JP7219368B2 - 難燃性シート - Google Patents
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Description
しかし、さらにシート自体に難燃性を付与したい場合、有機繊維の含有率を低くする必要がある。
本発明は以下の(1)~(9)である。
(1)無機繊維と、機能性粒子と、バインダ成分と、微細繊維と、を含み、
少なくとも一部の前記機能性粒子は、その粒子径が2.5μm以下であり、
前記微細繊維と前記機能性粒子とが凝集しつつ、前記無機繊維に保持されていることを特徴とする難燃性シート。
(2)前記無機繊維の繊維径が2μm超であり、前記微細繊維の繊維径が2μm以下である、上記(1)に記載の難燃性シート。
(3)前記微細繊維が無機物からなることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の難燃性シート。
(4)前記微細繊維が鉱物系繊維および/または繊維状成長結晶であることを特徴とする上記(1)乃至(3)いずれか一項に記載の難燃性シート。
(5)フィブリル状繊維を含まないことを特徴とする上記(1)乃至(4)いずれか一項に記載の難燃性シート。
(6)有機分が11wt%以下であることを特徴とする上記(1)乃至(5)いずれか一項に記載の難燃性シート。
(7)前記機能性粒子が2種類以上含まれることを特徴とする上記(1)乃至(6)いずれか一項に記載の難燃性シート。
(8)前記機能性粒子の数平均粒子径が1~20μmであることを特徴とする上記(1)乃至(7)いずれか一項に記載の難燃性シート。
(9)前記機能性粒子の数平均粒子径と前記微細繊維の平均繊維径との比(機能性粒子の数平均粒子径/微細繊維の平均繊維径)が1~100であることを特徴とする上記(1)乃至(8)いずれか一項に記載の難燃性シート。
本発明の難燃性シートについて説明する。
本発明の難燃性シートは、無機繊維と、機能性粒子と、バインダ成分と、微細繊維と、を含み、少なくとも一部の前記機能性粒子は、その粒子径が2.5μm以下であり、前記微細繊維と前記機能性粒子とが凝集しつつ、前記無機繊維に保持されていることを特徴とする難燃性シートである。このような難燃性シートを、以下では「本発明の難燃性シート」ともいう。
本発明の難燃性シートが含む無機繊維について説明する。
本発明の難燃性シートにおいて、無機繊維は基材として機能する。したがって、無機繊維は本発明の難燃性シートの形状を保持する役割を果たす。その他にも無機繊維は、ワイヤーメッシュ剥離性の補助、引張強さの補助、強熱時の面収縮抑制という役割を果たす場合がある。さらに、溶融温度以上となった場合は無機バインダとしても機能する場合がある。
無機繊維として、例えば、ガラス繊維、ロックウール、リフラクトリーセラミックファイバー、AES繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、グラスウールが挙げられる。
本発明の難燃性シートにおいては、繊維径が2μm超である無機物からなる繊維が無機繊維であることが好ましい。
顕微鏡で撮像された無機繊維の垂直断面に基づき無機繊維の断面積を算出し(例えば、公知ソフトにて)、前記断面積と同一面積を有する円の直径を算出することにより導かれた面積径の平均値(例えば、20個の繊維の平均値)とすることができる。
本発明の難燃性シートの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて100倍に拡大して得たSEM像において、無作為に選びだした100本の無機繊維の長さを測定し、それらを単純平均して求めるものとする。
難燃性シートに、強度を与えるためには平均繊維径が2~20μmであることが好ましく、3~20μmであることがより好ましく、5~13μmであることが更に好ましい。
本発明の難燃性シートにおいて無機繊維の含有率は、4~75質量%であることが好ましく、6~60質量%であることがより好ましく、8~50質量%であることがさらに好ましい。
本発明の難燃性シートの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍に拡大して得たSEM像において、その視野内に占める全ての成分の面積を画像処理装置を用いて求め、2分の3乗とすることで体積比に換算し、さらに比重を乗じることで質量比を求めて、無機繊維の含有率を算出するものとする。
本発明の難燃性シートが含む機能性粒子について説明する。
本発明の難燃性シートにおいて機能性粒子は、後述する微細繊維と凝集しつつ、前述の無機繊維に保持される。
2種類以上の機能性粒子を含むとは、組成が異なる2以上の機能性粒子を含むこと以外に、同種ではあるが大きさが異なる2以上の機能性粒子を含むことをも意味するものとする。例えば機能性粒子の粒度分布がピークを2つ以上有する場合、本発明の難燃性シートは2種類以上の機能性粒子を含んでいることとなる。すなわち、違う種類の機能性粒子を2種類以上含むことに限定されず、同じ種類の粒子径の異なる機能性粒子を2種類以上含んでいても良い。
例えば、難燃性シートから機能性粒子を回収し、液中に分散した粒子を直接、撮影し、撮影データの画像処理により分析・解析する事が可能なフロー方式画像解析法を用いた機器(例えば、シスメックス社製:FPIA-3000)にて求めることができる。測定された個々の機能性粒子のデータから、2.5μmまでの範囲に相当する粒子の出現頻度の累積値を測定対象の機能性粒子全体に対する比率を求めることで2.5μm以下の機能性粒子の比率を求めることができる。
