JP7041390B2 - 媒体搬送装置、画像読み取り装置、プログラム - Google Patents
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Description
従来、この様な原稿搬送の異常を検出する手法として、原稿搬送における状態変化に応じて検出値が変化する検出手段を用い、検出値が閾値を超えるか否かを判断し、検出値が閾値を超えた場合に異常発生と判断する方法がある。
例えば、重送検出の場合は超音波の透過率を検出値とし、スキュー検出の場合は原稿先端の通過タイミングの左右差を検出値とし、ジャム検出の場合は音を検出値とする技術が従来から用いられている。
この様な技術の一例として、特許文献1には、原稿搬送路で発生する音をマイクにより検知し、音の強度に関する基準値(閾値とも言える)と、音の継続時間に関する基準値とに基づいて原稿のジャムを検知する手法が開示されている。
また特許文献2には、超音波受信手段から得られる受信信号と閾値とに基づいてシートが二枚以上重ねて給送されているか否かを判別する技術が開示されている。
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、検出値と閾値とに基づいて異常判定を行うに際し、コストアップを抑制しつつ、より適切な異常判定と使い勝手の良さとを実現することにある。
尚、前記検出値に係る情報とは、前記検出値そのものや、前記検出値を加工した値、前記検出値の大きさを表す情報(例えば、高い、低いなど)等、前記検出値そのものに限られず前記検出値に関するあらゆる情報を意味し、そのうちの少なくとも1つが前記履歴情報に含まれる。
本態様によれば、前記閾値を、実際に搬送されている媒体や装置の使用環境等に応じた適切な値とすることができ、より適切な異常判定を行うことができる。
前記判定が正当であった場合の対応する前記検出値は、異常が生じた場合の突発値と言うことができ、その様な値を前記履歴情報に含めると、前記閾値を実際に搬送されている媒体に対して適した値とすることができない虞がある。
本態様によれば、前記制御手段は、前記判定が正当であった場合の対応する前記検出値を前記履歴情報に含めないので、前記閾値をより適切な値とすることができ、ひいてはより適切な異常判定を行うことができる。
本態様によれば、前記制御手段は、前記判定が正当であった場合の対応する前記検出値以上の値を前記閾値として採用しないので、上述の様な判定の誤りを防止或いは抑制できる。
また、前記判定の失当の発生頻度が設定された上限値以上となった場合とは、誤検出が多い状態であり、換言すればその際に適用している前記閾値が低すぎる(検出感度が高すぎる)状態であると言える。前記制御手段は、この様な場合、前記閾値を上げる(検出感度を下げる)ので、誤検出を抑制することができる。
本態様によれば、前記制御手段は、前記発生頻度が、設定された上限値以上となった場合、その際の前記閾値を最小閾値とし、以降は前記最小閾値以下の閾値を設定しないので、再び誤検出の多い状態を招くことを回避できる。
本態様によれば、前記制御手段は、ユーザーからの指示により、或いは所定の条件が満たされた場合に、前記履歴情報をリセットするので、例えば使用環境が変わる場合に前記履歴情報をリセットすることで、より適切な異常判定を行うことができる。
本態様によれば、画像読取装置において、上述した第1から第12の態様のいずれかと同様な作用効果が得られる。
以下、主として図1を参照して、本発明に係る画像読取装置としてのスキャナー1Aについて説明する。図1は本発明に係るスキャナー1Aを示す外観斜視図である。
スキャナー1Aは、原稿Pの画像を読み取る読取部20(図2)を内部に備える装置本体2を備えている。
装置本体2は、下部ユニット3及び上部ユニット4を備えて構成されている。上部ユニット4は下部ユニット3に対して原稿搬送方向下流側を回動支点として開閉可能に設けられており、上部ユニット4を装置前面側に回動して開き、原稿Pの原稿搬送経路を露呈させて原稿Pのジャムの処理を容易に行うことができる様に構成されている。
また、原稿載置部11には、原稿Pの給送方向(Y軸方向)と交差する幅方向(X軸方向)の側縁をガイドする左右一対のエッジガイド12、12が設けられている。
上部ユニット4の上部には装置本体2内部に連なる給送口6が設けられており、原稿載置部11に載置される原稿Pは、給送口6から装置本体2内部に設けられる読取部20に向けて送られる。
また、下部ユニット3の装置前面側には、排出される原稿Pを受ける排紙トレイ5が設けられている。
