JP2001171057A - 積層フイルム - Google Patents

積層フイルム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐衝撃性、耐寒性を有し、且つ作業性のよい重
包装材料として好適な積層フイルムを提供する。 【解決手段】エチレン−αオレフィン共重合体とプロピ
レン−αオレフィン共重合体とよりなる、ポリオレフィ
ン組成物よりなる中間層の一方の面に、プロピレン−α
オレフィン共重合体層を、他方の面にプロピレンホモ重
合体をそれぞれ有する三層積層フイルムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂よりなる積層フイルムに関する。詳しくは、耐衝撃
性、耐寒性などに優れた重包装に適した積層フイルムに
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、重量物包装用のラミネートフイ
ルムは、ナイロンまたは直鎖状低密度エチレン−αオレ
フィン共重合体よりなるベースフイルムにエチレン−α
オレフィン共重合体よりなるシーラントフイルムをラミ
ネートしたフイルムが使用されている。しかしながら、
ナイロンフイルムは作業性に優れるが高価格であり、直
鎖状低密度エチレン−αオレフィン共重合体フイルムは
柔らかいため作業性が悪く、両フイルム共、使用が制限
されているのが現状である。
【0003】作業性を重視したフイルムとして、ポリプ
ロピレン系フイルムが提案されている。ポリプロピレン
系フイルムは、透明性、光沢、加工性が良好であるが、
耐寒性、耐衝撃性が劣るため寒冷地での使用が制限され
る。
【0004】そこで、耐寒性、耐衝撃性のある包装用フ
イルムが待望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、寒冷地な
どで十分使用に耐える安価な包装用フイルムを開発すべ
く、鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂の積
層体を用いて、耐衝撃性、耐寒性を確保し、作業性、加
工性の良好なフイルムを得るとの課題を解決し、本発明
を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、密
度0.9g/ml以下のエチレン−αオレフィン共重合
体5〜30重量%及び、プロピレン−αオレフィンラン
ダム共重合体70〜95重量%よりなるポリオレフィン
組成物の層(B層という)の一方の面にプロピレン−α
オレフィンレンダム共重合体よりなる層(A層という)
を、また他方の面にプロピレンホモ重合体よりなる層
(C層という)を有し、かつA層、B層及びC層の各厚
さの比(A層)/(B層)/(C層)が、1/2〜3.
5/0.5〜1.5である積層フイルムである。
【0007】本発明は、それ自体、上記期待に応えられ
るものであるが、通常接着性を向上させる目的で、A層
の表面にコロナ放電を施すなどにより、濡れ指数36mN
/m以上にすること、及び/または、A層表面に、シー
ラント層を設けるなどして用いられる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、ポリオレフィン系樹脂
によりなる積層フイルムであって、特に肥料、穀物、そ
の他の重量物を包装するための包装材料、とりわけこれ
らフイルムのベース層を構成するフイルムとして有用で
ある。
【0009】本発明の基本的構成は、密度が0.9g/
ml以下のエチレン−αオレフィン共重合体が5〜30
重量%とプロピレン−αオレフィンランダム共重合体が
70〜95重量%よりなるポリオレフィン組成物よりな
る層(B層という)の一方の面にプロピレン−αオレフ
ィンランダム共重合体の層(A層という)が存在し、B
層の他方の面には、プロピレンホモ重合体が存在する三
層構造よりなる。
【0010】A層を構成するプロピレン−αオレフィン
ランダム共重合体とは、プロピレン成分が50重量%よ
り多く含まれるものであり、好ましくは、プロピレン成
分が70重量%以上、更に好ましくは80〜95重量%
よりなるαオレフィンとの共重合体を意味する。また、
この場合のαオレフィンにはプロピレンは含まれない。
一般に、エチレン及び/又はブテン−1、ヘキセン−
1、オクテン−1、ノネン−1、等炭素数4〜12のα
オレフィンの一種または二種以上であり、特にエチレ
ン、ブテン−1の混合物が好ましい。A層を構成するプ
ロピレン−αオレフィンランダム共重合体は、一般に、
該αオレフィン成分は、3重量%以上、好ましくは5重
量%以上含まれており、融点が150℃以下である。
又、メルトフローレート(MFR)が2〜20g/10
分のものが好適に用いられる。
【0011】次いで、B層を構成する樹脂は、密度0.
