JP6841680B2 - 風味増強油脂の製造方法 - Google Patents
風味増強油脂の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6841680B2 JP6841680B2 JP2017025408A JP2017025408A JP6841680B2 JP 6841680 B2 JP6841680 B2 JP 6841680B2 JP 2017025408 A JP2017025408 A JP 2017025408A JP 2017025408 A JP2017025408 A JP 2017025408A JP 6841680 B2 JP6841680 B2 JP 6841680B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fat
- oil
- oils
- fats
- flavor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Edible Oils And Fats (AREA)
- Seeds, Soups, And Other Foods (AREA)
Description
とりわけ、飲食品が有する風味の豊かさやコク味を強める作用を有している油脂は、広範な飲食品に対して、味の向上・改善を目的として用いられていることもあり、その作用が強められた油脂や、作用を強めることを目的とした油脂の加工方法が従来検討され、油脂の美味しさ、油脂由来の飲食品の美味しさを得る手法が追求されてきた。
水素添加処理が施され改質された油脂は、好ましい特徴的な風味を有していることから、種々の飲食品やその調理油に用いられてきた。例えば、特許文献3には、融点が40〜50℃の部分水素添加油脂を含有させたフライ油が開示されている。また、特許文献4には、ラード1〜20重量%及び/又は実質的に融点20〜40℃の硬化油1〜20重量%並びに任意の非硬化油からなるフライ油が開示されている。
例えば、特許文献5には、特定の過酸化物価となるよう軽微に酸化した部分硬化油脂を含有した揚げ物調理用の油脂組成物が開示されている。特許文献6には、特定の炭化水素を含有する部分硬化油脂が開示されている。特許文献7には、全構成脂肪酸中のC18:2トランス型異性体含量及び過酸化物価を一定の範囲に制御し酸化された部分水素添加油脂が開示されている。特許文献8には部分硬化油を加熱酸化した後220℃以下で脱臭することにより得られる油脂が開示されている。特許文献9には、トランス型ポリ不飽和脂肪酸含量が10%未満の酸化された部分硬化油脂が添加された油脂が開示されている。
この知見を利用して更に検討を進めたところ、酸化油脂を原料とし、沃素価を変動させることなく、酸化油脂中の過酸化物を極微量の水素で還元することで、油脂が元来有する、飲食品の風味の豊かさやコク味を強める作用が強化されることを知見した。
また、このとき原料となる酸化油脂中の過酸化物価やアニシジン価を大きく低減させることが出来るため、劣化臭等の風味の変質を抑制出来ることを知見した。
まず、本発明の風味増強油脂の製造方法で原料として用いられる酸化油脂について述べる。
本発明で原料として用いられる酸化油脂は、一般的な食用油脂が酸化を受けることで得られるものである。上記食用油脂としては例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、微細藻類油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、乳脂、豚脂、羊脂、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油、リン脂質等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂から選ばれた1種又は2種以上からなるもの、及びこれらを含んでなるものが挙げられる。
本発明の風味増強油脂の製造方法においては、酸化油脂は、牛脂や豚脂、乳脂等の動物油脂が酸化して得られたものであることが、製造された風味増強油脂がより強いコク味増強作用を有するので好ましい。
なお、本発明においては上記酸化油脂は、2種以上の酸化油脂の混合物であってもよい。
また、本発明においては上記酸化油脂は、少なくとも1種の酸化油脂を含んでいればよく、酸化していない通常の食用油脂との混合物であってもよい。上記酸化油脂が酸化油脂と通常の食用油脂との混合物である場合、混合物における通常の食用油脂の含有量は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
