(画像形成装置)
まず、画像形成装置1の概略構成を説明する。図1は画像形成装置1の概略断面図である。図1に示す画像形成装置1は読取装置を備えていないカラープリンタ(SFP:Small Function Printer)であるが、実施の形態は読取装置を備える複写機であってもよい。また、実施の形態は、図1に示すような複数の感光ドラム103を備えるカラー画像形成装置に限られない。1つの感光ドラム103を備えるカラー画像形成装置やモノクロ画像を形成する画像形成装置でも良い。
図1に示す画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4基の画像形成部102Y、102M、102C、102K(以下、総称して単に「画像形成部102」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、それぞれ感光ドラム103Y、103M、103C、103K(以下、総称して単に「感光ドラム103」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kをそれぞれ帯電させる帯電器104Y、104M、104C、104K(以下、総称して単に「帯電器104」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kを露光する光を出射する露光光源としてのLED(Light Emitting Diode、以下LEDと記載)露光ユニット500Y、500M、500C、500K(以下、総称して単に「露光ユニット500」とも称する)を備える。さらに、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103上の静電潜像をトナーによって現像し、感光ドラム103上に各色のトナー像を現像する現像器106Y、106M、106C、106K(以下、総称して単に「現像器106」とも称する)を備える。符号に付されたY、M、C、Kはトナーの色を示している。
画像形成装置1は、感光ドラム103に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト107、各画像形成部102の感光ドラム103に形成されたトナー像を当該中間転写ベルトに順次転写させる一次転写ローラ108(Y、M、C、K)を備える。また、画像形成装置1は、中間転写ベルト107上のトナー像を給紙部101から搬送されてきた記録紙Pに転写させる二次転写ローラ109、二次転写された画像を記録紙Pに定着させる定着器100を備える。
(ドラムユニット)
続いて、本実施例に係る画像形成装置1に着脱可能な交換ユニットの一例であるドラムユニット518(Y、M、C、K)および現像ユニット641(Y、M、C、K)について説明する。図2(a)は、画像形成装置1が備えるドラムユニット518及び現像ユニット641周囲の概略斜視図である。また、図2(b)は画像形成装置1に対して装置本体の外側から挿入途中の状態のドラムユニット518を示す図である。
図2(a)に示すように、画像形成装置1は、板金で形成される前側板642と後側板643を備える。前側板642は画像形成装置1の正面側に設けられた側壁である。一方、後側板643は画像形成装置1の背面側に設けられた側壁である。図2(a)に示すように、前側板642と後側板643は対面して配置され、それらの間には梁としての不図示の板金が橋架されている。前側板642、後側板643、および不図示の梁はそれぞれ、画像形成装置1の枠体の一部を構成する。
画像形成装置1の正面側からドラムユニット518、および現像ユニット641を挿抜できるように、前側板642には開口が形成されている。ドラムユニット518、および現像ユニット641は、開口を通して画像形成装置1本体の所定の位置(装着位置)に装着される。また、画像形成装置1は、装着位置に装着されたドラムユニット518と現像ユニット641の正面側を覆うカバー558(Y、M、C、K)を備える。カバー558は、一端がヒンジによって画像形成装置1本体に固定されており、ヒンジによって画像形成装置1本体に対して回動可能となっている。メンテナンスを行う作業者がカバー558を開いて本体内のドラムユニット518あるいは現像ユニット641を取り出し、新しいドラムユニット518あるいは現像ユニット641を挿入してカバー558を閉じることによってユニットの交換作業が完了する。カバー558についての詳しい説明は後述する。
図2(a)および図2(b)に示すように、以下の説明では前側板642側を前側、後側板643側を後側と定義する。また、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Kを基準としたとき、イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Yが配置されている側を右側と定義する。また、イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Yを基準としたとき、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Kが配置されている側を左側と定義する。さらに、ここで定義した前後方向及び左右方向に垂直な方向であって鉛直方向上向きを上方向、また、ここで定義した前後方向及び左右方向に垂直な方向であって鉛直方向下向きを下方向と定義する。定義した前方向、後方向、右方向、左方向、上方向、下方向を図2に示す。また、以下の本文で記載する感光ドラム103の回転軸線方向における一端側はここで定義する前側を意味し、他端側はここで定義する後側を意味する。前後方向における一端側および他端側に関してもここで定義する前側および後側に対応する。左右方向における一端側はここで定義する右側を意味し、他端側はここで定義する左側を意味する。
本実施例の画像形成装置1にはドラムユニット518が取り付けられる。ドラムユニット518は、交換されるカートリッジである。本実施例のドラムユニット518はドラムユニット518の筐体に対して回転可能に支持された感光ドラム103を備える。ドラムユニット518は、感光ドラム103、帯電器104、及び不図示のクリーニング装置を備えている。感光ドラム103が、例えばクリーニング装置によるクリーニングによって摩耗するなどして寿命を迎えた際に、図2(b)に示すようにメンテナンスを行う作業者がドラムユニット518を装置本体から取り出して感光ドラム103を交換する。ドラムユニット518は、帯電器104、及びクリーニング装置を備えておらず、感光ドラム103を備えていた構成でも良い。
本実施例の画像形成装置1にはドラムユニット518とは別体の現像ユニット641が取り付けられている。現像ユニット641は図1に示す現像器106を含む。現像器106は、現像剤を担持する現像剤担持体であるところの現像スリーブを備える。現像ユニット641にはトナーとキャリアを攪拌するためのスクリュを回転させるためのギアが複数設けられている。これらのギアが経年劣化等した際には、メンテナンスを行う作業者が現像ユニット641を画像形成装置1の装置本体から取り出して交換する。本実施例の現像ユニット641は、現像スリーブを備える現像器106とスクリュが設けられたトナー収容部とが一体化されたカートリッジである。なお、ドラムユニット518および現像ユニット641の実施の形態は、上記ドラムユニット518と現像ユニット641が一体化されたプロセスカートリッジでも良い。
(画像形成プロセス)
次に、画像形成プロセスについて説明する。後述する光プリントヘッド105Yは帯電器104Yによって帯電された感光ドラム103Yの表面を露光する。これにより、感光ドラム103Yには静電潜像が形成される。次に、現像器106Yは感光ドラム103Yに形成された静電潜像をイエローのトナーによって現像する。感光ドラム103Yの表面に現像されたイエローのトナー像は、一次転写部Tyにおいて一次転写ローラ108Yによって中間転写ベルト107に転写される。マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像も同様の画像形成プロセスで中間転写ベルト107に転写される。
中間転写ベルト107上に転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト107によって二次転写部T2まで搬送される。二次転写部T2に配置された二次転写ローラ109にはトナー像を記録紙Pに転写するための転写バイアスが印加されている。二次転写部T2まで搬送されたトナー像は、二次転写ローラ109の転写バイアスによって、給紙部101から搬送されてきた記録紙Pに転写される。トナー像が転写された記録紙Pは定着器100に搬送される。定着器100は、熱と圧力によって記録紙Pにトナー像を定着させる。定着器100によって定着処理がなされた記録紙Pは、排紙部111に排出される。
(露光ユニット)
次に光プリントヘッド105を含む露光ユニット500について説明する。ここで、電子写真方式の画像形成装置に採用される露光方式の一例として、半導体レーザの出射ビームを回転するポリゴンミラーなどで走査しf-θレンズ等を介して感光ドラムを露光するレーザビーム走査露光方式がある。本実施例で説明する「光プリントヘッド105」は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って配列されたLED等の発光素子を用いて感光ドラム103を露光するLED露光方式に用いられるものであって、上記に言うレーザビーム走査露光方式には用いられない。図3(a)は、本実施例の画像形成装置1が備える露光ユニット500の概略斜視図である。図3(b)が図3(a)に示す露光ユニット500を下側から見た図である。図4は、図3に示す露光ユニット500と、及び露光ユニット500の上側に配置される感光ドラム103と、を感光ドラム103の回転軸線方向に垂直な面で切断した概略断面図である。露光ユニット500は、光プリントヘッド105と移動機構640を含む。光プリントヘッド105は、レンズアレイ506、基板502(発光部)、およびレンズアレイ506を保持する保持体505と、当接ピン514と、当接ピン515と、を備える。移動機構640は、リンク部材651と、リンク部材652と、スライド部525と、第1支持部527と、第2支持部528と、第3支持部526と、を含む。ここで、本実施例では、当接ピン514および当接ピン515は円柱状のピンとしているが、その形状は円柱に限らず角柱や端部ほどその径が細くなる円錐のような形状でも構わない。また、当接ピン514若しくは当接ピン515の一方は、ピンである必要はなく、それと同様の機能を具備するものとして、例えば保持体505の上側と下側とに突き出た突起であっても構わない。
まず、保持体505について説明する。保持体505は、基板502、レンズアレイ506、当接ピン514、および当接ピン515を保持するホルダーである。本実施形態では一例として、保持体505の上面から突き出す当接ピン514の長さは7mm、保持体505の上面から突き出す当接ピン515の長さは11mm、保持体505の下面から突き出す当接ピン514の長さは22mm、保持体505の下面から突き出す当接ピン515の長さは22mmとしている。図4に示すように、保持体505は、レンズアレイ506が取り付けられるレンズ取付部701と、基板502が取り付けられる基板取付部702と、を備える。また、詳細は後で説明するが、保持体505は、バネ取付部661(662)、ピン取付部632(633)を備える。保持体505は、レンズ取付部701と基板取付部702とバネ取付部661とバネ取付部662とが一体的に射出成形された樹脂製の成形物である。なお、保持体の材質は樹脂製に限らず、例えば金属製でも構わない。
図3(b)に示すように、リンク部材651が取り付けられるバネ取付部661は、レンズアレイ506の前側の端部と基板502の前側の端部との双方よりも前側、かつ、ピン取付部632よりも後側に設けられている。また、リンク部材652が取り付けられるバネ取付部662は、レンズアレイ506の後側の端部と基板502の後側の端部との双方よりも後側、かつ、ピン取付部633よりも前側に設けられている。すなわち保持体505は、前後方向におけるレンズアレイ506と当接ピン514との間でリンク部材651によって支持され、前後方向におけるレンズアレイ506と当接ピン515との間でリンク部材652によって支持される。リンク部材651とリンク部材652によって保持体505に対して付勢力が付与される部分が、レンズアレイ506と上下方向で重ならないため、当該付勢力によるレンズアレイ506の撓みが低減される。
