82とを用意する。第1の半導体ウエハ80の表面80a、又は第2の半導体ウエハ82の表面82aのいずれかに異方導電性部材22を設ける。
次に、第1の半導体ウエハ80の表面80aと第2の半導体ウエハ82の表面82aを対向させる。そして、第1の半導体ウエハ80のアライメントマークと、第2の半導体ウエハ82のアライメントマークとを用いて、第1の半導体ウエハ80に対して、第2の半導体ウエハ82の位置合せを行う。
次に、第1の半導体ウエハ80の表面80aと第2の半導体ウエハ82の表面82aを対向させて、上述の方法を用いて、図26に示すように第1の半導体ウエハ80と第2の半導体ウエハ82とを異方導電性部材22を介して接合する。この場合、仮接合した後に、本接合をしてもよく、本接合だけでもよい。
次に、図27に示すように、第1の半導体ウエハ80と第2の半導体ウエハ82が異方導電性部材22を介して接合された状態で、素子領域毎に、例えば、ダイシング又はレーザースクライビング等により個片化する。これにより、異方導電性部材22を介して半導体素子62と半導体素子64とが接合された積層デバイス60を得ることができる。このように、ウエハオンウエハを用いても積層デバイス60を得ることができる。
なお、個片化については、上述のとおりであるため、詳細な説明は省略する。
また、図27に示すように、第1の半導体ウエハ80と第2の半導体ウエハ82が接合された状態で、第1の半導体ウエハ80及び第2の半導体ウエハ82のうち、薄くする必要がある半導体ウエハがあれば、化学的機械的研磨(CMP)等により、薄くすることができる。
金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第3の例では、半導体素子62と半導体素子64を積層した2層構造を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、上述のように3層以上でもよいことはもちろんである。この場合、上述の積層デバイス60の製造方法の第2の例と同じく、第2の半導体ウエハ82の裏面82bに、アライメントマーク(図示せず)と、端子(図示せず)を設けることにより3層以上の積層デバイス60を得ることができる。
上述のように、積層デバイス60において異方導電性部材22を設ける構成とすることにより、半導体素子に凹凸があっても、凹凸を突出部分16a及び突出部分16bを緩衝層として利用することで吸収することができる。突出部分16a及び突出部分16bが緩衝層として機能するため、半導体素子において素子領域がある面については、高い表面品質を不要とすることができる。このため、研磨等の平滑化処理が不要であり、生産コストが抑えることができ、また生産時間も短くすることができる。
また、チップオンウエハを用いて積層デバイス60を製造することができるため、半導体チップの良品のみを、半導体ウエハ内の良品部分に接合することで、得率を維持し、製造ロスを低減することができる。
更には、上述のように樹脂層44は粘着性を備え、仮接合の際に仮接合剤として用いることができ、一括で本接合できる。
上述の異方導電性部材22が設けられた半導体素子64は、異方導電性部材22と、複数の素子領域(図示せず)を備える半導体ウエハとを用いて形成することができる。素子領域には、上述のように位置合せのためのアライメントマーク(図示せず)と、端子(図示せず)とが設けられている。異方導電材50(図15参照)では、異方導電性部材22が、素子領域に合わせたパターンに形成されている。
まず、予め定められた圧力を加え、予め定められた温度に加熱し、予め定められた時間保持して、異方導電材50の異方導電性部材22を、半導体ウエハの素子領域に接合する。
次に、異方導電材50の支持体46を取り除き、異方導電性部材22だけを半導体ウエハに接合させる。この場合、異方導電材50に、予め定められた温度に加熱し、剥離層47の剥離剤49の接着力を低下させて、異方導電材50の剥離層47を起点にして支持体46を取り除く。次に、半導体ウエハについて、素子領域毎に個片化し、複数の半導体素子64を得る。
なお、異方導電性部材22が設けられた半導体素子64を例にして説明したが、異方導電性部材22が設けられた半導体素子66も、異方導電性部材22が設けられた第2の半導体ウエハ82についても、異方導電性部材22が設けられた半導体素子64と同様にして、異方導電性部材22を設けることができる。
半導体デバイスの接合に関しては、半導体素子に対して、別の半導体素子を接合する形態で説明したが、これに限定されるものではなく、1つの半導体素子に複数の半導体素子を接合する形態である1対複数の形態でもよい。また、複数の半導体素子と複数の半導体素子とを接合する形態である複数対複数の形態でもよい。
図28は本発明の実施形態の積層デバイスの第5の例を示す模式図であり、図29は本発明の実施形態の積層デバイスの第6の例を示す模式図であり、図30は本発明の実施形態の積層デバイスの第7の例を示す模式図であり、図31は本発明の実施形態の積層デバイスの第8の例を示す模式図であり、図32は本発明の実施形態の積層デバイスの第9の例を示す模式図である。
1対複数の形態としては、例えば、図28に示すように、半導体素子62と半導体素子64と半導体素子66とが、それぞれ異方導電性部材22を用いて接合され、かつ電気的に接続された形態の積層デバイス83が例示される。なお、半導体素子62は、インターポーザー機能を有するものであってもよい。積層デバイス83では、半導体素子62、半導体素子64及び半導体素子66に代えて、半導体素子ウエハであってもよい。
また、複数対複数の形態としては、例えば、図29に示すように、1つの半導体素子62に対して、異方導電性部材22を用いて半導体素子64と半導体素子66とが接合され、かつ電気的に接続された形態の積層デバイス84が例示される。半導体素子62は、インターポーザー機能を有するものであってもよい。
また、例えば、インターポーザー機能を有するデバイス上に、論理回路を有する論理チップ、及びメモリーチップ等の複数のデバイスを積層することも可能である。また、この場合、それぞれのデバイスごとに電極サイズが異なっていても接合することができる。
図30に示す積層デバイス85では、電極88の大きさは同じではなく、大きさが異なるものが混在しているが、1つの半導体素子62に対して、異方導電性部材22を用いて半導体素子64と半導体素子66とが接合され、かつ電気的に接続されている。更に半導体素子64に半導体素子86が異方導電性部材22を用いて接合され、かつ電気的に接続されている。半導体素子64と半導体素子66とに跨って半導体素子87が異方導電性部材22を用いて接合され、かつ電気的に接続されている。
また、図31に示す積層デバイス89のように、1つの半導体素子62に対して、異方導電性部材22を用いて半導体素子64と半導体素子66とが接合され、かつ電気的に接続されている。更に半導体素子64に半導体素子86と半導体素子87とが異方導電性部材22を用いて接合され、半導体素子66に半導体素子91が異方導電性部材22を用いて接合され、かつ電気的に接続されている構成とすることもできる。
