JP7145087B2 - 拡翼掘削機 - Google Patents

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Description

本発明は、拡翼掘削機に関する。
連続地中壁等の壁杭の支持力強化手法として、壁杭の有する二つの広幅面の一方もしくは双方に拡幅部(もしくは、拡底部、拡張部)を形成する(片側拡底、両側拡底)手法が挙げられる。この拡幅部により、壁杭の支持力の増加に加えて、壁杭の引抜き抵抗力の増加も図ることができる。そのため、アスペクト比が大きく、転倒モーメントが卓越して引抜き力が課題となり得る高層ビルや超高層ビル、高層タワー等の基礎杭として、拡幅部を有する壁杭は好適となる。尚、この拡幅部は、「突起」や「節」なとど称されることもあり、壁厚方向に直交する壁の延伸方向に間欠的に複数の突起状もしくは節状の拡幅部が形成される形態や、壁の延伸方向に連続する拡幅部が形成される形態などがある。
従来、上記する拡幅部を有する壁杭の施工方法が種々提案されている。一つの施工方法は、鉛直方向を軸として回転するケリーバーと、このケリーバーの先端に取り付けられ、ケリーバーの回転に伴って回転して地盤を掘削する径方向に開閉自在なバケットと、を備える掘削装置を用いて、節状の拡張部が形成された杭を施工する杭施工方法である。より具体的には、予め形成された掘削孔に閉じた状態のバケットを挿入する工程と、バケットを開きながらケリーバーを所定の角度範囲で正回転および逆回転を繰り返して、バケットで掘削孔の内壁面の一部を掘削することにより、節状の拡張部に対応する拡張空間を形成する工程と、掘削孔の中にコンクリートを打設して節状の拡張部が形成された杭を形成する工程とを有する(例えば、特許文献1参照)。
他の施工方法は、平面形状が矩形状の矩形柱部を有する軸部と、地盤の支持層において軸部の底部が拡大した平面形状が円状の拡底部とを備え、拡底部は軸部の底部における全周に亘って側方に拡大するように構成されている杭の構築方法である。より具体的には、軸部を形成するための孔を掘削する第1工程と、第1工程の後に孔の底部を拡底する第2工程とを有する。第1工程では、地上から吊り下げられる掘削機本体、掘削機本体に設けられて水平軸の周りに回転する掘削歯、掘削機本体の姿勢を検出する姿勢検出装置、及び掘削機本体の姿勢を修正する姿勢修正装置を有するリバースサーキュレーション型で水平多軸型の掘削機を使用して掘削機本体の姿勢を姿勢検出装置により検出し、姿勢修正装置にて掘削機本体の姿勢を修正しながら孔を掘削する。第2工程では、複数の軸が接続されたロッド、ロッドの先端に取付けられた掘削機本体、及び掘削機本体に回転半径を調整可能に設けられた拡幅ビットを有するリバースサーキュレーション型の掘削機を使用して、第1工程で掘削した孔の底部を拡底する(例えば、特許文献2参照)。
特許第4380452号公報 特許第5696516号公報
特許文献1,2のいずれの壁杭の施工方法においても、拡底掘削機のベースマシンとしてアースドリル掘削機が適用され、ケリーバーの先端に拡底バケットを搭載し、所定の深度において拡底バケットを開き、バケットを回転させることにより拡底掘削を行う。このようにケリーバーを用いて拡底掘削する場合、駆動モータが地上部にあることから駆動トルクが低減され、掘削可能深度に限界があるといった課題を有している。また、例えば特許文献1においては、節状の拡張部のための孔を長方形状の掘削孔の一方側に形成することにより、隣地境界と干渉することなく拡張部を有する壁杭を施工できるとしている。しかしながら、ケリーバーにて拡底バケットを支持しながら掘削を行う方法であることから、掘削時の反力にてケリーバーが押されて拡底バケットが位置ずれし、掘削精度が低下するといった課題を有している。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、多様な掘削深度に対応でき、掘削精度に優れた拡翼掘削機を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による拡翼掘削機の一態様は、
ベースマシンと、前記ベースマシンからワイヤにて吊り下げられている拡翼掘削体と、を有し、直方体状の壁杭の二つの広幅面の少なくとも一方に拡幅部を有する壁杭の孔壁を造成する、拡翼掘削機であって、
前記拡翼掘削体は、
平面視において前記壁杭の壁厚に直交する方向に延出する回動軸を有し、孔壁に反力を取るスタビライザを有する架構と、
前記回動軸に対して前記壁杭の壁厚方向に回動自在な拡翼カッタと、
前記回動軸に対して前記拡翼カッタを回動させる回動駆動手段と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、ケリーバーを適用することなく、ワイヤにて吊り下げられている拡翼掘削体を適用する(ワイヤリングによる拡翼掘削体の投入)ことにより、拡翼掘削体が地中にて駆動できることから、多様な掘削深度に対応しながら壁杭の拡幅部の孔壁を造成することができる。さらに、スタビライザにて孔壁に反力を取りながら拡翼掘削体の姿勢制御を行うことにより、優れた掘削精度の下で壁杭の拡幅部の孔壁を造成することができる。本態様の拡翼掘削機では、拡翼掘削体をワイヤにて吊り下げるベースマシンとして、クローラクレーンやトラッククレーン等を適用することができる。拡翼掘削体の有する架構において壁杭の壁厚に直交する方向に回動軸が延出し、この回動軸に対して拡翼カッタが壁杭の壁厚方向に回動自在に取り付けられている。すなわち、従来の透かし掘り掘削工法(SATT工法)のように、壁杭の壁厚方向に直交する方向(壁杭の延長方向)に拡翼カッタが回動して、埋設物等の直下を掘削する方法に対して、拡翼カッタの回動方向が90度相違する。直方体状の壁杭内にある回動軸を中心に拡翼カッタが回動しながら掘削を行うことにより、二つの広幅面の双方に拡幅部の孔壁を造成できることは勿論のこと、二つの広幅面の一方側に官民境界等の隣地境界が存在する場合は、隣地境界の反対側となる広幅面の片方側にのみ拡幅部の孔壁を造成することができる。
