JP7223242B2 - エレクトロクロミックデバイス、及び、それを用いた電子機器 - Google Patents
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Description
このような調光デバイスにおいては、透明状態(消色状態)と発色状態において高いコントラスト比を実現することが重要である。そのためには、一対の電極のうち片方には酸化型エレクトロクロミック材料を含む層を形成し、他方には還元型エレクトロクロミック材料を含む層を形成した構成にすることが好ましい。デバイスに電気を印加した際に、酸化型エレクトロクロミック材料と還元型エレクトロクロミック材料が共に発色することで、より濃い発色濃度が得られるからである。
エレクトロクロミックデバイスは与える電圧/電流値により濃度を制御し、階調表現できることが知られており、階調に対する駆動方法や、発消色の応答性向上に対する駆動方法については、これまでも様々な検討がなされている。
有機デバイスであるエレクトロクロミックデバイスの重要課題の一つは、各種劣化を抑制し、耐久性、信頼性を向上させることである。光照射による材料の酸化劣化などの機構は、かなり明快にそのメカニズムがわかっているが、デバイス駆動に伴う劣化はその実体がよくわからないのが実状である。
エレクトロクロミックデバイスは、通常の有機デバイスと同様、信頼性(製品寿命)は、連続駆動時間や、温度、光などの動作環境に大きく依存している。
しかし、従来のエレクトロクロミックデバイスの駆動方法は、発消色速度の向上や、低消費電力化など、機能向上を目的としたものが殆どである。
そこで、本発明では、エレクトロクロミックデバイスの機能が経年(例えば、製品保証期間の間)で大きく低下しないように、信頼性を確保するための駆動方法を提案する。
具体的には、例えば、電気の印加により発色状態にあるエレクトロクロミックデバイスに対して、基本機能の低下を招くような、過度な連続駆動が行われた場合、動作保証外の高温下にさらされた場合、動作保証外の強い光が当たった場合等には、継続的に発色状態が要求されている状態であって、強制的に消色状態に移行させ、エレクトロクロミックデバイスの信頼性を確保する。
他方、酸化還元材料が中性状態である消色状態は、透明で安定であるため、発色状態に対して、耐久性、信頼性は優れている。
電気により可逆的に発消色を制御できるエレクトロクロミックデバイスであって、
電気の印加により消色するタイプの場合は、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度のデータと、消色状態の連続経過時間及び/又は周囲の照度のデータとに基づいて、少なくとも下記f1の機能を制御し、
電気の印加により発色するタイプの場合は、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度のデータと、発色状態の連続経過時間及び/又は周囲の照度のデータとに基づいて少なくとも下記f2の機能を制御するエレクトロクロミックデバイス。
f1:最大消色状態への移行を制限する機能
f2:最大発色状態への移行を制限する機能
本発明者等は、発消色状態を適正に管理することが、エレクトロクロミックデバイスの耐久性、信頼性を確保する上で最も重要であることを見出した。本発明は、エレクトロクロミックデバイスの発消色時の環境温度、照度、連続発色時間等の発消色状態の管理を適正に行うことで、耐久性、信頼性を確保したエレクトロクロミックデバイスを提供するものである。
以下、各実施形態について説明する。
(1)第1の実施形態
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、電気により可逆的に発消色を制御できるエレクトロクロミックデバイスであって、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度、発色状態の連続経過時間、消色状態の連続経過時間及び周囲の照度よりなる群から選ばれる少なくとも1つのデータに基づいて下記f1の機能及び/又はf2の機能を制御するエレクトロクロミックデバイス。
f1:発色状態に移行させる手段、及び/又は、消色状態への移行を制限する機能
f2:消色状態に移行させる手段、及び/又は、発色状態への移行を制限する機能
なお、酸化型エレクトロクロミック材料、及び、還元型エレクトロクロミック材料とは、化合物単体であっても、発消色機能、メモリー性などを確保する上で必要な各種材料とを含む組成物であっても良い。
本実施形態エレクトロクロミックデバイスは電気により可逆的に発消色を制御できるエレクトロクロミックデバイスであって、電気の印加による酸化により発色する酸化型エレクトロクロミック材料、及び/又は、電気の印加による還元により発色する還元型エレクトロクロミック材料が用いられており、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させる機能、発色状態を消色状態に移行させる機能、消色状態から発色状態への移行を制限する機能、消色状態から最大発色状態への移行を禁止する機能、の少なくとも1つを備えたエレクトロクロミックデバイス。
(3)第3の実施形態
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは上記第2の実施形態において、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、発色制限温度をメモリーする手段とを備え、発消色の状態に応じて下記f3の制御及び/又はf4の制御を行うエレクトロクロミックデバイスである。
f3:消色状態にあり、動作環境が発色制限温度を超えている場合は、消色状態から発色状態への移行を制限する制御
f4:発色状態にあり、動作環境が発色制限温度を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させる制御
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、上記第2の実施形態において、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、発色濃度に応じた発色制限温度をメモリーする手段とを備え、発消色の状態に応じて下記f5の制御及び/又はf6の制御を行うエレクトロクロミックデバイスである。
f5:消色状態にある場合、動作環境温度が発色制限温度を超えている発色濃度への移行を制限する制御
f6:発色状態にある場合で、動作環境温度が発色制限温度を超えた場合は、当該動作環境温度において発色制限温度を超えない発色濃度へ移行させる制御
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは上記第2の実施形態において、エレクトロクロミックデバイスが、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために連続的、又は、間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、連続して発色状態にある時間を計測する手段と、発色濃度にかかわらず連続した発色状態を許可する上限時間をメモリーする手段とを備え、連続して発色状態にある時間が、連続した発色状態を許可する上限時間を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させるエレクトロクロミックデバイスである。
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、上記第2の実施形態において、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、連続して発色状態にある時間を計測する手段と連続した発色状態を許可する上限時間をエレクトロクロミックデバイスの動作環境温度ごとにメモリーする手段とを備え、連続して発色状態にある時間が、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度に対応した、連続した発色状態を許可する上限時間を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させるエレクトロクロミックデバイスである。
