JP2016148805A - エレクトロクロミック装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の基板11と、第1の基板11上に形成された第1の電極層12と、第1の電極層12上に形成されたエレクトロクロミック層13と、第1の基板11と対向する第2の基板16と、第2の基板16における第1の基板11側の面に形成された第2の電極層15と、第1の電極層12と第2の電極層15の間に形成された電解質層14と、を有し、第1の電極層12を電源装置に接続する電極を第1の取り出し電極19とし、第2の電極層15を電源装置に接続する電極を第2の取り出し電極20としたとき、前記第1の取り出し電極と前記第2の取り出し電極の組を複数有することを特徴とするエレクトロクロミック装置。
【選択図】図2
Description
例えば特許文献1では、2つの電極の外縁を部分的に露出又は近接させて取り出し電極形成領域を設け、この取り出し電極形成領域に低抵抗部材を設けることにより取り出し電極を形成することが開示されている。
このため、取り出し電極は、あらかじめ形状の決まった平面形状には作りやすいが、利用する上であらかじめ形状を決定することが困難なアプリケーションの場合や、形状が異なるものを多品種生産する場合には、用途ごとに異なる電極設計を行う必要があり、準備する基板の数も増えるなど、量産する上で問題となる。
しかし、貼り合せる2枚の基板の曲面精度や位置精度により、光学不良が発生しやすいという問題がある。さらに、例えばメガネレンズでは、ユーザーに合わせてレンズの使用する位置を変更する、度数調整するといった必要があるため、曲面形状の異なる高精度な基板を多数準備することが量産する上で問題となる。
しかしながら、特許文献1で提案している方法では、エレクトロクロミック素子を形成する工程の前に使用する位置を決定する必要があるため、前述した生産性の問題を解消できるものではない。また、片側の基板にエレクトロクロミック素子を形成する場合、すなわち電解質層上に電極を形成する場合、全固体の電解質層を用いると応答速度が遅いという問題がある。
しかし、特許文献2においては基材に凹部を設ける工程や、凹部にのみ導電性インクを塗り分ける工程が必要であり、生産性の面で問題があった。
図1は、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置の一例を示す概略断面図である。図1には、第1の基板11、第1の電極層12、エレクトロクロミック層13、電解質層14、第2の電極層15、第2の基板16、保護層17が図示されている。図1に示されるように、第1の基板11と第2の基板16は対向し、電解質層14は第1の電極層12と第2の電極層15との間に形成され、保護層17は外周部を封止するように形成されている。図1では取り出し電極の符号を省略している。
ついて詳細に説明する。
第1の基板11及び第2の基板16は、第1の電極層12、エレクトロクロミック層13、電解質層14、第2の電極層15、保護層17を支持する機能を有する。第1の基板11及び第2の基板16としては、これらの各層を支持できれば、周知の熱成型可能な樹脂材料等をそのまま用いることができる。
また、第1の基板11、第2の基板16の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、視認性を高めるために透明絶縁層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
第1の電極層12及び第2の電極層15の材料としては、例えば透明導電性酸化物材料が挙げられる。透明導電性酸化物材料としては、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称する)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する)等の無機材料などが挙げられる。
これらの中でも、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、「In酸化物」と称する)、スズ酸化物(以下、「Sn酸化物」と称する)、及び亜鉛酸化物(以下、「Zn酸化物」と称する)のいずれか1つを含む無機材料が好ましい。
前記In酸化物、Sn酸化物、及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であるとともに、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In2O3、ZnO、InZnOが特に好ましい。
さらに、電極層をネットワーク電極と前記導電性酸化物の積層構成(以下、「導電性酸化物層」と称することがある)とすることがより好ましい。このような積層構成にすることにより、エレクトロクロミック層をムラなく発消色させることができる。なお、導電性酸化物層はナノ粒子インクを塗布することにより形成することができる。
