JP7108385B2 - 低い酢酸ブチル含量を有する酢酸生成物の製造方法 - Google Patents

低い酢酸ブチル含量を有する酢酸生成物の製造方法 Download PDF

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Description

[0001]本特許出願は、2014年11月14日出願の「低い酢酸ブチル含量を有する酢酸生成物の製造方法」と題された米国仮特許出願62/079,991(その開示事項はその全部を参照として本明細書中に包含する)からの優先権を主張する。
[0002]本発明は、酢酸の製造方法、特に低い酢酸ブチル含量を有する酢酸生成物の製造方法に関する。
[0003]現在用いられている酢酸の合成方法の中で商業的に最も有用なものの1つは、米国特許3,769,329(参照として本明細書中に包含する)において教示されている一酸化炭素によるメタノールの接触カルボニル化である。カルボニル化触媒は、液体反応媒体中に溶解しているか又は他の形態で分散しているか、或いは不活性の固体上に担持されているロジウムのような金属触媒を、ヨウ化メチルによって例示されるハロゲン含有触媒促進剤と共に含む。ロジウムは多くの形態で反応系中に導入することができる。更に、ハロゲン化物促進剤の性質は一般に重要ではないので、数多くの好適な促進剤(その殆どは有機ヨウ化物である)を用いることができる。最も通常的且つ有用には、反応は、一酸化炭素ガスを、触媒がその中に溶解している液体反応媒体を通して連続的にバブリングすることによって行う。
[0004]メタノールのカルボニル化中において、副生成物が形成される。1つの副生成物はアセトアルデヒドである。アセトアルデヒドを減少させることが当該技術において記載されている。例えば、米国特許5,756,836においては、メタノール及び/又は酢酸メチルの水溶液を反応器内において一酸化炭素と連続的に反応させる工程を含む、高純度の酢酸を製造する方法が教示されている。プロセスにおいて得られる粗酢酸中の不飽和化合物の濃度を5wppm以下に制限するために処理が行われ、得られる粗酢酸をオゾン化している。‘836特許においてはまた、反応器内の反応流体中のアセトアルデヒドの濃度を1500wppm以下に維持しながら、メタノール及び/又は酢酸メチルの水溶液を反応器内において一酸化炭素と連続的に反応させる工程を含むことを特徴とする、高純度の酢酸を製造する方法も教示されている。アセトアルデヒドの濃度は、10重量%以下の含水率、及び1500wppm以下のアセトアルデヒド濃度において反応を行って粗酢酸生成物混合物を生成させ;粗酢酸生成物混合物を蒸留カラムに送って、高沸点フラクション及び低沸点フラクションを生成させ;低沸点フラクションを処理してその中のアセトアルデヒドの含量を減少させ;そして処理した低沸点フラクションを反応系に戻す;ことによって制御する。
[0005]また米国特許5,625,095においても、アセトアルデヒド濃度を減少させなければならないことが示唆されている。‘095特許においては、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でメタノールを一酸化炭素と反応させることによって製造される高純度の酢酸が開示されており、ここでは反応液体中のアセトアルデヒド濃度を400wppm以下に維持している。これは、カルボニル不純物を含む液体を水と接触させてカルボニル不純物を分離及び除去することによって行うことができる。その後、液体を反応器に戻すことができる。
[0006]米国特許6,573,403においては、反応物質のメタノール、ジメチルエーテル、酢酸メチル、又はこれらの任意の混合物を、(1)ロジウムカルボニル化触媒、(2)アルキルヨウ化物又はアルキル臭化物、及び(3)水素化触媒を含む反応器中に充填
し、反応物質を一酸化炭素及び水素と接触させて酢酸を生成させることを含む酢酸の製造方法が教示されている。‘403特許においては更に、ルテニウム化合物をカルボニル化反応溶液条件に加えることによって、価値のあるプロパン酸を形成するための前駆体であるエタノール、酢酸エチル、及びヨウ化エチルの形成を増加させながら、望ましくないカルボニル不純物の形成が有効に減少することが教示されている。
[0007]アセトアルデヒドのような過マンガン酸塩還元性化合物(PRC)を除去するための更なる方法が、米国特許7,855,306及び7,683,212において開示されている。‘306特許においては、酢酸の形成中において中間体流から過マンガン酸塩還元性化合物又はそれらの前駆体を減少及び/又は除去する方法が教示されている。特に、軽質留分カラムからの低沸点オーバーヘッド蒸気流を単式蒸留にかけてオーバーヘッド流を得て、これを抽出にかけてPRCをプロセスから選択的に除去及び/又は減少させる。‘212特許においては、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水の存在下においてメタノールを一酸化炭素と連続的に反応させ;それによって反応混合物のアセトアルデヒド含量を500wppm以下に維持しながら酢酸を11モル/L・時以上の生産速度で生成させることによって酢酸を製造し、ここで反応を、1.05MPa以上の反応器の気相中の一酸化炭素分圧、及び/又は2重量%以上の反応混合物の酢酸メチル含量において行って、それによってアセトアルデヒドの生産速度を酢酸のものの1/1500以下に維持する方法が教示されている。‘212特許においては、この方法によって、反応系における低い含水量及び低い水素分圧においても、酢酸の反応速度を減少させることなく副生成物の生成を減少させることができると教示されている。
[0008]米国特許6,303,813においては、約15~約40気圧の全反応圧力の反応全圧において約0.4~4psiaの間の水素の分圧を維持しながら、カルボニル不純物、特にアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、及び2-エチルクロトンアルデヒドの生成を実質的に減少させるメタノールカルボニル化方法が開示されている。
米国特許3,769,329 米国特許5,756,836 米国特許5,625,095 米国特許6,573,403 米国特許7,855,306 米国特許7,683,212 米国特許6,303,813
[0009]上記に記載の公報はアセトアルデヒド及びクロトンアルデヒドのようなカルボニル不純物をカルボニル化反応系から抑止又は除去することに焦点が当てられているが、これらの不純物から形成される可能性がある酢酸ブチルに関する技術は少ししか存在しない。したがって、少ない量の酢酸ブチルを含む高純度の酢酸を製造するための改良された方法に対する必要性が存在する。
[0010]第1の態様においては、本発明は、メタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群から選択される少なくとも1つの構成成分を、反応器内において、水、金属触媒、ヨウ化メチル、及びハロゲン化物塩の存在下で一酸化炭素を用いて連続的にカルボニル化して反応媒体を形成する工程を含み、カルボニル化を、150~250℃の温度