次に、主として図2を参照して、本発明に係る原稿搬送装置1Bについて、即ちスキャナー1Aにおける原稿搬送経路について説明する。図2は本発明に係るスキャナー1Aにおける原稿搬送経路を示す側断面図である。
スキャナー1Aは、原稿搬送装置1Bを備えている。原稿搬送装置1Bは、大略的にはスキャナー1Aにおいて原稿搬送に係る構成要素(経路形成部材やローラー)で構成される。原稿搬送装置1Bは、別の観点では、スキャナー1Aから原稿読み取りに係る機能(後述する読取部20)を省いた装置と捉えることもできる。或いは、原稿読み取りに係る機能(後述する読取部20)を備えていても、原稿搬送の観点に着目すれば、スキャナー1Aそのものが原稿搬送装置と捉えることもできる。
図2において符号Tで示す実線は、原稿搬送経路(換言すれば、原稿Pの通過軌跡)を示している。原稿搬送経路Tは、下部ユニット3と、上部ユニット4とによって挟まれた空間である。
尚、原稿載置部11には、原稿載置部11上に原稿Pが存在するか否かを検出する為のセンサー(不図示)が設けられている。
分離ローラー15には、搬送ローラー用モーター46(図3)から、不図示のトルクリミッタを介して回転トルクが伝達される。
給送ローラー14と分離ローラー15との間に、給送されるべき原稿Pに加えて更に2枚目以降の原稿Pが入り込むと、原稿間で滑りが生じることにより、分離ローラー15は搬送ローラー用モーター46から受ける回転トルクにより、図2の反時計回り方向に回転する。これにより、原稿Pの重送が防止される。
給送ローラー14及び分離ローラー15によりニップされて下流側に給送された原稿Pは搬送ローラー対16にニップされて、搬送ローラー対16の下流側に位置する読取部20に搬送される。
尚、原稿搬送経路Tにおける状態変化とは、本実施例では一例として原稿Pのジャムとして捉えるが、あくまでこれは一例であり、例えば原稿Pのスキューなども原稿搬送経路Tにおける状態変化と言える。そしてこの様な状態変化に応じて変化が生じる検出値とは、本実施例では音の大きさを採用するが、あくまでこれは一例であり、例えば原稿Pのジャムによって給送ローラー用モーター45(図3)或いは搬送ローラー用モーター46(図3)の駆動電流値が変化するのであれば、これを検出値として採用することもでき、この場合一例としてモーターの制御回路が経路状態検出手段となる。或いは、原稿Pのジャムによって原稿搬送経路Tに振動が生じるのではあれば、これを検出値として採用することができ、この場合一例として振動センサーが経路状態検出手段となる。この様に原稿搬送経路Tにおける状態変化、及びこの状態変化に応じて検出値が変化する経路状態検出手段は、種々考えられる。
制御部40は、上述した第1原稿検出部31及び第2原稿検出部32により、原稿搬送経路Tにおける原稿Pの位置を把握することができる。
排出ローラー対17は、搬送ローラー用モーター46(図3)により回転駆動される排出駆動ローラー17aと、従動回転する排出従動ローラー17bとを備えて成る。
以下、図3を参照しつつスキャナー1A及び媒体搬送装置1Bにおける制御系統について説明する。図3は本発明に係るスキャナー1Aの制御系統を示すブロック図である。
図3において、制御手段としての制御部40は原稿Pの送り制御及び読み取り制御を含め、その他スキャナー1A及び媒体搬送装置1Bの各種制御を行う。制御部40には操作パネル7からの信号が入力され、また、操作パネル7の表示、特にユーザインタフェース(UI)を実現する為の信号が制御部40から操作パネル7に送信される。
制御部40は、給送ローラー用モーター45と搬送ローラー用モーター46を制御する。上述したように給送ローラー用モーター45は、給送ローラー14の駆動源であり、搬送ローラー用モーター46は、分離ローラー15、搬送ローラー対16、排出ローラー対17、のこれらの駆動源である。
制御部40には、読取部20からの読み取りデータが入力され、また、読取部20を制御する為の信号が制御部40から読取部20に送信される。
制御部40には、重送検出部30、第1原稿検出部31、第2原稿検出部32,音検出部33、のこれら検出手段からの信号も入力される。
ROM42に格納されたプログラム44は、必ずしも一つのプログラムを意味するものではなく、複数のプログラムで構成され、それには原稿搬送経路Tにおけるジャムを判定する為のプログラム、後述する閾値を最適化するプログラム(本発明に係るプログラム)、操作パネル7に表示するUIを制御するプログラム(本発明に係るプログラム)、原稿の搬送及び読み取りに必要な各種制御プログラム、などが含まれる。
続いて図4以降を参照しつつ、制御部40が行うジャム判定の最適化について説明する。先ず、図4を参照しつつ全体的なジャム判定の流れを説明する。図4は、ジャム判定制御の全体的な流れを示すフローチャートである。
