以下、本開示の実施形態を列記して例示する。
本開示の一態様のガスコンロシステムは、コンロ部を1以上有するガスコンロを備えたガスコンロシステムであって、前記コンロ部に載置された調理器具を撮像する撮像部と、前記撮像部での撮像によって生成された画像を解析し、前記調理器具のサイズを検出するサイズ検出部と、前記サイズ検出部によって検出された前記調理器具のサイズに基づいて、前記コンロ部の最大火力を設定する火力制御部と、を有する。
上記ガスコンロシステムは、調理器具のサイズに基づいてコンロ部の最大火力を設定することができるので、画像等によって溢れを常に監視していなくとも、調理容器のサイズに応じた設定で継続的に火炎の溢れを抑制することができる。よって、上記ガスコンロシステムは、制御装置の処理負担を軽減しつつ、火炎の溢れを抑制し得る。
本開示の一つであるガスコンロシステムは、撮像部での撮像によって生成された画像を解析し、火炎の領域を検出する火炎検出部を有していてもよい。そして、火力制御部は、調理器具のサイズに基づく最大火力を設定した後に、火炎検出部の検出結果に応じた火力制御を行ってもよい。
上記ガスコンロシステムは、調理器具のサイズに基づいて最大火力を設定した後に、火炎検出部の検出結果に応じて火力を制御することができる。
例えば、上記ガスコンロシステムは、調理器具のサイズに基づいて最大火力を設定した後に火炎検出部の検出結果に応じて火力を制御する例として、最大火力を設定した後、未だ火炎が溢れている場合に火力を微調整するといった制御を行うこともできる。このようにすれば、溢れに対する一層の対策を図ることができる。
本開示の一つであるガスコンロシステムにおいて、上記撮像部は、少なくとも上記調理器具を上下方向に対して交差する方向に沿った向きで撮像し得る構成をなしていてもよい。上記火炎検出部は、少なくとも上記調理器具を交差する方向に沿った向きで撮像した画像を解析して火炎の領域を検出してもよい。上記火力制御部は、上記「交差する方向」に沿った向きでの撮像によって生成された画像を火炎検出部が解析して得た火炎の領域に基づき、上記火力制御を行ってもよい。
上記ガスコンロシステムは、上下方向に対して交差する方向から調理容器を撮像した画像を解析して火炎の領域を検出し、その検出結果に基づいて火力制御を行うことができるため、上方からの撮像では認識できない又は認識しにくい火炎の領域を検出できる可能性が高まり、このような領域を検出した上で、その検出結果に応じた火力制御を行うような対応が可能となる。
本開示の一つであるガスコンロシステムは、撮像部での撮像によって生成された画像を解析し、コンロ部からの火炎に対する調理器具の偏りを判定する偏り判定部を有していてもよい。
上記ガスコンロシステムは、コンロ部からの火炎に対する調理器具の偏りを判定することができるため、調理器具の偏りが生じている場合に、偏りが生じていることを前提とした処理(例えば、偏りの修正を促す報知やその他の適切処理等)を行うことができる。
本開示の一つであるガスコンロシステムは、操作部に対する所定の解除操作が行われたことに基づき、最大火力の設定を解除する解除部を有していてもよい。
上記ガスコンロシステムは、必要に応じて使用者が解除操作を行うことが可能な構成となり、解除操作がなされれば、調理器具のサイズに基づいて設定された最大火力を解除することができる。
<第1実施形態>
1-1.ガスコンロシステムの概要
図1のように、ガスコンロシステムSy(以下、システムSyともいう)は、ガスコンロ1と撮像部90とを備えたシステムとして構成されている。
システムSyでは、撮像部90がガスコンロ1の上方側からガスコンロ1を撮像するように配置されている。ガスコンロ1は、撮像部90がガスコンロ1付近を撮像して得られた画像データ又は当該画像データを加工した加工データなどを取得し、上記画像データに基づく制御などを行い得る。なお、ガスコンロ1の構成は後に詳述する。
撮像部90は、CCDカメラ、CMOSカメラ、赤外線カメラなど、撮像範囲からの可視光又は赤外線を受光して撮像範囲の画像を生成し得る公知構成の撮像装置によって構成されている。撮像部90は、ガスコンロ1から離れた所定位置(例えば、排出装置100の所定位置)において所定の取付構造(例えば、排出装置100に取り付けられる取付構造)で設けられている。図1の例では、撮像部90は、排出装置100近傍からガスコンロ1を撮像し得るように配置されている。
排出装置100は、ガスコンロ1での加熱動作によって生じる排気ガスを排出する装置であり、例えば換気扇を備えた公知のレンジフードとして構成され、ガスコンロ1から発せられた信号を無線通信(例えば赤外線通信等)によって受信する機能を有する。排出装置100は、無線信号(例えば赤外線信号)を受信する受信部102と、受信部102で受信した信号を処理する図示しない制御装置と、制御装置によって駆動される駆動負荷106(換気扇を構成するモータ等)と、を備える。
図2のように、システムSyでは、ガスコンロ1と排出装置100との間で公知の無線通信方式による無線通信が行われる。具体的には、ガスコンロ1は、排出装置100に対して赤外線信号を送信し得る構成をなし、排出装置100は、ガスコンロ1から送信された赤外線信号を受信し得る構成をなす。一方で、システムSyでは、ガスコンロ1と撮像部90との間で情報の送受信が行われる。ガスコンロ1と撮像部90との間の通信は、通信線を介した有線通信であってもよく、公知方式の無線通信であってもよい。
1-2.ガスコンロの構成
図3のように、ガスコンロ1は、ビルトインコンロとして構成され、上端部が開放した箱状の筐体部2と、筐体部2の上端部に固定される天板5(トッププレート)とを備え、天板5から露出するように、右コンロ部4A、左コンロ部4B、小コンロ部4C(以下、コンロ部4A,4B,4Cともいう)が設けられている。右コンロ部4A、左コンロ部4B、小コンロ部4C、グリル庫3のそれぞれには、ガスバーナ51,52,53,54(図4)が設けられ、ガスバーナ51,52,53,54の各々は、一部又は全部が筐体部2内に収容された形態でそれぞれ設けられている。
なお、本明細書において、ガスコンロ1の上下方向は、天板5の厚さ方向であり、天板5の上面の少なくとも一部を構成する平坦面と直交する方向である。この上下方向と直交する所定方向が前後方向であり、上下方向及び前後方向と直交する方向が左右方向である。図3等で示すガスコンロ1では、ガスコンロ1を平面視したときの天板の長手方向が幅方向であり、天板の短手方向が前後方向である。
