JP2018140479A - 金属充填微細構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁性基材の厚み方向に貫通した複数の貫通路があり、貫通路中に金属が充填されている金属充填微細構造体の表面平滑化処理において、終点を検出する金属充填微細構造体の製造方法を提供する。【解決手段】絶縁性基材と、絶縁性基材の厚み方向に貫通した複数の貫通路と、貫通路の内部に充填された金属で構成された複数の導通路とを有する金属充填微細構造体の製造方法である。絶縁性基材の面に対する導通路の面積率が15%以上50%以下であり、導通路の直径が20nm以上110nm以下である。貫通路に金属が充填された絶縁性基材の少なくとも一方の面を平滑化する表面平滑化処理工程を有する。表面平滑化処理工程は終点を検出する終点検出を行って停止する。【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁性基材の厚み方向に貫通した複数の貫通路があり、貫通路中に金属が充填されている金属充填微細構造体の製造方法に関し、特に、貫通路の内部に金属が充填された状態の絶縁性基材の表面平滑化処理を、終点検出を行って停止する金属充填微細構造体の製造方法に関する。
絶縁性基材に設けられた微細孔に金属が充填されてなる金属充填微細構造体は、近年ナノテクノロジーでも注目されている分野のひとつであり、例えば、異方導電性部材としての用途が期待されている。
異方導電性部材は、半導体素子等の電子部品と回路基板との聞に挿入し、加圧するだけで電子部品と回路基板間の電気的接続が得られるため、半導体素子等の電子部品等の電気的接続部材、および機能検査を行う際の検査用コネクタ等として広く使用されている。
特に、半導体素子等の電子部品は、ダウンサイジング化が顕著であり、従来のワイヤーボンディングのような配線基板を直接接続するような方式、フリップチップボンディング、およびサーモコンプレッションボンディング等では、接続の安定性を十分に保証することができないため、電子接続部材として異方導電性部材が注目されている。
特許文献1には、1000万個/mm以上の密度でマイクロポア貫通孔を有する基材について、一部のマイクロポア貫通孔が、基材の材料以外の物質で充填されている微細構造体の製造方法が記載されている。マイクロポア貫通孔内に、基材の材料以外の物質を充填した後に、基材の表面および裏面を化学的機械的研磨処理によって平滑化する表面平滑化処理を施すことが記載されている。
特開2013−167023号公報 特開2015−8303号公報 特表2014−513435号公報 特表2014−514770号公報
特許文献1には、微細構造体の製造方法において、化学的機械的研磨処理によって平滑化することが記載されているが、平滑化の終点の検出態様は明らかではない。微細構造体において面積率が一定の範囲でないと導通路の表面が露出しても変化が見えず、従来の検出技術では検出が困難である。同様に、導通路の直径が一定の範囲でないと導通路の表面が露出しても変化が見えず従来の検出技術では導通路の表面が露出したところを終点検出することが困難である。また、絶縁性基材をエッチングする作用を持つスラリーを用いて研磨することにより、研磨による脱離物が粗大化することを防ぎ、検知用窓を傷つけること、および研磨面のラフネスが大きくなることによる検出への悪影響を少なくすることができる。
ここで、特許文献2には、モータに駆動されて水平方向に回転するプラテンと、プラテンに設けられた観測窓と、観測窓に対応してプラテンの表面に設けられた研磨パッドと、観測窓を経由してウエハから反射した光学情報を取り込む分光装置とを有する研磨終点検出装置が記載されている。特許文献2では、連続時間変化マップ内で分光波形の複数の節の位置の周期的な変化傾向が全て不連続になった時点を検出して、研磨終点として検出する。しかしながら、特許文献2は、研磨対象が半導体ウエハであり、特許文献1のような、一部のマイクロポア貫通孔が、基材の材料以外の物質で充填されている微細構造体ではない。このため、基材および導通路のどちらでもない材料が露出することを検出する特許文献2の研磨終点検出が有効であると必ずしも言えない。
また、特許文献3に記載の基板を化学的機械的研磨を行なう方法は、研磨ステーションにおいて基板上の金属層を研磨することと、金属層の厚さを、研磨の間、研磨ステーションにおいて渦電流モニタシステムによりモニタすることと、金属層の残留物が下層から除去され、下層の上面が露出されていることを渦電流モニタシステムが示すとき、研磨を停止することとを含んでいる。
特許文献4に記載の基板を化学的機械的研磨を行なう方法は、研磨ステーションにおいて基板上の金属層を研磨することと、金属層の厚さを、研磨の間、研磨ステーションにおいて渦電流モニタシステムによりモニタすることと、金属層の予測される厚さプロファイルと目標プロファイルとの間の差を減少させるために、渦電流モニタシステムからの金属層の厚さの測定値に基づいて、研磨ステーションにおける金属層の研磨の間キャリアヘッドによって基板に印加される圧力を制御することとを含み、金属層が700オームオングストロームを超える抵抗を有する。
特許文献3および特許文献4の基板を化学的機械的研磨を行なう方法は、いずれも金属ピラーの平坦化の検出に使用できることが記載されているが、特許文献3および特許文献4では金属ピラーをモニタリングしている。このため、微細構造体において微細孔に金属が十分に充填されている領域と、微細孔に金属が十分に充填されていない領域とが混在するような場合には、終点検出が確実にできない。
また、上述のように微細孔に金属が十分に充填されている領域と、微細孔に金属が十分に充填されていない領域とが混在する場合に平滑化するには、研磨量を多くする必要があり、生産効率が悪い。しかも、研磨量が多く過研磨された場合、最終膜厚が薄くなりすぎたり、膜厚ばらつきが大きくなるという問題が生じる。
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、絶縁性基材の厚み方向に貫通した複数の貫通路があり、貫通路中に金属が充填されている金属充填微細構造体の表面平滑化処理において、終点を検出する金属充填微細構造体の製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明は、絶縁性基材と、絶縁性基材の厚み方向に貫通した複数の貫通路と、貫通路の内部に充填された金属で構成された複数の導通路とを有する金属充填微細構造体の製造方法であって、絶縁性基材の面に対する導通路の面積率が15%以上50%以下であり、導通路の直径が20nm以上110nm以下であり、貫通路に金属が充填された絶縁性基材の少なくとも一方の面を平滑化する表面平滑化処理工程を有し、表面平滑化処理工程は、終点を検出する終点検出を行って停止する金属充填微細構造体の製造方法を提供するものである。
貫通路に金属が充填された絶縁性基材の両面に対して、表面平滑化処理工程を実施することが好ましい。
終点検出は、光学的に終点を検出することが好ましい。また、終点検出は、電気的に終点を検出することが好ましい。
終点検出は、絶縁性基材の面と導通路の端面とが、表面粗さが20nm以下となる状態を終点として検出することが好ましい。
表面平滑化処理工程の平滑化は、化学的機械的研磨、ドライエッチングまたは研削を用いることが好ましい。
化学的機械的研磨は、絶縁性基材をエッチングする作用を持つスラリーを用いることが好ましい。
光学的に終点を検出する終点検出は、絶縁性基材の反射率を用いることが好ましい。
表面平滑化処理工程の平滑化は化学的機械的研磨が用いられ、電気的に終点を検出する終点検出は、化学的機械的研磨に用いられる研磨体と、絶縁性基材の少なくとも一方の面との間の摩擦力を表す回転トルクを用いることが好ましい。
表面平滑化処理工程は、平滑化を実施し、かつ平滑化中に終点の検出を行うことが好ましい。
本発明によれば、終点を検出し研磨を自動停止することができ、効率よく製造することができる。
本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法に用いられる平滑化装置の一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す平面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の表面平滑化処理工程前の状態の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の表面平滑化処理工程前の状態の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の表面平滑化処理工程後の状態の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の表面平滑化処理工程の一例を示すフローチャートである。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の金属充填微細構造体の製造方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α〜数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。「同一」についても該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
金属充填微細構造体の製造方法について、まず、金属充填微細構造体の製造方法に用いられる平滑化装置について説明する。
なお、金属充填微細構造体は、絶縁性基材と、絶縁性基材の厚み方向に貫通した複数の貫通路と、貫通路の内部に充填された金属で構成された複数の導通路とを有するものである。金属充填微細構造体については後に詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法に用いられる平滑化装置の一例を示す模式的斜視図である。