制御部40は、待機状態からスキャンジョブが開始されると(ステップS101においてYes)、ジャム判定閾値の最適化を行い(ステップS102)、ジャム判定閾値の更新、即ち最適化したジャム判定閾値をメモリ43(図3)に保存し(ステップS103)、最適化されたジャム判定閾値を用いて原稿の給送及び読み取りを実行する(ステップS104)。
そして制御部40は、次ページがある場合は(ステップS106においてYes)、ステップS104及びS105を再び実行する。
ジャムが生じると高い検出値を示す為、制御部40は、検出値が閾値を越えた場合にジャムと判断する。この閾値は上述の通りメモリ43(図3)に保存され、且つ、書き換え可能となっている。
図5では、検出値Dtが閾値を上回っているため、制御部40はジャムが発生したと判断し、給送ローラー用モーター45(図3)及び搬送ローラー用モーター46(図3)を停止する。また、操作パネル7に、警告メッセージ(例えば、「原稿詰まりを検出しました。原稿詰まりの状況を確認し、処理を選択して下さい。」を表示する。
そこで制御部40は、過去に取得した検出値に係る情報を含む履歴情報をもとにして閾値を変更する。換言すれば、制御部40は、過去に取得した検出値に係る情報を含む履歴情報をもとにして閾値を最適化する。ROM43(図3)に格納されたプログラム44は、その様な機能を実現する。
図6及び図7は、過去に取得した検出値に係る情報を含む履歴情報をもとにして閾値を最適化する方法の第1実施例を示す為の検出値のプロット図であり、図8はフローチャートである。
本実施例での閾値最適化方法は、大略的に、図8に示す様に先ず直近の所定期間における検出値の平均値を求め(ステップS201)、次いで現在適用中の閾値に対応する設定値に対する平均値の大きさを判断し、閾値を決定する(ステップS202)。
以下、更に図6及び図7を参照しつつ詳説する。
尚、本実施例において履歴情報は検出値と現在適用中の閾値(直近の閾値)を含み、閾値の最適化に必要な情報は、複数の検出値の平均値と、閾値A~Dと、設定値ab、bc、cd、のこれらである。
換言すれば、制御部40は直近の検出値が閾値に対して余裕があるか否かを判断し、余裕があると判断できれば、閾値を下げる、即ち過去に取得した検出値をもとにして閾値を最適化する。
尚、直近の所定期間taにおける検出値の平均値rが、設定値ab以上であれば、制御部40は閾値Aの適用を維持する。
換言すれば、制御部40は直近の検出値が閾値に対して余裕があるか否かを判断し、余裕がないと判断できれば、閾値を下げる、即ち過去に取得した検出値をもとにして閾値を最適化する。
また、閾値Bに対応する設定値は設定値bcであり、閾値Bを適用中において、直近の所定期間taにおける平均値rが設定値bc以上設定値ab未満であれば、閾値Bの適用を継続し、閾値bcを下回れば、閾値をCに下げる。
また、閾値Cに対応する設定値は設定値cdであり、閾値Cを適用中において、直近の所定期間taにおける平均値rが設定値cd以上設定値bc未満であれば、閾値Cの適用を継続し、閾値cdを下回れば、閾値をDに下げる。
また、上記実施例では所定期間taにおける平均値rは単純平均であるが、過去の値の重みを軽く、最近の値の重みを重くする加重平均としても良い。
また、平均値ではなく最大値を採用しても良く、或いは最大値から数個を抽出してその平均値を採用しても良い。
る。
例えば、制御部40は、ジャム判定が正当であった場合の検出値を、履歴情報に含めない様にする。即ち、ジャム判定が正当であった場合の検出値は、異常(ジャム)が生じた場合の突発値と言うことができ、その様な値を履歴情報に含めると、閾値を実際に搬送されている原稿Pに対して適した値とすることができない虞がある。
そこで制御部40は、ジャム判定が正当であった場合の検出値を、履歴情報に含めない様にすることで、閾値をより適切に最適化することができ、ひいてはより適切な異常判定を行うことができる。
図9は、過去に取得した検出値に係る情報を含む履歴情報をもとにして閾値を最適化する方法の第2実施例を示す為の検出値のプロット図である。本実施例では、閾値の最適化方法の基本的な考え方は図6及び図7を参照しつつ説明した実施例と同様であるが、本実施例では履歴情報にジャム判定の当否に関する情報を含む様にする。例えば、検出値が閾値を超えた場合の当該検出値について、実際にジャムが生じた際の検出値であるか、誤検出に係る検出値であるかの情報をメモリ43に記憶する。
そして制御部40は、ジャム判定が正当であった場合の対応する検出値以上の値を閾値として採用しない様にすることができる。