尚、「実質的に部分硬化油脂を含有しない」とは、具体的には、原料である食用油脂中の部分硬化油脂の含有量が5質量%以下であることを意味し、3質量%以下がより好ましく、原料である食用油脂が部分硬化油脂を含有しないことが最も好ましい。
上記酸化油脂が原料として実質的に部分硬化油脂を含有しないことにより、酸化油脂及び得られる風味増強油脂のトランス脂肪酸含量を低減することができる。
尚、本発明において部分硬化油脂とは、水素添加が行われ、且つ、構成脂肪酸中にトランス脂肪酸を10〜55質量%含有する油脂を意味する。
本発明において酸化油脂とは、過酸化物価が少なくとも0.05以上である油脂を指す。
本発明においては、とりわけ、酸化油脂の過酸化物価が5〜60であることが好ましく、10〜40であることがより好ましく、20〜35であることが最も好ましい。
過酸化物価の値が60超である酸化油脂を本発明の原料として用いた場合、過酸化物価を十分低減させる際に、油脂を構成するグリセリド中の不飽和脂肪酸が同時に還元されやすく、それにより物性の変化を伴いやすい上、トランス脂肪酸含量が増加してしまうおそれがある。
また、過酸化物価の値が5以上である酸化油脂の場合、得られる風味増強油脂のコク味増強作用がより強化されるため好ましい。
本発明において油脂の過酸化物価は、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.5.2.1-2013」に準拠して測定できる。
本発明に用いる酸化油脂のアニシジン価が35超であった場合、本発明により得られる風味増強油脂を食品中に含有させた際、異味が生じやすくなってしまう。
また、本発明に用いる酸化油脂のアニシジン価が15以上であった場合、十分なコク味増強作用を有する風味増強油脂を得ることができるので好ましい。
本発明においてのアニシジン価は、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.5.3-2013」に準拠して測定できる。
なお、食用油脂を人為的に酸化させる場合においては、その油脂の酸化させる処理手法は特に制限されないが、効率良く油脂を酸化させることが出来る上、過酸化物価とアニシジン価の値を上記の特定範囲に調整することが容易である点から、加熱処理による熱酸化を行うことが好ましい。
なお、食用油脂の熱酸化に際し、酸化中の油脂が均一になるように、撹拌を行うことが望ましい。
尚、得られた酸化油脂について、必要に応じて脱色や脱臭といった通常の油脂精製を経てもよい。
そこで、次に酸化油脂中に含有される過酸化物を水素で還元する工程について述べる。(以下、この工程を単に還元工程と呼称する場合がある。)
この工程を経ることで、油脂が元来有するコク味増強作用が強化される。
本発明に用いられる水素化触媒は、酸化油脂中の過酸化物を水素によって還元することが出来る物であれば特に限定されず、ニッケル触媒やプラチナ触媒、パラジウム触媒等を選択することが出来る。
この中でも特に、安価であり、且つ低温域においても安定的に過酸化物の還元を行うことが出来るため、ニッケル触媒を選択することが好ましい。
なお、ニッケル触媒は、選択性を有するニッケル触媒であっても、非選択性を有するニッケル触媒であってもどちらでもよい。
また、触媒の形状は粉末状であってもフレーク状であっても好ましく使用されるが、フレーク状である方が油脂に対して飛散することなく添加できるため好ましい。
なお、より好ましくは、0.5〜1.7kg/cm2、最も好ましくは、0.6〜1.5kg/cm2の圧力範囲で注入される。
なお、還元反応を行う容器内のヘッドスペースの空気を水素ガスで十分置換し、上記圧力範囲とした後で加熱を開始することが、酸化油脂の沃素価の変動を抑制する観点から好ましい。
酸化油脂の温度が60℃未満の場合、十分に酸化油脂中の過酸化物の還元を行うことが出来ない上、選択した油脂種によっては油脂結晶が生じてしまうおそれがある。また酸化油脂の温度が120℃超の場合、沃素価が変動しないように制御しながら過酸化物の還元を行うことができなくなるおそれがある。
加熱時の撹拌については、撹拌羽根等を用い、100〜750rpmの速度で撹拌することが好ましく、150〜600rpmの速度で撹拌することがより好ましく、200〜500rpmの速度で撹拌することが最も好ましい。
加熱時の撹拌速度が100rpmを下回ると、酸化油脂中に水素ガスが包含されず、過酸化物やカルボニル化合物の還元反応の進行が極めて遅くなるおそれがある。また、加熱時の撹拌速度が750rpmを上回ると、酸化油脂中に水素ガスが過剰に包含され、酸化油脂の還元反応を制御することが困難になるおそれがある。
