JP7034760B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体において、支持体と感光層との間に金属酸化物粒子を含有する導電層を設けることが知られている。この導電層を設けることで、画像形成時の残留電位の上昇が生じにくく、暗部電位や明部電位の変動が生じにくく、繰り返し使用時にも電位安定性に優れる。
一方、電子写真感光体を構成する層中に、強誘電性の材料を用いる技術が知られている(特許文献1及び2)。特許文献1には、電子写真感光体の保護層中に強誘電性粒子を含有することで、分極現象により帯電の均一性が向上できることが記載されている。特許文献2には、タンタル酸塩、チタン酸塩及びニオブ酸塩から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有する中間層を有する電子写真感光体が開示されている。
特開平11-109669号公報 特許第2879084号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1及び2に記載の電子写真感光体では、帯電電位の均一性及び繰り返し使用時の電位安定性を両立することができていなかった。特許文献1に記載の電子写真感光体は、保護層に一般的に絶縁性を示す強誘電性粒子を含有させているため、この粒子がキャリアトラップとして作用してしまい、電荷が流れるのを制限してしまう場合があり、繰り返し使用時の電位安定性が十分でない。更に、保護層を薄膜化した場合は、本来強誘電性粒子を用いていた効果、即ち、誘電緩和を大きくする効果が得られず、帯電電位の均一性が低くなる。また、特許文献2に記載の電子写真感光体は、中間層の導電性が十分でなく、繰り返し使用時にも電位安定性が低かった。
したがって、本発明の目的は、帯電電位の均一性及び繰り返し使用時の電位安定性を両立する電子写真感光体を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明にかかる電子写真感光体は、
支持体と、導電層と、感光層と、をこの順に有する電子写真感光体であって
該導電層が、結着材料及び粒子を含有し、
該粒子が、
一般式(1)で表される芯材と
Figure 0007034760000001

(一般式(1)において、M は、Sr、Li、Na、K及びBaから選択される何れかの元素であり、M は、Ti、Nb、Ta及びZrから選択される何れかの元素である。)
該芯材を被覆し、かつ、導電性材料を含有する被覆層と、
を有し、
該導電性材料が、金属酸化物であり、
該金属酸化物が、酸化チタンであり、
該酸化チタンが、ニオブ及びタンタルから選択される何れかの元素でドープされている
ことを特徴とする。
た、本発明のプロセスカートリッジは、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明の電子写真装置は、上記電子写真感光体、並びに、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、帯電電位の均一性及び繰り返し使用時の電位安定性を両立する電子写真感光体を提供することができる。
電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 導電層の体積抵抗率の測定方法を説明するための上面図である。 導電層の体積抵抗率の測定方法を説明するための断面図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
近年、電子写真プロセスにおいて、省電力化が注目されており、電力消費への影響が大きい帯電プロセスの検討されている。例えば、従来は高画質の観点から、交流/直流(AC/DC)帯電方式が用いられることが多かったが、交流成分を減少させる方式(直流成分が主となる帯電方式)の帯電プロセスによって省電力化を狙う検討などが行われている。
本発明者らが検討したところ、従来の電子写真感光体を用いた場合、帯電プロセスの方式によっては(例えば、直流成分が主となる帯電方式)、帯電プロセス中に帯電ローラーとのニップ部を感光体が通過する際、ニップ部のプロセス下流側に発生する帯電ローラーと感光体表面との間の放電(下流放電)が不安定となることを見出した。この下流放電が不安定になることで、帯電電位が不均一となり、得られる画像に筋ムラなどの画質の課題が発生することが分かった。このような画質の課題は、繰り返し使用時においてより顕著に発生することが判明した。
このような課題を解決するべく検討を行った結果、本発明者らは、下流放電を安定化させるためには、ニップ部通過時の帯電電位の減衰を大きくした方が好ましいことを見出した。そして、そのために特定の粒子を導電層に含有させて、誘電緩和を大きくすることが必要であることが分かった。特に、強誘電性材料である芯材を、導電性材料を含有する被覆層で被覆した粒子を導電層に用いることで、誘電緩和を大きくし、更に、導電性も改善させることができることを見出した。このメカニズムを本発明者らは以下のように推定している。
導電層に含有させる粒子の芯材として用いる強誘電性材料に由来して、電子写真感光体としての誘電緩和が大きくなり、ニップ部通過時の帯電電位の減衰が促進される。更に、粒子の被覆層が含有する導電性材料に由来して、導電層の導電性が向上し、画像形成時の残留電位の上昇が生じにくく、暗部電位や明部電位の変動が生じにくく、繰り返し使用時にも電位安定性に優れる。更に、上述した強誘電性材料がキャリアトラップとして作用し得る現象を抑制することが可能となる。
