(画像形成装置)
まず、画像形成装置1の概略構成を説明する。図1は画像形成装置1の概略断面図である。図1に示す画像形成装置1は読取装置を備えていないカラープリンタ(SFP:Small Function Printer)であるが、実施の形態は読取装置を備える複写機であってもよい。また、実施の形態は、図1に示すような複数の感光ドラム103を備えるカラー画像形成装置に限られず、1つの感光ドラム103を備えるカラー画像形成装置やモノクロ画像を形成する画像形成装置でも良い。
図1に示す画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4基の画像形成部102Y、102M、102C、102K(以下、総称して単に「画像形成部102」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、それぞれ感光ドラム103Y、103M、103C、103K(以下、総称して単に「感光ドラム103」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kをそれぞれ帯電させる帯電器104Y、104M、104C、104K(以下、総称して単に「帯電器104」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kを露光する光を出射する露光光源としてのLED(Light Emitting Diode、以下LEDと記載)露光ユニット500Y、500M、500C、500K(以下、総称して単に「露光ユニット500」とも称する)を備える。さらに、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103上の静電潜像をトナーによって現像し、感光ドラム103上に各色のトナー像を現像する現像器106Y、106M、106C、106K(以下、総称して単に「現像器106」とも称する)を備える。符号に付されたY、M、C、Kはトナーの色を示している。
画像形成装置1は、感光ドラム103に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト107、各画像形成部102の感光ドラム103に形成されたトナー像を当該中間転写ベルトに順次転写させる一次転写ローラ108(Y、M、C、K)を備える。また、画像形成装置1は、中間転写ベルト107上のトナー像を給紙部101から搬送されてきた記録紙Pに転写させる二次転写ローラ109、二次転写された画像を記録紙Pに定着させる定着器100を備える。
(ドラムユニット)
続いて、本実施例に係る画像形成装置1に着脱可能なドラムユニット518(Y、M、C、K)(交換ユニットの一例)および現像ユニット641(Y、M、C、K)について説明する。図2(a)は、画像形成装置1が備えるドラムユニット518及び現像ユニット641周囲の概略斜視図である。また、図2(b)は画像形成装置1に対して装置本体の外側から挿入途中の状態のドラムユニット518を示す図である。
図2(a)に示すように、画像形成装置1は、板金で形成される前側板642と後側板643を備える。前側板642は画像形成装置1の正面側に設けられた側壁である。一方、後側板643は画像形成装置1の背面側に設けられた側壁である。図2(a)に示すように、前側板642と後側板643は対面して配置され、それらの間には梁としての不図示の板金が橋架されている。前側板642、後側板643、および不図示の梁はそれぞれ、画像形成装置1の枠体の一部を構成する。
画像形成装置1の正面側からドラムユニット518、および現像ユニット641を挿抜できるように、前側板642には開口が形成されている。ドラムユニット518、および現像ユニット641は、開口を通して画像形成装置1本体の所定の位置(装着位置)に装着される。また、画像形成装置1は、装着位置に装着されたドラムユニット518と現像ユニット641の正面側を覆う回動部材の一例としてのカバー558(Y、M、C、K)を備える。カバー558は、一端がヒンジによって画像形成装置1本体に固定されており、ヒンジによって画像形成装置1本体に対して回動可能となっている。メンテナンスを行う作業者がカバー558を開いて本体内のドラムユニット518あるいは現像ユニット641を取り出し、新しいドラムユニット518あるいは現像ユニット641を挿入してカバー558を閉じることによってユニットの交換作業が完了する。カバー558についての詳しい説明は後述する。
図2(a)および図2(b)に示すように、以下の説明では前側板642側を前側、後側板643側を後側と定義する。また、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Kを基準としたとき、イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Yが配置されている側を右側と定義する。また、イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Yを基準としたとき、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Kが配置されている側を左側と定義する。さらに、ここで定義した前後方向及び左右方向に垂直な方向であって鉛直方向上向きを上方向、また、ここで定義した前後方向及び左右方向に垂直な方向であって鉛直方向下向きを下方向と定義する。定義した前方向、後方向、右方向、左方向、上方向、下方向を図2に示す。
本実施例の画像形成装置1にはドラムユニット518が取り付けられる。ドラムユニット518は、交換されるカートリッジである。本実施例のドラムユニット518はドラムユニット518の筐体に対して回転可能に支持された感光ドラム103を備える。ドラムユニット518は、感光ドラム103、帯電器104、及び不図示のクリーニング装置を備えている。感光ドラム103が、例えばクリーニング装置によるクリーニングによって摩耗するなどして寿命を迎えた際に、図2(b)に示すようにメンテナンスを行う作業者がドラムユニット518を装置本体から取り出して感光ドラム103を交換する。ドラムユニット518は、帯電器104、及びクリーニング装置を備えておらず、感光ドラム103を備えていた構成でも良い。
