JP7121885B2 - コバルトおよびニッケルの分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に含まれるコバルトおよびニッケルを、他の金属から正確に分離、回収することを可能にするコバルトおよびニッケルの分離方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、各種電子機器等の小型の物から電気自動車等の大型の物まで、幅広い分野の電源として利用されている。こうしたリチウムイオン二次電池が廃棄された際には、有用な金属を回収して再利用することが求められている。
リチウムイオン二次電池は、負極材と正極材とを、多孔質のポリプロピレン等のセパレータで分画し層状に重ね、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等の電解質および電解液と共にアルミニウムやステンレス等のケースに封入して形成されている。
リチウムイオン二次電池の負極材は銅箔などからなる負極集電体にバインダーが混合された黒鉛などの負極活物質を塗布して形成されている。また、正極材はアルミニウム箔などからなる正極集電体にバインダーが混合されたマンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムなどの正極活物質を塗布して形成されている。
このようにリチウムイオン二次電池の正極活物質にはコバルトおよびニッケルが多く含まれているが、リサイクル過程で予め粉砕分離された正極活物質には、コバルト、ニッケル以外にも、マンガン、銅、アルミニウム、リチウムなどが含まれている。このため、リチウムイオン二次電池からコバルトおよびニッケルを高い収率で分離、回収するためには、これら以外の金属を正確に取り除く必要がある。
従来、リチウムイオン二次電池に含まれるコバルトおよびニッケルを分離、回収する方法として、例えば、特許文献1、2には、使用済みのリチウムイオン二次電池から有価金属を回収する方法として、リチウムイオン二次電池から正極材活物質を取り出し、この正極活物質から酸浸出によって金属が浸出した浸出液を得て、この浸出液から溶媒抽出によってコバルトとニッケルとを分離する回収方法が開示されている。
特開2016-113672号公報 特開2016-186118号公報
特許文献1、2に開示された回収方法では、不純物元素の除去方法として、酸化剤の添加や、pH調整によって水酸化物を含む沈殿物を形成して固液分離を行っている。しかしながら、この時、コバルトおよびニッケルと、それ以外の金属(銅、アルミニウム、マンガン、鉄など)とが同時に除去されるため、その後の複数の工程でコバルトおよびニッケルと、それ以外の金属とを分離する必要があり、分離工程が複雑で手間が掛かり、コバルトおよびニッケルの回収が高コストになるという課題があった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、リチウムイオン二次電池に含まれるコバルトおよびニッケルと、それ以外の金属とを、少ない工程で高精度に分離して、リチウムイオン二次電池から低コストでコバルトおよびニッケルを回収することが可能なコバルトおよびニッケルの分離方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、リチウムイオン二次電池からコバルトおよびニッケルを分離する、コバルトおよびニッケルの分離方法であって、前記リチウムイオン二次電池を粉砕および分級し、少なくともコバルト、ニッケル、銅、およびリチウムを含む電極材料を得る粉砕選別工程、硫酸および過酸化水素を含む処理液に前記電極材料を浸漬して浸出液を得る浸出工程、前記浸出液に硫化水素化合物を加えて撹拌した後、固液分離を行い、コバルトおよびニッケルを含む溶出液と、硫化銅を含む残渣とを得る銅分離工程、前記溶出液にアルカリ金属水酸化物を加えてpH調整をした後、硫化水素化合物を加えて撹拌、固液分離を行い、硫化コバルトおよび硫化ニッケルを含む沈殿物と、リチウムを含む残液とを得るコバルト・ニッケル分離工程、を備え、前記コバルト・ニッケル分離工程では、前記硫化水素化合物として硫化水素ナトリウム水溶液を用い、前記硫化水素化合物の添加開始から終了に至るまでの間の前記溶出液のpHを2.0~5.0の範囲内に維持し、酸化・還元電位(vs Ag/AgCl)が-400mV以下になるまで、前記溶出液に前記硫化水素化合物を加えることを特徴とする。