、0.3~2気圧の水素分圧、及び反応媒体の重量を基準として100~3000wppmの金属触媒濃度において行って、反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去して酢酸生成物を形成し、そして酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を10wppm以下に維持する、酢酸生成物の製造方法に関する。反応媒体は、1500wppm未満のアセトアルデヒドを含んでいてよい。反応媒体は、0.1~3.5重量%の水を含んでいてよい。反応媒体は、400~1500wppmの金属触媒を含んでいてよい。一形態においては、水素分圧は0.3~1.5気圧である。他の形態においては、水素分圧は0.4~1.5気圧である。メタノールは、1~150wppmのエタノールを含むメタノール供給源で反応器中に導入することができる。酢酸生成物は、250wppm未満のプロピオン酸を含むようにすることができる。反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去することには、(a)反応媒体の少なくとも一部を分離して、酢酸を含む蒸気オーバーヘッド流、及び揮発性がより低い触媒相を与え;(b)蒸気オーバーヘッド流を蒸留して、精製酢酸生成物、並びにヨウ化メチル、水、酢酸、酢酸メチル、及びアセトアルデヒドを含む第1のオーバーヘッド流を生成させ;(c)第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部を蒸留して第2のオーバーヘッド流及び液相残渣を形成し、ここで第2のオーバーヘッド流は第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部に関してアセトアルデヒドで富化されており;そして(d)第2のオーバーヘッド流を水で抽出して、アセトアルデヒドを含む水性アセトアルデヒド流、及びヨウ化メチルを含むラフィネートを得る;ことを含ませることができる。ラフィネートからのヨウ化メチルは、反応器に直接か又は間接的に戻すことができる。本方法には、第1のオーバーヘッド流を凝縮し及び二相分離して軽質液相及び重質液相を形成し、軽質液相の少なくとも一部を反応器に戻すことを更に含ませることができる。
[0011]第2の態様においては、本発明は、酢酸、メタノール、酢酸メチル、4重量%未満の水、金属触媒、ヨウ化メチル、及びハロゲン化物有機塩を含む反応媒体を与え;反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去して酢酸生成物を形成し;そして、酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を10wppm以下に維持する;ことを含む酢酸の製造方法に関する。反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去し、反応温度、水素分圧、及び反応媒体中の金属触媒濃度の少なくとも1つを調節することによって、酢酸ブチル濃度を維持することができる。一形態においては、水素分圧は0.3~2気圧である。他の形態においては、水素分圧は少なくとも0.4気圧である。アセトアルデヒドを除去することには、(a)反応媒体の少なくとも一部を分離して、酢酸を含む蒸気オーバーヘッド流、及び揮発性がより低い触媒相を与え;(b)蒸気オーバーヘッド流を蒸留して、精製酢酸生成物、並びにヨウ化メチル、水、酢酸、酢酸メチル、及びアセトアルデヒドを含む第1のオーバーヘッド流を生成させ:(c)第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部を蒸留して第2のオーバーヘッド流及び液相残渣を形成し、ここで第2のオーバーヘッド流は第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部に関してアセトアルデヒドで富化されており;そして(d)第2のオーバーヘッド流を水で抽出して、アセトアルデヒドを含む水性アセトアルデヒド流、及びヨウ化メチルを含むラフィネートを得る;ことを含ませることができる。ラフィネートからのヨウ化メチルは、反応器に直接か又は間接的に戻すことができる。この方法には、第1のオーバーヘッド流を凝縮し及び二相分離して軽質液相及び重質液相を形成することを更に含ませることができ、ここで工程(c)において蒸留される第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部は軽質液相を含む。この方法には、第1のオーバーヘッド流を凝縮し及び二相分離して軽質液相及び重質液相を形成することを更に含ませることができ、ここで工程(c)において蒸留される第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部は重質液相を含む。プロセスの酢酸生成物は250wppm未満のプロピオン酸を含むようにすることができる。
[0012]第3の態様においては、本発明は、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下においてメタノールを一酸化炭素と連続的に反応させて反応媒体を形成し、こ
こで反応は、100~300℃の温度、及び0.3~2気圧の水素分圧において行い、反応媒体は100~3000wppmのロジウムを含み;反応媒体から酢酸生成物を分離し;酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を測定し;酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度が10wppmよりも高い場合には、温度、水素分圧、及びロジウム触媒濃度の少なくとも1つを調節し;そして、反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去して、反応媒体中において1500wppm未満のアセトアルデヒド濃度を維持する;工程を含む酢酸生成物の製造方法に関する。
[0013]本発明は、添付の非限定的な図面を考慮するとより良好に理解されるであろう。
[0014]図1は、アセトアルデヒドから誘導される酢酸反応副生成物及び不純物の概要を示す。 [0015]図2は、本発明による酢酸製造プロセスの概要を示す。 [0016]図3は、本発明による最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの時系列プロットを示す。 [0017]図4は、本発明による最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの他の時系列プロットを示す。 [0018]図5は、本発明による最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの更に他の時系列プロットを示す。
I.序論:
[0019]本発明は、メタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群から選択される少なくとも1つの構成成分を、水、金属触媒、ヨウ化メチル、及びハロゲン化物塩の存在下でカルボニル化して反応媒体を形成することを含む酢酸の製造方法に関する。カルボニル化は、高純度酢酸中の酢酸ブチル濃度を10wppm以下に維持しながら、150~250℃の温度、0.3~2気圧の水素分圧、及び反応媒体の重量を基準として100~3000wppmの金属触媒濃度において行う。カルボニル化精製プロセスにおいて酢酸から酢酸ブチルを除去することの困難性のために、酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度は容易には制御されない。酢酸ブチルはPRCではないが、10wppmより高い濃度においては酢酸生成物の品質の劣化を引き起こす可能性がある不純物である。最終の高純度酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度は、反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去することによって少なくとも部分的に維持される。最終の高純度酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度はまた、反応温度、水素分圧、金属触媒濃度、及び水濃度の少なくとも1つを調節することによって維持することもできる。驚くべきことに且つ予期しなかったことに、反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去し、且つ反応温度、水素分圧、及び反応媒体中の金属触媒濃度の少なくとも1つを制御することによって、最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの量を10wppm以下に有利に維持することができることが見出された。これらの制御の結果として、最終酢酸生成物中のプロピオン酸の量を250wppm以下に維持することができる。
