1.概要
図1A及び図1Bに示すように、本実施形態に係るコンデンサ10は、コンデンサ素子1と、コンデンサ素子1の両端面に設けられた一対のメタリコン電極2(21,22)と、を備える。一対のメタリコン電極2(21,22)は、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆する。
コンデンサ10は、特許文献1に記載されているような外装ケース及び外装ケース内に充填されたモールド樹脂を備えていない。すなわち、コンデンサ10は、いわゆるケースレス構造を採用している。そのため、コンデンサ10は、少なくとも従来の外装ケースに相当する分だけ、軽量化を実現することができる。
また、コンデンサ10は、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆する一対のメタリコン電極2(21,22)を備える。そのため、コンデンサ素子の両端面にのみメタリコン電極を形成する場合と比較して、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部からの水蒸気などのガスが侵入することを防ぐことができ、コンデンサ素子1の吸湿を防止しやすくなる。これにより、コンデンサ10が水蒸気などのガスによって劣化することを防ぐことができる。
2.詳細
以下、図1A、図1B、及び図2を参照して本実施形態に係るコンデンサ10について詳細に説明する。図2は、本実施形態に係るコンデンサ10の斜視図である。図1Aは、図2の切断線X-Xにおけるコンデンサ10の断面図である。図1Bは、図1Aに示すコンデンサ10の変形例である。
本実施形態に係るコンデンサ10は、いわゆるケースレス構造を採用しており、特許文献1に記載されているような外装ケースを備えていない。つまり、コンデンサ10は、ケースレスコンデンサである。図1A及び図1Bに示すように、コンデンサ10は、コンデンサ素子1と、コンデンサ素子1の両端面に設けられた一対のメタリコン電極2(21,22)と、を備える。
まず、メタリコン電極2(21,22)について説明する。図1A及び1Bに示すように、メタリコン電極2は、コンデンサ素子1の両端面のそれぞれに設けられ、後述するコンデンサ素子1の第1導電層(第1内部電極)及び第2導電層(第2内部電極)と電気的に接続されている。すなわち、コンデンサ10は、一対のメタリコン電極21,22を有する。なお、コンデンサ素子1の両端面とは、後述するコンデンサ素子1における複数の第1金属化フィルム及び複数の第2金属化フィルムの断面からなる端面を意味する。また、コンデンサ素子の側面とは、コンデンサ素子1の端面同士を結ぶ周面を意味する。
メタリコン電極2(21,22)は、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆する。図1A及び図1Bに示すように、一対のメタリコン電極2のうちのメタリコン電極21はコンデンサ素子1の一方の端面に形成され、メタリコン電極22はコンデンサ素子1の他方の端面に形成される。メタリコン電極2(21,22)は、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部の全周を被覆し、キャップ状に形成されている。コンデンサ素子1の両端面は、後述するように、第1金属化フィルム及び第2金属化フィルムの断面を複数含む。そのため、メタリコン電極2をコンデンサ素子1の両端面に形成するだけでは、メタリコン電極及びコンデンサ素子1の両端面と側面との境界部の間から水蒸気などのガスが入り込むおそれがある。このような箇所から水分やガスが入り込むと、第1金属化フィルム及び第2金属化フィルムの断面に水分やガスが到達してしまい、コンデンサ10に不良が生じたり、コンデンサ10の寿命が短くなったりするおそれがある。しかし、図1A及び図1Bに示すように、メタリコン電極でコンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆することで、この境界部からのガスや水分の侵入を防ぐことができ、コンデンサ10の耐湿性を向上することができる。
一対のメタリコン電極2(21,22)は互いに接触しないように形成される。すなわち、メタリコン電極21とメタリコン電極22とは互いに接触しないように形成される。後述のように、メタリコン電極2は、メタリコン(金属溶射)によって形成される。そのため、例えば、コンデンサ素子1の側面のメタリコン電極2で被覆しない部分を、接着性を有するテープなどを用いてマスキングしてから、金属を溶射し、その後マスキングを除去することで、メタリコン電極21,22同士が接触しないように形成することができる。これにより、ショート不良を防止することができる。メタリコン電極21のコンデンサ素子1の側面上の端部と、メタリコン電極22のコンデンサ素子1の側面上の端部との最短距離Aは、10mm以上であることが好ましい。この場合、メタリコン電極21,22同士が接触してショート不良することをより防止しやすくなる。メタリコン電極21のコンデンサ素子1の側面上の端部と、メタリコン電極22のコンデンサ素子1の側面上の端部との最短距離Aは、20mm以上であることがより好ましい。
