JP6210741B2 - 呈味改善剤及び該呈味改善剤を含む香料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は酸化処理した硬化油から低沸点成分を除去した高沸点成分混合物を含む呈味改善剤に関し、さらには、前記呈味改善剤を含む香料組成物に関する。
大豆油、菜種油、コーン油、パーム油、パーム核油、ヤシ油などの植物油脂や、鯨油、魚油、牛脂、豚脂などの動物油脂に水素を添加することによって硬化油が得られることが一般的に知られている。
硬化油は、例えば、反応温度が約120〜220℃、水素圧力が0.01MPa〜0.5MPaの条件で、上記の動植物油脂などをニッケル触媒存在下で水素添加する方法などにより製造することができ、常温で固形の食用加工油脂である。
前記硬化油は、植物油脂や動物油脂と比べて融点が高くなることから、油っぽさ等が低下するなどの固化特性の向上、優れた酸化安定性の付与、油脂結晶の微細化の促進がもたらされ、サクサク感、コク、しっとり感など特有の物性や水素添加臭と呼ばれる独特な風味が得られることが知られている。
一方硬化油の製造過程において、不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸に変化する反応と同時に、副反応として、シス型で存在していた不飽和脂肪酸の一部がトランス型の不飽和脂肪酸へ構造変化することが知られている(非特許文献1)。
トランス脂肪酸を長時間多量に摂取した場合、動脈硬化等の疾患のリスク増加と強い関連があることが報告され、摂取量は全カロリーの1%未満にするよう勧告されている(非特許文献2)。また一部の国や地域では食品中のトランス脂肪酸の含有量を規制したり、表示を義務付けている場合もある(非特許文献3)。
このようにトランス脂肪酸に対する健康への影響の懸念から、硬化油自体からトランス脂肪酸の含量を低減することが求められており、エステル交換技術、分別技術、結晶調整技術などの物理的・化学的手段や添加物の添加などの方法が知られている。
特許文献1には、動植物油脂の部分水素添加油脂中におけるトランス脂肪酸含量の低減化方法が開示されており、触媒や温度条件を工夫する試みが開示されている。
特許文献2には、バニリン及び/またはエチルバニリンを含有する硬化油風味付与剤が開示されている。
特許文献3には、パーム油の分別硬化油を50質量%以上用いることにより、トランス脂肪酸含有量を低減させながら水素添加油脂由来の風味を出す方法が開示されている。
特許文献4には、動植物油脂を酸化処理して得られるものの高沸点成分混合物からなることを特徴とする呈味改善剤が開示されている。
特開2006−320275号公報 国際公開第2008/032852号 特開2008−271818号公報 特開2007−110984号公報
Sommerfeld,M(1983).Trans unsaturated fatty acids in natural products and processed foods.Prog. Lipid Res,22(3):221−233 Fats and fatty acid in human nutrition FAO(2008) 食品に含まれるトランス脂肪酸に係る食品健康影響評価情報に関する調査 調査報告書 平成22年12月 財団法人 日本食品分析センター
硬化油におけるトランス脂肪酸は、前記のように健康上の問題もあるため、硬化油の風味(水素添加臭)を保ちつつ、トランス脂肪酸の含量を減らす要望がある。すなわち、硬化油におけるトランス脂肪酸含有量の低減と硬化油の風味を兼ね備えた硬化油については、改善の余地があった。
そこで、本発明の目的は、トランス脂肪酸含量が少なくても硬化油風味を付与・増強可能な新規呈味改善剤及び前記呈味改善剤を含む香料組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸化処理された硬化油から低沸点成分を除去した高沸点成分混合物を含む呈味改善剤をそのまま又は前記呈味改善剤を含む香料組成物として飲食品又は油脂に添加することにより、トランス脂肪酸含有量を低減しつつ油脂感と共に香ばしさを発現する効果を与え、要求される美味しさを飲食品に付与できるということを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は下記の〈1〉〜〈4〉に関する。
〈1〉酸化処理した硬化油から低沸点成分を除去した高沸点成分混合物を含む呈味改善剤。
〈2〉前記高沸点成分混合物が、前記低沸点成分を除去した後に精製処理された精製処理物である、前記〈1〉に記載の呈味改善剤。
