JP7078198B1 - ルウ用油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
そのなかでも特に、カレー、ハヤシなどの加工食品に使用されるルウにおいて、ルウ用油脂組成物の原材料にパーム油などの植物油脂を使用した場合、ルウ用油脂組成物の原材料に豚脂や牛脂を使用した場合と風味が異なる状況であった。
(1) ヨウ素価が50~80のシア脂を25~100質量%含有するルウ用油脂組成物、
(2) 米糠による風味付けを行なう、(1)に記載のルウ用油脂組成物、
(3) 米糠による風味付けを行なった油脂を含む、(1)に記載のルウ用油脂組成物、
(4) 酵母エキス0.2~40質量%及び還元糖0.2~60質量%を同時に含む水相を0.01~1質量%含有する、(1)に記載のルウ用油脂組成物、
(5) 酵母エキス0.2~40質量%及び還元糖0.2~60質量%を同時に含む水相を0.01~1質量%含有する、(2)に記載のルウ用油脂組成物、
(6) 酵母エキス0.2~40質量%及び還元糖0.2~60質量%を同時に含む水相を0.01~1質量%含有する、(3)に記載のルウ用油脂組成物、
(7) ヨウ素価が30~50のシア脂を25~100質量%含有するルウ用油脂組成物、
(8) 米糠による風味付けを行なう、(7)に記載のルウ用油脂組成物、
(9) 米糠による風味付けを行なった油脂を含む、(7)に記載のルウ用油脂組成物、
(10) 酵母エキス0.2~40質量%及び還元糖0.2~60質量%を同時に含む水相を0.01~1質量%含有する、(7)~(9)のいずれか1項に記載のルウ用油脂組成物、
(11) (1)~(6)のいずれか1項に記載のルウ用油脂組成物、調味料及び穀物粉を含有する、ルウ、
(12) (7)~(10)のいずれか1項に記載のルウ用油脂組成物、調味料及び穀物粉を含有する、ルウ、
(13) カレー用である、(11)に記載のルウ、
(14) カレー用である、(12)に記載のルウ、
(15) (11)に記載のルウを使用した、加工食品、
(16) (12)に記載のルウを使用した、加工食品、
(17) (13)に記載のルウを使用した、加工食品、
(18) (14)に記載のルウを使用した、加工食品、
(19) (11)に記載のルウを使用することを特徴とする、加工食品のコク味増強方法、
(20) (12)に記載のルウを使用することを特徴とする、加工食品のコク味増強方法、
(21) (13)に記載のルウを使用することを特徴とする、加工食品のコク味増強方法、
(22) (14)に記載のルウを使用することを特徴とする、加工食品のコク味増強方法、
、である。
好ましい態様として、カレー、ハヤシ、シチューなどの加工食品に使用されるルウにおいて、本発明のルウ用油脂組成物を使用したルウから作製された加工食品は、ルウ用油脂組成物の原材料に豚脂や牛脂を使用した場合と同等な風味を得ることができる。好ましくは、豚脂や牛脂の配合量を減少することができる。より好ましくは、豚脂や牛脂の配合量がルウに含まれる全油脂中の20質量%以下、さらに好ましくは、豚脂や牛脂を配合することなく良好な風味を得ることができる。
より好ましい態様は、カレーに使用されるルウにおいて、本発明のルウ用油脂組成物を使用することで、ルウ用油脂組成物の原材料に豚脂や牛脂を使用した場合と同等な風味を得ることができる。好ましくは、豚脂や牛脂の配合量を減少することができる。より好ましくは、豚脂や牛脂の配合量がルウに含まれる全油脂中の20質量%以下、さらに好ましくは、豚脂や牛脂を配合することなく良好な風味を得ることができる。
シア脂はアフリカ北中部の通称シアベルトと呼ばれる地域に生息しているシアバターノキ(Butyrospermum parkii)の種子から得られる油脂の総称である。シア脂は常温で固形状であり、そのままの物性で利用される場合もあるが、カカオ脂の代用油脂として固体部の機能を高めるために、固体部と液状部に分別して利用される場合が多い。分別して得られた固体側は、カカオ脂の代用油脂として使用される他に、優れた特性を活かして、チョコレート製品の表面が白色化したり内部が粉状化したりする、いわゆるファットブルームを防止するなど、チョコレートの機能を高める目的で利用されることも多く、主にチョコレート製品に利用されている(特許文献3~5)。
前記したとおり、シア脂は固体部や液状部など用途に応じた種々の加工油脂が存在するが、本発明では、かかるシア脂の加工油脂を制限無く使用することができる。
ヨウ素価が30~80のシア脂を使用することが好ましく、より好ましくは、ヨウ素価が35~80、さらに好ましくは、ヨウ素価が50~80、さらにより好ましくはヨウ素価が60~80のシア脂を使用することが、加工食品に適した風味が得られる点で好ましい。
