JP6171637B2 - エレクトロクロミック調光レンズ、エレクトロクロミック調光眼鏡、及びそれらの製造方法 - Google Patents

エレクトロクロミック調光レンズ、エレクトロクロミック調光眼鏡、及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エレクトロクロミック調光レンズ、エレクトロクロミック調光眼鏡、及びそれらの製造方法に関する。
サングラスとは光の透過率を制御する調光レンズを備えた眼鏡であり、太陽光に含まれる紫外線から目を守るためや、グレアを抑制して視認性を向上するために開発され、古くから普及している。又、ブラウンやグレーといった比較的広い可視光域を吸収するものから、特定の光を吸収することで、ブルーやピンク等のカラーを呈する調光レンズが開発され、今日ではスポーツや医療、ファッション等、その用途は多岐に広がっている。
しかしながら、サングラスは透過率が低いために、暗いところでは視認性が低下するという問題がある。そこで、明るい場所では着色して透過率を下げ、暗い場所では透明になって透過率を上げる透過率が可変な調光レンズを備えたサングラスが開発された。例えば、フォトクロミック現象を応用した調光レンズやエレクトロクロミズムを応用した調光レンズ等である(例えば、特許文献1参照)。
エレクトロクロミズムを応用したエレクトロクロミック調光レンズを作製する方法としては、第1のレンズにエレクトロクロミック材料や電解質を真空蒸着によって積層し、封止用の第2のレンズと貼り合せる方法等が知られている。この方法では、完成したエレクトロクロミック調光レンズの厚みが増加して外観が損なわれたり、重量が増加して眼鏡としての快適性が損なわれたりする問題がある。
又、上記の方法には生産性の問題もある。眼鏡用のレンズは、使用者によって度数が異なっており、レンズ材料の屈折率にもバリエーションがあるため、曲率等のレンズ形状に多様な種類がある。そのため、各形状に対応したエレクトロクロミック調光レンズを必要数に応じて生産する必要が生じてしまい、大量生産が困難である。
この課題に対して、度無しのレンズにエレクトロクロミック材料としてタングステンオキサイド等の無機材料を真空蒸着し、封止用のガラスレンズを貼り合わせたものを予め作製しておき、それに必要な度つきのレンズを貼り合わせることで、生産性を改善する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この方式では、レンズを複数貼り合せるために、前述の厚みや重量が増加する問題は解決できない。
同様の課題に対して、透明樹脂層を用いてレンズ上に形成したエレクトロクロミック素子を封止し、更に同じ透明樹脂層を用いて曲率を調整することで、度数を付与する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。これによって、エレクトロクロミック調光レンズを大量生産しておき、注文に応じて透明樹脂層を追加形成することで、生産性が改善された。又、この方法では、レンズは1枚で済むので、厚み、重量の問題も同時に解決された。
しかしながら、上記の透明樹脂層を用いる技術では、度数には対応できても、レンズ形状の自由度が限られるという問題があった。つまり、眼鏡レンズでは、使用者が選んだ眼鏡フレームのデザインに合わせて丸型のレンズを加工する必要があるが、そのデザインの種類は非常に多様であり、予め用意しておくことは現実的にはほとんど不可能である。すなわち、上記の技術は大量生産には適していなかった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、大量生産に適したエレクトロクロミック調光レンズ等を提供することを課題とする。
本エレクトロクロミック調光レンズは、レンズと、前記レンズ上に積層された薄膜調光機能部と、を有し、前記薄膜調光機能部は、前記レンズ上に積層された第1の電極層と前記第1の電極層上に積層された第1の電気活性層と、前記第1の電気活性層上に積層された絶縁性多孔質層と、前記絶縁性多孔質層上に積層された多孔質である第2の電極層と、前記第2の電極層と接して前記第2の電極層の上側と下側の何れか一方又は双方に形成された多孔質である第2の電気活性層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に充填され、かつ、前記第1の電気活性層及び前記第2の電気活性層と接するように設けられた電解質と、を含み、前記第1の電気活性層と前記第2の電気活性層の一方がエレクトロクロミック層であり、他方が劣化防止層であることを要件とする。
開示の技術によれば、大量生産に適したエレクトロクロミック調光レンズ等を提供できる。
本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズを例示する断面図である。 比較例に係るエレクトロクロミック調光レンズを例示する断面図である。 一般的なレンズの加工工程を説明する図である。 本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光眼鏡を例示する斜視図である。 本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズの製造工程を例示する図(その1)である。 本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズの製造工程を例示する図(その2)である。 本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光眼鏡の製造工程を例示する図(その1)である。 本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光眼鏡の製造工程を例示する図(その2)である。
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
図1は、本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズを例示する断面図である。図1を参照するに、エレクトロクロミック調光レンズ10は、レンズ20と、レンズ20上に積層された薄膜調光機能部30とを有する。エレクトロクロミック調光レンズ10の平面形状は、例えば、丸型とすることができる。
薄膜調光機能部30は、第1の電極層31、エレクトロクロミック層32、絶縁性多孔質層33、第2の電極層34、劣化防止層35、及び保護層36が順次積層された構造を有し、エレクトロクロミック層32の発消色(調光)を行う部分である。なお、保護層36は、劣化防止層35の上面(レンズ20とは反対側の面)に形成されていればよく、必ずしも、第1の電極層31、エレクトロクロミック層32、絶縁性多孔質層33、第2の電極層34、及び劣化防止層35の夫々の側面に形成しなくてもよい。
エレクトロクロミック調光レンズ10において、レンズ20上には第1の電極層31が設けられ、第1の電極層31に接してエレクトロクロミック層32が設けられている。又、エレクトロクロミック層32上には、絶縁性多孔質層33を介して、第1の電極層31に対向するように第2の電極層34が設けられている。
絶縁性多孔質層33は、第1の電極層31と第2の電極層34とを絶縁するために設けられており、絶縁性多孔質層33は、絶縁性金属酸化物微粒子を含んでいる。第1の電極層31と第2の電極層34に挟まれた絶縁性多孔質層33には、電解質(図示せず)が充填されている。
第2の電極層34は、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が形成された多孔質の電極層である。第2の電極層34の外側には劣化防止層35が設けられており、劣化防止層35は半導体性金属酸化物微粒子を含んでいる。劣化防止層35も厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が形成された多孔質であり、電解質(図示せず)が充填されている。
