JP7359141B2 - ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法 - Google Patents

ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法に関する。
ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンは、例えば半導体用エッチングガスとして有用である。ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法としては、従来から種々の方法が知られている。例えば、特許文献1には、1,2,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタンを、ジオキサン中、マグネシウム存在下、-78℃で脱塩素化反応させる方法が開示されている。また、特許文献2には、1,2,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタンを、2-プロパノール中、亜鉛存在下で脱塩素化反応させる方法が開示されている。
国際公開第2005/23734号 日本国特許公報 第5005681号
しかしながら、特許文献1、2に開示の方法では、工業的に十分なレベルの収率でヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを製造することができないおそれがあるという問題があった。
本発明は、工業的に十分なレベルの収率でヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを製造することが可能な方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の一態様は以下の[1]~[6]の通りである。
[1] CF-CFX-CFX-CF(X、X、X、及びXは、それぞれ独立して、フッ素原子以外のハロゲン原子を示す)なる化学式で表されるハロゲン化ブタンと、亜鉛と、有機溶剤とを含有する反応液中で、前記ハロゲン化ブタンからフッ素原子以外のハロゲン原子X、X、X、Xを脱離させてヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを生成させる反応を行うに際して、
前記反応が行われている期間において、前記反応により生じるハロゲン化亜鉛の前記反応液中の濃度を、前記有機溶剤に対する前記ハロゲン化亜鉛の溶解度以下とするヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
[2] 前記反応の実施中に有機溶剤を前記反応液に追加して、前記反応液中の前記ハロゲン化亜鉛の濃度を希釈する[1]に記載のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
[3] 前記反応の実施中に、前記反応液の一部を抜き出し、この抜き出した反応液である抜き出し液から、溶解しているハロゲン化亜鉛の一部又は全部を取り除き、前記ハロゲン化亜鉛を取り除いた抜き出し液を元の前記反応液に戻して、前記反応液中の前記ハロゲン化亜鉛の濃度を希釈する[1]に記載のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
[4] 前記有機溶剤がアルコールである[1]~[3]のいずれか一項に記載のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
[5] 前記アルコールがメタノール、エタノール、1-プロパノール、及び2-プロパノールのうちの少なくとも1種である[4]に記載のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
[6] X、X、X、及びXが全て塩素原子である[1]~[5]のいずれか一項に記載のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
本発明によれば、工業的に十分なレベルの収率でヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを製造することが可能である。
本発明の一実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
従来のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法は、CF-CFX-CFX-CF(X、X、X、及びXは、それぞれ独立して、フッ素原子以外のハロゲン原子を示す)なる化学式で表されるハロゲン化ブタンと、亜鉛と、有機溶剤とを含有する反応液中で、ハロゲン化ブタンからフッ素原子以外のハロゲン原子X、X、X、Xを脱離させてヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを生成させる反応を行うというものである。
上記反応の進行に伴って、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンとともにハロゲン化金属が生成し、生成したハロゲン化金属は反応液中に溶解する。したがって、反応液中に溶解しているハロゲン化亜鉛の濃度は、反応の進行に伴って上昇していく。そして、反応液中のハロゲン化亜鉛の濃度が上記有機溶剤に対するハロゲン化亜鉛の溶解度(飽和濃度)を超えると、反応液からハロゲン化亜鉛が析出する。本発明者らは、この析出したハロゲン化亜鉛が、ハロゲン化ブタンと亜鉛との反応を阻害し、これによりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンが生成する反応の反応速度が低下し、収率が低下することを見出した。