沃素価の変動率が5%超となる範囲を終点とする場合、油脂の物性が変化するおそれがある他、トランス脂肪酸含量が増加してしまうおそれがある。
また、沃素価の変動率が5%以下の範囲のうち、過酸化物価が5超である点を終点とする場合、得られる油脂の劣化が早まるおそれがある。
本発明おいて油脂の沃素価は、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.3.4.1-2013」に準拠して測定できる。
濾過助剤としてシリカゲルを用いた水素化触媒の除去を行うことにより、漏れなく水素化触媒を油脂中から除去できる上、得られる風味増強油脂が強いコク味増強作用を呈するようになることから特に好ましい。
尚、シリカゲルやセライト、活性炭等の濾過助剤を用いる場合、その使用量は、油脂中から水素化触媒が除去されるものであれば特に限定されるものではないが、油脂重量に対して1〜10質量%を用いることにより、水素化触媒を系中から十分好ましく除くことが出来る。
なお、油脂を含有する食品の場合、上記の風味増強油脂を飲食品に直接使用してもよく、また、種々の食用油脂、またはマーガリン、ショートニング、ホイップクリーム等の油脂組成物に対して、あらかじめ含有させた油脂製品を使用してもよい。なお、得られる風味増強油脂の風味の強さや目指す飲食品の風味強度によって適宜調整されるが、好ましくは使用する食用油脂の0.005〜30質量%、より好ましくは0.01〜15質量%が本発明の製造方法によって得られた風味増強油脂であることが好ましい。
本発明の油脂の風味改善方法は、上記のようにして得られた風味増強油脂を食品に使用することを特徴とするものである。
食品の種類、使用方法、使用量については上述のとおりである。
油脂の酸化を加速する条件として、下記の条件で牛脂を酸化した。
容量5000mLの四つ口フラスコに、精製牛脂を2000g量りとり、口を閉じずに乾燥空気を3.0L/minで吹き込みながら、マントルヒーターで油脂温度が150℃になるように加熱し、更にアンカー型撹拌羽根を用いて、300rpmで撹拌し、初めて過酸化物価が30以上となった点を終点とし酸化させた。酸化させた牛脂に抗酸化剤としてトコフェロールを300ppm加え、牛脂の酸化油脂(以下、酸化油脂A)を得た。
得られた酸化油脂Aの過酸化物価は30.0、アニシジン価は20.0、沃素価は50.8、トランス脂肪酸含量は3.5質量%であった。酸化油脂Aは部分硬化油脂を含有していなかった。
容量5000mLの四つ口フラスコに、精製パーム分別硬部油を2000g量りとり、製造例1と同様の条件で初めて過酸化物価が25以上となった点を終点とし酸化させた。この後、抗酸化剤としてトコフェロールを300ppm加えて、パーム分別硬部油の酸化油脂(以下、酸化油脂B)を得た。
得られた酸化油脂Bの過酸化物価は26.0、アニシジン価は15.0、沃素価は36.0、トランス脂肪酸含量は0.4質量%であった。酸化油脂Bは部分硬化油脂を含有していなかった。
容量5000mLの四つ口フラスコに、精製米油を2000g量りとり、製造例1と同様の条件で、初めて過酸化物価が15以上となった点を終点とし精製米油を酸化させ、抗酸化剤としてトコフェロールを300ppm加えて、米油の酸化油脂(以下、酸化油脂C)を得た。
得られた酸化油脂Cの過酸化物価は15.8、アニシジン価は12.3、沃素価は106.0、トランス脂肪酸含量は1.0質量%であった。酸化油脂Cは部分硬化油脂を含有していなかった。
容量5000mLの四つ口フラスコに、カカオ脂を2000g量りとり、製造例1と同様の条件で、カカオ脂を過酸化物価が30以上となった点を終点とし酸化させ、抗酸化剤としてトコフェロールを300ppm加えて、カカオ脂の酸化油脂(以下、酸化油脂D)を得た。
得られた酸化油脂Dの過酸化物価は30.1、アニシジン価は19.7、沃素価は36.0、トランス脂肪酸含量は0.0質量%であった。酸化油脂Dは部分硬化油脂を含有していなかった。
容量5000mLの四つ口フラスコに、バターオイルを2000g量りとり、製造例1と同様の条件で、初めて過酸化物価が20以上となった点を終点としバターオイルを酸化させ、抗酸化剤としてトコフェロールを300ppm加えて、バターオイルの酸化油脂(以下、酸化油脂E)を得た。
得られた酸化油脂Eの過酸化物価は23.6、アニシジン価は13.2、沃素価は35.5、トランス脂肪酸含量は2.5質量%であった。酸化油脂Eは部分硬化油脂を含有していなかった。
容量5000mLの四つ口フラスコに、精製菜種油を2000g量りとり、製造例1と同様の条件で、精製菜種油を酸化させ、抗酸化剤としてトコフェロールを300ppm加えて、菜種油の酸化油脂(以下、酸化油脂F)を得た。
