JP2023533246A - Ni、co及びmnの2つ以上のオキサレートの混合物を分離する方法 - Google Patents
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Abstract
本開示は、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)及びMn(マンガン)の2つ以上のオキサレートの混合物を分離する方法に関する。この方法は、例えば、使用済みリチウムイオン電池、又はリチウムイオン電池又はリチウムイオン電池のセル又構成要素の製造廃棄物から、Ni、Co及びMnの2つ以上を分離回収するのに有用である。
Description
本出願は、2020年7月2日に提出された欧州特許出願第0183742.4号、及び2020年7月27日に提出された20187908.7号に対する優先権を主張しており、これら出願の内容はそれぞれ、その全体を参照によりここに組み込む。
本開示は、一般に、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)及びMn(マンガン)の2つ以上のオキサレートの混合物を分離するための方法に関する。このような方法は、Ni、Co及びMnの2つ以上を、使用済みリチウムイオン電池、又はリチウムイオン電池の製造廃棄物、又はリチウムイオン電池のセル又は構成要素の製造廃棄物、又はリチウムイオン電池用のカソード活物質の製造廃棄物から、分離回収するのに有用である。この方法は、電子機器のスクラップからNi、Co及びMnの2つ以上を回収するのにも有用であり得る。地球起源の資源、例えば鉱石及び鉱石精鉱からNi、Co及びMnの2つ以上を回収するのにも有用である。
リチウムイオン電池の普及により、使用済みリチウムイオン電池がますます増加している。使用済みリチウムイオン電池は、とりわけ、ニッケル、コバルト及びマンガンのような重要な遷移金属の化合物、さらにリチウム及びその化合物を含有する。より具体的には、リチウムイオン電池のカソードは、リチウムと、ニッケル、コバルト及びマンガンの1つ以上との混合酸化物をカソード活物質として含有することが多い。従って、使用済みリチウムイオン電池は、新世代リチウムイオン電池の貴重な原料源となり得る。この理由から、使用済みリチウムイオン電池だけでなく、リチウムイオン電池の製造廃棄物、又はリチウムイオン電池のセル又は構成要素の製造廃棄物、又はリチウムイオン電池用のカソード活物質の製造廃棄物から、遷移金属を回収することを目指した研究が増加している。使用済みリチウムイオン電池だけでなく、リチウムイオン電池の製造廃棄物、リチウムイオン電池のセル及び構成要素の製造廃棄物、及びリチウムイオン電池用のカソード活物質の製造廃棄物を、総称して「電池スクラップ」と呼ぶ。
電池スクラップから遷移金属を回収する様々なアプローチが提案されている。例えば、あるアプローチには、電池スクラップの製錬と、これに続き、製錬処理から得られた金属合金(マット)の湿式冶金処理が含まれる。別のアプローチは、電池スクラップ材料の直接湿式冶金処理である。このような湿式冶金処理からは、遷移金属化合物が水溶液として、又は沈殿した形態で、例えば水酸化物として、供給される。
WO2019/121086A1には、ニッケル及びリチウムを含有するカソード活物質から遷移金属を回収する方法が開示されており、この方法は、(a)リチウム含有遷移金属酸化物材料を浸出剤(好ましくは硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、シュウ酸及びクエン酸から選ばれた酸)で処理する工程、(b)pH値を2.5~8に調整する工程、及び(c)工程(b)で得られた溶液を、金属ニッケル、コバルト又はマンガン又は前記の少なくとも2つの組み合わせで処理する工程、を含む。WO2019/121086A1の方法は、典型的には、NiイオンとCo及びMnの1つ以上のイオン、又はNiとCo及びMnの1つ以上との沈殿した混合ヒドロキシド、混合オキシヒドロキシド、又は混合カーボネートを含有する水溶液を生成する。
上記で定義した電池スクラップは通常、複数の源に由来するので、多種多様なリチウム遷移金属酸化物を含有する。よって電池スクラップは通常、ニッケル、コバルト及びマンガンの間に不明確であり変動する化学量論比を呈する。電池スクラップを新世代の高品質カソード活物質の源として利用できるようにするためには、電池スクラップから回収されたニッケル、コバルト及びマンガンの化合物を分離して、これらをLiとNi、Co及びMnの1つ以上との所望の混合酸化物に対応する化学量論比で再び組み合わせられるようにすることが必要である。
CN109536724Aは、廃電池の金属リサイクルプロセスに基づいたコバルト及びニッケルを精製する方法を開示している。廃電池残渣を硫酸溶液に溶解し、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、及び少量の銅、鉄、マンガン、亜鉛及び他の不純物を含有する溶液を得る。得た溶液を硫酸ナトリウムに加え、そして溶液中のpH値を反応の進行時に監視し、弱アルカリ性の溶液を加えてpH値を変化させる。中和後、溶液中の三価鉄イオンを硫酸ナトリウムと反応させて結晶を生成する。次いで、アルキルリン酸、例えばジ-2-エチルヘキシルリン酸(D-2-EHPA)又はアルキルリン酸エステル型抽出剤を用いて、溶液中に残留している銅、鉄、マンガン、亜鉛及び他の金属不純物を抽出し、硫酸コバルト及び硫酸ニッケル溶液を得る。得た硫酸コバルト及び硫酸ニッケルの溶液に、過剰の水酸化ナトリウム溶液を沈殿が生じるまで加える。溶液中に沈殿が検出されたら溶液をろ過し、そしてろ液を再び抽出工程に供する。アンモニウムオキサレートを上記のろ液に加え、コバルト及びニッケルの両方を沈殿させる。沈殿物をろ過し、そして蒸発乾固する。上記の工程で得られたコバルトオキサレート及びニッケルオキサレートの沈殿混合物を異なる温度でか焼し、酸化コバルト及び酸化ニッケルの粉末を得る。コバルトオキサレート及びニッケルオキサレートの性質のわずかな違いにより、コバルトとニッケルが分離される。より具体的には、か焼温度が380℃に達すると酸化ニッケルが得られ、そしてか焼温度が450℃に達すると酸化コバルトが得られる。
このように、ニッケルオキサレートとコバルトオキサレートの分離は、それらの異なる熱安定性に基づいており、そしてCN109536724Aの教示は、電池スクラップからNiとCoを同時回収するための液相処理、及びNiとCoを互いに分離するための熱処理の組み合わせを必要とする。方法の合理化のためには、液相においてもNiとCoを互いに分離するのが可能であることが望ましいであろう。
いくつかの実施形態において、本開示は、電池スクラップ又は他の廃棄物からNi、Co及びMnの2つ以上を同時に回収し、そしてその後、回収したNi、Co及び/又はMnを、液相処理によって熱処理の必要なしに分離することを可能とする方法を提供する。本方法を電池スクラップリサイクルの分野で実施すると、例えば電池スクラップからのNi、Co及びMnの回収が、より効率的になる。
限定するものではないが、本開示によるいくつかの実施形態は以下を含む:
実施形態1. Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物を分離する方法であって、以下の工程:
(a) Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物を提供する工程、及び
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解して-0.5以下のpHを有する溶液を形成する工程
を含み、
工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がニッケルオキサレートを含む場合、以下の工程:
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、及び
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程
をさらに含み、
工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がコバルトオキサレートを含む場合、以下の工程:
(e) 塩基を加えて、工程(d)からの残液、工程(b)で形成された溶液それぞれのpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、及び
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程
をさらに含み、
工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がマンガンオキサレートを含む場合、以下の工程:
(g) 塩基を加えて、工程(d)、(f)それぞれからの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
をさらに含む、方法。
実施形態1. Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物を分離する方法であって、以下の工程:
(a) Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物を提供する工程、及び
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解して-0.5以下のpHを有する溶液を形成する工程
を含み、
工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がニッケルオキサレートを含む場合、以下の工程:
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、及び
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程
をさらに含み、
工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がコバルトオキサレートを含む場合、以下の工程:
(e) 塩基を加えて、工程(d)からの残液、工程(b)で形成された溶液それぞれのpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、及び
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程
をさらに含み、
工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がマンガンオキサレートを含む場合、以下の工程:
(g) 塩基を加えて、工程(d)、(f)それぞれからの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
をさらに含む、方法。
実施形態2. 実施形態1に記載のNi及びCoのオキサレートの混合物を分離する方法であって、以下の工程:
(a) Ni及びCoのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解して-0.5以下のpHを有する溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程、
(e) 塩基を加えて工程(d)の残液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、及び
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程
を含む方法。
(a) Ni及びCoのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解して-0.5以下のpHを有する溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程、
(e) 塩基を加えて工程(d)の残液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、及び
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程
を含む方法。
実施形態3. 実施形態1に記載のNi及びMnのオキサレートの混合物を分離する方法であって、以下の工程:
(a) Ni及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解して-0.5以下のpHを有する溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~6の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(d)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む方法。
(a) Ni及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解して-0.5以下のpHを有する溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~6の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(d)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む方法。
実施形態4. 実施形態1に記載のCo及びMnのオキサレートの混合物を分離する方法であって、以下の工程:
(a) Co及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解して-0.5以下のpHを有する溶液を形成する工程、
(e) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(f)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む方法。
