JP7363957B2 - 剥離可能積層体 - Google Patents
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Description
しかし、従来の分離票のカールは、まだ大きかった。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本発明では、基材4から配達票10を剥離するときの剥離力の増加を抑制して所定の上限値よりも大きくならないように、基材4と配達票10との間の接着力(接合力)を領域毎に変化させている。この接着力を変化させるための主要な構成として、剥離層と接着層とがある。以下の第1実施形態から第4実施形態では、剥離層の構成を領域毎に変化させる構成を説明する。また、以下の第5実施形態作成及び第6実施形態では、接着層の構成を領域毎に変化させる構成を説明する。
図1は、第1実施形態の配送伝票1を説明する図である。
図1Aは、配送伝票1を上側Z2から見た図である。
図1Bは、配送伝票1の接着パターンを説明する図である。
図1Cは、図1AのC-C断面図である。
図2は、第1実施形態の配送伝票1のうち配達票10に対応する領域を拡大して示す図である。
図2A(a)、図2A(b)、図2A(c)は、強接着力の領域、中接着力の領域、弱接着力の領域を、上側Z2から見た拡大図である。これらの図のハッチングの領域は、剥離層6が形成された部分を示す。
図2Bは、配達票10の接着パターンを説明する図である。
図2Cは、図2BのC-C断面図である。
また、実施形態では、上層7及び基材4の間の接着力の分布の態様を、適宜、接着パターンという。
配送伝票1(剥離可能積層体)は、荷物の配送に利用される伝票である。
配送伝票1は、剥離紙2、粘着層3、基材4(基材シート)、接着層5、剥離層6、上層7を備える。
剥離紙2、粘着層3、基材4は、下側Z1から上側Z2にこの順で積層されたシート材であり、いわゆるタック紙である。
剥離紙2は、紙材等にシリコン樹脂等が塗布されたものであり、粘着層3から剥離可能である。粘着層3は、粘着剤により形成された層である。剥離紙2を剥がすことにより、粘着層3は、下側Z1に露出する。この露出した粘着剤を用いて、配送伝票1は、荷物に貼り付けられる。
基材4は、上質紙等のシート材である。基材4の上面には、配達票10を剥離後に、荷受人に伝える事項(例えば、広告等)を印刷しておいてもよい。
接着層5は、紙材を接着するのに適した接着剤によって形成される層である。接着層5は、基材4の上面の全面に接着剤をオフセット印刷等によってベタ印刷することにより形成できる。
剥離層6は、シリコンの含有率が高いもの(例えば含有率が100%)に比較すると、剥離層6及び接着層5間が剥離しにくい。このため、接着層5及び剥離層6間は、ある程度の接着力を有する形態で積層されている。そのため、上層7及び基材4間が、ある程度の接着力で接着される。
配達票10の上面には、依頼主及び配達先の氏名、住所等が印字、又は印刷されている。貼付票20の上面にも、同様に、これらの情報が、印刷等されている。
配達票10、貼付票20の外形は、正方形又はほぼ正方形であるが、これに限定されず、長方形でもよい。
なお、接着層5と剥離層6とは、基材4(基材シート)と配達票10(剥離シート)とを接着して貼り合わせるボンディング層を構成している。
基材4及び上層7間の接着力の強さは、強接着力、中接着力、弱接着力の3種類である。なお、図1C、図2Cにおいて、剥離層6の断面は、接着力毎に異なるハッチングで図示した。
これらの接着力を有する領域は、以下のように形成できる。
(強接着力の領域)
図2A(a)に示すように、強接着力の領域では、剥離層6(領域31b)は、網目状に抜きになっている。この網目31a内では、厚さ方向Zにおいて、接着層5は、基材4及び上層7に直接接触している。このため、網目31a内では、接着層5は、基材4及び上層7間を、被着体破壊する程度の強さで接着する。