ガスバーナ51,52,53の各々は、各々のバーナヘッド51A,52A,53Aがガスコンロ1の上面側に露出した状態で配置されている。天板5上において、各ガスバーナ51,52,53の周囲には、五徳9A,9B,9Cがそれぞれ設けられている。五徳9A,9B,9Cは、ガスバーナ51,52,53の上方側に調理器具(例えば、鍋などの調理容器)を載置するために用いられるものであり、コンロ部4A,4B,4Cの一部を構成する部材である。五徳9A,9B,9Cの各々は、ガスバーナ51,52,53の周囲を囲むように配置される五徳リング110A,110B,110Cと、五徳リング110A,110B,110Cに対し周方向に等間隔で設けられた複数の五徳脚部112A,112B,112Cと、を備える。五徳脚部112A,112B,112Cの各々は、五徳リング110A,110B,110Cの外周面から径方向外側に延び、上方側から折り返して径方向内側に延びる形態をなしている。五徳脚部112A,112B,112Cの先端は、五徳リング110A,110B,110Cの内周面よりも径方向内側まで延びている。調理器具は、五徳脚部112A,112B,112C上に載置されることで、ガスバーナ51,52,53の上方側に配置される。
図3のように、ガスコンロ1の前面部付近には、右コンロ部4A、左コンロ部4B、小コンロ部4C、グリル庫3にそれぞれ対応するように4つの回転操作部6A,6B,6C,6Dがそれぞれ設けられている。第1の回転操作部6Aは、右コンロ部4Aを構成するガスバーナ51の点火、消火、火力調整を行うものである。第2の回転操作部6Bは、左コンロ部4Bを構成するガスバーナ52の点火、消火、火力調整を行うものである。第3の回転操作部6Cは、小コンロ部4Cを構成するガスバーナ53の点火、消火、火力調整を行うものである。第4の回転操作部6Dは、ガスバーナ54(グリルバーナ)の点火、消火、火力調整を行うものである。図3の例では、回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれも、使用者が押す毎に退避位置と突出位置とに切り替わるようになっている。図3では、退避位置にあるときの回転操作部6Aを実線で示し、突出位置にあるときの回転操作部6Aを二点鎖線6A’で例示している。
筐体部2内には、図4のように、ガス配管として、共通のガス流路である共通供給路60と、共通供給路60から分岐したガス流路である複数の分岐供給路61,62,63,64とが設けられている。そして、共通供給路60を通って流れたガスが、各分岐供給路61,62,63,64を通って各ガスバーナ51,52,53,54に導かれるようになっている。共通供給路60には、共通供給路60を開閉する元電磁弁N1が設けられている。分岐供給路61には、分岐供給路61を開閉可能な電磁弁(安全弁)51G及び電磁弁(閉止弁)51Fと、ガスバーナ51へのガス供給量を調整可能な火力調整弁51Eとが設けられている。分岐供給路62には、分岐供給路62を開閉可能な電磁弁(安全弁)52G及び電磁弁(閉止弁)52Fと、ガスバーナ52へのガス供給量を調整可能な火力調整弁52Eとが設けられている。分岐供給路63には、分岐供給路63を開閉可能な電磁弁(安全弁)53G及び電磁弁(閉止弁)53Fと、ガスバーナ53へのガス供給量を調整可能な火力調整弁53Eとが設けられている。ガスバーナ54は、グリル庫3内において上側の所定位置に配置される上グリルバーナ54Aと、グリル庫3内において上グリルバーナ54Aよりも下側に配置される下グリルバーナ54Bとを備える。共通供給路60から分岐したガス流路である分岐供給路64には、分岐供給路64から分岐して上グリルバーナ54Aにガスを導くガス流路である第1供給路65Aと、分岐供給路64から分岐して下グリルバーナ54Bにガスを導くガス流路である第2供給路65Bとが接続されている。分岐供給路64には、分岐供給路64を開閉可能な電磁弁(安全弁)54G及び電磁弁(閉止弁)54Fが設けられ、第1供給路65Aには第1供給路65Aを開閉可能な複数の電磁弁54H,54Jが設けられ、第2供給路65Bには第2供給路65Bを開閉可能な電磁弁54Kが設けられている。第1供給路65Aには、電磁弁54Jと並列にバイパス路66Aが設けられ、第2供給路65Bには、電磁弁54Kと並列にバイパス路66Bが設けられている。
次に、図5等を参照してガスコンロ1の電気的構成について説明する。
図5において制御回路10は、例えばマイクロコンピュータとして構成されており、CPU10A、ROM10B、RAM10Cなどを備え、更に、図示しないタイマ、I/Oインタフェイスなどを備える。制御回路10は、サイズ検出部、火力制御部、偏り判定部及び解除部の一例に相当する。なお、制御回路10の内部又は外部に不揮発性メモリを設けてもよい。電源部56は、例えば一次電池又は二次電池(具体的には複数の乾電池など)である。電源回路57は電源部56からの電力供給を受け、所定の電源電圧を生成する機能を有し、電源回路57で生成された電源電圧は、図示しない経路を介して様々な電気部品に供給される。
図5で示されるスイッチ30A,30B,30C,30Dの各々は、回転操作部6A,6B,6C,6D(図3)にそれぞれ対応するように設けられ、図5のように、スイッチ30A,30B,30C,30Dにそれぞれ対応するように点火信号入力回路40A,40B,40C,40Dがそれぞれ設けられている。スイッチ30A,30B,30C,30Dは、いずれも点火スイッチとして機能し、回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれにおいても、回転操作部が退避位置(消火位置)のときには対応するスイッチがオフ状態となり、このスイッチに対応する点火信号入力回路から制御回路10にオフ信号が与えられる。また、回転操作部が突出位置(点火位置)のときには対応するスイッチがオン状態となり、このスイッチに対応する点火信号入力回路から制御回路10にオン信号が与えられる。例えば、回転操作部6A(図3)が退避位置(図3において実線で示す回転操作部6Aの位置)にあるときには、図5で示すスイッチ30Aがオフ状態となり、このとき点火信号入力回路40Aは制御回路10に対してオフ状態を示す信号(オフ信号)を入力する。また、回転操作部6A(図3)が突出位置(図3において二点鎖線6A’で示す位置)にあるときには、図5で示すスイッチ30Aがオン状態となり、このとき点火信号入力回路40Aは、制御回路10にオン状態を示す信号(オン信号)を入力する。なお、回転操作部6B,6C,6D(図3)によって点火操作がなされる場合もそれぞれに対応する回路が同様に動作する。