本実施例の画像形成装置1にはドラムユニット518とは別体の現像ユニット641が取り付けられている。現像ユニット641は図1に示す現像器106を含む。現像器106は、現像剤を担持する現像剤担持体であるところの現像スリーブを備える。現像ユニット641にはトナーとキャリアを攪拌するためのスクリュを回転させるためのギアが複数設けられている。これらのギアが経年劣化等した際には、メンテナンスを行う作業者が現像ユニット641を画像形成装置1の装置本体から取り出して交換する。本実施例の現像ユニット641は、現像スリーブを備える現像器106とスクリュが設けられたトナー収容部とが一体化されたカートリッジである。なお、ドラムユニット518および現像ユニット641の実施の形態は、上記ドラムユニット518と現像ユニット641が一体化されたプロセスカートリッジでも良い。
(画像形成プロセス)
次に、画像形成プロセスについて説明する。後述する光プリントヘッド505Yは帯電器104Yによって帯電された感光ドラム103Yの表面を露光する。これにより、感光ドラム103Yには静電潜像が形成される。次に、現像器106Yは感光ドラム103Yに形成された静電潜像をイエローのトナーによって現像する。感光ドラム103Yの表面に現像されたイエローのトナー像は、一次転写部Tyにおいて一次転写ローラ108Yによって中間転写ベルト107に転写される。マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像も同様の画像形成プロセスで中間転写ベルト107に転写される。
中間転写ベルト107上に転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト107によって二次転写部T2まで搬送される。二次転写部T2に配置された二次転写ローラ109にはトナー像を記録紙Pに転写するための転写バイアスが印加されている。二次転写部T2まで搬送されたトナー像は、二次転写ローラ109の転写バイアスによって、給紙部101から搬送されてきた記録紙Pに転写される。トナー像が転写された記録紙Pは定着器100に搬送される。定着器100は、熱と圧力によって記録紙Pにトナー像を定着させる。定着器100によって定着処理がなされた記録紙Pは、排紙部111に排出される。
(露光ユニット)
次に露光ユニット500について説明する。図3は、本実施例の画像形成装置1が備える露光ユニット500の概略斜視図である。図4は、図3に示す露光ユニット500と、及び露光ユニット500の上側に配置される感光ドラム103と、を感光ドラム103の回転軸線方向に垂直な面で切断した概略断面図である。露光ユニット500は、光プリントヘッド505と移動機構640を備える。光プリントヘッド505は、レンズアレイ506と、基板502と、当接ピン514(ピンの一例)と、当接ピン515(ピンの一例)と、を備える。移動機構640は、リンク機構861と、リンク機構862と、を備える。詳細は後述するが、このリンク機構861とリンク機構862とが光プリントヘッド505を感光ドラム103に対して移動させる。ここで、本実施の形態において、当接ピン514および当接ピン515は円柱状のピンとしているが、その形状は円柱に限らず角柱や端部ほどその径が細くなる円錐のような形状でも構わない。また、当接ピン514若しくは当接ピン515は、ピンである必要はなく、それと同様の機能を具備するものとして、例えば光プリントヘッド505の上側(光プリントヘッド505に対してドラムユニット518が配置されている側)と下側(光プリントヘッド505に対してドラムユニット518が配置されている側とは反対側)とに突き出た突起であっても構わない。
次に、光プリントヘッド505について説明する。光プリントヘッド505は、基板502と、レンズアレイ506と、当接ピン514と、当接ピン515と、を保持するホルダーである。本実施の形態において、光プリントヘッド505の上面から突き出す当接ピン514の長さは7mm、光プリントヘッド505の上面から突き出す当接ピン515の長さは11mm、光プリントヘッド505の下面から突き出す当接ピン514の長さは22mm、光プリントヘッド505の下面から突き出す当接ピン515の長さは22mmである。ただし、ここに記した突出長さはあくまでの一例であって、この限りではない。図4に示すように、光プリントヘッド505は、レンズアレイ506が取り付けられるレンズ取付部701と、基板502が取り付けられる基板取付部702と、を備える。また、光プリントヘッド505は、後述する図14において説明するように、バネ取付部661、バネ取付部662、ピン取付部632、およびピン取付部633を備える。本実施例の光プリントヘッド505は、レンズ取付部701、基板取付部702、バネ取付部661、バネ取付部662、ピン取付部632、およびピン取付部633を備える。光プリントヘッド505は、レンズ取付部701と基板取付部702とバネ取付部661とバネ取付部662とが一体的に射出成形された樹脂製の成形物である。なお、光プリントヘッドの材質は樹脂製に限らず、例えば金属製でも構わない。
レンズ取付部701は、光プリントヘッド505の長手方向に延びる第1内壁面507と、第1内壁面507に対面し、同じく光プリントヘッド505の長手方向に延びる第2内壁面508と、を備える。ここで、光プリントヘッド505の長手方向とは、感光ドラム103の回転軸線方向と略一致する方向である。光プリントヘッド505の組み立て時に第1内壁面507と第2内壁面508との間にレンズアレイ506が挿入される。そして、レンズアレイ506の側面とレンズ取付部701との間に接着剤が塗布されることによって、レンズアレイ506は光プリントヘッド505に固定される。
図4に示すように、基板取付部702は、断面が略コの字状の形状となっており、光プリントヘッド505の長手方向に延びる第3内壁面900と、第3内壁面900に対面し、光プリントヘッド505の長手方向に延びる第4内壁面901と、を備える。第3内壁面900および第4内壁面901との間には基板502を挿入するための間隙910が形成される。また、基板取付部702は、基板502が当接する基板当接部911を備える。光プリントヘッド505の組み立て時に基板502は間隙910から挿入され、基板当接部911まで押し込まれる。そして、基板502が基板当接部911に当接した状態で間隙910側の基板502と第3内壁面900と第4内壁面901との境界部に接着剤が塗布されることによって、基板502は光プリントヘッド505に固定されている。当該露光ユニット500は感光ドラム103の回転軸線よりも鉛直方向下側に設けられており、光プリントヘッド505が有するLED503が感光ドラム103を下方から露光する。なお、当該露光ユニット500は感光ドラム103の回転軸線よりも鉛直方向上側に設けられ、光プリントヘッド505が有するLED503が感光ドラム103を上方から露光する構成でも構わない。
次に、光プリントヘッド505に保持される基板502について説明する。図5(a)は基板502の概略斜視図である。図5(b1)は基板502に設けられた複数のLED503の配列を示し、図5(b2)は図5(b1)の拡大図を示している。
