JP7063696B2 - ハードバター組成物 - Google Patents
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Description
しかし、チョコレートの風味はカカオ分に依るところが大きいため、チョコレート中の油脂分に占めるハードバターの含量を高める等、相対的にカカオ分を低減させると、カカオ風味や、コク味が低下しやすいという課題があった。
ここで、チョコレートの製造時、コンチング工程を経ることで、酢酸等が除去されるとともにメイラード反応による加熱調理臭が付与され、好ましいカカオ風味が得られることが知られているが、ハードバター含量の多いチョコレート等では、コンチング工程を経ても十分なカカオ風味が得られにくい。
また、単にカカオ分を増量させることによっても、チョコレートのカカオ風味やコク味を強化することが可能であるが、コスト面やハードバターとの相溶性等に課題を有していた。
例えば、チョコレート類にカカオ豆由来成分と共に綿実油、米油、胡麻油などを1~12質量%含有させる方法(特許文献1)や、チョコレート類にカカオ豆由来成分と常温で液状の風味油脂、マルトースを一定範囲で含有させる方法(特許文献2)、カカオ風味を生かすために無臭植物油を用いる方法(特許文献3)が開示されている。
しかし、これらの技術に依っても、カカオ風味が強化されにくい他、効果が得られるまで含有させた場合、含有させた液状油の風味が発現しやすいことや、十分コク味が増強されないこと、チョコレートから油がにじみ出る等の問題があった。
胡麻油は「焙煎油」、すなわち胡麻種子を焙煎してから圧搾あるいは抽出して得られる、色が濃く、濃厚な胡麻風味を有する油脂と、「太白油」、すなわち通常の植物油脂と同様に胡麻種子を焙煎することなく搾油し、脱ガム、脱酸、脱色及び脱臭して得られる、透明で無風味の油脂に分類される。
ここで、前者の焙煎油は脱臭するとその特徴が焼失することから、脱臭工程を経ることなくそのままで各種飲食品、特に中華料理や和風料理を中心に胡麻風味を積極的に付与する用途に利用されている。(特許文献4)
また、焙煎胡麻油を利用した油脂組成物に関する発明としては、臭気を有する油脂に50ppm程度のごく少量の焙煎胡麻油を添加して臭気と焙煎油の風味の両方を抑制した油脂組成物(特許文献5)、精製油脂に50%以上となるように焙煎胡麻油を添加した香味を有する精製油脂(特許文献6)などがある。
なお、上述のように焙煎油は脱臭するとその特徴が消失することから、焙煎油を脱臭して精製油とすることは通常はなく、わずかに、臭気を有する油脂に0.01~1%という少量の脱臭焙煎胡麻油を添加して臭気と焙煎油の風味の両方を抑制した油脂組成物(特許文献7)があるのみである。
本発明は上記知見に基づくものであり、即ち、
(1)脱臭焙煎胡麻油を含有するハードバター組成物。
(2)脱臭焙煎胡麻油の脱臭温度が200℃未満である(1)記載のハードバター組成物。
(3)脱臭焙煎胡麻油の焙煎温度が250℃以下である(1)又は(2)記載のハードバター組成物。
(4)脱臭焙煎胡麻油とその他の油脂とを混合する工程を含むハードバター組成物の製造方法。
(5)脱臭焙煎胡麻油を含有する油性菓子。
(6)脱臭焙煎胡麻油を含有させる油性菓子の風味改良方法。
に関するものである。
まず、本発明で使用する脱臭焙煎胡麻油について説明する。
本発明で使用する脱臭焙煎胡麻油とは、胡麻種子を焙煎してから圧搾あるいは抽出して得た焙煎胡麻油を、その後脱臭して得られる油脂である。従来知られている胡麻油には、色が濃く、濃厚な胡麻風味を有する焙煎油や、透明で無風味の太白油があるが、本発明で使用する脱臭焙煎胡麻油は、これらのいずれとも異なる油脂である。なお、圧搾あるいは抽出の方法は特に限定されず公知の方法を用いることができる。
本発明で使用する脱臭焙煎胡麻油の脱臭温度とは、上記減圧水蒸気蒸留の温度を指す。脱臭焙煎胡麻油の脱臭温度は特に制限はなく、通常の油脂と同様の脱臭温度であればよいが、良好なカカオ風味や、良好なコク味を有する油性菓子を得る観点から、200℃未満であることが好ましく、160℃未満であることがより好ましく、130℃未満であることが最も好ましい。