図1に示す平滑化装置100は、一般的に化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)と呼ばれる研磨を実施する研磨装置である。平滑化装置100は、回転する回転定盤102と、回転定盤102上に設けられてた研磨パッド104と、研磨パッド上に被研磨体Wを保持する回転ヘッド106とを有する。
回転定盤102は回転軸102aを介して設けられたモータ108により、予め定められた方向に、予め定められた回転速度にて回転される。
平滑化装置100は、さらに回転定盤102の下方に、回転定盤102および研磨パッド104を通して、被研磨体Wを観察するセンサ110が設けられている。
回転ヘッド106は回転軸106aを有し、回転軸106aに調整部112が設けられている。調整部112により、被研磨体Wを研磨パッド104に押付ける押付力、および回転ヘッド106の回転速度等が調整される。
また、研磨パッド104に研磨液113を供給する供給部114が設けられている。供給部114は研磨液113を貯留するタンク(図示せず)、および研磨液113を供給するポンプ(図示せず)等を有する。研磨液113は、被研磨体Wを研磨するためのものである。研磨液113は、被研磨体Wの組成、研磨量、および研磨面の仕上げの程度等に応じたものが適宜利用される。研磨液113には、被研磨体Wをエッチングする作用を有するスラリーを用いることもできる。
平滑化装置100は、制御部116により装置全体が制御される。モータ108、センサ110、調整部112および供給部114は制御部116により制御される。平滑化装置100では、センサ110から研磨が終了したことを示す終点検出の検出信号に基づき、回転定盤102の回転が停止され、回転ヘッド106の回転が停止されて、研磨が停止される。
後述の表面平滑化処理工程では、後述するように、被研磨体Wである導通路19として充填された金属と、陽極酸化膜16とが同一面状となるまで平坦化、すなわち、絶縁性基材の面と導通路19の端面とが、同一面となる状態まで平坦化する。この時、導通路19を構成する金属の表面が露出した際の、陽極酸化膜16の反射光の変化等の光学的な変化、または平滑化装置100の回転ヘッド106または回転定盤102と被研磨体Wとの間の摩擦力を用い、この摩擦力の変化を利用して終点を検出する。研磨パッド104を含めた回転ヘッド106、または回転定盤102が研磨体に相当する。
上述のことから、センサ110には、例えば、光学センサが用いられ、終点検出において光学的に終点が検出される。終点検出において光学的に終点が検出される場合、センサ110による終点検出の終点を表す検出信号は、光の反射率および色味等が例示される。また、センサ110は、光の反射率および色味等を測定することができれば、その構成は特に限定されるものではなく、公知のものを適宜利用可能である。
なお、本発明において同一面状とは、表面粗さが30nmとなる状態を指す。ここで、表面粗さとは、算術平均粗さRa(JIS(Japanese Industrial Standards) B 0601−2001)のことである。
センサ110に電気式センサを用い、回転ヘッド106の回転軸106aの回転トルク、または回転定盤102の回転軸102aの回転トルクを検出して、回転トルクを終点検出の検出信号に用いてもよい。回転トルクは上述の摩擦力を表すものである。回転トルクの変化を用いることにより、上述の摩擦力の変化と同じく終点を検出することができる。
また、回転ヘッド106の押付力に対する反力を測定し、この反力を終点検出の検出信号に用いてもよい。回転ヘッド106の押付力に対する反力も上述の摩擦力を表す。反力の変化を用いることにより、上述の摩擦力の変化と同じく終点を検出することができる。
回転トルクおよび反力は、例えば、歪みセンサを用いて検出することができる。この場合、回転トルクおよび反力は歪みセンサからの電気信号の形態で検出される。このように回転トルクおよび反力を用いた終点検出は電気的に終点を検出する。
また、被研磨体Wの厚みを、例えば、渦電流を用いた膜厚計を用いて計測し、予め定められた膜厚に到達した場合を終点とし、終点検出の検出信号を出力するようにしてもよい。渦電流を用いた膜厚計でも終点検出は電気的に終点を検出する。
平滑化装置100は、被研磨体Wを研磨し、かつ被研磨体Wの研磨中にセンサ110によるセンシングを行って終点の検出を行い、終点検出の検出信号を得る。平滑化装置100は、いわゆるインサイチュの状態で、終点検出を行うことができる。しかしながら、平滑化装置100は、この構成に限定されるものではなく、研磨を一旦停止して、被研磨体Wの終点を検出する終点検出を実施し、終点に達していなければ、再度研磨を実施することを、終点に達するまで繰り返し行うようにしてもよい。この場合、例えば、回転ヘッド106を回転定盤102から移動させる機構を設け、回転ヘッド106を移動させて、被研磨体Wを研磨パッド104から離した後、被研磨体Wの終点検出を実施する。
なお、平滑化装置100は、上述のように一般的に化学的機械的研磨と呼ばれる研磨を実施して被研磨体Wを平滑化する研磨装置であるが、後述の表面平滑化処理工程を実施することができれば、装置構成は特に限定されるものではない。平滑化には、化学的機械的研磨以外に、ドライエッチングでもよく研削でもよい。
図2〜図12は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法を工程順に示す模式的断面図である。金属充填微細構造体については、アルミニウム基板を用いて製造されるものを例にして説明する。金属充填微細構造体の製造にアルミニウム基板を用いた場合、絶縁性基材が陽極酸化膜で構成される。
図2に示すように、まず、アルミニウム基板10を用意する。アルミニウム基板10は、最終的に得られる金属充填微細構造体の厚み、加工する装置等に応じて大きさおよび厚みが適宜決定されるものである。
〔アルミニウム基板〕
アルミニウム基板は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハ、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
アルミニウム基板のうち、陽極酸化処理により陽極酸化膜を形成する片側の表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上述の範囲であると、貫通路であるマイクロポアの配列の規則性が十分となる。
アルミニウム基板10は、陽極酸化膜を形成することができれば、特に限定されるものでなく、例えば、JIS(Japanese Industrial Standards) 1050材が用いられる。
アルミニウム基板10のうち陽極酸化処理される片側の表面10aは、予め熱処理、脱脂処理および鏡面仕上げ処理が施されるのが好ましい。
ここで、熱処理、脱脂処理および鏡面仕上げ処理については、特開2008−270158号公報の[0044]〜[0054]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
陽極酸化処理の前の鏡面仕上げ処理は、例えば、電解研磨であり、電解研磨には、例えば、リン酸を含有する電解研磨液が用いられる。
次に、アルミニウム基板10の片側の表面10aを陽極酸化処理し、アルミニウム基板10の片側の表面10aが陽極酸化され、マイクロポアが形成される。これにより、図3に示すようにアルミニウム基材14と、アルミニウム基材14の表面14aに、アルミニウム基材14の厚み方向Dに延在する貫通路17を複数有する陽極酸化膜16とを有する陽極酸化構造体12を形成する。上述の陽極酸化する工程を陽極酸化処理工程ともいう。
〔陽極酸化処理工程〕
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、マイクロポアの配列の規則性を高くし、金属充填微細構造体の異方導電性を担保する観点から、自己規則化法または定電圧処理を用いることが好ましい。
ここで、陽極酸化処理の自己規則化法および定電圧処理については、特開2008−270158号公報の[0056]〜[0108]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
複数の貫通路17を有する陽極酸化膜16には、貫通路17の底部にバリア層(図示せず)が存在する。このバリア層を除去するバリア層除去工程を有する。
〔バリア層除去工程〕
陽極酸化処理後に、例えば、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属を含むアルカリ水溶液を用いて、陽極酸化膜16のバリア層を除去する。バリア層を除去することにより貫通路17の底部に、上述のアルミニウムよりも水素過電圧の高い金属からなる金属層(図示せず)が形成されることになる。
ここで、水素過電圧(hydrogen overvoltage)とは、水を電気分解した際に、水素が発生するのに必要な電圧をいい、例えば、アルミニウム(Al)の水素過電圧は−1.66Vである(日本化学学会誌,1982、(8),p1305−1313)。なお、アルミニウムの水素過電圧よりも高い金属の例およびその水素過電圧の値を以下に示す。
<金属および水素(1N H2SO4)過電圧>
・白金(Pt):0.00V
・金(Au):0.02V
・銀(Ag):0.08V
・ニッケル(Ni):0.21V
・銅(Cu):0.23V
・錫(Sn):0.53V
・亜鉛(Zn):0.70V
次に、陽極酸化構造体12に対して、図4に示すように、陽極酸化膜16の貫通路17の内部に金属を充填する。これにより、導電性の導通路19が構成される。なお、貫通路17の内部への金属の充填は、金属充填工程ともいい、例えば、電解めっき処理が用いられるが、金属の充填については、後に詳細に説明する。金属を充填する工程は、陽極酸化構造体12に対してなされる。
〔金属充填工程〕
<充填される金属>
上述の貫通路17の内部に充填される金属は、電気抵抗率が103Ωcm以下の材料であることが好ましく、その具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)等が好適に例示される。