本発明によれば、硫酸および過酸化水素を含む処理液によって電極材料から金属成分の溶出を行い、得られた浸出液に水溶性の硫化水素化合物を加えて撹拌することで、浸出液に含まれる金属成分のうち、銅のみを選択的に不溶性の硫化物として沈殿させ分離する。そして、pHを調整した上で、水溶性の硫化水素化合物を加えて撹拌することで、溶出液に含まれる金属成分のうち、コバルトおよびニッケルだけを選択的に不溶性の硫化物として沈殿させるので、リチウムイオン二次電池からコバルトおよびニッケルを、少ない工程で高精度に分離することができる。
また、本発明では、前記粉砕選別工程の前に、前記リチウムイオン二次電池を加熱して熱処理を行う熱処理工程を備えていてもよい。
さらに前記コバルト・ニッケル分離工程で分離した前記沈殿物に硫酸を含む再溶解液を加えて攪拌した後、固液分離を行い、コバルトおよびニッケルを含むコバルト・ニッケル溶液を得る再溶解工程と、前記コバルト・ニッケル溶液に抽出剤溶液を添加して、コバルト抽出液と、ニッケル抽出液とを得る溶媒抽出工程を備えていてもよい。
また、本発明は、前記再溶解工程では、前記沈殿物の前記再溶解液に対する浸漬時間が1時間以上であってもよい。
また、本発明は、前記浸出工程では、前記処理液の液温が60℃以上、硫酸濃度が2mol/L以上であってもよい。
また、本発明は、前記銅分離工程では、前記硫化水素化合物の添加開始から終了に至るまでの間の前記浸出液のpHを1.0以下に維持し、酸化・還元電位(vs Ag/AgCl)が0mV以下になるまで、前記硫化水素化合物として硫化水素ナトリウム水溶液を加えてもよい。
また、本発明は、前記硫化水素化合物の添加開始から終了に至るまでの間の前記溶出液のpHを2.0~3.5の範囲内に維持してもよい。
また、本発明は、前記コバルト・ニッケル分離工程におけるpH調整では、前記溶出液のpHを3.0~4.0の範囲内に調整してもよい。
また、本発明は、前記再溶解工程では、硫酸及び過酸化水素水を含む前記再溶解液で前記沈殿物を溶解させるか、または硫酸を含む前記再溶解液に前記沈殿物を加えた後、エアバブリングを行うことによって溶解させてもよい。
また、本発明は、前記再溶解工程では、前記再溶解液の液温が60℃以上、硫酸濃度が0.5mol/L以上であってもよい。
また、本発明は、前記粉砕選別工程の前工程として、前記リチウムイオン二次電池を加熱して熱処理を行う熱処理工程を備えていてもよい。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池に含まれるコバルトおよびニッケルと、それ以外の金属とを、少ない工程で高精度に分離して、リチウムイオン二次電池から低コストでコバルトおよびニッケルを回収することが可能なコバルトおよびニッケルの分離方法を提供することができる。
本発明のコバルトおよびニッケルの分離方法を含むリチウムイオン二次電池の電極材料のリサイクル方法を段階的に示したフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態のコバルトおよびニッケルの分離方法について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明のコバルトおよびニッケルの分離方法を含むリチウムイオン二次電池の電極材料のリサイクル方法を段階的に示したフローチャートである。
(熱処理工程S1)
廃棄されたリチウムイオン二次電池(以下、廃LIBと称する)を構成する電極材料を分離する前処理工程として、廃LIBを加熱炉で例えば過熱水蒸気で約500℃程度まで加熱して熱処理を行う。
熱処理は、真空でも常圧でもよいが、酸素を含まない不活性雰囲気中の加熱が好ましい。廃LIBは、バインダー及び電解液の存在により正極活物質や負極活物質と、集電体であるアルミニウム箔や銅箔との付着力が大きい。このため、400℃以上の熱処理工程を行うことによって、これら活物質と集電体との分離を容易にする。廃LIBの加熱温度を650℃以下にすることにより、アルミニウムが溶融して活物質を巻き込んで冷却固化して、活物質だけを取り出すことが困難になることを防止できる。
(粉砕選別工程S2)
次に、熱処理後の廃LIBを粉砕した後、篩分けによって電極材料を選別分離する。廃LIBの粉砕は、例えば、二軸剪断破砕機やハンマーミルを用いて行う。
そして、粉砕した廃LIBを、適切な目開きの篩を用いて分級し,電池容器,アルミニウム箔,銅箔,ニッケル端子を篩の上産物として、正極活物質(LiCoOなど)および負極活物質(グラファイト)を含む電極材料を篩の下産物として回収する。こうした電極材料は、例えば、目開きが0.5mm程度の篩を通過したものであればよい。
