JP6694859B2 - 卵感付与乃至増強剤、および飲食品への卵感の付与乃至増強方法 - Google Patents

卵感付与乃至増強剤、および飲食品への卵感の付与乃至増強方法 Download PDF

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Description

本発明は、卵感付与乃至増強剤、飲食品への卵感の付与乃至増強方法、並びに卵感を有する飲食品を製造する方法に関する。
卵は良質なタンパク質源であり、体に必要なビタミン・ミネラルを豊富に含み、栄養的に最も優れた食品の一つである。しかも、価格変動が比較的少なく、安価であることから、われわれの食生活には欠かせない食材となっている。また、卵は、熱凝固性、気泡性、乳化性といった特性を有しており、単に栄養面からだけでなく、それらの特性を利用するために、幅広い加工食品に使用されている。
近年、食の嗜好性が多様化してきており、卵を使用した加工食品についても、卵感をアップさせた濃厚な風味を有するものに対する需要が増えている。こうした需要に応えるため、卵感をアップさせた加工食品を製造しようとする場合に、卵感をアップさせる方法としてまず考えられることは、卵の使用量を多くすることであるが、卵の使用量を多くすると、食品の本来の味や食感が損なわれる恐れがある。また、加熱殺菌が必要な食品については、卵が熱凝固性を有することから、事実上、卵の使用量は制限される。さらに、卵にはコレステロ−ルが多く含まれることから、冠動脈心疾患や脳卒中などのリスクを高めることが懸念されるため、昨今の健康志向の高まりを考えると、卵の使用量を多くすることには抵抗があるというのが実情である。
このような状況から、従来、卵感を付与・増強する方法としては、メチオナ−ル等のアミノ酸由来の成分を添加する方法が一般に用いられている。しかしながら、これらのアミノ酸由来の成分は、不要な加熱感を食品に与えてしまうとともに、アミノ酸という、あらゆる天然物、食材に共通する成分由来のものであるため、例えば、メチオニンのストレッカ−分解で生じるメチオナ−ルは茹でたキャベツやジャガイモの香りと形容されるように、必ずしも卵そのものの香気を付与するものではなかった。
飲食品に卵感を付与・増強する上記以外の方法として、卵フレ−バ−を使用する方法も挙げられる。各種の卵フレ−バ−の製造方法については、様々な研究がなされており、例えば、全卵、卵白及び卵黄材料からなる卵材料、それらのプロテア−ゼ処理物とジヒドロキシアセトン、ピルブアルデヒドを、エタノ−ルの存在下に、加熱処理する卵焼様フレ−バ−の製造方法(特許文献1)、レシチンもしくはレシチン含有物と少なくとも一種の単糖類とを食用油脂と共に水の存在下で加熱反応させ、カスタ−ド風味やカステラ風味を伴った卵様の香りとうまみをもった油性フレ−バ−添加物の製造方法(特許文献2)、全卵、卵白及び卵黄材料からなる卵材料、それらのプロテア−ゼ処理物及び乳材料、そのプロテア−ゼ処理物の少なくとも一種を、エタノ−ルの存在下に、加熱処理してカステラ様風味を有するフレ−バ−の製造方法(特許文献3)、卵をプロテア−ゼ及びホスホリパ−ゼにより分解して得られる酵素分解物に、糖類を添加して加熱処理する卵フレ−バ−の製造方法(特許文献4)などの提案がなされている。
しかしながら、卵を主原料にする従来の卵フレ−バ−の多くは、特有の生臭い卵感が強く、加熱したフレ−バ−はカステラ様の焦げ感が強いという欠点があった。そのため、従来の卵フレ−バ−では、自然かつ濃厚な卵感を付与することは困難であった。
特公平5−7978号公報 特公昭58−50712号公報 特公平5−7977号公報 特開2001−321113号公報
ところで、近年、消費者の嗜好性の多様化により、飲食品に卵感を付与する香料においても、天然感あふれる卵感を付与できる素材が求められている。しかし、従来の香料物質を組み合わせても、まだまだ天然感の点で十分とはいえず、多様化している卵製品に、天然感あふれる卵感を再現する香りを付与する要望には十分に対応できているとは言い難いのが現状である。例えば、従来のカスタ−ドフレ−バ−は、卵感の表現が難しいため、一般的にバニラ、ミルク、洋酒といった要素を組み合わせることで作られており、バニラ等の要素に頼らない自然な卵感、特に卵黄感に富んだカスタ−ドフレ−バ−は皆無であった。
このような状況に鑑み、本発明の目的は、飲食品、特に加熱調理卵の風味を有する飲食品に、天然感あふれる卵感を付与することができる卵感付与乃至増強剤、飲食品に卵感を付与乃至増強する方法、並びに卵感を有する飲食品を製造する方法を提供することにある。
本発明者は、前述の課題を解決するために鋭意検討した結果、n−6系多価不飽和脂肪酸由来の生成物と考えられる(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル、及び(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルが、飲食品に対して天然感あふれる卵感を付与乃至増強することを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明は、以下のものを提供する。
[1](Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを有効成分として含む卵感付与乃至増強剤。
[2](E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを有効成分として含む卵感付与乃至増強剤。
[3](Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを有効成分として含む卵感付与乃至増強剤。