得られた酸化油脂Fの過酸化物価は30.1、アニシジン価は19.7、沃素価は131.0、トランス脂肪酸含量は1.5質量%であった。酸化油脂Fは部分硬化油脂を含有していなかった。
精製菜種油に硬化用ニッケル触媒(堺化学製)0.1質量%を添加し、200℃で水素添加後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、沃素価69である菜種油の部分硬化油脂を得た。尚、得られた菜種油の部分硬化油脂の過酸化物価は0.4、アニシジン価は2.4、トランス脂肪酸含量は50.2質量%であった。
次にこの部分硬化油脂を、容量3000mLの四つ口フラスコに1500g量りとり、マントルヒーターで油脂温度が150℃になるように加熱し、アンカー型撹拌羽根を用いて、300rpmで撹拌しながら、口を閉じずに乾燥空気を3.0L/minで吹き込み、1時間加熱処理を行った。加熱処理の後、抗酸化剤としてトコフェロールを300ppm加え、菜種油の酸化部分硬化油脂(以下、単に酸化部分硬化油脂と記載する)を得た。尚、沃素価、過酸化物価、アニシジン価、トランス脂肪酸含量については表1に示すとおりであった。
耐圧容器中に溶解させた酸化油脂Aを原料として500g量りとり、水素化触媒として硬化用ニッケル触媒(堺化学製)を0.1質量%加え、ヘッドスペース部分を水素ガスで十分置換した後、容器内の水素圧を上げ始め、耐圧容器内の水素圧が1.0kg/cm2に到達したところで、加熱撹拌を行い、酸化油脂の還元工程を開始した。尚、加熱は油温が90℃となるように調節し、撹拌はアンカー型撹拌羽根を用いて300rpmで行った。
途中、適宜サンプリングを行い、過酸化物価、アニシジン価、沃素価について分析し、初めて過酸化物価が3以下となった点を終点とし、シリカゲルを濾過助剤として、水素化触媒を濾別して取り除き、牛脂を原料とする風味増強油脂(以下、風味増強油脂A)を得た。尚、終点を迎えた際の沃素価、過酸化物価、アニシジン価、トランス脂肪酸含量については、表1に示すとおりであった。
酸化油脂Bを原料として、実施例1と同様の操作を行った。途中、適宜サンプリングを行い、過酸化物価、アニシジン価、沃素価について分析し、初めて過酸化物価が3以下となった点を終点とし、シリカゲルを濾過助剤として、水素化触媒を濾別して取り除き、パーム分別硬部油を原料とする風味増強油脂(以下、風味増強油脂B)を得た。尚、終点を迎えた際の沃素価、過酸化物価、アニシジン価、トランス脂肪酸含量については、表1に示すとおりであった。
酸化油脂Cを原料として、実施例1と同様の操作を行った。途中、適宜サンプリングを行い、過酸化物価、アニシジン価、沃素価について分析し、初めて過酸化物価が3以下となった点を終点とし、シリカゲルを濾過助剤として、水素化触媒を濾別して取り除き、米油を原料とする風味増強油脂(以下、風味増強油脂C)を得た。尚、終点を迎えた際の沃素価、過酸化物価、アニシジン価、トランス脂肪酸含量については、表1に示すとおりであった。
酸化油脂Dを原料として、実施例1と同様の操作を行った。途中、適宜サンプリングを行い、過酸化物価、アニシジン価、沃素価について分析し、初めて過酸化物価が3以下となった点を終点とし、シリカゲルを濾過助剤として、水素化触媒を濾別して取り除きカカオ脂を原料とする風味増強油脂(以下、風味増強油脂D)を得た。尚、終点を迎えた際の沃素価、過酸化物価、アニシジン価、トランス脂肪酸含量については、表1に示すとおりであった。
酸化油脂Eを原料として、実施例1と同様の操作を行った。途中、適宜サンプリングを行い、過酸化物価、アニシジン価、沃素価について分析し、初めて過酸化物価が3以下となった点を終点とし、シリカゲルを濾過助剤として、水素化触媒を濾別して取り除き、乳脂を原料とする風味増強油脂(以下、風味増強油脂E)を得た。尚、終点を迎えた際の沃素価、過酸化物価、アニシジン価、トランス脂肪酸含量については、表1に示すとおりであった。
酸化油脂Fを原料として、実施例1と同様の操作を行った。途中、適宜サンプリングを行い、過酸化物価、アニシジン価、沃素価について分析し、初めて過酸化物価が3以下となった点を終点とし、シリカゲルを濾過助剤として、水素化触媒を濾別して取り除き、菜種油を原料とする風味増強油脂(以下、風味増強油脂F)を得た。尚、終点を迎えた際の沃素価、過酸化物価、アニシジン価、トランス脂肪酸含量については、表1に示すとおりであった。
5点:強くコク味が感じられた
3点:コク味が感じられた
1点:コク味が弱いが感じられた
0点:コク味が感じられない
