JP7336584B2 - 金属充填微細構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バルブ金属部材を用いた金属充填微細構造体の製造方法に関し、特に、搬送性に優れ、かつ絶縁性能化が良好な金属充填微細構造体の製造方法に関する。
絶縁性基材に設けられた複数の貫通孔に金属等の導電性物質が充填されてなる構造体は、近年ナノテクノロジーでも注目されている分野のひとつであり、例えば、異方導電性部材としての用途が期待されている。
異方導電性部材は、半導体素子等の電子部品と回路基板との間に挿入し、加圧するだけで電子部品と回路基板間の電気的接続が得られるため、半導体素子等の電子部品等の電気的接続部材、及び機能検査を行う際の検査用コネクタ等として広く使用されている。
特に、半導体素子等の電子部品は、ダウンサイジング化が顕著である。従来のワイヤーボンディングのような配線基板を直接接続する方式、フリップチップボンディング、及びサーモコンプレッションボンディング等では、電子部品の電気的な接続の安定性を十分に保証することができないため、電子接続部材として異方導電性部材が注目されている。
例えば、特許文献1には、1000万個/mm2以上の密度でマイクロポア貫通孔を有する基材からなり、一部のマイクロポア貫通孔が、基材の材料以外の物質で充填されている、微細構造体の製造方法が記載されている。特許文献1の微細構造体の製造方法では、基材がアルミナであり、アルミニウム基板に、少なくとも、(A)陽極酸化処理によりマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理、(B)上述の(A)処理で得られた酸化皮膜から、アルミニウムを除去する処理、(C)上述の(B)処理でアルミニウムが除去された酸化皮膜に存在するマイクロポアの一部を貫通させる処理、(D)上述の(C)処理で貫通させたマイクロポア内に、酸化皮膜以外の物質を充填させる処理、(E)上述の(D)処理後の酸化皮膜の表面及び裏面を、化学機械研磨処理によって平滑化する表面平滑化処理、をこの順に施している。
特開2013-167023号公報
上述の特許文献1の微細構造体の製造方法では、マイクロポア貫通孔が、基材の材料以外の物質で充填されている微細構造体を得ることができる。上述のように、特許文献1の微細構造体の製造方法では、(D)貫通させたマイクロポア内に、酸化皮膜以外の物質を充填させる処理と、(E)上述の(D)処理後の酸化皮膜の表面及び裏面を、化学機械研磨処理によって平滑化する表面平滑化を実施しているが、上述の(D)と、上述の(E)との処理を連続して行わず、上述の(D)の後、例えば、搬送等により、所定の時間経過後に上述の(E)を実施することもある。この場合、搬送等により充填部が損傷する可能性がある。また、工程間の環境等の影響を受けて、微細構造体の絶縁性能が劣化することもある。
本発明の目的は、搬送性に優れ、かつ絶縁性能の劣化を抑制した金属充填微細構造体の製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、バルブ金属部材の外縁に配置されたフレーム部により囲まれる形成領域に、複数の細孔を有する酸化膜を形成することにより、バルブ金属部材と酸化膜とを有する構造体を得る形成工程と、構造体に対して、酸化膜の複数の細孔に金属を充填する充填工程と、充填工程により、構造体に対して、酸化膜の複数の細孔に金属を充填して得られた金属充填部材を、相対湿度10~30%の環境に24時間以上さらす保持工程とを有し、複数の細孔は、平均直径が1μm以下である、金属充填微細構造体の製造方法を提供するものである。
バルブ金属部材は、アルミニウムで構成されていることが好ましい。
酸化膜は、陽極酸化膜であることが好ましい。
陽極酸化膜は、Al膜であることが好ましい。
充填工程において、酸化膜の複数の細孔に充填する金属は、銅であることが好ましい。
充填工程は、構造体の表面に金属層を形成することにより、金属を複数の細孔に充填する工程であり、充填工程は、金属層をフレーム部上に厚み100μm以下に形成することが好ましい。
保持工程の後、構造体の表面に形成された金属層を除去する金属層除去工程を有することが好ましい。
金属層除去工程の後、酸化膜の表面を平滑化する表面平滑化処理工程を有することが好ましい。
表面平滑化処理工程の平滑化は、化学的機械的研磨、ドライエッチング又は研削を用いることが好ましい。
本発明によれば、搬送性に優れ、かつ絶縁性能の劣化を抑制した金属充填微細構造体の製造方法を得ることができる。
本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 図5に示す構造体の平面図である。 図7に示す構造体の領域Qを拡大して示す模式的平面図である。 図7に示す構造体の領域Qを拡大して示す模式的断面図である。 図6に示す金属充填部材について、図7に示す構造体の領域Qに相当する部分を拡大して示す模式的平面図である。 図6に示す金属充填部材について、図7に示す構造体の領域Qに相当する部分を拡大して示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第3の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第4の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の保持工程に用いられる容器の一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の保持工程に用いられる収納容器の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の保持工程に用いられる収納袋の一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の保持工程に用いられる容器の他の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の保持工程に用いられる収納形態の一例を示す模式的斜視図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の金属充填微細構造体の製造方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α~数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。また、湿度及び時間について、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
金属充填微細構造体に関し、細孔(貫通孔)を有する酸化膜は絶縁抵抗が変動した。絶縁抵抗の変動について調べると保管場所、及び保管時期により影響を受けていたことが判明した。特別な温度調節を行わない倉庫内でも寒期は、絶縁抵抗が良好であったり、温度調節を実施している建屋内でも絶縁抵抗が不定期に悪化する等の挙動が見られた。
鋭意検討した結果、保管中の温度ではなく、細孔(貫通孔)を有する酸化膜中の水分が影響するのではないかと考え、保管条件のうち特に、湿度について絶縁性能との関係を調べたところ、ある湿度の範囲で保持することにより、安定した絶縁抵抗が得られることがわかり本発明に至った。以下、金属充填微細構造体の製造方法について具体的に説明する。
[金属充填微細構造体の製造方法の第1の例]
図1~図6、及び図12~図19は、本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の一例を工程順に示す模式的断面図である。図7は図5に示す構造体の平面図であり、図8は図7に示す構造体の領域Qを拡大して示す模式的平面図であり、図9は図7に示す構造体の領域Qを拡大して示す模式的断面図である。また、図10は図6に示す金属充填部材について、図7に示す構造体の領域Qに相当する部分を拡大して示す模式的平面図であり、図11は図6に示す金属充填部材について、図7に示す構造体の領域Qに相当する部分を拡大して示す模式的断面図である。
金属充填微細構造体は、バルブ金属部材の表面に陽極酸化処理を施して得られるものである。金属充填微細構造体は、バルブ金属の陽極酸化膜からなる絶縁性基材を有するものである。バルブ金属はアルミニウム等であるが、アルミニウムに特に限定されるものではないが、絶縁性基材として、アルミニウムの陽極酸化膜を例に説明する。このため、以下の説明では、バルブ金属部材としてアルミニウム基板を例にして説明する。
図1に示すように、バルブ金属部材11として、アルミニウム基板を用意する。
次に、図2に示すように、バルブ金属部材11の表面11aの外縁11bにだけ、マスク12を形成する。マスク12は、電気的に絶縁なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、半導体素子の形成に用いられる公知のレジスト膜を用いることができる。マスク12は、例えば、バルブ金属部材11の表面11a全面にレジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて、バルブ金属部材11の表面11aの外縁11b以外のレジスト膜を除去し、外縁11bにだけマスク12を形成する。これ以外に、マスク12として、例えば、レジストペンを用いて、バルブ金属部材11の表面11aの外縁11bにだけレジスト膜を形成してもよい。更には、耐酸性を有する粘着性樹脂テープをバルブ金属部材11の表面11aの外縁11bに貼り付けてマスク12としてもよい。
バルブ金属部材11の表面11aのうち、マスク12で囲まれた領域11cが陽極酸化膜16(図5参照)の形成領域である。
次に、バルブ金属部材11を電極とした陽極酸化処理を実施し、バルブ金属部材11のうち、マスク12で囲まれた領域11cに陽極酸化膜に形成する陽極酸化膜形成工程を行う。なお、陽極酸化膜16(図5参照)は絶縁性基材である。
陽極酸化膜形成工程では、バルブ金属部材11を陽極の電極として、陽極酸化処理を実施する。これにより、バルブ金属部材11が陽極酸化されて、図3に示すようにバルブ金属部材11の領域11cに陽極酸化膜11dが形成される。陽極酸化処理において、例えば、バルブ金属部材11の裏面側から電流を印加してもよく、外縁11b側から電流を印加してもよい。
陽極酸化処理では、上述のようにバルブ金属部材11を電極として用いており、バルブ金属部材11の領域11c(図3参照)が陽極酸化膜11dの形成領域となり、マスク12の下のバルブ金属部材11(図2参照)が、外縁15b(図4参照)であり、フレーム部15d(図4参照)になる。
上述の領域11cに陽極酸化膜11dが形成されるが、マスク12下のバルブ金属部材11は陽極酸化されない。このように、バルブ金属部材11が全て陽極酸化膜11dにならず、陽極酸化処理後でもバルブ金属部材15のままの領域がある。これにより、バルブ金属部材15の外縁15bに、バルブ金属部材15で構成された、バルブ金属部材15のフレーム部15dが配置される。フレーム部15dより囲まれる領域15cに陽極酸化膜16(図4参照)が形成される。
なお、バルブ金属部材11がアルミニウムで構成されているため、酸化膜として、陽極酸化膜16が形成され、陽極酸化膜16はAl膜で構成される。
陽極酸化膜11dは形成した時点で、複数のマイクロポアが存在する。しかしながら、複数のマイクロポアのうち、厚み方向Dtに貫通していないマイクロポアもある。また、マイクロポアの底部にはバリア層(図示せず)が存在する。このため、図3に示す陽極酸化膜11dに対して、バリア層を除去して、図4に示すように、陽極酸化膜16に、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成する。
以上の工程により、バルブ金属部材15の外縁15bに配置されたフレーム部15dで囲まれる領域15cに、複数の細孔(貫通孔17)を有する酸化膜(陽極酸化膜16)を形成することにより、バルブ金属部材15と、酸化膜(陽極酸化膜16)とを有する構造体18を得る。例えば、図7及び図8に示すように、バルブ金属部材15の表面15aに、陽極酸化膜16が形成され、陽極酸化膜16の周囲にフレーム部15dがある。また、図9に示すように、陽極酸化膜16の表面16aと、フレーム部15dの表面とは、略同一面である。
上述のように、図3に示す陽極酸化膜形成工程と、図4に示す、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成する工程とが、構造体18を得る形成工程である。
〔アルミニウム基板〕
アルミニウム基板は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハ、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
アルミニウム基板のうち、陽極酸化処理により陽極酸化膜を形成する片側の表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上述の範囲であると、マイクロポア配列の規則性が十分となる。
アルミニウム基板は、陽極酸化膜を形成することができれば、特に限定されるものでなく、例えば、JIS(Japanese Industrial Standards) 1050材、及び1070材が用いられる。
アルミニウム基板のうち陽極酸化処理される片側の表面は、予め熱処理、脱脂処理及び鏡面仕上げ処理が施されていることが好ましい。
ここで、熱処理、脱脂処理及び鏡面仕上げ処理については、特開2008-270158号公報の[0044]~[0054]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