第1の電極層12及び第2の電極層15の材料としてITO真空製膜を用いた場合、第1の電極層12及び第2の電極層15における各々の厚みは、20nm〜500nmが好ましく、50nm〜200nmがより好ましい。
導電性酸化物層では、ナノ粒子インクを塗布して形成する場合の厚みは、0.2μm〜5μmが好ましい。
また、ネットワーク電極の場合は0.2μm〜5μmが好ましい。
次に、第1の取り出し電極19及び第2の取り出し電極20について説明する。以下、「取り出し電極」と表記した場合は、第1の取り出し電極19及び第2の取り出し電極20を示すものである。
なお、上記スルーホールの形状は、第1の電極層12と第2の電極層15まで達する深さであればよく、大きさについては適宜変更が可能である。
エレクトロクロミック層13は、エレクトロクロミック材料を含む層である。
エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック化合物及び有機エレクトロクロミック化合物のいずれであっても構わない。また、エレクトロクロミズムを示すことで知られる導電性高分子を用いてもよい。
有機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、ビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリルなどが挙げられる。
導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、又はそれらの誘導体などが挙げられる。
このような構造の場合、微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック表示素子と比較して高速応答が可能となる。さらに、微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック色素の高い発色濃度を得ることができる。また、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。さらに導電性粒子は電極層としての導電性を兼ねることができる。
これらの中でも、発消色電位が低く良好な色値を示す点から、ビオロゲン系化合物、ジピリジン系化合物が好ましく、例えば、下記一般式(1)で表されるジピリジン系化合物がより好ましい。
前記一般式(1)において、Xは、一価のアニオンを表す。前記一価のアニオンとしては、カチオン部と安定に対をなすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Brイオン(Br−)、Clイオン(Cl−)、ClO4イオン(ClO4 −)、PF6イオン(PF6 −)、BF4イオン(BF4 −)などが挙げられる。
前記一般式(1)において、n、m、及びlは、それぞれ独立に0、1、又は2を表す。
前記一般式(1)において、A、B、及びCは、各々独立に置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、及び複素環基のいずれかを表す。
前記金属酸化物の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
エレクトロクロミック層13及び導電性又は半導体性微粒子の層は真空製膜により形成することも可能であるが、生産性の点で粒子分散ペーストとして塗布形成することが好ましい。
電解質層14は、固体状であってもよく、液体としての電解液であってもよい。電解液の漏れや乾燥を防ぐ観点から、固体電解質層であることが好ましい。この場合、光又は熱硬化樹脂中に電解質を保持した膜として形成される。
さらに電解質層の層厚を制御する無機微粒子を混合していることが好ましい。このような電解質層は前記無機微粒子と硬化型樹脂、電解質を混合した溶液としてエレクトロクロミック層13上にコートした後、光又は熱で硬化した膜とすることが好ましいが、あらかじめ多孔質の無機微粒子層を形成した後、無機微粒子層に浸透するように、硬化型樹脂、電解質を混合した溶液としてコートした後、光又は熱で硬化した膜とすることもできる。さらに、エレクトロクロミック層13が導電性又は半導体性ナノ粒子にエレクトロクロミック化合物が担持された層である場合は、エレクトロクロミック層に浸透するように、硬化型樹脂、電解質を混合した溶液としてコートした後、光又は熱で硬化した膜とすることもできる。
電解質の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2などが挙げられる。
有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。
前記分子構造は、カチオン成分とアニオン成分とからなる。
これらのカチオン成分とアニオン成分の組み合わせにより処方したイオン性液体を用いることができる。
