JP6459797B2 - 廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法及びその回収装置 - Google Patents

廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法及びその回収装置 Download PDF

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Description

本発明は、使用済みのニッケル水素電池や製造中に生じた不良品等の廃ニッケル水素電池から、フェロニッケル製造用原料を分離回収する方法及びその装置に関するものである。
近年、大気中に放出される硫黄酸化物や煤塵等に起因する広域的な大気汚染や炭酸ガス等による地球温暖化等の環境問題が、地球規模の課題としてクローズアップされている。
大気汚染や地球温暖化等の原因の一つに自動車の排気ガスがあり、排気ガスによる汚染を低減するため、ニッケル水素電池等の二次電池を搭載したハイブリッド自動車や電気自動車の生産や需要が加速的に増加している。
二次電池の一種であるニッケル水素電池は、正極、負極、電極端子、電解液等の機能的部材と、電極基板、正負極の電極間に設けられるセパレータ、これらを収納するケース等の構造的部材とから構成されている。
ニッケル水素電池を構成する機能的部材及び構造的部材には、様々な物質が含まれている。例えば、正極には正極活物質が含まれており、正極活物質は微量添加元素を含む水酸化ニッケル等から構成されている。含有される元素の種類には、NCAタイプの正極活物質、すなわちニッケル、コバルト、アルミニウムという三種類の元素を含む三元系正極活物質があり、あるいはNMCタイプの正極活物質、すなわちニッケル、マンガン、コバルトという三種類の元素を含む三元系正極活物質等といった様々なタイプのものがある。また、負極には負極活物質が含まれており、負極活物質はニッケル、コバルト、希土類元素(ミッシュメタル)等を含む水素吸蔵合金等から構成されている。
さらに、正極基板はニッケル板や発泡ニッケル板等から構成され、負極基板はニッケルメッキ鉄板等から構成されている。更に、セパレータは合成樹脂等から構成され、電解液は水酸化カリウム水溶液等から構成され、電極端子材は銅、鉄系金属等から構成され、ケースは合成樹脂、鋼等から構成されている。
ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載されたニッケル水素電池は、何れは廃棄される見込みであり、使用済みのニッケル水素電池(以下、「廃ニッケル水素電池」ともいう。)から、上述した各部材に含まれる有価金属を回収して、資源としてリサイクルするための様々な技術開発が提案されている。
廃ニッケル水素電池をリサイクルする際、硫酸ニッケルや硫酸コバルト等を回収する上では、ニッケル水素電池の原料として再利用するために、希土類元素を不純物として除去する。そして、不純物として除去される浸出残渣には、微量なニッケルやコバルト等も随伴され、この浸出残渣をフェロニッケル(ステンレスの原料)製造用原料として利用することができる。
例えば、特許文献1に開示されているような湿式処理方法が提案されている。特許文献1に記載の有価金属の回収方法は、以下に示した(1)乃至(6)の工程で構成される。
即ち、特許文献1に記載の方法は、(1)正極活物質及び負極活物質を、酸性水溶液を用いて洗浄処理に付し、正極活物質及び負極活物質に付着する電解液成分を除去して、洗浄後残渣と洗浄後液とを得る洗浄工程と、(2)洗浄後残渣と浸出工程で得た浸出液を混合することにより浸出液を還元処理に付し、浸出液中の鉄を2価に保持して、ニッケル、コバルト、希土類元素及びその他の共存する金属元素を含有する還元液と還元残渣とを得る還元工程と、(3)還元残渣に硫酸水溶液を添加し、且つ酸化しながら浸出処理に付し、ニッケル及び希土類元素を含有する浸出液と浸出残渣とを得る浸出工程と、(4)還元液に硫酸アルカリ又は水酸化アルカリを混合し、希土類元素複塩化処理に付し、希土類元素複塩からなる沈澱物とニッケル及びコバルトを含有するろ液とを得る希土類回収工程と、(5)希土類回収工程で得たろ液に、酸化剤と中和剤を添加して酸化中和処理に付し、ニッケル及びコバルトを含有する酸化中和後液と鉄及びアルミニウムを含有する酸化中和澱物とを得る酸化中和工程と、(6)酸化中和後液を、リン酸系抽出剤を用いた溶媒抽出処理に付し、コバルト、マンガン、亜鉛及びイットリウムを含有する逆抽出液とニッケルを含有する抽出残液とを得る溶媒抽出工程とから構成されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、工程数が多くて複雑なために多大な処理コストが掛かり、商業的に成立つプロセスとは言い難い。
一方、廃ニッケル水素電池に含まれる有価金属を高純度の金属として回収する他の湿式処理方法として、例えば、特許文献2に開示されているような方法も提案されている。特許文献2に記載の有価金属の回収方法は、以下に示した(1)乃至(3)の工程で構成される。
即ち、特許文献2に記載の方法は、特許文献2の図2に示す通り、(1)正・負極活物質含有物を、硫酸溶液に混合、溶解した後、浸出液と浸出残渣とに分離する浸出工程と、(2)浸出工程で得られた浸出液に、アルカリ金属の硫酸塩を添加して、希土類元素の硫酸複塩混合沈澱と脱希土類元素液とを得る希土類晶出工程と、(3)希土類晶出工程で得られた脱希土類元素液に硫化剤を添加して、ニッケル・コバルト硫化物原料と残液とに分離する硫化物原料回収工程とから構成されている。
特許文献2に記載の方法では、特許文献1に記載の方法で問題となっていた工程数の多さと複雑さについては解消されている。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、回収対象であるニッケル及びコバルトを選択的に分離するためには硫化物原料回収工程が必要不可欠である。そのため、硫化物原料回収工程では、微量の不純物ではなく、大量のニッケルを沈澱させるため、硫化剤の使用量が膨大となり、コストアップの要因となっている。
特開2010−174366号公報 特開2012−025992号公報
特許文献1及び特許文献2に記載の通り、使用済みのニッケル水素電池や製造中に生じた不良品等の廃ニッケル水素電池から有価金属を回収する方法として、廃ニッケル水素電池について、焼成、破砕、選別等の前処理をすることにより得られた有価金属含有物を、浸出処理、ナトリウム複塩の沈澱を利用した脱希土類処理、溶媒抽出処理、硫化処理等に付すことによって、電池用にリサイクルが可能となる高純度のニッケルやコバルト等の有価金属を回収する湿式処理方法は、技術的に確立されている。
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、工程の煩雑さ故にコストが掛かり、商業的に成立可能なプロセスとは言い難い。
