JP7237827B2 - 積層体およびそれを用いた包装材 - Google Patents

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Description

本発明は、低温からのヒートシール強度が高く、易滑性、耐低温衝撃性、耐折曲げ白化性を備えたポリプロピレン系複合フィルムおよびそれを用いた包装材に関する。
包装用フィルムとしてポリプロピレン系フィルムが用いられることは広く知られており、その他に、ポリプロピレン系フィルムとポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやナイロン(Ny)フィルム、特に延伸PETフィルムや延伸ナイロンフィルム(ONy)、およびアルミニウム箔を積層した包装材が広く知られている。
包装用フィルムに用いられるポリプロピレン系フィルムには一般的に有機滑剤が添加されており、製膜後に滑剤がフィルム表面に滲み出すことで良好な滑り性を発現している。従来のポリプロピレン系フィルムにおいては、接着剤を介して延伸PETフィルムやONyなどのフィルム、アルミニウム箔などと貼り合わせ、接着剤を硬化させるために一定以上の温度をかけてエージングすると、フィルム表面に滲み出た有機滑剤(とくに、脂肪酸アミド系滑剤)がフィルム中に再移行するため、滑りが悪くなる傾向があった。
レトルト用途においては延伸PETフィルムやONyなどのフィルムと貼り合わせた後に、粉振りを行なって滑り性を保持することが行われているが、粉振りされる滑剤の量が多くなりすぎると、衛生面等の問題が発生することがあった。
また、絞り成型で易滑性が求められる電池用包装材用途などで満足に使用できないことがあり、ポリプロピレン系フィルムに他のフィルム等をラミネートして積層体とし、40℃以上60℃未満でエージングされる場合にあっても、そのフィルム表面が良好な滑り性、とくにあるレベル以下の静摩擦係数、例えば0.3以下の静摩擦係数を有することが望まれる。
このような要望に関して、特許文献1には、融点70~90℃の不飽和脂肪酸アマイド0.02~0.2重量%、融点115~135℃の不飽和脂肪酸ビスアマイド0.01~0.12重量%を含有する積層フィルムが開示されているが、エチレン・α-オレフィンを使用しているため、耐熱性に劣り、本知見をポリプロピレン系に適用した場合、不飽和脂肪酸アマイドおよび不飽和脂肪酸ビスアマイドの量を多くする必要があり、摩擦係数は低く抑えられるもののエージング処理後にフィルム表面の滑剤量が多くなりすぎ、ロール等に付着物が生じ、作業環境上の問題が生じる。
また、特許文献2には、両外層にエルカ酸アミドなどの最適エージング温度40℃未満の滑剤を添加し、中間層にベヘン酸アミド、エチレンビスアミドなどの最適エージング温度40℃以上の滑剤を添加し、その実施例に記載されているように、中間層にプロピレン・エチレンランダム共重合体、少なくとも一方の外層にプロピレン・エチレンランダム共重合体を用いて3層構成のポリプロピレン系多層フィルムおよび複合フィルムが開示されている。この特許文献2の各実施例では、各層に特殊な滑剤を添加した場合には、積層フィルムのエージング後の表面同士の静摩擦係数として0.3以下が達成されている場合も見受けられるが、後述の如く本発明者らの知見によれば、中間層、表層ともにプロピレン・エチレンランダム共重合体で構成されている場合には、低温から高温まで高いヒートシール強度と、耐低温衝撃性、滑り性、絶縁性を両立することが困難であった。また、特許文献3のプロピレン・エチレンブロック共重合体を原料として使用したフィルムが知られているが、低温から高温まで高いヒートシール強度と、耐低温衝撃性、耐折曲げ白化性、滑り性、絶縁性を両立することが困難であった。
このようにポリプロピレン系フィルムには、包装用フィルムとして使用される場合に、上述のヒートシール性に加え、耐折曲げ白化性、耐低温衝撃性、滑り性等の特性が高いレベルでバランス良く優れていることが求められるが、従来のフィルムは、近年の高い要求に対し必ずしも満足できるものではなかった。とくに近年、耐低温衝撃性に関して、内容物を収容した袋の状態で、比較的高い位置から繰り返し落下されても破れないだけの、厳しい条件下での破袋強度が求められることがあるが(特にレトルト用途においてはこのような厳しい条件下での破袋強度が求められることがあるが)、このような厳しい条件下での破袋強度を評価基準として耐低温衝撃性を設計したポリプロピレン系フィルムは見当たらない。
特開平9-77881号公報 特開平11-334004号公報 特開平10-87744号公報
そこで本発明の課題は、低温から高温までヒートシール力が高く、耐低温衝撃性と耐折曲げ白化性に優れ、ラミネート後に60℃でエージングしてもフィルム表面の滑剤量を適切な範囲内に維持できてフィルム表面の静摩擦係数として望ましい値を達成できるポリプロピレン系複合フィルムと、それを用いた包装材を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のポリプロピレン系複合フィルムは、以下の構成とした。
少なくともA層/B層の2層からなり、A層は、230℃でのメルトフローレートが2~10g/10分、融点が130~150℃のプロピレン系ランダム共重合体を主成分とし、B層は、20℃キシレンの可溶部の極限粘度[η]Cxsと同不溶部の極限粘度[η]Cxisの比([η]Cxs/[η]Cxis)が1.6以上であるプロピレン・エチレンブロック共重合体(a)100重量部に対して、低密度ポリエチレン系重合体(b)10~90重量部を配合した樹脂組成物を主成分とし、A層は脂肪酸アミド系滑剤を200~2000ppm含有し、B層は脂肪酸アミド系滑剤を500~5000ppm含有することを特徴とするポリプロピレン系複合フィルムである。
上記記載のポリプロピレン系複合フィルムのA層側と反対面に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムおよびアルミニウム箔からなる群から選ばれる少なくとも一つがラミネートされた積層体である。
上記記載の積層体を用いた電池用包装材である。
上記記載の積層体を用いたレトルト用包装材である。
本発明によれば、常温(23℃)のフィルム表面の滑剤量を適切な範囲内に維持でき、60℃でエージングしてもフィルム表面の滑剤量を適切な範囲内に維持でき、それによってフィルム表面の静摩擦係数を0.3以下に抑えることが可能となり、易滑性が必要な電池用包装材用途に好適なポリプロピレン系複合フィルム、およびそれを備えた包装材を実現できる。
また、特にレトルト用包装材の厳しい条件下での破袋強度の要求に鑑み、その要求を満たすことが可能で、しかもヒートシール性や耐低温衝撃性についてもバランス良く満たすことができるので、レトルト用包装材に好適なポリプロピレン系複合フィルム、およびそれを備えた包装材を実現できる。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムは、少なくともA層/B層の2層からなり、A層はプロピレン系ランダム共重合体を主成分とする。そのA層の片側に、プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)と低密度ポリエチレン系樹脂(b)、さらに、好ましくは、ポリマー(c)としてスチレン系ブロックを有するブロック共重合体、または結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体、より好ましくは、プロピレン系ランダム共重合体(d)を含むB層を配設した構成である。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムのA層は、230℃でのメルトフローレート(以下MFRと省略する)が2~10g/10分、融点が130~150℃のプロピレン系ランダム共重合体を主成分とする。本発明において、A層における主成分とは、A層中で50重量%を超える成分を言う。プロピレン系ランダム共重合体が50重量%以下では、130℃および160℃でのヒートシール強度が低下する。