基板502にはLEDチップ639が実装されている。図5(a)に示すように、基板502の一方の面にはLEDチップ639が設けられ、裏面側にコネクタ504が設けられている。基板502には各LEDチップ639に信号を供給するための配線が設けられている。コネクタ504には、不図示のフレクシブルフラットケーブル(FFC)の一端が接続される。画像形成装置1本体には基板が設けられている。基板は制御部とコネクタとを備える。FFCの他端は、当該コネクタに接続されている。基板502には、画像形成装置1本体の制御部からFFCおよびコネクタ504を介して制御信号が入力される。LEDチップ639は、基板502に入力された制御信号によって駆動される。
基板502に実装されたLEDチップ639についてさらに詳しく説明する。図5(b1)および(b2)に示すように、基板502の一方の面には複数のLED503が配置された複数のLEDチップ639-1~639-29(29個)が配列されている。各LEDチップ639-1~639-29はそれぞれ、その長手方向に516個のLED(発光素子)が一列に配列されている。LEDチップ639の長手方向において隣り合うLEDの中心間距離k2は画像形成装置1の解像度に対応している。本実施例の画像形成装置1の解像度は1200dpiであるので、LEDチップ639-1~639-29LEDチップ639の長手方向において、LEDは隣接するLEDの中心間距離が21.16μmとなるように一列に配列されている。そのため、本実施の形態における光プリントヘッド505の露光範囲は約316mmとなる。感光ドラム103の感光層は316mm以上の幅で形成されている。A4サイズの記録紙の長辺の長さおよびA3サイズの記録紙の短辺の長さは297mmであるため、本実施例の光プリントヘッド505は、A4サイズの記録紙およびA3サイズの記録紙に画像形成可能な露光範囲を有している。
LEDチップ639-1から639-29は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って二列となるよう交互に配置されている。すなわち、図5(b1)に示すように、左側から数えて奇数番目のLEDチップ639-1、639-3、・・・639-29が基板502の長手方向に一列に実装され、偶数番目のLEDチップ639-2、639-4、・・・639-28が基板502の長手方向に一列に実装されている。LEDチップ639をこのように配置することで、図5(b2)に示すように、LEDチップ639の長手方向において、隣り合う異なるLEDチップ639における一方のLEDチップ639の一端と他方のLEDチップ639の他端とに配置されたLEDの中心間距離k1を一つのLEDチップ639上における隣り合うLEDの中心間距離k2と等しくすることができる。
なお、本実施例では露光光源にLEDを用いる構成を例示するが、露光光源として有機EL(Organic Electro Luminescence)を用いても良い。
次に、レンズアレイ506について説明する。図5(c1)はレンズアレイ506を感光ドラム103側から見た時の概略図である。また、図5(c2)はレンズアレイ506の概略斜視図である。図5(c1)に示すように、これら複数のレンズは複数のLED503の配列方向に沿って二列に並べられている。各レンズは、一方の列のレンズの配列方向において隣り合うレンズの両方に接するように他方の列のレンズの一つが配置されるよう交互に配置されている。各レンズは、円柱状の硝子製のロッドレンズである。なお、レンズの材質は硝子製に限らず、プラスチック製でも構わない。レンズの形状についても円柱状に限らず、例えば六角柱等の多角柱でも構わない。
図5(c2)に示す点線Zはレンズの光軸を示す。光プリントヘッド505は前述の移動機構640によって当該点線Zで示すレンズの光軸に概ね沿った方向に移動させられる。ここで言うレンズの光軸とは、レンズの光出射面の中心と当該レンズの焦点とを結ぶ線を意味する。図4に示すように、LEDから出射された放射光はレンズアレイ506に含まれるレンズに入射する。レンズは入射した放射光を感光ドラム103の表面上に集光させる機能を有する。レンズアレイ506は、LEDの発光面とレンズの光入射面との距離と、レンズの光出射面と感光ドラム103の表面との距離と、が略等しくなるように光プリントヘッド505の組み立て時のレンズ取付部701に対する取付位置が調整される。
ここで、光プリントヘッド505を移動させる必要性について説明する。本実施の形態における画像形成装置1は、図2で説明したようにドラムユニット518を交換する際に感光ドラム103の回転軸線方向であって装置本体の前側にドラムユニット518をスライド移動させる。光プリントヘッド505が感光ドラム103表面近傍に位置した状態でドラムユニット518を移動させるとスライド移動する感光ドラム103表面に接触してしまい、装着する感光ドラム103の表面に傷がついてしまう。また、ドラムユニット518の枠体にレンズアレイ506が接触してレンズアレイ506に傷がついてしまう。そのため、感光ドラム103を露光する露光位置(図6(a))と露光位置よりもドラムユニット518から退避した退避位置(図6(b))との間で、光プリントヘッド505が往復移動する構造が必要である。光プリントヘッド505が露光位置(図6(a))の状態でスライド部525が矢印A方向にスライド移動すると光プリントヘッド505は退避位置(図6(b))へと向かう方向に移動する。一方、光プリントヘッド505が退避位置(図6(b))の状態でスライド部525が矢印B方向にスライド移動すると光プリントヘッド505は露光位置(図6(a))へと向かう方向に移動する。移動機構640の構造の詳細については後述する。
(第1案内部および第2案内部)
図7(a)は光プリントヘッド505が露光位置に位置する際の露光ユニット500の後側とドラムユニット518の後側とを合わせて示した図である。一方、図7(b)は光プリントヘッド505が退避位置に位置する際の露光ユニット500の後側とドラムユニット518の後側とを合わせて示した図である。
図7を用いて、光プリントヘッド505の後側に設けられた当接ピン515がドラムユニット518側に設けられたブッシュ671に当接および離間する様子を説明する。なお、ドラムユニット518の前側にもブッシュ671に相当する部品が設けられている。その構造はブッシュ671の構造と同様であって、機能についても実質的に同一である。