同様に、米糠による風味付けを行なった油脂を含むことでも、ルウ用油脂組成物を使用したルウから作製された加工食品の味の厚みを補強し、風味を向上させることができる。
また、風味を強調する場合には油脂に対して5質量%以上の添加が一般的であるが、10質量%以上を加えて濃縮風味を作り、これを使用時に油脂で適当に希釈することもできる。
また、米糠に対して10質量%程度のグルコースを同時に添加してもよい。
また、加熱は140~180℃で行う必要があり、下限未満では生臭味が感じられ、逆に上限を越えると焦げ臭を感じるようになる。なお、加熱時間は通常2時間程度でよいが、時間の長短はそれ程影響を与えるものではない。
米糠は、加熱によりローストされた状態となり、極めて良好な特徴のある風味を有するようになる。
それと同時に、米糠の風味成分及びその他の有効な成分が油脂中に溶出する。
次いで、加熱攪拌処理を終了した反応物を冷却し、濾過、遠心分離、デカンチーシラン等、従来公知の分離手段にて油脂と固形分とに分離することによって、米糠による風味付けさえた油脂を得ることができる。
水相における酵母エキスの量は0.2~40質量%であることが望ましく、より望ましくは5~30質量%であり、更に望ましくは10~25質量%である。また、水相における還元糖の量は0.2~60質量%であることが望ましく、より望ましくは5~50質量%であり、更に望ましくは10~40質量%である。水相中に酵母エキス及び還元糖が同時に適当量含有されていることで、加熱した場合に効率的に風味が発現することとなる。
まず水相及び油相をそれぞれ調製する。ここで水相とは、本発明にかかるルウ用油脂組成物の原材料のうち、水及び水に溶ける原料を混合したものである。また、油相は、油脂及び油脂に溶ける原材料を混合したものである。
一例としては、水に還元糖及び酵母エキスを溶解して水相を調製する。また、油脂に、必要に応じ油溶性乳化剤を溶解して、油相を調製する。
なお、本発明においては、市販の酵母エキスあれば種類を問わず使用することができる。
これにより、酵母エキスと還元糖を同時に含む水相を含有するルウ用油脂組成物は完成である。本品を加熱した際に、より良好な風味を発現することができる。
表1に記載の配合と、○カレーの作製方法 に従ってカレーを作製し、○カレーの食感評価方法と基準 に従って評価した、評価結果を表2に記載した。
原料シアバターとアセトンを20:80で混合し、27.5℃で30分間攪拌しながらガム質を析出させた。その後静置し、沈降してきたガム質を濾過して脱ガムシアバターを得た。
続いて、脱ガムシアバターとアセトンが18.5:81.5となるように混合し、弱い攪拌を加えながら徐々に温度を下げ、2.5℃に達したところで30分程度一定温度で保持し、得られた混合液を濾過することで固体部分(シアステアリン)と液体部分(シアオレイン)を得た。
前記分別で得られたシアオレインを常法で精製した、精製シアオレイン(ヨウ素価72)を使用した。
前記分別で得られたシアステアリンを常法で精製した、精製シアステアリン(ヨウ素価36)を使用した。
パーム分別低融点油脂(ヨウ素価68)である「パームエース N」不二製油(株)製を使用した。
コーン白絞油を使用した。
精製菜種油を使用した。
大豆白絞油を使用した。
1.植物性油脂、薄力粉、カレー粉を中火で加熱しながら均一になるよう撹拌を行った。
植物性油脂には、パーム分別高融点油脂等を使用したエステル交換油である、「パーキッドV」不二製油(株)製を使用した。
2.1にコンソメ、砂糖、塩を添加し、よく攪拌した。
3.2に検討油脂を添加してよく攪拌しルウを得た。
4.3のルウ含量が11.2質量%となるようにお湯に溶かして10分煮込んでカレーを得た。
以下の項目で作製したカレーの評価を行った。
油脂の開発業務に携わり、よく訓練された10人のパネラーにより評価を行い、平均化した評価点数を評価結果とした。5点以上を合格とした。
なお、各項目の点数は、検討油脂部に牛豚脂混合油を使用したときを10点として設定した。
(コク味の程度)
10 点: 強くコク味が感じられた
5 点: コク味が感じられた
3 点: コク味が弱いが感じられた
0 点: コク味が感じられない
(後味の広がりの程度)
10 点: 口腔中で油脂の風味の余韻を強く感じられた
5 点: 口腔中で油脂の風味の余韻が感じられた
3 点: 弱いが、口腔中で油脂の風味の余韻を確認できた
0 点: 口腔中で油脂の風味の余韻が確認できず、油脂の風味の残存が見られなかった
(味の厚みの程度)
10 点: 強く味の厚みが感じられた
5 点:味の厚みが感じられた
3 点:味の厚みが弱いが感じられた
0 点:味の厚みが感じられない
(濃厚感の程度)