図5で示される変位検出部32A,32B,32C,32Dの各々は、回転操作部6A,6B,6C,6D(図3)のそれぞれに対応するように設けられている。そして、変位検出部32A,32B,32C,32Dにそれぞれ対応するように火力信号入力回路41A,41B,41C,41Dがそれぞれ設けられている。回転操作部6A,6B,6C,6Dのいずれにおいても、回転操作部の変位(回転位置)を当該回転操作部に対応する変位検出部(エンコーダ等の回転角度センサなど)が検出するようになっている。そして、その変位検出部に対応する火力信号入力回路が、その変位検出部が検出した変位(回転位置)を示す信号を制御回路10に与えるようになっている。例えば、回転操作部6Aに対応して設けられた変位検出部32Aは、回転操作部6Aの変位(回転位置)を検出するようになっている。そして、変位検出部32Aに対応する火力信号入力回路41Aは、制御回路10に対して変位検出部32Aが検出した変位(即ち、回転操作部6Aの回転位置)を示す信号を制御回路10に与えるようになっている。なお、回転操作部6B,6C,6D(図3)によって火力調整操作(回転操作)がなされる場合もそれぞれに対応する回路が同様に動作する。
図5で示される熱電対51C,52C,53C,54C、54Dの各々は、ガスバーナ51,52,53,54A,54B(図4)のそれぞれに隣接して設けられている。そして、熱電対51C,52C,53C,54C、54Dの各々に対応して温度信号入力回路(熱電対信号入力回路)43A,43B,43C,43D,43Eがそれぞれ設けられている。温度信号入力回路43A,43B,43C,43D,43Eの各々は、対応する熱電対が検出した温度を示す信号を制御回路10に入力する。更に、サーミスタ34A,34B,34Cの各々が、ガスバーナ51,52,53(図3、図4)のそれぞれの近傍に隣接して設けられている。そして、サーミスタ34A,34B,34Cの各々に対応して温度信号入力回路(サーミスタ信号入力回路)44A,44B,44Cがそれぞれ設けられている。温度信号入力回路44A,44B,44Cの各々は、対応するサーミスタが検出した温度を示す信号を制御回路10に入力する。
図5で示されるイグナイタ28A,28B,28C,28Dの各々は、ガスバーナ51,52,53,54(図3、図4)のそれぞれに対応して設けられている。イグナイタ28A,28B,28C,28Dには、ガスバーナ51,52,53,54(図3、図4)のそれぞれに隣接して図示しないイグナイタ端子が設けられている。そして、イグナイタ28A,28B,28C,28Dの各々に対応して、イグナイタ回路46A,46B,46C,46Dがそれぞれ設けられている。
駆動回路47Aは、制御回路10からの指示に応じて火力調整弁51Eをその指示に応じた開度に駆動する。駆動回路47Bは、制御回路10からの指示に応じて火力調整弁52Eをその指示に応じた開度に駆動する。駆動回路47Cは、制御回路10からの指示に応じて火力調整弁53Eをその指示に応じた開度に駆動する。駆動回路48Aは、電磁弁51F,51Gを制御回路10からの指示に応じた状態に切り替える回路である。駆動回路48Bは、電磁弁52F,52Gを制御回路10からの指示に応じた状態に切り替える回路である。駆動回路48Cは、電磁弁53F,53Gを制御回路10からの指示に応じた状態に切り替える回路である。駆動回路48Dは、電磁弁54F,54G,54H,54J,54Kを制御回路10からの指示に応じた状態に切り替える回路である。駆動回路49は、元電磁弁N1を制御回路10からの指示に応じた状態に切り替える回路である。なお、駆動回路47A,47B,47Cのそれぞれは、駆動回路48A,48B,48Cのそれぞれと共通の回路によって構成されていてもよい。
音声装置81は、ブザーやスピーカなどの発音装置を1以上備えてなる装置であり、制御回路10によって発音タイミングや発する音声の内容が制御される装置である。表示部82は、発光部(LEDやその他の発光素子等)や画像表示装置(液晶表示器、有機ELディスプレイ等)などの表示媒体を1以上備えてなる装置であり、制御回路10によって表示のオンオフタイミングや表示内容が制御される装置である。操作部83は、使用者によって操作がなされる装置であり、1以上の公知の入力インターフェース(操作ボタン、タッチパネル等)によって構成され、使用者からの操作に応じた情報を制御回路10に入力するように機能する。通信部84は、制御回路10と協働し、公知の通信方式(例えば、赤外線通信方式、bluetooth(登録商標)通信方式などの公知の無線通信方式)で外部装置と通信を行う装置である。
1-3.判定処理
次に、図6で示される判定処理について説明する。この判定処理は、制御回路10によって実行される処理である。制御回路10は、例えば、予め定められた開始条件の成立に応じてROM10Bに記憶されたプログラムに従って図6の判定処理を実行する。図6の判定処理を実行するための上記開始条件は、例えば、システムSyの電源がオフ状態からオン状態に切り替えられたことであってもよく、点火操作が行われたことであってもよく、その他の所定操作が行われたことであってもよく、これら以外の開始条件であってもよい。図6で示される判定処理は、システムSyの電源オン状態、あるいはスイッチ30A,30B,30C,30Dのオン状態において、終了するとすぐに再開されることで繰り返し実行される。つまり、制御回路10は、図6の判定処理を短い時間間隔で繰り返し実行する。
図6のように、判定処理では、まず撮像部90での撮像によって生成された画像を取得する(ステップS10)。具体的には、制御回路10は、通信部84を介して、撮像部90での撮像によって得られた画像データ又は当該画像データを加工した加工データなどを取得する。加工データは、例えば、撮像部90での撮像によって得られた撮像画像に対し、公知の方法でノイズ除去、エッジ検出、濃淡調整、ヒストグラム調整、色補正、などの公知の加工を行ったデータである。なお、このような加工データは、制御回路10で生成してもよい。