[0020]カルボニル化反応に加えて、幾つかの副反応が反応媒体中で起こる。理論には縛られないが、図1は、水素化及びアルドール縮合反応によってカルボニル化プロセスにおいて形成される可能性がある種々の副生成物及び不純物を示す。反応媒体中にアセトアルデヒドが存在すると、アセトアルデヒドはアルドール縮合反応によってクロトンアルデヒドに転化する。クロトンアルデヒドは次にブチルアルデヒドに水素化される可能性があり、これは次にブタノールに水素化される可能性がある。最後に、ブタノールは酢酸と反応して酢酸ブチルを形成する可能性がある。図1において示されるように、ブチルアルデヒドはブタノールに水素化されるのに加えて、ブチルアルデヒドはアセトアルデヒドと反応
して更なる不純物を形成する可能性がある。図1に示されるように、アセトアルデヒド濃度は、最終酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度に影響を与える唯一のファクターである。而して、反応媒体中のアセトアルデヒド濃度は、それ単独で最終酢酸ブチル含量の正確な予測因子であるのではなく、他のパラメーターを制御して最終酢酸生成物中の所望の酢酸ブチル含量を達成することができる。
II.カルボニル化反応工程:
[0021]図2において、代表的な反応及び酢酸回収システム100を示す。示されているように、メタノール含有供給流101及び一酸化炭素含有供給流102を液相カルボニル化反応器105に送って、そこでカルボニル化反応を行って酢酸を形成する。
[0022]メタノール含有供給流101には、メタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種類の構成成分を含ませることができる。メタノール含有供給流101は、一部を新しい供給流から誘導することができ、或いはシステムから再循環することができる。メタノール及び/又はその反応性誘導体の少なくとも一部は、反応媒体中において、酢酸とのエステル化反応によって酢酸メチルに転化し、したがって酢酸メチルとして存在するようになる。
[0023]カルボニル化のための通常の反応温度は150~250℃であり、180~225℃の温度範囲が好ましい範囲である。反応器内の一酸化炭素分圧は広範囲に変化させることができるが、通常は2~30気圧、例えば3~10気圧である。反応器内の水素分圧は、通常は0.3~2気圧、例えば0.3~1.5気圧、或いは0.4~1.5気圧である。副生成物の分圧及び含まれている液体の蒸気圧のために、全反応器圧力は15~40気圧の範囲になる。酢酸の生産速度は、5~50モル/L・時、例えば10~40モル/L・時、好ましくは15~35モル/L・時にすることができる。
[0024]カルボニル化反応器105は、好ましくは機械撹拌容器、抽出又はポンプアラウンド混合を伴う容器、或いは撹拌装置を有するか又は有しないバブルカラムタイプの容器のいずれかであり、これらの中で反応液又はスラリー内容物を好ましくは自動的に所定のレベルに維持し、これを好ましくは通常運転中において実質的に一定に維持する。反応媒体中における好適な濃度を維持するために必要な場合には、カルボニル化反応器105中に、新しいメタノール、一酸化炭素、及び十分な水を連続的に導入する。
[0025]金属触媒には第VIII族金属を含ませることができる。好適な第VIII族触媒としては、ロジウム及び/又はイリジウム触媒が挙げられる。ロジウム触媒を用いる場合には、ロジウム触媒は、当該技術において周知なように、ロジウムが触媒溶液中に[Rh(CO)アニオンを含む平衡混合物として存在するような任意の好適な形態で加えることができる。本明細書に記載するプロセスの反応混合物中に場合によって保持されるヨウ化物塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の可溶性塩、第4級アンモニウム、ホスホニウム塩、或いはこれらの混合物の形態であってよい。幾つかの態様においては、触媒共促進剤は、ヨウ化リチウム、酢酸リチウム、又はこれらの混合物である。塩共促進剤は、ヨウ化物塩を生成させる非ヨウ化物塩として加えることができる。ヨウ化物触媒安定剤は、反応システム中に直接導入することができる。或いは、反応システムの運転条件下においては、広範囲の非ヨウ化物塩前駆体が反応媒体中のヨウ化メチル又はヨウ化水素酸と反応して対応する共促進剤ヨウ化物塩安定剤を生成させるので、ヨウ化物塩をin-situで生成させることができる。ロジウム触媒反応及びヨウ化物塩の生成に関する更な
る詳細に関しては、米国特許5,001,259;5,026,908;5,144,068;及び7,005,541(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)を参照。イリジウム触媒を用いるメタノールのカルボニル化は周知であり、米国特許5,942,460、5,932,764、5,883,295、5,877,348、5,87
7,347、及び5,696,284(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)において概説されている。
[0026]触媒系のハロゲン含有触媒促進剤は、有機ハロゲン化物を含むハロゲン化合物から構成される。而して、アルキル、アリール、及び置換アルキル又はアリールハロゲン化物を用いることができる。好ましくは、ハロゲン含有触媒促進剤はアルキルハロゲン化物の形態で存在する。更により好ましくは、ハロゲン含有触媒促進剤は、アルキル基がカルボニル化する供給アルコールのアルキル基に対応しているアルキルハロゲン化物の形態で存在する。而して、メタノールの酢酸へのカルボニル化において、ハロゲン化物促進剤としては、ハロゲン化メチル、より好ましくはヨウ化メチルが挙げられる。
[0027]反応媒体の成分は、酢酸の十分な生産を確保するために規定限界内に維持する。反応媒体は、一定濃度の金属触媒、例えばロジウムとして100~3000wppm、例えば400~2000wppm、又は400~1500wppmの量のロジウム触媒を含む。反応媒体中の水の濃度は、14重量%未満、例えば0.1重量%~14重量%、0.2重量%~10重量%、又は0.25重量%~5重量%に維持する。好ましくは、反応は低水条件下で行い、反応媒体は4重量%未満、例えば3.5重量%未満、3重量%未満、又は2重量%未満の水を含む。範囲に関しては、反応媒体は、0.1~3.5重量%、例えば0.1~3重量%、又は0.5~2.8重量%の水を含む。反応媒体中のヨウ化メチルの濃度は、1~25重量%、例えば5~20重量%、4~13.9重量%になるように維持する。反応媒体中のヨウ化物塩、例えばヨウ化リチウムの濃度は、1~25重量%、例えば2~20重量%、3~20重量%になるように維持する。反応媒体中の酢酸メチルの濃度は、0.5~30重量%、例えば0.3~20重量%、0.6~4.1重量%になるように維持する。上記の量は反応媒体の全重量を基準とするものである。本出願において開示する範囲は、端点、下位範囲、及び個々の値を包含する。
[0028]反応媒体中の酢酸の濃度は、概して30重量%より多く、例えば40重量%より多く、或いは50重量%より多い。
[0029]幾つかの態様においては、反応媒体中に、所望のカルボン酸とアルコール、望ましくはカルボニル化において用いるアルコールとのエステル、並びにヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンの他に更なるヨウ化物イオンを保持することによって、低い水濃度においても所望の反応速度が得られる。所望のエステルは酢酸メチルである。更なるヨウ化物イオンは望ましくはヨウ化物塩であり、ヨウ化リチウム(LiI)が好ましい。米国特許5,001,259に記載されているように、低い水濃度下においては、酢酸メチル及びヨウ化リチウムは、比較的高い濃度のこれらの成分のそれぞれが存在している場合にのみ速度促進剤として機能し、これらの成分の両方が同時に存在している場合に促進がより高いことが分かっている。