9g/ml以下のエチレン−αオレフィン共重合体5〜
30重量%、プロピレン−αオレフィンランダム共重合
体70〜95重量%とよりなるポリオレフィン組成物で
ある。
【0012】ここで、エチレン−αオレフィン共重合体
とは、エチレン成分が50重量%よりも多く含まれる共
重合体であり、好ましくはエチレン成分が70重量%以
上含まれる。またエチレンと共重合しているαオレフィ
ンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、
4−メチルペンテン−1、オクテンなど炭素数3〜12
のαオレフィン類の一種又は二種以上であり、好ましく
は、炭素数4〜8のαオレフィンである。これらのαオ
レフィン成分は、少なくとも3重量%以上、好ましくは
5重量%以上共重合体に含まれる。該エチレン−αオレ
フィン共重合体の特徴は、密度が0.9g/ml以下、
好ましくは0.9〜0.86g/mlの範囲内にあるこ
とである。
【0013】また、プロピレン−αオレフィン共重合体
は、A層に用いられるものと同じものでよく、好ましく
はαオレフィン成分が5〜20重量%の共重合体で、M
FRが2〜20g/10分、ビガット軟化点が60〜1
10℃程度である。
【0014】B層におけるエチレン−αオレフィン共重
合体の混合割合は、5〜30重量%である。該共重合体
が5重量%未満では耐衝撃性、耐寒性が劣る。
【0015】また、30重量%を超えると引張弾性率が
不足する。更に、エチレン−αオレフィン共重合体とプ
ロピレン−αオレフィンランダム共重合体との混合方法
は特に限定されず、タンブラー、ヘンシェルミキサー等
により粉体で混合し、エクストルーダーを用いて一体化
する方法やバンバリーミキサーなどが一般に用いられ
る。或いは、エチレン−αオレフィンの共重合反応に続
いて、プロピレン−αオレフィンの重合を行う2段重合
法によって、共重合組成物を得ることも出来る。この方
法は、両共重合体とも、エチレンとプロピレンを成分と
して含む共重合体の組合せの場合、特に好適に採用出来
る。
【0016】C層を構成する樹脂は、プロピレンホモ重
合体である。特に、融点が150℃以上となる高結晶性
ポリプロピレンが好ましい。しかしながら、エチレン等
の他のαオレフィンを、3重量%以下、好ましくは1重
量%以下程度含まれることは許容される。また、該プロ
ピレンホモポリマーは、MFRが2〜20g/10分程
度のものが好ましい。
【0017】本発明において、C層を設けることによ
り、所謂、腰の強い、加工性及び作業性に優れた重包装
用に適したフイルムとすることが出来る。
【0018】本発明においては、A層/B層/C層の順
に積層されていることが重要である。すなわちB層が表
面に存在する態様では、得られた積層フイルムのブロッ
キング性が増大し、製袋性が悪くなり、更に表面が傷つ
きやすくなるなど不利となる。
【0019】本発明においては、耐衝撃性、耐寒性、及
び作業性のバランスを保つ意味から、A層/B層/C層
の厚さの比は、1/2〜3.5/0.5〜1.5の割合
とするのがよい。すなわち、A層の厚さ1に対して、B
層の厚さが2以下では、耐衝撃性、耐寒性の保持が困難
となり、3.5を超えるとフイルムの高引張弾性率の保
持が困難となる。また、C層についても同じく0.5以
下ではフイルムが柔軟化し、腰が弱くなり、1.5以上
では、かえって耐衝撃性や耐寒性を損なう。
【0020】また、本発明の積層フイルムの全体の厚さ
は特に制限されない。一般に穀物、特に精米等の重量物
の包装用として、それら内容物の重量に耐える強度を勘
案して決めれば良い。一般には、10〜50μm程度が
採用される。
【0021】また、本発明の三層積層フイルムは、一般
に重包装用として、製袋用に用いられる。このため、表
面への印刷や熱融着性をさらに改良するために、A層側
の面をコロナ放電処理、火焔処理などの表面活性化処理
を施すことも有効である。この場合の処理の程度は、A
層表面の濡れ指数が36mN/m以上となることを目途
とする。すなわち、濡れ指数が36mN/mより小さい
場合には、処理の効果が期待できない。また、処理の程
度の上限は特になく、使用する装置の能力によって定ま
るが、濡れ指数を必要以上に大きくしても何等意味を持
たないし、返って、フイルムの強度等を劣化させること
になる。一般には、濡れ指数は、50mN/m以下で十
分目的を達することができる。
【0022】更に、融着など接着性を向上させるため
に、A層表面に表面活性化処理を施した後または施すこ
となく、所謂シーラント層を成形させ、4層構造の積層
フイルムとすることもできる。特に、重包装用の袋など
とする場合には、一層破袋し難いなどの利点があり、有
効である。
【0023】シーラント剤としては、A層を構成する樹
脂より更に融点の低い樹脂、例えば、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−ブテン-1共重合体、エチレ
ン−プロピレン−ブテン-1共重合体、或いはそれらに
カルボン酸基、無水カルボン酸基等の極性基を導入した
樹脂(一般にエラストマー)など公知のシーラント剤が
用いられる。
【0024】また、本発明の積層フイルムは、その任意
層或いは全層を構成する樹脂に、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、帯電防止剤、顔料、アンチブロッキング剤、その
他、公知のフイルムへの添加剤を添加することができ
る。
【0025】次に、本発明の積層フイルムの製造方法
は、特に、制限されるものではなく、従来公知の積層フ
イルムの製造手段が適応される。一般には、三層共押出