メタリコン電極2のコンデンサ素子1の側面上の端部及びコンデンサ素子1の端面と側面との境界部の間の距離Bは、2.5mm以上であることが好ましい。すなわち、メタリコン電極2は、コンデンサ素子1の両端側の側面の全周を幅2.5mm以上被覆することが好ましい。この場合、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部からガスや水分が侵入することをより防ぎやすくなる。メタリコン電極2のコンデンサ素子1の側面上の端部及びコンデンサ素子1の端面と側面との境界部の間の距離Bは、5.0mm以上であることがより好ましい。
メタリコン電極2は、メタリコン(金属溶射)により形成される外部電極である。メタリコン電極2は、メタリコンにより、コンデンサ素子1の両端面に、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆するように形成される。メタリコン電極2は、コンデンサ素子1の第1導電層(第1内部電極)及び第2導電層(第2内部電極)と電気的に接続されている。
例えば、後述する巻回型コンデンサ素子を用いる場合、扁平化された巻回型コンデンサ素子の両端に位置する二つの面にメタリコンにより一対のメタリコン電極21,22を形成する。巻回型コンデンサ素子の両端に位置する二つの面は、第1金属化フィルム及び複数の第2金属化フィルムの断面を含む。そのため、巻回型コンデンサ素子の両端に位置する二つの面にメタリコン電極21,22を形成することで、メタリコン電極21,22と第1導電層(第1内部電極)及び第2導電層(第2内部電極)とをそれぞれ電気的に接続することができる。
一方、後述する積層型コンデンサ素子を用いる場合、複数の第1金属化フィルム及び複数の第2金属化フィルムの断面からなる一対の面に、メタリコンにより一対のメタリコン電極21,22を形成する。一対の面とは、二つの面が積層型コンデンサ素子の両端に位置することを意味する。積層型コンデンサ素子の両端に位置する二つの面は、複数の第1金属化フィルム及び複数の第2金属化フィルムの断面からなる。そのため、積層型コンデンサ素子の両端に位置する二つの面にメタリコン電極21,22を形成することで、メタリコン電極21,22と第1導電層(第1内部電極)及び第2導電層(第2内部電極)とをそれぞれ電気的に接続することができる。
メタリコン(金属溶射)の方法は特に限定されないが、例えば、プラズマ溶射法、フレーム溶射法、及びアーク溶射法を用いることができる。メタリコン電極2を形成する際には、プラズマ溶射法及びフレーム溶射法を用いることが好ましい。この場合、形成されるメタリコン電極2の層の均質性を高めることができ、水分やガスを透過させにくくすることができる。また、プラズマ溶射法及びフレーム溶射法では、メタリコン電極2の材料として用いられる金属材料の温度をより高くすることができるため、コンデンサ素子1の側面にメタリコン電極2を形成しやすくなるとともに、コンデンサ素子1とメタリコン電極2との密着性が高くなりやすい。これは、金属材料の温度を高めることで、コンデンサ素子1の側面に金属材料が付着した際に、コンデンサ素子1の側面が溶射された高温の金属材料の熱により僅かに溶融されてコンデンサ素子1の側面に微小な凹凸が生じることで、金属材料が凹凸に入り込み、コンデンサ素子1の側面との密着性が向上するためであると考えられる。メタリコン電極2を形成する際の金属材料の温度は、コンデンサ素子1の側面の材料の融点よりも高くすることが好ましい。また、後述のように、コンデンサ素子1が外装材12を有する場合には、金属材料の温度は、外装材12の融点よりも高くすることが好ましい。これにより、メタリコン電極2とコンデンサ素子1の側面との密着性をより高めることができる。
メタリコン電極2を形成する際の金属材料の温度は、1200℃以下であることが好ましい。この場合、溶射された金属材料の熱によってコンデンサ素子1の両端面に不良が生じることを防止しやすくなる。メタリコン電極2を形成する際の金属材料の温度は、1000℃以下であることがより好ましい。
メタリコン電極2の材料は特に限定されないが、例えば亜鉛、銅、アルミニウムを含む。メタリコン電極2は、一種類の金属のみで形成されてもよく、二種類以上の金属の混合物によって形成されていてもよい。
次に、コンデンサ素子1について説明する。コンデンサ素子1は、プラスチックフィルムを誘電体として有する。コンデンサ素子1は、巻回型コンデンサ素子でもよいし、積層型コンデンサ素子でもよい。以下に、巻回型コンデンサ素子及び積層型コンデンサ素子の一例を示す。