一方、網目31a以外の領域31bでは、基材4及び上層7間は、前述したように接着層5及び剥離層6間によってある程度の接着力で接着される。領域31bの接着力は、網目31a内の接着力に比較すると弱い。
図2A(b)に示すように、中接着力の領域では、剥離層6は、強接着力の領域と同様に、網目状に抜きになっている。中接着力の領域の網目32a間の間隔は、強接着力の領域の網目31a間の間隔と同一であり、また、中接着力の領域の網目32aの大きさは、強接着力の領域の網目31aの大きさよりも小さい。
このため、単位面積当たりで比較すると、網目32aの面積は、中接着力の領域の方が、強接着力の領域よりも小さい。また、網目32a以外の領域32bの面積は、強接着力の領域31bの面積よりも大きい。
このため、単位面積当たりの接着力を比較すると、中接着力の方が強接着力よりも弱い。
なお、本実施形態では、強接着力の領域及び中接着力の領域では、剥離層6を網目状に抜きとして、網目31a及び網目32a内では、厚さ方向Zにおいて、接着層5は、基材4及び上層7に直接接触している形態とした。これに限らず、例えば、これとは逆に、網目(網点)の部分を剥離層6の領域として島状に形成して、その周りにおいて接着層5が基材4及び上層7に直接接触する形態としてもよい。また、網目、網点に限らず、印刷のパターンは適宜変更することができる。
図2A(c)に示すように、弱接着力の領域は、領域33bの全面に、剥離層6がベタ状に設けられている。
このため、単位面積当たりの接着力を比較すると、弱接着力の方が中接着力よりも弱い。
なお、上層7及び基材4間が剥離する場合は、通常は、網目31a,32aの領域では基材4が破壊し(被着体破壊)、一方、網目以外の領域31b,32b,33bでは接着層5及び剥離層6間の界面が分離する(界面破壊)。
接着パターンについて説明する。
以下の説明において、接着パターンのうち配達票10に対応する領域を、単に、配達票10ともいう。貼付票20についても、同様である。
図1B、図2Bに示すように、接着パターンは、配達票10の全面に分布している。つまり、配達票10及び基材4間の層間は、全面が接着されている。貼付票20及び基材4間についても、同様である。
配達票10は、強接着領域11(強接着部)、中接着領域12(接着部)、弱接着領域13a,13c,13e,13f、弱接着領域13b,13d(接着力調整部)が以下のように配置されている。
強接着領域11は、配達票10の外周の縁部の全周である。強接着領域11の外形は、配達票10の外形よりも1回り(例えば2~5mm程度)小さく、また、強接着領域11の幅は、数mm程度(例えば5mm程度)である。
これにより、強接着領域11は、中接着領域12等を囲うように、配達票10の縁部の全周に配置される。但し、配達票10の最外周は、弱接着領域13eであるので、強接着領域11は、これよりも内側である。
中接着領域12は、強接着領域11よりも内側の領域であって、弱接着領域13a~13dを除く領域のほぼ全面に、ドット状(つまりアイランド状)に散在して配置される。
すなわち、左上コーナ部10b及び右下コーナ部10dを結んだ対角線10f(一方の対角線)に平行な方向において、複数のドットは、一定間隔毎に19列(列L0,L1~L9,L11~L19)配置されている。
また、左下コーナ部10a及び右上コーナ部10cを結んだ対角線10e(他方の対角線)に平行な方向において、各例の複数のドッドは、一定間隔毎に並べられている。
各ドットは、長方形である。この長方形の長手方向は、対角線10eに平行である。
・弱接着領域13a~13d
弱接着領域13a~13dは、それぞれコーナ部10a~10d近傍の正方形の領域である。
なお、弱接着領域13a~13dと弱接着領域13fとは、連続した領域であるが、図1B、図2Bには、これらの境界を明確にするために、境界線を二点鎖線で図示した。以降の図面も同様である。
