JP2015128406A - バター代替油脂 - Google Patents

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卓夫 築野
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博明 瀬越
Hiroaki Sekoshi
博明 瀬越
まりえ 高井
Marie Takai
まりえ 高井
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Abstract

【課題】本発明は、安価で、風味の豊かなバター代替油脂を提供することを目的とする。【解決手段】γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂を原料として得られるバター代替油脂であって、フェチン酸を含まないことを特徴とするバター代替油脂。【選択図】なし

Description

本発明は、バター代替油脂に関し、詳細にはγ−オリザノール高含有油脂を原料として得られるバター代替油脂に関する。
クッキー、パイ、パウンドケーキ等の焼き菓子や蒸しケーキ等はバターを多く使用している。一方で、バターは高価(1000円程度/kg)であるため、安価な植物油由来の油脂乳化物(200円程度/kg)での代替がされている。しかし、植物由来の油脂乳化物は風味に欠けるという欠点があった。それゆえ、バターより安価で、風味の豊かなバター代替油脂が望まれていた。
本発明者らは、フィチン酸を含有し、さらにγ−オリザノールを含有する油脂組成物が食品の風味を向上させることを報告している(特許文献1)。ここで、フィチン酸は水にはよく溶ける性質を有し、通常油脂には含まれない成分である。また、上記発明はフィチン酸と食用油脂を含有する油脂組成物を提供すること等を主な課題としている。特許文献1には、バター代替油脂についての記載はない。
特開2013−212068号公報
本発明は、安価で、風味の豊かなバター代替油脂を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
〔1〕γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂を原料として得られるバター代替油脂であって、フィチン酸を含まないことを特徴とするバター代替油脂。
〔2〕γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂が、油脂にγ−オリザノールを添加したものでないことを特徴とする〔1〕に記載のバター代替油脂。
〔3〕γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂が、米油、コーン油、パーム油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、サフラワー油、落花生油、大豆油、菜種油及び亜麻仁油並びにそれらの分別油、硬化油及びエステル硬化油からなる群より選択される1以上であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のバター代替油脂。
〔4〕γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂が、以下の工程(A)および(B)を包含する製造方法により製造されることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のバター代替油脂。
(A)油層と、γ−オリザノール塩を含有するアルカリ油滓層とを有する油脂処理物を得る工程
(B)(A)で得られた油脂処理物に酸を添加し、γ−オリザノールをアルカリ油滓層から油層に移行させ、γ−オリザノール含量が増加した油脂を回収する工程
〔5〕さらに、他の食用油脂、乳化剤、水及び塩から選択される1以上を原料として含有する〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のバター代替油脂。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のバター代替油脂を用いた食品。
〔7〕バターの全部または一部を、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のバター代替油脂で置換して製造した菓子。
本発明により、安価で、風味の豊かなバター代替油脂を提供することができる。
本発明は、γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂を原料として得られるバター代替油脂(以下、本発明のバター代替油脂という。)を提供する。本発明のバター代替油脂は、フィチン酸を含まない。
γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂のγ−オリザノール含有量は1質量%以上であればよいが、1.5質量%以上が好ましく、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましい。γ−オリザノール含有量の上限も特に限定されないが、約60質量%程度であってもよい。
γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂は、油脂にγ−オリザノールを添加して製造したものでもよく、油脂にγ−オリザノールを添加せずに製造したものでもよいが、油脂にγ−オリザノールを添加せずに製造したものであることが好ましい。発明者らは、油脂にγ−オリザノールを添加せずにγ−オリザノール高含有油脂を製造する方法を報告している(WO2012/063794号)。上記方法等により製造すると、γ−オリザノールを外部から油脂に添加して製造するよりも低コストでγ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂を製造することができる。なお、γ−オリザノールを外部から油脂に添加してγ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂を製造することは可能であるが、γ−オリザノールは高価であるため、γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂を低コストで製造することができない。
γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂はとしては、例えばリノレン酸含量が1質量%以下の植物油脂が好ましい。リノレン酸含量が1質量%以下の植物油脂としては、例えば、(イ)米油、パーム油、コーン油、ゴマ油、ヒマワリ油及び綿実油からなる群より選択される1以上の油脂、当該油脂(イ)の分別油、当該油脂(イ)の硬化油、当該油脂(イ)のエステル硬化油等が挙げられ、(ロ)米油、コーン油及びゴマ油からなる群より選択される1以上の油脂、当該油脂(ロ)の分別油、当該油脂(ロ)の硬化油、当該油脂(ロ)のエステル硬化油が好ましい。
γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂としては、例えば不けん化物含量が0.5質量%以上の植物油脂が好ましく、不けん化物含量が0.7質量%以上の植物油脂がより好ましい。不けん化物含量が0.5質量%以上の植物油脂としては、例えば、米油、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、ヒマワリ油、綿実油等が挙げられる。不けん化物含量が0.7質量%以上の植物油脂としては、例えば、米油、菜種油、コーン油、ゴマ油等が挙げられる。
γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂としては、例えば(ハ)米油、パーム油、菜種油、大豆油、亜麻仁油、ゴマ油、コーン油、綿実油、ココナッツ油、オリーブ油、ヤシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、アーモンド油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、落花生油、モンゴンゴ油、ペカン油、松の実油、クルミ油、ツバキ油、茶油、牛脂、ラード、鶏油、馬油及び魚油からなる群より選択される1以上の油脂、当該油脂(ハ)の分別油、当該油脂(ハ)の硬化油、当該油脂(ハ)のエステル硬化油等が挙げられ、(ニ)綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、サフラワー油、落花生油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、米油、コーン油及びパーム油からなる群より選択される1以上の油脂、当該油脂(ニ)の分別油、当該油脂(ニ)の硬化油、当該油脂(ニ)のエステル硬化油が好ましく、(ホ)米油、コーン油及びパーム油からなる群より選択される1以上の油脂、当該油脂(ホ)の分別油、当該油脂(ホ)の硬化油、当該油脂(ホ)のエステル硬化油が特に好ましい。これらは、2種以上を混合してブレンド油としてもよい。
γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂として、例えば、米胚芽油(PRO−15)、米胚芽油ガンマ30N(築野食品工業株式会社製)等を好適に用いることができる。
油脂中のγ−オリザノール濃度は、公知の方法で測定、算出することができる。例えば、油脂をヘキサンで2〜5g/100mLの濃度に希釈し、315nmの吸光度を測定し、以下の式に当て嵌めることにより算出することができる。ただし、以下の式において、Gをγ−オリザノール含量(%)、Aを吸光度、Xを油脂の質量(g)とする。
G=(A×5000)/(X×359)
γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂は、例えば、以下の工程(A)および(B)を包含する製造方法により製造される。
(A)油層と、γ−オリザノール塩を含有するアルカリ油滓層とを有する油脂処理物を得る工程
