JP2010033939A - イオン伝導膜、イオン伝導膜の製造方法、燃料電池および水素センサ - Google Patents

イオン伝導膜、イオン伝導膜の製造方法、燃料電池および水素センサ Download PDF

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Abstract

【課題】全体の強度を維持しながらイオン伝導体による抵抗を低減することができるイオン伝導膜を提供する。
【解決手段】イオン伝導膜10は、膜状の多孔質基材12を含む。多孔質基材12には、多数の細孔14が形成されている。各細孔14は、径の大きい大孔部分14aと径の小さい小孔部分14bとからなる。小孔部分14b内には、イオン伝導体16が充填されている。イオン伝導体16の表面および他の表面を含む多孔質基材12の一方主面側および他方主面側には、電子伝導体を含む電極18および20がそれぞれ形成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、イオン伝導膜、イオン伝導膜の製造方法、燃料電池および水素センサに関し、特に、たとえば燃料電池や水素センサなどに用いることができるイオン伝導膜およびその製造方法などに関する。
特開2005−23412公報には、メタノールなどの炭化水素燃料から水素を得る燃料改質装置に用いられる電解質膜として、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質体薄膜にパーフルオロスルホン酸系電解質材料(イオン伝導体)を充填した複合構造が開示されている(特許文献1参照)。この複合構造では、多孔質体薄膜に形成されている細孔は、多孔質体薄膜の厚み方向に均一に分布している。さらに、イオン伝導体は、多孔質体薄膜の厚み方向全体にわたって充填されている。
また、特開2007−165204公報には、燃料電池に用いられる電解質膜として、厚み方向に貫通する多数の細孔を備えた多孔性基材であって細孔の径が大きい層状の基部の両面に細孔の径が小さい表層部がそれぞれ積層された多孔性基材と、その多孔性基材の細孔内に充填されたプロトン伝導性材料とを備えた細孔充填型電解質膜が開示されている(特許文献2参照)。この細孔充填型電解質膜では、多孔性基材の細孔の径が小さい部分はプロトン伝導性材料の膨潤抑制に寄与し、多孔性基材の細孔の径が大きい部分はプロトン伝導性の向上に寄与する。
さらに、特開2006−24558公報には、固体高分子型燃料電池用電解質膜として、直径2nm〜500nmの細孔を有する薄膜の細孔内に、さらに小さい細孔を有するプロトン伝導性の金属酸化物を含有したプロトン伝導膜が開示されている(特許文献3参照)。このプロトン伝導膜は、耐薬品性や耐熱性を高くすることを目的として考え出されている。
特開2005−23412公報 特開2007−165204公報 特開2006−24558公報
従来、イオン伝導体による抵抗を下げる有効的な方法として、イオン伝導体からなる膜の厚みを薄く形成することがある。しかしながら、イオン伝導体を薄膜化していくと、膜の強度が低下したり、膜にピンホールができたりするなどの理由で、薄膜化には限界があった。たとえば、固体高分子型燃料電池に使用されているイオン伝導体では、その膜厚は25μmが下限である。
特許文献1に開示されている複合構造は、そのような問題を解決するために提案された複合構造である。特許文献1に開示されている複合構造では、多孔質体薄膜を用いることによって、強度が向上し、薄膜化が可能となる。
しかしながら、特許文献1に開示されている複合構造では、膜厚は10μmが限界である。これは、多孔質体薄膜の細孔が厚み方向全体に均一に分布しており、イオン伝導体も多孔質体薄膜の厚み方向全体に充填されているために、強度上その限界を超えて薄く形成することができないからである。
また、特許文献2に開示されている細孔充填型電解質膜では、多孔性基材の厚み方向全体に形成された細孔にプロトン伝導性材料が充填されているので、薄膜化は困難であり、実施例では膜厚は200μmが限界である。
さらに、特許文献3に開示されているプロトン伝導膜では、薄膜の厚み方向全体に形成された細孔にプロトン伝導性の金属酸化物を含有しているので、薄膜化は困難であり、実施例では膜厚は60μmが限界である。
このように上述の従来の構造では、いずれも、膜厚に限界があり、全体の強度を維持しながらイオン伝導体による抵抗を低減することができない。
それゆえに、この発明の主たる目的は、全体の強度を維持しながらイオン伝導体による抵抗を低減することができるイオン伝導膜およびその製造方法を提供することである。
さらに、この発明の他の目的は、そのように全体の強度を維持しながらイオン伝導体による抵抗を低減することができるイオン伝導膜を用いた燃料電池および水素センサを提供することである。
この発明にかかるイオン伝導膜は、膜面に対して垂直方向に形成された複数の細孔を有し、厚み方向において細孔の径が異なる少なくとも2層からなる膜状の多孔質基材と、多孔質基材に形成された細孔において少なくとも最も径の小さい小孔部分内に充填されているイオン伝導体と、少なくとも多孔質基材の細孔内においてイオン伝導体が充填されている部分以外の部分の内壁に形成されている電子伝導体とを含む、イオン伝導膜である。
この発明にかかるイオン伝導膜では、細孔が、イオン伝導体が充填される充填部分と、充填部分に通じ、充填部分より径の大きい、イオン伝導体が充填されない非充填部分とからなり、充填部分の径が2nm〜30nmであり、多孔質基材において充填部分を有する層の厚みが0.2μm〜10μmであり、非充填部分の径が15nm〜120nmであり、多孔質基材において非充填部分を有する層の厚みが25μm〜400μmであることが好ましい。この場合、細孔において、非充填部分の径を、充填部分の径と比べて、10nm以上大きくすることが好ましい。