以上のメカニズムのように、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、帯電電位の均一性及び繰り返し使用時の電位安定性を両立する、という本発明の効果を達成することが可能となる。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、支持体と、導電層と、感光層とをこの順に有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。以下、各層について説明する。
<支持体>
本発明において、電子写真感光体は、支持体を有する。本発明において、支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合又は被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
<導電層>
本発明において、導電層は、支持体の上に形成され、結着材料、及び、一般式(1)で表される芯材と、該芯材を被覆し、かつ、導電性材料を含有する被覆層と、を有する粒子(以下、単に「粒子」ともいう)を含有する。
Figure 0007034760000002
(一般式(1)において、Mは、Sr、Li、Na、K及びBaから選択される何れかの元素であり、Mは、Ti、Nb、Ta及びZrから選択される何れかの元素である。)
本発明における芯材は、一般式(1)で表される強誘電性材料である。特に、チタン酸ストロンチウム:SrTiO、チタン酸バリウム:BaTiO及びニオブ酸ナトリウム:NaNbOから選択される何れかであることが、被覆層形成時の安定性と導電性の観点から好ましく、SrTiOまたはBaTiOであることがさらに好ましい。
本発明において、粒子の被覆層に含有される導電性材料としては、金属酸化物、アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀の金属系材料;電解処理、スプレー塗工、混合振により表面処理した複合材料;カーボンブラック;カーボン系材料などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラック、金属酸化物であることが好ましく、更には、金属酸化物であることがより好ましい。金属酸化物としては、酸化スズ、酸化亜鉛及び酸化チタンから選択される何れかであることが好ましい。
これらの金属酸化物は、適切な還元により酸素欠損構造を持たせ、或いは、適切なドーピングを行うことにより、導電性を向上させることで、電位安定化に更に寄与することが可能である。酸化スズを用いる場合、ニオブ、タンタル、リン、タングステン及びフッ素から選択される何れかの元素でドープされていることが好ましい。酸化亜鉛を用いる場合、アルミニウム及びガリウムから選択される何れかの元素でドープされていることが好ましい。酸化チタンを用いる場合、ニオブ及びタンタルから選択される何れかの元素でドープされていることが好ましい。
本発明において、被覆層における、上記金属酸化物に対するドーパント元素のドープ量が、被覆層の全質量に対して、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。該ドープ量が0.5質量%未満であると、暗部電位や明部電位の変動を抑制する効果が十分に得られない場合がある。また、該ドープ量が10.0質量%より大きいと、電子写真感光体にリークが発生しやすくなる場合がある。更に、該ドープ量は、被覆層の全質量に対して、1.0質量%以上7.0質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、粒子の芯材は、球体状、多面体状、楕円体状、薄片状、針状といった種々の形状のものを用いることができる。これらの中でも、黒ポチなどの画像欠陥が少ないという観点から、球体状、多面体状、楕円体状の芯材を用いることが好ましい。
本発明において、粒子の平均一次粒径(D)は、0.05μm以上0.50μm以下であることが好ましい。粒子の平均一次粒径が0.05μm以上であれば、導電層用塗布液を調製した後に粒子の再凝集が起こりにくくなる。もし、粒子の再凝集が起こると、導電層用塗布液の安定性が低下したり、形成される導電層の表面にクラックが発生したりしやすくなる。粒子の平均一次粒径が0.50μm以下であれば、導電層の表面が荒れにくくなる。もし、導電層の表面が荒れると、感光層への局所的な電荷注入が起こりやすくなり、出力画像の白地における黒点(黒ポチ)が目立ちやすくなる。更に、本発明において、粒子の平均一次粒径は、0.07μm以上0.40μm以下であることがより好ましい。
また、本発明において、芯材の平均直径が、被覆層の平均層厚に対して、1倍以上50倍以下であることが好ましく、5倍以上20倍以下であることがより好ましい。このような範囲内であることにより、繰り返し使用時の電位安定性が更に良好となるまた、被覆層の平均層厚は、5nm以上であることがより好ましい。
本発明において、粒子の表面をシランカップリング剤などで処理してもよい。
本発明において、導電層の全体積に占める、粒子の含有量が、20体積%以上50体積%以下であることが好ましい。粒子の含有量が、20体積%未満であると、粒子同士の距離が遠くなり、導電層の体積抵抗率が高くなりやすくなる場合がある。粒子の含有量が、50体積%より大きいと、粒子同士の距離は近くなり、粒子同士が接した部分が生じる場合がある。そういった粒子同士が接した部分は、局所的に導電層の体積抵抗率が低くなるため、電子写真感光体にリークが発生しやすくなる場合がある。更に、導電層の全体積に占める、粒子の含有量が、30体積%以上45体積%以下であることがより好ましい。