脱臭温度が200℃以上である場合、得られる脱臭焙煎胡麻油に対して加熱臭が付与されやすく、この加熱臭が本発明のハードバター組成物や油性菓子において異味となって感じられ易い。なお、脱臭温度の下限については脱臭の効果を得る観点から90℃以上であることが好ましい。
減圧の程度は、油脂の劣化抑制及び風味維持の観点から絶対圧で1500Pa以下とすることが好ましく、900Pa以下とすることがより好ましい。
また、水蒸気蒸留における水蒸気吹き込み量は、油脂の劣化抑制及び風味維持の観点から、油脂に対して1質量%以上8質量%以下とすることが好ましく、2質量%以上6質量%以下とすることがより好ましい。
本発明のハードバター組成物は、上記の脱臭焙煎胡麻油を含有するものである。本発明のハードバター組成物中における、上記脱臭焙煎胡麻油の含量は、求める風味の質や強度によって、ハードバターとしての機能に影響がない範囲で、任意に設定される。例えば、(1)良好なカカオ風味や、良好なコク味のある油性菓子を得ること、(2)脱臭焙煎胡麻油自体の風味を油性菓子に付与しないこと、の2点を好ましく満たす目的からは、ハードバター組成物中、上記脱臭焙煎胡麻油を0.1~2.5質量%含有することが好ましく、0.3~2.0質量%含有することがより好ましい。
脱臭焙煎胡麻油の含量がハードバター組成物中、0.1質量%未満であると、本発明の効果を得られにくく、本発明のハードバター組成物を用いた場合であっても優れたコク味のある油性菓子が得られにくい。尚、脱臭焙煎胡麻油の含量がハードバター組成物中2.5質量%超であると、優れたコク味のある油性菓子は得られるが、油性菓子にナッツ様の風味が付与されやすい。この風味自体は油性菓子との相性は良好であるが、カカオ風味が相対的に弱まりやすく、本発明の課題の解決が容易ではない場合がある。
上記その他の油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、微細藻類油、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、カカオ脂、シア脂などの植物油脂や、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を使用することができる。
本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ここで、本発明のハードバター組成物の効果を低下させないために、コーン油やオリーブ油等の、上記脱臭焙煎胡麻油以外の、常温で液状である油脂は含有させないことが好ましい。
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグルセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチンが挙げられるが、本発明では、グリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチンを使用することが好ましい。上記乳化剤を使用する場合、その添加量はハードバター組成物100質量部中0.1~5質量部の範囲であることが好ましく、0.1~3質量部であることがより好ましい。
上記酸化防止剤としては、本発明のハードバター組成物を用いて得られる油性菓子の風味を損ねるものでなければ限定されるものではないが、トコフェロール又は茶抽出物を使用することが好ましい。
例えば、既存のハードバターに上記脱臭焙煎胡麻油を添加し、混合する方法が挙げられる。また、ハードバターを製造する際に、その原料油脂の一部として上記脱臭焙煎胡麻油を含有させる方法によっても得ることができる。
本発明の油性菓子は、上記脱臭焙煎胡麻油を含有するものであり、原料の1つとして上記脱臭焙煎胡麻油を含有した油性菓子であり、上記のハードバター組成物を用いて製造された油性菓子も含まれる。
具体的には、本発明における油性菓子とは、油相を連続相とするチョコレート類やクリーム類等であって、その油相中に上記脱臭焙煎胡麻油を含有するものである。
上記チョコレート類は、上記脱臭焙煎胡麻油を、チョコレート類を構成する油相の一部として含有させたものであり、従前知られたチョコレート類と比較して優れたカカオ風味やコク味を有している。