また、本発明による拡翼掘削機の他の態様は、前記回動軸の長手方向に複数の前記拡翼カッタが回動自在に並設されていることを特徴とする。
本態様によれば、回動軸の長手方向にある複数の拡翼カッタが回動して掘削することにより、壁杭の延長方向に延びる拡幅部の孔壁を効率的に造成することができる。例えば、一つの回動軸に対して複数の拡翼カッタが回動自在に取り付けられている、一列多軸型の拡翼掘削機において、回動軸を中心に全ての拡翼カッタを同一方向である例えば時計回りに回動させることにより、直方体状の壁杭の二つの広幅面の一方に拡幅部の孔壁が造成される。次いで、回動軸を中心に全ての拡翼カッタを同一方向である他の反時計回りに回動させることにより、直方体状の壁杭の二つの広幅面の他方に拡幅部の孔壁を造成することができる。
また、本発明による拡翼掘削機の他の態様は、平面視において複数の前記回動軸が間隔を置いて並設し、それぞれの該回動軸の長手方向に複数の前記拡翼カッタが回動自在に並設されていることを特徴とする。
本態様によれば、複数の回動軸が間隔を置いて並設し、それぞれの回動軸の長手方向にある複数の拡翼カッタが回動して掘削することにより、壁杭の延長方向に延びる拡幅部の孔壁をより一層効率的に造成することができる。例えば、並設する二つの回動軸に対して複数の拡翼カッタが回動自在に取り付けられている、二列多軸型の拡翼掘削機において、一方の回動軸に取り付けられている全ての拡翼カッタを同一方向である例えば時計回りに回動させ、同時に、他方の回動軸に取り付けられている全ての拡翼カッタを同一方向である他の反時計回りに回動させることにより、直方体状の壁杭の二つの広幅面の双方に拡幅部の孔壁を同時に造成することができる。
また、本発明による拡翼掘削機の他の態様において、前記拡翼掘削機は揚泥ポンプをさらに有し、
前記拡翼カッタは、前記回動軸に対して回動するシャフトと、該シャフトの周囲に配設されている掘削ビットとを有し、
複数の前記拡翼カッタのうち、少なくとも一つの拡翼カッタの有するシャフトには、前記揚泥ポンプに連通して掘削泥が通過する排泥通路が形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、拡幅部の孔壁を造成した際に直方体状の壁杭の内部に溜まる掘削泥土を、拡翼カッタの有するシャフト内の排泥通路を介して揚泥ポンプにて排泥することができる。そのため、例えば、直方体状の壁杭(壁杭一般部)の孔壁を造成する際に適用される排泥機構を有する例えば回転式掘削機と、拡幅部の孔壁を造成する際に適用される拡翼掘削機とを交互に入れ替えることなく、拡翼掘削機により、拡幅部の孔壁を造成と発生した掘削泥土の排泥を行うことが可能になる。
また、本発明による拡翼掘削機の他の態様において、前記拡翼掘削機は給水ポンプをさらに有し、
複数の前記拡翼カッタのうち、少なくとも一つの拡翼カッタの有するシャフトは、内管と外管を有する二重管構造を備えており、
前記内管と前記外管のいずれか一方は前記排泥通路であり、他方は前記給水ポンプから提供された流体を前記掘削ビットに給水する給水通路であることを特徴とする。
本態様によれば、例えば粘着力のあるシルト層等を拡翼カッタが掘削した際に、掘削ビットに掘削泥土が付着した場合においても、給水ポンプから提供された流体を給水通路を介して掘削ビットに供給することにより掘削ビットから掘削泥土を取り除くことができる。そのため、掘削ビットに掘削泥土が付着して掘削不能になるといった問題は生じない。
また、本発明による壁杭の施工方法の一態様は、
直方体状の壁杭の一般部と、該一般部の二つの広幅面の少なくとも一方にある拡幅部と、を有する壁杭の造成方法であって、
一般部掘削機により、前記直方体状の壁杭の一般部造成孔を造成するA工程と、
前記拡翼掘削機により、前記一般部造成孔の二つの広幅面の少なくとも一方にある拡幅部造成孔を造成し、この際、前記一般部造成孔の下端に泥溜めを設けておき、該泥溜めに前記拡幅部造成孔を造成した際の掘削泥土を溜めておくB工程と、
少なくとも前記一般部掘削機により、前記泥溜めに溜められている掘削泥土を排泥するC工程と、