(a) Co及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解して-0.5以下のpHを有する溶液を形成する工程、
(e) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(f)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む方法。
実施形態5. 実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法であって、工程(b)が、次の特徴:
オキサレートの混合物を、硫酸、塩酸及びメタンスルホン酸から選択された酸に溶解すること、
工程(b)で形成された溶液中のNi、Co及びMnの総濃度が1g/l~250g/lの範囲であること、
工程(b)で形成された溶液のpHが-1~-0.5の範囲であること、
の少なくとも1つを含み、
工程(c)、(e)及び(f)の各工程において、LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから独立して選択された塩基を加えてpHを調整し、そして
工程(d)、(e)及び(h)において、固体/液体分離をろ過、遠心分離、又は沈降及びデカンテーションにより行う、方法。
オキサレートの混合物を、硫酸、塩酸及びメタンスルホン酸から選択された酸に溶解すること、
工程(b)で形成された溶液中のNi、Co及びMnの総濃度が1g/l~250g/lの範囲であること、
工程(b)で形成された溶液のpHが-1~-0.5の範囲であること、
の少なくとも1つを含み、
工程(c)、(e)及び(f)の各工程において、LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから独立して選択された塩基を加えてpHを調整し、そして
工程(d)、(e)及び(h)において、固体/液体分離をろ過、遠心分離、又は沈降及びデカンテーションにより行う、方法。
実施形態6. 実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法であって、
工程(b)において、20質量%~50質量%の範囲の濃度の硫酸水溶液をオキサレートの混合物1グラム当たり20ml~100mlの量で加えることにより、オキサレートの混合物を溶解し、そして
工程(c)、(e)及び(g)の各工程において、1g/l~500g/lの濃度のNaOH又はLiOHの水溶液を加えてpHを調整する、方法。
工程(b)において、20質量%~50質量%の範囲の濃度の硫酸水溶液をオキサレートの混合物1グラム当たり20ml~100mlの量で加えることにより、オキサレートの混合物を溶解し、そして
工程(c)、(e)及び(g)の各工程において、1g/l~500g/lの濃度のNaOH又はLiOHの水溶液を加えてpHを調整する、方法。
実施形態7. 実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法であって、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物を提供する工程(a)が、以下のサブ工程:
(aa) Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンとオキサレートイオンとを含有する水性反応混合物を調製する工程であって、その水性反応混合物のpH値が2~6の範囲である、サブ工程、
(ab) 水性反応混合物を反応させて、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を形成するサブ工程、及び
(ac) 形成されたNi、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を、固体/液体分離により残りの水性反応混合物から分離するサブ工程
を含む、方法。
(aa) Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンとオキサレートイオンとを含有する水性反応混合物を調製する工程であって、その水性反応混合物のpH値が2~6の範囲である、サブ工程、
(ab) 水性反応混合物を反応させて、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を形成するサブ工程、及び
(ac) 形成されたNi、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を、固体/液体分離により残りの水性反応混合物から分離するサブ工程
を含む、方法。
実施形態8. 実施形態7に記載の方法であって、水性反応混合物を調製するサブ工程(aa)が、
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を、シュウ酸に溶解すること、又は
Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液に、オキサレートイオンを加えること
を含み、
金属の形態及び/又は酸化された形態それぞれのNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を含む固体材料と、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンを含む溶液とが、使用済みリチウムイオン電池、又はリチウムイオン電池の製造廃棄物、リチウムイオン電池のセル又は構成要素の製造廃棄物、又はリチウムイオン電池用のカソード活物質の製造廃棄物から得られる、方法。
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を、シュウ酸に溶解すること、又は
Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液に、オキサレートイオンを加えること
を含み、
金属の形態及び/又は酸化された形態それぞれのNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を含む固体材料と、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンを含む溶液とが、使用済みリチウムイオン電池、又はリチウムイオン電池の製造廃棄物、リチウムイオン電池のセル又は構成要素の製造廃棄物、又はリチウムイオン電池用のカソード活物質の製造廃棄物から得られる、方法。
実施形態9. 実施形態7又は8に記載の方法であって、以下の工程:
サブ工程(aa)において、還元剤を加えることを含む、水性反応混合物を調製する工程、
サブ工程(aa)において、LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから選択された塩基を加えて、水性反応混合物のpHを2~6の範囲の値に調整する工程、及び
サブ工程(ab)において、水性反応混合物を8~16時間、連続的に撹拌しながら、10℃~200℃の温度で反応させて、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を形成する工程であって、100℃を超える温度では、反応を101.3kPaより高い圧力で行う、工程、
サブ工程(ac)において、固体/液体分離をろ過又は遠心分離により行う工程
の1つ以上を行う方法。
サブ工程(aa)において、還元剤を加えることを含む、水性反応混合物を調製する工程、
サブ工程(aa)において、LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから選択された塩基を加えて、水性反応混合物のpHを2~6の範囲の値に調整する工程、及び
サブ工程(ab)において、水性反応混合物を8~16時間、連続的に撹拌しながら、10℃~200℃の温度で反応させて、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を形成する工程であって、100℃を超える温度では、反応を101.3kPaより高い圧力で行う、工程、
サブ工程(ac)において、固体/液体分離をろ過又は遠心分離により行う工程
の1つ以上を行う方法。
実施形態10. 実施形態7から9のいずれか1つに記載の方法であって、サブ工程(aa)では、水性反応混合物が、
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を、硫酸、塩酸、クエン酸、及びメタンスルホン酸から選択された酸に溶解すること、
任意に、過酸化水素、ヒドラジン、第1級アルコール、アスコルビン酸、グルコース、デンプン、セルロース、アルカリ金属亜硫酸塩、及び亜硫酸から選択された還元剤を加えること、
50℃~98℃の範囲の温度に加熱すること、
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を溶解した後、シュウ酸水溶液を、Ni、Mn及びCoの総モル量に対して等モル又はモル過剰である溶液中のシュウ酸量で加えて、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンとを含有する溶液を形成すること、及び
LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから選択された塩基を加えて、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンとを含む溶液のpHを2~6の範囲の値、例えば3~5に直ちに調整すること
によって形成される方法。
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を、硫酸、塩酸、クエン酸、及びメタンスルホン酸から選択された酸に溶解すること、
任意に、過酸化水素、ヒドラジン、第1級アルコール、アスコルビン酸、グルコース、デンプン、セルロース、アルカリ金属亜硫酸塩、及び亜硫酸から選択された還元剤を加えること、
50℃~98℃の範囲の温度に加熱すること、
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を溶解した後、シュウ酸水溶液を、Ni、Mn及びCoの総モル量に対して等モル又はモル過剰である溶液中のシュウ酸量で加えて、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンとを含有する溶液を形成すること、及び
LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから選択された塩基を加えて、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンとを含む溶液のpHを2~6の範囲の値、例えば3~5に直ちに調整すること
によって形成される方法。
実施形態11. 実施形態10に記載の方法であって、以下:
30質量%~40質量%の範囲の濃度の塩酸を固体塊の20~1000倍の量で加えることにより、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を溶解すること、
1質量%~30質量%の範囲の濃度の過酸化水素を含む還元剤として、混合酸化物を溶解するために加える塩酸の体積に対して0.2体積%~40体積%の量で、水溶液を加えること、
Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を溶解することにより、溶解したNi、Co及びMnの総濃度が0.1質量%~20質量%の範囲である水溶液を形成すること、
溶液中のNi、Mn及びCoのモル量に対してシュウ酸量が105モル%~120モル%である、5質量%~30質量%の範囲の濃度のシュウ酸水溶液を加えること、ここで塩基添加前の溶液のpHは-0.5~1の範囲である、及び
1g/l~500g/lの範囲の濃度のNaOH又はLiOHの水溶液を加えて、pHを3~5の範囲の値に調整すること
の1つ以上をさらに含む方法。
30質量%~40質量%の範囲の濃度の塩酸を固体塊の20~1000倍の量で加えることにより、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を溶解すること、
1質量%~30質量%の範囲の濃度の過酸化水素を含む還元剤として、混合酸化物を溶解するために加える塩酸の体積に対して0.2体積%~40体積%の量で、水溶液を加えること、
Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を溶解することにより、溶解したNi、Co及びMnの総濃度が0.1質量%~20質量%の範囲である水溶液を形成すること、
溶液中のNi、Mn及びCoのモル量に対してシュウ酸量が105モル%~120モル%である、5質量%~30質量%の範囲の濃度のシュウ酸水溶液を加えること、ここで塩基添加前の溶液のpHは-0.5~1の範囲である、及び
1g/l~500g/lの範囲の濃度のNaOH又はLiOHの水溶液を加えて、pHを3~5の範囲の値に調整すること
の1つ以上をさらに含む方法。
実施形態12. 実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法であって、
(i) 工程(d)で得たニッケルオキサレート、
工程(f)で得たコバルトオキサレート、及び
工程(h)で得たマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド、
の1つ以上と、
リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と、任意のさらなる構成成分との混合酸化物に相当する化学量論比で、混合する工程、及び
(j) 混合物をか焼して、LiとNi、Co及びMnの1つ以上との混合酸化物を得る工程
をさらに含む方法。
(i) 工程(d)で得たニッケルオキサレート、
工程(f)で得たコバルトオキサレート、及び
工程(h)で得たマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド、
の1つ以上と、
リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と、任意のさらなる構成成分との混合酸化物に相当する化学量論比で、混合する工程、及び