一方で、特許文献2に記載の方法では、工程は簡素化されているが、原料の主成分であるニッケルに対し、浸出処理用の酸、硫化処理用の硫化剤、廃液中和用のアルカリ等の試薬を多く消費するため、薬剤に要するコストが高額となり、更なるコストダウンが必要である。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、有価金属等の浸出反応と希土類元素の晶出反応とを同一工程であっても、ニッケルの浸出率を85%以上とすることが可能である廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは、硫酸溶液とアルカリ金属の硫酸塩を同時に、あるいは逆順で供給した場合には、有価金属含有物中に含まれる不純物由来の澱物が、粒状の金属ニッケルを包囲するように付着して、粒状の金属ニッケルと液相の接触面積が小さくなることを発見し、この状況を抑制するために、硫酸溶液、アルカリ金属の硫酸塩の順で供給する手段を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、上記目的を達成するための本発明の一態様に係る廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法は、廃ニッケル水素電池より得られる有価金属含有物からニッケル及びコバルトを分離回収する廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル原料の回収方法であって、有価金属含有物に硫酸溶液とアルカリ金属の硫酸塩とを供給して、浸出・晶出スラリーを得る浸出・晶出工程と、浸出・晶出スラリーを、浸出残渣及び希土類元素の硫酸複塩混合沈澱の混合物と、脱希土類元素液とに固液分離する第1固液分離工程と、脱希土類元素液に、酸化剤を供給して、酸化処理を施し、第1混合スラリーを得る脱マンガン工程と、第1混合スラリーに、中和剤を供給して、中和処理を施し、第2混合スラリーを得る脱アルミニウム工程と、第2混合スラリーを、浸出残渣と不純物除去液とに固液分離する第2固液分離工程とを有し、浸出・晶出工程では、硫酸溶液、アルカリ金属の硫酸塩の順番で供給することを特徴とする。
また、本発明の一態様では、浸出・晶出工程前に、廃ニッケル水素電池を洗浄する洗浄工程をさらに有することが好ましい。
また、本発明の一態様では、アルカリ金属の硫酸塩は、硫酸ナトリウム及び/又は硫酸カリウムであることが好ましい。
また、本発明の一態様では、脱マンガン工程と脱アルミニウム工程を同一工程とすることが好ましい。
本発明では、有価金属等の浸出反応と希土類元素の晶出反応とが同一工程であっても、ニッケルの浸出率を85%以上とすることが可能である。
本発明の一実施の形態に係る廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法におけるフェロニッケル製造用原料の回収プロセスの概略を示す工程図である。 本発明の一実施の形態に係る廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収装置におけるフェロニッケル製造用原料の回収装置の概略を示すブロック図である。
本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、以下の順序で図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
1.廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法
1−1.洗浄工程
1−2.浸出・晶出工程
1−3.第1固液分離工程
1−4.脱マンガン工程
1−5.脱アルミニウム工程
1−6.第2固液分離工程
2.廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収装置
2−1.反応槽
2−2.供給部
2−3.加熱部
2−4.回収部
2−5.制御部
2−6.フェロニッケル製造用原料の回収装置の使用手順
3.総括
[1.廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法]
本実施の形態に係る廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法(単に「回収方法」ともいう。)は、図1に示すように、浸出・晶出工程S1と第1固液分離工程S2とを有するものである。また、回収方法では、第1固液分離工程S2後に、脱マンガン工程S3と脱アルミニウム工程S4と第2固液分離工程S5とを有するものでもよい。さらに、回収方法では、浸出・晶出工程S1前に、洗浄工程(不図示)を有することが好ましい。これにより、付着する硫酸ナトリウムや硫酸カリウム水溶液を洗浄することができ、ニッケルの浸出率が向上するからである。
そして、有価金属回収方法では、浸出・晶出工程S1で得られた浸出・晶出スラリーを用いて第1固液分離工程S2で浸出残渣が得られることにより、廃ニッケル水素電池からフェロニッケル製造用原料を回収することができる。また、脱アルミニウム工程S4で得られた第2混合スラリーを用いて第2固液分離工程S5で浸出残渣が得られることにより、廃ニッケル水素電池からフェロニッケル製造用原料を回収することができる。
<1−1.洗浄工程>
洗浄工程(不図示)は、廃ニッケル水素電池を洗浄する。具体的には、洗浄工程(不図示)では、廃ニッケル水素電池からプラスチック等を粗選して、選択した正極材や負極材を粉砕する。洗浄工程では、その正極材や負極材を粉砕してふるい目開き(2mm以下)に通し、粉粒状物を得る。そして、洗浄工程(不図示)では、得られた粉粒状物を工業用水等の水で所定の時間、撹拌することで洗浄スラリーを得る。得られた洗浄スラリーを固液分離し、固形分として有価金属含有物を得る。
後述する浸出・晶出工程S1において、この有価金属含有物を用い、硫酸を供給することにより、硫酸ナトリウム水溶液や硫酸カリウム水溶液として利用することができる。
本実施の形態に係る回収方法では、後述する浸出・晶出工程S1前に、洗浄工程(不図示)をさらに有することが好ましい。これにより、カリウムやナトリウム等の水溶性アルカリ金属塩を除去すれば、ニッケルの浸出率を特に向上させることができる。一方、洗浄工程を行わない場合には、有価金属含有物には、カリウムやナトリウム等の水溶性アルカリ金属塩が付着していることで、ニッケルの浸出率に悪影響を及ぼすおそれがある。
<1−2.浸出・晶出工程>
浸出・晶出工程S1は、原料として有価金属含有物に、硫酸溶液、アルカリ金属の硫酸塩の順に反応槽に供給して、混合及び加温して溶解することにより、浸出・晶出スラリーを得る。この浸出・晶出スラリーには、脱希土類元素液と、浸出残渣及び希土類元素の硫酸複塩混合沈澱の混合物とが含まれる。