図7(a)および図7(b)に示すように、露光ユニット500の後側には支持部材528が設けられている。言い換えれば、感光ドラム103の回転軸線方向における露光ユニット500の一端側には支持部材528が設けられている。なお、ここでは、露光ユニット500の後側のことを露光ユニット500の一端側と称しているが、露光ユニット500の前側を一端側と称し、露光ユニット500の後側を他端側と称しても構わない。支持部材528は板金で形成された部材であって、露光ユニット500の後側に不図示のネジあるいは接着剤によって固定されている。支持部材528にはネジ孔が形成されており、後側板643とネジや接着材等によって固定される。こうして、露光ユニット500の後側は後側板643に対して固定される。
また、支持部材528には第2案内部951が形成されている。図7(a)および図7(b)に示すように、第2案内部951はコの字形状をなした部材である。コの字形状をなした部分には第2壁部953が形成されている。第2壁部953は、感光ドラム103の回転軸線方向と移動機構640によって移動される光プリントヘッド505の移動方向との双方に垂直な方向(垂直方向)において向き合うように形成された壁部である。対向する壁部同士の間に形成された間隙内に当接ピン515は位置する。当接ピン515が垂直方向に移動しようしても、当接ピン515は第2壁部953に接触する。これによって、当接ピン515の垂直方向への移動が制限される。移動機構640によって退避位置から露光位置へ向けて移動する光プリントヘッド505と共に移動する当接ピン515は常に第2壁部953によって垂直方向への移動が制限される。ここで、第2壁部953は当接ピン515に対して面で接触しても点で接触しても構わないが、何れの場合であっても、上下方向(光プリントヘッド505の移動方向)における接触部分の幅は短ければ短いほど好ましい。本実施の形態において、この幅は1.0mmである。この幅が長いほど、光プリントヘッド505と共に移動する当接ピン515と第2壁部953との接触による摩擦力が大きくなり、移動機構640による光プリントヘッド505の滑らかな移動が難しくなる。
図8は、支持部材528の概略斜視図である。図8に示すように、支持部材528には上で説明した第2案内部951と、第1案内部950と、を備える。第1案内部950と第2案内部951とは、上下方向(移動機構640によって移動する光プリントヘッドの移動方向)において互いに間隙を隔てて設けられている。第1案内部950も第2案内部951と同様、コの字形状をなした部材である。コの字形状をなした部分には第1壁部952が形成されている。第1壁部952は、感光ドラム103の回転軸線方向と移動機構640によって移動される光プリントヘッド505の移動方向との双方に垂直な方向(垂直方向)において向き合うように形成された壁部である。対向する壁部同士の間に形成された間隙内に当接ピン515は位置する。当接ピン515が垂直方向に移動しようしても、当接ピン515は第1壁部952に接触する。これによって、当接ピン515の垂直方向への移動が制限される。ここで、第1壁部951は当接ピン515に対して面で接触しても点で接触しても構わないが、何れの場合であっても、上下方向(光プリントヘッド505の移動方向)における接触部分の幅は短ければ短いほど好ましい。本実施の形態において、この幅は1.0mmである。この幅が長いほど、光プリントヘッド505と共に移動する当接ピン515と第1壁部951との接触による摩擦力が大きくなり、移動機構640による光プリントヘッド505の滑らかな移動が難しくなる。
本実施の形態において、第1案内部950と第2案内部951とは一体的に成形された成形物である。しかし、第1案内部950と第2案内部951とは互いに別部材であって、支持部材528に固定されていても構わない。第1案内部950と第2案内部951のいずれか一方のみが支持部材528と一体的に成形され、他方は別部材として支持部材528に取り付けられる構成でも構わない。
なお、第1案内部950および第2案内部951の形状であるコの字形状は、コの字の開口側が末広がり形状になっていても構わないし、逆にしぼむように斜めになっていても構わない。第1案内部950のコの字の開口側と第2案内部951のコの字の開口側とは、上側あるいは下側から見たときに同じ方向を向いている必要はない。すなわち、第1壁部952と第2壁部953とが、上側あるいは下側から見たときに交差するように支持部材528に設けられていても構わない。
図9(a)~(c)は、光プリントヘッド505が退避位置から露光位置まで移動したときの、第1案内部950および第2案内部951と当接ピン515との位置関係を説明した図である。図9(a)は光プリントヘッド505が退避位置に位置するときの、第1案内部950および第2案内部951と当接ピン515との位置関係を示す。図9(b)は光プリントヘッド505が退避位置から露光位置へ向けて移動中のときの、第1案内部950および第2案内部951と当接ピン515との位置関係を示す。図9(c)は光プリントヘッド505が露光位置に位置するときの、第1案内部950および第2案内部951と当接ピン515との位置関係を示す。
図9(a)に示すように、光プリントヘッド505が退避位置に位置するとき、当接ピン515は第1案内部950と第2案内部951とによって、垂直方向への移動が制限されている。すなわち、当接ピン515は第1壁部952によって形成された間隙内と第2壁部953とによって形成された間隙内とに嵌っている。当接ピン515は、当接ピン515の長手方向において間隔を隔てて設けられた第1案内部950と第2案内部951との2箇所で、その垂直方向への移動が制限される。これにより、当接ピン515の垂直方向への傾倒を抑制することができる。
図9(b)に示すように、光プリントヘッド505が退避位置から露光位置へ向けて移動中のときも、当接ピン515は第1案内部950と第2案内部951とによって垂直方向への移動が制限されている。そのため、当接ピン515の垂直方向への傾倒が抑制された状態で、光プリントヘッド505は退避位置から露光位置へ向けて移動する。
図9(c)に示すように、光プリントヘッド505が露光位置に移動したとき、当接ピン515は第1案内部950から抜けている。すなわち、当接ピン515は第1壁部952によって形成された間隙内に位置しない。光プリントヘッド505が露光位置に位置するときは、当接ピン515はブッシュ671に形成された嵌合部685(突当部)に突き当たった状態であるため、嵌合部685と第2案内部951とによって垂直方向の移動が制限され、ドラムユニット518に対して位置決めされた状態が維持される。ブッシュ671に形成された嵌合部685についての詳細は後述する。
図10(a)は光プリントヘッド505が退避位置に位置する際の露光ユニット500の前側の拡大斜視図である。一方、図10(b)は光プリントヘッド505が露光位置に位置する際の露光ユニット500の前側の拡大斜視図である。