制御回路10は、ステップS10で取得した画像(即ち、画像データ又は加工データ)又はステップS10で取得した画像を加工した画像を解析し、コンロ部4A,4B,4Cの各々について、調理器具の有無を検出する調理器具検出処理を行う(ステップS11)。調理器具の検出方法は、限定されない。例えば、予め記憶しておいた調理器具の画像が存在するか否かを判定すること(いわゆるパターンマッチング)によって、調理器具を検出するようにしてもよい。或いは、コンロ部4A,4B,4Cに調理器具が載置されていない状態でガスコンロを撮像した画像を基準画像として予め記憶しておき、一定時間以上にわたり撮像部90によって撮像された撮像画像において一定の大きさ以上の領域が基準画像から変化しており、且つ、その領域がコンロ部4A,4B,4Cの位置に存在する場合に、その領域を調理器具の領域として検出してもよい。なお、ここではステップS11において調理器具を検出する方法をいくつか挙げたが、撮像画像から調理器具の画像又は領域を検出できれば、その他の公知方法を用いてもよい。
制御回路10は、調理器具検出処理(ステップS11)の終了後、調理器具検出処理(ステップS11)にて調理器具を検出したか否かを判定する(ステップS12)。調理器具を検出したと判定した場合には(ステップS12にてYES)、ガスバーナ51,52,53からの火炎に対する調理器具の偏りを判定する偏り判定処理を行う(ステップS13)。
ここで、偏り判定処理(ステップS13)の一例について、図7を参照して説明する。偏り判定処理では、調理器具の中心(例えば、調理器具の輪郭が円形の場合には調理器具の輪郭をなす円の中心)TOと、火炎の中心(具体的には、火炎に外接する円の中心)FOとを特定し、TOとFOとの距離を算出する。そして、TOとFOとの距離が偏り基準値X1以下であるか否かを判定し、偏り基準値X1以下であると判定した場合には偏りがないと判断し、偏り基準値X1よりも大きいと判定した場合には偏りがあると判断する。例えば、図7(A)の例では、調理器具Tの中心TOと、火炎Fに外接する円FCの中心FOとの距離がX1以下となっている。このため、調理器具Tは偏りなしと判断する。これに対し、図7(B)の例では、調理器具Tの中心TOと、火炎Fに外接する円FCの中心FOとの距離がX1よりも大きくなっている。このため、調理器具Tは偏り有りと判断する。そして、制御回路10は、偏り有りと判断した場合に、「偏り有り」の判断に対応した対応制御を行う。この対応制御は、例えば、偏りがある旨を使用者に報知する制御であってもよい。報知方法としては、例えば、偏りが有ることを示す音声を音声装置81に出力させること、偏りが有ることを示す情報を表示部82に表示させることである。なお、本実施形態では、偏りの有無を判定するようにしたが、偏りの程度を判定し、その程度に応じた出力を行うようにしてもよい。なお、「偏り有り」の判断に対応した対応制御は、その他の制御(火力を抑制する制御など)であってもよい。
また、制御回路10は、調理器具検出処理(ステップS11)の終了後、調理器具検出処理(ステップS11)にて検出した調理器具のサイズを検出する(ステップS14)。制御回路10は、ステップS14の処理を実行する際にサイズ検出部の一例として機能し、撮像部90での撮像によって生成された画像を解析し、調理器具のサイズを検出する。なお、調理器具のサイズは、調理器具の大きさだけでなく、調理器具の形状も含む概念とするが、ここでは便宜上、調理器具の形状(具体的には、上方から見た調理器具の形状)は同じものとして説明する。より具体的には、上方から見た調理器具の形状(輪郭)は円形であり、その円の半径又は直径を調理器具のサイズとして判定する。なお、ここでのサイズ検出方法はあくまで一例であり、撮像画像において検出された調理器具の領域の面積を調理器具のサイズとしてもよい。或いは、撮像画像において検出された調理器具の領域の外縁の長さを調理器具のサイズとしてもよい。
調理器具のサイズは、予め複数のサイズ範囲に分かれており、各サイズ範囲に対応して最大火力が定められている。なお、以下の説明のものでは、調理器具のサイズは、小さいものから順に「A」「B」「C」「D」の4段階で分類されており、サイズに対応して最大火力が規定されている。「A」は、4段階の範囲のうちサイズが最も小さい範囲であり、「B」は、2番目にサイズが小さい範囲であり、「C」は3番目にサイズが小さい範囲であり、「D」は、最もサイズが大きい範囲である。
最大火力とは、制御回路10がコンロ部4A,4B,4Cに対して設定することが可能な火力のうち最大の火力のことであり、初期値は「9」となっている。即ち、初期状態では、制御回路10が設定することが可能な火力は「1」~「9」までの9段階となっている。最大火力は、調理器具のサイズが大きいほど大きくなるように規定されており、図8の例では、調理器具のサイズ「A」に対して「3」が規定されており、調理器具のサイズ「B」に対して「5」が規定されており、調理器具のサイズ「C」に対して「7」が規定されており、調理器具のサイズ「D」に対して「9」が規定されている。図8の情報は、予め定められた複数のサイズ範囲の各々に対して、最大火力を対応付けて定めた情報であり、図8のような情報が制御回路10の内部又は外部の記憶部に記憶されている。
制御回路10は、ステップS14にて調理器具のサイズを検出した後、ステップS14にて判定された調理器具のサイズに基づいて最大火力を設定する(ステップS15)。制御回路10は、ステップS15以降の処理を実行する際に火力制御部の一例として機能し、サイズ検出部によって検出された調理器具のサイズに基づいてコンロ部の最大火力を設定する。具体的には、制御回路10は、サイズ検出部によって検出された調理器具のサイズが大きくなるほど、その調理器具が載置されたコンロ部の最大火力を大きくするように最大火力を設定する。
制御回路10は、予め定められた複数のサイズ範囲の各々と最大火力とを対応付けて定めた対応情報(図8)と、ステップS14にて検出された調理器具のサイズとに基づいて、各コンロ部での最大火力を設定する。より具体的には、いずれかのコンロ部に調理器具が載置され、当該調理器具のサイズがステップS14にて検出された場合、制御回路10は、上記対応情報(図8)において予め定められた複数のサイズ範囲の中からステップS14にて検出された当該調理器具のサイズに該当するサイズ範囲を特定し、その特定されたサイズ範囲に対応付けられた最大火力を当該調理器具のサイズに対応した最大火力とするように当該調理器具が載置されたコンロ部の最大火力を設定する。
