発明の詳細な説明
本出願は、とりわけ、PEG化リポソーム製剤、PEG化リポソームを含んでなる組成物、ならびにPEG化リポソームを製造および使用する方法に関する。本発明者らは、不溶性のトール様受容体(TLR)アゴニストを製剤化する一方、様々なTLRリガンドおよび/または抗原を組み込む際に安定性を維持しながら驚くほど万能性であり、抗原と混合した場合に免疫応答を増強するのに有効であるリポソーム製剤を開発した。本発明者らは、様々な異なる抗原をこれらのリポソームと混合すると、哺乳動物に投与することができる抗原-リポソーム製剤が得られることを見出した。リポソーム製剤は、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG化脂質中のPEGの平均分子量は、約5000ダルトン以下、好ましくは約750~約5000ダルトン、または750~約2000ダルトンである。PEG化脂質の使用は安定性を与え、免疫応答の送達および発生/刺激/改変を可能にする。いくつかの好ましい実施形態において、非PEG化中性脂質はDPPCであり、PEG化脂質はPEG化DSPEまたはDPPEである。いくつかの特に好ましい実施形態において、リポソームは、トール様受容体(TLR)アゴニストおよび必要に応じて抗原をさらに含んでなる。
本明細書に記載のPEG化リポソームを含んでなる組成物(ワクチン組成物、医薬組成物など)もまた提供される。当該組成物は、対象において免疫応答を発生/刺激/改変するのに有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の抗原および/またはTLRアゴニストをさらに含んでなる。
本発明者らはまた、不溶性のトール様受容体3M-052のスクアレンベースの水中油型エマルションを製剤化する場合、DMPCの代わりに卵ホスファチジルコリンまたはPOPCを用いて製造したエマルションが、加工後のトール様受容体のより高い回収率をもたらすことも見出した。さらに、トール様受容体と卵ホスファチジルコリンまたはPOPCとをクロロホルム中で混合する初期混合工程を追加することにより、トール様受容体の回収率がさらに増加した。本出願はまた、とりわけ、スクアレン、不飽和ホスファチジルコリン、およびトール様受容体(例えば、不溶性のトール様受容体)を含んでなるスクアレンベースの水中油型エマルション、ならびにトール様受容体と不飽和ホスファチジルコリンとをクロロホルム中で混合することにより当該エマルションを製造する方法に関する。
I.定義
以下の用語は、別段の定めがない限り、以下の意味を有する。定義されていない用語は、その技術分野で認識されている意味を有する。
本明細書において、用語「約」および「から本質的になる」は、別段の定めがない限り、示された範囲、値、または構造の±20%を意味する。
選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢の1つ、両方、またはそれらの任意の組み合わせを意味すると理解されるべきである。
本明細書で使用される場合、用語「含む」、「有する」、および「含んでなる」は、同義語として使用されており、これらの用語およびその変形は非限定的なものと解釈されるべきであることが意図されている。
本明細書で使用される場合と、添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに他を意味しない限り、複数の言及を含む。
本明細書で使用される用語「高分子」は、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、および生物起源または合成起源のポリヌクレオチドによって例示されるが、これらに限定されない大分子を指す。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書で互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって分断されていてもよい。当該用語はまた、天然にまたは介入によって、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分とのコンジュゲーションなどの任意の他の操作もしくは修飾によって修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する。この定義には、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1つ以上の類似体、および当該技術分野で公知の他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。
用語「単離」は、分子がその天然の環境から取り出されたことを意味する。
「精製」は、分子がその天然の環境に存在するよりも、ならびに/または実験室条件下で最初に合成および/もしくは増幅されたときよりも、より純粋な形態で分子が存在するように、分子の純度が高められたことを意味する。純度は相対的な用語であり、必ずしも絶対的な純度を意味するものではない。
本明細書において互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、DNAおよびRNAを含む、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指す。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/もしくはそれらの類似体、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによって、もしくは合成反応によってポリマーに組み込むことができる任意の基質であることができる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含んでなり得る。存在する場合、ヌクレオチド構造の修飾は、ポリマーのアセンブリの前または後に付与され得る。
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」は、通常、必然的ではないが、長さが約200ヌクレオチド未満である、短く、通常一本鎖であり、通常合成のポリヌクレオチドを概して指す。用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドについての上記の説明は、オリゴヌクレオチドに同等かつ完全に適用可能である。
「個体」または「対象」は、任意の哺乳類である。哺乳類には、ヒト、霊長類、家畜、狩猟動物、ペット(ネコ、イヌ、ウマなど)、およびげっ歯類が含まれるが、これらに限定されない。
「アルキル」は、直鎖状または分岐状の飽和炭化水素である。例えば、アルキル基は、1~30個の炭素原子(すなわち、(C1~C30)アルキル)または1~20個の炭素原子(すなわち、(C1~C20アルキル)または1~10個の炭素原子(すなわち、(C1~C10)アルキル)または1~8個の炭素原子(すなわち、(C1~C8)アルキル)または1~6個の炭素原子(すなわち、(C1~C6)アルキル)または1~4個の炭素原子(すなわち、(C1~C4)アルキル)を有することができる。当該用語には、例として、直鎖状および分岐状のヒドロカルビル基、例えば、メチル(CH3-)、エチル(CH3CH2-)、n-プロピル(CH3CH2CH2-)、イソプロピル((CH3)2CH-)、n-ブチル(CH3CH2CH2CH2-)、イソブチル((CH3)2CHCH2-)、sec-ブチル((CH3)(CH3CH2)CH-)、t-ブチル((CH3)3C-)、n-ペンチル(CH3CH2CH2CH2CH2-)、ネオペンチル((CH3)3CCH2-)、およびn-ヘキシル(CH3(CH2)5-)が含まれる。
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は基-OHを指す。
「アルコキシ」は、基-O-アルキルを指し、ここで、アルキルは、本明細書で定義される通りである。アルコキシには、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなどが含まれる。
「カルボキシルエステル」または「カルボキシエステル」は、基-C(O)O-アルキルおよび-C(O)O-置換アルキルを指し、ここで、アルキルおよび置換アルキルは、本明細書で定義されるとおりである。
本発明の実施は、別段の定めがない限り、当該分野の技術範囲内にある分子生物学、組み換えDNA、生化学、および化学の従来技術を用いる。このような技術は文献で充分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., Sambrook et al., ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press: (1989); DNA Cloning, Volumes I and II (D. N. Glover ed., 1985); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed., 1984); Mullis et al., U.S. Pat.No: 4,683,195; Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds.1984); B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.);およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989)を参照されたい。
本明細書で使用される場合、「水に不溶性」とは、化合物が水と混合された場合に、例えば、室温で、例えば約25℃~50℃の間で水と混合した場合に、溶解しない、または無視できるレベルまで溶解する化合物を指す。
II.PEG化リポソーム
本開示は、少なくともコレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなるPEG化リポソームであって、PEG化脂質中のPEG成分の平均分子量が約5000ダルトン以下である、前記PEG化リポソームを提供する。本明細書において提供されるPEG化リポソームは、薬剤、例えば、ワクチン、治療、または診断用途用の薬剤をさらに含んでなり得る。本明細書において提供されるPEG化リポソームは、例えば上記のワクチン、治療、または診断用途用の、TLRアゴニストをさらに含んでなり得る。PEG化リポソームの各個々の成分の説明およびPEG化リポソームの特徴を以下に記載する。
A.PEG化脂質
本明細書において提供されるPEG化リポソームは、PEG化脂質(ポリエチレングリコール(PEG)と結合した脂質)であって、前記PEG化脂質中のPEGの平均分子量が、約5000ダルトン以下である、前記PEG化脂質を含んでなる。中性の非PEG化脂質およびコレステロールと組み合わせたPEGと結合したこのような脂質の使用は、PEG化脂質を含有しない他の中性のリポソームに対して安定性を付与することが認められた。このようなPEG化脂質の使用は、PEG化リポソーム構造の長期安定性を可能にし、免疫応答の効果的な刺激を可能にする。
PEG化脂質中のPEGの特徴
本明細書で企図される実施形態において、PEG化脂質中のPEGの平均分子量は、約5000ダルトン以下である。いくつかの実施形態において、PEG化脂質中のPEGの平均分子量は、約2000ダルトン以下である。特定の実施形態において、PEGの平均分子量は、約750ダルトン~約5000ダルトンの範囲である。特定の実施形態において、PEGの平均分子量は、約750ダルトン~約2000ダルトンの範囲である。いくつかの実施形態において、PEGの平均分子量は約750~1000、750~1500、750~2000、750~2500、750~3000、750~3500、750~4000、750~4500、または750~5000ダルトンの範囲である。いくつかの実施形態において、PEGの平均分子量は約4500~5000、4000~5000、3500~5000、3000~5000、2500~5000、2000~5000、1500~5000、1000~5000、または750~5000ダルトンの範囲である。いくつかの実施形態において、PEGの平均分子量は、約500~1000、500~750、または750~1000ダルトンの範囲である。いくつかの実施形態において、PEGの平均分子量は、約1500~2500、1500~2000、または2000~2500ダルトンの範囲である。いくつかの実施形態において、PEGの平均分子量は、約4500~5500、4500~5000、または2000~5000ダルトンの範囲である。
一つの例示的な実施形態において、PEG化脂質はPEG750を含んでなる。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質はPEG1000を含んでなる。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質はPEG1500を含んでなる。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質はPEG2000を含んでなる。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質はPEG2500を含んでなる。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質はPEG3000を含んでなる。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質はPEG3500を含んでなる。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質はPEG4000を含んでなる。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質はPEG4500を含んでなる。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質はPEG5000を含んでなる。
PEG化脂質中の脂質の特徴
本明細書では、PEG化脂質の脂質成分は、コレステロールおよび非PEG化中性脂質成分と会合して安定なリポソーム構造を形成することができる(リン脂質を含む)脂質を含んでなり得ることが企図されている。
表1は、本発明に使用するためにPEGに結合することができる例示的な脂質の非限定的なリストを提供する。
表1:例示的な脂質
特定の実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、リン脂質または四級アンモニウム塩脂質である。特定の実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、ホスファチジルコリンまたはホスホグリセリドであるリン脂質である。いくつかの実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、以下の部分:
のいずれかを含んでなり、式中、X
-はアルカリ金属対イオンであり、Y
+はハロゲン化物対イオンである。
特定の実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、C10~20アルキル鎖を含んでなる。特定の実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、C12~18アルキル鎖を含んでなる。いくつかの実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、C14アルキル鎖、C16アルキル鎖、またはC18アルキル鎖を含んでなる。
特定の実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、アニオン性である。特定の実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、カチオン性である。特定の実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、全体的に中性に帯電している。特定の実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、双性イオンである。
特定の例示的な実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、DPPC、DOPC、DLPC、DMPC、DSPC、POPC、DSPE、DPPE、またはDMPEである。一つの例示的な実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、DSPEである。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、DPPEである。別の例示的な実施形態において、PEG化脂質の脂質成分は、DMPEである。
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、PEG化脂質の脂質成分はDLPEであることができる。
特定の実施形態において、リポソーム中のPEG化脂質のモルパーセンテージ(mol%)は、約1mol%~約25mol%の範囲である。特定の実施形態において、リポソーム中のPEG化脂質のモルパーセンテージ(mol%)は、約1mol%、2mol%、3mol%、4mol%、5mol%、6mol%、7mol%、8mol%、9mol%、10mol%、11mol%、12mol%、13mol%、14mol%、15mol%、16mol%、17mol%、18mol%、19mol%、20mol%、21mol%、22mol%、23mol%、24mol%、または約25mol%である。例示的な実施形態において、リポソーム中のPEG化脂質のmol%は、約5mol%である。別の例示的な実施形態において、リポソーム中のPEG化脂質のmol%は、約10mol%である。別の例示的な実施形態において、リポソーム中のPEG化脂質のmol%は、約15mol%である。別の例示的な実施形態において、リポソーム中のPEG化脂質のmol%は、約20mol%である。別の例示的な実施形態において、リポソーム中のPEG化脂質のmol%は、約25mol%である。
例示的なPEG化脂質
特定の実施形態において、PEG化リポソーム中のPEG化脂質は、DSPE-PEG750、DSPE-PEG1000、DSPE-PEG1500、DSPE-PEG2000、DSPE-PEG2500、DSPE-PEG3000、DSPE-PEG3500、DSPE-PEG4000、DSPE-PEG4500、またはDSPE-PEG5000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソーム中のPEG化脂質は、DPPE-PEG750、DPPE-PEG1000、DPPE-PEG1500、DPPE-PEG2000、DPPE-PEG2500、DPPE-PEG3000、DPPE-PEG3500、DPPE-PEG4000、DPPE-PEG4500、またはDPPE-PEG5000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソーム中のPEG化脂質は、DMPE-PEG750、DMPE-PEG1000、DMPE-PEG1500、DMPE-PEG2000、DMPE-PEG2500、DMPE-PEG3000、DMPE-PEG3500、DMPE-PEG4000、DMPE-PEG4500、またはDMPE-PEG5000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソーム中のPEG化脂質は、DPPC-PEG750、DPPC-PEG1000、DPPC-PEG1500、DPPC-PEG2000、DPPC-PEG2500、DPPC-PEG3000、DPPC-PEG3500、DPPC-PEG4000、DPPC-PEG4500、またはDPPC-PEG5000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソーム中のPEG化脂質は、DOPC-PEG750、DOPC-PEG1000、DOPC-PEG1500、DOPC-PEG2000、DOPC-PEG2500、DOPC-PEG3000、DOPC-PEG3500、DOPC-PEG4000、DOPC-PEG4500、またはDOPC-PEG5000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソーム中のPEG化脂質は、DLPC-PEG750、DLPC-PEG1000、DLPC-PEG1500、DLPC-PEG2000、DLPC-PEG2500、DLPC-PEG3000、DLPC-PEG3500、DLPC-PEG4000、DLPC-PEG4500、またはDLPC-PEG5000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソーム中のPEG化脂質は、DMPC-PEG750、DMPC-PEG1000、DMPC-PEG1500、DMPC-PEG2000、DMPC-PEG2500、DMPC-PEG3000、DMPC-PEG3500、DMPC-PEG4000、DMPC-PEG4500、またはDMPC-PEG5000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソーム中のPEG化脂質は、POPC-PEG750、POPC-PEG1000、POPC-PEG1500、POPC-PEG2000、POPC-PEG2500、POPC-PEG3000、POPC-PEG3500、POPC-PEG4000、POPC-PEG4500、またはPOPC-PEG5000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソーム中のPEG化脂質は、DSPC-PEG750、DSPC-PEG1000、DSPC-PEG1500、DSPC-PEG2000、DSPC-PEG2500、DSPC-PEG3000、DSPC-PEG3500、DSPC-PEG4000、DSPC-PEG4500、またはDSPC-PEG5000である。
B.非PEG化中性脂質
本明細書において提供されるPEG化リポソームは、非PEG化中性脂質(ポリエチレングリコール(PEG)に結合していない中性脂質)も含んでなる。本明細書では、リポソームの非PEG化中性脂質成分は、全体的な中性電荷を有するか、または双性イオン性であり、PEG化脂質成分と会合して安定なリポソーム構造を形成することができる(中性リン脂質を含む)中性脂質を含んでなることが企図されている。
本明細書で提供されるように、非PEG化中性脂質は、全体的に中性に帯電している。特定の実施形態において、非PEG化中性脂質は双性イオンである。PEG化リポソームの中性非PEG化脂質成分は、いくつかのバリエーションでは、PEG化リポソームを全体的に中性に帯電させることができる。
特定の実施形態において、PEG化リポソームの非PEG化中性脂質成分は、C10~20アルキル鎖を含んでなる。特定の実施形態において、非PEG化中性脂質成分は、C12~18アルキル鎖を含んでなる。いくつかの実施形態において、非PEG化中性脂質成分は、C14アルキル鎖、C16アルキル鎖、またはC18アルキル鎖を含んでなる。
いくつかの実施形態において、非PEG化中性脂質は、DPPC、DOPC、DLPC、DMPC、DSPC、POPC、DPPE、またはDMPEである。
特定の実施形態において、リポソーム中の非PEG化中性脂質のモルパーセンテージ(mol%)は、約45mol%~約98mol%の範囲である。特定の実施形態において、リポソーム中の非PEG化中性脂質のモルパーセンテージ(mol%)は、約45mol%、50mol%、55mol%、60mol%、65mol%、70mol%、75mol%、80mol%、85mol%、90mol%、95mol%、または約98mol%である。例示的な実施形態において、リポソーム中の非PEG化中性脂質のmol%は、約45mol%である。
例示的な実施形態において、非PEG化中性脂質対PEG化脂質の脂質モル比は、9.8:0.8である。例示的な実施形態において、非PEG化中性脂質対PEG化脂質の脂質モル比は、18:3である。