中でも、電気伝導性の観点から、Cu、Au、Al、Niが好ましく、Cu、Auがより好ましく、Cuが更に好ましい。
<充填方法>
貫通路17の内部に金属を充填する電解めっき処理方法としては、例えば、電解めっき法または無電解めっき法を用いることができる。
ここで、着色等に用いられる従来公知の電解めっき法では、選択的に孔中に金属を高アスペクトで析出(成長)させることは困難である。これは、析出金属が孔内で消費され一定時間以上電解を行なってもめっきが成長しないためと考えられる。
そのため、本発明の製造方法においては、電解めっき法により金属を充填する場合は、パルス電解または定電位電解の際に休止時間をもうける必要がある。休止時間は、10秒以上必要で、30〜60秒であることが好ましい。
また、電解液のかくはんを促進するため、超音波を加えることも望ましい。
更に、電解電圧は、通常20V以下であって望ましくは10V以下であるが、使用する電解液における目的金属の析出電位を予め測定し、その電位+1V以内で定電位電解を行なうことが好ましい。なお、定電位電解を行なう際には、サイクリックボルタンメトリを併用できるものが望ましく、Solartron社、BAS社、北斗電工社、IVIUM社等のポテンショスタット装置を用いることができる。
めっき液は、従来公知のめっき液を用いることができる。
具体的には、銅を析出させる場合には硫酸銅水溶液が一般的に用いられるが、硫酸銅の濃度は、1〜300g/Lであることが好ましく、100〜200g/Lであるのがより好ましい。また、電解液中に塩酸を添加すると析出を促進することができる。この場合、塩酸濃度は10〜20g/Lであることが好ましい。
また、金を析出させる場合、テトラクロロ金の硫酸溶液を用い、交流電解でめっきを行なうのが望ましい。
なお、無電解めっき法では、貫通路17がアスペクトの高いマイクロポアからなる孔である場合、貫通路17の内部に金属を完全に充填には長時間を要するので、電解めっき法により金属を充填するのが望ましい。
図4に示すように貫通路17の内部に金属が充填されて導通路19が形成された後、アルミニウム基材14に対して、陽極酸化膜16の反対側に支持体40を設ける。この場合、より具体的には図5に示すように、樹脂基材42を用いて、アルミニウム基材14の裏面14bに支持体40を設ける。
樹脂基材42は、例えば、機能性吸着フィルムが用いられる。機能性吸着フィルムとしては、Q−chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)等を使用することができる。
支持体40は、図4に示す陽極酸化構造体12と同じ外形状であることが好ましい。支持体40は、後工程で陽極酸化構造体12を支持する。支持体40を取り付けることにより、取扱い性が増す。
次に、図5に示すように陽極酸化構造体12に支持体40が取り付けられた形態で、陽極酸化膜16の表面16aを研磨し、図6に示すように導通路19と、陽極酸化膜16とを同一面の状態になるまで平坦化する。陽極酸化膜16の表面16aを研磨して、上述のように同一面の状態になるまで平坦化する工程を表面平滑化処理工程という。研磨は、上述のように、例えば、平滑化装置100による化学的機械的研磨である。表面平滑化処理工程を経て、金属充填微細構造体13が形成される。
ここで、図16は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の表面平滑化処理工程前の状態の一例を示す模式図であり、図17は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の表面平滑化処理工程後の状態の一例を示す模式図である。図18は、本発明の実施形態の金属充填微細構造体の表面平滑化処理工程の一例を示すフローチャートである。
上述のように貫通路17の内部に金属を充填した場合、均一に充填されずに図4に示すように、貫通路17に対して金属が溢れて充填された部分20と、貫通路17に対して金属が十分に充填されない部分21とが生じることがある。この場合、陽極酸化膜16の表面16aにおける金属の分布が均一ではない。この状態を平面視すれば、光の反射が不均一になり、図16に示すようにムラとして視認される。
表面平滑化処理工程において、被研磨体Wとして、貫通路に金属が充填された絶縁性基材である、導通路19を有する陽極酸化膜16を研磨する際には、陽極酸化膜16の表面16aについて、陽極酸化膜16と導通路19とが同一面の状態となるように、研磨する必要がある。すなわち、陽極酸化膜16の面と導通路19の端面とが、表面粗さが20nm以下となる状態に研磨する必要がある。
陽極酸化膜16の面16c(図6参照)と導通路19の端面19c(図6参照)とが、表面粗さが30nm以下となる状態を終点とし、終点検出では、この終点を検出する。
なお、上述のように金属が貫通路17内に均一に充填されない場合、図5に示す面16cまで研磨する必要がある。図5に示す面16cまで研磨すると、図6の陽極酸化膜16の表面16aの平面視の状態を示す図17のように光の反射が均一の状態になる。
表面平滑化処理工程では、上述の図1に示す平滑化装置100に対し、図5に示す形態の陽極酸化膜16を研磨パッド104に向けて回転ヘッド106に取り付ける。
研磨パッド104の種類および研磨液113の種類は、陽極酸化膜16に応じて予め定められている。研磨液113には、絶縁性基材である陽極酸化膜16をエッチングする作用を持つスラリーを用いることもできる。絶縁性基材をエッチングするスラリーとは絶縁性基材がエッチングされるpH領域を持つスラリーであり、絶縁性基材がアルミナである場合はpH5.0以下のスラリー、およびpH8.0以上のスラリーである。
また、回転定盤102の回転速度、回転ヘッド106の回転速度、および回転ヘッド106による陽極酸化膜16の押付力等の研磨条件も予め定められている。研磨条件にて研磨して平滑化される(ステップS10 図18参照)。
研磨開始直後から、センサ110により、陽極酸化膜16に対してセンシングを行う(ステップS12 図18参照)。センサ110は、例えば、絶縁性基材である陽極酸化膜16の表面16aの反射率を測定するものである。この場合、終点である、絶縁性基材である陽極酸化膜16の表面16aと導通路19の端面(図示せず)とが同一面となった状態における反射率を、予め測定する。その反射率は終点を表す。そして、終点を表す反射率の値を、制御部116に記憶させておく。
なお、センサ110は、陽極酸化膜16の表面16aの反射率を測定することができれば、その構成は特に限定されるものではなく、公知のものを適宜利用可能である。インサイチュの状態での終点検出を行うことができるため、研磨中の陽極酸化膜16の表面16aの反射率を測定できるセンサ110が好ましい。
センサ110により測定された反射率の値が、制御部116に出力されて制御部116にて、同一面となった状態として記憶されている反射率の値と比較する。測定された反射率が記憶された反射率と一致した場合、終点が検出されたと判定する(ステップS14 図18参照)。
ステップS14にて、終点が検出された場合、陽極酸化膜16を研磨パッド104から離間させる等して、平滑化装置100による平滑化を停止する。
一方、終点が検出されない場合には、継続して研磨が実施され、終点が検出される(ステップS14 図18参照)まで、研磨による平滑化(ステップS10 図18参照)とセンシング(ステップS12 図18参照)が実施される。このように、終点検出を実施して、終点が検出されれば研磨は自動停止される。
測定された反射率の値と、制御部116に、同一面の状態として記憶された反射率の値との一致については、許容範囲を設け、測定された反射率の値が許容範囲内にあれば一致したとする。許容範囲は、例えば、同一面の状態として記憶された反射率の値に対して5%とする。
反射率は、JIS(Japanese Industrial Standards) Z8741:1997 鏡面光沢度に基づくものである。光学的に終点を検出する終点検出としては反射率以外に、上述のように色味でもよい。色味は、例えば、Lで表されるものである(JIS(Japanese Industrial Standards) Z8781−4:2013)。色味を用いる場合、反射率と同様に、終点である、絶縁性基材である陽極酸化膜16の表面16aと導通路19の端面(図示せず)とが同一面となった状態における色味を、予め測定しておく。終点を表す色味を用いて終点検出を行う。
また、上述のように、終点検出には、回転定盤102の回転軸102aに作用する回転トルク、または回転ヘッド106の回転軸106aに作用する回転トルクを用いることもできる。さらには、回転ヘッド106の押付力を終点検出に用いることができる。
上述のように表面平滑化処理工程では、研磨しながらセンシングして、終点検出を行って、終点到達時に研磨を自動停止することができることから、金属充填微細構造体13を効率よく製造することができる。
なお、終点検出を行わない場合、または終点検出の精度が低い場合には、終点に到達しない等、研磨が不十分であれば、部分的に導通路19がない金属充填微細構造体13が製造されてしまう。一方、研磨量が多い場合には、金属充填微細構造体13の膜厚が薄くなり過ぎる、金属充填微細構造体13の膜厚均一性が低下する等、品質が悪い金属充填微細構造体13が製造されることなる。
なお、上述の表面平滑化処理工程では、研磨しながらセンシングして終点検出すること、いわゆるインサイチュの状態で、終点検出を行うことに限定されるものではなく、研磨を一旦停止した後に終点検出を行ってもよい。
表面平滑化処理工程の後、図6および図17に示す状態から、次に、図7に示すように、陽極酸化膜16の表面16aを厚み方向Dに一部除去し、上述の充填した金属を陽極酸化膜16の表面16aよりも突出させてもよい。すなわち、導通路19を陽極酸化膜16の表面16aから突出させてもよい。陽極酸化膜16の表面16aから導通路19が突出した部分を突出部分19aという。上述の充填した金属を陽極酸化膜16の表面16aよりも突出させる工程のことを金属突出工程という。
〔金属突出工程〕