[4]前記卵感付与乃至増強剤の全質量を基準として、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを1ppb〜5ppm含む、前記[1]に記載の卵感付与乃至増強剤。
[5]前記卵感付与乃至増強剤の全質量を基準として、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを10ppb〜50ppm含む、前記[2]に記載の卵感付与乃至増強剤。
[6]飲食品の全質量を基準として、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの濃度が、0.001ppb〜5ppbの範囲となるように添加される、前記[1]又は[4]に記載の卵感付与乃至増強剤。
[7]飲食品の全質量を基準として、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの濃度が、0.01ppb〜50ppbの範囲となるように添加される、前記[2]又は[5]に記載の卵感付与乃至増強剤。
[8]飲食品に卵感を付与乃至増強する方法であって、該方法が(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを飲食品に添加する工程を含む方法。
[9]飲食品に卵感を付与乃至増強する方法であって、該方法が(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する工程を含む方法。
[10]飲食品に卵感を付与乃至増強する方法であって、該方法が(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する工程を含む方法。
[11]飲食品への(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの添加が、該飲食品において(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの濃度が0.001ppb〜5ppbの範囲となるように行われる、前記[8]に記載の方法。
[12]飲食品への(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの添加が、該飲食品において(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの濃度が0.01ppb〜50ppbの範囲となるように行われる、前記[9]に記載の方法。
[13]卵感を有する飲食品を製造する方法であって、該方法が(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを飲食品に添加する工程を含む方法。
[14]卵感を有する飲食品を製造する方法であって、該方法が(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する工程を含む方法。
[15]卵感を有する飲食品を製造する方法であって、該方法が(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する工程を含む方法。
[16]飲食品への(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの添加が、該飲食品において(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの濃度が0.001ppb〜5ppbの範囲となるように行われる、前記[13]に記載の方法。
[17]飲食品への(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの添加が、該飲食品において(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの濃度が0.01ppb〜50ppbの範囲となるように行われる、前記[14]に記載の方法。
本発明によれば、天然感あふれる卵感、特に卵黄感を飲食品に対して付与乃至増強することができる、卵感付与乃至増強剤、飲食品への卵感の付与乃至増強方法、並びに卵感を有する飲食品を製造する方法を提供することができる。
1.卵感付与乃至増強剤
本発明の卵感付与乃至増強剤は、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び/又は(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを有効成分として含むことを特徴とする。これらの成分は、鶏卵の卵黄において、卵黄に含まれるn−6系多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸から生成されていると推定される。また(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルについても、同様のメカニズムで生成されていると推定される。
このように本発明の卵感付与乃至増強剤の有効成分である(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルは、鶏卵の卵黄において、卵黄に含まれる上記n−6系多価不飽和脂肪酸から生成されていると考えられ、実際、これらの化合物は単独で卵を想起させる香りを有しており、天然感あふれる卵感を付与することができる。したがって、本発明の卵感付与乃至増強剤は、従来のアミノ酸由来成分を有効成分とする卵感付与乃至増強剤とは一線を画するものであり、従来の卵感付与乃至増強剤では困難であった、よりリアルな卵の香りの付与を実現することができる。