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、上記第2の実施形態において、エレクトロクロミックデバイスが、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために連続的、又は、間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、連続して発色状態にある時間を計測する手段と連続した発色状態を許可する上限時間をエレクトロクロミックデバイスの動作環境温度ごとにメモリーする手段とを備え、連続して発色状態にある時間が、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度に対応した、連続した発色状態を許可する上限時間を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させるエレクトロクロミックデバイスである。
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、上記第2の実施形態において、エレクトロクロミックデバイスが、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、連続した発色状態を維持するために電気を印加した回数を計測する手段と、連続した発色状態を許可する電気印加回数の上限値をエレクトロクロミックデバイスの動作環境温度ごとにメモリーする手段とを備え、連続した発色状態を維持するために電気を印加した回数が、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度に対応した、連続した発色状態を許可する電気印加回数の上限値を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させるエレクトロクロミックデバイスである。
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、上記第2の実施形態において、エレクトロクロミックデバイスが、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために連続的、又は、間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、エレクトロクロミックデバイス周囲の照度を取得する手段と、連続して発色状態にある時間を計測する手段と、連続した発色状態を許可する上限時間をエレクトロクロミックデバイスの動作環境温度と照度の組合せごとにメモリーする手段とを備え、連続して発色状態にある時間が、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度と照度に対応した、連続した発色状態を許可する上限時間を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させるエレクトロクロミックデバイスである。
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、上記第2の実施形態において、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、エレクトロクロミックデバイス周囲の照度を取得する手段と、連続した発色状態を維持するために電気を印加した回数を計測する手段と、連続した発色状態を許可する電気印加回数の上限値をエレクトロクロミックデバイスの動作環境温度と照度の組合せごとにメモリーする手段とを備え、連続した発色状態を維持するために電気を印加した回数が、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度と照度に対応した、連続した発色状態を許可する電気印加回数の上限値を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させるエレクトロクロミックデバイスである。
本発明の耐久性、信頼性を確保するための手段を有効に活用するために、上記第12~14の実施形態で好ましく用いることのできる材料、デバイス構成を提供する。
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、上記第2の実施形態乃至第10の実施形態のいずれかのエレクトロクロミックデバイスである。このエレクトロクロミックデバイスは、間隔を置いて互いに対向して設けられ、少なくともいずれか一方が透明である第1および第2の支持体と、前記第1および前記第2の支持体に各々対向するように設けられ、少なくともいずれか一方が透明である第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極の前記第2の電極側の面に設けられた、酸化型エレクトロクロミック化合物と酸化型エレクトロクロミック組成物の何れか一方又は双方を含む第1のエレクトロクロミック層と、前記第2の電極の前記第1の電極側の面に設けられた、還元型エレクトロクロミック化合物と還元型エレクトロクロミック組成物の何れか一方又は双方を含む第2のエレクトロクロミック層と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた電解質とを有する。
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、上記第11の実施形態において、前記第1のエレクトロクロミック層が、トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を有する。これにより発消色速度に優れ、メモリー性の高いエレクトロクロミックデバイスを実現することができる。
本実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、第2のエレクトロクロミック層が半導体性金属酸化物微粒子を含む。
このように、半導体性金属酸化物微粒子に有機エレクトロクロミック材料を担持した構造のように、半導体性金属酸化物微粒子を第2のエレクトロクロミック層に用いることで、発消色速度や発色濃度に優れたエレクトロクロミックデバイスを実現することができる。
本実施形態は、上記第2の実施形態乃至第13の実施形態のエレクトロクロミックデバイスが、眼鏡のレンズとして組み込まれた電子調光眼鏡に係るものである。
本実施形態は、上記第2の実施形態乃至第13の実施形態のエレクトロクロミックデバイスが、拡張現実眼鏡の遮光フィルターとして組み込まれた拡張現実眼鏡に係るものである。
本実施形態は、上記第2の実施形態乃至第13の実施形態のエレクトロクロミックデバイスが、カメラ、又は、ビデオ用のNDフィルターとして組込まれたカメラ、又は、ビデオに係るものである。
カメラ、又は、ビデオ用のNDフィルターでは、透明性が非常に求められるが、上記第12の実施形態乃至第14の実施形態の材料、デバイス構造により、消色状態の透過率を非常に高くとることができる(例えば、80%以上)。
カメラ、ビデオは携帯端末、PC等に内蔵されるものであってもよく、カメラ、ビデオそのものだけでなく、搭載される商品の一機能であっても構わない。
本実施形態は、上記第2の実施形態乃至第13の実施形態のエレクトロクロミックデバイスが、眼鏡のレンズとして組み込まれた電子調光眼鏡であって、テンプル部が折りたたまれた際に(図3参照)、瞬時に、又は、一定の時間経過後に、消色状態に移行させる電子調光眼鏡に係るものである。
