JP6740760B2 - エレクトロクロミック装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトロクロミック装置に関する。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。前記エレクトロクロミズムを利用した装置がエレクトロクロミック装置である。前記エレクトロクロミック装置は、前記エレクトロクロミズムの特徴に由来する応用が実現できるとして、今日まで多くの研究がなされている。
前記エレクトロクロミック装置に用いられるエレクトロクロミック材料としては、有機材料と無機材料がある。前記有機材料は、その分子構造により様々な色彩発色が可能であることから、カラー表示装置として有望である。一方、前記無機材料は、色彩の制御に課題があるが、この特徴を利用し、色彩度が低いことが利点となるアプリケーションとして調光ガラスやNDフィルタへの実用化が検討されている。
前記アプリケーションの実用化にあたり、様々な使用環境への展開を可能とする目的で、消発色の繰り返しや、長時間の連続発色、屋外での日光照射への耐光性、長期間の温湿度環境への耐久性といった、信頼性に関する技術開発が検討されている。
ここで、例えば、長期間の温湿度環境におけるエージングに伴い、水分や酸素といった活性化物質の浸入が起こり、駆動部内における前記エレクトロクロミズムに、動作ムラや動作不良を生じるといった不具合がある。
前記エレクトロクロミック装置では、エレクトロクロミック層外周の端部の封止層の構成に関して、駆動部への水分や酸素の活性化物質の透過を防止する目的で、外周部の封止材料として、疎水性の樹脂材料や、水分子の進入経路を大きくする狙いで、疎水性の樹脂材料に無機フィラーを混練した材料が広く用いられているが、樹脂部分の水分や酸素の活性化物質の透過防止能力は、理論上有限となる課題がある。
この課題を解決するため、外周の封止材料の一部に、水分や酸素の活性化物質の透過防止能力を理論上無限にする目的で、金属材料を利用することが検討されている。しかし、金属を用いた封止部の構成では、支持基板間に伸張方向の力が加わる場合に、金属層又は樹脂層のいずれかが降伏変形することや、支持基板間に圧縮方向の力が加わることで、金属層又は樹脂層のいずれかが圧縮変形することなどにより、支持基板と封止部が剥離し、駆動部と外部に空隙を生じ、初期の水分や酸素の活性化物質の透過防止能力が、支持基板間における一度の伸縮に伴う剥離によって、失われる可能性がある。
例えば特許文献1〜5などでは、エレクトロクロミック装置を形成した時点では、水分や酸素の活性化物質に対する高い透過防止能力が付与されているが、支持基板間における一度の伸縮に伴う剥離によって、前記透過防止能力が失われる課題が依然として解決されていない。
そこで、本発明は、従来における前記諸問題点を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、支持基板と封止部の剥離による駆動部と外部に空隙が発生することを抑制し、経時で安定した水分や酸素の活性化物質の透過防止能力を有するエレクトロクロミック装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、第1の支持基板と、前記第1の支持基板上に形成された第1の電極層と、前記第1の電極層に対向するように形成された第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に形成されたエレクトロクロミック層と、前記第1の支持基板に対向するように形成された第2の支持基板と、前記第1の支持基板と前記第2の支持基板との間の領域に形成され、前記エレクトロクロミック層の側面に接するように形成された封止層と、を有するエレクトロクロミック装置であって、前記封止層内に、前記エレクトロクロミック装置の使用温度域内で形状記憶機能を有する金属部材が形成されており、前記金属部材は前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板と接するように形成されていることを特徴とする。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、支持基板と封止部の剥離による駆動部と外部に空隙が発生することを抑制し、経時で安定した水分や酸素の活性化物質の透過防止能力を有するエレクトロクロミック装置を提供することができる。
本発明に係るエレクトロクロミック装置の一例を示す概略断面図である。 封止層内における金属部材の断面形状の一例を示す概略図である。 封止層内における金属部材の断面形状の他の例を示す概略図である。 本発明に係るエレクトロクロミック装置の一例における概略俯瞰図である。 本発明に係るエレクトロクロミック装置の他の例を示す概略断面図である。 本発明に係るエレクトロクロミック装置の他の例を示す概略断面図である。 本発明に係るエレクトロクロミック装置の他の例を示す概略断面図である。 本発明に係るエレクトロクロミック装置の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明に係るエレクトロクロミック装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
