JP6077986B2 - 障害地盤杭打設装置及び障害地盤に鋼管杭を打設する方法 - Google Patents

障害地盤杭打設装置及び障害地盤に鋼管杭を打設する方法 Download PDF

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Description

本発明は、障害地盤杭打設装置及び障害地盤に鋼管杭を打設する方法に関するものである。本明細書において、障害地盤とは、堅い岩盤の他、過去に構築した地中コンクリート構造物が土中に存在するもの、堆積層に岩塊が存在するものを含む概念である。
公知の鋼管杭の施工法として、リバースサーキュレーション工法や、中掘り工法などが挙げられる。中掘り工法は、既成杭の中空部にオーガを建て込み、杭先端の地盤を掘削しながら所定の深さまで杭を貫入していく工法である。また、特殊な工法として、鋼管杭等を常時回転させて周面摩擦を低減させ、小さな圧入力で杭の貫入施工が可能となるように、杭本体を全旋回マシンでキャッチングして回転させ、杭内部にセットしたシャフトにより送水される掘削水をシャフト先端の掘削ヘッドから吐出させながら、全旋回マシンの4本の油圧ジャッキにより掘削圧入を繰り返し、杭を貫入させるものがある。掘削泥水は、原則として正循環方式で杭頭部の排水管により排出するものも知られている。
また、特許文献1には、鋼管を無振動・無騒音で打設するリバース式の中掘り工法が提案されている。この工法は、鋼管杭や鋼管矢板の内部に掘削機をガイドとスタビライザーで上下自在に設け、当該掘削機の作動でビットを回転させて鋼管先端土砂を先行掘削し、掘削された土砂をビット先端の吸込口から吸い込み、排出管を通じて外部に排出し、掘削された孔に鋼管を押込み装置により下降させ、前記先行掘削と鋼管の押し込みを順次繰り返して鋼管を地中深く打設するものである。
前述のリバース工法や特許文献1のリバース式の中掘り工法では、礫質土地盤を掘削する際、ドリルパイプの内径より大きな径の礫は、ドリルパイプや内部で詰まることがある。中掘り工法は、小型の全旋回マシンを用いて杭を回転させているため、鋼管矢板の施工が困難である。また、掘削水を掘削ヘッドから吐出させ、杭の頭部から外部へ排水しており、掘削時における循環水の方向が強制汲み上げ式でないため、リバース工法に比べて掘削能力や施工効率が劣るという問題がある。
特許文献1のリバース式の中掘り工法の場合、先行掘削と鋼管の押し込みを順次繰り返して鋼管を地中に打設するため、施工に時間がかかり、施工効率が悪い。また、鋼管内面にガイドを設け、掘削機本体の側面にスタビライザーを設けるため、構造が複雑である。
礫質土地盤でも掘削が可能で、空頭制限のある場所や狭小場所などでも精度の良い杭の施工が可能なものとして、特許文献2には、鋼管杭や鋼管矢板等の中空杭をリバース式の中掘り工法で地中に打設する施工方法が開示されている。当該施工方法は、ドリルパイプの先端に掘削ビットを有する回転掘削機を前記中空杭の内部に挿入して固定し、前記掘削ビットで中空杭の先端部を掘削すると共に、内管と外管から構成されるドリルパイプの先端吸込口における内管または外管の先端部に水平軸または垂直軸の回りを回転自在に設けられた破砕ビットを内管または外管の回転により回転駆動して杭先端掘削土砂中の礫を破砕し、杭先端掘削土砂を供給水と共に前記ドリルパイプの先端吸込口から吸引して地上に排出し、圧入装置により中空杭を圧入することを含んでいる。そして、この工法は、空頭制限(上空制限)下や狭小場所、その他の場所における杭の施工に適用されるもので、回転駆動源、回転駆動装置、固定装置などを備えた掘削機本体と、掘削ビットを回転させるロッドとリバースサーキュレーションの泥水の排出管を兼ねるドリルパイプからなる回転掘削機を中空杭の内部に挿入し、掘削機本体を固定装置で固定し、圧入装置により中空杭を圧入しながら正逆回転する掘削ビットで杭先端部を掘削する。特許文献2では、破砕ビットは、杭先端部中心部を掘削する掘削ビットを兼ねており、先端吸込口の周囲に配置し、先端吸込口を閉塞することなく礫を破砕できるようにされている。この破砕ビットは、適宜の手段で回転させるとしていて、破砕ビットは、例えば、ドリルパイプの回転力により回転させており、ドリルパイプの内管または外管の回転を、歯車を用いて破砕ビットの水平軸または垂直軸回りの回転に変換している。