巻回型コンデンサ素子は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、第1誘電体フィルムと第1導電層とを有する第1金属化フィルム及び第2誘電体フィルムと第2導電層とを有する第2金属化フィルムを用意する。第1誘電体フィルム及び第2誘電体フィルムは、長尺物である。第1誘電体フィルムの片面に、第1導電層が形成されている。また、第2誘電体フィルムの片面に、第2導電層が形成されている。
第1誘電体フィルム及び第2誘電体フィルムは、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニルサルファイド又はポリスチレンなどで形成されている。第1導電層及び第2導電層は、蒸着法又はスパッタリング法などの方法で形成される。第1導電層及び第2導電層は、例えばアルミニウム、亜鉛及びマグネシウムなどで形成されている。
次に、第1導電層と第2導電層との間に、第1誘電体フィルム又は第2誘電体フィルムが介在するように、第1金属化フィルム及び第2金属化フィルムの各々の2つの長辺を揃えて重ねる。このように第1金属化フィルム及び第2金属化フィルムを重ねた状態で巻き取ることによって、円柱状の巻回体を得ることができる。次にこの巻回体の側面を両側から押圧して、断面長円状の巻回体に加工する。これにより、巻回型コンデンサ素子を得ることができる。この断面長円状の巻回体における両端面は、複数の第1金属化フィルム及び複数の第2金属化フィルムの断面からなる面であり、この面がコンデンサ素子1の両端面となる。このように、コンデンサ素子を扁平化することで、省スペース化を図ることができる。なお、巻回型コンデンサ素子の側面は、例えば、電気的絶縁性を有する保護フィルムで被覆されていてもよい。また、巻回体の側面における最外層に位置する第1金属化フィルムにおける第1誘電体フィルムが保護フィルムとして機能していてもよい。
一方、積層型コンデンサ素子は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、第1誘電体フィルムと第1導電層とを有する第1金属化フィルム及び第2誘電体フィルムと第2導電層とを有する第2金属化フィルムを用意する。第1誘電体フィルム及び第2誘電体フィルムは、同じ大きさの矩形状である。第1誘電体フィルムの片面に、第1導電層が形成されている。また、第2誘電体フィルムの片面に、第2導電層が形成されている。
第1誘電体フィルム及び第2誘電体フィルムは、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニルサルファイド又はポリスチレンなどで形成されている。第1導電層及び第2導電層は、蒸着法又はスパッタリング法などの方法で形成される。第1導電層及び第2導電層は、例えばアルミニウム、亜鉛及びマグネシウムなどで形成されている。
次に、第1導電層と第2導電層との間に、第1誘電体フィルム又は第2誘電体フィルムが介在するように、第1金属化フィルム及び第2金属化フィルムの四辺を揃えて交互に重ねる。このように、複数の第1金属化フィルム及び第2金属化フィルムを積層して一体化することによって、積層体を得ることができる。この積層体は、外部電極が形成される一対の面を除いて、例えば、電気的絶縁性を有する保護フィルムで被覆されていてよい。コンデンサ素子1が積層型コンデンサ素子である場合、外部電極が形成される一対の面以外の面を、コンデンサ素子1の側面という。なお、この積層体において外部電極は、複数の第1金属化フィルム及び複数の第2金属化フィルムの断面からなる面に形成される。これにより、積層型コンデンサ素子を得ることができる。
巻回型コンデンサ素子又は積層型コンデンサ素子をコンデンサ素子1としてそのまま用いてもよい。また、巻回型コンデンサ素子及び積層型コンデンサ素子をコンデンサ素子1の本体11とし、本体11の側面の少なくとも一部を外装材12で被覆することで、コンデンサ素子1を得てもよい。コンデンサ素子1は、本体11と、本体11の側面の少なくとも一部を被覆する外装材12とを備えることが好ましい。外装材12は、電気的絶縁性を有する。外装材12は、フィルム状であることが好ましい。
外装材12は、本体11の側面において、メタリコン電極2によって被覆される箇所を被覆することが好ましい。すなわち、外装材12は、本体11の両端面側の側面の全周を被覆することが好ましい。この場合、メタリコン電極2は、本体11の側面に直接形成されずに、外装材12上に形成されるため、メタリコン電極2とコンデンサ素子1の側面との密着性を高めやすくなる。
