JP7069827B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、サイドウォール部に設けた標章の視認性を向上させたタイヤに関する。
タイヤのサイドウォール部の表面には、タイヤのメーカ名、ブランド名、サイズ等を表す文字、記号などである標章が形成されている。これら標章の視認性を高めるために、例えば、標章をサイドウォール部の表面よりも一段高く形成し、かつ標章の表面に、複数のリッジを並列させたセレーション模様を形成したものが知られている(例えば特許文献1参照)。
しかし前記リッジは、両側の斜面の角度が互いに等しい二等辺三角形状断面を有するため、リッジ表面が反射する光量が比較的少ない。しかも、一方側から見た場合と、他方側から見た場合とでコントラストの変化も少ないため、視認性の点で改善の余地が残されている。
特開平09-86106号公報
本発明は、リッジをなす両側の斜面の角度を互いに相違させることを基本として、一方側の斜面の面積を大きくして反射する光量を増やすとともに、一方側と他方側とでコントラストに大きな差をもたらすことができ、視認性を高めうるタイヤを提供することを課題としている。
本発明は、サイドウォール部に、1以上の標章を有する標章表示部が形成されたタイヤであって、
前記標章表示部は、前記サイドウォール部の表面に設けられる基準面と、この基準面に形成される前記標章とを有し、
前記標章は、その表面の少なくとも一部に、複数本のリッジが並列されたセレーション部を具え、
前記リッジは、その長さ方向と直角な断面が、第1の斜辺と第2の斜辺とを有する三角形状又は台形状をなし、
かつ前記基準面に対する第1の斜辺の角度θ1と、前記基準面に対する第2の斜辺の角度θ2とを相違させている。
本発明に係るタイヤでは、前記角度θ1と角度θ2との差|θ1-θ2|は、10度以上であるのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記標章は、前記セレーション部を囲みかつ前記標章の外周に沿ってのびる縁取り部を具え、
前記縁取り部は、前記セレーション部と同高さ又は前記セレーション部よりも高いことが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記縁取り部は、この縁取り部の表面から突出する複数の小突起部を具えるのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記小突起部は、上端側が小径をなす円錐台状突起であっても良い。
本発明に係るタイヤでは、前記円錐台状突起は、最大太さが50~1000μm、突出高さが50~1000μm、かつ隣り合う円錐台状突起間の中心間距離が200~1000μmであるのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記小突起部は、上端に向かって厚さが減じる断面台形状の板状突起であり、互いに平行又は非並行で配されても良い。
本発明に係るタイヤでは、前記板状突起は、最大厚さが20~1000μm、突出高さが200~500μm、かつ隣り合う板状突起間の隙間が10~800μmであるのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記標章の表面は、前記基準面に対してタイヤ周方向の一端側から他端側に向かって高さが増加する向きに傾斜するのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記リッジは、前記第1、第2の斜辺のうちで緩傾斜となる斜辺を、タイヤ周方向の前記一端側に配するのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記標章表示部は、前記サイドウォール部の表面から一定高さで突出する台座部を具え、この台座部の表面が前記基準面を形成するのが好ましい。
本発明は、リッジの断面を、第1の斜辺の角度θ1と第2の斜辺の角度θ2とを相違させた三角形状又は台形状で形成している。
そのため、リッジの一方側の斜面(例えば第1の斜辺を有する斜面)の面積が相対的に大となり、反射する光量を増やすことができる。しかも一方側の斜面が反射する光量と、他方側の斜面が反射する光量との差が大きくなり、一方側から見た時と他方側から見た時とでコントラストに大きな差をもたらすことができる。そしてこれらの相乗効果により、視認性を高めることが可能となる。
本発明のタイヤの一実施例を示す部分斜視図である。 標章を拡大して示す部分斜視図である。 (A)は標章の周方向断面図、(B)はリッジを拡大して示す部分断面図である。 (A)は小突起部が円錐台状突起である場合の配列状態を示す部分平面図、(B)は円錐台状突起の断面図である。 (A)、(B)は小突起部が板状突起である場合の配列状態をその断面とともに示す部分斜視図である。面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のタイヤ1は、少なくとも一方のサイドウォール部2に、1以上の標章表示部3が配される。標章表示部3は、サイドウォール部2の表面2sに設けられる基準面Xと、この基準面Xに形成される1以上の標章4とを具える。本例では、標章表示部3は、サイドウォール部2の表面2sから一定の高さH5で段差状に突出する台座部5を具え、この台座部5の表面5sが前記基準面Xを形成する。