前記一般部造成孔に鉄筋籠を設置し、該一般部造成孔と前記拡幅部造成孔にコンクリートを打設して拡幅部を有する壁杭を施工するD工程と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、一般部掘削機による一般部造成孔(もしくはガイド造成孔)の造成と、本発明による拡翼掘削機による拡幅部造成孔の造成により、直方体状の壁杭の一般部とこの一般部の二つの広幅面の少なくとも一方にある拡幅部とを有する壁杭の孔壁を効率的に造成することができる。一般部造成孔の造成の後、拡幅部造成孔の造成に際しては、一般部造成孔の下端に泥溜めを設けておくことにより、拡幅部造成孔を造成した際に発生する掘削泥土を一時的に仮溜めしておくことができ、その後に一般部掘削機による排泥をスムーズに行うことができる。ここで、「一般部掘削機」としては、例えば、排泥機構を有する水平多軸型掘削機等が挙げられ、本発明による拡翼掘削機とは異なる形態の掘削機である。また、C工程における「少なくとも一般部掘削機により泥溜めに溜められている掘削泥土を排泥する」とは、水平多軸型掘削機等の一般部掘削機のみにより掘削泥土を排泥することの他に、一般部掘削機に加えて本発明による拡翼掘削機により掘削泥土を排泥することが含まれる。例えば、上記するように、拡翼カッタの有するシャフト内の排泥通路を介して揚泥ポンプにて排泥する形態の拡翼掘削機を適用する場合には、後者の排泥形態を適用することができる。
また、本発明による壁杭の施工方法の他の態様は、前記B工程と前記C工程を、前記一般部造成孔の二つの広幅面に対してそれぞれ行うことを特徴とする。
本態様によれば、例えば本発明による一列多軸型の拡翼掘削機を適用することにより、B工程とC工程にて直方体状の一般部造成孔の二つの広幅面の一方に拡幅部造成孔を造成し、次いで、同様にB工程とC工程にて一般部造成孔の広幅面の他方にも拡幅部造成孔を造成することができる。
また、本発明による壁杭の施工方法の他の態様は、複数の前記回動軸が並設されている拡翼掘削機を使用する場合において、
前記B工程と前記C工程を、前記一般部造成孔の二つの広幅面に対して同時に行うことを特徴とする。
本態様によれば、例えば本発明による二列多軸型の拡翼掘削機を適用することにより、B工程とC工程にて、直方体状の一般部造成孔の二つの広幅面の双方に拡幅部造成孔を同時に造成することができる。
本発明の拡翼掘削機によれば、多様な掘削深度に対応でき、優れた掘削精度の下で拡幅部を有する壁杭を造成することができる。
第1の実施形態に係る拡翼掘削機の一例の側面図である。 第1の実施形態に係る拡翼掘削機の有する拡翼掘削体の一例の正面図である。 図2のIII方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。 図2のIV方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の底面図である。 拡翼掘削体の有する回動駆動手段の一例の側面図である。 (a)は排泥通路を有する拡翼カッタを下方から見た図であり、(b)は排泥通路と給水通路を有する拡翼カッタを下方から見た図である。 第2の実施形態に係る拡翼掘削機の有する拡翼掘削体の一例の正面図である。 図7のVIII方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。 図7のIX方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の上面図である。 図7のX方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の底面図である。 拡翼掘削体の有する回動駆動手段の一例の側面図である。 第3の実施形態に係る拡翼掘削機の拡翼掘削体の一例の正面図である。 図12のXIII方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。 第4の実施形態に係る拡翼掘削機の拡翼掘削体の一例の正面図である。 図14のXV方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。 第5の実施形態に係る拡翼掘削機の拡翼掘削体の一例の正面図である。 図16のXVII方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。 第6の実施形態に係る拡翼掘削機の拡翼掘削体の一例の正面図である。 図18のXIX方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。 図18のXX方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の底面図である。 第7の実施形態に係る拡翼掘削機の拡翼掘削体の一例の正面図である。 図21のXXII方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。 第1の実施形態に係る壁杭の施工方法の一例の工程図である。 第2の実施形態に係る壁杭の施工方法の一例の工程図である。
以下、各実施形態に係る拡翼掘削機と壁杭の施工方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[第1の実施形態に係る拡翼掘削機]
はじめに、図1乃至図6を参照して、第1の実施形態に係る拡翼掘削機の一例について説明する。ここで、図1は、第1の実施形態に係る拡翼掘削機の一例の側面図であり、図2は、第1の実施形態に係る拡翼掘削機の有する拡翼掘削体の一例の正面図である。また、図3は、図2のIII方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図であり、図4は、図2のIV方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の底面図である。さらに、図5は、拡翼掘削体の有する回動駆動手段の一例の側面図である。