この発明にかかるイオン伝導膜の製造方法は、この発明にかかるイオン伝導膜を製造するためのイオン伝導膜の製造方法であって、多孔質基材の材料を陽極酸化することによって多孔質基材の細孔を形成する工程を含むことを特徴とする、イオン伝導膜の製造方法である。
この発明にかかるイオン伝導膜の製造方法では、細孔を形成する工程は、多孔質基材の材料に先の陽極酸化を行うことによって細孔における小孔部分の径より大きい部分を先に形成する工程と、多孔質基材の材料に後の陽極酸化を行うことによって細孔における小孔部分を後に形成する工程とを含むことが好ましい。
また、この発明にかかるイオン伝導膜の製造方法では、多孔質基材の細孔の少なくとも小孔部分内にイオン伝導体を充填するために、多孔質基材を、イオン伝導体を含むイオン伝導体溶液中に浸漬して減圧し、イオン伝導体溶液中から引き出して洗浄し、さらに乾燥する工程を含むことが好ましい。
さらに、この発明にかかるイオン伝導膜の製造方法では、少なくとも多孔質基材の細孔内においてイオン伝導体が充填されている部分以外の部分の内壁に電子伝導体を形成するために、細孔の少なくとも小孔部分内にイオン伝導体が充填された多孔質基材を、電子伝導体が分散されている電子伝導体分散液中に浸漬して減圧し、電子伝導体分散液中から引き出して洗浄し、さらに乾燥する工程を含むことが好ましい。
この発明にかかる燃料電池は、この発明にかかるイオン伝導膜と、イオン伝導膜のイオン伝導体の一方側に設けられ、燃料として還元性ガスが供給されるアノード電極と、イオン伝導膜のイオン伝導体の他方側に設けられ、酸化性ガスが供給されるカソード電極とを含む、燃料電池である。
この発明にかかる水素センサは、この発明にかかるイオン伝導膜と、イオン伝導膜のイオン伝導体の一方側に設けられ、水素ガスを検出するための検出部として用いられるアノード電極と、イオン伝導膜のイオン伝導体の他方側に設けられ、酸化性ガスが供給されるカソード電極と含む、水素センサである。
この発明にかかるイオン伝導膜では、多孔質基材に形成された細孔において少なくとも最も径の小さい小孔部分内にイオン伝導体が充填されるので、全体の強度を維持しながら、多孔質基材においてイオン伝導体を有する層を薄く形成することができ、そのため、イオン伝導体による抵抗を低減することができる。
さらに、この発明にかかるイオン伝導膜では、それを燃料電池や水素センサなどに用いる場合、イオン伝導体の表面などに形成された電子伝導体を、一方の電極の一部としてまたは一方の電極として用いることができる。なお、このようにイオン伝導体を燃料電池や水素センサなどに用いる場合、イオン伝導体の他の表面に他方の電極を設ければよい。
この発明にかかるイオン伝導膜において、細孔が、イオン伝導体が充填される充填部分と、充填部分に通じ、充填部分より径の大きい、イオン伝導体が充填されない非充填部分とからなり、細孔の充填部分の径が2nm〜30nmであり、多孔質基材において充填部分を有する層の厚みが0.2μm〜10μmであり、細孔の非充填部分の径が15nm〜120nmであり、多孔質基材において非充填部分を有する層の厚みが25μm〜400μmである場合、イオン伝導体による抵抗を低減することができるとともに、イオン伝導体へのガスの拡散を円滑に行うことができる。この場合、細孔において非充填部分の径を充填部分の径と比べて10nm以上大きくすると、細孔の充填部分のみにイオン伝導体を充填しやすくなる。
この発明にかかるイオン伝導膜の製造方法では、全体の強度を維持しながらイオン伝導体による抵抗を低減することができるイオン伝導膜を製造することができる。
さらに、この発明にかかるイオン伝導膜の製造方法では、多孔質基材の材料を陽極酸化することによって多孔質基材の細孔を形成するので、多孔質基材の細孔を容易に形成することができる。
この発明にかかるイオン伝導膜の製造方法において、細孔を形成する工程が、多孔質基材の材料に先の陽極酸化を行うことによって細孔における小孔部分の径より大きい部分を先に形成する工程と、多孔質基材の材料に後の陽極酸化を行うことによって細孔における小孔部分を後に形成する工程とを含む場合、良好な小孔部分などからなる細孔を容易に形成することができる。
また、この発明にかかるイオン伝導膜の製造方法において、多孔質基材の細孔の少なくとも小孔部分内にイオン伝導体を充填するために、多孔質基材を、イオン伝導体を含むイオン伝導体溶液中に浸漬して減圧し、イオン伝導体溶液中から引き出して洗浄し、さらに乾燥する工程を含む場合、多孔質基材の細孔の少なくとも小孔部分内にイオン伝導体を容易に充填することができる。
さらに、この発明にかかるイオン伝導膜の製造方法では、少なくとも多孔質基材の細孔内においてイオン伝導体が充填されている部分以外の部分の内壁に電子伝導体を形成するために、細孔の少なくとも小孔部分内にイオン伝導体が充填された多孔質基材を、電子伝導体が分散されている電子伝導体分散液中に浸漬して減圧し、電子伝導体分散液中から引き出して洗浄し、さらに乾燥する工程を含む場合、少なくとも多孔質基材の細孔内においてイオン伝導体が充填されている部分以外の部分の内壁に電子伝導体を容易に形成することができる。
この発明にかかる燃料電池では、燃料としてたとえば水素ガスなどの還元性ガスをアノード電極に供給し、さらに、たとえば空気や酸素ガスなどの酸化性ガスをカソード電極に供給した状態で、アノード電極およびカソード電極間に負荷を接続すれば、たとえば水素イオンがアノード電極側からイオン伝導膜のイオン伝導体を介してカソード電極側に通るとともに、電子がアノード電極から負荷を介してカソード電極に流れる。