従来から、電気化学素子としての電池やエレクトロクロミック装置では、電解液が使用されているが、電解液の漏れや溶媒の揮発による電池内の乾燥があるばかりでなく、電池容器内では、電解液の偏りなどが内部インピーダンスの上昇や内部短絡の原因になりやすい。特にエレクトロクロミック装置は、調光ガラスや表示用途に用いる場合、少なくとも一方向は、ガラスやプラスチック等の透明材料で封止する必要があるため、金属等で電解質を完全に密閉してしまうことは困難であり、電解液の漏れや揮発がより大きな問題となる。このため、エレクトロクロミック装置の用途によっては、高分子固体電解質を用いることが好ましい場合がある。
保護層17は、エレクトロクロミック装置側面部を物理的及び化学的に保護するように形成されている。保護層17は、例えば、紫外線硬化性や熱硬化性の絶縁性樹脂等を、側面及び/又は上面を覆うように塗布し、その後硬化させることにより形成できる。また、硬化樹脂と無機材料との積層保護層とすることがより好ましい。無機材料との積層構造にすることで、酸素や水に対するバリア性が向上する。
次に、本発明に係るエレクトロクロミック装置におけるその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。図3は、本実施形態に係るエレクトロクロミック装置を示す概略俯瞰図である。図3では、第1の取り出し電極19a〜19e、第2の取り出し電極20a〜20e、切断線21が図示されている。
る。
これによって、電源と接続しない不要な取り出し電極を除去し、非アクティブな領域のない良好な外観を得ることができる。加えて、電源との良好な接続をひとつの電極パターンで提供することが可能となる。
また、カットする位置は適宜変更が可能である。図3に示される例では、第1の取り出し電極19cと第2の取り出し電極20cの組を有するようにカットしている。
次に、本発明に係るエレクトロクロミック装置におけるその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。図4は、本実施形態に係るエレクトロクロミック装置を示す概略俯瞰図である。図4では、切断線21、基準点22が図示されている。
これによって、少なくとも1組の取り出し電極を確保しつつ、利用したい領域を切断線21の内側の任意の位置に来るようにカットし、電源との良好な接続をひとつの電極パターンで提供することが可能となる。
次に、本発明に係るエレクトロクロミック装置におけるその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。図5は、本実施形態に係るエレクトロクロミック装置を示す概略俯瞰図である。図5では、第1の取り出し電極19a〜19c、第2の取り出し電極20a〜20c、切断線21、基準点22が図示されている。
これによって、少なくとも1組の取り出し電極を確保しつつ、利用したい領域を切断線21の内側の任意の位置に来るようにカットし、かつ電源と接続しない不要な取り出し電極を除去することで、非アクティブな領域のない良好な外観を得ることができる。加えて、電源との良好な接続をひとつの電極パターンで提供することが可能となる。
次に、本発明に係るエレクトロクロミック装置におけるその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。図6は、本実施形態に係るエレクトロクロミック装置を示す概略断面図である。図6では、内側が凹となる第1の基板11、内側が凸となる第2の基板16が図示されている(取り出し電極の符号は省略されている)。
これによって、例えばレンズの透過率を電気的に制御する調光レンズといった光学素子を作製することができる。
なお、レンズ基板は、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができる。
次に、本発明に係るエレクトロクロミック装置におけるその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。図7は、本実施形態に係るエレクトロクロミック装置を示す概略俯瞰図である。図7には、光学中心23が図示されている。
これによって、例えばユーザーに合わせてレンズの使用する位置を変更する、度数調整するといったオンデマンド加工が必要とされる視力矯正用の調光眼鏡等に応用することが可能である。
特に視力矯正用の眼鏡では、レンズの光学中心と装用者の瞳の位置関係が視界のゆがみ等の不具合の原因となる。本実施形態によれば、レンズの光学中心をメガネフレームの任意の位置に配置することができる。これにより、少なくとも1組の取り出し電極を確保しつつ、利用したい領域を切断線21の内側の任意の位置になるようにカットし、かつ電源と接続しない不要な取り出し電極を除去することで、非アクティブな領域のない良好な外観を備えたエレクトロクロミック装置を得ることができる。加えて、電源との良好な接続をひとつの電極パターンで提供することが可能となり、生産性の向上が期待できる。
<エレクトロクロミック装置の作製>