拡翼掘削機50は、例えば、直方体状の壁杭の一般部と、この一般部の二つの広幅面の少なくとも一方にある拡幅部と、を有する壁杭の施工に当たり、直方体状の壁杭の一般部造成孔D1(もしくはガイド造成孔)から拡幅部造成孔D2を造成する際に適用される掘削機であり、一般部造成孔D1の造成は後述するように水平多軸型掘削機等の一般部掘削機により行われる。尚、造成される壁杭は、直方体状の壁杭の一般部の二つの広幅面の双方において、もしくは、二つの広幅面の一方において、壁の延伸方向に間欠的に複数の突起状もしくは節状の拡幅部が形成される形態や、壁の延伸方向に連続する拡幅部が形成される形態などがある。
拡翼掘削機50は、地盤Gの地表面において走行自在なクローラクレーンからなるベースマシン10と、ベースマシン10のブームから吊り下げられているワイヤ20と、ワイヤ20の先端に取り付けられている拡翼掘削体30とを有する。尚、ベースマシン10は、クローラクレーン以外にも、走行自在であって、ワイヤ20を介して拡翼掘削体30を掘削孔内にワイヤリングできるトラッククレーン等の他の重機であってもよい。
拡翼掘削体30は、鋼材を組み付けて構成された架構31と、架構31の側方において孔壁側へ伸縮自在なスタビライザ32と、架構31の下端にある回動軸34に回動自在に取り付けられている複数の拡翼カッタ33とを有する。
図1に示す一般部造成孔D1は、壁厚方向が視認できるように図示されており、壁杭の壁厚方向に直交する方向(壁杭の延長方向)が紙面に直交する方向となる。図示する拡翼カッタ33は、壁杭の壁厚に直交する方向に延出する回動軸34を中心に壁厚方向であるX1方向やX2方向に回動することにより、拡幅部造成孔D2を造成する。すなわち、従来の透かし掘り掘削工法(SATT工法)のように、壁杭の壁厚方向に直交する方向に拡翼カッタが回動して、埋設物等の直下を掘削する方法に対して、拡翼カッタ33の回動方向は90度相違する。図1においては、一般部造成孔D1の二つの広幅面に対してそれぞれ拡幅部造成孔D2が造成されることにより形成される壁杭造成孔Dが示されているが、例えば、一般部造成孔D1の左側に官民境界等の隣地境界が存在する場合は、隣地境界の反対側となる一般部造成孔D1の広幅面の右側にのみ拡幅部造成孔D2が造成されることにより、壁杭造成孔Dが形成される。
また、図1に示す拡翼掘削機50は、地上に載置されている揚泥ポンプ40を有しており、拡翼カッタ33の有する排泥通路に連通する流通管38が揚泥ポンプ40に通じている。以下で詳説するように、揚泥ポンプ40を稼働させることにより、拡翼カッタ33にて掘削されて発生した泥土を地上に排泥することができるようになっており、排泥機構を備えた一般の水平多軸型掘削機と同様に拡翼掘削機50も排泥自在となっている。
図2及び図3に示すように、架構31の下端には、一本の回動軸34が壁杭の壁厚に直交する方向に延出しており、回動軸34には複数(図示例は三本)の拡翼カッタ33が回動自在に並設している。このように、図示例の拡翼掘削機50は、一列多軸型(一列三軸型)の掘削機である。
三本の拡翼カッタ33のうち、左右端の拡翼カッタ33の頭部には自身を回転させる回転モータ35が搭載されており、中央の拡翼カッタ33Aはギヤリング36を介して左側の回転モータ35から伝達された駆動力により回転自在となっている。従って、図4に示すように、左端の拡翼カッタ33のY1方向の回転によって中央の拡翼カッタ33Aがギアを介してY2方向に回転する。右端の拡翼カッタ33は中央の拡翼カッタ33Aとは独立して自身の回転モータ35によりY2方向に回転する。
拡翼カッタ33,33Aは、回動軸34に対して回動するシャフト33aと、シャフト33aの周囲に配設されている複数の掘削ビット33bとを有する。図2に示すように、隣接する拡翼カッタ33,33Aは、双方の掘削ビット33bが干渉しない態様で相互に一部ラップするようにして配設されている。そのため、拡翼カッタ33,33Aの各シャフト33aが回転して掘削した際に、掘削されない領域が発生することはなく、全体が均一に三本の拡翼カッタ33,33Aにより掘削される。
中央の拡翼カッタ33Aが頭部に回転モータ35を備えていないことにより、揚泥ポンプ40に通じている流通管38と中空のシャフト33aを連通させることができる。
また、図3に示すように、架構31の上下の左右位置において、孔壁側へX3方向に伸縮自在な複数のスタビライザ32が配設されており、各スタビライザ32を適宜伸長することにより、孔壁に反力を取りながら拡翼掘削体30の姿勢制御を実行することができる。すなわち、各スタビライザ32により拡翼掘削体30の姿勢制御が行われた後、回動軸34を中心に各拡翼カッタ33,33Aを同一方向に所望角度までX1方向もしくはX2方向に回動させることにより、一般部造成孔D1の二つの広幅面の少なくとも一方において、高い掘削精度の下で拡幅部造成孔D2を造成することが可能になる。尚、スタビライザ32による伸長量を調整することにより、多様な壁厚の一般部造成孔D1を造成することができる。
尚、図3において、一般部造成孔D1の下方に泥溜めD3を形成するようにして拡幅部造成孔D2の造成が行われる。このことにより、拡幅部造成孔D2の造成の際に発生した掘削泥土を泥溜めD3に仮に溜めておくことができ、水平多軸型掘削機等の一般部掘削機や拡翼掘削機50にて泥溜めD3から掘削泥土を排泥することが可能になる。