また、磁気センサ以外に、折りたたみ部の近くにピン状の突起やレバーが出ていて、それが折りたたみ検知スイッチを押すようなメカニカルな機構であっても良い。
本実施形態は、上記第2の実施形態乃至第13の実施形態のエレクトロクロミックデバイスが、エレクトロクロミックデバイスが、眼鏡のレンズとして組み込まれた電子調光眼鏡であって、電子調光眼鏡の着用状態を検知する手段を有し、該検知手段により、正常な着用状態でないと判断された場合に、瞬時に、又は、一定の時間経過後に、消色状態に移行させる電子調光眼に係るものである。
本実施形態は上記第2の実施形態乃至第13の実施形態のエレクトロクロミックデバイスが、拡張現実眼鏡の遮光フィルターとして組み込まれた拡張現実眼鏡であって、拡張現実眼鏡の着用状態を検知する手段を有し、該検知手段により、正常な着用状態でないと判断された場合に、瞬時に、又は、一定の時間経過後に、消色状態に移行させる拡張現実眼鏡に係るものである。
本実施形態は上記第2の実施形態乃至第13の実施形態のエレクトロクロミックデバイスが、カメラ、又は、ビデオ用の電子NDフィルターとして組み込まれたカメラ、又は、ビデオであって、カメラ、又は、ビデオの撮影終了時に、瞬時に、又は、一定の時間経過後に、電子NDフィルターを消色状態に移行させるカメラ、又は、ビデオに係るものである。
なお、NDフィルター(Neutral Densityフィルター)は、入射光量を減少させるフィルターである。
エレクトロクロミックデバイス周囲の照度を取得する手段は、一般的な照度センサを用いることができるが、太陽電池もセンサとして利用することが可能である。
図1A~図1Cは、本実施の形態に係るエレクトロクロミックデバイス10を例示する断面図である。
図1Aに示すエレクトロクロミックデバイス10は、支持体1及び第1の電極3と、これらに対して間隔をおいて対向して設けられた支持体2及び第2の電極4と、両電極間に電解質層5とを備えている。各層は封止材9によって封止される。
また、図1B、図1Cに示すものは更に絶縁性多孔質層8を設けたものである。
絶縁性多孔質層は、第一の電極3と第二の電極4とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
絶縁性多孔質層の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性、及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料、無機材料、又はそれらの複合体が好ましい。
前記絶縁性多孔質層の形成方法としては、例えば、焼結法(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法などが挙げられる。
本発明者等は、上述の構成により、透過率や色変化のコントラストに優れ、消費電力が少なく、耐久性に優れたデバイスを得られることを知見した。
これは、本発明で好適に用いられるエレクトロクロミックデバイスでは、電荷担体の活性種を生成し、これらが発色という機能を発現させており、この発色という機能が発現するとともに、場合によって、機能発現の過程と協奏して副反応を起こし劣化を誘起するためであり、この副反応が温度によって加速されることが一因と考えられる。
これにより、透過率や色変化のコントラストに優れ、消費電力が少ないという特徴を長期に維持できる、耐久性、信頼性に優れたデバイスを得ることができた。
以下、エレクトロクロミックモジュールの各構成要素について詳述する。
前記支持体は、第1の電極、第1のエレクトロクロミック層、第2の電極、第2のエレクトロクロミック層を支持する機能を有する。
前記支持体としては、各層を支持できる透明材料であれば、公知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
前記支持体としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板を用いることができる。
なお、前記支持体に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
前記支持体は複数の重ね合わせでもよく、例えば、2枚のガラス基板でエレクトロクロミックデバイスを挟持する構造にすることで、水蒸気バリア性及びガスバリア性を高めることが可能である。
なお、本発明において、前記レンズとは、度数(屈折率)の調整がされていないもの(単なるガラス板等)も含むものとする。
第1の電極3及び第2の電極4の材料としては、特に制限されず通常用いられる導電体を用いることができる。前述のように、第1の電極3と第2の電極4のうち少なくとも一方は透明電極であるが、透明電極については導電性を有する透明材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称する場合がある)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する場合がある)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する場合がある)、酸化亜鉛等の無機材料等を用いることができる。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In2O3、ZnOが好ましい。
例えば、第1の電極3及び第2の電極4の材料としてITOを用いた場合、第1の電極123第2の電極4の夫々の平均厚みは、50nm以上500nm以下程度とすることが好ましい。
前記第1のエレクトロクロミック層に用いる、酸化反応によって着色を呈する材料としては、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含む第1のエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物であることが、重合物の溶解性及び耐久性の点からより好ましい。
前記第1のエレクトロクロミック組成物は、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含有し、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物以外の他のラジカル重合性化合物を含有することが好ましく、重合開始剤を含有することがより好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物は、第1の電極の表面において酸化還元反応を有するエレクトロクロミック機能を付与するために重要である。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
[一般式2]
前記一般式2及び前記一般式3における前記一価の基としては、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい複素環基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メトキシフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基などが挙げられる。
前記置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
前記ラジカル重合性官能基とは、炭素-炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であればいずれでもよい。
前記ラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1-置換エチレン官能基、1,1-置換エチレン官能基等が挙げられる。