そこで制御部40は、ジャム判定が正当であった場合の対応する検出値Ds以上の値を閾値として採用しない。これにより、上記のような判定の誤りを防止或いは抑制することができる。
図10は、過去に取得した検出値に係る情報を含む履歴情報をもとにして閾値を最適化する方法の第3実施例を示す為の誤検出発生頻度のグラフであり、図11はフローチャートである。
本実施例での閾値最適化方法は、大略的に、図11に示す様に先ず所定期間における誤検出発生頻度を求め(ステップS301)、誤検出発生頻度が設定下限値を下回った場合(ステップS302においてYes)、検出感度を上げる、即ち閾値を下げる(ステップS304)。一方、誤検出発生頻度が設定上限値を超えた場合(ステップS303においてYes)、検出感度を下げる、即ち閾値を上げる(ステップS305)。いずれでもない場合(ステップS302、S303においてNo)、検出感度を維持する(閾値は変更しない)。
以下、更に図10を参照しつつ詳説する。
また、図9において誤検出発生頻度の推移の一例を示すグラフの上には、検出当否の結果の一例を示している。白抜きの丸印は、検出値が閾値を下回ったこと(ジャム非検出)を意味し、×印は検出値が閾値を上回ったのでジャムと判定し、且つその結果が正当であったこと(実際にジャムが生じた)を意味し、塗り潰しの丸印は、検出値が閾値を上回ったのでジャムと判定したが、その結果が失当であったこと(実際にはジャムが生じていない、誤検出)を意味している。
尚、本実施例において履歴情報はジャム判定の当否に関する情報(即ち検出値に係る情報)と現在適用中の閾値を含み、閾値の最適化に必要な情報は、誤検出発生頻度と、頻度上限値と、頻度下限値と、閾値を上下させる為の係数と、のこれらである。
誤検出発生頻度は、予め定めた期間(直近の所定期間)におけるジャム判定の当否に関する情報から求めることができる。例えば直近100枚の原稿搬送で誤検出(ジャム判定失当)が5回であれば誤検出発生頻度は5%ということになる。
原稿Pの搬送に伴い、ジャム非検出が続けば、誤検出発生頻度はやがて頻度下限値を下回る。図9において一例としてタイミングB1で頻度下限値に達している。制御部40は、誤検出発生頻度が頻度下限値に達すると、ジャム判定の為の閾値を下げる(検出感度を上げる)。
即ち、誤検出発生頻度が低いということは、検出値に対して閾値が余裕がありすぎるということを意味する。従って制御部40は、直近の検出値が閾値に対して余裕があるか否かを誤検出発生頻度から判断し、余裕があると判断できれば、閾値を下げる。即ち過去に取得した検出値に係る情報を含む履歴情報をもとにして閾値を最適化する。
尚、新たな閾値は、例えば現在適用中の閾値に対して予め定めた係数を乗じることで求めることができ、例えば閾値を下げるのであれば1より小さい係数(例えば0.8)を乗じ、閾値を上げるのであれば1より小さい係数(例えば1.2)を乗じる。尚これはあくまで一例であり、種々の閾値調整方法が可能であることは言うまでも無い。
即ち、誤検出発生頻度が高いということは、検出値に対して閾値に余裕がないことを意味する。従って制御部40は、直近の検出値が閾値に対して余裕があるか否かを誤検出発生頻度から判断し、余裕がないと判断できれば、閾値を上げる。即ち過去に取得した検出値に係る情報(ジャム判定の当否に関する情報)を含む履歴情報をもとにして閾値を最適化する。
即ち、誤検出発生頻度が設定された頻度上限値以上となった場合とは、上述した通り誤検出が多い状態であり、換言すればその際に適用している閾値が低すぎる(検出感度が高すぎる)状態であると言え、その様な閾値を再び用いると、再度誤検出が多い状態を招く虞がある。
そこで制御部40が、誤検出発生頻度が設定された頻度上限値以上となった場合、その際の閾値を最小閾値とし、以降は前記最小閾値以下の閾値を設定しないことで、再び誤検出の多い状態を招くことを回避できる。
即ち、上述のような最小閾値を閾値としているにも拘わらず誤検出発生頻度が予め定められた許容頻度(一例として図9の頻度上限値)を下回らない場合、音検出部33に何らかの異常が発生している等が考えられる。従ってその様な場合、制御部40がジャム発生の有無の判定を行わないようにすることで、装置の使用を継続できる。
尚、ジャム判定を行わないようにするか否かの選択をユーザーに委ねる様にしても良い。この場合、ジャム判定を行わないようにするか否かの選択をユーザーに委ねるユーザーインタフェースを操作パネル7(図1)に展開する。この場合、例えば「ジャム検出を行うセンサーに異常が生じた可能性があります。ジャム検出の機能をオフにしますか?(Y/N)」といったメッセージが考えられる。