また、図5に示すように、回動軸34を中心とした複数の拡翼カッタ33,33Aの回動は、回動軸34の上方斜め左右位置にある二本の油圧シリンダ37(回動駆動手段の一例)により実行される。図5に示すように、複数の拡翼カッタ33,33Aを左方向であるX1方向に回動させる際には、右側にある油圧シリンダ37のピストンロッド37aをZ1方向に伸長させることにより、ピストンロッド37aの先端に回動自在に装着されているリンク37bを介して、複数の拡翼カッタ33,33Aを同時にX1方向に回動させることができる。一方、複数の拡翼カッタ33,33Aを右方向であるX2方向に回動させる際には、左側にある油圧シリンダ37のピストンロッド37aをZ2方向に伸長させることにより、ピストンロッド37aの先端に回動自在に装着されているリンク37bを介して、複数の拡翼カッタ33,33Aを同時にX2方向に回動させることができる。
図6は、二種の拡翼カッタを下方から見た図であり、図6(a)は、排泥通路を有する拡翼カッタを下方から見た図であり、図6(b)は排泥通路と給水通路を有する拡翼カッタを下方から見た図である。図6(a)に示す拡翼カッタ33Aは、シャフト33aの中央に排泥通路33cを有する。回動軸34に対して回動自在に並設する三本の拡翼カッタ33,33Aのうち、中央に位置する拡翼カッタ33Aが排泥通路33cを有することにより、例えば、図3に示す拡幅部造成孔D2の造成の際に発生した掘削泥土を、排泥ポンプ40の稼働により、排泥通路33cを介し、流通管38を介して地上に排泥することができる。
一方、図6(b)に示す拡翼カッタ33Bは、内管と外管を有する二重管構造を備えており、内管が排泥通路33eとなり、外管が給水ポンプから提供された流体を掘削ビット33bに給水する給水通路33dとなっている。例えば粘着力のあるシルト層等を拡翼カッタ33が掘削した際に、掘削ビット33bに掘削泥土が付着した場合においても、給水ポンプから提供された流体を給水通路33dを介して掘削ビット33bに供給することにより掘削ビット33bから掘削泥土を取り除くことができる。このように、三本の拡翼カッタ33,33Bのうち、中央に位置する拡翼カッタ33Bが排泥通路33eと給水通路33dを有する二重管構造を備えている形態においては、図1において、地上には、給水ポンプと給水タンク(いずれも図示せず)がさらに載置される。
拡翼掘削機50によれば、ケリーバーを適用することなく、ワイヤ20にて吊り下げられている拡翼掘削体30を一般部造成孔D1にワイヤリングして拡幅部造成孔D2を造成することにより、拡翼掘削体30が地中にて駆動できることから、多様な掘削深度に対応しながら拡幅部造成孔D2を造成することができる。さらに、スタビライザ32にて孔壁に反力を取りながら拡翼掘削体30の姿勢制御を行うことにより、優れた掘削精度の下で拡幅部造成孔D2を造成することができる。
[第2の実施形態に係る拡翼掘削機]
次に、図7乃至図11を参照して、第2の実施形態に係る拡翼掘削機の一例について説明する。ここで、図7は、第2の実施形態に係る拡翼掘削機の有する拡翼掘削体の一例の正面図である。また、図8は、図7のVIII方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図であり、図9は、図7のIX方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の上面図であり、図10は、図7のX方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の底面図である。さらに、図11は、拡翼掘削体の有する回動駆動手段の一例の側面図である。
図示する拡翼掘削体30Aは、複数(図示例は二本)の回動軸34が水平方向に間隔を置いて並設し、それぞれの回動軸34の長手方向に複数(図示例は四本)の拡翼カッタ33が回動自在に並設されている二列多軸型(図示例は二列八軸型)の拡翼掘削体であり、図1に示すベースマシン10からワイヤ20を介して拡翼掘削体30Aが吊り下げられることにより掘削機が形成される。
図9に示すように、各列の回動軸34に取り付けられている四本の拡翼カッタ33のうちの一つの拡翼カッタ33の頭部に回転モータ35が搭載され、この回転モータ35に対して他の拡翼カッタ33はギヤリング36を介して回転自在に係合している。従って、各列ともに一基の回転モータ35により、四本の拡翼カッタ33のそれぞれの回転が図10に示すように実行されるようになっている。尚、各列の二本もしくは三本の拡翼カッタ33の頭部に回転モータ35が搭載される形態であってもよく、頭部に回転モータ35が搭載されていない拡翼カッタ33は、図6(a)や図6(b)に示す排泥通路や給水通路を有しているのが望ましい。
また、図8及び図9に示すように、各列の四本の拡翼カッタ33は、各列に固有の油圧シリンダ37により、各列ともにそれぞれの四本の拡翼カッタ33が同時に回動されるようになっている。図8に示すように、各油圧シリンダ37は傾斜して延出しており、ピストンロッド37aの先端に回動自在に取り付けられているリンク37bが回動軸34に取り付けられている。図8及び図11に示すように、右側にある油圧シリンダ37のピストンロッド37aがZ3方向に伸長することにより、リンク37bを介し、右側の回動軸34を介して右側の四本の拡翼カッタ33が右側のX2方向に回動する。一方、左側にある油圧シリンダ37のピストンロッド37aがZ4方向に伸長することにより、リンク37bを介し、左側の回動軸34を介して左側の四本の拡翼カッタ33が左側のX1方向に回動する。これら二方向の回動が同時に行われることにより、図8に示すように、一般部造成孔D1の左右に拡幅部造成孔D2を同時に造成することができる。