析出したハロゲン化亜鉛がハロゲン化ブタンと亜鉛との反応を阻害する理由は明らかではないが、未反応の亜鉛と析出したハロゲン化亜鉛とが相互作用して、亜鉛の表面がハロゲン化亜鉛で覆われることにより、ハロゲン化ブタンと亜鉛との反応が阻害されると推測される。
反応温度を上げれば、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンが生成する反応の反応速度を向上させることができるものの、析出したハロゲン化亜鉛による悪影響が大きいため、反応速度を十分に向上させることは難しい。また、反応温度を上げることによって副反応が促進されるため、不純物(副生物)の生成量が増加するという問題が生じるおそれがある。反応温度を上げることにより生成する不純物(副生物)としては、例えば、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの2量体、3量体等の多量体が挙げられる。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、反応が行われている期間において、反応液中のハロゲン化亜鉛の濃度を上記有機溶剤に対するハロゲン化亜鉛の溶解度(飽和濃度)以下に維持しながら反応を行えば、反応の実施中に反応液からハロゲン化亜鉛が析出することを抑制することができるため、ハロゲン化ブタンと亜鉛との反応が阻害されることなく、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンが生成する反応が高い反応速度で進行することを見出した。
すなわち、本実施形態のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法は、CF-CFX-CFX-CF(X、X、X、及びXは、それぞれ独立して、フッ素原子以外のハロゲン原子を示す)なる化学式で表されるハロゲン化ブタンと、亜鉛と、有機溶剤とを含有する反応液中で、ハロゲン化ブタンからフッ素原子以外のハロゲン原子X、X、X、Xを脱離させてヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを生成させる反応を行うに際して、上記反応が行われている期間において、上記反応により生じるハロゲン化亜鉛の反応液中の濃度を、上記有機溶剤に対するハロゲン化亜鉛の溶解度以下とするというものである。
本実施形態のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法によれば、工業的に十分なレベルの収率(例えば90%以上)でヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを製造することが可能である。また、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンが生成する反応の反応速度が高いので、効率良くヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを製造することができる。さらに、高温で反応させる必要がないので、副反応が抑制され不純物量を低減することができる。そのため、産業廃棄物の排出量を低減することができる。これらのことから、本実施形態のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法によれば、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを安価に製造することができる。
主生成物であるヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンや、副生物であるヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの多量体の生成量は、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の分析方法により測定することができる。そして、その測定結果から、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの収率、純度、反応速度や、不純物の含有率等を算出することができる。
なお、本発明において「ハロゲン化亜鉛の析出」とは、ハロゲン化亜鉛が反応液に溶解している状態を維持することができなくなって、微細な粉体状又はガム状の固体となって反応液から分離することを意味する。また、本発明においては、「ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン」は、「1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン」を意味する。
以下に、本実施形態のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法について、攪拌機及び加熱用ジャケットを備えるSUS等の金属製の反応容器を用いて反応を行った場合を例にして、さらに詳細に説明する。
本実施形態のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法において使用可能なハロゲン化ブタンの種類は特に限定されるものではなく、X、X、X、及びXはそれぞれ独立してフッ素原子以外のハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれであってもよい。