図12は、過去に取得した検出値に係る情報を含む履歴情報をもとにして閾値を最適化する方法の第4実施例を示す為の検出値のプロット図であり、図13はフローチャートである。
本実施例での閾値最適化方法は、大略的に、図13に示す様に先ず今回検出値と前回基準値に基づき調整量を求め(ステップS401)、前回基準値に調整量を加算または減算して新たな基準値とする(ステップS402)。次いで、新たな基準値に、予め定められたマージン値を加えて新たな閾値とする(ステップS403)。
本実施例では、前回基準値に対して今回検出した値が小さければ、基準値を下げ、結果的に次回適用する閾値は下がり(検出感度が上がる)、前回基準値に対して今回検出した値が大きければ、新たな基準値を上げ、結果的に次回適用する閾値は上がる(検出感度が下がる)ことになる。
以下、更に図12を参照しつつ詳説する。
本実施例において履歴情報は直近の検出値及び基準値を含み、閾値の最適化に必要な情報は、マージン値Mt、割合値を求める為の係数、である。
例えば図12において制御部40は、今回取得した検出値D1と直近の基準値Y0との差N1の割合値J1を求め、この割合値J1を直近の基準値Y0から差し引き、新たな基準値Y1とする。割合値J1を直近の基準値Y0から減算するのは、今回取得した検出値D1が基準値Y0以下の為である。
但し、検出値D3は直近の基準値Y2を越えているので、割合値J3を直近の基準値Y2に加算して、新たな基準値Y3とする。
尚、以上説明した例では、基準値と検出値とが異なる値となる例であるが、基準値と検出値とが同じ値となれば、割合値(調整値)はゼロとなり、基準値は変わらない。
以上のようにすることで、ジャム判定の為の閾値を、実際に搬送されている原稿や使用環境等に対して適した値とすることができ、より適切なジャム判定を行うことができる。
以上説明した各実施形態においては、以下の様な変更も可能である。
(1)制御部40は、ユーザーからの指示により、或いは所定の条件が満たされた場合に、履歴情報をリセットすることもできる。これにより、例えば使用環境が変わる場合に履歴情報をリセットすることで、より適切なジャム判定を行うことができる。勿論、ユーザーからの指示による履歴情報のリセットと、所定の条件が満たされる場合の履歴情報のリセットと、の双方を実行可能であっても構わない。
所定の条件は、例えば、一連の読み込みジョブが終了した場合、操作パネル7で設定可能な情報(例えば原稿サイズ、原稿種類、装置使用者など)が変更された場合、前回ジョブ終了時から一定時間が経過した場合、前回ジョブ終了時から所定枚数の原稿搬送が行われた場合、電源投入時、などが挙げられる。
また、この履歴情報を他の装置に転送し、他の装置で利用できる様にすることで、同じ或いは類似の条件で読み取りジョブを実行する際の利便性がより高まる。一例として、ネットワーク上のサーバー或いはホストとなるスキャナーに履歴情報を保存しておき、ネットワークに接続された他の機器から履歴情報をダウンロードする形態等が考えられる。
例えば、給送ローラー用モーター45(図3)或いは搬送ローラー用モーター46(図3)の駆動電流値を検出値とし、この検出値が閾値を超えた場合にジャムの発生と判断する際にも利用できる。
Claims (13)
- 媒体を搬送する媒体搬送経路と、
前記媒体搬送経路における状態変化に応じて検出値が変化する経路状態検出手段と、
前記経路状態検出手段から得られる検出値と、前記検出値に対する閾値と、を比較して前記媒体搬送経路における異常の有無を判定する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、過去に取得した前記検出値に係る情報を含む履歴情報をもとにして前記閾値を変更し、
前記制御手段は、取得した前記検出値が、更新される値である基準値以下の場合、取得した前記検出値と前記基準値との差の所定の割合を前記基準値から減算して新たな基準値とし、当該基準値に予め定めたマージン値を加えて前記閾値とし、
取得した前記検出値が、前記基準値を越える場合、取得した前記検出値と前記基準値との差の所定の割合を前記基準値に加算して新たな基準値とし、当該基準値に前記マージン値を加えて前記閾値とする、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 媒体を搬送する媒体搬送経路と、
前記媒体搬送経路における状態変化に応じて検出値が変化する経路状態検出手段と、
前記経路状態検出手段から得られる検出値と、前記検出値に対する閾値と、を比較して前記媒体搬送経路における異常の有無を判定する制御手段と、
情報を表示する表示部と、を備え、