陽極酸化処理の前の鏡面仕上げ処理は、例えば、電解研磨であり、電解研磨には、例えば、リン酸を含有する電解研磨液が用いられる。
ここで、バルブ金属としては、具体的には、例えば、上述のアルミニウム以外に、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。
〔陽極酸化処理工程〕
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、マイクロポア配列の規則性を高くし、金属充填微細構造体の異方導電性を担保する観点から、自己規則化法又は定電圧処理を用いることが好ましい。
ここで、陽極酸化処理の自己規則化法及び定電圧処理については、特開2008-270158号公報の[0056]~[0108]段落及び[図3]に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜には、上述のようにマイクロポアの底部にバリア層(図示せず)が存在する。このバリア層を除去するバリア層除去工程を有する。
〔バリア層除去工程〕
バリア層除去工程は、例えば、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いて、陽極酸化膜のバリア層を除去する工程である。
上述のバリア層除去工程により、バリア層が除去され、かつ、マイクロポアの底部に、金属M1からなる導電体層が形成されることになる。
ここで、水素過電圧(hydrogen overvoltage)とは、水素が発生するのに必要な電圧をいい、例えば、アルミニウム(Al)の水素過電圧は-1.66Vである(日本化学会誌,1982、(8),p1305-1313)。なお、アルミニウムの水素過電圧よりも高い金属M1の例及びその水素過電圧の値を以下に示す。
<金属M1及び水素(1N H2SO4)過電圧>
・白金(Pt):0.00V
・金(Au):0.02V
・銀(Ag):0.08V
・ニッケル(Ni):0.21V
・銅(Cu):0.23V
・錫(Sn):0.53V
・亜鉛(Zn):0.70V
貫通孔17(細孔)は、マイクロポアを拡径し、かつバリア層を除去して形成することもできる。この場合、マイクロポアの拡径には、ポアワイド処理が用いられる。ポアワイド処理は、陽極酸化膜を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬させることにより、陽極酸化膜を溶解させ、マイクロポアの孔径を拡大する処理である、ポアワイド処理には、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸又はこれらの混合物の水溶液、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等の水溶液を用いることができる。
なお、ポアワイド処理でも、マイクロポアの底部のバリア層を除去することができ、ポアワイド処理において水酸化ナトリウム水溶液を用いることにより、マイクロポアが拡径され、かつバリア層が除去される。
ポアワイド処理は、バリア層除去工程と同様に、導電体層を形成することができない。このため、ポアワイド処理後、改めてアルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含む水溶液を用いて処理して導電体層を形成してもよく、更に異なる金属を含む水溶液で複数段階の処理を施して導電体層を形成してもよい。
次に、図4の状態からマスク12を外す(図5参照)。そして、図5に示す構造体18に対して、陽極酸化膜16の複数の貫通孔17に、金属を充填する充填工程を実施する。構造体18に対して、陽極酸化膜16の複数の貫通孔17の内部に金属を充填することにより、図6に示すように、導電性を有する導通路20が形成され、金属充填部材21を得る。なお、金属を充填する充填工程は、後に詳細に説明する。
充填工程では、陽極酸化膜16の複数の貫通孔17の内部に金属を充填すればよいが、図5、図10及び図11に示すように、構造体18の表面、すなわち、金属充填部材21のフレーム部15d上及び陽極酸化膜16の表面16a上に、金属層19を形成することにより、金属を複数の貫通孔17に充填してもよい。この場合、フレーム部15d上に金属層19を、厚みδ(図5及び図11)100μm以下に形成することが好ましい。金属層19の厚みδの下限値としては、例えば、2μmである。
金属層19の厚みδが2~100μmであれば、導通路20が保護され、金属充填部材21の搬送時に、陽極酸化膜16、及び導通路20等の損傷が抑制される。なお、金属層19の厚みδは、例えば、めっき時間を長くすることにより、厚くすることができる。充填工程では、陽極酸化膜16の表面16aを超えて、金属を充填することにより、フレーム部15d上に金属層19が形成される。
充填工程では、陽極酸化膜16の表面16a迄、貫通孔17内に金属を充填して、金属層19を設けない工程としてもよい。
金属層19の厚みδは、金属充填部材21を厚み方向に対して切断し、FE-SEM(Field emission - Scanning Electron Microscope)を用いて切断断面の断面観察を行い、10点測定した平均値である。
また、バルブ金属部材15の底部15eの厚み、特に限定されるものではないが、20μm以上あることが好ましく、30~50μmであることが更に好ましい。
上述のバルブ金属部材15の底部15eの厚みは、上述の金属層19の厚みδと同じく、金属充填部材21を厚み方向に対して切断し、FE-SEMを用いて切断断面の断面観察を行い、10点測定した平均値である。
上述の金属を充填する充填工程により、金属充填部材21が得られる。次に、金属充填部材21を、相対湿度10~30%の環境に24時間以上さらす保持工程を実施する。保持工程については、金属充填部材21を、相対湿度10~30%の環境に24時間以上さらす工程であれば、その工程は特に限定されるものではなく、保持工程については後に説明する。
〔充填工程〕
<充填される金属>
上述の貫通孔17の内部に、導電性物質として充填される金属は、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料であることが好ましく、その具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、及び亜鉛(Zn)が好適に例示される。
なお、導電性物質としては、電気伝導性の観点から、Cu、Au、Al、Niが好ましく、Cu、Auがより好ましく、Cuが更に好ましい。
<充填方法>
貫通孔の内部に金属を充填する電解めっき処理方法としては、例えば、電解めっき法又は無電解めっき法を用いることができる。
ここで、着色等に用いられる従来公知の電解めっき法では、選択的に孔中に金属を高アスペクトで析出(成長)させることは困難である。これは、析出金属が孔内で消費され一定時間以上電解を行なってもめっきが成長しないためと考えられる。
そのため、電解めっき法により金属を充填する場合は、パルス電解又は定電位電解の際に休止時間をもうける必要がある。休止時間は、10秒以上必要で、30~60秒であることが好ましい。
また、電解液のかくはんを促進するため、超音波を加えることも望ましい。
更に、電解電圧は、通常20V以下であって望ましくは10V以下であるが、使用する電解液における目的金属の析出電位を予め測定し、その電位+1V以内で定電位電解を行なうことが好ましい。なお、定電位電解を行なう際には、サイクリックボルタンメトリを併用できるものが望ましく、Solartron社、BAS株式会社、北斗電工株式会社、IVIUM社等のポテンショスタット装置を用いることができる。
上述の電解めっき処理方法では、定電流電解を用いることも可能であるが、電解時の電圧が上述の電解電圧と同じ範囲になるよう電流値を設定することが好ましい。この場合、通常の直流電源を利用することができ、例えば、松定プレシジョン株式会社、株式会社高砂製作所、菊水電子工業株式会社、株式会社テクシオテクノロジー等の公知の装置を用いることができる。また、上述の電解めっき処理方法では、めっき処理で常用されるパルス電解を用いることもできる。
めっき液は、従来公知のめっき液を用いることができる。
具体的には、銅を析出させる場合には硫酸銅を含む水溶液が一般的に用いられるが、硫酸銅の濃度は、1~300g/Lであることが好ましく、100~200g/Lであるのがより好ましい。また、電解液中に塩酸を添加すると析出を促進することができる。この場合、塩酸濃度は10~20g/Lであることが好ましい。
また、めっき液は酸を含んでいてもよく、その酸濃度は0.01~1mol/Lであることが好ましい。
電解液は添加剤を添加してもよく、電解液に添加する添加剤としては、例えば、以下に示すものがある。また、添加剤により、以下に示す作用が得られる。
添加剤としては、光沢剤、平滑化剤と呼ばれる添加成分を添加することも可能である。付着抑制作用では、分子又はイオンが単独で吸着又は析出し、めっき反応を抑制する。サッカリン、ベンゾチアゾール、チオ尿素、ヤヌスグリーンB(JGB)、ベンゼルアセトン、鉛、ビスマス等が付着抑制作用を有するものに該当する。
界面錯形成作用では、表面吸着した微量の錯体形成イオンが、金属イオンに配位してイオンブリッジ又はエレクトロブリッジを形成することにより析出反応を促進する。塩化物イオン、CN、SCN、硫黄系化合物(チオ尿素、3,3´-ジチオビス(1-プロパンスルホン酸)二ナトリウム(SPS)、ジメルカプトチアゾール(DMTD)等)、ホウ酸、シュウ酸、マロン酸等がこれに当たると考えられている。
皮膜形成作用では、界面活性剤あるいは高分子が、めっき表面にマイルドに付着して皮膜を形成し、めっき反応を抑制する。PEG(ポリエチレングリコール)、ポリエチレングリコールモノ-4-ノニルフェニルエーテル(PEGNPE)、ポリビニルアルコール、ゼラチン等が代表例である。
電解消耗機構では、分子又はイオンがめっき表面で迅速に電解還元され、その反応はそれらの分子又はイオンの表面への拡散輸送によって律速される。これにより、めっきの表面形状の凹凸が小さくなる。不飽和アルコール(ブチンジオール、プロパルギルアルコール、クマリン等)、NO 、Fe 等が代表例である。
また、めっき液は、表面張力を調整しできるだけ低くすることも好ましく、表面張力としては、純水よりも低い60mN/m以下にすることが好ましい。表面張力の調整のために界面活性剤又は有機溶媒を添加することもできる。
めっき液は、pH(水素イオン指数)を調整することが好ましく、pHは1以上であることが望ましい。
なお、金を析出させる場合、テトラクロロ金の硫酸溶液を用い、交流電解でめっきを行なうのが望ましい。
また、無電解めっき法では、アスペクトの高い貫通孔からなる孔中に金属を完全に充填には長時間を要するので、電解めっき法を用いて貫通孔に金属を充填することが望ましい。
保持工程の後、金属充填部材21に対して、図12に示すように、樹脂基材22を用いて、陽極酸化膜16の裏面16bに支持体24を設ける。
樹脂基材22は、例えば、機能性吸着フィルムが用いられる。機能性吸着フィルムとしては、Q-chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)等を使用することができる。
支持体24は、陽極酸化膜16と同じ外形状であることが好ましい。支持体24は、後工程で陽極酸化膜16を支持する。支持体24を取り付けることにより、取扱い性が増す。
次に、図13に示すように、例えば、金属充填部材21の金属層19を除去する金属層除去工程を実施する。金属層除去工程では、例えば、粘着テープを用いて金属層19を剥離する。複数の貫通孔17は平均直径が1μm以下と小さく、粘着テープを用いて、金属層を容易に除去できる。
なお、金属層除去工程は、金属層19を除去できれば、その方法については特に限定されるものではない。
図13に示す金属層19が除去された状態で、陽極酸化膜16の表面16aを平滑化する表面平滑化処理工程を有することが好ましい。表面平滑化処理工程の平滑化は、化学的機械的研磨(CMP)、ドライエッチング又は研削を用いることができ、また、化学的機械的研磨(CMP)、ドライエッチング及び研削を組み合わせて平滑化してもよい。化学的機械的研磨(CMP)を行う場合、異なる砥粒を組み合わせて研磨してもよく、いずれの方法においても、仕上がりの表面粗さ(算術平均粗さRa(JIS B 0601:2001)は0.02μm以下にすることが好ましい。
金属層除去工程の後に、表面平滑化処理工程を実施することにより、表面平滑化処理工程において、研磨量等を少なくすることができ、研磨を容易に実施できる。これにより、表面平滑化処理に要する時間を短縮でき、かつ容易に平滑化できる。
上述の金属層除去工程と表面平滑化処理工程とは、保持工程後になされる。上述の金属層除去工程及び表面平滑化処理工程は、バルブ金属部材15の裏面に、搬送等のハンドリングのために、支持部材が設けられている。
表面平滑化処理工程の後、図14に示すように、支持体24が取り付けられた形態で、陽極酸化膜16及びフレーム部15dを厚み方向Dtに一部除去し、上述の充填した金属を陽極酸化膜16の表面16aよりも突出させてもよい。すなわち、導通路20を陽極酸化膜16の表面16aから突出させてもよい。陽極酸化膜16の表面16aから導通路20が突出した部分を突出部20aという。上述の充填した金属を陽極酸化膜16の表面16aよりも突出させる工程のことを金属突出工程という。
〔金属突出工程〕