特許文献2に開示された鋼管杭や鋼管矢板等の中空杭をリバース式の中掘り工法で地中に打設する施工方法は、ドリルパイプが外管と内管とを有することを必須としているため構成が複雑になるという問題がある。
さらに特許文献3には、掘削用のビット付きのファーストチューブの再利用を可能とし、資材の無駄遣いとをなくするとともに、杭の損傷や変形を防止することができる杭施工方法を提供することを目的とした杭施工方法が開示されている。当該杭施工方法(地盤に杭を施工する杭施工方法)は、管状のケーシングの下端部の結合部に、下端部に掘削用のビットが取付けられた管状のファーストチューブの上端部の結合部を着脱可能に取付ける第1工程と、前記ケーシング及びファーストチューブを削孔用の掘削機に建て込み、該ケーシングを該掘削機により回転させつつ下降させて、前記ファーストチューブにより地盤にリング溝を形成する第2工程と、前記ケーシングを引上手段により引き上げて前記ファーストチューブを前記リング溝から抜いた後、前記ケーシングと前記ファーストチューブのそれぞれの前記結合部を分離する第3工程と、前記ケーシングの前記結合部に管状の本杭の上端部の結合部を着脱可能に取付け、該ケーシング及び該本杭を前記掘削機に建て込み、前記ケーシングを前記掘削機により回転させつつ下降させて、前記リング溝に前記本杭を挿入させる第5工程と、前記ケーシングを逆回転させて、該ケーシングと前記本杭のそれぞれの前記結合部を分離し、該ケーシングのみを前記引上手段により引き上げる第6工程と、を備えている。
特許文献3の杭施工方法によれば、ケーシングにビット付きのファーストチューブを取付けて、掘削機によりケーシングを回転させつつ下降させることにより地盤にリング溝を形成した後、ファーストチューブをリング溝から抜き、ファーストチューブに替えて本杭をケーシングに取付け、リング溝に本杭を挿入させており、これにより、ビット付きのファーストチューブは埋設することなく再利用することができ、資材の無駄遣いを防止することができ、本杭はファーストチューブで掘削されたリング溝に挿入するだけでよいので、挿入時に大きな負荷がかかることがなくなり、杭の損傷や変形が防止されるという利点がある。
特開昭54−107106号公報 特許第3996012号公報 特開2009−209563号公報
解決しようとする問題点は、鋼管杭の径が1mを超えると、(1)より過大な旋回トルクと圧入力を有する大型のケーシングドライバや揚重機が必要になり、過大な作業台が必要となること、(2)硬質岩盤を削孔する場合、一回り大きい仮鋼管で掘る必要があるため、多数本の先行削孔が必要となり、工事に要する時間が増大すること、(3)仮鋼管(仮杭)を使用する必要があるので、仮鋼管の撤去後に、本鋼管杭(本杭)を建て込む必要がある。(4)仮鋼管での削孔完了後、スライム(粘土や泥など)処理を行うが、本杭建て込み時に底部スライムを巻き込んで、周囲の根固め用のモルタルの品質が低下すること、(5)仮鋼管の先端内側に掘り残しができ、切削効率の低下や、砂の締め付けを起こし易いということである。
本発明の第一の態様に係る障害地盤杭打設装置は、先端に掘削ビットが設けられた中空の鋼管杭と、該鋼管杭の内部に昇降可能に設けられた掘削機と、該鋼管杭の長手軸の回りの回転力と障害地盤に対して押圧力を付与する回転駆動源と、該鋼管杭の内部で該掘削機を昇降させる昇降機構とを備え、
前記掘削機は障害地盤を掘削するための掘削部を下部に備える掘削本体部と、当該掘削本体部を前記鋼管杭の内面に対して押圧力を付与して、所望の位置に当該掘削本体部を保持するグリッパーとを備え、