[0030]メタノールの酢酸生成物へのカルボニル化反応は、メタノール供給流を、カルボニル化生成物を形成するのに好適な温度及び圧力の条件において、ロジウム触媒、ヨウ化メチル(MeI)促進剤、酢酸メチル(MeAc)、及び更なる可溶性ヨウ化物塩を含む酢酸溶媒反応媒体を通してバブリングさせている気体状一酸化炭素と接触させることによって行うことができる。一般に、重要なのはヨウ化物と会合するカチオンではなく、触媒系中のヨウ化物イオンの濃度であり、ヨウ化物の所定のモル濃度においては、カチオンの性質はヨウ化物濃度の効果ほどは重要ではないと認識される。塩がヨウ化物の所望のレベルを与えるのに十分に反応媒体中に可溶であるならば、任意の金属ヨウ化物塩、又は任意の有機カチオンの任意のヨウ化物塩、或いはアミン若しくはホスフィン化合物をベースとするもののような他のカチオン(場合によっては第4級カチオン)を反応媒体中に保持することができる。ヨウ化物が金属塩である場合には、好ましくはこれは、"Handbook of Chemistry and Physics", CRC Press刊, Cleveland, Ohio, 2002-03(83版)に示されてい
るような周期律表第IA族及び第IIA族の金属からなる群の元素のヨウ化物塩である。特に、アルカリ金属ヨウ化物が有用であり、ヨウ化リチウムが特に好適である。低水カルボニル化プロセスにおいては、ヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンに加えて更なるヨウ化物イオンを、概して、全ヨウ化物イオン濃度が1~25重量%であり、酢酸メチルが概して0.5~30重量%の量で存在し、ヨウ化メチルが概して1~25重量%の量で存在するような量で触媒溶液中に存在させる。ロジウム触媒は、概して200~3000wppmの量で存在する。
[0031]通常のカルボニル化プロセスにおいては、一酸化炭素をカルボニル化反応器中の望ましくは撹拌装置の下方に連続的に導入して、内容物を撹拌するために用いることができる。気体供給流は、好ましくは、この撹拌手段によって反応液体を通して十分に分散される。望ましくは気体状パージ流106を反応器105から排気して、気体状副生成物の蓄積を阻止し、所定の全反応器圧力において設定一酸化炭素分圧を維持する。反応器の温度は制御することができ、一酸化炭素供給流は、所望の全反応器圧力を維持するのに十分な速度で導入する。液体反応媒体を含む流れ105が反応器105から排出される。
[0032]酢酸製造システムは、好ましくは、酢酸を回収し、金属触媒、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び他のシステム成分をプロセス内で再循環するのに用いる分離システム108を含む。1以上の再循環流を、反応器中に導入する前に混合することができる。分離システムはまた、好ましくは、カルボニル化反応器内及びシステム全体にわたる水及び酢酸の含量を制御し、過マンガン酸塩還元性化合物(PRC)の除去を促進する。PRCとしては、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2-エチルクロトンアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、及びこれらのアルドール縮合生成物を挙げることができる。
[0033]反応媒体を、カルボニル化反応器105から、その中の一定のレベルを維持するのに十分な速度で引き抜き、流れ113を通してフラッシャー110に供給する。フラッシュ分離は、80℃~200℃の温度において、1~10気圧の絶対圧下で行うことができる。フラッシャー110内において、反応媒体をフラッシュ分離工程で分離して、酢酸を含む蒸気生成物流112、及び触媒含有溶液を含む液体再循環流111を得る。
[0034]酢酸に加えて、蒸気生成物流112はまた、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、PRCも含む。反応器105から排出されてフラッシャー110に導入される溶解ガスは、一酸化炭素の一部を含み、またメタン、水素、及び二酸化炭素のような気体状副生成物も含む可能性がある。かかる溶解ガスは、蒸気生成物流112の一部としてフラッシャー110から排出される。一態様においては、気体状パージ流106中の一酸化炭素をフラッシャー110の基部に供給して、ロジウムの安定性を向上させる。液体再循環流111中の触媒含有溶液は、主として酢酸で、更にロジウム及びヨウ化物塩を、より小量の酢酸メチル、ヨウ化メチル、及び水と一緒に含む可能性がある。液体再循環流111中の触媒含有溶液は、上記で議論したように反応器に再循環する。
III.最終酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度:
[0035]本明細書に記載するように、本発明方法によって、酢酸生成物、好ましくは、好ましくは10wppm以下、例えば9wppm以下、8wppm以下、6wppm以下、2wppm以下の濃度の酢酸ブチルを有し、或いは酢酸ブチルを実質的に含まない、例えば検出できない高純度酢酸生成物が形成される。範囲に関しては、酢酸生成物は、0~10wppm、例えば0.1~9wppm、0.2~8wppm、0.3~6wppm、又は0.5~2wppmの酢酸ブチル含量を有することができる。高純度酢酸生成物はまた、好ましくは、250wppm未満、例えば225wppm未満、又は200wppm未満のプロピオン酸のプロピオン酸濃度も有する。高純度酢酸生成物の酢酸ブチル濃度を制
御するために調節することができる1つの変数は、反応媒体中のアセトアルデヒド濃度である。本明細書において開示するように、酢酸ブチルは酢酸及びブタノールから形成される副生成物であり、図1に示すように結局のところはアセトアルデヒドから誘導される。而して、アセトアルデヒド濃度を減少させると、酢酸ブチル濃度は一般に減少する。図2におけるものなどのアセトアルデヒド除去システムを本明細書において更に記載する。好ましくは、反応媒体中のアセトアルデヒド濃度は、1500wppm未満、例えば900wppm未満、500wppm未満、又は400wppm未満のアセトアルデヒドに維持する。
[0036]反応媒体中のアセトアルデヒド濃度は、反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去することによって制御することができる。これは、反応器に再循環することを意図しており、蒸気オーバーヘッド流から誘導される流れを含むが、酢酸生成物流は除外される。
[0037]ここで、反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去することに加えて、最終酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度は、反応温度、水素分圧、及び反応媒体中の金属触媒濃度の少なくとも1つを調節することによって制御することができることが見出された。反応温度は、150~250℃、例えば180~225℃の範囲内に調節することができる。水素分圧は、0.3~2気圧、例えば0.3~1.5気圧、0.4~1.5気圧、又は0.3~1気圧の範囲内に調節することができる。幾つかの形態においては、水素分圧は少なくとも0.3気圧、例えば少なくとも0.35気圧、少なくとも0.4気圧、又は少なくとも0.5気圧である。1気圧は約101.33kPa及び14.70psiに等しいことが理解される。水素分圧を上昇させると、二酸化炭素成分が減少するので、一酸化炭素及び水の二酸化炭素及び水素への水性ガスシフト反応が影響を受ける。また、水素分圧を上昇させると温度を低下させることも可能になり、減少した運転コストがもたらされる。最後に、水素分圧を上昇させると、反応平衡が活性形態のロジウムによりシフトされることによって、金属触媒の活性、例えばロジウムの活性が増大する。しかしながら、水素分圧を上昇させると、不純物の生成も増加する。而して、水素分圧及び反応温度は、満足できる収率、コスト、及び不純物濃度を達成するようにバランスを取る。水素分圧は、一酸化炭素供給源中の水素の量を変化させるか、或いは反応器排気流を増加させることによって調節することができる。
