JP2012211246A - シリコーンゴム系硬化性組成物及びシリコーンゴム系硬化性組成物の測定方法 - Google Patents

シリコーンゴム系硬化性組成物及びシリコーンゴム系硬化性組成物の測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコーンゴム中でのシリカ微粒子等の無機充填剤の凝集構造と引張り強度及び引裂き強度との相関は未だに明らかになっていない。本発明は、引張り強度及び引裂き強度に優れたシリコーンゴムが得られる、シリコーンゴム系硬化性組成物を提供することを目的とした。
【解決手段】放射光X線散乱測定から求められる未延伸時の無機充填剤の凝集サイズが20〜25 nmであることを特徴とするシリコーンゴム系硬化性組成物であって、前記シリコーンゴム系硬化組成物の、前記放射光X線散乱測定から求められる延伸時の配向係数の最大値が0.25〜0.35である請求項1記載のシリコーンゴム系硬化性組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、放射光X線散乱測定で構造解析したシリコーンゴム系硬化性組成物に関する。
シリコーンゴムは、耐熱性、難燃性、化学的安定性、耐候性、耐放射線性、電気特性等に優れていることから、幅広い分野において様々な用途に使用されている。特に、シリコーンゴムは、生理的に不活性であると共に、生体に触れた場合の体組織に対する反応が少ないため、医療用各種カテーテル等、医療器具の材料としても利用されている。
医療用カテーテルは、胸腔や腹腔等の体腔、消化管や尿管等の管腔部、血管等に挿入し、体液の排出や、薬液、栄養剤及び造影剤等の注入点滴に用いられる管であり、生体適合性の他、耐傷付き性(耐引裂き性)、耐キンク性(引張り強度)、透明性、柔軟性(引張り伸び性)等が要求される。医療用カテーテルの具体的用途としては、例えば、術後の血液や膿等の排液除去用吸引器のドレナージチューブや、経皮的内視鏡下胃ろう造設術(PEG)等の術後の栄養摂取用チューブ等が挙げられる。また、カテーテル用の極細チューブ状のシリコーンゴムを製造するためには、シリコーンゴム材料であるシリコーンゴム組成物には押出し成形性が求められる。
医療用カテーテルの材料としては、シリコーンゴムの他、軟質ポリ塩化ビニル等も一般的に使用されている。ポリ塩化ビニル等と比較して、シリコーンゴムは、生体適合性及び柔軟性の点において優れるものの、引裂き強度や引張り強度等の強度面、特に引裂き強度の向上が求められている。引裂き強度が充分でないと、施術中の針や刃物等による傷によってカテーテルが破けたり、或いは、引張り強度が充分でないと、カテーテルが折れ曲がって降伏して閉塞(キンク)し、排出されるべき体液や注入されるべき薬液等のカテーテル内の流通が滞ってしまう。
そこで、シリコーンゴムの引裂き強度や引張り強度を高めるべく、様々な方法が提案されている(例えば、特許文献1〜7)。シリコーンゴムに高い引裂き性を付与するための具体的な方法としては、シリカ微粒子等の無機充填材の添加、架橋密度の疎密化(シリコーンゴムの系中に架橋密度が高い領域と低い領域とを分布させる)等が挙げられる。架橋密度の疎密化による引裂き性の向上は、架橋密度の高い領域が、引裂き応力に対する抗力として作用するためと考えられている。
例えば、特許文献1では、高粘度及び低ビニル基含有量のオルガノポリシロキサン(生ゴム(A))を主体とし、これに、低粘度及び高ビニル基含有量のオルガノポリシロキサン(シリコーンオイル(B))、ビニル基含有オルガノポリシロキサン共重合体(ビニル基含有シリコーンレジン(C))、オルガノ水素シロキサン(架橋剤(D))、白金又は白金化合物(硬化触媒(E))、及び微粉末シリカ(充填剤(F))を配合した硬化性シ
リコーンゴム組成物が開示されている。
また、高分子材料をX線散乱測定により解析した例としてアクリル繊維の小角X線散乱測定を実施した例があるが(特許文献8)、まだシリコーンゴム組成物に関しては十分にX線散乱測定による構造解析が行われていない。
特開平7−331079号公報 特開平7−228782号公報 特開平7−258551号公報 米国特許3,884,866号公報 米国特許4,539,357号公報 米国特許4,061,609号公報 米国特許3,671,480号公報 特開平11−81053号公報
しかしながら、シリコーンゴム中でのシリカ微粒子等の無機充填剤の凝集構造と引張り強度及び引裂き強度との相関は未だに明らかになっていない。本発明は、引張り強度及び引裂き強度に優れたシリコーンゴムが得られる、シリコーンゴム系硬化性組成物を提供することを目的とするものである。
このような目的は、下記(1)〜(4)に記載の本発明により達成される。
(1)シリコーンゴム系硬化性組成物であって、放射光X線散乱測定から求められる未延伸時の無機充填剤の凝集サイズが20〜25 nmであることを特徴とするシリコーンゴム系硬化性組成物。