図10(a)および図10(b)に示すように、露光ユニット500の前側には支持部材527が設けられている。言い換えれば、感光ドラム103の回転軸線方向における露光ユニット500の一端側には支持部材527が設けられている。なお、ここでは、露光ユニット500の前側のことを露光ユニット500の一端側と称しているが、露光ユニット500の後側を一端側と称し、露光ユニット500の前側を他端側と称しても構わない。支持部材527は樹脂製の部材であって、露光ユニット500の前側に不図示のネジあるいは接着剤によって固定されている。支持部材527にはネジ孔および突起等のボスが形成されており、前側板642とネジや接着剤等によって固定される。こうして、露光ユニット500の前側は前側板642に対して固定される。
また、支持部材527には第3案内部954が形成されている。図10(a)および図10(b)に示すように、第3案内部954はコの字形状をなした樹脂製の部材である。コの字形状をなした部分には第3壁部955が形成されている。第3壁部955は、感光ドラム103の回転軸線方向と移動機構640によって移動される光プリントヘッド505の移動方向との双方に垂直な方向(垂直方向)において向き合うように形成された壁部である。対向する壁部同士の間に形成された間隙内に当接ピン514は位置する。当接ピン514が垂直方向に移動しようしても、当接ピン514は第3壁部955に接触する。これによって、当接ピン515の垂直方向への移動が制限される。移動機構640によって退避位置から露光位置へ向けて移動する光プリントヘッド505と共に移動する当接ピン515は常に第3壁部955によって垂直方向への移動が制限される。ここで、第3壁部955は当接ピン514に対して面で接触しても点で接触しても構わないが、何れの場合であっても、上下方向(光プリントヘッド505の移動方向)における接触部分の幅は短ければ短いほど好ましい。本実施の形態において、この幅は1.0mmである。この幅が長いほど、光プリントヘッド505と共に移動する当接ピン514と第3壁部955との接触による摩擦力が大きくなり、移動機構640による光プリントヘッド505の滑らかな移動が難しくなる。
図11は、支持部材527の概略斜視図である。図11に示すように、支持部材527は上で説明した第3案内部954を備える。感光ドラム103の回転軸線方向における光プリントヘッド505の一端側に設けられた当接ピン514が、支持部材528の第1案内部950と第2案内部951とに嵌った状態、かつ、感光ドラム103の回転軸線方向における光プリントヘッド505の他端側に設けられた当接ピン515が、支持部材527の第3案内部954に嵌った状態となることで、光プリントヘッド505の垂直方向への傾倒が抑制される。これにより、退避位置から移動する光プリントヘッド505は、当接ピン514および当接ピン515が嵌合部685に嵌って露光位置で停止する。
なお、本実施の形態において、当接ピン514(あるいは当接ピン515)と第2案内部951(あるいは第3案内部954)とが嵌合した状態とは、第2案内部951(あるいは第3案内部954)が形成する間隙の左右方向幅と当接ピン514(あるいは当接ピン515)における第2案内部951(あるいは第3案内部954)内を移動する部分の左右方向の幅との差が、10μm以上で30μm以下の隙間を以て嵌合した状態のことを指す。また、第3案内部954(または第2案内部951)は当接ピン515(または当接ピン514)との接触で生じる摩擦力を可能な限り低減するため、当接ピン514に近付くに従い上下方向の厚さが薄くなっているテーパ形状を成している。これにより、当接ピン514(当接ピン515)は第2案内部951(第3案内部954)の間隙において滑らかに上下移動することができる。したがって、当接ピン515及び当接ピン514と一体の光プリントヘッド505は前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド505が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動する方向)との双方に交差する方向への移動が規制される。また、第2案内部951は当接ピン514が後側から前側へ移動することを規制しても構わないし、第3案内部954は当接ピン515が前側から後側へ移動することを規制しても構わない。
以上の構成により、光プリントヘッド505は前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド505が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動する方向)との双方に交差する方向への移動が規制された状態で露光位置と退避位置とを移動する。なお、第2案内部951と第3案内部954は、少なくとも一方が支持部材527または支持部材528に設けられていれば構わない。すなわち、第2案内部951が支持部の一例としての支持部材527に設けられているか、第3案内部954が支持部材528に設けられているかすれば十分である。また、第1壁面588および第2壁面589についても、支持部材528ではなく支持部材527に設けても構わない。
ここで、ドラムユニット518が備えるブッシュ671について説明する。図12にブッシュ671の斜視図を示す。ブッシュ671は、ドラムユニット518の筐体にビスあるいは接着剤によって固定された部材である。図12に示すように、ブッシュ671には開口916が形成されている。開口916には感光ドラム103の他端側の軸部材が回転可能に挿入されている。すなわち、ブッシュ671は感光ドラム103を回転可能に軸支する。
感光ドラム103は中空の円柱形状のアルミ管の外壁面に感光層が形成されている。アルミ管の両端にはフランジ673が圧入されている。ブッシュ671に形成された開口916には感光ドラム103の他端側のフランジ673が回転可能に挿入されている。フランジ673は、ブッシュ671に形成された開口916の内壁面に摺擦しながら回転する。すなわち、ブッシュ671は感光ドラム103を回転可能に軸支する。また、ドラムユニット518の前側に設けられたブッシュ671に相当する部品の中央部にもブッシュ671と同様に開口が形成されている。ブッシュ671に相当する部品に形成された開口には感光ドラム103の一端側(前側)のフランジ673が回転可能に挿入されている。フランジ673は、当該開口の内壁面に摺擦しながら回転する。すなわち、ドラムユニット518の前側と同様、後側においてもブッシュ671は感光ドラム103を回転可能に軸支する。