上述のような構成の場合に、光導波路を含むようなデバイス表面にVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)のような発光素子、及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサのような受光素子を積層することで高周波を想定したシリコンフォトニクスへの対応も可能となる。
例えば、図32に示す積層デバイス89aのように、1つの半導体素子62に対して、異方導電性部材22を用いて半導体素子64と半導体素子66とが接合され、かつ電気的に接続されている。更に半導体素子64に半導体素子86と半導体素子87とが異方導電性部材22を用いて接合され、半導体素子66に半導体素子91が異方導電性部材22を用いて接合され、かつ電気的に接続されている。半導体素子62には光導波路81が設けられている。半導体素子66には発光素子95が設けられ、半導体素子64には受光素子96が設けられている。半導体素子66の発光素子95から出力された光Loは、半導体素子62の光導波路81を通過し、半導体素子64の受光素子96に出射光Ldとして出射される。これにより、上述のシリコンフォトニクスに対応することができる。
なお、異方導電性部材22には、光Lo及び出射光Ldの光路に相当する箇所に穴27が形成されている。
積層体を用いた3次元積層における具体的なアセンブリ工程について説明する。
3次元積層を実現するためには積層するデバイスにおいて積層方向の電気的な接続を担う配線が形成されていることが必要であり、この積層方向の接続を担う配線はTSV(Through Silicon Via)と呼ばれる。TSVを有するデバイスは、TSVをどの段階で形成するかによりビアファースト、ビアミドル、及びビアラストの3種類に分類される。デバイスのトランジスタを形成する前にTSVを形成するものがビアファーストと呼ばれる。トランジスタの形成後、かつ再配線層の形成前に形成するものがビアミドルと呼ばれる。再配線層形成後に形成するものがビアラストと呼ばれる。いずれの方法によるTSV形成も貫通処理を行なうためにシリコン基板の薄化を必要とする。
TSVを適用した半導体チップ又はウエハの接合方法を、積層体の使用形態の例とともに説明する。
ビアファースト又はビアミドルの代表的な例として、HBM(High Bandwidth Memory)、又はHMC(Hybrid Memory Cube)と呼ばれる積層型のメモリーチップが挙げられる。これらの例では、同一ダイ状にメモリ領域の形成とともにTSV領域を形成し、基材ウエハを薄化し、TSVを形成し、ビアの表面にマイクロバンプと呼ばれる電極を形成し、積層して接合を行っている。
ビアラストの例としては、メタルバンプを有しない半導体チップ又はウエハを絶縁性接着剤又は絶縁性酸化物によって接合し、その後にTSVを形成する工程が挙げられる。
従来は、層間の接合を形成した後に、ボッシュ(BOSCH)法又はレーザードリル法等の方法で穴を形成し、スパッタ等によって壁面にめっき核を形成し、めっきによって金属を充填して各層の配線部分と電気的に接合するものである。
しかし、金属充填がめっき核の成長によって形成されたものであるため、充填金属と配線部分との接合は必ずしも担保されていない。これに対し、異方導電性部材を用いてバンプ同士を接続する場合には、異方導電性部材の導通路がバンプとの結合を直接形成するため電気的接続が強化され、信号接続が一層良好となる。この際、半導体チップ表面又はウエハ表面に信号伝送に寄与しない電極を設けておくことで接合部の面積が増加し、せん断応力あたりの耐性を向上させることができる。また、層間での熱伝導が良好となるため、熱が積層体全体に拡散しやすくなる。これらの機構により接続強度と放熱性が一層向上する。
ビアファースト、ビアミドル、及びビアラストのいずれにおいても適用可能な接合方法の例としては、金属拡散接合、酸化膜ダイレクト接合、金属バンプ接合及び共晶接合が挙げられる。
金属拡散接合又は酸化膜ダイレクト接合は低圧低温条件での接合性が良好である。一方、接合面に対して高い清浄度として、例えば、Arエッチングによる表面清浄化直後と同等のレベルが要求される。また、平坦性として、例えば、算術平均粗さRaが1nm以下が要求されるため、接合時には厳密な雰囲気制御、及び平行度制御が必要である。また、異なる会社、又は会社が同一であっても異なる工場で製造された半導体デバイスの製品群は、半導体デバイスの種類又は配線ルールが異なることがあり、そのような半導体デバイスの製品群を3次元積層する場合、その中で最も厳しい精度又は制御が要求される。
一方、金属バンプ接合又は共晶接合は多少の欠陥がある場合又はプロセスが冗長である場合でも接合性が良好である。また、バンプ又ははんだの変形又は流動により、金属拡散接合又は酸化膜ダイレクト接合に比べて異種デバイスを接合する際のデバイス表面の清浄度又は平坦度が低くてもよい場合がある。
これらの接合方式においては、接合強度が金属拡散接合及び酸化膜ダイレクト接合に比べて低い点、積層を繰り返す毎に既に接合した部分が再加熱されてデバイス不良を引き起こす可能性がある点が課題として挙げられる。文献(産総研研究成果報告2013年3月8日:「多機能高密度三次元集積化技術(2)次世代三次元集積化の評価解析技術の研究開発<(2)-B熱・積層接合技術の研究開発>」)には、有機樹脂によって積層時の一時固定を行ない、全層積層後に一括で加熱して接合することで温度履歴の影響を回避する方法が提案されている。信号伝送に寄与しない電極を形成することで放熱性を向上させられるため、熱伝導性の低い有機樹脂層を用いる態様に対して、積層体を適用することは特に有用である。
次に、積層体を構成する異方導電性部材を上述の接合に利用する場合について説明する。
積層体に用いられる異方導電性部材は、少なくとも1つの表面に樹脂層が形成されていることが好ましく、両面に形成されていることがより好ましい。
また、上述の異方導電性部材の樹脂層44は熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。形成された上述の樹脂層は、仮接合層として積層後の位置ずれを抑制する。仮接合は低温かつ短時間で行なうことが可能であるため、デバイスへの悪影響を低減することができる。プロセス中の熱による位置ずれを抑制する観点で、上述の樹脂層の厚さは100nm~1000nmであることが好ましく、異方導電性部材の熱伝導率は厚み方向で20~100W/(m・K)であることが好ましく、異方導電性部材の熱膨張係数(CTE)は5ppm~10ppmであることが好ましい。
異方導電性部材は、剥離可能な接着層を介して支持体に保持された形で供給されることが好ましい。支持体の材質としては、特に限定されるものではないが、曲がりにくく、一定の平坦度が確保できる点でシリコン又はガラス等の材質が好ましい。
剥離可能な接着層としては、接着性が低い接着層であってもよいが、加熱又は光照射により接着性が低下する接着層が好ましい。加熱により接着性が低下する接着層の例としては、日東電工社製リバアルファ(登録商標)又はソマール株式会社製ソマタック(登録商標)が挙げられる。光照射により接着性が低下する接着層としては一般的なダイシングテープとして用いられているような材料を使うことができる他、3M社製の光剥離層も例として挙げられる。