本発明の油性菓子の一であるチョコレート類における、上記脱臭焙煎胡麻油の含有量は、求める風味の質や強度等によっても適宜調整されるが、(1)良好なカカオ風味や、良好なコク味のある油性菓子を得ること(2)脱臭焙煎胡麻油自体の風味を油性菓子に付与しないこと、の2点を好ましく満たす観点から、チョコレート中における上記脱臭焙煎胡麻油の含有量が0.05~0.9質量%となるように含有されることが好ましく、より好ましくは0.1~0.7質量%となるように含有される。
チョコレート類中における上記脱臭焙煎胡麻油の含有量が、上記範囲となるように含有されることにより、本発明の効果が好ましく得られ、チョコレート類のカカオ風味やコク味が向上しやすい。
また、0.9質量%超添加すると、ナッツ様の風味がチョコレート類に付与されやすくなる。
上記の含有量は、チョコレート生地に直接上記脱臭焙煎胡麻油を添加する場合であっても、本発明のハードバター組成物を用いてチョコレート類を製造する場合であっても同様である。
上記チョコレート類は、含有される油相中に上記脱臭焙煎胡麻油を含有する以外は、チョコレート類の種類等に応じた通常の製法によって製造することができる。
上記クリーム類は、上記脱臭焙煎胡麻油を、クリーム類を構成する油相の一部として含有させたものであり、従前知られたクリーム類と比較して優れたコク味を有している。
本発明のクリーム類における、上記脱臭焙煎胡麻油の含有量は、求める風味の質や強度等によっても適宜調整されるが、(1)良好なコク味のある油性菓子を得ること(2)脱臭焙煎胡麻油自体の風味を油性菓子に付与しないこと、の2点を好ましく満たす観点から、クリーム類中における上記脱臭焙煎胡麻油の含有量が0.05~0.9質量%となるように含有されることが好ましく、より好ましくは0.1~0.7質量%となるように含有される。
クリーム類中における上記脱臭焙煎胡麻油の含有量が、上記範囲となるように含有されることにより、本発明の効果が好ましく得られ、好ましいコク味を有するクリーム類が得られ易い。尚、0.9質量%超添加すると、ナッツ様の風味がクリーム類に付与されやすくなってしまう。
上記の含有量は、クリーム類を製造する際に直接上記脱臭焙煎胡麻油を添加する場合であっても、本発明のハードバター組成物を用いてクリーム類を製造する場合であっても同様である。
上記クリーム類は、含有される油相中に上記脱臭焙煎胡麻油を含有する以外は、クリーム類の種類等に応じた通常の製法によって製造することができる。
尚、本発明におけるクリーム類とは、糖液等の甘味料や卵類等を含有する、油脂を連続相とするクリームの総称であり、主にサンド用、トッピング用、フィリング用、スプレッド用等の用途に用いられるものである。また、実質的に水相を含まないシュガークリームも含まれる。
乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用する乳清ミネラルとしては、より自然なコク味の油性菓子が得られる点、及び、コク味強化の効果が高い点で、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満、特に1質量%未満の乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含量は低いほど好ましい。
油性菓子中の上記乳清ミネラルの含有量が0.01質量%未満であると乳清ミネラルの添加効果が得られにくく、コク味が増強されない場合がある。また、0.3質量%超であると塩味が出やすい。
本発明の油性菓子の風味改良方法は、上記脱臭焙煎胡麻油を油性菓子に含有させることを特徴とするものである。本発明の油性菓子の風味改良方法により、油性菓子の風味を、良好なカカオ風味や、良好なコク味を感じられるものへと改良することができる。
本発明の油性菓子の風味改良方法が適用される油性菓子は特に限定されるものではないが、好ましくは油相を連続相とするチョコレート類やクリーム類等が挙げられる。
尚、油性菓子への、上記脱臭焙煎胡麻油の添加量や添加方法については上述の通りである。
パーム油65質量部とパーム極度硬化油35質量部からなる油脂配合物を、ナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により精製してハードバター用油脂Aを得た。次いで、ハードバター用油脂Aからドライ分別により高融点部を除去し、得られた低融点部を常法により精製して、ハードバター用油脂Bを得た。