標章4は、タイヤのメーカ名、ブランド名、サイズ等を表すための文字、記号、図形などであり、本例では、基準面Xに、複数の標章4からなるブランド名が形成されている場合が示される。標章4は、基準面Xから小高さで隆起している。
図2に示すように、標章4の表面4sの少なくとも一部には、複数本のリッジ6が並列されたセレーション部7が形成される。本例では、標章4の表面4sが、セレーション部7と縁取り部8とからなる場合が示される。縁取り部8は、セレーション部7を取り囲み、かつ標章4の外周に沿ってのびる。縁取り部8は、図3(A)に示すように、セレーション部7と同高さ、又はセレーション部7よりも高いことが好ましい。このような縁取り部8は、標章4の輪郭形状を明確化でき、視認性を高めるのに役立つ。
図2、3(A)に示すように、本例では、標章4の表面4sが、基準面Xに対してタイヤ周方向の一端側Faから他端側Fbに向かって高さHが増加する向きに傾斜した場合が示される。前記高さHは、基準面Xからの高さを意味する。このように、表面4sを傾斜させることで、重量や空気抵抗を増加させることなく、標章4の立体感を強調でき、視認性の向上に貢献できる。
前記リッジ6は、本例では、タイヤ半径方向に沿って直線状にのびる場合が示される。しかし、リッジ6を、タイヤ半径方向に対して傾斜させても良く、又タイヤ周方向に沿ってのびるように形成することもできる。
次に、図3(B)に示すように、前記リッジ6は、その長さ方向と直角な断面が、第1の斜辺11と第2の斜辺12とで頂部Qを挟む三角形状、又は前記頂部Qを切除した台形状に形成される。本例では、断面三角形状の場合が示される。なおリッジ6の高さh及びピッチpとしては、慣例に基づいて設定することができる。通常、高さhは0.15~1.0mmの範囲、ピッチpは前記高さhの0.5~2.0倍の範囲が好適に使用される。
前記リッジ6の断面において、第1の斜辺11の前記基準面Xに対する角度θ1と、第2の斜辺12の前記基準面Xに対する角度θ2とを相違させている。前記角度θ1、θ2は、内角側の角度で示される。本例では、θ1<θ2、即ち、第1、第2の斜辺11、12のうちで、第1の斜辺11が第2の斜辺12に比して緩傾斜となる場合が示される。
このように構成することで、緩傾斜となる第1の斜辺11を有する斜面S1の面積が大となり、反射する光量を増やすことができる。又第1の斜辺11を有する斜面S1と、第2の斜辺12を有する斜面S2とで、光量に差を設けることができるため、一方側から見た時と他方側から見た時とでコントラストに大きな差をもたらすことができる。そしてこれらの相乗効果により、視認性を高めることが可能となる。
前記角度θ1と角度θ2との差|θ1-θ2|が小さいと、上記の効果が十分に発揮されない。そのために、差|θ1-θ2|は10度以上、さらには20度以上、さらには30度以上であるのが好ましい。なお角度θ1又はθ2が90度を越えると、アンダカットとなり、タイヤを加硫金型から離型する際に、リッジにゴム欠けが生じる恐れを招く。そのため角度θ1又はθ2が90度以下であるのが好ましい。
なお前述の如く、標章4の表面4sが、タイヤ周方向の一端側Faから他端側Fbに向かって高さHが増加する向きに傾斜する場合、緩傾斜となる前記第1の斜辺11を、タイヤ周方向の一端側Faに配することが好ましい。これにより、表面4sの傾斜による標章4の立体感と、角度差|θ1-θ2|によるコントラストの増加とによる相乗効果により標章4の視認性をさらに高めうる。
又図4(A)、(B)に示すように、縁取り部8は、その表面8sから突出する複数の小突起部15を具えることが好ましい。本例では、小突起部15が、上端側が小径をなす円錐台状突起16である場合が示される。この円錐台状突起16では、最大太さD1が50~1000μm、縁取り部8の表面8sからの突出高さH1が50~1000μm、かつ隣り合う小突起部15、15間の中心間距離L1が200~1000μmであるのが好ましい。
このような円錐台状突起16は、光を乱反射させ、前記縁取り部8の表面8sを黒く見せることができる。その結果、標章4の輪郭形状をより明確化でき、標章4の視認性をさらに高めることができる。本発明者の研究の結果、円錐台状突起16の最大太さD1、突出高さH1、及び中心間距離L1が前記範囲を外れると、縁取り部8が光の反射によって白っぽく見え、セレーション部7とのコントラスト差が減じる傾向を招く。なお、小突起部15が円錐台状とすることで、円柱状に比して強度を高めつつ光の反射をさらに抑えることができる。
本例では円錐台状突起16が、碁盤目状に配列する場合が示されるが、千鳥状の配列でも良く、又中心間距離L1が前記範囲を満たすならばランダムに配列することもできる。
図5(A)、(B)に示すように、小突起部15の他の例を示す。本例では、小突起部15が、上端に向かって厚さが減じる断面台形状の板状突起17でる場合が示される。板状突起17は、図5(A)に示すように互いに平行に配することもでき、又図5(B)に示すように平行でない配置(非並行)で配することもできる。この板状突起17では、最大厚さD2が20~1000μm、突出高さH2が200~500μm、かつ隣り合う板状突起間の隙間L2が10~800μmであるのが好ましい。なお板状突起17が非平行で配列する場合には、隙間L2の最大値L2max と最小値L2minとの平均値が前記10~800μmの範囲であるのが好ましい。