実施例1は、図1及び図2に示すエレクトロクロミック装置10を作製する例を示すものである。
まず、第1の基板11として一辺92mmの正方形のポリカーボネート基板を準備した。この基板上に、ITO膜をスパッタ法により厚み約100nmに製膜して、第1の電極層12を形成した。このとき、基板にマスキングテープを貼り付け、スパッタリング後にマスキングテープを剥離することで、第1の電極層12を図2のような形状に形成することができる。
次に、このITO膜の表面に酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム社製、平均粒子径:20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
続いて、エレクトロクロミック化合物として、下記構造式(A)で表される化合物を1.5質量%含む2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布した後、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、酸化チタン粒子膜に担持(吸着)させて、エレクトロクロミック層13を形成した。
第2の基板16として第1の基板11と同形状・同厚膜のポリカーボネート基板を準備した。この基板上に、ITO膜をスパッタ法により厚み約100nmに製膜して、第2の電極層15を形成した。第2の電極層15に関しても、第1の電極層12と同様のテープマスクによって図2のような形状の電極を形成した。
次に、このITO膜の表面にATO粒子分散液(ATO平均粒子径:20nm/2,2,3,3−テトラフロロプロパノールの6wt%溶液にウレタン系結着剤HW140SF(DIC社製)を6wt%添加した分散液)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み約1.0μmのATO粒子膜からなる劣化防止層を形成した。
続いて、前記絶縁性無機微粒子層の表面に、ポリエチレンジアクリレートと、光開始剤(IRG184、BASF社製)と、電解質(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩)とを質量比100:5:40で混合した溶液を塗布し、第2の基板16における劣化防止層が形成されている面と貼り合わせ、UV硬化させて電解質層14を形成した。
次に、貼り合せた基板の側面部に、紫外線硬化接着剤(商品名:KARAYADR604、日本化薬社製)を滴下し、紫外光照射により硬化させることで保護層17を約3μmの厚みに形成した。
次に、第1の電極層12と第2の電極層15の互いに重なり合っていない部分において、マイクロドリルを用いて第1の電極層12と第2の電極層15まで達するスルーホール(直径:0.5mm)を第1の基板11及び第2の基板16上にそれぞれ形成した。このスルーホールに導電性ペースト(商品名:藤倉化成社製、ドータイトD−550)を注入し乾燥硬化させることで、第1の取り出し電極19と第2の取り出し電極20を形成した。そして、第1の取り出し電極19と第2の取り出し電極20をそれぞれ電源装置と接続するように形成した。なお、本実施例における第1の取り出し電極19と第2の取り出し電極20は、図2に示されるような位置に形成した。すなわち電極パターンの端部に2組の取り出し電極を形成し、アクティブ領域の内側に3組の取り出し電極を形成した。
以上により、図1及び図2に示されるエレクトロクロミック装置を作製した。
得られたエレクトロクロミック装置10について発消色を確認した。具体的には、第1の取り出し電極19と第2の取り出し電極20との間に、第1の電極層12がマイナス極となるように−3.5Vの電圧を3秒間印加させた。電圧を印加させたところ、エレクトロクロミック装置10が上記構造式(A)で示されるエレクトロクロミック化合物に由来するマゼンタ色に発色することが確認された。
さらに、第1の取り出し電極19と第2の取り出し電極20との間に、第1の電極層12がプラス極となるように+3.5Vの電圧を2秒間印加させたところ、エレクトロクロミック色素が消色し、エレクトロクロミック装置が透明になることが確認された。
<エレクトロクロミック装置の作製>
実施例2は、図3に示すエレクトロクロミック装置を作製する例を示すものである。
<<切断線に沿ったカット工程>>
実施例1のように作製したエレクトロクロミック装置について、第1の取り出し電極19cと第2の取り出し電極20cの組を残すようにして、図3に示される切断線21のようにカットした。本実施例ではカッターナイフを用いて切断した。
切断線21のようにカットして得られたエレクトロクロミック装置について発消色を確認した。具体的には、切断後に残った取り出し電極を用いて、第1の電極層12と第2の電極層15との間に、第1の電極層12がマイナス極となるように−3Vの電圧を2秒間印加させた。電圧を印加させたところ、エレクトロクロミック装置10が上記構造式(A)のエレクトロクロミック化合物に由来するマゼンタ色に発色することが確認された。