制御回路10は、ステップS15の後、設定火力が最大火力よりも大きいか否かを判定する(ステップS16)。設定火力とは、制御回路10がコンロ部4A,4B,4Cに対して設定した火力のことであり、使用者が操作部83に対して行う設定操作に応じて設定される火力である。具体的には、右コンロ部4Aが点火状態のときには回転操作部6Aの変位(回転位置)に応じて右コンロ部4Aの設定火力が定められ、左コンロ部4Bが点火状態のときには回転操作部6Bの変位(回転位置)に応じて左コンロ部4Bの設定火力が定められ、小コンロ部4Cが点火状態のときには回転操作部6Cの変位に応じて小コンロ部4Cの設定火力が定められる。制御回路10は、コンロ部4A,4B,4Cが点火状態のときに、コンロ部4A,4B,4Cの火力が設定火力となるように火力調整弁51E,52E,53Eを調整する。
例えば、コンロ部4Aが点火状態のときには、制御回路10は、コンロ部4Aの火力がコンロ部4Aで定められた設定火力(即ち、回転操作部6Aの変位に対応する火力)となるように火力調整弁51Eを調整する。但し、コンロ部4Aが点火状態のときに、コンロ部4Aに対して定められる設定火力がコンロ部4Aに対して定められた最大火力よりも大きい場合、制御回路10は、コンロ部4Aの火力がコンロ部4Aに対して定められた最大火力となるように火力調整弁51Eを調整する。同様に、コンロ部4Bが点火状態のときには、コンロ部4Bの火力がコンロ部4Bで定められた設定火力(即ち、回転操作部6Bの変位に対応する火力)となるように火力調整弁52Eを調整する。但し、コンロ部4Bが点火状態のときに、コンロ部4Bに対して定められる設定火力がコンロ部4Bに対して定められた最大火力よりも大きい場合、制御回路10は、コンロ部4Bの火力がコンロ部4Bに対して定められた最大火力となるように火力調整弁52Eを調整する。同様に、コンロ部4Cが点火状態のときには、コンロ部4Cの火力がコンロ部4Cで定められた設定火力(即ち、回転操作部6Cの変位に対応する火力)となるように火力調整弁53Eを調整する。但し、コンロ部4Cが点火状態のときに、コンロ部4Cに対して定められた設定火力がコンロ部4Cに対して定められた最大火力よりも大きい場合、制御回路10は、コンロ部4Cの火力がコンロ部4Cに対して定められた最大火力となるように火力調整弁53Eを調整する。設定火力は、例えばRAM10Cに記憶され、変更されると、RAM10Cに記憶された設定火力が更新される。設定火力は、例えば表示部82に表示される。
制御回路10は、ステップS15の後、ステップS16において、調理器具が載置されたコンロ部において定められた設定火力(RAM10Cから読み出した設定火力)が、当該調理器具のサイズに対応する最大火力よりも大きいか否かを判定する。そして、設定火力が最大火力よりも大きいと判定した場合に(ステップS16にてYES)、設定火力を最大火力に設定する(ステップS17)。例えば、コンロ部4Aに調理器具が載置され、この調理器具に対してステップS13~S15の処理が行われた場合、ステップS16では、当該調理器具が載置されたコンロ部4Aに対して定められる設定火力がコンロ部4Aに対して定められた最大火力よりも大きいか否かを判断する。そして、コンロ部4Aに対して定められる設定火力がコンロ部4Aに対して定められた最大火力よりも大きい場合、制御回路10は、ステップS17においてコンロ部4Aの設定火力をコンロ部4Aにおいて定められた最大火力とする。即ち、設定火力を最大火力まで下げる。これにより、コンロ部4A,4B,4Cの火力が、調理器具のサイズに対応した最大火力よりも大きかった場合であっても、コンロ部4A,4B,4Cの火力を最大火力まで抑えることができる。これに対し、設定火力が最大火力以下であった場合には(ステップ)、設定火力をそのまま維持する。
制御回路10は、ステップS17において設定火力を最大火力に設定した後、又はステップS16において設定火力が最大火力以下であると判定した場合(ステップS16にてNOの場合)、火炎検出処理(ステップS18)を行う。制御回路10は、ステップS18の処理を行う際に火炎検出部の一例として機能し、撮像部90での撮像によって生成された画像を解析し、火炎の領域を検出する。本実施形態では、撮像部90がガスコンロ1の上方に設置されているので、ステップS14等で対象となった調理器具の下側から当該調理器具の周りに溢れた火炎の領域を検出することとなる。制御回路10が画像解析によって火炎の領域を検出する方法は、公知の様々な方法を用いることができる。具体的には、撮像部90で生成された撮像画像において調理器具の領域を検出した後、調理器具の周囲において所定の色(例えば、予め定められた複数の候補色のいずれか)となっている領域を火炎の領域として検出してもよい。或いは、撮像部90で生成された撮像画像において調理器具の領域を検出した後、調理器具の周囲において基準画像(基準となるコンロ画像)と異なる画像となっている領域を火炎の領域として検出してもよい。或いは、撮像部90で生成された撮像画像において調理器具の領域を検出した後、調理器具の周囲において一定値以上の輝度となっている領域を火炎の領域として検出してもよい。
制御回路10は、火炎検出処理(ステップS18)の後、火炎検出処理の結果に基づき、ステップS14、S18等で対象となった調理器具から火炎が溢れているか否かを判定する(ステップS19)。火炎が溢れているか否かの判定は、例えば、ステップS18において火炎の領域が少しでも検出された場合に火炎が溢れていると判定し、火炎の領域が検出されなかった場合に火炎が溢れていないと判定してもよい。或いは、ステップS18において火炎の領域が所定面積以上検出された場合に火炎が溢れていると判定し、火炎の領域が検出されなかった又は所定面積未満であった場合に火炎が溢れていないと判定してもよい。或いは、火炎の領域に外接する円と調理器具との径方向の距離が所定距離以上である場合に火炎が溢れていると判定し、そうでない場合に火炎が溢れていないと判定してもよい。