例示的な実施形態において、非PEG化中性脂質DPPC対PEG化脂質DPPE-PEG2000の脂質モル比は、9.8:0.8である。例示的な実施形態において、非PEG化中性脂質DPPC対PEG化脂質DPPE-PEG750の脂質モル比は、9.8:0.8である。例示的な実施形態において、非PEG化中性脂質DPPC対PEG化脂質DPPE-PEG750の脂質モル比は、18:3である。
C.コレステロール
本明細書において提供されるPEG化リポソームは、(コレステロール含有化合物を含む)コレステロールを含んでなる。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約1mol%~約50mol%、約5mol%~約50mol%、約10mol%~約50mol%、約20mol%~約50mol%、約25mol%~約50mol%、約5mol%~約10mol%、約5mol%~約20mol%、約5mol%~約25mol%、約10mol%~約20mol%、約10mol%~約25mol%、約20mol%~約30mol%、約20mol%~約40mol%、または約1mol%~約10mol%の範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約50mol%である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約45mol%である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約40mol%である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約35mol%である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約30mol%である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約25mol%である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約20mol%である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約15mol%である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約10mol%である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソーム中のコレステロールのmol%は、約5mol%である。
特定の実施形態において、コレステロール対非PEG化中性脂質対PEG化脂質の脂質モル比は、約5.7:9.8:0.8である。特定の実施形態において、コレステロール対非PEG化中性脂質対PEG化脂質の脂質モル比は、約5.5:18:3である。
特定の実施形態において、コレステロール対非PEG化中性脂質DPPC対PEG化脂質DPPE-PEG2000の脂質モル比は、約5.7:9.8:0.8である。特定の実施形態において、コレステロール対非PEG化中性脂質DPPC対PEG化脂質DPPE-PEG750の脂質モル比は、約5.7:9.8:0.8である。特定の実施形態において、コレステロール対非PEG化中性脂質DPPC対PEG化脂質DPPE-PEG750の脂質モル比は、約5.5:18:3である。
D.TLRアゴニスト
本明細書で記載されている場合、本明細書に記載のPEG化リポソームは、1つ以上のトール様受容体アゴニスト(TLRアゴニスト)を含んでなり得る。トール様受容体(TLR)は、多数の感染性病原体の中または上に存在し得るような種々の保存された微生物分子構造に対して宿主細胞に早期認識能力を与える先天性免疫系の細胞表面膜貫通受容体を含む。先天性免疫系による免疫応答の開始を促進するTLR媒介シグナル伝達の誘発は、細胞表面TLRに結合するTLRアゴニストによって達成され得る。例えば、リポ多糖(LPS)は、TLR2またはTLR4を介するTLRアゴニストであり得(Tsan et al., 2004 J. Leuk.Biol.76:514; Tsan et al., 2004 Am. J. Physiol.Cell Phsiol.286:C739; Lin et al., 2005 Shock 24:206)、ポリ(イノシン-シチジン)(polyl:C)は、TLR3を介するTLRアゴニストであり得(Salem et al., 2006 Vaccine 24:5119)、CpG配列(非メチル化シトシン-グアノシンを含むオリゴデオキシヌクレオチドまたは「CpG」ジヌクレオチドモチーフ、例えば、CpG7909,Cooper et al., 2005 AIDS 19:1473;CpG10101 Bayes et al.Methods Find Exp Clin Pharmacol 27:193; Vollmer et al.Expert Opinion on Biological Therapy 5:673; Vollmer et al., 2004 Antimicrob.Agents Chemother.48:2314; Deng et al., 2004 J. Immunol.173:5148)は、TLR9を介するTLRアゴニストであり得(Andaloussi et a., 2006 Glia 54:526; Chen et al., 2006 J. Immunol.177:2373)、ペプチドグリカンは、TLR2および/またはTLR6アゴニストであり得(Soboll et al., 2006 Biol.Reprod.75:131; Nakao et al., 2005 J. Immunol.174:1566)、3M003(ミネソタ州セントポールの3M Pharmaceuticalsからの4-アミノ-2-(エトキシメチル)-α,α-ジメチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール水和物,Mol.Wt.318 Daは、関連化合物3M001および3M002の供給源でもある;Gorden et al., 2005 J. Immunol.174:1259)は、TLR7アゴニスト(Johansen 2005 Clin.Exp.Allerg.35:1591)および/またはTLR8アゴニスト(Johansen 2005)であり得、フラゲリンは、TLR5アゴニストであり得(Feuillet et al., 2006 Proc.Nat. Acad.Sci.USA 103:12487)、C型肝炎抗原は、TLR7および/またはTLR9を介するTLRアゴニストとして作用し得る(Lee et al., 2006 Proc.Nat. Acad.Sci.USA 103:1828; Horsmans et al., 2005 Hepatol.42:724)。他のTLRアゴニストが公知であり(例えば、Schirmbeck et al., 2003 J. Immunol.171:5198)、本明細書中に記載されているいくつかの実施形態に従って使用され得る。
様々な実施形態において、TLRアゴニストは、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、TLR5アゴニスト、TLR6アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、TLR7/8アゴニスト、TLR9アゴニスト、それらの組み合わせであり得る。
TLR7/8アゴニスト
本明細書に記載の組成物に使用することができるTLR7/8アゴニストが、本明細書において提供される。本明細書で使用される場合、「TLR7/8アゴニスト」は、TLR7、TLR8、または両方とのその相互作用を介してその生物活性に影響を与えるアゴニストを指す。このような生物活性には、先天性免疫系を介した免疫応答を促進するTLR7および/またはTLR8媒介シグナル伝達の誘発が含まれるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、TLRは、イミダゾキノリン、イミダゾキノリン含有化合物、またはイミダゾキノリンアミン誘導体であるが(例えば、米国特許第4,689,338号(Gerster)参照)、他の化合物クラスも公知である(例えば、米国特許第5,446,153号(Lindstrom et al.);米国特許第6,194,425号(Gerster et al.);および米国特許第6,110,929号(Gerster et al.);ならびに国際公開番号WO2005/079195(Hays et al.)参照)。
特定の実施形態において、本明細書に記載の組成物に使用されるTLR7/8アゴニストは、イミダゾキノリン誘導体、例えば、その内容が参照によりその全体で本明細書に援用されるShi et al.(ACS Med.Chem.Lett., 2012, 3(6), pp.501-504)に記載されているものを含んでなる。
いくつかの実施形態において、TLR7/8は、イミダゾキノリンまたはイミダゾキノリン含有化合物を含んでなる。いくつかの実施形態において、イミダゾキノリンは免疫応答変更因子である(IMQまたはR837と呼ばれる)イミキモドである。いくつかの実施形態において、イミダゾキノリンは、免疫応答変更因子として作用する薬剤であるレシキモド(R848)である(Tomai MA, Miller RL, Lipson KE, Kieper WC, Zarraga IE, Vasilakos JP (October 2007)."Resiquimod and other immune response modifiers as vaccine adjuvants".Expert Review of Vaccines 6 (5): 835-47.)。特定の実施形態において、TLR7/8アゴニストはCL075である。
例えば、特定の実施形態において、TLR7/8アゴニストは、式(I)の以下の構造の化合物
または薬剤的に許容できるその塩であり、式中、
R
11は、水素およびC
1~6アルキルからなる群から選択され、ここで、C
1~6アルキルは、ハロ、ヒドロキシル、およびC
1~6アルコキシからなる群から選択される1以上の基で置換されていてもよく、
R
12は、水素およびカルボキシルエステルからなる群から選択され、
R
13は、水素およびC
1~6アルキルからなる群から選択され、ここで、C
1~6アルキルは、ハロ、ヒドロキシル、およびC
1~6アルコキシからなる群から選択される1以上の基で置換されていてもよい。
式(I)のいくつかの実施形態において、R11は水素である。いくつかの実施形態において、R11はC1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、R11は、メチル、エチル、n-プロピル、またはn-ブチルである。いくつかの実施形態において、R11はn-ブチルである。いくつかの実施形態において、R11は、C1~6アルコキシで置換されているC1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、R11は、-CH2-O-CH2-CH3である。
式(I)のいくつかの実施形態において、R12は水素である。いくつかの実施形態において、R12はカルボキシルエステルである。いくつかの実施形態において、R12は-C(O)O-C1~4アルキルである。いくつかの実施形態において、R12は-C(O)O-CH3である。
式(I)のいくつかの実施形態において、R13はC1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、R13はC2~4アルキルである。いくつかの実施形態において、R13は、-CH2-CH(CH3)2である。
いくつかの実施形態において、R13は、ハロ、ヒドロキシル、またはC1~6アルコキシで置換されているC1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、R13は、ヒドロキシルで置換されているC1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、R13は、ヒドロキシルで置換されているC2~4アルキルである。いくつかの実施形態において、R13は、-CH2-C(CH3)2OHである。
特定の実施形態において、TLR7/8アゴニストは、式(II)の以下の構造の化合物
または薬剤的に許容できるその塩であり、式中、
R
11は、水素およびC
1~6アルキルからなる群から選択され、ここで、C
1~6アルキルは、ハロ、ヒドロキシル、およびC
1~6アルコキシからなる群から選択される1以上の基で置換されていてもよく、
R
12は、水素およびカルボキシルエステルからなる群から選択され、
R
13aは、水素およびヒドロキシルからなる群から選択される。
式(II)のいくつかの実施形態において、R11は水素である。いくつかの実施形態において、R11は、C1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、R11は、メチル、エチル、n-プロピル、またはn-ブチルである。いくつかの実施形態において、R11はn-ブチルである。いくつかの実施形態において、R11は、C1~6アルコキシで置換されているC1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、R11は-CH2-O-CH2-CH3である。
式(II)のいくつかの実施形態において、R12は水素である。いくつかの実施形態において、R12はカルボキシルエステルである。いくつかの実施形態において、R12は-C(O)O-C1~4アルキルである。いくつかの実施形態において、R12は-C(O)O-CH3である。
式(II)のいくつかの実施形態において、R13aはヒドロキシルである。いくつかの実施形態において、R13aは水素である。
特定の実施形態において、TLR7/8アゴニストは、式(III)の以下の構造の化合物
または薬剤的に許容できるその塩であり、式中、
R
11は、水素およびC
1~6アルキルからなる群から選択され、ここで、C
1~6アルキルは、ハロ、ヒドロキシル、およびC
1~6アルコキシからなる群から選択される1以上の基で置換されていてもよく、
R
12は、水素およびカルボキシルエステルからなる群から選択され、
R
13bは、ハロ、ヒドロキシル、C
1~6アルコキシ、およびアシルアミノからなる群から選択される1以上の基で置換されていてもよいC
1~6アルキルである。
式(III)のいくつかの実施形態において、R11は水素である。いくつかの実施形態において、R11はC1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、R11は、メチル、エチル、n-プロピル、またはn-ブチルである。いくつかの実施形態において、R11はn-ブチルである。いくつかの実施形態において、R11は、C1~6アルコキシで置換されているC1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、R11は、-CH2-O-CH2-CH3である。
式(III)のいくつかの実施形態において、R12は水素である。いくつかの実施形態において、R12はカルボキシルエステルである。いくつかの実施形態において、R12は-C(O)O-C1~4アルキルである。いくつかの実施形態において、R12は-C(O)O-CH3である。
式(III)のいくつかの実施形態において、R13bは、アシルアミノで置換されているC2~4アルキルである。いくつかの実施形態において、R13bは-(CH2)4-アシルアミノである。いくつかの実施形態において、R13bは-(CH2)4-NH-C(O)-C1~25アルキルである。いくつかの実施形態において、R13bは-(CH2)4-NH-C(O)-C15~25アルキルである。いくつかの実施形態において、R13bは-(CH2)4-NH-C(O)-C15~20アルキルである。いくつかの実施形態において、R13bは-(CH2)4-NH-C(O)-C17アルキルである。
特定の実施形態において、TLR7/8アゴニストは、式(IV)の以下の構造の化合物
または薬剤的に許容できるその塩であり、式中、
R
10は、水素およびC
1~6アルキルからなる群から選択され、
R
11bは、ハロ、ヒドロキシル、C
1~6アルコキシ、およびアシルアミノからなる群から選択される1以上の基で置換されていてもよいC
1~6アルキルである。
式(IV)のいくつかの実施形態において、R10は水素である。いくつかの実施形態において、R10はC1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、R10は、メチル、エチル、n-プロピル、またはn-ブチルである。いくつかの実施形態において、R10はn-ブチルである。
式(IV)のいくつかの実施形態において、R11bは、アシルアミノで置換されているC2~4アルキルである。いくつかの実施形態において、R11bは-(CH2)4-アシルアミノである。いくつかの実施形態において、R11bは-(CH2)4-NH-C(O)-C1~25アルキルである。いくつかの実施形態において、R11bは-(CH2)4-NH-C(O)-C15~25アルキルである。いくつかの実施形態において、R11bは-(CH2)4-NH-C(O)-C15~20アルキルである。いくつかの実施形態において、R11bは-(CH2)4-NH-C(O)-C17アルキルである。
特定の実施形態において、TLR7/8アゴニストは、以下の構造のいずれかの化合物またはその薬剤的に許容できる塩である。
特定の実施形態において、TLR7/8アゴニストは、以下の構造の化合物またはその薬剤的に許容できる塩である。
特定の例示的な実施形態において、本明細書の組成物に使用されるTLR7/8アゴニストは、N-(4-{[4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]オキシ}ブチル)オクタデカンアミド)、米国特許第9,242,980号に記載されている3M-052を含んでなる。
TLR4アゴニスト
本明細書に記載の組成物に使用することができるTLR4アゴニストが、本明細書において提供される。特定の実施形態において、本明細書の組成物に使用されるTLR4アゴニストは、グルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)、例えば、その内容が参照によりその全体で本明細書に援用される、米国特許出願公開第US2007/021017号、第US2009/045033号、第US2010/037466号、および第US2010/0310602号に記載されているものを含んでなる。
例えば、特定の実施形態において、TLR4アゴニストは、式(V)の以下の構造を有する合成GLAアジュバント
または薬剤的に許容できるその塩であり、式中、
L
1、L
2、L
3、L
4、L
5、およびL
6は、同じかまたは異なり、独立して、-O-、-NH-、または-(CH
2)-であり、
L
7、L
8、L
9、およびL
10は、同じかまたは異なり、独立して、存在しないか、または-C(=O)-であり、
Y
1は酸官能基であり、
Y
2およびY
3は、同じかまたは異なり、独立して、-OH、-SH、または酸官能基であり、
Y
4は、-OHまたは-SHであり、
R
1、R
3、R
5、およびR
6は、同じかまたは異なり、独立して、C
8~13アルキルであり、
R
2およびR
4は、同じかまたは異なり、独立して、C
6~11アルキルである。
合成GLA構造のいくつかの実施形態において、R1、R3、R5、およびR6は、C10アルキルであり、R2およびR4はC8アルキルである。特定の実施形態において、R1、R3、R5、およびR6は、C11アルキルであり、R2およびR4はC9アルキルである。
例えば、特定の実施形態において、TLR4アゴニストは、式(VI)の以下の構造を有する合成GLAアジュバントである。
特定の実施形態において、R1、R3、R5、およびR6は、C11~C20アルキルであり、R2およびR4はC12~C20アルキルである。
別の特定の実施形態において、GLAは、R1、R3、R5、およびR6がC11アルキルであり、R2およびR4がC13アルキルである上記の式を有する。
別の特定の実施形態において、GLAは、R1、R3、R5、およびR6がC10アルキルであり、R2およびR4がC8アルキルである上記の式を有する。
別の特定の実施形態において、GLAは、R1、R3、R5、およびR6がC11~C20アルキルであり、R2およびR4がC9~C20アルキルである上記の式を有する。特定の実施形態において、R1、R3、R5、およびR6は、C11アルキルであり、R2およびR4はC9アルキルである。
特定の実施形態において、TLR4アゴニストは、式(VII)の以下の構造を有する合成GLAアジュバントである。
上記GLA構造の特定の実施形態において、R1、R3、R5、およびR6は、C11~C20アルキルであり、R2およびR4はC9~C20アルキルである。特定の実施形態において、R1、R3、R5、およびR6は、C11アルキルであり、R2およびR4はC9アルキルである。
特定の実施形態において、TLR4アゴニストは、式(VIII)の以下の構造を有する合成GLAアジュバントである。
上記GLA構造の特定の実施形態において、R1、R3、R5、およびR6は、C11~C20アルキルであり、R2およびR4はC9~C20アルキルである。特定の実施形態において、R1、R3、R5、およびR6は、C11アルキルであり、R2およびR4はC9アルキルである。
特定の実施形態において、TLR4アゴニストは、式(IX)の以下の構造を有する合成GLAアジュバントである。
上記GLA構造の特定の実施形態において、R1、R3、R5、およびR6は、C11~C20アルキルであり、R2およびR4はC9~C20アルキルである。特定の実施形態において、R1、R3、R5、およびR6は、C11アルキルであり、R2およびR4はC9アルキルである。
特定の実施形態において、TLR4アゴニストは、以下の構造を有する合成GLAアジュバントである。
特定の実施形態において、TLR4アゴニストは、以下の構造を有する合成GLAアジュバントである。
特定の実施形態において、TLR4アゴニストは、以下の構造を有する合成GLAアジュバントである。
別の実施形態において、弱毒化リピドA誘導体(ALD)は、本明細書に記載の組成物に組み込まれる。ALDは、分子がより少ない、または異なるリピドAの副作用を呈するように変更または構築されているリピドA様分子である。これらの副作用には、発熱原性、局所シュワルツマン反応性、およびニワトリ胚50%致死量アッセイ(CELD50)で評価される毒性が含まれる。本開示に係る有用なALDには、モノホスホリルリピドA(MPL)および3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)が含まれる。MPLおよび3D-MPLは公知であり、本明細書で詳細に説明する必要はない。例えば、モノホスホリルリピドAおよびその製造を開示している米国特許第4,436,727号を参照されたい。米国特許第4,912,094号および再審査証明書B1米国特許第4,912,094号は、3-脱アシル化モノホスホリルリピドAおよびその製造方法を具体化している。また、例えば、GB2220211およびWO92/116556を参照されたい。3デ-O-アシル化モノホスホリルリピドAは、GB2220211(Ribi)から公知である。これは、化学的には、3デ-O-アシル化モノホスホリルリピドAと4、5、または6アシル化鎖との混合物であり、Ribi Immunochem Montanaによって製造されている。3デ-O-アシル化モノホスホリルリピドAのある種の形態が国際特許出願WO92/116556に開示されている。MPLおよび3D-MPLに関するこれらの特許のそれぞれの開示は、参照により本明細書に援用される。
上記のTLR4アゴニスト化合物において、全電荷は分子中の官能基に従って決定することができる。例えば、リン酸基は、リン酸基のイオン化状態に応じて、負に帯電していること、または中性であることができる。
例示的なTLRアゴニスト実施形態