拡翼掘削体30Aを備えた拡翼掘削機によっても、ケリーバーを適用することなく、ワイヤ20にて吊り下げられている拡翼掘削体30Aを適用することにより、拡翼掘削体30Aが地中にて駆動できることから、多様な掘削深度に対応しながら拡幅部造成孔D2を造成することができる。その際、一般部造成孔D1の左右に拡幅部造成孔D2を同時に造成できることから、壁杭造成孔Dの効率的な造成が実現される。また、スタビライザ32にて孔壁に反力を取りながら拡翼掘削体30の姿勢制御を行うことにより、優れた掘削精度の下で拡幅部造成孔D2を造成することができる。さらに、二列の多軸の拡翼カッタ33を左右方向に回動させて掘削することにより、掘削時の反力が相殺され、このことによっても掘削精度の向上を図ることができる。
[第3乃至第7の実施形態に係る拡翼掘削機]
次に、図12乃至図22を参照して、第3乃至第7の実施形態に係る拡翼掘削機の一例について説明する。
図12は、第3の実施形態に係る拡翼掘削機の拡翼掘削体の一例の正面図であり、図13は、図12のXIII方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。図示する拡翼掘削体30Bは、ワイヤ20により吊り下げられている一般の水平多軸型掘削機のカッタ本体内において、拡翼式カッタ33が内蔵されている形態である。水平多軸型掘削機にて一般部造成孔D1を造成後、油圧シリンダ37をZ1方向に稼働することにより、カッタ本体から拡翼カッタ33を側方のX1方向に回動させて拡幅部造成孔D2を造成する。掘削した土砂は水平多軸型掘削機に装備されているドラムカッタ61で小割し、本体に内蔵されている水中サンドポンプ69により地上まで排泥する。この構成により、従来のSATT工法で適用されている透かし堀り掘削機と異なり、拡幅部造成孔D2の造成後に掘削機を入れ替えて排泥する必要がなくなることから、高効率な施工を実現できる。
一方、図14は、第4の実施形態に係る拡翼掘削機の拡翼掘削体の一例の正面図であり、図15は、図14のXV方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。図示する拡翼掘削体30Cは、ワイヤ20により吊り下げられている架構31の下方において、複数(図示例は二つであるが、例えば四つが方形に配設される等の形態もある)の小径の面板付きカッタ62が併設され、相互にラップするようにして配設されている形態である。各面板付きカッタ62は壁厚方向に間隔を置いて並ぶ複数の油圧シリンダ37により支持されており、一方の油圧シリンダ37を稼働させることにより、面板付きカッタ62を左右いずれか一方に回動させるようになっている。尚、図示例は、左側の油圧シリンダ37をZ2方向に稼働させ、面板付きカッタ62を右側にX2方向に回動させている状態を示している。拡翼掘削体30Cによれば、複数の小径の面板付きカッタ62により、矩形に近い掘削出来形の拡幅部造成孔D2を造成することができる。尚、面板付きカッタ62を深度方向に並べることにより、拡幅部造成孔D2の長さを調整することが可能になる。
一方、図16は、第5の実施形態に係る拡翼掘削機の拡翼掘削体の一例の正面図であり、図17は、図16のXVII方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。図示する拡翼掘削体30Dは、ヌーローの三角形の定義をベースに、センターシャフト63から数本の切削スポーク64が放射方向に延出するヌーローカッタ65が、ワイヤ20により吊り下げられている架構31の下方に装備されている形態である。ヌーローカッタ65は壁厚方向に間隔を置いて並ぶ複数の油圧シリンダ37により支持されており、一方の油圧シリンダ37を稼働させることにより、ヌーローカッタ65を左右いずれか一方に回動させるようになっている。尚、図示例は、右側の油圧シリンダ37をZ1方向に稼働させ、ヌーローカッタ65を左側にX1方向に回動させている状態を示している。センターシャフト63の回転芯を任意に変化させることにより、矩形に近い形状に掘削することができる。
一方、図18は、第6の実施形態に係る拡翼掘削機の拡翼掘削体の一例の正面図であり、図19は、図18のXIX方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図であり、図20は、図18のXX方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の底面図である。図示する拡翼掘削体30Eは、ワイヤ20により吊り下げられている架構31の下方において、複数の鉛直回転軸67が間隔を置いて配設され、鉛直方向に積層される複数のトラック状のベルト66A(もしくはチェーン)が左右端の鉛直回転軸67に架け渡されている形態である。一つもしくは複数の鉛直回転軸67が回転モータ35により駆動され、ベルト66Aを介して全ての鉛直回転軸67が回転される。ベルト66Aの外周面には多数の掘削ビットが取り付けられており、ベルト66Aの回転により、ベルト66Aの幅に相当する掘削が行われる。尚、図示例は二列多軸型の形態であり、各列に固有の油圧シリンダ37を稼働させることにより、各列の鉛直回転軸67及びベルト66Aが左右方向であるX1方向及びX2方向に回動して拡幅部造成孔D2を造成する。