エレクトロクロミック調光レンズ10において、第1の電極層31と第2の電極層34との間に電圧を印加することにより、エレクトロクロミック層32が電荷の授受により酸化還元反応して発消色する。
エレクトロクロミック調光レンズ10の製造工程は、レンズ20上に第1の電極層31及びエレクトロクロミック層32を順次積層する工程と、エレクトロクロミック層32上に絶縁性多孔質層33を介して第1の電極層31に対向するように貫通孔が形成された多孔質の電極層である第2の電極層34を積層する工程と、第2の電極層34上に貫通孔が形成された多孔質の劣化防止層35を積層する工程と、第1の電極層31と第2の電極層34に挟まれた絶縁性多孔質層33に、劣化防止層35及び第2の電極層34を介して、劣化防止層35及び第2の電極層34に形成された貫通孔から電解質を充填する工程と、劣化防止層35上に保護層36を形成する工程とを有する。
つまり、劣化防止層35及び第2の電極層34に形成された夫々の貫通孔は、エレクトロクロミック調光レンズ10の製造工程において、絶縁性多孔質層33等に電解質を充填する際の注入孔である。
このように、本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズ10では、第1の電極層31と第2の電極層34に挟まれた絶縁性多孔質層33等に、劣化防止層35及び第2の電極層34に形成された貫通孔から電解質を充填することが可能である。そのため、電解質を充填する前に、低抵抗な第2の電極層34を形成することが可能となり、エレクトロクロミック調光レンズ10の性能を向上できる。
又、第2の電極層34上に劣化防止層35を設けているため、繰り返し安定して動作するエレクトロクロミック調光レンズを実現できる。
なお、本実施の形態では、第2の電極層に貫通孔が形成されているため、第2の電極層の外側(対向する2つの電極層の外側)に第2の電極層に接して劣化防止層を形成できる。これは、第2の電極層に形成された貫通孔を通してイオンが第2の電極層の表裏を移動できるためである。その結果、第2の電極層の下層に劣化防止層を形成する必要がないため、第2の電極層を形成する際のスパッタ等によって、劣化防止層がダメージを受けるおそれを回避できる。
但し、劣化防止層の材料によっては、プロセスダメージの少ないものもあり、そのような材料を用いる場合には、劣化防止層を貫通孔が形成されている第2の電極層の下層(対向する2つの電極層の内側)に形成してもよい。換言すれば、劣化防止層を貫通孔が形成されている第2の電極層の上層(対向する2つの電極層の外側)に設けることにより、劣化防止層を構成する材料の選定の自由度を増やすことができる。
又、劣化防止層を形成する場合、浸透性の絶縁性多孔質層上と、第2の電極層上に形成する場合とで、何れか均質な劣化防止層を形成できるプロセスを適宜選ぶことができる。或いは、必要に応じて、劣化防止層を第2の電極層の上と下の両方に形成してもよい。
図1では、第1の電極層31に接してエレクトロクロミック層32を、第2の電極層34に接して劣化防止層35を形成しているが、これらは一方が酸化反応をする際に他方が還元反応をし、一方が還元反応をする際には他方が酸化反応をするという関係にある。そのため、形成される位置としては、逆であってもよい。つまり、第1の電極層31に接して劣化防止層35、第2の電極層34に接してエレクトロクロミック層32を形成してもよい。
又、第1の電極層31に接してエレクトロクロミック層32を形成し、第2の電極層34に接して第2の電極層34の上側と下側の双方に劣化防止層を形成してもよい。又、第1の電極層31に接して劣化防止層35を形成し、第2の電極層34に接して第2の電極層34の上側と下側の双方にエレクトロクロミック層32を形成してもよい。
なお、本願では、劣化防止層及びエレクトロクロミック層を電気活性層と称する場合がある。すなわち、本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズ10において、薄膜調光機能部30は、レンズ20上に積層された第1の電極層31と、第1の電極層31上に積層された第1の電気活性層と、第1の電気活性層上に積層された絶縁性多孔質層33と、絶縁性多孔質層33上に積層された多孔質である第2の電極層34と、第2の電極層34と接して第2の電極層34の上側と下側の何れか一方又は双方に形成された多孔質である第2の電気活性層と、を含み、第1の電気活性層と第2の電気活性層の一方がエレクトロクロミック層32であり、他方が劣化防止層35である。
図2は、比較例に係るエレクトロクロミック調光レンズを例示する断面図である。図2を参照するに、比較例に係るエレクトロクロミック調光レンズ100は、2枚のレンズ110及び190を貼り合わせた構造である。2枚のレンズ110及び190の間に、第1の電極層120、エレクトロクロミック層130、イオン伝導層140、及び第2の電極層150が形成されている。
本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズ10では、電解質注入後に塗布工程で保護層36を形成するため、比較例に係るエレクトロクロミック調光レンズ100のように2枚のレンズを貼り合わせる必要がない。その結果、片側のレンズが不要となるため、厚みを薄くすることができ、又、重量も軽量化することが可能となり、コストも安くできる。
又、本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズ10は、丸型から所望の形状に容易に加工できるため、生産性に優れる。これについて、以下に説明する。
図3は、一般的なレンズの加工工程を説明する図である。レンズは通常、型を用いて加工前レンズ210のような丸型に大量生産される。しかし、実際に眼鏡240に組み込まれる際には、使用者が選ぶ眼鏡フレーム230のデザインに合わせて、丸型である加工前レンズ210を加工する必要が生じる。丸型である加工前レンズ210は、高速回転する砥石に端部(外縁部)を当てて、例えば、加工後レンズ220のような所望の形状に加工される。
比較例に係るエレクトロクロミック調光レンズ100の製造工程では、所定の層が形成された丸型のレンズ110及び190をイオン伝導層140を接着層として貼り合わせ、その後所望の形状に加工する。この場合には、所望の形状に加工する際に、レンズの剥離等の問題が発生しやすい。加工時の応力に耐えうるためには、接着力を改善する必要があるが、イオン伝導層140のイオン伝導性と接着力を両立することが困難である。
一方、本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズ10のように、レンズ20上に薄膜調光機能部30を積層形成した場合には、比較例のように所定の箇所を接着層を介して接着した場合と比べて、丸型から所望の形状に加工する際の剥離が抑制される。これにより、薄膜調光機能部30を予め積層形成した丸型のエレクトロクロミック調光レンズ10を大量に生産しておき、使用者の選択する眼鏡240の様々な眼鏡フレーム230のデザインに合わせて加工することが可能となり、生産性を大幅に向上できる。
なお、薄膜調光機能部30の厚みは、2μm〜200μm程度とすることが好ましい。薄膜調光機能部30の厚みを200μm以上に厚くすると、丸型レンズの加工時に亀裂、剥離が生じる場合や、レンズの光学特性等に影響が出る場合があり、好ましくない。又、薄膜調光機能部30の厚みを2μm以下に薄くすると、充分な調光機能が得られない場合があるため、好ましくない。