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストは、PEG化リポソームの脂質二重層と会合する。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストは、PEG化リポソームに封入される。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストは、非PEG化リポソームの構造を破壊するものである。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストは疎水性尾部を含んでなる。いくつかの実施形態において、TLRアゴニストの疎水性尾部は、PEG化リポソームの脂質二重層と会合する。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストは、TLR4、SLA、GLA、MPL,3D-MPL、R848、R837、またはそれらの組み合わせを含んでなる。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストはTLR4アゴニストを含んでなる。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストはTLR7/8アゴニストを含んでなる。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストはTLR7アゴニストを含んでなる。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストはTLR8アゴニストを含んでなる。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストはイミダゾキノリンを含んでなる。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストは3M-052を含んでなる。
いくつかの実施形態において、TLRアゴニストは、TLR4アゴニストおよびTLR7/8アゴニストの組み合わせを含んでなる。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、3M-052およびGLAを含んでなる。
E.薬剤
本明細書において提供されるPEG化リポソームは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、抗原、アジュバント、診断薬、治療薬、生物、ゲノム、またはウイルスであることができる、1種以上の薬剤をさらに含んでなり得る。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、2種以上の薬剤を含んでなる。
いくつかの実施形態において、薬剤は、PEG化リポソームと会合する。いくつかの実施形態において、薬剤は、リガンド交換によって、および/または静電的(電荷に基づく)相互作用によってPEG化リポソームと会合する。
特定の実施形態では、薬剤は、PEG化リポソームの約0.01~1重量%であり得る。
ポリペプチド
いくつかの実施形態において、薬剤はポリペプチドである。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは全長タンパク質またはその断片である。いくつかの実施形態において、ポリペプチドはペプチドである。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは融合タンパク質である。いくつかの特定の実施形態において、融合タンパク質は、個体への投与の際に免疫応答を誘発することができる。いくつかの実施形態において、以下にさらに説明するように、ポリペプチドは抗原である。
抗原
一実施形態において、薬剤は抗原を含んでなる。
いくつかの実施形態において、ポリペプチド抗原は、アレルギー、癌、または感染症に関与するか、または由来する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、ワクチン接種用途に有用であり、ワクチン製剤(ワクチン組成物)として提供される。
抗原は、対象において免疫反応の誘発または増強が望まれる、標的エピトープ、(生体分子を含む)分子、(生体分子を含む分子複合体を含む)分子複合体、細胞内集合体、細胞、または組織であり得る。しばしば、抗原という用語は、目的のポリペプチド抗原を指す。しかしながら、本明細書中で使用される場合、抗原は、目的のポリペプチド抗原をコードする組み換えコンストラクト(例えば、発現コンストラクト)を指す場合もある。特定の実施形態において、抗原は、感染症、癌、自己免疫疾患、アレルギー、喘息、または抗原特異的免疫応答の刺激が望ましいか、または有益である他の状態に関連する感染性病原体および/もしくはエピトープ、生体分子、細胞、または組織であり得るか、またはこれらに由来し得るか、またはこれらと免疫学的に交差反応性であり得る。
特定の実施形態は、細菌、ウイルス、または真菌などの1以上の感染性病原体、例えば、結核菌もしくは癩菌もしくは別のマイコバクテリアなどのアクチノバクテリア;サルモネラ属、ナイセリア属、ボレリア属、クラミジア属、もしくはボルデテラ属のメンバーなどの細菌;単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、肝炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、およびサイトメガロウイルスなどのウイルス;HIV-1もしくはHIV-2などのHIV;アスペルギルス、ブラストミセス、コクシジオイデス、およびニューモシスチスなどの真菌もしくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. lusitaniae、C. tropicalis、およびC. parapsilosisなどのカンジダ種を含む酵母;原生動物などの寄生生物、例えばP. falciparum、P. vivax、P. malariae、およびP. ovaleを含むプラスモディウム種;または別の寄生生物、例えばアカントアメーバ、赤痢アメーバ、住血線虫、マンソン住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫、日本住血吸虫、クリプトスポリジウム、鉤虫、赤痢アメーバ、大腸アメーバ、エントアメーバ・ディスパー、ハルトマンアメーバ、ポレックアメーバ、バンクロフト糸状虫、ジアルジア、およびリーシュマニアのうちの1以上、に由来する抗原を企図する。特定の実施形態において、抗原は、結核、インフルエンザ、アメーバ症、HIV、肝炎、またはリーシュマニア症に関与する抗原由来であり得るか、またはこれらに関連し得る。
いくつかの実施形態において、抗原はアメーバ症関連抗原である。いくつかの実施形態において、抗原はアメーバ症原因抗原である。いくつかの実施形態において、抗原はアメーバ症原因生物由来である。いくつかの実施形態において、抗原は赤痢アメーバ由来である。一実施形態において、抗原はLecAを含んでなる。一実施形態において、抗原はLecAである。
いくつかの実施形態において、抗原はインフルエンザ関連抗原である。いくつかの実施形態において、抗原はインフルエンザ原因抗原である。いくつかの実施形態において、抗原はインフルエンザ原因ウイルス由来である。一実施形態において、抗原はH5N1を含んでなる。一実施形態において、抗原はH5N1を含んでなる。
例えば、特定の実施形態において、抗原は、ボレリア属種由来であり、抗原は、核酸、病原体由来抗原または抗原調製物、組み換え産生されたタンパク質またはペプチド、およびキメラ融合タンパク質を含み得る。一つのこのような抗原はOspAである。OspAは、宿主細胞におけるその生合成のために脂質化形態の完全成熟タンパク質(Lipo-OspA)であり得るか、あるいは非脂質化誘導体であり得る。このような非脂質化誘導体には、インフルエンザウイルスの非構造タンパク質(NS1)の最初の81個のN末端アミノ酸を有する非脂質化NS1-OspA融合タンパク質、および完全なOspAタンパク質、ならびに3つのさらなるN末端アミノ酸を有するOspAの非脂質化形態である別のMDP-OspAが含まれる。
特定の実施形態において、抗原は、ウイルス、例えば、HIV-1(例えば、tat、nef、gp120、もしくはgp160)、ヒトヘルペスウイルス、例えば、gDもしくはその誘導体、もしくは最初期タンパク質、例えば、HSV1もしくはHSV2由来のICP27、サイトメガロウイルス(((特にヒト)(例えば、gBもしくはその誘導体)、ロタウイルス(弱毒生ウイルスを含む)、エプスタイン・バーウイルス(例えば、gp350もしくはその誘導体)、水痘帯状疱疹ウイルス(例えば、gpl、II、およびIE63)、または肝炎ウイルス、例えば、B型肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎表面抗原もしくはその誘導体)、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびE型肝炎ウイルス、または他のウイルス病原体、例えばパラミクソウイルス:呼吸器合胞体ウイルス(例えば、FおよびGタンパク質もしくはそれらの誘導体)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス(例えば、HPV6,11,16,18など)、フラビウイルス(例えば、黄熱病ウイルス、デングウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)、またはインフルエンザウイルス(卵もしくはMDCK細胞中で増殖させた全生もしくは不活性化ウイルス、スプリットインフルエンザウイルス、もしくは(Gluck, Vaccine, 1992, 10, 915-920に記載の)全インフルエンザビロソーム、もしくはそれらの精製もしくは組み換えタンパク質、例えばHA、NP、NA、もしくはMタンパク質、もしくはそれらの組み合わせ)由来である。
特定の他の実施形態において、抗原は、1以上の細菌性病原体、例えば、淋菌ならびに髄膜炎菌(例えば、莢膜多糖およびそのコンジュゲート、トランスフェリン結合タンパク質、ラクトフェリン結合タンパク質、PilC、アドヘシン)を含むナイセリア属種;化膿レンサ球菌(例えば、Mタンパク質もしくはその断片、C5Aプロテアーゼ、リポテイコ酸)、B群溶血性レンサ球菌(S. agalactiae)、ミュータンス菌:軟性下疳菌;カタル球菌(Branhamella catarrhalis)としても知られているモラクセラ・カタラーリス(M. catarrhalis)を含むモラクセラ属種(Moraxella spp)(例えば、高分子量および低分子量アドヘシンおよびインベジン);百日咳菌(例えば、ペルタクチン、百日咳毒素もしくはその誘導体、繊維状赤血球凝集素、アデニル酸シクラーゼ、フィムブリエ)、パラ百日咳菌、および気管支敗血症菌を含むボルデテラ属種;結核菌(例えば、ESAT6、抗原85A、-B、もしくは-C)、ウシ型結核菌(M. bovis)、癩菌、M.アビウム(M. avium)、ヨーネ菌(M. paratuberculosis)、M.スメグマチス(M. smegmatis)を含むマイコバクテリウム属種;在郷軍人病菌を含むレジオネラ属種;腸内毒素性(enterotoxic)大腸菌(例えば、定着因子、易熱性毒素もしくはその誘導体、耐熱性毒素もしくはその誘導体)、腸管出血性大腸菌、腸内病原性大腸菌(例えば、志賀毒素様毒素もしくはその誘導体)を含むエシェリキア属種;コレラ菌(例えば、コレラ毒素もしくはその誘導体)を含むビブリオ属種;赤痢菌、志賀赤痢菌、S.フレックスネリ(S. flexnerii)を含むシゲラ属種;エンテロコリチカ菌(Y. enterocolitica)(例えば、Yopタンパク質)、ペスト菌、偽結核菌を含むエルシニア属種;ジェジュニ菌(C. jejuni)(例えば、毒素、アドヘシン、およびインベジン)ならびにC.コリ(C. coli)を含むカンピロバクター属種;チフス菌、パラチフス菌、S.コレレスイス(S. choleraesuis)、S.エンテリティディス(S. enteritidis)を含むサルモネラ属種; L.モノサイトジェネス(L. monocytogenes)を含むリステリア属種;ピロリ菌(例えば、ウレアーゼ、カタラーゼ、空胞化毒素)を含むヘリコバクター属種;緑膿菌を含むシュードモナス属種; 黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌を含むスタフィロコッカス属種;フェカリス菌(E. faecalis)、フェシウム菌(E. faecium)を含むエンテロコッカス属種;破傷風菌(例えば、破傷風毒素およびその誘導体)、ボツリヌス菌(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)、ディフィシル菌(C. difficile)(例えば、クロストリジウム毒素AもしくはBおよびその誘導体)を含むクロストリジウム属種;炭疽菌(例えばボツリヌス毒素およびその誘導体)を含むバチルス属種;ジフテリア菌(例えば、ジフテリア毒素およびその誘導体)を含むコリネバクテリウム属種;ライム病ボレリア(B. Burgdorferi)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.ガリニ( B. garinii)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.アフゼリ(B. Afzelii )(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.アンダーソニー(B. Andersonii)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、B.ヘルムスイ(B. hermsii)を含むボレリア属種;E.equiおよびヒト顆粒球エーリキア症の薬剤を含むエーリキア属種;リケッチア(R. Rickettsii)を含むリケッチア属種; C.トラコマチス(C. trachomatis)(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、肺炎球菌(例えば、MOMP、ヘパリン結合タンパク質)、オウム病クラミジアを含むクラミジア属種;L.インターロガンス(L. interrogans)を含むレプトスピラ属種; 梅毒トレポネマ(例えば、希少な外膜タンパク質)、T.デンティコラ(T. denticola)、T.ヒオディセンテリエ(T.hyodysenteriae)を含むトレポネマ属種;または他の細菌性病原体由来である。
特定の他の実施形態において、抗原は、1以上の寄生生物(例えば、John, D.T. and Petri, W.A., Markell and Voge’s Medical Parasitology-9th Ed., 2006, WB Saunders, Philadelphia; Bowman, D.D., Georgis’ Parasitology for Veterinarians-8th Ed., 2002, WB Saunders, Philadelphia参照)、例えば、熱帯熱原虫を含むプラスモディウム属種;T.ゴンディ(T. gondii)(例えば、SAG2、SAG3、Tg34)を含むトキソプラズマ属種;赤痢アメーバを含むエントアメーバ属種; B.マイクロッティ(B. microti)を含むバベシア属種;クルーズトリパノソーマを含むトリパノソーマ属種;ランブル鞭毛虫を含むジアルジア属種;L.マニア( L. major)を含むリーシュマニア属種;P.カリニ(P. carinii)を含むニューモシスチス属種;腟トリコモナスを含むトリコモナス属種;または哺乳類に感染することができる蠕虫、例えば:(i)線虫感染症(例えば、限定はされないが、蟯虫、回虫、鞭虫、アメリカ鉤虫、ズビニ鉤虫、バンクロフト糸状虫、マレー糸状虫、回旋糸状虫、メジナ虫、旋毛虫、および糞線虫);(ii)吸虫感染症(例えば、限定はされないが、マンソン住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫、日本住血吸虫、メコン住血吸虫、肝吸虫、肺吸虫属、肝蛭、巨大肝吸虫(Fasciola magna)、 巨大肝蛭(Fasciola gigantica));ならびに(iii)条虫感染症(例えば、限定はされないが、無鉤条虫および有鉤条虫)由来である。特定の実施形態において、抗原は、住血吸虫属種、マンソン住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫、および/もしくは日本住血吸虫由来であるか、または酵母、例えば、カンジダ属種、例えば、C. albicans;クリプトコッカス属種、例えば、C.ネオフォルマンス(C. neoformans)由来である。
他の特異的抗原は、結核菌、例えばTh Ra12、Tb H9、Tb Ra35、Tb38-1、Erd 14、DPV、MTI、MSL、mTTC2、およびhTCC1(WO 99/51748)由来である。結核菌のタンパク質には、2、3、もしくは4以上またはそれ以上の結核菌のポリペプチドが融合してより大きなタンパク質になっている融合タンパク質およびその変異体も含まれる。特定の融合体には、Ra12-TbH9-Ra35、Erd14-DPV-MTI、DPV-MTI-MSL、Erd14DPV-MTI-MSL-mTCC2、Erd14-DPV-MTI-MSL、DPV-MTI-MSL-mTCC2、TbH9-DPV-MTIが含まれる(WO 99151748)。使用され得る他の抗原には、抗原、抗原の組合せ、ならびにUS 2010/0129391およびWO 2008/124647に記載の融合タンパク質が含まれる。一つの例示的な実施形態において、融合タンパク質はID93である。一つの例示的な実施形態において、融合タンパク質はID91である。
他の特異的抗原はクラミジア由来であり、例えば、高分子量タンパク質(HWMP)(WO 99/17741)、ORF3(EP 366412)、および推定膜タンパク質(Pmp)が含まれる。他のクラミジア抗原は、WO 99128475に記載されている群から選択することができる。特定の抗原は、ストレプトコッカス属種、例えば肺炎球菌(例えば、莢膜多糖およびそのコンジュゲート、PsaA、PspA、ストレプトリシン、コリン結合タンパク質)およびタンパク質抗原ニューモリシン(Biochem Biophys Acta, 1989, 67, 1007; Rubins et al., Microbial Pathogenesis, 25, 337-342)、ならびにそれらの変異解毒誘導体(WO 90/06951;WO 99/03884)由来であり得る。他の細菌ワクチンは、インフルエンザ菌タイプB(例えばPRPおよびそのコンジュゲート)、分類不能型インフルエンザ菌、例えばOMP26、高分子量アドヘシン、P5、P6、タンパク質Dおよびリポタンパク質D、ならびにフィンブリンおよびフィンブリン由来ペプチド(米国特許第5,843,464号)、またはそれらの複数コピー変異型もしくは融合タンパク質を含むヘモフィルス属種由来の抗原を含んでなる。
他の特異的抗原は、B型肝炎由来で生じる。B型肝炎表面抗原の誘導体は、当該分野で周知であり、とりわけ、欧州特許出願EP-A414374;EP-A-0304578、およびEP 198474に記載されているPreS1、Pars2S抗原の誘導体が含まれる。一態様において、抗原は、特にCHO細胞で発現される場合、HIV-1 gp120である。他の実施形態において、抗原はgD2tである。
他の実施形態において、抗原は、性器疣贅の原因と考えられるヒトパピローマウイルス(HPV)(HPV6またはHPV11など)、および子宮頸癌の原因となるHPVウイルス(HPV16、HPV18など)に由来する。特定の抗原には、L1粒子またはカプソメア、ならびにHPV6およびHPV11タンパク質E6、E7、L1、およびL2から選択される1以上の抗原を含んでなる融合タンパク質が含まれる。融合タンパク質のある種の形態には、WO 96/26277に開示されているL2E7、およびGB 9717953.5(PCT/EP98/05285)に開示されているタンパク質D(1/3)-E7が含まれる。さらなる可能な抗原には、HPV 16または18抗原が含まれる。例えば、L1もしくはL2抗原モノマー、またはウイルス様粒子(VLP)として一緒に提示されるL1もしくはL2抗原、もしくはVLPもしくはカプソメア構造で単独で提示されるL1単独タンパク質である。このような抗原、ウイルス様粒子、およびカプソメアは、それ自体公知である。例えば、WO94/00152、WO94/20137、WO94/05792、およびWO93/02184を参照されたい。
他の実施形態において、抗原は融合タンパク質である。融合タンパク質は、単独で、または例えばE7、E2、もしくはF5などの融合タンパク質として含まれていてもよく、特定の実施形態は、L1E7融合タンパク質を含んでなるVLPを含む(WO 96/11272)。特定のHPV16抗原は、HPV16由来のタンパク質D-E6もしくはE7融合体を形成するためのタンパク質D担体と融合した初期タンパク質E6もしくはF7、もしくはそれらの組み合わせ、またはE6もしくはE7とL2との組み合わせを含んでなる(WO 96/26277)。あるいは、HPV16または18初期タンパク質E6およびE7は、単一の分子、例えば、タンパク質D-E6/E7融合体で提示され得る。組成物は、例えばタンパク質D-E6もしくはタンパク質D-E7融合タンパク質またはタンパク質D E6/E7融合タンパク質の形態の、初期HPV18のE6およびE7タンパク質のいずれかまたは両方を、必要に応じて含み得る。組成物は、他のHPV株由来の抗原、例えばHPV31または33株由来の抗原をさらに含んでなり得る。
抗原はまた、マラリアを引き起こす寄生生物に由来し得る。例えば、熱帯熱原虫由来の抗原には、RTS,S、およびTRAPが含まれる。RTSは、B型肝炎ウイルスの表面抗原のpreS2部分の4つのアミノ酸を介してB型肝炎ウイルスの表面(S)抗原に連結された熱帯熱原虫のスポロゾイト周囲(CS)タンパク質の実質的に全てのC末端部分を含んでなるハイブリッドタンパク質である。その完全な構造は、英国特許出願第9124390.7号からの優先権を主張するWO 93/10152として公開された国際特許出願第PCT/EP92/02591号に開示されている。酵母で発現されると、RTSはリポタンパク質粒子として産生され、HBV由来のS抗原と同時発現されると、RTS,Sとして知られる混合粒子を産生する。
TRAP抗原は、WO 90/01496として公開された国際特許出願第PCT/GB89/00895号に記載されている。本発明の実施形態は、抗原調製物がRTS,SおよびTRAP抗原の組み合わせを含んでなるマラリアワクチンである。多段階マラリアワクチンの成分の有力候補である他のプラスモディウム抗原は、熱帯熱原虫MSP1、AMA1、MSP3、EBA、GLURP、RAP1、RAP2、Sequestrin、PfEMP1、Pf332、LSA1、LSA3、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27125、Pfs16、Pfs48/45、Pfs230、およびプラスモディウム属種のそれらの類似体である。
一実施形態において、抗原は、癌の免疫療法に有用であり得るように、癌細胞に由来する。例えば、抗原は、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、腎臓癌、または黒色腫癌などの腫瘍拒絶抗原であり得る。例示的な癌または癌細胞由来抗原には、MAGE1、3、およびMAGE4、またはWO99/40188に開示されているものなどの他のMAGE抗原、PRAME、BAGE、(NY Eos 1としても知られている)Lage、SAGE、およびHAGE(WO99/53061)、またはGAGE(Robbins and Kawakami, 1996 Current Opinions in Immunology 8, pps 628-636; Van den Eynde et al., International Journal of Clinical & Laboratory Research (1997 & 1998); Correale et al.(1997), Journal of the National Cancer Institute 89, p.293)が含まれる。癌抗原のこれらの非限定的な例は、黒色腫、肺癌、肉腫、および膀胱癌などの広範囲の腫瘍型で発現される。例えば、米国特許第6,544,518号を参照されたい。
