JP6064761B2 - エレクトロクロミック装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトロクロミック装置及びその製造方法に関する。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。このエレクトロクロミズムを利用した装置がエレクトロクロミック装置である。エレクトロクロミック装置にはエレクトロクロミズムの特徴に由来する応用が実現できるとして、今日まで多くの研究がなされている。
エレクトロクロミック装置に用いられるエレクトロクロミック材料としては、有機材料や無機材料がある。有機材料は、その分子構造により様々な色彩発色が可能であることから、カラー表示装置として有望であるが、有機物であるため耐久性に課題がある。一方、無機材料は色彩の制御に課題があるが、特に固体電解層を用いた場合、耐久性に優れる。この特徴を利用し、色彩度が低いことが利点となるアプリケーションとして調光ガラスやNDフィルタへの実用化が検討されている。しかし、固体電解層を用いた装置では応答速度が遅いという課題がある。
これらのエレクトロクロミック装置は、一般に、エレクトロクロミック材料を対向する2つの電極間に形成し、イオン伝導可能な電解質層が電極間に満たされた構成で酸化還元反応を行う。エレクトロクロミック装置は、酸化還元反応を利用して発消色を行う原理ゆえに、発消色の応答速度が遅いという欠点がある。
更に、エレクトロクロミックは電気化学現象であるため、電解質層の性能(イオン伝導度等)が応答速度や発色のメモリ効果に影響する。電解質層は電解質を溶媒に溶かした液体状である場合は速い応答性を得やすいが、素子強度・信頼性の点で固体化、ゲル化による改良が検討されている。
すなわち、従来から、電気化学素子としての電池やエレクトロクロミック装置では、電解液を使用している。そのため、電解液の漏れ、溶媒の揮発による電池内の乾燥があるばかりでなく、電池容器内では、電解液の偏りにより、隔膜が部分的に乾燥状態になり、このことが内部インピーダンスの上昇や内部短絡の原因になっていた。
特にエレクトロクロミック装置は、調光ガラスや表示用途に用いる場合、少なくとも一方向は、ガラスやプラスチック等の透明材料で封止する必要があるため、金属等で電解質を完全に密閉してしまうことは困難であり、電解液の漏れや揮発がより大きな問題となる。
上述したような欠点を解決するための方法として、高分子固体電解質を用いることが提案されている。具体例として、オキシエチレン鎖やオキシプロピレン鎖を含有するマトリックスポリマーと無機塩との固溶体が挙げられるが、これらは完全固体であり、加工性に優れるものの、その電導度は通常の非水電解液に比べて数桁程度低いという実用上の課題を有している。
又、高分子固体電解質の電導度を向上させるために、高分子に有機電解液を溶解させて半固形状のものにする方法(例えば、特許文献1参照)や、電解質を加えた液状モノマーを重合反応させて電解質を含む架橋重合体とする方法が提案されている。しかし、それらの何れも実用レベルには至っていない。
ところで、これらのエレクトロクロミック装置は、一般に、エレクトロクロミック材料を対向する2つの電極間に形成した後、イオン伝導可能な電解質層を介して貼合せることで作製される。この貼合せプロセスなしでエレクトロクロミック装置を作製することができれば、曲面など多様な部位に装置形成することが可能になるため適用範囲が広がると共に、片側の支持体が不要となるため低コストで生産できる。
しかし、従来技術ではエレクトロクロミック装置を支持体上に薄膜プロセスで形成することが困難であった。すなわち、貼合せプロセスを省略するために、電解質層上に電極形成する場合、全固体の電解質層を用いると前述のように応答速度が遅いという問題がある。更に全固体の電解質層として有機材料層を用いると、電解質層上に形成する電極層の電気抵抗が高くなりやすく、正常に酸化還元駆動できないという問題があった。特に、一般的に透明電極として採用されている真空製膜で形成されたITO、SnO、AZO等の酸化物層は、有機膜表面に製膜した場合、透明性と電気伝導度を両立しにくい。
一方、全固体の電解質層として無機材料層を用いる場合は、無機エレクトロクロミック化合物に限定される。無機エレクトロクロミック化合物を用いる例としては、還元発色層と酸化発色層とを固体電解質層を挟んで対向配置した構造を有するエレクトロクロミック素子を挙げることができる。
このエレクトロクロミック素子では、還元発色層が酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成され、酸化発色層がニッケル酸化物を含有する材料で構成されている。更に、酸化発色固体電解質層との間に、ニッケル酸化物以外の金属酸化物若しくは金属、又はニッケル酸化物以外の金属酸化物と金属との複合物を主成分として構成される透明性を有する中間層を配置している(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2によれば、中間層を形成することにより、繰り返し特性と応答性が改良することが記載されており、数秒で発消色駆動が可能である。しかし、構造が複雑であると共に真空製膜で無機クロミック化合物層を多層形成することは大型化が困難であると共にコストアップ要因となる。又、無機エレクトロクロミック材料は色彩の制御に課題がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、貼合せプロセスなしで作製可能なエレクトロクロミック装置、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本エレクトロクロミック装置は、第1の電極層と、前記第1の電極層に対向するように設けられた第2の電極層と、前記第1の電極層と接するように設けられたエレクトロクロミック層と、前記第2の電極層と接するように設けられ、前記第2の電極層の劣化を防止する劣化防止層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に充填され、かつ、前記エレクトロクロミック層及び前記劣化防止層と接するように設けられた電解質と、を有し、前記第1の電極層と前記第2の電極層の各々は、互いに対向する面である内面と、前記内面とは反対側の面である外面と、を備え、前記第1の電極層又は前記第2の電極層の少なくとも一方の電極層には、貫通孔が形成されており、前記貫通孔が形成された前記電極層に設けられた前記エレクトロクロミック層又は前記劣化防止層は、前記貫通孔が形成された前記電極層の前記外面に設けられており、前記第1の電極層と前記第2の電極層の何れか一方の前記外面側のみに支持体が設けられていることを要件とする。
開示の技術によれば、貼合せプロセスなしで作製可能なエレクトロクロミック装置、及びその製造方法を提供できる。
第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。 第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。 第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。 第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。 第5の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。 第6の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。 第7の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。 第8の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。 第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。 第10の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。図1を参照するに、エレクトロクロミック装置10は、支持体11と、支持体11上に順次積層された第1の電極層12、エレクトロクロミック層13、絶縁性多孔質層14、第2の電極層15、及び劣化防止層16を有する。
エレクトロクロミック装置10において、支持体11上には第1の電極層12が設けられ、第1の電極層12に接してエレクトロクロミック層13が設けられている。又、エレクトロクロミック層13上には、絶縁性多孔質層14を介して、第1の電極層12に対向するように第2の電極層15が設けられている。
絶縁性多孔質層14は、第1の電極層12と第2の電極層15とを絶縁するために設けられており、絶縁性多孔質層14は、絶縁性金属酸化物微粒子を含んでいる。第1の電極層12と第2の電極層15に挟まれた絶縁性多孔質層14には、電解質が充填されている。又、第2の電極層15には、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が形成されている。第2の電極層15の外側には劣化防止層16が設けられており、劣化防止層16は半導体性金属酸化物微粒子を含んでいる。
なお、便宜上、第1の電極層12と第2の電極層15の各々において、互いに対向する面を内面と称し、各々の内面とは反対側の面を外面と称する。本実施の形態では、第1の電極層12の内面はエレクトロクロミック層13と接しており、第1の電極層12の外面は支持体11と接している。又、第2の電極層15の内面は絶縁性多孔質層14と接しており、第2の電極層15の外面は劣化防止層16と接している。なお、内面及び外面は、平面であっても曲面であってもよい。
エレクトロクロミック装置10の製造工程は、支持体11上に第1の電極層12及びエレクトロクロミック層13を順次積層する工程と、エレクトロクロミック層13上に絶縁性多孔質層14を介して第1の電極層12に対向するように貫通孔が形成された第2の電極層15を積層する工程と、第2の電極層15上に劣化防止層16を積層する工程と、第1の電極層12と第2の電極層15に挟まれた絶縁性多孔質層14に、劣化防止層16を介して、第2の電極層15に形成された貫通孔から電解質を充填する工程とを有する。