即ち、浸出・晶出工程S1では、詳細は後述するが、有価金属含有物中のニッケル、コバルト等が、まず供給する硫酸溶液によって水溶液中に浸出される。また、有価金属含有物中の希土類元素に限っては、硫酸溶液によって水溶液中に浸出される。
従来、浸出工程と晶出工程を別工程として廃ニッケル水素電池からの有価金属を回収した場合には、ニッケルの浸出率が90%以上であった。しかしながら、設備や電力等のコスト、処理時間や処理に要する作業工数に関する課題があった。このような課題について、浸出工程と晶出工程を同一工程とした結果、有価金属の浸出率が例えば半分程度まで大幅に低くなることは無いものの、ニッケルの浸出率が80%程度と浸出率が低くなり、すなわちニッケルロスが多いため、少なくとも85%程度まで浸出率を改善することを要請されていた。
このような要請に対し、発明者らは、浸出・晶出工程S1において硫酸溶液とアルカリ金属の硫酸塩を同時に供給した場合、あるいはアルカリ金属の硫酸塩、硫酸溶液の順番で供給した場合には、有価金属含有物中に含まれる不純物由来の澱物が、粒状の金属ニッケルに包囲するように付着して、粒状の金属ニッケルと液相の接触面積が小さくなり、ニッケル浸出率が低減されることを発見した。そして、発明者らは、この状況を抑制するために、浸出・晶出工程において硫酸溶液、アルカリ金属の硫酸塩の順番で供給することを見出した。
すなわち、硫酸溶液を供給してニッケルの大部分を浸出し、その後、アルカリ金属の硫酸塩を供給して、希土類元素の硫酸複塩混合の澱物を生成させる。その結果、希土類元素の硫酸複塩混合に包含され、硫酸溶液に浸出されないニッケルを減少させること(ニッケルロス)ができた。
これにより、浸出・晶出工程S1では、有価金属含有物に対する硫酸溶液及びアルカリ金属の硫酸塩の供給順序を、硫酸溶液を供給し、次いでアルカリ金属の硫酸塩を供給する。これにより、ニッケルの浸出率を85%以上と向上させることができる。
(1−2−1.有価金属等の浸出操作)
浸出・晶出工程S1では、上述した通り、ニッケル、コバルト等の有価金属等を浸出させる浸出操作と共に、ランタン等の希土類元素を晶出させる晶出操作を、一つの反応槽内で行う。ここでは、まず浸出・晶出工程S1における浸出操作について説明する。
有価金属等の浸出操作では、有価金属含有物、硫酸溶液、及びアルカリ金属の硫酸塩を反応槽に供給し、混合、加温して溶解する。その際に、有価金属含有物中に含まれる金属元素のうち、例えば、有価金属であるニッケルは、下記式1に従って溶解され、希土類元素の一つであるランタンは、下記式2に従って溶解される。
Ni+HSO→NiSO+H…(式1)
2La+3HSO→La(SO+3H…(式2)
そして、有価金属等の浸出反応では、ニッケル、コバルト等の有価金属等を含んだ浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーが得られる。
(1−2−2.希土類元素の晶出操作)
次に、浸出・晶出工程S1における晶出操作について説明する。
まず、希土類元素の晶出操作は、有価金属等の浸出操作が完了したことを確認してから行われる。この判定はORP(Oxidation-reduction Potential)電極によりプラス領域に移行した、あるいは水素ガス検知器により水素ガスが発生しなくなったことによって行われる。
希土類元素の晶出操作では、有価金属等の浸出反応で得られた浸出スラリー中の浸出液に、アルカリ金属の硫酸塩を作用させる。これにより、浸出液から、浸出・晶出スラリーが得られる。この浸出・晶出スラリーには、希土類元素がアルカリ金属と結びついた希土類元素の硫酸複塩混合沈澱と、希土類を分離した硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液である脱希土類元素液とが生成する。
浸出液中に含まれる有価金属のうち、例えば、希土類元素の一つであるランタンは、下記式3に従ってランタンとアルカリ金属(ナトリウム)の複塩(硫酸複塩混合沈澱)を生成する。
La(SO+NaSO→2LaNa(SO…(式3)
(1−2−3.浸出・晶出反応条件)
浸出・晶出工程S1における硫酸溶液としては、例えば、濃度70重量%の硫酸等が挙げられる。このような硫酸溶液を用いることで、有価金属等を浸出させることができる。
浸出・晶出工程S1では、有価金属含有物と硫酸溶液の混合時、即ち有価金属等の浸出反応時のpHを1以上5以下に維持することが好ましく、1以上1.6以下に維持することがより好ましい。
有価金属等の浸出反応時のpHが1未満では、後述する脱アルミニウム工程S4で中和剤を用いる場合に、その使用量が増加すると共に、希土類元素の晶出反応における希土類元素の除去が不十分となる。一方、有価金属等の浸出反応時のpHが5を超えると、ニッケル、コバルト等の有価金属の浸出率が低下する。
また、有価金属等の浸出反応時のpHが5以下であっても、有価金属等の浸出反応時のpHが3を超えると、希土類元素の晶出反応においてニッケル、コバルト、鉄、アルミニウム等の金属元素が硫酸複塩混合沈澱と共に沈澱する場合がある。そのため、ニッケル、コバルト等の有価金属の高い浸出率を維持し、且つこれらの有価金属の硫酸複塩混合沈澱への分配を抑制するためには、有価金属等の浸出反応時のpHは低い方が望ましい。
従って、浸出・晶出工程S1では、有価金属等の浸出反応時のpHを1以上3以下に維持することが好ましく、1以上1.6以下に維持することがより好ましい。
有価金属等の浸出反応時において、実用的に満足できる反応速度を得るには、強酸下で80℃以上の液温に維持して浸出することが好ましい。従って、有価金属等の浸出操作では、浸出反応時の液温を80℃以上とすることが好ましい。
なお、有価金属等の浸出操作では、有価金属含有物と硫酸溶液とを混合、加温して溶解した後、過剰分の硫酸を中和するために、更に有価金属含有物を追加供給することもできる。
アルカリ金属の硫酸塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸アルカリを用いることがより好ましい。上述した洗浄工程(不図示)から硫酸ナトリウムや硫酸カリウムを得ることができ、あるいは回収方法の全体プロセスの中で、溶媒抽出工程(不図示)が含まれる場合に有価金属含有物をスラリー化するための水を、溶媒抽出工程(不図示)の逆抽出液を中和して得られたアルカリ金属の硫酸塩水溶液として硫酸ナトリウムを得ることができるため、再利用が可能であり薬剤コストの低減にも役立つからである。