[0038]図1において開示する反応メカニズムに基づくと、プロピオン酸の濃度は、酢酸生成物中の酢酸ブチルの濃度によって影響を受ける可能性がある。プロピオン酸の濃度は、アセトアルデヒドの濃度、メタノール供給源中のエタノール含量、水素分圧、一酸化炭素供給源中の水素含量、及び反応圧力などの他の変数によって影響を受ける可能性がある。エタノールは、メタノール供給源中に不純物として存在する可能性があり、メタノール供給源は1~150wppm、例えば1~100wppm、1~50wppm、又は1~25wppmのエタノールを含む可能性がある。メタノール供給源中のエタノール濃度は変化する可能性がある。場合によっては、カルボニル化反応器に供給する前にメタノール供給源を精製して、メタノール含量を増加させてエタノール含量を減少させる。したがって、メタノール供給源中のエタノール濃度は、1wppm未満、例えばエタノールを含まなくすることができる。
IV.酢酸の回収:
[0039]酢酸の蒸留及び回収は、本発明の目的のためには特に制限されない。蒸気生成物流から酢酸を回収する従来の方法とは異なり、本発明は、蒸気生成物流、及び酢酸で富化された蒸気生成物流から凝縮される液体流の両方から酢酸を回収する。
[0040]図2に示されるように、蒸気生成物流112は、軽質留分カラムとも呼ぶ第1の
カラム120に送る。蒸留によって、低沸点のオーバーヘッド蒸気流122、好ましくは側流124によって取り出される精製された酢酸生成物、及び高沸点の残渣流121が生成する。一態様においては、低沸点のオーバーヘッド蒸気流122は、40~80重量%の水、酢酸メチル、ヨウ化メチル、及びアセトアルデヒドなどのカルボニル不純物を含む。側流124は、85~98重量%の酢酸、1~5重量%の水、0.1~5重量%のヨウ化メチル、及び0.1~5重量%の酢酸メチルを含む可能性がある。側流124によって取り出される酢酸は、好ましくは、乾燥カラムとも呼ぶ第2のカラム125などにおける更なる精製にかけて、側流124を、主として水を含むオーバーヘッド流126、及び主として酢酸、例えば酢酸生成物を含む塔底流127に分離する。カラム125において、プロピオン酸は250wppm未満の量で酢酸生成物と共に濃縮され、酢酸生成物からは除去されない。幾つかの態様においては、酢酸生成物は、カラム125から側流(図示せず)として回収することができる。有利なことに、これによって、酢酸からプロピオン酸を除去するための更なる分離工程の必要性が回避される。例えば、重質留分の除去は必要ない。
[0041]オーバーヘッド流126は50~75重量%の水を含む可能性がある。また、酢酸メチル及びヨウ化メチルも側流から取り出されて、オーバーヘッド流中に濃縮される。乾燥カラム塔底流127は、好ましくは酢酸を含む。好ましい態様においては、乾燥カラム塔底流127は、90重量%より多く、例えば95重量%より多く、又は98重量%より多い量の酢酸を含み、250wppm未満のプロピオン酸を含む。乾燥カラム塔底流127は、商業的利用のために貯蔵又は輸送する前に、例えばイオン交換樹脂に通すことによって更に処理することができる。
[0042]第1のカラム120から分離される低沸点のオーバーヘッド蒸気流122は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水のような反応成分を含み、これらの反応成分はプロセス内に保持することが好ましい。低沸点のオーバーヘッド蒸気流122は、熱交換器内で流れ133に凝縮させる。流れ133の少なくとも一部を、ここで議論するPRC除去ユニット131に送ることができる。場合によっては、流れ133の一部を、反応器105に再循環し、及び/又は第1のカラム120に還流する。同様に、第2のカラム125からのオーバーヘッド流126は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水のような反応成分を含み、これらの反応成分はプロセス内に保持することが好ましい。オーバーヘッド流126は、熱交換器内で流れ136に凝縮し、これは反応器105に再循環し、及び/又は第2のカラム125に還流する。オフガス成分は、ライン135を通して、凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流126から排気することができる。流れ133中の凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流と同様に、流れ136中の凝縮されたオーバーヘッド流も水性相及び有機相に分離することができ、これらの相は、反応媒体中における濃度を維持するために必要な場合には再循環又は還流することができる。
[0043]排気流、特にライン106、132、135、及び122から残渣液体を回収するために、これらのラインを、冷却したメタノール及び/又は酢酸を用いて運転されるスクラバーに供給して、酢酸メチル及びヨウ化メチルを除去することができる。好適なスクラバーは、米国特許8,318,977(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
[0044]本発明の蒸留カラムは、通常の蒸留カラム、例えば棚段塔、充填塔などであってよい。蒸留カラムの材料は制限されず、ガラス、金属、セラミックを挙げることができ、又は他の好適な材料を用いることができる。棚段塔に関しては、理論段数は分離する成分によって左右する可能性があり、50段以下、例えば5~50、又は7~35段を含ませることができる。
V.PRC除去システム(PRS):
[0045]PRSには単一の抽出段階を含ませることができ、或いは例えば米国特許7,223,886に記載されているように複数の抽出段階を含ませることができ、場合によっては多段対向流抽出を含む。種々の態様によれば、例えば(i)PRS蒸留カラム、及び/又は(ii)PRS抽出段階のいずれか又は両方から誘導される1以上の流れを、システム、例えば酢酸製造システムに関する分離システムの(i)軽質留分除去カラム及び/又は(ii)乾燥カラムのいずれか又は両方に戻すことができる。例えば、PRSカラムからの塔底流の第1の部分、例えばアリコート部分を、更なる処理のために軽質留分カラム120に送ることができ、或いはPRSカラムからの塔底流の第2の部分、例えばアリコート部分を、更なる処理のために乾燥カラム125、好ましくは乾燥カラム125の上部部分に送ることができる。他の例として、特にヨウ化メチルを含むPRS抽出ユニットからのラフィネートを、システム、例えば軽質留分カラム又は乾燥カラムに戻すことができ、或いはラフィネートをデカンター140に直接加えることができ、及び/又は反応器105に戻すことができる。
[0046]本明細書及び特許請求の範囲の目的のためには、軽質留分除去カラム及び乾燥カラムのオーバーヘッド流及びオーバーヘッドデカンターは、軽質留分カラム及び乾燥カラムの一部とみなされる。
[0047]上記に示したように、低沸点のオーバーヘッド蒸気流133のいずれの相も、続いて処理してPRCを除去することができる。而して、流れ133のいずれの相も、反応媒体から誘導される流れと呼ぶことができる。
[0048]本明細書の目的のためには、「アリコート部分」という用語は、(i)それがそれから誘導される親流と同じ組成を有する親流の一部;及び(ii)それがそれから誘導される親流と同じ組成を有する親流の一部、及びそれと混合した1以上の更なる流れを含む流れ;の両方を指すことを理解すべきである。而して、PRS蒸留塔底流のアリコート部分を含む戻り流を軽質留分カラムに送ることには、PRS蒸留塔底流の一部を軽質留分カラムに直接送ること、並びに(i)PRS蒸留塔底流の一部、及び(ii)軽質留分カラム中に導入する前にそれと混合する1以上の更なる流れを含む誘導流を送ることが包含される。「アリコート部分」は、例えば蒸留工程又は相分離工程において形成される流れ(これらは、それらがそれから誘導される親流と組成的に同じではなく、かかる流れからも誘導されない)を包含しない。
[0049]本開示の利益を享受する当業者であれば、所望の結果を達成するようにPRS蒸留カラムを設計及び運転することができる。したがって、このプロセスの実施は、特定の蒸留カラムの具体的な特徴、又は全段数、供給点、還流比、供給温度、還流温度、カラム温度プロファイルなどのようなその運転特性に必ずしも限定されない。
[0050]幾つかの場合においては、軽質留分蒸留カラムの低沸点オーバーヘッド蒸気流から、より好ましくは軽質留分蒸留カラム120からの低沸点オーバーヘッド蒸気流の凝縮軽質相133から、PRC、主としてアセトアルデヒドのようなアルデヒドを除去することが有利である可能性がある。