本発明の導電層は、上記粒子以外に、別の導電性粒子を含有してもよい。別の導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
別の導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、別の導電性粒子は、芯材と、芯材を被覆する被覆層とを有する積層構成であってもよい。芯材としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
本発明において、別の導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
結着材料としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。本発明の結着材料としては、熱硬化性のフェノール樹脂又は熱硬化性のポリウレタン樹脂が好ましい。導電層の結着材料として硬化性樹脂を用いる場合、導電層用塗布液に含有させる結着材料は、該硬化性樹脂のモノマー及び/又はオリゴマーとなる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子などを更に含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、0.5μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上40μm以下であることがより好ましく、5μm以上35μm以下であることが特に好ましい。
本発明において、導電層の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上5.0×1012Ω・cm以下であることが好ましい。導電層の体積抵抗率が5.0×1012Ω・cm以下であれば、画像形成時に電荷の流れが滞りにくくなり、残留電位が上昇しにくくなり、暗部電位や明部電位の変動がより生じにくくなる。一方、導電層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上であれば、電子写真感光体の帯電時に導電層中を流れる電荷の量が多くなりすぎにくく、リークが発生しにくくなる。更には、導電層の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上1.0×1011Ω・cm以下であることがより好ましい。
図2及び図3を用いて、電子写真感光体の導電層の体積抵抗率を測定する方法を説明する。図2は、導電層の体積抵抗率の測定方法を説明するための上面図であり、図3は、導電層の体積抵抗率の測定方法を説明するための断面図である。
導電層の体積抵抗率は、常温常湿(温度23℃/相対湿度50%)環境下において測定する。導電層202の表面に銅製テープ203(住友スリーエム製、型番No.1181)を貼り、これを導電層202の表面側の電極とする。また、支持体201を導電層202の裏面側の電極とする。銅製テープ203と支持体201との間に電圧を印加するための電源206、及び、銅製テープ203と支持体201との間を流れる電流を測定するための電流測定機器207をそれぞれ設置する。また、銅製テープ203に電圧を印加するため、銅製テープ203の上に銅線204を載せ、銅線204が銅製テープ203からはみ出さないように銅線204の上から銅製テープ203と同様の銅製テープ205を貼り、銅製テープ203に銅線204を固定する。銅製テープ203には、銅線204を用いて電圧を印加する。
銅製テープ203と支持体201との間に電圧を印加しないときのバックグラウンド電流値をI(A)とし、直流電圧(直流成分)のみの電圧を-1V印加したときの電流値をI(A)とし、導電層202の膜厚d(cm)、導電層202の表面側の電極(銅製テープ203)の面積をS(cm)とするとき、数式[ρ=1/(I-I)×S/d]で算出される値を導電層202の体積抵抗率ρ(Ω・cmとする。
この測定では、絶対値で1×10-6A以下という微小な電流量を測定するため、電流測定機器207としては、微小電流の測定が可能な機器を用いて行うことが好ましい。そのような機器としては、例えば、横河ヒューレットパッカード製のpAメーター4140Bなどが挙げられる。尚、導電層の体積抵抗率は、支持体上に導電層のみを形成した状態で測定しても、電子写真感光体から導電層上の各層(感光層など)を剥離して支持体上に導電層のみを残した状態で測定しても、同様の値を示す。
本発明において、粒子の粉体としての体積抵抗率(粉体抵抗率)は、1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下であることが好ましい。粉体抵抗率がこの範囲内であると、上述の好ましい体積抵抗率の範囲となる導電層を得ることが容易となる。更には、粒子の粉体抵抗率は、1.0×10Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下であることがより好ましい。尚、本発明において、粒子の粉体抵抗率は、常温常湿(温度23℃/相対湿度50%)環境下において測定する。本発明においては、測定装置として、三菱化学製の抵抗率計ロレスタGPを用いた。測定対象の本発明の粒子は、500kg/cmの圧力で固めて、ペレット状の測定用サンプルにし、印加電圧は100Vとした。