分離された電極材料は、主に正極活物質の構成材料および不純物であるコバルト、ニッケル、マンガン、銅、鉄、アルミニウム、リチウム、カルシウム等、および負極活物質の構成材料である炭素等を含んでいる。
(浸出工程S3)
次に、粉砕選別工程S2で分離された電極材料を処理液に浸漬して浸出液を得る。処理液としては、硫酸(HSO)と過酸化水素(H)とを混合したものを用いる。
廃LIBに含まれるCo,Niは硫酸に溶解しにくい3価,4価の状態も含まれるため、過酸化水素を還元剤として用いることで、より硫酸に溶解しやすい2価のCo,Niに還元することができる。
処理液の一例としては、濃度が2mol/L以上の希硫酸100mlに対し、濃度が30wt%の過酸化水素水を5ml以上の比率で混合したものが挙げられる。希硫酸の濃度を2mol/L以上、過酸化水素水の添加量を5ml以上とすることで、コバルトおよびニッケルの浸出率を高めることができる。特に制限はないが、それ以上にしても浸出率のさらなる向上は望めないため、硫酸濃度の上限は18mol/L、過酸化水素水の添加量の上限は30mlである。
浸出工程S3の具体例としては、例えば60℃以上に加熱した処理液に、粉砕選別工程S2で分離された粉末状の電極材料を加え、4時間以上浸漬する。この時、更に攪拌することが好ましい。
処理液温度を60℃以上、浸出(浸漬)時間を4時間以上とすることで、コバルトおよびニッケルの浸出率を高めることができる。特に制限はないが、それ以上にしても浸出率のさらなる向上は望めないため、処理液温度の上限は90℃、浸出時間の上限は15時間である。
こうした浸出工程S3によって、電極材料のうち、正極活物質由来の金属成分(コバルト、ニッケル、マンガン、銅、鉄、アルミニウム、リチウム、カルシウム等)は処理液に溶解し、負極活物質由来の炭素は、溶解せずに炭素残渣として残る。
(銅分離工程S4)
次に、浸出工程S3で得られた浸出液に、硫化水素化合物を加えて撹拌した後、固液分離を行い、コバルトおよびニッケルを含む溶出液と、硫化銅(CuS)を含む残渣とを得る。
本発明において硫化水素化合物とは、硫黄分を含み、水に溶解させたときにその硫黄分がHS、HSまたはS2-の形態をとる化合物を意味する。
銅分離工程S4で用いる硫化水素化合物としては、水溶性のアルカリ金属硫化水素化物、本実施形態では硫化水素ナトリウム(NaSH)の水溶液を用いている。銅分離工程S4の具体例としては、浸出液をイオン交換水で希釈した後、硫化水素ナトリウムの水溶液を、この希釈した浸出液に添加して攪拌する。
硫化水素ナトリウムの水溶液の添加は、例えば、酸化・還元電位(vs Ag/AgCl)が0mV以下になるまで行う。酸化・還元電位が0mV以下になるまで硫化水素ナトリウムを添加することで、浸出液に含まれる銅をほぼ全量沈殿させることができる。
硫化水素化合物の添加開始から終了に至るまでの浸出液のpHを1.0以下に維持することが好ましい。浸出液のpHが1.0を超えると、コバルト、ニッケルの硫化物が生じて、これらの溶出液への回収率が低下するおそれがある。
硫化水素化合物としては、硫化水素ナトリウム以外にも、例えば、硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、または亜ジチオン酸ナトリウムであってもよい。
浸出液に硫化水素化合物を加えることにより、浸出液に溶解している金属成分のうち、銅と硫黄とが反応し、硫化銅(CuS)が生成して沈殿する。一方、銅を除いた金属成分(コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、アルミニウム、リチウム、カルシウム等)は、液相に残留し、コバルトおよびニッケルを含む溶出液が得られる。
この後、濾材などを用いて固液分離することにより、浸出工程S3で生じた炭素残渣および銅分離工程S4で生じた残渣よりなる固相と、溶出液(液相)とが分離される。
なお、本実施形態では、銅分離工程S4での固液分離によって、浸出工程S3で生成した炭素残渣も濾別しているが、浸出工程S3においても固液分離を行うことで、銅分離工程S4を行う前に、予め炭素残渣を分離しておくこともできる。
また、銅分離工程S4において、固液分離を行う前に、水酸化ナトリウム(NaOH)を用いて浸出液のpHを3.0~4.0程度にして、浸出液に含まれるアルミニウムを水酸化アルミニウム(Al(OH))にして沈殿させ、炭素残渣および残渣とともに、固液分離によって浸出液から分離することもできる。