さらに、第1の電極層12と第2の電極層15に、第1の電極層12がプラス極となるように+3Vの電圧を2秒間印加させたところ、エレクトロクロミック色素が消色し、エレクトロクロミック装置が透明になることが確認された。本実施例で得られたエレクトロクロミック装置では、非アクティブな領域のない良好な外観を得ることができていた。加えて、電源との良好な接続を1つの電極パターンで提供することが可能であることが確認できた。
<エレクトロクロミック装置の作製>
実施例3は、図4に示すエレクトロクロミック装置を作製する例を示すものである。なお、エレクトロクロミック装置の作製方法としては、特に断りのない限り、以下に記載の箇所以外は、実施例1及び実施例2と同様に作製する。
まず、第1の基板11として直径80mmの円形のポリカーボネート基板を準備した。この基板上に、ITO膜をスパッタ法により厚み約100nmに製膜して、第1の電極層12を形成した。このとき、基板の中心から25mmの位置に1辺3mm正方形のマスキングテープを5mm間隔で図4に示される位置に貼り付け、スパッタリング後にマスキングテープを剥離し、第1の電極層12を形成した。第2の電極層15に関しても第1の電極層12と同様の方法で形成した。
マスキングテープを貼り付けた領域における第1の基板11、第2の基板16の領域に、実施例1と同様にスルーホールを形成し、導電性ペーストを用いて第1の取り出し電極19及び第2の取り出し電極20を形成した。
作製したエレクトロクロミック装置において、基準点22から最も近い取り出し電極の組を残して、図4に示される切断線21のようにカットした。本実施例ではカッターナイフを用いて切断した。なお、切断線21は、縦55mm、横30mmの略矩形状であった。
切断線21のようにカットして得られたエレクトロクロミック装置について発消色を確認した。具体的には、切断後に残った取り出し電極を用いて、第1の電極層12と第2の電極層15との間に、第1の電極層がマイナス極となるように−3Vの電圧を2秒間印加させた。電圧を印加したところ、エレクトロクロミック装置10が上記構造式(A)のエレクトロクロミック化合物に由来するマゼンタ色に発色することが確認された。
さらに、第1の電極層12と第2の電極層15に、第1の電極層がプラス極となるように+3Vの電圧を2秒間印加させたところ、エレクトロクロミック色素が消色し、エレクトロクロミック装置が透明になることが確認された。これにより、少なくとも1組の取り出し電極を確保しつつ、利用したい領域を切断線21の内側の任意の位置に来るようにカットし、電源との良好な接続をひとつの電極パターンで提供することが可能となる事が確認できた。
実施例3において、図4で示される切断線21を、図8で示される切断線21に変えた以外は実施例3と同様にしてエレクトロクロミック装置を作製した。なお、図8の切断線21は、図4の切断線21を5mmずらしたものである。
得られたエレクトロクロミック装置について実施例3と同様にして発消色を確認した。結果は、実施例3と同様に、−3Vの電圧を印加したところマゼンタ色に発色し、+3Vの電圧を印加したところ消色した。
実施例3において、図4で示される切断線21を、図9で示される切断線21に変えた以外は実施例3と同様にしてエレクトロクロミック装置を作製した。なお、図9の切断線21は、図8の切断線21を5mmずらしたものである。
得られたエレクトロクロミック装置について実施例3と同様にして発消色を確認した。結果は、実施例3と同様に、−3Vの電圧を印加したところマゼンタ色に発色し、+3Vの電圧を印加したところ消色した。
<エレクトロクロミック装置の作製>
実施例6は、図5に示すエレクトロクロミック装置を作製する例を示すものである。エレクトロクロミック装置の作製方法は、特に断りのない限り、以下に記載の箇所以外は、実施例1及び実施例2と同様に作製する。
まず、第1の基板11として直径80mm円形のポリカーボネート基板を準備した。この基板上に、ITO膜をスパッタ法により厚み約100nmに製膜して、第1の電極層12を形成した。
このとき、基板の中心から半径方向25mmの位置に1辺5mm正方形のマスキングテープ貼り付けた(図5の符号19a、20a)。次に基板の中心に対して120度回転させた半径方向に30mmの位置に同様に1辺5mm正方形のマスキングテープ貼り付けた(図5の符号19b、20b)。さらに基板の中心に対して120度回転させた半径方向に35mmの位置に同様に1辺5mm正方形のマスキングテープ貼り付けた(図5の符号19c、20c)。そして、スパッタリング後にマスキングテープを剥離することで、第1の電極層12を形成した。第2の電極層15に関しても第2の電極層12と同様の方法で形成した。
マスキングテープを貼り付けた領域における第1の基板11、第2の基板16の領域に、実施例1と同様にスルーホールを形成し、導電性ペーストを用いて第1の取り出し電極19及び第2の取り出し電極20を形成した。