この板状突起17も円錐台状突起16と同様、光を乱反射させ、前記縁取り部8の表面8sを黒く見せることができる。その結果、標章4の輪郭形状をより明確化でき、標章4の視認性をさらに高めることができる。本発明者の研究の結果、板状突起17の最大厚さD2、突出高さH2、及び隙間L2が前記範囲を外れると、縁取り部8が光の反射によって白っぽく見え、セレーション部7とのコントラスト差が減じる傾向を招く。なおコントラストの観点からは、板状突起17が非平行で配列するのがより好ましい。
又前記リッジ6は、直線の他、例えば円弧状などの曲線状に湾曲しても良い。又標章表示部3では、台座部5を設けることなく、サイドウォール部2の表面2sに標章4を直接に形成することもできる。この場合、サイドウォール部2の表面2sが、基準面Xを構成する。このとき標章表示部3を他の領域と区別するため、サイドウォール部2の表面2sに、標章表示部3の周囲を囲む小高さのリブなどを設けることが好ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
サイドウォール部2の表面2sに、標章4を表1の仕様で形成したタイヤを試作し、標章4の視認性を比較した。各タイヤとも、リッジの深さh(0.5mm)及びピッチp(1.2mm)は共通である。
実施例1、2、5~7において、標章4の表面4sの基準面Xに対する傾斜角度は、7度である。又比較例1及び実施例3、4における標章4の表面4sの基準面Xからの高さHは、実施例1、2、5~7における一端側Faの高さと他端側Fbの高さとの平均値に等しい。実施例1、4~7では、縁取り部の表面に小突起部が配される。実施例1、4、5において、小突起部は円錐台状突起であって、その最大太さD1は320μm、突出高さH1は500μm、中心間距離L1は400μmであった。実施例6、7において、小突起部は板状突起であり、その最大厚さD2は160μm、突出高さH2は200μm、隙間L2は200μmであった。
視認性は、目視による官能評価により比較例1を100とする指数で評価した。数値が大なほど優れている。
Figure 0007069827000001
表1の如く実施例は、標章の視認性に優れているのが確認できる。
1 タイヤ
2 サイドウォール部
2s 表面
4 標章
4s 表面
6 リッジ
7 セレーション部
8 縁取り部
8s 表面
11 第1の斜辺
12 第2の斜辺
15 小突起部
16 円錐台状突起
17 板状突起
X 基準面

Claims (9)

  1. サイドウォール部に、1以上の標章を有する標章表示部が形成されたタイヤであって、
    前記標章表示部は、前記サイドウォール部の表面に設けられる基準面と、この基準面に形成される前記標章とを有し、
    前記標章は、その表面の少なくとも一部に、複数本のリッジが並列されたセレーション部を具え、
    前記標章の表面は、前記基準面に対してタイヤ周方向の一端側から他端側に向かって高さが増加する向きに傾斜しており、
    前記リッジは、その長さ方向と直角な断面が、第1の斜辺と第2の斜辺とを有する三角形状又は台形状をなし、
    記基準面に対する第1の斜辺の角度θ1と、前記基準面に対する第2の斜辺の角度θ2とが相違しており、
    前記複数本のリッジにおいて、前記第1、第2の斜辺のうちで緩傾斜となる斜辺は、タイヤ周方向の前記一端側に配されている、
    タイヤ。
  2. 前記角度θ1と角度θ2との差|θ1-θ2|は、10度以上である請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記標章は、前記セレーション部を囲みかつ前記標章の外周に沿ってのびる縁取り部を具え、
    前記縁取り部は、前記セレーション部と同高さ又は前記セレーション部よりも高い請求項1又は2記載のタイヤ。
  4. 前記縁取り部は、この縁取り部の表面から突出する複数の小突起部を具えた請求項3に記載のタイヤ。
  5. 前記小突起部は、上端側が小径をなす円錐台状突起である請求項4記載のタイヤ。
  6. 前記円錐台状突起は、最大太さが50~1000μm、突出高さが50~1000μm、かつ隣り合う円錐台状突起間の中心間距離が200~1000μmである請求項5記載のタイヤ。
  7. 前記小突起部は、上端に向かって厚さが減じる断面台形状の板状突起であり、互いに平行又は非並行で配される請求項4記載のタイヤ。
  8. 前記板状突起は、最大厚さが20~1000μm、突出高さが200~500μm、かつ隣り合う板状突起間の隙間が10~800μmである請求項7記載のタイヤ。
  9. 前記標章表示部は、前記サイドウォール部の表面から一定高さで突出する台座部を具え、この台座部の表面が前記基準面を形成する請求項1~8の何れかに記載のタイヤ。
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