分離された固相は、リパルプ(固相に水を加えて再懸濁させた後、脱水することにより精製)してから廃棄物として処理されればよい。
(コバルト・ニッケル分離工程S5)
次に、溶出液にアルカリ金属水酸化物を加えてpH調整をした後、硫化水素化合物を加えて撹拌、固液分離を行い、硫化コバルトおよび硫化ニッケルを含む沈殿物と、リチウムを含む残液とを得る。
コバルト・ニッケル分離工程S5の初期に溶出液のpH調整を行うためのアルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)が挙げられる。本実施形態では、25wt%の水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
こうしたpH調整によって、溶出液のpHを3.0~4.0の範囲内、例えば3.5にする。
この時、pHが低いと硫化水素化合物とコバルト、ニッケルが反応しにくくなる虞があるが、硫化水素化合物の添加に伴って、溶出液のpHは低下していく。pH調整後、硫化水素化合物の添加開始時のpHが3.0未満であると、硫化水素化合物の添加終了に至る前に過度のpH低下が生じ、再度のpH調整が必要になる。このため、硫化の前処理であるpH調整時にpHを3.0以上にした方が効率的である。
また、pH調整時にpHを4.0を超える値にすると、pH調整に時間がかかるが、硫化水素化合物を添加するとすぐにpH4.0以下となるため、非効率である。そのため、pH調整範囲としては3.0~4.0の範囲が望ましい。
そして、pH調整後の溶出液に、水溶性の硫化水素化合物を添加することによって、溶出液に含まれるコバルトおよびニッケルは、それぞれ水に不溶性の硫化コバルト(CoS)および硫化ニッケル(NiS)になり沈殿する。
コバルト・ニッケルを硫化するための硫化水素化合物としては、例えば、水溶性のアルカリ金属硫化水素化物が挙げられる。硫化水素化合物は、銅分離工程S4で用いるものと同じであってもよく、異なっていてもよい。本実施形態では、濃度が250g/Lの硫化水素ナトリウムの水溶液を用いた。
硫化水素ナトリウムの水溶液の添加は、例えば、酸化・還元電位(vs Ag/AgCl)が-400mV以下になるまで行う。酸化・還元電位が-400mV以下になるまで硫化水素ナトリウムを添加することで、溶出液に含まれるコバルト、ニッケルをほぼ全量沈殿させることができる。
硫化水素化合物の添加開始から終了に至るまでの間の浸出液のpHは2.0~5.0、好ましくは2.0~3.5の範囲内に維持することが好ましい。浸出液のpHが2.0未満となった場合、硫化水素ナトリウムと硫酸との反応(NaSH+HSO→HS+NaSO)が生じ、硫化水素ナトリウムが消費されてコバルト、ニッケルの硫化が進みにくくなる。一方、浸出液のpHが5.0を超えると、他の金属の水酸化物が生じて沈殿物の純度が低下するおそれがある。また、高い領域でpHをコントロールすることは困難である。
なお、ここでいう硫化コバルトには、硫化コバルト(II)、二硫化コバルト(CoS)、八硫化九コバルト(Co)など、各種組成の硫化コバルト化合物が含まれていてもよい。同様に、硫化ニッケル(NiS)には、硫化ニッケル(II)、二硫化ニッケル(NiS)、四硫化三ニッケル(Ni)、二硫化三ニッケル(Ni)など、各種組成の硫化ニッケル化合物が含まれていてもよい。
一方、硫化水素化合物を添加後の液相(残液)には、コバルトおよびニッケルを除いた金属成分(マンガン、鉄、アルミニウム、リチウム、カルシウム等)が残留する。ここで得られた液相は、その後、pH調整による溶媒抽出等によって、含有するマンガン、鉄、アルミニウム、リチウム、カルシウム等をそれぞれ分離、回収することができる。
(再溶解工程S6)
次に、コバルト・ニッケル分離工程S5で得られた沈殿物に硫酸を含む再溶解液を加えて攪拌した後、固液分離を行い、コバルトおよびニッケルを含むコバルト・ニッケル溶液を得る。
再溶解液としては、例えば、硫酸と酸化剤として過酸化水素とを混合したものを用いる。再溶解液の一例としては、濃度が1.5mol/Lの希硫酸100mlに対し、濃度が30wt%の過酸化水素水を20mlの比率で混合したものが挙げられる。
再溶解工程S6の具体例としては、例えば60℃以上に加熱した再溶解液に、沈殿物を加え、4時間以上浸漬する。この時、更に攪拌することが好ましい。また、再溶解液に過酸化水素水を入れずに、沈殿物を浸漬する際にエアバブリングを行うこともできる。