上述の陽極酸化膜16の一部除去には、例えば、導通路20を構成する金属を溶解せず、陽極酸化膜16、すなわち、酸化アルミニウム(Al)を溶解する酸水溶液又はアルカリ水溶液が用いられる。上述の酸水溶液又はアルカリ水溶液を、金属が充填された貫通孔17を有する陽極酸化膜16を接触させることにより、陽極酸化膜16を一部除去する。上述の酸水溶液又はアルカリ水溶液を陽極酸化膜16に接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法及びスピンプロセシング法等が挙げられる。中でも均一性の観点からスピンプロセッサーを用いた処理方法が好ましい。スピンプロセッサーとしては、三益半導体工業株式会社、株式会社日立ハイテクノロジーズ、株式会社SCREENホールディングス、大日本スクリーン、アクテス京三株式会社、株式会社カナメックス等の公知の製品を用いることができる。
酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸及び塩酸等の無機酸又はこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でもクロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1~10質量%であることが好ましい。酸水溶液の温度は、25~60℃であることが好ましい。
また、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1~5質量%であることが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20~35℃であることが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液又は0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液又はアルカリ水溶液への浸漬時間は、8~120分であることが好ましく、10~90分であるのがより好ましく、15~60分であるのが更に好ましい。ここで、浸漬時間は、短時間の浸漬処理を繰り返した場合には、各浸漬時間の合計をいう。なお、各浸漬処理の間には、洗浄処理を施してもよく、また、中和処理を施してもよい。
また、金属を陽極酸化膜16の表面16aより突出させる程度であるが、作製される金属充填微細構造体32を異方導電性部材として用いた際に、配線基板等の被接着物との圧着性が良好となる理由から、金属を陽極酸化膜16の表面16aよりも10nm~1000nm突出させることが好ましく、50nm~500nm突出させることがより好ましい。すなわち、突出部20aの表面16aからの突出量は10nm~1000nmが好ましく、より好ましくは50nm~500nmである。
導通路20の突出部20aの高さを厳密に制御する場合は、貫通孔17の内部に金属を充填した後、陽極酸化膜16と導通路20の端部とを同一平面状になるように加工した後、陽極酸化膜を選択的に除去することが好ましい。
また、上述の金属の充填後、又は金属突出工程の後に、金属の充填に伴い発生した導通路20内の歪みを軽減する目的で、加熱処理を施すことができる。
加熱処理は、金属の酸化を抑制する観点から還元性雰囲気で施すことが好ましく、具体的には、酸素濃度が20Pa以下で行うことが好ましく、真空下で行うことがより好ましい。ここで、真空とは、大気よりも、気体密度及び気圧のうち、少なくとも一方が低い空間の状態をいう。
また、加熱処理は、矯正の目的で、陽極酸化膜16に応力を加えながら行うことが好ましい。
また、乾燥時の水の表面張力による突出部同士の収束を抑制するために、超臨界乾燥を施すことが好ましい。超臨界乾燥には、例えば、超臨界洗浄乾燥装置(SCRD6、株式会社レクザム社製)等を用いることができる。
陽極酸化膜16に支持体24を用けることにより、陽極酸化膜16単体を取扱うことに比して陽極酸化膜16の損傷を抑制することができ、取扱いが容易になる。
ここで、取扱いとは、陽極酸化膜16を保持すること、ならびに陽極酸化膜16の移送、搬送及び運搬等の陽極酸化膜16を移動させることをいう。取扱いが容易とは、上述の陽極酸化膜16の保持の際、及び上述の陽極酸化膜16の移動の際に、陽極酸化膜16の損傷等を抑制できることをいう。取扱いが容易であることにより、例えば、充填した金属を陽極酸化膜16の表面16aよりも突出させるが、この金属の損傷を抑制することができる。
図14に示すように充填した金属が陽極酸化膜16の表面16aよりも突出しているため、突出した金属、すなわち、導通路20の突出部20aを保護することが好ましい。このため、図15に示すように導通路20の突出部20aが埋設する樹脂層26を、陽極酸化膜16の表面16aに形成することが好ましい。樹脂層26を設ける工程を樹脂層形成工程という。金属充填微細構造体の製造方法には樹脂層形成工程が含まれてもよい。
樹脂層26により、導通路20の突出部20aが保護され、金属充填微細構造体の搬送性をより向上させることができ、より取扱いが容易になる。樹脂層26は粘着性を備えるものであり、接着性を付与するものである。
樹脂層26は、例えば、従来公知の表面保護テープ貼付装置及びラミネーターを用いて形成することができる。樹脂層26を設けることにより、金属充填微細構造体の搬送性を向上させることができる。
〔樹脂層形成工程〕
樹脂層26を構成する樹脂材料としては、具体的には、例えば、エチレン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びセルロース系樹脂等を挙げることができるが、搬送性の観点と、異方導電性部材として使用しやすくする観点から、上述の樹脂層は、剥離可能な粘着層付きフィルムであることが好ましく、加熱処理又は紫外線露光処理により粘着性が弱くなり、剥離可能となる粘着層付きフィルムであるのがより好ましい。
上述の粘着層付きフィルムは特に限定されず、熱剥離型の樹脂層、及び紫外線(ultraviolet:UV)剥離型の樹脂層等が挙げられる。
ここで、熱剥離型の樹脂層は、常温では粘着力があり、加熱するだけで容易に剥離可能なもので、主に発泡性のマイクロカプセル等を用いたものが多い。
また、粘着層を構成する粘着剤としては、具体的には、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン-ジエンブロック共重合体系粘着剤等が挙げられる。
また、UV剥離型の樹脂層は、UV硬化型の接着層を有するもので硬化により粘着力が失われて剥離可能になるというものである。
UV硬化型の接着層としては、ベースポリマーに、炭素-炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に導入したポリマー等が挙げられる。炭素-炭素二重結合を有するベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とすることが好ましい。
更に、アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。
炭素-炭素二重結合を有するベースポリマーは単独で使用することができるが、UV硬化性のモノマー又はオリゴマーを配合することもできる。
UV硬化型の接着層は、UV照射により硬化させるために光重合開始剤を併用することが好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル系化合物;ケタール系化合物;芳香族スルホニルクロリド系化合物;光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。
熱剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、WS5130C02、WS5130C10等のインテリマー〔登録商標〕テープ(ニッタ株式会社製);ソマタック〔登録商標〕TEシリーズ(ソマール株式会製);No.3198、No.3198LS、No.3198M、No.3198MS、No.3198H、No.3195、No.3196、No.3195M、No.3195MS、No.3195H、No.3195HS、No.3195V、No.3195VS、No.319Y-4L、No.319Y-4LS、No.319Y-4M、No.319Y-4MS、No.319Y-4H、No.319Y-4HS、No.319Y-4LSC、No.31935MS、No.31935HS、No.3193M、No.3193MS等のリバアルファ〔登録商標〕シリーズ(日東電工株式会社製);等が挙げられる。
UV剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、ELP DU-300、ELP DU-2385KS、ELP DU-2187G、ELP NBD-3190K、ELP UE-2091J等のエレップホルダー〔登録商標〕(日東電工株式会社製);Adwill D-210、Adwill D-203、Adwill D-202、Adwill D-175、Adwill D-675(いずれもリンテック株式会社製);スミライト〔登録商標〕FLSのN8000シリーズ(住友ベークライト株式会社製);UC353EP-110(古河電気工業株式会社製);等のダイシングテープを利用することができる。その他、UV剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、ELP RF-7232DB、ELP UB-5133D(いずれも日東電工株式会社製);SP-575B-150、SP-541B-205、SP-537T-160、SP-537T-230(いずれも古河電気工業株式会社製);等のバックグラインドテープを利用することができる。
上述の粘着層付きフィルムは、公知の表面保護テープ貼付装置及びラミネーターを用いて貼り付けることができる。
樹脂層26の形成方法としては、上述の方法以外に、例えば、後述の酸化防止材料、高分子材料、溶媒(例えば、メチルエチルケトン等)等を含有する樹脂組成物を陽極酸化膜16の表面及び裏面ならびに導通路の突出部に塗布し、乾燥させ、必要に応じて焼成する方法等が挙げられる。
樹脂組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、エアナイフコート法、スクリーンコート法、バーコート法、及びカーテンコート法等の従来公知のコーティング方法が使用できる。
また、塗布後の乾燥方法は特に限定されず、例えば、大気下において0℃~100℃の温度で、数秒~数十分間、加熱する処理、減圧下において0℃~80℃の温度で、十数分~数時間、加熱する処理等が挙げられる。
また、乾燥後の焼成方法は、使用する高分子材料により異なるため特に限定されないが、ポリイミド樹脂を用いる場合には、例えば、160℃~240℃の温度で2分間~60分間加熱する処理等が挙げられ、エポキシ樹脂を用いる場合には、例えば、30℃~80℃の温度で2分間~60分間加熱する処理等が挙げられる。
次に、図15に示す支持体24を陽極酸化膜16から取り除く。この場合、樹脂基材22を起点として支持体24を陽極酸化膜16から取り除く。
次に、図16に示すように、樹脂層26の表面26aに剥離層27を積層する。剥離層27は、支持層28と剥離剤29が積層されたものである。剥離剤29が樹脂層26に接している。例えば、予め定められた温度に加熱することで、剥離剤29の接着力が弱まり、剥離層27を取り除くことができる。
剥離剤29には、例えば、日東電工社製リバアルファ(登録商標)及びソマール株式会社製ソマタック(登録商標)等を用いることができる。
次に、両面粘着剤30を用いて、剥離層27に、例えば、支持部材31を取り付ける。支持部材31は支持層28に対向して配置される。支持部材31は、陽極酸化膜16と同じ外形状である。支持部材31は、後工程で支持体の役割を果たす。支持部材31を取り付けることにより、取扱い性が増す。
両面粘着剤30は、剥離層27の支持層28と支持部材31とを接着することができれば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、日東電工社製の両面タイプのリバアルファ(登録商標)を用いることができる。
支持部材31は、陽極酸化膜16を支持するものであり、例えば、シリコン基板で構成されている。支持部材31としては、シリコン基板以外に、例えば、SiC、SiN、GaN及びアルミナ(Al)等のセラミックス基板、ガラス基板、繊維強化プラスティック基板、ならびに金属基板を用いることができる。繊維強化プラスティック基板には、プリント配線基板であるFR-4(Flame Retardant Type 4)基板等も含まれる。
次に、陽極酸化膜16の裏面16bを研磨する。陽極酸化膜16の裏面16bの研磨では、陽極酸化膜16の裏面16bと導通路20の端面(図示せず)とが、同一面となる状態まで平坦化する。上述の陽極酸化膜16の裏面16bの研磨は、上述の図13に示す陽極酸化膜16の表面16aに対してした表面平滑化処理工程と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
上述のように、複数の導通路20を有する陽極酸化膜16の表面16aに対して表面平滑化処理工程を実施した後、複数の導通路20を有する陽極酸化膜16の裏面16bに対して表面平滑化処理工程を実施したが、少なくとも一方の面に上述の表面平滑化処理工程を実施すればよい。
例えば、陽極酸化膜16の表面16a及び裏面16bを、それぞれセンサ(図示せず)を用いて反射率を計測し、反射率の値が、予め定められた範囲にあれば研磨をすることなく、次の工程に移行するようにしてもよい。
次に、図17に示すように、陽極酸化膜16及びフレーム部15dを厚み方向Dtに一部除去し、上述の充填した金属を陽極酸化膜16の裏面16bよりも突出させる。すなわち、導通路20を陽極酸化膜16の裏面16bから突出させる。陽極酸化膜16の裏面16bから導通路20が突出した部分を突出部20bという。