他の腫瘍特異的抗原には、GM2およびGM3などの腫瘍特異的もしくは腫瘍関連ガングリオシドもしくはキャリアタンパク質とのそれらのコンジュゲート;または、多くの癌の治療に有用な、短い10アミノ酸長のペプチドである、全長ゴナドトロピンホルモン放出ホルモン(GnRH、WO 95/20600)などの自己ペプチドホルモンが含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態において、前立腺抗原、例えば、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、PSCA(例えば、 Proc.Nat. Acad.Sci.USA 95(4) 1735-17401998)、PSMA、または一実施形態においてはプロステート(Prostase)として知られる抗原(例えば、Nelson, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA (1999) 96: 3114-3119; Ferguson, et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1999.96, 3114-3119;WO 98/12302;米国特許第5,955,306号;WO 98/20117;米国特許第5,840,871号および第5,786,148号;WO 00/04149)を使用する。他の前立腺特異的抗原は、WO 98/137418およびWO/004149から公知である。もう一つはSTEAP(PNAS 96 14523 14528 7-12 1999)である。
本発明において有用な他の腫瘍関連抗原には、Plu-1(J Biol.Chem 274 (22) 15633-15645, 1999)、HASH-1、HasH-2、Cripto(Salomon et al Bioessays 199, 21:61-70、米国特許第5,654,140号)、およびCriptin(米国特許第5,981,215号)が含まれる。さらに、癌の治療におけるワクチンに特に適している抗原は、チロシナーゼおよびサバイビンも含んでなる。
他の実施形態において、本発明の組成物に使用される薬剤には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの状態の予防および治療のための、細菌感染(例えば、肺炎球菌)によって引き起こされるかまたは増悪する疾患などの呼吸器疾患に関連する抗原が含まれる。COPDは、慢性気管支炎および/または肺気腫を有する患者における不可逆的またはある程度可逆的な気道閉塞の存在によって生理学的に定義される(Am J Respir Crit Care Med.1995 Nov;152(5 Pt 2):S77-121)。COPDの増悪は、しばしば、細菌(例えば、肺炎球菌)感染によって引き起こされる(Clin Microbiol Rev.2001 Apr;14(2):336-63)。
ポリヌクレオチド
いくつかの実施形態において、薬剤はポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチドには、DNA、RNA、アプタマー、およびオリゴヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはDNAである。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはRNAである。いくつかの実施形態において、DNAまたはRNAは、一本鎖または二本鎖である。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは非コードRNAである。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはコードRNAである。いくつかの実施形態において、RNAは、レプリコンRNA、mRNA、tRNA、siRNA、shRNA、およびマイクロRNAからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、抗原であるか、または抗原を含んでなるポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドは、融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドは、LecAである。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドは、H5N1である。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドは、ID93である。
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはレプリコンである。いくつかの実施形態において、レプリコンは、主にそれ自身の制御下で複製することができるプラスミド、コスミド、バクミド、ファージ、またはウイルスである。いくつかの実施形態において、レプリコンはRNAまたはDNAである。いくつかの実施形態において、レプリコンは、一本鎖または二本鎖である。いくつかの実施形態において、レプリコンはRNAウイルスに由来する。
アジュバント
いくつかの実施形態において、本明細書において提供されるPEG化リポソームは、アジュバントをさらに含んでなるか、またはコアジュバント(co-adjuvant)と同時投与され得る。いくつかの実施形態において、アジュバントは、レチノイン酸(RA)、AS-2、モノホスホリルリピドA、3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピドA、IFA、QS21、CWS、TOM、AGP、CpG含有オリゴヌクレオチド、トール様受容体(TLR)アゴニスト、Leif、サポニン、サポニン模倣物、生物由来および合成のリピドA、イミキモド、ガーディキモド、レシキモド、ポリI:C、フラジェリン、GLA、SLA、Stingin、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
生物
いくつかの実施形態において、本明細書において提供されるPEG化リポソームは生物を含んでなる。例えば、赤痢アメーバ、インフルエンザ原因ウイルス、または結核(TB)を引き起こす結核菌である。現在、生きた細菌によるワクチン接種は、結核に対する防御免疫を誘発するための最も効率的な方法である。この目的のために使用される最も一般的なマイコバクテリウムは、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)の非病原性株であるカルメット・ゲラン杆菌(BCG)である。したがって、いくつかの実施形態において、組成物はPEG化リポソームおよびマイコバクテリウムを含んでなる。
いくつかの実施形態において、薬剤はウイルスまたはウイルスゲノムである。したがって、これらの実施形態において、PEG化リポソームは、ウイルスまたはウイルスゲノムを含んでなる。
F.例示的なPEG化リポソーム
特定の実施形態において、本発明のPEG化リポソーム中の非PEG化中性脂質:コレステロール:PEG化脂質の脂質モル比は、約9.8:5.7:0.8である。
特定の実施形態において、本発明のPEG化リポソーム中の非PEG化中性脂質:コレステロール:PEG化脂質の脂質モル比は、約18:5.5:3である。
特定の実施形態において、本発明のPEG化リポソーム中の非PEG化中性脂質DPPC:コレステロール:PEG化脂質DPPE-PEG750の脂質モル比は、約9.8:5.7:0.8である。
特定の実施形態において、本発明のPEG化リポソーム中の非PEG化中性脂質DPPC:コレステロール:PEG化脂質DPPE-PEG2000の脂質モル比は、約9.8:5.7:0.8である。
特定の実施形態において、本発明のPEG化リポソーム中の非PEG化中性脂質DPPC:コレステロール:PEG化脂質DPPE-PEG750の脂質モル比は、約18:5.5:3である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、LecA抗原、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、LecA抗原、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、H5N1抗原、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、H5N1抗原、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、ID93抗原、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、ID93抗原、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、ID91抗原、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、ID91抗原、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、3M-052、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、3M-052、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、3M-052およびGLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、ならびにPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、3M-052およびGLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、ならびにPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、LecA抗原、3M-052およびGLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、ならびにPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、LecA抗原、3M-052およびGLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、ならびにPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、H5N1抗原、3M-052およびGLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、ならびにPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、H5N1抗原、3M-052およびGLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、ならびにPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、結核関連抗原、HIV関連抗原、癌関連抗原、アメーバ症関連抗原、インフルエンザ関連抗原、または肝炎関連抗原、TLRアゴニスト、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、結核関連抗原、HIV関連抗原、癌関連抗原、アメーバ症関連抗原、インフルエンザ関連抗原、または肝炎関連抗原、TLRアゴニスト、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、結核関連抗原、HIV関連抗原、癌関連抗原、アメーバ症関連抗原、インフルエンザ関連抗原、または肝炎関連抗原、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、結核関連抗原、HIV関連抗原、癌関連抗原、アメーバ症関連抗原、インフルエンザ関連抗原、または肝炎関連抗原、GLA、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、結核関連抗原、HIV関連抗原、癌関連抗原、アメーバ症関連抗原、インフルエンザ関連抗原、または肝炎関連抗原、3M-052、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG2000である。
特定の実施形態において、PEG化リポソームは、結核関連抗原、HIV関連抗原、癌関連抗原、アメーバ症関連抗原、インフルエンザ関連抗原、または肝炎関連抗原、3M-052、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなり、PEG成分はPEG750である。
III.PEG化リポソームの生理化学的特性
A.サイズ
本明細書で提供されるように、PEG化リポソームのサイズは約1nm~450nmの範囲であり、PEG化ナノリポソームであると考えることができる。このようなナノリポソームは、製造に適しており、濾過滅菌可能である。さらに、生体内で、薬剤(例えば、抗原および/またはアジュバント)を含んでなるこのようなナノリポソームの送達は、典型的には、デポー効果の発生を示さないか、または低減する。さらに、薬剤(例えば、抗原および/またはアジュバント)を含んでなるこのようなナノリポソームの生体内送達は、流入領域リンパ節への送達を可能にし、抗原提示細胞への提示を可能にし、有効なTh1系免疫応答の発生を可能にする。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは、X線およびレーザー回折、動的光散乱(DLS)、CryoEM、またはMalvern Zetasizeを含むがこれらに限定されない、当該分野における公知の技術によって評価することができる。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズはZ平均直径を指す。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは約50nm~75nmの範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは約50nm~100nmの範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは約50nm~150nmの範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは約50nm~200nmの範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは約50nm~300nmの範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは約20nm~100nmの範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは約20nm~50nmの範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは約10nm~200nmの範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは約10nm~100nmの範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは約10nm~50nmの範囲である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは、約1nmである、約5nmである、約10nmである、約15nmである、約20nmである、約25nmである、約30nmである、約35nmである、約40nmである、約45nmである、約50nmである、約55nmである、約60nmである、約65nmである、約70nmである、約75nmである、約80nmである、約85nmである、約90nmである、約95nmである、約100nmである、約105nmである、約110nmである、約115nmである、約120nmである、約125nmである、約130nmである、約135nmである、約140nmである、約145nmである、約150nmである、約155nmである、約160nmである、約165nmである、約170nmである、約175nmである、約180nmである、約185nmである、約190nmである、約195nmである、または約200nmである。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズは、約1nm以下、約5nm以下、約10nm以下、約15nm以下、約20nm以下、約25nm以下、約30nm以下、約35nm以下、約40nm以下、約45nm以下、約50nm以下、約55nm以下、約60nm以下、約65nm以下、約70nm以下、約75nm以下、約80nm以下、約85nm以下、約90nm以下、約95nm以下、約100nm以下、約105nm以下、約110nm以下、約115nm以下、約120nm以下、約125nm以下、約130nm以下、約135nm以下、約140nm以下、約145nm以下、約150nm以下、約155nm以下、約160nm以下、約165nm以下、約170nm以下、約175nm以下、約180nm以下、約185nm以下、約190nm以下、約195nm以下、または約199nm以下である。
本明細書で提供されているように、好ましい実施形態では、PEG化リポソームは、少なくとも0.45ミクロンのフィルターを通して濾過することができる。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、0.45ミクロンより小さいフィルターを通して濾過することができる。例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、0.20または0.22ミクロンのフィルターを通して濾過することができる。
B.安定性
本明細書において提供されるPEG化リポソームは安定であり、使い易さ、製造性、輸送性、および保存を可能にする。本発明者らは、リポソームのPEG化がリポソームの安定性に寄与することを発見した。サイズを含むがこれに限定されないPEG化リポソームの生理化学的特性は、経時的に、様々な温度で、および様々な条件下で維持される。
いくつかの実施形態において、PEG化脂質の非存在下でのリポソームと比較した場合、PEG化リポソームは凝集の減少を示すか、または全く凝集を示さない。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームまたはPEG化リポソームからなる組成物は、凝集しないか、ほとんどもしくは全く凝集を示さないか、凝集の減少を示すか、または初期サイズと比較して経時的に平均サイズの全体的な増加を示さない。
PEG化リポソームの安定性は、当業者に周知の技術によって測定することができる。いくつかの実施形態において、安定性を視覚的に観察する。目視検査は、粒子、凝結物、または凝集物の検査を含むことができる。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのサイズによって安定性を測定し、必要に応じて、経時的な、または様々な温度での、または特定の条件下でのサイズの変化として表す。いくつかの実施形態において、組成物中のPEG化リポソームの凝集%を評価することによって安定性を求める。いくつかの実施形態において、安定性を、特定のサイズのフィルター、例えば0.20、0.22、または0.45ミクロンのフィルターを通過するPEG化リポソームの能力によって評価する。いくつかの実施形態において、pHによって安定性を求める。いくつかの実施形態において、安定性を、例えば動的光散乱(DLS)技術を用いて、多分散指数(PdI)の測定によって求める。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームのZ平均直径は、アッセイされた期間にわたって50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、12%未満、10%未満、7%未満、5%未満、3%未満、1%未満増加する。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、0~8℃で安定である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、または8℃で、1分以上の間、5分以上の間、10分以上の間、15分以上の間、20分以上の間、25分以上の間、30分以上の間、35分以上の間、40分以上の間、45分以上の間、50分以上の間、55分以上の間、1時間以上の間、2時間以上の間、6時間以上の間、12時間以上の間、18時間以上の間、24時間以上の間、48時間以上の間、72時間以上の間、1週間以上の間、2週間以上の間、3週間以上の間、1ヶ月以上の間、2ヶ月以上の間、3ヶ月以上の間、4ヶ月以上の間、5ヶ月以上の間、6ヶ月以上の間、7ヶ月以上の間、8ヶ月以上の間、9ヶ月以上の間、10ヶ月以上の間、11ヶ月以上の間、1年以上の間、2年以上の間、または5年以上の間、安定である。一つの例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約2℃~約8℃の温度で1ヶ月以上の間安定である。別の例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約4℃~約8℃の温度で1ヶ月以上の間安定である。別の例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約4℃~約8℃の温度で6ヶ月以上の間安定である。別の例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約4℃~約8℃の温度で1年以上の間安定である。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、8~20℃で安定である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、8~20℃で、1分以上の間、5分以上の間、10分以上の間、15分以上の間、20分以上の間、25分以上の間、30分以上の間、35分以上の間、40分以上の間、45分以上の間、50分以上の間、55分以上の間、1時間以上の間、2時間以上の間、6時間以上の間、12時間以上の間、18時間以上の間、24時間以上の間、48時間以上の間、72時間以上の間、1週間以上の間、2週間以上の間、3週間以上の間、1ヶ月以上の間、2ヶ月以上の間、3ヶ月以上の間、4ヶ月以上の間、5ヶ月以上の間、6ヶ月以上の間、7ヶ月以上の間、8ヶ月以上の間、9ヶ月以上の間、10ヶ月以上の間、11ヶ月以上の間、1年以上の間、2年以上の間、または5年以上の間、安定である。一つの例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約8℃~約20℃の温度で1ヶ月以上の間安定である。別の例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約8℃~約20℃の温度で1ヶ月以上の間安定である。別の例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約8℃~約20℃の温度で6ヶ月以上の間安定である。別の例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約8℃~約20℃の温度で1年以上の間安定である。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、20~30℃で安定である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、25℃で、1分以上の間、5分以上の間、10分以上の間、15分以上の間、20分以上の間、25分以上の間、30分以上の間、35分以上の間、40分以上の間、45分以上の間、50分以上の間、55分以上の間、1時間以上の間、2時間以上の間、6時間以上の間、12時間以上の間、18時間以上の間、24時間以上の間、48時間以上の間、72時間以上の間、1週間以上の間、2週間以上の間、3週間以上の間、1ヶ月以上の間、2ヶ月以上の間、3ヶ月以上の間、4ヶ月以上の間、5ヶ月以上の間、6ヶ月以上の間、7ヶ月以上の間、8ヶ月以上の間、9ヶ月以上の間、10ヶ月以上の間、11ヶ月以上の間、1年以上の間、2年以上の間、または5年以上の間、安定である。一つの例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約25℃の温度で1ヶ月以上の間安定である。別の例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約25℃の温度で6ヶ月以上の間安定である。別の例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約25℃の温度で1年以上の間安定である。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、30~40℃で安定である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、または40℃で、1分以上の間、5分以上の間、10分以上の間、15分以上の間、20分以上の間、25分以上の間、30分以上の間、35分以上の間、40分以上の間、45分以上の間、50分以上の間、55分以上の間、1時間以上の間、2時間以上の間、6時間以上の間、12時間以上の間、18時間以上の間、24時間以上の間、48時間以上の間、72時間以上の間、1週間以上の間、2週間以上の間、3週間以上の間、1ヶ月以上の間、2ヶ月以上の間、3ヶ月以上の間、4ヶ月以上の間、5ヶ月以上の間、6ヶ月以上の間、7ヶ月以上の間、8ヶ月以上の間、9ヶ月以上の間、10ヶ月以上の間、11ヶ月以上の間、1年以上の間、2年以上の間、または5年以上の間、安定である。一つの例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、約37℃の温度で1ヶ月以上の間安定である。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、40~62℃で安定である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、40~62℃で、1分以上の間、5分以上の間、10分以上の間、15分以上の間、20分以上の間、25分以上の間、30分以上の間、35分以上の間、40分以上の間、45分以上の間、50分以上の間、55分以上の間、1時間以上の間、2時間以上の間、6時間以上の間、12時間以上の間、18時間以上の間、24時間以上の間、48時間以上の間、72時間以上の間、1週間以上の間、2週間以上の間、3週間以上の間、1ヶ月以上の間、安定である。