(2)シリコーンゴム系硬化組成物の、前記放射光X線散乱測定から求められる延伸時の配向係数の最大値が0.25〜0.35である(1)記載のシリコーンゴム系硬化性組成物。
(3)前記シリコーンゴム系硬化組成物が、JIS K6252加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引裂強さの求め方において、40N/m以上である(1)ないし(2)記載のシリコーンゴム系硬化性組成物。
(4)前記延伸が高速引張試験機を用いて1〜20mm/secの延伸速度で切断まで延伸すると同時に放射光X線散乱測定を行う(2)記載のシリコーンゴム系硬化性組成物の測定方法。
本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化して得られるシリコーンゴムは、引裂き強度に優れるものである。従って、本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物を用いてなる成形体及び該成形体で構成される医療用チューブは引裂き強度等の機械的強度が高い。すなわち、本発明によれば、耐傷付き性に優れたシリコーンゴム製医療用カテーテルを提供することが可能である。
本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンと、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤によって表面処理されたシリカフィラーと、を含有することを特徴とする。
シリコーンゴムの機械的強度、特に引張り強度の向上を目的として、シリコーン系硬化性組成物にシリカフィラーを添加させることはしばしばなされており、特定のシリカカップリング剤で表面処理したシリカフィラーを添加することによって、引裂き強度を大幅に向上できることが期待できる。
引裂き強度が向上する理由は、次のように考えられる。すなわち、シリカフィラーの分散性の向上により、シリカフィラーとゴムマトリックスとの界面が増大し、シリカフィラーから作用を受けるゴム分子鎖が増大する。これにより、シリカフィラーによる補強効果が増し、機械強度が向上する。このシリカフィラーの作用を受けるゴム分子鎖は、シリカフィラーとの相互作用により分子運動性が低下し、分子運動性の高い部分に比べて、固い構造となる。シリコーンゴムの引裂き挙動において、初期のクラックが生長・伝播する際に、固い構造に引裂き応力が加わると、抗力として作用し、結果的に引裂き強度が増大する。
このようにシリカフィラーの分散性は機械的強度に大きな影響を及ぼすと考えられるために今回小角X線散乱測定を行いシリカフィラーの平均凝集サイズを解析することにより、シリカフィラーの分散性と機械的強度の相関を調べたところシリカフィラーの分散性が向上すると機械的強度、特に引裂き強度が大幅に増大する結果が得られた。
本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物は、例えば、140〜180℃で5〜15分間加熱(1次硬化)した後、200℃で4時間ポストベーク(2次硬化)することによってシリコーンゴムを得ることができる。
シリコーンゴム系硬化性組成物を170℃、10MPaで10分間プレスし、1mmのシート状に成形すると共に、1次硬化し、続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化して得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6252(2001)のクレセント形試験片を作製し、JIS K6252(2001)のクレセント形試験片の引裂き強さを測定する。
前記のシート状シリコーンゴムを中心周長50mm、幅1mmのリングカッターを用いて打ち抜いたリング状シリコーンゴムを作成する。
前記のリング状シリコーンゴムを高速引張試験機を用いて1〜20mm/secの間の延伸速度で切断まで延伸すると同時に放射光X線散乱測定を行う。ここで、述べる放射光X線散乱測定はとは、小角X線散乱と広角X線散乱を含んでいる。
まず、小角X線散乱(small angle X-ray scattering)とは、X線を物質に照射して散乱するX線のうち、散乱角が小さいものを測定することにより物質の構造情報を得る手法であり、内部構造の大きさや形状、規則性、分散性を評価するものである。散乱角の小さいところほど対応する構造の大きさは大きいことを示す。
また、広角X線散乱(wide angle X-ray scattering)とは、X線を物質に照射して散乱するX線のうち、散乱角が大きいものを測定することにより物質の構造情報を得る手法であり、小角X線散乱よりも小さな構造情報が得られる。結晶構造解析などに用いられる他に、試料の配向度の情報も得られる。