上述の充填した金属を陽極酸化膜16の裏面16bよりも突出させる工程は、上述の金属突出工程と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、図18に示すように、陽極酸化膜16の裏面16bの導通路20の突出部20bが埋設する樹脂層26を、陽極酸化膜16の裏面16bに形成する。これにより、図18に示す金属充填微細構造体32を得ることができる。
なお、導通路20の突出部20bが埋設する樹脂層26の形成方法は、上述の樹脂層形成工程と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
図18に示すように、陽極酸化膜16の両面に樹脂層26が形成された状態で、陽極酸化膜16外縁部にフレーム部15dが残存している。この外縁部に残存したフレーム部15dを、溶解、又は研削等の物理的な方法を用いて除去してもよい。これにより、図19に示すように、陽極酸化膜16単体の金属充填微細構造体32を得ることができる。なお、陽極酸化膜16を破損等することなく、バルブ金属部材15を取り除くことができれば、溶解に限定されるものではない。アルミニウム基板等のバルブ金属部材15を取り除くことをバルブ金属部材除去工程という。バルブ金属部材除去工程については後に説明する。
金属充填微細構造体32の形状が、例えば、円板状であれば、金属充填微細構造体32の搬送に、半導体ウエハの搬送等に利用される装置を利用することができ、金属充填微細構造体32の取扱いに特別な装置は不要である。
〔バルブ金属部材除去工程〕
バルブ金属部材15を溶解する処理液は、アルミニウム基板の場合、アルミニウム基板の溶解は、アルミニウムの陽極酸化膜16を溶解しにくく、アルミニウムを溶解しやすい処理液を用いることが好ましい。アルミニウムに対する溶解速度が、1μm/分以上であることが好ましく、3μm/分以上であるのがより好ましく、5μm/分以上であるのが更に好ましい。同様に、陽極酸化膜に対する溶解速度が、0.1nm/分以下となることが好ましく、0.05nm/分以下となるのがより好ましく、0.01nm/分以下となるのが更に好ましい。
具体的には、アルミよりもイオン化傾向の低い金属化合物を少なくとも1種含み、かつ、pH(水素イオン指数)が4以下又は8以上となる処理液であることが好ましく、そのpHが3以下又は9以上であるのがより好ましく、2以下又は10以上であるのが更に好ましい。
このような処理液としては、酸又はアルカリ水溶液をベースとし、例えば、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀、銀、パラジウム、白金、金の化合物(例えば、塩化白金酸)、これらのフッ化物、これらの塩化物等を配合したものであることが好ましい。
中でも、酸水溶液ベースが好ましく、塩化物をブレンドすることが好ましい。
特に、塩酸水溶液に塩化水銀をブレンドした処理液(塩酸/塩化水銀)、塩酸水溶液に塩化銅をブレンドした処理液(塩酸/塩化銅)が、処理ラチチュードの観点から好ましい。
なお、このような処理液の組成は特に限定されず、例えば、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、王水等を用いることができる。
また、このような処理液の酸又はアルカリ濃度は、0.01~10mol/Lが好ましく、0.05~5mol/Lがより好ましい。
更に、このような処理液を用いた処理温度は、-10℃~80℃が好ましく、0℃~60℃が好ましい。
また、上述のバルブ金属部材15の溶解は、上述の金属層除去工程後に、バルブ金属部材15を上述の処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸漬法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒~5時間が好ましく、1分~3時間がより好ましい。
[金属充填微細構造体の製造方法の第2の例]
図20~図24は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第2の例を工程順に示す模式的断面図である。なお、図20~図24において、図6に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
金属充填微細構造体の製造方法の第2の例は、金属充填微細構造体の製造方法の第1の例に比して、バルブ金属部材11の表面11aの外縁11bにだけマスク12(図4参照)を形成するのではなく、開口13aを有するマスク13をバルブ金属部材11の表面11aの外縁11bに配置する点が異なり、それ以外は、金属充填微細構造体の製造方法の第1の例と同様にして、図6に示す金属充填部材21ならびに図18及び図19に示す金属充填微細構造体32を得ることができる。
図20に示すように、バルブ金属部材11の表面11a上に、開口13aを有するマスク13を配置する。次に、図21に示すように、バルブ金属部材11の表面11aの外縁11bにマスク13を設置する。このとき、バルブ金属部材11の表面11aにおいて、マスク13の開口13aに相当する領域11cが陽極酸化膜11d(図22参照)の形成領域である。
次に、バルブ金属部材11を電極とした陽極酸化処理を実施し、バルブ金属部材11のうち、マスク13で囲まれた領域11cに陽極酸化膜に形成する陽極酸化膜形成工程を行う。陽極酸化膜形成工程は、上述の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例と同じであるため、その詳細な説明は省略する。陽極酸化膜形成工程では、上述の領域11cに陽極酸化膜11dが形成されるが、マスク13下のバルブ金属部材11は陽極酸化されない。
陽極酸化処理後、図23に示すように、マスク13を、バルブ金属部材11の表面11aから離す。次に、図23に示す陽極酸化膜11dに対して、バリア層を除去して、陽極酸化膜11dに、図24に示すように、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成し、陽極酸化膜11dで構成された陽極酸化膜16を得る。
次に、図24に示す構造体18に対して、陽極酸化膜16の複数の貫通孔17に、金属を充填する充填工程を実施する。構造体18に対して、陽極酸化膜16の複数の貫通孔17の内部に、陽極酸化膜16の表面16aを超えて金属を充填することにより、上述の図6に示すように金属層19が形成される。これにより、図6に示す金属充填部材21が形成される。金属層19の形成方法は、上述の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
[金属充填微細構造体の製造方法の第3の例]
図25~図29は本発明の実施形態の充填微細構造体の第3の例を工程順に示す模式的断面図である。なお、図25~図29において、図6に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
金属充填微細構造体の製造方法の第3の例は、金属充填微細構造体の製造方法の第1の例に比して、バルブ金属部材の表面11a全面を陽極酸化処理する点、陽極酸化膜を除去してフレーム部を形成する点が異なり、それ以外は、金属充填微細構造体の製造方法の第1の例と同様にして、図6に示す金属充填部材21ならびに図18及び図19に示す金属充填微細構造体32を得ることができる。
金属充填微細構造体の製造方法の第3の例では、金属充填微細構造体の製造方法の第1の例と同様に、バルブ金属部材11(図1参照)を用意する。次に、バルブ金属部材11の表面11a全面を陽極酸化処理し、バルブ金属部材11の底部11e(図3参照)を残して陽極酸化膜11d(図3参照)を形成する。更に陽極酸化膜11dに対して、バリア層を除去して、陽極酸化膜11dに、図25に示すように、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成し、陽極酸化膜で構成された陽極酸化膜16を得る。陽極酸化膜16の下方にバルブ金属部材11(図3参照)の一部である底部11e(図3参照)が残存しており、底部11eがバルブ金属部材15の底部15e(図25参照)である。陽極酸化膜16は厚みHが200μm未満であることが好ましい。厚みHが200μm未満であれば、陽極酸化膜16とバルブ金属部材15とが同一面にあるとみなすことができる。
次に、図26に示すように、陽極酸化膜16の表面16aに、陽極酸化膜16の外縁16e以外にマスク14を配置する。この状態で、陽極酸化膜16が溶解し、かつバルブ金属部材15が溶解しない特性を有する液体を用いて、陽極酸化膜16の外縁16eを溶解する。これにより、図27に示すように、バルブ金属部材15の底部15eが露出する。
なお、マスク14は、陽極酸化膜16が溶解し、かつバルブ金属部材15が溶解しない特性を有する液体に対して溶解しないものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、レジスト膜が用いられる。マスク14に用いるレジスト膜は、陽極酸化膜16の表面16a全面にレジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて、陽極酸化膜16の外縁16eのレジスト膜を除去して形成することができる。
上述の陽極酸化膜16が溶解し、かつバルブ金属部材15が溶解しない特性を有する液体としては、酸化アルミニウム(Al)を溶解する酸水溶液又はアルカリ水溶液が用いられる。具体的には、例えば、塩化銅を含む塩酸水溶液が用いられる。
次に、図28に示すように、陽極酸化膜16の表面16aからマスク14を除去する。これにより、バルブ金属部材15と、陽極酸化膜16とを有する構造体18を得る。
陽極酸化膜16の表面16aと、フレーム部15dの上面との差、すなわち、陽極酸化膜16の厚みHは200μm未満である。このため、陽極酸化膜16の表面16aと、フレーム部15dの上面とは略同一面にある。
なお、マスク14は、例えば、レジスト膜であれば、アッシングを用いて除去することができる。
次に、図28に示す構造体18に対して、陽極酸化膜16の複数の貫通孔17に、金属を充填する充填工程を実施する。構造体18に対して、陽極酸化膜16の複数の貫通孔17の内部に、陽極酸化膜16の表面16aを超えて金属を充填することにより、図29に示すように、金属層19aが形成される。これにより、金属充填部材21を得る。このとき、金属層19aを形成することにより、導電性を有する導通路20が形成されて、金属充填部材21が形成される。金属層19aの形成方法は、上述の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例の金属層19の形成方法と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
なお、マスク14を配置して陽極酸化膜16の外縁16eを溶解したが、これに限定されるものではなく、陽極酸化膜16の外縁16eを、研削又はレーザー光等により物理的に削りとってもよい。また、陽極酸化膜16の外縁16eに、例えば、陽極酸化膜が溶解し、かつバルブ金属部材が溶解しない特性を有する液体を、インクジェット法を用いて吹き付けて、陽極酸化膜16の外縁16eを選択的に溶解させてもよい。
[金属充填微細構造体の製造方法の第4の例]
図30~図34は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の第4の例を工程順に示す模式的断面図である。なお、図30~図34において、図6に示す構成と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
金属充填微細構造体の製造方法の第4の例は、金属充填微細構造体の製造方法の第1の例に比して、絶縁支持体61の表面61aに部分的に、導電性を有する導電層62が形成された電極体60を用いてバルブ金属部材11を陽極酸化処理する点が異なり、それ以外は、金属充填微細構造体の製造方法の第1の例と同様にして、図6に示す金属充填部材21ならびに図18及び図19に示す金属充填微細構造体32を得ることができる。
金属充填微細構造体の製造方法の第4の例では、図30に示すように、まず、矩形状の絶縁支持体61の表面61aに部分的に、導電性を有する導電層62が形成された電極体60を用意する。電極体60は、陽極酸化処理の際の電極として用いるものである。
導電層62は、絶縁支持体61の表面61aにレジスト層63を形成し、例えば、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより、部分的にレジスト層63を取り除く。次に、例えば、レジスト層63上にシード層(図示せず)を形成し、めっきにより導電層62を形成する。導電層62を形成する際、平坦化処理により、レジスト層63と導電層62との表面を平坦にする。なお、導電層62は、めっきにより形成したが、導電層62の形成方法は、特に限定されるものではない。
次に、図31に示すように、電極体60の導電層62を覆うバルブ金属部材11を設ける。バルブ金属部材11は、金属充填部材21の陽極酸化膜16(図33参照)、すなわち、陽極酸化膜の厚み、又は最終的に得られる金属充填微細構造体32(図34参照)の陽極酸化膜16の厚み、加工する装置等に応じて大きさ及び厚みが適宜決定されるものである。バルブ金属部材11は、例えば、矩形状の板材である。
バルブ金属部材11としては、上述のようにアルミニウム基板が用いられる。
なお、バルブ金属部材11は、例えば、アルミニウム基板を用意してもよいが、電極体60上にバルブ金属部材11を形成してもよい。この場合、バルブ金属層形成工程では、例えば、導電層62の表面62aとレジスト層63の表面63aに、例えば、蒸着法によりバルブ金属部材11として、アルミニウム基板を形成する。