前記掘削部は、障害地盤を前記鋼管杭の長手軸方向に掘削する第1カッターと、前記鋼管杭の半径方向外向きに掘削する、放射状に配列された油圧シリンダーによって駆動されるロッドに固着されたサイドゲージカッターとシェルビットから構成されている第2カッターとを有し、
前記グリッパーは、前記掘削本体部に設けられ、かつ前記鋼管杭の内面に向かって伸長自在であり、前記グリッパーの伸長時に、前記鋼管杭の内面に前記掘削本体部が押圧・保持され、前記グリッパーの収縮時に前記掘削本体部が前記鋼管杭の内部で昇降自在の構成とされてなることを特徴とする。

また、前記鋼管杭と掘削本体部を挿通して昇降自在にダウンザホールハンマーが設けられてなることが好ましい。代替的に、前記鋼管杭と掘削本体部を挿通して昇降自在にグラブハンマーが設けられ得る。
また、前記グリッパーが、各々シリンダーと圧油によって駆動されるロッドから構成される複数の油圧シリンダーを含んでなることが好ましい。
本発明の第二の態様に係る障害地盤に鋼管杭を打設する方法は、先端に掘削ビットが設けられた中空の鋼管杭と、該鋼管杭の内部に昇降自在に設けられた掘削機と、該鋼管杭の長手軸の回りの回転力を付与する回転駆動源と、該鋼管杭の内部で該掘削機を昇降させる昇降機構とを備えた障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法であって、
(a)作業構台に設けられた回転駆動源に対して鋼管杭を建て込む工程、
(b)前記回転駆動源を駆動して、鋼管杭を障害地盤に当接するまで降下させ、鋼管杭を押し下げつつ回転させて第1の深さまで削孔する工程、
(c)前記工程(b)の後、前記鋼管杭を引き上げ、鋼管杭の先端の切削ビットを覆って掘削機を取り付ける工程、
(d)前記回転駆動源を駆動して、鋼管杭を障害地盤に当接するまで降下させた後、前記鋼管杭と掘削機を挿通して昇降可能に設けられたダウンザホールハンマーによって第2の深さまで先行削孔する工程、
(e)前記工程の後、前記回転駆動源を駆動して、鋼管杭を押し下げつつ回転させて前記第2深さまで削孔する工程を含んでなることを特徴とする。
代替的に、前記工程(d)において、前記ダウンザホールハンマーによって第2の深さまで先行削孔工程に代えて、前記鋼管杭と掘削本体部を挿通して昇降可能に設けられたグラブハンマーによって先行削孔する工程を含み得る。
本発明によれば、鋼管杭の径が1mを超えても、過大な旋回トルクと圧入力を有する大型のケーシングドライバや揚重機を必要とせず、過大な作業台も必要とならない。堅岩部(硬質岩盤)、過去に構築した地中コンクリート構造物が土中に存在するもの、堆積層に岩塊が存在するものなどの障害地盤を削孔する場合でも、一回り大きい仮鋼管で掘る必要がなく、一本の先行削孔でよく、工事に要する時間が増大することはない、底部スライムを巻き込んで、周囲の根固め用のモルタルの品質が低下することがない、仮鋼管を使用することによる、先端内側に掘り残しや、切削効率の低下や、砂の締め付けといった問題が起こらないという利点がある。要するに、本発明によれば、堅岩部に鋼管を打設することが容易になる。
本発明の一実施形態に係る障害地盤杭打設装置を構成する掘削機を示す断面説明図である。 本発明の一実施形態に係る障害地盤杭打設装置を構成する鋼管杭の先端部を示す断面説明図である。 図1の鋼管杭に図2の掘削機を組み付けた状態を示す断面説明図である。 図3の掘削機の底面図である。 本発明の障害地盤杭打設装置を示す概略説明図である。 本発明の他の実施形態に係る障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法の工程説明図である。 本発明の他の実施形態に係る障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法の工程説明図である。 本発明の他の実施形態に係る障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法の工程説明図である。 本発明の他の実施形態に係る障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法の工程説明図である。 