この時、処理液温度を60℃以上、浸出時間を1時間以上とすることで、コバルトおよびニッケルの溶解率を高めることができる。特に制限はないが、それ以上にしても溶解率のさらなる向上は望めないため、処理液温度の上限は90℃、浸出時間の上限は15時間である。
こうした再溶解液を用いた沈殿物の処理によって、コバルトおよびニッケルが再溶解液に溶解する。また、再溶解液に溶解しない不純物、コバルト・ニッケル分離工程S5で生成する単体硫黄などが固相として残る。この後、濾材などを用いて固液分離を行うことにより、コバルトおよびニッケルの純度が高められた(精製された)コバルト・ニッケル溶液が得られる。
こうして得られた、コバルト・ニッケル溶液は、コバルトおよびニッケル以外の電極材料の他の成分(銅、鉄、アルミニウム、リチウム、カルシウム等)は殆ど含まれておらず、コバルトおよびニッケルの高純度な回収原料として好適である。
なお、再溶解工程S6の前工程として、沈殿物をリパルプすることにより、コバルト硫化物、ニッケル硫化物以外の不純物を取り除いておくことも好ましい。
銅分離工程S4において、固液分離を行う前にアルミニウムを除去する手順について上述したが、そのような手順を実施していない場合、沈殿物にはアルミニウム化合物が含まれている場合がある。この場合、沈殿物をリパルプすることにより、アルミニウム化合物を除去することができる。
(溶媒抽出工程S7)
次に、再溶解工程S6で得られたコバルト・ニッケル溶液に抽出剤溶液を添加して、コバルト抽出液と、ニッケル抽出液とを得る。
抽出剤溶液としては、金属抽出剤と希釈剤を混合した混合溶液を用いることができる。例えば、2-エチルヘキシル2-エチルヘキシルホスホネート(PC88A:大八化学株式会社製)を20vol%、ケロシン(希釈剤)を80vol%の割合で混合した混合溶液を用いることができる。
上述した抽出剤溶液を用いて、ミキサーセトラーによりコバルト・ニッケル溶液から硫酸コバルト(CoSO)溶液と、硫酸ニッケル(NiSO)溶液として分離回収する。
以上の工程により、廃LIBからコバルトとニッケルとを高収率で回収することができる。例えば、廃LIBから取り出した電極材料中のコバルト、ニッケルの量をそれぞれ100%とした時、本実施形態のコバルトおよびニッケルの分離方法によって、コバルトとニッケルをそれぞれ95%以上の高収率で回収することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明のコバルトおよびニッケルの分離方法の効果を検証した。
(本発明例の手順)
廃LIBから取り出した電極材料14.5gを、濃度2mol/Lの硫酸100mLおよび濃度30%の過酸化水素水5mLの処理液に加え、液温60℃で加熱撹拌を4時間行った(浸出工程)。その後、室温まで放冷し、浸出液に対して、250g/Lになるようイオン交換水に撹拌溶解した硫化水素ナトリウム水溶液を、浸出液の酸化・還元電位(ORP)が0mV(vs Ag/AgCl)以下になるまで添加し撹拌した(銅分離工程)。
この段階で、硫酸浸出時に不溶である廃LIBの負極材のカーボンおよび、生成した残渣(硫化銅)を濾過して固液分離を行った。ここで得られた溶出液に、濃度25wt%の水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを3.5に調整し、これに、濃度250g/Lの硫化水素ナトリウム水溶液を、ORPが-400mV(vs Ag/AgCl)以下になるまで添加しつつ撹拌した。
そして、黒色の沈殿物(硫化コバルト、硫化ニッケル)が十分生成したことを確認後、固液分離を行うことにより、沈殿物を回収した(コバルト・ニッケル分離工程)。一方、残液にはマンガン、アルミニウム、鉄、リチウム、カルシウムなどの不純物が残留しており、金属含有廃液として処分した。
沈殿物を、濃度が1.5mol/Lの硫酸100mLおよび濃度が30wt%の過酸化水素水20mLの再溶解液中に加え、液温60℃で加熱、撹拌を1時間行った(再溶解工程)。その後、室温下まで放冷後、未溶解分および前工程での反応で生成した単体硫黄を濾過によって除去した。
このようにして得られたコバルト・ニッケル溶液から、金属抽出剤であるPC88A(大八化学株式会社製)が20vol%、ケロシンが80vol%の割合で混合された抽出剤溶液を用いて、ミキサーセトラーにより硫酸コバルト溶液と、硫酸ニッケル溶液として分離回収した(溶媒抽出工程)。
以上の本発明例の手順では、廃LIBから取り出した電極材料中のコバルト、ニッケルを100%とした時に、溶媒抽出で逆抽出液中に得られたコバルトは96.4%、ニッケルは95.3%であった。よって、本実施形態のコバルトおよびニッケルの分離方法によれば、廃LIBから高い歩留まりでコバルト、ニッケルを回収できることが確認された。