作製したエレクトロクロミック装置において、第1の取り出し電極19aと第2の取り出し電極20aの組を残し、図5に示される切断線21のようにカットした。本実施例ではカッターナイフを用いて切断した。なお、切断線21は、縦55mm、横30mmの略矩形状であった。
得られたエレクトロクロミック装置10について発消色を確認した。具体的には、切断後に残った取り出し電極を用いて、第1の電極層12と第2の電極層15との間に、第1の電極層がマイナス極となるように−3Vの電圧を2秒間印加させた。電圧を印加させたところ、エレクトロクロミック装置10が上記構造式(A)のエレクトロクロミック化合物に由来するマゼンタ色に発色することが確認された。
さらに、第1の電極層12と第2の電極層15に、第1の電極層がプラス極となるように+3Vの電圧を2秒間印加させたところ、エレクトロクロミック色素が消色し、エレクトロクロミック装置が透明になることが確認された。これにより、少なくとも1組の取り出し電極を確保しつつ、利用したい領域を切断線21の内側の任意の位置に来るようにカットし、かつ電源と接続しない不要な取り出し電極を除去することで、非アクティブな領域のない良好な外観を得ることができる。加えて、電源との良好な接続をひとつの電極パターンで提供することが可能となることが確認できた。
実施例6において、図5で示される切断線21を、図10で示される切断線21に変えた以外は実施例6と同様にしてエレクトロクロミック装置を作製した。本実施例では第1の取り出し電極19bと第2の取り出し電極20bの組を残して、図10に示される切断線21のようにカットした。
切断線21のようにカットして得られたエレクトロクロミック装置について実施例6と同様にして発消色を確認した。結果は、実施例6と同様に、−3Vの電圧を印加したところマゼンタ色に発色し、+3Vの電圧を印加したところ消色した。
実施例6において、図5で示される切断線21を、図11で示される切断線21に変えた以外は実施例6と同様にしてエレクトロクロミック装置を作製した。本実施例では第1の取り出し電極19cと第2の取り出し電極20cの組を残して、図11に示される切断線21のようにカットした。
切断線21のようにカットして得られたエレクトロクロミック装置について実施例6と同様にして発消色を確認した。結果は、実施例6と同様に、−3Vの電圧を印加したところマゼンタ色に発色し、+3Vの電圧を印加したところ消色した。
<エレクトロクロミック装置の作製>
実施例9は、図6に示すエレクトロクロミック装置を作製する例を示すものである。エレクトロクロミック装置の作製方法は、特に断りのない限り、以下に記載の箇所以外は実施例1及び実施例2と同様に作製することができる。
第1の電極層12及び第2の電極層15は、第1の基板11及び第2の基板16におけるそれぞれ内面に形成し、その他の層もそれぞれ第1の基板11及び第2の基板16におけるそれぞれ内面に形成した。
第1の基板11及び第2の基板16を貼り合せることで、図6に示すエレクトロクロミック装置(調光レンズ)を作製した。なお、取り出し電極は電極パターン端部に複数組形成した。
得られたエレクトロクロミック装置(調光レンズ)について発消色を確認した。具体的には、取り出し電極を用いて、第1の電極層12と第2の電極層15との間に、第1の電極層12がマイナス極となるように−3Vの電圧を2秒間印加させた。電圧を印加させたところ、エレクトロクロミック装置10が上記構造式(A)のエレクトロクロミック化合物に由来するマゼンタ色に発色することが確認された。
さらに、第1の電極層12と第2の電極層15に、第1の電極層12がプラス極となるように+3Vの電圧を2秒間印加させたところ、エレクトロクロミック色素が消色し、エレクトロクロミック装置が透明になることが確認された。これにより、少なくとも1組の取り出し電極を確保しつつ、利用したい領域を切断線21の内側の任意の位置に来るようにカットし、かつ電源と接続しない不要な取り出し電極を除去することで、非アクティブな領域のない良好な外観の調光レンズを得ることができる。加えて、電源との良好な接続をひとつの電極パターンで提供することが可能となることが確認できた。
<エレクトロクロミック装置の作製>
実施例10は、図7、図12に示すエレクトロクロミック装置を作製する例を示すものである。エレクトロクロミック装置の作製方法は、特に断りのない限り、以下に記載の箇所以外は実施例9と同様に作製する。
第1の電極層12及び第2の電極層15はそれぞれパターニングされており、パターンの基準となる点が、それぞれ光学レンズである支持基板の光学中心を基準としている。
第1の基板11及び第2の基板16をそれぞれの光学中心が重なるように貼り合せることで、図7に示すエレクトロクロミック装置(調光レンズ)を作製した。