一つの例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、4~8℃で1年以上の間安定である。別の例示的な実施形態において、PEG化リポソームは、25℃で1年以上の間安定である。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、1~5回の凍結融解後に安定である。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームは、1、2、3、4、または5回の凍結融解後に安定である。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームの多分散指数は、約0.3以下で維持される。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームの多分散指数は、約0.25以下で維持される。いくつかの実施形態において、PEG化リポソームの多分散指数は、約0.2以下で維持される。
IV.PEG化リポソーム製造方法
本明細書で提供されるように、PEG化リポソーム製造方法は、(a)非PEG化中性脂質、PEG化脂質、およびコレステロールを有機溶媒中で混合することと、(b)有機溶媒を蒸発させて脂質膜を得ることと、(c)緩衝液中で脂質膜を再水和させることと、(d)工程(c)の再水和生成物に高エネルギー入力源(例えば、超音波処理、顕微溶液化、押出)を適用することとを含んでなる。いくつかの実施形態において、高エネルギー源は、顕微溶液化を含んでなる。いくつかの実施形態において、高エネルギー源は、超音波処理を含んでなる。いくつかの実施形態において、高エネルギー源は、押出を含んでなる。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール/水の混合物である。いくつかの実施形態において、工程(a)は、TLRアゴニストと他の成分との混合をさらに含んでなる。
例示的な実施形態において、DPPC、コレステロール、およびDPPE-PEG750を、有機溶媒(クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール/水の混合物)中で様々な量の3M-052と混合する。次いで有機溶媒を蒸発させる。得られた脂質膜を緩衝液中で再水和させ、製剤が半透明で、大きな目に見える粒子がなくなるまで超音波処理する。より大きなバッチ(100mL)のPEG化リポソームは、上記のようではあるが、超音波処理時間を短時間にし、その後の高せん断ホモジナイズにより製造することができる。
いくつかの実施形態において、得られたPEG化リポソームを薬剤(例えば、抗原)と混合する。
V.PEG化リポソームを含んでなる組成物
本明細書に記載のPEG化リポソームを含んでなる製剤、組成物、および医薬組成物が、本明細書で提供される。
いくつかの実施形態において、PEG化リポソームを含んでなる組成物は、薬剤的に許容できる担体、賦形剤、または希釈剤をさらに含んでなる。
本明細書に記載の組成物は、ワクチン接種、治療、または診断目的のために対象に投与することができる。
医薬組成物は、通常、本明細書に記載の組成物を含んでなり、薬剤的に許容できる担体、賦形剤、または希釈剤と組み合わせて、抗原、追加のアゴニスト、または組み換え発現コンストラクトから選択される本明細書で提供される1以上の成分をさらに含んでなり得る。
本明細書において提供される実施形態において、医薬組成物は、0.45ミクロンのフィルターを通して濾過することができる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、0.20ミクロンのフィルターを通して濾過することができる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、0.22ミクロンのフィルターを通して濾過することができる。
一実施形態において、本発明は、TLR7/8アゴニストまたはTLR4アゴニストを含んでなるPEG化リポソームを含んでなる医薬組成物に関する。当該組成物は、本明細書に記載のTLR7/8アゴニストまたはTLR4アゴニストが組成物中に製剤化され、組成物が、他の抗原を実質的に欠き、生物による感染などの疾患または他の状態の診断、治療、または予防の目的のために、免疫応答、例えば、非特異的免疫応答または抗原特異的免疫応答を刺激するために対象に組成物を投与する「単独療法」に使用することができる。
他の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の組成物および抗原の両方を含んでなるワクチン組成物であり、薬剤的に許容できる担体、賦形剤、または希釈剤と組み合わせて、本明細書で提供される1以上の成分をさらに含んでなり得る。例示的な担体は、通常、使用される投与量および濃度でレシピエントにとって非毒性である。
本明細書において提供される治療的実施形態において、約1μg/kg~約1mg/kgの投与量の治療用医薬組成物を投与する。投与の回数および頻度が対象の応答に依存することは、当業者には明らかであろう。
本明細書において提供されるワクチンをベースとする実施形態において、投与あたり約1μg~25μgの薬剤(例えば、アジュバントまたは抗原)を投与する。投与の回数および頻度が対象の応答に依存することは、当業者には明らかであろう。
治療用途用の「薬剤的に許容できる担体」は、製薬分野において周知であり、例えば、Remingtons Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.(A.R. Gennaro edit.1985)に記載されている。例えば、生理的pHの滅菌生理食塩水およびリン酸緩衝食塩水を使用し得る。防腐剤と、安定剤と、染料と、矯味剤も、医薬組成物中に提供され得る。例えば、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルを防腐剤として添加し得る。1449でId。また、抗酸化剤および懸濁化剤を使用し得る。Id。
「薬剤的に許容できる塩」は、本発明の化合物と有機もしくは無機酸(酸付加塩)または有機もしくは無機塩基(塩基付加塩)との組み合わせに由来する本発明の化合物の塩を指す。本発明の組成物は、遊離塩基または塩のいずれかの形態で使用され得、両方の形態が本発明の範囲内にあると見なされる。
医薬組成物は、組成物を患者に投与することを可能にする任意の形態であり得る。例えば、組成物は、固体、液体、または気体(エアロゾル)の形態であり得る。典型的な投与経路には、経口、局所、非経口、舌下、口腔内、直腸内、膣内、静脈内、皮内、経皮、鼻腔内、粘膜内、または皮下が含まれるが、これらに限定はされない。本明細書で使用される用語、非経口には、イオントフォレーシス(例えば、U.S.7,033,598;7,018,345;6,970,739)、ソノフォレーシス (sonophoretic)(例えば、U.S.4,780,212;4,767,402;4,948,587;5,618,275;5,656,016;5,722,397;6,322,532;6,018,678)、サーマル(例えば、U.S. 5,885,211;6,685,699)、受動的経皮(例えば、U.S.3,598,122;3,598,123;4,286,592;4,314,557;4,379,454;4,568,343;5,464,387;英国特許明細書第2232892号;U.S.6,871,477;6,974,588;6,676,961)、顕微針(例えば、U.S.6,908,453;5,457,041;5,591,139;6,033,928)投与技術と、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内、陰茎海綿体、くも膜下腔内、道内(intrameatal)、尿道内注射もしくは注入技術とが含まれる。特定の実施形態において、(ワクチンおよび医薬組成物を含む)本明細書に記載の組成物を、イオントフォレーシス、マイクロキャビテーション、ソノフォレーシス、または顕微針から選択される技術によって皮内に投与する。
医薬組成物が対象に投与されると、医薬組成物に含有されている活性成分が生体利用可能になるように、医薬組成物を製剤化することができる。対象に投与される組成物は、1以上の投与単位の形態をとり、例えば、錠剤が単一の投与単位であり得、エアロゾル形態の本発明の1以上の化合物の容器が複数の投与単位を保持し得る。
経口投与では、賦形剤および/または結合剤が存在し得る。例は、スクロース、カオリン、グリセリン、デンプンデキストリン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、およびエチルセルロースである。着色剤および/または矯味剤が存在し得る。コーティングシェル(coating shell)を使用し得る。
組成物は、液体、例えばエリキシル、シロップ、溶液、エマルション、または懸濁液の形態であり得る。液体は、2つの例として、経口投与用または注射による送達用であり得る。経口投与が意図されている場合、組成物は、甘味剤、防腐剤、色素/着色剤、および香味増強剤のうちの1以上を含有することができる。注射によって投与されることが意図されている組成物中に、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定剤、および等張剤のうちの1以上が含まれ得る。
溶液、懸濁液、または他の同様の形態の形態である、本明細書で使用される液体医薬組成物は、以下の担体または賦形剤のうちの1以上を含み得る:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム、固定油、例えばスクアレン、スクアラン、鉱油、マンニドモノオレエート、コレステロール、および/または溶媒もしくは懸濁媒体として働き得る合成モノもしくはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩、および張度調整剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。
別の実施形態において、本発明の組成物は、エアロゾル化され得る様式で製剤化される。
また、アルミニウム塩、油中水型エマルション、生物分解性油状ビヒクル、水中油型エマルション、生物分解性マイクロカプセル、およびリポソームを含むがこれらに限定されない送達ビヒクルなどの他の成分を医薬組成物に含めることが望ましい場合もある。このようなビヒクルに用いるための追加の免疫調節性物質(コアジュバント(co-adjuvant))の例は、上記にも記載されており、N-アセチルムラミル-L-アラニン-D-イソグルタミン(MDP)、グルカン、IL-12、GM-CSF、ガンマインターフェロン、およびIL-12が含まれ得る。
当業者に公知の任意の好適な担体が本発明の医薬組成物に使用され得るが、担体の種類は、投与様式および持続放出が望まれるかどうかに依存して変わる。皮下注射などの非経口投与では、担体は、水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス、または緩衝液を含んでなることができる。経口投与では、上記担体または固体担体、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカン、セルロース、グルコース、スクロース、および炭酸マグネシウムのうちのいずれかを使用し得る。生物分解性微細球(例えば、ポリ乳酸ガラクチド(polylactic galactide))もまた、本発明の医薬組成物用担体として使用し得る。好適な生物分解性微細球は、例えば、米国特許第4,897,268号および第5,075,109号に開示されている。これに関して、微細球は、約25ミクロンよりも大きいことが好ましい。
医薬組成物は、緩衝剤などの希釈剤、アスコルビン酸などの抗酸化剤、ポリペプチド、タンパク質、アミノ酸、グルコース、スクロース、またはデキストリンを含む炭水化物、EDTAなどのキレート剤、グルタチオン、ならびに他の安定剤および賦形剤も含有し得る。中性緩衝食塩水または非特異的血清アルブミン(albumiskilln)と混合した生理食塩水は、例示的な適当な希釈剤である。例えば、製品は、希釈剤として適当な賦形剤溶液(例えば、スクロース)を用いて、凍結乾燥物として製剤化され得る。
医薬組成物は、局所投与を目的とし得、この場合、担体は、溶液、エマルション、軟膏、またはゲル基剤を適宜含んでなり得る。例えば、基剤は、以下:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜ろう、鉱油、水およびアルコールなどの希釈剤、ならびに乳化剤および安定剤のうちの1以上を含んでなり得る。増粘剤が局所投与用医薬組成物中に存在し得る。経皮投与が意図されている場合、組成物は、経皮パッチまたはイオントフォレーシス装置を含み得る。局所製剤は、約0.1~約10%w/v(単位体積あたり重量)の濃度の抗原(例えば、GLA抗原ワクチン組成物)またはGLA(例えば、免疫アジュバント組成物;GLAは、アラバマ州アラバスターのAvanti Polar Lipids, Inc.から入手可能である;例えば、製品番号699800)を含有し得る。
組成物は、例えば直腸内で融解して薬剤を放出することができる坐剤の形態での、直腸投与を目的とし得る。直腸投与用組成物は、好適な非刺激性賦形剤として油性基剤を含有し得る。このような基剤には、ラノリン、カカオバター、およびポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法において、医薬組成物/アジュバントを、挿入剤(insert)、ビーズ、徐放性製剤、パッチ、または速放性製剤の使用により投与し得る。
VI.PEG化リポソーム使用方法
PEG化リポソームのいずれか1つ、または本明細書で提供されるPEG化リポソームを含んでなる組成物を投与することを含んでなる、対象において免疫応答を刺激する方法が、本明細書で提供される。PEG化リポソームおよび組成物は、ワクチン接種、治療、および診断向けの用途を見出す。
一実施形態において、PEG化リポソーム組成物は、癌の治療または予防のために使用される。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるPEG化リポソームを含んでなる医薬組成物は、ワクチン組成物であり、ワクチンとして使用される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、対象における免疫応答(非特異的応答および抗原特異的応答を含む)を刺激するために使用される。いくつかの実施形態において、免疫応答は全身免疫応答を含んでなる。いくつかの実施形態において、免疫応答は粘膜免疫応答を含んでなる。
一実施形態において、PEG化リポソーム組成物は、インフルエンザ原因ウイルスに対する防御免疫を増強するために使用される。
一実施形態において、PEG化リポソーム組成物は、アメーバ症原因生物に対する防御免疫を増強するために使用される。
一実施形態において、PEG化リポソーム組成物は、赤痢アメーバに対する防御免疫を増強するために使用される。
一実施形態において、PEG化リポソーム組成物は、インフルエンザに対する防御免疫を増強するために使用される。
一実施形態において、PEG化リポソーム組成物は、アメーバ症に対する防御免疫を増強するために使用される。
一実施形態において、PEG化リポソーム組成物は、本明細書で提供されるPEG化リポソーム組成物のいずれか1つを鼻腔内投与することを含んでなる、対象において(IgG免疫応答を特徴とする)全身免疫応答および(IgA免疫応答を特徴とする)粘膜免疫応答の両方を刺激することのために使用される。一実施形態において、PEG化リポソーム組成物は、TLR4アゴニストおよびTLR7/8アゴニストを含んでなるPEG化リポソームを鼻腔内投与することを含んでなる、対象において全身免疫応答および粘膜免疫応答の両方を刺激することのために使用される。関連の
実施形態において、PEG化リポソーム組成物は、GLAおよび3M-052を含んでなるPEG化リポソームを鼻腔内投与することを含んでなる、対象において全身免疫応答および粘膜免疫応答の両方を刺激することのために使用される。驚くべきことに、本発明者らは、PEG化リポソームを含んでなる組成物の鼻腔内投与が、(鼻腔内で)局所粘膜応答を生じさせること、全身免疫応答を生じさせること、および遠位粘膜応答(例えば、糞便、腸管、および/または膣粘膜応答)を生じさせることができることを発見した。
本明細書で提供される実施形態において、対象は、哺乳類(例えば、家畜(ウシ、ブタ、ヤギ、ウマなど)、ペット(ネコ、イヌなど)、およびげっ歯類(ラット、マウスなど)を含む動物、またはヒト)である。一実施形態において、対象はヒトである。別の実施形態において、対象はヒト以外の哺乳類である。別の実施形態において、ヒト以外の哺乳類は、イヌ、ウシ、またはウマである。
VII.キットおよび製品
また、特定の実施形態において、1つ以上の容器で提供され得る、本明細書に記載のPEG化リポソームおよび組成物を含んでなるキットが企図されている。一実施形態において、組成物の全ての成分が単一の容器に一緒に存在するが、本発明の実施形態は、これに限定されることを意図されておらず、例えば免疫アジュバント組成物が抗原成分から分離しており、抗原成分と接触していない2つ以上の容器も企図する。非限定的な理論として、いくつかの場合において、免疫アジュバント組成物としてのPEG化リポソーム組成物の投与のみが有益に行われ得、一方、他の場合には、当該投与は、抗原の投与と時間的および/または空間的に(例えば、異なる解剖学的部位で)有益に分離され得、さらに他の場合において、本明細書に記載されており、かつ、抗原およびアジュバント組成物の両方と、必要に応じて他の本明細書に記載の成分も含有する、ワクチン組成物の対象への投与が、有益に実施される。
いくつかの実施形態において、キットの1つのバイアルは、PEG化リポソームを含んでなる組成物を含んでなり、キットの第2のバイアルは薬剤を含む。いくつかの実施形態において、キットは、任意の薬剤を含む第3のバイアルを含んでなる。
本発明のキットは、本明細書に記載の使用のための説明書またはバイアルに含まれる物質を混合するための説明書をさらに含んでなり得る。いくつかの実施形態において、バイアル中の物質は乾燥または凍結乾燥されている。いくつかの実施形態において、バイアル中の物質は液体である。
このようなキットの実施形態に係る容器は、任意の好適な入れ物、容器、バイアル、アンプル、チューブ、カップ、ボックス、ボトル、フラスコ、ジャー、皿、単一ウェルまたはマルチウェル装置のウェル、リザーバ、タンク、もしくは同種のもの、または本明細書に開示された組成物が置かれ、貯蔵され、および/もしくは運搬され、そしてアクセスされて内容物が除去され得る他の装置であり得る。典型的には、このような容器は、目的の用途に適合し、かつ含まれる内容物の回収が容易に達成され得る材料製であり得る。このような容器の非限定的な例には、針および注射器を使用して内容物を引き出すことに適合するゴム隔膜または他のシール手段を有するものを含む、ガラスおよび/もしくはプラスチックでシールされた、または再シール可能なチューブおよびアンプルが含まれる。このような容器は、例えば、容器から材料を効率的に回収することを可能にし、かつ/または、例えば紫外線もしくは極端な温度などの分解条件から、もしくは微生物夾雑物を含む望ましくない夾雑物の混入から物質を保護する材料で作られているか、または被覆されていてもよい、ガラスまたは化学的に適合するプラスチックもしくは樹脂でつくられていることがあり得る。容器は、好ましくは、無菌または滅菌可能であり、本明細書に記載のワクチン組成物および/または免疫アジュバント組成物および/または抗原および/または組み換え発現コンストラクトなどを懸濁または溶解させるために使用され得るものなどの任意の担体、賦形剤、溶媒、ビヒクル、または同種のものと適合する材料製である。
VIII.例示的な実施形態
第1の実施形態において、本発明は、とりわけ、コレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質を含んでなるリポソームであって、PEG化脂質中のPEGの平均分子量が約5000ダルトン以下である、前記リポソームに関する。