前記制御手段は、過去に取得した前記検出値に係る情報を含む履歴情報をもとにして前記閾値を変更し、
前記制御手段は、前記検出値が前記閾値を上回ることで前記媒体搬送経路において異常の発生と判定した場合に、当該判定の当否をユーザーに選択させる為のユーザーインタフェースを前記表示部に展開させ、前記判定の当否に関する情報を取得する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項2に記載の媒体搬送装置において、前記制御手段は、過去に取得した複数の前記検出値の平均値と、前記閾値との差が拡がると、前記閾値を下げ、前記平均値と、前記閾値との差が縮まると、前記閾値を上げる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項2または請求項3に記載の媒体搬送装置において、前記制御手段は、前記判定が正当であった場合の対応する前記検出値を前記履歴情報に含めない、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項2または請求項3に記載の媒体搬送装置において、前記履歴情報は、前記判定の当否を含み、
前記制御手段は、前記判定が正当であった場合の対応する前記検出値以上の値を前記閾値として採用しない、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項2または請求項3に記載の媒体搬送装置において、前記履歴情報は、前記判定の当否を含み、
前記制御手段は、前記判定の失当の発生頻度を求め、
前記制御手段は、前記発生頻度が、設定された下限値以下となった場合、前記閾値を下げ、前記発生頻度が、設定された上限値以上となった場合、前記閾値を上げる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項6に記載の媒体搬送装置において、前記制御手段は、前記発生頻度が、設定された上限値以上となった場合、その際の前記閾値を最小閾値とし、以降は前記最小閾値以下の閾値を設定しない、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項7に記載の媒体搬送装置において、前記制御手段は、前記最小閾値を閾値としているにも拘わらず前記発生頻度が予め定められた許容頻度を下回らない場合、前記異常の有無の判定を行わない、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項2または請求項3に記載の媒体搬送装置において、前記制御手段は、二連続で前記異常の発生と判定する場合において、最初に前記異常の発生と判定した際は前記ユーザーインタフェースを前記表示部に展開せず、次に前記異常の発生と判定した際に前記ユーザーインタフェースを前記表示部に展開する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、前記制御手段は、ユーザーからの指示により、或いは所定の条件が満たされた場合に、前記履歴情報をリセットする、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、前記経路状態検出手段は、前記媒体搬送経路における音の変化を検出する手段であるとともに、前記検出値は音の大きさを示す検出値であり、
前記制御手段は、前記検出値が前記閾値を超えた場合、前記異常としてのジャムと判定する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 媒体を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段へと媒体を搬送する、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の前記媒体搬送装置と、
を備えた画像読取装置。 - 媒体を搬送する媒体搬送経路と、
前記媒体搬送経路における状態変化に応じて検出値が変化する経路状態検出手段と、
前記経路状態検出手段から得られる検出値と、前記検出値に対する閾値と、を比較して前記媒体搬送経路における異常の有無を判定する制御手段と、
情報を表示する表示部と、を備えた媒体搬送装置の前記表示部を制御するプログラムであって、
前記検出値が前記閾値を上回ることで前記媒体搬送経路において異常の発生と判定された場合に、当該判定の当否をユーザーに選択させる為のユーザーインタフェースを前記表示部に展開させ、前記判定の当否に関する情報を取得する処理を含む、
ことを特徴とするプログラム。
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