この発明にかかる水素センサでは、アノード電極およびカソード電極間に測定手段としての電圧計を接続するとともに、たとえば空気や酸素ガスなどの酸化性ガスをカソード電極に供給した状態で、検出部として用いられるアノード電極側を、水素を検出すべき雰囲気中に曝せば、その雰囲気中の水素ガスの濃度に応じた起電力が発生し、測定手段としての電圧計による測定値からその水素ガスの濃度を検出することができる。
この発明によれば、全体の強度を維持しながらイオン伝導体による抵抗を低減することができるイオン伝導膜およびその製造方法が得られる。
さらに、この発明によれば、そのように全体の強度を維持しながらイオン伝導体による抵抗を低減することができるイオン伝導膜を用いた燃料電池および水素センサが得られる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
図1は、この発明にかかるイオン伝導膜の一例を示す要部断面図解図である。図1に示すイオン伝導膜10は、たとえばアルミナなどの絶縁体からなる膜状の多孔質基材12を含む。
多孔質基材12には、特に図2に示すように、その膜面に対して垂直方向に、6角網目状に配列された多数の細孔14、14、14、・・・が形成されている。各細孔14は、多孔質基材12の一方主面から他方主面にわたって多孔質基材12を貫通するように形成される。
各細孔14は、径の大きい円柱状の大孔部分14aと径の小さい円柱状の小孔部分14bとを有する。
各大孔部分14aは、多孔質基材12の一方主面から多孔質基材12の他方主面の近傍にわたって形成される。また、各大孔部分14aは、径がたとえば15nm〜120nmに形成され、厚み(深さ)がたとえば25μm〜400μmに形成される。そのため、多孔質基材12において、それらの大孔部分14aを有する第1の層12aは、その厚みがたとえば25μm〜400μmに形成される。
各小孔部分14bは、多孔質基材12において大孔部分14aの底部から多孔質基材12の他方主面にわたって形成される。この場合、複数の小孔部分14bが、1つの大孔部分14aに対して形成される。したがって、小孔部分14bは、大孔部分14aに通じるとともに、大孔部分14aとともに細孔14として多孔質基材12を貫通する。
また、各小孔部分14bは、径がたとえば2nm〜30nmに形成され、厚み(深さ)がたとえば0.2μm〜10μmに形成される。そのため、多孔質基材12において、それらの小孔部分14bを有する第2の層12bは、その厚みがたとえば0.2μm〜10μmに形成される。なお、各小孔部分14bは、大孔部分14aより細く形成される。
多孔質基材12において各細孔14の小孔部分14b内には、図1に示すように、たとえばイオン伝導性パーフルオロスルホン酸からなるイオン伝導体16が充填される。このイオン伝導体16は、たとえば水素イオンなどのイオンを伝導するためのものである。
多孔質基材12の細孔14内において露出するイオン伝導体16の表面および大孔部分14aの内壁と多孔質基材12の一方主面とには、たとえばPt・Ruなどの電子伝導体を含む一方の電極18が形成される。この電極18には、たとえばイオン伝導性パーフルオロスルホン酸からなるイオン伝導体が含有されてもよい。
さらに、多孔質基材12の他方主面側で露出するイオン伝導体16の他の表面と多孔質基材12の他方主面とには、たとえばPt・Ruなどの電子伝導体を含む他方の電極20が形成される。この電極20にも、たとえばイオン伝導性パーフルオロスルホン酸からなるイオン伝導体が含有されてもよい。
次に、図1に示すイオン伝導膜10の製造方法の一例について説明する。
まず、多孔質基材12の材料としてたとえば膜厚500μmのアルミニウムからなる基材用膜100を準備した。
次に、図3に示すように、基材用膜100を、その一方主面の周囲部分から他方主面全面にわたって、陽極酸化防止用のマスク材102でマスクした。この場合、マスクしたい所定の部分にわたって、たとえばSiゴムや合成樹脂からなるマスク材を塗布することによって、マスク材102でマスクした。
そして、そのようにマスク材102でマスクされた基材用膜100をたとえば硫酸などの電解液中で電解処理して陽極酸化することにより、基材用膜100に多数の細孔14、14、14、・・・を形成するとともに、多孔質基材12の第1の層12aの部分および第2の層12bの部分を形成した。この場合、基材用膜100には、1回目の電解処理による陽極酸化により細孔14の大孔部分14aを形成するとともに多孔質基材12の第1の層12aの部分を形成し、2回目の電解処理による陽極酸化により細孔14の小孔部分14bを形成するとともに多孔質基材12の第2の層12bの部分を形成した。
すなわち、基材用膜100には、1回目の陽極酸化を所定の電圧で所定の時間行った。その結果、図4、図5、図6および図7に示すように、基材用膜100には、その一方主面側から内部にわたって多数の細孔14の大孔部分14aが形成された。この場合、基材用膜100において、細孔14の大孔部分14aを規定する部分(膜)100aは、酸化されてアルミナとなり、多孔質基材12の第1の層12aの部分を含む。なお、基材用膜100において、部分100a以外の部分100bは、アルミニウムのままである。
ここで、電解処理による陽極酸化とそれによって基材用膜100に形成される大孔部分14aなどとの関係について説明する。
通常、アルミニウムの表面を電解処理により陽極酸化すると、その表面から内部にわたって6角網目状に配列された多数の孔が形成されるとともに、それらの孔を規定する部分(膜)が酸化されてアルミナとなる。
このようにして形成された孔に関連して、便宜上、図7に示すように、1つの孔に対してアルミナとなったセルの径をcとし、孔の径をdとし、孔の底部に形成されたアルミナからなるバリヤ層の厚みをbとし、アルミナとなった部分(膜)の厚みをtとする。
セルの径cは、電解処理による陽極酸化においてアルミニウムに印加する電圧の大きさを変えることによって制御することができる。セルの径cとその電圧との比は、たとえば2.5nm/Vとなる。