次に、導電層62を電極とした陽極酸化処理を実施し、バルブ金属部材11のうち、導電層62上の領域のバルブ金属部材11を陽極酸化膜に形成する陽極酸化膜形成工程を行う。なお、陽極酸化膜は絶縁性基材である。バルブ金属部材11を陽極酸化処理することにより陽極酸化膜11dが形成される。
陽極酸化膜形成工程では、導電層62を陰極の電極とし、バルブ金属部材11を陽極の電極として、陽極酸化処理を実施する。これにより、導電層62上のバルブ金属部材11が陽極酸化されて、図32に示すようにバルブ金属部材15の領域15cに陽極酸化膜11dが形成される。陽極酸化処理において、例えば、導電層62に引出し電極が設けられていれば、引出し電極を利用して導電層62に直流電流を印加する。
陽極酸化処理では、上述のように電極体60の導電層62を電極として用いており、電極体60の導電層62上のバルブ金属部材11(図31参照)が、陽極酸化膜11dが形成される領域11c(図31参照)となり、レジスト層63上のバルブ金属部材11(図31参照)がバルブ金属部材15の外縁15bであり、フレーム部15dになる。
上述の領域11cに陽極酸化膜11dが形成されるが、レジスト層63上のバルブ金属部材11は陽極酸化されない。このように、バルブ金属部材11が全て陽極酸化膜11dにならず、陽極酸化処理後でもバルブ金属部材11のままの領域がある。これにより、バルブ金属部材15の外縁15bに、バルブ金属部材11で構成された、バルブ金属部材15のフレーム部15dが配置される。フレーム部15dより囲まれる領域15cに陽極酸化膜16として、陽極酸化膜11d(図32参照)が形成される。
陽極酸化処理では、導電層62上のバルブ金属部材11は全て陽極酸化膜11dにできるが、陽極酸化処理時間等を調整することにより、導電層62上のバルブ金属部材11の一部を陽極酸化膜11dに形成することができる。図32では導電層62と、陽極酸化膜である陽極酸化膜16との間にバルブ金属部材15が存在する。
なお、バルブ金属部材11がアルミニウムで構成されているため、酸化膜として、陽極酸化膜11dが形成され、陽極酸化膜11dはAl膜で構成される。
陽極酸化膜11dは形成した時点で、複数のマイクロポアが存在する。しかしながら、複数のマイクロポアのうち、厚み方向Dtに貫通していないマイクロポアもある。また、マイクロポアの底部にはバリア層(図示せず)が存在する。このため、図32に示す陽極酸化膜11dに対して、バリア層を除去して、陽極酸化膜11dに、図33に示すように、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成し、陽極酸化膜11dで構成された陽極酸化膜16を得る。
以上の工程により、バルブ金属部材15の外縁15bに配置されたフレーム部15dで囲まれる領域15cに、複数の細孔(貫通孔17)を有する陽極酸化膜16(陽極酸化膜)を形成することにより、バルブ金属部材15と、陽極酸化膜16(陽極酸化膜)とを有する構造体18を得る。例えば、図33に示すように、バルブ金属部材15の表面15aに、陽極酸化膜16(陽極酸化膜)が形成され、陽極酸化膜16の周囲にフレーム部15dがある。また、図示はしないが陽極酸化膜16の表面16aと、フレーム部15dの上面とは、略同一面である。
上述のように、図32に示す陽極酸化膜形成工程と、図33に示す、厚み方向Dtに延在する貫通孔17を複数形成する工程とが、構造体18を得る形成工程である。
次に、図34に示すように、構造体18に対して、陽極酸化膜16の複数の貫通孔17に、金属を充填する充填工程を実施する。構造体18に対して、陽極酸化膜16の複数の貫通孔17の内部に、陽極酸化膜16の表面16aを超えて金属を充填することにより、上述の金属層19が形成される。これにより、金属充填部材21を得る。このとき、金属層19を形成することにより、導電性を有する導通路20が形成される。金属層19の形成方法は、上述の金属充填微細構造体の製造方法の第1の例と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
充填工程では、陽極酸化膜16の複数の貫通孔17の内部に金属を充填し、かつ図34に示すように、構造体18の表面、すなわち、金属充填部材21のフレーム部15d上及び陽極酸化膜16の表面16a上に、金属層19を形成することにより、金属を複数の貫通孔17に充填する。この場合、金属層19では、上述のようにフレーム部15d上に存在する部分の厚みδ(図2参照)を2μm~100μmとする。
なお、例えば、めっき時間を長くすることにより、金属層19の厚みδを厚くすることができる。充填工程では、陽極酸化膜16の表面16aを超えて、金属を充填することにより、フレーム部15d上にも金属層19が形成される。
以下、金属充填微細構造体の構成の一例について説明する。
[金属充填微細構造体の構成の一例]
図35は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す平面図であり、図36は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す模式的断面図である。図36は図35の切断面線IB-IB断面図である。
図35及び図36に示す金属充填微細構造体32は、上述のように絶縁性基材である陽極酸化膜16と、陽極酸化膜16の厚み方向Dtに貫通した貫通孔17と、貫通孔17の内部に充填された金属で構成された複数の導通路20とを有する。複数の導通路20は、互いに電気的に絶縁された状態で設けられている。更に、例えば、陽極酸化膜16の表面16a及び裏面16bに設けられた樹脂層26を具備する。
ここで、「互いに電気的に絶縁された状態」とは、陽極酸化膜16の内部に存在している各導通路20が陽極酸化膜16の内部において互いに導通性が十分に低い状態であることを意味する。
金属充填微細構造体32は、導通路20が互いに電気的に絶縁されており、陽極酸化膜16の厚み方向Dtと直交する方向xには導電性が十分に低く、厚み方向Dtに導電性を有する、異方導電性を示す部材である。金属充填微細構造体32は厚み方向Dtを、例えば、後述の電子素子の積層方向に一致させて配置される。
導通路20は、図35及び図36に示すように、互いに電気的に絶縁された状態で陽極酸化膜16を厚み方向Dtに貫通して設けられている。
金属充填微細構造体32の厚みhは、例えば、40μm以下である。また、金属充填微細構造体32は、TTV(Total Thickness Variation)が10μm以下であることが好ましい。陽極酸化膜16は表面16aと裏面16bが研磨されるため厚みとしては、金属充填微細構造体32の厚みhよりも厚く、例えば、60μmを超えるが脆性の観点から40μm程度が好ましい。
ここで、金属充填微細構造体32の厚みh及び陽極酸化膜16の厚みは、金属充填微細構造体32及び陽極酸化膜16を、それぞれ厚み方向に対して集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)で切削加工し、その断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、金属充填微細構造体32及び陽極酸化膜16の輪郭形状を、それぞれ取得し、厚みhに相当する領域について10点測定した平均値のことである。
また、金属充填微細構造体32のTTV(Total Thickness Variation)は、金属充填微細構造体32をダイシングで支持部材31ごと切断し、金属充填微細構造体32の断面形状を観察して求めた値である。
金属充填微細構造体32は、例えば、異方導電性を示す異方導電性部材として利用することができる。この場合、半導体素子と半導体素子とを、金属充填微細構造体32を介して接合して、半導体素子と半導体素子とを電気的に接続した電子素子を得ることができる。電子素子において、金属充填微細構造体32はTSV(Through Silicon Via)の機能を果たす。
これ以外に、金属充填微細構造体32を用いて3つ以上の半導体素子を電気的に接続した電子素子とすることもできる。金属充填微細構造体32を用いることで3次元実装ができる。なお、半導体素子を接合する数は、特に限定されるものではなく、電子素子の機能、及び電子素子に要求される性能に応じて適宜決定されるものである。
電子素子との接合は熱加圧接合を用いることができる。還元性雰囲気下で接合させれば、温度250℃以下で容易に金属電極と突出部が接合されるので、デバイスへの熱影響を小さくすることができる。
金属充填微細構造体32を用いることにより、電子素子の大きさを小さくでき実装面積を小さくできる。また、金属充填微細構造体32の厚みを短くすることにより、半導体素子間の配線長を短くでき、信号の遅延を抑制し、電子素子の処理速度を向上させることができる。半導体素子間の配線長を短くすることで消費電力も抑制することができる。
金属充填微細構造体32は、上述のように陽極酸化膜16と導通路20とが、陽極酸化膜16の表面16aで同一面の状態になるように研磨しているため、形状精度が高く、また、上述のように導通路20の突出部20aの高さを厳密に制御することができるため、半導体素子と半導体素子との電気的な接続の信頼性が優れる。
また、金属充填微細構造体32は金属が密に充填されているため、樹脂材料に比べ熱伝導性が高い。接続した電極間、半導体素子間の上下方向の熱伝導はもちろん、平面方向への熱拡散も大きいため、放熱が必要な部材に特に有用である。金属充填微細構造体32は、上述の半導体素子以外にメタルベース基板の放熱等にも用いることができ、放熱フィンの接続にも有効である。また、多層接続による熱のこもりが問題とされるメモリ等の接合には非常に有効である。
半導体素子としては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASSP(Application Specific Standard Product)等のロジック集積回路が挙げられる。また、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のマイクロプロセッサが挙げられる。また、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、HMC(Hybrid Memory Cube)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、PCM(Phase-Change Memory)、ReRAM(Resistance Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、フラッシュメモリ等のメモリが挙げられる。また、例えば、LED(Light Emitting Diode)、パワーデバイス、DC(Direct Current)-DC(Direct Current)コンバータ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)等のアナログ集積回路が挙げられる。また、例えば、加速度センサ、圧力センサ、振動子、ジャイロセンサ等のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が挙げられる。また、例えば、GPS(Global Positioning System)、FM(Frequency Modulation)、NFC(Nearfieldcommunication)、RFEM(RF Expansion Module)、MMIC(MonolithicMicrowaveIntegratedCircuit)、WLAN(WirelessLocalAreaNetwork)等のワイヤレス素子、ディスクリート素子、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CMOSイメージセンサー、カメラモジュール、Passiveデバイス、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、RF(Radio Frequency)フィルタ、IPD(Integrated Passive Devices)等が挙げられる。
また、半導体素子は素子領域を有するものでもよく。素子領域は電子素子として機能するための各種の素子構成回路等が形成された領域である。素子領域には、例えば、フラッシュメモリ等のようなメモリ回路、マイクロプロセッサ及びFPGA(field-programmable gate array)等のような論理回路が形成された領域、無線タグ等の通信モジュールならびに配線が形成された領域がある。素子領域には、これ以外にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が形成されてもよい。MEMSとは、例えば、センサ、アクチュエーター及びアンテナ等である。センサには、例えば、加速度、音、光等の各種のセンサが含まれる。光センサは、光を検出することができれば、特に限定されるものではなく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーが用いられる。
電子素子において達成する機能に応じて半導体素子が適宜選択される。例えば、電子素子では、論理回路を有する半導体素子と、メモリ回路を有する半導体素子の組合せとすることができる。また、電子素子における半導体素子の組合せとしては、センサ、アクチュエーター及びアンテナ等と、メモリ回路と論理回路との組み合わせでもよい。
半導体素子は、例えば、シリコンで構成されるが、これに限定されるものではなく、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムヒ素又は窒化ガリウム等であってもよい。
また、半導体素子以外に、金属充填微細構造体32を用いて、2つの配線層を電気的に接続してもよい。
以下、金属充填微細構造体32の構成についてより具体的に説明する。