アルカリ金属の硫酸塩は、固体(結晶)の状態で有価金属含有物のスラリーに供給して溶解しても、水溶液の状態で供給しても構わない。しかしながら、例えば、廃ニッケル水素電池からフェロニッケル製造用原料を回収するための全体プロセスの中に、溶媒抽出工程(不図示)が含まれる場合には、有価金属含有物をスラリー化するための水を、溶媒抽出工程の逆抽出液を中和して得られたアルカリ金属の硫酸塩水溶液に置き換えることができる。そして、水をアルカリ金属の硫酸塩水溶液に置き換えて再利用することによって、薬剤コストを削減することができる。
また、有価金属含有物のスラリー濃度としては、特に限定されるものではないが、50g/L以上300g/L以下となるように調整することが好ましい。
浸出・晶出工程S1では、得られた脱希土類元素液と、浸出残渣と希土類元素の硫酸複塩混合沈澱との混合物とから成る浸出・晶出スラリーを放冷する。
(1−2−4.供給物の供給順序)
浸出・晶出工程S1では、一つの反応槽中の有価金属含有物に、まず硫酸溶液を供給し、上述した通り、ニッケル、コバルト等の有価金属等を浸出させる浸出反応の完了後、アルカリ金属の硫酸塩を供給し、ランタン等の希土類元素を晶出させる晶出反応を進行させる。即ち、浸出・晶出工程S1では、下記式1及び式2で示す有価金属及び希土類元素の浸出反応と、下記式3で示す希土類元素の晶出反応が進行する。
Ni+HSO→NiSO+H…(式1)
2La+3HSO→La(SO+3H…(式2)
La(SO+NaSO→2LaNa(SO…(式3)
ただし、式3に示す希土類元素の晶出反応は、式2に示す希土類元素の浸出反応において希土類元素の硫酸塩が生成されなければ開始されないものの、浸出反応の完了前だと、反応は同時に進行することになり、浸出が終わっていない有価金属含有物中のニッケルの周囲を硫酸塩が包含する形状に晶出が起こる。このため、ニッケルの浸出率が低下するので、金属含有物に対する硫酸溶液及びアルカリ金属の硫酸塩の供給順序は、硫酸溶液、アルカリ金属の硫酸塩の順番に供給することが重要である。
<1−3.第1固液分離工程>
第1固液分離工程S2は、浸出・晶出工程S1で得られた浸出・晶出スラリーを固液分離することにより、脱希土類元素液と、浸出残渣及び希土類元素の硫酸複塩混合沈澱の混合物とを得る。
従来通り、固液分離せず、後述する次工程である脱マンガン工程S3の処理に浸出・晶出スラリーを付せば、脱希土類元素液に含まれる不純物(マンガン、アルミニウム、鉄等)を沈澱除去し、脱マンガン工程S3及び脱アルミニウム工程S4で処理した後に、固液分離すれば、浸出・晶出工程後の第1固液分離工程S2を一つ減らせるという利点がある。
しかしながら、特に脱マンガン反応(酸化反応)においてマンガンが沈殿除去される所望のORP電位(Ag/AgCl基準の酸化還元電位、以下同じ)になるまでに必要とする酸化剤の添加量が多くなって、コスト的に不利であるという問題が発生する。
これは、操業条件次第で、浸出反応において不可避的に残留したニッケルが浸出残渣に含まれてしまうため、脱マンガン反応の初期に供給される酸化剤が、このニッケルにより消費されるからである。
したがって、本実施の形態に係る回収方法では、第1固液分離工程S2を備えることにより、浸出・晶出工程S1で得られた浸出・晶出スラリーを、固液分離せずに後述する次工程である脱マンガン工程で処理した場合に比べて、酸化剤の添加量を削減することができる。このため、本実施の形態に係る回収方法では、第1固液分離工程S2を備えることでコスト面において優れている。
なお、固液分離方法は、例えばロータリーフィルタ、遠心分離、フィルタープレス、加圧濾過、減圧濾過、クロスフロー濾過等による濾過を挙げることができ、これらの中でもロータリーフィルタが好ましい。
第1固液分離工程S2で得られる浸出残渣及び希土類元素の硫酸複塩混合沈澱の混合物には、ニッケル、コバルト、及び希土類元素が含まれている。一方、第1固液分離工程S2で得られる脱希土類元素液には、ニッケル、コバルト等の有価金属が含まれている。
本実施の形態に係る回収方法では、浸出・晶出工程S1と第1固液分離工程S2とを有することにより、第1固液分離工程S2で得られる浸出残渣をフェロニッケル製造用原料として利用することができる。
<1−4.脱マンガン工程>
次に、脱マンガン工程S3では、固液分離工程S2で得られる脱希土類元素液に酸化剤を添加して酸化処理を施し、第1混合スラリーを得る。この第1混合スラリーには、硫酸複塩混合沈澱及びマンガンを含む沈澱物の混合物と、有価金属混合溶液(硫酸ニッケル・コバルト混合溶液)とが含まれる。
脱マンガン工程S3における脱マンガン反応の条件としては、酸化還元電位とpHの条件が特に限定されないが、脱希土類元素液の酸化還元電位を800mV(Ag/AgCl電極基準)以上、そのpHを1.5〜2.5にすることが好ましい。脱希土類元素液のpHが1.5を下回った場合には、マンガンや鉄等が沈澱し難くなり、次工程の脱アルミニウム工程S4における中和剤の使用量が増加する。一方、脱希土類元素液のpHが2.5を上回った場合には、ニッケルやコバルト等が沈澱する可能性がある。理論的には、脱希土類元素液の酸化還元電位を1000mV(Ag/AgCl電極基準)まで上昇させると、pH3で水酸化ニッケル(III)(Ni(OH))を生成する。なお、脱希土類元素液のpHの調整は、浸出・晶出工程S1と同様にして、必要に応じて、無機酸やアルカリ水溶液等のpH調整剤を用いて行う。
脱マンガン工程S3では、酸化剤として過酸化水素、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、過硫酸ナトリウム等を用いることができる。また、pH調整剤として、硫酸、塩酸等の無機酸や、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリを用いることができる。これらの中では、カルシウムの混入の恐れがない水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムを用いることが好ましい。
例えば、酸化剤としてリチウムイオン電池材料用原料であるニッケル酸リチウムの粉末を用いた場合には、この酸化剤を脱希土類元素液スラリーに添加することで、酸化還元電位が上昇し、下記式4及び5に従って、溶存するマンガン及び鉄の一部が沈澱物を生成する。
Mn2++2LiNiO+3HSO
→MnO+LiSO+2NiSO+2HO+2H・・・(式4)
Fe3++3NaOH→Fe(OH)+3Na・・・(式5)
以上で説明した通り、脱マンガン工程S3では、脱希土類元素液の酸化還元電位を800mV(Ag/AgCl電極基準)以上、そのpHを1.5〜2.5とする条件で脱マンガン反応を行うことが好ましい。その結果、マンガンが酸化マンガン(IV)(MnO)として、鉄が水酸化鉄(III)(Fe(OH))として沈澱し、ニッケルやコバルトはイオンの形態(Ni2+、Co2+)で液中に存在するため、これを濾過し、硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液(以下、「第1混合スラリー」ともいう。)を得る。