図4は、図3に示す露光ユニット500と、及び露光ユニット500の上側に配置される感光ドラム103と、を感光ドラム103の回転軸線方向に垂直な面で切断した概略断面図である。
レンズ取付部701は、保持体505から上側に向けて突出して形成されている。言い換えれば、レンズの光軸方向において発光素子から出射される光の出射方向に向けて、保持体505から突出して形成されている。レンズ取付部701は、第1内壁面507(第1対向部)と、第2内壁面508(第2対向部)とを備える。第1内壁面507は保持体505の長手方向に延びており、また、第2内壁面508は保持体505の長手方向に延びている。第1内壁面507は保持体505の垂直方向(レンズアレイ506の長手方向とレンズの光軸方向との双方に垂直な方向)の一方側に設けられ、第2内壁面508は保持体505の垂直方向(レンズアレイ506の長手方向とレンズの光軸方向との双方に垂直な方向)の他方側に設けられた面である。すなわち、レンズ取付部701からレンズアレイ506が取り外されているとき、第1内壁面507と第2内壁面508とは左右方向において対向している。光プリントヘッド105の組み立て時に第1内壁面507と第2内壁面508との間にレンズアレイ506が挿入される。そして、第1内壁面507と、当該第1内壁面507に対向するレンズアレイ506の側壁面(第1側壁面)との間に接着剤が塗布され、かつ、第2内壁面508と、当該第2内壁面508に対向するレンズアレイ506の側壁面(第2側壁面)との間に接着剤が塗布される。これにより、レンズアレイ506は保持体505に固定される。露光ユニット500は感光ドラム103の回転軸線よりも鉛直方向下側に設けられており、光プリントヘッド105が有するLED503が感光ドラム103を下方から露光する。なお、当該露光ユニット500は感光ドラム103の回転軸線よりも鉛直方向上側に設けられ、光プリントヘッド105が有するLED503が感光ドラム103を上方から露光する構成でも構わない。また、ここで言う接着剤は、トナーや埃などの粉体が保持体505の内部に入り込むことを防ぐ封止剤の機能を持つものであっても構わない。すなわち、ここでの接着剤は、レンズアレイ506と保持体505との隙間を封止することを主な目的とし、その補助的な役割としてレンズアレイ506と保持体505とを接着するものでも構わない。
次に、保持体505に保持される基板502について説明する。図4(a)は基板502の概略斜視図である。図4(b1)は基板502に設けられた複数のLED503の配列を示し、図4(b2)は図4(b1)の拡大図を示している。
基板502にはLEDチップ639が実装されている。図4(a)に示すように、基板502の一方の面にはLEDチップ639が設けられ、裏面側にコネクタ504が設けられている。基板502には各LEDチップ639に信号を供給するための配線が設けられている。コネクタ504には、不図示のフレクシブルフラットケーブル(FFC)の一端が接続される。画像形成装置1本体には基板が設けられている。基板502は制御部とコネクタとを備える。FFCの他端は、当該コネクタに接続されている。基板502には、画像形成装置1本体の制御部からFFCおよびコネクタ504を介して制御信号が入力される。LEDチップ639は、基板502に入力された制御信号によって駆動される。
基板502に実装されたLEDチップ639についてさらに詳しく説明する。図4(b1)および(b2)に示すように、基板502の一方の面には複数のLED503が配置された複数のLEDチップ639-1~639-29(29個)が配列されている。各LEDチップ639-1~639-29はそれぞれ、その長手方向に516個のLED(発光素子)が一列に配列されている。LEDチップ639の長手方向において隣り合うLEDの中心間距離k2は画像形成装置1の解像度に対応している。本実施例の画像形成装置1の解像度は1200dpiであるので、LEDチップ639-1~639-29LEDチップ639の長手方向において、LEDは隣接するLEDの中心間距離が21.16μmとなるように一列に配列されている。そのため、本実施例の光プリントヘッド105の露光範囲は約316mmとなる。感光ドラム103の感光層は316mm以上の幅で形成されている。A4サイズの記録紙の長辺の長さおよびA3サイズの記録紙の短辺の長さは297mmであるため、本実施例の光プリントヘッド105は、A4サイズの記録紙およびA3サイズの記録紙に画像形成可能な露光範囲を有している。
LEDチップ639-1から639-29は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って二列となるよう交互に配置されている。すなわち、図4(b1)に示すように、左側から数えて奇数番目のLEDチップ639-1、639-3、・・・639-29が基板502の長手方向に一列に実装され、偶数番目のLEDチップ639-2、639-4、・・・639-28が基板502の長手方向に一列に実装されている。LEDチップ639をこのように配置することで、図4(b2)に示すように、LEDチップ639の長手方向において、隣り合う異なるLEDチップ639における一方のLEDチップ639の一端と他方のLEDチップ639の他端とに配置されたLEDの中心間距離k1を一つのLEDチップ639上における隣り合うLEDの中心間距離k2と等しくすることができる。
なお、本実施例では露光光源にLEDを用いる構成を例示するが、露光光源として有機EL(Organic Electro Luminescence)を用いても良い。
次に、レンズアレイ506について説明する。図4(c1)はレンズアレイ506を感光ドラム103側から見た時の概略図である。また、図4(c2)はレンズアレイ506の概略斜視図である。図4(c1)に示すように、これら複数のレンズは複数のLED503の配列方向に沿って二列に並べられている。各レンズは、一方の列のレンズの配列方向において隣り合うレンズの両方に接するように他方の列のレンズの一つが配置されるよう交互に配置されている。各レンズは、円柱状の硝子製のロッドレンズであって、LED503から出射された光が入射する入射面と、入射面から入射した光が出射する出射面とを有する。なお、レンズの材質は硝子製に限らず、プラスチック製でも構わない。レンズの形状についても円柱状に限らず、例えば六角柱等の多角柱でも構わない。
図4(c2)に示す点線Zはレンズの光軸を示す。光プリントヘッド105は前述の移動機構640によって当該点線Zで示すレンズの光軸に概ね沿った方向に移動させられる。ここで言うレンズの光軸とは、レンズの光出射面の中心と当該レンズの焦点とを結ぶ線を意味する。図4に示すように、LEDから出射された光は、レンズアレイ506が備えるレンズに入射する。レンズに入射した光は、感光ドラム103の表面上に集光される。レンズアレイ506は、LEDの発光面とレンズの光入射面との距離と、レンズの光出射面と感光ドラム103の表面との距離と、が略等しくなるように光プリントヘッド105の組み立て時のレンズ取付部701に対する取付位置が調整される。
次に、図5から図8を用いて、基板502とレンズアレイ506と保持体505との取り付け方法について詳しく説明する。
まず、レンズアレイ506と保持体505との取り付け方法について説明する。
図5(a)は、保持体505の前側を下側から見た図である。基板502およびレンズアレイ506は不図示としている。図5(a)に示すように、保持体505には、保持体505の長手方向に亘って延びる貫通孔906が形成されている。言い換えれば、保持体505には、レンズアレイ506が嵌る貫通孔906が設けられている。詳細は後述するが、貫通孔906にレンズアレイ506が挿入された状態で、保持体505に対するレンズアレイ506の取り付け位置が調整される。その後、接着剤907がレンズアレイ506と保持体505との境界部分に塗付され、レンズアレイ506と保持体505とが接着固定される。この際、境界部分の全領域に接着剤を塗付する必要はなく、離散的に数箇所を接着することでレンズアレイ506と保持体505とを固定しても構わない。
図5(b1)はレンズアレイ506を不図示とした保持体505の前側の概略斜視図、図5(b2)はレンズアレイ506を不図示とした保持体505を感光ドラム103の回転軸線に垂直な面で切断した断面図を前側から見た図である。また、図5(c1)はレンズアレイ506が接着固定された保持体505の前側の概略斜視図、図5(c2)はレンズアレイ506が接着固定された保持体505を感光ドラム103の回転軸線に垂直な面で切断した断面図を前側から見た図である。図5(b1)および(b2)に示すように、保持体505の上側にはレンズアレイ506が取り付けられるレンズ取付部701が形成されている。レンズ取付部701は、レンズアレイ506が挿入される間隙を形成するために、貫通孔906を介して左右方向で対向する位置であって、貫通孔906のへりに沿って前後方向に亘り形成されている。また、図5(b1)および(b2)に示すように、レンズ取付部701は、第1内壁面507と、第2内壁面508と、第1傾斜面703と、第2傾斜面704と、を備える。第1内壁面507と第2内壁面508とは左右方向において対向する位置に配置されている。第1内壁面507および第2内壁面508の上側には、上側に向かうに従い左右方向外側に傾斜した第1傾斜面703および第2傾斜面704が形成されている。図5(c1)および(c2)に示す通り、レンズアレイ506は右側(一方側)の側壁面(第1側壁面)が第1内壁面507と対向する位置に、左側(他方側)の側壁面(第2側壁面)が第2内壁面508に対向する位置に配置されるように、貫通孔906に上側から挿入される。すなわち、レンズアレイ506の左右方向(短手方向)の両側壁面はそれぞれ第1内壁面507および第2内壁面508に対向する。貫通孔906に挿入されたレンズアレイ506は、その一部がレンズ取付部701から上側に突出した状態で接着固定される。レンズアレイ506と保持体505のレンズ取付部701との接着は、レンズアレイ506が貫通孔906に挿入された状態において、第1傾斜面703および第2傾斜面704に接着剤907が塗付されることにより行われる。このように、接着剤907が塗付される面が下側に向かうに従ってレンズアレイ506の側壁面に近付くように傾斜していることで、塗付された接着剤907が自重により第1傾斜面703(第2傾斜面704)をつたってレンズアレイ506に向けて流れていく。よって、レンズアレイ506と保持体505のレンズ取付部701とが容易に接着される。
ここで、本実施例では、第1内壁面507(第2内壁面508)と第1傾斜面703(第2傾斜面704)とは連続した面として説明しているが、図5(d)に示すように、第1内壁面507(第2内壁面508)と第1傾斜面703(第2傾斜面704)との間に他の面が設けられていても構わない。
図5(d)は、保持体505が備えるレンズ取付部701に、第1傾斜面703と第1内壁面507との間に第1底面部715が、第2傾斜面704と第2内壁面508との間に第2底面部716が形成された構造を説明するための図である。第1底面部715はレンズの光軸方向に略垂直な面であって、第1内壁面507の上端から第1傾斜面703の下端にかけて形成されている。また、第2底面部716もレンズの光軸方向に垂直な面であって、第2内壁面508の上端から第2傾斜面704の下端にかけて形成されている。レンズアレイ506が貫通孔906に挿入された状態において、第1底面部715および第2底面部716に接着剤907が塗付されることで、レンズアレイ506と保持体505のレンズ取付部701とが接着固定される。このように、第1底面部715および第2底面部716を設けることで、これらを設けない場合と比べて、接着剤907を流し込むスペースが広くなるため、容易に接着剤907を流し込むことが出来る。