〈3〉前記高沸点成分混合物が、前記酸化処理した硬化油を精製処理した後に、低沸点成分を除去した処理物である、前記〈1〉に記載の呈味改善剤。
〈4〉前記〈1〉〜〈3〉のいずれか1に記載の呈味改善剤を含有する香料組成物。
本発明の呈味改善剤をそのまま又は前記呈味改善剤を含む香料組成物として飲食品に添加することにより、コク味、味の厚み、ボリューム感、舌ざわりなど、口腔内で感じられる風味や感触などを一段と増すことができる。そのため、美味しい飲食品であると感じられるようになり、極めて実用的な効果をもたらす。
また、本発明に係る呈味改善剤を油脂に添加することで揚げ油用途として食品を加熱調理すること、又は食品に直接添加して加熱加工を行なうことなどにより、前記食品に油脂感を与えると共に、水素添加臭の風味と呼ばれる良質な香気・香味を付与又は増強することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本発明に係る呈味改善剤は、酸化処理した硬化油から低沸点成分を除去した高沸点成分混合物を含むことを特徴とする。
以下に、本発明に係る呈味改善剤について説明する。
(1)原材料
本発明に使用する硬化油の原料となる油脂としては、通常、食用油脂として使用されるものであれば特に制限無く使用することができる。
例えば、大豆油、菜種油、コーン油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、米油、オリーブオイル、ごま油、綿実油、紅花油、ヒマワリ油、落花生油、ツバキ油、ヒマシ油、カカオ脂、月見草油、鯨油、魚油、牛脂、豚脂、鶏油、乳脂防、中鎖脂肪酸グリセリド等の任意の食用油、又はこれらにエステル交換、分別等の処理をした加工油脂などが挙げられる。
これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(2)硬化操作
上記原材料である油脂に水素添加することによって硬化処理を行う。具体的には、反応温度が約120〜220℃、水素圧力が0.01〜0.5MPaの条件で、上記動植物油脂等にニッケル触媒存在下で水素添加する方法などが挙げられる。
かかる処理によって、硬化油を得ることができる。また、最初から硬化処理されている市販の硬化油を使用してもよい。
上記で得られた硬化油は極性溶媒中に存在させておくことが、良好な香気回収の点から好ましい。
極性溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどのポリオール又は前記ポリオールに塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩類を溶解した水溶液を混合した溶剤、水などが挙げられる。なかでも水を用いることがより好ましい。
硬化油に対する極性溶媒の使用量は、使用する硬化油の種類にもよるので一概に規定できないが、硬化油に対して約0.05〜5倍重量の範囲で使用されると好ましい結果をもたらすことができる。
本発明では、既に精製処理がなされている市販の硬化油を酸化処理することが好ましい。一方、精製処理を施していない硬化油を先に酸化処理して用いてもよい。
なお、本願明細書において「精製処理」とは、脱色処理、脱酸処理又は脱臭処理などの通常行われる処理をいう。また酸化処理とは、この技術分野で知られている方法を適用すればよく、特に制限されない。酸化処理の一例を以下に詳述する。
(3)加熱酸化操作
具体的な酸化処理としては、硬化油を水などの極性溶媒で希釈した後、空気中で撹拌処理する方法;酸素ガスあるいは空気を油脂中に通気する方法などが挙げられる。
通気する方法としては、例えば硬化油100g当たり、空気を1〜2000ml/分、より好ましくは5〜1000ml/分の割合で、撹拌しながら硬化油中を通過させる。
硬化油の酸化処理に際して、硬化油を加熱しなければならないということではないが、80〜180℃程度に加熱しながら酸化処理することが好ましい。なお、用いる硬化油によっては、80〜150℃程度がより好ましく、80〜120℃程度に加熱しながら酸化処理することがさらに好ましい。
酸化処理時間は、用いる硬化油の種類、加熱温度、希望する酸化硬化油の性状、製造規模などにより異なり、必ずしも限定できるものではない。通常、1〜48時間程度であるが、酸化処理した油脂の過酸化物価が10.0meq/kg〜120meq/kgとする
ことが好ましく、10.0meq/kg〜40meq/kgとすることがより好ましい。
過酸化物価の測定法は、公知の測定方法を用いることができるが、例えば基準油脂分析試験法2.5.2.1(日本油脂学会編)がある。
かくして得られた硬化油の酸化処理物から高沸点成分混合物を調製する。