この結果、脱マンガン工程S3では、第1固液分離工程で得られる脱希土類元素液に、酸化剤を供給し、脱希土類元素液中のマンガンを沈澱物として分離し、マンガンを含む沈澱物及び鉄の一部を含む沈澱物が除去された硫酸ニッケル及び硫酸コバルトを含む第1混合スラリーを得る。
<1−5.脱アルミニウム工程>
次に、脱アルミニウム工程S4では、脱マンガン工程S3で得られた第1混合スラリーに、中和剤を供給して、中和処理を施し、第2混合スラリーを得る。
脱アルミニウム工程S4における脱アルミニウム反応の条件としては、酸化還元電位とpHの条件が特に限定されないが、第1混合スラリーの酸化還元電位を200mV(Ag/AgCl電極基準)以上、そのpHを5.0〜6.0にするのが好ましい。脱アルミニウム工程S4では、第1混合スラリーの酸化還元電位を200〜600mVに維持することがより好ましい。
酸化は、酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)は、十分に酸化を進めるため、200mV以上を維持することが必要である。一方、酸化還元電位が600mVを超えると、反応効率が大きく向上することもなく、むしろ過剰な酸化となる。
また、中和は、鉄及びアルミニウムを水酸化物として分離しながら、同時にニッケル及びコバルトが沈澱するのを防ぐため、前述したpH範囲が好ましい。すなわち、そのpHが5.0未満では、鉄が沈澱せずに分離できない。一方、そのpHが6.0を超えると、ニッケルが鉄とともにその一部が沈澱してしまう。
中和剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等を用いることができるが、カルシウムの混入のおそれがない水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムが好ましい。
ここで、液温としては、特に限定されるものではないが、60℃〜80℃が好ましい。すなわち、液温が60℃未満では、実用的で満足できる反応速度が得られない。一方、水分蒸発量やエネルギー効率を考慮すると、80℃以下が好ましい。また、第1混合スラリー濃度としては、特に限定されるものではないが、浸出・晶出工程S1と同じ理由により、50g/L〜300g/Lに調整することが好ましい。
回収方法では、前述した脱マンガン工程S3と脱アルミニウム工程S4を同一工程として、1つの反応槽(設備)で行うことが好ましい。
脱マンガン工程S3と脱アルミニウム工程S4を同一工程とした場合には、以下のように第1固液分離工程S2で得られた脱希土類元素液に酸化剤を供給し、酸化処理を施し、脱マンガン反応をさせる。そして、脱マンガン反応終了後に、マンガンや鉄の一部を含む沈澱物と硫酸ニッケル及び硫酸コバルトを含むスラリーとを得る(脱マンガンプロセス)。次に、このスラリーを、中和剤を供給し、中和処理を施し、脱アルミニウム反応をさせる。この結果、脱アルミニウム反応終了後に、マンガンやアルミニウムや鉄を含む沈澱物と硫酸ニッケル及び硫酸コバルトを含むスラリーとを得る(脱アルミニウムプロセス)。
脱マンガン工程S3と脱アルミニウム工程S4を同一工程とした場合には、脱マンガン工程S3と脱アルミニウム工程S4とを別工程とした場合と同様に、マンガンやアルミニウムや鉄を除去することができる。そして、上述したような同一工程では、脱マンガン工程S3と異なり、脱マンガン反応終了後に得られるスラリーを固液分離せずに、脱アルミニウム反応を行う。これにより、各種反応や固液分離等に要する作業工程の数を削減することができるという利点がある。
また、上述した同一工程でも、第1固液分離工程S2で得られる脱希土類元素液のpHが1.6程度であり、脱マンガン工程S3の反応液のpHが2.4程度であり、脱アルミニウム工程S4の反応液のpHが5.5程度であるため、pH調整剤の使用量を削減することができる。
以上より、脱アルミニウム工程S4では、脱マンガン工程S3で得られる第1混合スラリーに、中和剤を供給し、第1混合スラリー中のアルミニウムを沈澱物として分離し、アルミニウム及び鉄を含む沈澱物が除去された硫酸ニッケル及び硫酸コバルトを含む第2混合スラリーを得る。
<1−6.第2固液分離工程>
次に、第2固液分離工程S5は、脱アルミニウム工程S4で得られた第2混合スラリーを、濾過して、浸出残渣と不純物除去液とを得る工程である。
なお、固液分離方法は、例えばロータリーフィルタ、遠心分離、フィルタープレス、加圧濾過、減圧濾過、クロスフロー濾過等による濾過を挙げることができ、これらの中でもロータリーフィルタが好ましい。
第2固液分離工程S5で得られる浸出残渣には、主成分としてニッケル、コバルトが含まれる。これらの他に、鉄とアルミニウムが極微量であるが含まれている。なお、不純物除去液には、硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液が含まれる。
本実施の形態に係る回収方法では、脱マンガン工程S3と脱アルミニウム工程S4と第2固液分離工程S5とを有することにより、第2固液分離工程S5で得られる浸出残渣がフェロニッケル製造用原料として利用することができる。
なお、第2固液分離工程S5では、脱マンガン工程S3と脱アルミニウム工程S4を同一工程とした場合、脱アルミニウム反応終了後に得られるスラリーを、濾過して、浸出残渣と不純物除去液とを得る。
<1−7.まとめ>
廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル原料の回収方法は、図1に示すように、浸出・晶出工程S1、第1固液分離工程S2を経て浸出残渣及び希土類元素の硫酸複塩混合沈澱の混合物を得ることができ、特にフェロニッケル製造工程の原料として使用される。また、回収方法では、浸出・晶出工程S1、第1固液分離工程S2を経て得られる脱希土類元素液を、さらに脱マンガン工程S3、脱アルミニウム工程S4、第2固液分離工程S5を経て、フェロニッケルの原料に特化した原料として利用することができる。
また、浸出・晶出工程S1中で有価金属の浸出反応と希土類元素の晶出反応とを進行させることにより、硫酸で浸出した希土類元素が浸出と同一工程(同じ反応容器)でアルカリ複塩の形態で析出することとなり、浸出残渣と希土類元素の硫酸複塩混合沈澱とを同時に濾過してプロセスや設備を簡素化することができる。なお、ここでは、浸出残渣及び希土類元素の硫酸複塩混合沈澱の混合物の状態で濾過される。
得られる浸出残渣及び希土類元素の硫酸複塩混合沈殿の混合物は、希土類元素の市場価格が低下した場合には、そのまま、フェロニッケル製造用原料として出荷することも可能である。
つまり、上述した通りのプロセスや設備の簡素化により、反応装置、固液分離装置及び付帯装置等の設備コストを削減することができ、電力コスト等の運転コストも削減することができる。