また、シリカフィラーの凝集・分散状態と機械的強度の相関を詳細に調べるために未延伸の状態で小角X線散乱測定をするだけでなく、延伸と同時に小角X線散乱測定を行った。
さらにシリカフィラーの凝集・分散状態だけでなく、シリコーンゴムを構成するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が特に延伸時にどのような形態となっているかを明らかにするために延伸と同時に広角X線散乱測定を行った。
小角X線散乱測定および広角X線散乱測定は市販の汎用X線装置でも測定可能である。例えば株式会社リガク製のナノスケールX線構造評価装置 NANO-Viewerを用いて行うことができる。
また、高速延伸と同時に測定を行うためには極短時間での測定が必要である。そのためには大型放射光施設SPring-8(スプリングエイト)において、放射光X線による小角X線散乱測定および広角X線散乱測定を行なうことにより、シリコーンゴム系硬化性組成物の構造解析を行うことができる。
SPring-8とは、兵庫県の播磨科学公園都市内にある世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設のことであり、放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のことである。
小角X線散乱測定および広角X線散乱測定ではX線の強度が強いほど短時間での測定が可能となるが、SPring-8で利用可能な放射光X線は市販の汎用X線装置によるX線の1億倍もの輝度を持つので、極短時間の測定でも十分な強度が得られるために延伸過程での構造解析が可能である。
放射光X線散乱の測定条件を以下に示す。
小角X線散乱の測定条件は波長1.50Å、カメラ長6mであり検出器にはII+CCD(Image Intensifier+Charge Coupled Device)を用いた。
広角X線散乱の測定条件は波長0.832Å、カメラ長200mmであり検出器にはII+CCD(Image Intensifier+Charge Coupled Device)を用いた。
X線散乱測定データの強度補正として、ダーク補正(暗電流によって生じるノイズを除去する)、バックグラウンド補正(空気など測定試料以外のものによる散乱を除去する)、透過率補正(サンプル間の透過率の違いを考慮する)を行った。
シリコーンゴム系硬化性組成物中でのシリカフィラーの凝集サイズは株式会社リガク製の粒径・空孔径解析ソフトウェアNANO-Solverを用いて解析した。
前記の解析方法によるシリコーンゴム系硬化性組成物中でのシリカフィラーの凝集サイズは30nm以下であることが好ましい。更に好ましくは25nm以下であり、最も好ましくは20nm以下である。30nmを超えるシリカフィラーの凝集サイズでは分散性が良いとは言えず、機械的強度の向上は期待できない。また、シリカフィラーの粒径が7〜14nm程度であるのでシリカフィラーの凝集サイズは粒径である7〜14nm以下とはならない。
配向の度合いは配向係数を用いて評価する。配向係数は2次元の広角X線散乱測定の結果から計算ことができる。以下の数式1を用いて計算する。
Figure 2012211246

ここで、fは配向係数、Iは散乱強度、φは円周方向角度であり、添え字hklは結晶面のミラー指数をそれぞれ示す。
配向係数は1のときに延伸方向に完全に配向、0のときにランダム配向、-0.5のときに延伸方向と垂直な方向に配向していることを示している。
シリカフィラーの分散性の向上により、シリカフィラーとゴムマトリックスとの界面が増大し、シリカフィラーから作用を受けるゴム分子鎖が増大することが考えられるが、そのためにゴム分子鎖は延伸により配向しにくいことが考えられる。
前記の解析方法による延伸下でのシリコーンゴム系硬化性組成物中でのゴム分子鎖の配向係数の最大値は0.45以下であることが好ましい。更に好ましくは0.35以下であり、最も好ましくは0.3以下である。0.45を超える配向係数ではフィラーの分散性が悪いためにフィラーと作用していないゴム分子鎖が配向していることが示唆される。
前記の配向とはシリコーンゴム系硬化性組成物におけるゴム分子鎖が延伸により液晶相、もしくは中間相(メゾ相)または光学的異方相を形成していることを示す。
以上のように、本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることで得られるシリコーンゴムは、優れた引張り強度及び引裂き強度を呈する。従って、本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物を用いることによって、耐傷付き性及び耐キンク性に優れたシリコーンゴム製カテーテルを得ることができる。