しにより製造されるが、まずB層を構成するフイルムを
押出し、これにA層、C層を、その前後を問わないが、
順次押出しラミネートする方法を用いることもできる。
また、例えばC層を押出し、一軸またはニ軸に延伸し、
これにB層、A層を順次ラミネートすることも可能であ
る。この場合の延伸手段は公知の方法が採用される。
【0026】
【実施例】以下に、実施例、比較例を示し、本発明を具
体例により説明する。実施例において用いられたフイル
ムの製造条件及び物性の測定方法は次の通りである。
【0027】製膜機:三層共押出製膜機 (A層) 50mm押出機 (B層) 75mm押出機 (C層) 50mm押出機 Tダイ マルチマニホールドタイプ ダイ幅 1200mm チルロール温度 20℃ 押出温度 230℃ ダイ温度 240℃ コロナ放電処理強度(A層) 29W・min./m2 フイルム厚み 25ミクロン フイルム性能試験 ヘイズ: JIS K7105 引張弾性率: JIS K7127 衝撃強度 : JIS P8134 実施例1 A層用原料として、MFR6.5g/10分、融点14
1℃、エチレン含有量9.0重量%、ブテン-1含有量
3.0重量%のαオレフィンが、エチレンとブテン-1
であるプロピレン−αオレフィンランダム共重合体を用
いた。
【0028】B層用原料として、A層用に用いた原料9
0重量%に、MFR3.0g/10分、密度0.875
g/mlの、エチレン−オクテン共重合体10重量%を
配合した。
【0029】C層用原料は、MFR8.0g/10分、
融点159℃のプロピレンホモ重合体を用いた。
【0030】層構成比が、A層/B層/C層:1/2/
1で共押出し、全層厚み25μの三層フイルムを得た。
得られたフイルムの物性を測定し性能評価を行った。結
果を表1に示す。
【0031】実施例2 実施例1の構成比を、A層/B層/C層:1/2.5/
1とする以外は実施例1と同様に行った。フイルム性能
を評価、結果を表1に示す。
【0032】実施例3 実施例1の層構成比を、A層/B層/C層:1/3/1
とする以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示
す。
【0033】実施例4 実施例1のB層原料配合比を、A層に用いた原料を80
重量%と、MFR1.6g/10分、密度0.895g
/ml、αオレフィンがオクテンである、エチレン−α
オレフィン共重合体を、20重量%にする以外、実施例
1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0034】比較例1 実施例1のB層を、A層使用のプロピレン−αオレフィ
ンランダム共重合体の変更する以外、実施例1と同様に
行った。結果を表2に示す。
【0035】比較例2 実施例1の全層に、A層原料であるプロピレン−αオレ
フィンランダム共重合体に変更する以外、実施例1と同
様に行った。結果を表2に示す。
【0036】比較例3 実施例1の層構成比が、A層/B層/C層:1/1/1
に変更する以外、実施例1と同様の行った。結果を表2
に示す。
【0037】比較例4 実施例1のA層に、C層原料であるプロピレンホモ重合
体に変更する以外、実施例1と同様の行った。結果を表
2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【発明の効果】本発明は、中間にエチレン−αオレフィ
ン共重合体とプロピレン−αオレフィンランダム共重合
体とが、特定の比率で混合されたポリオレフィン組成物
層が存在し、その一方の面にプロピレン−αオレフィン
共重合体、他方の面にプロピレンホモポリマーが存在す
る三層積層フイルムとすることにより、耐衝撃性、耐寒
性の良好な、しかも作業性の良い透明性を有するフイル
ムであって、特に寒冷地等で有効に使用し得る重包装用
の材料に適するフイルムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E086 AD01 BA04 BA15 BB42 BB51 BB85 BB90 CA16 4F100 AK04J AK07 AK07C AK07J AK08J AK09J AK62 AK62A AK65 AK66 AK66A AK66B AL03A AL03B AR00D BA03 BA04 BA10B BA10C BA10D BA15 EH20 GB15 JA04D JA13A JA20A JA20B JB04B JJ04 JK02 JK07 JK10 JK14B JL02 JL12D JN01 YY00A YY00B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密度0.9g/ml以下のエチレン−αオ
    レフィン共重合体5〜30重量%、及びプロピレン−α
    オレフィンランダム共重合体95〜70重量%よりなる
    ポリオレフィン組成物の層(B層という)の一方の面に
    プロピレン−αオレフィンランダム共重合体よりなる層
    (A層という)を、又他方の面にプロピレンホモ重合体
    よりなる層(C層という)を有し、かつA層、B層及び
    C層の各厚さの比(A層)/(B層)/(C層)が、1
    /2〜3.5/0.5〜1.5である積層フイルム。
  2. 【請求項2】A層の表面濡れ指数が36mN/m以上で
    ある請求項1記載の積層フイルム。
  3. 【請求項3】A層の表面に該A層を構成する共重合体よ
    りも融点の低いシーラント層を有する請求項1または2
    記載の重包装用積層フイルム。
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