なお、金属濃度はICP-AES、pHはpH計、ORPはORP計によって測定した。%の数値は質量基準である。
(浸出工程)
上述した本発明例の浸出工程に関して、処理液の濃度、過酸化水素水の液量、温度、浸出時間を互いに変化させた実験例1~9について、コバルトおよびニッケルの液相への浸出率を測定した。この結果を表1に示す。
Figure 0007121885000001
表1に示す結果によれば、実験例1~3により、処理液の硫酸濃度は2mol/L以上にすることが好ましいことが確認された。また、実験例3~5により、処理液の過酸化水素水の液量は5mL(濃度30wt%において)以上が好ましいことが確認された。また、実験例3、6、7より、処理液の温度(液温)は60℃以上が好ましいことが確認された。更に、実験例5、8、9より、浸出時間は4時間以上が好ましいことが確認された。
(銅分離工程)
次に、上述した本発明例の銅分離工程に関して、実験例5で得られた浸出液に硫化水素ナトリウム水溶液を添加し、それに伴うpH、ORP、浸出液中の金属濃度の変化を調べた。実験例10では、添加前の浸出液について測定を実施した。硫化水素ナトリウム水溶液の添加と測定を繰り返し、ORPが0mV以下となったところで工程終了とした(実験例11~13)。なお、pH測定は、硫化水素ナトリウム水溶液の添加開始から継続して実施し、各回の添加後にpHが安定した段階で、その時点のpHと、初回の添加開始からの経過時間とを記録するとともに、その他の項目の測定を実施した。
この結果を表2に示す。
Figure 0007121885000002
表2に示す結果によれば、浸出液のpHを1.0以下に維持しつつ、ORPが0mV以下となるまで硫化水素化合物を加えれば、浸出液に含まれる銅をほぼ全量沈殿させ、ニッケル、コバルト等の他成分と固液分離できることが確認された。
(コバルト・ニッケル分離工程)
次に上述した本発明例のコバルト・ニッケル分離工程に関して、硫化水素化合物の添加中の溶出液のpHによる反応への影響を調べた。
[pH2.0~3.0]
実験例14では、溶出液として実験例13で得られたものを用い、添加前の溶出液について測定を実施した。次に、水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH調整した溶解液について測定を実施した(実験例15)。その後、硫化水素ナトリウム水溶液の添加と測定を繰り返した(実験例16~23)。添加中のpHを2.0~3.0の範囲内に維持するため、硫化水素ナトリウム水溶液とあわせて、水酸化ナトリウム水溶液と硫酸も適宜、添加した。
硫化水素ナトリウム水溶液の添加開始以降の、各種水溶液の累積添加量と、その時点の溶解液の液量、pH、ORP、金属濃度を表3に示す。
なお、pH測定は、硫化水素ナトリウム水溶液の添加開始から継続して実施し、各回の添加後にpHが安定した段階で、その時点のpHと、初回の添加開始からの経過時間とを記録するとともに、その他の項目の測定を実施した。
Figure 0007121885000003
[pH2.5~3.5]
pHを変更した以外は、実験例14~23と同様の水溶液添加、測定を実施した。実験例24が添加前の溶出液、実験例25がpH調整後の溶解液、実験例26~33が添加の各段階の溶出液である。測定の結果を表4に示す。
Figure 0007121885000004
表3、4に示す結果によれば、硫化水素ナトリウム水溶液の添加により、溶出液中のマンガン濃度が変化しない中で、ニッケル濃度、コバルト濃度が低下する。ORPが-400mV以下まで硫化水素ナトリウム水溶液を添加すると、マンガンが沈殿しないで、ニッケル、コバルトが硫化物として沈殿するので、ニッケル、コバルトを固液分離することができる。
[pH3.5~5.0]
pHを変更した以外は、実験例14~23と同様の水溶液添加、測定を実施した。実験例34がpH調整後の溶解液、実験例35~38が添加の各段階の溶出液である。測定の結果を表5に示す。
Figure 0007121885000005
表5に示す結果によれば、硫化水素ナトリウム水溶液の添加により、溶出液中のマンガン濃度が変化しない中で、ニッケル濃度、コバルト濃度が低下する。ORPが-400mVまで硫化水素ナトリウム水溶液を添加するとマンガン等が沈殿しないで、ニッケル、コバルトが硫化物として沈殿するので、ニッケル、コバルトを固液分離できる。