本発明はまた、第2の実施形態において、PEG化脂質中のPEGの平均分子量が約750ダルトン~約5000ダルトンの範囲である、第1の実施形態のリポソーム;PEG化脂質中のPEGの平均分子量が約2000ダルトン以下である、第1の実施形態のリポソーム;またはPEG化脂質中のPEGの平均分子量が約750ダルトンである、第1の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第3の実施形態において、PEG化脂質の脂質成分が中性脂質を含んでなるか;PEG化脂質の脂質成分がC14アルキル鎖、C16アルキル鎖、もしくはC18アルキル鎖を含んでなるか;PEG化脂質の脂質成分が、DSPE、DPPC、DOPC、DLPC、DMPC、DSPC、POPC、DPPE、もしくはDMPEであるか;PEG化脂質の脂質成分がDSPEであるか;またはPEG化脂質の脂質成分がDPPEである、第1または第2の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第4の実施形態において、非PEG化中性脂質がC14アルキル鎖、C16アルキル鎖、もしくはC18アルキル鎖を含んでなるか;非PEG化中性脂質が、DPPC、DOPC、DLPC、DMPC、DSPC、POPC、DPPE、もしくはDMPEであるか;または非PEG化中性脂質がDPPCである、第1、第2、または第3の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第5の実施形態において、リポソームが安定であるか;リポソームが、約2℃~約8℃の温度で1ヶ月以上の間安定であるか;リポソームが、約25℃の温度で1ヶ月以上の間安定であるか;またはリポソームが、約37℃の温度で1ヶ月以上の間安定である、第1、第2、第3、または第4の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第6の実施形態において、リポソームの多分散指数が約0.3以下で維持される、第1、第2、第3、第4、または第5の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第7の実施形態において、リポソームのサイズが450nm未満もしくは約450nmであるか;リポソームのサイズが450nm未満もしくは約450nmで維持されるか;リポソームのサイズが約50nm~約300nmの範囲である、第1、第2、第3、第4、第5、または第6の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第8の実施形態において、リポソーム中のPEG化脂質のモルパーセンテージ(mol%)が、約1mol%~約25mol%の範囲であるか;リポソーム中のPEG化脂質のmol%が、約1mol%~約10mol%の範囲であるか;またはリポソーム中のPEG化脂質のmol%が約5mol%である、第1、第2、第3、第4、第5、第6、または第7の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第9の実施形態において、リポソーム中のコレステロールのmol%が約1mol%~約50mol%の範囲であるか;またはリポソーム中のコレステロールのmol%が約50mol%である、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第10の実施形態において、リポソーム中の非PEG化脂質のmol%が約45mol%~約98mol%の範囲であるか、またはリポソーム中の非PEG化脂質のmol%が約45mol%である、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、または第9の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第11の実施形態において、非PEG化中性脂質:コレステロール:PEG化脂質の脂質モル比が約9.8:5.7:0.8であるか、または非PEG化中性脂質:コレステロール:PEG化脂質の脂質モル比が約18:5.5:3である、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第12の実施形態において、リポソームが、1つ以上のTLRアゴニストをさらに含んでなるか;リポソームが、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、TLR5アゴニスト、TLR6アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、TLR7/8アゴニスト、もしくはTLR9アゴニストを含んでなるか;リポソームが、TLR4、SLA、GLA、3D-MPL、R837、もしくはR848を含んでなるか;リポソームが、疎水性尾部を有するTLRアゴニストを含んでなるか;リポソームが、TLR7/8アゴニストを含んでなるか;リポソームが、TLR7アゴニストを含んでなるか;リポソームが、TLR8アゴニストを含んでなるか;リポソームが、イミダゾキノリンもしくはイミダゾキノリン含有化合物を含んでなるTLR7/8アゴニストを含んでなるか;リポソームが、3M-052を含んでなるか;リポソームが、R848を含んでなるか;リポソームが、TLR4アゴニストを含んでなるか;リポソームが、3D-MPLを含んでなるか;リポソームが、GLAを含んでなるか;リポソームが、本明細書で提供される式(V)の合成GLAもしくはその薬剤的に許容できる塩と、式(V)の対応する実施形態のいずれかもしくはその薬剤的に許容できる塩とを含んでなるか;リポソームが、本明細書で提供される式(VI)の合成GLAもしくはその薬剤的に許容できる塩と、式(VI)の対応する実施形態のいずれかもしくはその薬剤的に許容できる塩とを含んでなるか;またはリポソームが、式:
の合成GLAもしくはその薬剤的に許容できる塩を含んでなるか;リポソームが、TLR4アゴニストおよびTLR7/8アゴニストを含んでなるか;リポソームが、本明細書に記載のTLR4もしくはTLR7/8アゴニストのいずれか一つを含んでなるか;またはリポソームが、GLAおよび3M-052を含んでなる、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、または第11の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第13の実施形態において、リポソームが、1以上の薬剤を含んでなるか;リポソームが、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、抗原、アジュバント、診断薬、治療薬、または生物を含んでなる1以上の薬剤を含んでなるか;リポソームが、抗原を含んでなる1以上の薬剤を含んでなるか;リポソームが、抗原を含んでなる1以上の薬剤を含んでなり、抗原が、アメーバ症関連抗原、LecA、インフルエンザ関連抗原、H5N1、結核関連抗原、ID91、ID93、BCG由来抗原、肝炎ウイルス関連抗原、B型肝炎抗原、C型肝炎抗原、HIV関連抗原、または癌関連抗原を含んでなる、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、または第12の実施形態のリポソームのいずれかを提供する。
本発明は、第14の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、もしくは第13の実施形態のリポソームのいずれかを含んでなる組成物、または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、もしくは第13の実施形態のリポソームのいずれかと、薬剤的に許容できる担体、賦形剤、もしくは希釈剤とを含んでなる組成物を提供する。組成物は、例えば、ワクチン、治療薬、または診断薬であることができる。
本発明は、第15の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、または第14の実施形態のいずれか一つのリポソームまたは組成物を対象に投与し、それにより対象において免疫応答を刺激することを含んでなる、対象において免疫応答を刺激する方法を提供する。免疫応答は、例えば、非特異的免疫応答;抗原特異的免疫応答;全身免疫応答;粘膜免疫応答;または腸管、糞便、もしくは膣粘膜免疫応答であることができる。組成物は、例えば、癌の治療もしくは予防のため;ワクチンとして;インフルエンザ原因ウイルスに対して防御免疫を増強するため;アメーバ症原因生物に対する防御免疫を増強するため;赤痢アメーバに対する防御免疫を増強するため;インフルエンザに対する防御免疫を増強するため;またはアメーバ症に対する防御免疫を増強するために、使用することができる。組成物の投与経路は、経口、局所、非経口、舌下、口腔内、直腸内、膣内、静脈内、皮内、経皮、鼻腔内、粘膜内、または皮下であることができる。リポソームまたは組成物は、レチノイン酸コアジュバント(co-adjuvant)と共に投与することができる。対象は、例えば、ヒトまたはヒト以外の哺乳類であることができる。
本発明は、第16の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、または第14の実施形態のいずれか一つのリポソームまたは組成物を対象に投与し、それにより対象においてTh1応答を誘発することを含んでなる、対象においてTh1応答を誘発する方法を提供する。免疫応答は、例えば、非特異的免疫応答、抗原特異的免疫応答、全身免疫応答、粘膜免疫応答、または腸管、糞便、もしくは膣粘膜免疫応答であることができる。組成物は、例えば、癌の治療もしくは予防のため、ワクチンとして;インフルエンザ原因ウイルスに対して防御免疫を増強するため;アメーバ症原因生物に対する防御免疫を増強するため;赤痢アメーバに対する防御免疫を増強するため;インフルエンザに対する防御免疫を増強するため;またはアメーバ症に対する防御免疫を増強するために、使用することができる。組成物の投与経路は、経口、局所、非経口、舌下、口腔内、直腸内、膣内、静脈内、皮内、経皮、鼻腔内、粘膜内、または皮下であることができる。リポソームまたは組成物は、レチノイン酸コアジュバント(co-adjuvant)と共に投与することができる。対象は、例えば、ヒトまたはヒト以外の哺乳類であることができる。
本発明は、第17の実施形態において、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、または第14の実施形態のいずれか一つのリポソームまたは組成物を対象に鼻腔内投与することを含んでなる、対象において全身免疫応答および粘膜免疫応答を刺激する方法を提供する。粘膜免疫応答は、例えば、腸、糞便、または膣粘膜免疫応答を含んでなることができる。粘膜免疫応答は、例えば、鼻腔に対して遠位であることができる。リポソームまたは組成物は、レチノイン酸コアジュバント(co-adjuvant)と共に投与することができる。対象は、例えば、ヒトまたはヒト以外の哺乳類であることができる。
本発明は、第18の実施形態において、a)非PEG化中性脂質、PEG化脂質、およびコレステロールを有機溶媒中で混合することと、b)有機溶媒を蒸発させて脂質膜を得ることと、c)緩衝液中で脂質膜を再水和させることと、工程c)の再水和生成物を超音波処理、顕微溶液化、または押出することとを含んでなる、本明細書に記載のPEG化リポソームのいずれかを製造する方法を提供する。ステップa)は、TLRアゴニストを混合する工程をさらに含んでなることができる。有機溶媒は、例えば、クロロホルムであることができる。工程(c)の再水和生成物を、例えば、超音波処理し、次いで顕微溶液化することができる。方法は、薬剤をPEG化リポソームに混合することをさらに含んでなることができる。薬剤は、本明細書に記載の薬剤のいずれか一つであることができる。
本発明は、第19の実施形態において、TLRアゴニスト、スクアレン、および不飽和ホスファチジルコリンを含んでなるスクアレンベースの水中油型エマルションを提供する。当該実施形態において、飽和リン脂質、例えばDMPCと比較して、不飽和ホスファチジルコリンを用いて製造したエマルションは、TLRアゴニストの回収率が高くなり、すなわち同じ初期濃度のTLRアゴニストで開始した場合の最終製剤中のTLRアゴニストの濃度が高くなった。
本発明は、第20の実施形態において、スクアレンが約30~約40mg/mlの濃度であり、不飽和ホスファチジルコリンが約5~約10mg/mlの濃度である、TLRアゴニスト、スクアレン、および不飽和ホスファチジルコリンを含んでなるスクアレンベースの水中油型エマルションを提供する。
本発明は、第21の実施形態において、TLRアゴニスト、典型的には、TLRアゴニストを含んでなる水に不溶性(水中で無視できる溶解性)であるTLRアゴニスト、スクアレン、および不飽和ホスファチジルコリン(例えば、卵ホスファチジルコリン)を含む製剤化のために最適化されたスクアレンベースの水中油型エマルションであって、スクアレンが約34mg/mlの濃度であり、不飽和ホスファチジルコリンが約7~8mg/mlまたは約7.6mg/mlの濃度である、前記スクアレンベースの水中油型エマルションを提供する。
本発明は、第22の実施形態において、共乳化剤(co-emulsifying agent)、等張化剤、および緩衝剤をさらに含んでいてもよい、第19、第20、または第21の実施形態のいずれか一つのエマルションを提供する。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、共乳化剤(co-emulsifying agent)は、例えば、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)などの非イオン性直鎖状トリブロックコポリマーであることができる。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、等張化剤は、例えば、マンニトールまたはグリセロールなどのポリオールであることができる。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、緩衝剤は、例えば、リン酸緩衝剤、例えばリン酸アンモニウム緩衝液などであることができる。共乳化剤(co-emulsifying agent)は、エマルション中に存在する場合、好ましくは0.1~約2mg/ml、より好ましくは約0.5mg/ml、最も好ましくは約0.36mg/mlの濃度でエマルション中に存在する。等張化剤は、エマルション中に存在する場合、組成物が約250~350mOsm/kg、好ましくは270~315mOsm/kgのオスモル濃度を有するようにするのに充分な量で存在する。
本発明は、第23の実施形態において、TLRアゴニストが(a)合成物であり、(b)水に不溶性であり、(c)イミダゾキノリンもしくはイミダゾキノリン含有化合物であり、(d)疎水性尾部を有し、(e)3M-052、またはそれらの任意の組み合わせである、第19、第20、第21、または第22の実施形態のエマルションのいずれか一つを提供する。エマルションは、1以上の薬剤をさらに含んでなることができ、前記1以上の薬剤は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、抗原、アジュバント、診断薬、治療薬、または生物であることができる。例示的な薬剤には、例えば、アメーバ症関連抗原、LecA、インフルエンザ関連抗原、H5N1、結核関連抗原、ID91、ID93、BCG由来抗原、肝炎ウイルス関連抗原、B型肝炎抗原、C型肝炎抗原、HIV関連抗原、または癌関連抗原が含まれる。
本発明は、第24の実施形態において、TLRアゴニストと不飽和ホスファチジルコリンとを有機溶媒中で混合することを含んでなる、第19、第20、第21、第22、および第23の実施形態のエマルションの製造方法を提供する。TLRアゴニストおよび不飽和ホスファチジルコリンの両方を可溶化することができる有機溶媒が使用に適しており、例えば、エタノール、DMF、およびクロロホルムが挙げられる。当該方法は、(a)蒸発を含む任意の適当な方法によってクロロホルムを除去して脂質膜を得る工程、(b)乾燥脂質膜にスクアレンを添加する工程、および(c)例えば(例えば、60℃の水浴中で)超音波処理、または顕微溶液化、または単純な攪拌により得られた混合物を混合する工程をさらに含んでなることができる。
本発明は、第25の実施形態において、第19、第20、第21、第22、および第23の実施形態のエマルションのいずれか一つおよび薬剤的に許容できる担体を含んでなる医薬組成物を提供する。
本発明は、第26の実施形態において、第19、第20、第21、第22、および第23の実施形態のエマルションのいずれか一つまたは第25の実施形態の医薬組成物を対象に投与することを含んでなる、対象において免疫応答を刺激する方法を提供する。免疫応答は、例えば、Th1免疫応答;非特異的免疫応答、抗原特異的免疫応答、全身免疫応答、粘膜免疫応答、または腸管、糞便、もしくは膣粘膜免疫応答であることができる。エマルションまたは組成物は、例えば、癌の治療もしくは予防のため、ワクチンとして;インフルエンザ原因ウイルスに対して防御免疫を増強するため;アメーバ症原因生物に対する防御免疫を増強するため;赤痢アメーバに対する防御免疫を増強するため;インフルエンザに対する防御免疫を増強するため;またはアメーバ症に対する防御免疫を増強するために、使用することができる。組成物の投与経路は、経口、局所、非経口、舌下、口腔内、直腸内、膣内、静脈内、皮内、経皮、鼻腔内、粘膜内、または皮下であることができる。リポソームまたは組成物は、レチノイン酸コアジュバント(co-adjuvant)と共に投与することができる。対象は、例えば、ヒトまたはヒト以外の哺乳類であることができる。
以下の実施例は、例示のために提供されるものであって、限定のために提供されるものではない。
実施例1:アメーバ症ワクチン用TLRリガンド含有リポソームの製剤化および試験
材料および方法
アジュバント、LecA抗原を含む製剤
全てのアジュバントは、伝染病研究所(ワシントン州シアトルのIDRI)で調製し、注射直前に抗原と混合するために2Xまたは5X濃縮製剤として与えた。
LecA抗原を、TECHLAB(バージニア州ブラックスバーグ)によって、記載されているように製造した(Barroso L, Abhyankar M, Noor Z, Read K, Pedersen K, White R, et al.Expression, purification, and evaluation of recombinant LecA as a candidate for an amebic colitis vaccine.Vaccine.2014;32(10):1218-)。グルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-750](DSPE-PEG750)、および1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](DSPE-PEG2000)を、Corden Pharma(スイスのリースタル)またはAvanti Polar Lipids(アラバマ州アラバスター)から入手した。3M-052は、3M Drug Delivery Systems(ミネソタ州セントポール)から無料提供された。コレステロールおよび緩衝塩は、J.T.Baker(カリフォルニア州サンフランシスコ)から購入した。実施例で使用するGLAは、R1、R3、R5、およびR6がC11アルキルであり、R2およびR4がC13アルキルである式(VI)の構造を有する。
PEG化リポソーム製剤は、クロロホルム中でDPPC、コレステロール、DSPE-PEG750、またはDPPE-PEG2000、ならびに3M-052および/またはGLAを混合することによって製造した。脂質モル比は、9.8:5.7:0.8(DPPC:コレステロール:PEG化脂質)であった。次いで、製剤から有機溶媒をロータリーエバポレーターを用いて12時間以上蒸発させた。脂質薄膜を25mMリン酸アンモニウム緩衝液(pH約5.7)中で再水和させ、Crest Powersonic CP230D(ニュージャージー州トレントン)水浴中で約60℃で最大30分間超音波処理した。次いで、製剤を10℃に設定した再循環水冷器で5~6回、10,000~30,000psiで顕微溶液化した。リポソームを0.8/0.2μm二重膜ポリエーテルスルホンフィルターで濾過し、5℃、周囲温度、37℃、または60℃で保存した。顕微溶液化の代替は超音波処理である
基本的に記載されているように(Fox et al.Vaccine 2013, 31:5848) 、30,000psiで顕微溶液化(M110P, Microfluidics Corp)により水中スクアレン型エマルションを調製した。ミョウバン吸着製剤は、GLAのPEG化脂質ベースの懸濁液の水性脂質成分またはCpG 1826の水溶液をAlhydrogel(登録商標)(Brenntag Biosector)に混合することによって、以前に記載されているように( Fox et al.J Pharm Sci 2012, 101:4357 and Fox et al.)調製した。
物理化学的安定性測定
エマルションおよびリポソームの粒径は、水中で1:100に希釈した後の動的光散乱によって測定した。抗原-アジュバント混合物の短時間(≦24時間)の物理化学的適合性は、混合直後と、混合物を5℃および周囲温度で保存して混合後4時間および24時間とに、粒径、外観、および抗原の一次構造をモニタリングすることによって評価した。抗原を最初に生理食塩水中で0.1mg/mlに希釈し、続いてリポソームアジュバント製剤と1:1容量で混合した。3つのキュベットの代わりに1つのキュベットを準備したことを除いて、上記のように粒径を測定した。50μLのサンプルを50μLの4倍還元サンプル緩衝液および100μLの20%SDSと混合することにより、SDS-PAGEを行った。サンプルを90℃で5分間加熱し、-20℃で保存した後、90℃で1分間再加熱し、トリス-グリシンランニングバッファーを含むポリアクリルアミドゲルに180Vで65mロードし、続いてクーマシーブルーで染色した。
HPLC法を用いて、3M-052の濃度を320nmでのUV吸光度の検出によって測定し、GLAの濃度を帯電エアロゾル検出によって測定した。HPLC法は以前に記載されている(Misquith A, Fung M, Dowling QM, Guderian JA, Vedvick TS, Fox CB.In vitro evaluation of TLR4 agonist activity: formulation effects.Coll Surf B: Biointerfaces.2014; 1 13 :312-9)。測定値が目標濃度の±20%以内であれば、アジュバント濃度を規定内と見なした。リポソーム粒径およびサイズ多分散性を、Malvern Instruments(イギリスのウスターシャー州)Zetasizer Nano-Sまたは-ZSを用いて評価した。1.5mlポリスチレン使い捨てキュベット中で超純(18.2MΩ)水で製剤を100倍希釈した。各製剤について、3つの別々のキュベットを準備した。次いで、各キュベットにつき全てのサイズ測定を3回行った。まれに、塵粒により明らかな測定偏差が生じ、このような場合、疑わしいキュベットからの測定値はセットから捨てる。TLRリガンド濃度、粒径、および外観を指示どおりに定期的にモニタリングした。
免疫化
4~6週齢のCBA/J雄マウスをJackson Labsから購入した。非タグ化LecA抗原をTechLab Inc.(バージニア州ブラックスバーグ)で精製し、マウスあたり免疫化につき5μgの抗原を使用した。全てのマウス研究を、IACUCの規制に厳密に従って実施した。頚部領域の皮下免疫化では、LecAをそれぞれのアジュバント(表1)と混合し、体積を注射用生理食塩水で100μlにした。鼻腔内免疫化を麻酔下で実施し、典型的には、鼻孔あたり10μlの抗原-アジュバント混合物を使用した。全てのレジメンについて連続した免疫化の間に、2週間の間隔を維持した。オールトランスレチノイン酸(RA)の毎週の投与を伴う実験では、各マウスは、50μlの最終体積のDMSOに溶解した150μgのオールトランスレチノイン酸(Sigma)を腹腔内に受けた。RAストックは-80℃で保存し、光から保護した。全てのアジュバントを4℃で保存し、製剤を免疫化の直前に無菌的に調製した。
免疫原性の測定
ウェルあたり0.5μgのレクチンでコーティングした96ウェルプレートを用いてELISAにより抗体力価を測定した。血漿サンプルを適当に希釈し、抗原特異的IgG亜型を、1:10,000希釈西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG1およびIgG2a検出抗体(Southern Biotechnology)を用いて測定した。糞便の上清を記載されているように調製した(Guo X, Barroso L, Becker SM, Lyerly DM, Vedvick TS, Reed SG, et al)。Protection against intestinal amebiasis by a recombinant vaccine is transferable by T cells and mediated by gamma interferon.Infect Immun.2009 Sep;77(9):3909-18)。簡単にいえば、新たに採取した糞便サンプルを、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を含有するPBS中に再懸濁し(便1mgあたり5μl希釈液)、5分間激しく混合した。不溶性物質を、3000rpmおよび12,000rpmで2つの連続回転によって除去し、上清を-20℃で保存した。適当に希釈した糞便の上清をELISAに使用し、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgAを1:5000希釈で二次抗体として使用した。標準曲線を用いて抗体単位を求めた。
細胞外サイトカインの測定では、脾細胞を50μg/mlのLecAで72時間再刺激し、上清をLuminexビーズ(BioRad)を用いるマルチサスペンションアレイシステム(multiplex suspension array system)により分析した(Guo X, Barroso L, Becker SM, Lyerly DM, Vedvick TS, Reed SG, et al.Protection against intestinal amebiasis by a recombinant vaccine is transferable by T cells and mediated by gamma interferon.Infect Immun.2009 Sep;77(9):3909-18)。サンプルを製造者の指示に従って希釈せずに試験し、上清1ミリリットルあたりのピコグラムで測定した。