本実施形態に係るエレクトロクロミック装置を図1に示す。図1のエレクトロクロミック装置10には、第1の支持基板11と、第1の支持基板11上に形成された第1の電極層12と、第1の電極層12に対向するように形成された第2の電極層14と、第1の電極層12と第2の電極層14との間に形成されたエレクトロクロミック層13と、第1の支持基板11に対向するように形成された第2の支持基板15と、第1の支持基板11と第2の支持基板15との間の領域に形成され、エレクトロクロミック層13の側面に接するように形成された封止層16が図示されている。そして、封止層16内に、エレクトロクロミック装置10の使用温度域内で形状記憶機能を有する金属部材17が形成されており、金属部材17は第1の支持基板11及び第2の支持基板14と接するように形成されている。
また、本実施形態のエレクトロクロミック装置10は、更に必要に応じてその他の層が形成される。
その他の層としては、例えば、第1の電極層12と第2の電極層14の間に充填され、エレクトロクロミック層13に接するように設けられた固体電解質層や、その他にも劣化防止層、剥離層が挙げられ、また、支持基板の外側に設けられた保護層などが挙げられる。
エレクトロクロミック装置10において、第1の電極層12と第2の電極層14との間に電圧を印加することにより、エレクトロクロミック層13が電荷の授受により酸化還元反応して発消色する。更に、本実施形態に係るエレクトロクロミック装置10は、有機エレクトロクロミック材料を用いることで色彩特性にも優れたエレクトロクロミック装置を実現できる。
以下、第1の実施形態に係るエレクトロクロミック装置10を構成する各構成要素について詳細に説明する。
[支持基板]
第1及び第2の支持基板は、第1の電極層12、エレクトロクロミック層13、電解質層、第2の電極層14、及び封止層16を支持する機能を有する。
前記第1及び第2の支持基板としては、例えば、ガラスなどの無機基板を用いてもよいし、ステンレスなどの金属基材を用いてもよいし、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。
本実施形態の第2の支持基板15は、所望の波長域における透過性を有している。この透過性は、第2の支持基板15ではなく、第1の支持基板11にもたせてもよい。なお、エレクトロクロミック装置10が第2の電極層側から視認する反射型表示装置である場合は、前記第1及び第2の支持基板のどちらかの透明性は不要である。また、前記第1及び第2の支持基板の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
[第1の電極層、第2の電極層]
第1の電極層12及び第2の電極層14の材料としては、透明導電性酸化物材料が好適であり、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称する)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する)などが挙げられる。これらの中でも、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、「In酸化物」と称する)、スズ酸化物(以下、「Sn酸化物」と称する)、及び亜鉛酸化物(以下、「Zn酸化物」と称する)のいずれか1つを含む無機材料が望ましい。
前記In酸化物、Sn酸化物、及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であるとともに、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnO、InZnOが特に望ましい。
また、透明性を有する銀、金、銅、アルミニウムを含有する導電性金属薄膜、カーボンナノチューブ、グラフェンなどのカーボン膜、さらに、導電性金属、導電性カーボン、導電性酸化物等のネットワーク電極、又はこれらの複合層も有用である。前記ネットワーク電極とは、カーボンナノチューブや他の高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して透過率を持たせた電極である。
更に、電極層をネットワーク電極と前記導電性酸化物の積層構成又は、前記導電性金属薄膜と前記導電性酸化物の積層構成とすることがより望ましい。積層構成にすることにより、エレクトロクロミック層をムラなく発消色させることができる。なお、導電性酸化物層はナノ粒子インクとして塗布形成することもできる。前記導電性金属薄膜と前記導電性酸化物の積層構成とは、具体的にはITO/Ag/ITOなどの薄膜積層構成にて導電性と透明性を両立させた電極である。
第1の電極層12及び第2の電極層14の各々の厚みは、エレクトロクロミック層の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。
第1の電極層12及び第2の電極層14の材料としてITO真空製膜を用いた場合、第1の電極層12及び第2の電極層14の各々の厚みは、20nm〜500nmが望ましく、50nm〜200nmがより望ましい。
前記導電性酸化物層はナノ粒子インクとして塗布形成する場合の厚みは、0.2μm〜5μmが望ましい。また、ネットワーク電極の場合の厚みは0.2μm〜5μmが望ましい。
更に、調光ミラーとして利用する場合には、第1の電極層12及び第2の電極層14のいずれかが反射機能を有する構造であってもよい。その場合には、第1の電極層12及び第2の電極層14の材料として金属材料を含むことができる。
前記金属材料としては、例えば、Pt、Ag、Au、Cr、ロジウム、Al又はこれらの合金、あるいはこれらの積層構成などが挙げられる。
第1の電極層12及び第2の電極層14の各々の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。また、第1の電極層12及び第2の電極層14の各々の材料が塗布形成できるものであれば、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法などを用いることができる。
