JP6319935B2 - 管状杭の打設方法 - Google Patents
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Description
世界経済の流動化や、産業構造の転換、また異常多雨・大地震・津波などの気象・地象環境の大きな変化に対応するため、道路橋・鉄道橋・ダム・護岸などの社会資本の更新や新設が活発に行われている。
このような社会資本の更新・新設工事のなかには、杭打ち施工や掘削施工が大径化、長尺化しているものが数多くあり、その具体例としては、桟橋支持杭、斜面上の抑止杭や土留め杭、あるいは河川・ダム・港湾部締切用の鋼管矢板壁などの工事が挙げられる。
また、ダムサイトにおいては、堰堤やゲート部の部材が大型で重量物であり、比較的大型のクレーン(150t〜300t程度)が用いられる。従って、クレーン荷重等を含む鉛直荷重が大きくなれば、それを支えるために桟橋の杭径がより大きくなる。
そのため、公共工事の合理化が強く推進される近年では、支間長が縮まると、その分杭の打設本数が増えて、工期長期化、コスト増大、原地盤の大きな改変といった弊害を招くため、工期短縮、コスト縮減、環境保全などを目的として、大径・長尺の杭を起用することで、より長い支間長(打設間隔)で施工することを求める事例が増加している。
また、特にダム湖においては、桟橋の下部補強材の取り付け作業が大水深の水中作業となり作業者への負担が大きくなるなどの理由から、設計上可能な限りブレス設置を行わないよう、大径の鋼管杭を利用することで断面係数を高めるなどの方法が望まれる。
更に、ダムサイトの重仮設工においては、桟橋工ばかりではなく、堰堤やゲート部分の老朽化や堆砂による保水機能低下に伴い近年行われる洪水吐新設などのダム機能を維持しつつ補修や機能追加の工事を行う際、堰堤の規模に応じた大水深の締切を行うため、その水圧に耐えうる十分な止水壁を構築することが必要であり、その結果、十分な断面性能を有する大径でかつ長尺の鋼管矢板により高規格の仮締切が計画されるなど老朽化した大規模ダムの補修工事の増加とともに、そこで用いられる施工機械と重仮設が不可避的に大規模となることが既に顕在化し、その対策が必要となっている。
その他にも、近年では、各地の地すべり地帯において、気象の変化による長梅雨や大規模台風により度々発生する異常多雨の際に発生する、河道閉塞や天然ダム、土石流により市民生活に重篤な被害をもたらすような深層崩壊による地すべりを抑止するための大深度の大口径抑止杭(多くの場合鋼管杭)を打設する防災措置が全国的に急務であるなど、強度に優れる管状杭の仕様が、大径・長尺化する例は枚挙に暇がない。
図12〜図14に基づいて、桟橋施工の一例を説明する。
図12は、桟橋施工で用いる桟橋パネル13を示す平面図である。
図13は、桟橋施工の一工程を例示する斜視図であって、図12に示す桟橋パネル13をクレーンで設計位置に運搬している様子を示している。
図14は、図13の次工程を示す斜視図であって、片持ち状に延設した桟橋パネル13をガイドに利用し、橋脚をなす管状杭6を打設している様子を示している。
次に、図15に基づいて、上述した桟橋施工や掘削施工で用いる掘削装置について説明する。
ドリルロッド93はダウンザホールハンマ94を含んで構成されており、該ハンマは、打撃力発生用のピストンを内部に具備している。ドリルロッド93の上端側は、略スリーブ状の排土キャップ92の内側を通って、回転駆動装置91に連結されている。一方、ドリルロッド93の先端には掘削ビット95が設けられている。
管打ち施工の際には、図15に示すように管状杭6の内空部にドリルロッド93を挿通させ、管状杭先端から掘削ビット95を突き出した状態で対象地盤を掘削する。
この中掘り装置は、前記掘削部としてスクリュー式オーガ又はダウンザホールハンマを具備しており、好ましくは、掘削した土砂の格納部を具備している。
この把持装置は、例えば請求項1乃至3に記載の方法の実施において用いられる。