異方導電性部材には、支持体に保持されている段階でパターンが形成されていてもよい。パターン形成の例としては、例えば、凹凸パターン形成、個片化、及び親疎水性パターン形成が挙げられ、親疎水性パターンが形成されていることが好ましく、親疎水性パターンが個片化されていることがより好ましい。
異方導電性部材は導電材を含んでいるため、接合を行なうためには接合対象の表面に電極が形成されていればよく、微細円錐金バンプ等の特殊な金属バンプ又は、コネクテックジャパン株式会社、東北マイクロテック社及び産総研青柳昌宏研究グループによるモンスターパックコア技術等の特殊な技術を必要としない。特に、接合対象の表面平坦性が低い場合においても接合を可能とするために、異方導電性部材は突起を表面に有することが好ましく、上述のように、突出部分16a、すなわち、突起が導電材からなる突起を含むことがより好ましい。
また、本発明の面積率を有する端子を有する積層体は層間の熱伝導が良好であることから熱が積層体全体に拡散しやすくなるため、放熱性が特に良好である。
次に、積層デバイスの積層方法について説明する。
異なる半導体チップを積層する態様には、COC(Chip on Chip)法、COW(Chip on Wafer)法、WOW(Wafer on Wafer)法が挙げられる。COC法は基板に固定した半導体チップの上に半導体チップを積層していくという方法であり、異なるサイズの半導体チップの積層が可能である、接合前に良品半導体チップを選別することが可能である等のメリットを有するが、多数の半導体チップを積層する場合は都度アライメントを要するため高コストである。COW法は基板ウエハ上に半導体チップを積層するという方法であり、多数の半導体チップを積層する場合はCOC法と同様に都度アライメントを要するため高コストである。WOW法はウエハ同士を接合するという方法であり、接合時間の短縮が可能である、アライメントが容易等のメリットを有するが、良品半導体チップの選別ができないため多層積層体の得率が低下しやすい。
アライメントの時間短縮を目的として、ウエハ上で一括アライメントを行なうセルフアライメントと呼ばれる方法が検討されており、例えば、特開2005-150385号公報又は特開2014-57019号公報に技術が開示されている。しかし、これらの文献には固定された半導体チップ同士の位置を合わせる技術が開示されているにすぎず、層同士を電気的に接合するためには更に上述の接合方法のいずれかを行なう必要があった。金属拡散接合又は酸化膜ダイレクト接合を適用するためには配列した半導体チップ全ての高さを精密に制御する必要があり、高コストであった。一方で金属バンプ接合又は共晶接合を適用する場合、都度加熱して接合する方式では既接合部分の再加熱への対策が必要であり、全層積層後に一括で加熱して接合する方式では積層時に半導体チップがずれない工夫及び放熱対策が必要であった。
上述の課題に対し、異方導電性部材を用いた3次元積層が有用である。
従って、積層体の各接合には異方導電性部材を用いることが好ましいが、積層体は従来法による接合を含んでもよい。従来法による接合を含む例として、異方導電性部材による接合を有する積層体が光半導体とASIC(Application Specific Integrated Circuit)との間にハイブリッドボンディングを有する態様、及びメモリとASICとの間に表面活性化接合を有する態様が挙げられる。従来法による接合は、異なるルールで製造されたデバイス同士の積層が容易になるという利点を有する。
異方導電性部材を用いた3次元積層の例として、以下の態様が挙げられる。
まず、第1の半導体チップ群を検査、個片化し、第1の良品半導体チップ群を選別する。
第1の異方導電性部材を介して第1の基体に第1の良品半導体チップ群を配列し、仮接合を行なう。仮接合は、フリップチップボンダー等の装置により行なうことができる。第1の基体としては、特に限定されるものではないが、トランジスタを有するデバイス又は、配線層と貫通電極を有する基体が例として挙げられる。
被積層半導体チップ群を検査した後、個片化し、被積層良品半導体チップ群を選別する。被積層半導体チップ群としては、特に限定されるものではないが、貫通電極を有する態様又は埋設されたビアを有する半導体チップの裏面を除去する態様が例として挙げられる。裏面の除去方法は、バックグラインド、CMP、及びケミカルエッチング等の方法が挙げられる。特に、横方向の応力の少ないケミカルエッチング等の除去方法が好ましい。
第2の基体の、第1の基体上における第1の良品半導体チップ群の配列に対応する位置に、被積層良品半導体チップ群を配列する。
第1の基体と第2の基体との位置合わせを行なった後、第1の基体と第2の基体の間に第2の異方導電性部材を挟み、この第2の異方導電性部材を介して第1の良品半導体チップ群と被積層良品半導体チップ群との仮接合を行なう。次に、被積層良品半導体チップ群から第2の基体を剥して除去する。
第1の良品半導体チップ群、第2の異方導電性部材、及び被積層良品半導体チップ群からなる構造を新たな第1の良品半導体チップ群とし、予め定められた階層の構造が形成されるまで第2の異方導電性部材と被積層半導体チップ群の積層を繰り返す。
予め定められた階層の構造が形成された後、一括で加熱及び加圧を行なうことで階層間を本接合し、3次元接合構造を得る。
得られた3次元接合構造をコンプレッションボンディング等の手法で封止し、個片化を行なうことで目的とする素子を得る。なお、個片化を行なう前に、薄化、再配線、電極形成等の処理を行なってもよい。
他の例としては、第2の異方導電性部材を介して第1の良品半導体チップ群と接合した後に被積層半導体チップ群の個片化を行なう態様、パターンが形成された異方導電性部材を第1又は第2の異方導電性部材として用いる態様、及びパターンが形成された異方導電性部材を第2の基体上に被積層半導体チップ群を配列するための接着剤として用い、第2の基体と異方導電性部材との界面で剥離を行なう態様等が挙げられる。
また、他の例として、以下の態様も挙げられる。
まず、第1の基体の表面に第1の異方導電性部材を設ける。第1の基体としては、MOS(Metal Oxide Semiconductor)が存在する態様であってもよく、MOSが存在しない態様であってもよい。
第1の半導体チップ群を検査し、個片化し、第1の良品半導体チップ群を選別する。
処理により接着性が低下する仮接合層を介して支持体の表面に第2の異方導電性部材を設ける。支持体の材質としては、特に限定されるものではないが、シリコン又はガラスが好ましい。処理により接着性が低下する仮接合層としては、加熱により接着性が低下する仮接合層又は光照射により接着性が低下する仮接合層が好ましい。
第2の異方導電性部材にパターンを設ける。パターンとしては個片化された親疎水性パターンがより好ましい。親疎水性パターンが個片化されている場合、後の工程において異方導電性部材を第1の良品半導体チップ群に転写することが容易になる。個片化の方法としては、特に限定されるものではないが、ダイシング法、レーザー照射法、ステルスダイシング法、ウェットエッチング法、及びドライエッチング法等が挙げられる。