(後味の広がりの程度)
5点:口腔中での風味の余韻を強く感じられた
3点:口腔中での風味の余韻が感じられた
1点:弱いが、口腔中での風味の余韻を確認できた
0点:口腔中での風味の余韻が確認できず、風味の残存が見られなかった
(劣化臭の程度)
5点:劣化臭が全く感じられなかった
3点:飲食品の風味を損ねない範囲で、極僅かに劣化臭を感じた
1点:劣化臭が感じられた
0点:強度の劣化臭を感じた
尚、パネラーの合計点数が41〜50点の場合◎、31〜40点の場合○、21〜30点の場合△、11〜20点の場合×として、官能評価結果の比較分析を行った。
表2に示す配合でカレールーを作成した。まず薄力粉、カレー粉、砂糖、塩、グルタミン酸ナトリウムを鍋に秤量し、だまにならないよう少量ずつ水を加え、中火で加熱しながら均一になるよう撹拌を行った。一旦、沸騰した後に火勢を弱火とし、鍋の中身の重量が秤量時の0.8倍になるまで、撹拌しながら加熱を続けた。これをさらに60℃に調温し、豚脂を加えた後、風味増強油脂A又は酸化油脂Aをコク味増強作用を得る目的で加え、良く撹拌し、カレーA、Bを得た。
酸化油脂Aを添加しないカレールーをコントロールとし、得られたカレー(製造例1−1、製造例1−2)を評価基準に則って、コク味、後味の広がり、劣化臭の観点からパネラー10人で官能評価を実施し、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして表2に示した。
パーム分別軟部油(沃素価56、(株)ADEKA製)に対して、風味増強油脂B、酸化油脂B、風味増強油脂C、酸化油脂Cをそれぞれ加え、これをフライ油とした。(表3参照)得られたフライ油1kgずつをそれぞれ鍋に入れ180℃に加熱し、冷凍フライドポテト(オレアイダ 細切りフライドポテト(シューストリング)、ハインツジャパン)100gを3分フライした。
得られたフライドポテトを上記評価基準に則って評価した。
マーガリン(ソシエル、(株)ADEKA)75部に予め酸化油脂D、風味増強油脂Dを加えて均質に混ぜたものと粉糖をビーターで比重が0.8となるまで撹拌した後、卵黄を加えて更に混合した。卵黄が均一に混合された後、ふるった薄力粉を加え更に混合し、得られた生地を一晩冷蔵庫で生地を休ませせた。この生地を2.5mmに圧延し、型抜きし160℃で約15分焼成して、サブレを得た。(表4参照)
得られたサブレ―をパネラー10名が上記評価基準に則って評価した。
強力粉(イーグル:日本製粉製)70質量部、生イースト2質量部、イーストフード及び水をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。尚、捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行った。尚、終点温度は29℃であった。(表5中、「中種」項の配合参照)
中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉(イーグル:日本製粉製)、上白糖、脱脂粉乳、食塩及び水を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、ショートニング(プレミアムショートCF、(株)ADEKA)に風味増強油脂E、酸化油脂Eを予め添加し均一に混合したもののいずれかを投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行い、食パン生地を得た。
尚、得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。(表5中、「本捏」項の配合参照)
ここで、フロアタイムを20分とった後、230gに分割・丸目を行った。次いで、ベンチタイムを20分とった後、モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で50分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成してプルマン型食パンA、Bを得た。
得られたプルマン型食パンを上記評価基準に則って、コク味、後味の広がり、劣化臭の観点でパネラー10人で官能評価を行い、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして表5に示した。
製造例4の配合中の風味増強油脂Eを風味増強油脂Fに、酸化油脂Eを酸化部分硬化油脂に同量置換し、製造例4と同様の手法でプルマン型食パンを得た。(表6参照)