また、この把持装置は、好ましくは、前記固定関係を反力としてパイプ類を回転又は揺動させる回転駆動手段も有する。
これに対し、本発明の打設方法では、杭長よりも短い構成の中掘り装置を用意して、該装置全体を管状杭に挿入し、掘削用反力を管状杭にとった状態で掘削するようになっている。すなわち、杭長の変化にかかわらず重量が一定の中掘り装置を用いることが可能になるので、長尺・大径の杭を打設する場合でも、杭打ち施工におけるクレーン規格の増大を抑えることができる。
また、杭長にかかわらず中掘り装置が一定重量となれば、杭長・杭径に関係なく掘削時の吊荷重量(中掘り装置の重量)は一定となるので、杭長・杭径が増してもクレーン作業半径が狭まることはなく、そのため、支間長を縮めるといった弊害が生じることはない。すなわち、長尺・大径の杭を打設する場合でも、長支間の要請に応えることができる。
さらに、従来技術では対応不能になるおそれのあった、杭長が著しく長くなる施工の場合でも、本発明であれば確実に対応することができる。
さらに、杭長に合わせたドリルロッドを具備する必要がなくなるため、1種の中掘り装置であらゆる現場・地形での杭打ち施工に対応することが可能になるので、中掘り装置の汎用性が高まる。
よって本発明によれば、杭の大径化・長尺化のニーズに応えることができるのは勿論のこと、同時に、工期短縮、施工コスト縮減、環境保全の要請を満たすこともできる。
はじめに本発明の概要を説明する。
(1) 導材13に固定した把持装置3を作動させて、管状杭6を圧入する。
(2) 圧入を一旦停止して、中掘り装置1の土砂格納部が一杯になるまで掘削を続ける。
(3) 中掘り装置1の土砂格納部が一杯になったら、管状杭6から抜き出して排土する。
(4) 再び中掘り装置1を管状杭6に挿入する。
図2に基づいて把持装置の構成を説明する。
図2は、延設した導材13が具備する杭ガイド16の上に、把持装置3をボルトで固定した状態を示している。
回転駆動装置37は、上下駆動装置35を作動させている間、管状杭6を回転又は揺動させる役割を担っている。
図3及び図4に基づいて、第1実施形態に係る中掘り装置の構成を説明する。
図3(A)(B)は、中掘り装置の構成と伸縮動作を示している。
図4は、図3のV−V線に沿った断面図である。
次に、図5に示す工程a〜fを参照しながら、上述した把持装置及び中掘り装置を用いた桟橋施工の一例について説明する。図5は、図1に例示する桟橋施工において管状杭を打設する際の手順を具体的に示している。
はじめに、図1に示すように機械足場に用意したクレーンを使って、桟橋パネルからなる導材13を該機械足場に対し片持ち状に延設する。導材13の先端には、管状杭を地盤へガイドする杭ガイド16(ガイドパイプ)が設けられている。
次に、足場上のクレーンで吊り込んだ把持装置3を、延設した導材13の杭ガイド16の上に固定する。これにより、片持ち状態の導材13と把持装置3が一体化する。
次に、鋼管(杭材)を必要本数継ぎ足してなる管状杭6を、足場上のクレーンで吊って把持装置3及び導材13に通し、打設予定位置の地盤上に建て込む。管状杭6の先端には予め図7に示すような切削ビット7を固設しておく。
図1に示すように中掘り装置1を機械足場上のクレーンで吊り込んで、鉛直にセットされた管状杭6の内側に挿入し、ワイヤロープを繰り出して該装置を落下させることなく降下させる。
(1) 図3に示す油圧シリンダ24を伸長させて掘削部25を掘進させた後、
管状杭6に対する圧着固定状態を解除する。
(2) 非圧着状態で油圧シリンダ24を縮退させて反力確保部23を降下させる。
(3) 降下した反力確保部23を管状杭6に再固定させて反力を確保する。
(4) 反力確保部23の油圧シリンダ24を伸長させて掘削部25を掘進させる。
中掘り装置1の土砂格納部の容量が一杯になったら、中掘り装置の圧着固定状態を解除して該装置を引上げて、管状杭6から抜き出す。続いて管状杭6の外でオーガースクリューを逆回転させて、その格納部内に収納された土砂を外部へ排出する。