また、上記A層のプロピレン系ランダム共重合体の230℃でのMFRが、2g/10分未満ではB層との均一な積層性が悪くなることがあり、130℃での低温ヒートシール強度が低下することがあり、10g/10分を超えると滑剤のブリードアウト性が悪くなって滑り性が低下することがある。
上記A層のプロピレン系ランダム共重合体とは、プロピレンに、α-オレフィンを少なくとも1種以上共重合したものであり、α-オレフィンとしては、エチレン、ブテン、オクテンなどが挙げられるが、滑り性とヒートシール性からエチレンとの共重合体のプロピレン・エチレンランダム共重合体が好ましい。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムのA層は、上記プロピレン系ランダム共重合体を主成分とし、脂肪酸アミド系滑剤を200~2000ppm含有することが好ましい。脂肪酸アミド系滑剤の含有量が200ppm未満では滑り性が悪くなることがあり、2000ppmを超えると溶融押出時に熱飛散が多くなり工程を汚して製膜性が悪化することがあり、また130℃での低温ヒートシール強度も低下することはある。
脂肪酸アミド系滑剤とは、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド等が好ましく挙げられ、特にエルカ酸アミドが本発明のポリプロピレン系複合フィルムで用いる樹脂組成への分散性と、滑り性の発現性から好ましい。
また、上記A層には、ヒートシール性を阻害しない範囲で、無機または有機の粒子を300~5000ppm添加すると、脂肪酸アミド系滑剤の含有量を減らしても滑り性が向上し、また、本発明のポリプロピレン系複合フィルムを長尺に巻き取るときに、皺やエアー抜け不良による欠点が減少するので好ましい。含有量が300ppm以下では滑り性付与効果がみられず、5000ppmを超えるとヒートシール性が低下することがある。
該無機粒子としては、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等が好ましく挙げられ、有機粒子としては、架橋PS、架橋PMMA等が好ましく挙げられる。それらの平均粒径は1~5μmの範囲であることが好ましい。平均粒径が1μm未満では添加効果がみられず、5μmを超えるとヒートシール力が低下することがある。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムのB層は、20℃キシレンの可溶部の極限粘度[η]Cxsと同不溶部の極限粘度[η]Cxisの比([η]Cxs/[η]Cxis)が、1.6以上であるプロピレン・エチレンブロック共重合体(a)と、低密度ポリエチレン系重合体(b)からなる樹脂組成物を主成分とするものである。本発明において、B層における上記主成分とは、B層中で50重量%を超える成分を言う。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムのB層のプロピレン・エチレンブロック共重合体(a)は、20℃のキシレンの可溶部の極限粘度[η]Cxsと不溶部の極限粘度[η]Cxisの比([η]Cxs/[η]Cxis)が1.6以上であり、1.6~2.0の範囲が好ましい。[η]Cxs/[η]Cxisが1.6未満では、160℃以上でヒートシールした際にフィルムの潰れによる薄膜化でヒートシール強度の低下や、ヒートシールや絞り成型時の加圧によって樹脂のはみ出しが起こり、包装材製造工程の汚れが起こることがある。また、[η]Cxs/[η]Cxisが2.0を超えると、フィルム内に小さなゲル状の欠点ができてフィルム突起となり、他基材とのラミネート時に界面に空気を噛み込んでラミネート強度が低下し、また、ヒートシール強度が低下して内容物の液漏れを生じることがある。
また、B層のプロピレン・エチレンブロック共重合体(a)は、ポリプロピレン部の割合を示す20℃キシレン不溶部の割合が70~85重量%で、該キシレン不溶部の極限粘度[η]Cxisは、1.5~2.0dl/gであり、エチレン・プロピレン共重合のゴム成分の割合を示す20℃キシレン可溶部の極限粘度[η]Cxsは、2.4~4.0dl/gであることが好ましい。キシレン不溶部の極限粘度[η]Cxisは、1.5未満では、ヒートシールや絞り成型時にフィルムの潰れによる薄膜化が起こることがあり、2.0dl/gを超えると、フィルムが硬くなり過ぎて、絞り成型性が悪化することがある。また、キシレン可溶部の極限粘度[η]Cxsが2.4dl/g未満では、シール強度が低下することがあり、4.0dl/gを超えるとゴム成分の粒径が非常に大きく、フィルムの海島構造の界面にクラックが生じ、耐低温衝撃性やヒートシール性低下が生じることがある。
ここで、上記20℃キシレン不溶部、および可溶部とは、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体のペレットを沸騰キシレンに完全に溶解させた後20℃に降温し、4時間以上放置し、その後これを析出物と溶液とに濾別した際、析出物を20℃キシレン不溶部と称し、溶液部分(濾液)を乾固して減圧下70℃で乾燥して得られる部分をキシレン可溶部と称す。
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体の、かかるキシレン不溶分及び可溶分の極限粘度、及びメルトフローレートの調整方法としては、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体の重合時の各工程で、水素ガスや金属化合物などの分子量調整剤を加える方法、パウダー状で得られた重合体を溶融混練し、ペレタイズする際に添加剤を添加する方法、パウダー状で得られた重合体を溶融混練し、ペレタイズする際の混練条件を調整する方法等を挙げることができる。
なお、本発明に用いるプロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、触媒を用いて原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。ここで触媒としてはチーグラー・ナッタ型やメタロセン触媒などを用いることができ、例えば、特開平07-216017号公報に挙げられるものを好適に用いることができる。
具体的には(1)Si-O結合を有する有機ケイ素化合物およびエステル化合物の存在下、一般式Ti(OR)4-a(式中、Rは炭素数が1~20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、aは0<a≦4を満たし、好ましくは2≦a≦4、特に好ましくはa=4である。)で表されるチタン化合物を、有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物で処理する。その後、エーテル化合物と四塩化チタンの混合物、もしくは、エーテル化合物と四塩化チタンとエステル化合物の混合物で処理することにより、得られる3価のチタン化合物含有固体触媒、(2)有機アルミニウム化合物、(3)電子供与性化合物(ジアルキルジメトキシシラン等が好ましく用いられる)よりなる触媒系が挙げられる。