導電層は、上述の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で金属酸化物粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。分散により調製した導電層塗布液に対しては、導電層用塗布液として不必要なものを除去するための濾過を行ってもよい。
<下引き層>
本発明において、支持体又は導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素-炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などを更に含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤を更に含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層を有する。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1-1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を更に含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
(1-2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10~20:10が好ましく、5:10~12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤又は芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
<保護層>
本発明において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は、導電性粒子及び/又は電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
保護層は、上述の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする。
図1に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。尚、図においては、ローラー型帯電部材によるローラー帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジを電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
本発明の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。また、実施例1~21、28及び30は参考例である。
<粒子の製造>
(カーボンブラック被覆SrTiO粒子:A-1)
先ず、以下のようにSrTiO粒子ST-1を合成した。硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行った。洗浄済みケーキに水を加えTiOとして1.85モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.0とし解膠処理を行った。このメタチタン酸をTiOとして0.625モル採取し、3Lの反応容器に投入した。更に、塩化ストロンチウム水溶液をSrO/TiOモル比で1.15となるよう0.719モル添加した後、TiO濃度0.313モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながら90℃に加温した後、5モル/L水酸化ナトリウム水溶液296mLを18時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、ろ過・分離後、120℃の大気中で8時間乾燥して、SrTiO粒子粉末ST-1を得た。電子顕微鏡で観察した平均粒径は100nmであり、X線回折ではチタン酸ストロンチウム単一相であった。
得られたSrTiO粒子ST-1:7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン140gを、エッジランナーを稼動させながら添加し、588N/cm(60kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。この時の攪拌速度は22rpmであった。その中に、カーボンブラック粒子(体積平均粒子径20nm、体積抵抗率1.0×10Ω・cm、pH8.0)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60kg/cm)の線荷重で60分間混合攪拌を行った。このようにしてメチルハイドロジェンポリシロキサンを被覆したSrTiO粒子の表面にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で60分間乾燥を行い、カーボンブラック被覆SrTiO粒子A-1を得た。この時の攪拌速度は22rpmであった。尚、得られた複合導電性微粒子は、体積平均粒径が110nmであり、粉体抵抗率は1.1×10Ω・cmであった。
(カーボンブラック被覆BaTiO粒子:BT-1)
チタン酸ストロンチウム粒子ST-1の代わりに、チタン酸バリウム粒子粉末(共立マテリアル製、平均粒径150nm)に対して、カーボンブラック被覆を行った以外は、A-1と同様に処理し、BT-1を得た。