高沸点成分混合物の代表例として酸化処理した硬化油から低沸点成分を除去した蒸留物残渣、又は前記蒸留物残渣の精製処理物が挙げられる。また、酸化処理した硬化油を先に精製し、その精製処理物から低沸点成分を除去した蒸留物残渣、又は前記蒸留物残渣をさらに精製処理した精製処理物も挙げられる。
前記低沸点成分、蒸留物残渣、前記蒸留物残渣の精製処理物およびそれらを調製する方法について下記に詳述する。
なお、本願明細書において「高沸点成分混合物」とは、硬化油の酸化処理物から低沸点成分が除去された混合物のことを表す。低沸点成分については後述する。
酸化処理した硬化油から低沸点成分を除去する方法としては、例えば減圧蒸留法、水蒸気蒸留法あるいは減圧水蒸気蒸留法などが挙げられる。また、気液向流分配法を用いてもよい。なお、本発明では気液向流分配法を一つの水蒸気蒸留法として取り扱う。
これらの方法により低沸点成分を留去することにより、蒸留残渣が得られる。とくに水蒸気蒸留法あるいは減圧水蒸気蒸留法を用いて低沸点成分を留去した蒸留残渣が好ましい。
本願明細書において、低沸点成分とは、蒸留処理温度を45〜75℃に設定し、13.33〜93.33hPa(10〜70torr)で減圧蒸留あるいは減圧水蒸気蒸留を行うことにより回収した成分をいう。また、低沸点成分は、常圧水蒸気蒸留法により回収した成分ということもできる。低沸点成分を留去した蒸留残渣とは、前記条件で蒸留処理して得た蒸留残渣をいう。
上記減圧蒸留法、水蒸気蒸留法あるいは減圧水蒸気蒸留法は、この技術分野で用いられる普通の方法を採用すればよいのであって、特に制限されない。なお、本発明では、酸化処理した硬化油に、適宜その他の配合剤を加えてから、蒸留処理をしてもよい。
本発明では、上記低沸点成分を除去した蒸留物残渣である高沸点成分混合物をさらに精製処理することが好ましい。とくに、低沸点成分を除去した蒸留物残渣には、酸化処理に際して副生する過酸化物が含まれている。そのため、保存安定性ならびに食品の安全性といった点から、これら過酸化物を前記精製処理によって除去することが好ましい。
また、酸化処理をした硬化油に対して先に精製処理を施し、その後低沸点成分を蒸留処理によって除去しても、同様の効果を得ることができる。
なお、高沸点成分混合物に含まれる過酸化物の含有量を可能な限り除去可能な点から、低沸点成分を除去した蒸留物残渣を精製する事がより好ましい。
精製処理は常法を採用すればよく、とくに制限されないが、例えばカラムクロマトグラフィー法での処理や吸着剤混合法で処理する方法などが好ましく用いられる。
カラムクロマトグラフィー法で用いる、カラム、充填剤、溶媒等はとくに制限されず、用途に合わせて適宜使用すればよい。
例えば、好ましい充填剤としてシリカゲル、酸性白土、ケイ酸マグネシウム、活性炭、活性白土又はそれら充填剤の2種以上を併用したもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
カラムクロマトグラフィー法とは、具体的には、適切な容量のカラムにシリカゲルや活性炭、活性白土などの充填剤を充填し、そこに高沸点成分混合物を注ぎ込み吸着させる。
高沸点成分混合物は低沸点成分を除去する前のものでも、除去した後の蒸留物残渣自体でもよく、それらを分液や乾燥剤を混合することによって水分を除去した蒸留物残渣でもよい。さらにはヘキサン、酢酸エチル、エタノール、2−プロパノールなどの各種溶媒で希釈した物を注ぎ込んでもよい。
カラムに注ぎ込んだ直後、あるいは一定時間経過後、ヘキサン、酢酸エチル、エタノール、2−プロパノールなどの展開溶媒を注ぎ込むことで展開させ、不要分を除去し、精製物を得ることができる。
吸着剤混合法で用いられる吸着剤は、この分野で使用する吸着剤であればどのような吸着剤でも採用可能である。好ましい吸着剤としては、例えば、シリカゲル、活性白土、酸性白土、珪酸マグネシウム、および活性炭等を挙げることができ、それら吸着剤を1種で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
これらの吸着剤を高沸点成分混合物に混合し、その直後、又は一定時間経過後に吸着剤を濾別することにより、不要分を吸着剤に吸着させて除去し、精製物を得ることが出来る。
なお、吸着剤混合法で用いられる高沸点成分混合物は、カラムクロマトグラフィー法と同様に、低沸点成分を除去する前のものでも、除去した後の蒸留物残渣自体でもよい。
これらの精製処理により、高沸点成分混合物の過酸化物価が5.0meq/kg以下と
することが好ましい。なお、過酸化物価の測定法は、酸化処理における過酸化物価の測定方法(例えば、基準油脂分析試験法2.5.2.1(日本油脂学会編))を使用することができる。
(4)製剤化