しかも、従来法に比べて、浸出・晶出工程S1におけるニッケルロスが低減され、また、処理時間を短縮し、各種反応等に要する作業工数を削減することができる。したがって、廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法では、低コストで効率的な廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料に特化した回収方法として実現することができる。
[2.廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収装置]
次に、図2に基づき、上述した回収方法で利用することが可能な、本実施の形態に係る廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収装置(以下、「回収装置1」ともいう。)について説明する。図2に示すように、回収装置1は、反応槽10、供給部20、加熱部30、回収部40、及び制御部50を備えるものである。本実施の形態に係る回収装置1は、制御部50により、供給部20が反応槽10内に、硫酸溶液、アルカリ金属の硫酸塩の順番で供給するよう制御し、回収部40により固液分離することでニッケルの浸出率を向上させることができる。また、回収装置1は、かかる各構成要素を備えることにより、プロセス全体の簡略化及び低コスト化が可能となり、更に装置稼働時の安全性を向上させることができる。
<2−1.反応槽>
反応槽10は、廃ニッケル水素電池より得られる有価金属含有物を貯留するものである。反応槽10の材質は、図1に示した浸出・晶出工程S1における浸出反応及び希土類元素の晶出反応と、脱マンガン工程S3における脱マンガン反応と、脱アルミニウム工程S4における脱アルミニウム反応と、において使用する各種薬剤及び各種反応により得られる生成物によって劣化しなければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、反応槽10は、槽内で浸出反応と希土類元素の晶出反応と脱マンガン反応と脱アルミニウム反応とを行うことができる容器であれば、大きさ(容量)、形状、構造等について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、反応槽10内では、図1に示した浸出・晶出工程S1と脱マンガン工程S3と脱アルミニウム工程S4において行う反応、即ち、浸出反応と希土類元素の晶出反応と脱マンガン反応と脱アルミニウム反応とを行う。具体的な反応及び用いる薬剤については、上述した回収方法で説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
<2−2.供給部>
供給部20は、反応槽10内の有価金属含有物に、硫酸溶液、硫酸アルカリ(アルカリ金属の硫酸塩)、酸化剤、中和剤、及びpH調整剤を供給するものである。供給部20は、有価金属含有物、硫酸溶液、アルカリ金属の硫酸塩、酸化剤、中和剤及びpH調整剤をそれぞれ貯留するための貯留槽(不図示)と、これらを反応槽10内へそれぞれ送液するためのポンプ等の送液・供給手段(不図示)及び配管(不図示)とから構成されている。供給部20では、送液・供給手段により貯留槽から有価金属含有物、硫酸溶液、アルカリ金属硫酸塩、酸化剤、中和剤、及びpH調整剤を反応槽10内へ配管を介してそれぞれ供給する。なお、貯留槽内に所定量の有価金属含有物と硫酸溶液とを供給して、浸出反応により浸出液を作製する。
供給部20における有価金属含有物、硫酸溶液、アルカリ金属の硫酸塩、酸化剤、中和剤、及びpH調整剤の供給順序や供給量の制御は、制御部50により行う。制御部50により、供給部20は、硫酸溶液を反応槽10内へ供給した後に、アルカリ金属硫酸塩、酸化剤、中和剤を順次供給する。また、制御部50により、供給部20は、希土類元素の晶出反応において、浸出液のpHを1以上5以下、好ましくは1以上3以下にするように、pH調整剤の供給量を調整する。
制御部50により、供給部20は、脱マンガン反応において、浸出・晶出スラリーの酸化還元電位を800mV(Ag/AgCl電極基準)以上、そのpHを1.5〜2.5にするように、酸化剤及びpH調整剤の供給量を調整する。また、制御部50により、供給部20は、脱アルミニウム反応において、酸化還元電位を200mV〜600mV、そのpHを5.0〜6.0にするように、中和剤及びpH調整剤の供給量を調整する。
なお、浸出液は、図1に示した浸出・晶出工程S1において行う反応、即ち、浸出反応により得られるものであるが、当該反応を供給部20の貯留槽内や反応槽内等で行って浸出液を得てもよいし、他の槽内で得られた浸出液を反応槽10に送液してもよい。
<2−3.加熱部>
加熱部30は、反応槽10内の浸出液を適温に加熱するものである。加熱部30は、反応槽10内の浸出液を加熱することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。加熱部30としては、例えば、熱交換用の蛇管内に蒸気等の熱媒体を流す方法や、電熱式のヒーターを槽内に挿入する方法等を適用することができる。
浸出液の加熱温度及び時間の制御は、制御部50により行う。加熱温度及び時間は、実用的な満足できる反応速度が得られること及び水分蒸発量やエネルギー効率を考慮して、適宜選択することができる。
<2−4.回収部>
回収部40は、反応槽10内の浸出液から有価金属を回収するものである。回収部40は、浸出反応及び希土類元素の晶出反応により得られた浸出・晶出スラリーを、浸出残渣及び希土類元素の硫酸複塩混合沈澱の混合物と、脱希土類元素液とに固液分離することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、回収部40は、脱マンガン反応及び脱アルミニウム反応により得られた生成物(スラリー)を、浸出残渣と不純物処理液とに固液分離することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。回収部40としては、例えば、金属や樹脂製の凹凸のある穴のあいた濾板に濾布を張ったものを直列に密着させ、スラリーをポンプで濾板の穴から加圧圧入して脱水し、固形分を分離するフィルタープレス等を適用することができる。
回収部40としてフィルタープレスを用いる場合における通液圧力や通液時間等の条件は、浸出・晶出反応並びに脱マンガン反応及び脱アルミニウム反応によりそれぞれ得られた生成物について、固液分離することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、回収部40における動作条件、例えば通液圧力や通液時間等の条件の制御は、制御部50により行う。
<2−5.制御部>