例えば、難燃性シートから機能性粒子を回収し、液中に分散した粒子を直接、撮影し、撮影データの画像処理により分析・解析する事が可能なフロー方式画像解析法を用いた機器(例えば、シスメックス社製:FPIA-3000、)にて求めることができる。測定された個々の機能性粒子のデータから、粒子数基準の粒度分布における積算値50%での粒径により求めることができる。
本発明の難燃性シートにおいて機能性粒子の含有率は、20~95質量%であることが好ましく、30~90質量%であることがより好ましく、40~80質量%であることがさらに好ましい。
本発明の難燃性シートが含むバインダ成分について説明する。
本発明の難燃性シートにおいてバインダ成分は、自身が溶解、溶融することで難燃性シートの他の成分と結着することができる物質や、化学的、物理的に難燃性シートの他の成分と結合、凝集等できる物質であれば特に限定されない。
本発明の難燃性シートにおいてバインダ成分の含有率は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましい。
また、本発明の難燃性シートにおいてバインダ成分の含有率は、25質量%以下であることが好ましく、16質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。
次に、本発明の難燃性シートを蛍光X線分析に供し、含有される無機物を定性・定量分析する。そして、525℃で加熱した場合における無機物由来の重量減少分(Y)(主に結晶水に由来する)を求める。ここで重量減少分(Y)は、公知の値から算出したり、同組成の無機物を入手し、525℃にて加熱することで重量減少量を実測したりして、求めることができる。
そして、質量差(X)から前述の方法によって求めた有機系の機能性粒子の量および後述する方法によって求めた有機系の微細繊維の量ならびに無機物由来の重量減少分(Y)を差し引き、残量を有機系のバインダ成分の量とする。次に、本発明の難燃性シートの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍に拡大して得たSEM像において、その視野内に占める全ての成分の各々の面積を画像処理装置を用いて求め、2分の3乗とすることで体積比に換算し、さら比重を乗じることで質量比を求めて、無機系のバインダ成分の含有率を算出する。次に、求めた有機系および無機系のバインダ成分の量を合計して、本発明の難燃性シートにおいてバインダ成分の含有率を求める。
本発明の難燃性シートが含む微細繊維について説明する。
本発明の難燃性シートにおいて微細繊維は、前述の機能性粒子と凝集しつつ、前述の無機繊維に保持される。
本発明の難燃性シートにおいては、繊維径が2μm以下である繊維が微細繊維であることが好ましい。
また、微細繊維の平均繊維径は2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましい。
また、微細繊維のアスペクト比は、5~6000であることが好ましい。アスペクト比が5以上であると、機能性微粒子を捕捉しやすい効果が期待できる。アスペクト比が6000以下であると、難燃性シートの地合いを向上させやすい。
水に分散した微細繊維を流動状態で撮影し、その撮像から画像解析により繊維長を求める方法(このような画像解析型繊維長測定器としては、L&W社製:ファイバーテスターがある。)であってよく、また、本発明の難燃性シートの表面を日本電子社製、走査型電子顕微鏡(SEM)JSM-7001Fを用いて100倍に拡大して得たSEM像において、無作為に選びだした100本の微細繊維の長さを測定し、それらを単純平均して求めてもよい。
本発明の難燃性シートにおいて微細繊維の含有率は、0.1~35質量%であることが好ましく、0.5~20質量%であることがより好ましく、1~10質量%であることがさらに好ましい。
本発明の難燃性シートの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍に拡大して得たSEM像において、その視野内に占める全ての成分の面積を画像処理装置を用いて求め、2分の3乗とすることで体積比に換算し、さら比重を乗じることで質量比を求めて、微細繊維の含有率を算出するものとする。
その他の成分として、例えば、撥水剤、着色剤などが挙げられる。
JIS P8251 紙,板紙及びパルプの灰分試験方法(525℃燃焼法)により得られた灰分以外の成分を有機分とする。ここで、525℃での灰化処理によって、無機物の結晶水放出等による重量減少が生じる場合は、灰化処理後の無機物由来の重量減少分を差し引いて、有機分の含有量を求める。なお、無機物の結晶水放出などによる重量減少量は、初めに本発明の難燃性シートを蛍光X線分析に供し、含有される無機物を定性・定量分析する。そして、525℃で加熱した場合における無機物由来の重量減少分を求める。ここで重量減少分は、公知の値から算出したり、同組成の無機物を入手し、525℃にて加熱することで重量減少量を実測したりして、求めることができる。
本発明の難燃性シートの厚さは0.1~10mmであることが好ましい。
なお、本発明の難燃性シートの密度は、JIS Z 8807:2012「固体の密度及び比重の測定方法」に準拠して測定した値を意味するものとする。