得られたプルマン型食パンを上記評価基準に則って、コク味、後味の広がり、劣化臭の観点でパネラー10人で官能評価を行い、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして表6に示した。
一方、製造例5−1ではコク味や後味の広がりの観点において好ましい結果が得られ、また劣化臭もコントロール同様感ぜられなかった。
これは風味増強油脂の製造工程において、酸化油脂に含有される過酸化物が水素による還元工程を経ることで、油脂が有する風味の豊かさや美味しさ、コク味を強める物質へと変換されるためであると推定される。
Claims (4)
- 酸化油脂を原料とする風味増強油脂の製造方法であって、
上記酸化油脂を0.1〜2.5kg/cm 2 の水素ガス加圧下で、水素化触媒と共に60〜130℃で加熱し、上記酸化油脂中に含有される過酸化物を水素で還元する工程を含む風味増強油脂の製造方法。 - 上記酸化油脂が原料として実質的に部分硬化油脂を含有しない請求項1に記載の風味増強油脂の製造方法。
- 上記酸化油脂の過酸化物価が5〜60である、請求項1又は2に記載の風味増強油脂の製造方法。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法により得られた風味増強油脂を飲食品に含有させる工程を含む、風味増強油脂を含有する飲食品の風味改善方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017025408A JP6841680B2 (ja) | 2017-02-14 | 2017-02-14 | 風味増強油脂の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017025408A JP6841680B2 (ja) | 2017-02-14 | 2017-02-14 | 風味増強油脂の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018130052A JP2018130052A (ja) | 2018-08-23 |
JP6841680B2 true JP6841680B2 (ja) | 2021-03-10 |
Family
ID=63247221
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017025408A Active JP6841680B2 (ja) | 2017-02-14 | 2017-02-14 | 風味増強油脂の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6841680B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116322365A (zh) | 2020-10-05 | 2023-06-23 | 不二制油集团控股株式会社 | 油面酱用油脂组合物 |
WO2023038008A1 (ja) * | 2021-09-13 | 2023-03-16 | 株式会社J-オイルミルズ | コク増強剤およびコク増強方法 |
JPWO2023053972A1 (ja) * | 2021-09-29 | 2023-04-06 | ||
WO2023233967A1 (ja) * | 2022-05-30 | 2023-12-07 | 株式会社J-オイルミルズ | フライ食品のコク向上剤、フライ調理用油脂組成物およびフライ食品のコク向上方法 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69100345T2 (de) * | 1990-06-22 | 1994-02-10 | Quest Int | Verfahren für die Zubereitung von Aromamischungen. |
JP5506146B2 (ja) * | 2007-10-11 | 2014-05-28 | 日清オイリオグループ株式会社 | 低トランス脂肪酸油脂組成物 |
JP6042049B2 (ja) * | 2009-10-30 | 2016-12-14 | 太陽油脂株式会社 | 部分水素添加油脂、それを含む油脂組成物及びその製造方法 |
KR101905226B1 (ko) * | 2011-08-24 | 2018-10-05 | 제이-오일 밀스, 인코포레이티드 | 산화 부분 수소 첨가 유지 |
JP6301080B2 (ja) * | 2012-08-10 | 2018-03-28 | 太陽油脂株式会社 | 部分水素添加油脂、それを含む油脂組成物及びその製造方法 |