〔陽極酸化膜〕
陽極酸化膜16は絶縁性基材として機能するものである。陽極酸化膜16における各導通路の間隔は、5nm~800nmであることが好ましく、10nm~200nmであることがより好ましく、20nm~60nmであることが更に好ましい。陽極酸化膜16における各導通路の間隔がこの範囲であると、陽極酸化膜16が絶縁性の隔壁として十分に機能する。
ここで、各導通路の間隔とは、隣接する導通路間の幅wをいい、金属充填微細構造体32の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、隣接する導通路間の幅を10点で測定した平均値をいう。
<細孔の平均直径>
細孔の平均直径、すなわち、貫通孔17の平均直径d(図35、図36参照)は、1μm以下であり、5~500nmであることが好ましく、20~400nmであることがより好ましく、40~200nmであることが更に好ましく、50~100nmであることが最も好ましい。貫通孔17の平均直径dが1μm以下であり、上述の範囲であると、得られる導通路20に電気信号を流した際に十分な応答が得ることができるため、電子部品の検査用コネクタとして、より好適に用いることができる。また、貫通孔17の平均直径dが1μm以下であると、金属層19(図6参照)を容易に除去できる。
貫通孔17の平均直径dは、走査型電子顕微鏡を用いて陽極酸化膜16の表面を真上から倍率100~10000倍で撮影し撮影画像を得る。撮影画像において、周囲が環状に連なっている貫通孔を少なくとも20個抽出し、その直径を測定し開口径とし、これら開口径の平均値を貫通孔の平均直径として算出する。
なお、倍率は、貫通孔を20個以上抽出できる撮影画像が得られるように上述した範囲の倍率を適宜選択することができる。また、開口径は、貫通孔部分の端部間の距離の最大値を測定した。すなわち、貫通孔の開口部の形状は略円形状に限定はされないので、開口部の形状が非円形状の場合には、貫通孔部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。従って、例えば、2以上の貫通孔が一体化したような形状の貫通孔の場合にも、これを1つの貫通孔とみなし、貫通孔部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。
〔導通路〕
複数の導通路20は、上述のように、陽極酸化膜16の厚み方向Dtに貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられており、柱状である。導通路20は、金属で構成されている。導通路20は、陽極酸化膜16の表面及び裏面から突出した突出部を有しており、かつ、各導通路の突出部が樹脂層に埋設されていてもよい。
導通路を構成する金属の具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、及びニッケル(Ni)等が好適に例示される。電気伝導性の観点から、銅、金、アルミニウム、及びニッケルが好ましく、銅及び金がより好ましい。
<突出部>
導通路20の突出部20a、20bは、導通路20が陽極酸化膜16の表面16a及び裏面16bから突出した部分であり、樹脂層26で保護されていることが好ましい。
金属充填微細構造体32を異方導電性部材として利用した場合に、異方導電性部材と電極とを圧着等の手法により電気的接続、又は物理的に接合する際、突出部が潰れた場合の面方向の絶縁性を十分に確保できる理由から、導通路の突出部のアスペクト比(突出部の高さ/突出部の直径)が0.5以上50未満であることが好ましく、0.8~20であることがより好ましく、1~10であることが更に好ましい。
また、接続対象の半導体素子又は半導体ウエハの表面形状に追従する観点から、導通路の突出部の高さは、20nm以上であることが好ましく、より好ましくは100nm~500nmである。
導通路の突出部の高さは、異方導電性部材の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察し、導通路の突出部の高さを10点で測定した平均値をいう。
導通路の突出部の直径は、異方導電性部材の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により観察し、導通路の突出部の直径を10点で測定した平均値をいう。
<他の形状>
導通路20の密度は、2万個/mm2以上であることが好ましく、200万個/mm2以上であることがより好ましく、1000万個/mm2以上であることが更に好ましく、5000万個/mm2以上であることが特に好ましく、1億個/mm2以上であることが最も好ましい。
更に、隣接する各導通路20の中心間距離p(図35及び図36参照)は、20nm~500nmであることが好ましく、40nm~200nmであることがより好ましく、50nm~140nmであることが更に好ましい。
〔樹脂層〕
上述のように、樹脂層26は、陽極酸化膜16の表面16aと裏面16bに設けられ、上述のように導通路20の突出部20a、20bを埋設するものである。すなわち、樹脂層26は陽極酸化膜16から突出した導通路20の端部を被覆し、突出部20a、20bを保護する。
樹脂層26は、上述の樹脂層形成工程により形成されるものである。樹脂層26は接続対象に対して接着性を付与するものである。樹脂層26は、例えば、50℃~200℃の温度範囲で流動性を示し、200℃以上で硬化するものであることが好ましい。
樹脂層26は、上述の樹脂層形成工程により形成されるものであるが、以下に示す、樹脂層の組成を用いることもできる。以下、樹脂層の組成について説明する。例えば、樹脂層は、高分子材料を含有するものであり、酸化防止材料を含んでもよい。
<高分子材料>
樹脂層に含まれる高分子材料としては特に限定されないが、半導体素子又は半導体ウエハと異方導電性部材との隙間を効率よく埋めることができ、半導体素子又は半導体ウエハとの密着性がより高くなる理由から、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。
なかでも、絶縁信頼性がより向上し、耐薬品性に優れる理由から、ポリイミド樹脂及び/又はエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
<酸化防止材料>
樹脂層に含まれる酸化防止材料としては、具体的には、例えば、1,2,3,4-テトラゾール、5-アミノ-1,2,3,4-テトラゾール、5-メチル-1,2,3,4-テトラゾール、1H-テトラゾール-5-酢酸、1H-テトラゾール-5-コハク酸、1,2,3-トリアゾール、4-アミノ-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジアミノ-1,2,3-トリアゾール、4-カルボキシ-1H-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジカルボキシ-1H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール-4-酢酸、4-カルボキシ-5-カルボキシメチル-1H-1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、3-カルボキシ-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジカルボキシ-1,2,4-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール-3-酢酸、1H-ベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-5-カルボン酸、ベンゾフロキサン、2,1,3-ベンゾチアゾール、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、カテコール、o-アミノフェノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、メラミン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
これらのうち、ベンゾトリアゾール及びその誘導体が好ましい。
ベンゾトリアゾール誘導体としては、ベンゾトリアゾールのベンゼン環に、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アミノ基、ニトロ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)等を有する置換ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、ナフタレントリアゾール、ナフタレンビストリアゾール、と同様に置換された置換ナフタレントリアゾール、置換ナフタレンビストリアゾール等も挙げることができる。
また、樹脂層に含まれる酸化防止材料の他の例としては、一般的な酸化防止剤である、高級脂肪酸、高級脂肪酸銅、フェノール化合物、アルカノールアミン、ハイドロキノン類、銅キレート剤、有機アミン、有機アンモニウム塩等が挙げられる。
樹脂層に含まれる酸化防止材料の含有量は特に限定されないが、防食効果の観点から、樹脂層の全質量に対して0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。また、本接合プロセスにおいて適切な電気抵抗を得る理由から、5.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。
<マイグレーション防止材料>
樹脂層は、樹脂層に含有し得る金属イオン、ハロゲンイオン、ならびに半導体素子及び半導体ウエハに由来する金属イオンをトラップすることによって絶縁信頼性がより向上する理由から、マイグレーション防止材料を含有しているのが好ましい。
マイグレーション防止材料としては、例えば、イオン交換体、具体的には、陽イオン交換体と陰イオン交換体との混合物、又は、陽イオン交換体のみを使用することができる。
ここで、陽イオン交換体及び陰イオン交換体は、それぞれ、例えば、後述する無機イオン交換体及び有機イオン交換体の中から適宜選択することができる。
(無機イオン交換体)
無機イオン交換体としては、例えば、含水酸化ジルコニウムに代表される金属の含水酸化物が挙げられる。
金属の種類としては、例えば、ジルコニウムのほか、鉄、アルミニウム、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム、ベリリウム、インジウム、クロム、ビスマス等が知られている。
これらの中でジルコニウム系のものは、陽イオンのCu2+、Al3+について交換能を有している。また、鉄系のものについても、Ag+、Cu2+について交換能を有している。同様に、錫系、チタン系、アンチモン系のものは、陽イオン交換体である。
一方、ビスマス系のものは、陰イオンのCl-について交換能を有している。
また、ジルコニウム系のものは条件によっては陰イオンの交換能を示す。アルミニウム系、錫系のものも同様である。
これら以外の無機イオン交換体としては、リン酸ジルコニウムに代表される多価金属の酸性塩、モリブドリン酸アンモニウムに代表されるヘテロポリ酸塩、不溶性フェロシアン化物等の合成物が知られている。
これらの無機イオン交換体の一部は既に市販されており、例えば、東亞合成株式会社の商品名イグゼ「IXE」における各種のグレードが知られている。
なお、合成品のほか、天然物のゼオライト、又はモンモリロン石のような無機イオン交換体の粉末も使用可能である。
(有機イオン交換体)
有機イオン交換体には、陽イオン交換体としてスルホン酸基を有する架橋ポリスチレンが挙げられ、そのほかカルボン酸基、ホスホン酸基又はホスフィン酸基を有するものも挙げられる。
また、陰イオン交換体として四級アンモニウム基、四級ホスホニウム基又は三級スルホニウム基を有する架橋ポリスチレンが挙げられる。
これらの無機イオン交換体及び有機イオン交換体は、捕捉したい陽イオン、陰イオンの種類、そのイオンについての交換容量を考慮して適宜選択すればよい。勿論、無機イオン交換体と有機イオン交換体とを混合して使用してもよいことはいうまでもない。
電子素子の製造工程では加熱するプロセスを含むため、無機イオン交換体が好ましい。
また、マイグレーション防止材料と上述した高分子材料との混合比は、例えば、機械的強度の観点から、マイグレーション防止材料を10質量%以下とすることが好ましく、マイグレーション防止材料を5質量%以下とすることがより好ましく、更にマイグレーション防止材料を2.5質量%以下とすることが更に好ましい。また、半導体素子又は半導体ウエハと異方導電性部材とを接合した際のマイグレーションを抑制する観点から、マイグレーション防止材料を0.01質量%以上とすることが好ましい。
<無機充填剤>
樹脂層は、無機充填剤を含有していてもよい。
無機充填剤としては特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカ、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
導通路間に無機充填剤が入ることを防ぎ、導通信頼性がより向上する理由から、無機充填剤の平均粒子径が、各導通路の間隔よりも大きいことが好ましい。
無機充填剤の平均粒子径は、30nm~10μmであることが好ましく、80nm~1μmであることがより好ましい。
ここで、平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒子径測定装置(日機装株式会社製マイクロトラックMT3300)で測定される、一次粒子径を平均粒子径とする。
<硬化剤>
樹脂層は、硬化剤を含有していてもよい。
