JP2906712B2 - 風味油の製造方法 - Google Patents
風味油の製造方法Info
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し、詳細には、特定の風味を有する食品用の油脂に限定
されることなく、油脂自体の旨さの根源であるコク味を
呈した汎用性のある風味油の製造方法に関する。
は、胡麻油、オリーブ油あるいはカカオ脂のような特殊
な油脂に比べて、殆ど無味無臭である。従来、このよう
な精製食用油脂に風味付けをした香味油或いは呈味油と
呼ばれる油脂が知られている。これらの油脂の製造法と
して、例えば油脂を強火加熱したものに茴香、葱、にん
にくを投入してエキスを十分抽出し、次いで温度を下げ
花椒を添加してさらにエキスを抽出してから漉して、炒
め料理又は揚げ物料理用の中華料理独特の風味を呈した
香味油を製造する方法(特公昭57-58901号)、油脂に水
分60%以上の野菜、例えばキャベツ、レタス、ショウ
ガ、ニンニク、ネギ等の野菜を2mm以下に細断または磨
砕して加え、 110℃〜160 ℃に保持した後油層を採取し
て種々の風味を有した風味油を製造する方法(特公昭59
−4972号)、予め加熱した油に野菜等の処理物を浸漬し
て加熱処理すると共に加熱時に一定条件下で減圧処理
し、油中に野菜等のエキス成分、香りその他の成分を溶
解せしめて、クッカー中より油を取り出すことにより、
肉のステーキ料理用、スキヤキ用或いは野菜いため、ラ
ーメン、チャンポン、グラタン、スープ用等の調味用油
を製造する方法(特開昭60-19449号) 、油脂と野菜、鳥
獣肉、魚介、海草、スパイス、豆類及びこれらの加工物
や醸造物等の香味付与物との混合物又は該混合物の常圧
下加熱処理物を、加圧下に加熱処理して種々の風味を有
した香味油を製造する方法(特開昭62−6651号)等、種
々の方法が提案されている。
造する方法は、何れも個々の香味付与物が有するフレー
バー、匂い等の香味成分を利用したものであって、それ
自体優れた製品であるが、それぞれ固有の風味を有する
ものであるために用途が限定されるという難点を有す
る。
に、前述した如く、常法により精製された一般の食用油
脂は殆ど無味無臭であるとはいうものの、実際にはそれ
ぞれ油脂固有の油味を有しており、例えば液体油は一般
に独特の油っぽさがあり、またパーム油は独特の粉っぽ
さがあるというように、好ましくない油味を有し、かか
る不快な油味は経時的に増加するという欠点を有する。
風味にこくがあるという点からフライ用、スプレー用或
いはマヨネーズ用等に広く用いられている。このよう
に、こめ油は良質の風味を食品に与え、且つ、数少ない
国産の原料から採取できる重要な食用油であるが、近年
の米消費量の減少に伴い、原料の米糠の生産量も横這い
であり、こめ油の生産量もこれ以上の増産は国産原料に
よっては望めない。また、こめ油は同程度の不飽和度を
有する液状油に比較し、優れた酸化安定性を有してお
り、これはこめ油中に含まれるトコフェロール類やγ−
オリザノール等に依るものといわれているが、こめ油よ
りさらに不飽和度の低い油脂、例えば硬化された液状油
(大豆油、ナタネ油等)やパーム油、パームオレイン等
に比較するとその酸化安定性は劣る。
く、従来の香味油または呈味油が各々個々の風味を有し
用途的に限定されるという難点、並びに一般の食用油脂
が有する好ましくない油味及びかかる不快な油味が経時
的に増加するという欠点の解決を指向したものであり、
加えてこめ油の有資源性に鑑み、こめ油に由来する優れ
たこく味を有する油脂の増産を目的とするものである。
究した結果完成するに至ったものである。すなわち本発
明は、こめ油以外の油脂中に米糠及び糖類を浸漬し、真
空度60mmHg以下の減圧下において 140〜180 ℃に加熱処
理した後、固形分を除去することを特徴とする風味油の
製造方法である。
としては例えば、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、
綿実油、落花生油、コーン油、サフラワー油、カポック
油、月見草油、パーム油、シア油、サル油、ヤシ油、パ
ーム核油等のコメ油以外の植物性油脂並びに牛脂、ラー
ド、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類
の単独又は混合油或いはそれらの硬化、分別、エステル
交換等を施した加工油脂又は合成油脂であってもよく、
液体油から融点の高い油脂に至まで幅広い油脂を適用で