制御部50は、回収装置1の各構成要素の動作を制御するものである。具体的には、制御部50は、供給部20、加熱部30及び回収部40の各動作を制御し、少なくとも供給部20から供給するアルカリ金属硫酸塩と酸化剤との順番に供給する供給順序及び供給量を制御する。なお、回収装置1は、図2に示すように、一つの制御部50により供給部20、加熱部30及び回収部40の動作を制御するように構成されてもよいし、目的に応じて各構成要素につき一つの制御部を設けて動作を制御するように構成してもよい。
なお、回収装置1は、必要に応じて、上述した構成要素以外の要素、例えば、浸出液を撹拌する撹拌軸及び撹拌翼、撹拌軸及び撹拌翼を駆動するモータ等から構成される撹拌部等を備えてもよい。
<2−6.フェロニッケル製造用原料の回収装置の使用手順>
回収装置1を用いてフェロニッケル製造用原料を回収するための使用手順について説明する。まず、供給部20によって、浸出液用の貯留槽(不図示)からポンプ等の送液手段(不図示)を用いて所定量の浸出液を、配管(不図示)を介して反応槽10内に供給する。なお、浸出液は、貯留槽内に所定量の有価金属含有物と硫酸溶液とを供給して予め作製する。
次に、供給部20によって、アルカリ金属の硫酸塩用の貯留槽(不図示)からポンプ等の送液・供給手段(不図示)を用いて所定量のアルカリ金属の硫酸塩を、配管(不図示)を介して反応槽10内に供給する。その結果、希土類元素の晶出反応により、希土類元素がアルカリ金属と結びついた硫酸複塩混合沈澱と、希土類を分離した硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液である脱希土類元素液との混合物である浸出・晶出スラリーが生成される。
さらに、制御部50により回収部40を作動させて、浸出・晶出スラリーから硫酸複塩混合沈澱及び浸出残渣と、脱希土類元素液とを分離し、ニッケルやコバルト等の有価金属を含む浸出残渣を回収する。回収した浸出残渣は、フェロニッケル製造用原料としてフェロニッケルを製造することができる。
また、脱希土類元素液に、供給部20によって、酸化剤用の貯留槽(不図示)からポンプ等の添加手段(不図示)を用いて所定量の酸化剤及び中和剤を、反応槽10内に供給する。その結果、脱マンガン反応及び脱アルミニウムにより、硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液中に含まれるマンガン、アルミニウム及び鉄が沈澱し、マンガン、アルミニウム及び鉄を含む沈澱物が形成される。
次に、制御部50により回収部40を作動させて、硫酸複塩混合沈澱及びマンガンを含む沈澱物の混合物を分離し、ニッケルやコバルト等の有価金属を含む浸出残渣を回収することができる。回収した浸出残渣には、フェロニッケル製造用原料としてフェロニッケルを製造することができる。
以下に示す実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<前処理工程>
まず、前処理工程(不図示)では、廃ニッケル水素電池からプラスチック等を粗選別して取り除き、ボールミルにより粉砕してふるい目開き2mm以下の粉粒状である正極活物質や負極活物質を主に含む混合物(以下、「有価金属含有物」ともいう。)を得た。この得られた粉粒状の有価金属含有物は180kgであり、その中にニッケルが100kg含まれていた。
<洗浄工程>
次に、洗浄工程(不図示)では、洗浄槽に前処理工程(不図示)で得られた粉粒状の有価金属含有物180kgを供給し、工業用水1000Lを供給し、常温で60分間撹拌して、洗浄スラリーを得た。そして、洗浄工程(不図示)では、この撹拌後の洗浄スラリーを固液分離し、固形分として有価金属含有物180kgを得た。
<浸出・晶出工程(浸出操作)>
次に、浸出・晶出工程S1では、反応槽に洗浄工程で得られた有価金属含有物180kgを添加し、工業用水800Lを供給した。浸出・晶出工程S1では、反応槽内を撹拌しながら、水素ガスの発生量が急激に増加しないように70重量%硫酸を徐々に供給した。この反応槽内の液の温度80℃に維持し、pH1に保持した。そして、浸出・晶出工程S1では、水素ガスの発生がなくなった時点で反応を終了とみなし、70重量%硫酸の添加を停止した。反応終了後の反応槽内の液のニッケル含有量は、100g/Lであった。
<浸出・晶出工程(晶出操作)>
次に、浸出・晶出工程S1では、水素ガスの発生がなくなった反応槽に、アルカリ金属硫酸塩として硫酸ナトリウム水溶液を添加し、反応させた。ここで、硫酸ナトリウム水溶液の濃度は180g/Lであった。また、硫酸ナトリウム水溶液の添加量は、希土類元素のモル濃度の合計が2倍量となるように調整した。そして、浸出・晶出工程S1では、反応終了後に、浸出・晶出スラリーを得た。
<第1固液分離工程>
次に、第1固液分離工程S2では、得られた反応槽内の浸出・晶出スラリーの温度を60℃まで低下したことを確認した後、フィルタープレスで濾過した。これにより、浸出残渣及び希土類元素の硫酸複塩混合沈澱との混合物(以下、「固形分1」ともいう。)と、脱希土類元素液(硫酸ニッケル及び硫酸コバルトの混合水溶液を含む。)とを得た。
実施例1では、第1の固液分離工程S2で得られた脱希土類元素液のニッケル濃度が、92g/Lであった。このニッケル浸出率に換算した場合、92%であった。
また、実施例1では、第1固液分離工程S2で得られた固形分1に関し、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光光度分析法を用いて重金属成分を測定した。その結果、固形分1の重金属成分は表1に示すように、ニッケル49重量%、コバルト4重量%、希土類元素44重量%であった。なお、鉄とアルミニウムは、主要な組成として確認できなかった。
Figure 0006459797
<脱マンガン工程>
次に、脱マンガン工程S3では、第1固液分離工程S2で得られた脱希土類元素液を反応槽に供給し、酸化剤としてニッケル酸リチウム粉末(以下、「LiNiO」ともいう。)を供給した。供給量は、不純物Mnのモル数の2倍量と不純物Feのモル数の等量との合計に相当する量であった。なお、LiNiOの組成は、ニッケル80重量%及びコバルト10重量%〜20重量%であり、残りがアルミニウムであった。
脱マンガン反応時においては、反応槽を撹拌しながら、酸化剤の溶解と共に硫酸分が消費されるため、pH2を維持するように、撹拌しながら硫酸を供給した。反応槽の液の温度80℃に加温し、反応槽に硫酸を添加することによりpH2.4を維持した。脱マンガン工程では、酸化剤が溶解し、硫酸供給が止まって且つpHが2.4で安定したところで、マンガンと鉄の酸化が終了したと判断した。脱マンガン工程では、その脱マンガン反応終了後、濾過し、第1混合スラリーを得た。最終的な酸化還元電位は1000mV(Ag/AgCl電極基準)であった。