孔の径dは、電解処理による陽極酸化における条件、たとえば、アルミニウムに印加する電圧の大きさ、電解液の温度または電解液の濃度などを変えることによって、制御することができる。この場合、孔の径dは、その電圧の大きさを大きくするほど、その電解液の温度を高くするほど、または、その電解液の濃度を高くするほど大きくなる。なお、この孔の径dは、後処理の条件によっても制御することができる。
バリヤ層の厚みbは、セルの径cと同様に、電解処理による陽極酸化においてアルミニウムに印加する電圧の大きさを変えることによって制御することができる。バリヤ層の厚みbとその電圧との比は、たとえば1nm/Vとなる。
膜の厚みtは、電解処理による陽極酸化においてアルミニウムに流す電流の大きさと電流を流した時間との積すなわちクーロン量に比例する。そのため、膜の厚みtは、その積を大きくするほど厚くなる。
したがって、上述のようにアルミニウムに形成される孔などと同様に、アルミニウムからなる基材用膜100に形成される大孔部分14aに関連して、1つの大孔部分14aに対してアルミナとなったセルの径c、大孔部分14aの径d、大孔部分14aの底部に形成されたアルミナからなるバリヤ層の厚みbおよびアルミナとなった部分(膜)100aの厚みtも、電解処理による陽極酸化において印加する電圧の大きさ、電解液の温度または電解液の濃度などの条件、後処理の条件、電解処理による陽極酸化において流す電流の大きさと電流を流した時間との積などを変えることによって制御することができる。
そのように多数の細孔14の大孔部分14aが形成された基材用膜100には、同じ電解液中で、2回目の電解処理による陽極酸化を行った。2回目の陽極酸化は、1回目の陽極酸化と比べて低い電圧で所定の時間行った。その結果、図8に示すように、基材用膜100には、大孔部分14aの底部から基材用膜100の他方主面側に向かって細孔14の小孔部分14bが形成された。この場合、基材用膜100において、細孔14の小孔部分14bを規定する部分は、酸化されてアルミナとなり、多孔質基材12の第2の層12bの部分を含む。そのため、基材用膜100において、細孔14(大孔部分14aおよび小孔部分14b)を規定する部分100cがアルミナとなり、多孔質基材12の第1の層12aおよび第2の層12bの部分を含む。なお、基材用膜100において、マスク材102でマスクされているその他の部分100dは、アムミニウムのままである。
細孔14が形成された基材用膜100からマスク材102を外し、その基材用膜100を、アルミニウムを溶解するたとえば臭素/メタノールなどの溶解用溶液中に所望の時間浸漬した。その結果、基材用膜100において、アルミニウムからなる部分100dが完全に溶解された。なお、このようにアルミニウムからなる部分100dが完全に溶解されたことは、完全に溶解されれば水素ガスが発生しなくなるので、目視により確認することができる。基材用膜100において、アルミニウムからなる部分100dが溶解されると、細孔14を規定するアルミナからなる部分100cのみが、図9に示すように、多孔質膜104として残る。この多孔質膜104では、細孔14の小孔部分14bの底部にアルミナからなるバリヤ層104aが残っているので、細孔14は多孔質膜104を貫通していない。
そこで、図10に示すように、多孔質膜104の一方主面とともに細孔14の大孔部分14aを、マスク材102と同様のマスク材106でマスクした。そして、マスク材106でマスクされた多孔質膜104を陽極酸化で用いられた電解液と同じバリヤ層溶解用溶液中に所定の時間浸漬した。その結果、多孔質膜104のバリヤ層104aが完全に溶解されて、細孔14が多孔質膜104を貫通した。それから、多孔質膜104からマスク材106を外すことによって、図2に示す多孔質基材12を形成した。
次に、形成された多孔質基材12を、イオン伝導性パーフルオロスルホン酸溶液中に浸漬して減圧し、その溶液中から引き出して洗浄し、さらに乾燥することを繰り返すことによって、多孔質基材12の細孔14の小孔部分14b内にイオン伝導体16を充填した。
そして、イオン伝導体16が充填された多孔質基材12を、電子伝導体としてのPt・Ruがパーフルオロスルホン酸溶液に分散されている電子伝導体分散液中に浸漬して減圧し、その電子伝導体分散液中から引き出して洗浄し、さらに乾燥することを繰り返すことによって、多孔質基材12の一方主面および細孔14内に電極18を形成するとともに、多孔質基材12の他方主面側に電極20を形成した。このようにしてイオン伝導膜10を製造した。
このイオン伝導体10では、多孔質基材12に形成された細孔14において径の小さい小孔部分14b内にイオン伝導体16が充填されるので、全体の強度を維持しながら、多孔質基材12においてイオン伝導体16を有する層12bを薄く形成することができ、そのため、イオン伝導体16による抵抗を低減することができる。
さらに、このイオン伝導膜10では、それを燃料電池や水素センサなどに用いる場合、イオン伝導体10の表面などに形成された電子伝導体を含む電極18および20を用いることができる。
また、上述のイオン伝導膜10では、細孔14の大孔部分14aの内壁に、電子伝導体を含みイオン伝導体を含有した電極18が形成されているので、電極18にイオン伝導体を含有していないものと比べて、イオン伝導膜10を燃料電池に用いた場合に、燃料電池の反応における効率がよくなる。なぜなら、イオン伝導膜10を燃料電池に用いた場合、燃料電池の反応は、イオン(プロトン)と電子と水素などの還元性ガスとが関与し、イオン伝導体と電子伝導体と還元性ガスなどの気相とが接する部分で起こるが、このイオン伝導体膜10では、細孔14の大孔部分14aの内壁に電子伝導体だけでなくイオン伝導体も形成されているので、電極18にイオン伝導体を含有していないものと比べて、その反応が起こる部分が増加するからである。