硬化剤を含有する場合、接続対象の半導体素子又は半導体ウエハの表面形状との接合不良を抑制する観点から、常温で固体の硬化剤を用いず、常温で液体の硬化剤を含有しているのがより好ましい。
ここで、「常温で固体」とは、25℃で固体であることをいい、例えば、融点が25℃より高い温度である物質をいう。
硬化剤としては、具体的には、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、脂肪族アミン、4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等のカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、ポリメルカプタン等が挙げられ、これらの硬化剤から、25℃で液体のものを適宜選択して用いることができる。なお、硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層には、その特性を損なわない範囲内で、広く一般に半導体パッケージの樹脂絶縁膜に添加されている分散剤、緩衝剤、粘度調整剤等の種々の添加剤を含有させてもよい。
<形状>
金属充填微細構造体32の導通路20を保護する理由から、樹脂層の厚みは、導通路20の突出部20a、20bの高さより大きく、1μm~5μmであることが好ましい。
次に、保持工程について説明する。
[保持工程]
図37は本発明の実施形態の保持工程に用いられる容器の一例を示す模式的斜視図であり、図38は本発明の実施形態の保持工程の収納容器の一例を示す模式的断面図である。
保持工程において、保持とは、静置した状態、及び静置した状態に限らず、搬送等の移動することも含まれる。
上述のように保持工程は、充填工程により構造体18(図5参照)の複数の貫通孔17(細孔)に金属を充填して得られた金属充填部材21(図6参照)を、相対湿度10~30%の環境に24時間以上さらす工程のことである。上述の保持工程により、貫通孔(細孔)を有する酸化膜(陽極酸化膜16)において、安定した絶縁抵抗が得られる。相対湿度が40%を超えると、絶縁抵抗が変動し、安定した絶縁抵抗が得られない。
一方、相対湿度を10%未満に維持するには専用設備が必要になる等、湿度の管理が難しい。
また、保持時間についても、24時間未満では、絶縁抵抗が変動し、安定した絶縁抵抗が得られない。
保持工程では、金属充填部材21を相対湿度10~30%の環境に24時間以上にさらすことであれば、保管場所等は特に限定されるものではない。例えば、保持工程において、金属充填部材21は、図37に示す容器40に収納されて保管される。容器40は、容器本体42と蓋44とを有する。容器40では、蓋44で容器本体42の開口42aが閉塞され、容器本体42が密閉される。
また、保持工程における温度は、25℃以上であればよく、40℃~50℃であることが好ましい、
容器内部42bには、例えば、図示はしないが棚が設けられており、複数の金属充填部材21が、棚に1つずつ離間して収納される。金属充填部材21が接触して積層されると、金属充填部材21が振動等により、金属充填部材21同士が擦れた際に金属充填部材21が損傷する虞があるため、金属充填部材21は上述のように離間して収納することが好ましい。1つずつ離間して収納することができれば、棚に限定されるものではなく、棚に代えてスペーサでもよい。
なお、金属充填部材21は、上述のように矩形状であり、容器40としては、矩形状の基板を収納する各種の容器を用いることができる。
金属充填部材21が一般的な半導体ウエハの形状と同じく、円形状である場合、容器40としては、半導体ウエハを収納する各種の容器を用いることができる。容器40としては、半導体ウエハの搬送容を用いることができ、例えば、フロントオープニングアンファインドポッド(FOUP)及びフロントオープニングシッピングボックス(FOSB)等を用いることができる。
保持工程では、例えば、図38に示すように、収納容器50と、収納容器50の内部50aの温度及び湿度を調整する調整部52を用いる。
収納容器50には、内部50aの温度及び湿度の変化を記録するセンサ53が設けられており、センサ53からの温度の情報及び湿度の情報に基づいて、調整部52が、少なくとも収納容器50の内部50aの湿度を調整する。調整部52による収納容器50の内部50aの温度及び湿度の調整には、例えば、センサ53からの温度の情報及び湿度の情報に基づくフィードバック制御が用いられる。
調整部52は、例えば、湿度を調整することができれば、特に限定されるものではない。公知の空調機器が利用可能である。また、調整部52は収納容器50と一体でも、別体でもよい。
保持工程では、相対湿度10~30%の環境に24時間以上さらせばよいため、調整部52は少なくとも温度を調整できる機能を有していればよく、収納容器50の内部50aを換気するファンでもよい。
なお、湿度に関しては、吸湿剤を収納容器50の内部50aに設けることで調整するようにしてもよく、吸湿剤を容器40内に設け、調整部52では温度だけ調整するようにしてもよい。
センサ53は、保管期間中、温度及び湿度を計測することができれば、特に限定されるものではないが、温度情報及び湿度情報が時刻と一緒に時系列で記録できるもの、すなわち、時間履歴で記録できることが好ましい。また、センサ53は有線式でも無線式でもよい。
保持工程では、収納容器50の内部50aに複数の容器40を収納し、収納した状態で、調整部52を動作させて、収納容器50の内部50aにある容器40の金属充填部材21の相対湿度を10~40%に保持する。
また、調整部52により、収納容器50の内部50aについて、温度25℃における絶対湿度50%以下の水分量(g/cm)の環境となるように調整することが好ましい。なお、温度25℃における絶対湿度50%以下の水分量(g/cm)は、11.52(g/cm)である。収納容器50の内部50aの湿度を下げることにより、収納容器50の内部50aの水分量を少なくできる。
この場合、例えば、温度と湿度及び絶対湿度との関係を調整部52に記憶させておき、センサ53からの温度の情報と湿度の情報に基づき、収納容器50の内部50aの水分量を求める。求めた水分量に基づき、調整部52で温度と湿度を調整するようにしてもよい。
収納容器50の内部50aの上述の水分量は、上述のように吸湿剤を用いて調整することができる。
また、大気圧よりも圧力が低い減圧下で金属充填部材21を保管することも好ましい。これにより、収納容器50の内部50aの絶対湿度が低くなる。このことから、金属充填部材21の絶縁抵抗の変動を抑制でき、ひいては金属充填微細構造体の性能劣化を抑制することができる。また、上述のように減圧下で金属充填部材21を保管することで、導通路20の突出部20a、20bの酸化等も抑制することができ、これにより、金属充填部材21の接合対象、例えば、半導体素子及び半導体ウエハとの接合強度の向上、及び接合対象との接合抵抗の低減の効果を得ることができる。
上述の減圧下は、例えば、収納容器50の内部50aの空気を排気することにより実現することができ、例えば、調整部52にロータリーポンプ等の真空ポンプを設けて、更に収納容器50の内部50aの圧力を計測する圧力計又は圧力センサを設けることで実現される。圧力計及び圧力センサとしては、大気圧よりも低い圧力を測定することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的な真空容器に圧力の計測に用いられるものを適宜利用可能である。
上述の減圧下とは、圧力が0.01~0.1Pa程度のことをいう。
また、収納容器50の内部50aに複数設ける構成としたが、これに限定されるものではなく1つでもよい。
このようにして、金属充填部材21を保管することができ、収納容器50に保管された状態で、金属充填部材21を移送することができる。これにより、保管状態を管理して移送先まで移送することができる。
容器40は、収納容器50に限定されるものではなく、例えば、図39に示すように収納袋54に収納してもよい。収納袋54は、例えば、ガスバリア性を有するフィルムで構成される。ガスバリア性を有するフィルムとは、例えば、水蒸気透過性の低いもののことであり、電子部品の包装に用いられる公知のフィルム、又は有機EL(Electro Luminescence)、電子ペーパーもしくは太陽電池等に用いられるガスバリアフィルムを用いることができる。
ガスバリア性は、水蒸気透過性により評価され、水蒸気透過性はモコン法等で測定される。
容器40を収納袋54に収納した場合、収納袋54は水蒸気透過性が低く、内部の湿度を外部から調整することが難しくなるため、収納袋54の内部に吸湿剤55を設けることが好ましい。吸湿剤55の量については、使用する収納袋54の水蒸気透過性、ならびに容器40の大きさ、及び保管期間等に応じて、予め求めておき、予め求めた量の吸湿剤55を収納袋54の内部に設ける。収納袋54に収納された容器40を、収納容器50の内部50aに配置して上述のように保管する。この場合、調整部52で収納容器50の内部50aの温度が調整され、金属充填部材21の相対温度が10~40%とされて、金属充填部材21が保管される。容器40を収納袋54に収納した場合でも、上述のように収納容器50の内部50aを大気圧よりも圧力が低い圧力とし、減圧下で金属充填部材21を保管することもできる。
また、図40に示すように、容器40に上述の調整部52とセンサ53を設けてもよい。この場合でも、上述の収納容器50の内部50aに容器40を配置した場合と同様に、金属充填部材21を保管することができる。上述のように収納容器50の内部50aを大気圧よりも圧力が低い圧力とし、減圧下で金属充填部材21を保管することもできる。
図39に示すように、収納袋54を用いる場合、図37に示す容器40は必ずしも必要なく、例えば、図41に示すように、金属充填部材21の金属層19上にスペーサ56を配置して、複数の金属充填部材21を積層し、収納袋54に収納してもよい。この場合も、相対温度を10~40%とするために、図39に示すように収納袋54の内部に吸湿剤55を配置することが好ましい。
スペーサ56としては、紙、樹脂フィルム等を用いることができる。なお、スペーサ56としては、金属充填部材21の少なくとも金属層19を覆うものであればよい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の金属充填微細構造体の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、及び、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、実施例1~実施例9及び比較例1~比較例3の金属充填部材を作製した。実施例1~実施例9及び比較例1~比較例3の金属充填部材について搬送性を評価した。実施例1~実施例9及び比較例1~比較例3の金属充填部材について、異方導電性を確保した後に絶縁抵抗を評価した。以下、搬送性及び絶縁抵抗の各評価項目について説明する。
搬送性の評価について説明する。
<搬送性の評価>
金属充填部材を用い、以下に示すようにして搬送性を評価した。
搬送性については、JIS Z0200:2013包装貨物-性能試験方法の一般通則にのっとり、JIS Z0232:2004の包装貨物-振動試験方法に記載のランダム振動試験においてレベル1を想定し、輸送振動試験及び跳ね上がり振動試験を実施して評価した。
包装形態は、塩化ビニル製のケース(155mm×155mm×35mm、スチロール角型ケース19型 アズワン株式会社製)に、各金属充填部材を合紙を挟みながら10枚積層して封入した。厚み1cmの発泡スチロール製の緩衝材を積層した金属充填部材の上下に配置した。ケースに蓋をし、ケース毎にラミネートパックして供試材とした。合紙には、APクリーンペーパーII A4ピンク(72g/m)を用いた。
搬送性の試験における温湿度条件は、JIS Z 0203:2000の表1(前処置の温湿度条件)のG(+23℃,湿度50%RH(相対湿度))に準拠し、供試材に対して、180分間のランダム振動試験を行い、続けて同じ供試材を30分間跳ね上がり試験に供した。
上述の試験後、ケースから取り出した金属充填部材を、目視により確認し、金属充填部において、複数枚搬送したもののうち、評価のレベルが最も悪かったものの結果を全体の評価とした。
以下の評価基準により、金属充填部へのダメージを評価した。搬送性の評価結果を下記表1に示す。
評価基準
金属充填部材において、金属充填部である金属層に傷がない場合をAとした。
金属充填部材において、金属充填部である金属層に傷があっても陽極酸化膜に到達していない場合をBとした。
金属充填部材において、金属充填部である金属層に傷があり、かつ陽極酸化膜に到達している場合をCとした。
絶縁抵抗の評価について説明する。
<絶縁抵抗の評価>
製造した金属充填部材について、金属層を除去した後、バルブ金属部材を構成するアルミニウム基板を除去して、陽極酸化膜単体とした。次に、陽極酸化膜の表面を、化学的機械的研磨(CMP)により研磨して平滑化した。これにより異方導電性を確保した。この状態で、陽極酸化膜の表面上において、20mm離して端子を設置した際に、絶縁抵抗計を用いて、抵抗値を測定した。
なお、金属充填部材が異方導電性を確保するまでの工程については、後に詳細に説明する。
抵抗値の数値に基づき、下記評価基準にて絶縁抵抗を評価した。絶縁抵抗の評価結果を下記表1に示す。
評価基準
A:抵抗R>10MΩ
B:10MΩ≧抵抗R>1MΩ
C:1MΩ≧抵抗R>10kΩ
D:10kΩ≧抵抗R>1kΩ
E:1kΩ≧抵抗R
以下、実施例1~実施例9及び比較例1~比較例3について説明する。
(実施例1)
実施例1の金属充填部材について説明する。
[金属充填部材]
<アルミニウム基板>
純度99.999質量%のアルミニウム基板を用いた。アルミニウム基板の厚みを120μmとした。