培養条件およびチャレンジ実験
マウスの盲腸を連続して通過させた、元々HM1に由来する栄養体:IMSS(ATCC)を、チャレンジ実験に使用した。2%Diamondビタミン、13%熱不活性化ウシ血清(Gemini Labs)、および100U/mlペニシリンプラス100μg/mlストレプトマイシン(Invitrogen)を補充したトリプシン-酵母抽出物-鉄(TYI-S-33)培地中で栄養体を維持した(Diamond LS, Harlow DR, Cunnick CC.A new medium for the axenic cultivation of Entamoeba histolytica and other Entamoeba.Trans R Soc Trop Med Hyg.1978;72(4):431-2)。免疫化群および対照群からのマウスに、最後の追加免疫の4週間後、150μlの培地中200万個の栄養体を開腹後盲腸内に(intracecaily)チャレンジした(Houpt E, Barroso L, Lockhart L, Wright R, Cramer C, Lyerly D, et al.Prevention of intestinal amebiasis by vaccination with the Entamoeba histolytica Gal/GaiNac lectin.Vaccine.2004 Jan 26;22(5-6):611-7)。チャレンジの1週間後にマウスを安楽死させた。盲腸を1ml PBSですすぎ、300μlの盲腸洗浄液をTYI-S-33ブロス中で最高5日間培養し、200μlを抗原負荷ELBAに使用した。ワクチン有効性は100×(1-(感染したワクチン接種したマウスの%)/(感染したニセマウス(sham mice)の%)として計算した(Guo X, Barroso L, Becker SM, Lyerly DM, Vedvick TS, Reed SG, et al.Protection against intestinal amebiasis by a recombinant vaccine is transferable by T cells and mediated by gamma interferon.Infect Immun.2009 Sep,77(9):39Q9-18; Soong CJ, Kain KC, Abd-Aila M, Jackson TF, Ravdin JI.A recombinant cysteine-rich section of the Entamoeba histolytica galactose-inhibitable lectin is efficacious as a subunit vaccine in the gerbii model of amebic liver abscess.J Infect Dis.1995 Mar; 171(3):645-51)。糞便抗原検出
盲腸内容物中の糞便抗原を、E. his IIELISAキット(バージニア州ブラックスバーグのTechLab Inc.)を用いて検出した。陰性対照よりも≧0,05の450nmでの光学密度を陽性と見なした。精製したLecAを用いて標準曲線を作成した。
付着アッセイ
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をα-MEM培地で増殖させ、赤痢アメーバ栄養体を上記のように増殖させた。赤痢アメーバ栄養体を対照群または免疫化群からの糞便上清の10倍希釈物で氷上で1時間プレインキュベートした。次いで、栄養体およびCHO細胞を1:20の比で混合し、丸底ポリスチレンチューブ中で氷上で90分間インキュベーションを続けた。顕微鏡での計数の直前に、チューブを短時間ボルテックスし、細胞を血球計数器で計数した。付着は、3個以上の付着性CHO細胞を有する栄養体の数として測定し、ロゼット形成の%として報告した。各サンプルを3回試験し、最小100個のアメーバを計数した(Barroso L, Abhyankar M, Noor Z, Read K, Pedersen K, White R, et al.Expression, purification, and evaluation of recombinant LecA as a candidate for an amebic colitis vaccine.Vaccine.2014 Feb 26;32(10): 1218-24; Ravdin JI, Guerrant RL.Role of adherence in cytopathogenic mechanisms of Entamoeba histolytica.Study with mammalian tissue culture cells and human erythrocytes.J Clin Invest.1981 Nov;68(5): 1305-13)。
統計分析
全ての分析は、Graph Pad Prismソフトウェアを用いて行った。チャレンジ試験からの感染マウスおよび非感染マウスの割合をフィッシャーの正確検定を用いて分析した。抗原負荷、抗体力価、および付着阻害の差異をマン・ホイットニー検定を用いて分析した。
結果
生理化学的安定性
リポソームの安定性は、動的光散乱(粒径およびサイズ多分散性)、外観、ならびにHPLC(GLAおよび3M-052濃度)によってモニタリングした。DSPE-PEG2000を含むリポソームの多分散性値は、DSPE-PEG750を含むリポソームの多分散性値よりも有意に高かったが、粒径およびサイズ多分散性値は、5℃で12ヶ月にわたってほとんどまたは全く変化を示さなかった(図1A)。リポソームの外観は、常に半透明で均一であり、経時的に変化しなかった。37℃で保存した場合、DSPE-PEG2000を含むリポソームは、DSPE-PEG750を含むリポソームと比較して、粒径およびサイズ多分散性のより大きな経時的な変化を示した(図1C~1D)。GLAおよび3M-052の濃度は、5℃で保存したサンプルで12ヶ月にわたって変化しなかった。37℃では、GLA喪失率は3M-052の喪失率よりも高く、>40%のGLA喪失は6ヶ月後であったが、3M-052では検出可能な喪失は生じなかった。
混合後のアジュバントとLecA抗原の短期間(≦24時間)の適合性を評価するために、ストック抗原を生理食塩水で希釈し、次にアジュバントと1:1の体積比で混合し、下記の生体内免疫試験のための計画された混合手順を模倣した。製剤は、抗原と混合する前後で、半透明で均一な外観を有していた。DSPE-PEG2000を含むリポソームは、より短いPEG長(DSPE-PEG750)を含むリポソームと比較して、わずかに高いサイズ増加傾向を示したが、全体的に見て、5℃または周囲温度で保存した場合、抗原と混合した後24時間にわたって、粒径の変化は、ほとんどなかったか(<15%)、または全くなかった。全体的に見て、GLA、3M-052、または両方のアゴニストの存在は、粒径適合性の結果に影響を与えないようであった。同様に、DSPE-PEG750を含むリポソームと比較して、DSPE-PEG2000を含むリポソームでは多分散性がより高かったが、サイズ多分散性値はほとんど変化しなかった。抗原-アジュバント混合物のSDS-PAGE分析は、リポソーム組成にかかわらず、任意の時点または24時間にわたる保存条件で抗原一次構造の変化を示さず、予想されるMW近くに均一な単一バンドがあった。まとめると、これらのデータは、抗原-アジュバント混合物が、5℃または周囲温度で少なくとも24時間まで、許容可能な短期間の適合性を示したことを示す。
免疫原性の評価およびリポソーム製剤の選択
赤痢アメーバ組み換えアドヘシンLecAを免疫原として使用して、バランスのとれた免疫応答を生じ得るアジュバントをスクリーニングした。合成TLRアゴニストを含むアジュバントを表2に示すように調製し、抗原特異的体液性応答を生じさせるそれらの能力を評価した。
表2:TLRアゴニストを含むアジュバント
これらのアジュバントの各々は、薬剤的に許容できる成分からなり、臨床試験に適し得る。エマルションおよびリポソーム製剤は、組成および処理方法に依存して、65~130nmの平均粒径を示したが、ミョウバン含有製剤は微粒子を含んでいた。アジュバントを精製した非タグ化LecAタンパク質と混合することによって9種の製剤を調製し、マウスを皮下で免疫した。1群あたり5匹のマウスを、対応するアジュバントと混合したLecA抗原で2週間間隔で3回皮下で免疫した。最後の免疫化の1週間後に採取した血漿サンプルを256,000倍希釈し、ELISAによりIgG1およびIgG2a産生について分析した。GLA 3M-052-リポソームアジュバント添加LecAによって誘発された*IgG2aレベルは、EM014(GLA-CpG-SE)および3M-052-エマルションを除く他の全ての群と比較して統計学的に有意であった。血漿IgGサブクラスの力価をELISAによって測定した(図2)。図2は、(GLA-3M-052-LSと表される)GLA(TLR-4アゴニスト)および3M-052(TLR-7/8アゴニスト)の混合物を含有するリポソーム製剤が、バランスのとれたIgG応答を示し、さらなる研究のために選択されたことを示す。
次に、細胞性免疫応答を示す抗原特異的サイトカイン産生を誘発するGLA-3M-052-LSの能力を調べた。脾細胞をインビトロでLecAで再刺激し、培養上清を分析した。LecAを含むアジュバント添加GLA 3M-052リポソームは、マウスモデルにおいて防御のマーカーである強いIFN-γ応答およびIL-17応答を誘発した(図3A~3D)。具体的には、マウスを3回目の免疫化の1週間後に安楽死させ、脾臓細胞をLecAで72時間再刺激した。細胞外IFN-γ、IL-17、IL-2、およびIL-4の産生は、Luminexにより培養上清中で検出し、pg/mlとして表した。*=p<0.05;**=p<0.001。
さらに、GLA 3M-052リポソームアジュバント添加LecA群由来のPBMCのみが、中等度であるが統計学的に有意な細胞内IFN-γ染色を示した。
コアジュバント(co-adjuvant)としてのオールトランスレチノイン酸(RA)の適合性も試験した。各群のマウスは、RAの週1回の注射を受けた。RA補助レジメンは、IFN-γおよびIL-17のレベルをさらに増加させた(同様に図3A~3D)。(アジュバント+LecA)群および(アジュバント+LecA+RA)群の両方が同等のIL-2応答を生じ、一方、RA補助レジメンはIL-4応答をわずかに高くした。
リポソームをベースとするワクチンもまた粘膜免疫化に適しているので、抗原特異的腸IgA応答を生成するその能力を試験するために、混合粘膜/非経口免疫レジメンを次の実験に使用した。
粘膜IgA応答およびその付着阻害能
マウスは、鼻腔内免疫化で初回刺激を受け、続いて皮下および鼻腔内で追加免疫された。RA補助群のマウスは、RAの週1回の注射を受けた。図4Aに示すように、アジュバント添加LecAは、抗原特異的であるロバストな粘膜IgA応答を生じた。RAが含まれていることは、IgA力価の増加に貢献した。赤痢アメーバ栄養体の標的細胞への付着は、感染の始まりにおける初期段階であり、重要な段階である。
粘膜IgAが実際に防御的であるかどうかを評価するために、インビトロでCHO細胞への寄生生物の付着をブロックするその能力を試験した。免疫されたマウスからの糞便上清との栄養体のプレインキュベーションは、栄養体の付着能を有意に低下させた(図4B)。(アジュバント+LecA)または(アジュバント+LecA+RA)レジメンからの糞便懸濁液は、同等な付着阻害能力を示した。したがって、アジュバント添加LecAは、インビトロで防御的である高い力価の腸IgA応答を誘発した。
相乗的TLRアゴニストを含有するナノリポソーム製剤は、腸内寄生生物チャレンジに対する防御能を有する
腸アメーバ症のマウスモデルを用いて、赤痢アメーバチャレンジに対して防御するGLA 3M-052リポソームアジュバントの能力を試験した。対照群および実験免疫化群からのマウスに、赤痢アメーバの毒性株を盲腸内でチャレンジし、抗原負荷(図5A)および生存寄生生物の存在(図5B)を評価するためにチャレンジの1週間後に盲腸を採取した。アジュバント添加LecAは、対照マウスと比較して抗原負荷を有意に減少させ、この減少はコアジュバント(co-adjuvant)としてのRAの使用でさらに顕著であった。現在のレジメンでのアジュバントは、中等度の34%の有効性を示した。しかし、レジメンにRAが含まれていることは、有効性を69.2%に実質的に改善した(表3)。ワクチン有効性を計算するために使用した式は以下であった。
有効性=100×(1-(感染したワクチン接種したマウスの%)/(感染を有するニセマウス(sham mice)の%)
アジュバント+LecA群の有効性=100×(1-46/69.2)=100×(1-0.66)=34%
表3:ワクチン有効性
これらのデータは、合成相乗的TLRアゴニストの混合物を含有するナノリポソーム製剤が、抗原特異的防御応答を生じる能力を有し、微量栄養素補助免疫化と適合性であることを支持する。
PEG長の効果
図6~7は、PEG750と比較してより高い応答がPEG2000製剤で観察されたことを示す。図6は、GLA-3M-052 PEG2000+LecA群のバランスのとれたIgG2aおよびIgG1力価を示し、また、GLA-3M-052 PEG750+LecA群と比較して、この群についてより高い力価があったことを示す。図7において、糞便粘膜IgA応答に対するPEG長の効果を調べた。図7は、GLA-3M-052 PEG2000+LecA群の糞便IgA応答が、GLA-3M-052 PEG750+LecA群よりも大きかったことを示す。したがって、リポソーム中のPEG長の増加は、粘膜IgA応答を増強した。
送達経路の効果
免疫化のための送達経路が免疫応答に影響を及ぼすかどうかを調べた。図8A~Bは、免疫化に対する送達経路の効果を示し、IN(鼻腔内)だけのレジメンは、最も高いIgG2aおよびIgA力価をもたらす。リポソーム+アジュバントは、ロバストな粘膜および全身のTh1免疫応答、腸抗LecA IgAを生じた(図16B)。
図9A~図9Bは、送達経路をさらに示す。鼻腔内だけのレジメンは、他のレジメンと比較して同等またはそれ以上のIFN-γおよびIL-17を生じた。LecA+リポソーム+アジュバントの粘膜のみのレジメンは、ロバストな粘膜および全身のTh1免疫応答、IFN-γを産生した(9A-B、表4)。鼻腔内送達がIgA(全身応答)応答を生じることは予想されなかった。これは、LecAを含むリポソーム中に製剤化したGLAおよび3M-052の粘膜送達が全身免疫を生じさせたことを示す。これらの結果は、組成物の非粘膜投与がIgG2a/IgG1比によって証明される、ロバストな全身免疫応答を生じることを実証する。驚くべきことに、組成物を粘膜表面に鼻腔内投与すると、鼻孔内の粘膜応答だけでなく、遠位の腸(糞便)粘膜応答も局所的に生じる。
表4:LecA+リポソーム+アジュバントの鼻腔内のみのレジメンは、ロバストな粘膜および全身のTh1免疫応答を生じた
本研究の重要な成果は、全身免疫応答および粘膜免疫応答を誘発することができる、合成TLRアゴニストを含有するナノリポソームアジュバントの同定であった。TLR4(GLA)およびTLR7/8(3M-052)アゴニストを含むリポソームベースのアジュバント系は、バランスのとれた体液性応答および強力なサイトカイン応答を生じた。GLAは、様々な第1相および第2相の臨床試験に用いられる脂質ベースのプラットフォームで製剤化される合成TLR4リガンドである。3M-052は、先進的な前臨床開発における合成TLR7/8リガンドである(Fox et al.Immunopotentiators in Modern Vaccines, 2nd ed, in press; Smirnov et al.Vaccine 2011, 29:5434; Zhao et al.J Immunother Cancer 2014, 2:12; Singh et al.J Immunol 2014, 193:4722)。GLAおよび3M-052のリポソーム製剤は、混合粘膜/非経口免疫化レジメンに適しており、強い粘膜IgA応答も誘発した。赤痢アメーバでチャレンジした免疫化マウスは、抗原負荷の実質的な低下を示した。GLA 3M-052ナノリポソーム製剤は、コアジュバント(co-adjuvant)としてのオールトランスレチノイン酸の使用に適合し、このようなレジメンは、防御の有効性および粘膜IgAレベルをさらに増加させた。
実施例2:インフルエンザワクチン用3M-052アジュバントの製剤化および試験
材料および方法
材料の製剤化および製造
3M-052は、3M Companyによって社内で合成された。R848は、3Mによって供給されたか、またはAxxora Life Sciences Inc. (カリフォルニア州サンディエゴ)から購入された。合成1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジヘキサデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-ラク-グリセロール)(DPPG)、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DPTAP)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-750](DPPE-PEG750)、および卵ホスファチジルコリン(PC)をAvanti Polar Lipids Inc(アラバマ州アラバスター)またはLipoid LLC(ニュージャージー州ニューアーク)から購入した。スクアレンをSigma(ミズーリ州セントルイス)から入手した。コレステロール、第一リン酸アンモニウム、および第二リン酸アンモニウムをJ.T.Baker(カリフォルニア州サンフランシスコ)から購入した。ポロキサマー188およびグリセロールをSpectrum Chemical(カリフォルニア州ガーデナ)から購入した。pH7.2のリン酸緩衝食塩水1×(PBS)をInvitrogen(ニューヨーク州グランドアイランド)から購入した。
DPPC、コレステロール、およびDPPE-PEG750を、有機溶媒(クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール/水混合物)中で様々な量の3M-052と混合することによって、小バッチ(≦20mL)のPEG化リポソーム製剤を製造した。次に、Genevac EZ-2を用いて有機溶媒を蒸発させた。脂質膜をPBS(pH7.2)または25mMリン酸アンモニウム緩衝液(pH5.7)に再水和させ、Crest powersonic CP230D(ニュージャージー州トレントン)超音波処理水浴中で約60℃で約2~3時間、または製剤が半透明で、大きな目に見える粒子がなくなるまで、超音波処理した。中性リポソーム(DOPC、コレステロール)、アニオン性リポソーム(DPPC、コレステロール、DPPG)、およびカチオン性リポソーム(DPPC、コレステロール、DPTAP)についても同様の手順に従った。リポソーム成分の重量比は以下の通りであった:PEG化(18:5.5:3,DPPC:choi:DPPE-PEG750),中性(20:5,DOPC:chol),アニオン性(18:5:2,DPPC:chol:DPPG),カチオン性(18:5:2,DPPC:chol:DPTAP)。より大きなバッチ(100mL)のPEG化リポソームは、上記のようではあるが、超音波処理時間を短時間にし、続いて30,000psiで12回連続通過の高せん断ホモジナイズ(Microfluidizer Ml 10P)で製造した。
R848を含有するリポソームは、リポソームを最初に75mM硫酸アンモニウム溶液で水和させたことを除いて、上記のように濃縮PEG化リポソーム組成物を製造することによって調製した。60℃約1時間の超音波処理後、PD-10カラム(GE Healthcare)を用いて、リポソームの外部緩衝液を0.9%生理食塩水に交換した。リポソームは、この時点で外部緩衝液中に生理食塩水を含み、内部に硫酸アンモニウムを含み、当該リポソームを、R848を含有する生理食塩水と混合し、60℃で1時間インキュベートした。最後に、リポソームを別のPD-10カラムに通して、カプセル化されていないR848を除去した。
水中油型安定エマルション(SE)は、DMPCまたは卵PCを含むクロロホルムに3M-052を溶解することによって製造した。次にロータリーエバポレーターを用いてクロロホルムを除去した。次いで、乾燥した脂質膜にスクアレンを添加し、ガラス容器を60℃の超音波処理水浴中に約1時間置いた。この混合物を油相と呼ぶ。あるいは、3M-052を(卵PCまたはクロロホルムを含まない)スクアレンおよびDMPCに直接分散させることによって油相を調製した。次いで、25mMリン酸アンモニウム緩衝液、0.037%(w/w)ポロキサマー188、および1.8%(v/v)グリセロール(等張剤)、4%v/vスクアレン、7.6mg/ml DMPCまたは卵PC、および様々な量の3M-052の最終濃度を得るために、水相を油相に添加した。いくつかのエマルションは0.02%v/vのα-トコフェロールも含有していた。混合物を60℃の水浴中でさらに10~15分間超音波処理することにより、粗製エマルションを作製した。高せん断ホモジナイザー(Microfluidizer M110P)を介して30,000psiでの約12回連続通過で粗製エマルションを処理することにより、最終エマルションを調製した。
上記のように濃縮エマルションを製造し、乾燥粉末R848またはリン酸アンモニウム緩衝液中のR848の溶液と混合することにより、R848を用いてエマルションを調製した。下記のインビボ実験の前に、エマルションおよびリポソームを0.2μm膜を通して濾過した。
製剤キャラクタリゼーション
3M-052およびR848の濃度は、最初にキュベット中で98%エタノール/2%HCl溶液に各製剤を20倍に希釈することによって評価した。サンプルを約322nmの吸光度についてHitachi U-3900H分光器(日本の東京)で分析した。粒径を、Malvern Instruments(イギリスのウスターシャー州)Zetasizer Nano-S、-ZS、または-APSを用いて評価した。1.5mlポリスチレン使い捨てキュベット中で超純水に製剤を100倍希釈した。各製剤について、3つの別々のキュベットを準備した。次いで、各キュベットにつき全てのサイズ測定を3回行った。ゼータ電位はMalvern Zetasizer Nano-ZSを用いて測定した。各製剤について、50μlを使い捨てキャピラリーセル(Malvern Instruments, DTS1070)で950μlの超純水と混合した。各調製したサンプル(製剤あたり1つのサンプル)から9回の測定値を収集した。
ウイルスストックおよびワクチン
本研究で使用したワクチン抗原は、全てA/Vietnam/1203/04(VN1203)インフルエンザウイルス由来であった。マウス免疫原性およびチャレンジ研究に用いた組み換えHAタンパク質(rHA)は、Protein Sciences Corpから入手した。フェレット免疫化およびチャレンジ研究では、臨床グレードのスプリットVN1203ワクチンをSanofi Pasteurから入手した。
示されている通りにH5N1株を10日齢の孵化鶏卵に接種することにより、マウスおよびフェレットチャレンジ研究のためのウイルスストックを得た。清澄化した尿膜腔液を濾過し、使用するまで-80℃で保存した。ウイルス力価は、標準的なアッセイを使用した記載の通りのMDCK細胞(ATCC #CCL-34)上のプラークアッセイによって求めた。
フェレット全血刺激アッセイ
雄のケナガイタチフェレット(Fitch ferret)から採取した全血を採取し、イミキモド(TLR7)、TLR7/8アゴニストCL057(Invivogen)、および合成TLR4アゴニストGLAを含むTLRアゴニスト化合物と共にインキュベートした。インキュベーション後、RNA全血抽出キット(Qiagen)を用いて、刺激した対照および生理食塩水対照の両方からRNAを回収した。TLR7、TLR8、IL-1β、およびIL-8についてのRNAのレベルを、リアルタイムPCRによって測定した。発現レベルの変化は、生理食塩水で刺激した血液サンプルに対するRNAレベルの倍数変化としてグラフ化した。