つまり、第2の電極層15に形成された貫通孔は、エレクトロクロミック装置10の製造工程において、絶縁性多孔質層14に電解質を充填する際の注入孔である。前述のように、貼合せプロセスを省略するために、電解質層上に第2の電極層を形成する場合には様々な問題が生じるが、絶縁性多孔質層14上に貫通孔が形成された第2の電極層15を先に積層し、劣化防止層16の積層工程後、劣化防止層16及び第2の電極層15に形成された貫通孔を介して絶縁性多孔質層14に電解質を注入することにより、これらの問題を回避できる。
エレクトロクロミック装置10において、第1の電極層12と第2の電極層15との間に電圧を印加することにより、エレクトロクロミック層13が電荷の授受により酸化還元反応して発消色する。
このように、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置では、第1の電極層と第2の電極層に挟まれた絶縁性多孔質層に、劣化防止層及び第2の電極層に形成された貫通孔から電解質を充填することが可能である。そのため、電解質を充填する前に、低抵抗な第2の電極層を形成することが可能となり、エレクトロクロミック装置の性能を向上できる。
又、貼合せプロセスなしでエレクトロクロミック装置を作製できるため、多様な部位にエレクトロクロミック装置を形成可能となり、エレクトロクロミック装置の適用範囲を広げることができる。
又、劣化防止層の外側には支持体が設けられていないため(片側の支持体が不要となるため)、生産性(大型化)に優れたエレクトロクロミック装置を提供できる。又、全固体電解質層を用いる必要がなく応答性に優れ、更に有機エレクトロクロミック材料を用いることで色彩特性にも優れたエレクトロクロミック装置を実現できる。
又、第2の電極層上に劣化防止層を設けているため、繰り返し安定して動作するエレクトロクロミック装置を実現できる。
なお、本実施の形態では、第2の電極層に貫通孔が形成されているため、第2の電極層の外側(対向する2つの電極層の外側)に第2の電極層に接して劣化防止層を形成できる。これは、第2の電極層に形成された貫通孔を通してイオンが第2の電極層の表裏を移動できるためである。その結果、第2の電極層の下層に劣化防止層を形成する必要がないため、劣化防止層にダメージを与えるおそれを回避できる。この点に関し、以下に更に詳しく説明する。
劣化防止層を貫通孔が形成されている第2の電極層の下層(対向する2つの電極層の内側)に形成することも可能である。しかし、劣化防止層を第2の電極層の下層に形成すると、例えば、コロイダルリソグラフィー法で劣化防止層上に第2の電極層を形成するためのスパッタや、コロイダルマスク除去のための超音波等により、劣化防止層を構成する材料がダメージを受けるおそれがある。
そこで、劣化防止層を貫通孔が形成されている第2の電極層の上層(対向する2つの電極層の外側)に設けることにより、劣化防止層の材料がダメージを受ける問題を回避できる。但し、劣化防止層の材料によっては、プロセスダメージの少ないものもあり、そのような材料を用いる場合には、劣化防止層を貫通孔が形成されている第2の電極層の下層(対向する2つの電極層の内側)に形成してもよい。換言すれば、劣化防止層を貫通孔が形成されている第2の電極層の上層(対向する2つの電極層の外側)に設けることにより、劣化防止層を構成する材料の選定の自由度を増やすことができる。
又、劣化防止層を形成する場合、浸透性の絶縁性多孔質層上と、第2の電極層上に形成する場合とで、何れか均質な劣化防止層を形成できるプロセスを適宜選ぶことができる。
以下、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置10を構成する各構成要素について詳説する。
[支持体11]
支持体11は、第1の電極層12、エレクトロクロミック層13、絶縁性多孔質層14、第2の電極層15、及び劣化防止層16を支持する機能を有する。支持体11としては、これらの各層を支持できれば、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
具体例としては、支持体11として、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板を用いることができる。又、支持体11として、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。更に、支持体11として、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属基板を用いてもよい。
なお、エレクトロクロミック装置10が第2の電極層15側から視認する反射型表示装置である場合は、支持体11の透明性は不要である。又、支持体11として導電性金属材料を用いる場合は、支持体11が第1の電極層12を兼ねることもできる。又、支持体11の表面に、水蒸気バリア性・ガスバリア性・視認性を高めるために透明絶縁層・反射防止層等がコーティングされていてもよい。
[第1の電極層12、第2の電極層15]
第1の電極層12及び第2の電極層15の材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、調光ガラスとして利用する場合は光の透過性を確保する必要があるため、透明かつ導電性に優れた透明導電性材料が用いられる。これにより、ガラスの透明性を得られると共に着色のコントラストをより高めることができる。
透明導電性材料としては、スズをドープした酸化インジウム(以下、ITOとする)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、FTOとする)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、ATOとする)等の無機材料を用いることができる。特に、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、In酸化物とする)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物とする)又は亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物とする)の何れか1つを含む無機材料を用いることが好ましい。
In酸化物、Sn酸化物、及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。又、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOである。更には、透明性を有する銀、金、カーボンナノチューブ、金属酸化物等のネットワーク電極やこれらの複合層も有用である。なお、ネットワーク電極とは、カーボンナノチューブや他の高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して透過率を持たせた電極である。
第1の電極層12及び第2の電極層15の各々の膜厚は、エレクトロクロミック層13の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。第1の電極層12及び第2の電極層15の材料としてITOを用いた場合、第1の電極層12及び第2の電極層15の各々の膜厚は、例えば50〜500nm程度とすることができる。
又、調光ミラーとして利用する場合には、第1の電極層12及び第2の電極層15の何れかが反射機能を有する構造であってもよく、その場合には第1の電極層12及び第2の電極層15の材料として金属材料を含むことができる。金属材料としては、例えばPt、Ag、Au、Cr、ロジウム、及びこれらの合金、又は、これらの積層構成等を用いることができる。
第1の電極層12及び第2の電極層15の各々の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を用いることができる。又、第1の電極層12及び第2の電極層15の各々の材料が塗布形成できるものであれば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
本実施の形態では、第2の電極層15には、厚さ方向に貫通する多数の微細な貫通孔が形成されている。例えば、以下に示す方法により、第2の電極層15に微細な貫通孔を設けることができる。すなわち、第2の電極層15を形成する前に予め下地層として凹凸を持つ層を形成し、そのまま凹凸を有する第2の電極層15とする方法を用いることができる。
又、第2の電極層15を形成する前にマイクロピラー等の凸形状構造体を形成し、第2の電極層15を形成後に凸形状構造体を取り除く方法を用いてもよい。又、第2の電極層15を形成する前に発泡性の高分子重合体等を散布し、第2の電極層15を形成後に加熱や脱気する等の処理を施して発泡させる方法を用いてもよい。又、第2の電極層15に直接各種放射線を輻射して細孔を形成させる方法を用いてもよい。
第2の電極層15に微細な貫通孔を形成する方法としては、コロイダルリソグラフィー法が好ましい。コロイダルリソグラフィー法は、第2の電極層15が積層される下層に微粒子を散布し、散布された微粒子をマスクとして微粒子が散布された面に真空成膜法等により第2の電極層15となる導電膜を形成し、その後、微粒子ごと導電膜を除去することでパターニングを行う方法である。
コロイダルリソグラフィー法により第2の電極層15に微細な貫通孔を容易に形成できる。特に、散布する微粒子の直径を第2の電極層15の膜厚以上とすることにより、第2の電極層15に容易に貫通孔を形成できる。又、散布する微粒子分散物の濃度や微粒子の粒子径を変えることで容易に微細な貫通孔の密度や面積を調節できる。
更に、微粒子分散物の散布方法によりコロイダルマスクの面内均一性を容易に高めることができるため、エレクトロクロミック層13の発消色濃度の面内均一性を高め、表示性能を向上させることが可能となる。以下、コロイダルリソグラフィー法の具体的な内容について説明する。
コロイダルリソグラフィーに用いるコロイダルマスクとなる微粒子の材質については、第2の電極層15に微細な貫通孔を形成することが可能であれば何を用いても構わないが、例えば、SiO微粒子等が経済的に優位である。又、コロイダルマスク散布時に用いる分散物は分散性のよいものが好ましく、例えば、コロイダルマスクとなる微粒子としてSiO微粒子を用いる場合は水系の分散物を用いることができる。