(j) 混合物をか焼して、LiとNi、Co及びMnの1つ以上との混合酸化物を得る工程
をさらに含む方法。
実施形態13. 実施形態12に記載の方法であって、混合酸化物が、式Li1+t[CoxMnyNizMu]1-tO2の組成を有し、式中、
0≦x≦1
0≦y≦1
0≦z≦1
0≦u≦0.15
x+y+z+u=1
-0.05≦t≦0.2
であり、
そしてMが存在する場合、Mは、Al、Mg、Ba、B、及びNi、Co及びMn以外の遷移金属からなる群から選択される1つ以上の元素を含む、方法。
0≦x≦1
0≦y≦1
0≦z≦1
0≦u≦0.15
x+y+z+u=1
-0.05≦t≦0.2
であり、
そしてMが存在する場合、Mは、Al、Mg、Ba、B、及びNi、Co及びMn以外の遷移金属からなる群から選択される1つ以上の元素を含む、方法。
実施形態14. 実施形態12又は13に記載の方法であって、以下の工程:
工程(i)において、使用済みリチウムイオン電池、又はリチウムイオン電池、リチウムイオン電池のセル及び構成要素の製造廃棄物から得られたリチウムカーボネート及び/又はリチウムヒドロキシドを使用する工程、
工程(j)において、混合物を酸素雰囲気下、不活性雰囲気下、又は還元性ガス雰囲気下でか焼する工程、及び
工程(j)において、混合物を300℃~900℃の範囲の温度で0.5時間~20時間か焼する工程
の1つ以上をさらに含む、方法。
工程(i)において、使用済みリチウムイオン電池、又はリチウムイオン電池、リチウムイオン電池のセル及び構成要素の製造廃棄物から得られたリチウムカーボネート及び/又はリチウムヒドロキシドを使用する工程、
工程(j)において、混合物を酸素雰囲気下、不活性雰囲気下、又は還元性ガス雰囲気下でか焼する工程、及び
工程(j)において、混合物を300℃~900℃の範囲の温度で0.5時間~20時間か焼する工程
の1つ以上をさらに含む、方法。
本開示の実施形態の理解を提供するため、添付図面が参照されるが、これらは必ずしも縮尺どおりに描かれていない。図面は例示としてのみ提供するものであり、開示の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
図1は、実施例3から得られた沈殿物のX線粉末回折(XRD)であり、工程(d)で得られた沈殿物は緑がかった色を呈し、工程(f)で得られた沈殿物は赤みがかった色、そして工程(h)で得られた沈殿物は黒色を呈した。
本開示のこれらの及び他の特徴、側面、及び利点は、以下の詳細な記載と、以下に簡単に説明する添付図面と共に読むことにより、明らかとなる。本開示には、上記実施形態の2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の任意の組み合わせ、及び本開示に記載される任意の2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の特徴又は要素の組み合わせが含まれ、そのような特徴又は要素が本開示における特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされているかどうかを問わない。本開示は、開示するその開示のいかなる分離可能な特徴又は要素も、その様々な側面及び実施形態のいずれにおいても、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、組み合わせ可能であることを意図していると見なされるように、全体的に読まれることが意図される。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される以下の用語は、以下の定義を有する:
「a」、「an」、「the」という表現は、用語を定義するために使用される場合、用語の複数形と単数形の両方を含む。
「a」、「an」、「the」という表現は、用語を定義するために使用される場合、用語の複数形と単数形の両方を含む。
あらゆるパーセンテージ及び比は、他に示されない限り、質量で示される。
ここで使用する用語「約」とは、記載された値の終点及び記載された値を含めた±5%を意味する。
いくつかの実施形態では、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びマンガン(Mn)の2つ以上のオキサレートの混合物を分離するための方法が提供され、この方法は、以下の工程:
(a) Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物を提供する工程、及び
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解してpHが-0.5以下の溶液を形成する工程
を含む。
(a) Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物を提供する工程、及び
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解してpHが-0.5以下の溶液を形成する工程
を含む。
上記の工程に加えて、いくつかの実施形態では、工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がニッケルオキサレートを含む場合、この方法は以下の工程:
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、及び
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程
をさらに含む。
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、及び
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程
をさらに含む。
工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がコバルトオキサレートを含む場合、この方法は以下の工程:
(e) 塩基を加えて、工程(d)からの残液、工程(b)で形成された溶液それぞれのpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、及び
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程
をさらに含む。
(e) 塩基を加えて、工程(d)からの残液、工程(b)で形成された溶液それぞれのpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、及び
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程
をさらに含む。
工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がマンガンオキサレートを含む場合、この方法は以下の工程:
(g) 塩基を加えて、工程(d)、(f)それぞれからの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
をさらに含む。
(g) 塩基を加えて、工程(d)、(f)それぞれからの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
をさらに含む。
上記の方法工程から、例えば、
・ 工程(d)で得られたニッケルオキサレート、
・ 工程(f)で得られたコバルトオキサレート、
・ 工程(h)で得られたマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド
は、総称して「Ni、Co及びMnの分離された化合物」という。
・ 工程(d)で得られたニッケルオキサレート、
・ 工程(f)で得られたコバルトオキサレート、
・ 工程(h)で得られたマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド
は、総称して「Ni、Co及びMnの分離された化合物」という。
いくつかの実施形態では、工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がNi、Co及びMnのオキサレートを含み、オキサレートを分離する方法は、上記で定義した工程(a)~(h)を含む。よって、本開示によるNi、Co及びMnのオキサレートの混合物を分離する方法は、以下の工程:
(a) Ni、Co及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解してpHが-0.5以下の溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程、
(e) 塩基を加えて工程(d)からの残液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(f)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む。
(a) Ni、Co及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解してpHが-0.5以下の溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程、
(e) 塩基を加えて工程(d)からの残液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(f)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む。
いくつかの実施形態では、工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がNi及びCoのオキサレートを含む一方でMnのオキサレートが存在せず、上記で定義した方法の工程(g)及び(h)が省略される。よって、いくつかの実施形態では、本開示による、Mnのオキサレートが混合物中に存在しないNi及びCoのオキサレートの混合物を分離する方法は、以下の工程:
(a) Ni及びCoのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解してpHが-0.5以下の溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程、
(e) 塩基を加えて工程(d)の残液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程
を含む。
(a) Ni及びCoのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解してpHが-0.5以下の溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程、
(e) 塩基を加えて工程(d)の残液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程
を含む。
いくつかの実施形態では、工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がNi及びMnのオキサレートを含む一方でCoのオキサレートが存在せず、上記で定義した方法の工程(e)及び(f)が省略される。よって、いくつかの実施形態では、本開示による、Coのオキサレートが混合物中に存在しないNi及びMnのオキサレートの混合物を分離する方法は、以下の工程:
(a) Ni及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解してpHが-0.5以下の溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~6の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを固体/液体分離により工程(e)の工程(c)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(d)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む。
(a) Ni及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解してpHが-0.5以下の溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~6の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを固体/液体分離により工程(e)の工程(c)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(d)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む。
いくつかの実施形態では、工程(a)で提供されたオキサレートの混合物がCo及びMnのオキサレートを含む一方でNiのオキサレートが存在せず、上記で定義した方法の工程(c)及び(d)が省略される。よって、いくつかの実施形態では、本開示による、Niのオキサレートが混合物中に存在しないCo及びMnのオキサレートの混合物を分離する方法は、以下の工程:
(a) Co及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解してpHが-0.5以下の溶液を形成する工程、
(e) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(f)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む。
(a) Co及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) オキサレートの混合物を酸に溶解してpHが-0.5以下の溶液を形成する工程、
(e) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(f)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む。
いくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法の工程(b)において、オキサレートの固体混合物に酸を加えることによって、工程(a)で提供されたNi、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を溶解する。酸は、硫酸、塩酸、及びメタンスルホン酸から選択してよい。例えば、いくつかの実施形態では、オキサレートの混合物を硫酸に溶解する。硫酸は、20質量%~50質量%の範囲の濃度を有してよい。いくつかのさらなる実施形態では、工程(b)において、硫酸水溶液(濃度20質量%~50質量%の範囲)を、オキサレートの混合物1グラム当たり20ml~100mlの量で加えることによって、オキサレートの混合物を溶解する。
いくつかの実施形態では、工程(b)で形成された溶液における工程(a)でそれぞれ提供されたオキサレートの混合物中に存在する遷移金属(Ni、Co及びMnの2つ以上)の同定及び定量は、工程(b)で形成された溶液における工程(a)でそれぞれ提供されたオキサレートの混合物を、好適な分析方法、例えば誘導結合プラズマ(ICP-OES)を用いた発光分光法で分析することにより、行ってよい。いくつかの実施形態では、遷移金属を同定する別の方法はX線蛍光分光法であり、これは較正時に定量にも使用できる。このように、方法の開始時に、工程(b)で形成された溶液における工程(a)でそれぞれ提供されたオキサレートの混合物中に、Ni、Co及びMnのどれが存在するかが識別され、そしてこれに応じて方法を設計することができ、例えば、工程(a)で提供されたオキサレートの固体混合物中に対応するオキサレートが存在しないために不要となる工程(c)~(h)の工程を省略することができる。
いくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法の工程(b)で形成された溶液中のNi、Co及びMnの総濃度は、1g/l~250g/lの範囲、例えば10g/l~200g/l、40g/l~160g/l、60g/l~140g/l、及び80g/l~120g/lであってよい。いくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法の工程(b)で形成された溶液中のNi、Co及びMnの総濃度は、10g/l~200g/lの範囲であってよい。
いくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法の工程(b)で形成された溶液のpHは、-1~-0.5の範囲であってよい。
さらなるいくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法の工程(b)において、1g/l~250g/lの範囲のNi、Co及びMnの総濃度、及び-1~-0.5の範囲のpHを有する溶液を形成する。
いくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法の工程(c)、(e)及び(g)の各工程において、LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから独立して選択された塩基を、各場合とも水溶液の形態で加えることにより、pHを調整する。複雑さを軽減するために、本開示による上記で定義した方法の工程(c)、(e)及び(g)に同じ塩基を使用してよい。例えば、いくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法の工程(c)、(e)及び(g)において、LiOH又はNaOHの水溶液を加えることにより、pHを調整する。さらなる実施形態では、工程(c)、(e)及び(g)において、NaOH又はLiOHの水溶液を、1g/l~500g/lの範囲、例えば20g/l~480g/l、40g/l~460g/l、60g/l~440g/l、80g/l~420g/l、及び100g/l~400g/lの濃度で加えることにより、pHを調整する。他の実施形態では、工程(c)、(e)及び(g)において、NaOH又はLiOHの水溶液を20g/l~400g/lの範囲の濃度で加えることにより、pHを調整する。
いくつかの実施形態では、工程(c)、(e)及び(g)それぞれにおける沈殿の後、溶液が(沈殿物の上に)残り、そして工程(d)、(f)及び(h)それぞれにおいて、沈殿物は、固体/液体分離により、前の沈殿工程の残液から分離される。
いくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法の工程(d)、(f)及び(h)において、ろ過、遠心分離、又は沈降及びデカンテーションによって固体/液体分離を行ってよい。例えば、いくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法の工程(d)、(f)及び(h)において、固体/液体分離をろ過によって行う。
工程(d)、(f)それぞれにおける固体/液体分離の後、溶液が残り、そして残液を、その後の沈殿工程(工程(e)工程(g)のそれぞれ)に供する。
いくつかの実施形態では、例えば、上記で定義した方法の工程(d)、(f)及び(h)で得られたNi、Co及びMnの分離された各化合物を、固体/液体分離後に脱イオン水で3回まで洗浄する。
上記で定義した開示によるいくつかの実施形態では:
・ 工程(b)におけるオキサレートの混合物の溶解を、オキサレートの混合物1グラム当たり20ml~100mlの量の硫酸水溶液(濃度20質量%~50質量%の範囲)を加えることによって行い、そしてNi、Co及びMnの総濃度が1g/l~250g/lの範囲、及びpHが-1~-0.5の範囲である溶液を形成する、
・ 1g/l~500g/lの範囲の濃度のNaOH又はLiOHの水溶液を加えて、工程(c)、(e)及び(g)のpHを調整する、及び/又は
・ 工程(d)、(f)及び(h)の固体/液体分離をろ過によって行う。
・ 工程(b)におけるオキサレートの混合物の溶解を、オキサレートの混合物1グラム当たり20ml~100mlの量の硫酸水溶液(濃度20質量%~50質量%の範囲)を加えることによって行い、そしてNi、Co及びMnの総濃度が1g/l~250g/lの範囲、及びpHが-1~-0.5の範囲である溶液を形成する、
・ 1g/l~500g/lの範囲の濃度のNaOH又はLiOHの水溶液を加えて、工程(c)、(e)及び(g)のpHを調整する、及び/又は
・ 工程(d)、(f)及び(h)の固体/液体分離をろ過によって行う。
いくつかの実施形態では、上記で定義した方法により得られたNi、Co及びMnの2つ以上の分離された化合物は、異なる着色を呈することがあり、そして視覚的及び/又は光学的手段によって、以下のことから互いに区別される:
・ 工程(d)で得られたニッケルオキサレートは、典型的には緑がかった色を呈する、
・ 工程(f)で得られたコバルトオキサレートは、典型的には赤みがかった色を呈する、そして
・ 工程(h)で得られたマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシドは、典型的に黒色を呈する。
・ 工程(d)で得られたニッケルオキサレートは、典型的には緑がかった色を呈する、
・ 工程(f)で得られたコバルトオキサレートは、典型的には赤みがかった色を呈する、そして
・ 工程(h)で得られたマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシドは、典型的に黒色を呈する。
上記で定義した方法により得られたNi、Co及びMnの2つ以上の分離された化合物の構造及び純度のさらなる同定は、X線粉末回折(XRD)のような分析方法を用いて行ってよい。
いくつかの実施形態では、上記で定義した開示によって、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物を提供すること(工程(a))は、次のサブ工程:
(aa) Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンとオキサレートアニオンとを含む水性反応混合物を調製する工程であって、その水性反応混合物のpH値が2~6の範囲、例えば3~5である工程、
(ab) 水性反応混合物を反応させて、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を形成する工程、及び/又は
(ac) 形成されたNi、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を、固体/液体分離により残りの水性反応混合物から分離する工程
を含む。
(aa) Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンとオキサレートアニオンとを含む水性反応混合物を調製する工程であって、その水性反応混合物のpH値が2~6の範囲、例えば3~5である工程、
(ab) 水性反応混合物を反応させて、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を形成する工程、及び/又は
(ac) 形成されたNi、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を、固体/液体分離により残りの水性反応混合物から分離する工程
を含む。
いくつかの実施形態では、サブ工程(aa)において、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンとオキサレートイオンとを含む水性反応混合物が形成される。
いくつかの実施形態では、水性反応混合物の調製(サブ工程(aa))は、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を、シュウ酸に溶解することを含んでよい。混合物は、NiとCo及びMnの1つ以上の混合酸化物、NiとCo及びMnの1つ以上との沈殿した混合ヒドロキシド、混合オキシヒドロキシド、又は混合カーボネートを含んでよい。或る特定の実施形態では、混合物はNi、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物である。
いくつかの実施形態では、水性反応混合物の調製(工程(aa))は、オキサレートイオンを、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンを含む水溶液に加えることを含んでよい。ここで、オキサレートイオンの源を、シュウ酸、アルカリ金属オキサレート、及びアンモニウムオキサレートから選択してよい。
いくつかの実施形態では、サブ工程(aa)における水性反応混合物の調製は、還元剤の添加を含んでよい。例えば、還元剤を加えて、Ni、Co及びMnの酸化状態を、例えば+3~+2、+4~+3、又は+2にそれぞれ低下させてよい。還元剤は、過酸化水素、ヒドラジン、第1級アルコール、アスコルビン酸、グルコース、デンプン、セルロース、アルカリ金属亜硫酸塩、及び亜硫酸から選択してよい。いくつかの実施形態では、例えば、還元剤は過酸化水素である。
いくつかの実施形態では、サブ工程(aa)において、LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから選択された塩基を加えることにより、水性反応混合物のpHを2~6の範囲の値に調整してよい。
いくつかの実施形態では、サブ工程(ab)において、サブ工程(aa)で形成された水性反応混合物を反応させ、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を形成する。例えば、サブ工程(ab)において、水性反応混合物を8時間~16時間、連続的に撹拌しながら10℃~200℃の範囲、例えば20℃~200℃の温度で反応させ、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を形成する。反応は通常、加熱の影響を受ける。サブ工程(ab)を100℃を超える温度で行う場合、反応は、101.3kPa(大気圧)よりも高い圧力で行い、反応が完了する前に液相が蒸発するのを避ける。
いくつかの実施形態では、サブ工程(ac)において、固体/液体分離を、ろ過、遠心分離、又は沈降及びデカンテーションによって行ってよい。サブ工程(ac)で得られたオキサレートの固体混合物は、固体/液体分離後、例えば脱イオン水で3回まで洗浄してよい。
いくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法によって分離されるNi、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物は、使用済みリチウムイオン電池、又はリチウムイオン電池の製造廃棄物、又はリチウムイオン電池のセル又は構成要素の製造廃棄物、又はリチウムイオン電池用のカソード活物質の製造廃棄物から、又は電子機器のスクラップ又は地球起源の資源のような他の源から得てよい。ここで理解されるように、リチウムイオン電池の製造廃棄物、又はリチウムイオン電池のセル又は構成要素の製造廃棄物には、仕様及び要件を満たさないリチウムイオン電池及びリチウムイオン電池のセル及び構成要素、いわゆるオフスペック材料が含まれる。使用済みリチウムイオン電池と同様に、リチウムイオン電池の製造廃棄物、リチウムイオン電池のセル及び構成要素の製造廃棄物、及びリチウムイオン電池のカソード活物質の製造廃棄物を総称して、ここでは「電池スクラップ」と呼ぶ。