管状杭6の根入れが目標深度に達するまで、上述した杭内への挿入(工程d)、圧入・中掘り掘削(工程e)、杭外での排土(工程f)を、繰り返す。
第2実施形態の中掘り装置を図8に示し、その機能作用の概要を図9に示す。
中掘り装置2は、クレーン吊り下げ式の掘削装置であって、管状杭を打設するに際し該管状杭の内側に挿入して掘削するために用いられる。
掘削部60以外の構成は、第1実施形態と同様の構成であり、説明を省略する。
以下、掘削部60の構成について説明する。
次に、図10を参照しながら、上述した第2実施形態の中掘り装置を用いた桟橋施工の一例について説明する。
はじめに、図1に示すように機械足場に用意したクレーンを使って、桟橋パネルからなる導材13を該機械足場に対し片持ち状に延設する。導材13の先端には、管状杭を地盤へガイドする杭ガイド16(ガイドパイプ)が設けられている。
次に、足場上のクレーンで吊り込んだ把持装置3を、延設した導材13の杭ガイド16の上に固定する。これにより、片持ち状態の導材13と把持装置3が一体化する。
次に、鋼管(杭材)を必要本数継ぎ足してなる管状杭6を、足場上のクレーンで吊って把持装置3及び導材13に通し、打設予定位置の地盤上に建て込む。管状杭6を杭心にセットしたら、導材上の把持装置3で該管状杭を把持したまま次工程に進む。
図1に示すように中掘り装置2を機械足場上のクレーンで吊り込んで、鉛直にセットされた管状杭6の内側に挿入し、ワイヤロープを繰り出して該装置を落下させることなく降下させる。中掘り装置2の先端ビットが着地したら、その反力確保部の圧着体を管状杭6の内壁面に対し圧着させる。
(1) 図9(A)に示すように油圧シリンダ24を伸長させて掘削部60を掘進させた後、
管状杭6に対する圧着固定状態を解除する。
(2) 非圧着状態で油圧シリンダ24を縮退させて反力確保部23を降下させる。
(3) 降下した反力確保部23を管状杭6に再固定させて反力を確保する。
(4) 反力確保部23の油圧シリンダ24を伸長させて掘削部60を掘進させる。
中掘り装置2の土砂格納部の容量が一杯になったら、中掘り装置の圧着固定状態を解除して該装置を引上げて、管状杭6から抜き出す。続いて図9(B)に示すように、重機等で筒状格納部64を持ち上げて、該格納部の下端とダウンザホールハンマ71の上端との間にあいた隙間から土砂を排出する。
管状杭6の根入れが目標深度に達するまで、上述した杭内への挿入(工程d)、中掘り掘削・圧入(工程e)、杭外での排土(工程f)を、繰り返す。
上述した実施形態では、本発明を桟橋施工における杭打ちに適用する場合を例示したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。
2 中掘り装置(第2実施形態)
3 把持装置(回転圧入装置)
5 既打設の管状杭
6 管状杭(支持杭)
7 切削ビット
8 鋼管(杭材)
9 掘削装置(従来装置)
12 機械足場
13 導材/桟橋パネル
14 メインフレーム
15 ガイドフレーム
16 杭ガイド(ガイドパイプ)
17 連結部材
18 連結金具
19 挿通孔
21 吊り下げ部
22 回転駆動装置
23 反力確保部
24 油圧シリンダ
25 掘削部
26 土砂格納部
27 内管(反力伝達部材)
28 外管(反力伝達部材)
31 固定部(固定手段)
33 チャック装置(チャック手段)
35 上下駆動装置(上下駆動手段)
37 回転駆動装置(回転駆動手段)
40 圧着装置
41 圧着体
43 楔体
45 油圧シリンダ
47 フィン
48 オーガースクリュー
60 掘削部
62 ドリルロッド
63 回転駆動装置
64 土砂格納部
71 ダウンザホールハンマ
72 掘削ビット
73 駆動シャフト
91 回転駆動装置
92 排土キャップ
93 ドリルロッド
94 ダウンザホールハンマ
95 掘削ビット
96 飛散防止カバー
Claims (8)
- 地盤に管状杭を打設する方法において、
対象地盤から離れた位置に用意した足場に導材を設け、
管状杭を把持するとともに該管状杭を地盤に圧入する把持装置を、前記導材に固定し、