アルミニウム基板については、15cm四方のサイズにトリミングした上で、周囲に5mm幅のフレームができるように高粘着テープを貼り付けた。フレーム内部の陽極酸化膜16部分のサイズが14cm四方となるようにした。高粘着テープには、日東電工CSシステム株式会社製ダンプロン(登録商標)テープNo.375(幅25mm×長さ50m)を用いた。
<電解研磨処理>
上述のアルミニウム基板に対して、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧10V、液温度65℃、液流速3.0m/分の条件で、電解研磨処理を施した。なお、電解処理の処理面積は0.12mとした。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110-30R(株式会社高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
<陽極酸化処理工程>
次いで、電解研磨処理後のアルミニウム基板に、特開2007-204802号公報に記載の手順にしたがって自己規則化法による陽極酸化処理を施した。
電解研磨処理後のアルミニウム基板に、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧45V、液温度16℃、液流速3.0m/分の条件で、1時間のプレ陽極酸化処理を施した。
その後、プレ陽極酸化処理後のアルミニウム基板を、0.6mol/Lリン酸水溶液(液温:40℃)に0.5時間浸漬させる脱膜処理を施した。
その後、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧45V、液温度16℃、液流速3.0m/分の条件で、再度陽極酸化処理を施し、アルミニウム基板の表面を部分的に陽極酸化させて、厚み50μmの陽極酸化膜を形成した。
これにより、外縁に5mm幅のフレーム部を備えるアルミニウム基板と、アルミニウム基板のフレーム部内に設けられた陽極酸化膜とを有する構造体を得た。
なお、プレ陽極酸化処理及び再陽極酸化処理は、いずれもアルミニウム基板を高粘着テープでマスキングした状態で行った。また、プレ陽極酸化処理及び再陽極酸化処理は、いずれも陰極はチタン電極とし、電源にはPAM320-12(菊水電子工業株式会社製)を用いた。また、冷却装置にはNeoCool BD36(ヤマト科学株式会社製)、かくはん加温装置にはペアスターラー PS-100(EYELA東京理化器械株式会社製)を用いた。更に、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
<バリア層除去工程>
次いで、上述の陽極酸化処理と同様の処理液及び処理条件で、電圧を40Vから0Vまで連続的に電圧降下速度0.2V/secで降下させながら電解処理(電解除去処理)を施した。電解処理には、直流電源として、PK45-9(モデル名、松定プレシジョン株式会社製)を用いた。
陽極酸化処理後の基材は流水で十分に洗浄した後、低温の風で数分以内に乾燥させた。陽極酸化処理した基板はイオン交換水(50℃)及び界面活性剤を含む溶液(45℃)に交互に3分ずつ浸漬した後、イオン交換水をかけ流した後、ウェットな状態でバリア層除去処理に供した。なお、界面活性剤を含む溶液には、ロームアンドハース社製前処理液「NeutraClean68」をイオン交換水と1:4の割合で希釈した液を用いた。
温度25℃に保持した過飽和状態の金属亜鉛を含む水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させるエッチング処理(バリア層除去処理)を実施し、その後、水洗することにより、陽極酸化膜の底部にあるバリア層を除去しマイクロポアを介して露出したアルミニウム基板表面に亜鉛の導電層を形成した。金属亜鉛を含む水酸化ナトリウム溶液には、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH=52g/L)には、酸化亜鉛を2000ppm溶解させた溶液を用いた。
ここで、バリア層除去工程後の陽極酸化膜に存在するマイクロポア(細孔)の平均直径は60nmであった。なお、平均直径は、FE-SEM(Field emission - Scanning Electron Microscope)により表面写真(倍率50000倍)を撮影し、50点測定した平均値として算出した。
また、バリア層除去工程後の陽極酸化膜の平均厚みは40μmであった。すなわち、酸化膜の平均厚みは40μmであった。なお、陽極酸化膜の平均厚みは、陽極酸化膜を厚み方向に対してFIB(Focused Ion Beam)で切削加工し、その断面をFE-SEMにより表面写真(倍率50000倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した。
陽極酸化膜に存在するマイクロポアの密度は、約1億個/mm2であった。なお、マイクロポアの密度は、特開2008-270158号公報の[0168]及び[0169]段落に記載された方法で測定し、算出した。
また、陽極酸化膜に存在するマイクロポアの規則化度は、92%であった。なお、規則化度は、FE-SEMにより表面写真(倍率20000倍)を撮影し、特開2008-270158号公報の[0024]~[0027]段落に記載された方法で測定し、算出した。
<金属充填工程>
次いで、アルミニウム基板を陰極にし、銅を正極にして電解めっき処理を施した。
具体的には、以下に示す組成の銅めっき液を使用し、定電流電解を施すことにより、マイクロポアの内部に銅が充填され、かつフレーム部上にも銅で構成された金属層が形成された金属充填部材を得た。フレーム部上の金属層の厚みδ(図6参照)は50μmであった。
ここで、定電流電解は、電源にPAS20-36(菊水電子工業株式会社製)を用い、ノベル株式会社製のめっき装置を用い、北斗電工株式会社製の電源(HZ-3000)を用い、めっき液中でサイクリックボルタンメトリを行って析出電位を確認した後に、以下に示す条件で処理を施した。
(銅めっき液組成及び条件)
・硫酸銅100g/L
・硫酸1g/L
・塩酸15g/L
・SPS(3,3´-ジチオビス(1-プロパンスルホン酸)二ナトリウム)8.5ppm
・PEG(ポリエチレングリコール)5ppm
・温度30℃
・電流密度10A/dm2
上述の絶縁抵抗の評価のために、製造した金属充填部材を10枚積層して、塩化ビニール製のケースに収納して蓋をした状態で、低湿度型低温恒温恒湿器(PDL-4J(型式) エスペック株式会社製)内に保管した。低湿度型低温恒温恒湿器内を温度40℃、相対湿度が20%の環境にし、25時間さらした後、以下の工程を実施した。
<金属層除去工程>
金属充填部材に対して、粘着テープを用いて金属層を除去した。粘着テープには、ダンプロンテープ No.375 (日東電工株式会社製)を用いた。
<基板除去工程>
次いで、20質量%塩化水銀水溶液(昇汞)に20℃、3時間浸漬させることによりアルミニウム基板を溶解して除去することにより、陽極酸化膜単体とした。
<平滑化工程>
次いで、陽極酸化膜の表面に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を施し、表面を研磨することにより、表面を平滑化した。平滑化工程により、異方導電性が確保される。この状態で、上述の絶縁抵抗を測定した。
平滑化工程では、MAT社製研磨装置(BC-15CN(商品名))を用いて、陽極酸化膜の表面を、アルミナを含む研磨剤(WA#8000(FF)ケメット・ジャパン株式会社製を純水で4倍に希釈した液)で一次研磨を行い、シリカを含む研磨剤(S-A1-1-0 ケメット・ジャパン株式会社製)で二次研磨を行い、研磨後の仕上がりの算術平均粗さ(JIS B0601:2001)を0.005μmとした。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比して、保持時間が30時間である点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
(実施例3)
実施例3は、実施例1に比して、保持時間が40時間である点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
(実施例4)
実施例4は、実施例2に比して、フレーム部の幅が3mmである点が異なる以外は、実施例1と同じとした。実施例4では、周囲に3mm幅のフレームができるように高粘着テープを貼り付けた。
(実施例5)
実施例5は、実施例3に比して、フレーム部の厚みが240μmである点が異なる以外は、実施例1と同じとした。実施例5では、厚み240μmのアルミニウム基板を用いた。
(実施例6)
実施例6は、実施例2に比して、相対湿度が10%である点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
(実施例7)
実施例7は、実施例3に比して、相対湿度が30%である点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
(実施例8)
実施例8は、実施例3に比して、平均直径が40nmである点が異なる以外は、実施例1と同じとした。実施例8は、陽極酸化処理を15%硫酸水溶液中で25Vの電圧で液温を3℃に設定して実施して、平均直径を40nmとした。
(実施例9)
実施例9は、実施例3に比して、平均直径が200nmである点が異なる以外は、実施例1と同じとした。実施例9は、陽極酸化処理を0.1Mリン酸水溶液で195Vの電圧で液温を3℃に設定して実施して、平均直径を200nmとした。
(比較例1)
比較例1は、実施例1に比して、保持時間が20時間である点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
(比較例2)
比較例2は、実施例1に比して、フレーム部がない構成とした点が異なる以外は、実施例1と同じとした。比較例2では、バルブ金属部材の表面全域に陽極酸化膜を形成して、金属充填部材を作製した。
(比較例3)
比較例3は、実施例1に比して、相対湿度が40%である点が異なる以外は、実施例1と同じとした。
表1に示すように、実施例1~実施例9は、比較例1~比較例3に比して、搬送性及び絶縁抵抗について良好な結果が得られた。
比較例1は、保持時間が短く、絶縁抵抗の結果が悪かった。比較例3は、フレーム部がなく、搬送性の結果が悪かった。比較例5は、相対湿度が高く、絶縁抵抗の結果が悪かった。
11、15 バルブ金属部材
11a、15a、16a、26a、61a 表面
11b、16e 外縁
11c、15c 領域
11e 底部
12、13、14 マスク
13a 開口
15b 外縁
15d フレーム部
15e 底部
16 陽極酸化膜
16b 裏面
17 貫通孔
18 構造体
19 金属層
20 導通路
20a、20b 突出部
21 金属充填部材
22 樹脂基材
24 支持体
26 樹脂層
27 剥離層
28 支持層
29 剥離剤
30 両面粘着剤
31 支持部材
32 金属充填微細構造体
40 容器
42 容器本体
42a 開口
42b 容器内部
44 蓋
50 収納容器
50a 内部
52 調整部
53 センサ
54 収納袋
55 吸湿剤
56 スペーサ
60 電極体
61 絶縁支持体
62 導電層
63 レジスト層
Dt 厚み方向
h 厚み
厚み
p 中心間距離
Q 領域
x 方向
δ 厚み

Claims (7)

  1. バルブ金属部材の外縁に配置されたフレーム部により囲まれる形成領域に、複数の細孔を有する酸化膜を形成することにより、前記バルブ金属部材と前記酸化膜とを有する構造体を得る形成工程と、
    前記構造体に対して、前記酸化膜の前記複数の細孔に金属を充填する充填工程と、
    前記充填工程により、前記構造体に対して、前記酸化膜の前記複数の細孔に金属を充填して得られた金属充填部材を、相対湿度10~30%の環境に24時間以上さらす保持工程とを有し、
    前記複数の細孔は、平均直径が1μm以下であり、
    前記充填工程は、前記構造体の表面に金属層を形成することにより、前記金属を前記複数の細孔に充填する工程であり、前記充填工程は、前記金属層を前記フレーム部上に厚み100μm以下に形成するものであり、
    前記保持工程の後、前記構造体の前記表面に形成された前記金属層を除去する金属層除去工程を有する、金属充填微細構造体の製造方法。
  2. 前記バルブ金属部材は、アルミニウムで構成されている、請求項1に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  3. 前記酸化膜は、陽極酸化膜である、請求項1又は2に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  4. 前記陽極酸化膜は、Al膜である、請求項3に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  5. 前記充填工程において、前記酸化膜の前記複数の細孔に充填する金属は、銅である、請求項1~4のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  6. 前記金属層除去工程の後、前記酸化膜の前記表面を平滑化する表面平滑化処理工程を有する、請求項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  7. 前記表面平滑化処理工程の平滑化は、化学的機械的研磨、ドライエッチング又は研削を用いる請求項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
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