JP7338104B2 - 加硫ゴムにおけるバウンドラバー量の評価方法 - Google Patents

加硫ゴムにおけるバウンドラバー量の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、加硫ゴムにおけるバウンドラバー量の評価方法に関する。
ゴム組成物には、補強剤として例えばシリカやカーボンブラック等の充填剤が配合されている。かかる充填剤が配合されると充填剤のまわりにバウンドラバーが形成され、加硫ゴムの強度が飛躍的に向上する。
従来、ゴム組成物におけるバウンドラバー量は、トルエン等の溶媒を用いた溶媒抽出法を用いて、充填剤とともに結合したまま溶媒に抽出されずに残ったゴム分を計量することで測定されている(特許文献1参照)。そのため、未加硫ゴムで測定を行う必要があり、即ち、加硫ゴムに対してバウンドラバー量を評価することはできなかった。
ところで、特許文献2には、充填剤を含有する高分子材料に対してX線小角散乱測定を実施することによりその充填剤の一次凝集体サイズを測定することが開示されている。特許文献3には、超小角X線散乱法による測定でシリカの階層構造を形成している凝集体の大きさを測定することが開示されている。このようにこれらの文献には充填剤のアグリゲートサイズを測定することは記載されているが、バウンドラバー量に関する記載はない。
阿部一敏他2名、「IR/BR系ブレンドのバウンドラバー (2)溶液法によるカーボンブラックの混合」、日本ゴム協会誌、第46巻、第5号、1973年、397-403頁 特開2017-116330号公報 WO2015/186781号
本発明の実施形態は、加硫ゴムに対してバウンドラバー量を評価することができる方法を提供することを目的とする。
本発明の第1実施形態は、充填剤を含有する加硫ゴムにX線を照射してX線小角散乱測定を実施し、得られた散乱プロファイルから前記充填剤のアグリゲートサイズを求めること、及び、前記アグリゲートサイズに基づき前記加硫ゴムにおけるバウンドラバー量を評価すること、を含む、加硫ゴムにおけるバウンドラバー量の評価方法にある。
本発明の第2実施形態は、充填剤を含有する複数の加硫ゴムに対してそれぞれX線小角散乱測定を実施し、得られた散乱プロファイルから前記充填剤のアグリゲートサイズを求め、前記複数の加硫ゴムについてバウンドラバー量とアグリゲートサイズとの関係を求めること、及び、評価対象の加硫ゴムについてX線小角散乱測定を実施し、得られた散乱プロファイルから当該加硫ゴムに含まれる充填剤のアグリゲートサイズを求め、求めたアグリゲートサイズから前記関係を用いて当該評価対象の加硫ゴムにおけるバウンドラバー量を算出すること、を含む、加硫ゴムにおけるバウンドラバー量の評価方法にある。
本発明によれば、加硫ゴムに対してX線小角散乱測定によりアグリゲートサイズを求め、該アグリゲートサイズに基づいてバウンドラバー量を評価することができるので、加硫ゴムを測定対象としたものでありながらバウンドラバー量を評価することができる。
X線小角散乱測定による二次元散乱像の一例を示す図 アグリゲートサイズとバウンドラバー量の関係を示すグラフ
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係るバウンドラバー量の評価方法では、充填剤を含有する加硫ゴムにX線を照射してX線小角散乱測定を実施し、得られた散乱プロファイルから該充填剤のアグリゲートサイズを求め、該アグリゲートサイズに基づき加硫ゴムにおけるバウンドラバー量を評価する。
本実施形態は、X線小角散乱測定により求められるアグリゲートサイズとバウンドラバー量との間に相関があることを見い出したことに基づくものである。すなわち、後述する実施例に示すように、X線小角散乱測定により求められるアグリゲートサイズとバウンドラバー量との間には、アグリゲートサイズが小さいほどバウンドラバー量が多くなるという関係がある。そのため、この関係を利用することで、X線小角散乱測定によりアグリゲートサイズを求めれば、バウンドラバー量を評価することができる。X線小角散乱測定は加硫ゴムを測定対象とすることができるため、加硫ゴムを用いてバウンドラバー量を評価することができ、また、未加硫ゴムに対する溶媒抽出法のように長時間の抽出処理が不要となるため、短時間の測定でバウンドラバー量を評価することができる。