本発明の他の実施形態に係る障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法の工程説明図である。 本発明の他の実施形態に係る障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法の工程説明図である。 本発明の他の実施形態に係る障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法の工程説明図である。 本発明の障害地盤杭打設装置及び障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法に適用される昇降装置としてのクレーンと、クレーンにて昇降自在に鋼管杭内に設けられるグラブハンマーの一例を示す説明図である。
本発明の一実施形態に係る障害地盤杭打設装置について、添付図面を参照しながら以下に詳細に説明する。参照符号1は掘削機、参照符号1Aは掘削機本体、参照符号1Bはグリッパー、参照符号1Bjはグリッパージャッキ、参照符号2は鋼管杭、参照符号2bは掘削ビット、参照符号3は回転駆動源、参照符号B1は第1カッター、参照符号B1aは強化型先行ビット、参照符号B1rはローラーカッター、参照符号B2は第2カッター、参照符号B2sはサイドカッター、参照符号B3はサイドゲージカッター、参照符号CRは昇降機構(クレーン)、参照符号DHはダウンザホール、参照符号GHはグラブハンマー、参照符号Hはダウンザホールハンマー用ホッパー、参照符号JCはシリンダー、参照符号JRはロッド、参照符号Pは浅橋杭、参照符号Sはシェルビット、参照符号Tは作業構台である。
図1〜5を参照すると、本実施形態の障害地盤杭打設装置(以下、単に杭打設装置という)(10)は、岩盤(R)上に立設された浅橋杭(P)(図7参照)上に設けられた作業構台(T)上に据え付けられた先端に、掘削ビット(2b)が設けられた中空の鋼管杭(2)と、鋼管杭(2)の内部に昇降可能に設けられた掘削機(1)と、鋼管杭(2)の長手軸の回りの回転力と岩盤(R)(図5参照)に対して押圧力を付与する回転駆動源(3)と、鋼管杭(2)の内部で掘削機(1)を昇降させる昇降機構(CR)とから構成される。本実施形態の杭打設装置(10)は、図5に示されるように、障害地盤の一例として岩盤(とりわけ堅い岩盤)(R)を対象としているが、過去に構築した地中コンクリート構造物が土中に存在するもの、堆積層に岩塊が存在するものにも適用することができる。昇降機構(CR)として、例えば、図13に示されるようなクレーン(CR)を使用することができる。回転駆動源(3)としては、公知の回転式ケーシングドライバを採用することができ、例えば、日立住友重機械建機クレーン株式会社の回転式ケーシングドライバ(CD1500−2、CD2000−2、CD3000)を採用することができる。
掘削機(1)は、岩盤(R)を掘削するための掘削部を下部に備える掘削本体部(1A)と、掘削本体部(1A)を鋼管杭(2)の内面に対して押圧力を付与して、所望の位置に掘削本体部(1A)を保持するグリッパー(1B)とから構成されている。
前記掘削部は、岩盤(R)を前記鋼管杭(2)の長手軸方向に掘削する第1カッター(B1)と、前記鋼管杭(2)の半径方向外向きに掘削する第2カッター(B2)とを有している。図1に示されるように、例えば、第1カッター(B1)は強化型先行ビット(B1a)とローラーカッター(B1r)から構成され、強化型先行ビット(B1a)とローラーカッター(B1r)は、鋼管杭(2)の軸心に対して傾斜した放射状に配列された軸(4本)にそれぞれ同一軸状に回転自在に設けられている。さらに、図1に示されるように、第2カッター(B2)は放射状に配列された油圧シリンダーによって駆動されるロッドに固着されたサイドゲージカッター(B2s)とシェルビット(S)から構成されている。したがって、ロッドの伸長・収縮により15乃至150mm程度のオーバーカッターを実現することができる。