前記一般式(i)のアリーレン基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記一般式(i)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2-メチル-1,3-ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記一般式(ii)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、α-塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α-シアノエチレン基、α-シアノアクリロイルオキシ基、α-シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。
前記ラジカル重合性官能基の中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
前記一価の有機基及び前記ラジカル重合性官能基としては、前記一般式(1)と同じものが挙げられる。
前記一般式(1)、及び前記一般式(1-1)から(1-3)で表される例示化合物としては、以下に示すものが挙げられる。前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物はこれらに限定されるものではない。
前記他のラジカル重合性化合物は、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なり、少なくとも1つのラジカル重合性官能基を有する化合物である。
前記他のラジカル重合性化合物としては、例えば、1官能のラジカル重合性化合物、2官能のラジカル重合性化合物、3官能以上のラジカル重合性化合物、機能性モノマー、ラジカル重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、2官能以上のラジカル重合性化合物が特に好ましい。
前記他のラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基としては、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基と同様であり、これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物及び前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物の少なくともいずれか一方がラジカル重合性官能基を2つ以上有していることが、架橋物を形成する点から好ましい。
前記含有量が、10質量%以上であると、第1のエレクトロクロミック層のエレクトロクロミック機能が充分に発現でき、加電圧による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。
前記第1のエレクトロクロミック組成物は、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物との架橋反応を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を含有することが好ましい。
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられるが、重合効率の観点から光重合開始剤が好ましい。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2-ジメチルアミノ)エチル、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、前記ラジカル重合性化合物の全量100質量部に対して、0.5質量部以上40質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、可塑剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、フィラーなどが挙げられる。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を重合した重合物を含む第1のエレクトロクロミック層は、以下に示す第1のエレクトロクロミック層の形成方法により形成することができる。
前記第1のエレクトロクロミック層の形成方法は、塗布工程を含み、架橋工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記塗布工程は、前記第1の電極上に、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物とを含むエレクトロクロミック組成物を塗布する工程である。
前記塗布は、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などにより行うことができる。
前記架橋工程は、塗布した第1のエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程である。
前記第1の電極上に第1のエレクトロクロミック組成物を塗布後、外部からエネルギーを与え、硬化させて、第1のエレクトロクロミック層を形成する。
前記外部エネルギーとしては、例えば、熱、光、放射線などが挙げられる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上170℃以下が、好ましい。
前記光のエネルギーとしては、主に紫外光(UV)に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
UVの照射光量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mW/cm2以上15,000mW/cm2以下が好ましい。
前記第2のエレクトロクロミック層に用いる、還元反応によって透明から着色を呈するエレクトロクロミック材料としては、例えば、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビオロゲン系化合物としては、例えば、特許第3955641号公報、特開2007-171781号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記ビオロゲン系化合物は、後述するように酸化チタン粒子と組み合わせて用いることが好ましい。このように酸化チタン粒子と組み合わせて用いることにより、高い光学的濃度及び高コントラスト比を維持できるという利点がある。
前記ジピリジン系化合物としては、例えば、特開2007-171781号公報、特開2008-116718号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記一般式(4)において、n、m、及びlは、0、1又は2を表す。A、B、及びCは、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
このような構造では、微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック表示デバイスと比較して高速応答が可能となる。更に、微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック色素の高い発色濃度を得ることができる。また、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。
これらの中でも、電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性の点から、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンが特に好ましい。
前記エレクトロクロミック層及び導電性又は半導体性微粒子層は真空製膜により形成することも可能であるが、生産性の点で粒子分散ペーストとして塗布形成することが好ましい。