図4は、本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光眼鏡を例示する斜視図である。図4を参照するに、エレクトロクロミック調光眼鏡50は、エレクトロクロミック調光レンズ51と、眼鏡フレーム52と、スイッチ53と、電源54とを有する。エレクトロクロミック調光レンズ51は、エレクトロクロミック調光レンズ10を所望の形状に加工したものである。
2つのエレクトロクロミック調光レンズ51は、眼鏡フレーム52に組み込まれている。眼鏡フレーム52には、スイッチ53及び電源54が設けられている。電源54は、スイッチ53を介して、図示しない配線により、第1の電極層31及び第2の電極層34と電気的に接続されている。スイッチ53を切り替えることにより、例えば、第1の電極層31と第2の電極層34との間にプラス電圧を印加する状態、マイナス電圧を印加する状態、電圧を印加しない状態の中から1つの状態を選択可能である。
スイッチ53としては、例えば、スライドスイッチやプッシュスイッチ等の任意のスイッチを用いることができる。但し、少なくとも前述の3つの状態を切り替え可能なスイッチに限る。電源54としては、例えば、ボタン電池や太陽電池等の任意の直流電源を用いることができる。電源54は、第1の電極層31と第2の電極層34との間にプラスマイナス数V程度の電圧を印加可能である。
例えば、第1の電極層31と第2の電極層34との間にプラス電圧を印加することにより、2つのエレクトロクロミック調光レンズ51が所定の色に発色する。又、第1の電極層31と第2の電極層34との間にマイナス電圧を印加することにより、2つのエレクトロクロミック調光レンズ51が消色し透明となる。
但し、エレクトロクロミック層32に使用する材料の特性により、第1の電極層31と第2の電極層34との間にマイナス電圧を印加することにより発色し、プラス電圧を印加することにより消色し透明となる場合もある。なお、一度発色した後は、第1の電極層31と第2の電極層34との間に電圧を印加しなくても発色は継続する。
エレクトロクロミック調光眼鏡50は、例えば、以下の工程により作製できる。図5及び図6は、本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズの製造工程を例示する図であり、図7及び図8は、本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光眼鏡の製造工程を例示する図である。なお、図5〜図7において、(a)は平面図(上面図)、(b)は断面図である。
まず、図5に示すように、例えば丸型のレンズ20を準備する。そして、図6に示すように、レンズ20に薄膜調光機能部30を積層し、エレクトロクロミック調光レンズ10を作製する。薄膜調光機能部30を構成する第1の電極層31、エレクトロクロミック層32、絶縁性多孔質層33、第2の電極層34、劣化防止層35、及び保護層36の材料や成膜方法については後述する。なお、図5及び図6に示す工程は、予め実行し、エレクトロクロミック調光レンズ10を大量生産しておくことが好ましい。
次に、図7に示すように、例えば、エレクトロクロミック調光レンズ10の端部(外縁部)を高速回転する砥石に当てて研削して眼鏡フレーム52のデザイン形状に合わせた形状に加工し、エレクトロクロミック調光レンズ51を作製する。この際、エレクトロクロミック調光レンズ10を眼鏡フレーム52のデザイン形状に合わせた形状に加工すると共に、度数の加工を行ってもよい。
次に、図8に示すように、加工後のエレクトロクロミック調光レンズ51を、眼鏡フレーム52へ組み込む。その後、眼鏡フレーム52へスイッチ53及び電源54を固定し、電源54をスイッチ53を介して図示しない配線により第1の電極層31及び第2の電極層34と電気的に接続する。これにより、図4に示すエレクトロクロミック調光眼鏡50が完成する。
このように、レンズ20上に薄膜調光機能部30を積層してエレクトロクロミック調光レンズ10を作製した後は、図3に示す一般的なレンズの加工工程と同様のフローにより、エレクトロクロミック調光眼鏡50を作製できる(但し、配線等が必要である)。この際、例えば丸型のエレクトロクロミック調光レンズ10を大量に生産しておき、使用者の選択する眼鏡フレーム52の様々なデザインに合わせて加工することにより、エレクトロクロミック調光眼鏡50の生産性を大幅に向上でき、コストダウンにも寄与できる。
以下、本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光レンズ10を構成する各構成要素の材料や成膜方法等について詳説する。
[レンズ20]
レンズ20の材料としては、眼鏡用レンズとして機能するものであれば特に限定されるものではないが、透明性が高く、厚みが薄くて軽量なものが好ましい。又、熱履歴による膨張がなるべく小さい方が好ましく、ガラス転移点Tgが高い材料、線膨張係数が小さい材料が好ましい。
具体的には、ガラスの他に、特許庁の高屈折率メガネレンズに関する技術概要資料に記載されているようなものは何れも使用でき、エピスルフィド系樹脂、チオウレタン系樹脂、メタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂等やそれらの混合物等が使用できる。又、必要に応じて、ハードコートや密着性を改善するためのプライマーを形成していてもよい。
なお、本願において、レンズとは、度数(屈折率)の調整がされていないもの(単なるガラス板等)も含むものとする。
[第1の電極層31、第2の電極層34]
第1の電極層31及び第2の電極層34の材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、調光ガラスとして利用する場合は光の透過性を確保する必要があるため、透明かつ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、ガラスの透明性を得られると共に着色のコントラストをより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(以下、ITOとする)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、FTOとする)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、ATOとする)等の無機材料を用いることができる。特に、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、In酸化物とする)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物とする)又は亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物とする)の何れか1つを含む無機材料を用いることが好ましい。
In酸化物、Sn酸化物、及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。又、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。更には、透明性を有する銀、金、カーボンナノチューブ、金属酸化物等のネットワーク電極やこれらの複合層も有用である。なお、ネットワーク電極とは、カーボンナノチューブや他の高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して透過率を持たせた電極である。
第1の電極層31及び第2の電極層34の各々の膜厚は、エレクトロクロミック層32の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。第1の電極層31及び第2の電極層34の材料としてITOを用いた場合、第1の電極層31及び第2の電極層34の各々の膜厚は、例えば50〜500nm程度とすることができる。