次に、基板502と保持体505との取り付け方法について図5(a)および(b2)を用いて説明する。図5(a)に示すように、保持体505の下側には、基板502を挿入するための開口908が形成されている。開口908の内部には、基板502が保持体505の下側から開口908に挿入されていくと、基板502の一部が当接する基板当接部911が形成されている。図5(b2)に示すように、基板当接部911は、保持体505の左側と右側とのそれぞれに形成された基板取付部702に形成されている。これら二箇所の基板当接部911間の幅は、基板502の左右方向の幅よりも狭い。よって、基板502が、保持体505の下側から開口908に挿入されると、基板502の左右方向両側の端部が基板当接部911に当接し、保持体505に対する基板502の取り付け位置が決まる。
取り付け位置が決まった基板502は基板当接部911に当接した状態で、接着剤907が基板502と基板取付部702との境界部分に塗付される。これにより、基板502と基板取付部702とが接着固定される。
次に、図6(a)~(c)を用いて、レンズアレイ506が保持体505のレンズ取付部701に取り付けられる際における、レンズアレイ506のレンズ取付部701に対する取り付け位置の調整方法について説明する。
図6(a)~(c)は、レンズアレイ506が貫通孔906に挿入された状態の保持体505を右側から見た模式図である。
図6(a)は、本実施例における保持体505の模式図である。図5(a)より、レンズ取付部701の前側の端部から後側の端部までの距離は、レンズアレイ506の前側の端部から後側の端部までの距離よりも短い。そのため、保持体505の貫通孔906に挿入されたレンズアレイ506は、前側及び後側がレンズ取付部701から露出する(露出部912)。また、図6(a)に示すように、レンズ取り付け部701の前側と後側は、端部に近付くに従い、下側に向けて傾斜した傾斜構造になっている。当該傾斜構造については、後で詳しく説明する。
露出部912を設ける理由は、保持体505に対するレンズアレイ506の位置調整を行うためにレンズアレイ506を動かす際、レンズアレイ506を確実に保持する領域を確保するためである。基板502に設けられたLED503の光出射点からレンズアレイ506が備えるLED503の光が入射する入射面までの距離は、レンズの製作完成時に決まり、その値は製作誤差等を考慮すると全てのレンズで同じ値であるとは言い難い。したがって、光プリントヘッド105の組み立て時に、LED503の光出射点からレンズアレイ506のLED503の光が入射する入射面までの距離が適切な距離となるように、レンズアレイ506の取り付け位置を調整する必要がある。そこで、例えば組立装置等の保持機構にレンズアレイ506の露出部912を保持させた状態でレンズアレイ506を貫通孔906に挿入し、保持体505に対するレンズアレイ506の取り付け位置を調整する。保持機構の例としては、レンズアレイ506の両側壁面を左右方向から押圧することによって挟持するような構成や吸着することで保持する構成がある。吸着によって保持する場合は、レンズアレイ506の両側壁面のうち一方の側壁面のみを吸着し保持しても構わない。すなわち、必ずしもレンズアレイ506の両側壁面が露出している必要はない。例えば、レンズアレイ506の一方側の側壁面は第1内壁面507から露出しているが、レンズアレイ506の他方側の側壁面は第2内壁面508から露出していないような構成でも構わない。また、レンズアレイ506の一方側の側壁面が、第1内壁面507の前側の端部と後側の端部とのうち前側の端部からのみ露出し、レンズアレイ506の他方側の側壁面が、第2内壁面508の前側の端部と後側の端部とのうち後側の端部からのみ露出した構成でも構わない。
以下、光プリントヘッド105の製造方法について具体的に説明する。まずレンズアレイ506の露出部912が保持機構によって、左右方向から挟持される(保持工程)。挟持されたレンズアレイ506は保持体505の貫通孔906に上側から挿入される(配置工程)。この時、露出部912はレンズ取付部701の前後両端から露出するため、保持機構と保持体505とが接触することはない。次に、レンズアレイ506が貫通孔906に挿入された状態で、基板当接部911に当接する位置に配置された基板502が備えるLED503が発光する。レンズアレイ506から出射された光を受光装置等によって受光し(受光工程)、その受光結果に基づいてレンズアレイ506を上下方向に移動させながらレンズアレイ506と基板502との間隔を調整、すなわち、保持体505への取り付け位置を調整する(調整工程)。調整終了後、接着剤907によってレンズアレイ506と保持体505とが接着固定される。
なお、露出部912は図6(a)に示す部分に限らず、図6(b)に点線で示す部分でも構わない。
図6(b)は、レンズ取付部701の前後両端側が階段状になっており、端部に近いほどレンズ取付部701の上面が感光ドラム103から離れている。これにより、レンズ取付部701の前後両端側においてレンズアレイ506の一部が露出する(露出部922)。当該露出部922が、保持機構によって左右方向から把持され、レンズアレイ506の保持体への取り付け位置が微調整される。その後、接着剤907によってレンズアレイ506と保持体505とが接着固定される。
また、図6(c)は、レンズ取付部701の上側の面において左右方向沿って凹部が形成された構成である。これにより、図6(c)に示すように、レンズアレイ506の左右両側の側壁面が当該凹部から露出する(露出部932)。露出部932が、保持機構によって左右方向から保持され、保持体505に対するレンズアレイ506の取り付け位置が微調整される。その後、接着剤907によってレンズアレイ506と保持体505とが接着固定される。ここで、凹部は、必ずしも第1内壁面507と第2内壁面508との双方に形成されている必要はない。例えば、第1内壁面507にのみ、複数の凹部が形成されていても良い。当該凹部から露出するレンズアレイ506の側壁面を保持機構によって吸着することで保持する。
次に、図7を用いてレンズアレイ506をレンズ取付部701に取り付けるときの、接着剤907の塗付方法について説明する。
図7は、レンズアレイ506が保持体505の貫通孔906に挿入された状態の一例である。図7に示すように、レンズアレイ506をレンズ取付部701に接着固定する際、接着剤907を吐出するディスペンサー645の先端がレンズアレイ506と第1傾斜面703との間およびレンズアレイ506と第2傾斜面704との間に向けられる。なお、図7に示す保持体の例のように、第1底面部715および第2底面部716とを備える保持体505の場合、ディスペンサー645の先端は当該第1底面部715および当該第2底面部716とに向けられても構わない。この状態で、ディスペンサー645が接着剤を吐出しながら、レンズアレイ506の長手方向(図中の矢印方向)に沿って移動する。これによって、接着剤907がレンズアレイ506の側壁面と第1傾斜面703および第2傾斜面704との間に流し込まれる。なお、ディスペンサー645の移動は、組立装置が自動的に行っても構わないし、組立作業者が手動で移動させても構わない。
第1内壁面507を第2内壁面508との間にレンズアレイ506が挿入された状態において、第1内壁面507とレンズアレイ506の側壁面(第1側壁面)との間には0.2mm程度の隙間が、第2内壁面508とレンズアレイ506の側壁面(第2側壁面)との間にも0.2mm程度の隙間が形成され得る。すなわち、保持体505は、第1内壁面507と第2内壁面508との間隔の幅と、左右方向におけるレンズアレイ506の厚さと、の差が0.4mm程度となるように設計される。言い換えれば、第1内壁面507とレンズアレイ506の側壁面(第1側壁面)とは0.2mmの隙間をもって対向している。また、第2内壁面508とレンズアレイ506の側壁面(第2側壁面)とは0.2mmの隙間をもって対向している。以上のように、第1内壁面507とレンズアレイ506の側壁面(第1側壁面)、および、第2内壁面508とレンズアレイ506の側壁面(第2側壁面)、がそれぞれ近接して対向している。これにより、レンズアレイ506と第1傾斜面703との間およびレンズアレイ506と第2傾斜面704との間に吐出された接着剤は、第1内壁面507とレンズアレイ506の側壁面(第1側壁面)との間、また、第2内壁面508とレンズアレイ506の側壁面(第2側壁面)との間から鉛直方向下方に垂れ落ちない。
図8(a)は、本実施例における保持体505のレンズ取付部701の前側の拡大図である。前述の通り、レンズ取付部701の前側は端部に近付くに従い下側に傾斜している(傾斜部904)。図8(a)では不図示としているが、レンズ取付部701の後側も同様の構造になっている。傾斜部904を設けることで、接着剤907が自重によって傾斜部904の傾斜に沿って流れる。これにより、レンズ取付部701の前側および後側において、接着剤907の塗り抜けを防止する効果が期待できる。
さらに、図8(b)に示すように、保持体505の上面のうち、レンズアレイ506の露出部912と重なっている部分には溝部903が形成されている。溝部903は、保持体505の前後方向と交差する方向に延びて形成されている。溝部903が傾斜部904の直下に設けられていることで、傾斜を流れ落ちた接着剤907が溝部903内に留まる。これにより、接着剤907が保持体505からその周囲に流れ落ちることを防止できる。
また、接着剤907を保持体505上に留めておく構成として、図9に示す構成も考え得る。図9に示すように、保持体505の上側の面で貫通孔906よりも右側および左側には、上側に向けて突出する凸部913が形成されている。レンズアレイ506と第1傾斜面703(第2傾斜面704)との間から溢れた接着剤907は、レンズアレイ506と凸部913との間に滞留する。レンズアレイ506と第1傾斜面703(第2傾斜面704)との間から溢れた接着剤907を確実に保持体505上に滞留させるために、凸部913の上端はレンズアレイ506の光出射面よりも感光ドラム103に近い位置であることが望ましい。
ここから、光プリントヘッド105を移動させる必要性について説明する。本実施例の画像形成装置1は、図2で説明したようにドラムユニット518を交換する際に感光ドラム103の回転軸線方向であって装置本体の前側にドラムユニット518をスライド移動させる。光プリントヘッド105が感光ドラム103表面近傍に位置した状態でドラムユニット518を移動させるとスライド移動する感光ドラム103表面に接触してしまい、装着する感光ドラム103の表面に傷がついてしまう。また、ドラムユニット518の枠体にレンズアレイ506が接触してレンズアレイ506に傷がついてしまう。そのため、感光ドラム103を露光する露光位置(図10(a))と当該露光位置よりも交換ユニットから退避した退避位置(図10(b))との間で、光プリントヘッド105が往復移動する構造が必要である。光プリントヘッド105が露光位置(図10(a))の状態でスライド部525が矢印A方向にスライド移動すると光プリントヘッド105は退避位置(図10(b))へと向かう方向に移動する。一方、光プリントヘッド105が退避位置(図10(b))の状態でスライド部525が矢印B方向にスライド移動すると光プリントヘッド105は露光位置(図10(a))へと向かう方向に移動する。詳細は後述する。
図11(a1)は露光位置に位置する光プリントヘッド105の後側、およびドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671を示す斜視図である。図11(a2)は光プリントヘッド105が露光位置に位置する際の第2支持部528およびドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671を示す断面図である。図11(b1)は退避位置に位置する光プリントヘッド105の後側、およびドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671を示す斜視図である。図11(b2)は光プリントヘッド105が退避位置に位置する際の第2支持部528およびドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671を示す断面図である。
図11を用いて、光プリントヘッド105の後側に設けられた当接ピン515がドラムユニット518側に設けられたブッシュ671に当接する様子を説明する。ドラムユニット518の前側にも当接ピンが当接するブッシュ671に相当する部品が設けられており、その構造はブッシュ671の構造と同様であって、機能についても実質的に同一である。ここでは当接ピン515がドラムユニット518側に設けられたブッシュ671に当接する様子のみ説明する。