本発明では、高沸点成分混合物を呈味改善剤とすることができ、前記呈味改善剤を用いて、香料組成物や呈味改善飲食品を常法により製造することができる。
また、前記高沸点成分混合物を有効成分とし、他の成分も含む呈味改善剤とすることもできる。また、高沸点成分混合物の精製処理物を呈味改善剤の有効成分とすることもできる。
さらに本発明では、酸化処理した硬化油から低沸点成分を除去した蒸留物残渣を呈味改善剤の有効成分としてもよい。また、酸化処理した硬化油の精製処理物から低沸点成分を除去した蒸留物残渣を呈味改善剤の有効成分としてもよい。
本発明に係る呈味改善剤が高沸点成分混合物以外の成分を含む場合、その他の成分として、通常の油脂に用いられる添加剤を適宜配合することができる。
例えば、保存安定性向上、酸化安定性向上、熱安定性向上、光安定性向上、低温化での結晶抑制等を目的としたポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アスコルビン酸脂肪酸エステル、ビタミンE、リグナン、コエンザイムQ、オリザノール、ジグリセリド、シリコーン、トコフェロール及びレシチン等が挙げられる。
本発明の呈味改善剤には、さらに必要に応じて他の成分を配合することもできる。
例えば、リン脂質等の乳化剤;チャ抽出物等の酸化防止剤;カロチン等の着色剤;脱脂粉乳、クリーム等の乳成分;ショ糖、液糖、はちみつ、ブドウ糖、加糖、黒糖、麦芽糖、乳糖、水飴、ソルビトール、エリスリトール、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、トレハロース、へミセルロース等の糖類;水;食塩;酸味料;調味料;香料;重合リン酸
等の乳化安定剤;ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、加工澱粉、澱粉等の増粘安定剤等を挙げることができ、適宜使用することができる。
また呈味改善剤は、各種の被覆剤で処理することにより、粉末状、顆粒状などにして使用することもできる。
粉末状、顆粒状にするためには、一般的に使用される被覆剤と混合し、例えば噴霧乾燥や凍結乾燥などの手段を用いればよい。被覆剤としては、例えばアラビアガム、トランガントガム、サイクロデキストリン、デキストリン、ゼラチン、加工澱粉などが例示される。
さらに、本発明の呈味改善剤は、ペースト状、乳化物などの任意の形態で利用することもできる。
本発明の呈味改善剤は、動植物油脂に適宜配合して用いることができる。
動植物油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、米油、オリーブオイル、ごま油、綿実油、紅花油、ヒマワリ油、落花生油、ツバキ油、ヒマシ油、カカオ脂、月見草油、鯨油、魚油、牛脂、豚脂、鶏油、乳脂防、中鎖脂肪酸グリセリド等の任意の食用油を挙げることができる。またこれらを更に、エステル交換、分別、結晶化、硬化などの加工処理した油脂に配合して用いることもできる。
また、これらの油脂及び加工処理した油脂は1種で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
動植物油脂に対する呈味改善剤の含有量は0.000001〜50重量%が良好な呈味をもたらす効果の点から好ましい。
本発明に係る呈味改善剤は、香料組成物に配合して用いることもできる。
香料組成物としては、菓子、飲料、冷菓、デザート、酪農・油脂製品、スープ、調味料、食肉加工品、水産加工品、農産加工品、調理食品、たばこ用、口腔用、医療用、飼料用、産業用等の用途に用いられるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
香料組成物に本発明に係る呈味改善剤を配合することにより油脂感と香ばしさの付与または増強といった効果が得られることから好ましい。
また、香料組成物中、呈味改善剤の含有量は0.001〜100重量%が良好な呈味をもたらす効果の点から好ましい。
前記香料組成物は、飲食品に配合して用いることができる。また、呈味改善剤そのものを飲食品に配合してもよい。