、X、X、及びXは全て同種のハロゲン原子であってもよいし、一部が同種で他部が異種のハロゲン原子であってもよい。例えば、X、X、X、及びXがいずれも塩素原子である1,2,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタン(以下、「HFTCB」と記すこともある)をハロゲン化ブタンとして用いることができる。HFTCBは、入手の容易さ、経済性が優れている。
また、有機溶剤の種類は、ハロゲン化ブタンからフッ素原子以外のハロゲン原子X、X、X、Xを脱離させてヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを生成させる脱ハロゲン化反応の進行を阻害するものでなければ特に限定されるものではない。また、亜鉛との反応性が乏しく、ハロゲン化亜鉛の溶解度が0ではなく、且つ、亜鉛の分散性に富むものが好適である。例えば、アルコール、環状エーテル、アセトン、アセトニトリル、芳香族炭化水素、アミド溶剤、有機酸又はこれらの混合溶剤を使用することができる。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、及び2-プロパノールのうちの少なくとも1種を挙げることができる。これらの中では、取り扱い性の点から、2-プロパノールが最も好適である。
環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。アミド溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸等が挙げられる。これらの有機溶剤の中でもアルコールは、脱ハロゲン化反応を好適に進行させるため好ましい。
亜鉛の形態は、脱ハロゲン化反応が進行するものであれば特に限定されるものではないが、反応性や取り扱い性の点から、粉末状、リボン状が好ましく、粉末状がより好ましい。粉末状の亜鉛の平均粒径は0.04mm以上10.0mm以下が好適である。
上記の脱ハロゲン化反応を行う際には、まず反応容器に亜鉛を仕込み、そこに有機溶剤を投入する。仕込み時(反応開始時)の亜鉛の使用量と有機溶剤の使用量との質量比([亜鉛の使用量]/[有機溶剤の使用量])は、0.2以上2.0以下の範囲としてもよい。
次に、仕込んだ亜鉛と有機溶剤を混合し、温度を通常は20℃以上150℃以下、好ましくは30℃以上95℃以下、圧力を通常は絶対圧で0.05MPa以上1MPa以下とする。そして、温度と圧力を上記の値に保ちながら、ポンプ等を用いてハロゲン化ブタンを少量ずつ添加するとよい。これにより、ハロゲン化ブタンからフッ素原子以外のハロゲン原子を脱離させてヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを生成させる脱ハロゲン化反応を行うことができる。
ハロゲン化ブタンの使用量と亜鉛の使用量の質量比([ハロゲン化ブタンの使用量]/[亜鉛の使用量])は、1以上12以下の範囲としてもよい。
脱ハロゲン化反応の進行によって、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンが生成するとともにハロゲン化亜鉛が生成する。ハロゲン化亜鉛は有機溶剤に溶解するので、脱ハロゲン化反応の当初は、生成したハロゲン化亜鉛は反応液中に溶解しているが、脱ハロゲン化反応の進行に伴って、反応液中に溶解しているハロゲン化亜鉛の濃度が上昇していき、反応液中のハロゲン化亜鉛の濃度が上記有機溶剤に対するハロゲン化亜鉛の溶解度(飽和濃度)を超えると、反応液からハロゲン化亜鉛が析出するおそれがある。
反応の実施中にハロゲン化亜鉛が反応液から析出するか否かは、ハロゲン化ブタン、有機溶剤、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン、及びハロゲン化亜鉛の混合物(すなわち反応液)が反応温度において溶解状態であるか否かを実験的に確かめることによって判断することができる。
ハロゲン化ブタンやヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンに対するハロゲン化亜鉛の溶解度は小さいので、通常は、有機溶剤に対するハロゲン化亜鉛の溶解度が反応液に対するハロゲン化亜鉛の溶解度であるとみなすことができる。したがって、反応液中のハロゲン化亜鉛の濃度を有機溶剤に対するハロゲン化亜鉛の溶解度(飽和濃度)以下に維持しながら反応を行えば、反応の実施中に反応液からハロゲン化亜鉛が析出することを抑制することができる。生成するハロゲン化亜鉛の量は予め予測することができるので、それに応じた有機溶剤の種類や使用量を選択することができる。
ハロゲン化ブタンがヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンに転化する転化率が100%であると仮定する。反応容器内に存在するハロゲン化亜鉛の推算量と有機溶剤量とから算出されるハロゲン化亜鉛濃度をC1、反応温度における有機溶剤に対するハロゲン化亜鉛の溶解度(飽和濃度)をC0とすると、反応の実施中のC1/C0は0.1以上1以下に維持することが好ましく、0.6以上0.8以下に維持することがより好ましい。反応液中のハロゲン化亜鉛の量は、エチレンジアミン四酢酸等を用いたキレート滴定にて反応液を滴定することにより測定することができる。