さらに、図21は、第7の実施形態に係る拡翼掘削機の拡翼掘削体の一例の正面図であり、図22は、図21のXXII方向矢視図であって、拡翼掘削体の一例の側面図である。図示する拡翼掘削体30Fは、ワイヤ20により吊り下げられている架構31の下方において、複数の水平回転軸68が間隔を置いて配設され、水平方向に並設される複数のトラック状のベルト66B(もしくはチェーン)が上下端の水平回転軸68に架け渡されている形態である。一つもしくは複数の水平回転軸68が回転モータ35により駆動され、ベルト66Bを介して全ての水平回転軸68が回転される。ベルト66Bの外周面には多数の掘削ビットが取り付けられており、ベルト66Bの回転により、ベルト66Bの幅に相当する掘削が行われる。回転機構を上方からみるとTRD掘削機のような水平多軸型を呈しており、水平多軸型ゆえに均等に地盤を掘削できることから掘削効率が向上する。尚、図示例は二列多軸型の形態であり、各列に固有の油圧シリンダ37を稼働させることにより、各列の水平回転軸68及びベルト66Bが左右方向に回動して拡幅部造成孔D2を造成する。
[第1の実施形態に係る壁杭の施工方法]
次に、図23を参照して、第1の実施形態に係る壁杭の施工方法の一例について説明する。ここで、図23は、(a)から(g)にかけて順に、第1の実施形態に係る壁杭の施工方法の一例の工程図である。第1の実施形態に係る壁杭の施工方法は、図1乃至図6に示す一列多軸型の拡翼掘削体30を有する拡翼掘削機50により拡幅部造成孔D2を造成し、壁杭を施工する方法である。
工程(a)において、例えば低空頭の水平多軸型掘削機からなる一般部掘削機70により、直方体状の壁杭の一般部造成孔D1を造成する。左右一対のカッタは、掘削機本体の下端に配設されている水平二軸のロータリーカッタ71であり、油圧ユニットに動力ケーブルを介して接続され、油圧ユニットの駆動力により回転して地盤を解す。また、揚泥ポンプ72はホースを介して土砂分離機(図示せず)に接続され、孔内から孔内水とともに土砂を吸い上げて土砂分離機に送るようになっている(以上、A工程)。
一般部造成孔D1が造成された後、工程(b)において、一般部掘削機70と拡翼掘削機50を交換し、クローラクレーンからなるベースマシン10から吊り下げられているワイヤ20を介して、拡翼掘削体30を一般部造成孔D1の所定深度まで吊り下げる。そして、拡翼掘削体30の有する複数のスタビライザ32にて孔壁に反力を取りながら、拡翼掘削体30の姿勢制御を行う。
次いで、工程(c)において、回動軸34を中心に、複数の拡翼カッタ33を一般部造成孔D1の左側へX1方向に所定の回動角度まで回動させながら掘削を行うことにより、一般部造成孔D1の左側において拡幅部造成孔D2を造成する。ここで、拡幅部造成孔D2の造成に当たり、一般部造成孔D1の下方に泥溜めD3を形成するようにして拡幅部造成孔D2の造成を行う。このことにより、拡幅部造成孔D2の造成の際に発生した掘削泥土を泥溜めD3に仮に溜めておくことができる(以上、B工程)。
次いで、工程(d)において、拡翼掘削機50と一般部掘削機70を交換し、一般部掘削機70にて泥溜めD3に仮溜めされている掘削泥土を外部に排泥する。尚、工程(c)において、排泥ポンプ40を稼働させることにより、拡翼掘削機50にて掘削泥土の一部を排泥することもできる(以上、C工程)。
泥溜めD3から掘削泥土を排泥した後、工程(e)において、一般部掘削機70と拡翼掘削機50を再度交換し、拡翼掘削体30を一般部造成孔D1の所定深度まで吊り下げ、スタビライザ32にて孔壁に反力を取りながら拡翼掘削体30の姿勢制御を行う。そして、回動軸34を中心に、複数の拡翼カッタ33を一般部造成孔D1の右側へX2方向に所定の回動角度まで回動させながら掘削を行うことにより、一般部造成孔D1の右側において拡幅部造成孔D2を造成する。この拡幅部造成孔D2の造成に当たっても、一般部造成孔D1の下方に泥溜めD3を形成するようにして拡幅部造成孔D2の造成を行う(以上、2度目のB工程及びC工程)。
次いで、工程(f)において、拡翼掘削機50と一般部掘削機70を再度交換し、一般部掘削機70にて泥溜めD3に仮溜めされている掘削泥土を外部に排泥することにより、工程(g)に示すように、一般部造成孔D1と左右の拡幅部造成孔D2により形成される壁杭造成孔Dを造成する。
壁杭造成孔Dが造成された後、図示を省略するが、一般部造成孔D1に鉄筋籠を設置し、一般部造成孔D1と拡幅部造成孔D2にコンクリートを打設して拡幅部を有する壁杭を施工する(以上、D工程)。
図示する壁杭の施工方法によれば、拡幅部造成孔D2の造成に際して拡翼掘削機50を適用することにより、多様な掘削深度に対応しながら拡幅部造成孔D2を造成することができる。さらに、孔壁に反力を取りながら拡翼掘削体30の姿勢制御を行うことにより、優れた掘削精度の下で拡幅部造成孔D2を造成することができる。尚、一般部造成孔D1の一方側に官民境界等の隣地境界が存在する場合は、隣地境界の反対側となる片方側にのみ拡幅部造成孔D2を造成し(例えば、図23の高低(d)までで壁杭造成孔が造成される)、壁杭が施工される。
[第2の実施形態に係る壁杭の施工方法]