マウスのチャレンジ研究
マウスチャレンジ研究では、6~8週齢の雌のC57Bl/6マウスの群を、示されているようにアジュバントと組み合わされた組み換えH5N1 HAタンパク質(VN1203株,Protein Sciences Corp.)で免疫した。全ての免疫化は、両肢間で均等な総容量100μLのスプリットでの筋肉内経路によるものであった。免疫化の21日後、1×106PFUのA/VN/1203/05(H5N1 Clade 1)をマウスにチャレンジした。チャレンジ後1日目から、全ての動物を体重減少についてモニタリングし、重症感染症の徴候を観察した。0日目の体重の>25%を失ったことが分かった動物は、安楽死させた。
フェレットのチャレンジ研究
全ての免疫化およびチャレンジ研究のために、雄のケナガイタチフェレット(Fitch ferret)(Mustela putoris fero, Triple F Farms, Sayre PA)を使用した。フェレットの免疫化は、四頭筋に250μLを注射することにより行った。全ての動物は、全米パンデミック備蓄(national pandemic stockpile)から供給された0.5μgのスプリットA/Vietnam/1203/04 H5N1ワクチン(Sanofi Pasteur)を受けた。抗体力価を測定するための血清サンプルを、免疫化の21日後に採取した。
チャレンジは、1×105~5×105PFUのウイルスを50μL(25μL/nare)の容量で肺に滴下することによって開始した。感染後、動物を観察し、毎日秤量してウイルス誘発罹患をモニタリングした。チャレンジ前の体重の25%を失っている動物は、全て安楽死させた。
プラークアッセイ
ウイルス力価は、メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞におけるプラークアッセイによって得られた。簡単に述べると、10%ウシ胎児血清(FBS)およびペニシリン/ストレプトマイシンを補充したダルベッコー修飾イーグル培地(DMEM)中1×106細胞/ウェルで、6ウェルディッシュに、アッセイ開始の24時間前に、細胞を播種した。アッセイ開始時に、コンフルエントなMDCK単層をDMEMで3回洗浄してFBSを除去した。連続希釈した鼻洗浄液サンプルを100μL容量で単層に加え、37℃で60分間インキュベートした。インキュベーション後、1×L-15培地(Lonza)中の0.8%アガロース(SeaKem)2mLで単層を覆った。48~72時間のインキュベーション後、クリスタルバイオレット(BD)染色後にプラークを定量した。
赤血球凝集阻害(HAI)アッセイ
赤血球凝集素阻害アッセイは、WHOプロトコルに従って実施した。(52)ホルマリン不活性化H5N1抗原は、国立生物学的製剤研究所(National Institute for Biological Standards and Control)(NIBSC)から入手した。全ての細胞を、洗浄した1%ウマ赤血球(RBC)(Lampire)を用いてアッセイした。
マイクロ中和アッセイ
中和抗体力価は、偽型レンチウイルス粒子を用いて測定した。簡単に述べると、H5N1およびHAを発現するプラスミドならびに3つのレンチウイルスパッケージングプラスミド;ウイルス粒子にパッケージングされ、CMV直前のプロモーターの制御下でルシフェラーゼ導入遺伝子をコードするpDR8.74(55)、pRSV-Rev、およびHR’-CMV-Lucを293T細胞に同時トランスフェクションすることによって、偽型粒子を得る。ダルベッコー修飾イーグル培地(DMEM)+10%ウシ胎児血清(FBS)中5×103個のMDCK細胞/ウェルで24時間前に播種した黒色平底96ウェルプレート(Corning)でウイルスストックの力価を測定した。ウイルス力価測定の前に、細胞を200μLのDMEMで3回洗浄してDMEMを除去し、連続希釈したウイルスストックで覆った。導入遺伝子の発現を可能にするための72時間のインキュベーション後、形質導入細胞中のルシフェラーゼのレベルを、BrightGloルシフェラーゼ(Promega)を用いて製造業者の指示に従って測定した。
中和分析のために、連続希釈した免疫後血清を1×104の相対ルシフェラーゼ単位(RLU)を含む希釈ウイルスストックと1:1の比で混合した。ウイルス血清混合物を37℃で1時間インキュベートし、上記のように洗浄したMDCK細胞を含むプレートに添加した。全ての形質導入細胞におけるルシフェラーゼ発現レベルの評価後、中和力価を測定した。IC90抗体力価は、ベクター形質導入対照細胞と比較してルシフェラーゼレベルを10倍低下させることが観察された血清の最大希釈として定義される。
HAアレイ
インフルエンザHAタンパク質を含むHAアレイは、これまでに記載されている(56)。本研究で使用したアレイは、第2世代であり、様々なインフルエンザ株(Sinobiological)由来の278のHAタンパク質を含む。ワクチン接種後の免疫分析のために、アレイを最初にPBS+1%ウシ胎仔血清+0.1%Tween-20でブロックし、Protein Array Wash Buffer(ArrayIt)で3回洗浄し、300μLの1:100希釈の免疫後マウス血清で振とうしながら1時間インキュベートした。一次インキュベーション後、アレイを洗浄緩衝液で5回洗浄し、IgG2c(Jackson Immunoresearch, Part #: 115-495-208)およびIgG1(Life Technologies, Part#: A21123)のフルオロフォア結合二次抗体と1:2000希釈でインキュベートした。室温で30分間のインキュベーション後、アレイをRinse Buffer(Arrayit)ですすぎ、Molecular Dynamics 400Bアレイスキャナーを用いて分析した。取得後の分析は、Tableauデータ分析ソフトウェアを使用して行った。
ELISA
免疫化の7日後および21日後に、IgG、IgG1、およびIgG2cのHA特異的エンドポイント力価を測定した。高結合ポリスチレン384ウェルプレートを、室温で2.5時間、0.1M重炭酸塩コーティング緩衝液中の組み換えVN1203 HA(Protein Sciences Corp.)(2μg/ml)でコーティングした。室温で0.05%PBS-Tween20+1%BSAで2時間ブロッキングインキュベーションを行う前後に、プレートを0.1%PBS-Tween20で3回洗浄した。マウス血清を、0.05%PBS-Tween20+0.1%BSA中で、Nanonscreen NSX-1536を用いて連続希釈し、4℃で一晩インキュベートし、5回洗浄した。プレートを、抗マウスIgGT、IgG1、またはIgG2c-HRP(Southern Biotechnologies)で振とう機上で1時間インキュベートした。5回の洗浄後、SureBlueテトラメチルベンジジン基質(Kirkegaard & Perry Laboratories)を用いてNanoscreenロボット上にプレートを展開した。Multipette Sagianロボットを用いて、1N H2SO4で酵素反応を停止させた。Synergy ELISAプレートリーダー(Biotek)およびGen5ソフトウェアを用いて450~570nmでプレートを読み取った。
細胞内サイトカイン染色
ワクチン特異的T細胞応答を定量するために、脾細胞をワクチン接種後群あたり5匹のマウスから単離した。赤血球をRed Blood Cell Lysis Buffer(eBioscience)を用いて溶解し、cRPMI 1640(10%FBS,1%ペニシリン/ストレプトマイシン;0.1%2-メルカプトエタノール)に再懸濁した。細胞を96ウェルプレートに107細胞/ウェルで播種し、37℃で培地またはrHA抗原(10μg/mL)で2時間刺激した。1:50GolgiPlug(BD Biosciences)を添加し、細胞を37℃でさらに8時間インキュベートした。細胞を洗浄し、CD4(クローンRM4-5)、CD8(クローン53-6.7)、CD44(クローンIM7)、およびB220(RA3-6B2)(BioLegendおよびeBioscience)に対する1%BSA-PBS中の蛍光色素標識抗体で、抗CD16/32(クローン93)の存在下で、室温で暗所で15分間、細胞表面を染色した。細胞を固定し、Cytofix/Cytoperm(BD Biosciences)を用いて暗所で室温で30分間透過処理した。細胞を
Perm/Wash(BD Biosciences)で洗浄し、以下のような細胞内サイトカインを検出するために、蛍光色素標識抗体で染色した:IFN-γ(クローンXMG-1.2)、IL-2(JES6-5H4)、TNF(MP6-XT22)、IL-5(クローン:TRFK5)、およびIL-10(クローン:JES5-16E3)(BioLegendおよびeBioscience)。染色を暗所で室温で15分間実施した。細胞を洗浄し、1%BSA-PBSに再懸濁し、30~40μmのPP/PE 96フィルタープレート(Pall Corp)を用いて濾過した。4つのレーザーLSR Fortessaフローサイトメーター(BD Biosciences)で最大106のイベントを収集した。データをFlowJo(Treestar)で分析した。
結果
アニオン性、カチオン性、またはPEG化リン脂質で修飾されたDPPCベースのリポソーム、および中性DOPCベースのリポソームは、薄膜技術およびその後の超音波処理によって製造した。リポソームは、種々のリポソーム組成物との非適合性の傾向を強調するために、1mg/mlの高濃度3M-052で製造した。各リポソームについて2つの別々のバッチの後、PEG化リポソームおよびDOPCリポソームは、超音波処理後、半透明の外観ならびに最小の粒径および多分散性を示した(表5)。
表5:3M-052のリポソームおよびエマルション製剤の製剤特性
さらなる安定性およびインビボ評価のためにPEG化リポソームを選択した。PEG化リポソームは負に荷電しており(表6)、DPPE-PEG750のアニオン性リン酸基に起因する可能性が最も高い。
表6:3M-052を含有する代表的なリポソームおよびエマルション製剤のゼータ電位
リポソームは、5℃で6ヶ月以上の間、粒径の変化をほとんどまたは全く示さなかった(図10A~10B)。概して、製造中の3M-052の喪失は、はっきりとは分からなかった。
3M-052のスクアレンベースの水中油型エマルション(SE)製剤を顕微溶液化により製造し、多分散性が低く、長期間の粒径の安定性を有する<100nmサイズの液滴が得られた(図10A~10B)。エマルションゼータ電位値はわずかに負であった(表6)。驚くべきことに、DPMCの代わりに卵PCを用いて製造したエマルションは、処理後3M-052のより高い回収率をもたらした。さらに、クロロホルム中で3M-052を卵PCと混合する初期混合工程を加えることにより、乾燥粉末をクロロホルムを含まないスクアレン/卵PCに超音波処理するのに比べて、3M-052の回収率がさらに増加した。したがって、エマルション組成および処理手順の変化は、最終製剤中の3M-052取り込みに有意な効果を有していた。以下の表7を参照されたい。
表7 エマルション製造後の3M-052の回収率
H5N1 HAと組み合わせた製剤化3M-052は、単回免疫化後の致命的なH5N1チャレンジからマウス防御する
3M-052アジュバント製剤の安定性の実証(図10AおよびB)に続いて、HA特異的ワクチン応答を増強するこのTLRアゴニストの能力を調べた。PEG化リポソーム中またはスクアレン水中油型エマルション(SE)中のいずれかで製剤化した3M-052を、組み換えインフルエンザHA H5N1タンパク質(A/Vietnam/1203/04株[VN1203],Protein Sciences Corp.,コネチカット州メリデン)と混合し、筋肉内経路を介してC57Bl/6マウスの群(N=20/群)を免疫化するために使用した。単回免疫化の21日後、全てのマウスに1000 LD50のVN1203を鼻腔内にチャレンジした。10匹の動物を14日間追跡し、体重減少および死亡率によって測定したウイルス誘発性罹患率を求めた。リポソームアジュバント製剤では、3M-052はウイルス誘発性罹患を予防し、rH5またはリポソームと組み合わせたrH5単独を受けた動物の50%が生き残ったのに比べて、rH5+3M-052-リポソームを受けた動物の100%が生き残った(図11A)。rH5+3M-052-リポソームで免疫したマウスは、体重減少を示さなかったが、リポソーム有りまたは無しでrH5を受けた動物は、チャレンジ後11日間で体重を減少させた(図11B)。エマルションベースの製剤を受けた動物は、インフルエンザアジュバントとしてのエマルションの既知の有効性と一致して、3M-052有りまたは無しの両方で一貫した生存率を示した(図11A)。しかしながら、TLR7/8アゴニストと組み合わせたエマルションを受けた動物は、rH5+SEを受けた動物と比較して、急性感染期間にわたり体重減少の低下を示した(図11C)。
動物を生存についてモニタリングすることに加えて、チャレンジ後4日目および7日目に5匹の動物/群を安楽死させて、肺におけるインフルエンザ誘発性症状を測定/観察し、肺ウイルス力価を求めた。チャレンジ後4日目では、rH5+3M-052アジュバント製剤で免疫した動物は、非免疫化対照と比較して肺ウイルス力価を有意に低下させた。rH5+3M-052-リポソームで免疫した動物は、この時点で検出可能なウイルス力価を有していなかった(図11D)。7日目では、3M-052ベースのアジュバント製剤を受けた動物は、rH5単独と比較してウイルス力価が最小であった。リポソームおよびSEベースの製剤の両方について、3M-052の添加は、TLRなしの同じ製剤と比較して、力価の有意な低下をもたらした(図11E)。ウイルス力価の低下に加えて、rH5+3M-052アジュバント製剤で免疫化した動物は、肺重量の有意な低下を示し(図11F)、肺病理スコアを低下させた(図11G)。まとめると、これらの結果は、致死的トリインフルエンザチャレンジの臨床的続発症からもマウスを防御する3M-052の能力を実証している。図11Hは、肺ウイルス力価を示す。
3M-052アジュバント製剤は、マウスにおけるTh1 CD4 T細胞応答を誘発する
3M-052含有アジュバント製剤について防御の相関を調べるために、アジュバントと組み合わせたrH5による免疫後に誘発されたCD4 T細胞応答を調べた。単回免疫化の後、CD4+ T細胞からのサイトカイン産生を調べた。Th1サイトカイン陽性細胞(IFNγ/TNFα/IL-2)のレベルは、3M-052アジュバント製剤で免疫した動物で、低レベルであるが検出可能であることを実証することができた(図12A~C)。標準Th1 CD+ T細胞は、動物で防御的であることが示された全てのアジュバント製剤で観察することができた。以前の研究と一致して、これらのデータは、低レベルの抗原によるワクチン接種後のマウスにおいてTh1偏性細胞応答を誘発する3M-052の能力を実証している。
3M-052アジュバント製剤は、H5N1 HAに対して拡大した交差亜型抗体応答を誘発する
製剤化3M-052アジュバントによる免疫化後のTh1 CD4 T細胞(IFNγ+TNTa+IL-2+)の誘発が観察された(図12)。第2世代の高密度HAタンパク質アレイを使用して、Clade1 rH5抗原によって誘発された抗体応答を広げる3M-052の能力を調べた。本研究で使用するHAアレイは、HA亜型1~16からの1つ以上の代表を含む、278個の個々のHAタンパク質を含む。様々な亜型由来のHAタンパク質に結合するIgG1およびIgG2c抗体の両方の能力を調べた。アジュバントの添加は、追加免疫後に誘発された抗体のレベルを増加させた。SEおよびリポソームアジュバントは、H5亜型タンパク質への結合の増加を示し、IgG1応答が優勢であった。いずれかの製剤に3M-052を添加することにより、抗体応答の有意な拡大がもたらされ、広範なHA亜型に結合し、交差反応性IgG2c抗体の誘発ももたらされた。(データは示さず)
アレイ上のH5株の試験は、3M-052製剤による免疫化後の交差クレード結合応答を明らかに実証した。3M-052-リポソームおよび3M-052-SEで免疫した動物の両方が、複数のH5N1ウイルスクレードからのタンパク質に結合したIgG2c抗体のレベルの増加を示した。対照的に、IgG1レベルは3M-052の存在に依存しなかった。HAアレイからの知見を検証するために、VN1203 HAをコーティング抗原として用いたELISAによる免疫後マウス血清中の抗体エンドポイント力価を測定した。血清ELISAによって観察された結果は、HAアレイで観察された結果を反映していた。(データは示さず)
TLR7/8アゴニストは、フェレット全血において受容体およびサイトカインmRNAを増強する
イミダゾキノリンがフェレットで同族TLR受容体を刺激することができることを確認するために、全血刺激アッセイを実施した。雄のイタチフェレット(Fitch ferret)からの全血を採取し、イミダゾキノリンまたは合成TLR4アゴニストグルココラノシルリピドA(GLA)で刺激した。サイトカインおよびTLR受容体mRNAの両方を刺激するアゴニスト分子の能力を、リアルタイムPCRを用いて調べた。100μMのR848(他の種では公知のTLR7/8アゴニスト,3M)および100μMのCL075(他の種では公知のTLR8アゴニスト,Invivogen)の両方での全血の刺激は、IL-1B、IL-8、TLR7、およびTLR8 mRNAの有意な増加をもたらした。この結果は、イミダゾキノリンがフェレット受容体を刺激する能力を実証し、フェレットが、インフルエンザ疾患のこのモデルにおいて役割を果たし得る、活性TLR7およびTLR8の両方を有することを示唆している。
製剤化3M-052アジュバントは、(H5N1抗原との併用で)単回免疫化後のフェレットにおいてH5N1チャレンジに対する防御を増強する
マウスで有望な結果が得られ、イミダゾキノリンがフェレットTLRを刺激し得ることが確認されたため、3M-052含有アジュバントが単回免疫後の致命的なH5N1チャレンジからフェレットを防御する能力を調べた。これらの研究のために、3M-052有りおよび無しの中性リポソームおよびSEアジュバントを、VN1203由来のH5N1スプリットウイルスワクチン(Sanofi)(SP-H5)と併用した。この抗原は、現在米国の全米パンデミック備蓄(national pandemic stockpile)に含まれており、以前の研究で臨床的に試験されているため、選択した。簡単に述べると、H5N1抗原単独を用いた用量設定試験の後(データは示さず)、示されたアジュバントと混合した0.5μgのSP-H5で、筋肉内経路により、4~6匹のフェレットの群を免疫した(図13)。免疫後21日目に、フェレットに106PFUのA/VN/1203/04を鼻腔内でチャレンジし、体重減少、臨床スコア、および生存について14日間追跡した。さらに、チャレンジ後1日目から始めて1日おきに、鼻洗浄液を採取した。1つの研究において、3M-052/SEは、SP-H5+SEで免疫した動物と比較して、チャレンジから動物を完全に防御した(図13A)。3M-052/SEは、SE単独と比較してウイルス誘発性罹患率も低下させ、SP-H5+3M-052/SEで免疫した動物は、チャレンジ後に体重減少がなく(図13B)、感染を通して最小の臨床スコアしか有しなかった(図13C)。同様の結果が、リポソームアジュバント製剤で動物を免疫した後の第2の実験で観察された。3M-052-リポソームは100%の動物をチャレンジから防御した(図13E)。SEベースの製剤と同様に、SP-H5+3M-052リポソームで免疫した動物は体重減少がなく(図13F)、臨床スコアが無視できる程度であった(図13G)。恐らく最も重要なことに、肺ウイルス力価の試験は、SEおよびリポソーム製剤の両方において、3M-052が鼻洗浄液においてウイルス出芽を減少させることができることを示している。3M-052/SE(図13D)または3M-052/リポソーム(図13H)で免疫した動物は、他のアジュバントまたは対照動物と比較して、チャレンジの3日後にすぐに有意な減少を示した。両方の場合において、3M-052アジュバントを受けた全ての動物において、5日目までにウイルスが検出できないレベルまで除去された。
3M-052アジュバント製剤は、フェレットにおいて交差クレード中和抗体応答を誘発する
マウスで観察された広範なHA特異的抗体応答およびフェレットでの相同ウイルスに対して我々が観察したロバストな防御に基づいて、ルシフェラーゼ導入遺伝子をパッケージングするH5N1 HA偽型レンチウイルスベクターを用いる様々なアジュバント製剤による免疫化後に誘発された中和抗体力価を直接調べた。簡単に述べると、連続希釈した血清サンプルを、H5N1 HAおよびNAタンパク質を表面に含むレンチウイルス粒子と共にインキュベートした。血清-ウイルス混合物を、MDCK細胞のコンフルエントな単層上でインキュベートした。ウイルスにパッケージされたルシフェラーゼ導入遺伝子の発現を可能にするインキュベーション後、ルシフェラーゼ遺伝子発現の定量によって血清サンプルの中和能を測定した。これらの研究で観察された生存率の増加と一致して、3M-052/SEおよび3M-052/リポソームアジュバントは、単回注射後21日目の血清中のIC90中和力価を増加させた(図14A、D)。さらに、両方の製剤は、Clade 2ウイルスに対する中和力価を有意に増加させ、A/Indo/5/05 [Clade 2.1]およびA/Whooper swan/Mongolia/244/05[Clade 2.2]に対するIC90力価の増加が観察された(図14B~F)。この知見は、変異したインフルエンザ株に対する広範な機能的中和抗体力価を誘発する製剤化3M-052の能力と一致する。
3M-052-SEは交差クレード防御応答を誘発する
VN1203抗原による免疫化後のA/Whooper swan/Mongolia/244/05に対して観察された中和力価を考慮して、VN1203抗原によるワクチン接種後の肺におけるウイルス複製を減少させる製剤化3M-052の能力を調べた。以前の研究と同様に、フェレットを、製剤化3M-052と組み合わせたSP-H5で1回免疫し、21日後に5×105PFUのウイルスでチャレンジした。3M-052/リポソームを受けた動物は、経時的なウイルス出芽の中程度の減少を示し、3M-052/リポソームを受けた動物は、チャレンジ後5日目に検出可能なウイルスを有しておらず、一方、リポソームまたは抗原のみを受けた他の動物は、
この時点で検出可能なウイルスを有していた(図15B)。対照的に、3M-052-SEを受けた動物は、チャレンジの3日後から検出可能なプラークを有さず、迅速にウイルスを除去したが、SP-H5+SEを受けた動物は、5日目まで検出可能なウイルス力価を示した(図15A)。
結果の議論
ここで示した結果は、動物を製剤化TLR7/8アゴニスト3M-052で免疫した場合、H5N1ウイルスによる高用量(1000 LD50)チャレンジ後のマウスおよびフェレットにおける防御を示す。3M-052はいずれの製剤にも配合され、これらの製剤は長期間安定である。3M-052の新規PEG化リポソーム製剤は、低用量(100ng)の組み換えHAベースの抗原と組み合わせた場合、生存率を高め、肺ウイルス力価を低下させることが観察された。さらに、3M-052およびDMPCまたは卵PCをスクアレン水中油型エマルションに組み込む製剤を試験し、rHAと組み合わせたこの製剤で、生存率の上昇および肺力価の低下が示された。3M-052で免疫した動物におけるTh1 CD4+ T細胞の誘発が観察された。Th1 CD4+ T細胞誘発と一致して、3M-052免疫動物におけるIgG2c抗体の増加が観察された。相同性および異種性ウイルス株の両方に対する防御を誘発する3M-052含有アジュバント製剤の能力、ならびに製剤化3M-052アジュバントの長期間の安定性は、これらの製剤が備蓄に適していることを示す。さらに、これらのアジュバントと現在全米の備蓄に含まれているプレパンデミックワクチン抗原との適合性が実証されており、混合ワクチンは、系統が一致した分離株および変異した分離株の両方からフェレットを防御することができることが示されている。
実施例3:PEG化リポソーム万能性
PEG化リポソーム製剤の万能性を試験するために、追加の脂質をコレステロール、非PEG化中性脂質、およびPEG化脂質の基本製剤に添加した。1以上の追加の中性脂質および1以上の追加のカチオン性脂質の添加は、得られたリポソーム製剤の安定性または有効性に悪影響を及ぼさなかった(データは示さず)。