以下、本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物の一形態を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用した原材料は以下の通りである。
(A):ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン、ビニル基含有量0.13モル%、以下の合成スキームにより合成。
(B):直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、モメンティブ製「TC25D」
(C1):ヘキサメチルジシラザンで表面処理したシリカフィラー、日本アエロジル製「アエロジルRX300」、比表面積300m/g、一次平均粒径7nm、炭素含有量3.5重量%
(C2):ジメチルジクロロシランで表面処理したシリカフィラー、日本アエロジル製「アエロジルR974」、比表面積200m/g、一次平均粒径12nm
(D)白金:モメンティブ製「TC−25A」
[ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)の合成]
下記化学式(1)に従って、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)を合成した。
具体的には、Arガス置換した、冷却管及び攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン 74.7g(252mmol)、2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン 0.086g(0.25mmol)及びカリウムシリコネート 0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。3時間後、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン 0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを得た(Mn=277,734、Mw=573,906、IV値(dl/g)=0.89)。
Figure 2012211246
[実施例1]
(シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
(A1)第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン100重量部に、(C1)シリカフィラー70重量部を添加し、混練してマスターバッチを調製した。
続いて、(D)白金0.5重量部を混合し均一になるまで混練した後、(B)直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン2.0重量部を加えて混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。
表1に各原材料の重量比を示す。
(シリコーンゴム系硬化性組成物の評価)
<引裂き強度及び引裂きストローク>
得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、170℃、10MPaで10分間プレスし、1mmのシート状に成形すると共に、1次硬化した。
続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化した。
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6252(2001)に準拠してクレセント形試験片を作製し、JIS K6252(2001)によるクレセント形試験片の引裂き強さ及び試験片が切断に至るまでの伸び(ストローク)を測定した。ただし、試験片の厚みは、1mmとした。結果を表1に示す。
<引張り強度及び引張り伸び率>
得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、170℃、10MPaで10分間プレスし、1mmのシート状に成形すると共に、1次硬化した。
続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化した。
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、JIS K6251(2004)によるダンベル状3号形試験片の引張り強さ及び切断時伸び(ひずみ)を測定した。ただし、試験片の厚みは、1mmとした。結果を表1に示す。
<フィラー凝集サイズ>
得られたシート状シリコーンゴムを用いて中心周長50mm、幅1mmのリングカッターを用いて打ち抜いたリング状シリコーンゴムを作成した。
得られたリング状シリコーンゴムを高速引張試験機を用いて延伸速度1mm/secで延伸するとともに、小角X線散乱測定を放射光施設SPring-8にて行った。