ブッシュ671は、当接ピン515が嵌る嵌合部685(突当部)を備える。嵌合部685は、当接面551と、後側壁面596と、テーパ部585と、を備える。嵌合部685はブッシュ671に対して窪んでいても構わないし、立設されていても構わない。当接面551には、退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する当接ピン515が当接する。嵌合部685の下端の淵はテーパ形状であるテーパ部585が形成されている。テーパ部585は、退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する当接ピン515が、当接面551に当接するようにその移動を案内する。後側壁面596と当接ピン515との接触については後で説明する。
嵌合部685の当接面551に当接した当接ピン515は、嵌合部685によって前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド505が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動する方向)との双方に交差する方向への移動が規制される。すなわち、露光位置に位置する光プリントヘッド505は、当接ピン515の上端は嵌合部685に嵌合していることで前後方向と上下方向との双方に交差する方向への移動が規制され、当接ピン515の下端は第2案内部951が形成する間隙に嵌合していることによって前後方向と上下方向との双方に交差する方向への移動が規制される。
(移動機構)
次に移動機構640について説明する。図13は移動機構640が備えるリンク機構861の動作を説明するための簡略図である。図13に示すように第1リンク機構861はリンク部材651とリンク部材653を備える。また、第2リンク機構862はリンク部材652とリンク部材654を備える。リンク部材651とリンク部材653、リンク部材652とリンク部材654はそれぞれλ型のリンク機構を構成する。
図13(a)および(b)に示すように、リンク部材653の長手方向の長さはリンク部材651の長手方向の長さよりも短い。
リンク部材651は、軸受部610、突起655、および接続軸部538、を備える。軸受部610はリンク部材651の長手方向の一端側に設けられている。突起655は、リンク部材651の長手方向の他端側に設けられた、リンク部材651の回動軸線方向に立設した円柱状の突起であって、光プリントヘッド505側に設けられたバネを変形させるための突起である。接続軸部538はリンク部材651の長手方向において軸受部610と突起655との間に設けられている。なお、移動部は突起655に限らず、リンク部材651の長手方向の一端側が回動軸線方向に屈曲した構造でも構わない。
軸受部610には図13(a)の左右方向に延びる円形の中空孔が形成されている。スライド部525には嵌合軸部534が設けられている。嵌合軸部534はスライド部525から図13(a)の左方向に立設した円柱状の突起である。嵌合軸部534は軸受部610の孔に対して回動可能に嵌合されることで第1接続部を形成する。すなわち、リンク部材651は第1接続部を回動中心としてスライド部525に対して回動可能となっている。ここで、嵌合軸部534がリンク部材651側に形成され、軸受部610がスライド部525に形成されていても構わない。
リンク部材653は、接続軸部530を備える。接続軸部530はリンク部材653の長手方向の一端側に設けられている。接続軸部530はリンク部材653から図13(a)の左側に立設した円柱状の突起である。接続軸部530は第3支持部526に形成された孔に回転可能に挿入され、第3接続部を形成する。ここで、接続軸部530はリンク部材653ではなく、第3支持部526に形成されていても構わない。すなわち、リンク部材653に形成された孔に第3支持部に形成された接続軸部530が挿入されていてもよい。
リンク部材653の長手方向の他端側には図13(a)の左右方向に延びる円形の孔が形成されている。当該孔にはリンク部材651の接続軸部538が回動可能に挿入されており、接続軸部538とリンク部材653の孔は第4接続部を形成する。すなわち、リンク部材653は、第3接続部を回動中心に第3支持部526に対して回動可能であり、第4接続部を回動中心にリンク部材651に対して回動可能となっている。ここで、接続軸部538はリンク部材651ではなく、リンク部材653に形成されていても構わない。すなわち、リンク部材651に形成された孔にリンク部材653に形成された接続軸部538が挿入されてもよい。
なお、第2リンク機構862の構成についても、上で説明した第1リンク機構861の構成と同様である。第2リンク機構862が備えるリンク部材652およびリンク部材654は、それぞれリンク部材651およびリンク部材653に対応する。また、第1接続部に対応して、リンク部材652の長手方向の一端側とスライド部525との接続部分は第2接続部を構成する。移動部の一例として、リンク部材652には、リンク部材651の突起655に対応する突起656が形成されている。なお、移動機構640の実施の形態はリンク部材653とリンク部材654のいずれか一方を省略しても良い。
以上の構成により、スライド部525が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動すると、スライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部610が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。これにより、図13(a)に示すように第1リンク機構861を左側から見た時、リンク部材651は嵌合軸部534を回動中心として時計回りに回動し、かつ、リンク部材653は接続軸部530を回動中心として反時計回りに回動する。よって、突起655が露光位置から退避位置へと向かう方向へ移動する。
一方、スライド部525が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動すると、リンク部材651およびリンク部材653は図13(a)に記載の矢印とは逆方向に移動する。スライド部525が、第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動するとスライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部610が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動する。これにより、図13(a)に示すように第1リンク機構861を左側から見た時、リンク部材651は嵌合軸部534を回動中心として反時計回りに回動し、かつ、リンク部材653は接続軸部530を回動中心として時計回りに回動する。よって、突起655は退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する。