本発明の呈味改善剤又は香料組成物を含む飲食品としては、例えば、炭酸飲料、果実飲料、野菜飲料、嗜好飲料、酒類、茶飲料、コーヒー飲料、機能性飲料、シュガーレス飲料、スポーツ飲料、栄養・滋養ドリンク、酪農製品、乳製品、乳酸菌飲料、乳飲料、冷菓、和菓子類、洋菓子類、デザート、アイスクリーム、シャーベット、焼き菓子、ベーカリー類、キャンディー類、錠菓、チューイングガム、油脂製品、マーガリン、コーヒーホワイトナー、チーズフード、ドレッシング、チョコレート類、調味料、味噌、醤油、ソース、マヨネーズ、ドレッシング、農産加工品、麺、植物タンパク加工品、ジャム、ペースト、デザートソース、漬物、農産缶詰、果汁、果肉加工品、粉末スープ、レトルトパウチスープ、缶詰スープ、畜産加工品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、食肉缶詰、水産加工品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、水産練り製品、水産缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品、家畜用飼料、養魚用飼料、ペット用飼料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、前記飲食品のうち食品には、本発明の呈味改善剤又は香料組成物を含む油脂(油
脂組成物)を用いて、揚げ物、炒め物等の加熱調理することにより得られる加熱調理食品も含まれる。その他、前記油脂組成物を用いて製造される食品には、水中油型乳化物、起泡性水中油型乳化物、可塑性油脂組成物、ルウ、チョコレート等の油脂加工食品、これら油脂加工食品を用いて製造される加工食品等も含まれる。
前記加熱調理食品の具体例としては、例えば、素揚げ、から揚げ、カツ、コロッケ、フライ(フライドチキン、フライドポテト等)、天ぷら、ドーナツ、揚げ麺、煎餅、あられ、ビスケット、クラッカー、クッキー、プレッチェル、コーンチップス、コーンパフ、コーンフレークス、ポップコーン、ポテトチップス、ナッツ、バターピーナッツ、スナック菓子等が挙げられる。
前記油脂加工食品の具体例としては、例えば、クリーム等の水中油型乳化物、ホイップクリーム等の起泡性水中油型乳化物や、製菓・製パンの練り込み用・折り込み用・フライ用・炒め用・バタークリーム用に用いられるマーガリン・ショートニング等の可塑性油脂組成物、チョコレートなどが挙げられる。
前記加工食品の具体例としては、例えば、ケーキ、クッキー、ビスケット、パイ等の焼き菓子、食パン、菓子パン、デニッシュ等のパン、ピザ、カレーやシチュー等のルウ食品が挙げられる。
本発明の呈味改善剤の使用量は、呈味改善剤の種類、飲食品の種類、呈味改善剤の適用方法、使用方法などによっても異なるが、例えば食品調合香料組成物の素材として用いる場合は、約0.000001〜50重量%程度の使用が一般的である。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
過酸化物価の値は、基準油脂分析試験法2.5.2.1(日本油脂学会編)により求めた。
また、トランス脂肪酸含有量は、基準油脂分析試験法17−2007(日本油脂学会編)により求めた。
(実施例1)菜種硬化油由来呈味改善剤
菜種硬化油−A 500gを120℃で加熱、50ml/分の空気を通気しながら6時間撹拌し、加熱処理を停止した。この時の過酸化物価は12.5meq/kgであった。
得られた加熱処理菜種硬化油−Aに蒸留水250gを加え、フラスコ内温度が97℃での水蒸気蒸留を行い、留分を150g回収した。
水蒸気蒸留後の分かれた二層から油脂層を分液して低沸点成分を除去した蒸留物残渣を得た。得られた油脂状の蒸留物残渣10gに1重量%の活性白土を添加し、60℃で1時間撹拌を行なった。撹拌後、濾過により活性白土を除去し、菜種硬化油由来呈味改善剤1を得た。この時の過酸化物価は0.33meq/kgであった。
(実施例2)牛脂硬化油由来呈味改善剤
牛脂硬化油500gを120℃で加熱、50ml/分の空気を通気しながら6時間撹拌し、加熱処理を停止した。得られた加熱処理牛脂硬化油を実施例1と同操作により処理し、牛脂硬化油由来呈味改善剤2を得た。
加熱処理後の過酸化物価は12.7meq/kgであり、呈味改善剤2の過酸化物価は0.10meq/kgであった。
(実施例3)パーム硬化油由来呈味改善剤
パーム硬化油−A 500gを120℃で加熱、50ml/分の空気を通気しながら6時間撹拌し、加熱処理を停止した。得られた加熱処理パーム硬化油−Aを実施例1と同操作により処理し、パーム硬化油由来呈味改善剤3を得た。
加熱処理後の過酸化物価は12.1meq/kgであり、呈味改善剤3の過酸化物価は0.28meq/kgであった。
(実施例4)パーム硬化油由来呈味改善剤
パーム硬化油−B 500gを120℃で加熱、50ml/分の空気を通気しながら6時間撹拌し、加熱処理を停止した。得られた加熱処理パーム硬化油−Bを実施例1と同操作により処理し、パーム硬化油由来呈味改善剤4を得た。
加熱処理後の過酸化物価は13.2meq/kgであり、呈味改善剤4の過酸化物価は0.41meq/kgであった。
(実施例5)パーム及びヤシ混合硬化油由来呈味改善剤