作製したエレクトロクロミック装置(調光レンズ)の形状が、エレクトロクロミック装置の駆動回路を有するメガネフレーム(図13参照)に合うような切断線21でカットした。このとき、図13に示されるメガネフレームに挿入した際に、レンズの光学中心が装用者の瞳の位置に対して適切な位置になり、かつ、取り出し電極がメガネフレーム側の接続部と接続可能な位置になるよう、図7、図12のように切断線21を決定し、カットした。なお、図7と図12の切断線21は同じ形状である。
図13のように、カットされたエレクトロクロミック装置をメガネフレームに挿入した。エレクトロクロミック装置の取り出し電極と駆動回路との接続は、導電性接着剤を用いて個別に電気的接続が取れるよう行った。なお、挿入したエレクトロクロミック装置は符号51で示されている。
エレクトロクロミック装置について発消色を確認した。具体的には、切断後に残った取り出し電極を用いて、第1の電極層12と第2の電極層15との間に、第1の電極層12がマイナス極となるように−3Vの電圧を2秒間印加させたところ、エレクトロクロミック装置10が上記構造式Aのエレクトロクロミック化合物に由来するマゼンタ色に発色することが確認された。
さらに、第1の電極層12と第2の電極層15に、第1の電極層12がプラス極となるように+3Vの電圧を2秒間印加させたところ、エレクトロクロミック色素が消色し、エレクトロクロミック装置が透明になることが確認された。これにより、少なくとも1組の取り出し電極を確保しつつ、利用したい領域を切断線21の内側の任意の位置に来るようにカットし、かつ電源と接続しない不要な取り出し電極を除去することで、非アクティブな領域のない良好な外観の調光レンズを得ることができる。
また、視力矯正用眼鏡として調光レンズを装用したところ、非常に良好な装用感が得られ、長時間装用していても不快感はなかった。加えて、1つの電極パターンで様々な装用者に対応可能なエレクトロクロミック装置付きの調光レンズを提供することが可能となることが確認できた。
11 第1の基板
12 第1の電極層
13 エレクトロクロミック層
14 電解質層
15 第2の電極層
16 第2の基板
17 保護層
18 アクティブ領域
19、19a〜19e 第1の取り出し電極
20、20a〜20e 第2の取り出し電極
21 切断線
22 基準点
23 光学中心
50 エレクトロクロミック装置を備えるメガネ
52 メガネフレーム
53 発色用スイッチ
54 消色用スイッチ
Claims (8)
- 第1の基板と、
前記第1の基板上に形成された第1の電極層と、
前記第1の電極層上に形成されたエレクトロクロミック層と、
前記第1の基板と対向する第2の基板と、
前記第2の基板における前記第1の基板側の面に形成された第2の電極層と、
前記第1の電極層と前記第2の電極層の間に形成された電解質層と、を有し、
前記第1の電極層を電源装置に接続する電極を第1の取り出し電極とし、
前記第2の電極層を電源装置に接続する電極を第2の取り出し電極としたとき、
前記第1の取り出し電極と前記第2の取り出し電極の組を複数有することを特徴とするエレクトロクロミック装置。 - 前記電解質層が、マトリックスポリマーとイオン性液体との固溶体で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック装置。
- 前記第1の取り出し電極と前記第2の取り出し電極の組を少なくとも1組有するようにカットしたものが光学素子として使用可能なように、前記第1の取り出し電極と前記第2の取り出し電極の組が複数配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック装置。
- 前記第1の基板が円形であり、前記第1の基板の中心を基準点としたとき、
前記第1の取り出し電極と前記第2の取り出し電極の組が、前記基準点から異なる距離に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック装置。 - 前記第1の基板が円形であり、前記第1の基板の中心を基準点としたとき、
前記第1の取り出し電極と前記第2の取り出し電極の組と、前記基準点と、を結んだ直線上には該第1の取り出し電極と第2の取り出し電極の組とは別の組が配置されていないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトロクロミック装置。 - 前記第1の基板及び第2の基板がレンズ基板であり、
前記光学素子が光学レンズであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のエレクトロクロミック装置。 - 前記光学レンズの光学中心が、前記基準点と一致することを特徴とする請求項6に記載のエレクトロクロミック装置。
- 光学部品を作製するために用いられることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学部品作製用エレクトロクロミック装置
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