なお、(1)接続軸部538の回動中心軸と軸受部610の回動中心軸との距離をL1、(2)接続軸部538の回動中心軸と接続軸部530の回動中心軸との距離をL2、(3)接続軸部538の回動中心軸と突起655の回動中心軸との距離をL3とする。移動機構640において第1リンク機構861は、L1、L2、L3は互いに等しいスコットラッセル機構を形成する(図13(b)参照)。距離L1、L2、L3は等しくすることによって、嵌合軸部534のスライド移動方向に対して突起655が垂直に移動(図13(b)の点線A上)するため、上記のリンク機構において光プリントヘッド505をレンズの略光軸方向に移動させることができる。
次に、光プリントヘッド505とリンク部材651との接続部分の機構について説明する。図14(a)、(c)は、前後方向における光プリントヘッド505の一端側を示す斜視図である。図14(b)、(d)は、前後方向における光プリントヘッド505の他端側を示す斜視図である。
図14(a)に示すように、光プリントヘッド505は、レンズアレイ506が取り付けられるレンズ取付部701と、コイルばね547が取り付けられるバネ取付部661と、コイルばね548が取り付けられるバネ取付部662と、当接ピン514が取り付けられるピン取付部632と、当接ピン515が取り付けられるピン取付部633と、を備える。光プリントヘッド505は、レンズ取付部701、基板取付部702(不図示)、バネ取付部661、バネ取付部662が一体的に射出成形された樹脂製の成形物である。前後方向において、レンズ取付部701の一端側にバネ取付部661が配置され、バネ取付部661よりもさらに光プリントヘッド505の端部側にピン取付部632が配置されている。また、前後方向において、レンズ取付部701の他端側にバネ取付部662が配置され、バネ取付部662よりもさらに光プリントヘッド505の端部側にピン取付部632が配置されている。光プリントヘッド505において、レンズ取付部701、バネ取付部661、ピン取付部632が形成されている箇所を図示するとそれぞれ、Cの領域、Bの領域、Aの領域で示す箇所となる。光プリントヘッド505は、レンズアレイ506より前側、当接ピン514より後側においてコイルばね547を介しリンク部材651の突起655によって下側から上側に向けて付勢力が付与される。また、図14(c)を用いて、レンズ取付部701、バネ取付部662、ピン取付部633が形成されている箇所を図示するとそれぞれ、Cの領域、Dの領域、Eの領域で示す箇所となる。光プリントヘッド505は、レンズアレイ506より後側、当接ピン515より前側においてコイルばね548を介しリンク部材652の突起656によって下側から上側に向けて付勢力が付与される。
まず、バネ取付部661について説明する。バネ取付部661は、第1壁部751、第2壁部752、第1係合部543、第2係合部544を含む。第1壁部751は左右方向における光プリントヘッド505の一端側に配置され、第2壁部752は左右方向における光プリントヘッド505の他端側に設けられている。本実施例において、左右方向において第1壁部751および第2壁部752は当接ピン514の両側に配置されている。図14(a)に示すように、第1壁部751と第2壁部752はそれぞれ互いに対面する内壁面を含む。第1壁部751には開口755が形成され、第2壁部752には開口756が形成されている。開口755および開口756は上下方向に延びる長孔である。開口755および開口756には突起655が挿入されている。突起655は開口755および開口756に対して嵌合されておらず、前後方向において最も狭いところで0.5mm程度の間隙を以て挿入されている。そのため、突起655は、開口755および開口756の内壁面から大きな摩擦力を受けることなく、開口755および開口756によって上下方向にその移動方向を案内される。
図14(b)は、図14(a)から第1壁部751を取り除いた図面である。左右方向において第1壁部751と第2壁部752との間に第1係合部543と第2係合部544が配置されている。また、前後方向において、この第1係合部543と第2係合部544はそれぞれ開口755と開口756との間に配置されている。本実施例において、第1係合部543は第2係合部544よりも光プリントヘッド505の端部側に配置されている。第1係合部543および第2係合部544は、光プリントヘッド505の第1壁部751と第2壁部752とを連結する連結部分から下方に突出する突起である。第1係合部543にはコイルばね547の一端が係合され、第2係合部544にはコイルばね547の他端が係合される。第1係合部543と第2係合部544とに係合したコイルばね547が開口755および開口756を横断するように、第1係合部543および第2係合部544はバネ取付部661に配置されている。
上下方向において、第1係合部543と第2係合部544は互いに異なる位置に配置されている。本実施例において、第1係合部543が第2係合部544よりも感光ドラム103側に配置されている。なお、第1係合部543と第2係合部544は上下方向において同一に設けても良いし、第2係合部544が第1係合部543よりも感光ドラム103側に配置されていても良い。
図14(b)に示すように、突起655は、第2壁部752の外壁面側から開口756に挿入され、第1係合部543と第2係合部544に架け渡されたコイルばね547の下を通り、第1壁部751の開口755に挿入されている。
次に、バネ取付部662について説明する。図14(c)に示すように、バネ取付部662は、第3壁部753、第4壁部754、第3係合部545、第4係合部546を含む。第3壁部753は左右方向における光プリントヘッド505の一端側に配置されており、第4壁部754は左右方向における光プリントヘッド505の他端側に設けられている。本実施例において、左右方向において第3壁部753および第4壁部754は当接ピン515の両側に配置されている。第1壁部751と第3壁部753は左右方向において同じ側、すなわち、第1壁部751と第3壁部753は左右方向において光プリントヘッド505の右側に配置されている。第2壁部752と第4壁部754は左右方向において同じ側、すなわち、第2壁部752と第4壁部754は左右方向において光プリントヘッド505の左側に配置されている。