掘削を行うことなく、前記把持装置と導材を介して該把持装置の動力で前記管状杭を地盤に貫入させる、ことを特徴とする管状杭の打設方法。 - 地盤に管状杭を打設する方法において、
対象地盤から離れた位置に用意した足場に導材を設け、
管状杭を把持するとともに該管状杭を地盤に圧入する把持装置を、前記導材に固定し、
管状杭を前記導材を介して対象地盤上にセットし、
前記管状杭より短尺であって、杭長にかかわらず重量が一定の中掘り装置を該管状杭に挿入し、
回転駆動式の掘削部を具備する前記中掘り装置で地盤を掘削し、
前記把持装置と導材を介して前記把持装置の動力で前記管状杭を地盤に貫入させる、ことを特徴とする管状杭の打設方法。 - 中掘り装置を管状杭に挿入した状態で該管状杭に掘削用反力をとる反力確保部と、
スクリュー式オーガまたはダウンザホールハンマを具備し、前記反力を確保した状態で対象地盤を掘削する掘削部と、を有し、
前記管状杭より短く構成されていることを特徴とするクレーン吊り下げ式の中掘り装置を用いる方法であって、
対象地盤から離れた位置に用意した足場に導材を設け、
管状杭を把持するとともに該管状杭を地盤に圧入する把持装置を、前記導材に固定し、
管状杭を前記導材を介して対象地盤上にセットし、
前記管状杭より短尺であって、杭長にかかわらず重量が一定の中掘り装置を該管状杭に挿入し、
回転駆動式の掘削部を具備する前記中掘り装置で地盤を掘削し、
前記把持装置と導材を介して前記把持装置の動力で前記管状杭を地盤に貫入させる、ことを特徴とする管状杭の打設方法。 - 把持装置を固定して打設用反力を確保するための固定手段と、
管状杭をチャッキングするチャック手段と、
前記固定関係を反力として管状杭を上下動させる上下駆動手段と、を有することを特徴とする把持装置を用いる方法であって、
対象地盤から離れた位置に用意した足場に導材を設け、
管状杭を把持するとともに該管状杭を地盤に圧入する把持装置を、前記導材に固定し、
管状杭を前記導材を介して対象地盤上にセットし、
前記管状杭より短尺であって、杭長にかかわらず重量が一定の中掘り装置を該管状杭に挿入し、
回転駆動式の掘削部を具備する前記中掘り装置で地盤を掘削し、
前記把持装置と導材を介して前記把持装置の動力で前記管状杭を地盤に貫入させる、ことを特徴とする管状杭の打設方法。 - 足場から片持ち状に張り出すことを特徴とする導材を用いる方法であって、
対象地盤から離れた位置に用意した足場に導材を設け、
管状杭を把持するとともに該管状杭を地盤に圧入する把持装置を、前記導材に固定し、
管状杭を前記導材を介して対象地盤上にセットし、
前記管状杭より短尺であって、杭長にかかわらず重量が一定の中掘り装置を該管状杭に挿入し、
回転駆動式の掘削部を具備する前記中掘り装置で地盤を掘削し、
前記把持装置と導材を介して前記把持装置の動力で前記管状杭を地盤に貫入させる、ことを特徴とする管状杭の打設方法。 - 橋の構造の一部となることを特徴とする導材を用いる方法であって、
対象地盤から離れた位置に用意した足場に導材を設け、
管状杭を把持するとともに該管状杭を地盤に圧入する把持装置を、前記導材に固定し、
管状杭を前記導材を介して対象地盤上にセットし、
前記管状杭より短尺であって、杭長にかかわらず重量が一定の中掘り装置を該管状杭に挿入し、
回転駆動式の掘削部を具備する前記中掘り装置で地盤を掘削し、
前記把持装置と導材を介して前記把持装置の動力で前記管状杭を地盤に貫入させる、ことを特徴とする管状杭の打設方法。 - 前記中掘り装置が、掘削した土砂の格納部を具備することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の管状杭の打設方法。
- 前記把持装置が、前記固定関係を反力として管状杭を回転又は揺動させる回転駆動手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の管状杭の打設方法。
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