上述のように、巻回型コンデンサ素子及び積層型コンデンサ素子の側面は、電気的絶縁性を有する保護フィルム(図示せず)で被覆されていてもよい。すなわち、コンデンサ素子1の本体11の側面は保護フィルムで被覆されていてもよい。この場合、保護フィルムの上から外装材12で本体11の側面の少なくとも一部を被覆してもよい。保護フィルムの材料は特に限定されず、電気的絶縁性を有するフィルムであればよい。
外装材12で本体11の側面全体を被覆する場合について説明する。外装材12は、図1Aに示すように、本体11の側面全体を被覆していてもよい。この場合、本体11の側面は保護フィルムで被覆されていてもよく、保護フィルムで被覆されていなくてもよい。本体11の側面が保護フィルムで被覆されている場合、外装材12は、保護フィルムの上から本体11の側面を被覆する。本体11の側面が保護フィルムで被覆されていない場合、外装材12は、本体11の側面、すなわち巻回型コンデンサ素子又は積層型コンデンサ素子の側面を直接被覆するため、保護フィルムとしての機能も果たす。
次に、外装材12で本体11の側面の一部を被覆する場合について説明する。外装材12は、図1Bに示すように、本体11の側面において、メタリコン電極2によって被覆される箇所を被覆していてもよい。すなわち、外装材12(121,122)は、本体11の両端面側の側面の全周を被覆していてもよい。図1Bでは、外装材121は、メタリコン電極21が形成される側の側面を被覆し、外装材122は、メタリコン電極22が形成される側の側面を被覆する。この場合、本体11の側面は保護フィルムで被覆されていてもよく、保護フィルムで被覆されていなくてもよい。ただし、ショート不良を防ぐ観点から、本体11の側面のうち、少なくとも外装材12で被覆されてない部分は、保護フィルムによって被覆されることが好ましい。すなわち、例えば、保護フィルムで本体11の側面全体を被覆してから、更に本体11の両端面側の側面を外装材12で被覆してもよく、本体11の側面における両端面側以外の箇所を保護フィルムで被覆してから、両端面側の側面を外装材12で被覆してもよい。
図1Bに示すように、外装材12が被覆する本体11の両端面側の側面の幅Cは、メタリコン電極2が被覆するコンデンサ素子11の両端面側の側面の幅Bよりも大きいことが好ましい。この場合、メタリコン電極2とコンデンサ素子1の側面との密着性を高めやすくなる。
外装材12の材料は特に限定されず、電気的絶縁性を有する材料で形成されていればよい。外装材12の材料の例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブタジエン、及びナイロンを含む。
本体11の側面が保護フィルムで被覆されている場合、外装材12の融点は、保護フィルムの融点よりも低いことが好ましい。この場合、上述したように、金属溶射によってコンデンサ素子1の側面にメタリコン電極2が形成される際に、外装材12の表面が溶射された金属の熱によって溶融しやすくなり、コンデンサ素子1とメタリコン電極2との密着性が高くなりやすい。さらに、保護フィルムの融点が外装材12の融点も高いことで、外装材12の表面が熱によって溶融した場合でも、保護フィルムの表面は溶融しにくくなり、熱によってコンデンサ素子1に不良が生じるのを防ぎやすくなる。
外装材12は、フィルム状であることが好ましい。この場合、本体11を容易に外装材12で被覆することができる。
外装材12は、無延伸フィルムで形成されることが好ましい。この場合、メタリコン電極2と外装材12との密着性がより向上するため、メタリコン電極2とコンデンサ素子1の側面との密着性が高まり、水分やガスの透過をより防止しやすくなる。上述のように、本体11の側面全体を外装材12で被覆する場合には、無延伸フィルムで本体11の側面全体を被覆してもよく、フィルムの一部を2軸延伸などによって延伸加工し、一部を延伸せずに無延伸のままにしたフィルムを用いてもよい。このように一部のみが無延伸のフィルムを用いる場合には、本体11の側面において、メタリコン電極2によって被覆される箇所が無延伸のフィルムによって被覆されるようにすることが好ましい。例えばコンデンサ素子1の長さと同じ長さを有する長尺状のフィルムの両端部を延伸せずに中央部分のみを延伸し、フィルムの両端部の無延伸部分がコンデンサ素子1の両端側に位置するようにフィルムを本体11の側面に巻き付けることによって、外装材12で本体11を被覆することができる。
外装材12は、粗化されていることが好ましい。この場合、メタリコン電極2と外装材12との密着性がより向上するため、メタリコン電極2とコンデンサ素子1の側面との密着性が高まり、水分やガスの透過をより防止しやすくなる。粗化の方法は特に限定されず、例えば、ブラスト法及びエッチング法を用いることができる。外装材12として用いるフィルムをあらかじめ粗化した後に、本体11に巻き付けて本体11を被覆してもよい。また、外装材12で本体11を被覆した後に、外装材12の側面(すなわちコンデンサ素子1の側面)に粗化処理を行ってもよい。上述のように、本体11の側面全体を外装材12で被覆する場合には、粗化されたフィルムで本体11の側面全体を被覆してもよく、外装材12で本体11を被覆した後に、外装材12全体を粗化処理してもよい。また、一部のみが粗化されたフィルムで本体11の側面全体を被覆してもよく、外装材12で本体11を被覆した後に、外装材12の一部のみを粗化処理してもよい。一部のみを粗化したフィルムを用いる場合には、本体11の側面において、メタリコン電極2によって被覆される箇所が粗化されたフィルムによって被覆されるようにすることが好ましい。例えばコンデンサ素子1の長さと同じ長さを有する長尺状のフィルムの両端部のみを粗化し、フィルムの両端部の粗化された部分がコンデンサ素子1の両端側に位置するようにフィルムを本体11の側面に巻き付けることによって、外装材12で本体11を被覆することができる。もちろん、外装材12で本体11の側面全体を被覆した後に、メタリコン電極2が形成される両端側の側面のみを粗化してもよい。
コンデンサ10は、コンデンサ素子1の少なくとも一部を被覆する金属箔4を更に備えることが好ましい。コンデンサ素子1の表面の少なくとも一部を、金属箔4を用いて被覆することで、コンデンサ素子1の表面からの吸湿を防止しやすくなる。
金属箔4の種類は特に限定されず、メタリコン電極2よりも水蒸気などの水分やガスを透過させにくいものであればよい。コンデンサ素子1が外装材12を有する場合には、外装材12よりも水蒸気などの水分やガスを透過させにくい材料を用いることが好ましい。また、コンデンサ素子1の本体11が保護フィルムを有する場合には、保護フィルムよりも水蒸気などの水分やガスを透過させにくい材料を用いることが好ましい。金属箔4の材料の具体例は、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、マグネシウム、銀、金、ニッケル、及び白金を含む。金属箔4として、樹脂層が金属箔の片面に設けられた樹脂付き金属箔を用いてもよい。
コンデンサ10は、コンデンサ素子1と金属箔4との間に設けられる絶縁性保護材5を更に備えることが好ましい。コンデンサ素子1を、金属箔4で被覆するとともに、更に絶縁性保護材5で被覆することで、コンデンサ素子1の表面からの吸湿をより防止しやすくなる。
絶縁性保護材5の材料は特に限定されず、絶縁性を有する材料であればよい。絶縁性保護材5の材料として、メタリコン電極2よりも水蒸気などの水分やガスを透過させにくいものを用いることが好ましい。この場合、コンデンサ10の耐湿性をより向上させることができる。コンデンサ素子1が外装材12を有する場合には、外装材12よりも水蒸気などの水分やガスを透過させにくい材料を用いることが好ましい。また、コンデンサ素子1の本体11が保護フィルムを有する場合には、保護フィルムよりも水蒸気などの水分やガスを透過させにくい材料を用いることが好ましい。
絶縁性保護材5は、絶縁性フィルム、ガスバリアフィルム、及びプリプレグの硬化物からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。この場合、コンデンサ素子1の表面からの吸湿をより防止しやすくなり、コンデンサ10の耐湿性をより向上させることができる。
絶縁性フィルムは、特に限定されず、絶縁性を有するフィルムであればよい。絶縁性フィルムの材質の具体例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリイミド等を含む。
ガスバリアフィルムは、特に限定されず、絶縁性を有し、かつ水蒸気などのガスを透過させにくい性質を有するフィルムであればよい。ガスバリアフィルムとして、基材フィルムと、基材フィルム上に形成されたガスバリア層と、を有するフィルムを用いることができる。基材フィルムは、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(融点265℃、ガラス転移点80℃(TMA法))、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム(融点280℃、ガラス転移点100℃)、ポリエーテルサルフォン(PES)フィルム(ガラス転移点220℃)、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム(ガラス転移点220℃)、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム(融点340℃、ガラス転移点140℃)などを用いることができる。これらのフィルムは、耐熱性にも優れているため、コンデンサ10の耐熱性を高めることもできる。なお、上記の融点及びガラス転移点は、DSC法(昇温速度:10℃/min)によるデータである。ガスバリア層は、特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの少なくともいずれかを含む。ガスバリア層は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、又はプラズマCVD法などにより形成可能である。
プリプレグの硬化物は、プリプレグが完全に硬化し、C-ステージ状態にあることを意味する。C-ステージとは不溶不融の状態であり、硬化反応の最終状態である。プリプレグは、補強材と熱硬化性樹脂組成物とを含む。
補強材は、特に限定されないが、例えば有機繊維又は無機繊維の織布や不織布であってよい。補強材の具体例は、ガラスクロス及びPET繊維の不織布を含む。
熱硬化性樹脂組成物は、特に限定されず、硬化反応前の常温(25℃)において、液状である熱硬化性樹脂を含有する組成物を用いることができる。熱硬化性樹脂は特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの中ではエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、耐熱性、耐薬品性、強靭性、電気絶縁性及び接着性などの特性に優れている。熱硬化性樹脂組成物の硬化温度は、120℃以下であることが好ましい。この場合、プリプレグを硬化させる際の熱によるコンデンサ素子1への影響を小さくすることができる。熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材を含有してもよい。無機充填材は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化硼素、マグネシア、ベーマイト、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及びタルクなどが挙げられる。また、熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、公知の硬化剤及び触媒などを含有してもよい。
絶縁性保護材5は、コンデンサ素子1と金属箔4との間に設けられることが好ましい。本実施形態では、図1A及び図1Bに示すように、絶縁性保護材5は、コンデンサ素子1と金属箔4との間に設けられ、コンデンサ素子1の表面全体とメタリコン電極2の一部を被覆する。このように、絶縁性保護材5が、コンデンサ素子1と金属箔4との間に設けられることで、コンデンサ素子1の表面からの吸湿をより防止しやすくなる。
絶縁性保護材5は、金属箔4とメタリコン電極2とを電気的に絶縁することが好ましい。上述のように、本実施形態では、絶縁性保護材5は、コンデンサ素子1の表面全体とメタリコン電極2の側面を被覆している。そのため、絶縁性保護材5の上からコンデンサ素子1を被覆するための金属箔4を設けても、金属箔4とメタリコン電極2とが電気的に絶縁され、短絡を防止することができる。
絶縁性保護材5は、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆することが好ましい。本実施形態では、後述する熱収縮チューブ6がコンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆しており、絶縁性保護材5は、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆していない。しかし、例えば、コンデンサ10が熱収縮チューブ6を有さない場合、及び熱収縮チューブ6がコンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆しない場合、絶縁性保護材5は、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆することが好ましい。これにより、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部から蒸気などの水分やガスが侵入することを防ぐことができ、コンデンサ10はより優れた耐湿性を有しうる。
図1A及び図1Bでは、一つ絶縁性保護材5が、コンデンサ素子1の表面全体と一対のメタリコン電極21,22の側面を被覆しているがこれに限られない。一対の絶縁性保護材5を用いて、メタリコン電極21の側面及びコンデンサ素子1のメタリコン電極21側の表面の一部と、メタリコン電極22の側面及びコンデンサ素子1のメタリコン電極22側の表面の一部と、をそれぞれ被覆するようにしてもよい。この場合でも、金属箔4とメタリコン電極21,22各々とが電気的に絶縁されるため、短絡を防止することができる。ただし、製造工程を簡素化する観点及びコンデンサ10の耐湿性を向上させる観点から、一つの絶縁性保護材5が、図1A及び図1Bに示すように、コンデンサ素子1の表面全体とメタリコン電極21,22の側面とを被覆することが好ましい。
コンデンサ10が絶縁性保護材5を有し、金属箔4とメタリコン電極2とが絶縁性保護材5によって電気的に絶縁されている場合、金属箔4は、メタリコン電極2とコンデンサ素子1との境界部を被覆していることが好ましい。すなわち、図1A及び図1Bに示すように、金属箔4の端部は、メタリコン電極2とコンデンサ素子1との境界部よりも外側に延伸し、絶縁性保護材5を介してメタリコン電極2とコンデンサ素子1との境界部を被覆していることが好ましい。この場合、メタリコン電極2とコンデンサ素子1との境界部から水蒸気などの水分やガスが入り込むことを防ぎやすくなるため、コンデンサ10の耐湿性を更に向上させることができる。
コンデンサ10が絶縁性保護材5を有さない場合、金属箔4は、メタリコン電極21,22と接触しないように設けられる。これにより、短絡を防止することができる。この場合、例えば、メタリコン電極21とコンデンサ素子1との境界部からメタリコン電極22とコンデンサ素子1との境界部までの距離よりも幅の短い金属箔4を用いて、コンデンサ素子1の中央部分のみを、メタリコン電極21,22と接触しないように金属箔4で被覆することができる。メタリコン電極21とコンデンサ素子1との境界部と、金属箔4のメタリコン電極21側の端部との距離は3mm以上であることが好ましい。また、メタリコン電極22とコンデンサ素子1との境界部と、金属箔4のメタリコン電極22側の端部との距離は3mm以上であることが好ましい。この場合、メタリコン電極21,22と金属箔4との接触をより防止しやすくなる。メタリコン電極21とコンデンサ素子1との境界部と、金属箔4のメタリコン電極21側の端部との距離は5mm以上であることがより好ましい。また、メタリコン電極22とコンデンサ素子1との境界部と、金属箔4のメタリコン電極22側の端部との距離は5mm以上であることがより好ましい。
コンデンサ10は、金属箔4の少なくとも一部を被覆する熱収縮チューブ6を更に備えることが好ましい。熱収縮チューブ6は、チューブ状に形成された樹脂部材であり、熱を加えると収縮する性質を有する。
金属箔4は、外部に露出していないことが好ましい。すなわち、熱収縮チューブは、金属箔4の全体を被覆することが好ましい。図1A及び図1Bに示すように、金属箔4は、露出しないように絶縁性保護材5及び熱収縮チューブ6の間に配置されていることが好ましい。このように、金属箔4を外部に露出させないことで、金属箔4とメタリコン電極2とが接触して短絡することを防ぐことができる。また、金属箔4が外部に露出しないことで、コンデンサ10の耐湿性を特に向上させることができる。
熱収縮チューブ6は、例えば、熱収縮チューブをコンデンサ10の長さに合わせて切り取り、切り取った熱収縮チューブ6をコンデンサ10にはめて加熱することで、熱収縮チューブ6が収縮し、これによってコンデンサ10に熱収縮チューブ6を密着させることができる。熱収縮チューブ6の材質、厚み、及び大きさは特に限定されず、コンデンサ10の大きさに合わせて任意のものを用いることができる。コンデンサ10が熱収縮チューブ6を有することで、コンデンサ素子1の内部に水蒸気などの水分やガスが侵入することを防ぐことができ、コンデンサ10はより優れた耐湿性を有しうる。なお、熱収縮チューブ6は、コンデンサ10の最外層に装着されることが好ましい。
熱収縮チューブ6は、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆することが好ましい。本実施形態では、図1A及び図1Bに示すように、熱収縮チューブ6は、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部を被覆し、コンデンサ素子1の両端面の一部を被覆している。これにより、コンデンサ素子1の両端面と側面との境界部から蒸気などの水分やガスが侵入することを防ぐことができ、コンデンサ10はより優れた耐湿性を有しうる。
コンデンサ10は、更にバスバー(図示せず)を備えてもよい。一対のバスバーを、メタリコン電極21,22にそれぞれ接着して、メタリコン電極21,22と一対のバスバーとをそれぞれ電気的に接続することができる。バスバーは、特に限定されず、例えば銅や銅合金などが板状に形成されたものを用いることができる。バスバーをメタリコン電極2に接着する方法は、特に限定されず、例えば半田溶接、抵抗溶接、及び超音波溶接などによって接着することができる。なお、短絡防止の観点から、コンデンサ10が金属箔4を有する場合、バスバーは、金属箔4と接触せず、バスバーと金属箔4とは電気的に絶縁されるように設けられる。
コンデンサ10は、メタリコン電極21,22を被覆する樹脂封止材(図示せず)を備えてもよい。メタリコン電極2を樹脂封止材で被覆することで、外部電極2による吸湿をより防止しやすくなる。
樹脂封止材の材料は特に限定されず、メタリコン電極2よりも水蒸気などの水分やガスを透過させにくい樹脂材料であればよい。例えば、樹脂封止材の材料として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。この場合、バスバーをメタリコン電極2に接着した後に、このような樹脂材料を、メタリコン電極2を被覆するよう塗布して硬化させることによって樹脂封止材を形成することができる。樹脂封止材の材料として熱硬化性樹脂を用いる場合、熱硬化性樹脂の硬化温度は120℃以下であることが好ましい。この場合、プリプレグを硬化させる際の熱によるコンデンサ素子1への影響を小さくすることができる。なお、樹脂に無機充填材、公知の硬化剤、及び触媒など添加した樹脂組成物を用いて樹脂不封止材を形成してもよい。
コンデンサ10は、一対のメタリコン電極21,22を被覆する撥水層(図示せず)を備えてもよい。メタリコン電極2を撥水層で被覆することで、メタリコン電極2による吸湿を防止しやすくなる。
撥水層の材料は特に限定されず、メタリコン電極2よりも水蒸気などの水分やガスを透過させにくい材料を用いて撥水層を形成すればよい。例えば、フッ素系やシリコン系の撥水剤を用いて撥水層を形成することができる。この場合、バスバーをメタリコン電極2に接着した後に、メタリコン電極2を被覆するように撥水剤を塗布して乾燥させることによって撥水層を形成することができる。
3.態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
第1の態様に係るコンデンサ(10)は、コンデンサ素子(1)と、前記コンデンサ素子(1)の両端面に設けられた一対のメタリコン電極(2)と、を備え、前記一対のメタリコン電極(2)は、前記コンデンサ素子(1)の前記両端面と側面との境界部を被覆する。
第1の態様によれば、軽量化を実現するとともに、優れた耐湿性を有するコンデンサ(10)を得ることができる。
第2の態様に係るコンデンサ(10)では、第1の態様において、前記コンデンサ素子(1)は、本体(11)と前記本体(11)の側面の少なくとも一部を被覆する外装材(12)と、を備え、前記外装材(12)は、無延伸フィルムで形成される。
第2の態様によれば、メタリコン電極(2)とコンデンサ素子(1)との密着性を高めることができる。
第3の態様に係るコンデンサ(10)は、第1又は第2の態様において、前記コンデンサ素子(1)の少なくとも一部を被覆する金属箔(4)を更に備える。
第3の態様によれば、コンデンサ素子(1)の表面からの吸湿をより防止しやすくなる。
第4の態様に係るコンデンサ(10)は、第3の態様において、前記コンデンサ素子(1)と前記金属箔(4)との間に設けられる絶縁性保護材(5)を更に備える。
第4の態様によれば、コンデンサ素子(1)の表面からの吸湿をより防止しやすくなるとともに、短絡を防ぎやすくなる。
第5の態様に係るコンデンサ(10)では、第4の態様において、前記絶縁性保護材(5)は、絶縁性フィルム、ガスバリアフィルム、及びプリプレグの硬化物からなる群から選択される少なくとも一種を含む。
第5の態様によれば、コンデンサ素子(1)の表面からの吸湿をより防止しやすくなる。
第6の態様に係るコンデンサ(10)は、第3から第5のいずれか一つの態様において、前記金属箔(4)の少なくとも一部を被覆する熱収縮チューブ(6)を更に備える。
第6の態様によれば、コンデンサ(10)の耐湿性を更に高めることができる。
第7の態様に係るコンデンサ(10)の製造方法は、コンデンサ素子(1)の両端面に、前記コンデンサ素子(1)の前記両端面と側面との境界部を被覆する一対のメタリコン電極(2)を形成する工程を含む。
第7の態様によれば、軽量化を実現するとともに、優れた耐湿性を有するコンデンサ(10)を得ることができる。
第8の態様に係るコンデンサ(10)の製造方法では、第7の態様において、コンデンサ素子(1)は本体(11)と外装材(12)とを備え、前記本体(11)の側面の少なくとも一部を前記外装材(12)で被覆する工程を更に含む。
第8の態様によれば、メタリコン電極(2)とコンデンサ素子(1)との密着性を高めることができる。
第9の態様に係るコンデンサ(10)の製造方法では、第8の態様において、前記外装材(12)は、無延伸フィルムで形成される。
第9の態様によれば、メタリコン電極(2)とコンデンサ素子(1)との密着性を高めることができる。
第10の態様に係るコンデンサ(10)の製造方法は、第8の態様において、前記外装材(12)を粗化する工程を更に含む。
第10の態様によれば、メタリコン電極(2)とコンデンサ素子(1)との密着性を高めることができる。