なお、pHが3.5~5.0の領域ではpHをコントロールすることが容易ではなく、各回の硫化水素ナトリウム水溶液の添加後、pHが安定までの時間が、他の実験例に比べて長い。また、pHが3.5以上になるとニッケル、コバルト以外の溶解度の低い水酸化物が生成し始める可能性がある。
[pH1.6~2.3]
pHを変更した以外は、実験例14~23と同様の水溶液添加、測定を実施した。実験例39がpH調整後の溶解液、実験例40~43が添加の各段階の溶出液である。測定の結果を表6に示す。
Figure 0007121885000006
表6に示す結果によれば、溶出液のpHが2.0以上に維持されず、一時的にでも2.0未満となった場合、pHが2.0以上に維持された場合(表3~5)と比べて、コバルトおよびニッケルを硫化物にするために多量の硫化水素ナトリウムが必要となることがわかる。試験後半段階の実験例42,43ではpHが2.0以上に達しているが、試験前半の実験例40,41ではpHが2.0未満であったので、硫化水素ナトリウムが硫酸と反応し、コバルト、ニッケルの硫化、沈殿生成に有効に利用できなかった。表3、表4、表5に比して表6では最も硫化水素ナトリウム水溶液を使用したにも関わらず液中にコバルト、ニッケルが残存した。また、ORPも-400mV以上となった。
以上より、コバルト・ニッケル分離工程は、溶出液のpHを2.0~5.0の範囲内、より好ましくは、pHを2.0~3.5の範囲内に維持し、ORPが-400mV以下になるまで硫化水素ナトリウム水溶液を添加すればよいことが分かった。
(従来例の手順)
本発明例の手順と同様に、浸出工程と銅分離工程を実施して溶出液を得た。続いて、コバルト・ニッケル分離工程にかえて、従来技術で実施されていたマンガン分離工程、アルミニウム分離工程を実施した。
溶出液に、濃度12wt%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加し、マンガンを酸化処理することで二酸化マンガン(MnO)として沈殿生成させ、濾材で固液分離することによりマンガンを除去した(マンガン分離工程)。
このマンガン分離工程では、コバルトおよびニッケルの一部も3価に酸化されて水酸化物として沈殿し、二酸化マンガンと共に固液分離され、コバルトおよびニッケルの収率が低下する。
次に、マンガン分離工程で得られた濾液に濃度25%の水酸化ナトリウム水溶液を添加して濾液のpHを5.5に調整することで、アルミニウムを水酸化物の沈殿として分離する操作を行った(アルミニウム分離工程)。
このアルミニウム分離工程においても、コバルトおよびニッケルの一部が水酸化物として沈殿し、水酸化アルミニウムと共に固液分離され、コバルトおよびニッケルの収率が更に低下する。
以上の従来例の手順では、廃LIBから取り出した電極材料中のコバルト、ニッケルを100%とした時に、工程の途中でコバルトが38.2%、ニッケルが41.3%それぞれ系外へ排出され、直接歩留まりはコバルトが61.8%、ニッケルが58.7%に留まった。
[マンガン分離工程]
上述した従来例のマンガン分離工程に関して、溶出液に濃度5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、濃度25%の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、それに伴う溶出液中の金属濃度の変化を測定した。従来実験例1で添加前の溶出液を測定した後、従来実験例2~6で各水溶液の添加と測定を繰り返した。この結果を表7に示す。
Figure 0007121885000007
表7に示す結果によれば、各水溶液の添加量が増加して、マンガンの沈殿が進むほど、コバルトおよびニッケルの一部も沈殿し、最大で15%程度、マンガン分離工程においてコバルトおよびニッケルがロスすることが分かった。
[アルミニウム分離工程]
次に、上述した従来例のアルミニウム分離工程に関して、濾液に加える水酸化ナトリウム水溶液の添加量を変化させた従来実験例7~10について、濾液に残る金属(コバルト、ニッケル、マンガン、アルミニウム)の濃度とpHとを測定した。従来実験例7は、水酸化ナトリウム水溶液の添加前である。従来実験例10では、硫酸も添加した。この結果を表8に示す。
Figure 0007121885000008
表8に示す結果によれば、アルミニウムが水酸化物としてほぼ全量沈殿するpH5.46(従来実験例9)において、コバルトおよびニッケルの一部もそれぞれ水酸化物として沈殿し、その結果、ニッケルが23%、コバルトが17%ロスすることが分かった。また、水酸化アルミニウムはゲル状になるため、濾材による固液分離が困難である。