弱接着領域13eは、配達票10の最外周の全周に配置される。つまり、弱接着領域13eは、強接着領域11よりも外側に配置される。弱接着領域13eの幅は、数mm程度(例えば5mm以下)である。
・弱接着領域13f
弱接着領域13fは、強接着領域11よりも内側の領域のうち、中接着領域12及び弱接着領域13a~13dを除いた領域である。つまり、接着パターンは、強接着領域11よりも内側の領域のうち中接着領域12及び弱接着領域13a~13dを除いた十字型の領域を弱接着領域13fとし、この十字型の弱接着領域13fに中接着領域12である複数のドットを散在して配置したような形態である。
強接着領域21は、弱接着領域23eよりも内側の領域であり、貼付票20のほぼ全面の領域である。
弱接着領域23eは、配達票10の弱接着領域13eと同様に、貼付票20の最外周の全周に配置される。
配送伝票1の使用方法を説明しながら、配達票10を剥離する態様について説明する。
(配送の準備)
図1Aに示すように、配達票10、貼付票20に、依頼主(送り主)及び配達先の氏名、住所等の情報を、インクジェットプリンタ等によって印刷する。プリンタの送り方向は、例えば縦方向Yである。配達票10、貼付票20は、下面の全面が基材4に接着しているので、プリンタ内をローラ等で送られても、基材4からの剥離を抑制できる。
なお、これらの情報は、依頼主が、ペン等を用いて、手書きで記入する仕様でもよい。この場合には、配送伝票1のメーカは、配達票10、貼付票20に、記入欄を印刷しておけばよい。
図示は省略するが、その後、剥離紙2を基材4から剥離することにより粘着層3の下面を露出させる。そして、露出した粘着層3によって、配送伝票1を荷物40(図3B参照)に貼付する。
荷物は、営業所間を輸送されたりした後に、配達用の自動車のドライバによって貼付票20に記入された住所に配達される。配達票10、貼付票20は、下面の全面が基材4に接着し、かつ、強接着領域11が全周に設けられているので、荷物の移動、保管時において、基材4からの不意な剥離を抑制できる。
配達用の自動車のドライバは、荷物を配達先に配達後、配達票10を基材4から剥離する。そして、ドライバは、荷受人から配達票10にサイン等を貰った後に、配送の控えとである配達票10を営業所に持ち帰る。
図3は、第1実施形態の配達票10を基材4から剥離する態様を説明する図である。
図3Aは、配達票10を剥離する態様を、上側Z2から見た図である。図3Aは、配達票10のうち剥離した部分を太線で図示した。
図3Bは、配達票10を剥離する態様を、下側Y1から見た図である。
弱接着領域13eは、配達票10の左下コーナ部10aを含む再外周に設けられている。このため、配達票10の左下コーナ部10aを、剥離のキッカケとして、容易につまむことができる。
なお、実施形態のように、左下コーナ部10aのみを剥離のキッカケとして用いる場合には、弱接着領域13eは、左下コーナ部10aの近傍の縁部のみ、又は左下コーナ部10aを含む辺(つまり剥離始端に交差する2辺である左辺及び下辺)の縁部のみに設けてもよい。また、左下コーナ部10aの縁部の三角形状の領域は、接着層5、剥離層6を設けなくてもよい。この形態では、剥離のキッカケとなる三角形状の領域に、接着力が働かないので、剥離しやすく、作業性がよい。
その後、配達票10の左下コーナ部10aをつまんだ状態で、右上コーナ部10cが剥離終端となるように、対角線10e上を、剥離方向である右上に向けて引っ張る。
なお、剥離境界部50は、対角線10eに直交するような直線状である。このため、剥離境界部50は、対角線10fにほぼ平行である。
図3Aに示すように、範囲A1は、剥離開始の初期段階である。範囲A1では、剥離境界部50は、弱接着領域13aが主な通過領域である。このため、配達票10は、大きな引張力が働くことなく、容易に剥離する。これにより、剥離開始の段階において、つまんだ状態の左下コーナ部10aは、指から離れにくい。
また、剥離境界部50は、弱接着領域13aを通過する間に、中接着領域12のドットに徐々に重複するようになり、つまり、中接着領域12を徐々に通過するようになる。