いくつかの実施形態では、上記開示に記載の方法は、上流の方法工程(すなわち、上記で定義した方法工程(a)に先行する方法工程であって、(i)金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を含む固体材料、又は(ii)Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液を、電池スクラップから得ることを目的とするもの)を含んでよい。次に、電池スクラップから得られた金属の形態及び/又は酸化された形態それぞれのNi、Co及びMnの2つ以上の混合物、電池スクラップから得られたNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液を、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物に転換し、ここでNi、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物を提供する(上記で定義した開示に記載の方法の工程(a))。例えば、電池スクラップから得られた金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物、又は電池スクラップから得られたNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液を、上記で定義したサブ工程(aa)~(ac)によって、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物に転換してよい。
このように、ここに記載する方法のサブ工程(aa)では、電池スクラップから得られた金属の形態及び/又は酸化された形態それぞれのNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を含む固体材料、電池スクラップから得られたNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含む水溶液を使用して、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンとオキサレートアニオンとを含有する水性反応混合物を調製してよい。
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を含む固体材料、又はNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液、又はNi、Co及びMnの2つ以上の沈殿した混合ヒドロキシド、混合オキシヒドロキシド又は混合カーボネート、又はNi、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を提供する、電池スクラップから遷移金属を回収する方法は、当技術分野では既知である。
典型的には、そのような方法には、例えば、分解及び解体工程(ハウジング、コネクタ、配線などの分離のため)、セル放電、機械的処理(細断、破砕、フライス、粉砕)、固体/固体分離プロセス(例えば、サイクロン、磁気分離、電気選別、導電性炭素及びポリマーのような疎水性固体を金属酸化物のような親水性固体から分離するための浮遊選鉱による分類)、抽出工程(例えば、有機塩、電解質添加剤及び有機バインダーを溶解し除去する溶媒抽出)、浸出工程、固体-液体分離工程(例えば、ろ過、遠心分離、沈降及びデカンテーション)、洗浄プロセス、及びそれらの組み合わせが含まれる。
このような方法には、典型的には、1つ以上のリチウム遷移金属酸化物(カソード活物質から)及び不純物を含有する固体の塊が得られる段階/工程が含まれる。このような不純物は、1つ以上の導電性形態の炭素(例えばグラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン)、銅及び銅化合物、アルミニウム及びアルミニウム化合物(例えばアルミナ)、鉄及び鉄化合物、亜鉛及び亜鉛化合物、シリコン及びシリコン化合物、例えばシリカ及び酸化シリコンSiOy(0<y<2である)、スズ、シリコン-スズ合金、貴金属(例えばAg、Au、Pd、Pt)及びそれらの化合物、及び有機ポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、及びフッ素化ポリマー、例えばポリビニリデンフルオリド(PVDF)を含んでよい。不純物のさらなる例は、液体電解質に由来し得るフッ化物及びリンの化合物、例えば広く使用されているLiPF6及びLiPF6の加水分解に由来する生成物である。バッテリースクラップのリサイクルでは、バッテリースクラップから回収されたこのような固体の塊は、しばしば「黒色塊(black mass)」と呼ばれる。
上記のような固体-固体分離工程により、主にリチウム遷移金属酸化物(カソード活物質から)及び他の金属又は金属化合物を含有する第1の固体分画と、主に炭素質及び高分子電池構成要素を含有する固体材料の別の分画とを、固体塊から回収することができる。第1の分画に存在し得る典型的な不純物は、銅及び銅化合物、アルミニウム及びアルミニウム化合物(例えばアルミナ)、鉄及び鉄化合物、亜鉛及び亜鉛化合物、シリコン及びシリコン化合物、例えばシリカ及び酸化シリコンSiOy(0<y<2である)、スズ、シリコン-スズ合金、貴金属(例えばAg、Au、Pd、Pt)及びそれらの化合物、液体電解質に由来し得るフッ化物及びリンの化合物、例えば広く使用されているLiPF6及びLiPF6の加水分解に由来する生成物である。
いくつかの実施形態では、第1の分画(金属の形態、酸化された形態それぞれのNi、Co又はMnではない構成成分の分離後)は、サブ工程(aa)で水性反応混合物を調製するために使用されるNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液の、金属の形態及び/又は酸化された形態それぞれのNi、Co及びMnの2つ以上の混合物の供給源であってよい。不純物の分離は、例えば、熱処理、浸出、沈殿、沈殿物の再溶解、セメンテーション、溶媒抽出、イオン交換抽出、及びそれらの組み合わせによって、達成してよい。
いくつかの実施形態では、リチウム塩と金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物とを電池スクラップから回収する方法は、リチウム遷移金属酸化物(カソード活物質)を熱分解して、以下:
・ リチウム塩(例えば、限定するものではないが、LiOH、Li2O、Li2CO3、LiF、Li3PO4、LiAlO2の1つ以上、ここでF、Al及び/又はPを含有するLi塩は、F、Al及び/又はPを含有する電池スクラップの他の構成成分、例えば、有機バインダー、LiPF6のような電解質塩、アルミニウム製の集電装置及びハウジングとの反応に由来し得る)、及び
・ 金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnを2つ以上含有する混合物、
とし、そして、
・ その後、リチウム塩を溶解し、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnを2つ以上含有する混合物を、固体/液体分離により分離する
ことを伴う。
・ リチウム塩(例えば、限定するものではないが、LiOH、Li2O、Li2CO3、LiF、Li3PO4、LiAlO2の1つ以上、ここでF、Al及び/又はPを含有するLi塩は、F、Al及び/又はPを含有する電池スクラップの他の構成成分、例えば、有機バインダー、LiPF6のような電解質塩、アルミニウム製の集電装置及びハウジングとの反応に由来し得る)、及び
・ 金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnを2つ以上含有する混合物、
とし、そして、
・ その後、リチウム塩を溶解し、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnを2つ以上含有する混合物を、固体/液体分離により分離する
ことを伴う。
いくつかの実施形態では、混合物が、Ni、Co及びMnの2つ以上を酸化された形態で含有する場合、混合物はNi、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物であってよい。リチウム塩とNi、Co及びMnの混合酸化物を使用済みのカソードから回収するための例示的な方法は、リチウム遷移金属酸化物をリチウム塩とNi、Co及びMnの混合酸化物とに熱分解し、その後リチウム塩を溶解し、そしてNi、Co及びMnの混合酸化物を、実施例のセクションに記載の固体/液体分離により分離することを伴う。
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を、酸、例えば硫酸、塩酸、クエン酸及びメタンスルホン酸から選択された酸に溶解して、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液を形成してよく、これを使用して、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンとオキサレートアニオンとを含有する水性反応混合物、つまり2~6の範囲のpHを有する水性反応混合物を調製してよい(例:サブ工程(aa))。
いくつかの実施形態では、上記の理由により、電池スクラップから遷移金属を回収する方法は、熱処理を伴わない。
例えば、WO2019/121086A1には、カソード活物質から遷移金属を回収する方法が開示されており、これにより、NiイオンとCo及びMnの1つ以上のイオン、又はNiとCo及びMnの1つ以上との沈殿した混合ヒドロキシド、混合オキシヒドロキシド、又は混合カーボネートを含有する水溶液が得られる。WO2019/121086A1に記載の方法は、熱処理を必要としない。
このように、例えば、WO2019/121086A1に記載の方法で得られたNiイオンとCo及びMnの1つ以上のイオンとを含有する水溶液を用いて、サブ工程(aa)で水性反応混合物を調製してよい。あるいは、いくつかの実施形態では、WO2019/121086A1に記載の方法で得られたNiとCo及びMnの1つ以上との混合ヒドロキシド、混合オキシヒドロキシド又は混合カーボネートの沈殿物を再溶解して形成されたNiイオンとCo及びMnの1つ以上のイオンとを含有する水溶液を用いて、サブ工程(aa)で水性反応混合物を調製してよい。シュウ酸、アルカリ金属オキサレート、及びアンモニウムオキサレートから選択されたオキサレートイオン源を、NiイオンとCo及びMnの1つ以上のイオンとを含有する水溶液に添加することにより、水性反応混合物が得られる。あるいはさらに、いくつかの実施形態では、サブ工程(aa)において、WO2019/121086A1に記載の方法で得られた、NiとCo及びMnの1つ以上とのヒドロキシド、混合オキシヒドロキシド又は混合カーボネートの沈殿物をシュウ酸に溶解することによって、水性反応混合物を調製してよい。
本開示によればいくつかの実施形態では、水性反応混合物の調製(例えばサブ工程(aa))は、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物(例えば、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物)を、シュウ酸とは異なる酸に、任意に還元剤の存在下で溶解して、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液を得ることを含む。金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を溶解した後、得られたNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する溶液にオキサレートイオンを加えて、上記で定義した水性反応混合物を調製する。
いくつかの実施形態では、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物(例えば、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物)は、電池スクラップから回収された他の固体構成成分、例えばグラファイト、カーボンブラック、カーボンナノ繊維又はグラフェンのような炭素の導電性形態、及び上記で定義したさらなる不純物をさらに含む、固体塊の構成成分の形態で提供されてもよい。金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を溶解するために使用される酸に溶解しない上記で定義した固体塊のこれら構成要素を、固体/液体分離により、得られたNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液から分離した後、得られたNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液に、オキサレートイオンを加える。ここで、固体/液体分離は、例えば、ろ過、遠心分離、又は沈降及びデカンテーションによって行ってよい。
いくつかの実施形態では、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物(例えば、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物)を、硫酸、塩酸、クエン酸、及びメタンスルホン酸から選択された酸に溶解してよく、そして還元剤は、存在する場合、過酸化水素、ヒドラジン、第1級アルコール、アスコルビン酸、グルコース、デンプン、セルロース及びアルカリ金属亜硫酸塩及び亜硫酸から選択してよい。いくつかの実施形態では、Ni、Co及びMnの2つ以上がすべて金属の形態で存在する場合、通常は還元剤を添加しない。
例えば、いくつかの実施形態では、酸は塩酸である。塩酸は、30質量%~40質量%の範囲の濃度を有してよい。例えば、塩酸を、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を含む固体塊の20~1000倍の量で、水溶液の形態(30質量%~40質量%の範囲のHClの濃度を有する)で加えることにより、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物(例えば、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物)を溶解してよい。
例えば、いくつかの実施形態では、還元剤は過酸化水素である。過酸化水素は、1質量%~30質量%の範囲の濃度を有してよい。例えば、過酸化水素(1質量%~30質量%の濃度を有する)の水溶液を、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を溶解するために添加される酸の体積に対して、0.2体積%~40体積%の量で添加する。