(B)(A)で得られた油脂処理物に酸を添加し、γ−オリザノールをアルカリ油滓層から油層に移行させ、γ−オリザノール含量が増加した油脂を回収する工程
γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂の製造方法は、本発明の目的を損なわない限り工程(A)、工程(B)以外の工程を包含してもよい。工程(A)、工程(B)以外の工程としては、例えば、脱色工程、脱臭工程などが挙げられる。好ましくは、工程(A)、工程(B)の後に脱色工程および脱臭工程を行うことである。脱色工程および脱臭工程を行うことにより、製品として流通可能な精製γ−オリザノール含有油脂を得ることができる。脱色工程および脱臭工程では、食用油脂の製造工程において通常行われる公知の脱色方法および脱臭方法を用いることができる。
工程(A)において得られる油脂処理物は、油層と、γ−オリザノール塩を含有するアルカリ油滓層とを有するものであればよい。油層およびアルカリ油滓層のみからなるものでもよく、これら以外の層を有するものでもよい。工程(A)において、油脂処理物は、γ−オリザノールを含有する原料油脂にアルカリを添加して、油層とアルカリ油滓層とに分離させることにより、得ることができる。原料油脂は、γ−オリザノールを含有する油脂であればよく、限定されるものではない。γ−オリザノールは、米糠に多く含まれていることから、米糠由来の油脂を原料油脂とすることが好ましい。また、コーン油にも含まれることが知られており、トウモロコシ胚芽由来の油脂を原料油脂とすることも可能である。
原料となる米糠からヘキサン抽出により分離した原油(米原油)には約2質量%程度のγ−オリザノールが含まれており、その大部分が脱酸工程においてアルカリ脱酸を行うことにより除去されるので、脱酸工程でアルカリ脱酸を行う前段階の米原油を原料油脂として好適に用いることができる。具体的には、ヘキサン抽出直後の米原油、脱ガム工程を経た米原油、脱ガム工程および脱ロウ工程を経た米原油などが挙げられる。また、脱酸工程のアルカリ脱酸により除去されるγ−オリザノールは、アルカリ油滓に移行しているので、アルカリ油滓を酸分解することによって得られる油脂(ダーク油、アシッドオイルとも称される。)を原料油脂として好適に用いることができる。
原料油脂に添加するアルカリは特に限定されないが、脱酸効率や脱色効率の点から強アルカリが好ましい。例えば、苛性ソーダ、苛性カリなどが挙げられる。原料油脂にアルカリを添加して攪拌した後、静置、遠心分離等することにより、油層とアルカリ油滓層とに分離させることができる。処理温度は特に限定されないが、通常約20〜80℃であり、好ましくは約30〜50℃である。処理時間も特に限定されないが、通常約15分〜2時間であり、好ましくは約30分〜1時間である。原料油脂に含有されるγ−オリザノールは、アルカリによって中和され、塩を形成してアルカリ油滓層に移行する。目的を損なわない限りアルカリ以外のものを原料油脂に添加してもよい。例えば、ヘキサン、エタノール、イソプロパノール、メタノールなどの溶剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
原料油脂に添加するアルカリの量は特に限定されないが、原料油脂に遊離脂肪酸が含まれる場合は、遊離脂肪酸の酸価の当量以上のアルカリを添加することが好ましい。より好ましくは遊離脂肪酸の酸価の約1.2当量以上である。上限は特に限定されないが、約2〜4当量程度で十分である。遊離脂肪酸の酸価は、例えば、「2003年版基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編纂)」に記載の方法に従い、アルカリブルーを指示薬とする滴定により測定することができる。
また、アルカリの添加量は、生成するアルカリ油滓のpHが10を超えるような量とすることが好ましい。アルカリ油滓のpHが10を超えると、原料油脂中のγ−オリザノールの大部分が塩を形成してアルカリ油滓層に移行しやすくなると考えられる。上限は特に限定されないが、pHが約12〜14程度になる量で十分である。
工程(A)において、油層と、γ−オリザノール塩を含有するアルカリ油滓層とを有する油脂処理物は、γ−オリザノール塩を含有するアルカリ油滓に油脂を重層することによっても得ることができる。例えば、米油の製造において排出されるアルカリ油滓を取得し、これに油脂を重層することで、油層と、γ−オリザノール塩を含有するアルカリ油滓層とを有する油脂処理物を得ることができる。また、γ−オリザノールを含有する原料油脂にアルカリを添加して、攪拌、静置等することにより分離した油層を全部除去し、アルカリ油滓層のみを取得して、これに新たな油脂を重層してもよい。