評価対象としての加硫ゴムは、充填剤を含有する加硫ゴムであり、ゴム成分(ゴムポリマー)に充填剤が配合されたゴム組成物を加硫してなるものである。ゴム成分としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X-IIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などが挙げられ、これらのゴム成分を単独又は2種類以上ブレンドしたものでもよい。
充填剤としては、特に限定されないが、例えば、シリカやカーボンブラックなどのアグリゲートを構成単位として持つ補強性充填剤を用いることが好ましく、一実施形態としてはカーボンブラック及び/又はシリカである。ここで、アグリゲートとは、単位粒子が融着もしくは化学結合により相互に凝集したナノメートルサイズの集合粒子(凝集塊)であり、一次凝集体とも称される。
充填剤の配合量は、特に限定されず、例えば、ゴム成分100質量部に対して10~200質量部でもよく、20~150質量部でもよい。
加硫ゴムは、ゴム成分及び充填剤の他、様々な配合剤を任意成分として含有してもよい。一実施形態として、加硫ゴムを形成するゴム組成物には、シランカップリング剤、オイル等の軟化剤、可塑剤、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、ワックス、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤など、通常ゴム工業で使用される各種配合剤を配合することができる。これら各成分の配合量は特に限定されない。例えば、加硫剤の量は、ゴム成分100質量部に対して0.1~10質量部でもよく、0.5~5質量部でもよい。
なお、加硫ゴムは、一般に、バンバリーミキサーなどの混合機を用いて各成分を常法に従い混練することにより未加硫ゴム組成物を作製し、該ゴム組成物を常法に従い加熱して加硫することにより得ることができる。
X線小角散乱測定による測定対象としての加硫ゴムの形状は、X線が透過可能であれば、特に限定されないが、シート状であることが好ましい。一実施形態として、測定対象としては、シート状に加硫成形したゴムシートを用いてもよく、あるいはまた、タイヤ等のゴム製品からシート状に切り出したものを用いてもよい。
X線小角散乱(SAXS: Small-angle X-ray Scattering)測定は、散乱角が数度以下の散乱X線を測定する手法であり、散乱角は通常10°以下である。X線小角散乱測定では、測定試料である加硫ゴムにX線を照射すると、加硫ゴムを構成する物質の電子密度を反映してX線が散乱される。その散乱の強度分布を構造解析に応用する方法である。
本実施形態では、加硫ゴムにX線を照射してX線小角散乱測定を実施し、得られた散乱プロファイルから充填剤のアグリゲートサイズを求める。
その具体的な方法は特に限定されず、例えば特許文献2(特開2017-116330号公報)に記載の方法により実施してもよい。すなわち、加硫ゴムにX線を照射してX線小角散乱測定を実施することにより、充填剤の配向による異方性を持つ二次元散乱像を得て、該二次元散乱像を充填剤の配向方向における所定角度範囲で一次元化して散乱プロファイルを得て、得られた散乱プロファイルに対するフィッティングにより充填剤のアグリゲートサイズを求めてもよい。
詳細には、加硫ゴムにX線を照射してX線小角散乱測定を実施すると、図1に示すような散乱強度の大きさを示した二次元散乱像が得られる。図1では白色に近いほど散乱強度が大きく、黒色に近いほど散乱強度が小さいことを示し、その等高線を白線(点線)で示している。なお、散乱中心(散乱像の中央の黒色部分)及びそこから下方に延びる黒色の線は、ビームストッパによる影の部分であり、散乱強度の大きさを示すものではない。
図1の二次元散乱像は散乱中心の左右両側に括れ部を有し、この括れ部がある左右方向が充填剤の配向方向である。よって、図1に示す二次元散乱像は充填剤の配向による異方性を持つ。
X線小角散乱測定を行う際に使用するX線としては、例えば1010(photons/s/mrad2/mm2/0.1%bw)以上の高輝度X線であることが好ましい。このようなX線を放射するシンクロトロンとしては、高輝度光科学研究センターのSPring-8などが挙げられる。検出器としては、CCDカメラ等の一般的なX線検出器を用いることができる。