但し、エレクトロクロミック層13や絶縁性多孔質層14等のコロイダルマスクの下層にダメージを与えるおそれがある場合は、コロイダルマスクとなる微粒子として非水系溶媒に分散するように表面処理したSiO微粒子を用いることが好ましい。この場合には、コロイダルマスク散布時に用いる分散物として非水系の分散物を用いることができる。
コロイダルマスクとなる微粒子の粒子径(直径)については、微細な貫通孔を形成する第2の電極層15の膜厚以上、かつ、エレクトロクロミック層13の膜厚以下であることが好ましい。コロイダルマスクは、超音波照射法やテープピーリング法等により除去できるが、下層にダメージの少ない方法を選択することが好ましい。又、コロイダルマスクの他の除去方式として、微粒子等の吹付けによるドライ洗浄も可能である。
テープピーリング法を用いてコロイダルマスクを除去する場合、一般的なテープにおける粘着層の厚さは1μm以上となっておりコロイダルマスクが埋没してしまう場合が多い。この場合、第2の電極層15の表面に粘着層が接触してしまうため、糊残りの少ないテープを使用することが好ましい。超音波照射法を用いてコロイダルマスクを除去する場合、浸漬する溶媒については既に形成している各機能層にダメージの少ない溶媒を用いることが好ましい。
第2の電極層15に微細な貫通孔を形成する方法として、コロイダルリソグラフィー法の他に、フォトレジストやドライフィルム等を用いた一般的なリフトオフ法を用いてもよい。具体的には、まず所望のフォトレジストパターンを形成し、次いで第2の電極層15を形成し、その後フォトレジストパターンを除去することによってフォトレジストパターン上の不要な部分を除去して、第2の電極層15に微細な貫通孔を形成する方法である。
一般的なリフトオフ法により第2の電極層15に微細な貫通孔を形成する場合、光照射による下層へのダメージを回避するため、対象物への光照射面積が小さくて済むように、使用するフォトレジストはネガ型のものを使用することが好ましい。
ネガ型のフォトレジストとしては、例えば、ポリビニルシンナメート、スチリルピリジニウムホルマール化ポリビニルアルコール、グリコールメタクリレート/ポリビニルアルコール/開始剤、ポリグリシジルメタクリレート、ハロメチル化ポリスチレン、ジアゾレジン、ビスアジド/ジエン系ゴム、ポリヒドロキシスチレン/メラミン/光酸発生剤、メチル化メラミン樹脂、メチル化尿素樹脂等を挙げることができる。
更に、レーザ光を用いた加工装置により、第2の電極層15に微細な貫通孔を形成することも可能である。一般的にレーザ加工を用いた場合は、形成される微細な貫通孔の孔径が15μm以上になる。
第2の電極層15に設けられる微細な貫通孔の径は、10nm以上100μm以下であると好適である。貫通孔の径が10nm(0.01μm)よりも小さい場合、電解質イオンの透過が悪くなる不具合が生じる。又、微細貫通孔の径が100μmよりも大きい場合、目視できるレベル(通常のディスプレイでは1画素電極レベルの大きさ)であり、微細な貫通孔直上の表示性能に不具合が生じることになる。
第2の電極層15に設けられる微細な貫通孔の第2の電極層15の表面積に対する孔面積の比(穴密度)は、適宜設定することができるが、例えば0.01〜40%程度とすることができる。穴密度が高すぎると、第2の電極層15の表面抵抗が大きくなるため、第2の電極層15がない領域面積が広くなることによるクロミック欠陥が出る不具合が生じる。又、穴密度が低すぎると電解質イオンの浸透性が悪くなるために、同様に駆動に問題が生じる不具合が生じる。
[エレクトロクロミック層13]
エレクトロクロミック層13は、エレクトロクロミック材料を含んだ層であり、エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック化合物、有機エレクトロクロミック化合物の何れを用いても構わない。又、エレクトロクロミズムを示すことで知られる導電性高分子を用いてもよい。
無機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタン等が挙げられる。又、有機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、ビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリル等が挙げられる。又、導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、又はそれらの誘導体等が挙げられる。
又、エレクトロクロミック層13としては、導電性又は半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造を用いることが特に望ましい。具体的には、電極表面に粒径5nm〜50nm程度の微粒子を焼結し、その微粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基等の極性基を有する有機エレクトロクロミック化合物を吸着した構造である。
本構造は、微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック表示素子と比較して高速応答が可能となる。更に、微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック色素の高い発色濃度を得ることができる。又、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。
具体的には、ポリマー系、色素系のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物を用いることができる。
上記中、発消色電位が低く良好な色値を示すビオロゲン系化合物又はジピリジン系化合物を含むことが特に好ましい。例えば、式[化1](一般式)で表されるジピリジン系化合物を含むことが好ましい。
Figure 0006064761
なお、式[化1](一般式)中、R1及びR2は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数1から8のアルキル基、又はアリール基を表し、R1又はR2の少なくとも一方は、COOH、PO(OH)、Si(OC2k+1から選ばれる置換基を有する。Xは1価のアニオンを表す。n、m、lは0、1、又は2を表す。A、B、Cは各々独立に置換基を有してもよい炭素数1から20のアルキル基、アリール基、複素環基を表す。
一方、金属錯体系や金属酸化物系のエレクトロクロミック化合物としては、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化イリジウム、酸化ニッケル、プルシアンブルー等の無機系エレクトロクロミック化合物を用いることができる。
導電性又は半導体性微粒子としては特に限定されるものではないが、金属酸化物を用いることが好ましい。具体的な材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物を用いることができる。
又、これらの金属酸化物は、単独で用いてもよく、2種以上が混合され用いてもよい。電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性を鑑みるに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステンから選ばれる一種、若しくはそれらの混合物が用いられたとき、発消色の応答速度に優れた色表示が可能である。とりわけ、酸化チタンが用いられたとき、より発消色の応答速度に優れた色表示が可能である。
また、導電性又は半導体性微粒子の形状は、特に限定されるものではないが、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下比表面積)が大きい形状が用いられる。例えば、微粒子が、ナノ粒子の集合体であるときは、大きな比表面積を有するため、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比が優れる。
エレクトロクロミック層13の膜厚は、例えば、0.2〜5.0μm程度とすることができる。エレクトロクロミック層13の膜厚が上記範囲よりも薄い場合、発色濃度を得にくくなる。又、エレクトロクロミック層13の膜厚が上記範囲より厚い場合、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下しやすい。エレクトロクロミック層13及び導電性又は半導体性微粒子層は真空製膜により形成することも可能であるが、生産性の点で粒子分散ペーストとして塗布形成することが好ましい。
[電解質]
本実施の形態では、電解質(図示せず)は、電解液として、劣化防止層16を介して、第2の電極層15に形成された微細な貫通孔から第1の電極層12と第2の電極層15との間に配置された絶縁性多孔質層14に充填される。つまり、電解質(図示せず)は、第1の電極層12と第2の電極層15との間に充填されてエレクトロクロミック層13と接し、かつ、第2の電極層15に形成された貫通孔を介して劣化防止層16と接するように設けられている。電解液としては、イオン液体等の液体電解質又は、固体電解質を溶媒に溶解した溶液を用いることができる。
電解質の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等を用いることができる。
又、イオン性液体も用いることができる。イオン性液体としては、一般的に研究・報告されている物質ならばどのようなものでも構わない。特に有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。分子構造の例としては、カチオン成分としてN,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体、N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体など芳香族系の塩、又は、トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウムなど脂肪族4級アンモニウム系が挙げられる。