このイオン伝導膜10において、特に、細孔14においてイオン伝導体16が充填される充填部分としての小孔部分14bの径が2nm〜30nmであり、多孔質基材12において充填部分としての小孔部分14bを有する層12bの厚みが0.2μm〜10μmであり、細孔14においてイオン伝導体16が充填されない非充填部分としての大孔部分14aの径が15nm〜120nmであり、多孔質基材12において非充填部分としての大孔部分14aを有する層12aの厚みが25μm〜400μmである場合、イオン伝導体16による抵抗を低減することができるとともに、イオン伝導体16へのガスの拡散を円滑に行うことができる。また、この場合、細孔14において大孔部分14aの径を小孔部分14bの径と比べて10nm以上大きくすると、細孔14の小孔部分14bのみにイオン伝導体16を充填しやすくなる。
また、上述のイオン伝導膜10の製造方法では、多孔質基材12の材料である基材用膜100を陽極酸化することによって多孔質基材12の細孔14を形成するので、多孔質基材12の細孔14を容易に形成することができる。
特に、上述のイオン伝導膜10の製造方法では、基材用膜100に1回目の陽極酸化を行うことによって細孔14における大孔部分14aを先に形成し、基材用膜100に2回目の陽極酸化を行うことによって細孔14における小孔部分14bを後に形成するので、良好な大孔部分14aおよび小孔部分14bからなる細孔14を容易に形成することができる。
また、上述のイオン伝導膜10の製造方法では、多孔質基材12を、イオン伝導体を含むイオン伝導体溶液中に浸漬して減圧し、イオン伝導体溶液中から引き出して洗浄し、さらに乾燥することによって、多孔質基材12の細孔14の小孔部分14b内にイオン伝導体16を充填するので、多孔質基材12の細孔14の小孔部分14b内にイオン伝導体16を容易に充填することができる。
さらに、上述のイオン伝導膜10の製造方法では、細孔12の小孔部分14b内にイオン伝導体16が充填された多孔質基材12を、電子伝導体が分散されている電子伝導体分散液中に浸漬して減圧し、電子伝導体分散液中から引き出して洗浄し、さらに乾燥することによって、電子伝導体を含む電極18および20を形成するので、イオン伝導体16の表面などに電子伝導体を含む電極18および20を容易に形成することができる。
(実験例)
まず、上述の実施の形態におけるイオン伝導膜10の製造方法における方法と同じ方法によって、多孔質基材12を形成した。
この場合、電解処理による陽極酸化に用いられる電解液として、2mol/dm3の硫酸を用いた。
また、1回目の電解処理による陽極酸化によって細孔14の大孔部分14aに対応した12a層を形成し、2回目の電解処理による陽極酸化によって細孔14の小孔部分14bに対応した12b層を形成したが、1回目の電解処理による陽極酸化および2回目の電解処理による陽極酸化において、基材用膜100に印加する電圧、電解液の温度および処理時間を、それぞれ表1に示した。
Figure 2010033939
1回目の電解処理と2回目の電解処理との間においては、電圧を0.2V/分の速度で下げた。さらに、1回目の電解処理と2回目の電解処理とにおいて電解液の温度を変える場合には、その間で電解液の温度を変えた。
また、バリヤ層溶解用溶液として、2mol/dm3の硫酸を用いた。バリヤ層104aを完全に溶解して除去するために多孔質膜104をバリヤ層溶解用溶液中に浸漬した時間を、バリヤ層除去時間として表1に示した。
以上のようにして形成された多孔質基材12において、細孔14の大孔部分14aおよび小孔部分14bにおける径および厚み(深さ)を測定し、それらの測定結果を表1に示した。
そして、多孔質基材12には、上述の実施の形態のイオン伝導膜10の製造方法における方法と同じ方法で、細孔14の小孔部分14b内にイオン伝導体16を充填した後に、イオン伝導体16の表面などに電極18および20を形成することによって、イオン伝導膜10を製造した。
次に、製造されたイオン伝導膜10を、図11に示すように、電極18および20の両側からカーボンペーパ22および24で挟み、80℃、85%RH中でイオン伝導膜10の抵抗を測定し、その測定結果を表1に示した。なお、イオン伝導膜10における電極18(20)の見かけ上の面積は、1cm2(縦1cm×横1cm)であった。また、多孔質基材12の主面において、細孔14が形成されている範囲は、縦8mmで横8mmの正方形の範囲内であった。
実験例で製造されたイオン伝導膜10およびその製造方法では、上述の実施の形態で製造されたイオン伝導膜10およびその製造方法によって奏する効果と同様に効果を奏する。
たとえば、イオン伝導膜10の抵抗の大部分は、イオン伝導体16による抵抗である。また、イオン伝導膜10の電極18(20)の実質的な面積、すなわちイオン伝導体16の表面に接する面積は、電極18(20)の見かけ上の面積の約1/2となる。しかし、イオン伝導膜10では、従来のものと比べて、多孔質基材12において細孔14の小孔部分14bを有する層12bの厚みやイオン伝導体16の厚みが薄層化できるので、イオン伝導体による抵抗が低減し、抵抗による損失を大幅に低減できる。
また、実験例の表1に示す結果などから、イオン伝導膜10において、細孔14の小孔部分14bの径が2nm〜30nmであり、多孔質基材12において小孔部分14bを有する層12bの厚みが0.2μm〜10μmであり、細孔14の大孔部分14aの径が15nm〜120nmであり、多孔質基材12において大孔部分14aを有する層12aの厚みが25μm〜400μmであることが、イオン伝導体16による抵抗を低減することができ、さらに、イオン伝導体16へのガスの拡散を円滑に行うことができるとともに、イオン伝導体の充填不良や多孔質基材のハンドリング不良を防止することができる点で好ましいことがわかる。さらに、この場合、実験例の表1に示さなかったが、細孔14において大孔部分14aの径を小孔部分14bの径と比べて10nm以上大きくすると、細孔14の小孔部分14bのみにイオン伝導体16を充填しやすくなることもわかった。