図11(a1)および図11(b1)より、リンク部材652が保持体505に取り付けられている部分は、上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)における当接ピン515の両端のうち交換ユニット側(ドラムユニット518が配置されている側)とは反対側の端部より感光ドラム103側である。リンク部材652が取り付けられるバネ取付部662が、当接ピン515と上下方向で交差しないように配置されている。また、ここでは図示しないが、リンク部材651が保持体505に取り付けられている部分も、上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向往復移動方向)における当接ピン514の両端のうち交換ユニット側(ドラムユニット518が配置されている側)とは反対側の端部より感光ドラム103側である。リンク部材651が取り付けられるバネ取付部661が、当接ピン514と上下方向で交差しないように配置されている。これにより、露光ユニット500が上下方向で大型化することを抑制している。
図11(a2)および図11(b2)に示すように、第2支持部528は第2座面587、規制部128、第1壁面588、第2壁面589を備える。第2座面587は、保持体505の下側に設けられている。露光位置から退避位置に向かって移動する保持体505の下側が、第2座面587および後述する第1支持部527の第1座面586に対して、鉛直方向上側から当接することで、光プリントヘッド105が退避位置となる。規制部128は第2支持部528に形成された前側に開いたコの字状の凹部であって、保持体505に対してドラムユニット518が位置する側とは反対側に配置されており、当接ピン515が上下方向に移動可能なように当接ピン515より後側から嵌っている。保持体505の下側から突き出た当接ピン515は、規制部128によって形成された間隙内を移動しながら保持体505と共に上下移動する。ここでは図示しないが、第1支持部527も規制部127を備える。規制部127は第1支持部527に形成された前側に開いたコの字状の凹部であって、保持体505に対してドラムユニット518が位置する側とは反対側に配置されており、当接ピン514が上下方向に移動可能なように当接ピン514より前側から嵌っている。保持体505の下側から突き出た当接ピン514は、規制部127によって形成された間隙内を移動しながら保持体505と共に上下移動する。規制部127は当接ピン514との接触で生じる摩擦力を可能な限り低減するため、テーパ形状を成している。これにより、当接ピン514は規制部127の間隙において滑らかに上下移動することができる。したがって、当接ピン515及び当接ピン514と一体の保持体505は前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)との双方に交差する方向への移動が規制される。また、規制部127は当接ピン514が後側から前側へ移動することを規制しても構わないし、規制部128は当接ピン515が前側から後側へ移動することを規制しても構わない。
第1壁面588と第2壁面589とは左右方向で対面する位置に配置されており、間隙を形成している。光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを往復移動するにあたり、保持体505は第1壁面588と第2壁面589とによって形成された間隙内を上下方向に移動する。その間、保持体505は第1壁面588と第2壁面589とによって前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)との双方に交差する方向への移動が規制される。
以上の構成により、光プリントヘッド105は前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)との双方に交差する方向への移動が規制された状態で露光位置と退避位置とを移動する。なお、規制部127と規制部128は、少なくとも一方が第1支持部527または第2支持部528に設けられていれば構わない。すなわち、規制部127が支持部の一例としての第1支持部527に設けられているか、規制部128が第2支持部528に設けられているかすれば十分である。
図11(a1)および図11(a2)に示すように、当接ピン515がドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671に当接し、かつ、当接ピン514(不図示)がドラムユニット518の前側に設けられたブッシュ671に相当する部品に当接した位置が、光プリントヘッド105の露光位置である。当接ピン514、および当接ピン515がブッシュ671およびブッシュ671に相当する部品にそれぞれ当接することによって、レンズアレイ506と感光ドラム103表面との距離が設計称呼となる。
一方、図11(b1)および図11(b2)に示すように、当接ピン515がドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671から退避した位置が、光プリントヘッド105の退避位置に相当する。光プリントヘッド105が図11(b1)および図11(b2)に示す退避位置に位置することによって交換のためにスライド移動するドラムユニット518と光プリントヘッド105が接触しない状態となる。
ここで、ドラムユニット518が備えるブッシュ671について説明する。図12にブッシュ671の斜視図を示す。ブッシュ671は、ドラムユニット518の筐体にビスあるいは接着剤によって固定された部材である。図12に示すように、ブッシュ671には開口916が形成されている。開口916には感光ドラム103の他端側の軸部材が回転可能に挿入されている。すなわち、ブッシュ671は感光ドラム103を回転可能に軸支する。
感光ドラム103は中空の円柱形状のアルミ管の外壁面に感光層が形成されている。アルミ管の両端にはフランジ673が圧入されている。ブッシュ671に形成された開口916には感光ドラム103の他端側のフランジ673が回転可能に挿入されている。フランジ673は、ブッシュ671に形成された開口916の内壁面に摺擦しながら回転する。すなわち、ブッシュ671は感光ドラム103を回転可能に軸支する。また、当接ピン514が当接する、ドラムユニット518の前側に設けられたブッシュ671に相当する部品の中央部にもブッシュ671と同様に開口が形成されている。ブッシュ671に相当する部品に形成された開口には感光ドラム103の一端側(前側)のフランジ673が回転可能に挿入されている。フランジ673は、当該開口の内壁面に摺擦しながら回転する。すなわち、ドラムユニット518の後側と同様、前側においてもブッシュ671は感光ドラム103を回転可能に軸支する。
ブッシュ671は、当接ピン515が嵌る嵌合部685を備える。嵌合部685は、当接面551と、後側壁面596と、テーパ部585と、を備える。嵌合部685はブッシュ671に対して窪んでいても構わないし、立設されていても構わない。当接面551には、退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する当接ピン515が当接する。嵌合部685の下端の淵はテーパ形状であるテーパ部585が形成されている。テーパ部585は、退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する当接ピン515が、当接面551に当接するようにその移動を案内する。後側壁面596と当接ピン515との接触については後で説明する。
嵌合部685の当接面551に当接した当接ピン515は、嵌合部685によって前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)との双方に交差する方向への移動が規制される。すなわち、露光位置に位置する光プリントヘッド105(図11(a2)参照)において、当接ピン515の上端は嵌合部685によって前後方向と上下方向との双方に交差する方向への移動が規制され、当接ピン515の下端は規制部128によって前後方向と上下方向との双方に交差する方向への移動が規制される。ここで、嵌合部685の左右方向の径と当接ピン515の上端の左右方向の径との差と規制部128の左右方向の径と当接ピン515の下端の左右方向の径との差は、第1壁面588と第2壁面589との左右方向の間隔と第1壁面588と第2壁面589との間に位置する保持体505との差よりも小である。したがって、光プリントヘッド105が露光位置である時、第1壁面588と第2壁面589は保持体505の前後方向と上下方向との双方に交差する方向への移動の規制には関与しない。
(移動機構)
以下、光プリントヘッド105を移動させるための移動機構640について説明する。
まず、第1支持部527ついて説明する。図13(a)は第1支持部527の概略斜視図である。第1支持部527には、突き当て部(停止機構)の一例としての第1座面586、差し込み部の一例としての開口部700、当接部529、規制部127、突起601、ビス孔602、位置決めボス603、位置決めボス604、ビス孔605が形成されている。ここで、第1支持部527は、開口部700と第1座面586とが一体的に射出成形された成形物であっても構わないし、互いに別部材であっても構わない。
第1座面586は、露光位置から退避位置に向けて移動する保持体505の下側が、鉛直方向上側から当接する部分であって、画像形成装置1本体に固定されている。保持体505の下側が第1座面586に当接し、光プリントヘッド105が退避位置となる。
開口部700にはトナー等によって汚れたレンズアレイ506の光出射面を清掃するための清掃部材572が、画像形成装置1本体の外側から差し込まれる。清掃部材572は長尺の棒状の部材である。本実施例では、開口部700の一例として前後方向に貫通する貫通孔を示すが、孔に限らず、例えば上部にスリットが形成されていても構わない。当接部529は、図13(a)に斜線で示すように第1支持部527の後側の面であって開口部700の上側と下側の領域である。当接部529の機能については後で詳細を説明する。
図13(a)に示すように、規制部127は第1支持部527に形成された後側に開いたコの字状の凹部である。保持体505の下側から突き出た当接ピン514の一部は、規制部127によって形成された間隙の間を保持体505と共に上下移動する。規制部127は当接ピン514との接触で生じる摩擦力を可能な限り低減するため、テーパ形状を成しており、当接ピン514に近付くに従い上下方向の厚さが薄くなっている。これにより、当接ピン514は規制部127の間隙において滑らかに上下移動することができる。
第1支持部527は前側板642の前側の面に固定されている。前側板642には位置決めボス603、位置決めボス604、固定用のビスそれぞれに対応する複数の孔が形成されている(不図示)。位置決めボス603および位置決めボス604は、設けられた複数の孔に挿入されており、その状態で第1支持部527のビス孔から通されたビスによって第1支持部527は前側板642に固定されている。
後述する第3支持部526はコの字型に折り曲げられた板金である。図13(b)は、第3支持部526の長手方向における一端部が図13(a)に示す点線で囲まれた部分に挿入される様子を説明するための図を示し、図13(c)は第3支持部526の長手方向における一端部が図13(a)に示す点線で囲まれた部分に挿入された図を示す。図13(b)および(c)に示すように、第3支持部526の一端部には切欠きが設けられており、第1支持部527側の突起601が第3支持部526の切欠きに係合する。突起601が第3支持部526の切欠きに係合することによって第1支持部527に対して第3支持部526の左右方向の位置が決まる。第3支持部526は、ビス孔602から挿入されたビスによって図13(c)の下側から加圧されて第1支持部527の接触面681に当接することによって第1支持部527に固定されている。
次に、第2支持部528について説明する。図14(a)は第2支持部528の概略斜視図である。第2支持部528には、第2座面587と、第1壁面588と、第2壁面589と、規制部128が形成されている。