脱マンガン反応終了後の反応液を固液分離して、ろ液をICP発光光度分析法により確認した。その結果、マンガンの除去率が99.9%以上であり、鉄の除去率が70%程度であることを確認した。脱マンガン工程S3では、不純物として含まれるマンガンと、鉄の一部を除去することを確認した。
<脱アルミニウム工程>
脱アルミニウム工程S4では、脱マンガン工程S3で得られた第1混合スラリーを温度60℃に調整し、pH5.0になるまで撹拌しながら、中和剤として40%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。
脱アルミニウム反応時においては、反応槽を撹拌しながら、中和剤の溶解と共に40%水酸化ナトリウム水溶液分が消費されるため、pH5.0を維持するように、撹拌しながら40%水酸化ナトリウム水溶液を供給した。反応槽の液の温度60℃に加温し、反応槽に40%水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりpH5.0を維持した。脱アルミニウム工程では、中和剤が溶解し、40%水酸化ナトリウム水溶液の供給が止まって且つpHが5.0で安定したところで、アルミニウムと鉄の中和が終了したと判断した。脱アルミニウム工程S4では、脱アルミニウム反応終了後、第2混合スラリーを得た。そして、脱アルミニウム工程S4では、不純物として含まれるアルミニウムと鉄を除去した。
<第2固液分離工程>
次に、第2固液分離工程S5では、脱アルミニウム工程S4で得られた第2混合スラリーを、フィルタープレスで固液分離し、浸出残渣と、不純物除去液とを得た。
ここで、第1固液分離工程S2で得られた固形分1と、第2固液分離工程S5で得られた浸出残渣とを混合し、混合物(以下、「固形分2」ともいう。)を得た。実施例1では、この混合物の主要な組成に関し、ICP発光光度分析法を用いて重金属成分を測定した。その結果、表2に示すように、ニッケル49重量%、コバルト4重量%、希土類元素44重量%、鉄0.7重量%、アルミニウム2.5重量%であった。
Figure 0006459797
(実施例2)
実施例2では、浸出・晶出工程S1前に洗浄工程(不図示)を除いたこと以外、実施例1と同様にした。実施例2では、固形分1の主要な組成は実施例1と同様に、ICP発光光度分析法を用いて重金属成分を測定した。その結果、実施例1と同様に、ニッケル49重量%、コバルト4重量%、希土類元素44重量%であった。なお、鉄とアルミニウムは、主要な組成として確認できなかった。
また、実施例2では、第1固液分離工程S2で得られた脱希土類元素液のニッケル濃度が、86g/Lであった。このニッケル浸出率に換算した場合、86%であった。
(比較例1)
比較例1では、浸出・晶出工程S1においてアルカリ金属硫酸塩、硫酸の順番で供給すること以外、実施例1と同様にした。その結果、第1固液分離工程S2で得られた脱希土類元素液のニッケル濃度が、79g/Lであった。このニッケル浸出率に換算した場合、79%であった。
(まとめ)
実施例1及び実施例2では、浸出・晶出工程S1において硫酸溶液、アルカリ金属の硫酸塩という順番で供給することにより、たとえ浸出・晶出工程S1が同一工程で処理したとしても、ニッケルの浸出率が85%以上であることを確認した。
また、実施例1では、浸出・晶出工程S1前に洗浄工程(不図示)を備えることで、ニッケルの浸出率が90%以上に向上することも確認した。
一方、比較例1では、浸出・晶出工程S1においてアルカリ金属の硫酸塩、硫酸溶液という順番で供給することにより、浸出・晶出工程S1が同一工程で処理したことで、ニッケルの浸出率が80%未満であることを確認した。
以上より、本実施の形態に係る回収方法では、浸出・晶出工程S1において硫酸溶液、アルカリ金属の硫酸塩という順番で供給することが有用であることを確認した。
実施例1では、第1固液分離工程S2で得られた残渣では、ニッケルやコバルトを含有し、鉄やアルミニウムをほぼ含有しない。このことから、フェロニッケル製造用原料として、非常に有用であることが確認できた。
また、脱マンガン工程S3及び脱アルミニウム工程S4により得られた反応液を第2固液分離工程S5で得られた浸出残渣には、鉄やアルミニウムを微量含んでいることが確認できた。フェロニッケルの製造方法では、例えば、ニッケル含有率が多くても2重量%未満であるニッケル酸化鉱石を製錬し、鉄を主成分としニッケル含有率を16重量%程度まで濃縮して、不純物をスラグとして除去している。
なお、上述した表1及び表2記載の組成であれば、フェロニッケル製造用原料に対する濃度調整用副原料としても利用することが可能である。
本実施の形態に係る発明では、廃ニッケル水素電池のリサイクルプロセスにおいて、85%以上の高いニッケル浸出率を維持しつつ、フェロニッケル製造用原料に利用することができる。また、フェロニッケル製造用原料に対する濃度調整用副原料としても再利用することができる。
1 回収装置、10 反応槽、20 供給部、30 加熱部、40 回収部、50 制御部

Claims (4)

  1. 廃ニッケル水素電池より得られる有価金属含有物からニッケル及びコバルトを分離回収する廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法であって、
    上記有価金属含有物に硫酸溶液とアルカリ金属の硫酸塩とを供給して、浸出・晶出スラリーを得る浸出・晶出工程と、
    上記浸出・晶出スラリーを、浸出残渣及び希土類元素の硫酸複塩混合沈澱の混合物と、脱希土類元素液とに固液分離する第1固液分離工程と、
    上記脱希土類元素液に、酸化剤を供給して、酸化処理を施し、第1混合スラリーを得る脱マンガン工程と、
    上記第1混合スラリーに、中和剤を供給して、中和処理を施し、第2混合スラリーを得る脱アルミニウム工程と、
    上記第2混合スラリーを、浸出残渣と不純物除去液とに固液分離する第2固液分離工程とを有し、
    上記浸出・晶出工程では、上記硫酸溶液、上記アルカリ金属の硫酸塩の順番で供給することを特徴とする廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法。
  2. 上記浸出・晶出工程前に、上記廃ニッケル水素電池を洗浄する洗浄工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法。
  3. 上記アルカリ金属の硫酸塩は、硫酸ナトリウム及び/又は硫酸カリウムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法。
  4. 上記脱マンガン工程と上記脱アルミニウム工程を同一工程とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の廃ニッケル水素電池からのフェロニッケル製造用原料の回収方法。
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