アニオン成分としては大気中の安定性の面でフッ素を含んだ化合物がよく、BF、CFSO−、PF−、(CFSO2N−等が挙げられる。これらのカチオン成分とアニオン成分の組み合わせにより処方したイオン性液体を用いることができる。
又、溶媒の例としては、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1、2−ジメトキシエタン、1、2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類やそれらの混合溶媒等を用いることができる。
又、電解液は低粘性の液体である必要はなく、ゲル状や高分子架橋型、液晶分散型等の様々な形態をとることが可能である。電解液はゲル状、固体状に形成することが、素子強度向上、信頼性向上、発色拡散の防止から好ましい。固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持する方法が好ましい。高いイオン伝導度と固体強度が得られるためである。更に、ポリマー樹脂は光硬化可能な樹脂を用いることが好ましい。熱重合や、溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できるためである。
[絶縁性多孔質層14]
絶縁性多孔質層14は、第1の電極層12と第2の電極層15とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。絶縁性多孔質層14の材料としては、多孔質であればよく特に限定されるものではないが、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
絶縁性多孔質層14の形成方法としては、焼結法(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)や、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)等を用いることができる。
又、絶縁性多孔質層14の形成方法として、高分子重合体等を加熱や脱気する等して発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の形成方法を用いてもよい。具体例としては、金属酸化物微粒子(SiO粒子やAl粒子等)とポリマー結着剤を含むポリマー混合粒子膜、多孔性有機膜(ポリウレタン樹脂やポリエチレン樹脂等)、多孔質膜状に形成した無機絶縁材料膜等が挙げられる。
絶縁性多孔質層14の凹凸は、第2の電極層15の膜厚にも依存するが、例えば第2の電極層15の膜厚を100nmとすると、絶縁性多孔質層14の表面粗さは平均粗さ(Ra)で100nm未満の要件を満たす必要がある。平均粗さが100nmを超える場合には第2の電極層15の表面抵抗が大きく失われ、表示不良の原因となる。絶縁性多孔質層14の膜厚は、例えば、50〜500nm程度とすることができる。
又、絶縁性多孔質層14は、無機膜と組み合わせて用いることが好ましい。これは絶縁性多孔質層14の表面に形成される第2の電極層15をスパッタ法により形成する際に、下層である絶縁性多孔質層14やエレクトロクロミック層13の有機物質へのダメージを低減させるためである。
上記無機膜としては、少なくともZnSを含む材料を用いることが好ましい。ZnSは、スパッタ法によって、エレクトロクロミック層13等にダメージを与えることなく高速に成膜できるという特徴を有する。更に、ZnSを主な成分として含む材料として、ZnS−SiO、ZnS−SiC、ZnS−Si、ZnS−Ge等を用いてもよい。
ここで、ZnSの含有率は、絶縁層を形成した際の結晶性を良好に保つために、約50〜90mol%とすることが好ましい。従って、特に好ましい材料は、ZnS−SiO(8/2)、ZnS−SiO(7/3)、ZnS、ZnS−ZnO−In−Ga(60/23/10/7)である。絶縁性多孔質層14として上記のような材料を用いることにより、薄膜で良好な絶縁効果が得られ、膜強度低下や膜剥離を防止することができる。
[劣化防止層16]
劣化防止層16の役割としては、エレクトロクロミック層13と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって第2の電極層15が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制し、結果としてエレクトロクロミック表示装置10の繰り返し安定性を向上する。なお、逆反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
劣化防止層16の材料は、第1の電極層12及び第2の電極層15の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に限定されるものではない。劣化防止層16の材料として、例えば、酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物を用いることができる。更に、劣化防止層の着色が問題にならない場合は、前述のエレクトロクロミック材料と同じものを用いることができる。
劣化防止層16は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜または浸透性薄膜から構成することができる。例えば酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性又は半導体性金属酸化物微粒子を、例えばアクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダにより第2の電極層15に固定化することで、電解質の浸透性と、劣化防止層としての機能を満たす、好適な多孔質薄膜を得ることができる。
特に、透明性が要求されるレンズのような光学素子としてエレクトロクロミック装置を作製する場合は、劣化防止層16として、透明性の高いn型半導体性酸化物微粒子(n型半導体性金属酸化物)を用いることが好ましい。具体例としては、100nm以下の1次粒子径粒子からなる、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、又はそれらを複数含む化合物粒子、混合物を用いることができる。
更に、これらの劣化防止層16を用いる場合は、前記エレクトロクロミック層が酸化反応により着色から透明に変化する材料であることが好ましい。エレクトロクロミック層が酸化反応すると同時にn型半導体性金属酸化物が還元(電子注入)され易く、駆動電圧が低減できるからである。
このような形態において、特に好ましいエレクトロクロミック材料は、有機高分子材料である。塗布形成プロセス等により容易に製膜できるとともに、分子構造により色の調整や制御が可能となる。これらの有機高分子材料の具体例は、非特許文献1、非特許文献2、及び非特許文献3等に開示されている。
これらの有機高分子材料例としては、ポリ(3,4- エチレンジオキシチオフェン)系材料、ビス(ターピリジン)類と鉄イオンの錯形成ポリマー等である。
劣化防止層16の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンレーティング法等を用いることができる。又、劣化防止層16の材料が塗布形成できるものであれば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図2は、第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。図2を参照するに、第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置20は、エレクトロクロミック層13及び絶縁性多孔質層14が絶縁性多孔質層23に置換された点が、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置10(図1参照)と相違する。
本実施の形態では、第1の電極層12の内面は絶縁性多孔質層23と接しており、第1の電極層12の外面は支持体11と接している。又、第2の電極層15の内面は絶縁性多孔質層23と接しており、第2の電極層15の外面は劣化防止層16と接している。なお、第1の実施の形態と同様に、第1の電極層12には貫通孔は形成されていなく、第2の電極層15には貫通孔が形成されている。
絶縁性多孔質層23は、第1の電極層12と第2の電極層15を絶縁するために設けられており、絶縁性多孔質層23は、絶縁性金属酸化物微粒子を含んでいる。第1の電極層12と第2の電極層15に挟まれた絶縁性多孔質層23には、電解質及びエレクトロクロミック材料が充填されている。つまり、本実施の形態では、絶縁性多孔質層23がエレクトロクロミック層として機能する。従って、絶縁性多孔質層23をエレクトロクロミック層と言い換えてもよい。
エレクトロクロミック装置20の製造工程は、支持体11上に第1の電極層12を積層する工程と、第1の電極層12上に絶縁性多孔質層23を介して第1の電極層12に対向するように貫通孔が形成された第2の電極層15を積層する工程と、第2の電極層15上に劣化防止層16を積層する工程と、第1の電極層12と第2の電極層15に挟まれた絶縁性多孔質層23に、劣化防止層16を介して、第2の電極層15に形成された貫通孔から電解質及びエレクトロクロミック材料を充填する工程とを有する。
つまり、第2の電極層15に形成された貫通孔は、エレクトロクロミック装置20の製造工程において、絶縁性多孔質層23に電解質及びエレクトロクロミック材料を充填する際の注入孔である。なお、電解質及びエレクトロクロミック材料は、溶媒等に溶解した溶液として塗布する必要がある。
このように、第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置では、第1の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、エレクトロクロミック装置の層構成が簡略化されるため、生産性を向上できる。