いくつかの実施形態では、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物の溶解を、熱により促進してよい。例えば、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物をシュウ酸とは異なる酸に溶解させる場合、50℃~98℃の範囲の温度で行う。
例えば、いくつかの実施形態では、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物(例えば、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物)は、固体塊の20~1000倍の量の塩酸(30質量%~40質量%の範囲の濃度を有する)を加えることにより溶解してよく、そして金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を溶解するために加えられる塩酸の体積に対して、0.2体積%~40体積%の量の水溶液の形態の過酸化水素(1質量%~30質量%の範囲のH2O2濃度を有する)を還元剤として加えることにより溶解してよく、そして50℃~98℃の範囲の温度に加熱する。
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物(例えば、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物)を溶解することにより形成される水溶液中の溶解したNi、Co及びMnの総濃度は、溶液の総質量に基づいて0.1質量%~20質量%の範囲でよい。Ni、Co及びMnの各濃度は、例えば誘導結合プラズマ(ICP-OES)を用いた発光分光法などの好適な分析方法により決定してよい。さらに、例えば、Ni、Co及びMnを同定する別の方法は、較正すると定量にも使用できるX線蛍光分光法である。
いくつかの実施形態では、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物(例えば、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物)を溶解した後、得られたNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する水溶液にオキサレートイオンを加える。例えば、いくつかの実施形態では、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を酸に溶解した後、又は金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を酸に溶解した直後に、オサレートイオンを0.1~4時間加える。オキサレートイオン源は、シュウ酸、アルカリ金属オキサレート、及びアンモニウムオキサレートから選択してよい。例えば、オキサレートイオン源はシュウ酸である。ここではシュウ酸を、水溶液中のNi、Mn及びCoの総モル量に対して等モル量又はモル過剰量で添加する。シュウ酸は、5質量%~30質量%の範囲のシュウ酸濃度の水溶液の形態であってもよい。さらに、例えば、濃度が5質量%~30質量%の範囲であるシュウ酸水溶液を、水溶液中のNi、Mn及びCoのモル量に対するモル量に対して105~120モル%シュウ酸の量で添加してもよい。
いくつかの実施形態では、オキサレートアニオン源を加えた直後に、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンとを含む水溶液のpHを、塩基を加えて2~6の範囲、例えば3~5のpH値に調整する。塩基を加える前に、水溶液のpHは、典型的には-0.5~1の範囲である。塩基は、LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから選択してよい。例えば、いくつかの実施形態では、塩基はLiOH又はNaOHである。ここでは、1g/l~500g/lの範囲の濃度のNaOH又はLiOHを加えることにより、pHを調整してよい。さらに、例えば、1g/l~500g/lの範囲の濃度のNaOH又はLiOHの水溶液を加えることにより、pHを3~5の範囲に調整してよい。
開示する方法のいくつかの実施形態では、サブ工程(aa)において、水性反応混合物を、以下:
・ 塩酸(30質量%~40質量%の範囲の濃度である)を固体塊の20~1000倍の量で加える、及び過酸化水素の水溶液(1質量%~30質量%の範囲の濃度である)を、混合酸化物を溶解するために加える塩酸の体積に対して0.2体積%~40体積%の量で加えることにより、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を溶解すること、
・ 混合物を50℃~98℃の範囲の温度に加熱すること、
・ 混合酸化物の溶解後に、5質量%~30質量%の範囲の濃度のシュウ酸水溶液を、溶液中のNi、Mn及びCoのモル量に対して105モル%~120モル%のシュウ酸量で加え、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する溶液を形成すること、ここでNi、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を溶解して形成された水溶液中の溶解したNi、Co及びMnの総濃度は0.1質量%~20質量%の範囲である、そして
・ 1g/l~500g/lの範囲の濃度のNaOH又はLiOHを加えることにより、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する溶液のpHを3~5の範囲の値に直ちに調整すること
により形成する。
・ 塩酸(30質量%~40質量%の範囲の濃度である)を固体塊の20~1000倍の量で加える、及び過酸化水素の水溶液(1質量%~30質量%の範囲の濃度である)を、混合酸化物を溶解するために加える塩酸の体積に対して0.2体積%~40体積%の量で加えることにより、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を溶解すること、
・ 混合物を50℃~98℃の範囲の温度に加熱すること、
・ 混合酸化物の溶解後に、5質量%~30質量%の範囲の濃度のシュウ酸水溶液を、溶液中のNi、Mn及びCoのモル量に対して105モル%~120モル%のシュウ酸量で加え、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する溶液を形成すること、ここでNi、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を溶解して形成された水溶液中の溶解したNi、Co及びMnの総濃度は0.1質量%~20質量%の範囲である、そして
・ 1g/l~500g/lの範囲の濃度のNaOH又はLiOHを加えることにより、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンを含有する溶液のpHを3~5の範囲の値に直ちに調整すること
により形成する。
いくつかの実施形態では、本開示による上記で定義した方法によって得られたNi、Co及びMnの2つ以上の分離された化合物は、リチウムイオン電池用のカソード活物質を製造するために、単独で使用するか、又は所望の化学量論で混合して使用してよい。よっていくつかの実施形態では、本開示による方法は、リチウムイオン電池用の新しいカソード活物質の製造に向けた追加の工程を含み、ここでNi、Co及びMnの2つ以上の分離された化合物のうちの1つ以上が、リチウムイオン電池用のカソード活物質を製造するための出発物質として適用される。
例えば、上記の工程(a)-(h)、又は(a)-(f)、又は(a)-(d)及び(g)-(h)、又は(a)-(b)及び(e)-(h)を含む方法は、追加の工程:
(i) 工程(d)で得たニッケルオキサレート、
工程(f)で得たコバルトオキサレート、及び
工程(h)で得たマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド、
の1つ以上と、
リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方、及び任意のさらなる構成成分とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と任意の1つ以上のさらなる要素との混合酸化物に相当する化学量論比で、混合する工程、及び
(j) 混合物をか焼して、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と任意のさらなる要素との混合酸化物を得る工程
を含んでよい。
(i) 工程(d)で得たニッケルオキサレート、
工程(f)で得たコバルトオキサレート、及び
工程(h)で得たマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド、
の1つ以上と、
リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方、及び任意のさらなる構成成分とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と任意の1つ以上のさらなる要素との混合酸化物に相当する化学量論比で、混合する工程、及び
(j) 混合物をか焼して、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と任意のさらなる要素との混合酸化物を得る工程
を含んでよい。
いくつかの実施形態では、工程(i)において、例えば、他の供給源から得られたNi、Mn及び/又はCoの1つ以上の化合物など、さらなる構成成分を混合してよい。
さらに、Li、Ni、Co及びMn以外の1つ以上の元素Mの供給源として機能する1つ以上のさらなる構成成分を、工程(i)において混合してもよい。このようにして、Liと、Ni、Co及びMnの1つ以上と、Li、Ni、Co及びMn以外の1つ以上の元素Mとの混合酸化物であるカソード活物質が得られる。カソード活物質の1つ以上の元素Mの供給源として機能し得る好適なさらなる構成成分は、当該技術分野で知られている。
よっていくつかの実施形態では、工程(i)において、
・ 工程(d)で得られたニッケルオキサレート、
・ 工程(f)で得られたコバルトオキサレート、及び
・ 工程(h)で得られたマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド
の1つ以上と、
リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方と、及び任意のさらなる構成成分とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と、任意のNi、Co及びMn以外の1つ以上の元素Mとの所望の混合酸化物に相当する化学量論比で、混合してよい。
・ 工程(d)で得られたニッケルオキサレート、
・ 工程(f)で得られたコバルトオキサレート、及び
・ 工程(h)で得られたマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド
の1つ以上と、
リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方と、及び任意のさらなる構成成分とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と、任意のNi、Co及びMn以外の1つ以上の元素Mとの所望の混合酸化物に相当する化学量論比で、混合してよい。
いくつかの実施形態では、工程(i)において、使用済みリチウムイオン電池又はリチウムイオン電池、リチウムイオン電池のセル及び構成要素の製造廃棄物から得られたリチウムカーボネート及び/又はリチウムヒドロキシドを使用してよい。
いくつかの実施形態では、工程(j)において、混合物のか焼は、酸素含有雰囲気下又は不活性雰囲気下、例えば窒素下で行ってよい。か焼は、二酸化炭素雰囲気下、又は還元性ガス、例えば水素又は一酸化炭素、又は水素及び一酸化炭素の混合物の雰囲気下で行ってもよい。また、雰囲気の変更も可能であり、例えば最初に窒素下でか焼し、次に酸素含有雰囲気又は還元性雰囲気下でか焼してよい。
いくつかの実施形態では、工程(j)において、混合物のか焼を300℃~900℃の範囲の温度で、0.5時間~20時間行ってよい。
例えば、工程(j)で得られた混合酸化物は、一般式(I):
Li1+t[CoxMnyNizMu]1-tO2 (I)
(式中、
0≦x≦1
0≦y≦1
0≦z≦1
0≦u≦0.15
x+y+z+u=1
-0.05≦t≦0.2である)
による組成を有してよく、
ここで、Mは、存在する場合、Al、Mg、Ba、B、及びNi、Co及びMn以外の遷移金属から選択された1つ以上の元素である。
Li1+t[CoxMnyNizMu]1-tO2 (I)
(式中、
0≦x≦1
0≦y≦1
0≦z≦1
0≦u≦0.15
x+y+z+u=1
-0.05≦t≦0.2である)
による組成を有してよく、
ここで、Mは、存在する場合、Al、Mg、Ba、B、及びNi、Co及びMn以外の遷移金属から選択された1つ以上の元素である。
いくつかの実施形態では、一般式(I)によるカソード活物質では、Ni、Co及びMn以外の元素Mは、Al、Mg、Ti、Mo、Nb、W及びZrから選択される。例えば、一般式(I)によるカソード活物質はNi及びMnの1つ以上を含有する。一般式(I)による或る特定のカソード活物質では、Mは、Al、Ti、Mo、Nb、W及びZrの1つである。式(I)のカソード活物質の例は、Li1+t[Ni0.88Co0.08Al0.04]1-tO2、Li1+t[Ni0.905Co0.0475Al0.0475]1-tO2、及びLi1+t[Ni0.91Co0.045Al0.045]1-tO2であり、式中、各場合とも-0.05≦t≦0.2である。