制御回路10は、ステップS19において調理器具から火炎が溢れていると判定した場合には(ステップS19にてYES)、当該調理器具が載置されたコンロ部の火力を抑制して(ステップS20)、火炎が溢れないようにする。ステップS20での火力抑制は、予め定められた一定レベルの火力抑制を行ってもよく、予め定められた火力(例えば、最小火力)に抑制してもよく、火炎が溢れない火力範囲のうちの最も高い火力まで火力を減少させてもよい。制御回路10は、ステップS20の処理を行った後、図6の判定処理を終了する。なお、制御回路10は、ステップS19において火炎が溢れていないと判定した場合(ステップS19にてNO)、そのまま判定処理を終了する。また、制御回路10は、ステップS12にて調理器具を検出しなかった場合にも(ステップS12にてNO)、そのまま判定処理を終了する。
なお、上述した説明では、ステップS12において、いずれかのコンロ部で調理器具を検出した場合に、そのコンロ部に対してステップS13~S20の処理を行う例を説明した。このような制御は、ステップS12において複数のコンロ部で調理器具を検出した場合でも同様に行うことができ、この場合、調理器具を検出した各々のコンロ部に対してステップS13~S20の制御を行うことができる。
続いて、図9~図11を参照して、上記判定処理に伴う具体的な動作を説明する。図9(A)では、設定火力「7」で火炎を放出するコンロ部に、サイズ「B」の調理器具Taが載置された状態が例示されている。調理器具Taは、例えば寸胴状の形態をなしている。図9(A)では、火炎Fが調理器具Taから大きく溢れている。この状態で上記判定処理が行われると、ステップS14にて調理器具Taのサイズが「B」と検出される。そして、ステップS15にてサイズ「B」に対応する最大火力「5」が設定され、ステップS17にて設定火力が最大火力「5」に抑えられる(図9(B)参照)。更に、設定火力を最大火力に抑えた後でも調理器具Taから火炎Fが溢れているので(図9(B)参照)、火炎Fが溢れなくなるまで火力が抑制される(図9(C)参照)。
図10(A)では、設定火力「7」で火炎を放出するコンロ部に、サイズ「B」の調理器具Tbが載置された状態が例示されている。調理器具Tbは、例えば調理器具Taと比較して底が浅く、中心が下方に膨出した形態をなしている。図10(A)でも、火炎Fが調理器具Tbから大きく溢れている。この状態で上記判定処理が行われると、ステップS14にて調理器具Tbのサイズが「B」と検出される。そして、ステップS15にてサイズ「B」に対応する最大火力「5」が設定され、ステップS17にて設定火力が最大火力「5」に抑えられる(図10(B)参照)。この段階で、火炎Fは調理器具Tbから溢れないようになっているので、火力はそのままで上記判定処理が終了する(図10(C)参照)。
図11(A)では、設定火力「5」で火炎を放出するコンロ部に、サイズ「B」の調理器具Tbが載置された状態が例示されている。図11(A)では、火炎Fが調理器具Tbから溢れていない。この状態で上記判定処理が行われると、ステップS14にて調理器具Tbのサイズが「B」と検出され、ステップS15にてサイズ「B」に対応する最大火力「5」が設定される(図11(B)参照)。設定火力は既に最大火力以下となっているので変更されず(図11(B)参照)、火炎Fも溢れていないので、火力もそのままの状態で上記判定処理が終了する(図11(C)参照)。
1-4.作用及び効果
以上説明したように、第1実施形態のシステムSyは、コンロ部4A,4B,4Cを1以上有するガスコンロ1を備えたガスコンロシステムである。システムSyは、コンロ部4A,4B,4Cに載置された調理器具を撮像する撮像部90と、制御回路10とを有する。制御回路10は、撮像部90での撮像によって生成された画像を解析し、調理器具のサイズを検出する。そして、検出された調理器具のサイズに対応した最大火力を設定する。
この構成によれば、調理器具のサイズに基づいて、コンロ部4A,4B,4Cの最大火力を設定することができるので、調理器具のサイズに応じた火力調整を可能としつつも、火炎が調理器具から溢れることを抑制することができる。したがって、常に監視していなくとも火炎の溢れが抑制された状態となるので、制御装置の処理負担を軽減しつつ、火炎の溢れを抑制することができる。
更に、制御回路10は、撮像部90での撮像によって生成された画像を解析し、火炎の領域を検出する。そして、調理器具のサイズに対応する最大火力を設定した後に、火炎の領域の検出結果に応じて火力を制御する。
この構成によれば、調理器具のサイズに基づく最大火力を設定した後に、火炎検出部の検出結果に応じて火力を制御することができる。このため、最大火力を設定した後、未だ火炎が溢れている場合に火力を微調整することができる。
更に、制御回路10は、撮像部90での撮像によって生成された画像を解析し、コンロ部4A,4B,4Cからの火炎に対する調理器具の偏りを判定する。
この構成によれば、コンロ部からの火炎に対する調理器具の偏りを判定することができるので、調理器具の偏りが生じている場合に適切な処理を行うことができる。
<第2実施形態>
第2実施形態のシステムSyは、撮像部90が調理器具を上下方向に対して交差する方向に沿った向きで撮像し、その撮像した画像に基づいて上記判定処理を行う点で第1実施形態のシステムSyとは異なり、他の構成は同様である。具体的には、第2実施形態のシステムSyは、図1で示される撮像部90を図12のように配置した点、及び図6の判定処理の具体的内容のみが第1実施形態のシステムSyと異なり、その他の点は第1実施形態のシステムSyと同一である。以下では、主に図12~図16を参照して、第2実施形態のシステムSyについて説明する。なお、第1実施形態のシステムSyと同じ構成については、同じ符号を付して説明する。なお、第2実施形態のシステムSyは、図1の構成において撮像部90以外の部分は図1と同一であり、図2~図5の構成は第1実施形態と同一である。この前提の上で、適宜、図1~図5も参照する。
第2実施形態のシステムSyにおいて、撮像部90が調理器具を上下方向に対して交差する方向に沿った向きで撮像する構成は、撮像部90の光軸がガスコンロの上下方向に対して交差する方向であることが望ましく、具体的には、撮像部90の光軸と水平面(上下方向と直交する仮想平面)とのなす角度が0度又は鋭角であることが望ましい。
2-1.ガスコンロシステムの概要