本発明で使用される(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルは、公知文献による方法で合成することができ、例えば、Journal of Chemical Ecology(1995),21(8),1191−1215に記載の以下の方法で合成することができる。一例としては、まず、2−オクチン−1−オ−ルをリンドラ−触媒により部分的に水素添加してブロム化しZ体の1−ブロモ−2−オクテンを得る。一方で、1−ブロモ−3−テトラヒドロピラニルオキシプロパンとアセチレン化ナトリウムをアンモニア存在下で反応させて5−テトラヒドロピラニルオキシプロパニル−1−ペンチンを得て、次いで、グリニャ−ル誘導体とし、先に得られた1−ブロモ−2−オクテンと塩化銅存在下でカップリングして1−テトラヒドロピラニルオキシ−7−トリデセン−1−インとする。次いで、リンドラ−触媒により部分的に水素添加した後、保護基であるテトラヒドロピラニル基を脱離し、生じた水酸基を酸化することで(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを得ることができる。
本発明で使用される(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルも、公知文献による方法で合成することができ、例えば、2−オクチン−1−オ−ルを出発物質としてブロム化した後、(E)−2−ペンテン−4−イン−1−オ−ルのグリニヤ−ル誘導体と銅触媒を用いてカップリングし、リンドラ−触媒を用いて部分的に水素添加した後、二酸化マンガンにより酸化して合成することができる(J.Agric.Food Chem.2001,49,2959−2965)。また、(Z,Z)−2,5−ウンデカジエン−1−オ−ルに、二酸化マンガンおよびトリフェニルホスホラニリデン酢酸アルキルにてワンポット酸化ウィッティヒ反応させ、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエン酸アルキルエステルを生成させた後、ヒドリド還元剤の存在下で還元して(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエノ−ルとした後、酸化することで(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを合成することができる(特許第5473867号)。
本発明の卵感付与乃至増強剤は、本発明の効果を損なわない限り、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び/又は(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルに加えて他の成分を含めることにより、他の成分を含んだ香料組成物の形態としてもよい。他の成分については、卵感付与乃至増強剤の形態等に応じて適宜選択できるが、例えば、各種の合成香料、天然香料、天然精油、植物エキス、保留剤、溶剤、懸濁化剤、溶解補助剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等が挙げられる。
本発明の卵感付与乃至増強剤における(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの含有量は、所望の効果が付与される限りにおいて任意に設定することができるが、卵感付与乃至増強剤の全質量を基準として、通常1ppb以上、好ましくは10ppb以上、より好ましくは100ppb以上である。一方、上限値は、100質量%以下であり、通常5ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは0.5ppm以下とすることができる。(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの含有量が1ppbを下回る場合は、本発明特有の卵感付与乃至増強効果が十分に得られなくなる恐れがある。
本発明の卵感付与乃至増強剤における(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの含有量は、所望の効果が付与される限りにおいて任意に設定することができるが、卵感付与乃至増強剤の全質量を基準として、通常10ppb以上、好ましくは100ppb以上、より好ましくは1ppm以上である。一方、上限値は、100重量%以下であり、通常50ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下とすることができる。(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの含有量が10ppbを下回る場合は、本発明特有の卵感付与乃至増強効果が十分に得られなくなる恐れがある。
(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを有効成分とする本発明の卵感付与乃至増強剤の飲食品への添加量は、飲食品に添加することにより所望の効果が付与される有効量であればよく、飲食品の種類や形態に応じて任意に設定することができるが、飲食品の全質量を基準として、通常0.001ppb以上、好ましくは0.01ppb以上、より好ましくは0.1ppb以上である。一方、上限値は、通常5ppb以下、好ましくは1ppb以下、より好ましくは0.5ppb以下とすることができる。これらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。飲食品における(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの濃度が0.001ppbを下回る場合は、本発明特有の卵感付与乃至増強効果が十分に得られなくなる恐れがあり、5ppbを上回る場合は、化合物そのものの金属的な香りが付与される恐れがある。