工程(B)では、工程(A)で得られた油層とアルカリ油滓層とを有する油脂処理物に酸を添加することで、アルカリ油滓層に含有されるγ−オリザノールを油層に移行させる。添加する酸は特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、グルコン酸、酒石酸、酪酸、シュウ酸、脂肪酸、脱臭留出物などが挙げられる。これらの酸は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。なかでも、硫酸、リン酸、脂肪酸、脱臭留出物が好ましく、より好ましくは、硫酸、リン酸、脱臭留出物である。脱臭留出物は、食用油脂の製造における脱臭工程で排出されるもので、スカム油とも称される。脱臭留出物中には遊離脂肪酸の他、トコフェロールやステロールが豊富に含まれるので、酸として脱臭留出物を用いれば、得られるγ−オリザノール含有油脂中のトコフェロールやステロールを強化することが可能となる。
油層とアルカリ油滓層とを有する油脂処理物に酸を添加して攪拌した後、静置、遠心分離等することにより、再度油層とアルカリ油滓層とに分離させ、上層のγ−オリザノール含量が増加した油層のみを回収する。処理温度は特に限定されないが、通常約60〜100℃であり、好ましくは約70〜90℃である。処理時間も特に限定されないが、通常約15分〜2時間であり、好ましくは約30分〜1時間である。得られた油層からセッケンをできるだけ除去するために、油層を回収した後、これに水を加えて攪拌し、分離した水層(セッケン)を除去する操作を行ってもよい。
工程(B)における酸の添加量は特に限定されないが、アルカリ油滓層のpHが10以下となるような量の酸を添加することが好ましい。すなわち、酸を添加して攪拌した後、再度油層とアルカリ油滓層とに分離したときのアルカリ油滓層のpHが10以下となるように酸を添加することが好ましい。アルカリ油滓層のpHが10以下になれば、アルカリ油滓層に含有されるγ−オリザノール塩が遊離のγ−オリザノールとして油層に移行しやすくなると考えられる。上限は特に限定されず、アルカリ油滓層のpHが約1〜3程度になるような量の酸を添加してもよい。しかし、アルカリ油滓層のpHが酸性になると、アルカリ油滓層中の遊離脂肪酸塩(セッケン)から脂肪酸が遊離して油層に移行するので、アルカリ油滓層のpHが7以上10以下となるような量の酸を添加することがより好ましい。
工程(B)により、アルカリ油滓層中のγ−オリザノールの大部分が油層に戻るので、例えば、原料油脂として約2質量%程度のγ−オリザノールを含有する原油を用いた場合、約2質量%のγ−オリザノールを含有する油脂を製造することが可能となる。
工程(A)において、γ−オリザノールを含有する原料油脂にアルカリを添加して、油層と、γ−オリザノール塩を含有するアルカリ油滓層とに分離させて油脂処理物を得た後、油層の一部を除去すれば、原料油脂のγ−オリザノール濃度より、高濃度のγ−オリザノール含有油脂を製造することができる。この際、油層から除去する量を適宜増減することにより、任意の濃度のγ−オリザノール高含有油脂を得ることができる。また、工程(A)において、γ−オリザノールを含有する原料油脂にアルカリを添加して、油層と、γ−オリザノール塩を含有するアルカリ油滓層とに分離させて油脂処理物を得た後、油層の一部を除去し、新たな油脂を油層に添加してもよい。この際、種類の異なる油脂を添加すれば、任意の濃度のγ−オリザノールを含有するブレンド油脂を得ることができる。
工程(A)において、γ−オリザノール塩を含有するアルカリ油滓に油脂を重層して油脂処理物を得る場合、重層する油脂として本来γ−オリザノール含有しない油脂やγ−オリザノール含有量の低い油脂を用いれば、任意の種類のγ−オリザノール含有油脂を得ることができる。一方、新たな油脂としてγ−オリザノール含有油脂を用いれば、さらに高濃度のγ−オリザノール含有油脂を得ることができる。得られたγ−オリザノール高含有油脂を再度新たな油脂として用いることを繰り返せば、非常に高濃度のγ−オリザノールを含有する油脂を得ることができる。
γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂の含量は、バター代替油脂の原料の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、30〜70質量%であることがさらに好ましく、40〜60質量%であることがさらに好ましく、40〜50質量%であることが特に好ましい。
本発明のバター代替油脂は、さらに他の食用油脂を原料として含有していてもよい。他の食用油脂は、γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂として用いた油脂以外であれば特に限定されないが、例えば、(ヘ)パーム油、パーム核油、米油、パーム油、菜種油、大豆油、亜麻仁油、ゴマ油、コーン油、綿実油、ココナッツ油、オリーブ油、ヤシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、アーモンド油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、落花生油、モンゴンゴ油、ペカン油、松の実油、クルミ油、ツバキ油、茶油、牛脂、ラード、鶏油、馬油及び魚油からなる群より選択される1以上の油脂、当該油脂(ヘ)の分別油、当該油脂(ヘ)の硬化油、当該油脂(ヘ)のエステル硬化油等が挙げられる。これらは、2種以上を混合してブレンド油としてもよい。食用油脂の含量は特に限定されないが、バター代替油脂の原料の30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましく、40〜50質量%がさらに好ましい。