回転グリッパー(1B)は掘削本体部(1A)に設けられる。グリッパー(1B)は、鋼管杭(2)の内面に向かって伸長自在である。そして、グリッパー(1B)の伸長時に、掘削本体部(1A)が鋼管杭(2)の内面に押圧・保持され、グリッパー(1B)の収縮時に、掘削本体部(1A)は鋼管杭(2)の内部で前述の昇降機構(CR)により昇降自在の構成とされる。
本実施形態では、鋼管杭(2)と掘削本体部(1A)を挿通する公知のダウンザホールハンマー(DH)が昇降自在に設けられる。ダウンザホール(DH)としては、日立住友重機械建機クレーン株式会社のCDハンマグラブ(S−CDH10、S−CDH12、S−CDH13)を採用することができる。
本実施形態では、グリッパー(1Bj)は、各々シリンダー(JC)と圧油によって駆動されるロッド(JR)から構成される油圧シリンダーを複数個(例えば、4個)有しており、例えば遠隔制御(地上操作)によってロッド(JP)を伸長或いは収縮させている。
図5〜13を参照すると、他の実施形態に係る岩盤(R)に鋼管杭(2)を打設する方法は、先端に掘削ビット(2b)が設けられた中空の鋼管杭(2)と、鋼管杭(2)の内部に昇降自在に設けられた掘削機(1)と、鋼管杭(2)の長手軸の回りの回転力を付与する回転駆動源(3)と、鋼管杭(2)の内部で掘削機(1)を昇降させる昇降機構とを備えた障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法である。本実施形態の杭打設装置(10)は、図5に示されるように、障害地盤の一例として岩盤(とりわけ堅い岩盤)(R)を対象としているが、過去に構築した地中コンクリート構造物が土中に存在するもの、堆積層に岩塊が存在するものにも適用することができる。
第1工程では、作業構台(T)に設置された回転駆動源(3)に対して鋼管杭(2)を建て込む(図6参照)。第1工程では、例えば図13に示されるクレーン(CR)を用いる。
第2工程では、回転駆動源(3)を駆動して、鋼管杭(2)を障害地盤(R)に当接するまで降下させ、鋼管杭(2)を押し下げつつ回転させて第1の深さ(1m未満)まで削孔する(図7参照)。第2工程で掘削された障害物は例えばグラブハンマー(GH)(図13参照)を用いて撤去する。
第3工程では、まず鋼管杭(2)を1m程度引き上げ(図8参照)、鋼管杭(2)の先端の切削ビット(2b)を覆って、掘削機(1)を取り付ける(図9参照)。この工程においても掘削機(1)の取り付け作業と、ダウンザホールハンマー(DH)の取り付けに、例えば図13に示されるクレーン(CR)を用いる。
第4工程では、回転駆動源(3)を駆動して、鋼管杭(2)を障害地盤(R)に当接するまで降下させた後、鋼管杭(2)とダウンザホールハンマーホッパー(H)を介して掘削機(1)を挿通して昇降可能に設けられたダウンザホールハンマー(DH)によって第2の深さまで先行削孔し、ついで鋼管杭(2)を押し下げつつ回転させて第2深さまで削孔する(図10、11参照)。
第5工程では、前記第4工程で、第2の深さまでの削孔が完了すると、掘削作業に伴って鋼管杭(2)内に溜まった粘土などのスライムの排出処理をし、掘削機(1)、ダンザホール(DH)を除去した後、コンクリートを打設する。スライムの排出処理方法は限定されることはなく、例えば、コンプレッサーを用いて、エアリフト作用により排出することができる。
本発明によれば、鋼管杭の径が1mを超えても、過大な旋回トルクと圧入力を有する大型のケーシングドライバや揚重機を必要とせず、過大な作業台も必要とならない。そして、堅岩部(硬質岩盤)、過去に構築した地中コンクリート構造物が土中に存在するもの、堆積層に岩塊が存在するものなどの障害地盤を削孔する場合でも、一回り大きい仮鋼管で掘る必要がなく、一本の先行削孔で削孔することができ、工事に要する時間が増大することはない。さらに、底部スライムを巻き込んで、周囲の根固め用のモルタルの品質が低下することがないので、仮鋼管を使用することによる、先端内側に掘り残しや、切削効率の低下や、砂の締め付けといった問題が起こらないという優れた効果を奏する。要するに、本発明によれば、堅岩部に鋼管を打設することが容易になるという顕著な効果を奏する。