次いで、二次元散乱像から一次元の散乱プロファイル(散乱強度曲線)を得る。散乱プロファイルは、二次元散乱像の全角度範囲で散乱強度を平均化して求めてもよく、あるいはまた図1において二次元散乱像の散乱中心の左右両側のくびれ部における所定の角度範囲αで散乱強度を平均化して求めてもよい。散乱プロファイルは、散乱ベクトルq(=(4π/λ)sin(θ/2)。ここで、θは散乱角、λはX線の波長)に対する散乱強度I(q)の大きさを示す曲線である。なお、上記αは10°以上50°以下のいずれかの角度範囲でもよく、15°以上40°以下のいずれかの角度範囲でもよい。
次いで、散乱プロファイルに対するフィッティング(曲線当てはめ)により充填剤のアグリゲートサイズを求めることができる。アグリゲートサイズの算出は、例えばG. Beaucage, J.Appl.Cryst. 28, 717-728 (1995)やM.Takenaka,et al., Macromolecules 42,308-311(2009)に記載されたUnified functionを利用した解析により行うことができる。
本明細書においてアグリゲートサイズとは、アグリゲートの大きさをいい、アグリゲートの半径(一次凝集体の慣性半径)でもよく、アグリゲートの直径でもよく、またこれらから算出されるアグリゲートの表面積でもよく、アグリゲートの体積でもよく、これらを包括する概念である。
本実施形態では、上記のようにして算出したアグリゲートサイズに基づき加硫ゴムにおけるバウンドラバー量を評価する。この評価としては、複数の加硫ゴムについてアグリゲートサイズを求め、求めたアグリゲートサイズを比較することにより、当該複数の加硫ゴム間でバウンドラバー量の大きさを相対評価してもよい。また、評価としては、複数の加硫ゴムについてアグリゲートサイズとバウンドラバー量との関係を予め求めておき、評価対象の加硫ゴムについてアグリゲートサイズを求めて、該アグリゲートサイズから上記関係を用いてバウンドラバー量を算出してもよい
この場合の複数の加硫ゴムとしては、例えば充填剤がシリカの場合、シリカの配合量は同一でも異なってもよく、また、シリカの種類、ゴム成分の種類、シランカップリング剤の種類等の各配合成分は同一でも異なってもよい。また、混練条件等の製造方法が異なる加硫ゴムを用いてもよい。充填剤がカーボンブラックの場合も同様、カーボンブラックの配合量は同一でも異なってもよく、また、カーボンブラックの種類、ゴム成分の種類等の各配合成分は同一でも異なってもよく、混練条件等の製造方法が異なる加硫ゴムを用いてもよい。
第1実施形態において、充填剤(例えばシリカ)を含有する複数の加硫ゴムに対し、それぞれX線を照射してX線小角散乱測定を実施し、得られた散乱プロファイルから充填剤のアグリゲートサイズを求め、求めたアグリゲートサイズに基づき上記複数の加硫ゴムにおけるバウンドラバー量を相対評価してもよい。
第2実施形態において、充填剤(例えばシリカ)を含有する複数の加硫ゴムに対し、それぞれX線小角散乱測定を実施し、得られた散乱プロファイルから充填剤のアグリゲートサイズを求め、前記複数の加硫ゴムについてバウンドラバー量とアグリゲートサイズとの関係を求めておき、評価対象の加硫ゴムについてX線小角散乱測定を実施し、得られた散乱プロファイルから当該加硫ゴムに含まれる充填剤のアグリゲートサイズを求め、求めたアグリゲートサイズから前記関係を用いて当該評価対象の加硫ゴムにおけるバウンドラバー量を算出してもよい。
第2実施形態において、例えば充填剤がシリカの場合、評価対象の加硫ゴムは、上記関係を求める際の複数の加硫ゴムに対して、シリカの配合量が同一でも異なってもよく、シリカの種類、ゴム成分の種類、シランカップリング剤の種類等の各配合成分が同一でも異なってもよく、混練条件等の製造方法が異なってもよい。充填剤がカーボンブラックの場合も同様、評価対象の加硫ゴムは、上記関係を求める際の複数の加硫ゴムに対して、カーボンブラックの配合量が同一でも異なってもよく、カーボンブラックの種類、ゴム成分の種類等の各配合成分が同一でも異なってもよく、混練条件等の製造方法が異なってもよい。