第2座面587は前で説明した通り、露光位置から退避位置に向けて移動する保持体505の下側が当接する部分である。第2座面587は、画像形成装置1本体に固定されている。保持体505の下側が第2座面587に当接し、光プリントヘッド105が退避位置となる。
図14(b)に示すように、第2支持部528は後側板643の前側の面に固定されている。第2支持部528は、第1支持部527が前側板642に固定される方法と同様に、位置決めボスおよびビスによって後側板643に固定されている。図14(c)は、第3支持部526の長手方向における第3支持部526の他端側(後側)が図14(a)に示す点線で囲まれた部分に挿入された状態を示す。すなわち、第3支持部526は一端部が第1支持部527に支持され、他端部が第2支持部528に支持され、第1支持部527および第2支持部528がそれぞれ前側板642および後側板643に固定されている。そのため、第3支持部526は画像形成装置1本体に対して固定されていることになる。
なお、第2支持部528は第3支持部526に対してビス等によって固定され、後側板643とはビス留めされていない構成であっても構わない。その場合、例えば、第2支持部528には凹部が形成されており、後側板643に形成された凸部に嵌ることで、後側板643に対する第2支持部528の位置が決まる構造とする。第2支持部528の第1壁面588、第2壁面589については後述する。
図14(a)に示すように、規制部128は第2支持部528に形成された前側に開いたコの字状の凹部である。保持体505の下側から突き出た当接ピン515の一部は、規制部128によって形成された間隙の間を保持体505と共に上下移動する。規制部128は当接ピン515との接触で生じる摩擦力を可能な限り低減するため、テーパ形状を成しており、当接ピン515に近付くに従い上下方向の厚さが薄くなっている。これにより、当接ピン515は規制部128の間隙において滑らかに上下移動することができる。
次に、図15を用いて第3支持部526およびスライド部525について説明する。第3支持部526およびスライド部525は、保持体505に対して感光ドラム103とは反対側に配置されている。
図15(a)は、第1支持部527を不図示とした移動機構640の前側を左側から見た概略斜視図である。また、図15(b)は、第1支持部527を不図示とした移動機構640の前側を右側から見た概略斜視図である。移動機構640はリンク部材651と、スライド部525と、第3支持部526を備える。第3支持部526は、支持軸531と、E型止め輪533と、を備える。図15に示すように、支持軸531は、コの字型に加工された第3支持部526の対向する面(左側面と右側面)に設けられた開口に挿入されている。支持軸531は第3支持部526の右側面および左側面を貫通している。支持軸531は、第3支持部526の開口から抜け落ちないように左側面の外側でE型止め輪533にて留められている。一方、図15(a)に示すようにスライド部525には前後方向に延びる長尺の開口である長孔691が形成されている。支持軸531はスライド部525の長孔691に挿入されており、長孔691に対し例えば上下方向において0.1~0.5mm程度の隙間を以て緩嵌している。そのため、スライド部525は、第3支持部526に対して上下方向の移動が規制され、長孔691の前後方向の長さの分だけ第3支持部526に対してスライド移動可能となる。
また、スライド部525の一端側には左側から下側に亘って収納スペース562を有するスライド補助部材539が取り付けられている。スライド補助部材539はスライド部525に対して左側からビス留めされることで固定されている。収納スペース562には後述するカバー558が備える加圧部561が収納される。収納スペース562と加圧部561との関係および構造的特徴については、後のカバー558についての説明と合わせて記載する。
以下、図3、図15および図16を用いて移動機構640について説明する。
図3は移動機構640を備える露光ユニット500の概略斜視図である。図3に示すように移動機構640は第1リンク機構861と、第2リンク機構862と、スライド部525と、第1支持部527と、第2支持部528と、第3支持部526を備える。第1リンク機構861はリンク部材651とリンク部材653を備え、第2リンク機構862はリンク部材652とリンク部材654を備える。図3に示すように、リンク部材651とリンク部材653、リンク部材652とリンク部材654はそれぞれλ型のリンク機構を構成する。
図15(a)は、第1支持部527を不図示とした移動機構640の前側を左側から見た概略斜視図である。また、図11(b)は、第1支持部527を不図示とした移動機構640の前側を右側から見た概略斜視図である。
以下、図15(a)、図15(b)、図16(a)および図16(b)を用いて、第1リンク機構861について説明する。図12(a)は、第1リンク機構861を感光ドラム103の回転軸線に沿った面で切断した断面図を右側から見た図である。第1リンク機構861は、リンク部材651と、リンク部材653を備える。第1リンク機構861を構成するリンク部材651およびリンク部材653はそれぞれ単一のリンク部材であるが、複数のリンク部材を組み合わせて構成しても良い。
図16(a)および(b)に示すように、リンク部材653の長手方向の長さはリンク部材651の長手方向の長さよりも短い。
リンク部材651は、軸受部610、突起655、および接続軸部538、を備える。軸受部610はリンク部材651の長手方向の一端側に設けられている。突起655は、リンク部材651の長手方向の他端側に設けられた、リンク部材651の回動軸線方向に立設した円柱状の突起であって、光プリントヘッド105の保持体505側に設けられたバネを変形させるための突起である。接続軸部538はリンク部材651の長手方向において軸受部610と突起655との間に設けられている。なお、突起655に限らず、リンク部材651の長手方向の一端側が回動軸線方向に屈曲した構造でも構わない。
軸受部610には図16(a)の左右方向に延びる円形の中空孔が形成されている。スライド部525には嵌合軸部534が設けられている。嵌合軸部534はスライド部525から図16(a)の左方向に立設した円柱状の突起である。嵌合軸部534は軸受部610の孔に対して回動可能に嵌合されることで第1接続部を形成する。すなわち、リンク部材651は第1接続部を回動中心としてスライド部525に対して回動可能となっている。ここで、嵌合軸部534がリンク部材651側に形成され、軸受部610がスライド部525に形成されていても構わない。
リンク部材653は、接続軸部530を備える。接続軸部530はリンク部材653の長手方向の一端側に設けられている。接続軸部530はリンク部材653から図16(a)の左側に立設した円柱状の突起である。接続軸部530は第3支持部526に形成された孔に回転可能に挿入され、第3接続部を形成する。ここで、接続軸部530はリンク部材653ではなく、第3支持部526に形成されていても構わない。すなわち、リンク部材653に形成された孔に第3支持部に形成された接続軸部530が挿入されていてもよい。
リンク部材653の長手方向の他端側には図16(a)の左右方向に延びる円形の孔が形成されている。当該孔にはリンク部材651の接続軸部538が回動可能に挿入されており、接続軸部538とリンク部材653の孔は第4接続部を形成する。すなわち、リンク部材653は、第3接続部を回動中心に第3支持部526に対して回動可能であり、第4接続部を回動中心にリンク部材651に対して回動可能となっている。ここで、接続軸部538はリンク部材651ではなく、リンク部材653に形成されていても構わない。すなわち、リンク部材651に形成された孔にリンク部材653に形成された接続軸部538が挿入されてもよい。
なお、第2リンク機構862の構成についても、上で説明した第1リンク機構861の構成と同様である。第2リンク機構862が備えるリンク部材652およびリンク部材654は、それぞれリンク部材651およびリンク部材653に対応する。また、第1接続部に対応して、リンク部材652の長手方向の一端側とスライド部525との接続部分は第2接続部を構成する。なお、移動機構640の実施の形態はリンク部材653とリンク部材654のいずれか一方を省略しても良い。
以上の構成により、スライド部525が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動すると、スライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部610が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動する。これにより、図16(a)に示すように第1リンク機構861を右側から見た時、リンク部材651は嵌合軸部534を回動中心として時計回りに回動し、かつ、リンク部材653は接続軸部530を回動中心として反時計回りに回動する。よって、突起655が露光位置から退避位置へと向かう方向へ移動する。
一方、スライド部525が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動すると、リンク部材651およびリンク部材653は図16(a)に記載の矢印とは逆方向に移動する。スライド部525が、第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動するとスライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部610が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。これにより、図16(a)に示すように第1リンク機構861を右側から見た時、リンク部材651は嵌合軸部534を回動中心として反時計回りに回動し、かつ、リンク部材653は接続軸部530を回動中心として時計回りに回動する。よって、突起655は退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する。
なお、(1)接続軸部538の回動中心軸と軸受部610の回動中心軸との距離をL1、(2)接続軸部538の回動中心軸と接続軸部530の回動中心軸との距離をL2、(3)接続軸部538の回動中心軸と突起655の回動中心軸との距離をL3とする。移動機構640において第1リンク機構861は、L1、L2、L3は互いに等しいスコットラッセル機構を形成する(図16(b)参照)。距離L1、L2、L3は等しくすることによって、嵌合軸部534のスライド移動方向に対して突起655が垂直に移動(図16(b)の点線A上)するため、上記のリンク機構において光プリントヘッド105をレンズの略光軸方向に移動させることができる。
ここで、第1リンク機構861と、第2リンク機構862と、のそれぞれを前後方向で逆の構造とし、スライド部525を前側から後側へスライド移動させると光プリントヘッド105が退避位置から露光位置に向けて移動し、スライド部525を後側から前側へスライド移動させると光プリントヘッド105が露光位置から退避位置に向けて移動する構成としても構わない。この場合、後述するカバー558は、開状態から閉状態への移動時にスライド部525を前側から後側へ押し込み、閉状態から開状態への移動時にスライド部525を後側から前側へ引き込む。
光プリントヘッド105を移動させる機構は移動機構640に限らず、図17に示す移動機構140でも構わない。以下、図17および図18を用いて移動機構140について説明する。なお、移動機構640を構成する部材と実質的に同じ機能を有する部材には同じ符合を付して説明し、重複する説明は省略する場合がある。
以下、図17(a)、図17(b)、および図18(a)、図18(b)を用いて、移動機構140が保持体505を移動させる仕組みについて説明する。図18(a)は、保持体505と図18(b)に示す移動機構140とを感光ドラム103の回転軸線に沿った面で切断した断面図である。