Al、Mg、Ba、B、及びNi、Co及びMn以外の遷移金属から選択された1つ以上の元素Mが存在する一般式(I)(すなわち、式(I)で0<u≦0.15のとき)によるカソード活物質は、上記で定義した方法により得ることができ、ここで工程(i)は、Al、Mg、Ba、B、及びNi、Co及びMn以外の遷移金属から選択された1つ以上の元素Mの源として機能し得るさらなる構成成分の添加を含み、これは例えば、上記で定義した工程(a)-(h)、又は(a)-(f)、又は(a)-(d)及び(g)-(h)、又は(a)、(b)及び(e)-(h)、及び追加の工程、
(i) ・ 工程(d)で得たニッケルオキサレート、
・ 工程(f)で得たコバルトオキサレート、及び
・ 工程(h)で得たマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド、
の1つ以上と、
・ リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方、及び
・ Al、Mg、Ba、B、及びNi、Co及びMn以外の遷移金属から選択された1つ以上の元素Mの源として機能し得る1つ以上のさらなる構成成分とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と、上記で定義した1つ以上の元素Mとの混合酸化物に相当する化学量論比で、混合する工程、及び
(j) 混合物をか焼して、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と上記で定義した1つ以上の元素Mとの混合酸化物を得る工程
を含む方法によるものである。
(i) ・ 工程(d)で得たニッケルオキサレート、
・ 工程(f)で得たコバルトオキサレート、及び
・ 工程(h)で得たマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド、
の1つ以上と、
・ リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方、及び
・ Al、Mg、Ba、B、及びNi、Co及びMn以外の遷移金属から選択された1つ以上の元素Mの源として機能し得る1つ以上のさらなる構成成分とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と、上記で定義した1つ以上の元素Mとの混合酸化物に相当する化学量論比で、混合する工程、及び
(j) 混合物をか焼して、LiとNi、Co及びMnの1つ以上と上記で定義した1つ以上の元素Mとの混合酸化物を得る工程
を含む方法によるものである。
いくつかの実施形態では、工程(j)で得られた混合酸化物は、一般式(Ia):
Li1+t[CoxMnyNiz]1-tO2 (Ia)
(式中、
0≦x≦1
0≦y≦1
0≦z≦1
x+y+z=1
-0.05≦t≦0.2である)
による組成を有してよい。
Li1+t[CoxMnyNiz]1-tO2 (Ia)
(式中、
0≦x≦1
0≦y≦1
0≦z≦1
x+y+z=1
-0.05≦t≦0.2である)
による組成を有してよい。
一般式(Ia)によるカソード活物質の例は、LiCoO2、Li1+t[Ni0.85Co0.10Mn0.05]1-tO2、Li1+t[Ni0.85Mn0.10Co0.05]1-tO2、Li1+t[Ni0.87Co0.05Mn0.08]1-tO2、Li1+t[Ni0.83Co0.12Mn0.05]1-tO2、及びLi1+t[Ni0.6Mn0.2Co0.2]1-tO2(NMC622)である。
一般式(Ia)によるカソード活物質は、工程(i)が上記で定義した1つ以上の元素Mの源として機能し得るさらなる構成成分の添加を含まない、上記で定義した方法により、すなわち、上記で定義した工程(a)-(h)、又は(a)-(f)、又は(a)-(d)及び(g)-(h)、又は(a)、(b)及び(e)-(h)、及び追加の工程、
(i) ・ 工程(d)で得たニッケルオキサレート、
・ 工程(f)で得たコバルトオキサレート、及び
・ 工程(h)で得たマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド、
の1つ以上と、
・ リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上との混合酸化物に相当する化学量論比で、混合する工程、及び
(j) 混合物をか焼して、LiとNi、Co及びMnの1つ以上との混合酸化物を得る工程
により、得ることができる。
(i) ・ 工程(d)で得たニッケルオキサレート、
・ 工程(f)で得たコバルトオキサレート、及び
・ 工程(h)で得たマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド、
の1つ以上と、
・ リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上との混合酸化物に相当する化学量論比で、混合する工程、及び
(j) 混合物をか焼して、LiとNi、Co及びMnの1つ以上との混合酸化物を得る工程
により、得ることができる。
本開示を、実施例によってさらに例示するが、これは限定するものではない。
実施例1:使用済みカソードからのLi2CO3と、Ni、Co及びMnの混合酸化物との回収
使用済みカソードのカソード層(カソード活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、電子伝導性炭素及び有機バインダーを含む)を、機械的処理によって集電装置から分離した。
使用済みカソードのカソード層(カソード活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、電子伝導性炭素及び有機バインダーを含む)を、機械的処理によって集電装置から分離した。
得られたLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、電子伝導性炭素及び有機バインダーを含む混合物を、約12時間、約500℃の酸素雰囲気下でか焼し、熱分解及び燃焼によって、有機物質及び電子伝導性炭素を除去した。
さらなる熱処理を二酸化炭素雰囲気下で約60時間、約600℃で行い、カソード活物質LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2を、リチウムカーボネートLi2CO3と、Ni、Co及びMnの混合酸化物Ni0.8Co0.1Mn0.1O2に分解した:
2LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2+CO2→Li2CO3+2Ni0.8Co0.1Mn0.1O2+0.5O2
Li2CO3、任意にLiF(フッ素は、有機バインダーとして一般的に使用されるフッ素含有ポリマー由来であると考えられる)及びNi0.8Co0.1Mn0.1O2を含む得られた混合物を、二酸化炭素で濃縮した氷冷水に移し、そしてLi塩が溶解するように5時間撹拌した。ここで、難溶性Li2CO3をLiHCO3として溶解した。残った未溶解のNi0.8Co0.1Mn0.1O2を、ろ過によって溶液から分離した。
2LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2+CO2→Li2CO3+2Ni0.8Co0.1Mn0.1O2+0.5O2
Li2CO3、任意にLiF(フッ素は、有機バインダーとして一般的に使用されるフッ素含有ポリマー由来であると考えられる)及びNi0.8Co0.1Mn0.1O2を含む得られた混合物を、二酸化炭素で濃縮した氷冷水に移し、そしてLi塩が溶解するように5時間撹拌した。ここで、難溶性Li2CO3をLiHCO3として溶解した。残った未溶解のNi0.8Co0.1Mn0.1O2を、ろ過によって溶液から分離した。
Ca(OH)2をろ液に加えた結果、CaCO3が沈殿し、そしてLiFが存在する場合にはCaF2が沈殿し、これをLiOHの残液からろ過によって分離した。LiOHは二酸化炭素の導入によってLi2CO3に変換された。得られたLi2CO3は、本開示による方法の工程(i)で使用される。
あるいは、電池スクラップから得られたリチウムとNi、Co及びMnの少なくとも2つとの1つ以上の混合酸化物を含有する固体分画を、WO2019/121086に記載の方法で処理し、LiをLi2CO3及び/又はLiOHの形態で、そしてNi、Co及びMnを、NiイオンとCo及びMnの1つ以上のイオンとを含有する水溶液の形態で、又はNiとCo及びMnの1つ以上との沈殿した混合ヒドロキシド、混合オキシヒドロキシド、又は混合カーボネートを含有する水溶液の形態で、回収してもよい。
実施例2:Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物の調製(本開示による方法の工程(a))
実施例1に記載のように得られた混合酸化物Ni0.8Co0.1Mn0.1O2を用いて、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンとオキサレートイオンとを含有する水性反応混合物を調製した(サブ工程(aa))。ここで、分離した混合酸化物Ni0.8Co0.1Mn0.1O2を、50mlの濃塩酸(37質量%)及び5ml(30質量%)のH2O2に約60℃で溶解した。約2~3時間後、得られた水溶液に、溶液中のNi、Mn及びCoのモル量に対してシュウ酸量105モル%~120モル%でシュウ酸を加え、そしてNaOH又はLiOHの水溶液を加えて、Ni、Co及びMnのイオンとオキサレートイオンとを含有する溶液のpHを約4の値に直ちに調整した。このようにして、Ni、Co及びMnのイオンとオキサレートイオンとを含有する水性反応混合物を得た(サブ工程(aa))。
実施例1に記載のように得られた混合酸化物Ni0.8Co0.1Mn0.1O2を用いて、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンとオキサレートイオンとを含有する水性反応混合物を調製した(サブ工程(aa))。ここで、分離した混合酸化物Ni0.8Co0.1Mn0.1O2を、50mlの濃塩酸(37質量%)及び5ml(30質量%)のH2O2に約60℃で溶解した。約2~3時間後、得られた水溶液に、溶液中のNi、Mn及びCoのモル量に対してシュウ酸量105モル%~120モル%でシュウ酸を加え、そしてNaOH又はLiOHの水溶液を加えて、Ni、Co及びMnのイオンとオキサレートイオンとを含有する溶液のpHを約4の値に直ちに調整した。このようにして、Ni、Co及びMnのイオンとオキサレートイオンとを含有する水性反応混合物を得た(サブ工程(aa))。
代替的に、金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物(電池スクラップから得た)を酸に溶解して得た、NiイオンとCo及びMnの1つ以上のイオンとを含有する水溶液を用いて、サブ工程(aa)で水性反応混合物を調製してもよい。
例えば、WO2019/121086A1に記載の方法で得られたNiイオンとCo及びMnの1つ以上のイオンとを含有する水溶液を用いて、サブ工程(aa)で水性反応混合物を調製してよく、又は、WO2019/121086A1に記載の方法で得られた混合ヒドロキシド、混合オキシヒドロキシド又は混合カーボネートの沈殿物を再溶解して形成されたNiイオンとCo及びMnの1つ以上のイオンとを含有する水溶液を用いて、サブ工程(aa)で水性反応混合物を調製してよい。ここでは、NiイオンとCo及びMnの1つ以上のイオンとを含有する水溶液に、シュウ酸、アルカリ金属オキサレート及びアンモニウムオキサレートから選ばれたオキサレートイオン源を加えて、水性反応混合物を得る。さらにまた、サブ工程(aa)において、WO2019/121086A1に記載の方法で得られたNiとCo及びMnの1つ以上のヒドロキシド、混合オキシヒドロキシド又は混合カーボネートの沈殿物をシュウ酸に溶解して、水性反応混合物を調製することもできる。
水性反応混合物を約60℃の温度で約12時間撹拌しながら反応させ、Ni、Co及びMnのオキサレートの固体混合物を形成した(サブ工程(ab))。得られたNi、Co及びMnのオキサレートの混合物を水性反応混合物の残りからろ過(サブ工程(ac))によって分離し、脱イオン水で3回洗浄した。
実施例3:Ni、Co及びMnのオキサレートの混合物の分離(本開示による工程(b)~(h))
上記に記載の工程(a)で提供されたNi、Co及びMnのオキサレートの混合物を、3.75M硫酸に溶解した(工程(b))。3.75M硫酸の添加量は、オキサレートの固体混合物1g当たり約50mlであった。
上記に記載の工程(a)で提供されたNi、Co及びMnのオキサレートの混合物を、3.75M硫酸に溶解した(工程(b))。3.75M硫酸の添加量は、オキサレートの固体混合物1g当たり約50mlであった。
NaOH又はLiOHの水溶液を加えて工程(b)で形成した溶液のpHを0に調整することによりニッケルオキサレートを沈殿させ(工程(c))、そして沈殿したニッケルオキサレートを固体/液体分離によって工程(c)の残液から分離した(工程(d))。
NaOH又はLiOHの水溶液をさらに加えて工程(d)後の残液のpHを1.5に調整することによりコバルトオキサレートを沈殿させ(工程(e))、そして沈殿したコバルトオキサレートを固体/液体分離によって工程(e)の残液から分離した(工程(f))。
NaOH又はLiOHの水溶液をさらに加えて工程(f)後の残液のpHを14に調整することによりマンガンオキサレート及びマンガンヒドロキシドの混合沈殿物を沈殿させ(工程(g))、そして沈殿物を固体/液体分離によって工程(g)の残液から分離した(工程(h))。
工程(d)、(f)及び(h)で得られたNi、Co及びMnの分離された各化合物を、固体/液体分離後に脱イオン水で3回洗浄した。