(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを有効成分とする本発明の卵感付与乃至増強剤の飲食品への添加量は、飲食品に添加することにより所望の効果が付与される有効量であればよく、飲食品の種類や形態に応じて任意に設定することができるが、飲食品の全質量を基準として、通常0.01ppb以上、好ましくは0.1ppb以上、より好ましくは1ppb以上である。一方、上限値は、通常50ppb以下、好ましくは10ppb以下、より好ましくは5ppb以下とすることができる。これらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。飲食品における(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの濃度が0.01ppbを下回る場合は、本発明特有の卵感付与乃至増強効果が十分に得られなくなる恐れがあり、50ppbを上回る場合は、化合物そのものの金属的な香りが付与される恐れがある。
(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを有効成分とする本発明の卵感付与乃至増強剤の飲食品への添加量は、飲食品に添加することにより所望の効果が付与される有効量であればよく、上述した各有効成分の前記添加量を参考にしつつ、飲食品の種類や形態に応じて適宜決定すればよい。
本発明の卵感付与乃至増強剤は、飲食品に添加することによって、天然感あふれる卵感、特に卵黄感を飲食品に付与することができる。飲食品の具体例としては、何ら限定されるものではなく、本発明の卵感付与乃至増強剤は、例えば、卵焼き、ゆで卵、スクランブルエッグ、卵豆腐、茶碗蒸し、卵ス−プ、卵サラダ、オムレツ、キッシュ、ピラフ、チャ−ハン、カルボナ−ラソ−ス、卵サンド、錦糸卵、親子丼、お好み焼き、かに玉、揚げ物の衣などの調理品類;カスタ−ドクリ−ム、ケ−キ、シュ−クリ−ム、ワッフル、クレープ、プディング、ビスケット、クッキ−、クラッカー、サブレ、ウェハース、プレッツェル、ボ−ロ、焼き菓子、ポテトチップス、パン、カステラ、バームクーヘン、マドレ−ヌ、ホットケ−キ、スフレ、ドーナツ、ババロア、ゼリ−、キャラメル、キャンディ−、錠菓、スナック、シリアルなどの菓子類;アイスクリ−ム、シャ−ベット、氷菓などの冷菓類;マヨネ−ズ、タルタルソ−ス、ドレッシング、ソースなどの調味料;袋入り即席ラ−メン、カップ入り即席ラ−メン、袋入り即席うどん、カップ入り即席うどん、袋入り即席そば、カップ入り即席そば、その他の即席麺などの各種インスタント食品類のほか、ミルクセーキ、エッグノッグ、卵酒、栄養ドリンクなどの飲料などに、広く卵様の好ましい香気を付与乃至増強するのに好適である。
本明細書において、用語「卵感」とは卵、特に卵黄に調理の有無に関わらず感じられる甘さや、芳醇でコクのある卵特有の香りを意味する。
本明細書において、用語「卵感付与」とは卵感を有しない飲食品に卵感を新たに付与することであり、用語「卵感増強」とは既に存在する卵感に更に卵感を付与して増強することを意味する。なお、用語「卵」は鶏卵、うずらの卵、アヒルの卵など、食に供される卵を意味する。
2.飲食品に卵感を付与乃至増強する方法
本発明の飲食品に卵感を付与乃至増強する方法は、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び/又は(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する工程を含むことを特徴とする。
本発明の飲食品に卵感を付与乃至増強する方法において、飲食品への(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの添加量は、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを飲食品に添加することにより卵感が付与乃至増強される有効量であればよく、飲食品の種類や形態に応じて任意に設定することができるが、飲食品の全質量を基準として、通常0.001ppb以上、好ましくは0.01ppb以上、より好ましくは0.1ppb以上である。一方、上限値は、通常5ppb以下、好ましくは1ppb以下、より好ましくは0.5ppb以下とすることができる。これらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。飲食品における(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの濃度が0.001ppbを下回る場合は、本発明特有の卵感付与乃至増強効果が十分に得られなくなる恐れがあり、5ppbを上回る場合は、化合物そのものの金属的な香りが付与される恐れがある。
本発明の飲食品に卵感を付与乃至増強する方法において、飲食品への(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを併用する場合の添加量は、飲食品に添加することにより所望の効果が付与される有効量であればよく、上述した各有効成分の前記添加量を参考にしつつ、飲食品の種類や形態に応じて適宜決定すればよい。