パーム及びヤシ混合硬化油500gを120℃で加熱、50ml/分の空気を通気しながら6時間撹拌し、加熱処理を停止した。得られた加熱処理パーム及びヤシ混合硬化油を実施例1と同操作により処理し、パーム及びヤシ混合硬化油由来呈味改善剤5を得た。
加熱処理後の過酸化物価は11.7meq/kgであり、呈味改善剤5の過酸化物価は0.20meq/kgであった。
(実施例6)菜種硬化油由来呈味改善剤
菜種硬化油−B 500gを120℃で加熱、50ml/分の空気を通気しながら6時間撹拌し、加熱処理を停止した。得られた加熱処理菜種硬化油−Bを実施例1と同操作により処理し、菜種硬化油由来呈味改善剤6を得た。
加熱処理後の過酸化物価は14.1meq/kgであり、呈味改善剤6の過酸化物価は0.18meq/kgであった。
(実施例7)大豆硬化油由来呈味改善剤
大豆硬化油500gを120℃で加熱、50ml/分の空気を通気しながら6時間撹拌し、加熱処理を停止した。得られた加熱処理大豆硬化油を実施例1と同操作により処理し、大豆硬化油由来呈味改善剤7を得た。
加熱処理後の過酸化物価は18.3meq/kgであり、呈味改善剤7の過酸化物価は0.44meq/kgであった。
(実施例8)コーン硬化油由来呈味改善剤
コーン硬化油500gを120℃で加熱、50ml/分の空気を通気しながら6時間撹拌し、加熱処理を停止した。得られた加熱処理コーン硬化油を実施例1と同操作により処理し、コーン硬化油由来呈味改善剤8を得た。
加熱処理後の過酸化物価は11.1meq/kgであり、呈味改善剤8の過酸化物価は0.32meq/kgであった。
(実施例9)ヤシ硬化油由来呈味改善剤
ヤシ硬化油500gを120℃で加熱、50ml/分の空気を通気しながら6時間撹拌し、加熱処理を停止した。得られた加熱処理ヤシ硬化油を実施例1と同操作により処理し、ヤシ硬化油由来呈味改善剤9を得た。
加熱処理後の過酸化物価は10.8meq/kgであり、呈味改善剤9の過酸化物価は0.21meq/kgであった。
(比較例1)菜種油
菜種油100gを加熱処理することなく、水蒸気蒸留、低沸点成分除去、活性白土によ
る精製処理もしないままの菜種油を、呈味改善剤との比較として用いた。
菜種油の過酸化物価は0.01meq/kgであり、トランス脂肪酸含量は未検出であった。
(比較例2)菜種油由来呈味改善剤
菜種油500gを120℃で加熱、50ml/分の空気を通気しながら6時間撹拌し、加熱処理を停止した。得られた加熱処理菜種油を実施例1と同操作により処理し、菜種油由来呈味改善剤10を得た。
加熱処理後の過酸化物価は16.2meq/kgであり、呈味改善剤10の過酸化物価は0.33meq/kgであった。
(評価例1)
原料として無塩バター40g、砂糖40g、小麦粉(薄力粉)200g、塩5g、ベーキングパウダー小さじ2、ベーキングソーダ小さじ1/2、卵1個、牛乳50mLを常法に従い、混合及び捏ね合わせることでドーナツのドウを調製し、表1に記載の組成である加熱調理用油脂組成物中で180℃にて10分間調理してドーナツを得た。
(評価例2)
市販のプレフライ済み冷凍ポテトを、表1に記載の組成である加熱調理用油脂組成物中で180℃で4分間フライ調理し、フライドポテトを得た。
(評価例3)
市販のから揚げ粉を適量塗布した鶏もも肉を、表1に記載の組成である加熱調理用油脂組成物中で180℃4分間フライ調理し、フライドチキンを得た。
(官能評価)
良く訓練された専門パネル10名により評価基準Aに基づいて官能評価試験を行った。硬化油特有の水素添加臭の風味を有する参考例と風味を持たない菜種油(比較例1)で調理されたドーナツ、フライドポテト及びから揚げについてそれぞれ評価を行った。
なお、参考例である菜種硬化油−Aの過酸化物価は0.48meq/kgであり、トランス脂肪酸含量は43.5%である。
実施例及び比較例の呈味改善剤を用いて調理されたドーナツ、フライドポテト及びから揚げを専門パネルが食した時の風味の違いをそれぞれ評価し、10名による評価の平均値を求めた。評価基準Aを以下に示し、評価結果を表1に示す。
(評価基準A)
5点: 硬化油に特有の良質な(油脂感/香ばしさ)を強く有する
4点: 硬化油に特有の良質な(油脂感/香ばしさ)をやや強く有する
3点: 硬化油に特有の良質な(油脂感/香ばしさ)を有する
2点: 硬化油に特有の良質な(油脂感/香ばしさ)をやや感じる
1点: 硬化油に特有の良質な(油脂感/香ばしさ)を全く感じない
Figure 0006210741
実施例1及び実施例6のドーナツ、フライドポテト、から揚げは、いずれもトランス脂肪酸含量が大幅に低減された油脂組成物で揚げられたにもかかわらず、参考例のドーナツと同程度の好ましい香ばしさ(水素添加臭)と油脂感を有していた。