本発明のバター代替油脂は、さらに乳化剤を原料として含有していてもよい。乳化剤は、グリセリン脂肪酸エステルとしては、食品分野で通常使用されているグリセリン脂肪酸エステルであれば、いずれも使用可能である。グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されず、例えば天然の動植物より抽出した油脂を加水分解し、分離してあるいは分離せずに精製して得ることができ、飽和、不飽和、あるいは飽和・不飽和の混在、いずれも使用可能であり、好ましくは飽和脂肪酸、さらに好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種、最も好ましくはステアリン酸を用いる。乳化剤のHLBは、4〜14が好ましく、9〜13がより好ましい。乳化剤として例えば、モノグリセリド、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート等が挙げられ、モノグリセリドが好ましい。乳化剤の含量は特に限定されないが、バター代替油脂の原料の0.1〜0.3質量%が好ましく、0.15〜0.2質量%がより好ましい。
本発明のバター代替油脂は、さらに水を原料として含有していてもよい。水の含量は特に限定されないが、バター代替油脂の原料の0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、20〜30質量%がさらに好ましく、15〜17質量%がさらに好ましい。
本発明のバター代替油脂は、さらに塩を原料として含有していてもよい。塩の含量は特に限定されないが、バター代替油脂の原料の0.1〜1質量%が好ましく、0.15〜0.2質量%がより好ましい。
本発明のバター代替油脂は、例えば、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、フラワーペースト、クリーム類等の形態で提供することができる。
本発明のバター代替油脂は、バターよりも安価に製造可能で、かつ、風味が豊かである。
本発明は、本発明のバター代替油脂を用いた食品(以下、本発明の食品という)を包含する。本発明の食品は特に限定されるものではなく、調理用素材、加工食品、調理済食品等、幅広く適用が可能である。例えば、粉末油脂類、乳化油脂類等の油脂・加工油脂、即席麺、カップ麺、即席スープ・シチュー類等の即席食品、カレー、スープ・シチュー類、パスタソース、中華食品の素、どんぶりの素等のレトルト食品・缶詰類、高カロリー飲料、流動食、栄養バランス食、栄養補助食品、特定保健用食品等の機能食品、パン、マカロニ・スパゲティ等のパスタ類、ピザパイ、麺類、ケーキミックス、加工米飯、シリアル等の小麦粉・デンプン食品、ベーカリー食品、ベーカリー生地、キャラメル、キャンディ、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、ゼリー、プリン等の菓子・デザート、しょうゆ、みそ、ソース類等の基礎調味料、カレー・シチュー用ルー、たれ、ドレッシング、マヨネーズ風調味料、麺つゆ、鍋料理用つゆ、ラー油、マスタード、からし、わさび、おろししょうが、おろしにんにく、キムチの素、デミグラスソース、ホワイトソース、トマトソース等の複合調味料、乳、加工乳、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、チーズ、アイスクリーム類、調整粉乳、クリーム類等の乳製品、水産缶詰、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、油漬け魚肉缶詰等の水産加工品、ピーナツバター、ジャム・マーマレード、チョコレートクリーム、メンマ加工品、ザーサイ加工品、ねりごま・ごまペースト等の農産加工品、畜肉ハム・ソーセージ、畜産缶詰、ペースト類、ハンバーグ、ミートボール、味付け畜肉缶詰等の畜産加工品、冷凍食品、冷蔵食品、パック入りや店頭販売用惣菜等の調理済み・半調理済み食品等が挙げられ、キャラメル、キャンディ、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、ゼリー、プリン等の菓子が好ましく、クッキーが特に好ましい。
本発明のバター代替油脂を用いた食品はバターを用いた食品よりも食感がよく、バニラ様の香りが付加され、香りが豊かである。
本発明は、バターの全部または一部を、本発明のバター代替油脂で置換して製造した菓子(本発明の菓子)を包含する。本発明のバター代替油脂で置換する割合は、例えば5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。本発明のバター代替油脂で置換する割合は、例えば95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