パターンを用いたセルフアセンブリ技術により、第2の異方導電性部材を介して支持体に第1の良品半導体チップ群を配列し、仮接合を行なう。セルフアセンブリ技術としては、例えば、基板の実装領域上に活性剤を含む液滴を形成し、液滴上に半導体チップ群を載置し、素子を実装領域に位置決めし、液滴を乾燥させ、素子と実装基板とを硬化性樹脂層を介して接合し、活性剤を洗い流す方法が挙げられる。これらの技術は特開2005-150385号公報又は特開2014-57019号公報に開示されている。セルフアセンブリに際して、電極をアライメントマークとして用いてもよい。
第1の異方導電性部材を介して第1の基体と第1の良品半導体チップ群とを仮接合する。次に、仮接合層の接着性を低下させる処理を行ない、第2の異方導電性部材と支持体との界面で剥離を行なう。
第1の基体、第1の異方導電性部材、及び第1の良品半導体チップ群からなる構造を新たな第1の基体とし、第2の異方導電性部材を新たな第1の異方導電性部材とし、予め定められた階層の構造が形成されるまで第1の良品半導体チップ群と第2の異方導電性部材の積層を繰り返す。
予め定められた階層の構造が形成された後、仮接合で用いた条件より高圧、かつ高温の条件で一括処理を行なうことで階層間を本接合し、3次元接合構造を得る。仮接合層が積層体に残存するため、仮接合層としては本接合条件において硬化反応が進行する材料を用いることが好ましい。
得られた3次元接合構造をコンプレッションボンディング等の手法で封止し、個片化を行なうことで目的とする積層デバイスを得る。なお、個片化を行なう前に、薄化、再配線及び電極形成等の処理を行なってもよい。
上述のように、異方導電性部材を用いることで仮接合と本接合とを分離できるため、はんだリフロー等の高温プロセスを複数回かける必要がなく、デバイス不良発生リスクを低減することができる。また、上述のように、樹脂層を表面に有する異方導電性部材を用いる態様では、プロセス条件による接合部への影響を樹脂層が緩和することができる。また、突起を表面に有する異方導電性部材を用いる態様では、接合対象の表面平坦性が低い場合においても接合が可能となるため、平坦化プロセスを簡略化することができる。
以下、積層体を用いた3次元積層について、図33~図48を用いて、より具体的に説明する。
図33~図43は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例を工程順に示す模式図である。
図44~図46は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例に用いられる積層体の製造方法を工程順に示す模式図である。
図47及び図48は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例に用いられる積層体の製造方法を工程順に示す模式図である。
金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第4の例は、3次元積層に関するものであり、金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第2の例と同様に異方導電性部材を用いるものである。このため、金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第2の例と共通する製造方法についての詳細な説明は省略する。
まず、図33に示すように、半導体ウエハ92の表面92a全面に異方導電性部材22を設けられた第1の積層基体90を用意する。半導体ウエハ92は、例えば、複数の素子領域(図示せず)を備える第1の半導体ウエハ80と同じ構成とすることができる。なお、半導体ウエハ92は、上述のインターポーザー23とすることもできる。
また、図34に示すように、複数の半導体素子64が設けられた第2の積層基体100を用意する。第2の積層基体100は、第2の基体102の表面102a上に剥離機能層104と異方導電性部材22とが積層されている。異方導電性部材22上に、複数の半導体素子64が設けられている。異方導電性部材22上には、半導体素子64が設けられていない領域に親疎水性膜105が設けられている。
第2の積層基体100において、半導体素子64の裏面64bは第2の基体102側の面であり、表面64aはその反対側の面である。半導体素子64は、例えば、検査して選別された良品半導体素子が用いられる。
剥離機能層104は、例えば、加熱又は光照射により接着性が低下する接着層で構成される。加熱により接着性が低下する接着層の例としては、日東電工社製リバアルファ(登録商標)又はソマール株式会社製ソマタック(登録商標)が挙げられる。光照射により接着性が低下する接着層としては一般的なダイシングテープとして用いられているような材料を使うことができる他、3M社製の光剥離層も例として挙げられる。
次に、図35に示すように、第1の積層基体90と第2の積層基体100とを仮接合する。なお、仮接合の方法は、上述のとおりである。また、仮接合には、フリップチップボンダー等の装置を用いることができる。
次に、図36に示すように、第2の積層基体100の第2の基体102を除去する。この場合、半導体素子64は半導体ウエハ92の異方導電性部材22と仮接合された状態であり、かつ半導体素子64の表面64aに異方導電性部材22が転載された状態となる。
第2の基体102は、例えば、加熱又は光照射により剥離機能層104の接着性を低下させて除去する。
次に、図37に示すように、半導体素子64の表面64a側の異方導電性部材22に、別の第2の積層基体100を、半導体素子64同士の位置を合わせて仮接合する。この場合、別の第2の積層基体100の半導体素子64の裏面64bと、半導体ウエハ92に仮接合された半導体素子64の表面64a側の異方導電性部材22とが仮接合される。仮接合の方法は、上述のとおりである。
次に、図38に示すように、別の第2の積層基体100の第2の基体102を除去する。第2の基体102の除去方法は、上述のとおりである。
図38に示すように半導体素子64は、半導体ウエハ92の側の半導体素子64の異方導電性部材22と仮接合された状態であり、かつ半導体素子64の表面64aに異方導電性部材22が転載された状態となる。図38は、半導体素子64が2層設けられた構成を示す。このように、第2の積層基体100の仮接合を繰り返すことにより、半導体素子64の積層数を制御することができる。
ここで、図39に示す第3の複合積層体106を用意する。第3の複合積層体106は、第3の基体108を有し、その表面108aに親疎水性膜109が特定のパターンで形成されている。また、半導体素子64が、第3の基体108の表面108a、すなわち、親疎水性膜109が設けられていない領域に設けられている。この場合も、半導体素子64は、例えば、検査して選別された良品半導体素子が用いられる。
親疎水性膜109は、例えば、撥水性の材料をマスクを介して塗布し、所望のパターンにして、特定のパターンを得る。撥水性材料としては、アルキルシラン、又はフルオロアルキルシランといった化合物を用いることができる。撥水性材料としては、形状による撥水効果を発現する材料、例えば、イソタクチックポリプロピレン(i-PP)の相分離構造等を用いることができる。
次に、図40に示すように、半導体素子64が2層設けられた第1の積層基体90に対して、半導体素子64の表面64a側の異方導電性部材22に、第3の複合積層体106を、半導体素子64同士の位置を合わせて仮接合する。これにより、半導体素子64が3層設けられた構成となる。
次に、図41に示すように、第3の複合積層体106の第3の基体108を取り除く。第3の基体108の除去方法は、上述の第2の基体102の除去方法と同じである。
次に、仮接合で用いた条件より高圧、かつ高温の条件で一括処理を行なうことにより、半導体素子64と異方導電性部材22と半導体ウエハ92とを本接合し、図42に示す3次元接合構造体94を得る。なお、3次元接合構造体94に対して、薄化、再配線及び電極形成等の処理を行なってもよい。
次に、3次元接合構造体94の半導体ウエハ92と異方導電性部材22とを切断して、図43に示すように個片化する。これにより、異方導電性部材22を介して3つの半導体素子64が接合された積層デバイス60を得ることができる。個片化の方法は、上述の方法を適宜用いることができる。
図34に示す第2の積層基体100は、図44に示すように、第2の基体102の表面102aに剥離機能層104と異方導電性部材22とを積層して形成する。
次に、図45に示すように、異方導電性部材22上に特定のパターンで親疎水性膜105を形成する。
親疎水性膜105は、例えば、リソグラフィ法又は自己組織化法等の方法でパターンを異方導電性部材22上に形成される。親疎水性膜105のうち、親水パターンを形成する親水性材料の例としては、ポリビニルアルコール等の親水性高分子が挙げられる。
また、上述の親疎水性膜109に用いた材料で、親疎水性膜105を形成することもできる。親疎水性膜105は、例えば、フッ素系化合物を含むレジスト材料を使って、露光現像により特定のパターンを形成することもできる。
次に、図46に示すように、親疎水性膜105が設けられていない領域に半導体素子64を設ける。これにより、図34に示す第2の積層基体100を得る。
半導体素子64を設ける方法としては、例えば、親疎水性膜105が設けられていない領域に活性剤を含む液滴を形成し、液滴上に半導体素子64を載置し、位置決めし、液滴を乾燥させ、半導体素子64と第2の基体102とを硬化性樹脂層を介して接合し、活性剤を洗い流す方法が用いられる。
図39に示す第3の複合積層体106は、図47に示すように、第3の基体108を用意する。次に、図48に示すように、第3の基体108の表面108aに、親疎水性膜109を特定のパターンで形成する。親疎水性膜109は、上述の親疎水性膜105と同じ構成であり、同じ方法で形成することができる。
次に、親疎水性膜109が設けられていない領域に半導体素子64を設ける。半導体素子64を設ける方法としては、例えば、親疎水性膜109が設けられていない領域に活性剤を含む液滴を形成し、液滴上に半導体素子64を載置し、位置決めし、液滴を乾燥させ、半導体素子64と第3の基体108とを硬化性樹脂層を介して接合し、活性剤を洗い流す方法が用いられる。これにより、図39に示す第3の複合積層体106を得る。
また、TSVを用いない新たな手法にも対応可能である。3次元実装においては、上述のように1対複数の形態、又は複数対複数の形態の接合が求められるケースがある。その際には通常いずれかのデバイスに予めインターポーザー機能を付与する必要がある。しかし、ヘテロジニアスな接合環境を考えた場合個々のデバイスを集合させるために予め設計することは好ましくない。
このような問題を解決する方法として、再配線層(RDL:Re-Distribution Layer)を単独で用いる方法が提案されている。種々デバイスをつなぐインターポーザー機能を有する再配線層を異方導電膜に接合し、内包させることにより個々のデバイス設計にこだわることなく低背化、及びTSVフリーが実現できる。
同様な仕組みで有機基板内に複数のデバイスを積層したスタックを設置することも可能となる。
これらのアセンブリの例を図49~図66に示す。なお、もちろん具体的なアセンブリの手法としては、図49~図66に示すものに限定されるものではない。
図49~図61は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第5の例を工程順に示す模式図であり、図62~図66は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの製造方法の第6の例を工程順に示す模式図である。なお、図49~図66において、図13に示す異方導電材50及び図13に示す積層デバイス60と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
まず、支持体46と異方導電性部材22とを有する異方導電材50と、再配線層110が設けられたウエハ112とを用意する。なお、再配線層110は、上述のインターポーザー機能を有する。
図49に示すように、異方導電性部材22に対向して再配線層110を配置し、図50に示すように異方導電性部材22と再配線層110とを接合し、電気的に接続する。
次に、図51に示すようにウエハ112を再配線層110から分離する。
次に、図52に示すように再配線層110に、異方導電性部材22を対向させて異方導電材50を配置する。
次に、図53に示すように再配線層110と異方導電性部材22とを接合し、図54に示すように、一方の支持体46を分離する。
次に、図55に示すように、一方の支持体46が分離された異方導電性部材22に対向させて、半導体素子62を配置する。次に、図56に示すように、異方導電性部材22と半導体素子62とを接合し、電気的に接続する。次に、図57に示すように、残りの支持体46を分離する。
次に、図58に示すように半導体素子62が設けられていない側の、残りの支持体46が分離された異方導電性部材22に対向させて、半導体素子64を配置する。
次に、図59に示すように異方導電性部材22と半導体素子64とを接合し、電気的に接続する。これにより、TSVを用いることなく、半導体素子62と半導体素子64とを積層することができる。
なお、図58では半導体素子64を配置したが、これに限定されるものではなく、図60に示すように、1つの半導体素子62に対して、半導体素子64と半導体素子66を配置してもよい。この場合、図61に示すように1つの半導体素子62に、複数の半導体素子64、半導体素子66が配置される構成となる。この場合も、TSVを用いることなく、半導体素子62に、半導体素子64と半導体素子66を積層することができる。
また、再配線層110は単独で使用することに限定されるものではなく、有機基板に埋め込んで使用することもできる。
この場合、図62に示すように再配線層110が設けられた異方導電材50に対して、再配線層110に対向させて、有機基板120を配置する。有機基板120は、例えば、インターポーザーとして機能するものである。
次に、図63に示すように再配線層110に有機基板120を、例えば、半田を用いて電気的に接続する。この場合、再配線層110を有機基板120に埋め込んでもよい。
次に、図64に示すように支持体46を分離する。次に、図65に示すように半導体素子62を、異方導電性部材22に対向させて配置する。
次に、図66に示すように半導体素子62を異方導電性部材22に接合し、電気的に接続する。これにより、再配線層110と半導体素子62とが積層されたものを得ることができる。
なお、上述では、半導体素子を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、半導体素子に代えて半導体ウエハでもよい。
また、半導体素子の構成は、特に限定されるものではなく、上述の例示のものを適宜利用可能である。
ここで、仮接合とは、半導体素子又は半導体ウエハを、接合する対象物に対して位置合せした状態で、接合する対象物上に固定することをいう。
本接合は、仮接合した状態で、予め定めた条件にて接合を行い、対象物同士を接合することをいう。本接合は、特別な外力等が作用しない限り、永久に接合状態が解除されない状態のことをいう。
本接合は、上述のように一括して行うことにより、タクトタイムを低減でき、生産性を高くできる。
接合方法は、上述の方法に特に限定されるものではなく、DBI(Direct Bond Interconnect)及びSAB(Surface Activated Bond)を用いることができる。
上述のDBIは、例えば、異方導電性部材と半導体ウエハとを接合する場合、異方導電性部材及び半導体ウエハに、シリコン酸化膜を積層し、化学的機械的研磨を施す。その後、プラズマ処理によってシリコン酸化膜界面を活性化させ、異方導電性部材半導体ウエハを接触させることにより両者を接合する。
上述のSABは、例えば、異方導電性部材と半導体ウエハとを接合する場合、異方導電性部材及び半導体ウエハの各接合面を真空中で表面処理し活性化する。この状態で、異方導電性部材及び半導体ウエハを、常温環境で接触させることにより両者を接合する。表面処理には、アルゴン等の不活性ガスのイオン照射、又は中性原子ビーム照射が用いられる。
また、仮接合に際し、異方導電性部材と半導体ウエハとを接合する場合、半導体ウエハと半導体素子とを検査して良品と不良品を予め分かるようにして、半導体素子の良品のみを、異方導電性部材を介して半導体ウエハ内の良品部分に接合することで、製造ロスを低減することができる。品質保証された良品の半導体素子のことをKGD(Known Good Die)という。
また、半導体素子を素子領域に接合する工程では、複数の半導体素子を仮接合した後、全て一括して接合したが、これに限定されるものではない。接合方法によっては、仮接合ができないものもある。この場合、半導体素子の仮接合を省略してもよい。更には、半導体素子を、半導体ウエハの素子領域に1つずつ接合してもよい。
半導体素子及び半導体ウエハの搬送及びピッキング等、ならびに仮接合及び本接合については、公知の半導体製造装置を用いることにより実現できる。
上述の仮接合の場合には、東レエンジニアリング、渋谷工業株式会社、株式会社新川、及びヤマハ発動機株式会社等の各社の装置を用いることができる。
上述の本接合に用いる装置としては、例えば、三菱重工工作機械、ボンドテック、株式会社PMT、アユミ工業、東京エレクトロン(TEL)、EVG、ズースマイクロテック株式会社(SUSS)、ムサシノエンジニアリング等各社のウエハ接合装置を用いることができる。
仮接合及び本接合のそれぞれの接合に際しては、接合時の雰囲気、加熱温度、加圧力(荷重)、及び処理時間が制御因子として挙げられるが用いる半導体素子等のデバイスに適合した条件を選ぶことができる。
接合時の雰囲気としては、大気下を始め、窒素雰囲気等の不活性雰囲気、及び真空状態から選ぶことができる。
加熱温度は、温度100℃~400℃まで種々選択可能であり、かつ昇温速度に関しても10℃/分~10℃/秒まで加熱ステージの性能、又は加熱方式に従って選択することができる。冷却に関しても同様である。またステップ状に加熱することも可能であり、数段に分け、順次加熱温度を上げて接合することも可能である。
圧力(荷重)に関しても樹脂封止剤の特性等に応じて急速に加圧したり、ステップ状に加圧することを選択できる。
接合時の雰囲気、加熱及び加圧それぞれの保持時間、及び変更時間は適宜設定することができる。また、その順序についても適宜変更することができる。例えば、真空状態になったのち第1段の加圧を行い、その後加熱して昇温したところで第2段の加圧を行って一定時間保持し、除荷すると同時に冷却を行い一定温度以下になった段階で大気下に戻すといった手順を組むことができる。
このような手順は、様々に組み替えることができ、大気下で加圧後、真空状態にして加熱してもよいし、真空化、加圧、加熱を一気に行ってもよい。これらの組合せの例を図67~図73に示す。
また、面内の加圧分布、加熱分布を接合時に個別に制御する機構を利用すれば接合の歩留まり向上につなげられる。
仮接合に関しても同じように変更可能で、例えば、不活性雰囲気化で行うことにより、半導体素子の電極表面の酸化を抑制できる。更に超音波を付加しながら接合を行うことも可能である。
図67~図73は本接合条件の第1の例~第7の例を示すグラフである。図67~図73は、接合時の雰囲気、加熱温度、加圧力(荷重)、及び処理時間を示しており、符号Vは真空度を示し、符号Lは荷重を示し、符号Tは温度を示す。図67~図73において真空度が高いとは、圧力が低くなることを示す。図67~図73においては真空度が低い程、大気圧に近い。
接合時の雰囲気、加熱温度、及び荷重については、例えば、図67~図69に示すように、圧力を減圧した状態で荷重をかけた後に、温度を上昇させてもよい。また、図70、図72及び図73に示すように、荷重を加えるタイミングと温度を上げるタイミングとを合わせてもよい。図71に示すように温度を上昇させた後、荷重を加えるようにしてもよい。また、図70及び図71に示すように、圧力の減圧のタイミングと温度を上げるタイミングとを合わせてもよい。
温度の上昇も、図67、図68及び図72に示すように、ステップ状に上昇させてもよいし、図73に示すように2段階で加熱してもよい。荷重も図69及び図72に示すようにステップ状に加えてもよい。
また、圧力を減圧するタイミングは、図67、図69、図71、図72及び図73に示すように減圧してから荷重を加えてもよく、図68及び図70に示すように減圧のタイミングと荷重を加えるタイミングとを合わせてもよい。この場合、減圧と接合を同時並行する。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の金属充填微細構造体の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、及び、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、実施例1、実施例2の金属充填微細構造体及び比較例1~比較例3の金属充填微細構造体を作製した。実施例1、実施例2の金属充填微細構造体及び比較例1~比較例3の金属充填微細構造体について、マイクロ欠陥数、及びナノ欠陥率を評価した。マイクロ欠陥数、及びナノ欠陥率の評価結果を下記表2に示す。
以下、マイクロ欠陥数、及びナノ欠陥率について説明する。
マイクロ欠陥数の評価について説明する。
<マイクロ欠陥数の評価>
製造した金属充填微細構造体の片面を研磨した後、研磨面を光学顕微鏡にて観察して、欠陥を見つけることを試みた。そして、欠陥数を数え、単位面積当りの欠陥数を求め、下記表1に示す評価基準にて、欠陥数を評価した。評価では、直径20~50μmの評価基準と、直径50μm超の評価基準との両方を満たす必要がある。例えば、評価AAは、直径20~50μmが0.001~0.1を満たし、かつ直径50μm超のものが未検出であるものとした。
なお、上述の片面研磨は以下のように実施した。まず、4インチウエハに製造した金属充填微細構造体をQ-chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)にて貼付け、MAT社製研磨装置を用いて金属充填微細構造体を算術平均粗さ(JIS(日本工業規格) B0601:2001)が0.02μmになるまで研磨した。研磨には、アルミナを含む砥粒を用いた。
ナノ欠陥率の評価について説明する。
<ナノ欠陥率の評価>
製造した金属充填微細構造体について、10視野の1万倍のFE-SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope)画像を撮影して観察し、各視野画像における細孔の総数と、未充填の細孔の数とを数えた。10視野の細孔の総数の平均値と、10視野の未充填の細孔の数の平均値とを用い、
ナノ欠陥率(%)=((未充填の細孔の数の平均値)/(細孔の総数の平均値))×100(%)とした。その結果を、下記表2に示す。
なお、断面は、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)を用いて切削加工して得た。
以下、実施例1、実施例2及び比較例1~比較例3について説明する。
(実施例1)
実施例1の金属充填微細構造体について説明する。
[金属充填微細構造体]
<アルミニウム部材の作製>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC(Direct Chill)鋳造法で作製した。
次いで、表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。
更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ1.0mmに仕上げ、JIS(日本工業規格) 1050材のアルミニウム部材を得た。
アルミニウム部材を、直径200mm(8インチ)のウエハ状に形成した後、以下に示す各処理を施した。
<電解研磨処理>
上述のアルミニウム部材に対して、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/分の条件で電解研磨処理を施した。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110-30R(株式会社高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
<陽極酸化処理工程>
次いで、電解研磨処理後のアルミニウム部材に、特開2007-204802号公報に記載の手順に従って自己規則化法による陽極酸化処理を施した。
電解研磨処理後のアルミニウム部材に、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/分の条件で、5時間のプレ陽極酸化処理を施した。
その後、プレ陽極酸化処理後のアルミニウム部材を、0.2mol/L無水クロム酸、0.6mol/Lリン酸の混合水溶液(液温:50℃)に12時間浸漬させる脱膜処理を施した。
その後、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/分の条件で、3時間45分の再陽極酸化処理を施し、膜厚30μmの陽極酸化膜を得た。
なお、プレ陽極酸化処理及び再陽極酸化処理は、いずれも陰極はステンレス電極とし、電源はGP0110-30R(株式会社高砂製作所製)を用いた。また、冷却装置にはNeoCool BD36(ヤマト科学株式会社製)、かくはん加温装置にはペアスターラー PS-100(EYELA東京理化器械株式会社製)を用いた。更に、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
<バリア層除去工程>
次いで、上述の陽極酸化処理と同様の処理液及び処理条件で、電圧を40Vから0Vまで連続的に電圧降下速度0.2V/secで降下させながら電解処理(電解除去処理)を施した。
その後、5質量%リン酸水溶液に30℃、30分間浸漬させるエッチング処理(エッチング除去処理)を施し、陽極酸化膜の細孔の底部にあるバリア層を除去し、細孔を介してアルミニウム部材を露出させた。
ここで、バリア層除去工程後の陽極酸化膜に存在する貫通孔である細孔の平均径は60nmであった。なお、平均径は、FE-SEM(Field emission - Scanning Electron Microscope)により表面写真(倍率5万倍)を撮影し、50点測定した平均値として算出した。
また、バリア層除去工程後の陽極酸化膜の平均厚みは80μmであった。なお、平均厚みは、陽極酸化膜を厚さ方向に対してFIB(Focused Ion Beam)で切削加工し、その断面をFE-SEMにより表面写真(倍率5万倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した。
また、陽極酸化膜に存在する貫通孔の密度は、約1億個/mm2であった。なお、貫通孔の密度は、特開2008-270158号公報の[0168]及び[0169]段落に記載された方法で測定し、算出した。
また、陽極酸化膜に存在する貫通孔の規則化度は、92%であった。なお、規則化度は、FE-SEMにより表面写真(倍率20000倍)を撮影し、特開2008-270158号公報の[0024]~[0027]段落に記載された方法で測定し、算出した。
次に、細孔の底部において、露出されたアルミニウム部材に、Zn(亜鉛)を用いて金属層を形成した、なお、バリア層除去工程において、Znのイオンを含むアルカリ水溶液を用いることにより、バリア層を除去すると同時に、細孔の底部にZnからなる金属層を形成した。実施例1は、Znからなる金属層の面積率、すなわち、細孔の底部のうち面積にして80%以上の領域にバルブ金属以外の金属層が形成されていた。なお、バルブ金属以外の金属層の面積率のことを、表2では「バルブ金属以外の面積率」と記す。
なお、上述のバルブ金属以外の面積率は、上述のように、陽極酸化膜を厚さ方向に対してFIB(Focused Ion Beam)で切削加工し、その断面をFE-SEMにより表面写真(倍率5万倍)を10視野撮影し、各視野における細孔の露出したアルミニウム部材の表面に形成されたZn層の面積率を測定し、その平均値として算出した。
<金属充填工程>
次いで、陽極酸化膜が形成されたアルミニウム部材に対して、アルミニウム部材を陰極にし、白金(Pt)を正極にして、超臨界状態で金属めっきを実施した。
金属めっきは、下記に示す銅めっき液を用いた。更に、二酸化炭素を用い、温度35℃、圧力15MPaとすることにより、超臨界状態とした。超臨界状態で金属めっきを実施した。なお、金属めっきには、上述の図12に示す電解めっき装置を用いた。
(銅めっき液組成及び条件)
・硫酸銅 100g/L
・硫酸 10g/L
・塩酸 5g/L
・非イオン界面活性剤 1質量%
・電流密度3A/dm
・めっき液温度35℃
・圧力15Mpa
・対極(正極)Pt
<基板除去工程>
次いで、20質量%塩化水銀水溶液(昇汞)に20℃、3時間浸漬させることによりアルミニウム部材を溶解して除去することにより、金属充填微細構造体を作製した。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比して、陽極酸化膜を形成した後に、アルミニウム部材(金属部)を除去した。その後、細孔の拡径とバリア層の除去を実施した。これにより、陽極酸化膜14単体とした(図8参照)。
細孔の拡径とバリア層の除去は、50g/L、40℃のリン酸水溶液に、15分間浸漬させた。
次に、陽極酸化膜14の裏面14bに、無電解めっき法を用いてAu(金)の膜を形成し、陽極酸化膜14の裏面14bに金属部材24(図10参照)を設けた。なお、金属部材は、細孔の開口全域を覆っており、細孔の底部にバルブ金属以外の金属部材24(図10参照)が露出する。実施例2では、細孔の底部のうち面積にして100%の領域がバルブ金属以外の金属部材24(図10参照)で構成され、バルブ金属以外の面積率が100%であった。
次に、金属部材24を設けた陽極酸化膜14に、実施例1と同じ条件で、超臨界状態で金属めっきを実施した。
金属めっき後、金属部材を研磨して除去することにより、金属充填微細構造体を作製した。
実施例2は、実施例1と同じく細孔の平均径は60nmであり、かつ細孔の規則化度は92%であった。
(比較例1)
比較例1は、実施例1に比して、めっき工程において、めっき反応場を液相とし、大気圧で金属めっきを実施した点が異なる以外は、実施例1と同じとした。比較例1は、超臨界状態で金属めっきを実施しなかった。
(比較例2)
比較例2は、実施例2に比して、めっき工程において、めっき反応場を液相とし、大気圧で金属めっきを実施した点が異なる以外は、実施例2と同じとした。比較例2は、超臨界状態で金属めっきを実施しなかった。
(比較例3)
比較例3は、実施例1に比して、Znからなる金属層の面積率を50%とした点以外は、実施例1と同じとした。比較例3では、上述のバリア層除去工程におけるエッチング処理時間を短くして面積率を調整した。
表2に示すように、実施例1、実施例2は、比較例1~比較例3に比して、マイクロ欠陥数が少なく、ナノ欠陥率も小さく良好であった。
比較例1及び比較例2は、超臨界状態で金属めっきを実施していないため、細孔に金属が十分に充填されず、マイクロ欠陥数が多く、かつナノ欠陥率も大きかった。
比較例3は、バルブ金属以外のものの面積率が小さく、細孔に金属が十分に充填されず、マイクロ欠陥数が多く、かつナノ欠陥率も大きかった。
10 アルミニウム部材
10a 表面
12 貫通孔
12c 底部
12d 面
13 バリア層
14 陽極酸化膜
15 金属
15a 金属層
15b 金属
16 導通路
17 構造体
20 金属充填微細構造体
22 異方導電性部材
23 インターポーザー
27 穴
28 めっき装置
29 めっき槽
30 オーブン
31 対向電極
32 電源部
33 制御部
34 供給部
35 ポンプ
36 バルブ
37 供給管
38 圧力調整部
39 排出管
40 絶縁性基材
40a 表面
40b 裏面
16a、16b 突出部分
44 樹脂層
46 支持体
47 剥離層
48 支持層
49 剥離剤
50 異方導電材
60 積層デバイス
62 半導体素子
64 半導体素子
64a、66a、80a 表面
64b、82b 裏面
66、72、86、87 半導体素子
74 センサチップ
76 レンズ
80 第1の半導体ウエハ
81 光導波路
82 第2の半導体ウエハ
83、84、85、89、89a 積層デバイス
88 電極
90 第1の積層基体
91 半導体素子
92 半導体ウエハ
92a、102a、108a 表面
94 3次元接合構造体
95 発光素子
96 受光素子
100 第2の積層基体
102 第2の基体
104 剥離機能層
105 親疎水性膜
106 第3の複合積層体
108 第3の基体
109 親疎水性膜
110 再配線層
112 ウエハ
120 有機基板
AQ めっき液
Ds 積層方向
Dt 厚み方向
d 平均径
Ld 出射光
Lo 光
h、ht 厚み
x 方向

Claims (6)

  1. 金属部材の表面に複数の細孔を有する絶縁膜を設けて、前記金属部材と前記絶縁膜とを有する構造体を得る工程と、
    前記構造体に対して、少なくとも前記絶縁膜を有する側の面に、超臨界状態又は亜臨界状態で電解めっき又は無電解めっきによる金属めっきを行い、前記複数の細孔に金属として金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、又は亜鉛を充填するめっき工程とを有し、
    前記めっき工程の開始時において、前記構造体の前記細孔の底部にアルミニウムよりも水素過電圧の高い金属の金属層が存在しており、
    前記絶縁膜の厚さ方向における断面において前記細孔の前記底部の表面が前記アルミニウムよりも水素過電圧の高い前記金属の前記金属層が形成される割合である面積率が80%以上であり、
    前記複数の細孔は、平均径が1μm以下である、金属充填微細構造体の製造方法。
  2. 前記構造体を得る工程と、前記めっき工程との間に、前記細孔の前記底部に前記アルミニウムよりも水素過電圧の高い前記金属の前記金属層を形成する工程を有し、
    前記めっき工程は、前記めっき工程の開始時において、前記細孔の前記底部のうち前記面積率が80%以上の領域に対して前記アルミニウムよりも水素過電圧の高い前記金属の前記金属層が形成された状態で実施される、請求項1に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  3. 前記金属部材は前記アルミニウムよりも水素過電圧の高い前記金属で構成されており、前記細孔の前記底部は、前記金属部材が露出している、請求項1に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  4. 前記絶縁膜は、酸化膜である、請求項1~3のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  5. 前記酸化膜は、アルミニウムの陽極酸化膜である、請求項4に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  6. 前記金属部材は、貴金属又はアルミニウムで構成される、請求項1又は2に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
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