比較例2のドーナツ、フライドポテト、から揚げは、油脂感については参考例と同程度の評価ではあるが、香ばしさについては不足しているという結果であった。
(評価例4)呈味改善味噌汁の調製
実施例7で得られた呈味改善剤7を7.5mg秤取り、50℃に温めた市販味噌汁40mlに添加し、呈味改善味噌汁を得た。
以下の手順に従って、呈味改善味噌汁の官能評価を行なった。
評価例4の呈味改善味噌汁、及び無添加サンプル(呈味改善剤が配合されていない味噌汁)を試飲し、下記評価基準Bに従って官能評価を行なった。
評価は、良く訓練された専門パネル10名で行なった。なお、味は、コク味、ボリューム感、舌ざわり感に加えて香ばしさを加味した、飲食品のおいしさの総合評価を行なった。
(評価基準B)
5点: 極めて大きく味が改善されている
4点: 大きく味が改善されている
3点: かなり味が改善されている
2点: 少し味が改善されている
1点: 味が改善されていない(無添加サンプルと変わらない)
官能評価結果を表2に示した。表2の評価の値は専門パネル10名の評価点の平均値である。(以下同様)
Figure 0006210741
(評価例5)呈味改善中華スープの調製
実施例8で得られた呈味改善剤8を7.5mg秤取り、50℃に温めた市販中華スープ40mlに添加し、呈味改善中華スープを得た。
評価例4と同様に、無添加サンプル(呈味改善剤が配合されていない中華スープ)と比較し、評価基準Bに基づく官能評価試験を行った。官能評価結果を表3に示した。
Figure 0006210741
(評価例6)呈味改善コンソメスープの調製
実施例9で得られた呈味改善剤9を7.5mg秤取り、50℃に温めた市販コンソメスープ40mlに添加し、呈味改善コンソメスープを得た。
評価例4と同様に、無添加サンプル(呈味改善剤が配合されていないコンソメスープ)と比較し、評価基準Bに基づく官能評価試験を行った。官能評価結果を表4に示した。
Figure 0006210741
(評価例7)呈味改善キャンディーの調製
ココア15gと砂糖150gをよく混ぜてから牛乳200gを入れて加熱し、ハチミツ15gを加えた。沸騰してから30分間煮詰め、バター10gと実施例1で得られた呈味改善剤1 10mgを加えて撹拌して冷やし固め、呈味改善キャンディーを得た。
評価例4と同様に、無添加サンプル(呈味改善剤が配合されていないキャンディー)と比較し、評価基準Bに基づく官能評価試験を行った。官能評価結果を表5に示した。
Figure 0006210741
(評価例8)呈味改善マーガリンの調製
実施例8で得られた呈味改善剤8 15mg、ショートニング55g、コーン油15g、30%βカロチン液0.1g、レシチン0.2g及び乳化剤0.3gを混合し、湯煎にて溶解し、80℃で10分間殺菌した。また、蒸留水27.9gと食塩0.5g、脱脂粉乳1gを混合し、80℃まで加熱した。これらをそれぞれ60℃まで冷却して混合し、冷却しながらディスパーを用いて1500rpmにて5分間撹拌した。全体をよく練ったものを冷やし固め、呈味改善マーガリンを得た。
評価例4と同様に、無添加サンプル(呈味改善剤が配合されていないマーガリン)と比較し、評価基準Bに基づく官能評価試験を行った。官能評価結果を表6に示した。
Figure 0006210741
(評価例9)呈味改善バターの調製
市販のバター100gと実施例8で得られた呈味改善剤8 10mgを加えて30℃で全体をよく練ったものを冷やし固め、呈味改善バターを得た。
評価例4と同様に、無添加サンプル(呈味改善剤が配合されていないバター)と比較し、評価基準Bに基づく官能評価試験を行った。官能評価結果を表7に示した。
Figure 0006210741
(評価例10)呈味改善緑茶の調製
実施例5で得られた呈味改善剤5をNikkol Decaglyn 1−SV(商品名)及びグリセリンを用いて1%の乳化液を調製し、カテキン高含有緑茶にサンプル濃度が1ppmとなるように添加し、呈味改善緑茶を得た。
評価例4と同様に、無添加サンプル(呈味改善剤が配合されていない緑茶)と比較し、評価基準Bに基づく官能評価試験を行った。官能評価結果を表8に示した。
Figure 0006210741
(評価例11)呈味改善コーヒー飲料の調製
実施例5で得られた呈味改善剤5とモノステアリン酸デカグリセリルグリセリンとで1%乳化製剤を調製し、以下の組成(重量%)で作製したコーヒーへ1ppmとなるように添加し、呈味改善コーヒー飲料を得た。
レギュラーコーヒー 5%
牛乳 10%
砂糖 5%
乳化製剤 0.05%
加水 残部
評価例4と同様に、無添加サンプル(呈味改善剤が配合されていないコーヒー飲料)と比較し、評価基準Bに基づく官能評価試験を行った。官能評価結果を表9に示した。
Figure 0006210741