本発明の飲食品に卵感を付与乃至増強する方法において、飲食品への(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの添加量は、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加することにより卵感が付与乃至増強される有効量であればよく、飲食品の種類や形態に応じて任意に設定することができるが、飲食品の全質量を基準として、通常0.01ppb以上、好ましくは0.1ppb以上、より好ましくは1ppb以上である。一方、上限値は、通常50ppb以下、好ましくは10ppb以下、より好ましくは5ppb以下とすることができる。これらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができる。飲食品における(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの濃度が0.01ppbを下回る場合は、本発明特有の卵感付与乃至増強効果が十分に得られなくなる恐れがあり、50ppbを上回る場合は、化合物そのものの金属的な香りが付与される恐れがある。
本発明の飲食品に卵感を付与乃至増強する方法において、卵感を付与乃至増強する対象となる「飲食品」は、本発明の卵感付与乃至増強剤において説明した内容と同様である。
(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び/又は(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する方法は特に制限されない。また、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び/又は(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する時期についても特に制限されない。飲食品を製造した後に行ってもよいし、飲食品を製造する際に飲食品の原料に(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び/又は(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを添加し、その後に飲食品を製造してもよい。(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルは加熱しても、それらの卵感付与乃至増強効果に対して特段の影響を受けない。
3.卵感を有する飲食品を製造する方法
本発明の卵感を有する飲食品を製造する方法は、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び/又は(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する工程を含むことを特徴とする。
本発明の卵感を有する飲食品を製造する方法において、飲食品への(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び/又は(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの添加については、前述した本発明の飲食品に卵感を付与乃至増強する方法と同様にして行えばよい。
本発明の卵感を有する飲食品を製造する方法において、「飲食品」は、本発明の卵感付与乃至増強剤において説明したものと同様のものが挙げられる。
本発明の卵感を有する飲食品を製造する方法は、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ル及び/又は(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する工程を除いては、通常の飲食品を製造する方法と同様である。通常の飲食品を製造する方法で採用される原料、工程、条件等が適宜採用される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は該実施例に限定されるものではない。
(実施例1)卵様調合香料組成物への(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの添加効果
卵様調合香料組成物として、下記の各成分(質量部)を調合した。
Figure 0006694859
上記卵様調合香料組成物(対照品1)100gに、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを0.1μg(1ppb:比較品1)、1μg(10ppb:本発明品1)、10μg(100ppb:本発明品2)、0.1mg(1ppm:本発明品3)、1mg(10ppm:本発明品4)、5mg(50ppm:本発明品5)、10mg(100ppm:比較品2)混合して、比較品1及び2、本発明品1〜5の卵様調合香料組成物を調製した。それぞれの香料組成物を良く訓練されたパネル10人により風味評価を行った。本発明品無添加の対照品1をコントロール品とした。パネルの平均的な香気評価を表2に示す。
Figure 0006694859
表2の結果から明らかなように、本発明品を加えた本発明品1〜5は、卵の天然感が付与されていた。特に本発明品3及び4は、卵の天然感が付与され、甘さ、濃厚感が著しく増強しており、パネル全員が好ましいとの評価を得た。一方、比較品1は対照品1と大差なく、比較品2は化合物そのものの金属的な香りが目立ち、バランスが大きく崩れているとの評価であった。
(実施例2)卵様調合香料組成物への(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの添加効果