本発明のコバルトおよびニッケルの分離方法は、使用済みのリチウムウムイオン二次電池に含まれる有価金属のうち、特にコバルトおよびニッケルを、他の金属から正確に分離、回収することを可能にし、これにより、リチウムウムイオン二次電池から純度の高いリサイクル資源を効率的に得ることができる。従って、産業上の利用可能性を有する。

Claims (10)

  1. リチウムイオン二次電池からコバルトおよびニッケルを分離する、コバルトおよびニッケルの分離方法であって、
    前記リチウムイオン二次電池を粉砕および分級し、少なくともコバルト、ニッケル、銅、およびリチウムを含む電極材料を得る粉砕選別工程、
    硫酸および過酸化水素を含む処理液に前記電極材料を浸漬して浸出液を得る浸出工程、
    前記浸出液に硫化水素化合物を加えて撹拌した後、固液分離を行い、コバルトおよびニッケルを含む溶出液と、硫化銅を含む残渣とを得る銅分離工程、
    前記溶出液にアルカリ金属水酸化物を加えてpH調整をした後、硫化水素化合物を加えて撹拌、固液分離を行い、硫化コバルトおよび硫化ニッケルを含む沈殿物と、リチウムを含む残液とを得るコバルト・ニッケル分離工程、
    を備え
    前記コバルト・ニッケル分離工程では、前記硫化水素化合物として硫化水素ナトリウム水溶液を用い、前記硫化水素化合物の添加開始から終了に至るまでの間の前記溶出液のpHを2.0~5.0の範囲内に維持し、酸化・還元電位(vs Ag/AgCl)が-400mV以下になるまで、前記溶出液に前記硫化水素化合物を加えることを特徴とするコバルトおよびニッケルの分離方法。
  2. 前記コバルト・ニッケル分離工程で分離した前記沈殿物に硫酸を含む再溶解液を加えて攪拌した後、固液分離を行い、コバルトおよびニッケルを含むコバルト・ニッケル溶液を得る再溶解工程と、
    前記コバルト・ニッケル溶液に抽出剤溶液を添加して、コバルト抽出液と、ニッケル抽出液とを得る溶媒抽出工程を備えることを特徴とする請求項1に記載のコバルトおよびニッケルの分離方法。
  3. 前記再溶解工程では、前記沈殿物の前記再溶解液に対する浸漬時間が1時間以上であることを特徴とする請求項2に記載のコバルトおよびニッケルの分離方法。
  4. 前記浸出工程では、前記処理液の液温が60℃以上、硫酸濃度が2mol/L以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコバルトおよびニッケルの分離方法。
  5. 前記銅分離工程では、
    前記硫化水素化合物の添加開始から終了に至るまでの間の前記浸出液のpHを1.0以下に維持し、
    酸化・還元電位(vs Ag/AgCl)が0mV以下になるまで、前記硫化水素化合物として硫化水素ナトリウム水溶液を加えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のコバルトおよびニッケルの分離方法。
  6. 前記硫化水素化合物の添加開始から終了に至るまでの間の前記溶出液のpHを2.0~3.5の範囲内に維持することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のコバルトおよびニッケルの分離方法。
  7. 前記コバルト・ニッケル分離工程におけるpH調整では、前記溶出液のpHを3.0~4.0の範囲内に調整することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のコバルトおよびニッケルの分離方法。
  8. 前記再溶解工程では、硫酸及び過酸化水素水を含む前記再溶解液で前記沈殿物を溶解させるか、または硫酸を含む前記再溶解液に前記沈殿物を加えた後、エアバブリングを行うことによって溶解させることを特徴とする請求項2または3に記載のコバルトおよびニッケルの分離方法。
  9. 前記再溶解工程では、前記再溶解液の液温が60℃以上、硫酸濃度が0.5mol/L以上であることを特徴とする請求項2、3およびのいずれか一項に記載のコバルトおよびニッケルの分離方法。
  10. 前記粉砕選別工程の前工程として、前記リチウムイオン二次電池を加熱して熱処理を行う熱処理工程を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のコバルトおよびニッケルの分離方法。
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