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離し、更に逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮した。次いで、80℃、20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これを更にエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルを得た。得られた乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量は0.4質量%であった。
〔製造例1〕
未脱臭の焙煎胡麻油(焙煎温度:160℃以上200℃未満)に対し、脱臭(120℃、120分間、水蒸気吹き込み量は油脂に対して5重量%、絶対圧4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、脱臭焙煎胡麻油Aを得た。
未脱臭の焙煎胡麻油(焙煎温度:160℃以上200℃未満)に対し、脱臭(100℃、150分間、水蒸気吹き込み量は油脂に対して5重量%、絶対圧4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、脱臭焙煎胡麻油Bを得た。
未脱臭の焙煎胡麻油(焙煎温度:160℃以上200℃未満)に対し、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量は油脂に対して5重量%、絶対圧4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、脱臭焙煎胡麻油Cを得た。
〔実施例1〕
ハードバター用油脂A20質量部、ハードバター用油脂B79.4質量部、脱臭焙煎胡麻油A0.60質量部を、60℃に加温した状態で混合し、ハードバター組成物(1)を得た。
ハードバター用油脂A20質量部、ハードバター用油脂B78.8質量部、脱臭焙煎胡麻油A1.2質量部を、60℃に加温した状態で混合し、ハードバター組成物(2)を得た。
ハードバター用油脂A20質量部、ハードバター用油脂B78.2質量部、脱臭焙煎胡麻油A1.8質量部を、60℃に加温した状態で混合し、ハードバター組成物(3)を得た。
ハードバター用油脂A20質量部、ハードバター用油脂B77.8質量部、脱臭焙煎胡麻油A2.4質量部を、60℃に加温した状態で混合し、ハードバター組成物(4)を得た。
ハードバター用油脂A20質量部、ハードバター用油脂B76.0質量部、脱臭焙煎胡麻油A4.0質量部を、60℃に加温した状態で混合し、ハードバター組成物(5)を得た。
ハードバター用油脂A20質量部、ハードバター用油脂B78.2質量部、脱臭焙煎胡麻油B1.8質量部を、60℃に加温した状態で混合し、ハードバター組成物(6)を得た。
ハードバター用油脂A20質量部、ハードバター用油脂B78.2質量部、脱臭焙煎胡麻油C1.8質量部を、60℃に加温した状態で混合し、ハードバター組成物(7)を得た。
脱臭焙煎胡麻油A1.2質量部に代えて、「太白油」である精製胡麻油(胡麻油の脱酸、脱色油を減圧下で250℃、60分脱臭処理したもの)1.2質量部を使用した以外は、実施例2と同様の配合及び製法で、比較例のハードバター組成物(i)を得た。
脱臭焙煎胡麻油A1.2質量部に代えて、製造例1~3で原料油脂として用いた未脱臭の焙煎胡麻油1.2質量部を使用した以外は、実施例2と同様の配合及び製法で、比較例のハードバター組成物(ii)を得た。
脱臭焙煎胡麻油を添加せず、ハードバター用油脂A20質量部、ハードバター用油脂B80質量部に変更した以外は、実施例1と同様の製法で、コントロールのハードバター組成物(以下、「Cont.」と記載する場合がある)を得た。
次のとおり、チョコレート類(ノーテンパー型のチョコレート)を製造し、下記評価基準で、チョコレートのカカオ風味やコク味について評価した。
実施例のハードバター組成物(1)~(7)、比較例のハードバター組成物(i)及び(ii)、Cont.のいずれかのハードバター組成物を20質量部、ココアバター3.5質量部及びカカオマス3.0質量部を、55℃に加温して溶解した。これにココアパウダー15.0質量部、脱脂粉乳12.0質量部、粉糖38.1質量部を添加して練り合わせてペースト状とし、ロール掛けした。これにレシチン0.4質量部とハードバター組成物8質量部を加え、コンチングして、ノーテンパー型のチョコレート生地を得た。このチョコレート生地を型に注入し、5℃で12時間冷却・固化させ、ノーテンパー型のチョコレート(1)~(7)、チョコレート(i)及び(ii)、チョコレート(Cont.)を製造した。