図17(a)および(b)に示すように、リンク部材151は、軸受部110と、突起155を備える。軸受部110はリンク部材151の長手方向の一端側に設けられている。図18(a)および(b)に示すように突起155は、リンク部材151の長手方向の他端側に設けられた、リンク部材151の回動軸線方向に立設した円柱状の突起であって、光プリントヘッド105の保持体505側に設けられたバネを変形させるための突起である。ここで、突起155に限らず、リンク部材151の長手方向の一端側がリンク部材151の回動軸線方向に屈曲した構造でも構わない。
軸受部110には左右方向に延びる円形の中空孔が形成されている。図18(a)および(b)に示すように、スライド部525には嵌合軸部534が設けられている。嵌合軸部534はスライド部525から左方向に立設した円柱状の突起である。軸受部110の孔が嵌合軸部534に対して回動可能に嵌合されることで第1接続部を形成する。すなわち、リンク部材151は第1接続部を回動中心としてスライド部525に対して回動可能となっている。ここで、嵌合軸部534がリンク部材151側に形成され、軸受部110がスライド部525に形成されていても構わない。
なお、第3支持部526の後側には支持軸531と同様の軸が設けられ、スライド部525の後側には長孔691と同様の長孔が形成されており、移動機構140の後側は前側と同様の構造である。また、リンク部材152の構造についてもリンク部材151に対応するものである。また、第1接続部に対応して、リンク部材152の長手方向の一端側とスライド部525との接続部分は第2接続部を構成する。
保持体505の一端より前側には第1支持部527(不図示)の当接部529が配置されている。これにより、スライド部525が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動すると、スライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部110が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。それに伴い、突起155が取り付けられた保持体505も前側に移動しようとするが、保持体505の一端は当接部529に当接しており前側への移動が制限される。リンク部材151は、突起155を備える一端側が軸受部110を備える他端側よりドラムユニット518側に位置するように感光ドラム103の回転軸線方向に交差して配置されているため、図18(a)に示すように右側から見ると嵌合軸部534を回動中心として反時計回りに回動する。よって、保持体505は、保持体505の一端が当接部529に当接しながら退避位置から露光位置に向かって移動する。
一方、スライド部525が、第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動するとスライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部110が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。これにより、リンク部材151は、図18(a)に示すように右側から見ると嵌合軸部534を回動中心として時計回りに回動する。よって、突起155は露光位置から退避位置へと向かう方向へ移動する。詳しくは後述するが、スライド部525はカバー558の閉動作に連動して後側から前側に移動し、カバー558の開動作に連動して前側から後側に移動する。すなわち、カバー558が開状態から閉状態に移動すると保持体505が退避位置から露光位置へ向かう方向に移動し、カバー558が閉状態から開状態に移動すると保持体505が露光位置から退避位置へ向かう方向に移動する。
光プリントヘッド105がレンズの略光軸方向に移動する時、保持体505の後側は、前記した第2支持部528が備える第1壁面588と第2壁面589とが形成する間隙を移動する。これにより、保持体505が左右方向に傾倒することを防止する。
なお、リンク部材151およびリンク部材152は、他端側が一端側より前側に配置され、当接部529が保持体505の他端より後側に配置されていても構わない。すなわち、スライド部525が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動すると、スライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部110が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動する。それに伴い突起155が取り付けられた保持体505も後側に移動しようとするが、保持体505の他端は当接部529に当接しており後側への移動が制限される。よって、リンク部材151を右側から見た時、リンク部材151およびリンク部材152はスライド部525に対して時計回りに回動し、保持体505は他端が当接部529に当接しながら退避位置から露光位置に向かって移動する。この場合、カバー558は、開状態から閉状態への移動時にスライド部525を前側から後側へ押し込み、閉状態から開状態への移動時にスライド部525を後側から前側へ引き込む。
光プリントヘッド105を移動させる機構は移動機構640や移動機構140に限らず、図19に示す移動機構840でも構わない。以下、図19を用いて移動機構840について説明する。なお、移動機構640(140)を構成する部材と実質的に同じ機能を有する部材には同じ符合を付して説明し、重複する説明は省略する場合がある。
図19(a1)および図19(a2)は移動機構840である。図19(a1)および図19(a2)に示すように移動機構840は第1リンク機構858と、第2リンク機構859と、スライド部825と、第3支持部526を備える。第1リンク機構858はリンク部材843とリンク部材844を備え、第2リンク機構859はリンク部材845とリンク部材846を備える。図19に示すように、リンク部材843とリンク部材844、リンク部材845とリンク部材846はそれぞれ互いに回動可能に交差してX型のリンク機構を構成する。リンク部材843の突起847、リンク部材844の突起848、リンク部材845の突起849、リンク部材846の突起850がそれぞれ不図示の保持体805に回動可能に取り付けられている。図19(a1)においてスライド部825を矢印A方向にスライド移動させるとリンク部材843~846がスライド部825に対して回動し、突起847~850が下側へ移動する(図19(a2))。一方、図19(a2)においてスライド部825を矢印B方向にスライド移動させるとリンク部材843~846がスライド部825に対して回動し、突起847~850が上側へ移動する(図19(a1))。
図19(b)は、移動機構840の前側を保持体805の前側と合わせて示した図である。
以下、図19(b)を用いて、移動機構840が保持体805を移動させる仕組みについて説明する。ここで、第1リンク機構858と第2リンク機構859の動作は実質的に同一のため、ここでは第1リンク機構858について図19(b)を用いて説明する。第1リンク機構858は、リンク部材843と、リンク部材844を備える。第1リンク機構858を構成するリンク部材843およびリンク部材844はそれぞれ単一のリンク部材であるが、複数のリンク部材を組み合わせて構成しても良い。
図19(b)における移動機構840は、第1リンク機構858、スライド部825を備える。図19(b)に示すように、スライド部825は左右方向に貫通し前後方向に延びた長尺の開口である長孔863を備える。
リンク部材843は、突起810、突起847および接続軸部538、を備える。突起810はリンク部材843の長手方向の一端側に設けられている。突起847は、リンク部材843の長手方向の他端側に設けられた、リンク部材843の回動軸線方向であって右側に立設した円柱状の突起である。接続軸部538はリンク部材843の長手方向において突起810と突起847との間に設けられている。なお、突起847に限らず、リンク部材843の長手方向の一端側が回動軸線方向に屈曲した構造でも構わない。
突起810はスライド部825の長孔863に対して回動可能に緩嵌されることで第1接続部を形成する。すなわち、リンク部材843は第1接続部を回動中心としてスライド部825に対して回動可能となっている。また、突起810は長孔863において長孔863の前後方向の範囲内(開口内)で前後方向に移動可能である。長孔863の後側の縁と突起810との間にはコイルばね860が配置されている。
リンク部材844は、接続軸部530と突起848を備える。接続軸部530はリンク部材844の長手方向の一端側に設けられている。接続軸部530はリンク部材844から図19(b)の右側に立設した円柱状の突起である。接続軸部530は第3支持部526に形成された孔に回転可能に挿入され、第3接続部を形成する。ここで、接続軸部530はリンク部材844ではなく、第3支持部526に形成されていても構わない。すなわち、リンク部材844に形成された孔に第3支持部に形成された接続軸部530が挿入されていてもよい。
突起848は、リンク部材844の長手方向の他端側に設けられた、リンク部材844の回動軸線方向であって右側に立設した円柱状の突起である。
また、リンク部材844の突起848と第3接続部との間には図19(b)の左右方向に延びる円形の孔が形成されている。当該孔にはリンク部材843の接続軸部538が回動可能に挿入されており、接続軸部538とリンク部材844の孔は第4接続部を形成する。すなわち、リンク部材844は、第3接続部を回動中心に第3支持部526に対して回動可能であり、第4接続部を回動中心にリンク部材843に対して回動可能となっている。ここで、接続軸部538はリンク部材843ではなく、リンク部材844に形成されていても構わない。すなわち、リンク部材843に形成された孔にリンク部材844に形成された接続軸部538が挿入されてもよい。
なお、移動機構840の実施の形態はリンク部材843とリンク部材844のいずれか一方を省略しても良い。
保持体805は、レンズアレイ506、リンク取付部851、リンク取付部852、ピン取付部855を備える。リンク取付部851及びリンク取付部852は共に、レンズアレイ506と保持体805に取り付けられるピン514の間に設けられる。なお、ここでは図示しないが、第2リンク機構859を構成するリンク部材845及びリンク部材846が取り付けられるリンク取付部853及びリンク取付部854も共に、レンズアレイ506と保持体805の他端側に取り付けられるピン515の間に設けられる。リンク取付部851は、レンズアレイ506とピン取付部855との間において保持体805に形成された、左右方向に貫通した孔である。また、リンク取付部852はレンズアレイ506とリンク取付部851との間において保持体805に形成された、左右方向に貫通し前後方向に延びる長孔である。
リンク取付部851にはリンク部材843の突起847が回動可能に取り付けられており、リンク取付部852にはリンク部材844の突起848が回動可能に取り付けられている。また、突起848はリンク取付部851に対して前後方向に移動可能に取り付けられている。したがって、リンク部材844は突起848を回動中心として回動しながらリンク取付部852の前後方向の範囲内で前後方向にスライド移動可能である。
以上の構成により、スライド部825が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動すると、スライド部825と共に突起810が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動する。これにより、図19(a1)に示すように第1リンク機構858を右側から見た時、リンク部材843は突起810を回動中心として時計回りに回動し、かつ、リンク部材844は接続軸部530を回動中心として反時計回りに回動しながら突起848はリンク取付部852において前側から後側へ移動する。よって、突起847及び突起848が露光位置から退避位置へと向かう方向へ移動する。