範囲A2では、剥離境界部50は、主に、中接着領域12及び弱接着領域13fを通過する。
ここで、範囲A1,A2では、剥離が進むに従って、剥離境界部50の長さが長くなるので、剥離境界部50が重複する中接着領域12のドットの列数が増えていく。
例えば、範囲A1では、剥離境界部50が交差する列数は、ゼロ列から13列(列L0,L1~L6,L11~L16)に増えている。また、範囲A1では、この交差する列数は、13列から19列(列L0,L1~L9,L11~L19)に増えている。
このため、範囲A1,A2では、剥離境界部50における基材4及び貼付票20の間の接着力の合計は、剥離が進むに従って徐々に大きくなっていく。そのため、基材4が貼付票20から剥離するために必要な力(つまり剥離力)も、徐々に大きくなっていく。なお、以下の説明において、剥離境界部50における基材4及び貼付票20の間の接着力の合計を、単に、総接着力ともいう。
さらに、剥離境界部50が移動しても、剥離境界部50が重複するドットの数は、極端には増減しない。これにより、剥離力の変化が穏やかであるので、配達票10に折れ目が付いたりすることがなく、また、配達票10をスムーズに剥離できる。
範囲A3は、剥離境界部50の移動範囲の中間の範囲であり、つまり、剥離境界部50の移動範囲である左下コーナ部10aから右上コーナ部10cまでの中央の範囲である。
範囲A3では、剥離境界部50は、主に、中接着領域12及び弱接着領域13b,13d,13fを通過する。
範囲A3では、剥離境界部50は、対角線10fに徐々に近付くように平行移動し、対角線10fを通過後、対角線10fから離れるように平行移動する。ここで、剥離境界部50が最長となる場合は、剥離境界部50が対角線10f上にある場合である。
このため、対角線10fを含む範囲A3を通過する場合の剥離境界部50の長さは、他の範囲を通過する場合よりも長い。
さらに、線分である剥離境界部50と、中接着領域12とが重複する長さは、最大で19個のドット分の長さ(所定内の長さ)である。このため、範囲A3の剥離境界部50の長さが他の範囲よりも長くなっても、範囲A3において、接着力が極端に大きくことはないので、配達票10に極端に大きな引張力をかけることなく、配達票10を剥離できる。
なお、範囲A3で剥離境界部50が重複するドットの数が、交差する列数よりも少なくなる態様等は、上記(3)の説明と同様である。
範囲A4では、剥離境界部50は、範囲A2とは逆の態様で進む。詳細な説明は、省略する。
(6)範囲A5
範囲A5では、剥離境界部50は、範囲A1とは逆の態様で進む。詳細な説明は、省略する。
その後、剥離境界部50が右上コーナ部10cを通過することにより、配達票10の全体が基材4から剥離する。
図4Aは、第1実施形態の剥離後の配達票10のカールを示す図である。
図4Bは、比較例の配達票110のカールを示す図である。
前述したように、配達票10は、大きな引張力Fが働くことなく、基材4から剥離する。一般に、剥離シートを基材から剥離する場合に、剥離シートにかかる引張力を小さくする程、カールを小さくできることが知られている。
このため、図4Aに示すように、実施形態の配達票10は、剥離後のカールが小さい。
配達票10は、剥離後に、ドライバが営業所に持ち帰った後、用紙送り装置を備えるスキャナで読み取られたりする。このような場合でも、配達票10は、カールが小さいので、スキャナ内の詰まりを抑制できる。また、配達票10は、カールが小さいので、ファイルに綴じる場合等の取り扱いが容易である。
カールの程度は、例えば、図4Aに示すように、配達票10を机上に置いた状態で上側Z2から観察した場合に、配達票10の上面の全てが視認可能な程度にすることができる。また、このカールの程度あれば、配達票10がスキャナ内で詰まる可能性は、比較例に比べて軽減される。
剥離境界部50の総接着力を調整するには、例えば、ドットの面積、弱接着領域13b,13dの面積、中接着部の接着力、弱接着部の接着力等を調整すればよい。