すなわち、小孔部分14bの径の好ましい下限は、2nm(試料番号2)であり、これより小さくすると、小孔部分14bにイオン伝導体16を充填することが難しくなるからである。
小孔部分14bの径の好ましい上限は、30nm(試料番号3)であり、これより大きくすると、小孔部分14bの径が大きくなりすぎて、小孔部分14b内に緻密な膜が得られるまでイオン伝導体16を充填することが難しくなり、イオン伝導体の充填不良となる場合(試料番号6)があるからである。
多孔質基材12において小孔部分14bを有する層12bの厚みの好ましい下限は、0.2μm(試料番号2)であり、これより薄くすると、小孔部分14にイオン伝導体16を緻密に充填することが難しくなるからである。
多孔質基材12において小孔部分14bを有する層12bの厚みの好ましい上限は、10μm(試料番号3)であり、これより厚くすると、抵抗が50mΩを超えてしまう(試料番号5)からである。
大孔部分14aの径の好ましい下限は、15nm(試料番号4)であり、これより小さくすると、大孔部分14aにもイオン伝導体16が密に充填されてしまう場合があるからである。
大孔部分14a径の好ましい上限は、120nm(試料番号3)であり、これより大きくすると、小孔部分14bとの連結性が悪くなる場合があるからである。
多孔質基材12において大孔部分14aを有する層12aの厚みの好ましい下限は、25μm(試料番号4)であり、これより薄くすると、ハンドリングが困難となり、ハンドリングが不良となる場合(試料番号7)があるからである。
多孔質基材12において大孔部分14aを有する層12aの厚みの好ましい上限は、400μm(試料番号3)であり、これより厚くすると、細孔14の内壁に電子伝導体を形成することが困難となる場合があるからである。
さらに、細孔14において大孔部分14aの径を小孔部分14bの径と比べて10nm以上大きくすると、それらの径の差により、細孔14の小孔部分14bのみにイオン伝導体16を充填しやすくなるからである。
なお、上述の実験例において、試料番号6および7などの条件では、イオン伝導体の充填不良や多孔質基材のハンドリング不良などがあった場合を例にして説明したが、試料番号6および7などの条件と同じ条件でも、そのような不良のない場合もあった。
図12はこの発明にかかる固体高分子型燃料電池の一例を示す図解図である。図12に固体高分子型燃料電池30は、図1に示すイオン伝導膜10を含む。
イオン伝導膜10の電極18および20の両側には、たとえばカーボンブラック上に白金を担持した電極材料からなるアノード電極32およびカソード電極34がそれぞれ形成される。
アノード電極32上には、たとえばカーボンペーパからなる還元性ガス拡散層36を介して、還元性ガス流通用カーボン板38が設けられる。還元性ガス流通用カーボン板38は、たとえば水素ガスなどの還元性ガスを還元性ガス拡散層36側に流通するためのものである。そのため、還元性ガス流通用カーボン板38には、還元性ガス拡散層36に対向する面に、多数の還元性ガス流路溝38aが形成されている。また、還元性ガス拡散層36は、還元性ガス流路溝38aを流通する還元性ガスをアノード電極32側に拡散するためのものである。なお、還元性ガス流通用カーボン板38の還元性ガス流路溝38aには、たとえば水素ガスなどの還元性ガスのガス供給源(図示せず)が接続される。そのため、還元性ガス拡散層36および還元性ガス流通用カーボン板38は、アノード電極32にたとえば水素ガスなどの還元性ガスを供給するための還元性ガス供給手段として用いられる。
同様に、カソード電極34上には、たとえば空気や酸素ガスなどの酸化性ガスを拡散するための酸化性ガス拡散層40を介して、酸化性ガス流通用カーボン板42が設けられる。この酸化性ガス拡散層40も、たとえばカーボンペーパからなる。酸化性ガス流通用カーボン板42は、たとえば空気や酸素ガスなどの酸化性ガスを酸化性ガス拡散層40側に流通するためのものであり、酸化性ガス拡散層40に対向する面に、多数の酸化性ガス流路溝42aが形成されている。酸化性ガス流通用カーボン板42の酸化性ガス流路溝42aには、たとえば空気や酸素ガスなどの酸化性ガスのガス供給源(図示せず)が接続される。そのため、酸化性ガス拡散層40および酸化性ガス流通用カーボン板42は、カソード電極34にたとえば空気や水素ガスなどの酸化性ガスを供給するための酸化性ガス供給手段として用いられる。
この固体高分子型燃料電池50は、たとえば、次のようにして製造される。
まず、上述の実施の形態や実験例と同じ方法によって、イオン伝導膜10を製造した。
さらに、電極の材料として、カーボンブラックおよび白金の粒子に、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質溶液、たとえばデュポン社製のナフィオン(登録商標)溶液を添加し、それらを攪拌混合することによって、均一な状態の電極ペーストを得た。電極ペーストを2枚のPETフィルム上にスクリーン印刷した後に乾燥して、2枚の電極ペースト層付きPETフィルムを形成した。
そして、2枚の電極ペースト層付きPETフィルムでイオン伝導膜10を挟み、それらを130℃でホットプレスした後、2枚のPETフィルムを除去することによって、イオン伝導膜10の両面上にアノード電極32およびカソード電極34を形成した。