前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に充填されている。
前記電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができ、具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2などが挙げられる。
前記有機のイオン性液体の分子構造として、カチオン成分としては、例えば、N,N-ジメチルイミダゾール塩、N,N-メチルエチルイミダゾール塩、N,N-メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N-ジメチルピリジニウム塩、N,N-メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム系などが挙げられる。
また、アニオン成分としては、大気中での安定性を考慮して、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましく、例えば、BF4 -、CF3SO3 -、PF4 -、(CF3SO2)2N-などが挙げられる。
前記イオン性液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかに直接溶解させてもよい。なお、溶解性が悪い場合は、少量の溶媒に溶解させて、該溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかと混合して用いればよい。
固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持することが好ましい。これにより高いイオン伝導度と固体強度が得られるためである。
更に、前記ポリマー樹脂としては光硬化可能な樹脂が好ましい。熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間でエレクトロクロミックデバイスを製造できるためである。
前記電解質からなる電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以上100μm以下が好ましい。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2-ジメトキシエタン、1,2-エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、絶縁性多孔質層、封止材などが挙げられる。
前記絶縁性多孔質層、第1の電極と第2の電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
前記絶縁性多孔質層の材料としては、透明で多孔質であればよく特に限定されるものではないが、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
前記絶縁性多孔質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上3μm以下が好ましい。
エレクトロクロミックデバイス1において、貼り合せた各層の側面を封止する封止材を設けることが好ましい。封止材を設けることにより、電解質の漏洩を防ぐ効果や、大気中の水分や酸素等のエレクトロクロミックデバイス1が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐ等の効果を奏する。封止材としては特に限定されず、例えば、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、実施例中において使用する「部」は、すべて質量部を表わす。
本実施例は実施形態1実施形態3に対応するものである。
まず、第一の支持体であるガラス基板上に、第一の電極であるITOが形成されたITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)を準備した。そして、ポリエチレングリコールジアクリレート(日本化薬、PEG400DA)と、光開始剤(BASF、IRGACURE184)と、下記構造式で表される化合物Aと2-ブタノンを質量比(57:3:140:800)で混合した溶液を調整した。その後、調整した溶液をITOガラス基板上にスピンコート法により塗布し、窒素雰囲気下でUV硬化させて第1の電極上に構造式Aで表される化合物を含む厚み1.1μmの第1のエレクトロクロミック層を形成した。
次に、第1のエレクトロクロミック層上に平均一次粒径20nmのSiO2微粒子分散液(シリカ固形分濃度24.8質量%、ポリビニルアルコール1.2質量%、及び水74質量%)をスピンコート法にて塗布し、絶縁性多孔質層を形成した。形成した絶縁性多孔質層の厚みは約2μmであった。
まず、第2の支持体であるガラス基板上に、第2の電極であるITOが形成されたITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)を準備した。そして、第2の電極13上に、酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布した。そして、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
電解液: 1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(Sigma-Aldrich社製)
以上によりエレクトロクロミックデバイスを作製した。
また、初期の発消色機能の確認として、第一の電極に、第二の電極に対して-1.6Vの電圧を10秒間印加した。その時、透過率が80%から10%まで変化した。
また、第一の電極に、第二の電極に対して+0.5Vの電圧を3秒間印加した。その時、透過率が10%から80%まで変化した。
実施例1と同様にエレクトロクロミックデバイスを作製し、40℃に保たれた恒温槽、60℃に保たれた恒温槽、80℃に保たれた恒温槽を準備し、その中にエレクトロクロミックデバイスを投入した。また、いずれの恒温槽においても、強制消色駆動は行わず、連続発色状態を50時間保持し続けた。
試験終了後、全てのエレクトロクロミックデバイスに対して消色駆動を行い、610nmにおける透過率を評価したところ、40℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイスでは78%であったが、60℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイス、80℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイスは、それぞれ72%、65%以下であり、著しく耐久性、信頼性が低下した。
本実施例は第1の実施形態、第2の実施形態2及び第3の実施形態におけるf3の制御に対応するものである。
実施例1と同様にエレクトロクロミックデバイスを作製した。
但し、実施例1と同様に発色制限温度を40℃と設定し、エレクトロクロミックデバイスの環境温度が発色制限温度である40℃を超えた場合は、消色状態であるエレクトロクロミックデバイスの発色ボタンを押しても、発色状態への移行を制限する(本実施例では移行を禁止する)制御回路を設けた。
このエレクトロクロミックデバイスを、40℃に保たれた恒温槽、60℃保たれた恒温槽、80℃保たれた恒温槽に、それぞれエレクトロクロミッデバイスを発色させずに投入し、所定温度に達しっていることを確認した上で発色ボタンをオンにした。
その結果、40℃の恒温槽では発色状態に移行したが、60℃の恒温槽と80℃の恒温槽では発色状態に移行しないことが確認できた。