また、第2実施形態において、上記関係を求める際のバウンドラバー量は、例えば、公知の溶媒抽出法を用いて測定することができる。そのため、該バウンドラバー量は未加硫ゴムにおけるバウンドラバー量でもよい。溶媒抽出法では、トルエン等のゴム成分を溶解可能な有機溶媒を用いて未加硫ゴムを溶解させ、充填剤とともに結合したまま溶媒に溶解されずに残ったゴム分を計量し、溶解前の未加硫ゴムにおけるゴム成分の量に対する当該残ったゴム分の質量比率を求めることでバウンドラバー量(質量%)を算出することができる。
以上説明した本実施形態であると、X線小角散乱測定から得られるアグリゲートサイズによりバウンドラバー量を評価することができるので、加硫ゴムに対してもバウンドラバー量を評価することができる。また、予めアグリゲートサイズとバウンドラバー量との関係を求めておけば、加硫ゴムに対してX線小角散乱測定を実施してアグリゲートサイズを求めることによりバウンドラバー量を短時間で算出することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[加硫ゴムシートの作製]
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従って、まず、ノンプロ混合段階で、硫黄及び加硫促進剤を除く他の配合剤をゴム成分に添加し混練した(排出温度=160℃)。次いで、下記表1に記載の練り条件に従い、0~2回のリミル混合を行った(排出温度=160℃)。次いで、得られた混練物に、プロ混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して(排出温度=100℃)、未加硫ゴム組成物を調製した。ここで、リミルとは、ノンプロ混合後に行う練りのみの工程をいう。
表1中の各成分の詳細は、以下の通りである。
・SBR1:JSR(株)製「JSR SL563」
・SBR2:JSR(株)製「JSR HPR355」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
・シランカップリング剤1:スルフィドシランカップリング剤、エボニックインダストリーズ社製「Si69」
・シランカップリング剤2:メルカプトシランカップリング剤、エボニックインダストリーズ社製「Si363」
・シランカップリング剤3:3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「NXT」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛1種」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS-20」
・硫黄:細井化学工業(株)製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」
・加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」。
得られた未加硫ゴム組成物を、金型モールドでプレス加工(160℃、30分)することにより、厚さ1.0mmの加硫ゴムシートを作製した。
[バウンドラバー量の測定]
試料1~10の加硫前の未加硫ゴム組成物について、溶媒抽出によるバウンドラバー量の測定を以下の方法で行った。
2mm角に切った未加硫ゴム1gを試料として、試料とメッシュかごの質量を個々に精秤し、試料をメッシュかごに入れ、溶媒ビンに入れた。溶媒ビンにトルエン200mLを加え、30±2℃で45時間放置した。メッシュかごを取り出し、ドラフトチャンバー内でトルエン臭がなくなるまで乾燥し、更に真空乾燥機を用いて2時間放置した後、精秤し、その値からメッシュかごの質量を差し引くことで、抽出後の試料質量を求めた。
そして、下記式より、シリカに結合したゴム量としてのバウンドラバー量(質量%)を算出した。
バウンドラバー量(質量%)={A-(B×C/D)}/(B×E/D)×100
ここで、A=抽出後の試料質量、B=抽出前の試料質量、C=トルエン不溶配合剤の合計部数、D=全配合部数、E=ゴム成分配合部数。
[X線小角散乱測定]
試料1~10の加硫ゴムシートについて、X線小角散乱測定を行った。測定条件は以下の通りである。
・シンクロトロン:SPring-8のビームラインBL08B2
・X線の波長:1.5Å
・カメラ長:6182mm
・露光時間:1秒
・qレンジ:0.015~0.3nm-1
・ディテクター:PILATUS。