[0051]PRS131からの流れの1以上を、直接か又は間接的にシステムに戻す、例えば再循環させることができる。PRSは、好ましくはPRCを減少及び/又は除去するために少なくとも1つの蒸留カラム及び少なくとも1つの抽出カラムを含む。米国特許公開2011/0288333(参照として本明細書中に包含する)においては、本方法と共に用いることができる種々のPRSの態様が記載されている。
[0052]一態様においては、図2に示されるように、PRS131は、カラム145、アキュムレーター150、及び抽出器155を含む。低沸点オーバーヘッド蒸気流133の少なくとも一部をデカンター140に送って、重質相流141、及び軽質相142を形成する。場合によっては、流れ142の一部を、流れ142’によってカラム120に戻す。更には、重質相141の一部を反応器105に戻すことができる。場合によっては、スリップ流(図示せず)、例えば重質相141の5~40体積%又は5~20体積%をPRS131に送る。オフガス成分は、ライン132を通してデカンター140から排気することができる。
[0053]軽質相142の少なくとも一部は、カラム145に送って、蒸気オーバーヘッド流146、並びに水、酢酸メチル、メタノール、及びこれらの混合物を含む塔底プロセス流147を形成する。蒸気オーバーヘッド流146は、凝縮器に通してアキュムレーター150内で回収する。凝縮された蒸気オーバーヘッド流の一部は、ライン151を通してカラム145に戻すことができる。凝縮された蒸気オーバーヘッド流の他の部分は、ライン152を通して抽出器155に送って、少なくとも1種類のPRC、例えばアセトアルデヒドを含む廃棄流156、及びヨウ化メチルを含むプロセス流157を形成する。水性流を、ライン158を通して抽出器155に対向流を得る位置において供給することができる。
[0054]ジメチルエーテル(DME)を、水性抽出相中におけるヨウ化メチルの溶解度を減少させるのに十分な量でPRS中に存在させることができる。水性抽出相中のヨウ化メチルの量を減少させることによって、廃棄流156中へのヨウ化メチルの損失が減少する。幾つかの態様においては、これによって、米国特許7,223,886及び8,076,507(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているような多回抽出を可能にすることができる。DMEの量はヨウ化メチル濃度に応じて変動させることができ、幾つかの態様においては、DMEの量は、3~9重量%、例えば4~8重量%の範囲にすることができる。DMEは、PRS中に存在させるか、又は(一般にはカラム145に水を加えることにより)PRSに水を加えることによってPRS中で形成するか、或いは(一般に抽出器155の蒸留でDMEを加えることによって)PRSに加えることができる。
VI.保護床:
[0055]ハロゲン化物及び/又は腐食金属で汚染されているカルボン酸流、例えば酢酸流は、広範囲の運転条件下でイオン交換樹脂組成物と接触させることができる。好ましくは、イオン交換樹脂組成物は保護床内で与える。汚染されている
カルボン酸流を精製するために保護床を用いることは、当該技術において文書で十分に記載されており、例えば米国特許4,615,806;5,653,853;5,731,252;及び6,225,498(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一般に、汚染されている液体カルボン酸流を、好ましくは保護床内に配置されている本発明のイオン交換樹脂組成物と接触させる。ハロゲン化物汚染物質、例えばヨウ化物汚染物質が金属と反応して金属ヨウ化物を形成する。幾つかの態様においては、ヨウ化物と会合させることができる炭化水素基、例えばメチル基によってカルボン酸がエステル化される可能性がある。例えば、ヨウ化メチルで汚染されている酢酸の場合には、ヨウ化物除去の副生成物として酢酸メチルが生成する。このエステル化生成物の形成は、通常は処理されたカルボン酸流に対して有害な影響を与えない。
[0056]接触工程中の圧力は、樹脂の物理的強度のみによって制限される。一態様においては、接触は、0.1MPa~1MPa、例えば0.1MPa~0.8MPa、又は0.1MPa~0.5MPaの範囲の圧力において行う。しかしながら、便宜上の理由で圧力及び温度の両方を、好ましくは汚染されているカルボン酸流が液体として処理されるよう
に定めることができる。而して、例えば経済学的考察に基づいて一般に好ましい大気圧において運転する場合には、温度は、17℃(酢酸の凝固点)乃至118℃(酢酸の沸点)の範囲にすることができる。他のカルボン酸化合物を含む生成物流に関して同様の範囲を定めることは当業者の理解しうる範囲内である。接触工程の温度は、好ましくは樹脂の分解を最小にするように比較的低く維持する。一態様においては、接触は、25℃~120℃、例えば25℃~100℃、又は50℃~100℃の範囲の温度において行う。幾つかのカチオン巨大網状樹脂は、通常は、150℃の温度において(酸触媒芳香族脱スルホン化のメカニズムによって)分解し始める。5個以下の炭素原子、例えば3個以下の炭素原子を有するカルボン酸は、これらの温度において液体状態を維持する。而して、接触中の温度は、用いる樹脂の分解温度より低く維持しなければならない。幾つかの態様においては、運転温度は、液相運転及びハロゲン化物除去の所望の反応速度論と合致する樹脂の温度限界より低く維持する。
[0057]酢酸精製系列内の保護床の構成は広く変化させることができる。例えば、保護床は乾燥カラムの後に配することができる。更には又は或いは、保護床は、重質留分除去カラム又は仕上げカラムの後に配することができる。好ましくは、保護床は、酢酸生成物流の温度が低く、例えば120℃未満、又は100℃未満である位置に配する。上記で議論した有利性に加えて、より低い温度における運転によって、より高い温度における運転と比べて腐食がより少なくなる。より低い温度における運転によって、腐食金属汚染物質(これは上記で議論したように全体的な樹脂の寿命を減少させる可能性がある)の形成がより少なくなる。また、より低い運転温度によって腐食がより少なくなるので、有利なことに高価な耐腐食性金属で容器を形成する必要がなく、より低いグレードの金属、例えば標準的なステンレススチールを用いることができる。
[0058]一態様においては、保護床を通る流速は、0.1床体積/時(BV/時)~50BV/時、例えば1BV/時~20BV/時、又は6BV/時~10BV/時の範囲である。有機媒体の床体積は、樹脂床によって占められる体積に等しい媒体の体積である。1BV/時の流速は、樹脂床によって占められる体積に等しい量の有機液体が1時間の間で樹脂床を通過することを意味する。
[0059]全ヨウ化物濃度が高い精製された酢酸生成物によって樹脂が使い尽くされることを回避するために、一態様においては、精製された酢酸生成物の全ヨウ化物濃度が1wppm未満である場合には、塔底流127中の精製された酢酸生成物を保護床と接触させる。全ヨウ化物濃度には、有機のC~C14アルキルヨウ化物、及びヨウ化水素のような無機源の両方からのヨウ化物が含まれる。保護床処理の結果として、精製された酢酸組成物が得られる。精製された酢酸組成物は、一態様においては、100wppb未満、例えば90wppb未満、50wppb未満、又は25wppb未満のヨウ化物を含む。一態様においては、精製された酢酸組成物は、100wppb未満、例えば750wppb未満、500wppb未満、又は250wppb未満の腐食金属を含む。範囲に関しては、精製された酢酸組成物は、0~100wppb、例えば1~50wppbのヨウ化物;及び/又は0~1000wppb、例えば1~500wppbの腐食金属;を含むことができる。他の態様においては、保護床によって、粗酢酸生成物からヨウ化物の少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%を除去する。一態様においては、保護床によって、粗酢酸生成物から腐食金属の少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%を除去する。