その後、40℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイスは消色状態に戻し、60℃の恒温槽と80℃の恒温槽に消色状態で放置したエレクトロクロミックデバイスとともに、全てのエレクトロクロミックデバイスを40℃の恒温槽に入れ、20時間連続発色させた。その後、全てのエレクトロクロミックデバイスを消色状態に戻し、610nmの透過率を評価したところ、最初に40℃の恒温槽で連続発色させたエレクトロクロミックデバイスは77%、60℃の恒温槽で発色状態への移行を禁止したエレクトロクロミックデバイスでは78%、80℃の恒温槽で発色状態への移行を禁止したエレクトロクロミックデバイスでは77%であった。
本実施例は第4の実施形態におけるf6の制御に対応するものである。
実施例1と同様にエレクトロクロミックデバイスを作製した。
実施例1では、発色濃度にかかわらず発色制限温度を設定したが、本実施例3では、発色濃度に応じて発色制限温度を設定した。具体的には、発色時の透過率が10%の時は発色制限温度を40℃、発色時の透過率が20%の時は発色制限温度を45℃、発色時の透過率が40%の時は発色制限温度を50℃とし、それぞれの発色時の透過率ごとに劣化状態を評価した。その結果は、下記(1)~(3)に示す通りであった。
実施例3と同様にエレクトロクロミックデバイスを作製し、40℃に保たれた恒温槽、60℃に保たれた恒温槽、80℃に保たれた恒温槽を準備し、その中にエレクトロクロミックデバイスを投入した。また、いずれの透過率に設定した場合も、強制消色駆動は行わず、連続発色状態を50時間保持し続けた。
試験終了後、全てのエレクトロクロミックデバイスに対して消色駆動を行い、610nmにおける透過率を評価したところ、その結果は下記(1)~(3)に示す通りで、著しく耐久性、信頼性が低下した。
(1)発色時の透過率を10%で連続させ続けた場合、40℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイスでは78%であったが、60℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイス、80℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイスは、それぞれ73%、65%以下であった。
(2)発色時の透過率を20%で連続させ続けた場合、40℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイスでは78%であったが、60℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイス、80℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイスは、それぞれ75%、70%以下であった。
(3)発色時の透過率を40%で連続させ続けた場合、40℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイスでは78%であったが、60℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイス、80℃の恒温槽に入れたエレクトロクロミックデバイスは、それぞれ75%、70%以下であった。
本実施例は第5の実施形態対応するものである。
実施例1と同様にエレクトロクロミックデバイスを作製した。
連続発色状態を許可する上限時間を50時間とし、一般的なタイマー回路により、50時間を超えた場合は、強制的に消色状態に移行させる制御回路を設けた。
このエレクトロクロミックデバイスを30℃に保たれた恒温槽、40℃に保たれた恒温槽、50℃に保たれた恒温槽に入れ、連続発色状態で放置したところ、全てのエレクトロクロミックデバイスが、50時間後に消色状態に移行した。
この時の610nmの透過率を評価したところ、全てのサンプルで75%以上を保持していた。
一方、50℃の恒温槽にて、連続発色状態で150時間放置し、その後消色駆動を行ったエレクトロクロミックデバイスでは、610nmの透過率が70%以下まで劣化していた。
本実施例は第6の実施形態に対応するものである。
実施例4と同様にエレクトロクロミックデバイスを作製した。
但し、連続発色状態ではあるが、連続的に電圧を印加するのではなく、10分間電圧を印加し、5分印加を停止する、いわゆる間欠駆動とし、連続発色状態を許可する上限時間の代わりに、電気(電圧)印加回数の上限値を用いたこと以外は、実施例4と同様の実験を行った。
電圧印加回数の上限値は200回とした。なお、本発明のエレクトロクロミックデバイスは、メモリー性があるため、電気の印加を停止しても、オープン状態で保持することで、発色状態を保持できることを確認した。具体的には、10分電圧を印加後、5分印加を停止した時の透過率変化(消色状態へ向かう変化)は、3%以内であった。
一方、50℃の恒温槽にて、連続発色状態で700回電圧を印加し、その後消色駆動を行ったエレクトロクロミックデバイスでは、610nmの透過率が70%以下まで劣化していた。
本実施例は第7の実施形態に対応するものである。
実施例4と同様にエレクトロクロミックデバイスを作製した。
但し、連続発色状態を許可する上限時間を温度に応じて設定し、下表2に示すような、各温度ごとに定められた連続発色状態を許可する上限時間を超えた場合は、強制的に消色状態に移行させる制御回路を設けた。
この時の610nmの透過率を評価したところ、全てのサンプルで75%以上を保持していた。
一方、25℃の恒温槽、40℃の恒温槽、60℃の恒温槽、80℃の恒温槽のそれぞれで、表2記載の上限時間の1.5倍の時間連続発色状態で放置し、その後消色駆動を行ったエレクトロクロミックデバイスでは、全て610nmの透過率が70%以下まで劣化していた。
本実施例は第9の実施形態に対応するものである。
実施例6と同様にエレクトロクロミックデバイスを作製した。
但し、連続発色状態を許可する上限時間を、温度と照度に応じて設定し、下表3に示すような、各温度、照度ごとに定められた連続発色状態を許可する上限時間を超えた場合は、消色状態に移行させる制御回路を設けた。
エレクトロクロミックデバイスに対する光照射は、透過率約20%の発色状態において、擬似太陽光源として、SUNTEST CP+ を用い、照度6.6万ルクスの光照射を行った。但し、エレクトロクロミックデバイスの最表面には紫外線カット層をコーティングし、約400nm以下の紫外線をカットするようにした。
この時の610nmの透過率を評価したところ、全てのサンプルで75%以上を保持していた。
一方、25℃の恒温槽、40℃の恒温槽、60℃の恒温槽、80℃の恒温槽のそれぞれで、表3下段記載の上限時間の1.5倍の時間連続発色状態で、かつ、擬似太陽光源の照射時間も1.5倍として放置し、その後消色駆動を行ったエレクトロクロミックデバイスでは、全て610nmの透過率が65%以下まで劣化していた。
なお、照度0ルクスの時の効果は、実施例6で示した通りである。
本実施例は第14、17の実施形態に対応するものである。
支持体として樹脂レンズを使用する以外は実施例1と同様にしてエレクトロクロミックデバイス作製した。このエレクトロクロミックデバイスをレンズに貼り合わせて調光レンズ13を作製した。作製した調光レンズ13を眼鏡フレームに組み込み、電子調光眼鏡を作製した(図3)。また、眼鏡フレームには、駆動用の電源、信号制御回路、スイッチ、配線を実装した。
次いで、テンプル部11が折りたたみ部12で折りたたまれたことを検知するよう、折りたたみ部近傍に磁気センサを取り付け、更に、テンプル部が折りたたまれた状態では消色状態に移行させるよう、制御回路を追加した。
電子調光眼鏡を着用した後、発色のスイッチを入れ、発色状態としたまま電子調光眼鏡をはずし、テンプル部を折りたたむと、直後に磁気センサが働き自動的に消色状態に移行することが確認できた。
なお、本実施例ではエレクトロクロミックデバイスを電子調子眼鏡に組み込んだが、その構造の類似性から、拡張現実眼鏡に組み込んだ場合でも同様の効果が実現できることは言うまでもない。
本実施例は第14、18の実施形態に対応するものである。