尚、カカオマス中の油脂分は55質量%であり、ココアパウダー中の油脂分は11質量%であり、これら油脂はココアバターであった。また、各チョコレートの総油分は35.1質量%であり、この内、ココアバターは7.0質量%であった。
得られたノーテンパー型チョコレートは、事前に官能評価の程度をすり合わせた10人のパネラーにより、下記の[コク味評価基準]及び[カカオ風味評価基準]に従って、官能評価を行った。結果を表1に示した。
評価結果は、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、44~50点:◎++、37~43点:◎+、30~36点:◎、23~29点:○、16~22点:△、15点以下:×で表した。
5点…コントロールと比較して、優れたコク味を感じる。
3点…コントロールと比較して、良好なコク味を感じる。
1点…コントロールと同様にコク味に乏しい。
0点…コントロールよりも更にコク味に乏しい。
5点…コントロールと比較して、優れたコク味とカカオ風味を感じる。
3点…コントロールと比較して、良好なコク味とカカオ風味を感じる。
1点…コントロールと同様に、僅かにカカオ風味を感じられる。
0点…コントロールよりも更に弱いカカオ風味であるか、異味を感じる。
一方、脱臭温度が高い脱臭焙煎胡麻油Cを用いたチョコレート(7)は、本発明の効果である、カカオ風味やコク味の向上効果が低下する傾向がうかがわれた。これは、カカオ風味やコク味の向上に寄与している成分が、脱臭処理により、のぞかれたためであると推察される。
次のとおり、クリーム類(シュガークリーム)を製造し、下記評価基準で、得られたクリーム類のコク味について評価した。
実施例のハードバター組成物(1)~(7)、比較例の(i)及び(ii)のいずれかのハードバター組成物25質量部、Cont.のハードバター組成物25質量部、及び粉糖50質量部を十分混合してシュガークリーム(1)~(7)、シュガークリーム(i)及び(ii)を得た。
得られたシュガークリームは、事前に官能評価の程度をすり合わせた10人のパネラーにより下記[評価基準]に従って官能評価を行った。結果を〔表2〕に示した。
評価結果は、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、44~50点:◎++、37~43点:◎+、30~36点:◎、23~29点:○、16~22点:△、15点以下:×で表した。
5点…コントロールと比較して、非常に良好なコク味を感じる。
3点…コントロールと比較して、良好なコク味を感じる。
1点…コントロールと同様のコク味が感じられる
0点…コントロールよりも更に弱いコク味が感じられる、若しくは、異味が感じられる。
脱臭温度が低い、脱臭焙煎胡麻油Bを用いたシュガークリーム(6)は、コク味付与の効果が得られてはいたが、パネラーによっては僅かに胡麻油の風味を感じる者もあった。 一方、脱臭温度が高い脱臭焙煎胡麻油Cを用いたシュガークリーム(7)は、コク味の向上効果が弱くなっていることを確認した。
Claims (7)
- 脱臭焙煎胡麻油をハードバター組成物中0.1~4.0質量%含有するハードバター組成物。
- 脱臭焙煎胡麻油の含有量がハードバター組成物中1.2~2.5質量%である、請求項1記載のハードバター組成物。
- 脱臭焙煎胡麻油の脱臭温度が200℃未満である請求項1又は2記載のハードバター組成物。
- 脱臭焙煎胡麻油の焙煎温度が250℃以下である請求項1~3のいずれか一項記載のハードバター組成物。
- 脱臭焙煎胡麻油をハードバター組成物中0.1~4.0質量%混合する工程を含むハードバター組成物の製造方法。
- 脱臭焙煎胡麻油を油性菓子中0.05~1.12質量%含有する油性菓子。
- 脱臭焙煎胡麻油を油性菓子中0.05~1.12質量%含有させる油性菓子の風味改良方法。
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