1 掘削機
1A 掘削機本体
1B グリッパー
1Bj グリッパージャッキ
2 鋼管杭
2b 掘削ビット
3 回転駆動源
B1 先行ビット、
B1a 強化型先行ビット
B1r ローラーカッター
B2 第2カッター
B2s サイドカッター
B3 サイドゲージカッター
CR 昇降機構(クレーン)
DH ダウンザホールハンマー
GH グラブハンマー
H ダウンザホールハンマー用ホッパー
JC シリンダー
JR ロッド
P 浅橋杭
S シェルビット
T 作業構台

Claims (6)

  1. 先端に掘削ビットが設けられた中空の鋼管杭と、該鋼管杭の内部に昇降可能に設けられた掘削機と、該鋼管杭の長手軸の回りの回転力と障害地盤に対して押圧力を付与する回転駆動源と、該鋼管杭の内部で該掘削機を昇降させる昇降機構とを備え、
    前記掘削機は障害地盤を掘削するための掘削部を下部に備える掘削本体部と、当該掘削本体部を前記鋼管杭の内面に対して押圧力を付与して、所望の位置に当該掘削本体部を保持するグリッパーとを備え、
    前記掘削部は、障害地盤を前記鋼管杭の長手軸方向に掘削する第1カッターと、前記鋼管杭の半径方向外向きに掘削する、放射状に配列された油圧シリンダーによって駆動されるロッドに固着されたサイドゲージカッターとシェルビットから構成されている第2カッターとを有し、
    前記グリッパーは、前記掘削本体部に設けられ、かつ前記鋼管杭の内面に向かって伸長自在であり、前記グリッパーの伸長時に、前記鋼管杭の内面に前記掘削本体部が押圧・保持され、前記グリッパーの収縮時に前記掘削本体部が前記鋼管杭の内部で昇降自在の構成とされてなる
    ことを特徴とする障害地盤杭打設装置。
  2. 前記鋼管杭と掘削本体部を挿通して昇降自在にダウンザホールハンマーが設けられてなる請求項1に記載の障害地盤杭打設装置。
  3. 前記鋼管杭と掘削本体部を挿通して昇降自在にグラブハンマーが設けられてなる請求項1又は2に記載の障害地盤杭打設装置。
  4. 前記グリッパーが、各々シリンダーと圧油によって駆動されるロッドから構成される複数の油圧シリンダーを含んでなる請求項1乃至3のいずれかに記載の障害地盤杭打設装置。
  5. 先端に掘削ビットが設けられた中空の鋼管杭と、該鋼管杭の内部に昇降自在に設けられた掘削機と、該鋼管杭の長手軸の回りの回転力を付与する回転駆動源と、該鋼管杭の内部で該掘削機を昇降させる昇降機構とを備えた障害地盤杭打設装置を用いて障害地盤に鋼管杭を打設する方法であって、
    (a)作業構台に設けられた回転駆動源に対して鋼管杭を建て込む工程、
    (b)前記回転駆動源を駆動して、鋼管杭を障害地盤に当接するまで降下させ、鋼管杭を押し下げつつ回転させて第1の深さまで削孔する工程、
    (c)前記工程(b)の後、前記鋼管杭を引き上げ、鋼管杭の先端の切削ビットを覆って掘削機を取り付ける工程、
    (d)前記回転駆動源を駆動して、鋼管杭を障害地盤に当接するまで降下させた後、前記鋼管杭と掘削機を挿通して昇降可能に設けられたダウンザホールハンマーによって第2の深さまで先行削孔し、ついで前記回転駆動源を駆動して、鋼管杭を押し下げつつ回転させて前記第2深さまで削孔する工程、
    (f)前記第2の深さまでの削孔が完了すると、鋼管杭内に溜まったスライムの排出処理をし、前記掘削機を除去した後、コンクリートを打設する工程
    を含んでなる障害地盤に鋼管杭を打設する方法。
  6. 前記工程(d)において、前記ダウンザホールハンマーによって第2の深さまで先行削孔工程に代えて、前記鋼管杭と掘削本体部を挿通して昇降可能に設けられたグラブハンマーによって先行削孔する工程を含む請求項5に記載の障害地盤に鋼管杭を打設する方法。
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