JP5990276B2 (ja) * | 2012-11-14 | 2016-09-07 | 株式会社J−オイルミルズ | フライ風味増強剤 |
JP5612234B1 (ja) * | 2012-11-14 | 2014-10-22 | 株式会社J−オイルミルズ | 甘味及び/又は乳風味増強剤 |
JP6211809B2 (ja) * | 2013-06-06 | 2017-10-11 | 株式会社Adeka | 硬化風味油脂 |
JP6210741B2 (ja) * | 2013-06-06 | 2017-10-11 | 高砂香料工業株式会社 | 呈味改善剤及び該呈味改善剤を含む香料組成物 |
-
2017
- 2017-02-14 JP JP2017025408A patent/JP6841680B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018130052A (ja) | 2018-08-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5612234B1 (ja) | 甘味及び/又は乳風味増強剤 | |
JP5506146B2 (ja) | 低トランス脂肪酸油脂組成物 | |
TWI535381B (zh) | 氧化處理之部分氫化油脂 | |
JP6841680B2 (ja) | 風味増強油脂の製造方法 | |
JP5290472B2 (ja) | 油脂及びそれを使用してなる油脂含有食品 | |
WO2016084788A1 (ja) | 塩味増強油脂の製造方法 | |
JP2021132616A (ja) | 油脂組成物の製造方法、ならびに、油脂組成物およびそれを含む食用添加剤 | |
TW202027609A (zh) | 棕櫚系油脂的氧化處理物、氧化處理物的製造方法、食品的甜味增強方法及食品的甜味增強用組成物 | |
JP6075731B2 (ja) | 焼き菓子 | |
JP6210741B2 (ja) | 呈味改善剤及び該呈味改善剤を含む香料組成物 | |
WO2019003930A1 (ja) | 油脂組成物、該油脂組成物を用いた食品の製造方法及び食品の風味改善方法 | |
JP2015128406A (ja) | バター代替油脂 | |
JP7090408B2 (ja) | 食用油脂および該食用油脂を含む食品 | |
JP6211809B2 (ja) | 硬化風味油脂 | |
JP2020068657A (ja) | アーモンド風味油脂の製造法 | |
JP6906880B1 (ja) | 焼き菓子用生地及び焼き菓子 | |
JP6472971B2 (ja) | ルウ用油脂組成物 | |
JP7562229B2 (ja) | 焼き菓子用油脂組成物 | |
JP6257739B2 (ja) | 焼菓子中の油分を高油分にする方法 | |
KR101868426B1 (ko) | 봉 형상 과자용 프리믹스 조성물, 이를 이용하여 제조된 봉 형상 과자 및 봉 형상 과자의 제조방법 | |
KR20240107998A (ko) | 식품의 브라우닝제 조성물 | |
JP2021094012A (ja) | 焼き菓子用油脂組成物 | |
TW202404473A (zh) | 氫化氣味賦予劑、油脂組成物、油脂組成物的製造方法、對食品賦予氫化氣味的方法及油炸食品的製造方法 | |
JP5297570B2 (ja) | 食感の改善された焼き菓子 | |
KR20240148836A (ko) | 감칠맛 증강용 유지 조성물 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191129 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200923 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201013 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20201210 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210202 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210218 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6841680 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |