JP7357142B2 - 充填微細構造体および搬送方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の細孔を有する介在部に金属が充填された充填微細構造体および充填微細構造体の搬送方法に関し、特に、搬送性に優れ、かつ充填欠陥の抑制と、加工性との両立を図った充填微細構造体およびその搬送方法に関する。
絶縁性基材に設けられた複数の貫通孔に金属等の導電性物質が充填されてなる構造体は、近年ナノテクノロジーでも注目されている分野のひとつであり、例えば、異方導電性部材としての用途が期待されている。
異方導電性部材は、半導体素子等の電子部品と回路基板との間に挿入し、加圧するだけで電子部品と回路基板間の電気的接続が得られるため、半導体素子等の電子部品等の電気的接続部材、および機能検査を行う際の検査用コネクタ等として広く使用されている。
特に、半導体素子等の電子部品は、ダウンサイジング化が顕著である。従来のワイヤーボンディングのような配線基板を直接接続する方式、フリップチップボンディング、およびサーモコンプレッションボンディング等では、電子部品の電気的な接続の安定性を十分に保証することができないため、電子接続部材として異方導電性部材が注目されている。
例えば、特許文献1には、1000万個/mm2以上の密度でマイクロポア貫通孔を有する基材からなり、一部のマイクロポア貫通孔が、基材の材料以外の物質で充填されている、微細構造体の製造方法が記載されている。特許文献1の微細構造体の製造方法では、基材がアルミナであり、アルミニウム基板に、少なくとも、(A)陽極酸化処理によりマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理、(B)上述の(A)処理で得られた酸化皮膜から、アルミニウムを除去する処理、(C)上述の(B)処理でアルミニウムが除去された酸化皮膜に存在するマイクロポアの一部を貫通させる処理、(D)上述の(C)処理で貫通させたマイクロポア内に、酸化皮膜以外の物質を充填させる処理、(E)上述の(D)処理後の酸化皮膜の表面および裏面を、化学機械研磨処理によって平滑化する表面平滑化処理、をこの順に施している。
特開2013-167023号公報
上述の特許文献1の微細構造体の製造方法では、マイクロポア貫通孔が、基材の材料以外の物質で充填されている微細構造体を得ることができる。上述のように、特許文献1の微細構造体の製造方法では、(D)貫通させたマイクロポア内に、酸化皮膜以外の物質を充填させる処理と、(E)上述の(D)処理後の酸化皮膜の表面および裏面を、化学機械研磨処理によって平滑化する表面平滑化を実施しているが、上述の(D)と、上述の(E)との処理を連続して行わず、上述の(D)の後、例えば、搬送等により、所定の時間経過後に上述の(E)を実施することもある。この場合、搬送時に充填部またはマイクロポアが損傷する可能性がある。また、搬送時に充填部またはマイクロポアの損傷を抑制しようとして充填部を厚くした場合、研磨処理により表面平滑化工程に時間がかかり、加工性が悪くなる。加工性をよくするために、充填部を薄くした場合、マイクロポアへの充填が不十分になり充填欠陥が生じることもある。さらには、上述のように搬送時に充填部またはマイクロポアが損傷する可能性もある、このように、搬送時の損傷を抑制し、かつ充填欠陥の抑制と、加工性との両立を図ったものがないのが現状である。
本発明の目的は、搬送時の損傷を抑制し、かつ充填欠陥の抑制と、加工性との両立を図った充填微細構造体および搬送方法を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、外縁に配置されたフレーム部を有する第1金属部と、フレーム部により囲まれる領域に配置された、複数の細孔を有する介在部と、介在部の複数の細孔を充填し、かつフレーム部上に直接接触する、第2金属部とを有し、第1金属部は、バルブ金属から選択された金属を含み、介在部は、バルブ金属から選択された金属の酸化物を含み、かつ複数の細孔の平均直径が1μm以下であり、第2金属部は、フレーム部に存在する部分の厚みが2μm以上である、充填微細構造体を提供するものである。
フレーム部上に存在する部分の厚みが100μm以下であることが好ましい。
第1金属部は、アルミニウムで構成され、介在部は、アルミニウムの陽極酸化膜で構成されることが好ましい。
第2金属部は、銅で構成されることが好ましい。
本発明の他の態様は、充填微細構造体について、第2金属部上に保護層を設けて、積層して搬送する、搬送方法を提供するものである。
本発明によれば、搬送時の損傷を抑制し、かつ充填欠陥の抑制と、加工性との両立を図った充填微細構造体を得ることができる。また、搬送時に、損傷を抑制した等搬送方法を得ることができる。
本発明の実施形態の充填微細構造体の一例を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 図7に示す構造体の平面図である。 図9に示す構造体の領域Qを拡大して示す模式的平面図である。 図9に示す構造体の領域Qを拡大して示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の搬送工程に用いられる容器の一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の搬送工程における積層形態の一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の搬送工程に用いられる収納袋の一例を示す模式的斜視図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の充填微細構造体および搬送方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α~数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。また、湿度および時間について、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
複数の細孔を有する介在部の、複数の細孔に金属が充填された充填微細構造体において、搬送時に、細孔を保護するために、金属を多く充填すると、金属の充填に時間がかかり、さらには充填する金属の量も多くなり、コストがかさむ。さらに研磨処理により表面平滑化工程に時間がかかり、加工性が悪くなる。一方、金属の充填を少なくすると、加工性はよくなるが、搬送時に、損傷を受ける可能性が高くなる。また、貫通孔に十分金属が充填されず、充填欠陥が生じることもある。鋭意検討した結果、充填する金属の量をある範囲とすることにより、搬送時に細孔を保護した上で、細孔への充填性と加工性との両立を図れることがわかり本発明に至った。以下、充填微細構造体について具体的に説明する。
[充填微細構造体の一例]
図1は本発明の実施形態の充填微細構造体の一例を示す模式的平面図であり、図2は本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の一例を示す模式的断面図である。
図1に示す充填微細構造体10は、外縁15bに配置されたフレーム部15dを有する第1金属部15と、フレーム部15dにより囲まれる領域15cに配置された、複数の細孔を有する介在部16と、介在部16の複数の細孔(貫通孔17)を充填し、かつフレーム部15d上に直接接触する第2金属部19とを有する。
充填微細構造体10は、第1金属部15の底部15eの外縁15bにフレーム部15dが配置されている。フレーム部15dに囲まれた領域15cに介在部16が配置されている。第1金属部15については後に説明する。
介在部16は、上述のように、複数の細孔(貫通孔17)を有する。介在部16は、バルブ金属から選択された、第1金属部15が含む金属の酸化物を含み、かつ複数の細孔(貫通孔17)の平均直径が1μm以下である。介在部16は、例えば、第1金属部15の酸化物で構成される。介在部16については後に説明する。
介在部16の周囲にフレーム部15dがあり、介在部16の表面16aとフレーム部15dの上面とは略同一面である。なお、介在部16は、例えば、電気絶縁性を有し、金属充填微細構造体では、絶縁性基材を構成する。
なお、略同一面とは、2つの面の高低差が200μm未満のことをいう。
第2金属部19は、介在部16の表面16aを超えて設けられており、フレーム部15d上にも直接形成されている。第2金属部19は、介在部16と第1金属部15のフレーム部15dの内面15fとの間にも充填されており、内面15fと直接接触している。また、第2金属部19は、介在部16の表面16aとは反対側の、第1金属部15の底面15gとも直接接触している。
なお、直接形成および直接接触とは、2つの部材間に、2つの部材以外の部材および層等がない状態のことをいう。
第2金属部19は、フレーム部15d上に存在する部分の厚みδが2μm以上である。なお、第2金属部19の介在部16の表面16a上の厚みγは、貫通孔17に金属を充填するため、フレーム部15d上に存在する部分の厚みδよりも小さくなる。
第2金属部19のフレーム部15d上に存在する部分の厚みδの上限値としては、例えば、100μmである。フレーム部15d上に存在する部分の厚みδのことを、フレーム部15d上の厚みδともいう。
第2金属部19の厚みδが2μm以上であれば、介在部16およびフレーム部15dが保護され、充填微細構造体10の搬送時に、介在部16およびフレーム部15d等に傷がつくこと、介在部16が損傷すること等の搬送時の損傷が抑制される。
また、第2金属部19の厚みδが2μm以上、好ましくは100μm以下であれば、介在部16の貫通孔17に、金属を十分に充填することができ、充填欠陥の発生を抑制できる。さらには、第2金属部19を研磨して平滑化する場合に、研磨等に要する時間が短くなり、加工性が優れる。
以上のように、第2金属部19の厚みδが2μm以上、好ましくは100μm以下であれば、搬送時の損傷を抑制し、貫通孔17への充填欠陥を抑制することができ、第2金属部19の加工性との両立を図ることができる。
なお、第2金属部19の厚みδは、2~20μmがより好ましく、5~10μmが更に好ましい。第2金属部19の厚みδが上述の範囲であれば、搬送時の損傷を抑制でき搬送性が優れ、かつ貫通孔17の充填欠陥の抑制でき、しかも研磨等に要する時間が更に短くなり、加工性が更に優れる。
第2金属部19のフレーム部15d上の厚みδは、充填微細構造体10を厚み方向に対して切断し、FE-SEM(Field emission - Scanning Electron Microscope)を用いて切断断面の断面観察を行い、10点測定した平均値である。
第2金属部19の介在部16の表面16aの厚みγは、充填微細構造体10を厚み方向に対して切断し、FE-SEMを用いて切断断面の断面観察を行い、10点測定した平均値である。
また、第1金属部15の底部15eの厚み、すなわち、介在部16の下にある第1金属部15の厚みは、特に限定されるものではないが、20μm以上あることが好ましく、30~50μmであることが更に好ましい。
上述の第1金属部15の底部15eの厚みは、上述の第2金属部19のフレーム部15d上の厚みδと同じく、充填微細構造体10を厚み方向に対して切断し、FE-SEMを用いて切断断面の断面観察を行い、10点測定した平均値である。
[充填微細構造体の製造方法の第1の例]
図3~図8は本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第1の例を工程順に示す模式的断面図である。図9は図7に示す構造体の平面図であり、図10は図9に示す構造体の領域Qを拡大して示す模式的平面図であり、図11は図9に示す構造体の領域Qを拡大して示す模式的断面図である。なお、図3~図11において、図1および図2に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
充填微細構造体10の第1金属部15は、バルブ金属から選択された金属を含むものであり、例えば、バルブ金属部材が用いられる。この場合、充填微細構造体10の介在部16は、バルブ金属部材の表面に陽極酸化処理を施して得られる陽極酸化膜である。
例えば、充填微細構造体は、バルブ金属の陽極酸化膜からなる絶縁性基材を有するものである。第1金属部15のバルブ金属としては、例えば、アルミニウムであるが、バルブ金属は、アルミニウムに特に限定されるものではない。しかしながら、絶縁性基材として、アルミニウムの陽極酸化膜を例に説明する。このため、以下の説明では、第1金属部15は、バルブ金属部材を用いるとし、アルミニウム基板を例にして説明する。
図3に示すように、バルブ金属部材11として、アルミニウム基板を用意する。
次に、図4に示すように、バルブ金属部材11の表面11aの外縁11bにだけ、マスク12を形成する。マスク12は、電気的に絶縁なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、半導体素子の形成に用いられる公知のレジスト膜を用いることができる。マスク12は、例えば、バルブ金属部材11の表面11a全面にレジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて、バルブ金属部材11の表面11aの外縁11b以外のレジスト膜を除去し、外縁11bにだけマスク12を形成する。これ以外に、マスク12として、例えば、レジストペンを用いて、バルブ金属部材11の表面11aの外縁11bにだけレジスト膜を形成してもよい。さらには、耐酸性を有する粘着性樹脂テープをバルブ金属部材11の表面11aの外縁11bに貼り付けてマスク12としてもよい。
バルブ金属部材11の表面11aのうち、マスク12で囲まれた領域11cが陽極酸化膜11d(図5参照)の形成領域である。
次に、バルブ金属部材11を電極とした陽極酸化処理を実施し、バルブ金属部材11のうち、マスク12で囲まれた領域11cに陽極酸化膜に形成する陽極酸化膜形成工程を行う。なお、陽極酸化膜は絶縁性基材である。バルブ金属部材11を陽極酸化処理することにより第1金属部15を得る。
陽極酸化膜形成工程では、バルブ金属部材11を陽極の電極として、陽極酸化処理を実施する。これにより、バルブ金属部材11が陽極酸化されて、図3に示すように第1金属部15の領域15cに陽極酸化膜11dが形成される。陽極酸化処理において、例えば、バルブ金属部材11の裏面側から電流を印加してもよく、外縁11b側から電流を印加してもよい。
陽極酸化処理では、上述のようにバルブ金属部材11(図4参照)を電極として用いており、バルブ金属部材11(図4参照)の領域11cが陽極酸化膜11dの形成領域となり、マスク12の下のバルブ金属部材11(図2参照)が第1金属部15の外縁15bであり、フレーム部15dになる。
上述の領域11cに陽極酸化膜11dが形成されるが、マスク12下のバルブ金属部材11は陽極酸化されない。このように、バルブ金属部材11が全て陽極酸化膜11dにならず、陽極酸化処理後でもバルブ金属部材11のままの領域がある。これにより、第1金属部15の外縁15bに、バルブ金属部材11で構成された、第1金属部15のフレーム部15dが配置される。フレーム部15dより囲まれる領域15cに介在部16として、陽極酸化膜11d(図3参照)が形成される。
なお、バルブ金属部材11、すなわち、第1金属部がアルミニウムで構成されているため、酸化膜として、陽極酸化膜11dが形成され、陽極酸化膜11dはAl膜で構成される。
陽極酸化膜11dは形成した時点で、複数のマイクロポアが存在する。しかしながら、複数のマイクロポアのうち、厚み方向Dtに貫通していないマイクロポアもある。また、マイクロポアの底部にはバリア層(図示せず)が存在する。このため、図3に示す陽極酸化膜11dに対して、バリア層を除去して、陽極酸化膜11dに、図4に示すように、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成し、陽極酸化膜11dで構成された介在部16を得る。
以上の工程により、第1金属部15の外縁15bに配置されたフレーム部15dで囲まれる領域15cに、複数の細孔(貫通孔17)を有する介在部16(陽極酸化膜)を形成することにより、第1金属部15と、介在部16(陽極酸化膜)とを有する構造体18を得る。例えば、図4および図11に示すように、第1金属部15の表面15aに、介在部16(陽極酸化膜)が形成され、介在部16の周囲にフレーム部15dがある。また、図11に示すように、介在部16の表面16aと、フレーム部15dの上面とは、略同一面である。
上述のように、図3に示す陽極酸化膜形成工程と、図4に示す、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成する工程とが、構造体18を得る形成工程である。
〔アルミニウム基板〕
バルブ金属部材として用いられるアルミニウム基板は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハ、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
アルミニウム基板のうち、陽極酸化処理により陽極酸化膜を形成する片側の表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上述の範囲であると、マイクロポア配列の規則性が十分となる。
アルミニウム基板は、陽極酸化膜を形成することができれば、特に限定されるものでなく、例えば、JIS(Japanese Industrial Standards) 1050材、および1070材が用いられる。
アルミニウム基板のうち陽極酸化処理される片側の表面は、予め熱処理、脱脂処理および鏡面仕上げ処理が施されていることが好ましい。
ここで、熱処理、脱脂処理および鏡面仕上げ処理については、特開2008-270158号公報の[0044]~[0054]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
陽極酸化処理の前の鏡面仕上げ処理は、例えば、電解研磨であり、電解研磨には、例えば、リン酸を含有する電解研磨液が用いられる。
〔陽極酸化処理工程〕
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、マイクロポア配列の規則性を高くし、金属充填微細構造体の異方導電性を担保する観点から、自己規則化法または定電圧処理を用いることが好ましい。
ここで、陽極酸化処理の自己規則化法および定電圧処理については、特開2008-270158号公報の[0056]~[0108]段落および[図3]に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜には、上述のようにマイクロポアの底部にバリア層(図示せず)が存在する。このバリア層を除去するバリア層除去工程を有する。
〔バリア層除去工程〕
バリア層除去工程は、例えば、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いて、陽極酸化膜のバリア層を除去する工程である。
上述のバリア層除去工程により、バリア層が除去され、かつ、マイクロポアの底部に、金属M1からなる導電体層が形成されることになる。
ここで、水素過電圧(hydrogen overvoltage)とは、水素が発生するのに必要な電圧をいい、例えば、アルミニウム(Al)の水素過電圧は-1.66Vである(日本化学会誌,1982、(8),p1305-1313)。なお、アルミニウムの水素過電圧よりも高い金属M1の例およびその水素過電圧の値を以下に示す。
<金属M1および水素(1N H2SO4)過電圧>
・白金(Pt):0.00V
・金(Au):0.02V
・銀(Ag):0.08V
・ニッケル(Ni):0.21V
・銅(Cu):0.23V
・錫(Sn):0.53V
・亜鉛(Zn):0.70V
貫通孔17(細孔)は、マイクロポアを拡径し、かつバリア層を除去して形成することもできる。この場合、マイクロポアの拡径には、ポアワイド処理が用いられる。ポアワイド処理は、陽極酸化膜を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸漬させることにより、陽極酸化膜を溶解させ、マイクロポアの孔径を拡大する処理である、ポアワイド処理には、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム等の水溶液を用いることができる。
なお、ポアワイド処理でも、マイクロポアの底部のバリア層を除去することができ、ポアワイド処理において水酸化ナトリウム水溶液を用いることにより、マイクロポアが拡径され、かつバリア層が除去される。
ポアワイド処理は、バリア層除去工程と同様に、導電体層を形成することができない。このため、ポアワイド処理後、改めてアルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含む水溶液を用いて処理して導電体層を形成してもよく、さらに異なる金属を含む水溶液で複数段階の処理を施して導電体層を形成してもよい。
次に、図6の状態からマスク12を外す(図7参照)。そして、図7に示す構造体18に対して、介在部16の複数の貫通孔17に、金属を充填する充填工程を実施する。構造体18に対して、介在部16の複数の貫通孔17の内部に、介在部16の表面16aを超えて金属を充填することにより、図8に示すように、上述の第2金属部19が形成される。これにより、充填微細構造体10を得る。このとき、第2金属部19を形成することにより、導電性を有する導通路20が形成される。なお、金属を充填する充填工程は、後に詳細に説明する。
充填工程では、介在部16の複数の貫通孔17の内部に金属を充填し、かつ図8に示すように、構造体18の表面、すなわち、充填微細構造体10のフレーム部15d上および介在部16の表面16a上に、第2金属部19を形成することにより、金属を複数の貫通孔17に充填する。この場合、第2金属部19では、上述のようにフレーム部15d上に存在する部分の厚みδ(図2参照)を2μm以上形成する。第2金属部19のフレーム部15d上に存在する部分の厚みδの上限値としては、上述のように、例えば、100μmである。
なお、例えば、めっき時間を長くすることにより、第2金属部19の厚みδを厚くすることができる。充填工程では、介在部16の表面16aを超えて、金属を充填することにより、フレーム部15d上にも第2金属部19が形成される。
〔充填工程〕
<充填される金属>
上述の貫通孔17の内部に、導電性物質として充填される金属は、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料であることが好ましく、その具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、および亜鉛(Zn)が好適に例示される。
なお、導電性物質としては、電気伝導性の観点から、Cu、Au、Al、Niが好ましく、Cu、Auがより好ましく、Cuが更に好ましい。
<充填方法>
貫通孔の内部に金属を充填する電解めっき処理方法としては、例えば、電解めっき法または無電解めっき法を用いることができる。
ここで、着色等に用いられる従来公知の電解めっき法では、選択的に孔中に金属を高アスペクトで析出(成長)させることは困難である。これは、析出金属が孔内で消費され一定時間以上電解を行なってもめっきが成長しないためと考えられる。
そのため、電解めっき法により金属を充填する場合は、パルス電解または定電位電解の際に休止時間をもうける必要がある。休止時間は、10秒以上必要で、30~60秒であることが好ましい。
また、電解液のかくはんを促進するため、超音波を加えることも望ましい。
更に、電解電圧は、通常20V以下であって望ましくは10V以下であるが、使用する電解液における目的金属の析出電位を予め測定し、その電位+1V以内で定電位電解を行なうことが好ましい。なお、定電位電解を行なう際には、サイクリックボルタンメトリを併用できるものが望ましく、Solartron社、BAS株式会社、北斗電工株式会社、IVIUM社等のポテンショスタット装置を用いることができる。
上述の電解めっき処理方法では、定電流電解を用いることも可能であるが、電解時の電圧が上述の電解電圧と同じ範囲になるよう電流値を設定することが好ましい。この場合、通常の直流電源を利用することができ、例えば、松定プレシジョン株式会社、株式会社高砂製作所、菊水電子工業株式会社、株式会社テクシオテクノロジー等の公知の装置を用いることができる。また、上述の電解めっき処理方法では、めっき処理で常用されるパルス電解を用いることもできる。
めっき液は、従来公知のめっき液を用いることができる。
具体的には、銅を析出させる場合には硫酸銅を含む水溶液が一般的に用いられるが、硫酸銅の濃度は、1~300g/Lであることが好ましく、100~200g/Lであるのがより好ましい。また、電解液中に塩酸を添加すると析出を促進することができる。この場合、塩酸濃度は10~20g/Lであることが好ましい。
また、めっき液は酸を含んでいてもよく、その酸濃度は0.01~1mol/Lであることが好ましい。
電解液は添加剤を添加してもよく、電解液に添加する添加剤としては、例えば、以下に示すものがある。また、添加剤により、以下に示す作用が得られる。
添加剤としては、光沢剤、平滑化剤と呼ばれる添加成分を添加することも可能である。
付着抑制作用では、分子またはイオンが単独で吸着または析出し、めっき反応を抑制する。サッカリン、ベンゾチアゾール、チオ尿素、ヤヌスグリーンB(JGB)、ベンゼルアセトン、鉛、ビスマス等が付着抑制作用を有するものに該当する。
界面錯形成作用では、表面吸着した微量の錯体形成イオンが、金属イオンに配位してイオンブリッジまたはエレクトロブリッジを形成することにより析出反応を促進する。塩化物イオン、CN-、SCN-、硫黄系化合物(チオ尿素、3,3´-ジチオビス(1-プロパンスルホン酸)二ナトリウム(SPS)、ジメルカプトチアゾール(DMTD)等)、ホウ酸、シュウ酸、マロン酸等がこれに当たると考えられている。
皮膜形成作用では、界面活性剤あるいは高分子が、めっき表面にマイルドに付着して皮膜を形成し、めっき反応を抑制する。PEG(ポリエチレングリコール)、ポリエチレングリコールモノ-4-ノニルフェニルエーテル(PEGNPE)、ポリビニルアルコール、ゼラチン等が代表例である。
電解消耗機構では、分子またはイオンがめっき表面で迅速に電解還元され、その反応はそれらの分子またはイオンの表面への拡散輸送によって律速される。これにより、めっきの表面形状の凹凸が小さくなる。不飽和アルコール(ブチンジオール、プロパルギルアルコール、クマリン等)、NO3 、Fe3 等が代表例である。
また、めっき液は、表面張力を調整しできるだけ低くすることも好ましく、表面張力としては、純水よりも低い60mN/m以下にすることが好ましい。表面張力の調整のために界面活性剤または有機溶媒を添加することもできる。
めっき液は、pH(水素イオン指数)を調整することが好ましく、pHは1以上であることが望ましい。
なお、金を析出させる場合、テトラクロロ金の硫酸溶液を用い、交流電解でめっきを行なうのが望ましい。
また、無電解めっき法では、アスペクトの高い貫通孔からなる孔中に金属を完全に充填には長時間を要するので、電解めっき法を用いて貫通孔に金属を充填することが望ましい。
また、充填微細構造体10を加工することにより、後述の金属充填微細構造体を得ることができる。
[充填微細構造体の製造方法の第2の例]
図12~図16は本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第2の例を工程順に示す模式的断面図である。なお、図12~図16において、図1および図2に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
充填微細構造体の製造方法の第2の例は、充填微細構造体の製造方法の第1の例に比して、バルブ金属部材11の表面11aの外縁11bにだけマスク12(図4参照)を形成するのではなく、開口13aを有するマスク13をバルブ金属部材11の表面11aの外縁11bに配置する点が異なり、それ以外は、充填微細構造体の製造方法の第1の例と同様にして、充填微細構造体を得ることができる。
図12に示すように、バルブ金属部材11の表面11a上に、開口13aを有するマスク13を配置する。次に、図13に示すように、バルブ金属部材11の表面11aの外縁11bにマスク13を設置する。このとき、バルブ金属部材11の表面11aにおいて、マスク13の開口13aに相当する領域11cが陽極酸化膜11d(図14参照)の形成領域である。
次に、バルブ金属部材11を電極とした陽極酸化処理を実施し、バルブ金属部材11のうち、マスク13で囲まれた領域11cに陽極酸化膜に形成する陽極酸化膜形成工程を行う。陽極酸化膜形成工程は、上述の充填微細構造体の製造方法の第1の例と同じであるため、その詳細な説明は省略する。陽極酸化膜形成工程では、上述の領域11cに陽極酸化膜11dが形成されるが、マスク13下のバルブ金属部材11は陽極酸化されない。
陽極酸化処理後、図15に示すように、マスク13を、バルブ金属部材11の表面11aから離す。次に、図15に示す陽極酸化膜11dに対して、バリア層を除去して、陽極酸化膜11dに、図16に示すように、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成し、陽極酸化膜11dで構成された介在部16を得る。
次に、図16に示す構造体18に対して、介在部16の複数の貫通孔17に、金属を充填する充填工程を実施する。構造体18に対して、介在部16の複数の貫通孔17の内部に、介在部16の表面16aを超えて金属を充填することにより、上述の図8に示すように第2金属部19が形成される。これにより、充填微細構造体10を得る。第2金属部19の形成方法は、上述の充填微細構造体の製造方法の第1の例と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
[充填微細構造体の製造方法の第3の例]
図17~図21は本発明の実施形態の充填微細構造体の第3の例を工程順に示す模式的断面図である。なお、図17~図21において、図1および図2に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
充填微細構造体の製造方法の第3の例は、充填微細構造体の製造方法の第1の例に比して、バルブ金属部材の表面11a全面を陽極酸化処理する点、陽極酸化膜を除去してフレーム部を形成する点が異なり、それ以外は、充填微細構造体の製造方法の第1の例と同様にして、充填微細構造体を得ることができる。
充填微細構造体の製造方法の第3の例では、充填微細構造体の製造方法の第1の例と同様に、バルブ金属部材11(図3参照)を用意する。次に、バルブ金属部材11の表面11a全面を陽極酸化処理し、バルブ金属部材11の底部11e(図17参照)を残して陽極酸化膜11d(図5参照)を形成する。さらに陽極酸化膜11dに対して、バリア層を除去して、陽極酸化膜11dに、図17に示すように、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成し、陽極酸化膜で構成された介在部16を得る。介在部16の下方にバルブ金属部材11(図3参照)の一部である底部11eが残存しており、底部11eが第1金属部15の底部15eである。介在部16は厚みHが200μm未満であることが好ましい。厚みHが200μm未満であれば、介在部16と第1金属部15とが同一面にあるとみなすことができる。
次に、図18に示すように、介在部16の表面16aに、介在部16の外縁16e以外にマスク14を配置する。この状態で、介在部16、例えば、陽極酸化膜が溶解し、かつバルブ金属部材11が溶解しない特性を有する液体を用いて、介在部16の外縁16eを溶解する。これにより、図19に示すように、第1金属部15の底部15eが露出する。
なお、マスク14は、介在部16が溶解し、かつバルブ金属部材11が溶解しない特性を有する液体に対して溶解しないものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、レジスト膜が用いられる。マスク14に用いるレジスト膜は、介在部16の表面16a全面にレジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて、介在部16の外縁16eのレジスト膜を除去して形成することができる。
上述の介在部16、例えば、陽極酸化膜が溶解し、かつバルブ金属部材が溶解しない特性を有する液体としては、酸化アルミニウム(Al)を溶解する酸水溶液またはアルカリ水溶液が用いられる。具体的には、例えば、塩化銅を含む塩酸水溶液が用いられる。
次に、図20に示すように、介在部16の表面16aからマスク14を除去する。これにより、第1金属部15と、介在部16(陽極酸化膜)とを有する構造体18を得る。
介在部16の表面16aと、フレーム部15dの上面との差、すなわち、介在部16の厚みHは200μm未満である。このため、介在部16の表面16aと、フレーム部15dの上面とは略同一面にある。
なお、マスク14は、例えば、レジスト膜であれば、アッシングを用いて除去することができる。
次に、図20に示す構造体18に対して、介在部16の複数の貫通孔17に、金属を充填する充填工程を実施する。構造体18に対して、介在部16の複数の貫通孔17の内部に、介在部16の表面16aを超えて金属を充填することにより、図21に示すように、第2金属部19aが形成される。これにより、充填微細構造体10を得る。このとき、第2金属部19aを形成することにより、導電性を有する導通路20が形成される。第2金属部19aの形成方法は、上述の充填微細構造体の製造方法の第1の例の第2金属部19の形成方法と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
なお、マスク14を配置して介在部16の外縁16eを溶解したが、これに限定されるものではなく、介在部16の外縁16eを、研削またはレーザー光等により物理的に削りとってもよい。また、介在部16の外縁16eに、例えば、陽極酸化膜が溶解し、かつバルブ金属部材が溶解しない特性を有する液体を、インクジェット法を用いて吹き付けて、介在部16の外縁16eを選択的に溶解させてもよい。
[充填微細構造体の製造方法の第4の例]
図22~図26は本発明の実施形態の充填微細構造体の製造方法の第4の例を工程順に示す模式的断面図である。なお、図22~図26において、図1および図2に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
充填微細構造体の製造方法の第4の例は、充填微細構造体の製造方法の第1の例に比して、絶縁支持体61の表面61aに部分的に、導電性を有する導電層62が形成された電極体60を用いてバルブ金属部材11を陽極酸化処理する点が異なり、それ以外は、充填微細構造体の製造方法の第1の例と同様にして、充填微細構造体を得ることができる。
充填微細構造体の製造方法の第4の例では、図22に示すように、まず、矩形状の絶縁支持体61の表面61aに部分的に、導電性を有する導電層62が形成された電極体60を用意する。電極体60は、陽極酸化処理の際の電極として用いるものである。
導電層62は、絶縁支持体61の表面61aにレジスト層63を形成し、例えば、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより、部分的にレジスト層63を取り除く。次に、例えば、レジスト層63上にシード層(図示せず)を形成し、めっきにより導電層62を形成する。導電層62を形成する際、平坦化処理により、レジスト層63と導電層62との表面を平坦にする。なお、導電層62は、めっきにより形成したが、導電層62の形成方法は、特に限定されるものではない。
次に、図23に示すように、電極体60の導電層62を覆うバルブ金属部材11を設ける。バルブ金属部材11は、充填微細構造体10の介在部16(図25参照)、すなわち、陽極酸化膜の厚み、または最終的に得られる金属充填微細構造体32(図34参照)の介在部16の厚み、加工する装置等に応じて大きさおよび厚みが適宜決定されるものである。バルブ金属部材11は、例えば、矩形状の板材である。
バルブ金属部材11としては、上述のようにアルミニウム基板が用いられる。
なお、バルブ金属部材11は、例えば、アルミニウム基板を用意してもよいが、電極体60上にバルブ金属部材11を形成してもよい。この場合、バルブ金属層形成工程では、例えば、導電層62の表面62aとレジスト層63の表面63aに、例えば、蒸着法によりバルブ金属部材11として、アルミニウム基板を形成する。
次に、導電層62を電極とした陽極酸化処理を実施し、バルブ金属部材11のうち、導電層62上の領域のバルブ金属部材11を陽極酸化膜に形成する陽極酸化膜形成工程を行う。なお、陽極酸化膜は絶縁性基材である。バルブ金属部材11を陽極酸化処理することにより第1金属部15を得る。
陽極酸化膜形成工程では、導電層62を陰極の電極とし、バルブ金属部材11を陽極の電極として、陽極酸化処理を実施する。これにより、導電層62上のバルブ金属部材11が陽極酸化されて、図24に示すように第1金属部15の領域15cに陽極酸化膜11dが形成される。陽極酸化処理において、例えば、導電層62に引出し電極が設けられていれば、引出し電極を利用して導電層62に直流電流を印加する。
陽極酸化処理では、上述のように電極体60の導電層62を電極として用いており、電極体60の導電層62上のバルブ金属部材11(図23参照)が、陽極酸化膜11dが形成される領域11c(図23参照)となり、レジスト層63上のバルブ金属部材11(図23参照)が第1金属部15の外縁15bであり、フレーム部15dになる。
上述の領域11cに陽極酸化膜11dが形成されるが、レジスト層63上のバルブ金属部材11は陽極酸化されない。このように、バルブ金属部材11が全て陽極酸化膜11dにならず、陽極酸化処理後でもバルブ金属部材11のままの領域がある。これにより、第1金属部15の外縁15bに、バルブ金属部材11で構成された、第1金属部15のフレーム部15dが配置される。フレーム部15dより囲まれる領域15cに介在部16として、陽極酸化膜11d(図24参照)が形成される。
陽極酸化処理では、導電層62上のバルブ金属部材11は全て陽極酸化膜11dにできるが、陽極酸化処理時間等を調整することにより、導電層62上のバルブ金属部材11の一部を陽極酸化膜11dに形成することができる。図24では導電層62と、陽極酸化膜である介在部16との間に第1金属部15が存在する。
なお、バルブ金属部材11、すなわち、第1金属部がアルミニウムで構成されているため、酸化膜として、陽極酸化膜11dが形成され、陽極酸化膜11dはAl膜で構成される。
陽極酸化膜11dは形成した時点で、複数のマイクロポアが存在する。しかしながら、複数のマイクロポアのうち、厚み方向Dtに貫通していないマイクロポアもある。また、マイクロポアの底部にはバリア層(図示せず)が存在する。このため、図24に示す陽極酸化膜11dに対して、バリア層を除去して、陽極酸化膜11dに、図25に示すように、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成し、陽極酸化膜11dで構成された介在部16を得る。
以上の工程により、第1金属部15の外縁15bに配置されたフレーム部15dで囲まれる領域15cに、複数の細孔(貫通孔17)を有する介在部16(陽極酸化膜)を形成することにより、第1金属部15と、介在部16(陽極酸化膜)とを有する構造体18を得る。例えば、図25に示すように、第1金属部15の表面15aに、介在部16(陽極酸化膜)が形成され、介在部16の周囲にフレーム部15dがある。また、図示はしないが介在部16の表面16aと、フレーム部15dの上面とは、略同一面である。
上述のように、図24に示す陽極酸化膜形成工程と、図25に示す、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成する工程とが、構造体18を得る形成工程である。
次に、図26に示すように、構造体18に対して、介在部16の複数の貫通孔17に、金属を充填する充填工程を実施する。構造体18に対して、介在部16の複数の貫通孔17の内部に、介在部16の表面16aを超えて金属を充填することにより、上述の第2金属部19が形成される。これにより、充填微細構造体10を得る。このとき、第2金属部19を形成することにより、導電性を有する導通路20が形成される。第2金属部19の形成方法は、上述の充填微細構造体の製造方法の第1の例と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
充填工程では、介在部16の複数の貫通孔17の内部に金属を充填し、かつ図26に示すように、構造体18の表面、すなわち、充填微細構造体10のフレーム部15d上および介在部16の表面16a上に、第2金属部19を形成することにより、金属を複数の貫通孔17に充填する。この場合、第2金属部19では、上述のようにフレーム部15d上に存在する部分の厚みδ(図2参照)を2μm~100μmとする。
なお、例えば、めっき時間を長くすることにより、第2金属部19の厚みδを厚くすることができる。充填工程では、介在部16の表面16aを超えて、金属を充填することにより、フレーム部15d上にも第2金属部19が形成される。
[金属充填微細構造体の製造方法の一例]
充填微細構造体10に対して、以下に示す工程を施すことにより、金属充填微細構造体を得ることができる。以下、金属充填微細構造体の製造方法について説明する。
図27~図34は、本発明の実施形態の金属充填微細構造体の一例を工程順に示す模式的断面図である。なお、図27~図34において、図1~図11に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
例えば、充填微細構造体10の状態で搬送した後、金属充填微細構造体を製造する。充填微細構造体10の搬送については後に説明する。
金属充填微細構造体の製造方法では、充填微細構造体10(図2参照)に対して、図27に示すように、樹脂基材22を用いて、介在部16の裏面16bに支持体24を設ける。
樹脂基材22は、例えば、機能性吸着フィルムが用いられる。機能性吸着フィルムとしては、Q-chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)等を使用することができる。
支持体24は、介在部16と同じ外形状であることが好ましい。支持体24は、後工程で介在部16を支持する。支持体24を取り付けることにより、取扱い性が増す。
次に、充填微細構造体10に対して、図28に示すように、例えば、充填微細構造体10の第2金属部19を除去する金属層除去工程を実施する。金属層除去工程では、例えば、粘着テープを用いて第2金属部19を剥離する。複数の貫通孔17は平均直径が1μm以下と小さく、粘着テープを用いて、第2金属部を容易に除去できる。
なお、金属層除去工程は、第2金属部19を除去できれば、その方法については特に限定されるものではない。
図28に示す第2金属部19が除去された状態で、介在部16の表面16aを平滑化する表面平滑化処理工程を有することが好ましい。表面平滑化処理工程の平滑化は、化学的機械的研磨(CMP)、ドライエッチングまたは研削を用いることができ、また、化学的機械的研磨(CMP)、ドライエッチングおよび研削を組み合わせて平滑化してもよい。化学的機械的研磨(CMP)を行う場合、異なる砥粒を組み合わせて研磨してもよく、いずれの方法においても、仕上がりの表面粗さ(算術平均粗さRa(JIS B 0601:2001))は0.02μm以下にすることが好ましい。
金属層除去工程の後に、表面平滑化処理工程を実施することにより、表面平滑化処理工程において、研磨量等を少なくすることができ、研磨を容易に実施できる。これにより、表面平滑化処理に要する時間を短縮でき、かつ容易に平滑化できる。
上述の金属層除去工程と表面平滑化処理工程とは、搬送工程後になされる。上述の金属層除去工程および表面平滑化処理工程は、第1金属部15の裏面に、搬送等のハンドリングのために、支持部材が設けられている。
表面平滑化処理工程の後、図29に示すように、支持体24が取り付けられた形態で、介在部16およびフレーム部15dを厚み方向Dtに一部除去し、上述の充填した金属を介在部16の表面16aよりも突出させてもよい。すなわち、導通路20を介在部16の表面16aから突出させてもよい。介在部16の表面16aから導通路20が突出した部分を突出部20aという。上述の充填した金属を介在部16の表面16aよりも突出させる工程のことを金属突出工程という。
〔金属突出工程〕
上述の介在部16の一部除去には、例えば、導通路20を構成する金属を溶解せず、介在部16、すなわち、酸化アルミニウム(Al)を溶解する酸水溶液またはアルカリ水溶液が用いられる。上述の酸水溶液またはアルカリ水溶液を、金属が充填された貫通孔17を有する介在部16を接触させることにより、介在部16を一部除去する。上述の酸水溶液またはアルカリ水溶液を介在部16に接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法およびスピンプロセシング法等が挙げられる。中でも均一性の観点からスピンプロセッサーを用いた処理方法が好ましい。スピンプロセッサーとしては、三益半導体工業株式会社、株式会社日立ハイテクノロジーズ、株式会社SCREENホールディングス、大日本スクリーン、アクテス京三株式会社、株式会社カナメックス等の公知の製品を用いることができる。
酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸および塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でもクロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1~10質量%であることが好ましい。酸水溶液の温度は、25~60℃であることが好ましい。
また、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1~5質量%であることが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20~35℃であることが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸漬時間は、8~120分であることが好ましく、10~90分であるのがより好ましく、15~60分であるのが更に好ましい。ここで、浸漬時間は、短時間の浸漬処理を繰り返した場合には、各浸漬時間の合計をいう。なお、各浸漬処理の間には、洗浄処理を施してもよく、また、中和処理を施してもよい。
また、金属を介在部16の表面16aより突出させる程度であるが、作製される金属充填微細構造体32を異方導電性部材として用いた際に、配線基板等の被接着物との圧着性が良好となる理由から、金属を介在部16の表面16aよりも10nm~1000nm突出させることが好ましく、50nm~500nm突出させることがより好ましい。すなわち、突出部20aの表面16aからの突出量は10nm~1000nmが好ましく、より好ましくは50nm~500nmである。
導通路20の突出部20aの高さを厳密に制御する場合は、貫通孔17の内部に金属を充填した後、介在部16と導通路20の端部とを同一平面状になるように加工した後、陽極酸化膜を選択的に除去することが好ましい。
また、上述の金属の充填後、または金属突出工程の後に、金属の充填に伴い発生した導通路20内の歪みを軽減する目的で、加熱処理を施すことができる。
加熱処理は、金属の酸化を抑制する観点から還元性雰囲気で施すことが好ましく、具体的には、酸素濃度が20Pa以下で行うことが好ましく、真空下で行うことがより好ましい。ここで、真空とは、大気よりも、気体密度および気圧のうち、少なくとも一方が低い空間の状態をいう。
また、加熱処理は、矯正の目的で、介在部16に応力を加えながら行うことが好ましい。
また、乾燥時の水の表面張力による突出部同士の収束を抑制するために、超臨界乾燥を施すことが好ましい。超臨界乾燥には、例えば、超臨界洗浄乾燥装置(SCRD6、株式会社レクザム社製)等を用いることができる。
介在部16に支持体24を用けることにより、介在部16単体を取扱うことに比して介在部16の損傷を抑制することができ、取扱いが容易になる。
ここで、取扱いとは、介在部16を保持すること、ならびに介在部16の移送、搬送および運搬等の介在部16を移動させることをいう。取扱いが容易とは、上述の介在部16の保持の際、および上述の介在部16の移動の際に、介在部16の損傷等を抑制できることをいう。取扱いが容易であることにより、例えば、充填した金属を介在部16の表面16aよりも突出させるが、この金属の損傷を抑制することができる。
図29に示すように充填した金属が介在部16の表面16aよりも突出しているため、突出した金属、すなわち、導通路20の突出部20aを保護することが好ましい。このため、図30に示すように導通路20の突出部20aが埋設する樹脂層26を、介在部16の表面16aに形成することが好ましい。樹脂層26を設ける工程を樹脂層形成工程という。金属充填微細構造体32の製造方法には樹脂層形成工程が含まれてもよい。
樹脂層26により、導通路20の突出部20aが保護され、金属充填微細構造体の搬送性をより向上させることができ、より取扱いが容易になる。樹脂層26は粘着性を備えるものであり、接着性を付与するものである。
樹脂層26は、例えば、従来公知の表面保護テープ貼付装置およびラミネーターを用いて形成することができる。樹脂層26を設けることにより、金属充填微細構造体の搬送性を向上させることができる。
〔樹脂層形成工程〕
樹脂層26を構成する樹脂材料としては、具体的には、例えば、エチレン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびセルロース系樹脂等を挙げることができるが、搬送性の観点と、異方導電性部材として使用しやすくする観点から、上述の樹脂層は、剥離可能な粘着層付きフィルムであることが好ましく、加熱処理または紫外線露光処理により粘着性が弱くなり、剥離可能となる粘着層付きフィルムであるのがより好ましい。
上述の粘着層付きフィルムは特に限定されず、熱剥離型の樹脂層、および紫外線(ultraviolet:UV)剥離型の樹脂層等が挙げられる。
ここで、熱剥離型の樹脂層は、常温では粘着力があり、加熱するだけで容易に剥離可能なもので、主に発泡性のマイクロカプセル等を用いたものが多い。
また、粘着層を構成する粘着剤としては、具体的には、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン-ジエンブロック共重合体系粘着剤等が挙げられる。
また、UV剥離型の樹脂層は、UV硬化型の接着層を有するもので硬化により粘着力が失われて剥離可能になるというものである。
UV硬化型の接着層としては、ベースポリマーに、炭素-炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に導入したポリマー等が挙げられる。炭素-炭素二重結合を有するベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とすることが好ましい。
さらに、アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。
炭素-炭素二重結合を有するベースポリマーは単独で使用することができるが、UV硬化性のモノマーまたはオリゴマーを配合することもできる。
UV硬化型の接着層は、UV照射により硬化させるために光重合開始剤を併用することが好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル系化合物;ケタール系化合物;芳香族スルホニルクロリド系化合物;光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。
熱剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、WS5130C02、WS5130C10等のインテリマー〔登録商標〕テープ(ニッタ株式会社製);ソマタック〔登録商標〕TEシリーズ(ソマール株式会社製);No.3198、No.3198LS、No.3198M、No.3198MS、No.3198H、No.3195、No.3196、No.3195M、No.3195MS、No.3195H、No.3195HS、No.3195V、No.3195VS、No.319Y-4L、No.319Y-4LS、No.319Y-4M、No.319Y-4MS、No.319Y-4H、No.319Y-4HS、No.319Y-4LSC、No.31935MS、No.31935HS、No.3193M、No.3193MS等のリバアルファ〔登録商標〕シリーズ(日東電工株式会社製);等が挙げられる。
UV剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、ELP DU-300、ELP DU-2385KS、ELP DU-2187G、ELP NBD-3190K、ELP UE-2091J等のエレップホルダー〔登録商標〕(日東電工株式会社製);Adwill D-210、Adwill D-203、Adwill D-202、Adwill D-175、Adwill D-675(いずれもリンテック株式会社製);スミライト〔登録商標〕FLSのN8000シリーズ(住友ベークライト株式会社製);UC353EP-110(古河電気工業株式会社製);等のダイシングテープを利用することができる。その他、UV剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、ELP RF-7232DB、ELP UB-5133D(いずれも日東電工株式会社製);SP-575B-150、SP-541B-205、SP-537T-160、SP-537T-230(いずれも古河電気工業株式会社製);等のバックグラインドテープを利用することができる。
上述の粘着層付きフィルムは、公知の表面保護テープ貼付装置およびラミネーターを用いて貼り付けることができる。
樹脂層26の形成方法としては、上述の方法以外に、例えば、後述の酸化防止材料、高分子材料、溶媒(例えば、メチルエチルケトン等)等を含有する樹脂組成物を介在部16の表面および裏面ならびに導通路の突出部に塗布し、乾燥させ、必要に応じて焼成する方法等が挙げられる。
樹脂組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、エアナイフコート法、スクリーンコート法、バーコート法、およびカーテンコート法等の従来公知のコーティング方法が使用できる。
また、塗布後の乾燥方法は特に限定されず、例えば、大気下において0℃~100℃の温度で、数秒~数十分間、加熱する処理、減圧下において0℃~80℃の温度で、十数分~数時間、加熱する処理等が挙げられる。
また、乾燥後の焼成方法は、使用する高分子材料により異なるため特に限定されないが、ポリイミド樹脂を用いる場合には、例えば、160℃~240℃の温度で2分間~60分間加熱する処理等が挙げられ、エポキシ樹脂を用いる場合には、例えば、30℃~80℃の温度で2分間~60分間加熱する処理等が挙げられる。
次に、図30に示す支持体24を介在部16から取り除く。この場合、樹脂基材22を起点として支持体24を介在部16から取り除く。
次に、図31に示すように、樹脂層26の表面26aに剥離層27を積層する。剥離層27は、支持層28と剥離剤29が積層されたものである。剥離剤29が樹脂層26に接している。例えば、予め定められた温度に加熱することで、剥離剤29の接着力が弱まり、剥離層27を取り除くことができる。
剥離剤29には、例えば、日東電工社製リバアルファ(登録商標)およびソマール株式会社製ソマタック(登録商標)等を用いることができる。
次に、両面粘着剤30を用いて、剥離層27に、例えば、支持部材31を取り付ける。支持部材31は支持層28に対向して配置される。支持部材31は、介在部16と同じ外形状である。支持部材31は、後工程で支持体の役割を果たす。支持部材31を取り付けることにより、取扱い性が増す。
両面粘着剤30は、剥離層27の支持層28と支持部材31とを接着することができれば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、日東電工社製の両面タイプのリバアルファ(登録商標)を用いることができる。
支持部材31は、介在部16を支持するものであり、例えば、シリコン基板で構成されている。支持部材31としては、シリコン基板以外に、例えば、SiC、SiN、GaNおよびアルミナ(Al)等のセラミックス基板、ガラス基板、繊維強化プラスティック基板、ならびに金属基板を用いることができる。繊維強化プラスティック基板には、プリント配線基板であるFR-4(Flame Retardant Type 4)基板等も含まれる。
次に、介在部16の裏面16bを研磨する。介在部16の裏面16bの研磨では、介在部16の裏面16bと導通路20の端面(図示せず)とが、同一面となる状態まで平坦化する。上述の介在部16の裏面16bの研磨は、上述の図28に示す介在部16の表面16aに対してした表面平滑化処理工程と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
上述のように、複数の導通路20を有する介在部16の表面16aに対して表面平滑化処理工程を実施した後、複数の導通路20を有する介在部16の裏面16bに対して表面平滑化処理工程を実施したが、少なくとも一方の面に上述の表面平滑化処理工程を実施すればよい。
例えば、介在部16の表面16aおよび裏面16bを、それぞれセンサ(図示せず)を用いて反射率を計測し、反射率の値が、予め定められた範囲にあれば研磨をすることなく、次の工程に移行するようにしてもよい。
次に、図32に示すように、介在部16およびフレーム部15dを厚み方向Dtに一部除去し、上述の充填した金属を介在部16の裏面16bよりも突出させる。すなわち、導通路20を介在部16の裏面16bから突出させる。介在部16の裏面16bから導通路20が突出した部分を突出部20bという。
上述の充填した金属を介在部16の裏面16bよりも突出させる工程は、上述の金属突出工程と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、図33に示すように、介在部16の裏面16bの導通路20の突出部20bが埋設する樹脂層26を、介在部16の裏面16bに形成する。これにより、図33に示す金属充填微細構造体32を得ることができる。
なお、導通路20の突出部20bが埋設する樹脂層26の形成方法は、上述の樹脂層形成工程と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
図33に示すように、介在部16の両面に樹脂層26が形成された状態で、介在部16外縁部にフレーム部15dが残存している。この外縁部に残存したフレーム部15dを、溶解、または研削等の物理的な方法を用いて除去してもよい。これにより、図34に示すように、介在部16単体の金属充填微細構造体32を得ることができる。なお、介在部16を破損等することなく、第1金属部15を取り除くことができれば、溶解に限定されるものではない。アルミニウム基板等の第1金属部15を取り除くことを第1金属部除去工程という。第1金属部除去工程については後に説明する。
金属充填微細構造体32の形状が、例えば、円板状であれば、金属充填微細構造体32の搬送に、半導体ウエハの搬送等に利用される装置を利用することができ、金属充填微細構造体32の取扱いに特別な装置は不要である。
〔第1金属部除去工程〕
例えば、バルブ金属部材で構成された第1金属部を溶解する処理液は、第1金属部がアルミニウム基板の場合、アルミニウム基板の溶解は、アルミニウムの陽極酸化膜である介在部16を溶解しにくく、アルミニウムを溶解しやすい処理液を用いることが好ましい。アルミニウムに対する溶解速度が、1μm/分以上であることが好ましく、3μm/分以上であるのがより好ましく、5μm/分以上であるのが更に好ましい。同様に、陽極酸化膜に対する溶解速度が、0.1nm/分以下となることが好ましく、0.05nm/分以下となるのがより好ましく、0.01nm/分以下となるのが更に好ましい。
具体的には、アルミよりもイオン化傾向の低い金属化合物を少なくとも1種含み、かつ、pH(水素イオン指数)が4以下または8以上となる処理液であることが好ましく、そのpHが3以下または9以上であるのがより好ましく、2以下または10以上であるのが更に好ましい。
このような処理液としては、酸またはアルカリ水溶液をベースとし、例えば、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀、銀、パラジウム、白金、金の化合物(例えば、塩化白金酸)、これらのフッ化物、これらの塩化物等を配合したものであることが好ましい。
中でも、酸水溶液ベースが好ましく、塩化物をブレンドすることが好ましい。
特に、塩酸水溶液に塩化水銀をブレンドした処理液(塩酸/塩化水銀)、塩酸水溶液に塩化銅をブレンドした処理液(塩酸/塩化銅)が、処理ラチチュードの観点から好ましい。
なお、このような処理液の組成は特に限定されず、例えば、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、王水等を用いることができる。
また、このような処理液の酸またはアルカリ濃度は、0.01~10mol/Lが好ましく、0.05~5mol/Lがより好ましい。
更に、このような処理液を用いた処理温度は、-10℃~80℃が好ましく、0℃~60℃が好ましい。
また、上述の第1金属部15の溶解は、上述の金属層除去工程後に、第1金属部15を上述の処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸漬法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒~5時間が好ましく、1分~3時間がより好ましい。
以下、金属充填微細構造体の構成の一例について説明する。
[金属充填微細構造体の構成の一例]
図35は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す平面図であり、図36は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す模式的断面図である。図36は図35の切断面線IB-IB断面図である。
図35および図36に示す金属充填微細構造体32は、上述のように絶縁性基材である介在部16と、介在部16の厚み方向Dtに貫通した貫通孔17と、貫通孔17の内部に充填された金属で構成された複数の導通路20とを有する。介在部16は、上述のように、例えば、陽極酸化膜で構成されている。複数の導通路20は、互いに電気的に絶縁された状態で設けられている。さらに、例えば、介在部16の表面16aおよび裏面16bに設けられた樹脂層26を具備する。
ここで、「互いに電気的に絶縁された状態」とは、介在部16の内部に存在している各導通路20が介在部16の内部において互いに導通性が十分に低い状態であることを意味する。
金属充填微細構造体32は、導通路20が互いに電気的に絶縁されており、介在部16の厚み方向Dtと直交する方向xには導電性が十分に低く、厚み方向Dtに導電性を有する、異方導電性を示す部材である。金属充填微細構造体32は厚み方向Dtを、例えば、後述の電子素子の積層方向に一致させて配置される。
導通路20は、図35および図36に示すように、互いに電気的に絶縁された状態で介在部16を厚み方向Dtに貫通して設けられている。
金属充填微細構造体32の厚みhは、例えば、40μm以下である。また、金属充填微細構造体32は、TTV(Total Thickness Variation)が10μm以下であることが好ましい。介在部16は表面16aと裏面16bが研磨されるため厚みとしては、金属充填微細構造体32の厚みhよりも厚く、例えば、60μmを超えるが脆性の観点から40μm程度が好ましい。
ここで、金属充填微細構造体32の厚みhおよび介在部16の厚みは、金属充填微細構造体32および介在部16を、それぞれ厚み方向に対して集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)で切削加工し、その断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、金属充填微細構造体32および介在部16の輪郭形状を、それぞれ取得し、厚みhに相当する領域について10点測定した平均値のことである。
また、金属充填微細構造体32のTTV(Total Thickness Variation)は、金属充填微細構造体32をダイシングで支持部材31ごと切断し、金属充填微細構造体32の断面形状を観察して求めた値である。
金属充填微細構造体32は、例えば、異方導電性を示す異方導電性部材として利用することができる。この場合、半導体素子と半導体素子とを、金属充填微細構造体32を介して接合して、半導体素子と半導体素子とを電気的に接続した電子素子を得ることができる。電子素子において、金属充填微細構造体32はTSV(Through Silicon Via)の機能を果たす。
これ以外に、金属充填微細構造体32を用いて3つ以上の半導体素子を電気的に接続した電子素子とすることもできる。金属充填微細構造体32を用いることで3次元実装ができる。なお、半導体素子を接合する数は、特に限定されるものではなく、電子素子の機能、および電子素子に要求される性能に応じて適宜決定されるものである。
電子素子との接合は熱加圧接合を用いることができる。還元性雰囲気下で接合させれば、温度250℃以下で容易に金属電極と突出部が接合されるので、デバイスへの熱影響を小さくすることができる。
金属充填微細構造体32を用いることにより、電子素子の大きさを小さくでき実装面積を小さくできる。また、金属充填微細構造体32の厚みを小さくすることにより、半導体素子間の配線長を短くでき、信号の遅延を抑制し、電子素子の処理速度を向上させることができる。半導体素子間の配線長を短くすることで消費電力も抑制することができる。
金属充填微細構造体32は、上述のように介在部16と導通路20とが、介在部16の表面16aで同一面の状態になるように研磨しているため、形状精度が高く、また、上述のように導通路20の突出部20aの高さを厳密に制御することができるため、半導体素子と半導体素子との電気的な接続の信頼性が優れる。
また、金属充填微細構造体32は金属が密に充填されているため、樹脂材料に比べ熱伝導性が高い。接続した電極間、半導体素子間の上下方向の熱伝導はもちろん、平面方向への熱拡散も大きいため、放熱が必要な部材に特に有用である。金属充填微細構造体32は、上述の半導体素子以外にメタルベース基板の放熱等にも用いることができ、放熱フィンの接続にも有効である。また、多層接続による熱のこもりが問題とされるメモリ等の接合には非常に有効である。
半導体素子としては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASSP(Application Specific Standard Product)等のロジック集積回路が挙げられる。また、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のマイクロプロセッサが挙げられる。また、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、HMC(Hybrid Memory Cube)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、PCM(Phase-Change Memory)、ReRAM(Resistance Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、フラッシュメモリ等のメモリが挙げられる。また、例えば、LED(Light Emitting Diode)、パワーデバイス、DC(Direct Current)-DC(Direct Current)コンバータ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)等のアナログ集積回路が挙げられる。また、例えば、加速度センサ、圧力センサ、振動子、ジャイロセンサ等のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が挙げられる。また、例えば、GPS(Global Positioning System)、FM(Frequency Modulation)、NFC(Nearfieldcommunication)、RFEM(RF Expansion Module)、MMIC(MonolithicMicrowaveIntegratedCircuit)、WLAN(WirelessLocalAreaNetwork)等のワイヤレス素子、ディスクリート素子、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CMOSイメージセンサー、カメラモジュール、Passiveデバイス、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、RF(Radio Frequency)フィルタ、IPD(Integrated Passive Devices)等が挙げられる。
また、半導体素子は素子領域を有するものでもよく。素子領域は電子素子として機能するための各種の素子構成回路等が形成された領域である。素子領域には、例えば、フラッシュメモリ等のようなメモリ回路、マイクロプロセッサおよびFPGA(field-programmable gate array)等のような論理回路が形成された領域、無線タグ等の通信モジュールならびに配線が形成された領域がある。素子領域には、これ以外にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が形成されてもよい。MEMSとは、例えば、センサ、アクチュエーターおよびアンテナ等である。センサには、例えば、加速度、音、光等の各種のセンサが含まれる。光センサは、光を検出することができれば、特に限定されるものではなく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーが用いられる。
電子素子において達成する機能に応じて半導体素子が適宜選択される。例えば、電子素子では、論理回路を有する半導体素子と、メモリ回路を有する半導体素子の組合せとすることができる。また、電子素子における半導体素子の組合せとしては、センサ、アクチュエーターおよびアンテナ等と、メモリ回路と論理回路との組み合わせでもよい。
半導体素子は、例えば、シリコンで構成されるが、これに限定されるものではなく、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムヒ素または窒化ガリウム等であってもよい。
また、半導体素子以外に、金属充填微細構造体32を用いて、2つの配線層を電気的に接続してもよい。
以下、充填微細構造体および金属充填微細構造体の構成についてより具体的に説明する。
〔第1金属部〕
第1金属部15(図2参照)は、充填微細構造体10(図2参照)を構成するものであり、上述のように外縁15b(図2参照)にフレーム部15d(図2参照)を有する。第1金属部15は、バルブ金属から選択された金属を含むものである。例えば、上述のようにバルブ金属部材11(図1参照)が用いられ、バルブ金属部材11としてはアルミニウム基板が用いられる。アルミニウム基板については上述のとおりである。
ここで、第1金属部15が含むバルブ金属としては、具体的には、例えば、上述のアルミニウム以外に、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。
第1金属部15がバルブ金属から選択された金属を含むとは、含有量が99質量%以上であることをいう。
〔第2金属部〕
第2金属部19(図2参照)は、充填微細構造体10を構成するものであり、上述のように、介在部16の複数の貫通孔17(図2参照)を充填し、かつ第1金属部15のフレーム部15d上に直接接触するものであり、かつフレーム部15d上の厚みδ(図2参照)は2μm以上である。第2金属部19は、介在部16の貫通孔17およびフレーム部の保護膜として機能する。
第2金属部19のうち、介在部16の複数の貫通孔17に充填された部分は、金属充填微細構造体32(図36参照)の導通路20(図36参照)を構成するものである。このため、第2金属部19としては、後述の導通路を構成する金属が用いられ、例えば、銅で構成される。
〔介在部〕
介在部16は、上述のように複数の細孔(貫通孔)を有するものであり、かつ複数の細孔(貫通孔)の平均直径が1μm以下である。介在部16は、上述のようにバルブ金属から選択された、第1金属部が含む金属の酸化物を含む。すなわち、介在部16は、第1金属部を構成するバルブ金属の酸化物を含む。例えば、第1金属部15がアルミニウム基板により構成されれば、介在部16は、アルミニウムの極酸化膜で構成される。
介在部16は、金属充填微細構造体32(図36参照)を構成するものであり、金属充填微細構造体では、絶縁性基材を構成する。介在部16における各導通路の間隔は、5nm~800nmであることが好ましく、10nm~200nmであることがより好ましく、20nm~60nmであることが更に好ましい。介在部16における各導通路の間隔がこの範囲であると、介在部16が絶縁性の隔壁として十分に機能する。
ここで、各導通路の間隔とは、隣接する導通路間の幅wをいい、金属充填微細構造体32の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、隣接する導通路間の幅を10点で測定した平均値をいう。
<細孔の平均直径>
細孔の平均直径、すなわち、貫通孔17の平均直径d(図35、図36参照)は、1μm以下であり、5~500nmであることが好ましく、20~400nmであることがより好ましく、40~200nmであることが更に好ましく、50~100nmであることが最も好ましい。貫通孔17の平均直径dが1μm以下であり、上述の範囲であると、得られる導通路20に電気信号を流した際に十分な応答が得ることができるため、電子部品の検査用コネクタとして、より好適に用いることができる。また、貫通孔17の平均直径dが1μm以下であると、第2金属部19(図26参照)を容易に除去できる。
貫通孔17の平均直径dは、走査型電子顕微鏡を用いて介在部16の表面を真上から倍率100~10000倍で撮影し撮影画像を得る。撮影画像において、周囲が環状に連なっている貫通孔を少なくとも20個抽出し、その直径を測定し開口径とし、これら開口径の平均値を貫通孔の平均直径として算出する。
なお、倍率は、貫通孔を20個以上抽出できる撮影画像が得られるように上述した範囲の倍率を適宜選択することができる。また、開口径は、貫通孔部分の端部間の距離の最大値を測定した。すなわち、貫通孔の開口部の形状は略円形状に限定はされないので、開口部の形状が非円形状の場合には、貫通孔部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。従って、例えば、2以上の貫通孔が一体化したような形状の貫通孔の場合にも、これを1つの貫通孔とみなし、貫通孔部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。
〔導通路〕
複数の導通路20は、上述のように、介在部16の厚み方向Dtに貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられており、柱状である。導通路20は、金属で構成されている。導通路20は、介在部16の表面および裏面から突出した突出部を有しており、かつ、各導通路の突出部が樹脂層に埋設されていてもよい。
導通路を構成する金属の具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、およびニッケル(Ni)等が好適に例示される。電気伝導性の観点から、銅、金、アルミニウム、およびニッケルが好ましく、銅および金がより好ましい。
<突出部>
導通路20の突出部20a、20bは、導通路20が介在部16の表面16aおよび裏面16bから突出した部分であり、樹脂層26で保護されていることが好ましい。
金属充填微細構造体32を異方導電性部材として利用した場合に、異方導電性部材と電極とを圧着等の手法により電気的接続、または物理的に接合する際、突出部が潰れた場合の面方向の絶縁性を十分に確保できる理由から、導通路の突出部のアスペクト比(突出部の高さ/突出部の直径)が0.5以上50未満であることが好ましく、0.8~20であることがより好ましく、1~10であることが更に好ましい。
また、接続対象の半導体素子または半導体ウエハの表面形状に追従する観点から、導通路の突出部の高さは、20nm以上であることが好ましく、より好ましくは100nm~500nmである。
導通路の突出部の高さは、異方導電性部材の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察し、導通路の突出部の高さを10点で測定した平均値をいう。
導通路の突出部の直径は、異方導電性部材の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により観察し、導通路の突出部の直径を10点で測定した平均値をいう。
<他の形状>
導通路20の密度は、2万個/mm2以上であることが好ましく、200万個/mm2以上であることがより好ましく、1000万個/mm2以上であることが更に好ましく、5000万個/mm2以上であることが特に好ましく、1億個/mm2以上であることが最も好ましい。
さらに、隣接する各導通路20の中心間距離p(図35および図36参照)は、20nm~500nmであることが好ましく、40nm~200nmであることがより好ましく、50nm~140nmであることが更に好ましい。
〔樹脂層〕
上述のように、樹脂層26は、介在部16の表面16aと裏面16bに設けられ、上述のように導通路20の突出部20a、20bを埋設するものである。すなわち、樹脂層26は介在部16から突出した導通路20の端部を被覆し、突出部20a、20bを保護する。
樹脂層26は、上述の樹脂層形成工程により形成されるものである。樹脂層26は接続対象に対して接着性を付与するものである。樹脂層26は、例えば、50℃~200℃の温度範囲で流動性を示し、200℃以上で硬化するものであることが好ましい。
樹脂層26は、上述の樹脂層形成工程により形成されるものであるが、以下に示す、樹脂層の組成を用いることもできる。以下、樹脂層の組成について説明する。例えば、樹脂層は、高分子材料を含有するものであり、酸化防止材料を含んでもよい。
<高分子材料>
樹脂層に含まれる高分子材料としては特に限定されないが、半導体素子または半導体ウエハと異方導電性部材との隙間を効率よく埋めることができ、半導体素子または半導体ウエハとの密着性がより高くなる理由から、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。
なかでも、絶縁信頼性がより向上し、耐薬品性に優れる理由から、ポリイミド樹脂および/またはエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
<酸化防止材料>
樹脂層に含まれる酸化防止材料としては、具体的には、例えば、1,2,3,4-テトラゾール、5-アミノ-1,2,3,4-テトラゾール、5-メチル-1,2,3,4-テトラゾール、1H-テトラゾール-5-酢酸、1H-テトラゾール-5-コハク酸、1,2,3-トリアゾール、4-アミノ-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジアミノ-1,2,3-トリアゾール、4-カルボキシ-1H-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジカルボキシ-1H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール-4-酢酸、4-カルボキシ-5-カルボキシメチル-1H-1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、3-カルボキシ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジカルボキシ-1,2,4-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール-3-酢酸、1H-ベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-5-カルボン酸、ベンゾフロキサン、2,1,3-ベンゾチアゾール、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、カテコール、o-アミノフェノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、メラミン、およびこれらの誘導体が挙げられる。
これらのうち、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体が好ましい。
ベンゾトリアゾール誘導体としては、ベンゾトリアゾールのベンゼン環に、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アミノ基、ニトロ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)等を有する置換ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、ナフタレントリアゾール、ナフタレンビストリアゾール、と同様に置換された置換ナフタレントリアゾール、置換ナフタレンビストリアゾール等も挙げることができる。
また、樹脂層に含まれる酸化防止材料の他の例としては、一般的な酸化防止剤である、高級脂肪酸、高級脂肪酸銅、フェノール化合物、アルカノールアミン、ハイドロキノン類、銅キレート剤、有機アミン、有機アンモニウム塩等が挙げられる。
樹脂層に含まれる酸化防止材料の含有量は特に限定されないが、防食効果の観点から、樹脂層の全質量に対して0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。また、本接合プロセスにおいて適切な電気抵抗を得る理由から、5.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。
<マイグレーション防止材料>
樹脂層は、樹脂層に含有し得る金属イオン、ハロゲンイオン、ならびに半導体素子および半導体ウエハに由来する金属イオンをトラップすることによって絶縁信頼性がより向上する理由から、マイグレーション防止材料を含有しているのが好ましい。
マイグレーション防止材料としては、例えば、イオン交換体、具体的には、陽イオン交換体と陰イオン交換体との混合物、または、陽イオン交換体のみを使用することができる。
ここで、陽イオン交換体および陰イオン交換体は、それぞれ、例えば、後述する無機イオン交換体および有機イオン交換体の中から適宜選択することができる。
(無機イオン交換体)
無機イオン交換体としては、例えば、含水酸化ジルコニウムに代表される金属の含水酸化物が挙げられる。
金属の種類としては、例えば、ジルコニウムのほか、鉄、アルミニウム、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム、ベリリウム、インジウム、クロム、ビスマス等が知られている。
これらの中でジルコニウム系のものは、陽イオンのCu2+、Al3+について交換能を有している。また、鉄系のものについても、Ag+、Cu2+について交換能を有している。同様に、錫系、チタン系、アンチモン系のものは、陽イオン交換体である。
一方、ビスマス系のものは、陰イオンのCl-について交換能を有している。
また、ジルコニウム系のものは条件によっては陰イオンの交換能を示す。アルミニウム系、錫系のものも同様である。
これら以外の無機イオン交換体としては、リン酸ジルコニウムに代表される多価金属の酸性塩、モリブドリン酸アンモニウムに代表されるヘテロポリ酸塩、不溶性フェロシアン化物等の合成物が知られている。
これらの無機イオン交換体の一部は既に市販されており、例えば、東亞合成株式会社の商品名イグゼ「IXE」における各種のグレードが知られている。
なお、合成品のほか、天然物のゼオライト、またはモンモリロン石のような無機イオン交換体の粉末も使用可能である。
(有機イオン交換体)
有機イオン交換体には、陽イオン交換体としてスルホン酸基を有する架橋ポリスチレンが挙げられ、そのほかカルボン酸基、ホスホン酸基またはホスフィン酸基を有するものも挙げられる。
また、陰イオン交換体として四級アンモニウム基、四級ホスホニウム基または三級スルホニウム基を有する架橋ポリスチレンが挙げられる。
これらの無機イオン交換体および有機イオン交換体は、捕捉したい陽イオン、陰イオンの種類、そのイオンについての交換容量を考慮して適宜選択すればよい。勿論、無機イオン交換体と有機イオン交換体とを混合して使用してもよいことはいうまでもない。
電子素子の製造工程では加熱するプロセスを含むため、無機イオン交換体が好ましい。
また、マイグレーション防止材料と上述した高分子材料との混合比は、例えば、機械的強度の観点から、マイグレーション防止材料を10質量%以下とすることが好ましく、マイグレーション防止材料を5質量%以下とすることがより好ましく、さらにマイグレーション防止材料を2.5質量%以下とすることが更に好ましい。また、半導体素子または半導体ウエハと異方導電性部材とを接合した際のマイグレーションを抑制する観点から、マイグレーション防止材料を0.01質量%以上とすることが好ましい。
<無機充填剤>
樹脂層は、無機充填剤を含有していてもよい。
無機充填剤としては特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカ、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
導通路間に無機充填剤が入ることを防ぎ、導通信頼性がより向上する理由から、無機充填剤の平均粒子径が、各導通路の間隔よりも大きいことが好ましい。
無機充填剤の平均粒子径は、30nm~10μmであることが好ましく、80nm~1μmであることがより好ましい。
ここで、平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒子径測定装置(日機装株式会社製マイクロトラックMT3300)で測定される、一次粒子径を平均粒子径とする。
<硬化剤>
樹脂層は、硬化剤を含有していてもよい。
硬化剤を含有する場合、接続対象の半導体素子または半導体ウエハの表面形状との接合不良を抑制する観点から、常温で固体の硬化剤を用いず、常温で液体の硬化剤を含有しているのがより好ましい。
ここで、「常温で固体」とは、25℃で固体であることをいい、例えば、融点が25℃より高い温度である物質をいう。
硬化剤としては、具体的には、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、脂肪族アミン、4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等のカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、ポリメルカプタン等が挙げられ、これらの硬化剤から、25℃で液体のものを適宜選択して用いることができる。なお、硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層には、その特性を損なわない範囲内で、広く一般に半導体パッケージの樹脂絶縁膜に添加されている分散剤、緩衝剤、粘度調整剤等の種々の添加剤を含有させてもよい。
<形状>
金属充填微細構造体32の導通路20を保護する理由から、樹脂層の厚みは、導通路20の突出部20a、20bの高さより大きく、1μm~5μmであることが好ましい。
上述のように充填微細構造体10は、搬送されるが、搬送工程について説明する。充填微細構造体10は、例えば、積層されて搬送される。
搬送とは、充填微細構造体10を移動させることである。移動には、加工工程間の設備内での移動、および車両、鉄道、航空機、または船舶等の移動手段を利用した移動が含まれる。
[搬送工程]
図37は本発明の実施形態の搬送工程に用いられる容器の一例を示す模式的斜視図である。
搬送工程では、例えば、充填微細構造体10は、図37に示す容器40に収納されて搬送される。容器40は、容器本体42と蓋44とを有する。容器40では、蓋44で容器本体42の開口42aが閉塞され、容器本体42が密閉される。
容器内部42bには、例えば、図示はしないが棚が設けられている。複数の充填微細構造体10が、例えば、図38に示すように、充填微細構造体10の第2金属部19上に保護層45を配置して、複数の充填微細構造体10を積層して、棚に配置される。
保護層45としては、紙、樹脂フィルム等を用いることができる。なお、保護層45としては、充填微細構造体10の少なくとも第2金属部19を覆うものであればよい。
充填微細構造体10が接触して積層されると、充填微細構造体10が振動等により、充填微細構造体10同士が擦れた際に充填微細構造体10の第2金属部19等に傷がついたり、第2金属部19の下の介在部16が損傷する等の虞があるため、充填微細構造体10は、上述のように第2金属部19上に保護層45を設ける。これにより、充填微細構造体10の第2金属部19等の損傷を抑制することができる。
なお、充填微細構造体10は、上述のように矩形状であり、容器40としては、矩形状の基板を収納する各種の容器を用いることができる。
充填微細構造体10が一般的な半導体ウエハの形状と同じく、円形状である場合、容器40としては、半導体ウエハを収納する各種の容器を用いることができる。容器40としては、半導体ウエハの搬送容を用いることができ、例えば、フロントオープニングアンファインドポッド(FOUP)およびフロントオープニングシッピングボックス(FOSB)等を用いることができる。
容器40は、図39に示すように収納袋50に収納してもよい。収納袋50は、例えば、ガスバリア性を有するフィルムで構成される。ガスバリア性を有するフィルムとは、例えば、水蒸気透過性の低いもののことであり、電子部品の包装に用いられる公知のフィルム、または有機EL(Electro Luminescence)、電子ペーパーもしくは太陽電池等に用いられるガスバリアフィルムを用いることができる。
ガスバリア性は、水蒸気透過性により評価され、水蒸気透過性はモコン法等で測定される。
容器40を収納袋50に収納した場合、収納袋50は水蒸気透過性が低く、内部の湿度を外部から調整することが難しくなるため、収納袋50の内部に吸湿剤51を設けることが好ましい。吸湿剤51の量については、使用する収納袋50の水蒸気透過性、ならびに容器40の大きさ、および保管期間等に応じて、予め求めておき、予め求めた量の吸湿剤51を収納袋50の内部に設ける。また、収納袋50に収納した場合、大気圧よりも圧力が低い圧力とし、減圧下で充填微細構造体10を搬送できる。
図39に示すように、収納袋50を用いる場合、図37に示す容器40は必ずしも必要なく、図38に示すように、例えば、図38に示すように、充填微細構造体10の第2金属部19上に保護層45を配置して、複数の充填微細構造体10を積層し、収納袋50に収納してもよい。この状態で搬送することができる。収納袋50に収納する場合も、湿度を調整するために、図39に示すように収納袋50の内部に吸湿剤51を配置することが好ましい。
また、例えば、図38に示すように、充填微細構造体10の第2金属部19上に保護層45を配置して、複数の充填微細構造体10を積層した状態で搬送することもできる。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の充填微細構造体および搬送方法について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、および、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、実施例1~実施例6および比較例1の充填微細構造体を作製した。実施例1~実施例6および比較例1の充填微細構造体について均一性および加工性を評価した。以下、均一性および加工性の各評価項目について説明する。
均一性の評価について説明する。
<均一性の評価>
充填微細構造体について、第2金属部を研磨除去した後、介在部を厚み方向に10μm研磨した表面(研磨面)を光学顕微鏡にて、直径20μm以上の欠陥を1mm相当の視野内で見つけることを試みた。そして、欠陥数を数え、単位面積当りの欠陥数(個/mm)を求めた。単位面積当りの欠陥数(個/mm)を以下に示す評価基準にて評価した。以下、欠陥数をNd(個/mm)とする。
なお、上述の研磨は以下のように実施した。まず、充填微細構造体をQ-chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)にて貼付け、MAT社製研磨装置(BC-15CN(商品名))を用いて充填微細構造体を算術平均粗さ(JIS B0601:2001)が0.005μmになるまで研磨した。研磨としては、アルミナを含む研磨剤(WA#8000(FF)ケメット・ジャパン株式会社製を純水で4倍に希釈した液)で一次研磨を行い、シリカを含む研磨剤(S-A1-1-0 ケメット・ジャパン株式会社製)で二次研磨を行った。
評価基準
A:Nd≦0.01個/mm
B:0.01<Nd≦0.05個/mm
C:0.05個/mm<Nd
加工性の評価について説明する。
<加工性の評価>
充填微細構造体について、第2金属部を研磨して、介在部の表面が露出する迄の時間を研磨時間として測定した。なお、介在部上に第2金属部がない場合には、研磨量10μmの研磨時間を測定した。
加工性は、介在部上に第2金属部がないものの研磨時間を1とし、これを基準研磨時間とした。各例の充填微細構造体の研磨時間を実研磨時間とした。基準研磨時間/実研磨時間で表される、加工時間を求めた。すなわち、加工時間=基準研磨時間/実研磨時間である。
得られた加工時間を以下に示す評価基準にて評価した。加工時間は数値が大きい程、実研磨時間が短いことを意味する。以下、加工時間をWtとする。
評価基準
A:1≦Wt
B:0.8≦Wt<1
C:Wt<0.8
<研磨工程>
研磨工程では、MAT社製研磨装置(BC-15CN(商品名))を用いて、陽極酸化膜(介在部)の表面に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を施し、表面を、アルミナを含む研磨剤(WA#8000(FF)ケメット・ジャパン株式会社製を純水で4倍に希釈した液)で一次研磨を行い、シリカを含む研磨剤(S-A1-1-0 ケメット・ジャパン株式会社製)で二次研磨を行い、研磨後の仕上がりの算術平均粗さ(JIS(日本工業規格) B0601:2001)を0.005μmとした。
以下、実施例1~実施例5および比較例1、比較例2について説明する。
(実施例1)
実施例1の充填微細構造体について説明する。
[充填微細構造体]
<アルミニウム基板>
純度99.999質量%のアルミニウム基板を用いた。アルミニウム基板の厚みを120μmとした。
アルミニウム基板については、15cm四方のサイズにトリミングした上で、周囲に5mm幅のフレームができるように高粘着テープを貼り付けた。フレーム内部の介在部16部分のサイズが14cm四方となるようにした。高粘着テープには、日東電工CSシステム株式会社製ダンプロン(登録商標)テープNo.375(幅25mm×長さ50m)を用いた。
<電解研磨処理>
上述のアルミニウム基板に対して、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧10V、液温度65℃、液流速3.0m/分の条件で、電解研磨処理を施した。なお、電解処理の処理面積は0.12mとした。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110-30R(株式会社高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
<陽極酸化処理工程>
次いで、電解研磨処理後のアルミニウム基板に、特開2007-204802号公報に記載の手順にしたがって自己規則化法による陽極酸化処理を施した。
電解研磨処理後のアルミニウム基板に、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧45V、液温度16℃、液流速3.0m/分の条件で、1時間のプレ陽極酸化処理を施した。
その後、プレ陽極酸化処理後のアルミニウム基板を、0.6mol/Lリン酸水溶液(液温:40℃)に0.5時間浸漬させる脱膜処理を施した。
その後、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧45V、液温度16℃、液流速3.0m/分の条件で、再度陽極酸化処理を施し、アルミニウム基板の表面を部分的に陽極酸化させて、厚み40μmの陽極酸化膜を形成した。
これにより、外縁に5mm幅のフレーム部を備えるアルミニウム基板と、アルミニウム基板のフレーム部内に設けられた陽極酸化膜とを有する構造体を得た。
なお、プレ陽極酸化処理および再陽極酸化処理は、いずれもアルミニウム基板を高粘着テープでマスキングした状態で行った。また、プレ陽極酸化処理および再陽極酸化処理は、いずれも陰極はチタン電極とし、電源にはPAM320-12(菊水電子工業株式会社製)を用いた。また、冷却装置にはNeoCool BD36(ヤマト科学株式会社製)、かくはん加温装置にはペアスターラー PS-100(EYELA東京理化器械株式会社製)を用いた。さらに、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