このため、比較例の配達票110は、スキャナ内で詰まりやすく、また、ファイルに綴じる場合等の取り扱いが難しい。
図1Bに示すように、貼付票20は、弱接着領域23eよりも内側の全てが、強接着領域21であるので、剥離時には、配達票10に比べると大きな引張力が働く。このため、剥離後の状態では、貼付票20は、配達票10よりも大きくカールする傾向を有する。但し、貼付票20は、通常は、配達先において管理されるものではなく、剥離後に直ちに廃棄されるものである。そのため、貼付票20のカールが問題になる場合は、ほとんどない。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号を適宜付して、重複する説明を適宜省略する。
図5は、第2実施形態の配達票210の接着パターンを説明する図である。
なお、図5は、配送伝票のうち配達票210の部分のみを図示するが、本実施形態の配送伝票は、第1実施形態と同様に貼付票を備える。以降の実施形態も同様である。
配達票210の弱接着領域213bの形状は、直角二等辺三角形である。この直角二等辺三角形の斜辺及び対角線10eは、平行である。
同様に、弱接着領域213dの形状も直角二等辺三角形であり、斜辺及び対角線10eは、平行である。
このため、範囲A23において、剥離境界部50と、中接着領域212のドットが交差する列数は、常に19列であり、一定である。そのため、範囲A23において、剥離境界部50が移動する場合の剥離境界部50上の接着力の増減は、少なくなる。
これにより、配達票210を、基材からスムーズに剥離することができる。
図6は、第3実施形態の配達票310の接着パターンを説明する図である。
範囲A33において、配達票310の弱接着領域313bは、対角線10fの中央の領域に設けられている。弱接着領域313bの長手方向と、対角線10fとは、平行である。
また、範囲A33において、四角形の弱接着領域は、前述した実施形態とは異なり、対角線10fの両端の領域には設けられていない。
配達票310は、弱接着領域313bを対角線10fの中央の領域に設けることにより、配達票310の中央にかかる引張力を小さくできる。すなわち、配達票310は、弱接着領域313bをこの領域に設けることにより、引張力Fを小さくする作用を、より直接的に働かせることができる。これにより、配達票310は、剥離後のカールを小さくすることができる。
図7は、第4実施形態の配達票410の接着パターンを説明する図である。
範囲A43において、配達票310の中接着領域412は、1列おきに配置されている。つまり、中接着領域412のドットは、偶数の符号の列のみに配置されている。
また、範囲A43において、四角形の弱接着領域は、第3実施形態と同様に、対角線10fの両端の領域には設けられていない。
以上により、範囲A43において、中接着領域412のドットは、前述した実施形態よりも斑に配置される。また、弱接着領域413fの面積は、奇数の符号の列のドットの面積分だけ、前述した実施形態よりも大きくなる。
これにより、弱接着領域413fは、前述した実施形態と同様に、剥離時に配達票410にかかる引張力Fを小さくすることができる。
先に説明した第1実施形態から第4実施形態では、図2Aに示したように、剥離層6の印刷を部分的に抜いた網目状の印刷パターンとして、接着力の強弱を実現する形態を説明した。
これに対して、以下に示す第5実施形態及び第6実施形態では、接着層5の印刷を網点状にして、接着層5における接着材が占める面積割合を変化させることにより、接着力の強弱を実現する形態を説明する。
図8は、第5実施形態における強接着力の領域、中接着力の領域、弱接着力の領域を、上側Z2から見た拡大図である。図8(a)は、強接着力の領域を示し、図8(b)は、中接着力の領域を示し、図8(c)は、弱接着力の領域を示している。図8では、ハッチングの領域は、接着層5が形成された部分を示す。