[エレクトロクロミック層]
エレクトロクロミック層13はエレクトロクロミック材料を含む層である。
前記エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック化合物及び有機エレクトロクロミック化合物のいずれであっても構わない。また、エレクトロクロミズムを示すことで知られる導電性高分子を用いてもよい。
前記無機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタンなどが挙げられる。
前記有機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、ビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリルなどが挙げられる。
前記導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、又はそれらの誘導体などが挙げられる。
エレクトロクロミック層13としては、導電性又は半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造を用いることが望ましい。具体的には、電極表面に粒径5nm〜50nm程度の微粒子を結着し、前記微粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基等の極性基を有する有機エレクトロクロミック化合物を吸着した構造である。
前記構造は、微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック表示素子と比較してより短い時間での応答が可能となる。更に、微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、エレクトロクロミック化合物の高い発色濃度を得ることができる。また、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性又は半導体性微粒子に担持することもできる。更に導電性粒子は電極層としての導電性を兼ねることができる。
具体的には、ポリマー系及び色素系のエレクトロクロミック化合物としては、例えば、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、ベンジジン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、発消色電位が低く良好な色値を示す点から、ビオロゲン系化合物、ジピリジン系化合物が望ましく、例えば、下記一般式(1)で表されるジピリジン系化合物がより望ましい。
ただし、前記一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、及びアリール基のいずれかを表し、R1及びR2の少なくとも一方は、COOH、PO(OH)、及びSi(OC2k+1(ただし、kは、1〜20を表す)から選択される置換基を有する。
前記一般式(1)において、Xは、一価のアニオンを表す。前記一価のアニオンとしては、カチオン部と安定に対をなすものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Brイオン(Br)、Clイオン(Cl)、ClOイオン(ClO )、PFイオン(PF )、BFイオン(BF )などが挙げられる。
また、n、m、及びlは、それぞれ独立に0、1、又は2を表し、A、B、及びCは、各々独立に置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、及び複素環基のいずれかを表す。
また、金属錯体系及び金属酸化物系のエレクトロクロミック化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化イリジウム、酸化ニッケル、プルシアンブルー等の無機系エレクトロクロミック化合物を用いることができる。
前記エレクトロクロミック化合物を担持する導電性又は半導体性微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属酸化物を用いることが望ましい。
前記金属酸化物の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化カルシウム、フェライト、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、アルミノケイ酸、リン酸カルシウム、アルミノシリケート等を主成分とする金属酸化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、電気伝導性等の電気的特性や光学的性質等の物理的特性の点から、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化インジウム、及び酸化タングステンから選択される少なくとも1種が望ましく、より発消色の応答速度に優れた色表示が可能である点から、酸化チタン又は酸化スズが特に望ましい。
また、導電性又は半導体性微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、エレクトロクロミック化合物を効率よく担持するために、単位体積当たりの表面積(以下、比表面積という)が大きい形状が用いられる。例えば、微粒子が、ナノ粒子の集合体であるときは、大きな比表面積を有するため、より効率的にエレクトロクロミック化合物が担持され、発消色の表示コントラスト比が優れる。