<バリア層除去工程>
次いで、上述の陽極酸化処理と同様の処理液および処理条件で、電圧を45Vから0Vまで連続的に電圧降下速度0.2V/secで降下させながら電解処理(電解除去処理)を施した。電解処理には、直流電源として、PK45-9(モデル名、松定プレシジョン株式会社製)を用いた。
陽極酸化処理後の基材は流水で十分に洗浄した後、低温の風で数分以内に乾燥させた。陽極酸化処理した基板はイオン交換水(50℃)および界面活性剤を含む溶液(45℃)に交互に3分ずつ浸漬した後、イオン交換水をかけ流した後、ウェットな状態でバリア層除去処理に供した。なお、界面活性剤を含む溶液には、ロームアンドハース社製前処理液「NeutraClean68」をイオン交換水と1:4の割合で希釈した液を用いた。
温度25℃に保持した過飽和状態の金属亜鉛を含む水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させるエッチング処理(バリア層除去処理)を実施し、その後、水洗することにより、陽極酸化膜の底部にあるバリア層を除去しマイクロポアを介して露出したアルミニウム基板表面に亜鉛の導電層を形成した。金属亜鉛を含む水酸化ナトリウム溶液には、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH=52g/L)には、酸化亜鉛を2000ppm溶解させた溶液を用いた。
ここで、バリア層除去工程後の陽極酸化膜に存在するマイクロポア(細孔)の平均直径は60nmであった。なお、平均直径は、FE-SEMにより表面写真(倍率50000倍)を撮影し、50点測定した平均値として算出した。
また、バリア層除去工程後の陽極酸化膜の平均厚みは40μmであった。すなわち、酸化膜の平均厚みは40μmであった。なお、陽極酸化膜の平均厚みは、陽極酸化膜を厚み方向に対してFIB(Focused Ion Beam)で切削加工し、その断面をFE-SEMにより表面写真(倍率50000倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した。
陽極酸化膜に存在するマイクロポアの密度は、約1億個/mm2であった。なお、マイクロポアの密度は、特開2008-270158号公報の[0168]および[0169]段落に記載された方法で測定し、算出した。
また、陽極酸化膜に存在するマイクロポアの規則化度は、92%であった。なお、規則化度は、FE-SEMにより表面写真(倍率20000倍)を撮影し、特開2008-270158号公報の[0024]~[0027]段落に記載された方法で測定し、算出した。
<金属充填工程>
次いで、アルミニウム基板を陰極にし、銅を正極にして電解めっき処理を施した。
具体的には、以下に示す組成の銅めっき液を使用し、定電流電解を施すことにより、マイクロポアの内部に銅が充填され、かつフレーム部上にも銅で構成された第2金属部が形成された充填微細構造体を得た。介在部上の厚みγ(図2参照)は2μm、フレーム部上の厚みδ(図2参照)は5μmであった。
ここで、定電流電解は、電源にPAS20-36(菊水電子工業株式会社製)を用い、ノベル株式会社製のめっき装置を用い、北斗電工株式会社製の電源(HZ-3000)を用い、めっき液中でサイクリックボルタンメトリを行って析出電位を確認した後に、以下に示す条件で処理を施した。
(銅めっき液組成および条件)
・硫酸銅100g/L
・硫酸1g/L
・塩酸15g/L
・SPS(3,3´-ジチオビス(1-プロパンスルホン酸)二ナトリウム)8.5ppm
・PEG(ポリエチレングリコール)5ppm
・温度30℃
・電流密度10A/dm2
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比して、電解めっき処理の処理時間を調整して、介在部上の厚みγ(図2参照)を5μm、フレーム部上の厚みδ(図2参照)を10μmとした点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
(実施例3)
実施例3は、実施例1に比して、電解めっき処理の処理時間を調整して、介在部上の厚みγ(図2参照)を20μm、フレーム部上の厚みδ(図2参照)を40μmとした点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
(実施例4)
実施例4は、実施例1に比して、電解めっき処理の処理時間を調整して、介在部上の厚みγ(図2参照)を10μm、フレーム部上の厚みδ(図2参照)を20μmとした点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
(実施例5)
実施例5は、実施例1に比して、電解めっき処理の処理時間を調整して、介在部上の厚みγ(図2参照)を50μm、フレーム部上の厚みδ(図2参照)を90μmとした点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
(実施例6)
実施例6は、実施例1に比して、直径15cmの円形状のアルミニウム基板を用い、周囲に5mm幅フレームができるように高粘着テープでマスキングし内部の介在部16部分のサイズが直径14cmとなるようにした点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
(比較例1)
比較例1は、実施例1に比して、電解めっき処理の処理時間を調整して、介在部上およびフレーム部上に第2金属部を形成せずに、介在部の貫通孔内に銅を充填した点が異なる以外は、実施例1と同じとした。なお、比較例1では、介在部上の厚み、およびフレーム部上の厚みを「-」と記した。
(比較例2)
比較例2は、実施例1に比して、電解めっき処理の処理時間を調整して、介在部上の厚みγ(図2参照)を150μm、フレーム部上の厚みδ(図2参照)を200μmとした点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
表1に示すように、実施例1~実施例6は、比較例1に比して、均一性および加工性について良好な結果が得られ、均一性と加工性との両立を図ることができた。
比較例1は、介在部上およびフレーム部上に第2金属部がなく、介在部の貫通孔内に、銅が十分に充填されず、均一性の結果が悪く、均一性と加工性との両立を図ることができなかった。
搬送方法について、第1実施例の実施例1の充填微細構造体を用いて、以下に示す実施例10~13、および比較例10、11を搬送形態として、搬送性を評価した。
<搬送性の評価>
充填微細構造体を用い、以下に示すようにして搬送性を評価した。
搬送性については、JIS Z0200:2013包装貨物-性能試験方法の一般通則にのっとり、JIS Z0232:2004の包装貨物-振動試験方法に記載のランダム振動試験においてレベル1を想定し、輸送振動試験および跳ね上がり振動試験を実施して評価した。
包装形態は、塩化ビニル製のケース(155mm×155mm×35mm、スチロール角型ケース19型 アズワン株式会社製)に完成した実施例1の充填微細構造体を合紙、保護フィルム、またはシリコンウエハを挟みながら封入した。合紙、保護フィルム、およびシリコンウエハは、それぞれ厚みが異なるため、合紙、保護フィルムの場合、厚み1cmの発泡スチロール製の緩衝材を積層した充填微細構造体の上下に配置した。なお、充填微細構造体は、合紙、または保護フィルムを用いた場合、10枚積層して封入した。シリコンウエハの場合、充填微細構造体を3枚積層して封入した。ケースに蓋をし、ケース毎にラミネートパックして供試材とした。
搬送性の試験における温湿度条件は、JIS Z 0203:2000の表1(前処置の温湿度条件)のG(+23℃,湿度50%RH(相対湿度))に準拠し、供試材に対して、180分間のランダム振動試験を行い、続けて同じ供試材を30分間跳ね上がり試験に供した。
上述の試験後、ケースから取り出した充填微細構造体の第1金属部および第2金属部を、目視により確認した。第1金属部および第2金属部のいずれにおいても、複数枚搬送したもののうち、評価のレベルが最も悪かったものの結果を全体の評価とした。
第1金属部および第2金属部ごとに、以下の評価基準により、第1金属部へのダメージおよび第2金属部へのダメージを評価した。搬送性の評価結果を下記表2に示す。
評価基準
・第1金属部
第1金属部に傷がない場合をAとした。
第1金属部に傷があっても介在部(陽極酸化膜)に到達していない場合をBとした。
第1金属部に傷があり、かつ介在部(陽極酸化膜)に到達している場合をCとした。
・第2金属部
第2金属部に傷がない場合をAとした。
第2金属部に傷があっても介在部(陽極酸化膜)に到達していない場合をBとした。
第2金属部に傷があり、かつ介在部(陽極酸化膜)に到達している場合をCとした。
以下、実施例10~13、および比較例10、11について説明する。
(実施例10)
実施例10は、充填微細構造体の第2金属部上に、厚み60μmの合紙を設けて、充填微細構造体を10枚積層した搬送形態とした。この搬送形態で搬送した。合紙には、APクリーンペーパーII A4ピンク(72g/m)を用いた。
(実施例11)
実施例11は、充填微細構造体の第2金属部上に、厚み100μmの保護フィルムを設けて、充填微細構造体を10枚積層した搬送形態とした。この搬送形態で搬送した。保護フィルムには、No.9492ポリエチレン保護シート(厚み0.06mm 青 株式会社寺岡製作所製)を用いた。
(実施例12)
実施例12は、充填微細構造体の第2金属部をシリコンウエハに向けて、充填微細構造体とシリコンウエハとを積層して、充填微細構造体を3枚積層した搬送形態とした。この搬送形態で搬送した。シリコンウエハにSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格準拠の6インチシリコンウエハを用いた。
(実施例13)
実施例13は、実施例1に比して、フレーム部分が介在部より低い構成とした。上述の第1実施例の実施例1のバリア層除去工程まで作成した15cm四方の機材のうち、表面が全て陽極酸化皮膜層を有する中心部を使い、直径14cmの円形基体を得た。この円形基体の周囲に2mm幅の陽極酸化皮膜露出部ができるよう中心部を易剥離テープでマスクし、周囲部分の陽極酸化皮膜のみを水酸化ナトリウム水溶液を用いて溶解除去した。フレーム部分と陽極酸化皮膜表面の高低差は40μmであったため、略同一面上にあるとした。このように周囲にフレーム部分を形成した円形基体を用い、その後、金属充填処理を実施例1と同様の条件で行って実施例13を得た。
実施例13は、充填微細構造体の第2金属部上に、保護フィルムを設けて、充填微細構造体を10枚積層した搬送形態とした。この搬送形態で搬送した。保護フィルムには、実施例111と同じ保護フィルムを用いた。
(比較例10)
比較例10は、実施例10に比して、保護層を設けない点が異なり、それ以外は実施例10と同じ搬送形態として、搬送した。なお、比較例10は、保護層を設けていないので、下記表2の保護層の欄に「-」と記した。
(比較例11)
比較例11は、実施例13に対して、保護層を設けない点が異なり、それ以外は実施例13と同じ搬送形態として、搬送した。なお、比較例11は、保護層を設けていないので、下記表2の保護層の欄に「-」と記した。
表2に示すように、実施例10~13は、搬送時に保護層を設けており、比較例10および比較例11に比して、第1金属部および第2金属部に損傷なく搬送できた。
比較例10および比較例11は、保護層がないため、第1金属部および第2金属部において介在部に到達する損傷が生じた。
10 充填微細構造体
11 バルブ金属部材
11a、15a、16a、26a、61a 表面
11b、16e 外縁
11c、15c 領域
11e 底部
12、13、14 マスク
13a 開口
15 第1金属部
15b 外縁
15d フレーム部
15e 底部
15f 内面
15g 底面
16 介在部
16b 裏面
17 貫通孔
18 構造体
19 第2金属部
20 導通路
20a、20b 突出部
22 樹脂基材
24 支持体
26 樹脂層
27 剥離層
28 支持層
29 剥離剤
30 両面粘着剤
31 支持部材
32 金属充填微細構造体
40 容器
42 容器本体
42a 開口
42b 容器内部
44 蓋
45 保護層
50 収納袋
51 吸湿剤
60 電極体
61 絶縁支持体
62 導電層
63 レジスト層
Dt 厚み方向
h 厚み
厚み
p 中心間距離
Q 領域
x 方向
δ、γ 厚み

Claims (5)

  1. 外縁に配置されたフレーム部を有する第1金属部と、
    前記フレーム部により囲まれる領域に配置された、複数の細孔を有する介在部と、
    前記介在部の前記複数の細孔を充填し、かつ前記フレーム部上に直接接触する、第2金属部と
    前記第2金属部上に設けられた保護層とを有し、
    前記第1金属部は、バルブ金属から選択された金属を含み、
    前記介在部は、前記バルブ金属から選択された前記金属の酸化物を含み、かつ前記複数の細孔の平均直径が1μm以下であり、
    前記第2金属部は、前記フレーム部に存在する部分の厚みが2μm以上100μm以下である、充填微細構造体。
  2. 前記第1金属部は、アルミニウムで構成され、
    前記介在部は、前記アルミニウムの陽極酸化膜で構成される、請求項1に記載の充填微細構造体。
  3. 前記第2金属部は、銅で構成される、請求項1または2に記載の充填微細構造体。
  4. 前記保護層は、紙または樹脂フィルムである、請求項1~3のいずれか1項に記載の充填微細構造体。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の充填微細構造体について、第2金属部上に保護層を設けて、積層して搬送する、搬送方法。
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