上述の陽極酸化膜16の一部除去には、例えば、導通路19を構成する金属を溶解せず、陽極酸化膜16、すなわち、酸化アルミニウムを溶解する酸水溶液またはアルカリ水溶液が用いられる。上述の酸水溶液またはアルカリ水溶液を、金属が充填された貫通路17を有する陽極酸化膜16を接触させることにより、陽極酸化膜16を一部除去する。上述の酸水溶液またはアルカリ水溶液を陽極酸化膜16に接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法およびスプレー法が挙げられる。中でも浸漬法が好ましい。
酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸および塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でもクロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であることが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜60℃であることが好ましい。
また、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であることが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であることが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸漬時間は、8〜120分であることが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。ここで、浸漬時間は、短時間の浸漬処理を繰り返した場合には、各浸漬時間の合計をいう。なお、各浸漬処理の間には、洗浄処理を施してもよい。
また、金属を陽極酸化膜16の表面16aより突出させる程度であるが、作製される金属充填微細構造体13を異方導電性部材として用いた際に、配線基板等の被接着物との圧着性が良好となる理由から、金属を陽極酸化膜16の表面16aよりも10nm〜1000nm突出させることが好ましく、50nm〜500nm突出させることがより好ましい。すなわち、突出部分19aの表面16aからの突出量は10nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは50nm〜500nmである。
導通路19の突出部分19aの高さを厳密に制御する場合は、貫通路17の内部に金属を充填した後、陽極酸化膜16と導通路19の端部とを同一平面状になるように加工した後、陽極酸化膜を選択的に除去することが好ましい。このことからも上述のように、陽極酸化膜の研磨の際、終点を検出することは重要である。
また、上述の金属の充填後、または金属突出工程の後に、金属の充填に伴い発生した導通路19内の歪みを軽減する目的で、加熱処理を施すことができる。
加熱処理は、金属の酸化を抑制する観点から還元性雰囲気で施すことが好ましく、具体的には、酸素濃度が20Pa以下で行うことが好ましく、真空下で行うことがより好ましい。ここで、真空とは、大気よりも、気体密度および気圧のうち、少なくとも一方が低い空間の状態をいう。
また、加熱処理は、矯正の目的で、陽極酸化構造体12に応力を加えながら行うことが好ましい。
陽極酸化膜16に支持体40がある陽極酸化構造体12を利用することにより、陽極酸化膜16単体を取扱うことに比して陽極酸化膜16の損傷を抑制することができ、取扱いが容易になる。
ここで、取扱いとは、金属充填微細構造体13を保持すること、ならびに金属充填微細構造体13の移送、搬送および運搬等の金属充填微細構造体13を移動させることをいう。取扱いが容易とは、上述の金属充填微細構造体13の保持の際、および上述の金属充填微細構造体13の移動の際に、金属充填微細構造体13の損傷等を抑制できることをいう。取扱いが容易であることにより、例えば、充填した金属を陽極酸化膜16の表面16aよりも突出させるが、この金属の損傷を抑制することができる。
図7に示す金属充填微細構造体13は、充填した金属が陽極酸化膜16の表面16aよりも突出しているため、突出した金属、すなわち、導通路19の突出部分19aを保護することが好ましい。このため、図8に示すように導通路19の突出部分19aが埋設する樹脂層22を、陽極酸化膜16の表面16aに形成することが好ましい。樹脂層22を設ける工程を樹脂層形成工程という。金属充填微細構造体13の製造方法には樹脂層形成工程が含まれてもよい。
樹脂層22により、導通路19の突出部分19aが保護され、金属充填微細構造体13の搬送性をより向上させることができ、より取扱いが容易になる。樹脂層22は粘着性を備えるものであり、接着性を付与するものである。
樹脂層22は、例えば、従来公知の表面保護テープ貼付装置およびラミネーターを用いて形成することができる。樹脂層22を設けることにより、金属充填微細構造体13の搬送性を向上させることができる。
〔樹脂層形成工程〕
樹脂層22を構成する樹脂材料としては、具体的には、例えば、エチレン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびセルロース系樹脂等を挙げることができるが、搬送性の観点と、異方導電性部材として使用しやすくする観点から、上述の樹脂層は、剥離可能な粘着層付きフィルムであることが好ましく、加熱処理または紫外線露光処理により粘着性が弱くなり、剥離可能となる粘着層付きフィルムであるのがより好ましい。
上述の粘着層付きフィルムは特に限定されず、熱剥離型の樹脂層、および紫外線(ultraviolet:UV)剥離型の樹脂層等が挙げられる。
ここで、熱剥離型の樹脂層は、常温では粘着力があり、加熱するだけで容易に剥離可能なもので、主に発泡性のマイクロカプセル等を用いたものが多い。
また、粘着層を構成する粘着剤としては、具体的には、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤等が挙げられる。
また、UV剥離型の樹脂層は、UV硬化型の接着層を有するもので硬化により粘着力が失われて剥離可能になるというものである。
UV硬化型の接着層としては、ベースポリマーに、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に導入したポリマー等が挙げられる。炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするもことが好ましい。
さらに、アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。
炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは単独で使用することができるが、UV硬化性のモノマーまたはオリゴマーを配合することもできる。
UV硬化型の接着層は、UV照射により硬化させるために光重合開始剤を併用することが好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル系化合物;ケタール系化合物;芳香族スルホニルクロリド系化合物;光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。
熱剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、WS5130C02、WS5130C10等のインテリマー〔登録商標〕テープ(ニッタ株式会社製);ソマタック〔登録商標〕TEシリーズ(ソマール株式会製);No.3198、No.3198LS、No.3198M、No.3198MS、No.3198H、No.3195、No.3196、No.3195M、No.3195MS、No.3195H、No.3195HS、No.3195V、No.3195VS、No.319Y−4L、No.319Y−4LS、No.319Y−4M、No.319Y−4MS、No.319Y−4H、No.319Y−4HS、No.319Y−4LSC、No.31935MS、No.31935HS、No.3193M、No.3193MS等のリバアルファ〔登録商標〕シリーズ(日東電工株式会社製);等が挙げられる。
UV剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、ELP DU−300、ELP DU−2385KS、ELP DU−2187G、ELP NBD−3190K、ELP UE−2091J等のエレップホルダー〔登録商標〕(日東電工株式会社製);Adwill D−210、Adwill D−203、Adwill D−202、Adwill D−175、Adwill D−675(いずれもリンテック株式会社製);スミライト〔登録商標〕FLSのN8000シリーズ(住友ベークライト株式会社製);UC353EP−110(古河電気工業株式会社製);等のダイシングテープを利用することができる。その他、UV剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、ELP RF−7232DB、ELP UB−5133D(いずれも日東電工株式会社製);SP−575B−150、SP−541B−205、SP−537T−160、SP−537T−230(いずれも古河電気工業株式会社製);等のバックグラインドテープを利用することができる。
上述の粘着層付きフィルムは、公知の表面保護テープ貼付装置およびラミネーターを用いて貼り付けることができる。
樹脂層22の形成方法としては、上述の方法以外に、例えば、後述の酸化防止材料、高分子材料、溶媒(例えば、メチルエチルケトン等)等を含有する樹脂組成物を陽極酸化膜16の表面および裏面ならびに導通路の突出部分に塗布し、乾燥させ、必要に応じて焼成する方法等が挙げられる。
樹脂組成物の塗布方法は特に限定されず、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、エアナイフコート法、スクリーンコート法、バーコート法、およびカーテンコート法等の従来公知のコーティング方法が使用できる。