10 点: 強く濃厚感が感じられた
5 点:濃厚感が感じられた
3 点:濃厚感が弱いが感じられた
0 点:濃厚感が感じられない
(味の複雑さの程度)
10 点: 強く味の複雑さが感じられた
5 点:味の複雑さが感じられた
3 点:味の複雑さが弱いが感じられた
0 点:味の複雑さが感じられない
(まろやかさの程度)
10 点: 強くまろやかさが感じられた
5 点:まろやかさが感じられた
3 点:まろやかさが弱いが感じられた
0 点:まろやかさが感じられない
・実施例1~実施例2のシア脂を使用したカレーの風味は、比較例と較べて豚脂や牛脂と類似した良好な評価結果が得られた。
・比較例1~比較例4は、カレーの風味が劣る結果であった。
・実施例1と実施例2を比較すると、精製シアステアリンを使用した実施例2よりも、精製シアオレイン使用した実施例1が優れていた。
表1に記載の配合と、○カレーの作製方法 に従ってカレーを作製し、○カレーの食感評価方法と基準 に従って評価した、評価結果を表4に記載した。
精製シアオレイン(ヨウ素価72)に対して米糠3質量%とグルコース0.3質量%を加え、約50mmHgの減圧下に攪拌しながら160℃に90分加熱処理した。次いで60℃まで冷却した後、固形分を濾別し、実施例3で使用する検討油脂Aを得た。
パームエースN(不二製油(株)製)に対して米糠3質量%とグルコース0.3質量%を加え、約50mmHgの減圧下に攪拌しながら160℃に90分加熱処理した。次いで60℃まで冷却した後、固形分を濾別し、比較例5で使用する検討油脂Bを得た。
油相の植物性油脂として、精製シアオレイン(ヨウ素価72)を使用して、表3記載の配合と、○酵母エキス含有油脂組成物の調製法 に従い、実施例4で使用する検討油脂を得た。
1.配合中、酵母エキスとして、三菱商事ライフサイエンス(株)社製「アジパルスBF」を使用し、水相に分類される原材料を混合し、水相を調製した。
2.油相に使用する植物性油脂を融解した。
3.油相へ水相を滴下し、高圧ホモゲナイザーで乳化することで、油中水型の油脂組成物とした。
油相の植物性油脂として、パームエースN(不二製油(株)製)を使用して、表3記載の配合と、○酵母エキス含有油脂組成物の調製法 に従い、比較例6で使用する検討油脂を得た。
油相の植物性油脂として、検討油脂Aを使用して、表3記載の配合と、○酵母エキス含有油脂組成物の調製法 に従い、実施例5で使用する検討油脂を得た。
油相の植物性油脂として、シアオレイン(ヨウ素価72)50部と検討油脂B50部との調合油を使用して、表3記載の配合と、○酵母エキス含有油脂組成物の調製法 に従い、実施例6で使用する検討油脂を得た。
油相の植物性油脂として、検討油脂Bを使用して、表3記載の配合と、○酵母エキス含有油脂組成物の調製法 に従い、比較例7で使用する検討油脂を得た。
・実施例3のカレーの風味は、味の厚みが補強され、評価良好であった。
・実施例3と比較例5を比較すると、パーム分別油よりもシアオレインに米糠を接触して得た油脂で評価が優れることが明確になった。
・実施例4のカレーの風味は、中盤のコク味が補強され、評価良好であった。
・実施例4と比較例6を比較すると、パーム分別油よりもシアオレインに酵母エキスとキシロースを添加して得た油脂で評価が優れることが明確になった。
・実施例5のカレーの風味は、、味の厚みと中盤のコク味が補強され、評価良好であった。
・実施例6より、シアオレインにシアオレイン以外の油脂に米糠を接触して得た油脂を組み合わせることでも良好な風味となることが明確になった。
Claims (9)
- ヨウ素価が50~80のシア脂を25~100質量%含有するルウ用油脂組成物。
- ヨウ素価が30~50のシア脂を25~100質量%含有するルウ用油脂組成物。
- 米糠による風味付けを行なう、請求項1又は請求項2に記載のルウ用油脂組成物。
- 米糠による風味付けを行なった油脂を含む、請求項1又は請求項2に記載のルウ用油脂組成物。
- 酵母エキス0.2~40質量%及び還元糖0.2~60質量%を同時に含む水相を0.01~1質量%含有する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のルウ用油脂組成物。
- 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のルウ用油脂組成物、調味料及び穀物粉を含有する、ルウ。
- カレー用である、請求項6に記載のルウ。
- 請求項6又は請求項7に記載のルウを使用した、加工食品。
- 請求項6又は請求項7に記載のルウを使用することを特徴とする、加工食品のコク味増強方法。
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