小角X線散乱の測定条件は波長1.50Å、カメラ長6mであり検出器にはII+CCD(Image Intensifier+Charge Coupled Device)を用いた。1回の測定におけるX線の照射時間は50ミリ秒であり、3秒に1回の間隔で測定を行った。
測定試料の散乱強度を正確に知るためにX線散乱測定データの強度補正として、ダーク補正(暗電流によって生じるノイズを除去する)、バックグラウンド補正(空気など測定試料以外のものによる散乱を除去する)、透過率補正(サンプル間の透過率の違いを考慮する)を行った。
上記補正を行ったX線散乱測定データからシリカフィラーの凝集サイズを株式会社リガク製の粒径・空孔径解析ソフトウェアNANO-Solverを用いて解析した。結果を表1に示す。
<最大配向係数>
得られたリング状シリコーンゴムを高速引張試験機を用いて延伸速度1mm/secで延伸するとともに、広角X線散乱測定を放射光施設SPring-8にて行った。
広角X線散乱の測定条件は波長0.832Å、カメラ長200mmであり検出器にはII+CCD(Image Intensifier+Charge Coupled Device)を用いた。一回の測定におけるX線の照射時間は70msecであり、3秒に1回の間隔で測定を行った。
広角X線散乱測定の結果も小角X線散乱測定と同様に強度補正を行った後に、以下の数式を用いて配向係数を計算した。配向係数は延伸直前に最大の値となり、この値を最大配向係数と呼ぶ。最大配向係数の結果を表1に示す。
Figure 2012211246

ここで、fは配向係数、Iは散乱強度、φは円周方向角度であり、添え字hklは結晶面のミラー指数をそれぞれ示す。
Figure 2012211246

(*1):シリカフィラーの比表面積
(*2):シリカフィラーの一次平均粒径
(*3):未延伸時のフィラー凝集サイズ
[比較例1]
(C1)シリカフィラーの代わりに、(C2)シリカフィラーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。
また、実施例1同様、得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を用いて作製した試験片について評価を行った。結果を表1に示す。
[結果]
表1に示すように、トリメチルシリル基含有シランカップリング剤で処理されたシリカフィラー(C1)を用いた実施例1のシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させたシリコーンゴムは、引裂き強度が28N/mm以上、引張り強度が7.5MPa以上であり、引裂き強度及び引張り強度に優れていた。特に、実施例1のシリコーンゴムの引裂き強度は、トリメチルシリル基含有シランカップリング剤で処理されていないシリカフィラー(C2))を用いた比較例1のシリコーンゴムと比較して、大幅に向上した。また、ストローク及び切断時伸びについても、実施例1のシリコーンゴムは、比較例1のシリコーンゴムと比較して、著しい向上がみられ、シリカを高充填しても高い伸びを示すことがわかった。
X線散乱解析の結果から実施例1のシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させたシリコーンゴムは、比較例1のシリコーンゴムよりもフィラー凝集サイズが小さく、延伸時にもゴム分子鎖が配向しにくいことがわかった。これは実施例1のシリコーンゴムよりも比較例1のシリコーンゴムの方がフィラーの分散性が良いということが推察される。分散性の向上はシリカフィラーとゴムマトリクスとの界面の増加をあらわし、その結果、シリカフィラーによる補強効果が増大したためであると考えられる。

Claims (4)

  1. シリコーンゴム系硬化性組成物であって、放射光X線散乱測定から求められる未延伸時の無機充填剤の凝集サイズが20〜25nmであることを特徴とするシリコーンゴム系硬化性組成物。
  2. シリコーンゴム系硬化組成物の、前記放射光X線散乱測定から求められる延伸時の配向係数の最大値が0.25〜0.35である請求項1記載のシリコーンゴム系硬化性組成物。
  3. 前記シリコーンゴム系硬化組成物が、JIS K6252加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引裂強さの求め方において、40N/m以上である請求項1ないし2記載のシリコーンゴム系硬化性組成物。
  4. 前記延伸が高速引張試験機を用いて1〜20mm/secの延伸速度で切断まで延伸すると同時に放射光X線散乱測定を行う請求項2記載のシリコーンゴム系硬化性組成物の測定方法。


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