また、塗布後の乾燥方法は特に限定されず、例えば、大気下において0℃〜100℃の温度で、数秒〜数十分間、加熱する処理、減圧下において0℃〜80℃の温度で、十数分〜数時間、加熱する処理等が挙げられる。
また、乾燥後の焼成方法は、使用する高分子材料により異なるため特に限定されないが、ポリイミド樹脂を用いる場合には、例えば、160℃〜240℃の温度で2分間〜60分間加熱する処理等が挙げられ、エポキシ樹脂を用いる場合には、例えば、30℃〜80℃の温度で2分間〜60分間加熱する処理等が挙げられる。
次に、図8に示す支持体40をアルミニウム基材14から取り除く。この場合、樹脂基材42を起点として支持体40をアルミニウム基材14から取り除く。
次に、樹脂層22の表面22aに剥離層24を積層する。剥離層24は、支持層25と剥離剤26が積層されたものである。剥離剤26が樹脂層22に接している。例えば、予め定められた温度に加熱することで、剥離剤26の接着力が弱まり、剥離層24を取り除くことができる。
剥離剤26には、例えば、日東電工社製リバアルファ(登録商標)およびソマール株式会社製ソマタック(登録商標)等を用いることができる。
次に、両面粘着剤28を用いて、剥離層24に、例えば、支持部材30を取り付ける。支持部材30は支持層25に対向して配置される。支持部材30は、陽極酸化構造体12と同じ外形状である。支持部材30は、後工程で支持体の役割を果たす。支持部材30を取り付けることにより、取扱い性が増す。
両面粘着剤28は、剥離層24の支持層25と支持部材30とを接着することができれば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、日東電工社製の両面タイプのリバアルファ(登録商標)を用いることができる。
支持部材30は、金属充填微細構造体13を支持するものであり、例えば、シリコン基板で構成されている。支持部材30としては、シリコン基板以外に、例えば、SiC、SiN、GaNおよびアルミナ(Al)等のセラミックス基板、ガラス基板、繊維強化プラスティック基板、ならびに金属基板を用いることができる。繊維強化プラスティック基板には、プリント配線基板であるFR−4(Flame Retardant Type 4)基板等も含まれる。
次に、図9に示すように、アルミニウム基材14を、例えば、溶解して取り除き、陽極酸化膜16の裏面16bを露出させる。アルミニウム基材14の溶解は、陽極酸化膜16を溶解しにくく、アルミニウムを溶解しやすい処理液を用いることが好ましい。
なお、陽極酸化膜16を破損等することなく、アルミニウム基材14を取り除くことができれば、溶解に限定されるものではない。アルミニウム基材14を取り除くことを基板除去工程という。
〔基板除去工程〕
アルミニウム基材14を溶解する処理液は、アルミニウムに対する溶解速度が、1μm/分以上であることが好ましく、3μm/分以上であるのがより好ましく、5μm/分以上であるのが更に好ましい。同様に、陽極酸化膜に対する溶解速度が、0.1nm/分以下となることが好ましく、0.05nm/分以下となるのがより好ましく、0.01nm/分以下となるのが更に好ましい。
具体的には、アルミよりもイオン化傾向の低い金属化合物を少なくとも1種含み、かつ、pH(水素イオン指数)が4以下または8以上となる処理液であることが好ましく、そのpHが3以下または9以上であるのがより好ましく、2以下または10以上であるのが更に好ましい。
このような処理液としては、酸またはアルカリ水溶液をベースとし、例えば、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀、銀、パラジウム、白金、金の化合物(例えば、塩化白金酸)、これらのフッ化物、これらの塩化物等を配合したものであることが好ましい。
中でも、酸水溶液ベースが好ましく、塩化物をブレンドすることが好ましい。
特に、塩酸水溶液に塩化水銀をブレンドした処理液(塩酸/塩化水銀)、塩酸水溶液に塩化銅をブレンドした処理液(塩酸/塩化銅)が、処理ラチチュードの観点から好ましい。
なお、このような処理液の組成は特に限定されず、例えば、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、王水等を用いることができる。
また、このような処理液の酸またはアルカリ濃度は、0.01〜10mol/Lが好ましく、0.05〜5mol/Lがより好ましい。
更に、このような処理液を用いた処理温度は、−10℃〜80℃が好ましく、0℃〜60℃が好ましい。
また、上述のアルミニウム基材14の溶解は、上述の金属充填工程後のアルミニウム基材14を上述の処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸漬法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒〜5時間が好ましく、1分〜3時間がより好ましい。
次に、図10に示すように、陽極酸化膜16の裏面16bを研磨する。陽極酸化膜16の裏面16bの研磨では、陽極酸化膜16の裏面16bと導通路19の端面(図示せず)とが、同一面となる状態まで平坦化する。上述の陽極酸化膜16の裏面16bの研磨は、上述の図6に示す陽極酸化膜16の表面16aに対してした表面平滑化処理工程と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
上述のように、複数の導通路19を有する陽極酸化膜16の表面16aに対して表面平滑化処理工程を実施した後、複数の導通路19を有する陽極酸化膜16の裏面16bに対して表面平滑化処理工程を実施したが、少なくとも一方の面に上述の表面平滑化処理工程を実施すればよい。
例えば、陽極酸化膜16の表面16aおよび裏面16bを、それぞれセンサ110を用いて反射率を計測し、反射率の値が、予め定められた範囲にあれば研磨をすることなく、次の工程に移行するようにしてもよい。
次に、図11に示すように、陽極酸化膜16の裏面16bを厚み方向Dに一部除去し、上述の充填した金属を陽極酸化膜16の裏面16bよりも突出させる。すなわち、導通路19を陽極酸化膜16の裏面16bから突出させる。陽極酸化膜16の裏面16bから導通路19が突出した部分を突出部分19bという。
上述の充填した金属を陽極酸化膜16の裏面16bよりも突出させる工程は、上述の金属突出工程と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、図12に示すように、陽極酸化膜16の裏面16bの導通路19の突出部分19bが埋設する樹脂層22を、陽極酸化膜16の裏面16bに形成する。これにより、金属充填微細構造体13を用いた異方導電材32を得ることができる。異方導電材32の形状が、例えば、円板状であれば、異方導電材32の搬送に、半導体ウエハの搬送等に利用される装置を利用することができ、異方導電材32の取扱いに特別な装置は不要である。
なお、導通路19の突出部分19bが埋設する樹脂層22の形成方法は、上述の樹脂層形成工程と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
図13は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す平面図であり、図14は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の構成の一例を示す模式的断面図である。図14は図13の切断面線IB−IB断面図である。
図13および図14に示す金属充填微細構造体13は、上述のように絶縁性基材である陽極酸化膜16と、陽極酸化膜16の厚み方向Dに貫通した貫通路17と、貫通路17の内部に充填された金属で構成された複数の導通路19とを有する。複数の導通路19は、互いに電気的に絶縁された状態で設けられている。さらに、例えば、陽極酸化膜16の表面16aおよび裏面16bに設けられた樹脂層22を具備する。
ここで、「互いに電気的に絶縁された状態」とは、陽極酸化膜16の内部に存在している各導通路19が陽極酸化膜16の内部において互いに導通性が十分に低い状態であることを意味する。
金属充填微細構造体13は、導通路19が互いに電気的に絶縁されており、陽極酸化膜16の厚み方向Dと直交する方向xには導電性が十分に低く、厚み方向Dに導電性を有する、異方導電性を示す部材である。金属充填微細構造体13は厚み方向Dを、例えば、後述の電子素子35の積層方向に一致させて配置される。
導通路19は、図13および図14に示すように、互いに電気的に絶縁された状態で陽極酸化膜16を厚み方向Dに貫通して設けられている。
金属充填微細構造体13の厚みhは、例えば、30μm以下である。また、金属充填微細構造体13は、TTV(Total Thickness Variation)が10μm以下であることが好ましい。陽極酸化膜16は表面16aと裏面16bが研磨されるため厚みとしては、金属充填微細構造体13の厚みhよりも厚く、例えば、30μmを超えるが脆性の観点から40μm程度が好ましい。
ここで、金属充填微細構造体13の厚みhおよび陽極酸化膜16の厚みは、金属充填微細構造体13および陽極酸化膜16を、それぞれ厚さ方向に対して集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)で切削加工し、その断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、金属充填微細構造体13および陽極酸化膜16の輪郭形状を、それぞれ取得し、厚みhに相当する領域について10点測定した平均値のことである。
また、金属充填微細構造体13のTTV(Total Thickness Variation)は、金属充填微細構造体13をダイシングで支持部材30ごと切断し、金属充填微細構造体13の断面形状を観察して求めた値である。
金属充填微細構造体13は、例えば、異方導電性を示す異方導電性部材として利用することができる。この場合、図15に示すように、半導体チップ36と半導体チップ37とを、金属充填微細構造体13を介して接合して、半導体チップ36と半導体チップ37とを電気的に接続した電子素子35を得ることができる。電子素子35において、金属充填微細構造体13はTSV(Through Silicon Via)の機能を果たす。