第1の電極層31及び第2の電極層34の各々の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を用いることができる。又、第1の電極層31及び第2の電極層34の各々の材料が塗布形成できるものであれば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
本実施の形態では、第2の電極層34には、厚さ方向に貫通する多数の微細な貫通孔が形成されている。例えば、以下に示す方法により、第2の電極層34に微細な貫通孔を設けることができる。すなわち、第2の電極層34を形成する前に予め下地層として凹凸を持つ層を形成し、そのまま凹凸を有する第2の電極層34とする方法を用いることができる。
又、第2の電極層34を形成する前にマイクロピラー等の凸形状構造体を形成し、第2の電極層34を形成後に凸形状構造体を取り除く方法を用いてもよい。又、第2の電極層34を形成する前に発泡性の高分子重合体等を散布し、第2の電極層34を形成後に加熱や脱気する等の処理を施して発泡させる方法を用いてもよい。又、第2の電極層34に直接各種放射線を輻射して細孔を形成させる方法を用いてもよい。
第2の電極層34に微細な貫通孔を形成する方法としては、コロイダルリソグラフィー法が好ましい。コロイダルリソグラフィー法は、以下のような方法である。すなわち、第2の電極層34が積層される下層に微粒子を散布し、散布された微粒子をマスクとして微粒子が散布された面に真空成膜法等により第2の電極層34となる導電膜を形成する。その後、微粒子ごと導電膜を一部除去することでパターニングを行う方法である。
コロイダルリソグラフィー法により第2の電極層34に微細な貫通孔を容易に形成できる。特に、散布する微粒子の直径を第2の電極層34の膜厚以上とすることにより、第2の電極層34に容易に貫通孔を形成できる。又、散布する微粒子分散物の濃度や微粒子の粒子径を変えることで容易に微細な貫通孔の密度や面積を調節できる。
更に、微粒子分散物の散布方法によりコロイダルマスクの面内均一性を容易に高めることができるため、エレクトロクロミック層32の発消色濃度の面内均一性を高め、表示性能を向上させることが可能となる。以下、コロイダルリソグラフィー法の具体的な内容について説明する。
コロイダルリソグラフィーに用いるコロイダルマスクとなる微粒子の材質については、第2の電極層34に微細な貫通孔を形成することが可能であれば何を用いても構わないが、例えば、SiO微粒子等が経済的に優位である。又、コロイダルマスク散布時に用いる分散物は分散性のよいものが好ましく、例えば、コロイダルマスクとなる微粒子としてSiO微粒子を用いる場合は水系の分散物を用いることができる。
但し、エレクトロクロミック層32や絶縁性多孔質層33等のコロイダルマスクの下層にダメージを与えるおそれがある場合は、コロイダルマスクとなる微粒子として非水系溶媒に分散するように表面処理したSiO微粒子を用いることが好ましい。この場合には、コロイダルマスク散布時に用いる分散物として非水系の分散物を用いることができる。
コロイダルマスクとなる微粒子の粒子径(直径)については、微細な貫通孔を形成する第2の電極層34の膜厚以上、かつ、エレクトロクロミック層32の膜厚以下であることが好ましい。コロイダルマスクは、超音波照射法やテープピーリング法等により除去できるが、下層にダメージの少ない方法を選択することが好ましい。又、コロイダルマスクの他の除去方式として、微粒子等の吹付けによるドライ洗浄も可能である。
テープピーリング法を用いてコロイダルマスクを除去する場合、一般的なテープにおける粘着層の厚さは1μm以上となっておりコロイダルマスクが埋没してしまう場合が多い。この場合、第2の電極層34の表面に粘着層が接触してしまうため、糊残りの少ないテープを使用することが好ましい。超音波照射法を用いてコロイダルマスクを除去する場合、浸漬する溶媒については既に形成している各機能層にダメージの少ない溶媒を用いることが好ましい。
第2の電極層34に微細な貫通孔を形成する方法として、コロイダルリソグラフィー法の他に、フォトレジストやドライフィルム等を用いた一般的なリフトオフ法を用いてもよい。具体的には、まず所望のフォトレジストパターンを形成し、次いで第2の電極層34を形成し、その後フォトレジストパターンを除去することによってフォトレジストパターン上の不要な部分を除去して、第2の電極層34に微細な貫通孔を形成する方法である。
一般的なリフトオフ法により第2の電極層34に微細な貫通孔を形成する場合、光照射による下層へのダメージを回避するため、対象物への光照射面積が小さくて済むように、使用するフォトレジストはネガ型のものを使用することが好ましい。
ネガ型のフォトレジストとしては、例えば、ポリビニルシンナメート、スチリルピリジニウムホルマール化ポリビニルアルコール、グリコールメタクリレート/ポリビニルアルコール/開始剤、ポリグリシジルメタクリレート、ハロメチル化ポリスチレン、ジアゾレジン、ビスアジド/ジエン系ゴム、ポリヒドロキシスチレン/メラミン/光酸発生剤、メチル化メラミン樹脂、メチル化尿素樹脂等を挙げることができる。
更に、レーザ光を用いた加工装置により、第2の電極層34に微細な貫通孔を形成することも可能である。一般的にレーザ加工を用いた場合は、形成される微細な貫通孔の孔径が15μm以上になる。
第2の電極層34に設けられる微細な貫通孔の径は、10nm以上100μm以下であると好適である。貫通孔の径が10nm(0.01μm)よりも小さい場合、電解質イオンの透過が悪くなる不具合が生じる。又、微細貫通孔の径が100μmよりも大きい場合、目視できるレベル(通常のディスプレイでは1画素電極レベルの大きさ)であり、微細な貫通孔直上の表示性能に不具合が生じることになる。
第2の電極層34に設けられる微細な貫通孔の第2の電極層34の表面積に対する孔面積の比(穴密度)は、適宜設定することができるが、例えば0.01〜40%程度とすることができる。穴密度が高すぎると、第2の電極層34の表面抵抗が大きくなるため、第2の電極層34がない領域面積が広くなることによるクロミック欠陥が出る不具合が生じる。又、穴密度が低すぎると電解質イオンの浸透性が悪くなるために、同様に駆動に問題が生じる不具合が生じる。
[エレクトロクロミック層32]
エレクトロクロミック層32は、エレクトロクロミック材料を含んだ層であり、エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック化合物、有機エレクトロクロミック化合物の何れを用いても構わない。又、エレクトロクロミズムを示すことで知られる導電性高分子を用いてもよい。
無機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタン等が挙げられる。又、有機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、ビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリル等が挙げられる。
又、エレクトロクロミック層32としては、導電性又は半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造を用いてもよい。具体的には、電極表面に粒径5nm〜50nm程度の微粒子を焼結し、その微粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基等の極性基を有する有機エレクトロクロミック化合物を吸着した構造である。