工程(d)で得られた沈殿物は緑がかった色を呈した。工程(f)で得られた沈殿物は赤みがかった色を呈した。工程(h)で得られた沈殿物は黒色を呈した。各沈殿物をXRD分析(図1)によって特徴づけた。強度は任意の単位とした。Ni化合物(「Ni」と表記)の回折図形は、ニッケルオキサレート及びニッケルオキサレート二水和物の反射を示した。「Ni」と示す回折図形の測定パターンの下の垂直の印は、NiC2O4(上段)、NiC2O4*2H2O(下段)それぞれの反射を計算したものである。Co化合物(「Co」と表記)の回折図形は、コバルトオキサレート及びコバルトオキサレート二水和物の反射を示した。「Co」と示す回折図形の測定パターンの下の垂直の印は、CoC2O4(上段)、CoC2O4*2H2O(下段)それぞれの反射を計算したものである。Mn化合物(「Mn」と表記)の回折図形は、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキサレート二水和物(下段)の反射を示した。「Mn」と示す回折図形の測定パターンの下の垂直の印は、Mn(OH)2(上段)、MnC2O4*2H2O(下段)それぞれの反射を計算したものである。
実施例4:新しいカソード活物質の調製(本開示による方法の工程(i)及び(j))
実施例3で記載のように得られた沈殿物及び実施例1で記載のように得られたLi2CO3を、上記で定義した式(Ia)のカソード活物質の化学量論に従って混合し(工程(i))、そして約800℃の酸素雰囲気下でか焼した(工程(j))。
実施例3で記載のように得られた沈殿物及び実施例1で記載のように得られたLi2CO3を、上記で定義した式(Ia)のカソード活物質の化学量論に従って混合し(工程(i))、そして約800℃の酸素雰囲気下でか焼した(工程(j))。
Claims (14)
- ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びマンガン(Mn)の2つ以上のオキサレートの混合物を分離する方法であって、以下の工程:
(a) Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの混合物を提供する工程、及び
(b) 前記オキサレートの混合物を酸に溶解して-0.5以下のpHを有する溶液を形成する工程
を含み、
工程(a)で提供された前記オキサレートの混合物がニッケルオキサレートを含む場合、以下の工程:
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、及び
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体、液体、又は固体及び液体分離により工程(c)の残液から分離する工程
をさらに含み、
工程(a)で提供された前記オキサレートの混合物がコバルトオキサレートを含む場合、以下の工程:
(e) 塩基を加えて、工程(d)からの残液、工程(b)で形成された溶液それぞれのpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、及び
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程
をさらに含み、
工程(a)で提供された前記オキサレートの混合物がマンガンオキサレートを含む場合、以下の工程:
(g) 塩基を加えて、工程(d)、(f)それぞれからの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
をさらに含む、方法。 - Ni及びCoのオキサレートの混合物の分離が、以下の工程:
(a) Ni及びCoのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) 前記オキサレートの混合物を酸に溶解して-0.5以下のpHを有する溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~0.9の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程、
(e) 塩基を加えて工程(d)の残液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程
を含む、請求項1に記載の方法。 - Ni及びMnのオキサレートの混合物の分離が、以下の工程:
(a) Ni及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) 前記オキサレートの混合物を酸に溶解してpH-0.5以下の溶液を形成する工程、
(c) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを0.1~6の範囲の値に調整することにより、ニッケルオキサレートを沈殿させる工程、
(d) 沈殿したニッケルオキサレートを、固体/液体分離により工程(c)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(d)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の前記沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む、請求項1に記載の方法。 - Co及びMnのオキサレートの混合物の分離が、以下の工程:
(a) Co及びMnのオキサレートの混合物を提供する工程、
(b) 前記オキサレートの混合物を酸に溶解してpH-0.5以下の溶液を形成する工程、
(e) 塩基を加えて工程(b)で形成された溶液のpHを1~6の範囲の値に調整することにより、コバルトオキサレートを沈殿させる工程、
(f) 沈殿したコバルトオキサレートを、固体/液体分離により工程(e)の残液から分離する工程、
(g) 塩基を加えて工程(f)からの残液のpHを8~14.5の範囲の値に調整することにより、マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を沈殿させる工程、及び
(h) マンガンオキサレート、マンガンヒドロキシド及びマンガンオキシドの1つ以上の沈殿物を、固体/液体分離により工程(g)の残液から分離する工程
を含む、請求項1に記載の方法。 - 工程(b)が、次の特徴:
前記オキサレートの混合物を、硫酸、塩酸及びメタンスルホン酸から選択された酸に溶解すること、
工程(b)で形成された溶液中のNi、Co及びMnの総濃度が1g/l~250g/lの範囲であること、
工程(b)で形成された溶液のpHが-1~-0.5の範囲であること、
から選択される少なくとも1つを含み、
工程(c)、(e)及び(f)の各工程において、LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから独立して選択された塩基を加えてpHを調整し、そして
工程(d)、(e)及び(h)において、固体/液体分離をろ過、遠心分離、又は沈降及びデカンテーションにより行う、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。 - 工程(b)において、20質量%~50質量%の範囲の濃度を有する硫酸水溶液を、前記オキサレートの混合物1グラム当たり20ml~100mlの量で加えることによって前記オキサレートの混合物を溶解し、そして
工程(c)、(e)及び(g)の各工程において、1g/l~500g/lの範囲の濃度のNaOH又はLiOHの水溶液を加えてpHを調整することをさらに含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。 - Ni、Co及びMnの2つ以上の前記オキサレートの混合物を提供する工程(a)が、以下のサブ工程:
(aa) Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンとオキサレートイオンとを含有する水性反応混合物を調製する工程であって、その水性反応混合物が2~6の範囲のpH値を有する、サブ工程、
(ab) 前記水性反応混合物を反応させて、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を形成するサブ工程、及び
(ac) 形成されたNi、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を、固体/液体分離により残りの水性反応混合物から分離するサブ工程
を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。 - 前記水性反応混合物を調製するサブ工程(aa)が、
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物をシュウ酸に溶解すること、又は
Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンを含む水溶液に、オキサレートイオンを加えること
を含み、
金属の形態及び/又は酸化された形態それぞれのNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を含む固体材料と、Ni、Co及びMnの2つ以上のイオンを含む溶液とが、使用済みリチウムイオン電池、リチウムイオン電池の製造廃棄物、リチウムイオン電池のセル又は構成要素の製造廃棄物、リチウムイオン電池用のカソード活物質の製造廃棄物、又はこれらの組み合わせから得られる、
請求項7に記載の方法。 - 以下の工程:
サブ工程(aa)において、還元剤を加えることを含む、前記水性反応混合物を調製する工程、
サブ工程(aa)において、LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから選択された塩基を加えて、前記水性反応混合物のpHを2~6の範囲の値に調整する工程、及び
サブ工程(ab)において、前記水性反応混合物を8~16時間、連続的に撹拌しながら、10℃~200℃の温度で反応させて、Ni、Co及びMnの2つ以上のオキサレートの固体混合物を形成する工程であって、100℃を超える温度では、反応を101.3kPaより高い圧力で行う、工程、
サブ工程(ac)において、固体/液体分離をろ過又は遠心分離により行う工程
の1つ以上を行う、請求項7又は8に記載の方法。 - サブ工程(aa)では、水性反応混合物が、
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を、硫酸、塩酸、クエン酸、及びメタンスルホン酸から選択された酸に溶解すること、
任意に、過酸化水素、ヒドラジン、第1級アルコール、アスコルビン酸、グルコース、デンプン、セルロース、アルカリ金属亜硫酸塩、及び亜硫酸から選択された還元剤を加えること、
50℃~98℃の範囲の温度に加熱すること、
金属の形態及び/又は酸化された形態のNi、Co及びMnの2つ以上の混合物を溶解した後、シュウ酸水溶液を、Ni、Mn及びCoの総モル量に対して等モル又はモル過剰である溶液中のシュウ酸量で加えて、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンとを含有する溶液を形成すること、及び
LiOH、NaOH、KOH、及びアンモニアから選択された塩基を加えて、オキサレートイオンとNi、Co及びMnの2つ以上のイオンとを含む溶液のpHを2~6の範囲の値に直ちに調整すること
によって形成される、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。 - 以下:
30質量%~40質量%の範囲の濃度の塩酸を固体塊の20~1000倍の量で加えることにより、Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を溶解すること、
1質量%~30質量%の範囲の濃度の過酸化水素を含む還元剤としての水溶液を、前記混合酸化物を溶解するために加える塩酸の体積に対して0.2体積%~40体積%の量で加えること、
Ni、Co及びMnの2つ以上の混合酸化物を溶解することにより、溶解したNi、Co及びMnの総濃度が0.1質量%~20質量%の範囲である水溶液を形成すること、
溶液中のNi、Mn及びCoのモル量に対して105モル%~120モル%のシュウ酸の量、及び-0.5~1の範囲の塩基添加前の溶液のpHで、5質量%~30質量%の範囲の濃度のシュウ酸水溶液を加えること、及び
1g/l~500g/lの範囲の濃度のNaOH又はLiOHの水溶液を加えて、pHを3~5の範囲の値に調整すること
の1つ以上をさらに含む、請求項10に記載の方法。 - (i) 工程(d)で得たニッケルオキサレート、
工程(f)で得たコバルトオキサレート、及び
工程(h)で得たマンガンオキサレート、マンガンオキシド及びマンガンヒドロキシド、
の1つ以上と、
リチウムカーボネート及びリチウムヒドロキシドの1つ又は両方、及び任意のさらなる構成成分とを、LiとNi、Co及びMnの1つ以上との混合酸化物に相当する化学量論比で、混合する工程、及び
(j) 混合物をか焼して、LiとNi、Co及びMnの1つ以上との混合酸化物を得る工程
をさらに含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。 - 前記混合酸化物が、式Li1+t[CoxMnyNizMu]1-tO2の組成を有し、式中、
0≦x≦1
0≦y≦1
0≦z≦1
0≦u≦0.15
x+y+z+u=1
-0.05≦t≦0.2
であり、
そしてMが存在する場合、Mは、Al、Mg、Ba、B、及びNi、Co及びMn以外の遷移金属から選択される1つ以上の元素を含む、請求項12に記載の方法。 - 以下の工程:
工程(i)において、使用済みリチウムイオン電池、又はリチウムイオン電池、リチウムイオン電池のセル及び構成要素の製造廃棄物から得られたリチウムカーボネート及び/又はリチウムヒドロキシドを使用する工程、
工程(j)において、前記混合物を酸素雰囲気下、不活性雰囲気下、又は還元性ガス雰囲気下でか焼する工程、及び
工程(j)において、前記混合物を300℃~900℃の範囲の温度で0.5時間~20時間か焼する工程
の1つ以上をさらに含む、請求項12又は13に記載の方法。
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
EP20183742.4 | 2020-07-02 | ||
EP20183742 | 2020-07-02 | ||
EP20187908 | 2020-07-27 | ||
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