これ以外に、金属充填微細構造体13を用いて3つ以上の半導体チップを電気的に接続した電子素子とすることもできる。金属充填微細構造体13を用いることで3次元実装ができる。なお、半導体チップを接合する数は、特に限定されるものではなく、電子素子の機能、および電子素子に要求される性能に応じて適宜決定されるものである。
金属充填微細構造体13を用いることにより、電子素子の大きさを小さくでき実装面積を小さくできる。また、金属充填微細構造体13の厚さを短くすることにより、半導体チップ間の配線長を短くでき、信号の遅延を抑制し、電子素子の処理速度を向上させることができる。半導体チップ間の配線長を短くすることで消費電力も抑制することができる。
金属充填微細構造体13は、上述のように陽極酸化膜16と導通路19とが、陽極酸化膜16の表面16aで同一面の状態になるように研磨しているため、形状精度が高く、また、上述のように導通路19の突出部分19aの高さを厳密に制御することができるため、半導体チップ36と半導体チップ37との電気的な接続の信頼性が優れる。
半導体チップ36と半導体チップ37は素子領域を有する。素子領域は電子素子として機能するための各種の素子構成回路等が形成された領域である。素子領域には、例えば、フラッシュメモリ等のようなメモリ回路、マイクロプロセッサおよびFPGA(field-programmable gate array)等のような論理回路が形成された領域、無線タグ等の通信モジュールならびに配線が形成された領域がある。素子領域には、これ以外にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が形成されてもよい。MEMSとは、例えば、センサ、アクチュエーターおよびアンテナ等である。センサには、例えば、加速度、音、光等の各種のセンサが含まれる。
電子素子35において達成する機能に応じて半導体チップ36と半導体チップ37が適宜選択される。例えば、図15に示す電子素子35では、論理回路を有する半導体チップ36と、メモリ回路を有する半導体チップ37の組合せとすることができる。また、電子素子35における半導体チップの組合せとしては、センサ、アクチュエーターおよびアンテナ等と、メモリ回路と論理回路との組み合わせでもよい。
半導体チップ36と半導体チップ37は、例えば、シリコンで構成されるが、これに限定されるものではなく、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムヒ素または窒化ガリウム等であってもよい。
また、半導体チップ36および半導体チップ37以外に、2つの配線層を金属充填微細構造体13を用いて電気的に接続してもよい。
以下、金属充填微細構造体13および異方導電材32の構成についてより具体的に説明する。
〔陽極酸化膜〕
陽極酸化膜16は絶縁性基材として機能するものである。陽極酸化膜16における各導通路の間隔は、5nm〜800nmであることが好ましく、10nm〜200nmであることがより好ましく、20nm〜60nmであることがさらに好ましい。陽極酸化膜16における各導通路の間隔がこの範囲であると、陽極酸化膜16が絶縁性の隔壁として十分に機能する。
ここで、各導通路の間隔とは、隣接する導通路間の幅wをいい、金属充填微細構造体13の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、隣接する導通路間の幅を10点で測定した平均値をいう。
〔導通路〕
複数の導通路19は、上述のように、陽極酸化膜16の厚み方向に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられており、柱状である。導通路19は、金属で構成され、陽極酸化膜16の表面および裏面から突出した突出部分を有しており、かつ、各導通路の突出部分が樹脂層に埋設されていてもよい。
絶縁性基材の面、すなわち、陽極酸化膜16の表面に対する導通路19の面積率が15%以上50%以下である。
また、導通路19は直径dが20nm以上110nm以下である。なお、導通路19の直径dは貫通路17の内径に相当する。
導通路19の面積率が15%未満の場合、導通路19以外の面積が大きく導通路19の表面が出ても変化が見られない。また、導通路19の面積率が50%を超える場合、逆に導通路19の面積が大きく導通路19の表面が出ても変化が見られない。
導通路19の直径も同じく20nm未満の場合、導通路19以外の面積が大きく導通路19の表面が出ても変化が見られない。また、導通路19の直径が110nmを超える場合、逆に導通路1の面積が大きく導通路19の表面が出ても変化が見られない。
導通路19の面積率は、以下のようにして求めることができる。まず、陽極酸化膜16の表面16a側から図13に示すような導通路19を含む陽極酸化膜16の画像を取得する。続いて、画像から導通路19の輪郭を抽出し、導通路19の面積を求める。これを導通路19に対して行い、導通路19の合計面積を求める。陽極酸化膜16の面積と、導通路19の合計面積とを用いて、導通路19の面積率を得る。
なお、陽極酸化膜16の面積をDとし、導通路19の合計面積をDとし、導通路19の面積率をRとするとき、導通路19の面積率Rは、R1=D/Dで表される。
<突出部分>
導通路19の突出部分19a、19bは、導通路19が陽極酸化膜16の表面16aおよび裏面16bから突出した部分であり、樹脂層22で保護されていることが好ましい。
金属充填微細構造体13を異方導電性部材として利用した場合に、異方導電性部材と電極とを圧着等の手法により電気的接続、または物理的に接合する際、突出部分が潰れた場合の面方向の絶縁性を十分に確保できる理由から、導通路の突出部分のアスペクト比(突出部分の高さ/突出部分の直径)が0.5以上50未満であることが好ましく、0.8〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましい。
また、接続対象の半導体チップまたは半導体ウエハの表面形状に追従する観点から、導通路の突出部分の高さは、20nm以上であることが好ましく、より好ましくは100nm〜500nmである。
導通路の突出部分の高さは、異方導電性部材の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察し、導通路の突出部分の高さを10点で測定した平均値をいう。
導通路の突出部分の直径は、異方導電性部材の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により観察し、導通路の突出部分の直径を10点で測定した平均値をいう。
<他の形状>
導通路19の密度は、2万個/mm2以上であることが好ましく、200万個/mm2以上であることがより好ましく、1000万個/mm2以上であることがさらに好ましく、5000万個/mm2以上であることが特に好ましく、1億個/mm2以上であることが最も好ましい。
さらに、隣接する各導通路19の中心間距離p(図13および図14参照)は、20nm〜500nmであることが好ましく、40nm〜200nmであることがより好ましく、50nm〜140nmであることがさらに好ましい。
〔樹脂層〕
上述のように、樹脂層22は、陽極酸化膜16の表面16aと裏面16bに設けられ、上述のように導通路19の突出部分19a、19bを埋設するものである。すなわち、樹脂層22は陽極酸化膜16から突出した導通路19の端部を被覆し、突出部分19a、19bを保護する。
樹脂層22は、上述の樹脂層形成工程により形成されるものである。樹脂層22は接続対象に対して接着性を付与するものである。樹脂層22は、例えば、50℃〜200℃の温度範囲で流動性を示し、200℃以上で硬化するものであることが好ましい。
樹脂層22は、上述の樹脂層形成工程により形成されるものであるが、以下に示す、樹脂層の組成を用いることもできる。以下、樹脂層の組成について説明する。例えば、樹脂層は、高分子材料を含有するものであり、酸化防止材料を含んでもよい。
<高分子材料>
樹脂層に含まれる高分子材料としては特に限定されないが、半導体チップまたは半導体ウエハと異方導電性部材との隙間を効率よく埋めることができ、半導体チップまたは半導体ウエハとの密着性がより高くなる理由から、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。
なかでも、絶縁信頼性がより向上し、耐薬品性に優れる理由から、ポリイミド樹脂および/またはエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
<酸化防止材料>
樹脂層に含まれる酸化防止材料としては、具体的には、例えば、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1H−テトラゾール−5−酢酸、1H−テトラゾール−5−コハク酸、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、4−カルボキシ−1H−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジカルボキシ−1H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール−4−酢酸、4−カルボキシ−5−カルボキシメチル−1H−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−カルボキシ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジカルボキシ−1,2,4−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−酢酸、1H−ベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、ベンゾフロキサン、2,1,3−ベンゾチアゾール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、カテコール、o−アミノフェノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、メラミン、およびこれらの誘導体が挙げられる。