それから、アノード電極32およびカソード電極34が形成されたイオン伝導膜10を一対のガス拡散層36および40で挟み、さらに、ガス流路溝38aおよび42aを設けた一対のカーボン板38および42で挟み込み、それらを接合することによって、固体高分子型燃料電池30を製造した。
この固体高分子型燃料電池30には、アノード電極32などのアノード側に水素ガスを、カソード電極34などのカソード側に空気を供給した。この場合、水素ガスおよび空気は、それぞれ、ガス供給源の外部加湿器で加湿を行ってから固体高分子型燃料電池30に供給した。また、固体高分子型燃料電池30の温度は、80℃になるように温度調節した。そして、アノード電極32およびカソード電極34間に負荷を接続して、固体高分子型燃料電池30を電流密度300mA/cm2で運転した。
この固体高分子型燃料電池30は、複数のものを並列に接続することによって電流容量を大きくすることができ、複数のものを直列に接続することによって端子電圧を大きくすることができるので、比較的小電力しか消費しないたとえば携帯電話やノートパソコンなどから比較的大電力を消費する大型の機器や装置などの電源として用いることができる。
図13は、この発明にかかる水素センサの一例を示す図解図である。図13に示す水素センサ50は、図1にイオン伝導膜10を含む。ただし、このイオン伝導膜10は、全体の主面が、基材用膜100をマスク材102でマスクする部分の形状を変えることによって、たとえば直径1cmの円形に形成されている。イオン導電膜10の電極18上には、外部電極としてアノード電極52が形成され、イオン伝導膜10の電極20上には内部電極としてカソード電極54が形成される。アノード電極52は、水素ガスを検出するための検出部として用いられるものであり、カソード電極54は、たとえば空気や酸素ガスなどの酸化性ガスが供給されるためのものである。また、イオン伝導膜10は、円管状の支持部分56の先端に固着される。この場合、イオン伝導膜10は、アノード電極52が支持部材56の外部に配置され、カソード電極54が支持部材56の内部に配置されるように、支持部材56に固着される。この支持部材56の内部には、直線状の酸化性ガス流路56aが、カソード電極54に通じるように形成されている。なお、支持部材56の酸化性ガス流路56aには、たとえば空気や酸素ガスなどの酸化性ガスのガス供給源(図示せず)が接続される。そのため、支持部材56は、カソード電極54にたとえば空気や水素ガスなどの酸化性ガスを供給するための酸化性ガス供給手段として用いられる。また、アノード電極52およびカソード電極54間には、たとえば電圧計からなる測定手段(図示せず)が接続される。
この水素センサ50では、たとえば空気や酸素ガスなどの酸化性ガスをカソード電極54に供給した状態で、検出部として用いられるアノード電極52側を、水素を検出すべき雰囲気中に曝せば、その雰囲気中の水素ガスの濃度に応じた起電力が発生し、測定手段としての電圧計による測定値からその水素ガスの濃度を検出することができる。
なお、上述のイオン伝導膜10では、多孔質基材12が細孔14の大孔部分14aを有する層12aと細孔14の小孔部分14bを有する層12bとの2層からなるが、この発明では、多孔質基材は細孔において径が異なる3つ以上の孔部分を有する3層以上の層からなってもよい。このような多孔質基材を形成するためには、たとえば、多孔質基材の材料に、印加電圧を段階的に下げる3回以上の電解処理による陽極酸化を行えばよい。この場合、細孔において径が太い孔部分から細い孔部分の順に、細孔の径が異なる3つ以上の孔部分を形成すればよい。
また、この発明では、上述のように多孔質基材が3層以上の層からなる場合には、細孔において少なくとも最も径の小さい小孔部分内にイオン伝導体を充填し、少なくとも細孔内においてイオン伝導体が充填されている部分以外の部分の内壁に電子伝導体を形成すればよい。
さらに、上述のイオン伝導膜10では、多孔質基材12の材料としてアルミニウムが用いられているが、この発明では、多孔質基材の材料としてアルミニウム以外にチタンやスズなど陽極酸化できる他の金属が用いられてもよい。
また、上述のイオン伝導膜10では、細孔14の大孔部分14aの内壁に、電子伝導体を含みイオン伝導体を含有した電極18が形成されているが、細孔14の大孔部分14aの内壁には、電極18の代わりに、電子伝導体を含むがイオン伝導体を含有していない電極が形成されてもよい。このような電極を形成するためには、イオン伝導体を含む電子伝導体分散液を用いる代わりに、イオン伝導体を含まない電子伝導体分散液を用いればよい。電極18と同様に、電極20についても、イオン伝導体が含有されなくてもよい。
さらに、細孔14の大孔部分14aの内壁には、電極18に代わりに、イオン伝導体と電子伝導体とが多層に形成されてもよい。この場合、細孔14の小孔部分14b内からから大孔部分14aの内壁にわたってイオン伝導体を形成し、そのイオン伝導体の表面などに電子伝導体を含む電極を形成すればよい。
また、上述のイオン伝導膜10では、イオン伝導性パーフルオロスルホン酸からなるイオン伝導体16が用いられているが、この発明では、イオン伝導体の材料として、イオン伝導性パーフルオロスルホン酸の代わりに、たとえばスルホン化ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリイミドまたはリン酸塩ガラスなど他の材料が用いられてもよい。
さらに、上述のイオン伝導膜10では、全体の主面が所定の大きさの正方形や円形に形成されているが、その形状は、たとえば6角形など他の形状に変更されてもよく、また、その大きさも、大きくしたり小さくしたり任意に変更されてもよい。このように変更するためには、基材用膜100をマスク材102でマスクする範囲を変えればよい。