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、第1の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図3は、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。図3を参照するに、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置30は、保護層37が追加された点が、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置10(図1参照)と相違する。
本実施の形態では、第1の電極層12の内面はエレクトロクロミック層13と接しており、第1の電極層12の外面は支持体11と接している。又、第2の電極層15の内面は絶縁性多孔質層14と接しており、第2の電極層15の外面は劣化防止層16と接している。なお、第1の実施の形態と同様に、第1の電極層12には貫通孔は形成されていなく、第2の電極層15には貫通孔が形成されている。
保護層37は、支持体11上に、第1の電極層12の側面、エレクトロクロミック層13の側面、絶縁性多孔質層14の側面、第2の電極層15の側面、並びに劣化防止層16の側面及び上面を覆うように形成されている。保護層37は、例えば、紫外線硬化性や熱硬化性の絶縁性樹脂等を、支持体11上に、第1の電極層12の側面、エレクトロクロミック層13の側面、絶縁性多孔質層14の側面、第2の電極層15の側面、並びに劣化防止層16の側面及び上面を覆うように塗布し、その後硬化させることにより形成できる。保護層37の膜厚は、例えば、0.5〜10μm程度とすることができる。
このように、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置では、第1の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、保護層を形成することにより、第2の電極層等を傷や電気的障害から保護できる。又、保護層を形成することで、電解質の漏れを防ぐと共に耐久性を向上できる。保護層に、紫外線カット機能や帯電防止機能を付与すると更に好ましい。
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、第3の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図4は、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。図4を参照するに、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置40は、絶縁性多孔質層14が絶縁性多孔質層44に置換された点が、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置30(図3参照)と相違する。
本実施の形態では、第1の電極層12の内面はエレクトロクロミック層13と接しており、第1の電極層12の外面は支持体11と接している。又、第2の電極層15の内面は絶縁性多孔質層44と接しており、第2の電極層15の外面は劣化防止層16と接している。なお、第3の実施の形態と同様に、第1の電極層12には貫通孔は形成されていなく、第2の電極層15には貫通孔が形成されている。
絶縁性多孔質層44は、絶縁性多孔質層14に更に白色顔料粒子を含有させた層であり、白色反射層として機能する。白色顔料粒子の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカ、酸化セシウム、酸化イットリウム等を用いることができる。
このように、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置では、第3の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、絶縁性多孔質層に白色顔料粒子を含有させたて白色反射層として機能させることにより、反射型の表示素子を容易に実現できる。
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態では、第3の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、第5の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図5は、第5の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。図5を参照するに、第5の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置50は、支持体11及び第1の電極層12が、各々支持体51及び第1の電極層52に置換された点が、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置30(図3参照)と相違する。
本実施の形態では、第1の電極層52の内面はエレクトロクロミック層13と接しており、第1の電極層52の外面は支持体51と接している。又、第2の電極層15の内面は絶縁性多孔質層14と接しており、第2の電極層15の外面は劣化防止層16と接している。
第3の実施の形態と同様に、第2の電極層15には貫通孔が形成されている。又、支持体51及び第1の電極層52には、第2の電極層15と同様に微細な貫通孔が形成されている。つまり、微細な貫通孔が形成されている支持体51が、微細な貫通孔が形成されている第1の電極層52の外側に設けられている。
このように、第5の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置では、第3の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、支持体と支持体に形成された第1の電極層との両方に微細な貫通孔を形成することにより、支持体側から第1の電極層及びエレクトロクロミック層を介して絶縁性多孔質層に電解質を充填することが可能となる。その結果、多様な部位にエレクトロクロミック装置を形成可能となり、エレクトロクロミック装置の適用範囲を更に広げることができる。なお、電解質は、エレクトロクロミック層を形成するエレクトロクロミック材料の隙間から、絶縁性多孔質層に充填できる。
〈第6の実施の形態〉
第6の実施の形態では、第3の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、第6の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図6は、第6の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。図6を参照するに、第6の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置60は、絶縁性多孔質層14と第2の電極層15の間に劣化防止層66が追加された点が、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置30(図3参照)と相違する。
本実施の形態では、第1の電極層12の内面はエレクトロクロミック層13と接しており、第1の電極層12の外面は支持体11と接している。又、第2の電極層15の内面は劣化防止層66と接しており、第2の電極層15の外面は劣化防止層16と接している。なお、第3の実施の形態と同様に、第1の電極層12には貫通孔は形成されていなく、第2の電極層15には貫通孔が形成されている。
前述のように、劣化防止層は貫通孔が形成されている第2の電極層の上層(対向する2つの電極層の外側)に形成する方が好適であるが、劣化防止層を構成する材料の選定により、劣化防止層を第2の電極層の下層(対向する2つの電極層の内側)に形成できる。本実施の形態では、劣化防止層66を貫通孔が形成されている第2の電極層15の下層に形成するため、劣化防止層66についてはダメージを受け難い材料選定をする必要がある。このような材料の一例としては、酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物等を挙げることができる。
このように、第6の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置では、第3の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、絶縁性多孔質層と第2の電極層との間に(第2の電極層の両側に)劣化防止層を形成することで、繰り返し安定性のより改善されたエレクトロクロミック装置を実現できる。
〈第7の実施の形態〉
第7の実施の形態では、第3の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、第7の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図7は、第7の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。図7を参照するに、第7の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置70は、支持体11上の層構成が第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置30(図3参照)と相違する。具体的には、エレクトロクロミック装置70において、支持体11上には、第2の電極層75、劣化防止層16、絶縁性多孔質層14、第1の電極層72、及びエレクトロクロミック層13が順次積層されている。
本実施の形態では、第1の電極層72の内面は絶縁性多孔質層14と接しており、第1の電極層72の外面はエレクトロクロミック層13と接している。又、第2の電極層75の内面は劣化防止層16と接しており、第2の電極層75の外面は支持体11と接している。なお、第1の電極層72には第3の実施の形態等の第2の電極層15と同様に貫通孔が形成されており、第2の電極層75には第3の実施の形態等の第1の電極層12と同様に貫通孔は形成されていない。