前記エレクトロクロミック層及び導電性又は半導体性微粒子層は真空製膜により形成することも可能であるが、生産性の点で粒子分散ペーストとして塗布形成することが望ましい。
前記エレクトロクロミック層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2μm〜5.0μmが望ましい。前記厚みが、0.2μm未満であると、発色濃度が得られにくくなることがあり、5.0μmを超えると、製造コストが増大するとともに、着色によって視認性が低下しやすくなることがある。
[電解質層]
前記電解質層は、電解質層の層厚を制御する無機微粒子が混合された固体電解質層が望ましい。
前記固体電解質層の材料としては、オキシエチレン鎖やオキシプロピレン鎖等のオキシアルキレン鎖を有するマトリックスポリマーとイオン性液体との固溶体を含むことが望ましい。均一な電解質層を形成することにより、良好な酸化還元反応が得られる。
なお、前記無機微粒子はエレクトロクロミック層中に混合してもよい。
固体電解質層は、光硬化樹脂又は熱硬化樹脂中に電解質を保持した膜として形成される。
前記電解質層は、前記無機微粒子と硬化型樹脂と電解質とを混合した溶液としてエレクトロクロミック層13上に塗布した後、光又は熱で硬化した膜とすることが望ましいが、予め多孔質の無機微粒子層を形成した後、前記無機微粒子層に浸透するように、硬化型樹脂及び電解質を混合した溶液として塗布した後、光又は熱で硬化した膜とすることもできる。更に、エレクトロクロミック層13が導電性又は半導体性ナノ粒子にエレクトロクロミック化合物が担持された層である場合は、エレクトロクロミック層13に浸透するように、硬化型樹脂及び電解質を混合した溶液を塗布した後、光又は熱で硬化した膜とすることもできる。
前記電解質としては、イオン性液体等の液体電解質、又は固体電解質を溶媒に溶解した溶液が用いられる。
前記電解質の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BFなどが挙げられる。
前記イオン性液体としては、特に制限はなく、一般的に研究・報告されている物質ならばどのようなものでも構わない。
有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。
前記分子構造は、カチオン成分とアニオン成分とからなる。
前記カチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体等の芳香族系の塩;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム等の脂肪族4級アンモニウム系化合物などが挙げられる。
前記アニオン成分としては、大気中の安定性の面でフッ素を含有する化合物が望ましく、例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSO、B(CN) などが挙げられる。これらのカチオン成分とアニオン成分の組み合わせにより処方したイオン性液体を用いることができる。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ―ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はそれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記硬化型樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などの一般的な材料を挙げることができるが、電解質との相溶性が高い材料が望ましい。このような構造としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエチレングリコールの誘導体が望ましい。また、前記硬化型樹脂としては、光硬化可能な樹脂を用いることが望ましい。熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できるためである。
特に望ましい組み合わせは、オキシエチレン鎖やオキシプロピレン鎖を含有するマトリックスポリマーとイオン性液体との固溶体で構成されている電解質層である。この構成を用いることにより、硬度と高いイオン伝導度を両立しやすい。
前記無機微粒子としては、多孔質層を形成して電解質と硬化樹脂を保持することができる材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エレクトロクロミック反応の安定性、視認性の点から、絶縁性、透明性、耐久性が高い材料が望ましい。前記無機微粒子としては、例えば、シリコン、アルミニウム、チタン、亜鉛、錫等の酸化物又は硫化物、あるいはそれらの混合物などが挙げられる。
前記無機微粒子の大きさ(平均粒径)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm〜10μmが望ましく、10nm〜100nmがより望ましい。
[封止層]
封止層16は、エレクトロクロミック装置の側面部を物理的及び化学的に保護するように形成されている。封止層16は、例えば、紫外線硬化性や熱硬化性の絶縁性樹脂等を、第1の支持基板11の上面に塗布した後に、金属部材17を設置し、第1の支持基板11と対向する第2の支持基板15で挟み込んだ状態で押圧した状態で、紫外線透過性を有する第1又は第2の支持基板側から紫外線を照射することや、加熱することで硬化させて得られる。また、金属部材17を設置した後に、絶縁性樹脂層を塗布してもよく、側面及び/又は上面を覆うように塗布し、その後硬化させることにより形成できる。
封止層16には、必要に応じて無機材料を含有させてもよい。