また、上述の固体高分子型燃料電池30には、互いに平行する還元性ガス流路溝38aおよび酸化性ガス流路溝42aを有する還元性ガス流通用カーボン板38および酸化性ガス流通用カーボン板42が設けられているが、それらは他の構造に形成されてもよい。たとえば、還元性ガス流路溝38aと酸化性ガス流路溝42aとは、互いにねじれの位置関係になるように形成されてもよい。
さらに、上述の水素センサ50においても、イオン伝導膜10を支持するための支持部材56が円管状以外の形状に形成されてもよく、また、酸化性ガス流路56aも直線状以外の形状に形成されてもよい。
この発明にかかるイオン伝導膜は、固体高分子型燃料電池などの燃料電池や水素センサなどに利用される。
この発明にかかるイオン伝導膜の一例を示す要部断面図解図である。 図1に示すイオン伝導膜に用いられる多孔質基材を示す要部断面図解図である。 図1に示す薄膜イオン伝導膜の製造方法における一工程を示す図解図である。 図1に示す薄膜イオン伝導膜の製造方法における他の工程を示す図解図である。 図4に示す基材用膜を示す要部断面斜視図解図である。 図4に示す基材用膜を示す平面図解図である。 図4に示す基材用膜を示す要部断面側面図解図である。 図1に示す薄膜イオン伝導膜の製造方法におけるさらに他の工程を示す図解図である。 図1に示す薄膜イオン伝導膜の製造方法におけるさらに他の工程を示す図解図である。 図1に示す薄膜イオン伝導膜の製造方法におけるさらに他の工程を示す図解図である。 図1に示すイオン伝導膜をカーボンペーパで挟んだ状態を示す要部断面図解図である。 この発明にかかる固体高分子型燃料電池の一例を示す図解図である。 この発明にかかる水素センサの一例を示す図解図である。
符号の説明
10 イオン伝導膜
12 多孔質基材
12a 第1の層
12b 第2の層
14 細孔
14a 大孔部分
14b 小孔部分
16 イオン伝導体
18、20 電極
22、24 カーボンペーパ
30 固体高分子型燃料電池
32 アノード電極
34 カソード電極
36 還元性ガス拡散層
38 還元性ガス流通用カーボン板
38a 還元性ガス流路溝
40 酸化性ガス拡散層
42 酸化性ガス流通用カーボン板
42a 酸化性ガス流路溝
50 水素センサ
52 アノード電極
54 カソード電極
56 支持部材
56a 酸化性ガス流路
100 基材用膜
102 マスク材
104 多孔質膜
104a バリヤ層
106 マスク材

Claims (8)

  1. 膜面に対して垂直方向に形成された複数の細孔を有し、厚み方向において前記細孔の径が異なる少なくとも2層からなる膜状の多孔質基材、
    前記多孔質基材に形成された前記細孔において少なくとも最も径の小さい小孔部分内に充填されているイオン伝導体、および
    少なくとも前記多孔質基材の前記細孔内において前記イオン伝導体が充填されている部分以外の部分の内壁に形成されている電子伝導体を含む、イオン伝導膜。
  2. 前記細孔は、前記イオン伝導体が充填される充填部分と、前記充填部分に通じ、前記充填部分の径より大きい、前記イオン伝導体が充填されない非充填部分とからなり、
    前記充填部分の径が2nm〜30nmであり、前記多孔質基材において前記充填部分を有する層の厚みが0.2μm〜10μmであり、
    前記非充填部分の径が15nm〜120nmであり、前記多孔質基材において前記非充填部分を有する層の厚みが25μm〜400μmである、請求項1に記載のイオン伝導膜。
  3. 請求項1または請求項2に記載のイオン伝導膜を製造するためのイオン伝導膜の製造方法であって、
    多孔質基材の材料を陽極酸化することによって前記多孔質基材の前記細孔を形成する工程を含むことを特徴とする、イオン伝導膜の製造方法。
  4. 前記細孔を形成する工程は、
    前記多孔質基材の材料に先の陽極酸化を行うことによって前記細孔における前記小孔部分の径より大きい部分を先に形成する工程、および
    前記多孔質基材の材料に後の陽極酸化を行うことによって前記細孔における前記小孔部分を後に形成する工程を含むことを特徴とする、請求項3に記載のイオン伝導膜の製造方法。
  5. 前記多孔質基材の前記細孔の少なくとも前記小孔部分内に前記イオン伝導体を充填するために、前記多孔質基材を、前記イオン伝導体を含むイオン伝導体溶液中に浸漬して減圧し、前記イオン伝導体溶液中から引き出して洗浄し、さらに乾燥する工程を含むことを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のイオン伝導膜の製造方法。
  6. 少なくとも前記多孔質基材の前記細孔内において前記イオン伝導体が充填されている部分以外の部分の内壁に前記電子伝導体を形成するために、前記細孔の少なくとも前記小孔部分内に前記イオン伝導体が充填された前記多孔質基材を、前記電子伝導体が分散されている電子伝導体分散液中に浸漬して減圧し、前記電子伝導体分散液中から引き出して洗浄し、さらに乾燥する工程を含むことを特徴とする、請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のイオン伝導膜の製造方法。
  7. 請求項1または請求項2に記載のイオン伝導膜、
    前記イオン伝導膜の前記イオン伝導体の一方側に設けられ、燃料として還元性ガスが供給されるアノード電極、および
    前記イオン伝導膜の前記イオン伝導体の他方側に設けられ、酸化性ガスが供給されるカソード電極を含む、燃料電池。
  8. 請求項1または請求項2に記載のイオン伝導膜、
    前記イオン伝導膜の前記イオン伝導体の一方側に設けられ、水素ガスを検出するための検出部として用いられるアノード電極、および
    前記イオン伝導膜の前記イオン伝導体の他方側に設けられ、酸化性ガスが供給されるカソード電極を含む、水素センサ。
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