VII.実施例:
[0060]本発明は、下記の非限定的な実施例を考慮するとより良好に理解される。
実施例1:
[0061]次のようにして最終酢酸生成物を調製した。反応媒体は、10.8重量%のヨウ化メチル、2.5重量%の酢酸メチル、4.1重量%の水、657wppmのロジウム、及び8.4重量%のヨウ化リチウムを含んでいた。反応温度は191.8℃であった。水素分圧は0.46気圧であった。反応媒体をフラッシングし、次に、本明細書に記載するように軽質留分カラム、PRS、及び乾燥カラム内で分離した。最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの濃度を時間と共に測定した。結果を図3に示す。酢酸ブチル濃度は、最終酢酸生成物中において一貫して8wppmより低かった。
実施例2:
[0062]水素分圧が0.30気圧であった他は、実施例1のようにして最終酢酸生成物を調製した。最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの濃度を時間と共に測定した。結果を図4に示す。酢酸ブチル濃度は、最終酢酸生成物中において一貫して6wppmより低かった。
実施例3:
[0063]水素分圧が0.61気圧であった他は、実施例1のようにして最終酢酸生成物を調製した。最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの濃度を時間と共に測定した。結果を図5に示す。酢酸ブチル濃度は、最終酢酸生成物中において一貫して2wppmより低かった。
実施例4:
[0064]反応媒体が約7重量%のヨウ化メチル、約2重量%の酢酸メチル、約2重量%の水、約1500wppmのロジウム、及び9重量%~10重量%のヨウ化リチウムを含んでいた他は、実施例1のようにして最終酢酸生成物を調製した。反応温度は約200℃であった。水素分圧は0.44気圧であった。酢酸ブチル濃度は、最終酢酸生成物中において一貫して10wppmより低かった。
比較例A:
[0065]米国特許6,303,813の実施例3において示されているように、次のようにして最終酢酸生成物を調製した。反応媒体は、10.8重量%のヨウ化メチル、2.5重量%の酢酸メチル、4.1重量%の水、657wppmのロジウム、及び8.4重量%のヨウ化リチウムを含んでいた。反応温度は191.8℃であった。水素分圧は0.46気圧であった。反応媒体をフラッシングし、次に本明細書に記載するように軽質留分カラム及び乾燥カラム内で分離した。PRSは用いなかった。最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの濃度は13wppmであった。
比較例B:
[0066]米国特許6,303,813の実施例4において示されているように、次のようにして最終酢酸生成物を調製した。反応媒体は、10.8重量%のヨウ化メチル、2.5重量%の酢酸メチル、4.1重量%の水、657wppmのロジウム、及び8.4重量%のヨウ化リチウムを含んでいた。反応温度は191.8℃であった。水素分圧は0.30気圧であった。反応媒体をフラッシングし、次に本明細書に記載するように軽質留分カラム及び乾燥カラム内で分離した。PRSは用いなかった。最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの濃度は16wppmであった。
[0067]本発明を詳細に記載したが、発明の精神及び範囲内の修正は当業者に容易に明らかになるであろう。上記の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景及び詳細な説明に関連して上記で議論した参照文献(これらの開示事項は全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると。更に、下記及び/又は添付の特許請求の範囲において示されている本発明の複数の形態並びに種々の態様及び種々の特徴の複数の部分を、完全か又は部分的に結合又は交換することができることを理解すべきである。当業者に認められるように、種々の態様の上記の記載においては他の態様を示すこれらの態様を他の態様と適当に組み合わせることができる。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみの目的であり、本発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1]
酢酸生成物の製造方法であって、メタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群から選択される少なくとも1つを、反応器内において、水、金属触媒、ヨウ化メチル、及びハロゲン化物塩の存在下で一酸化炭素で連続的にカルボニル化して反応媒体を形成する工程であって、該カルボニル化を、150~250℃の温度、0.3~2気圧の水素分圧、及び該反応媒体の重量を基準として100~3000wppmの金属触媒濃度において行う工程、該反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去して酢酸生成物を形成する工程、及び該酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を10wppm以下に維持する工程を含む方法。
[2]
[1]に記載の方法であって、該反応媒体が1500wppm未満のアセトアルデヒドを含む方法。
[3]
[1]に記載の方法であって、該反応媒体が0.1~3.5重量%の水を含む方法。
[4]
[1]に記載の方法であって、該反応媒体が400~1500wppmの金属触媒を含む方法。
[5]
[1]に記載の方法であって、該水素分圧が0.3~1.5気圧である方法。
[6]
[1]に記載の方法であって、該水素分圧が0.4~1.5気圧である方法。
[7]
[1]に記載の方法であって、該メタノールが1~150wppmのエタノールを含むメタノール供給源で該反応器中に導入される方法。
[8]
[1]に記載の方法であって、該酢酸生成物が250wppm未満のプロピオン酸を含む方法。
[9]
[1]に記載の方法であって、該反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去することが、
(a)少なくとも一部の該反応媒体を分離して、酢酸を含む蒸気オーバーヘッド流、及び揮発性がより低い触媒相を与え;
(b)該蒸気オーバーヘッド流を蒸留して、精製酢酸生成物、並びにヨウ化メチル、水、酢酸、酢酸メチル、及びアセトアルデヒドを含む第1のオーバーヘッド流を生成させ;
(c)該第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部を蒸留して第2のオーバーヘッド流及び液相残渣を形成し、ここで該第2のオーバーヘッド流は該第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部に関してアセトアルデヒドで富化されており;そして
(d)該第2のオーバーヘッド流を水で抽出して、アセトアルデヒドを含む水性アセトアルデヒド流、及びヨウ化メチルを含むラフィネートを得る;
ことを含む方法。
[10]
[9]に記載の方法であって、該第1のオーバーヘッド流を凝縮し及び二相分離して軽質液相及び重質液相を形成することを更に含み、ここで工程(c)において蒸留される該第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部が軽質液相を含む方法。
[11]
[9]に記載の方法であって、該第1のオーバーヘッド流を凝縮し及び二相分離して軽質液相及び重質液相を形成することを更に含み、ここで工程(c)において蒸留される該第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部が重質液相を含む方法。
[12]
酢酸の製造方法であって、酢酸、メタノール、酢酸メチル、4重量%未満の水、金属触媒、ヨウ化メチル、及びハロゲン化物有機塩を含む反応媒体を与え;
該反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去して酢酸生成物を形成し;