このような構造では、微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック表示素子と比較して高速応答が可能となる。更に、微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック色素の高い発色濃度を得ることができる。又、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。
具体的には、色素系のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物を用いることができる。
上記中、発消色電位が低く良好な色値を示すビオロゲン系化合物又はジピリジン系化合物を含むことが特に好ましい。例えば、式[化1](一般式)で表されるジピリジン系化合物を含むことが好ましい。
Figure 0006171637
なお、式[化1](一般式)中、R1及びR2は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1から8のアルキル基、又はアリール基を表し、R1又はR2の少なくとも一方は、COOH、PO(OH)、Si(OC2k+1から選ばれる置換基を有する。Xは1価のアニオンを表す。n、m、lは0、1、又は2を表す。A、B、Cは各々独立に置換基を有してもよい炭素数1から20のアルキル基、アリール基、複素環基を表す。
一方、金属錯体系や金属酸化物系のエレクトロクロミック化合物としては、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化イリジウム、酸化ニッケル、プルシアンブルー等の無機系エレクトロクロミック化合物を用いることができる。
導電性又は半導体性微粒子としては特に限定されるものではないが、金属酸化物を用いることが好ましい。具体的な材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物を用いることができる。
又、これらの金属酸化物は、単独で用いてもよく、2種以上が混合され用いてもよい。電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンから選ばれる一種、若しくはそれらの混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れた色表示が可能である。とりわけ、酸化チタンが用いられたとき、より発消色の応答速度に優れた色表示が可能である。
又、導電性又は半導体性微粒子の形状は、特に限定されるものではないが、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下比表面積)が大きい形状が用いられる。例えば、微粒子が、ナノ粒子の集合体であるときは、大きな比表面積を有するため、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比が優れる。
又、ポリマー系の色素材料を用いることもできる。具体的にはポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリアニリン系、又はそれらの誘導体等、金属錯体と有機リガンドのハイブリッドポリマー等を用いることができる。これらの材料では電極上に塗布するだけで高速なクロミック動作が得られるため、半導体性微粒子を用いない分、部材点数が少なくて済む。
エレクトロクロミック層32の膜厚は、例えば、0.05〜5.0μm程度とすることができる。エレクトロクロミック層32の膜厚が上記範囲よりも薄い場合、発色濃度を得にくくなる。又、エレクトロクロミック層32の膜厚が上記範囲より厚い場合、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下しやすい。エレクトロクロミック層32、及び、導電性又は半導体性微粒子層は、真空成膜により形成することも可能であるが、生産性の点で粒子分散ペーストとして塗布形成することが好ましい。
[絶縁性多孔質層33]
絶縁性多孔質層33は、第1の電極層31と第2の電極層34とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。絶縁性多孔質層33の材料としては、多孔質であればよく特に限定されるものではないが、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
絶縁性多孔質層33の形成方法としては、例えば、焼結法(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)を用いることができる。絶縁性多孔質層33の形成方法として、例えば、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)等を用いてもよい。
又、絶縁性多孔質層33の形成方法として、高分子重合体等を加熱や脱気する等して発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の形成方法を用いてもよい。具体例としては、金属酸化物微粒子(SiO粒子やAl粒子等)とポリマー結着剤を含むポリマー混合粒子膜、多孔性有機膜(ポリウレタン樹脂やポリエチレン樹脂等)、多孔質膜状に形成した無機絶縁材料膜等が挙げられる。
絶縁性多孔質層33の凹凸は、第2の電極層34の膜厚にも依存するが、例えば第2の電極層34の膜厚を100nmとすると、絶縁性多孔質層33の表面粗さは平均粗さ(Ra)で100nm未満の要件を満たす必要がある。平均粗さが100nmを超える場合には第2の電極層34の表面抵抗が大きく失われ、表示不良の原因となる。絶縁性多孔質層33の膜厚は、例えば、0.5〜2μm程度とすることができる。
又、絶縁性多孔質層33は、無機膜と組み合わせて用いることが好ましい。これは絶縁性多孔質層33の表面に形成される第2の電極層34をスパッタ法により形成する際に、下層である絶縁性多孔質層33やエレクトロクロミック層32の有機物質へのダメージを低減させるためである。
上記無機膜としては、SiOに加え、ZnSを含む材料を用いることが好ましい。ZnSは、スパッタ法によって、エレクトロクロミック層32等にダメージを与えることなく高速に成膜できるという特徴を有する。更に、ZnSを主な成分として含む材料として、ZnS−SiO、ZnS−SiC、ZnS−Si、ZnS−Ge等を用いてもよい。
ここで、ZnSの含有率は、絶縁層を形成した際の結晶性を良好に保つために、約50〜90mol%とすることが好ましい。従って、特に好ましい材料は、ZnS−SiO(8/2)、ZnS−SiO(7/3)、ZnS、ZnS−ZnO−In−Ga(60/23/10/7)である。絶縁性多孔質層33として上記のような材料を用いることにより、薄膜で良好な絶縁効果が得られ、膜強度低下や膜剥離を防止することができる。
[劣化防止層35]
劣化防止層35の役割は、エレクトロクロミック層32と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって第1の電極層31や第2の電極層34が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することである。その結果として、エレクトロクロミック調光レンズ10の繰り返し安定性を向上することである。なお、逆反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
劣化防止層35の材料は、第1の電極層31及び第2の電極層34の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に限定されるものではない。劣化防止層35の材料として、例えば、酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物を用いることができる。更に、劣化防止層の着色が問題にならない場合は、前述のエレクトロクロミック材料と同じものを用いることができる。