例えば粉末担持抄造法によって製造することができる。粉末担持抄造法とは、一般的な抄造法のプロセスを用い、粉末を分散した抄造スラリーを用いて抄造を行う方法である。より具体的には、繊維および粉体と分散媒(水や有機溶媒等)を撹拌した後、抄造スラリーを作製し、角形手漉き装置等(例えば、東洋精機社製)を用いてシート化し、フェロタイプの乾燥装置等を用いて乾燥することで、難燃性シートを得ることができる。粉末担持抄造法のプロセスは、バッチ式、連続式を問わない。
第2表、第3表および第4表に示す種類の無機繊維、機能性粒子、バインダ成分、微細繊維および凝集剤を、第2表、第3表および第4表に示す含有率で混合し、分散させたスラリーを得た後、これを用いて粉末担持抄造法によって難燃性シートを作成した。
いずれの実施例および比較例においても、得られた難燃性シートの厚さは、約1mmであった。
なお、各成分の詳細は、以下の通りである。
無機繊維として、平均繊維径が5μmガラスウールおよび平均繊維径が7μmのガラス繊維、平均繊維径が8μmのロックウールを用意し、これを用いた。
機能性粒子として、複数種類の水酸化アルミニウムおよびシリカゲル、重質炭酸カルシウム、ハイドロタルサイトおよびハスクレイを用意し、これらを用いた。なお、実施例5、18、20、21では、2種類の機能性粒子を用いた。
バインダ成分として、針葉樹パルプ(繊維径:20~40μm)、アクリル樹脂、およびPET繊維(帝人社製、TA04PN、繊維径:3μm)を用意し、これを用いた。なお、実施例4、5、18、19では、2種類のバインダ成分を用いた。
微細繊維として、セピオライト、チタン酸カリウムウィスカおよびマイクロフィブリルセルロースを用意し、これらを用いた。以下に各々の詳細を示す。
・セピオライト:ミルコン、昭和KDE株式会社製(平均繊維径は0.1μmまたは0.3μm)
・チタン酸カリウムウィスカ:(平均繊維長:15μm、平均繊維径:0.3μm)
・マイクロフィブリルセルロース:セリッシュKY100G、株式会社ダイセル製
バインダ成分の1つとして、凝集剤(栗田工業社製、ハイホルダーC-503)を用いた。
収率、地合い、ハンドリング強度、耐熱保形性ならびに燃焼性の測定方法および評価方法は、次の通りである。
収率は、下記の算出により求めた。
収率(%)=乾燥後の難燃性シート1枚の正味重量(g)×100/シート1枚分の投入原材料の正味重量(g)
また、上記収率が、70%未満である場合を×、70%以上、80%未満を△、80%以上を○と評価した。
難燃性シートの表面を観察し、地合いについて、次のように分類した。後述する表中の表記を合わせて示す。
◎:凝集物も無く、シートの濃淡も無い。
○:極少ない濃淡ムラはあるが、均一性は良好。
△:若干の濃淡ムラはあるものの、実用可能なレベル。
×:凝集物があり、濃淡ムラも著しい。
収率と地合いの結果から、第1表を用いて総合評価を実施した。
難燃性シートを13mm幅の短冊状にカットし、長手方向が鉛直方向になるように垂らした。そして、その下部の10mmに、下方から高さ20mmに調整した炎を10秒あてた。この場合に、燃えた部分が下方から5cm以下となるか否かを測定した。
Claims (6)
- 無機繊維と、機能性粒子と、バインダ成分と、微細繊維と、を含み、
前記無機繊維の含有率は36~75質量%であり、
少なくとも一部の前記機能性粒子は、その粒子径が2.5μm以下であり、
前記機能性粒子の含有率は20~55質量%であり、
前記機能性粒子の数平均粒子径が0.1~50μmであり、
前記バインダ成分としてパルプ、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを用い、
前記微細繊維は繊維径が0.05~2μmであり、繊維長さが1~3000μmであり、
前記微細繊維は、セピオライト、ウォラストナイト、アタパルジャイト、マイクログラスウール、チタン酸カリウム繊維、炭酸カルシウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、マイクロファイバーセルロースおよびフィブリル化アラミドからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
前記微細繊維と前記機能性粒子とが凝集しつつ、前記無機繊維に保持されており、
合成膨潤性雲母および合成スメクタイトを含まないことを特徴とする難燃性シート。 - 前記微細繊維の含有率が0.1~35質量%である、請求項1に記載の難燃性シート。
- 前記機能性粒子は、水酸化アルミニウム、酸化チタン、シリカゲル、ゼオライト、シラスバルーン、活性炭およびモレキュラーシーブからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1または2に記載の難燃性シート。
- 前記無機繊維の平均繊維径が7~20μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の難燃性シート。
- ノニオン系ポリアクリルアミドを含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載の難燃性シート。
- 前記パルプ、前記アクリル樹脂、前記ポリエステル樹脂、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、前記ポリオレフィン樹脂、前記酢酸ビニル樹脂、前記スチレン系樹脂、前記ポリウレタン系樹脂および前記フェノール樹脂の合計含有率が4~25質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の難燃性シート。
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