電解質(図示せず)は、第1の電極層72と第2の電極層75との間に充填されて劣化防止層16と接し、かつ、第1の電極層72に形成された貫通孔を介してエレクトロクロミック層13と接するように設けられている。
このように、第7の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置では、第3の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、エレクトロクロミック層の積層工程によるダメージを抑制できる。従来、エレクトロクロミック層は対向する2つの電極層間に形成する必要があった。しかし、本実施の形態においては、第1の電極層に貫通孔が形成されているため、第1の電極層の外側(対向する2つの電極層の外側)に第1の電極層に接してエレクトロクロミック層を形成できる。これは、第1の電極層に形成された貫通孔を通してイオンが第1の電極層の表裏を移動できるためである。
なお、エレクトロクロミック層を貫通孔が形成されている第1の電極層の上層に設けることにより、エレクトロクロミック層が受けるダメージを抑制できる理由については、第1の実施の形態において劣化防止層が受けるダメージを抑制できる理由と同様である。
第7の実施の形態では、エレクトロクロミック層13は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜または浸透性薄膜から構成することができる。この場合のエレクトロクロミック層としては、導電性又は半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造などのナノ粒子を含有する構成が望ましい。さらに、透明性が要求されるレンズのような光学素子としてエレクトロクロミック装置を作製する場合は、劣化防止層16として、透明性の高いp型半導体性層を用いることが好ましい。具体例としては、ニトロ キシルラジカル(NOラジカル)を有する有機材料などであり、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン-N-オキシル(TEMPO)の誘導体または、誘導体のポリマー材料などが挙げられる。
〈第8の実施の形態〉
第8の実施の形態では、第6の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、第8の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図8は、第8の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。図8を参照するに、第8の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置80は、第1の電極層12が第1の電極層82に置換され、支持体11と第1の電極層82との間にエレクトロクロミック層83が形成された点が、第6の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置60(図6参照)と相違する。
本実施の形態では、第1の電極層82の内面はエレクトロクロミック層13と接しており、第1の電極層82の外面はエレクトロクロミック層83と接している。又、第2の電極層15の内面は劣化防止層66と接しており、第2の電極層15の外面は劣化防止層16と接している。なお、第1の電極層82には貫通孔が形成されており、かつ、第2の電極層15にも貫通孔が形成されている。
電解質(図示せず)は、第1の電極層82と第2の電極層15との間に充填されてエレクトロクロミック層13及び劣化防止層66と接し、かつ、第1の電極層82に形成された貫通孔を介してエレクトロクロミック層83と接し第2の電極層15に形成された貫通孔を介して劣化防止層16と接するように設けられている。第1の電極層82に形成された貫通孔を通してイオンが第1の電極層82の表裏を移動できる。又、第2の電極層15に形成された貫通孔を通してイオンが第2の電極層15の表裏を移動できる。
このように、第8の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置では、第6の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、第1の電極層の両側にエレクトロクロミック層を設けたため、エレクトロクロミック層の着色濃度を濃くすることが可能となる。
〈第9の実施の形態〉
第9の実施の形態では、第7の実施の形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、第9の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図9は、第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。図9を参照するに、第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置90は、絶縁性多孔質層14と第1の電極層72との間にエレクトロクロミック層93が形成された点が、第7の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置70(図7参照)と相違する。
本実施の形態では、第1の電極層72の内面はエレクトロクロミック層93と接しており、第1の電極層72の外面はエレクトロクロミック層13と接している。又、第2の電極層75の内面は劣化防止層16と接しており、第2の電極層75の外面は支持体11と接している。なお、第1の電極層72には第7の実施の形態と同様に貫通孔が形成されており、第2の電極層75には第7の実施の形態と同様に貫通孔は形成されていない。
前述の劣化防止層の場合と同様に、エレクトロクロミック層は貫通孔が形成されている第1の電極層の上層(対向する2つの電極層の外側)に形成する方が好適である。しかし、エレクトロクロミック層を構成する材料の選定により、エレクトロクロミック層を第1の電極層の下層(対向する2つの電極層の内側)に形成できる。本実施の形態では、エレクトロクロミック層93を貫通孔が形成されている第1の電極層72の下層に形成するため、エレクトロクロミック層93についてはダメージを受け難い材料選定をする方が好ましい。
このような材料としては、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタン等の無機エレクトロクロミック化合物が好適であると考えられるが、有機エレクトロクロミック化合物においても、材料及びプロセス条件の設計によっては使用することが可能である。
このように、第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置では、第7の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、第2の電極層の両側にエレクトロクロミック層を設けたため、エレクトロクロミック層の着色濃度を濃くすることが可能となる。
〈第10の実施の形態〉
第10の実施の形態では、第1〜第9の実施の形態とは異なる支持体上に各層を形成したエレクトロクロミック装置を例示する。なお、第10の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
図10は、第10の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置を例示する断面図である。図10を参照するに、第10の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置100は、支持体11が支持体101に置換された点が、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置30(図3参照)と相違する。
本実施の形態では、第1の電極層12の内面はエレクトロクロミック層13と接しており、第1の電極層12の外面は支持体101と接している。又、第2の電極層15の内面は絶縁性多孔質層14と接しており、第2の電極層15の外面は劣化防止層16と接している。なお、第1の実施の形態と同様に、第1の電極層12には貫通孔は形成されていなく、第2の電極層15には貫通孔が形成されている。
支持体101は、光学レンズである。支持体101は各層を形成する面が曲面となっているため、従来のように電解液を挟んで2枚の支持体を貼り合わせる方法では、各層の形成は極めて困難である。一方、本実施の形態では、既に説明した貼合せプロセスを有しない製造方法により、支持体の層形成面が曲面である場合も、支持体の層形成面が平面である場合と同様に各層を積層形成できる。なお、支持体101は、メガネ等であっても構わない。
このように、第10の実施の形態に係るエレクトロクロミック装置では、第1の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、各層を形成する面が曲面である支持体を用いることができるため、支持体として光学レンズやメガネ等の曲面を有する光学素子を選定できる。光学レンズやメガネ等の光学素子を用いることにより、容易に調光可能なエレクトロクロミック装置(電気的に調光可能な光学デバイス)を実現できる。
[実施例1]
実施例1では、図3に示すエレクトロクロミック装置30を作製する例を示す。なお、実施例1で作製したエレクトロクロミック装置は、調光ガラス装置として使用できる。
(第1の電極層、エレクトロクロミック層の形成)
まず、支持体11として40mm×40mm、厚さ0.7mmのガラス基板を準備し、ガラス基板上に、20mm×20mmの領域及び引き出し部分にメタルマスクを介してITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さに製膜して、第1の電極層12を形成した。
次に、このITO膜の表面に酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210 昭和タイタニウム社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