X線小角散乱測定により得られた二次元散乱像から、特許文献2に記載の方法に従い、アグリゲートサイズを算出した。詳細には、二次元散乱像から散乱中心の左右両側のくびれ部における角度範囲α=40゜(図1参照)で散乱強度を平均して一次元データに変換することにより散乱プロファイル(散乱強度曲線)を得た。得られた散乱プロファイルに対するフィッティングにより充填剤であるシリカのアグリゲート半径Rを取得した。
フィッティングは、下記式(1)のフィッティング関数(式出典:G. Beaucage, J.Appl.Cryst. 28, 717-728 (1995))を用いた最小二乗法により行った。
Figure 0007338104000001
式中、I(q)は散乱強度であり、G、B、kは回帰係数であり、qは散乱ベクトルで独立変数である。Rgiはアグリゲート半径R(一次凝集体の慣性半径)を表す。Pは回帰係数であって、表面フラクタルDsを表す。
[測定結果]
結果は表1に示す通りである。表1には、X線小角散乱測定の結果として、アグリゲート半径Rとともに、表面フラクタルDsを記載した。また、アグリゲート半径Rから表面積4πRを算出した値をアグリゲート表面積として記載した。
試料1~10について、アグリゲート表面積とバウンドラバー量との関係を示す散布図を回帰直線とともに図2に示す。図2に示すように、アグリゲート表面積が小さいほどバウンドラバー量が大きくなる関係があり、その相関係数の二乗Rは0.9395であり、強い相関があることが分かる。
詳細には、試料1~3は、ゴム組成物の配合としては共通であり、リミル回数を変更したものである。リミル回数が大きいほど、シリカはより高度に分散され、アグリゲート半径Rは小さくなった。溶媒抽出法により取得したバウンドラバー量は、リミル回数が大きいほど、多くなった。従って、アグリゲート半径Rないしアグリゲート表面積が小さいほど、バウンドラバー量が大きくなる関係があった。
試料4~6は、ゴム組成物の配合としては共通であってリミル回数を変更したものであり、試料1~3とはゴム成分であるスチレンブタジエンゴムの種類が異なる。試料4~6は、試料1~3と同様、リミル回数が大きいほど、アグリゲート半径Rは小さく、バウンドラバー量は多くなる関係があり、従って、アグリゲート半径Rないしアグリゲート表面積が小さいほど、バウンドラバー量が大きくなる関係があった。また、異種のゴム成分である試料1~6の間で、アグリゲート半径Rないしアグリゲート表面積が小さいほど、バウンドラバー量が大きくなる関係があり、試料1~6間でも強い相関があった。
試料7は試料1とはシリカの配合量が異なり、試料8は試料4とはシリカの配合量が異なる。試料9,10は試料4とはシランカップリング剤の種類が異なる。このようにシリカの配合量やシランカップリング剤の種類が異なっていても、アグリゲート半径Rないしアグリゲート表面積が小さいほど、バウンドラバー量が大きくなる関係があり、図2に示されるように、試料1~10の全体で強い相関が認められた。
そのため、アグリゲート半径Rやアグリゲート表面積などのアグリゲートサイズをX線小角散乱測定により求めることで、複数の加硫ゴム間でバウンドラバー量を相対評価することができる。また、図2に示すようなアグリゲートサイズとバウンドラバー量との関係を予め求めておけば、X線小角散乱測定によりアグリゲートサイズを求めることで、該関係を用いてバウンドラバー量を算出することができる。このように加硫ゴムのバウンドラバー量を評価することができるため、例えば、加硫ゴムにおける充填剤による補強性の評価に役立てることができる。
Figure 0007338104000002

Claims (1)

  1. 充填剤を含有する複数の加硫ゴムに対してそれぞれX線小角散乱測定を実施し、得られた散乱プロファイルから前記充填剤のアグリゲートサイズを求め、前記複数の加硫ゴムについてバウンドラバー量とアグリゲートサイズとの関係を求めること、及び、
    評価対象の加硫ゴムについてX線小角散乱測定を実施し、得られた散乱プロファイルから当該加硫ゴムに含まれる充填剤のアグリゲートサイズを求め、求めたアグリゲートサイズから前記関係を用いて当該評価対象の加硫ゴムにおけるバウンドラバー量を算出すること、
    を含む、加硫ゴムにおけるバウンドラバー量の評価方法。
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