図14(c)に示すように、第3壁部753と第4壁部754はそれぞれ互いに対面する内壁面を含む。第3壁部753には開口757が形成され、第4壁部754には開口758が形成されている。開口757および開口758は上下方向に延びる長孔である。開口757および開口758には突起656が挿入されている。突起656は開口757および開口758に対して嵌合されておらず、前後方向において最も狭いところで0.5mm程度の間隙を以て挿入されている。そのため、突起656は、開口757および開口758の内壁面から大きな摩擦力を受けることなく、開口757および開口758によって上下方向にその移動方向を案内される。
図14(d)は、図14(c)から第3壁部753を取り除いた図面である。左右方向において第3壁部753と第4壁部754との間に第3係合部545と第4係合部546が配置されている。また、前後方向において、この第3係合部545と第4係合部546はそれぞれ開口757および開口758との間に配置されている。本実施例において、第4係合部546は第3係合部545よりも光プリントヘッド505の端部側に配置されている。第3係合部545および第4係合部546は、光プリントヘッド505の第3壁部753と第4壁部754とを連結する連結部分から下方に突出する突起である。第3係合部545にはコイルばね548の一端が係合され、第4係合部546にはコイルばね548の他端が係合される。第3係合部545と第4係合部546とに係合したコイルばね548が開口757および開口758を横断するように、第3係合部545および第4係合部546はバネ取付部662に配置されている。
上下方向において、第3係合部545と第4係合部546は互いに異なる位置に配置されている。本実施例において、第3係合部545が第4係合部546よりも感光ドラム103側に配置されている。なお、第3係合部545と第4係合部546は上下方向において同一に設けても良いし、第4係合部546が第3係合部545よりも感光ドラム103側に配置されていても良い。
図14(d)に示すように、突起656は、第4壁部754の外壁面側から開口758に挿入され、第3係合部545と第4係合部546に架け渡されたコイルばね548の下を通り、第3壁部753の開口757に挿入されている。
なお、本実施例では、コイルばね547およびコイルばね548の一例としてコイル状のバネを示すが、板バネを用いても構わない。
次に、リンク部材651に設けられた突起655のコイルばね547に対する作用、およびリンク部材652に設けられた突起656のコイルばね548に対する作用を図15を用いて説明する。突起655のコイルばね547に対する作用と突起656のコイルばね548に対する作用は実質的に同様であるので、図15では突起656のコイルばね548に対する作用を例示する。
図15(a)は光プリントヘッド505に設けられた当接ピン515がドラムユニット518の当接面551から退避した状態を示す図である。図15(b)は当接ピン515がドラムユニット518の当接面551に当接した時点を示す図である。図15(c)は、図15(b)の状態からリンク部材652が反時計回りに回動した状態を示す図である。
図15(a)の状態において、スライド部525がスライド移動すると、それに連動してリンク部材652が反時計回りに回動し、突起656が上側に移動する。このとき、突起656がコイルばね548を上側に向かって押圧する。突起656がコイルばね548を上側に向かって押圧すると、第3係合部545および第4係合部546を介して光プリントヘッド505に対して上側に力が作用する。当接ピン515はドラムユニット518に非接触であり、光プリントヘッド505に作用する重力を除いて突起656がコイルばね548を押圧する力に抗する力が存在しない。そのため、第3係合部545および第4係合部546に上側に向かって作用する力が光プリントヘッド505に作用する重力よりも大きくなると、光プリントヘッド505が第3係合部545および第4係合部546に作用する力によって上側に移動する。ここで、光プリントヘッド505が退避位置である時、当接ピン515(514)の下端や光プリントヘッド505を装置本体で支え、リンク部材652(651)の突起656(655)がコイルばね548(547)と非接触となるようにしても構わない。
光プリントヘッド505が上側に移動すると、図15(b)に示すように当接ピン515がドラムユニット518の当接面551に当接する。図15(b)は光プリントヘッド505が露光位置に配置されているが、光プリントヘッド505に作用するドラムユニット518に付勢する付勢力が不十分である。そのため、光プリントヘッド505に上記付勢力を付与するために、本実施例の移動機構640は、図15(b)の状態からさらにリンク部材652が回動可能な構成となっている。
図15(b)の状態からさらにリンク部材652が反時計回りに回動しても、当接ピン515がドラムユニット518の当接面551に当接しているため、光プリントヘッド505の位置は変化しない。一方、突起656は上側方向に移動するため、コイルばね548は第3係合部545と第4係合部546との間を突起656によって押圧されて図15(c)に示すように屈曲して伸長する。
図15(c)の状態は、スライド部525がそれ以上後側にスライド移動しない状態となる。そのため、スライド部525がスライド移動しないため、リンク部材652は図15(c)に示す状態から反時計回りに回動することはなく、突起656も上側に移動することなく図15(c)の位置に静止する。この状態においてコイルばね548は収縮する力が第3係合部545および第4係合部546に作用する。第3係合部545および第4係合部546に作用するコイルばね548の収縮力の分力が上方向に向くため、光プリントヘッド505にはドラムユニット518側に付勢する付勢力が作用し、光プリントヘッド505は当接ピン515を介してドラムユニット518に付勢する。
上記したように、第3係合部545が第4係合部546よりも感光ドラム103側に配置されているため、コイルばね548には突起656から矢印N方向の抗力が作用する。矢印N方向の抗力の分力が光プリントヘッド505に作用する。そのため、当接ピン515には前後方向の後側に向かう力が作用し、当接面551に当接した当接ピン515は嵌合部685の奥側の後側壁面596に付勢して当接する。第1係合部543は第2係合部544よりも感光ドラム103側に配置されている理由も同様である。
以上、説明したように、上記本実施例に係る画像形成装置1は、支持部材528に形成された第1壁面588と第2壁面589とによって、退避位置から露光位置に向けて移動する光プリントヘッド505の左右方向への移動が規制され、当接ピン515が嵌合部685に当接するように案内される。