共重合体(a)の製造方法として、生産性および耐低温衝撃性の観点から、第1工程で実質的に不活性剤の不存在下にプロピレンを主体とした重合体部分を重合し、ついで第2工程で気相中でエチレン・プロピレン共重合体部分を重合する方法を用いるのが好ましい。
ここでプロピレンを主体とした重合体部分は、耐熱性、剛性などの点から、融点が160℃以上のプロピレン単独重合体が好ましいが、融点が160℃以上の範囲のものであれば、プロピレンと少量のエチレン、1-ブテンなどのα-オレフィンとの共重合体であってもよい。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムにおけるB層は、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)に低密度ポリエチレン系重合体(b)が配合される。本発明者らの知見によれば、本発明のポリプロピレン系複合フィルムは、例えば電池外装用途の絞り加工の変形の際に、フィルムの海島構造の界面にクラック(白化)が生じると、内容物である電解液が漏れる懸念がある。よって、プロピレン・エチレンブロック共重合体中の島となる部分のゴム成分の分散を極めて小さくする設計が必要であり、低密度ポリエチレン系重合体を含有することにより分散を極めて小さくすることができる。
また、低密度ポリエチレン系重合体(b)を配合することにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体よりも低いガラス転移点の成分を増やすことで耐低温衝撃性と耐折曲げ白化性を向上させることができ、またゴム成分をB層中に均一に微分散させることで、レトルト用途包装材に使用する際に、内容物の油性食品によるフィルムの膨潤による凹凸(ユズ肌)の発生を抑制(耐ユズ肌性向上)することができる。上記、低密度ポリエチレン系樹脂(b)とは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが好ましく挙げられるが、直鎖状低密度ポリエチレンが、プロピレン・エチレンブロック共重合体中のゴム成分の分散効果が高く、耐折曲げ白化性や耐ユズ肌性がよくなるので好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.900~0.935g/cmの範囲で、MFRが0.5~20g/10分の範囲であることが、プロピレン・エチレンブロック共重合体への分散性がよく、プロピレン・エチレンブロック共重合体のゴム成分の分散効果が高いので好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法については、特に限定されるものではなく、従来のチーグラー・ナッタ触媒や、メタロセン触媒を用いて製造したものを用いることができる。
さらに、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体は、高いゴム含量を達成する触媒技術と重合プロセス技術を組み合わせたことにより製造される高性能のエチレン系やスチレン系等のエラストマーを、必要物性を阻害しない程度に、つまり5~30重量%含有することができる。これによって、低密度ポリエチレン系重合体と同様に海島構造の分散を小さくすることができる。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムにおけるB層は、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)100重量部に対して、上記低密度ポリエチレン系重合体(b)15~90重量部を配合した樹脂組成物を主成分とするものである。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)100重量部に対して、上記低密度ポリエチレン系重合体(b)が15重量部未満では、例えば電池用包装材に用いて絞り成型の際にクラックによる白化が生じることがあり、内容物である電解液が漏れる懸念がある。また、レトルト用で油性食品の包装材に使用する際に、ユズ肌が大きくなり外観不良が起こることがある。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)100重量部に対して、上記低密度ポリエチレン系重合体(b)が90重量部を超えると、滑剤のフィルム表層への移行が低下して滑り性が悪くなることがあり、また、耐低温衝撃性の低下を生じることがある。また、分散性が悪くなって、溶融押出時にスジ状欠点が発生して製膜性が悪化することがある。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムは、B層への脂肪酸アミド系滑剤の含有量を500~5000ppmとすることで、他素材とのラミネート後の接着剤の硬化のため60℃以上でエージングされる場合に、B層内の脂肪酸アミド系滑剤がB層表面側に移行し、さらにはそこからA層へと移行することを可能としたものである。その結果、60℃以上でエージングされる場合に、A層内中に含有されている滑剤が、A層内中で移行されようとするのに対し、B層からA層内中へと移行されてきた滑剤と適切にバランスされ、結果的にラミネート後の滑り性が問題とされるフィルム表面において、滑剤量が最適な範囲、例えば60℃、3日間エージング後のフィルム表面にブリードした脂肪酸アミド系滑剤量の範囲が3~20mg/m、好ましくは5~15mg/mの範囲に維持されることが可能になり、A層面同士の静摩擦係数0.3以下が達成実現される。
また、B層は前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)100重量部と前記低密度ポリエチレン系重合体(b)10~90重量部に対して、スチレン系ブロックを有するブロック共重合体、または、結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体であるポリマー(c)5~20重量部を配合した樹脂組成にすることにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体中の島となる部分のゴム成分の分散をさらに小さくすることができる。
上記ポリマー(c)としてのスチレン系ブロックを有するブロック共重合体、または結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体とはスチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c1)、または結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c2)である。 本発明に用いるスチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c1)としては、例えば、特開平3-128957号公報で提供されているものが挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(c3)及び共役ジエン系単量体(c4)の重合体ブロックから構成される。スチレン系単量体(c3)は特に制限は無く、具体例としてはスチレン、α-メチルスチレン、パラメチルスチレン等が挙げられるが、これらの中でもスチレン、α-メチルスチレンが好ましく、重合性の点で特にスチレンが好ましい。
共役ジエン系単量体(c4)としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。これらのなかでも該重合体ブロックによって発現されるゴム弾性に優れ、最終的に得られる本発明のポリプロピレン系複合フィルムに優れた耐衝撃性を付与できる点からポリブタジエンブロックであることが好ましい。