図8(a)に示すように、強接着力の領域では、領域61aの全面に、接着層5がベタ状に設けられている。このため、強接着力の領域は、他の領域と比べて単位面積当たりの接着力が最も高い。
図8(b)に示すように、中接着力の領域では、接着層5(領域62a)は、網点状に形成され、その周りの領域62bは、接着層5が存在しない領域である。このため、強接着力の領域は、強接着力の領域よりも単位面積当たりの接着力が弱い。
図8(c)に示すように、弱接着力の領域では、接着層5(領域63a)は、中接着力の領域の接着層5(領域62a)よりもさらに小さな網点状に形成されており、その周りの領域63bは、接着層5が存在しない領域である。このため、弱接着力の領域は、中接着力の領域よりも単位面積当たりの接着力が弱い。
図10は、図9のD-D断面図である。
第5実施形態の接着パターンの配置は、第1実施形態と同様である。ただし、上述したように、第5実施形態では、剥離層6は、位置によって変化することなく一様に構成されている。なお、剥離層6は、一様に形成されていればよいので、ベタ印刷であってもよいし、網点印刷であってもよい。
なお、接着層5と剥離層6とは、基材4(基材シート)と配達票510(剥離シート)とを接着して貼り合わせるボンディング層8を構成している。
そこで、第1実施形態において剥離境界部50を用いて説明した挙動を、別の観点からさらに説明する。なお、第1実施形態において剥離境界部50を用いて説明した内容は、第5実施形態及び後述の第6実施形態にも適用されるものである。また、以下に新たに説明する内容は、第5実施形態及び後述の第6実施形態だけに適用されるものではなく、先に説明した第1実施形態から第4実施形態にも適用されるものである。
図12は、配達票510を基材4から剥がすときの直交接着力の変化を示す図である。
ここで、第5実施形態においても、左下コーナ部510aから右上コーナ部10cへ向かって配達票510を剥がす場合が標準的な剥がし動作である。よって、この剥がし動作に基づいて以下の説明を行う。
先ず、剥離始端である左下コーナ部510aと剥離終端である右上コーナ部10cとを結ぶ仮想の直線である剥離方向仮想線PLを定義する。この剥離方向仮想線PLは、剥離方向で対向する2つの角部(左下コーナ部510a及び右上コーナ部510c)を結ぶ仮想線である。また、この剥離方向仮想線PLに直交し、かつ、基材4又は配達票510のシート面に位置する仮想の直線を直交仮想線QLと定義する。この直交仮想線QLは、剥離方向仮想線に沿った位置毎に無数に存在するが、図11では、代表的な直交仮想線QL1,QL2,QL3,QL4,QL5を示した。
図13は、第6実施形態の配達票610(剥離シート)の接着パターンを説明する図である。
第6実施形態の配送伝票601では、第5実施形態における中接着領域12が、ドット状(アイランド状)に散在して配置されていたものを、一様に配置した点と、配達票610の外形形状を長方形にした他は、第5実施形態と同様な構成をしている。よって、第5実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
なお、強接着領域611は、第5実施形態の強接着領域11と同様であり、弱接着領域613a,613b,613c,613d,613eは、第5実施形態の弱接着領域13a,13b,13c,13d,13eと同様である。
また、第6実施形態の配達票610は、外形形状が長方形になっている。このように、配達票の形状は、正方形に限るものではない。また、四角形に限らず、三角形や五角形等、他の形状であってもよい。これと同様に、弱接着領域13a,13b,13c,13dの形状についても、正方形に限らず、長方形であってもよいし、三角形や五角形等、他の形状であってもよい。
(1)実施形態において、剥離可能積層体は、配送伝票として使用される例を示したが、これに限定されない。剥離可能積層体は、上層を基材シートから剥離する使用態様であれば、その用途は限定されない。剥離可能積層体は、例えば、工業製品の製造時の検査、事務機械の出張修理等に利用できる。