これらのうち、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体が好ましい。
ベンゾトリアゾール誘導体としては、ベンゾトリアゾールのベンゼン環に、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アミノ基、ニトロ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)等を有する置換ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、ナフタレントリアゾール、ナフタレンビストリアゾール、と同様に置換された置換ナフタレントリアゾール、置換ナフタレンビストリアゾール等も挙げることができる。
また、樹脂層に含まれる酸化防止材料の他の例としては、一般的な酸化防止剤である、高級脂肪酸、高級脂肪酸銅、フェノール化合物、アルカノールアミン、ハイドロキノン類、銅キレート剤、有機アミン、有機アンモニウム塩等が挙げられる。
樹脂層に含まれる酸化防止材料の含有量は特に限定されないが、防食効果の観点から、樹脂層の全質量に対して0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。また、本接合プロセスにおいて適切な電気抵抗を得る理由から、5.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。
<マイグレーション防止材料>
樹脂層は、樹脂層に含有し得る金属イオン、ハロゲンイオン、ならびに半導体チップおよび半導体ウエハに由来する金属イオンをトラップすることによって絶縁信頼性がより向上する理由から、マイグレーション防止材料を含有しているのが好ましい。
マイグレーション防止材料としては、例えば、イオン交換体、具体的には、陽イオン交換体と陰イオン交換体との混合物、または、陽イオン交換体のみを使用することができる。
ここで、陽イオン交換体および陰イオン交換体は、それぞれ、例えば、後述する無機イオン交換体および有機イオン交換体の中から適宜選択することができる。
(無機イオン交換体)
無機イオン交換体としては、例えば、含水酸化ジルコニウムに代表される金属の含水酸化物が挙げられる。
金属の種類としては、例えば、ジルコニウムのほか、鉄、アルミニウム、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム、ベリリウム、インジウム、クロム、ビスマス等が知られている。
これらの中でジルコニウム系のものは、陽イオンのCu2+、Al3+について交換能を有している。また、鉄系のものについても、Ag+、Cu2+について交換能を有している。同様に、錫系、チタン系、アンチモン系のものは、陽イオン交換体である。
一方、ビスマス系のものは、陰イオンのCl-について交換能を有している。
また、ジルコニウム系のものは条件に製造条件によっては陰イオンの交換能を示す。アルミニウム系、錫系のものも同様である。
これら以外の無機イオン交換体としては、リン酸ジルコニウムに代表される多価金属の酸性塩、モリブドリン酸アンモニウムに代表されるヘテロポリ酸塩、不溶性フェロシアン化物等の合成物が知られている。
これらの無機イオン交換体の一部は既に市販されており、例えば、東亜合成株式会社の商品名イグゼ「IXE」における各種のグレードが知られている。
なお、合成品のほか、天然物のゼオライト、またはモンモリロン石のような無機イオン交換体の粉末も使用可能である。
(有機イオン交換体)
有機イオン交換体には、陽イオン交換体としてスルホン酸基を有する架橋ポリスチレンが挙げられ、そのほかカルボン酸基、ホスホン酸基またはホスフィン酸基を有するものも挙げられる。
また、陰イオン交換体として四級アンモニウム基、四級ホスホニウム基または三級スルホニウム基を有する架橋ポリスチレンが挙げられる。
これらの無機イオン交換体および有機イオン交換体は、捕捉したい陽イオン、陰イオンの種類、そのイオンについての交換容量を考慮して適宜選択すればよい。勿論、無機イオン交換体と有機イオン交換体とを混合して使用してもよいことはいうまでもない。
電子素子の製造工程では加熱するプロセスを含むため、無機イオン交換体が好ましい。
また、マイグレーション防止材料と上述した高分子材料との混合比は、例えば、機械的強度の観点から、マイグレーション防止材料を10質量%以下とすることが好ましく、マイグレーション防止材料を5質量%以下とすることがより好ましく、さらにマイグレーション防止材料を2.5質量%以下とすることがさらに好ましい。また、半導体チップまたは半導体ウエハと異方導電性部材とを接合した際のマイグレーションを抑制する観点から、マイグレーション防止材料を0.01質量%以上とすることが好ましい。
<無機充填剤>
樹脂層は、無機充填剤を含有していてもよい。
無機充填剤としては特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカ、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
導通路間に無機充填剤が入ることを防ぎ、導通信頼性がより向上する理由から、無機充填剤の平均粒子径が、各導通路の間隔よりも大きいことが好ましい。
無機充填剤の平均粒子径は、30nm〜10μmであることが好ましく、80nm〜1μmであることがより好ましい。
ここで、平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒子径測定装置(日機装(株)製マイクロトラックMT3300)で測定される、一次粒子径を平均粒子径とする。
<硬化剤>
樹脂層は、硬化剤を含有していてもよい。
硬化剤を含有する場合、接続対象の半導体チップまたは半導体ウエハの表面形状との接合不良を抑制する観点から、常温で固体の硬化剤を用いず、常温で液体の硬化剤を含有しているのがより好ましい。
ここで、「常温で固体」とは、25℃で固体であることをいい、例えば、融点が25℃より高い温度である物質をいう。
硬化剤としては、具体的には、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、脂肪族アミン、4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等のカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、ポリメルカプタン等が挙げられ、これらの硬化剤から、25℃で液体のものを適宜選択して用いることができる。なお、硬化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂層には、その特性を損なわない範囲内で、広く一般に半導体パッケージの樹脂絶縁膜に添加されている分散剤、緩衝剤、粘度調整剤等の種々の添加剤を含有させてもよい。
<形状>
金属充填微細構造体13の導通路19を保護する理由から、樹脂層の厚みは、導通路19の突出部分19a,19bの高さより大きく、1μm〜5μmであることが好ましい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の金属充填微細構造体の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
本実施例では、実施例1〜5ならびに比較例1および比較例2に示す金属充填微細構造体について表面平滑化処理を行い、終点検出を実施した。実施例1〜5ならびに比較例1および比較例2の構成、使用したスラリー、および終点検出結果を下記表1に示す。
次に、実施例1〜5ならびに比較例1および比較例2について説明する。
(実施例1)
(A)鏡面仕上げ処理(電解研磨処理)
高純度アルミニウム基板(住友軽金属社製、純度99.99質量%、厚さ0.1mm)を50cm四方の面積で陽極酸化処理できるようカットし、以下組成の電解研磨液を用い、電圧20V、液温度65℃、液流速3.0m/minの条件で電解研磨処理を施した。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 55vol%
・硫酸 1.5vol%
・エチレングリコール 0.5vol%
(B)陽極酸化処理(自己規則化法I)
次いで、電解研磨処理後のアルミニウム基板に、0.30mol/L硫酸の電解液で、電圧25V、液温度10℃、液流速3.0m/minの条件で、14時間のプレ陽極酸化処理を施した。
その後、プレ陽極酸化処理後のアルミニウム基板を、0.2mol/L無水クロム酸、0.6mol/Lリン酸の混合水溶液(液温:50℃)に14時間浸漬させる脱膜処理を施した。
その後、0.30mol/L硫酸の電解液で、電圧25V、液温度10℃、液流速3.0m/minの条件で、1時間の再陽極酸化処理を施した。
なお、プレ陽極酸化処理および再陽極酸化処理は、いずれも陰極はステンレス電極とし、電源はGP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、冷却装置にはNeoCool BD36(ヤマト科学社製)、かくはん加温装置にはペアスターラー PS−100(EYELA社製)を用いた。更に、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
(C)アルミニウム除去処理
次いで、20質量%塩化水銀水溶液(昇汞)に20℃、3時間浸漬させることによりアルミニウム基板を溶解した。
(D)加熱処理
次いで、得られた構造体に、温度400℃で1時間の加熱処理を施した。
(E)感光層塗設処理
次いで、得られた構造体の、アルミニウムを除去した面に、下記組成の感光層用塗布液Aを、ワイヤーバーで塗布したのち、140℃の乾燥オーブンで50秒間乾燥して塗布量を0.85g/m2とした。