劣化防止層35は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜から構成することができる。例えば酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性又は半導体性金属酸化物微粒子を、例えばアクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダにより第2の電極層34に固定化することで、電解質の浸透性と、劣化防止層としての機能を満たす、好適な多孔質薄膜を得ることができる。
或いは、劣化防止層35の材料として、電荷の授受に伴って透明状態を保持する材料を用いてもよい。例えば、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリアニリン系、又はそれらの誘導体等の導電性高分子や、金属錯体と有機リガンドのハイブリッドポリマー、ラジカルポリマーなどが挙げられる。これらを用いる際は、電解質の注入を阻害しないように膜密度を調整するか、或いはレーザ加工等により貫通孔を形成する必要がある。或いは、エレクトロクロミック層32として、これらの材料を用い、劣化防止層35として、既述の導電性或いは半導体性微粒子に担持した有機エレクトロクロミック化合物を用いてもよい。
劣化防止層35として、透明性の高いn型半導体性酸化物微粒子(n型半導体性金属酸化物)を用いることが好ましい。具体例としては、100nm以下の1次粒子径粒子からなる、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、又はそれらを複数含む化合物粒子、混合物を用いることができる。
更に、これらの劣化防止層35を用いる場合は、エレクトロクロミック層32が酸化反応により着色から透明に変化する材料であることが好ましい。エレクトロクロミック層32が酸化反応すると同時にn型半導体性金属酸化物が還元(電子注入)され易く、駆動電圧が低減できるからである。
このような形態において、特に好ましいエレクトロクロミック材料は、有機高分子材料である。塗布形成プロセス等により容易に成膜できると共に、分子構造により色の調整や制御が可能となる。これらの有機高分子材料例としては、ポリ(3,4- エチレンジオキシチオフェン)系材料、ビス(ターピリジン)類と鉄イオンの錯形成ポリマー等である。
劣化防止層35の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンレーティング法等を用いることができる。又、劣化防止層35の材料が塗布形成できるものであれば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
[電解質]
本実施の形態では、電解質(図示せず)は、電解液として、劣化防止層35を介して、第2の電極層34に形成された微細な貫通孔から第1の電極層31と第2の電極層34との間に配置された絶縁性多孔質層33に充填される。つまり、電解質(図示せず)は、第1の電極層31と第2の電極層34との間に充填されてエレクトロクロミック層32と接し、かつ、第2の電極層34に形成された貫通孔を介して劣化防止層35と接するように設けられている。電解液としては、イオン液体等の液体電解質又は、固体電解質を溶媒に溶解した溶液を用いることができる。
電解質の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等を用いることができる。
又、イオン性液体も用いることができる。イオン性液体としては、一般的に研究・報告されている物質ならばどのようなものでも構わない。特に有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。分子構造の例としては、カチオン成分としてN,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体、N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体など芳香族系の塩、又は、トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウムなど脂肪族4級アンモニウム系が挙げられる。
アニオン成分としては大気中の安定性の面でフッ素を含んだ化合物がよく、BF、CFSO−、PF−、(CFSO2N−等が挙げられる。これらのカチオン成分とアニオン成分の組み合わせにより処方したイオン性液体を用いることができる。
又、溶媒の例としては、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1、2−ジメトキシエタン、1、2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類やそれらの混合溶媒等を用いることができる。
又、電解液は低粘性の液体である必要はなく、ゲル状や高分子架橋型、液晶分散型等の様々な形態をとることが可能である。電解液はゲル状、固体状に形成することが、素子強度向上、信頼性向上、発色拡散の防止から好ましい。固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持する方法が好ましい。高いイオン伝導度と固体強度が得られるためである。更に、ポリマー樹脂は光硬化可能な樹脂を用いることが好ましい。熱重合や、溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できるためである。
[保護層36]
保護層36の役割は、外的応力や洗浄工程の薬品から素子を守ることや、電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐこと等である。同時に、レンズとしての機能を損なわないための透明性、表面の平滑性、屈折率、耐熱性、耐光性が求められる。厚みとしては1μm〜200μmの範囲が好ましい。材料としては、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂等を用いることが好ましい。保護層36の形成プロセスとしては、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、キャスト法等の各種成膜法を用いることができる。
エレクトロクロミック調光レンズ10は、保護層36に加え、キズがつかないためのハードコート層や、反射を抑制するための反射防止層を必要に応じて備えていることが好ましい。
[実施例1]
実施例1では、図1に示すエレクトロクロミック調光レンズ10を作製する例を示す。
(第1の電極層、エレクトロクロミック層の形成)
まず、直径65mmのレンズを準備し、25mm×45mmの領域及び引き出し部分にメタルマスクを介してITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さに成膜して、第1の電極層31を形成した。
次に、このITO膜の表面に酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210 昭和タイタニウム社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布した。そして、120℃で5分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
続いて、エレクトロクロミック化合物として、構造式[化2]で表される化合物を1.5wt%含む2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布した。その後、120℃×10分間アニール処理を行うことにより、酸化チタン粒子膜に担持(吸着)させて、エレクトロクロミック層32を形成した。