反応液中のハロゲン化亜鉛の濃度を、有機溶剤に対するハロゲン化亜鉛の溶解度(飽和濃度)以下とする方法は、ハロゲン化ブタン又は亜鉛を低濃度に設定して反応を行う方法を挙げることができる。しかしながら、この方法は製造効率が劣るので、それ以外の方法としては、例えば、以下のような2つの方法が挙げられる。
まず、第一の方法は、反応の実施中に有機溶剤を反応液に追加して、反応液中のハロゲン化亜鉛の濃度を希釈する方法である。脱ハロゲン化反応の進行に伴って、反応液中に溶解しているハロゲン化亜鉛の濃度が上昇していくので、別途用意した有機溶剤を反応の実施中に反応液に随時追加投入して希釈を行い、反応液中のハロゲン化亜鉛の濃度を有機溶剤に対するハロゲン化亜鉛の溶解度(飽和濃度)以下に維持する。この第一の方法は、反応初期における反応液中のハロゲン化ブタン及び亜鉛の濃度を高く設定することができるので、高い反応速度を実現することができる。
次に、第二の方法は、反応の実施中に、反応液の一部を抜き出し、この抜き出した反応液である抜き出し液から、溶解しているハロゲン化亜鉛の一部又は全部を取り除き、ハロゲン化亜鉛を取り除いた抜き出し液を元の反応液に戻して、反応液中のハロゲン化亜鉛の濃度を希釈する方法である。
反応液の抜き出しは、抜き出し液に亜鉛が含まれないように行うことが好ましい。例えば、反応液の上澄みを抜き出すか、あるいは、反応液をフィルターで濾過しながら抜き出すことが好ましい。
抜き出し液からハロゲン化亜鉛を取り除く方法は特に限定されるものではないが、冷却することによって抜き出し液からハロゲン化亜鉛を析出させ、沈降、濾過等の方法でハロゲン化亜鉛を取り除く方法が挙げられる。
このようにしてハロゲン化亜鉛の含有量を低減した抜き出し液を、反応容器中の反応液に戻して随時希釈を行い、反応液中のハロゲン化亜鉛の濃度を有機溶剤に対するハロゲン化亜鉛の溶解度(飽和濃度)以下に維持する。
なお、ハロゲン化亜鉛の有機溶剤への溶解度は、温度によって変化する。2-プロパノール100gに対する塩化亜鉛(ZnCl2)の溶解量のデータを、参考までに以下に示すと、25℃においては5.9g、40℃においては17.7g、50℃においては30.0g、70℃においては66.1g、90℃においては120.5gである。
また、反応液中のハロゲン化亜鉛の濃度と脱ハロゲン化反応の反応速度の間には負の相関関係があり、ハロゲン化亜鉛の濃度が大きくなるにしたがって反応速度は低下する。例えば、ハロゲン化ブタンとしてHFTCBを用いた場合であれば、反応液中の塩化亜鉛の濃度が飽和濃度であると、反応速度は0.08kg/hr/m2であり、塩化亜鉛の濃度が飽和濃度の50%であると反応速度は5.92kg/hr/m2であり、塩化亜鉛の濃度が飽和濃度の0%であると反応速度は8.83kg/hr/m2である。なお、ここでの反応速度とは、単位時間(H)当たりに、亜鉛の単位表面積(m2)当たりで消費されるHFTCBの質量(kg)を意味する。
脱ハロゲン化反応の終了後は、濾過、蒸留等の慣用の手段により反応液を処理し、ハロゲン化亜鉛や有機溶剤を分離すると共に、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを単離して精製してもよい。そして、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを分析して、純度、収率等を求めてもよい。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。
〔実施例1〕
内容積500mLのSUS316製オートクレーブに、有機溶剤として2-プロパノール119gと、顆粒状の金属亜鉛82.4gを仕込んだ。このオートクレーブは、冷却構造を有するジャケットと攪拌機を上部に備えており、加熱方式はジャケット加熱方式である。
オートクレーブの内容物を攪拌しながら、温度を70℃に昇温した。オートクレーブの出口にはジムロートコンデンサーを取り付けた。そして、常圧下でオートクレーブの内容物の温度を70℃に保持しながら、1,2,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタン149gを1時間当たり9.31gの滴下速度で滴下し、反応を行った。滴下を10時間行った時点で、内容物に2-プロパノール100gを追加投入し、その後も1,2,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタンの滴下を続けた。合計16時間の滴下が終了した後、内容物の温度を70℃に保持しながら2時間反応を行った。反応中は、オートクレーブ内の内容物からの塩化亜鉛の析出は確認されなかった。
2時間の反応が終了したら、反応物の温度をさらに2-プロパノールの沸点付近まで上昇させて有機溶剤(2-プロパノール)の一部と生成物を気化させ、これらの蒸気をドライアイスとエタノールとの混合物で冷却したトラップを用いて冷却し液化させて捕集した。そして、得られた捕集物から粗収率を求めたところ、99%であった。そして、その捕集物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの収率は90%であった。
ここで、粗収率及び収率の定義は、以下の通りである、
粗収率(%)=[(液化して捕集した捕集物の質量])/(投入したHFTCBが全てヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンになった場合の質量)]×100
収率(%)=(前記粗収率)×(GC分析から得られた捕集物中のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの含有率)
〔実施例2〕