実施例8と同様に作製し、エレクトロクロミックデバイスを用いた電子調光眼鏡を作製した。
但し、実施例8での磁気センサに変えて、テンプル部に加速度センサを取り付け、加速度センサからの出力が一定期間中に一定値以下になった場合に、消色状態に移行させるよう、制御回路を追加した。
電子調光眼鏡を着用した後、発色のスイッチを入れ、発色状態としたまま電子調光眼鏡をはずし、テンプル部を折りたたむことなくテーブルに放置すると、約30秒後に自動的に消色状態に移行することが確認できた。
なお、本実施例ではエレクトロクロミックデバイスを電子調子眼鏡に組み込んだが、その構造の類似性から、拡張現実眼鏡に組み込んだ場合でも同様の効果が実現できることは言うまでもない。
本実施例は第2、14の実施形態に対応するものである。
実施例8と同様に作製し、エレクトロクロミックデバイスを用いた電子調光眼鏡を作製した。
但し、図4に示すようにエレクトロクロミックデバイス周囲の照度をセンシングするために、市販の照度センサをブリッジ部に配置し、10万ルクス相当の太陽光が当たった場合に、消色状態に移行させるよう、制御回路を追加した(図4)。
更に、エレクトロクロミックデバイス周囲の温度をセンシングするために、市販の温度センサをブリッジ部に配置し、50℃以上になった場合に、消色状態に移行させるよう、制御回路を追加した。
電子調光眼鏡の発色のスイッチを入れ、発色状態としたまま、10万ルクスの擬似太陽光を照射すると、約10秒後に自動的に消色状態に移行することが確認できた。
また、電子調光眼鏡を恒温槽に入れ、25℃から55℃に昇温させたところ、50℃を超えたあたりで、自動的に消色状態に移行することが確認できた。
なお、本実施例ではエレクトロクロミックデバイスを電子調子眼鏡に組み込んだが、その構造の類似性から、拡張現実眼鏡に組み込んだ場合でも同様の効果が実現できることは言うまでもない。
本実施例は第16、20の実施形態に対応するものである。
実施例1と同様にエレクトロクロミックデバイスを作製した。
このエレクトロクロミックデバイスをNDフィルターとして市販の一眼レフカメラのレンズ前に取り付け、更に、カメラ本体には、駆動用の電源、信号制御回路、スイッチ、配線を実装した。
次いで、カメラの主電源がオフの状態では消色状態に移行させるよう、制御回路を追加した。
基本動作として、発色のスイッチをオンすると、NDフィルターの透過率が低下し、消色のスイッチをオンすると、NDフィルターの透過率が上昇することを確認し、この繰返し動作を行った後に、カメラ本体の主電源をオフにすると、直後にNDフィルターが消色状態に移行することが確認できた。
なお、本実施例ではエレクトロクロミックデバイスを一眼レフカメラに組み込んだが、その構造の類似性から、ビデオカメラに組み込んだ場合でも同様の効果が実現できることは言うまでもない。
3 第1の電極
4 第2の電極
5 電解質層
6 第1のエレクトロクロミック層
7 第2のエレクトロクロミック層
8 絶縁性多孔質層
9 封止材
10 エレクトロクロミックデバイス
11 テンプル部
12 折りたたみ部
13 調光レンズ
14 照度センサ
Claims (20)
- 電気により可逆的に発消色を制御できるエレクトロクロミックデバイスであって、
電気の印加により消色するタイプの場合は、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度のデータと、消色状態の連続経過時間及び/又は周囲の照度のデータとに基づいて、少なくとも下記f1の機能を制御し、
電気の印加により発色するタイプの場合は、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度のデータと、発色状態の連続経過時間及び/又は周囲の照度のデータとに基づいて少なくとも下記f2の機能を制御するエレクトロクロミックデバイス。
f1:最大消色状態への移行を制限する機能
f2:最大発色状態への移行を制限する機能 - 電気により、消色状態から最大発色状態間で可逆的に発消色を制御できるエレクトロクロミックデバイスであって、電気の印加による酸化により発色する酸化型エレクトロクロミック材料、及び/又は、電気の印加による還元により発色する還元型エレクトロクロミック材料が用いられており、
発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させる機能、発色状態を消色状態に移行させる機能、消色状態から発色状態への移行を制限する機能、及び、消色状態から最大発色状態への移行を禁止する機能を備えており、
前記エレクトロクロミックデバイスは、スイッチをオンすることによって前記電気の印加を開始する発色スイッチと、スイッチをオンすることによって電気の印加を終了する消色スイッチと、を備えており、
前記発色スイッチをオンしたとき、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度が発色制限温度以下である場合には、消色状態から最大発色状態に常に移行させ、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度が発色制限温度を超えている場合には、消色状態から最大発色状態への移行を禁止する機能を備え、
前記発色スイッチをオンしたときから前記消色スイッチをオンとするまでの間にエレクトロクロミックデバイスの動作環境温度が発色制限温度を超えた場合には、最大発色状態をより消色状態に近い発色状態に移行させるか、最大発色状態を消色状態に移行させる機能を備えた
エレクトロクロミックデバイス。 - 前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、発色制限温度をメモリーする手段とを備え、発消色の状態に応じて下記f3の制御及び/又はf4の制御を行う請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイス。
f3:消色状態にあり、動作環境温度が発色制限温度を超えている場合は、消色状態から発色状態への移行を制限する制御
f4:発色状態にあり、動作環境温度が発色制限温度を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させる制御 - 電気により可逆的に発消色を制御できるエレクトロクロミックデバイスであって、
電気の印加による酸化により発色する酸化型エレクトロクロミック材料、及び/又は、電気の印加による還元により発色する還元型エレクトロクロミック材料が用いられており、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させる機能、発色状態を消色状態に移行させる機能、消色状態から発色状態への移行を制限する機能、消色状態から最大発色状態への移行を禁止する機能、の少なくとも1つを備えており、
前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、発色濃度に応じた発色制限温度をメモリーする手段とを備え、発消色の状態に応じて下記f5の制御及び/又はf6の制御を行うエレクトロクロミックデバイス。
f5:消色状態にある場合、動作環境温度が発色制限温度を超えている発色濃度への移行を制限する制御
f6:発色状態にある場合で、動作環境温度が発色制限温度を超えた場合は、当該動作環境温度において発色制限温度を超えない発色濃度へ移行させる制御 - エレクトロクロミックデバイスが、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために連続的、又は、間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、連続して発色状態にある時間を計測する手段と、発色濃度にかかわらず連続した発色状態を許可する上限時間をメモリーする手段とを備え、連続して発色状態にある時間が、連続した発色状態を許可する上限時間を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させる請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイス。