一方、スライド部825が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動すると、スライド部825と共に突起810が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。これにより、図19(a2)に示すように第1リンク機構858を右側から見た時、リンク部材843は突起810を回動中心として反時計回りに回動し、かつ、リンク部材844は接続軸部530を回動中心として時計回りに回動しながら突起848はリンク取付部において後側から前側へ移動する。よって、突起847及び突起848が退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する。図19(b)に示すように、当接ピン514が当接面550に当接した状態で、更にスライド部825が前側へスライド移動すると、コイルばね860が長孔863の後側の縁と突起810とに挟まれて収縮する。収縮したコイルばね860の復元力によって、突起810は前側へ付勢される。これにより、保持体805に上側へ向かう方向の付勢力が付与される。
ここで、第1リンク機構858と、第2リンク機構859と、のそれぞれを前後方向で逆の構造とし、スライド部825を前側から後側へスライド移動させると光プリントヘッド105が退避位置から露光位置に向けて移動し、スライド部825を後側から前側へスライド移動させると光プリントヘッド105が露光位置から退避位置に向けて移動する構成としても構わない。この場合、後述するカバー558は、開状態から閉状態への移動時にスライド部825を前側から後側へ押し込み、閉状態から開状態への移動時にスライド部825を後側から前側へ引き込む。
また、光プリントヘッド105を移動させる機構は移動機構640、移動機構140、移動機構840に限らず、図20に示す移動機構940でも構わない。以下、図20を用いて移動機構940について説明する。なお、移動機構640(140や840を含む)を構成する部材と実質的に同じ機能を有する部材には同じ符合を付して説明し、重複する説明は省略する場合がある。
図20に示すように、スライド部525の前側及び後側には第1カム部112および第2カム部113が設けられており、また、保持体905の下側であって前側及び後側には移動支持部114及び移動支持部115が設けられている。第1カム部112および第2カム部113は、保持体905側に後側から前側に向けて下側に傾斜した面を備える。
図20(a)は、露光位置に位置する光プリントヘッド105及び移動機構940を右側から見た概略図である。光プリントヘッド105が露光位置である際に、スライド部525が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動すると、スライド部525と共にスライド部525に設けられた第1カム部112および第2カム部113が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動する。これにより、保持体905に設けられた移動支持部114及び移動支持部115の下端が第1カム部112および第2カム部113に当接し、移動支持部114及び移動支持部115が第1カム部112および第2カム部113に沿って露光位置から退避位置へと向かう方向へ移動する。
図20(b)は、退避位置に位置する光プリントヘッド105及び移動機構940を右側から見た概略図である。光プリントヘッド105が退避位置である際に、スライド部525が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動すると、スライド部525と共にスライド部525に設けられた第1カム部112および第2カム部113が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。これにより、保持体905に設けられた移動支持部114及び移動支持部115の下端が第1カム部112および第2カム部113に沿って、退避位置から露光位置へと向かう方向へ押し上げられ移動する。
ここで、第1カム部112および第2カム部113と、のそれぞれが備える傾斜面の傾斜方向を前側から後側へ向けて下側に傾斜した構造とし、スライド部525を前側から後側へスライド移動させると光プリントヘッド105が退避位置から露光位置に向けて移動し、スライド部525を後側から前側へスライド移動させると光プリントヘッド105が露光位置から退避位置に向けて移動する構成としても構わない。この場合、後述するカバー558は、開状態から閉状態への移動時にスライド部525を前側から後側へ押し込み、閉状態から開状態への移動時にスライド部525を後側から前側へ引き込む。
次に、図21を用いてカバー558について説明する。カバー558はスライド部525を上記のようにスライド移動させるための部材である。なお、スライド部525をスライド移動させる構成はカバー558に限定されるものではない。例えば、不図示の前扉の開閉に連動してスライド部525がスライド移動するように構成しても良い。また、カバー558や扉のような被覆部材ではなく、レバーのような回動部材の回動に連動してスライド部525がスライド移動するように構成しても良い。
図21(a)はカバー558の斜視図である。図21(a)に示すように、カバー558は、回動軸部559と、回動軸部560と、を備える。回動軸部559は、カバー558の右側方向に突出する円柱形状の突起である。一方、回動軸部560は、カバー558の左側方向に突出する円柱形状の突起である。
図21(b)に前側板642にカバー558が取り付けられる部分の拡大図を示す。また図21(c)は、前側板642に取り付けられたカバー558の斜視図である。図21(b)に示すように、前側板642には、カバー558の回動軸部559が嵌合する軸受部材621と、回動軸部560が嵌合する軸受部材622と、が設けられている。図21(c)に示すように、カバー558の回動軸部559が前側板642の軸受部材621に回動可能に嵌合し、回動軸部560が前側板642の軸受部材622に回動可能に嵌合している。図21(a)に示すように、回動軸部559の回動軸線と回動軸部560の回動軸線は回動軸線563上にある。カバー558は画像形成装置1本体に対して回動軸線563を回動中心として開閉する。閉じられたカバー558はドラムユニット518、現像ユニット641の挿抜経路上に位置する。そのため、カバー558が閉状態であると、作業者はドラムユニット518、現像ユニット641の交換作業を行うことができない。作業者は、カバー558を開くことによってドラムユニット518を交換することができ、作業終了後にカバー558を閉じる。
次に、図22~図25を用いて、カバー558の開閉動作に連動してスライド部525が感光ドラム103の回動軸線方向にスライド移動する構成について詳しく説明する。
図22(a)~(d)は開状態から閉状態に向けて回動するカバー558を示す斜視図である。図23(a)~(d)は閉状態から開状態に向けて回動するカバー558を示す断面図である。図22(a)、および図23(a)はカバー558の開状態を示している。図22(d)、および図23(d)はカバー558の閉状態を示している。図22(b)および図23(b)、並びに図22(c)および図23(c)は、開状態から閉状態に移行するカバー558を示す図である。なお、図22(d)、および図23(d)に示す閉状態のカバー558は、本体に係合するスナップフィット機構や回動防止のストッパーなどによって閉状態を維持する。
図22(a)~(d)に示すように、カバー558は画像形成装置1本体に対して回動軸線563を中心に回動する。それに伴って、図23(a)~(d)の回動軌跡564のように加圧部561も回動軸線563を中心に回動する。カバー558は左側から右側に向けて突出する円筒状の加圧部561を備える。図22に示すように、加圧部561はスライド部525の一端に取り付けられた収納スペース562に位置する。
図23(a)~(d)を用いて加圧部561のスライド部525に対する作用について説明する。図23(a)の状態からカバー558が時計回りに回動すると、加圧部561が回動軌跡564上に位置し、回動軌跡564に交差する当接面566に当接する(図23(b))。この状態からさらにカバー558が時計回りに回動すると、加圧部561は当接面566に摺擦しながら当接面566を前側に押圧する。それにより、スライド補助部材539が前側に移動する。スライド補助部材539はスライド部525に固定されているため、スライド部525もスライド補助部材539の移動に連動して前側にスライド移動する。
さらに、カバー558が時計回りに回動すると、加圧部561は当接面566上から当接面567上に移動する(図23(c))。当接面567は、加圧部561の回動軌跡564に凡そ沿う形状の曲面をなしている。そのため、図23(c)の状態からカバー558がさらに時計回りに回動した場合、加圧部561は当接面567に接触して上側に移動するが、加圧部561からスライド補助部材539をさらに前側にスライド移動させる力は付与されない。
図22(c)及び図23(c)より、カバー558が開状態から閉状態に向けて回動し、保持体505が露光位置となった直後、加圧部561は収納スペース562の前側の当接面567に当接している。当接面567は加圧部561の回動軌跡564に凡そ沿う形状、すなわち、回動軸線563を中心とする円弧形状をなしている。そのため、図23(c)の状態からカバー558がさらに時計回りに回動した場合、加圧部561は当接面567に当接した状態で滑りながら移動する。しかしながら、加圧部561からスライド補助部材539をさらに前側にスライド移動させる力は付与されない。そのため、加圧部561が当接面567上を移動する間、スライド補助部材539が後側から前側に向けて移動することはない。つまり、本実施例の移動機構640は、加圧部561が当接面566上に当接した状態でカバー558が回動すると、スライド部525は加圧部561の移動に連動してスライド移動するが、加圧部561が当接面567上に当接した状態においてカバー558が回動してもスライド部525はスライド移動しないように構成されている。図23(c)の状態からさらにカバー558が時計回りに回動すると、カバー558は図23(d)に示す閉状態となる。
図24(a)~(d)は閉状態から開状態に向けて回動するカバー558を示す斜視図である。図25(a)~(d)は開状態から閉状態に向けて回動するカバー558を示す断面図である。図24(a)、および図25(a)はカバー558の閉状態を示している。図24(d)、および図25(d)はカバー558の開状態を示している。図24(b)および図25(b)、並びに図24(c)および図25(c)は、閉状態から開状態に移行するカバー558を示す図である。
図25(a)に示すカバー558が閉状態において、光プリントヘッド105の自重および後述するバネの復元力によってスライド部525には第1リンク機構861および第2リンク機構862を介して前側から後側にスライドする力が作用する。しかしながら、閉状態のカバー558は回動しないように画像形成装置1本体に対して固定されており、加圧部561がスライド補助部材539の後側への移動を制限しているため、スライド部525が後側にスライド移動しない。
図25(a)からカバー558が反時計回りに回動すると、図25(b)に示すように加圧部561が当接面568に当接する。図25(b)の状態からさらにカバー558が反時計回りに回動すると、図25(b)(c)に示すように加圧部561が当接面568を前側から後側に向かって押圧するため、スライド部525が後側に向かって移動する。その後、さらにカバー558が反時計回りに回動すると、図25(d)に示すようにカバー558が開状態になる。
加圧部561が当接面568を押圧する機構は次の理由により設けられている。すなわち、図24(a)の状態からカバー558を反時計回りに回動させて加圧部561によるスライド補助部材539に対する移動の制限が解除されても、各リンク部材同士の摩擦力やリンク部材651またはリンク部材653とスライド部525との摩擦力、リンク部材652またはリンク部材654と第3支持部526との摩擦力が大きいと、スライド部525が後側に移動しない場合が考えられる。つまり、カバー558を開いてもスライド部525がスライド移動しない場合が考えられる。それに対して、カバー558を開くことによってスライド部525が後側に向かって移動するように、本実施例の移動機構640は加圧部561が当接面568を押圧する機構を含んでいる。
以上の構成により、メンテナンスを行う作業者がカバー558を開閉させることで、カバー558の移動に連動してスライド部525が第3支持部526に対してスライド移動する。