続いて、エレクトロクロミック化合物として、構造式[化2]で表される化合物を1.5wt%含む2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布した後、120℃×10分間アニール処理を行うことにより、酸化チタン粒子膜に担持(吸着)させて、エレクトロクロミック層13を形成した。
Figure 0006064761
(絶縁性多孔質層、微細な貫通孔が形成された第2の電極層の形成)
続いて、エレクトロクロミック層13上に平均一次粒径20nmのSiO微粒子分散液(シリカ固形分濃度24.8重量%、ポリビニルアルコール1.2重量%、水74重量%)をスピンコートし、絶縁性多孔質層14を形成した。形成した絶縁性多孔質層14の膜厚は約2μmであった。更に、平均一次粒径450nmのSiO微粒子分散液(シリカ固形分濃度1重量%、2−プロパノール99重量%)をスピンコートし、微細貫通孔形成用マスク(コロイダルマスク)を形成した。
続いて、微細貫通孔形成用マスク上にZnS−SiO(8/2)の無機絶縁層をスパッタ法により40nmの膜厚で形成した。更に、無機絶縁層上にスパッタ法により約100nmのITO膜を、第1の電極層12で形成したITO膜と重なる20mm×20mmの領域、及び、第1の電極層12とは異なる領域にメタルマスクを介して形成し、第2の電極層15を作製した。なお、第1の電極層12とは異なる領域に形成したITO膜は第2の電極層15の引き出し部分である。
この後、2−プロパノール中で超音波照射を3分間行い、コロイダルマスクである450nmのSiO微粒子の除去処理を行った。SEM観察により250nm程度の微細な貫通孔が形成された第2の電極層15が形成されていることを確認した。第2の電極層15のシート抵抗は約100Ω/□であった。
(劣化防止層の形成)
続いて、第2の電極層15上に、劣化防止層16として、酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210 昭和タイタニウム社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
(電解質の充填)
電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウム、溶媒としてジメチルスルホキシド及びポリエチレングリコール(分子量:200)を12対54対60で混合した溶液を電解液とし、劣化防止層16まで形成した素子を1分間浸漬し、その後120℃のホットプレート上で1分間乾燥させることで電解質を充填させた。
(保護層の形成)
更に、紫外線硬化接着剤(商品名:SD−17 DIC社製)をスピンコートし、紫外光照射により硬化させることで保護層37を約3μmの厚さに形成した。これにより、図3に示すエレクトロクロミック装置30を得た。
(発消色駆動)
作製したエレクトロクロミック装置30の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層12の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、−4Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層12と第2の電極層15の重なった部分に、構造式[化2]のエレクトロクロミック化合物に由来する青色の発色が確認された。
更に、第1の電極層12の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、+4Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層12と第2の電極層15の重なった部分の色素が消色し、透明になることが確認された。
[実施例2]
実施例2では、図4に示すエレクトロクロミック装置40を作製する例を示す。なお、実施例2で作製したエレクトロクロミック装置は、反射型表示装置として使用できる。
(エレクトロクロミック装置の作製)
SiO微粒子分散液に平均粒子径250nmの白色酸化チタン粒子をシリカ粒子に対して50wt%で添加混合し、絶縁性多孔質層44(白色反射層)を形成した。これ以外は、実施例1と同様にして、図4に示すエレクトロクロミック装置40を得た。
(発消色駆動)
作製したエレクトロクロミック装置40の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層12の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、−4Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層12と第2の電極層15の重なった部分に、構造式[化2]のエレクトロクロミック化合物に由来する青色の発色が確認された。
更に、第1の電極層12の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、+4Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層12と第2の電極層15の重なった部分の色素が消色し、白色になることが確認された。
[実施例3]
実施例3では、図3に示すエレクトロクロミック装置30を作製する他の例を示す。なお、実施例3で作製したエレクトロクロミック装置は、調光ガラス装置として使用できる。
(エレクトロクロミック装置の作製)
電解質として過塩素酸リチウム、溶媒としてポリエチレングリコール(分子量:200)及び炭酸プロピレン、紫外線硬化材としてウレタン接着剤(商品名:3301 ヘンケル社製)を1.4対6対8対10で混合して溶液を電解液とし、微細な貫通孔が形成された第2の電極層15の表面にスピンコートした後、120℃のホットプレート上で1分間乾燥させることで電解質を充填させた。
更に、紫外線硬化接着剤(商品名:ノプコ134 サンノプコ社製)をスピンコートし、紫外光照射により硬化させることで保護層37を約3μmの厚さに形成した。これ以外は、実施例1と同様にして、図3に示すエレクトロクロミック装置30を得た。
(発消色駆動)
作製したエレクトロクロミック装置30の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層12の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、−4Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層12と第2の電極層15の重なった部分に、構造式[化2]のエレクトロクロミック化合物に由来する青色の発色が確認された。
更に、第1の電極層12の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、+4Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層12と第2の電極層15の重なった部分の色素が消色し、透明になることが確認された。
[実施例4]
実施例4では、図5に示すエレクトロクロミック装置50を作製する例を示す。なお、実施例4で作製したエレクトロクロミック装置は、調光フィルムとして使用できる。
(エレクトロクロミック装置の作製)
支持体51として、ポリエチレン多孔質フィルム(商品名:サンマップLC 日東電工社製 平均孔径:17μm、気孔率:30%)を用い、支持体51上に実施例1の第2の電極層15と同様にして、貫通孔が形成された第1の電極層52を形成した。これ以外は、実施例1と同様にして、図5に示すエレクトロクロミック装置50を得た。
(発消色駆動)
作製したエレクトロクロミック装置50の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層52の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、−5Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層52と第2の電極層15の重なった部分に、構造式[化2]のエレクトロクロミック化合物に由来する青色の発色が確認された。
更に、第1の電極層52の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、+5Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層52と第2の電極層15の重なった部分の色素が消色し、透明になることが確認された。
[実施例5]
実施例5では、図7に示すエレクトロクロミック装置70を作製する例を示す。なお、実施例5で作製したエレクトロクロミック装置は、調光ガラス装置として使用できる。
(エレクトロクロミック装置の作製)
支持体11上にメタルマスクを介してITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さに製膜して第2の電極層75を形成した。続いて劣化防止層16として酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210 昭和タイタニウム社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
続いて、絶縁性多孔質層14を実施例1と同様に形成した。更に、平均一次粒径450nmのSiO微粒子分散液(シリカ固形分濃度1重量%、2−プロパノール99重量%)をスピンコートし、微細貫通孔形成用マスク(コロイダルマスク)を形成した。
続いて、微細貫通孔形成用マスク上にZnS−SiO(8/2)の無機絶縁層をスパッタ法により40nmの膜厚で形成した。更に、無機絶縁層上にスパッタ法により約100nmのITO膜を、第2の電極層75で形成したITO膜と重なる20mm×20mmの領域、及び、第2の電極層75とは異なる領域にメタルマスクを介して形成し、第1の電極層72を作製した。この後、2−プロパノール中で超音波照射を3分間行い、コロイダルマスクである450nmのSiO微粒子の除去処理を行った。シート抵抗は約100Ω/□であった。
