JP2007145815A - トリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。 - Google Patents

トリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。 Download PDF

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Abstract

【解決課題】トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとの反応によるトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造において、反応液の固結を防止してトリフルオロメタンスルホン酸の反応効率を高めた製造方法を提供する。
【手段】トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとを反応させてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造する際に、五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を用いることによって副生するポリリン酸を過剰のトリフルオロメタンスルホン酸に溶解し反応液の固結を防止することを特徴とするトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法であり、好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸に対してモル比で0.3以下の五酸化リンを用い、さらに好ましくはモル比で0.05〜0.2の五酸化リンを用いるトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、医薬、農薬を含む各種機能性材料の合成原料として有用なトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法に関する。
従来、トリフルオロメタンスルホン酸無水物は、次式に示すように、トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとを反応させて製造する方法が知られている(特許文献1、2参照)。本法においては、通常、トリフルオロメタンスルホン酸の転化率を高めるため、トリフルオロメタンスルホン酸に対して五酸化リンを過剰量(2〜4倍モル)使用する。
ところが、従来の上記製造方法ではトリフルオロメタンスルホン酸の反応率がおよそ60%付近に達すると、副生するガラス状のポリリン酸が蓄積して反応液が固結してしまい、反応液の攪拌が困難となり、それ以上に反応を進行させることが出来ないという問題がある。また、副生するポリリン酸の除去や反応後の処理が容易ではなく、未反応のトリフルオロメタンスルホン酸の蒸留回収や、ポリリン酸の希釈は困難を極めるため、工業的にトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造するには問題が多い。
6CF3SO3H+P25 → 3(CF3SO2)2O+2H3PO4
従来の上記製造方法において、未反応のトリフルオロメタンスルホン酸が多量に残留するので、この蒸留残渣に水またはリン酸を加え、あるいは更にトリフルオロメタンスルホン酸金属塩を加えて蒸留することによって、未反応のトリフルオロメタンスルホン酸を回収する方法が知られているが(特許文献1参照)、固化した蒸留残渣と水との反応は反応熱による急激な温度上昇を伴うため危険性が大きく、工業的には困難である。
また、反応液の固結による低収率を改善するため、フッ素系溶媒を使用する方法が知られている(特許文献3、4参照)。ここで使用される溶媒としては、目的物を含むフルオロアルキルスルホン酸無水物、フルオロアルキルスルホン酸エステル類、ペルフルオロアルカン類、ペルフルオロアルキルアミン類およびペルフルオロポリエーテル類等が提案されているが、これらの溶媒はいずれもポリリン酸の溶解性は不十分であり、反応後、生成したトリフルオロメタンスルホン酸無水物を蒸留で十分に回収するためには、上記従来方法と同様に水やリン酸を添加する必要がある。
さらに、五塩化リンや三塩化リンおよび塩素と反応させることによりトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造する方法が知られているが(特許文献5,6参照)、この場合、反応後に生成したトリフルオロメタンスルホン酸無水物を蒸留により回収する際、副生するオキシ塩化リンとトリフルオロメタンスルホン酸無水物との沸点が近いため分離が困難という問題がある。
米国特許第5004829号公報 特開平02−268148号公報 特開平09−227498号公報 特開平10−114734号公報 特開平11−236365号公報 特開平11−236366号公報
本発明は、トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとの反応によるトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造において、従来の製造方法における上記問題を解決したものであり、ポリリン酸の副生による反応液の固結を防止し、トリフルオロメタンスルホン酸の反応効率を高めた製造方法を提供する。
本発明は以下のトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法に関する。
(1)トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとを反応させてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造する際に、五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を用いることによってポリリン酸の副生に伴う反応液の固結を防止することを特徴とするトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
(2)トリフルオロメタンスルホン酸に対する五酸化リンの量がモル比で0.3以下である上記(1)に記載するトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
(3)トリフルオロメタンスルホン酸に対する五酸化リンの量がモル比で0.05〜0.2である上記(1)に記載するトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
(4)トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとを反応させてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造する方法において、五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を反応させ、生成したトリフルオロメタンスルホン酸無水物を蒸留回収した後に、引き続き蒸留して未反応のトリフルオロメタンスルホン酸を蒸留回収する上記(1)〜(3)の何れかに記載するトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
(5)トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとを反応させてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造する方法において、五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を反応させ、生成したトリフルオロメタンスルホン酸無水物を減圧下に蒸留回収する上記(1)〜(4)の何れかに記載するトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
本発明の製造方法は、五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を用いることによって、副生するポリリン酸が過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸に溶解する。このため反応液の固結が防止され、トリフルオロメタンスルホン酸の脱水縮合反応を進めることができ、最終的に反応効率を高めることができる。トリフルオロメタンスルホン酸に対する五酸化リンの量はモル比で好ましくは0.3以下であり、さらに好ましくは0.05〜0.2である。
また、反応液が固結しないので、蒸留残液から未反応のトリフルオロメタンスルホン酸を回収する場合、そのまま蒸留を継続すれば良く、従来法で行われているリン酸やトリフルオロメタンスルホン酸金属塩などを蒸留残液に添加することは必要とせず、有効に未反応のトリフルオロメタンスルホン酸を回収することができる。