きる。これらの油脂は、特に精製された油脂が好まし
い。
に得られるもので、果皮、種皮、澱粉層を含むものであ
るが、脂肪、タンパク質、ビタミンB1に富み、その他
澱粉、ペントザン、フィチン(リン化合物)、ヌカイン
(配糖体)等種々の成分が含まれている。このような米
糠は、それ自体風味が悪く、また貯蔵中に変化し易く、
特に気温が高くて湿度が高い場合著しい。これは米糠中
のリパーゼ作用により脂肪の酸価が増大するためである
が、本発明においては可及的酸価の低い、例えば遊離脂
肪酸が約5%以下(オレイン酸換算)の米糠を使用する
のが好ましい。また、このような米糠を約 110℃で2時
間程度加熱処理して加水分解酵素を失活させた後 150〜
200 ℃に加熱処理した米糠を使用してもよい。
量%以上の添加量で有効な結果が得られる場合が多い。
また、風味を強調する場合には油脂に対して3%以上の
添加が一般的であるが、10重量%以上を加えて濃縮風味
油を作り、これを使用時に一般の油脂で適当に希釈する
こともできる。
とによりメイラード反応と呼ばれる褐変反応を起こすこ
とが知られているが、このメイラード反応は乳製品、菓
子、味噌、醤油等種々の食品に利用されている。本発明
において、油脂中で米糠と糖類を減圧加熱することによ
り、メーラード反応等の褐変反応を起こし、それによ
り、米糠由来のやや生臭みのある風味を消去させ、より
香ばしくて良好な風味となる。本発明に用いる糖類は、
グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース
等の単糖類の他、ラクトース、スクロース、マルトー
ス、ラフィノース等の少糖類、グルカン、マンナン、デ
ンプン等の多糖類でもよいが、好ましくは還元性のある
糖類(還元糖)、例えばグルコースやガラクトース等が
好ましい。
度用いるのが好ましく、あまり多量に使用するとカラメ
ル臭が強くなり、逆に少量すぎる場合には効果が小さ
い。
減圧下に加熱攪拌する。減圧の条件は真空度60mmHg(60
Torr) 以下で実施する必要がある。真空度が60mmHgを越
えると酸化安定性が悪化する傾向を示す。また、加熱は
140〜180 ℃で行う必要があり、下限未満では生臭味が
感じられ、逆に上限を越えると焦げ臭を感じるようにな
る。なお、加熱時間は通常2時間程度でよいが、時間の
長短はそれ程影響を与えるものではない。
ローストされた状態となり、極めて良好な特徴のある風
味を有するようになる。それと同時に、米糠の風味成分
及び糖類との反応により生成した有効成分が油脂中に溶
出する。
冷却し、濾過、遠心分離、デカンテーション等、従来公
知の分離手段にて油脂と固形分とに分離することによっ
て、本発明の風味油を得る。
分及び米糠と糖類との反応により生成した風味成分以外
に例えばトコフェロール類やγ−オリザノール等の米糠
中に含まれる抗酸化性物質や糖類との反応により生成し
たメラノイジン等の抗酸化性物質も油脂中に溶出される
ので、未処理の油脂に比較して酸化安定性が一段と向上
する。特に、風味付けする対象の油脂がパーム油、パー
ムオレイン或いは硬化大豆油、硬化ナタネ油を使用した
ものは、こめ油と同等のこく味を有していながら、こめ
油に比較して遙かに酸化安定性に優れたものが得られ
る。
油は、特定の食品用に限定されることなく、油脂自体の
旨さの根源であるコク味を呈した汎用性のある呈味を有
するものであって、フライ用、スプレー用、マーガリン
用、ショートニング用、練り込み用、クリーム用等、各
種食品の用途に適した油脂として使用し得るものであ
る。
効果をより一層明瞭にするが、これらは例示であって本
発明の精神がこれらの例示に限定されるものではない。
なお、例中部及び%は何れも重量基準を意味する。
の米糠(脂肪中の遊離脂肪酸3.6%)10部及びグルコー
ス1部を加え、約50mmHgの減圧下に攪拌しながら 160℃
に2時間加熱処理した。次いで60℃まで冷却した後、油
脂と固形分を濾別して風味油を得た。
の油脂を使用してポテトチップスをフライし、30名のパ
ネラーによる官能評価を行ったところ、風味油を良いと
答えた者15名、こめ油を良いと答えた者14名、精製パー
ムオレインを良いと答えた者1名であり、本例によって
得られた風味油がこめ油と同様に良好な風味を有すると
いう結果が得られ、原料である精製パームオレインより
優れた油脂であった。
の米糠(脂肪中の遊離脂肪酸3.6%)10部を加え、約50
mmHgの減圧下に攪拌しながら 160℃に2時間加熱処理後
濾過して処理油を得た。かかる処理油と実施例1で得た