(評価例12)カレールウへの添加
市販カレールウ(220g)をお湯(1400g)で溶解し、実施例1で得られた呈味改善剤1 810mg(添加率0.05重量%)を添加したカレールウを調製した。また比較として、比較例2で得られた呈味改善剤10を同量添加したカレールウ及び市販菜種油を同量添加したカレールウをそれぞれ調製した。
上記で調製したカレールウの官能評価試験を、よく訓練された専門パネル10名により、上記評価基準Aに基づいて行なった。
結果を表10に示した。
Figure 0006210741
本発明の呈味改善剤を添加したカレールウが、油脂感を増強すると共に香ばしさを付与し、明らかに呈味を増強する結果を得た。また、呈味改善剤10を添加したものは、油脂感はあるものの香ばしさが足りないといった結果を得、市販菜種油を添加したものは味がほぼ変わらないという結果を得た。
(評価例13)シチュールウへの添加
市販シチュールウ(115g)をお湯(800g)と牛乳(200g)で溶解し、実施例1で得られた呈味改善剤1 557.5mg(添加率0.05重量%)を添加したシチュールウを調製した。また比較として、比較例2で得られた呈味改善剤10を同量添加したシチュールウ及び市販菜種油を同量添加したシチュールウをそれぞれ調製した。
上記で調製したシチュールウの官能評価試験を、よく訓練された専門パネル10名により、上記評価基準Aに基づいて行なった。
結果を表11に示した。
Figure 0006210741
本発明の呈味改善剤を添加したシチュールウが、油脂感を増強すると共に香ばしさを付与し、明らかに呈味を増強する結果を得た。また、呈味改善剤10を添加したものは、油脂感はあるものの香ばしさが足りないといった結果を得、市販菜種油を添加したものは味がほぼ変わらないという結果を得た。
次に、呈味改善剤を含んだ可塑性油脂組成物について評価を行った。可塑性油脂組成物として、評価例14ではクッキーの生地を採用したが、その他の可塑性油脂組成物として、食パン、菓子パン、デニッシュ、パイ、ドーナツ、クッキー等のベーカリー製品に対し、例えば、練り込み用、折り込み用、スプレー用、コーティング用として使用することも
できる。
また、これらの用途における本発明の可塑性油脂組成物の使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではない。
(評価例14)クッキーへの添加
クッキーの生地は次のように調製した。まず、油脂36.00gに脱脂粉乳5.00gと上白糖28.00g、食塩0.02gを加えてすり合わせた。すり合わせたものに、溶かした全卵8.00g、重曹0.25g、及び炭酸アンモニウム0.25gを数回に分けて加え、分離しないように混ぜ合わせ、篩った薄力粉100.00gを加えて混ぜ合わせることで生地を調製した。
得られたクッキーの生地177.52gに呈味改善剤、菜種硬化油−A又は菜種油177mg(添加率0.1重量%)を加えて成型し、オーブンにて上火180℃、下火160℃で焼成することにより、呈味改善クッキーを得た。
呈味改善剤は実施例1〜5で得られた呈味改善剤をそれぞれ用い、可塑性油脂組成物とした。また比較例1の菜種油を添加した可塑性油脂組成物と、比較例2で得られた呈味改善剤10を用いた可塑性油脂組成物をそれぞれ得た。
上記で調製したクッキーの官能評価試験を、よく訓練された専門パネル10名により、上記評価基準Aに基づいて行なった。
結果を表12に示した。
Figure 0006210741
本発明の呈味改善剤を含む可塑性油脂組成物を添加したクッキーが、油脂感を増強すると共に香ばしさを付与し、明らかに呈味を増強する結果を得た。
酸化処理した硬化油から低沸点成分を除去した高沸点成分混合物を含む呈味改善剤を用いることにより、飲食品に対する呈味の向上要求を満足させ、油脂感や香ばしさの強い加熱調理用油脂組成物や可塑性油脂組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. 酸化処理した硬化油から常圧水蒸気蒸留法により回収した成分を除去した混合物を含む呈味改善剤。
  2. 記混合物が、前記常圧水蒸気蒸留法により回収した成分を除去した後に精製処理された精製処理物である、請求項1記載の呈味改善剤。
  3. 記混合物が、前記酸化処理した硬化油を精製処理した後に、前記常圧水蒸気蒸留法により回収した成分を除去した処理物である、請求項1記載の呈味改善剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の呈味改善剤を含有する香料組成物。
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