4…基材
5…接着層
6…剥離層
7…上層
8…ボンディング層
10,210,310,410,510,610…配達票
10e,10f…対角線
11,611…強接着領域
12,212,312,412,612…中接着領域
13a~13f,23e,213b,213d,313b,313f,413f,613a~613e…弱接着領域
20…貼付票
21…強接着領域
50…剥離境界部
Claims (8)
- 基材シートと、
前記基材シートに剥離可能に積層された剥離シートと、
前記剥離シートのコーナ部に設けられ、前記剥離シートの剥離を開始する剥離始端と、
前記剥離シートに設けられ、前記剥離始端と対向する位置に設けられた剥離終端と、
前記基材シートと前記剥離シートとの間に積層されており、前記基材シートと前記剥離シートとを接着して貼り合わせるボンディング層と、
を備え、
前記剥離始端と前記剥離終端とを結ぶ仮想の直線である剥離方向仮想線に直交し、かつ、前記基材シート又は前記剥離シートのシート面に位置する仮想の線分を直交仮想線と定義し、
前記ボンディング層の外周が長方形の形状であり、前記剥離始端と前記剥離終端とは互いに対頂点であるとき、前記直交仮想線と前記長方形の辺との2交点を結ぶ線分の長さを前記直交仮想線の長さと定義し、
前記直交仮想線と前記ボンディング層とが重なる線上における、前記基材シートと前記剥離シートとの接着力を直交接着力と定義したとき、
前記ボンディング層は、前記剥離方向仮想線に沿って前記剥離シートを剥離する位置に応じて変化する前記直交仮想線の長さの増加に伴い前記直交接着力が増加する増加範囲と、前記直交接着力の増加を抑制する接着力調整部を備えることにより前記増加範囲における前記直交接着力の増加よりも増加を抑制する抑制範囲とを備え、
前記ボンディング層は、当該剥離可能積層体の外周に沿って設けられた強接着部を有しており、前記強接着部は、当該強接着部よりも内周側に設けられた前記ボンディング層の接着力よりも接着力が強く、
前記剥離始端に交差する2辺の最も外側の縁部は、前記強接着部よりも接着力が弱い弱接着部を備える剥離可能積層体。 - 請求項1に記載の剥離可能積層体において、
前記ボンディング層は、接着材により形成された接着層を有しており、
前記接着力調整部は、前記接着層が占める面積の割合が他の部位よりも小さい領域を有していること、
を特徴とする剥離可能積層体。 - 請求項2に記載の剥離可能積層体において、
前記接着層は、網点状に形成されていること、
を特徴とする剥離可能積層体。 - 請求項2又は請求項3に記載の剥離可能積層体において、
前記接着力調整部は、接着材自体の接着力を他の領域よりも小さくした領域を有していること、
を特徴とする剥離可能積層体。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の剥離可能積層体において、
前記ボンディング層は、剥離材により形成された剥離層を有しており、
前記接着力調整部は、前記剥離層が占める面積の割合が他の部位よりも大きい領域を有していること、
を特徴とする剥離可能積層体。 - 請求項5に記載の剥離可能積層体において、
前記剥離層は、網点状に形成されていること、
を特徴とする剥離可能積層体。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の剥離可能積層体において、
前記剥離始端に交差する2辺の最も外側の縁部は、前記ボンディング層の中で最も接着力が弱い弱接着部となっていること、
を特徴とする剥離可能積層体。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の剥離可能積層体において、
この剥離可能積層体は、前記剥離シートが配送の控えとして利用される配送伝票であること、
を特徴とする剥離可能積層体。
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