本発明の菓子は、例えば、キャラメル、キャンディ、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー等が挙げられ、クッキーが特に好ましい。本発明の菓子は、バターの代替として、安価な本発明のバター代替油脂を用いた結果、バターよりも食感がよく、バニラ様の香りが付加され、香りが豊かである。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:γ−オリザノール高含有油脂を原料とするショートニングの製造〕
γ−オリザノール1.5質量%の米油(米胚芽油PRO−15、築野食品工業株式会社製)50質量%、パーム油及びパームステアリンの混合物(融点34〜37度)49.8質量%、乳化剤(モノグリセリド)0.2質量%を60℃で混合し、窒素ガスを吹き込んだ後10℃まで急冷しながら練り合わせ、ショートニングを製造した。
〔比較例1:菜種油を原料とするショートニングの製造〕
米胚芽油の代わりに菜種油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ株式会社製、γ−オリザノール1質量%未満)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
〔試験例1:クッキーの製造及び食味試験〕
試験用油脂(実施例1又は比較例1のショートニングとバターとの混合油脂)120gを練り混ぜた。練り混ぜた試験用油脂に砂糖80gを入れて泡立て器でよく混ぜ合わせ、卵黄1個分を入れ更に混ぜた。篩った薄力粉200gを更に入れて生地がまとまるまでゴムべらで切り混ぜた。生地を直径3センチの棒状にしてラップで包み冷蔵庫で1時間休ませた。その後、1センチ幅に包丁で切り、150℃で予熱しておいたオーブンで20分間焼き、クッキーを製造した。食味試験は20人のパネラーで行った。採点方法は、バター(第3群)を○(基準)とし、風味、コク、食感の3項目を◎(バターよりもプラス)、○(バターと同等)、△(バターよりマイナス)、×(バターより更にマイナス)の4段階で評価した。
Figure 2015128406
1群(実施例1のショートニングを30質量%バターと置換)において、総合的にバターと同様の評価が得られた。また、1群において、3群(バター)よりも食感がよい、バニラ様の香りが付加されている、香りが豊かであるという評価が得られた。これは、γ−オリザノールによるものと考えられる。
一方、4群(比較例1のショートニングを30質量%バターと置換)において、風味、コク及び食感が3群(バター)よりも劣る結果となった。
〔試験例2:マーガリンの製造〕
実施例1のショートニング83.8質量%、水16質量%、塩0.2質量%を60℃で混合し、100℃で加熱殺菌した後10℃まで急冷しながら練り合わせてマーガリンを製造した。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims (7)

  1. γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂を原料として得られるバター代替油脂であって、フィチン酸を含まないことを特徴とするバター代替油脂。
  2. γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂が、油脂にγ−オリザノールを添加したものでないことを特徴とする請求項1に記載のバター代替油脂。
  3. γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂が、米油、コーン油、パーム油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、サフラワー油、落花生油、大豆油、菜種油及び亜麻仁油並びにそれらの分別油、硬化油及びエステル硬化油からなる群より選択される1以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバター代替油脂。
  4. γ−オリザノールを1質量%以上含有する油脂が、以下の工程(A)および(B)を包含する製造方法により製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバター代替油脂。
    (A)油層と、γ−オリザノール塩を含有するアルカリ油滓層とを有する油脂処理物を得る工程
    (B)(A)で得られた油脂処理物に酸を添加し、γ−オリザノールをアルカリ油滓層から油層に移行させ、γ−オリザノール含量が増加した油脂を回収する工程
  5. さらに、他の食用油脂、乳化剤、水及び塩から選択される1以上を原料として含有する請求項1〜4のいずれかに記載のバター代替油脂。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のバター代替油脂を用いた食品。
  7. バターの全部または一部を、請求項1〜5のいずれかに記載のバター代替油脂で置換して製造した菓子。
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