次に、図24を参照して、第2の実施形態に係る壁杭の施工方法の一例について説明する。ここで、図24は、(a)から(e)にかけて順に、第2の実施形態に係る壁杭の施工方法の一例の工程図である。第2の実施形態に係る壁杭の施工方法は、図7乃至図11に示す二列多軸型の拡翼掘削体30Aを有する拡翼掘削機50Aにより拡幅部造成孔D2を造成し、壁杭を施工する方法である。
工程(a)において一般部造成孔D1を造成した後、工程(b)において、一般部掘削機70と拡翼掘削機50Aを交換し、クローラクレーンからなるベースマシン10から吊り下げられているワイヤ20を介して、拡翼掘削体30Aを一般部造成孔D1の所定深度まで吊り下げ、スタビライザ32にて孔壁に反力を取りながら、拡翼掘削体30の姿勢制御を行う。
次いで、工程(c)において、二列の回動軸34を中心に、それぞれの回動軸34を中心に複数の拡翼カッタ33を一般部造成孔D1の左右側へX1方向及びX2方向に所定の回動角度まで同時に回動させながら掘削を行うことにより、一般部造成孔D1の左右側においてそれぞれ拡幅部造成孔D2を造成する。
次いで、工程(d)において、拡翼掘削機50Aと一般部掘削機70を交換し、一般部掘削機70にて泥溜めD3に仮溜めされている掘削泥土を外部に排泥することにより、工程(e)に示すように、一般部造成孔D1と左右の拡幅部造成孔D2により形成される壁杭造成孔Dを造成する。壁杭造成孔Dが造成された後、一般部造成孔D1に鉄筋籠を設置し、一般部造成孔D1と拡幅部造成孔D2にコンクリートを打設して拡幅部を有する壁杭を施工する。
図示する壁杭の施工方法によっても、拡幅部造成孔D2の造成に際して拡翼掘削機50Aを適用することにより、多様な掘削深度に対応しながら拡幅部造成孔D2を造成することができる。また、孔壁に反力を取りながら拡翼掘削体30の姿勢制御を行うことにより、優れた掘削精度の下で拡幅部造成孔D2を造成することができる。特に、二列の多軸の拡翼カッタ33を左右方向に回動させて掘削することにより、掘削時の反力が相殺され、このことによっても掘削精度の向上を図ることができる。さらに、一般部造成孔D1の左右の拡幅部造成孔D2を一度に造成することができるため、工期の短縮を図ることができる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:ベースマシン、20:ワイヤ、30,30A,30B,30C,30D,30E,30F:拡翼掘削体、31:架構、32:スタビライザ、33,33A,33B:拡翼カッタ、33a:シャフト、33b:掘削ビット、33c:排泥通路、33d:給水通路、33e:排泥通路、34:回動軸、35:回転モータ、36:ギヤリング、37:回動駆動手段(油圧シリンダ)、37a:ピストンロッド、37b:リンク、38:流通管、40:排泥ポンプ、50,50A:拡翼掘削機、61:ドラムカッタ、62:面板付きカッタ、63:センターシャフト、64:切削スポーク、65:ヌーローカッタ、66A,66B:ベルト、67:鉛直回転軸、68:水平回転軸、69:水中サンドポンプ、70:一般部掘削機(水平多軸型掘削機)、71:ロータリーカッタ、72:揚泥ポンプ、G:地盤、D:壁杭造成孔、D1:一般部造成孔、D2:拡幅部造成孔、D3:泥溜め

Claims (4)

  1. ベースマシンと、前記ベースマシンからワイヤにて吊り下げられている拡翼掘削体と、を有し、直方体状の壁杭の二つの広幅面の少なくとも一方に拡幅部を有する壁杭の孔壁を造成する、拡翼掘削機であって、
    前記拡翼掘削体は、
    平面視において前記壁杭の壁厚に直交する方向に延出する回動軸を有し、孔壁に反力を取るスタビライザを有する架構と、
    前記回動軸に対して前記壁杭の壁厚方向に回動自在な拡翼カッタと、
    前記回動軸に対して前記拡翼カッタを回動させる回動駆動手段と、を有し、
    前記回動軸の長手方向に複数の前記拡翼カッタが回動自在に並設されており、
    複数の前記拡翼カッタのうちの一つの拡翼カッタの頭部に回転モータが搭載され、
    該回転モータに対して他の拡翼カッタがギヤリングを介して回転自在に係合していることを特徴とする、拡翼掘削機。
  2. 平面視において複数の前記回動軸が間隔を置いて並設し、それぞれの該回動軸の長手方向に複数の前記拡翼カッタが回動自在に並設されていることを特徴とする、請求項に記載の拡翼掘削機。
  3. 前記拡翼掘削機は揚泥ポンプをさらに有し、
    前記拡翼カッタは、前記回動軸に対して回動するシャフトと、該シャフトの周囲に配設されている掘削ビットとを有し、
    複数の前記拡翼カッタのうち、少なくとも一つの拡翼カッタの有するシャフトには、前記揚泥ポンプに連通して掘削泥が通過する排泥通路が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の拡翼掘削機。
  4. 前記拡翼掘削機は給水ポンプをさらに有し、
    複数の前記拡翼カッタのうち、少なくとも一つの拡翼カッタの有するシャフトは、内管と外管を有する二重管構造を備えており、
    前記内管と前記外管のいずれか一方は前記排泥通路であり、他方は前記給水ポンプから提供された流体を前記掘削ビットに給水する給水通路であることを特徴とする、請求項に記載の拡翼掘削機。
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