次に、保持体505とリンク部材651との接続機構について説明する。図26(a)、(c)は、前後方向における保持体505の一端側を示す斜視図である。図26(b)、(d)は、前後方向における保持体505の他端側を示す斜視図である。
図26(a)に示すように、保持体505は、レンズアレイ506が取り付けられるレンズ取付部701と、コイルばね547が取り付けられるバネ取付部661と、コイルばね548が取り付けられるバネ取付部662と、当接ピン514が取り付けられるピン取付部632と、当接ピン515が取り付けられるピン取付部633と、を備える。保持体505は、レンズ取付部701、基板取付部702(不図示)、バネ取付部661、バネ取付部662が一体的に射出成形された樹脂製の成形物である。前後方向において、レンズ取付部701の一端側にバネ取付部661が配置され、バネ取付部661よりもさらに保持体505の端部側にピン取付部632が配置されている。また、前後方向において、レンズ取付部701の他端側にバネ取付部662が配置され、バネ取付部662よりもさらに保持体505の端部側にピン取付部632が配置されている。保持体505において、レンズ取付部701、バネ取付部661、ピン取付部632が形成されている箇所を図示すると、図26(a)において、Cの領域、Bの領域、Aの領域で示す箇所となる。保持体505は、レンズアレイ506より前側、当接ピン514より後側においてコイルばね547を介しリンク部材651の突起655によって下側から上側に向けて付勢力が付与される。また、図26(c)を用いて、レンズ取付部701、バネ取付部662、ピン取付部633が形成されている箇所を図示するとそれぞれ、Cの領域、Dの領域、Eの領域で示す箇所となる。保持体505は、レンズアレイ506より後側、当接ピン515より前側においてコイルばね548を介しリンク部材652の突起656によって下側から上側に向けて付勢力が付与される。
まず、バネ取付部661について説明する。バネ取付部661は、第1壁部751、第2壁部752、第1係合部543、第2係合部544を含む。第1壁部751は左右方向における保持体505の一端側に配置され、第2壁部752は左右方向における保持体505の他端側に設けられている。本実施例において、左右方向において第1壁部751および第2壁部752は当接ピン514の両側に配置されている。図26(a)に示すように、第1壁部751と第2壁部752はそれぞれ互いに対面する内壁面を含む。第1壁部751には開口755が形成され、第2壁部752には開口756が形成されている。開口755および開口756は上下方向に延びる長孔である。開口755および開口756には突起655が挿入されている。突起655は開口755および開口756に対して嵌合されておらず、前後方向において最も狭いところで0.5mm程度の間隙を以て挿入されている。そのため、突起655は、開口755および開口756の内壁面から大きな摩擦力を受けることなく、開口755および開口756によって上下方向にその移動方向を案内される。
図26(b)は、図26(a)から第1壁部751を取り除いた図面である。左右方向において第1壁部751と第2壁部752との間に第1係合部543と第2係合部544が配置されている。また、この第1係合部543と第2係合部544はそれぞれ開口755と開口756との間に配置されている。本実施例において、第1係合部543は第2係合部544よりも保持体505の端部側に配置されている。第1係合部543および第2係合部544は、保持体505の第1壁部751と第2壁部752とを連結する連結部分から下方に突出する突起である。第1係合部543にはコイルばね547の一端が係合され、第2係合部544にはコイルばね547の他端が係合される。第1係合部543と第2係合部544とに係合したコイルばね547が開口755および開口756を横断するように、第1係合部543および第2係合部544はバネ取付部661に配置されている。
上下方向において、第1係合部543と第2係合部544は互いに異なる位置に配置されている。本実施例において、第1係合部543が第2係合部544よりも感光ドラム103側に配置されている。なお、第1係合部543と第2係合部544は上下方向において同一に設けても良いし、第2係合部544が第1係合部543よりも感光ドラム103側に配置されていても良い。
図26(b)に示すように、突起655は、第2壁部752の外壁面側から開口756に挿入され、第1係合部543と第2係合部544に架け渡されたコイルばね547の下を通り、第1壁部751の開口755に挿入されている。
次に、バネ取付部662について説明する。図26(c)に示すように、バネ取付部662は、第3壁部753、第4壁部754、第3係合部545、第4係合部546を含む。第3壁部753は左右方向における保持体505の一端側に配置されており、第4壁部754は左右方向における保持体505の他端側に設けられている。本実施例において、左右方向において第3壁部753および第4壁部754は当接ピン515の両側に配置されている。第1壁部751と第3壁部753は左右方向において同じ側、すなわち、第1壁部751と第3壁部753は左右方向において保持体505の右側に配置されている。第2壁部752と第4壁部754は左右方向において同じ側、すなわち、第2壁部752と第4壁部754は左右方向において保持体505の左側に配置されている。
図26(c)に示すように、第3壁部753と第4壁部754はそれぞれ互いに対面する内壁面を含む。第3壁部753には開口757が形成され、第4壁部754には開口758が形成されている。開口757および開口758は上下方向に延びる長孔である。開口757および開口758には突起656が挿入されている。突起656は開口757および開口758に対して嵌合されておらず、前後方向において最も狭いところで0.5mm程度の間隙を以て挿入されている。そのため、突起656は、開口757および開口758の内壁面から大きな摩擦力を受けることなく、開口757および開口758によって上下方向にその移動方向を案内される。
図26(d)は、図26(c)から第3壁部753を取り除いた図面である。左右方向において第3壁部753と第4壁部754との間に第3係合部545と第4係合部546が配置されている。また、この第3係合部545と第4係合部546はそれぞれ開口757および開口758との間に配置されている。本実施例において、第4係合部546は第3係合部545よりも保持体505の端部側に配置されている。第3係合部545および第4係合部546は、保持体505の第3壁部753と第4壁部754とを連結する連結部分から下方に突出する突起である。第3係合部545にはコイルばね548の一端が係合され、第4係合部546にはコイルばね548の他端が係合される。第3係合部545と第4係合部546とに係合したコイルばね548が開口757および開口758を横断するように、第3係合部545および第4係合部546はバネ取付部662に配置されている。
上下方向において、第3係合部545と第4係合部546は互いに異なる位置に配置されている。本実施例において、第3係合部545が第4係合部546よりも感光ドラム103側に配置されている。なお、第3係合部545と第4係合部546は上下方向において同一に設けても良いし、第4係合部546が第3係合部545よりも感光ドラム103側に配置されていても良い。
図26(d)に示すように、突起656は、第4壁部754の外壁面側から開口758に挿入され、第3係合部545と第4係合部546に架け渡されたコイルばね548の下を通り、第3壁部753の開口757に挿入されている。
なお、本実施例では、コイルばね547およびコイルばね548の一例としてコイル状のバネを示すが、板バネを用いても構わない。
次に、リンク部材651に設けられた突起655のコイルばね547に対する作用、およびリンク部材652に設けられた突起656のコイルばね548に対する作用を図27を用いて説明する。突起655のコイルばね547に対する作用と突起656のコイルばね548に対する作用は実質的に同様であるので、図27では突起656のコイルばね548に対する作用を例示する。
図27(a)は保持体505に設けられた当接ピン515がドラムユニット518の当接面551から退避した状態を示す図である。図27(b)は当接ピン515がドラムユニット518の当接面551に当接した時点を示す図である。図27(c)は、図27(b)の状態からリンク部材652が反時計回りに回動した状態を示す図である。
図27(a)の状態において、スライド部525がスライド移動すると、それに連動してリンク部材652が反時計回りに回動し、突起656が上側に移動する。このとき、突起656がコイルばね548を上側に向かって押圧する。突起656がコイルばね548を上側に向かって押圧すると、第3係合部545および第4係合部546を介して保持体505に対して上側に力が作用する。当接ピン515はドラムユニット518に非接触であり、光プリントヘッド105に作用する重力を除いて突起656がコイルばね548を押圧する力に抗する力が存在しない。そのため、第3係合部545および第4係合部546に上側に向かって作用する力が光プリントヘッド105に作用する重力よりも大きくなると、保持体505が第3係合部545および第4係合部546に作用する力によって上側に移動する。ここで、保持体505が退避位置である時、当接ピン515(514)の下端や保持体505を装置本体で支え、リンク部材652(651)の突起656(655)がコイルばね548(547)と非接触となるようにしても構わない。
保持体505が上側に移動すると、図27(b)に示すように当接ピン515がドラムユニット518の当接面551に当接する。図27(b)は光プリントヘッド105が露光位置に配置されているが、光プリントヘッド105に作用するドラムユニット518に付勢する付勢力が不十分である。そのため、光プリントヘッド105に上記付勢力を付与するために、本実施例の移動機構640は、図27(b)の状態からさらにリンク部材652が回動可能な構成となっている。
図27(b)の状態からさらにリンク部材652が反時計回りに回動しても、当接ピン515がドラムユニット518の当接面551に当接しているため、保持体505の位置は変化しない。一方、突起656は上側方向に移動する。そのため、コイルばね548は第3係合部545と第4係合部546との間を突起656によって押圧されて図27(c)に示すように屈曲して伸長する。
図27(c)の状態は、図23(c)および(d)のカバー558の状態に対応する。すなわち、スライド部525はそれ以上前側にスライド移動しない状態となる。そのため、スライド部525がスライド移動しないため、リンク部材652は図27(c)に示す状態から反時計回りに回動することはなく、突起656も上側に移動することなく図27(c)の位置に静止する。この状態においてコイルばね548は収縮する力が第3係合部545および第4係合部546に作用する。第3係合部545および第4係合部546に作用するコイルばね548の収縮力の分力が上方向に向くため、保持体505にはドラムユニット518側に付勢する付勢力が作用し、保持体505は当接ピン515を介してドラムユニット518に付勢する。
上記したように、第3係合部545が第4係合部546よりも感光ドラム103側に配置されているため、コイルばね548には突起656から矢印N方向の抗力が作用する。矢印N方向の抗力の分力が保持体505に作用する。そのため、当接ピン515には前後方向の後側に向かう力が作用し、当接面551に当接した当接ピン515は嵌合部685の奥側の後側壁面596に付勢して当接する。第1係合部543は第2係合部544よりも感光ドラム103側に配置されている理由も同様である。
以上、説明したように、上記本実施例に係る光プリントヘッド105が備える保持体505には、レンズ取付部701が形成されており、レンズ取付部701は、レンズアレイ506の側壁面に対向する対向面(第1内壁面507および第2内壁面508)と、当該対向面よりも感光ドラム103側に設けられ、感光ドラム103側に向かうにしたがってレンズアレイ506の側壁面から遠ざかるように傾斜した傾斜面(第1傾斜面703および第2傾斜面704)と、を備え、傾斜面とレンズアレイ506の側壁面とによって形成された溝に充填剤が充填される。