本発明の製造方法は、トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとを反応させてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造する際に、五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を用いることによってポリリン酸の副生による反応液の固結を防止することを特徴とするトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法である。
トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとを反応させてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造する際、従来の製造方法は、トリフルオロメタンスルホン酸の反応率を高めるために、トリフルオロメタンスルホン酸に対して過剰量(2〜4倍モル)の五酸化リンを使用している。一方、本発明の製造方法は、従来の製法とは全く逆に、五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を用いる。
五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を用いことによって、副生するポリリン酸が過剰のトリフルオロメタンスルホン酸に溶解するため、反応液が固結せずに均一な反応系を維持することができる。このためトリフルオロメタンスルホン酸の脱水縮合反応が十分に進行し、最終的に効率よくトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造することができる。また、未反応のトリフルオロメタンスルホン酸についても、蒸留を継続して容易に回収することができる。
具体的には、五酸化リンの使用量は、トリフルオロメタンスルホン酸に対して、モル比で好ましくは0.3以下であり、さらに好ましくは、0.05〜0.2である。五酸化リンの使用量がトリフルオロメタンスルホン酸に対してモル比で0.3よりも多い場合、副生するポリリン酸を十分に溶解することができず、ポリリン酸が反応液中に次第に蓄積し固結する。一方、五酸化リンの使用量がトリフルオロメタンスルホン酸に対してモル比で0.05より少ない場合、トリフルオロメタンスルホン酸無水物の生成量が少ないので、好ましくない。工業的製造を行うには、上記使用量より多いほうが良い。
トリフルオロメタンスルホン酸の脱水縮合反応によって生成したトリフルオロメタンスルホン酸無水物は、系内から蒸留により回収することができる。従来、トリフルオロメタンスルホン酸の存在下、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を蒸留回収する場合、蒸留温度が高くなると生成したトリフルオロメタンスルホン酸無水物がトリフルオロメタンスルホン酸と下記の副反応を生じることが知られている。蒸留は常圧でも可能であるが、この副反応を抑制するためには、減圧下、できるだけ低い温度で蒸留を行うことがより好ましい。具体的には例えば、内圧90torr、内温90℃までの留分を回収することにより高純度のトリフルオロメタンスルホン酸無水物を得ることができる。
(CF3SO2)2O+CF3SO3H → CF3SO3CF3+SO2+CF3SO3
また、未反応のトリフルオロメタンスルホン酸についても、蒸留を継続して容易に回収することができる。具体的には例えば、減圧蒸留下でトリフルオロメタンスルホン酸無水物を回収した後に、留分を切り替え、内圧10torr、内温200℃程度まで蒸留を継続することによって、反応に寄与しなかった過剰の未反応トリフルオロメタンスルホン酸を効率よく回収することができる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示す。また、これらの結果を表1に示した。
〔実施例1〕
温度計、リフラックスコンデンサー、攪拌羽根を備えた反応容器に、トリフルオロメタンスルホン酸450g(3.0mol)を仕込み、さらに五酸化リン85.2g(0.60mol)を添加した。これを室温下18時間攪拌して反応させた。五酸化リンの添加直後は分散系であったが、8時間程度で均一な溶液となった。その後、内圧を減圧して90torrとし、内温90℃までの留分を回収してトリフルオロメタンスルホン酸無水物を得た。このトリフルオロメタンスルホン酸無水物の得量は185.5gであり、ガスクロマトグラフ法による純度は99%であった。トリフルオロメタンスルホン酸の仕込み量に対する生成した無水物の収率は43%である。引き続き、内圧10torr、内温200℃程度まで蒸留を継続して、未反応のトリフルオロメタンスルホン酸を247.2g回収した。仕込んだトリフルオロメタンスルホン酸に対する回収率は55%であった。また、消費されたトリフルオロメタンスルホン酸(仕込み量−回収量)から算出されるトリフルオロメタンスルホン酸無水物の反応収率は96%であった。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、トリフルオロメタンスルホン酸9kg(60mol)を仕込み、さらに五酸化リン1.7kg(12mol)を添加した。これを室温下18時間攪拌して反応させ、減圧蒸留によってトリフルオロメタンスルホン酸無水物を回収した後に、さらに減圧蒸留を続けて、トリフルオロメタンスルホン酸を回収した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物の得量は3.63kgであり、トリフルオロメタンスルホン酸の仕込み量に対する生成したトリフルオロメタンスルホン酸無水物の収率は43%であった。また、未反応トリフルオロメタンスルホン酸の回収量は4.98kgであった。また、また、消費されたトリフルオロメタンスルホン酸(仕込み量−回収量)から算出されるトリフルオロメタンスルホン酸無水物の反応収率は95%であった。
〔実施例3〕
トリフルオロメタンスルホン酸の仕込み量と五酸化リンの添加量を表1のように調整した以外は実施例1と同様にして、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造し、未反応のトリフルオロメタンスルホン酸を回収した。この結果を表1に示した。
〔比較例1、2〕
トリフルオロメタンスルホン酸の仕込み量と五酸化リンの添加量を表1のように調整した以外は実施例1と同様にして、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造し、未反応のトリフルオロメタンスルホン酸を回収した。この結果を表1に示した。
Figure 2007145815

Claims (5)

  1. トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとを反応させてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造する際に、五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を用いることによってポリリン酸の副生に伴う反応液の固結を防止することを特徴とするトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
  2. トリフルオロメタンスルホン酸に対する五酸化リンの量がモル比で0.3以下である請求項1に記載するトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
  3. トリフルオロメタンスルホン酸に対する五酸化リンの量がモル比で0.05〜0.2である請求項1に記載するトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
  4. トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとを反応させてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造する方法において、五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を反応させ、生成したトリフルオロメタンスルホン酸無水物を蒸留回収した後に、引き続き蒸留して未反応のトリフルオロメタンスルホン酸を蒸留回収する請求項1〜3の何れかに記載するトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
  5. トリフルオロメタンスルホン酸と五酸化リンとを反応させてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を製造する方法において、五酸化リンに対して過剰量のトリフルオロメタンスルホン酸を反応させ、生成したトリフルオロメタンスルホン酸無水物を減圧下に蒸留回収する請求項1〜4の何れかに記載するトリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造方法。
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