そして
該酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を10wppm以下に維持する;
ことを含む方法。
[13]
[12]に記載の方法であって、該反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去することにより、及び、反応温度、水素分圧、及び該反応媒体中の金属触媒濃度の少なくとも1つを調節することによって、該酢酸ブチル濃度が維持される方法。
[14]
[13]に記載の方法であって、該水素分圧が0.3~2気圧である方法。
[15]
[13]に記載の方法であって、該水素分圧が少なくとも0.4気圧である方法。
[16]
[13]に記載の方法であって、該アセトアルデヒドを除去することが、
(a)少なくとも一部の該反応媒体を分離して、酢酸を含む蒸気オーバーヘッド流、及び揮発性がより低い触媒相を与え;
(b)該蒸気オーバーヘッド流を蒸留して、精製酢酸生成物、並びにヨウ化メチル、水、酢酸、酢酸メチル、及びアセトアルデヒドを含む第1のオーバーヘッド流を生成させ:
(c)少なくとも一部の該第1のオーバーヘッド流を蒸留して第2のオーバーヘッド流及び液相残渣を形成し、ここで該第2のオーバーヘッド流は少なくとも一部の該第1のオーバーヘッド流に関してアセトアルデヒドで富化されており;そして
(d)該第2のオーバーヘッド流を水で抽出して、アセトアルデヒドを含む水性アセトアルデヒド流、及びヨウ化メチルを含むラフィネートを得る;
ことを含む方法。
[17]
[16]に記載の方法であって、該第1のオーバーヘッド流を凝縮し及び二相分離して軽質液相及び重質液相を形成することを更に含み、ここで工程(c)において蒸留される該第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部が軽質液相を含む方法。
[18]
[16]に記載の方法であって、該第1のオーバーヘッド流を凝縮し及び二相分離して軽質液相及び重質液相を形成することを更に含み、ここで工程(c)において蒸留される該第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部が重質液相を含む方法。
[19]
[16]に記載の方法であって、該酢酸生成物が250wppm未満のプロピオン酸を含む方法。
[20]
酢酸生成物の製造方法であって、
メタノールを、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下において一酸化炭素と連続的に反応させて反応媒体を形成する工程であって、該反応が、100~300℃の温度、及び0.3~2気圧の水素分圧において行われ、該反応媒体が100~3000wppmのロジウムを含む工程;
該反応媒体から酢酸生成物を分離する工程;
該酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を測定する工程;
該酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度が10wppmよりも高い場合には、該温度、該水素分圧、及び該ロジウム触媒濃度の少なくとも1つを調節する工程;及び
該反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去して、該反応媒体中において1500wppm未満のアセトアルデヒド濃度を維持する工程;
を含む方法。

Claims (9)

  1. 酢酸生成物の製造のための連続方法であって、
    )メタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群から選択される少なくとも1つを、反応器内において、4重量%未満の水、ロジウム触媒、ヨウ化メチル、及びヨウ化リチウムの存在下で、一酸化炭素で連続的にカルボニル化して、反応媒体を形成、ここで、該カルボニル化は、150~250℃の温度、0.3~2気圧の水素分圧、及び該反応媒体の重量を基準として100~3000wppmのロジウム触媒濃度において行われる;
    (2)該反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去し、ここで、該反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去することが、
    )少なくとも一部の該反応媒体を分離して、酢酸を含む蒸気オーバーヘッド流、及び揮発性がより低い触媒相を与え;
    )該蒸気オーバーヘッド流を蒸留して、酢酸を含む流れ、並びにヨウ化メチル、水、酢酸、酢酸メチル、及びアセトアルデヒドを含む第1のオーバーヘッド流を生成させ;
    )該第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部を蒸留して第2のオーバーヘッド流及び液相残渣を形成しここで該第2のオーバーヘッド流は該第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部に関してアセトアルデヒドで富化されており
    (d)該第2のオーバーヘッド流を水で抽出して、アセトアルデヒドを含む水性アセトアルデヒド流、及びヨウ化メチルを含むラフィネートを得;そして
    (e)該ラフィネートを該反応器に戻す;
    ことを含む;そして
    工程(b)で得られた該酢を含む流れを蒸留して、塔底流として酢酸生成物を得る;
    ことを含む該方法であり、ここで、該酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度が10wppm以下に維持されており、そして、該酢酸生成物が250wppm未満のプロピオン酸を含む該方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、該反応媒体が1500wppm未満のアセトアルデヒドを含む該方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、該水が0.1~3.5重量%で存在する該方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、該反応媒体が400~1500wppmのロジウム触媒を含む該方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、該水素分圧が0.3~1.5気圧である該方法。
  6. 請求項1に記載の方法であって、該水素分圧が0.4~1.5気圧である該方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、該メタノールが1~150wppmのエタノールを含むメタノール供給源で該反応器中に導入される該方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、該第1のオーバーヘッド流を凝縮し及び二相分離して、軽質液相を含む第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部及び重質液相を含む第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部を形成することを更に含み、ここで、該軽質液相を含む第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部が工程()において蒸留される該方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、該第1のオーバーヘッド流を凝縮し及び二相分離して、軽質液相を含む第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部及び重質液相を含む第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部を形成することを更に含み、ここで、該重質液相を含む第1のオーバーヘッド流の少なくとも一部が工程()において蒸留される該方法。
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