風味油の双方でポテトチップをフライしたところ、実施
例1の風味油でフライしたポテトチップは香りが極めて
良好であったのに対し、本比較例で製造した油脂でフラ
イしたポテトチップは原料である精製パームオレインよ
り優れた風味ではあるがやや生臭味があり上記風味油よ
り劣るものであった。
の米糠(脂肪中の遊離脂肪酸3.6%)10部及びグルコー
ス1部を加え、約50mmHgの減圧下に攪拌しながら 200℃
に2時間加熱処理後濾過して処理油を得た。かかる処理
油でフライしたポテトチップは焦げ臭が強いものであっ
た。
た。このローストした米糠10部とキシロース1部と精製
パームオレイン 300部を実施例1と同様の方法で処理し
て得た風味油は、香ばしい風味を有していた。また、油
脂の酸化安定性をランシマットによる方法によって測定
したところ、本例によって得た風味油は12.3時間であ
り、精製パームオレインは11.5時間であったのに対し、
こめ油は4.5時間であった。この結果により、本例によ
って得た風味油は母体となる油脂の酸化安定性を保持
し、こめ油に比較し良好な安定性を有していた。
部及びグルコース1部を加え、約70mmHgの減圧下に攪拌
しながら 160℃に2時間加熱処理後濾過して処理油を得
た。かかる処理油は、異風味が感じられた。
7) を使用して風味油を得た風味油は、香ばしく良好な
風味を有していた。本例で得られた風味油と硬化なたね
油、こめ油とを用い、米菓をフライし、パネラー30名に
より官能評価したところ、こめ油を良いと答えたもの16
名、本例の風味油を良いと答えたもの13名、硬化なたね
油を良いと答えたもの1名であり、本例の風味油は原料
である硬化なたね油より良好な風味を示した。
ス1部を加え、約50mmHgの減圧下に攪拌しながら 120℃
に2時間加熱処理後濾過して処理油を得た。かかる処理
油は、こく味が感じられず生臭い風味を有していた。
(脂肪中の遊離脂肪酸3.6%)5部及びガラクトース1
部を加え、約50mmHgの減圧下に攪拌しながら 200℃に2
時間加熱処理後濾過して処理油を得た。かかる処理は、
香ばしく良好な風味を有していた。
油っぽいといわれてきた液体油或いはパーム油等の油脂
にコク味を付与することが可能となったのであって、各
種の食品に幅広く使用できる汎用性のある油脂が得られ
るようになったのである。また本発明は、こめ油の有資
源性に鑑み、こめ油が有する優れた風味を持ち、且つこ
め油より遙かに優れた酸化安定性良好な油脂を増産可能
ならしめた点において極めて有意義な発明である。
Claims (1)
- 【請求項1】 こめ油以外の油脂中に米糠及び糖類を浸
漬し、真空度60mmHg以下の減圧下において 140〜180 ℃
に加熱処理した後、固形分を除去することを特徴とす
る、風味油の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP3066387A JP2906712B2 (ja) | 1991-03-29 | 1991-03-29 | 風味油の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3066387A JP2906712B2 (ja) | 1991-03-29 | 1991-03-29 | 風味油の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05146252A JPH05146252A (ja) | 1993-06-15 |
JP2906712B2 true JP2906712B2 (ja) | 1999-06-21 |
Family
ID=13314367
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3066387A Expired - Lifetime JP2906712B2 (ja) | 1991-03-29 | 1991-03-29 | 風味油の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
1991
- 1991-03-29 JP JP3066387A patent/JP2906712B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH05146252A (ja) | 1993-06-15 |
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