この様なスチレン系ブロックを有するブロック共重合体(c1)として特に好ましく用いることができる市販品としては、スチレン・エチレンブチレン・スチレントリブロック共重合体(以下、SEBSと略記する。)が挙げられる。エチレンブチレンブロック部分がポリプロピレン系樹脂と相溶しやすく、プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)との相溶性を高める効果が高い。SEBS中のポリスチレンブロックの含有量は12~67重量%であることが好ましい。ポリスチレンブロックの含有量が12重量%以上であれば、耐ブロッキング性が良好であり、67重量%以下であれば耐低温衝撃性が良好となる。また、230℃でのMFRで0.5~10g/10分のものが好ましい。MFRが0.5g/10分以上であれば混合樹脂の分散性が良好であり、MFRが10g/10分以下であれば耐低温衝撃性が良好となる。
本発明に用いる結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c2)は、結晶性ポリオレフィンからなるブロック(c5)と結晶性を有さないその他のブロック(c6)とを有する共重合体であり、好ましくは、当該その他のブロック(c6)として役ジエン系重合体からなるブロックを有するものである。
この様な結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体(c2)としては、例えば、特開平3-128957号公報で提供されているものが挙げられる。具体的には、1,2-ビニル結合含有率の低い(例えば25%以下)ポリブタジエン重合体ブロックと、共役ジエン化合物を主体とする重合体であって1,2-及び3,4-結合含有率が高い(例えば50%以上)重合体ブロックとからなる共重合体を合成し、これを水素添加することによって該ポリブタジエン部分をポリエチレンと類似の構造とすることで結晶性の重合体ブロックとしたもの等が挙げられる。
前記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、クロロプレン等が挙げられ、工業的入手容易性の観点から、1,3-ブタジエン、イソプレンを用いることが好ましい。この様な結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体として特に好ましく用いることができる市販品としては、ポリエチレン・エチレンブチレン・ポリエチレンの構成を有するブロック共重合体(以下、CEBCと略記する。)が挙げられ、エチレンブチレンブロック部分がポリプロピレン系樹脂と相溶しやすく、ポリエチレンブロック部分がポリエチレン系樹脂と相溶しやすいために、プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)と低密度ポリエチレン系重合体(b)との相溶性を高める効果が高い。CEBC中のポリエチレンブロックの含有量は15~40重量%であることが好ましい。ポリエチレンブロックの含有量が15重量%以上であれば、耐ブロッキング性が良好であり、40重量%以下であれば耐低温衝撃性が良好となる。また、230℃でのMFRで0.5~10g/10分のものが好ましい。MFRが0.5g/10分以上であれば混合樹脂の分散性が良好であり、MFRが10g/10分以下であれば耐低温衝撃性が良好となる。
また、B層は前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)100重量部と前記低密度ポリエチレン系重合体(b)10~90重量部に対して、230℃でのメルトフローレートが2~10g/10分、融点が130~150℃のプロピレン系ランダム共重合体(d)を10~50重量部を配合した樹脂組成物とすることにより、上記A層との界面接着力が高くなり、その結果、ヒートシール強度が高くなるので好ましい。プロピレン系ランダム共重合体(d)の添加量が10重量部未満ではヒートシール強度の向上効果は見られず、50重量部を超えると耐低温衝撃性の低下が生じることがある。
プロピレン系ランダム共重合体(d)とは、エチレン、ブテン、オクテンなどのα-オレフィンとのランダム共重合体が好ましく例示され、エチレンとの共重合体のブロピレン・エチレンランダム共重合体が、ヒートシール力と滑り性を両立できる範囲が広いので好ましい。
上記プロピレン系ランダム共重合体(d)の融点は、130℃未満ではヒートシール時の温度と圧力によって層厚みが薄くなることがあり、融点が150℃を超えると耐低温衝撃性の低下を生じることがある。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムにおいては、少なくともA層/B層の2層構成をからなるものであるが、本発明におけるB層のもう一方の面に、230℃でのMFRが2~10g/10分、融点が130~150℃のプロピレン系ランダム共重合体を主成分とし、脂肪酸アミド系滑剤を200~2000ppm含有するC層を積層した、A層/B層/C層の3層積層とすることが、他基材とのラミネート強度が高くなるので好ましい。その理由は、フィルム表面にコロナ放電処理をして濡れ張力を上げて、接着剤を塗布して他基材とラミネートする際に、B層よりもC層表面が平滑で滑剤のブリードアウト量が低いためと考えられる。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムは、A層面同士の23℃、3日間エージング後での静摩擦係数が0.3以下が好ましく、0.1~0.3の範囲がより好ましい。さらに、本発明のポリプロピレン系複合フィルムは、A層面同士の60℃、3日間エージング後での静摩擦係数が0.3以下が好ましく、0.1~0.3の範囲がより好ましい。A層面同士の静摩擦係数が0.3を超えると、絞り成型で易滑性が求められる電池用包装材用途で、成型時にフィルム破れが起こり製品の歩留まりが悪くなり、また、レトルト食品用包装材の平袋、スタンディングパウチなどに製袋加工され使用されるときに、袋の開封性が悪くて内容物充填性が悪くなることがある。A層面同士の静摩擦係数が0.1未満になると、製袋加工品を積み重ねる際にずれが生じることがある。
また、上記滑剤量が最適な範囲であると、A層面とB層またはC層面を重ねたときの静摩擦係数が0.3以下となるので、本発明のポリプロピレン系複合フィルムを長尺に巻き取るときに皺やエアー溜まりなどが減少して生産性が向上する。
上記B層の脂肪酸アミド系滑剤の含有量が500ppm未満では、A層表面の脂肪酸アミド系滑剤量が少なく、A層面同士の静摩擦係数が0.3を超えて滑り性が悪化することがあり、絞り成型で易滑性が求められる電池用包装材用途では満足に使用することができないことがある。また、5000ppmを超えると摩擦係数は低く抑えられるが、フィルム表面への滑剤量が多くなりすぎて製膜やラミネート工程でのロール等に滑剤が付着して作業環境上の問題が生じることがある。また、ヒートシールをする際に、フィルム界面に滑剤が溜まりヒートシール強度も低下することがある。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムのA層またはC層の厚さは1μm以上が好ましく、トータル厚さが20~200μmの範囲にあることが好ましい。
A層またはC層の厚さが1μm未満では、上記の130℃および160℃での十分なヒートシール強度が得られないことがあり、2~30μmの範囲が好ましい。また、トータル厚さが20μm未満では耐低温衝撃性が十分に得られないことがあり、内容物である電池の電解液や、レトルト食品の液漏れが起こる懸念がある。また、トータル厚さが200μmを超えるとラミネート加工性が低下して製造コストが高くなるので、好ましくない。
また、本発明のポリプロピレン系複合フィルムの体積抵抗率は、1×1011~1×1014Ω・mの範囲であることが好ましい。電気絶縁性を要求される電池包装材では、体積抵抗率が1×1011Ω・m未満では絶縁性に劣り、電池性能が低下することがあり、1×1014Ω・mを超えると静電気が発生してラミネート加工性や、電池性能にも不具合が生じることがある。
上記、体積抵抗率を1×1011~1×1014Ω・mの範囲にするには、A層およびC層に脂肪酸アミド系滑剤を200~2000ppm含有し、B層に脂肪酸アミド系滑剤を500~5000ppm含有させることにより達成できる。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムは、A層面同士の130℃でのヒートシール強度が30N/15mm以上であり、160℃以上でのヒートシール強度が55N/15mm以上であることが、上記積層体を包装材として用いたときに、内容物保護において好ましい。
レトルト食品の包装材では低温シール性が求められ、A層面同士の130℃でのヒートシール強度が30N/15mm未満では、レトルト処理後に食品の内容物の漏れが生じることがある。また、160℃以上でのヒートシール強度が55N/15mm未満では、電池用包装材として用いたときに充放電時の熱による内圧上昇で電解液の漏れや、レトルト食品包装材として用いたとき、落袋試験でヒートシール部から液漏れが生じることがある。
本発明は、上記のような積層体からなる電池外装用包装袋とレトルト用包装袋についても提供する。
本発明のポリプロピレン系複合フィルムにおけるA層の反対側に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムおよびアルミニウム箔から選ばれる1つ以上がラミネートされた積層体からなる包装材についても提供する。
積層体の製造方法としては、積層体の構成フィルムに接着剤を用いて貼合わせる通常のドライラミネート法が好適に採用できるが、必要に応じて本発明のポリプロピレン系複合フィルムと基材層の貼合わせには直接接着性のポリオレフィン系樹脂を押出してラミネートする方法も採用できる。
上記ドライラミネート用接着剤としては特に限定されるものではないが、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとラミネートするときは、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上からなる第1液と、イソシアネートからなる第2液(硬化剤)とで構成される2液反応型接着剤などが挙げられる。また、アルミニウム箔とラミネートするときは、例えば、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、エラストマー系接着剤、フッ素系接着剤等により形成された接着剤層が挙げられる。中でも、アクリル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤を用いるのが好ましく、電池用包装材として用いたときに耐電解液性及び水蒸気バリア性を向上させることができる。
これら積層体は本発明のポリプロピレン系複合フィルムをシール層として、成型シート、平袋、スタンディングパウチなどの包装材に加工されて使用される。また、これら積層体の積層構造は、包装材の要求特性、例えば包装する食品の品質保持期間を満たすための密封性能、内容物の重量に対応できるサイズや耐低温衝撃性、耐電解液性などに応じて適宜選択される。
以下に、実施例について本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。また、各種物性値の測定方法、および評価方法を以下に示す。
(1)20℃キシレン不溶部と可溶部の含有量
ポリプロピレンペレット5gを沸騰キシレン(関東化学(株)製1級)500mLに完全に溶解させた後に、20℃に降温し、4時間以上放置する。その後、これを析出物と溶液とにろ過して可溶部と不溶部に分離した。可溶部は濾液を乾固して減圧下70℃で乾燥し、その重量を測定して含有量(重量%)を求めた。
(2)20℃キシレン可溶部と不溶部の極限粘度([η]Cxs、[η]Cxis)
上記(1)により可溶部と不溶部に分離したサンプルを用い、ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
(3)共重合体のエチレン含量
高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)616頁に記載されている方法により、赤外分光法で測定を行って求めた。
(4)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210(1999)に準拠し、プロピレン系ランダム共重合体およびプロピレン・エチレンブロック共重合体は温度230℃、低密度ポリエチレン系重合体は温度190℃で、それぞれ荷重21.18Nにて測定した。
(5)樹脂の融点
示差走査熱量計(島津製作所製 DSC-60)を用いて、20℃から10℃/分の速度で昇温し、250℃まで加熱した際の融解ピークの最も高いピーク温度を融点とした。
(6)樹脂の密度
JIS K7112(1999)に準拠し、密度勾配管による測定法で測定した。
(7)ヒートシール強度
電池用包装材においては、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(PET-BO)と厚さ15μmのナイロン6延伸フィルム(ONy)と両面を化成処理した厚さ40μmのアルミニウム箔と本発明のポリプロピレン系複合フィルムのB層またはC層とをウレタン系接着剤を用いて通常のドライラミネート法で貼合わせ、60℃で3日間エージングして、PET-BO/接着剤/ONy/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/本発明のポリプロピレン系複合フィルム(最外層A層面)の積層体(A)を得た。
また、レトルト包装材においては、厚さ12μmの延伸PETフィルムと厚さ15μmのONyフィルムと本発明のポリプロピレン系複合フィルムとをウレタン系接着剤を用いて通常のドライラミネート法で貼合わせ、40℃で3日間エージングして、PET-BO/接着剤/ONy/接着剤/本発明のポリプロピレン系複合フィルム(最外層A層面)の積層体(B)を得た。
電池用包装材の評価としては、上記積層体(A)を用いて、平板ヒートシーラーを使用し、A層面同士を重ねてシール温度160℃、シール圧力0.2MPa、 シール時間2秒の条件でヒートシールした後、15mm幅の短冊状に切断し、オリエンテック社製のテンシロンを使用して300mm/分の引張速度で、T型剥離法にてヒートシール強度を測定した。ヒートシール強度が、55N/15mm以上であれば(○)とし、55N/15mm未満を(×)とした。
また、レトルト包装材用の評価としては、上記積層体(B)を用いて、平板ヒートシーラーを使用し、A層面同士を重ねてシール温度130℃と160℃、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールした後、15mm幅の短冊状に切断し、130℃で30分間レトルト処理を行った後、オリエンテック社製のテンシロンを使用して300mm/分の引張速度で、T型剥離法にてヒートシール強度を測定した。130℃でのヒートシール強度が、30N/15mm以上であれば(○)とし、30N/15mm未満を(×)とした。また、160℃でのヒートシール強度が55N/15mm以上を(○)とし、55N/15mm未満を(×)として評価した。
(8)耐低温衝撃性
上記ヒートシール強度測定で作成したレトルト包装材用の積層体(B)を用いて、この積層体2枚を本発明のポリプロピレン系複合フィルム(A層面)が袋の内面になるようにして、富士インパルス社製CA-450-10型ヒートシーラーを使用し、加熱時間1.4秒、冷却時間3.0秒で、製袋サイズ150mm×285mmのスタンディングパウチを作成した。この袋に濃度0.1重量%の食塩水1Lを充填した後、135℃で30分レトルト処理する。レトルト処理後の袋を0℃で24時間冷蔵庫で保管した後、50cmの高さから平らな床面に落下させ(n数20個)、破袋に至るまでの回数を記録する。本評価法ではn数20個の平均値で破袋に至るまでの回数の平均が、30回以上を耐低温衝撃性良好(○)とし、30回未満を耐低温衝撃性不良(×)として評価した。
(9)耐ユズ肌性
上記ヒートシール強度測定で作成したレトルト包装材用の積層体(B)を用いて、この積層体2枚を本発明のポリプロピレン系複合フィルム(A層面)が袋の内面になるようにして、シール温度160℃、シール圧力0.2MPa、シール時間2秒の条件でヒートシールし、160mm×210mm(内部の寸法)の大きさの3方袋(平袋、シール幅5mm)を作成した。この袋に市販のレトルトカレー(ハウス食品工業社製のレトルトカレー「ククレカレー・辛口」)を充填した後、130℃で30分レトルト処理をした直後の積層体表面の凹凸発生状況を目視判定した。全く発生しないものをランクl、僅かに発生するものをランク2、軽度に発生するものをランク3、明確に発生するものをランク4、重度に発生するものをランク5として評価した。本評価法でランク1を耐ユズ肌性優良(◎)、ランク2を耐ユズ肌性良好(○)、ランク4、5を耐ユズ肌性不良(×)とした。
(10)耐折曲げ白化性
上記レトルト包装材用の積層体(B)を130℃で30分レトルト処理した後、東洋精機製作所製MIT屈曲試験器を用いて、サンプル幅10mm、屈曲角度135度(左右)、荷重5.04Nの条件で、100回屈曲した後、屈曲部の白化状況を目視判定した(n数5個)。全く白化しないものをランク1、僅かに白化するものをランク2、軽度に白化するものをランク3、明確に白化するものをランク4、白化して屈曲部が白くきつい線状となるものをランク5として評価した。本評価方法でランク1、2を耐折曲げ白化性良好(○)とし、ランク4、5を耐折曲げ白化性不良(×)とした。
(11)フィルム厚さおよび厚さ構成
フィルム厚さは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992)A-2法に準じて、フィルムの任意の10ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除してフィルム厚みとした。
また、積層フィルムの場合の各層の厚さは、積層フィルムをエポキシ樹脂に包埋しフィルム断面をミクロトームで切り出し、該断面を走査型電子顕微鏡で3,000倍の倍率で観察して、各層の厚みを算出した。
(12)静摩擦係数
本発明のポリプロピレン系複合フィルムのA層面同士、またはA層面とB層またはC層を重ねて用いて、JIS K7125(1999)に準じて測定を行った。
(13)体積抵抗率
JIS K6911(1995)に準じて、二重リング電極法(10~1016Ωの絶縁体の抵抗率測定)にて、円形電極の間で500Vを電極間に印加し、1分後の抵抗値を測定して求めた。
(14)工程通過性、絞り成型性
本発明のポリプロピレン系複合フィルムの製膜工程において、積層乱れおよび工程ロールの汚れや、上記(7)のヒートシール強度測定用サンプル作成用の積層体ラミネート工程において、工程ロールの汚れや皺の発生、また、絞り成型時の樹脂のはみ出し等をみて、下記の評価をした。
○:製膜工程、ラミネート工程でのロール汚れや皺等の発生がなく、外観良好な製品が得られ、絞り成型性も良好であった。
×:製膜工程、ラミネート工程でのロール汚れや皺等の発生、絞り成型時の樹脂のはみ出しがあった。
実施例および比較例のA層、B層、C層用の樹脂と滑剤として、下記を準備した。
(1)プロピレン系ランダム共重合体-1
MFR3.3g/10分、融点142℃のプロピレン・エチレンランダム共重合体(「EPC-1」と表示)。
(2)プロピレン系ランダム共重合体-2
MFR6.0g/10分の、融点138℃のプロピレン・エチレンランダム共重合体(「EPC-2」と表示)。
(3)プロピレン系ランダム共重合体-3
MFR12.0g/10分の、融点127℃のプロピレン・エチレンランダム共重合体(「EPC-3」と表示)。
(4)プロピレン系ランダム共重合体-4
MFR1.5g/10分の、融点132℃のプロピレン・エチレンランダム共重合体(「EPC-4」と表示)。
(5)プロピレン系ランダム共重合体-5
MFR5.0g/10分の、融点156℃のプロピレン・エチレンランダム共重合体(「EPC-5」と表示)。
(6)プロピレン・エチレンブロック共重合体-1
20℃キシレン可溶部10重量%、該可溶部の極限粘度[η]Cxs3.2dl/g、20℃キシレン不溶部90重量%、該不溶部の極限粘度[η]Cxis1.9dl/g、[η]Cxs/[η]Cxis=1.68のプロピレン・エチレンブロック共重合体(「BPP-1」と表示)。
(7)プロピレン・エチレンブロック共重合体-2
20℃キシレン可溶部10重量%、該可溶部の極限粘度[η]Cxs3.6dl/g、20℃キシレン不溶部90重量%、該不溶部の極限粘度[η]Cxis1.82dl/g、[η]Cxs/[η]Cxis=1.98のプロピレン・エチレンブロック共重合体(「BPP-2」と表示)。
(8)プロピレン・エチレンブロック共重合体-3
20℃キシレン可溶部20重量%、該可溶部の極限粘度[η]Cxs2.5dl/g、20℃キシレン不溶部80重量%、該不溶部の極限粘度[η]Cxis1.8dl/g、[η]Cxs/[η]Cxis=1.39のプロピレン・エチレンブロック共重合体(「BPP-3」と表示)。
(9)プロピレン・エチレンブロック共重合体-4
20℃キシレン可溶部20重量%、該可溶部の極限粘度[η]Cxs2.6dl/g、20℃キシレン不溶部80重量%、該不溶部の極限粘度[η]Cxis1.71dl/g、[η]Cxs/[η]Cxis=1.52のプロピレン・エチレンブロック共重合体(「BPP-4」と表示)。
(10)低密度ポリエチレン系重合体-1
密度0.921g/cm、MFR2.2g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(「LLDPE」と表示)。
(11)脂肪酸アミド系滑剤
脂肪酸アミド系滑剤として、エルカ酸アミドを用いた。
実施例1~5および比較例1~3では、表1に示すように、A層組成として、前記プロピレン系ランダム共重合体のEPC-1~EPC-5にエルカ酸アミドを混合した。B層組成として、20℃のキシレン可溶部[η]Cxsと不溶部[η]Cxisの比、[η]Cxs/[η]Cxisが1.68のプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP-1)と、低密度ポリエチレン系重合体として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、エルカ酸アミドを混合した。A層、B層それぞれ別々の押出機に供給して、A層/B層の2層共押出からなる無延伸ポリプロピレン系複合フィルムを作製した。それぞれの層の厚さは、5μm/35μmの合計40μmとした。
実施例6~9、比較例4~10では、表1に示すように、A層とC層組成として、プロピレン系ランダム共重合体のEPC-1にエルカ酸アミドを混合した。B層組成として、プロピレン・エチレンブロック共重合体のBPP-1またはBPP-2とLLDPEとプロピレン系ランダム共重合体のEPC-1を混合した樹脂組成に、エルカ酸アミドを混合した。A層、B層、C層それぞれ別々の押出機に供給して、A層/B層/C層の3層共押出からなる無延伸ポリプロピレン系複合フィルムを作製した。それぞれの層の厚さは、5μm/30μm/5μmの合計40μmとした。
実施例10では、A層/B層/C層を実施例6と同じ原料組成にして、それぞれの層の厚さを、10μm/60μm/10μmの合計80μmとした。
実施例11では、B層組成として、[η]Cxs/[η]Cxisが1.98のプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP-2)を用いた以外は、実施例6と同じ処方でA層/B層/C層の3層共押出からなる無延伸ポリプロピレン系複合フィルムを作製した。
表1に示すように、実施例1~5では、工程通過性、耐低温衝撃強度、耐折曲げ白化性、耐ユズ肌性に優れ、130℃と160℃のシール強度も充分なものであり、静摩擦係数は0.3以下で良好な滑り性のものであり、体積抵抗率も1×1011~1×1014Ω・mの範囲にあった。
実施例6~9では、A層/B層/C層の3層共押出からなる無延伸ポリプロピレン系複合フィルムとしたが、工程通過性、絞り成型性、耐低温衝撃性、耐折曲げ白化性、耐ユズ肌性に優れ、130℃と160℃のシール強度も充分なものであり、静摩擦係数は0.3以下で良好な滑り性のものであり、体積抵抗率も1×1011~1×1014Ω・mの範囲にあった。
また、実施例10では、トータル厚さを80μmとしたが、工程通過性、絞り成型性、耐低温衝撃性、耐折曲げ白化性、耐ユズ肌性に優れ、130℃と160℃のシール強度も充分なものであり、静摩擦係数は0.3以下で良好な滑り性のものであり、体積抵抗率は3.2×1012Ω・mであった。
実施例11では、B層組成として、[η]Cxs/[η]Cxisが1.98のプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP-2)を用いたが、工程通過性、絞り成型性、耐低温衝撃性、耐折曲げ白化性、耐ユズ肌性に優れ、130℃と160℃のシール強度も充分なものであり、静摩擦係数は0.3以下で良好な滑り性のものであり、体積抵抗率は7.0×1012Ω・mであった。
比較例1では、A層のMFRが10g/10分を超え、融点が130℃未満であるため、160℃でのヒートシール強度が低く、A層表層の滑剤ブリード量が少なく、A層面同士の静摩擦係数が高くて滑り性に劣り、工程通過性に劣るものであった。
比較例2では、A層のMFRが1.5g/10分と低いために、B層との均一積層性が悪くて製膜安定性に劣り、130℃でのヒートシール強度も低いものであった。
比較例3では、A層の融点が156℃と高いために、130℃および160℃でのヒートシール強度が低く、A層面同士の静摩擦係数も高くて滑り性に劣り、ラミネート工程時に皺が入り、工程通過性に劣るものであった。
比較例4では、A層へのエルカ酸アミドの含有量が150ppmと少ないために、A層表層の滑剤ブリード量が少なくて滑り性に劣り、ラミネート工程時に皺が入り、工程通過性に劣るものであった。
比較例5では、A層へのエルカ酸アミドの含有量が2500ppmと多いために、静摩擦係数が0.3以下であるものの滑剤の工程ロールへの付着があり、工程通過性に劣るものであった。また、A層の滑剤量が多いために130℃でのヒートシール強度も低いものであった。
比較例6では、LLDPEの配合量が多いために耐低温衝撃性に劣り、A層表層の滑剤ブリード量も少なくて滑り性に劣り、工程通過性に劣るものであった。
比較例7では、LLDPEの配合量が少ないために、耐折曲げ白化性と耐ユズ肌性に劣り、また、ヒートシール強度も低いものであった。
比較例8では、B層へのエルカ酸アミドの添加量が300ppmと少ないために、A層表層の滑剤ブリード量が少なく、滑り性に劣っていた。また、体積抵抗率も2.5×1015Ω・mと高いために静電気が発生して工程通過性に劣ったものあった。
比較例9では、B層のエルカ酸アミドの含有量が6000ppmと多いために、A層表層の滑剤ブリード量が多くなり過ぎて滑剤の工程ロールへの付着があり、また、ヒートシール強度が低くなり、体積抵抗率が3.5×1010Ω・mと低くなって電池用包装材として用いたときに絶縁性に劣ったものあった。
比較例10では、B層には主成分として、[η]Cxs/[η]Cxisが1.39のプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP-3)を用いた以外は、実施例6と同様にしてA層/B層/C層の3層共押出からなる無延伸ポリプロピレン系複合フィルムを作製した。それぞれの層の厚さは、5μm/30μm/5μmの合計40μmとした。[η]Cxs/[η]Cxisが1.6未満であるため、ヒートシールしたときにフィルムが潰れて薄膜化してヒートシール力が低下し、また、絞り成型時の加圧によって樹脂のはみ出しが見られた。
比較例11では、B層には主成分として、[η]Cxs/[η]Cxisが1.52のプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP-4)を用いた以外は、実施例6と同様にしてA層/B層/C層の3層共押出からなる無延伸ポリプロピレン系複合フィルムを作製した。[η]Cxs/[η]Cxisが1.6に近いが、絞り成型時の加圧によって樹脂のはみ出しが見られ、ヒートシール時に薄膜化してヒートシール強度も低いものであった。
実施例12~21および比較例12~15では、表1に示すように、A層組成として、前記プロピレン系ランダム共重合体のEPC-1~EPC-5にエルカ酸アミドを混合した。B層組成として、20℃のキシレン可溶部[η]Cxsと不溶部[η]Cxisの比、[η]Cxs/[η]Cxisが1.68のプロピレン・エチレンブロック共重合体(BPP-1)と、低密度ポリエチレン系重合体として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、スチレン・エチレンブチレン・スチレントリブロック共重合体(SEBS)または、ポリエチレン・エチレンブチレン・ポリエチレントリブロック共重合体(CEBC)と、エルカ酸アミドを混合した。A層、B層それぞれ別々の押出機に供給して、A層/B層の2層共押出からなる無延伸ポリプロピレン系複合フィルムを作製した。それぞれの層の厚さは、5μm/35μmの合計40μmとした。
実施例22~29、比較例16~21では、表1に示すように、A層とC層組成として、プロピレン系ランダム共重合体のEPC-1にエルカ酸アミドを混合した。B層組成として、プロピレン・エチレンブロック共重合体のBPP-1またはBPP-2とLLDPEとSEBSまたは、CEBCと、プロピレン系ランダム共重合体のEPC-1を混合した樹脂組成に、エルカ酸アミドを混合した。A層、B層、C層それぞれ別々の押出機に供給して、A層/B層/C層の3層共押出からなる無延伸ポリプロピレン系複合フィルムを作製した。それぞれの層の厚さは、5μm/30μm/5μmの合計40μmとした。