前記無機材料としては、絶縁性、透明性、耐久性が高い材料が望ましく、具体的な材料としては、シリコン、アルミニウム、チタン、亜鉛、錫などの酸化物又は硫化物、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらの膜はスパッタ法や蒸着法などの真空製膜プロセスで容易に形成することができる。
封止層16の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜100μmが望ましい。
<金属部材>
金属部材17は封止層16内に形成されており、金属部材17は第1の支持基板11及び第2の支持基板15と接するように形成されている。
金属部材17は本実施形態のエレクトロクロミック装置の使用温度域内で形状記憶機能を有している。
従来から、エレクトロクロミック装置では、水分や酸素の活性化物質に対する高い透過防止能力が求められており、金属材料を用いた封止部の構成が提案されている。しかし、金属材料を用いる場合、支持基板間に伸縮方向の力が加わったときに金属材料や樹脂材料が降状変形することや、支持基板間に圧縮方向の力が加わったときに金属材料や樹脂材料が圧縮変形することがある。これにより、支持基板と封止部が剥離し、駆動部と外部に空隙が生じることで、透過防止能力が支持基板間における一度の伸縮に伴う剥離によって失われる可能性がある。
これに対し、本実施形態では前記金属部材を用いることにより、支持基板間に加わる伸縮方向の力や圧縮方向の力を前記金属部材に吸収させることができ、支持基板間における一度の伸縮に伴う駆動部と封止部との剥離を抑制することができる。また、形状記憶機能を有する金属部材を適宜選択することで、支持基板間の部材により発生する接着力と、必要に応じて支持基板の外側に設置された押圧部材からの押し付け力と、形状記憶機能による弾性力との和が、所望の範囲になるようにすることができる。所望の範囲である場合、封止層16が支持基板からはみ出すことを抑えつつ、良好な封止機能が実現できる。
なお、駆動部とはエレクトロクロミック層のみを意味するのではなく、電極層や支持基板などを含むことがある。
また、封止層16内に形成された金属部材17は、前記2つの支持基板と、エレクトロクロミック層の外周に隙間なく接していることが望ましい。
金属部材17としては、合金であることが望ましく、Ni−Ti合金又はNi−Ti−Co合金のいずれかであることが望ましい。
Ni−Ti合金である場合、前記Ni−Ti合金中、Niを55〜57質量%含むことが望ましい。
Ni−Ti−Co合金である場合、前記Ni−Ti−Co合金中、Niを53〜55質量%含み、Coを1〜3質量%含むことが望ましい。
封止層16内に設置された金属部材17の断面形状は、必要に応じて適宜変更することができる。その他の実施形態を図2及び図3に示す。例えば図2(a)〜(c)に示すように、丸型の他にも四角型や不定形であってもよい。
図2の金属部材17は中が詰まっている形態となっているが、図3に示すように中が空であってもよい。図3(a)〜(c)では、中が空の丸型、四角型、不定形の例が示されており、適宜変更することが可能である。また、図3に示される例において、中空部分に例えば樹脂部材を形成することも可能である。
次に、エレクトロクロミック装置の平面形状、金属部材17の形状の例について要部の俯瞰図である図4を用いて説明する。図4には(a)〜(c)の3つの例が示されており、図4(a)は第1の実施形態における俯瞰図を示す。なお、図4(a)におけるA−A断面は図1に対応する。
図4(a)〜(c)ではそれぞれ、四角型(定型)、丸型(定型)、不定形が図示されており、エレクトロクロミック装置の平面形状としては、四角形や円形などの定型の形状に限らず、任意の不定形の形状を選択することができる。金属部材17の平面形状はエレクトロクロミック装置の平面形状にあわせることが望ましいが、両者の平面形状は異なっていてもよい。
[劣化防止層]
第2の電極層14に接して、エレクトロクロミック層13の酸化還元反応に対して逆の電気化学反応する劣化防止層を有することが望ましい。前記劣化防止層は第2の電極層14が電気化学反応により劣化することを抑制する。特に、エレクトロクロミック層13の酸化還元反応に対して逆の電気化学反応する劣化防止層が形成されていることが望ましい。これは、駆動電圧を低減できるためである。
前記劣化防止層の役割としては、エレクトロクロミック層13と逆反応をし、電荷のバランスをとって第2の電極層14が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制する。結果としてエレクトロクロミック装置10の繰り返し安定性が向上する。なお、前記逆反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
前記劣化防止層の材料は、第1の電極層12及び第2の電極層14の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。
前記劣化防止層の材料としては、例えば、酸化アンチモン錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物を用いることができる。更に、前記劣化防止層の着色が問題にならない場合は、エレクトロクロミック層13におけるエレクトロクロミック材料と同じものを用いることができる。
これらの中でも、透明性が要求されるレンズのような光学素子としてエレクトロクロミック装置を作製する場合は、前記劣化防止層として、透明性の高い材料を用いることが望ましい。このような材料としては、n型半導体性酸化物微粒子(n型半導体性金属酸化物)を用いることが望ましい。