Figure 0006171637
(絶縁性多孔質層、微細な貫通孔が形成された第2の電極層の形成)
続いて、エレクトロクロミック層32上に平均一次粒径20nmのSiO微粒子分散液(シリカ固形分濃度24.8重量%、ポリビニルアルコール1.2重量%、水74重量%)をスピンコートし、絶縁性多孔質層33を形成した。形成した絶縁性多孔質層33の膜厚は約2μmであった。更に、平均一次粒径450nmのSiO微粒子分散液(シリカ固形分濃度1重量%、2−プロパノール99重量%)をスピンコートし、微細貫通孔形成用マスク(コロイダルマスク)を形成した。
続いて、微細貫通孔形成用マスク上にZnS−SiO(8/2)の無機絶縁層をスパッタ法により40nmの膜厚で形成した。更に、無機絶縁層上にスパッタ法により約100nmのITO膜を、第1の電極層31で形成したITO膜と重なる25mm×45mmの領域、及び、第1の電極層31とは異なる領域にメタルマスクを介して形成し、第2の電極層34を作製した。なお、第1の電極層31とは異なる領域に形成したITO膜は第2の電極層34の引き出し部分である。
この後、2−プロパノール中で超音波照射を3分間行い、コロイダルマスクである450nmのSiO微粒子の除去処理を行った。SEM観察により250nm程度の微細な貫通孔が形成された第2の電極層34が形成されていることを確認した。第2の電極層34のシート抵抗は約100Ω/□であった。
(劣化防止層の形成)
続いて、第2の電極層34上に、劣化防止層35として、酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210 昭和タイタニウム社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布した。そして、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
(電解質の充填)
電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム、溶媒としてジメチルスルホキシド及びポリエチレングリコール(分子量:200)を12対54対60で混合した溶液を電解液とした。そして、劣化防止層35まで形成した素子を1分間浸漬し、その後120℃のホットプレート上で1分間乾燥させることで電解質を充填させた。
(保護層の形成)
更に、紫外線硬化接着剤(商品名:SD−17 DIC社製)をスピンコートし、紫外光照射により硬化させることで保護層36を約3μmの厚さに形成した。これにより、図1に示すエレクトロクロミック調光レンズ10を得た。
(発消色駆動)
作製した図1に示すエレクトロクロミック調光レンズ10の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層31の引き出し部分と第2の電極層34の引き出し部分との間に、−4Vの電圧を3秒間印加させた。その結果、第1の電極層31と第2の電極層34の重なった部分に、構造式[化2]のエレクトロクロミック化合物に由来する青色の発色が確認された。
更に、第1の電極層31の引き出し部分と第2の電極層34の引き出し部分との間に、+4Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層31と第2の電極層34の重なった部分の色素が消色し、透明になることが確認された。
[実施例2]
実施例2では、電解質として過塩素酸リチウム、溶媒としてポリエチレングリコール(分子量:200)及び炭酸プロピレン、紫外線硬化材としてウレタン接着剤(商品名:3301 ヘンケル社製)を1.4対6対8対10で混合して溶液を電解液とした。そして、微細な貫通孔が形成された第2の電極層34の表面にスピンコートした後、120℃のホットプレート上で1分間乾燥させることで電解質を充填させた。
更に、紫外線硬化接着剤(商品名:ノプコ134 サンノプコ社製)をスピンコートし、紫外光照射により硬化させることで保護層36を約3μmの厚さに形成した。これ以外
は、実施例1と同様にして、エレクトロクロミック調光レンズ10を得た。
(発消色駆動)
作製した図1に示すエレクトロクロミック調光レンズ10の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層31の引き出し部分と第2の電極層34の引き出し部分との間に、−4Vの電圧を3秒間印加させた。その結果、第1の電極層31と第2の電極層34の重なった部分に、構造式[化2]のエレクトロクロミック化合物に由来する青色の発色が確認された。
更に、第1の電極層31の引き出し部分と第2の電極層34の引き出し部分との間に、+4Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層31と第2の電極層34の重なった部分の色素が消色し、透明になることが確認された。
[実施例3]
実施例3では、ITO膜の表面に構造式[化3]で表される化合物(平均分子量:10000)を2.5wt%含むテトラヒドロフラン溶液をスピンコート法により塗布した。その後、120℃×5分間アニール処理を行うことにより、有機高分子材料からなるエレクトロクロミック層32を形成した。なお、エレクトロクロミック層32はマゼンタ色を示した。これ以外は、実施例1と同様にして、図1に示すエレクトロクロミック調光レンズ10を得た。
Figure 0006171637
(発消色駆動)
作製した図1に示すエレクトロクロミック調光レンズ10の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層31の引き出し部分と第2の電極層34の引き出し部分との間に、+3Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層31と第2の電極層34の重なった部分の色素が消色し、透明になることが確認された。
更に、第1の電極層31の引き出し部分と第2の電極層34の引き出し部分との間に、−3Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層31と第2の電極層34の重なった部分の色素が、マゼンタ色に発色し、初期の状態に戻ることが確認された。
[実施例4]
実施例4では、図4に示すエレクトロクロミック調光レンズ51を有するエレクトロクロミック調光眼鏡50を複数サンプル作製した。
実施例1と同様の手順で丸型のエレクトロクロミック調光レンズ10を2点作製した。これに対し、レンズ加工機を用いて、所望のフレームデザインに合わせて、およそ30mm×50mmの長方形に似た形状にレンズを加工し、エレクトロクロミック調光レンズ51を作製した。加工後のエレクトロクロミック調光レンズ51を眼鏡フレーム52へ組み込み、眼鏡フレーム52に設けられたスイッチ53及び電源54と第1の電極層31及び第2の電極層34とを配線により電気的に接続した。これにより、図4に示すエレクトロクロミック調光眼鏡50を得た。
(発消色駆動)
作製したエレクトロクロミック調光眼鏡50の発消色を確認した。スイッチ53を切り替えて第1の電極層31と第2の電極層34との間に−4Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層31と第2の電極層34の重なった部分に、構造式[化2]のエレクトロクロミック化合物に由来する青色の発色が確認された。
更に、スイッチ53を切り替えて第1の電極層31と第2の電極層34との間に+4Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層31と第2の電極層34の重なった部分の色素が消色し、透明になることが確認された。エレクトロクロミック動作に関し、何れのサンプルも丸型レンズの加工及び眼鏡フレームの組み込みによる劣化は見られなかった。
[比較例]