続いて、エレクトロクロミック層13を実施例1と同様に形成した。続いて、電解質の充填を実施例3と同様に行った。更に、紫外線硬化接着剤(商品名:ノプコ134 サンノプコ社製)をスピンコートし、紫外光照射により硬化させることで保護層37を約3μmの厚さに形成した。
(発消色駆動)
作製したエレクトロクロミック装置70の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層72の引き出し部分と第2の電極層75の引き出し部分との間に、−5Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層72と第2の電極層75の重なった部分に、構造式[化2]のエレクトロクロミック化合物に由来する青色の発色が確認された。
更に、第1の電極層72の引き出し部分と第2の電極層75の引き出し部分との間に、+5Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層72と第2の電極層75の重なった部分の色素が消色し、透明になることが確認された。
[実施例6]
実施例6では、図3に示すエレクトロクロミック装置30を作製する他の例を示す。なお、実施例6で作製したエレクトロクロミック装置は、調光ガラス装置として使用できる。
(エレクトロクロミック装置の作製)
ITO膜の表面に構造式[化3]で表される化合物(平均分子量:10000)を2.5wt%含むテトラヒドロフラン溶液をスピンコート法により塗布した。
Figure 0006064761
その後、120℃×10分間アニール処理を行うことにより、有機高分子材料からなるエレクトロクロミック層13を形成した。なお、エレクトロクロミック層はマゼンタ色を示した。これ以外は、実施例3と同様にして、図3に示すエレクトロクロミック装置30を得た。
(発消色駆動)
作製したエレクトロクロミック装置30の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層12の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、+3Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層12と第2の電極層15の重なった部分の色素が消色し、透明になることが確認された。
更に、第1の電極層12の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、−3Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層12と第2の電極層15の重なった部分の色素が、マゼンタ色に発色し、初期の状態に戻ることが確認された。
[比較例]
実施例6において、劣化防止層を形成しなかったこと以外同様にして、比較用のエレクトロクロミック装置(エレクトロクロミック装置30xとする)を得た。
(発消色駆動)
作製したエレクトロクロミック装置30xの発消色を確認した。第1の電極層12の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、+3Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層12と第2の電極層15の重なった部分の色素は消色しなかった。そこで、印加電圧を+6Vとしたところ、消色して、透明になることが確認された。
更に、第1の電極層12の引き出し部分と第2の電極層15の引き出し部分との間に、−6Vの電圧を3秒間印加させたところ、第1の電極層12と第2の電極層15の重なった部分の色素が、マゼンタ色に発色し、初期の状態に戻ることが確認された。
このように、比較例では、実施例6に比べて駆動電圧が高い結果となった。換言すれば、実施例6に係るエレクトロクロミック装置は、比較例に係るエレクトロクロミック装置よりも駆動電圧が低減できることが確認された。すなわち、実施例6のように、劣化防止層16として透明性の高いn型半導体性金属酸化物(酸化チタン粒子膜)を用い、かつ、エレクトロクロミック層13として酸化反応により着色から透明に変化する有機高分子材料を用いることにより、駆動電圧を低減できる。これは、エレクトロクロミック層13が酸化反応すると同時に劣化防止層16を構成するn型半導体性金属酸化物が還元(電子注入)され易いためである。
以上、好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、上記各実施の形態は適宜組み合わせることができる。
10、20、30、40、50、60、70、80、90、100 エレクトロクロミック装置
11、51、101 支持体
12、52、72、82 第1の電極層
13、83、93 エレクトロクロミック層
14、23、44 絶縁性多孔質層
15、75 第2の電極層
16、66 劣化防止層
37 保護層
特公平3−73081号公報 特許4105537号公報
Chemistry of Materials review 2011.23,397-415 Navigating the Color Palette of Solution-Processable Electrochromic Polymers(Reynolds) Macromolecules 1996.29 7629-7630(Reynolds) Polymer journal, Vol.41, No.7,Electrochromic Organic Matallic Hybrid Polymers (樋口)

Claims (13)

  1. 第1の電極層と、
    前記第1の電極層に対向するように設けられた第2の電極層と、
    前記第1の電極層と接するように設けられたエレクトロクロミック層と、
    前記第2の電極層と接するように設けられ、前記第2の電極層の劣化を防止する劣化防止層と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に充填され、かつ、前記エレクトロクロミック層及び前記劣化防止層と接するように設けられた電解質と、を有し、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層の各々は、互いに対向する面である内面と、前記内面とは反対側の面である外面と、を備え、
    前記第1の電極層又は前記第2の電極層の少なくとも一方の電極層には、貫通孔が形成されており、
    前記貫通孔が形成された前記電極層に設けられた前記エレクトロクロミック層又は前記劣化防止層は、前記貫通孔が形成された前記電極層の前記外面に設けられており、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層の何れか一方の前記外面側のみに支持体が設けられているエレクトロクロミック装置。
  2. 前記貫通孔が形成された前記電極層において、前記エレクトロクロミック層又は前記劣化防止層は、前記貫通孔が形成された前記電極層の前記内面にも設けられている請求項1記載のエレクトロクロミック装置。
  3. 前記貫通孔は、前記電解質、又は、前記電解質及びエレクトロクロミック材料を充填する際の注入孔である請求項1又は2記載のエレクトロクロミック装置。
  4. 前記支持体は、前記貫通孔が形成された前記電極層の前記外面側のみに設けられており、
    前記支持体には貫通孔が形成されている請求項1乃至3の何れか一項記載のエレクトロクロミック装置。
  5. 前記貫通孔の径は、10nm以上100μm以下である請求項1乃至4の何れか一項記載のエレクトロクロミック装置。
  6. 前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に、前記第1の電極層と前記第2の電極層とを絶縁する絶縁性多孔質層が設けられており、
    前記絶縁性多孔質層は、絶縁性金属酸化物微粒子を含む請求項1乃至5の何れか一項記載のエレクトロクロミック装置。
  7. 前記劣化防止層は、半導体性金属酸化物微粒子を含む請求項1乃至6の何れか一項記載のエレクトロクロミック装置。
  8. 前記エレクトロクロミック層が酸化反応により着色から透明に変化する材料であり、かつ、前記劣化防止層が透明なn型半導体性酸化物微粒子を含む請求項1乃至7の何れか一項記載のエレクトロクロミック装置。
  9. 前記支持体は光学素子である請求項1乃至8の何れか一項記載のエレクトロクロミック装置。
  10. 支持体上に、第1の電極層及びエレクトロクロミック層を順次積層する工程と、
    前記エレクトロクロミック層上に、前記第1の電極層に対向するように、貫通孔が形成された第2の電極層を積層する工程と、
    前記第2の電極層の、前記第1の電極層と対向する面とは反対側の面に接するように劣化防止層を設ける工程と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間の所定領域に、前記劣化防止層を介して、前記貫通孔から電解質を充填する工程と、を有するエレクトロクロミック装置の製造方法。
  11. 支持体上に、第2の電極層及び劣化防止層を順次積層する工程と、
    前記劣化防止層上に、前記第2の電極層に対向するように、貫通孔が形成された第1の電極層を積層する工程と、
    前記第1の電極層の、前記第2の電極層と対向する面とは反対側の面に接するようにエレクトロクロミック層を設ける工程と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間の所定領域に、前記エレクトロクロミック層を介して、前記貫通孔から電解質を充填する工程と、を有するエレクトロクロミック装置の製造方法。
  12. 前記貫通孔が形成された電極層を積層する工程は、
    前記貫通孔が形成された電極層が積層される下層に微粒子を散布する工程と、
    前記微粒子が散布された面に真空成膜法により導電膜を形成する工程と、
    前記微粒子ごと前記導電膜を除去する工程と、を含む請求項10又は11記載のエレクトロクロミック装置の製造方法。
  13. 前記微粒子の直径は、前記貫通孔が形成された電極層の膜厚以上である請求項12記載のエレクトロクロミック装置の製造方法。
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