前記n型半導体性金属酸化物としては、100nm以下の一次粒子径粒子からなる、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、又はそれらを複数含む化合物粒子、あるいは混合物を用いることができる。
更に、前記劣化防止層を有する場合には、エレクトロクロミック層13が酸化反応により色彩変化する材料であることが望ましい。その結果、エレクトロクロミック層13が酸化反応すると同時にn型半導体性金属酸化物が還元(電子注入)されやすく、駆動電圧が低減できるからである。
このような形態において、特に望ましいエレクトロクロミック材料としては、有機高分子材料である。塗布形成プロセス等により容易に製膜できるとともに、分子構造により色の調整や制御が可能となる。これらの有機高分子材料の具体例としては、「Chemistry of Materials review 2011.23,397−415 Navigating the Color Palette of Solution−Processable Electrochromic Polymers(Reynolds)」(非特許文献1)、「Macromolecules 1996.29 7629−7630(Reynolds)」(非特許文献2)、「Polymer journal, Vol.41, No.7,Electrochromic Organic Matallic Hybrid Polymers」(非特許文献3)などに報告されている。
これらの有機高分子材料としては、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)に系材料、ビス(ターピリジン)類と鉄イオンの錯形成ポリマーなどが挙げられる。
一方、前記劣化防止層として、透明性の高いp型半導体性層の材料としては、ニトロキシルラジカル(NOラジカル)を有する有機材料などであり、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)の誘導体、又は誘導体のポリマー材料などが挙げられる。
なお、前記劣化防止層としては、特に制限はなく、電解質層に劣化防止層用材料を混合して、電解質層に劣化防止機能を付与することもできる。その場合の層構成は図1の第1の実施形態に係るエレクトロクロミック装置10と同様になる。
前記劣化防止層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。また、前記劣化防止層の材料が塗布形成できるものであれば、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法などが挙げられる。
前記劣化防止層は、第2の電極層14と接して形成されていればよく、第1の電極層12側であってもよいし、第1の電極層12とは反対側であってもよい。また、前記劣化防止層の厚みは適宜変更することが可能である。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るエレクトロクロミック装置20について図5を用いて説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、本実施形態において、既に説明した上記の実施形態と同一の構成部品についての説明は省略する場合がある。
本実施形態では、第1の支持基板11及び第2の支持基板15の各々において、互いに対向する面を内面とし、前記内面とは反対側の面を外面としたとき、第1の支持基板11及び第2の支持基板15の外面の少なくとも一部に第1の支持基板11及び第2の支持基板15を押圧する押圧部材18が形成されている。押圧部材18は、封止層16にかかる圧力を所望の値となるように調整する目的で設置される。
押圧部材18としては、例えば、ガラスなどの無機基板を用いてもよいし、ステンレスなどの金属基材を用いてもよい。また、図示しないエレクトロクロミック装置20の外部の固定部材と、ばね部材で固定することもできる。
なお、押圧部材18が形成される箇所は適宜変更することが可能であり、図5に示されるようにエレクトロクロミック装置の側面に形成されていてもよい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るエレクトロクロミック装置30について図6を用いて説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、本実施形態において、既に説明した上記の実施形態と同一の構成部品についての説明は省略する場合がある。
第3の実施形態に係るエレクトロクロミック装置30は、封止層16内に設置された金属部材17が複数である場合を例示している。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るエレクトロクロミック装置40について図7を用いて説明する。第4の実施形態では、第1の実施形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、本実施形態において、既に説明した上記の実施形態と同一の構成部品についての説明は省略する場合がある。
本発明に係るエレクトロクロミック装置では、第1の支持基板と前記金属部材との間に、前記第1の電極層及び/又は絶縁層が形成されていてもよい。また、第2の支持基板と前記金属部材との間に、前記第2の電極層及び/又は絶縁層が形成されていてもよい。
第4の実施形態に係るエレクトロクロミック装置40は、第1及び第2の電極層と、封止層16内に設置された金属部材17が接触することによる短絡を防止する目的で、絶縁層19が形成されていることを特徴とする。本実施形態では図示されるように、第1の支持基板11と金属部材17との間に、第1の電極層12及び絶縁層19が形成されており、第2の支持基板15と金属部材17との間に、第2の電極層14及び絶縁層19が形成されている。
絶縁層19としては、無機層や、電気絶縁性に優れた樹脂材料を用いることができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係るエレクトロクロミック装置50について図8を用いて説明する。第5の実施形態では、第1の実施形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、本実施形態において、既に説明した上記の実施形態と同一の構成部品についての説明は省略する場合がある。
第5の実施形態に係るエレクトロクロミック装置50は、第1の支持基板11と金属部材17との間に、第1の電極層12が形成されており、第2の支持基板15と金属部材17との間に、第2の電極層14及び絶縁層19が形成されている。
第5の実施形態に係るエレクトロクロミック装置50は、封止層16内に設置された金属部材17を補助電極として利用する目的で、封止層16内に設置された金属部材17と、前記第1又は第2の電極層の片側のみが接触するように、エレクトロクロミック装置40の絶縁層19のうち、片側が形成されていないことを特徴とする。
なお、図8では金属部材17と第1の電極層12が接触しているが、金属部材17と第2の電極層14が接するように変更することができる。この場合、第1の支持基板11と金属部材17とが第1の電極層12及び絶縁層17を介して接するようにすればよい。
本実施形態における金属部材17は補助電極としても利用されることから、金属部材17の一部とエレクトロクロミック層13が接触している。図8の断面図において、右側に図示される金属部材17はエレクトロクロミック層13とは接触していないが、左側に図示される金属部材17はエレクトロクロミック層13と接触している。これに限られず、接触する箇所は適宜変更することが可能である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<エレクトロクロミック装置の作製>
実施例1は、図1に示すエレクトロクロミック装置10を作製する例を示す。
<<第1の電極層、及びエレクトロクロミック層の形成>>
まず、第1の支持基板11として最大長軸長さ80mm×最大短軸長さ55mm、厚み0.5mmの楕円ポリカーボネート基板を準備した。
前記第1の支持基板上に、ITO膜をスパッタ法により厚み約100nmに製膜して、第1の電極層12を形成した。
次に、前記ITO膜の表面に酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
続いて、下記構造式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物を1.5質量%含む2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布した後、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、前記酸化チタン粒子膜に担持(吸着)させて、エレクトロクロミック層13を形成した(厚み約1.0μm)。
続いて、エレクトロクロミック層13上に、平均一次粒径20nmのSiO微粒子分散液(シリカ固形分濃度24.8質量%、ポリビニルアルコール1.2質量%、及び水74質量%)をスピンコートし、厚み2μmの絶縁性無機微粒子層を形成した。
<<封止層の形成>>
次に、積層体の平面部に、紫外線硬化接着剤(商品名:TB3035B、スリーボンド社製)を滴下し、未硬化状態の紫外線硬化接着剤に、金属部材17(商品名:株式会社吉見製作所製、形状記憶合金ワイヤー・メタルライン 0.03φ×12m)を形成した。
<<第2の電極層、劣化防止層、及び電解質層の形成>>
第2の支持基板15として前記第1の支持基板11と同形状及び同厚みのポリカーボネート基板を準備した。
第2の支持基板15上に、ITO膜をスパッタ法により厚み約100nmに製膜して、第2の電極層14を形成した。
次に、前記ITO膜の表面にATO粒子分散液[ATO平均粒子径:20nm/2,2,3,3−テトラフロロプロパノールの6質量%溶液にウレタン系結着剤(HW140SF、DIC社製)を6質量%添加した分散液]をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み約1.0μmのATO粒子膜からなる劣化防止層を形成した。
続いて、前記第1の支持基板11上の絶縁性無機微粒子層表面に、ポリエチレンジアクリレート(PEG400DA 日本化薬社製)と、光重合開始剤(IRG184、BASF社製)と、電解質(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩)とを質量比(100:5:40)で混合した溶液を塗布し、第2の支持基板の劣化防止層面と貼り合わせ、紫外線(UV)硬化させて電解質層を形成した。
<<発消色駆動>>
得られたエレクトロクロミック装置10の発消色を確認した。具体的には、第1の支持基板11の端部及び第2の支持基板15の端部の一部を剥離し、第1の電極層12のコンタクト部及び第2の電極層14のコンタクト部を形成し、前記第1の電極層12と前記第2の電極層14との間に、前記第1の電極層12がマイナス極となるように−1.6Vの電圧を3秒間印加させたところ、前記エレクトロクロミック装置10が上記構造式(A)のエレクトロクロミック化合物に由来するマゼンタ色に発色することが確認できた。
更に、前記第1の電極層12と前記第2の電極層14の引き出し部分との間に、+3.5Vの電圧を2秒間印加させたところ、エレクトロクロミック化合物が消色し、エレクトロクロミック装置が視感透過率75%以上(測定方法:JIS T7333:2005に記載の方法)の透明状態になることが確認できた。
<<保護層の形成>>
次に、前記第2の支持基板15上に、紫外線硬化接着剤(商品名:KARAYAD R604、日本化薬株式会社製)をスピンコートし、紫外光照射により硬化させることで保護層を3μmの厚みに形成した。
以上、望ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、上記各実施の形態は適宜組み合わせることができる。
11 第1の支持基板
12 第1の電極層
13 エレクトロクロミック層
14 第2の電極層
15 第2の支持基板
16 封止層
17 金属部材
18 押圧部材
19 絶縁層
特開2004−095412号公報 特開2004−095413号公報 特開2004−095414号公報 特開2004−095415号公報 特表2009−544997号公報

Claims (8)

  1. 第1の支持基板と、
    前記第1の支持基板上に形成された第1の電極層と、
    前記第1の電極層に対向するように形成された第2の電極層と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に形成されたエレクトロクロミック層と、
    前記第1の支持基板に対向するように形成された第2の支持基板と、
    前記第1の支持基板と前記第2の支持基板との間の領域に形成され、前記エレクトロクロミック層の側面に接するように形成された封止層と、を有するエレクトロクロミック装置であって、
    前記封止層内に、前記エレクトロクロミック装置の使用温度域内で形状記憶機能を有する金属部材が形成されており、前記金属部材は前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板と接するように形成されていることを特徴とするエレクトロクロミック装置。
  2. 第1の支持基板と、
    前記第1の支持基板上に形成された第1の電極層と、
    前記第1の電極層に対向するように形成された第2の電極層と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に形成されたエレクトロクロミック層と、
    前記第1の支持基板に対向するように形成された第2の支持基板と、
    前記第1の支持基板と前記第2の支持基板との間の領域に形成され、前記エレクトロクロミック層の側面に接するように形成された封止層と、を有するエレクトロクロミック装置であって、
    前記封止層内に、前記エレクトロクロミック装置の使用温度域内で形状記憶機能を有する金属部材が形成されており、前記金属部材は下記(a)〜(c)のいずれかとなるように形成されていることを特徴とするエレクトロクロミック装置。
    (a)前記第1の支持基板と前記金属部材との間に前記第1の電極層及び第1の絶縁層が形成されており、前記第2の支持基板と前記金属部材との間に前記第2の電極層及び第2の絶縁層が形成されており、前記金属部材は、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層と接するように形成されている。
    (b)前記第1の支持基板と前記金属部材との間に前記第1の電極層が形成されており、前記金属部材は、前記第1の電極層と接するように形成されており、かつ、前記第2の支持基板と前記金属部材との間に前記第2の電極層及び絶縁層が形成されており、前記金属部材は、前記絶縁層と接するように形成されている。
    (c)前記第2の支持基板と前記金属部材との間に前記第2の電極層が形成されており、前記金属部材は、前記第2の電極層と接するように形成されており、かつ、前記第1の支持基板と前記金属部材との間に前記第1の電極層及び絶縁層が形成されており、前記金属部材は、前記絶縁層と接するように形成されている。
  3. 前記第2の支持基板は、所望の波長域における透過性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック装置。
  4. 前記金属部材は合金であり、Ni−Ti合金又はNi−Ti−Co合金のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック装置。
  5. 前記Ni−Ti合金中、Niを55〜57質量%含むことを特徴とする請求項に記載のエレクトロクロミック装置。
  6. 前記Ni−Ti−Co合金中、Niを53〜55質量%含み、Coを1〜3質量%含むことを特徴とする請求項に記載のエレクトロクロミック装置。
  7. 前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板の各々において、互いに対向する面を内面とし、前記内面とは反対側の面を外面としたとき、前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板の外面の少なくとも一部に前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板を押圧する押圧部材が形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のエレクトロクロミック装置。
  8. 前記金属部材は複数形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のエレクトロクロミック装置。
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