実施例30では、A層/B層/C層を実施例22と同じ原料組成にして、それぞれの層の厚さを、10μm/60μm/10μmの合計80μmとした。
表1に示すように、実施例12~21では、工程通過性、耐低温衝撃強度、耐折曲げ白化性がさらに優れ、130℃と160℃のシール強度も充分なものであり、静摩擦係数は0.3以下で良好な滑り性のものであり、体積抵抗率も1×1011~1×1014Ω・mの範囲にあった。
実施例22~29では、A層/B層/C層の3層共押出からなる無延伸ポリプロピレン系複合フィルムとしたが、工程通過性、絞り成型性、耐低温衝撃性、耐折曲げ白化性に優れ、130℃と160℃のシール強度も充分なものであり、静摩擦係数は0.3以下で良好な滑り性のものであり、体積抵抗率も1×1011~1×1014Ω・mの範囲にあった。
また、実施例30では、トータル厚さを80μmとしたが、工程通過性、絞り成型性、耐低温衝撃性、耐折曲げ白化性に優れ、130℃と160℃のシール強度も充分なものであり、静摩擦係数は0.3以下で良好な滑り性のものであり、体積抵抗率は3.2×1012Ω・mであった。
比較例12、13では、A層のMFRが10g/10分を超え、融点が130℃未満であるため、160℃でのヒートシール強度が低く、A層表層の滑剤ブリード量が少なく、A層面同士の静摩擦係数が高くて滑り性に劣り、工程通過性に劣るものであった。
比較例14では、A層のMFRが1.5g/10分と低いために、B層との均一積層性が悪くて製膜安定性に劣り、130℃でのヒートシール強度も低いものであった。
比較例15では、A層の融点が156℃と高いために、130℃および160℃でのヒートシール強度が低く、A層面同士の静摩擦係数も高くて滑り性に劣り、ラミネート工程時に皺が入り、工程通過性に劣るものであった。
比較例16では、A層へのエルカ酸アミドの含有量が150ppmと少ないために、A層表層の滑剤ブリード量が少なくて滑り性に劣り、ラミネート工程時に皺が入り、工程通過性に劣るものであった。
比較例17では、A層へのエルカ酸アミドの含有量が2500ppmと多いために、静摩擦係数が0.3以下であるものの滑剤の工程ロールへの付着があり、工程通過性に劣るものであった。また、A層の滑剤量が多いために130℃でのヒートシール強度も低いものであった。
比較例18では、B層のLDPE配合量が多いために耐低温衝撃性に劣り、A層表層の滑剤ブリード量も少なくて滑り性に劣り、工程通過性に劣るものであった。
比較例19では、B層のLLDPEの配合量が少ないために、耐折曲げ白化性に劣り、また、ヒートシール強度も低いものであった。
比較例20では、B層へのエルカ酸アミドの添加量が300ppmと少ないために、A層表層の滑剤ブリード量が少なく、滑り性に劣っていた。また、体積抵抗率も2.5×1015Ω・mと高いために静電気が発生して工程通過性に劣ったものあった。
比較例21では、B層のエルカ酸アミドの含有量が6000ppmと多いために、A層表層の滑剤ブリード量が多くなり過ぎて滑剤の工程ロールへの付着があり、また、ヒートシール強度が低くなり、体積抵抗率が3.5×1010Ω・mと低くなって電池用包装材として用いたときに絶縁性に劣ったものあった。
Figure 0007237827000001
Figure 0007237827000002
Figure 0007237827000003
Figure 0007237827000004
Figure 0007237827000005
Figure 0007237827000006
本発明のポリプロピレン系複合フィルムおよびそれを用いた包装材は、ヒートシール力が高く、易滑性に優れ、電池外装用途として好適に使用できるものである。また、本発明のポリプロピレン系複合フィルムおよびそれを用いた包装材は、易滑性および耐低温衝撃性、耐ユズ肌性に優れ、かつ、低温でのヒートシール強度が求められるレトルト食品の包装材料として、好適に使用できるものである。

Claims (14)

  1. 少なくともA層/B層の2層からなり、
    A層は、230℃でのメルトフローレートが2~10g/10分、融点が130~150℃のプロピレン系ランダム共重合体を主成分とし、
    B層は、20℃キシレンの可溶部の極限粘度[η]Cxsと同不溶部の極限粘度[η]Cxisの比([η]Cxs/[η]Cxis)が1.6以上であるプロピレン・エチレンブロック共重合体(a)100重量部に対して、低密度ポリエチレン系重合体(b)10~90重量部を配合した樹脂組成物を主成分とし、
    A層は脂肪酸アミド系滑剤を200~2000ppm含有し、
    B層は脂肪酸アミド系滑剤を500~5000ppm含有する
    リプロピレン系複合フィルムのA層側でない面に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムおよびアルミニウム箔からなる群から選ばれる少なくとも一つがラミネートされた積層体であって、
    130℃で30分レトルト処理した後、東洋精機製作所製MIT屈曲試験器を用いて、100回屈曲した後の耐折曲げ白化性ランク3以上である積層体。
  2. B層が、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)100重量部に対して、さらに、スチレン系ブロックを有するブロック共重合体、または、結晶性オレフィンブロックを有するブロック共重合体であるポリマー(c)5~20重量部を配合した請求項1に記載の積層体
  3. 前記B層のポリマー(c)が、スチレン・エチレンブチレン・スチレントリブロック共重合体である請求項1または2に記載の積層体
  4. 前記B層のポリマー(c)が、ポリエチレン・エチレンブチレン・ポリエチレントリブロック共重合体である請求項1または2に記載の積層体
  5. B層が、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)100重量部に対して、さらに、230℃でのメルトフローレートが2~10g/10分、融点が130~150℃のプロピレン系ランダム共重合体(d)10~50重量部を配合した請求項1~4のいずれかに記載の積層体
  6. 230℃でのメルトフローレートが2~10g/10分、融点が130~150℃のプロピレン系ランダム共重合体を主成分とし、脂肪酸アミド系滑剤を200~2000ppm含有するC層を積層したA層/B層/C層の3層積層からなる請求項1~5のいずれかに記載の積層体
  7. C層の厚さが1μm以上であり、トータル厚さが20~200μmの範囲にある、請求項6に記載の積層体
  8. A層の厚さが1μm以上であり、トータル厚さが20~200μmの範囲にある、請求項1~7のいずれかに記載の積層体
  9. 前記A層面同士の静摩擦係数が23℃、3日間エージング後で0.3以下である請求項1~8のいずれかに記載の積層体
  10. 前記A層面同士の静摩擦係数が60℃、3日間エージング後で0.3以下である請求項1~9のいずれかに記載の積層体
  11. 体積抵抗率が1×1011~1×1014Ω・mの範囲である、請求項1~10のいずれかに記載の積層体
  12. 前記ラミネートされた後のポリプロピレン系複合フィルムのA層面同士の130℃でのヒートシール強度が30N/15mm以上であり、160℃以上でのヒートシール強度が55N/15mm以上である、請求項に記載の積層体。
  13. 請求項または12に記載の積層体を用いた電池用包装材。
  14. 請求項または12に記載の積層体を用いたレトルト用包装材。
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