図12のように、システムSyは、ガスコンロ1と撮像部90とを備えたシステムとして構成されている。第1実施形態と同様に、ガスコンロ1は、筐体部2と、筐体部2の上端部に固定される天板5とを備え、天板5から露出するように、コンロ部4A,4B,4Cが設けられている。右コンロ部4A、左コンロ部4B、小コンロ部4C、グリル庫3のそれぞれには、ガスバーナ51,52,53が設けられ、ガスバーナ51,52,53の各々は、一部又は全部が筐体部2内に収容された形態でそれぞれ設けられている。天板5上において、各ガスバーナ51,52,53の周囲には、五徳9A,9B,9Cがそれぞれ設けられている。五徳9A,9B,9Cは、ガスバーナ51,52,53の上方側に調理器具(例えば、鍋などの調理容器)を載置するために用いられる。ガスコンロ1の前面部付近には、右コンロ部4A、左コンロ部4B、小コンロ部4C、グリル庫3にそれぞれ対応するように4つの回転操作部6A,6B,6C,6Dがそれぞれ設けられている。図12では、退避位置にあるときの回転操作部6Aを実線で示し、突出位置にあるときの回転操作部6Aを二点鎖線6A’で例示している。
撮像部90は、筐体部2に対して天板5を介して間接的に組み付けられ、少なくともガスバーナ51,52,53から火炎が放出される領域を、上下方向と交差する向き(具体的には、上下方向と直交する方向である水平方向に沿った向き)で撮像するように構成されている。図12の例では、例えば五徳9A、9B、9Cのいずれにも調理器具が載置されていない状態で、ガスバーナ51,52,53の全ての上端部が撮像され、五徳9A、9B、9Cの全ての上端部が撮像され得るように撮像範囲が設定されている。撮像部90は、例えば五徳9A、9B、9Cのいずれにも調理器具が載置されていない状態でガスバーナ51,52,53のそれぞれを最大火力にしたときにガスバーナ51,52,53の各火炎の全てが撮像され得るような撮像範囲であってもよく、ガスバーナ51,52,53の各火炎の一部が撮像され得るような撮像範囲であってもよい。
2-2.判定処理
判定処理では、第1実施形態と同じく、図6に例示するような判定処理を行う。第2実施形態のシステムSyが図6の判定処理を行う場合、偏り判定処理(ステップS13)、調理器具のサイズの検出方法(ステップS14)、火炎の溢れ判定方法(ステップS19)の具体的内容のみが第1実施形態と異なり、その他の処理は第1実施形態と同様である。よって、以下ではこれらの処理を重点的に説明する。
第2実施形態のシステムSyでは、制御回路10がステップS13において偏り判定処理を行う場合、その前段階のステップS10において撮像部90で生成された画像を取得し、ステップS11において調理器具Tの検出処理を行う。そして、制御回路10は、ステップS13では、図13のように、ステップS11で検出された調理器具Tの輪郭を検出し、調理器具Tにおける水平方向の中央を通る線TLを特定する。線TLは、第1方向と平行な方向の直線であって且つ調理器具Tの画像における第2方向の中心を通る線である。第1方向は、撮像画像において予め定められる方向であり、ガスコンロ1の上下方向に対応する方向である。第2方向は、撮像画像において第1方向と直交する方向であり、ガスコンロ1の左右方向に対応する方向である。更に、偏り判定処理では、コンロ部4A,4B,4Cから放出される火炎Fにおける水平方向の中央を通る線FLを特定する。線FLは、第1方向と平行な方向の直線であって且つ火炎の画像における第2方向の中心を通る線である。更に、偏り判定処理では、線TLと線FLとの水平方向のずれ(第2方向のずれ)がX2以下であるか否かを判定し、X2以下であると判定した場合には、調理器具Tが火炎Fに対して偏っていないと判断する(図13(A)参照)。これに対し、TLとFLとの水平方向のずれがX2よりも大きいと判定した場合には、調理器具Tが火炎Fに対して偏っていると判断する(図13(B)参照)。
第2実施形態のシステムSyでも、制御回路10は、ステップS13の後、ステップS14において調理器具のサイズを検出する。制御回路10は、ステップS14では、ステップS11で検出された調理器具Tの輪郭に基づいて、調理器具Tにおける水平方向の最大幅寸法を特定し、この最大幅寸法に基づいて調理器具のサイズを検出する。具体的には、撮像画像において調理器具Tの第2方向の大きさ(調理器具Tの画像の第2方向一端から第2方向他端までの第2方向の長さ)を算出し、このように算出された第2方向の大きさ(最大幅寸法)を、調理器具Tのサイズとする。
第2実施形態のシステムSyでも、制御回路10は、ステップS18で火炎検出処理を行った後、ステップS19において火炎の溢れを判定する処理を行う。そして、第2実施形態のシステムSyでは、ステップS19において火炎の溢れ判定する場合、撮像部90による撮像画像に基づき、火炎が調理器具の内側に収まっているか外側に溢れているかを判別することによって、火炎の溢れを判定する。具体的には、火炎が調理器具における水平方向の端部よりも内側に収まっているか、調理器具における水平方向の端部よりも外側に溢れているかを判別することによって、火炎の溢れを判定する。より具体的には、制御回路10は、ステップS11で検出された調理器具の領域と、ステップS18で検出された火炎の領域とに基づき、調理器具における上記第2方向の領域の範囲内に火炎の領域が収まっているか否かを判定する。即ち、制御回路10は、撮像画像において調理器具の領域の第2方向一端(左端)よりも火炎の領域の第2方向一端(左端)のほうが第2方向他端側(右側)にあり、且つ、調理器具の領域の第2方向他端(右端)よりも火炎の領域の第2方向他端(右端)のほうが第2方向一端側(左端側)にある場合、火炎の溢れがないと判定する。逆に、制御回路10は、撮像画像において調理器具の領域の第2方向一端(左端)よりも火炎の領域の第2方向一端(左端)のほうが第2方向一端側(左側)にある場合、又は、調理器具の領域の第2方向他端(右端)よりも火炎の領域の第2方向他端(右端)のほうが第2方向他端側(右端側)にある場合、火炎の溢れがあると判定する。