内容積500mLのSUS316製オートクレーブに、有機溶剤として2-プロパノール119gと、顆粒状の金属亜鉛82.4gを仕込んだ。このオートクレーブは、冷却構造を有するジャケットと攪拌機を上部に備えており、加熱方式はジャケット加熱方式である。
オートクレーブの内容物を攪拌しながら、温度を70℃に昇温した。そして、常圧下でオートクレーブの内容物の温度を70℃に保持しながら、1,2,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタン149gを1時間当たり9.31gの滴下速度で滴下し、反応を行った。反応中は、オートクレーブから内容物(反応液)の一部を抜き出し、室温に冷却することによって、溶解している塩化亜鉛を内容物から127g析出させて除去した後、オートクレーブに戻すという操作を行った。合計16時間の1,2,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタンの滴下が終了した後、内容物の温度を70℃に保持しながら2時間反応を行った。反応中は、オートクレーブ内の内容物からの塩化亜鉛の析出は確認されなかった。
2時間の反応が終了したら、反応物の温度をさらに2-プロパノールの沸点付近まで上昇させて有機溶剤(2-プロパノール)の一部と生成物を気化させ、これらの蒸気をドライアイスとエタノールとの混合物で冷却したトラップを用いて冷却し液化させて捕集した。そして、得られた捕集物から粗収率を求めたところ、99%であった。そして、その捕集物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの収率は92%であった。なお、粗収率及び収率の定義は、上記の通りである。
〔比較例1〕
内容積500mLのSUS316製オートクレーブに、有機溶剤として2-プロパノール119gと、顆粒状の金属亜鉛82.4gを仕込んだ。このオートクレーブは、冷却構造を有するジャケットと攪拌機を上部に備えており、加熱方式はジャケット加熱方式である。
オートクレーブの内容物を攪拌しながら、温度を70℃に昇温した。そして、常圧下でオートクレーブの内容物の温度を70℃に保持しながら、1,2,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタン149gを1時間当たり9.31gの滴下速度で滴下し、反応を行った。合計16時間の1,2,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタンの滴下が終了した後、内容物の温度を90℃に昇温し、90℃に保持しながら5時間反応を行った。70℃での反応中は、オートクレーブ内の内容物からの塩化亜鉛の析出が確認された。
5時間の反応が終了したら、反応物の温度をさらに2-プロパノールの沸点付近まで上昇させて有機溶剤(2-プロパノール)の一部と生成物を気化させ、これらの蒸気をドライアイスとエタノールとの混合物で冷却したトラップを用いて冷却し液化させて捕集した。そして、得られた捕集物から粗収率を求めたところ、97%であった。そして、その捕集物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの収率は80%であった。であった。なお、粗収率及び収率の定義は、上記の通りである。

Claims (6)

  1. CF-CFX-CFX-CF(X、X、X、及びXは、それぞれ独立して、フッ素原子以外のハロゲン原子を示す)なる化学式で表されるハロゲン化ブタンと、亜鉛と、有機溶剤とを含有する反応液中で、前記ハロゲン化ブタンからフッ素原子以外のハロゲン原子X、X、X、Xを脱離させてヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを生成させる反応を行うに際して、
    前記反応が行われている期間において、前記反応により生じるハロゲン化亜鉛の前記反応液中の濃度を、前記有機溶剤に対する前記ハロゲン化亜鉛の溶解度以下とするヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
  2. 前記反応の実施中に有機溶剤を前記反応液に追加して、前記反応液中の前記ハロゲン化亜鉛の濃度を希釈する請求項1に記載のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
  3. 前記反応の実施中に、前記反応液の一部を抜き出し、この抜き出した反応液である抜き出し液から、溶解しているハロゲン化亜鉛の一部又は全部を取り除き、前記ハロゲン化亜鉛を取り除いた抜き出し液を元の前記反応液に戻して、前記反応液中の前記ハロゲン化亜鉛の濃度を希釈する請求項1に記載のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
  4. 前記有機溶剤がアルコールである請求項1~3のいずれか一項に記載のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
  5. 前記アルコールがメタノール、エタノール、1-プロパノール、及び2-プロパノールのうちの少なくとも1種である請求項4に記載のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
  6. 、X、X、及びXが全て塩素原子である請求項1~5のいずれか一項に記載のヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの製造方法。
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