上記卵様調合香料組成物(対照品1)100gに、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを0.01μg(0.1ppb:比較品3)、0.1μg(1ppb:本発明品6)、1μg(10ppb:本発明品7)、10μg(100ppb:本発明品8)、0.1mg(1ppm:本発明品9)、0.5mg(5ppm:本発明品10)、10mg(100ppm:比較品4)混合して、比較品3及び4、本発明品6〜10の卵様調合香料組成物を調製した。それぞれの香料組成物を良く訓練されたパネル10人により風味評価を行った。本発明品無添加の対照品1をコントロール品とした。パネルの平均的な香気評価を表3に示す。
Figure 0006694859
表3の結果から明らかなように、本発明品を加えた本発明品6〜10は、卵の天然感が付与されていた。特に本発明品7〜9は、卵の天然感が付与され、甘さ、調理感が著しく増強しており、パネル全員が好ましいとの評価を得た。一方、比較品3は対照品1と大差なく、比較品4は化合物そのものの金属臭が目立ち、バランスが大きく崩れているとの評価であった。
(実施例3)卵様調合香料組成物のプリンへの添加効果
実施例1、2で得られた卵様調合香料組成物(本発明品3、本発明品8、対照品1)を下記処方のプリンに添加し、常法によりプリンを調製した。本発明品3を添加したプリンを本発明品11、本発明品8を添加したプリンを本発明品12及び本発明品3及び本発明品8を添加したプリンを本発明品13、対照品1を添加したプリンを比較品5とした。これらのプリンを専門パネル20人により官能評価を行った。
Figure 0006694859
その結果、専門パネル20人全員が、本発明品11〜13のいずれも、比較品5に比べ、自然かつ濃厚な卵感、特に卵黄感が付与されていると評価した。
(実施例4)卵様調合香料組成物のカスタードクリーム(フラワーペースト)への添加効果
実施例1、2で得られた卵様調合香料組成物(本発明品3、本発明品8、対照品1)を下記処方のカスタードクリーム(フラワーペースト)に添加し、常法によりカスタードクリームを調製した。本発明品3を添加したカスタードクリームを本発明品14、本発明品8を添加したカスタードクリームを本発明品15及び本発明品3及び本発明品8を添加したカスタードクリームを本発明品16、対照品1を添加したカスタードクリームを比較品6とした。これらのカスタードクリームを専門パネル20人により官能評価を行った。
Figure 0006694859
専門パネル20人での評価の結果、本発明品14〜16のいずれも、比較品6に比べ自然かつ濃厚な卵感、特に卵黄感が付与されていると評価した。特に本発明品16に関しては、 より自然で濃厚でインパクトでコクのある卵黄感が付与されているとの評価であった。

Claims (10)

  1. (Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを有効成分として含む卵感付与乃至増強剤。
  2. (E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを有効成分として含み、卵黄感を付与乃至増強する卵感付与乃至増強剤であって、
    前記卵感付与乃至増強剤の全質量を基準として、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを10ppb〜50ppm含む、卵感付与乃至増強剤。
  3. さらに(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを含、請求項1に記載の卵感付与乃至増強剤。
  4. 前記卵感付与乃至増強剤の全質量を基準として、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを1ppb〜5ppm含む、請求項1に記載の卵感付与乃至増強剤。
  5. 飲食品の全質量を基準として、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの濃度が、0.001ppb〜5ppbの範囲となるように添加される、請求項1又は4に記載の卵感付与乃至増強剤。
  6. 飲食品の全質量を基準として、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの濃度が、0.01ppb〜50ppbの範囲となるように添加される、請求項2に記載の卵感付与乃至増強剤。
  7. 飲食品に卵感を付与乃至増強する方法であって、該方法が(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルを飲食品に添加する工程を含む方法。
  8. 飲食品に卵黄感を付与乃至増強する方法であって、該方法が(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する工程を含み、
    飲食品への(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの添加が、該飲食品において(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルの濃度が0.01ppb〜50ppbの範囲となるように行われる方法。
  9. 飲食品に卵感を付与乃至増強する方法であって、該方法がさらに(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナ−ルを飲食品に添加する工程を含む、請求項7に記載の方法。
  10. 飲食品への(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの添加が、該飲食品において(Z,Z)−4,7−トリデカジエナ−ルの濃度が0.001ppb〜5ppbの範囲となるように行われる、請求項7に記載の方法。
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