- エレクトロクロミックデバイスが、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、連続した発色状態を維持するために電気を印加した回数を計測する手段と、連続した発色状態を許可する電気印加回数の上限値をメモリーする手段とを備え、連続した発色状態を維持するために電気を印加した回数が、連続した発色状態を許可する電気印加回数の上限値を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させる請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイス。
- エレクトロクロミックデバイスが、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために連続的、又は、間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、連続して発色状態にある時間を計測する手段と連続した発色状態を許可する上限時間をエレクトロクロミックデバイスの動作環境温度ごとにメモリーする手段とを備え、連続して発色状態にある時間が、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度に対応した、連続した発色状態を許可する上限時間を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させる請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイス。
- エレクトロクロミックデバイスが、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、連続した発色状態を維持するために電気を印加した回数を計測する手段と、連続した発色状態を許可する電気印加回数の上限値をエレクトロクロミックデバイスの動作環境温度ごとにメモリーする手段とを備え、連続した発色状態を維持するために電気を印加した回数が、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度に対応した、連続した発色状態を許可する電気印加回数の上限値を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させる請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイス。
- エレクトロクロミックデバイスが、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために連続的、又は、間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、エレクトロクロミックデバイス周囲の照度を取得する手段と、連続して発色状態にある時間を計測する手段と、連続した発色状態を許可する上限時間をエレクトロクロミックデバイスの動作環境温度と照度の組合せごとにメモリーする手段とを備え、連続して発色状態にある時間が、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度と照度に対応した、連続した発色状態を許可する上限時間を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させる請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイス。
- エレクトロクロミックデバイスが、ある任意の発色濃度を示す発色状態を維持するために間欠的に電気を印加する駆動を行うエレクトロクロミックデバイスであって、前記エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度を取得する手段と、エレクトロクロミックデバイス周囲の照度を取得する手段と、連続した発色状態を維持するために電気を印加した回数を計測する手段と、連続した発色状態を許可する電気印加回数の上限値をエレクトロクロミックデバイスの動作環境温度と照度の組合せごとにメモリーする手段とを備え、連続した発色状態を維持するために電気を印加した回数が、エレクトロクロミックデバイスの動作環境温度と照度に対応した、連続した発色状態を許可する電気印加回数の上限値を超えた場合は、発色状態を消色状態に移行させるか、又は、発色状態を、より消色状態に近い発色状態に移行させる請求項2に記載のエレクトロクロミックデバイス。
- 間隔を置いて互いに対向して設けられ、少なくともいずれか一方が透明である第1および第2の支持体と、前記第1および前記第2の支持体に各々対向するように設けられ、少なくともいずれか一方が透明である第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極の前記第2の電極側の面に設けられた、酸化型エレクトロクロミック化合物と酸化型エレクトロクロミック組成物の何れか一方又は双方を含む第1のエレクトロクロミック層と、前記第2の電極の前記第1の電極側の面に設けられた、還元型エレクトロクロミック化合物と還元型エレクトロクロミック組成物の何れか一方又は双方を含む第2のエレクトロクロミック層と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた電解質とを有する請求項2乃至10のいずれかに記載のエレクトロクロミックデバイス。
- 前記第1のエレクトロクロミック層が、トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を有する請求項11に記載のエレクトロクロミックデバイス。
- 前記第2のエレクトロクロミック層が、半導体性金属酸化物微粒子を含む請求項11又は12に記載のエレクトロクロミックデバイス。
- 請求項2乃至13のいずれかに記載のエレクトロクロミックデバイスが、眼鏡のレンズとして組み込まれた電子調光眼鏡。
- 請求項2乃至13のいずれかに記載のエレクトロクロミックデバイスが、拡張現実眼鏡の遮光フィルターとして組み込まれた拡張現実眼鏡。
- 請求項2乃至13のいずれかに記載のエレクトロクロミックデバイスが、カメラ、又は、ビデオ用の電子NDフィルターとして組み込まれたカメラ、又は、ビデオ。
- 請求項2乃至13のいずれかに記載のエレクトロクロミックデバイスが、眼鏡のレンズとして組み込まれた電子調光眼鏡であって、テンプル部が折りたたまれた際に、瞬時に、又は、一定の時間経過後に、消色状態に移行させる電子調光眼鏡。
- 請求項2乃至13のいずれかに記載のエレクトロクロミックデバイスが、眼鏡のレンズとして組み込まれた電子調光眼鏡であって、電子調光眼鏡の着用状態を検知する手段を有し、該検知手段により、正常な着用状態でないと判断された場合に、瞬時に、又は、一定の時間経過後に、消色状態に移行させる電子調光眼鏡。
- 請求項2乃至13のいずれかに記載のエレクトロクロミックデバイスが、拡張現実眼鏡の遮光フィルターとして組み込まれた拡張現実眼鏡であって、拡張現実眼鏡の着用状態を検知する手段を有し、該検知手段により、正常な着用状態でないと判断された場合に、瞬時に、又は、一定の時間経過後に、消色状態に移行させる拡張現実眼鏡。
- 請求項2乃至13のいずれかに記載のエレクトロクロミックデバイスが、カメラ、又は、ビデオ用の電子NDフィルターとして組み込まれたカメラ、又は、ビデオであって、カメラ、又は、ビデオの撮影終了時に、瞬時に、又は、一定の時間経過後に、電子NDフィルターを消色状態に移行させるカメラ、又は、ビデオ。
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