(感光層用塗布液A)
・ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化物(米国特許第3635709号明細書の実施例1に記載されているもの) 0.45g
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/メタクリル酸メチル
(モル比34:66、重量平均分子量51,000) 1.10g
・2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
0.02g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学(株)製) 0.01g
・メガファックF−177(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤)
0.006g
・プルロニックF−108(旭電化(株)製ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー) 0.02g
・メチルエチルケトン 10g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10g
本方法により導通路の面積率が30%、導通路の直径が50nmの金属微細充填構造体が得られた。
(F)金属充填処理
次いで、加熱処理後の構造体のパターン形成側に、金蒸着により、金電極を密着させ、金電極を陰極にし、銅を正極にして電解めっきを行った。
硫酸銅=200/50/15(g/L)の混合溶液を25℃に保った状態で電解液として使用し、定電圧パルス電解を実施することにより、マイクロポア貫通孔に銅が充填された微細構造体を製造した。
ここで、定電圧パルス電解は、山本鍍金社製のめっき装置を用い、北斗電工社製の電源(HZ−3000)を用い、めっき液中でサイクリックボルタンメトリを行って析出電位を確認した後、皮膜側の電位を−2Vに設定して行った。また、定電圧パルス電解のパルス波形は矩形波であった。具体的には、電解の総処理時間が300秒になるように、1回の電解時間が60秒の電解処理を、各電解処理の間に40秒の休止時間を設けて5回施した。
(G)表面平滑化処理
次いで、銅が充填された構造体の表面にCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を施した。
CMPスラリーには、水を溶媒としたアルミナ10質量%を含むスラリーを塩酸でpH4.00に調整し、用いた。研磨装置は東京精密社製Champを用い終点検出には反射光測定装置を用いた。研磨圧力は20.68kPa(3.0psi(pound-force per square inch))として研磨を行った。
実施例1では、終点検出の検出方法に反射光を用いて、終点検出を行なった。
反射光を用いた終点検出の評価は、以下のようにして行った。
リファレンスサンプルとして実施例1で使用した銅が充填された構造体を同じ研磨圧力で10分間研磨し、最終膜厚が初期膜厚の2/3程度になっていることを確認したサンプルを用いた。
終点検出に用いた反射光測定装置は研磨装置内に組み込まれており、反射光スペクトルの一致で判定した。光源としては白色光を用い、基板内の数点を用い検査した。
A:観察波長(可視領域)の全領域において、反射率がリファレンスサンプルの反射率の90%〜110%であったため、終点が検出できた。
B:観察波長の少なくとも一部領域において、反射率がリファレンスサンプルの反射率の90%未満または110%超となる領域が存在したため、終点が検出できなかった。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比して、スラリーに、水を溶媒としたアルミナ10質量%を含むスラリーをアンモニアを用いてpH9.00に調整したスラリーを用いた点以外は、実施例1と同じとした。
(実施例3)
実施例3は、実施例1に比して、スラリーに、水を溶媒としたシリカ10質量%を含むスラリーをクエン酸を用いてpH2.20に調整したスラリーを用いた点、および終点検出の検出方法をトルク電流とした点以外は、実施例1と同じとした。
トルク電流を用いた終点検出の評価は、以下のようにして行った。
A:トルク電流は一旦増加した後に研磨進行に伴って減少し、最終的に一定値となったため、終点が検出できた。
B:トルク電流は増加したままであり、研磨進行に伴う減少が見られなかったため、終点が検出できなかった。
(実施例4)
実施例4は、実施例1に比して、導通路の面積率を40%とし導通路の直径を40nmとした点、スラリーに、水を溶媒としたシリカ10質量%を含むスラリーをKOHを用いてpH9.80に調整したスラリーを用いた点および終点検出の検出方法をトルク電流とした点以外は、実施例1と同じとした。導通路の面積率および導通路の直径は、マイクロポア貫通孔を形成するための電圧、液温および流速を変更して調整した。
(実施例5)
実施例5は、実施例1に比して、導通路の面積率を50%とし導通路の直径を20nmとした点、およびスラリーに、水を溶媒としたシリカ10質量%を含むスラリーをアンモニアを用いてpH8.50に調整したスラリーを用いた点以外は、実施例1と同じとした。導通路の面積率および導通路の直径は、マイクロポア貫通孔を形成するための電圧、液温および流速を変更して調整した。
(比較例1)
比較例1は、実施例1に比して、導通路の面積率を10%とした点以外は、実施例1と同じとした。導通路の面積率は、マイクロポア貫通孔を形成するための電圧、液温および流速を変更して調整した。
(比較例2)
比較例2は、実施例1に比して、導通路の面積率を50%とし導通路の直径を10nmとした点以外は、実施例1と同じとした。導通路の面積率は、マイクロポア貫通孔を形成するための電圧、液温および流速を変更して調整した。
表1に示すように、実施例1〜5は、金属充填微細構造体の平滑化に際し終点検出ができた。一方、比較例1、2は、金属充填微細構造体の平滑化に際し終点検出ができなかった。なお、実施例1〜5のスラリーは、いずれも絶縁性基材をエッチングする作用を持つスラリーである。
10 アルミニウム基板
10a 表面
12 陽極酸化構造体
13 金属充填微細構造体
14 アルミニウム基材
14a、16a、22a 表面
14b、16b 裏面
16 陽極酸化膜
16c 面
17 貫通路
19 導通路
19a 突出部分
19b 突出部分
19c 端面
20 部分
21 部分
22 樹脂層
24 剥離層
25 支持層
26 剥離剤
28 両面粘着剤
30 支持部材
32 異方導電材
35 電子素子
36、37 半導体チップ
40 支持体
42 樹脂基材
100 平滑化装置
102 回転定盤
102a、106a 回転軸
104 研磨パッド
106 回転ヘッド
108 モータ
110 センサ
112 調整部
113 研磨液
114 供給部
116 制御部
D 厚み方向
d 直径
h 厚み
p 中心間距離
S10 ステップ
S12 ステップ
S14 ステップ
W 被研磨体
w 幅
x 方向

Claims (10)

  1. 絶縁性基材と、前記絶縁性基材の厚み方向に貫通した複数の貫通路と、前記貫通路の内部に充填された金属で構成された複数の導通路とを有する金属充填微細構造体の製造方法であって、
    前記絶縁性基材の面に対する前記導通路の面積率が15%以上50%以下であり、前記導通路の直径が20nm以上110nm以下であり、
    前記貫通路に前記金属が充填された前記絶縁性基材の少なくとも一方の面を平滑化する表面平滑化処理工程を有し、
    前記表面平滑化処理工程は、終点を検出する終点検出を行って停止する金属充填微細構造体の製造方法。
  2. 前記貫通路に前記金属が充填された前記絶縁性基材の両面に対して、前記表面平滑化処理工程を実施する請求項1に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  3. 前記終点検出は、光学的に前記終点を検出する請求項1または2に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  4. 前記終点検出は、電気的に前記終点を検出する請求項1または2に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  5. 前記終点検出は、前記絶縁性基材の面と前記導通路の端面とが、表面粗さが20nm以下となる状態を前記終点として検出する請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  6. 前記表面平滑化処理工程の平滑化は、化学的機械的研磨、ドライエッチングまたは研削を用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  7. 前記化学的機械的研磨は、前記絶縁性基材をエッチングする作用を持つスラリーを用いる請求項6に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  8. 前記光学的に前記終点を検出する前記終点検出は、前記絶縁性基材の反射率を用いる請求項3に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  9. 前記表面平滑化処理工程の平滑化は化学的機械的研磨が用いられ、前記電気的に前記終点を検出する前記終点検出は、前記化学的機械的研磨に用いられる研磨体と、前記絶縁性基材の少なくとも一方の面との間の摩擦力を表す回転トルクを用いる請求項4に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  10. 前記表面平滑化処理工程は、前記平滑化を実施し、かつ前記平滑化中に前記終点の検出を行う請求項1〜9のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
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