ここで、図14~図16を参照して、上記判定処理に伴う具体的な動作を説明する。図14(A)では、設定火力「7」で火炎を放出するコンロ部に、サイズ「B」の調理器具Taが載置された状態が例示されている。図14(A)では、火炎Fが調理器具Taの外側に大きく溢れている。この状態で上記判定処理が行われると、図6のステップS14にて調理器具Taのサイズが「B」と検出される。そして、ステップS15にてサイズ「B」に対応する最大火力「5」が設定され、ステップS17にて設定火力が最大火力「5」に抑えられる(図14(B)参照)。更に、設定火力を最大火力に抑えた後でも火炎Fが調理器具Taの外側に溢れているので(図14(B)参照)、火炎Fが調理器具Taの内側に収まるまで火力が抑制される(図14(C)参照)。
図15(A)では、設定火力「7」で火炎を放出するコンロ部に、サイズ「B」の調理器具Tbが載置された状態が例示されている。図15(A)でも、火炎Fが調理器具Tbの外側に大きく溢れている。この状態で上記判定処理が行われると、ステップS14にて調理器具Tbのサイズが「B」と検出される。そして、ステップS15にてサイズ「B」に対応する最大火力「5」が設定され、ステップS17にて設定火力が最大火力「5」に抑えられる(図15(B)参照)。この段階で、火炎Fは調理器具Tbの内側に収まっているので、火力はそのままで上記判定処理が終了する(図15(C)参照)。
図16(A)では、設定火力「5」で火炎を放出するコンロ部に、サイズ「B」の調理器具Tbが載置された状態が例示されている。図16(A)では、火炎Fが調理器具Tbの内側に収まっている。この状態で上記判定処理が行われると、ステップS14にて調理器具Tbのサイズが「B」と検出され、ステップS15にてサイズ「B」に対応する最大火力「5」が設定される(図16(B)参照)。設定火力は既に最大火力以下となっているので変更されず(図16(B)参照)、火炎Fも調理器具Tbの内側に収まっているので、火力もそのままの状態で上記判定処理が終了する(図16(C)参照)。
以上説明したように、第2実施形態のシステムSyでは、制御回路10が、撮像部90が側方から撮像した画像に基づいて、火炎が調理器具の内側に収まっているか外側に溢れているかを判別し、溢れている場合に火力を抑制する。上方から撮像した画像では、調理器具の側面が壁となって、調理器具の左右両側の溢れを同時に検出できないことがある。しかし、この構成によれば、側方から撮像した画像に基づき、火炎が調理器具の内側に収まっているか否かを判別することによって溢れを検出するので、調理器具の左右両側の溢れを同時に検出することができる。
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態を、次のように変更してもよい。
上記実施形態では、ガスコンロとしてビルトインコンロを例示したが、ガスコンロはテーブルコンロであってもよい。
第1実施形態では、撮像部90が排出装置100に設けられた例を示したが、排出装置100以外の部分に設けられていてもよい。
上記実施形態では、撮像部90が1つのカメラによって構成された例を示したが、2以上のカメラによって構成されていてもよい。
上記実施形態のシステムSyは、操作部83に対する所定の解除操作が行われたことに基づき、上述した最大火力の設定を解除する解除部を有するようにしてもよい。具体的には、制御回路10を解除部として機能させることができ、この場合、制御回路10は、操作部83に対する所定の解除操作が行われた場合に、終了条件の成立まで、図6の制御を行わないようにしてもよい。或いは、制御回路10は、操作部83に対する所定の解除操作が行われた場合、終了条件の成立まで、図6の制御が行われたとしても、ステップS14~S17の処理を行わないようにしてもよい。この構成によれば、使用者が解除操作を行うことで、調理器具のサイズに基づいて設定された最大火力を解除することができる。なお、この場合の解除操作は、1以上のボタンに対する所定の押圧操作であってもよく、音声入力(例えば、一定の音圧以上の音を入力する操作や、所定の言葉を入力する音声入力操作等)などであってもよく、何らかのセンサ(近接センサ等)に検知させる操作であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。また、この場合の終了条件は、解除操作がなされてから一定時間経過することであってもよく、所定の終了操作(1以上のボタンに対する押圧操作等)であってもよく、ガスコンロの電源がオフすることなどであってもよい。
上記実施形態では、偏り判定部による偏り判定の一例を挙げたが、偏りの判定方法は他の方法であってもよい。例えば、ステップS11で検出された調理器具の領域の中心(例えば、調理器具の領域の図心)が、コンロ部4A,4B,4Cのそれぞれの中心(予め定められたコンロ部4A,4B,4Cの各中心位置)のいずれからも一定値以上離れている場合に偏りがあると判定し、そうでない場合に偏りがないと判定してもよい。
上記実施形態では、調理器具のサイズに基づいてコンロ部の最大火力を設定する一例として、調理器具のサイズが大きいほどコンロ部の最大火力を大きくする一例を挙げたが、この例に限定されない。例えば、調理器具のサイズが一定値以上である場合には、当該調理器具が載置されたコンロ部の最大火力を機器の最大火力とし、調理器具のサイズが一定値未満である場合には、当該調理器具が載置されたコンロ部の最大火力を機器の最大火力よりも低い所定火力としてもよい。或いは、調理器具のサイズが一定値以上である場合には、当該調理器具が載置されたコンロ部の最大火力を機器の最大火力とし、調理器具のサイズが一定値未満である場合には、当該調理器具が載置されたコンロ部の最大火力を当該調理器具のサイズが小さいほど最大火力を小さくするように最大火力を設定してもよい。
上記実施形態では、サイズの範囲を4段階に分けたが、5段階以上に分けてもよく、2段階又は3段階に分けてもよい。
第2実施形態において図12の例では、ガスコンロ1の前端部寄り(具体的には、天板5の前端部寄り)に設けられた撮像部90が、後方側に向いて天板5の上側の領域を撮像する構成であった。しかし、ガスコンロ1の後端部寄り(例えば、天板5の後端部寄り)に設けられた撮像部90が、前方側に向いて天板5の上側の領域を撮像する構成であってもよい。或いは、ガスコンロ1の左右方向一端部寄り(例えば、天板5の左端部寄り又は右端部寄り)に設けられた撮像部90が、左右方向他方側に向いて天板5の上側の領域を撮像する構成であってもよい。
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。