図2に示すように、2枚のレンズを貼り合わせてエレクトロクロミック調光レンズ100を作製した。
まず、1枚のレンズ110に実施例1と同様の手順で、第1の電極層120とエレクトロクロミック層130を形成した。次に、もう1枚のレンズ190に30mm×50mmの領域及び引き出し部分にメタルマスクを介してITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さに成膜して多孔質の第2の電極層150を形成した。
次に、電解質として過塩素酸リチウム、溶媒としてポリエチレングリコール(分子量:200)及び炭酸プロピレン、紫外線硬化材としてウレタン接着剤(商品名:3301 ヘンケル社製)を1.4対6対8対10で混合して溶液を電解液とした。そして、エレクトロクロミック層130上に滴下し、接着層を兼ねたイオン伝導層140を形成した。そして、イオン伝導層140を介してレンズ110とレンズ190を貼り合わせ、紫外線照射することで接着した。
このようにして、貼り合わせ型のエレクトロクロミック調光レンズ100を3点作製した。しかしながら、作製したエレクトロクロミック調光レンズ100をレンズ加工機を用いて加工したところ、3点とも部分的に剥離が生じ、加工後にエレクトロクロミック動作を確認できなかった。
[まとめ]
以上の実施例及び比較例より、所定の層が形成された2枚のレンズを接着層を介して貼り合わせて作製したエレクトロクロミック調光レンズでは、所望の形状に加工する際に部分的な剥離が生じるおそれが高く、エレクトロクロミック動作を保証できないといえる。
一方、各実施例のように1枚のレンズ上に薄膜調光機能部を積層形成した場合には、比較例のように所定の箇所を接着層を介して接着した場合と比べて、所望の形状に加工する際の剥離が抑制される。つまり、各実施例の方法は、レンズ上に薄膜調光機能部を形成後に所望の形状に加工してもエレクトロクロミック動作を保証できる高い信頼性を備えたエレクトロクロミック調光レンズの製造方法であるといえる。
これにより、薄膜調光機能部を予め積層形成した丸型のエレクトロクロミック調光レンズを大量に生産しておき、使用者の選択する眼鏡の様々なフレームデザインに合わせて加工することが可能となり、生産性を大幅に向上できると共にコストダウンにも寄与できる。
以上、好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
10 エレクトロクロミック調光レンズ
20 レンズ
30 薄膜調光機能部
31 第1の電極層
32 エレクトロクロミック層
33 絶縁性多孔質層
34 第2の電極層
35 劣化防止層
36 保護層
50 エレクトロクロミック調光眼鏡
51 エレクトロクロミック調光レンズ
52 眼鏡フレーム
53 スイッチ
54 電源
特開平4−306614号公報 特開平6−300992号公報 特開平8−43862号公報

Claims (12)

  1. レンズと、
    前記レンズ上に積層された薄膜調光機能部と、を有し、
    前記薄膜調光機能部は、
    前記レンズ上に積層された第1の電極層と
    前記第1の電極層上に積層された第1の電気活性層と、
    前記第1の電気活性層上に積層された絶縁性多孔質層と、
    前記絶縁性多孔質層上に積層された多孔質である第2の電極層と、
    前記第2の電極層と接して前記第2の電極層の上側と下側の何れか一方又は双方に形成された多孔質である第2の電気活性層と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に充填され、かつ、前記第1の電気活性層及び前記第2の電気活性層と接するように設けられた電解質と、を含み、
    前記第1の電気活性層と前記第2の電気活性層の一方がエレクトロクロミック層であり、他方が劣化防止層であるエレクトロクロミック調光レンズ。
  2. 前記第2の電極層及び前記第2の電気活性層には夫々貫通孔が形成されており、
    夫々の前記貫通孔の径は、10nm以上100μm以下である請求項1記載のエレクトロクロミック調光レンズ。
  3. 前記絶縁性多孔質層は、絶縁性金属酸化物微粒子を含む請求項1又は2記載のエレクトロクロミック調光レンズ。
  4. 前記劣化防止層は、半導体性金属酸化物微粒子を含む請求項1乃至3の何れか一項記載のエレクトロクロミック調光レンズ。
  5. 前記エレクトロクロミック層が酸化反応により着色から透明に変化する材料であり、かつ、前記劣化防止層が透明なn型半導体性酸化物微粒子を含む請求項1乃至4の何れか一項記載のエレクトロクロミック調光レンズ。
  6. レンズ上に、第1の電極層、第1の電気活性層、及び絶縁性多孔質層を順次積層する工程と、
    前記絶縁性多孔質層上に、前記第1の電極層と対向するように、貫通孔が形成された多孔質の第2の電極層を積層する工程と、
    前記第2の電極層上に、貫通孔が形成された多孔質の第2の電気活性層を積層する工程と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間の所定領域に、前記第2の電気活性層及び前記第2の電極層を介して、前記第2の電気活性層及び前記第2の電極層に形成された貫通孔から電解質を充填する工程と、を有し、
    前記第1の電気活性層と前記第2の電気活性層の一方がエレクトロクロミック層であり、他方が劣化防止層であるエレクトロクロミック調光レンズの製造方法。
  7. レンズ上に、第1の電極層、第1の電気活性層、絶縁性多孔質層、及び貫通孔が形成された多孔質の第2の電気活性層を順次積層する工程と、
    前記第2の電気活性層上に、前記第1の電極層と対向するように、貫通孔が形成された多孔質の第2の電極層を積層する工程と、
    前記第2の電極層上に、貫通孔が形成された多孔質の第3の電気活性層を積層する工程と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間の所定領域に、前記第3の電気活性層及び前記第2の電極層を介して、前記第3の電気活性層及び前記第2の電極層に形成された夫々の貫通孔から電解質を充填する工程と、を有し、
    前記第1の電気活性層がエレクトロクロミック層であり前記第2の電気活性層及び前記第3の電気活性層が劣化防止層であるか、又は、前記第1の電気活性層が劣化防止層であり前記第2の電気活性層及び前記第3の電気活性層がエレクトロクロミック層であるエレクトロクロミック調光レンズの製造方法。
  8. 前記第2の電極層を積層する工程は、
    前記第2の電極層が積層される下層に微粒子を散布する工程と、
    前記微粒子が散布された面に真空成膜法により導電膜を形成する工程と、
    前記微粒子ごと前記導電膜を一部除去する工程と、を含む請求項6又は7記載のエレクトロクロミック調光レンズの製造方法。
  9. 前記微粒子の直径は、前記第2の電極層の膜厚以上である請求項8記載のエレクトロクロミック調光レンズの製造方法。
  10. 請求項1乃至5の何れか一項記載のエレクトロクロミック調光レンズを有するエレクトロクロミック調光眼鏡。
  11. 請求項6乃至9の何れか一項記載の製造方法によりエレクトロクロミック調光レンズを作製する工程と、
    前記エレクトロクロミック調光レンズを、眼鏡フレームのデザイン形状に合わせた形状に加工する工程と、
    加工後の前記エレクトロクロミック調光レンズを、眼鏡フレームへ組み込む工程と、を有するエレクトロクロミック調光眼鏡の製造方法。
  12. 前記加工する工程では、前記エレクトロクロミック調光レンズを、眼鏡フレームのデザイン形状に合わせた形状に加工すると共に、度数の加工を行う請求項11記載のエレクトロクロミック調光眼鏡の製造方法。
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