(カーボンブラック被覆BaTiO粒子:BT-1X)
チタン酸ストロンチウム粒子ST-1の代わりに、チタン酸バリウム粒子粉末(共立マテリアル製、平均粒径300nm)に対して、カーボンブラック被覆を行った以外は、A-1と同様に処理し、BT-1Xを得た。
(カーボンブラック被覆BaTiO粒子:BT-1Y)
チタン酸ストロンチウム粒子ST-1の代わりに、チタン酸バリウム粒子粉末(共立マテリアル製、平均粒径400nm)に対して、カーボンブラック被覆を行った以外は、A-1と同様に処理し、BT-1Yを得た。
(カーボンブラック被覆NaNbO粒子:SN-1)
先ず、以下のようにNaNbO酸化物粒子SNを合成した。塩化ニオブ27.02gを0.10モル/LのHCl水溶液150mLに加え溶解した後、0.10モル/LのHCl水溶液を用いて全量を200mLとし、0.50モル/LのNbCl5の0.10モル/LのHCl水溶液を得た。次に、18.0モル/LのNaOH水溶液6.0mLを加えた30mL容のテフロン製容器に上記0.50モル/LのNbCl5塩酸水溶液6.0mLを室温で攪拌しながらゆっくり加えた後、得られた白色懸濁液をテフロン製容器中、100℃で24時間加熱静置した。内容物をテフロン内筒製オートクレーブに移し、250℃で3時間加熱し、得られた懸濁液から固体を遠心分離で回収後、水に超音波分散・遠心沈降・乾燥することにより、平均粒径200nmのニオブ酸ナトリウム粒子SNを得た。SNに対して、カーボンブラック被覆を行った以外は、A-1と同様に処理し、SN-1を得た。
(カーボンブラック被覆NaTaO粒子:NT-1)
以下のようにNaTaO酸化物粒子TA-1を合成した。テフロン内筒型高温高圧用回分式反応器(内容積50cm)を用い、Ta:0.0905mol/kg及び水酸化ナトリウム7mol/kgとなるよう反応器に仕込み、加熱器内に設置後、145℃まで昇温し水熱反応を4時間行った。反応は所定時間経過後、冷水浴に浸して、停止させ、簡易フィルターろ過及び100℃30分間乾燥を行うことで、平均粒径300nmのTA-1を得た。TA-1に対して、カーボンブラック被覆を行った以外は、A-1と同様に処理し、NT-1を得た。
(カーボンブラック被覆BaZrO粒子:BZ-1)
チタン酸ストロンチウム粒子粉末ST-1の代わりに、ジルコン酸バリウム粒子粉末(日本化学工業製、平均粒径300nm)に対して、カーボンブラック被覆を行った以外は、A-1と同様に処理し、BZ-1を得た。
(Nbドープ酸化チタン被覆SrTiO粒子:A-10)
上述のチタン酸ストロンチウム粒子粉末ST-1を基体として用い、この基体粉末100gを水に分散させ、1Lの水懸濁液とし、60℃に加温した。五塩化ニオブ(NbCl)3gを11.4モル/L塩酸100mLに溶解させたニオブ溶液とTiとして33.7gを含む硫酸チタン溶液600mLを混合したチタンニオブ酸液と10.7モル/L水酸化ナトリウム溶液とを懸濁液のpHが2~3となるように3時間かけて同時に滴下(並行添加)した。滴下終了後、懸濁液をろ過、洗浄し、110℃で8時間乾燥した。この乾燥物を大気雰囲気中、800℃にて1時間の加熱処理を行い、A-10を得た。
(Taドープ酸化チタン被覆SrTiO粒子:A-11)
五塩化ニオブの代わりに五塩化タンタルを用いた以外は、A-10と同様に処理し、A-11を得た。
(Nbドープ酸化チタン被覆BaTiO粒子:BT-10)
チタン酸ストロンチウム粒子ST-1の代わりに、チタン酸バリウム粒子粉末(共立マテリアル製、平均粒径150nm)を用いた以外は、A-10と同様にして、BT-10を製造した。
(Taドープ酸化チタン被覆BaTiO粒子:BT-11)
チタン酸ストロンチウム粒子ST-1の代わりに、チタン酸バリウム粒子粉末(共立マテリアル製、平均粒径150nm)を用いた以外は、A-11と同様にして、BT-11を製造した。
(金属被覆SrTiO粒子:A-2、A-3)
チタン酸ストロンチウム粒子ST-1の表面に無電解めっきにより、10nmの銅被膜を形成させ、銅被覆チタン酸ストロンチウム粒子A-2を得た。同様にして、銀の無電解めっきを行うことにより、10nmの銀被膜を形成させ、銀被覆チタン酸ストロンチウム粒子A-3を得た。
(酸化スズ被覆SrTiO粒子:A-4)
チタン酸ストロンチウム粒子粉末ST-1:200gを水に分散させ、2Lの水懸濁液とし、70℃に加温した。塩化第二スズ(SnCl・5HO)226.2gを3モル/L塩酸500mLに溶解させたスズ酸液Aとタングステン酸ナトリウム(NaWO・2HO)5.2gを5モル/L水酸化ナトリウム溶液500mLに溶解させたアルカリ溶液Bとを懸濁液のpHが2~3となるように6時間かけて同時に滴下(並行添加)した。滴下終了後、懸濁液をろ過、洗浄し、110℃で8時間乾燥した。この乾燥物を窒素ガス気流中(1L/分)、650℃にて1時間の加熱処理を行い、A-4を得た。
(異元素ドープ酸化スズ被覆SrTiO粒子:A-5~A-9)
A-4の製造において、酸化スズ被覆させる際に、P、W、Nb、Ta、Fをそれぞれドーパントとして添加した以外は同様にして、Pドープ酸化スズ被覆チタン酸ストロンチウム粒子A-5、Wドープ酸化スズ被覆チタン酸ストロンチウム粒子A-6、Nbドープ酸化スズ被覆チタン酸ストロンチウム粒子A-7、Taドープ酸化スズ被覆チタン酸ストロンチウム粒子A-8、Fドープ酸化スズ被覆チタン酸ストロンチウム粒子A-9を得た。
(酸化スズ被覆BaTiO粒子:BT-4)
チタン酸ストロンチウム粒子ST-1の代わりに、チタン酸バリウム粒子粉末(共立マテリアル製、平均粒径150nm)を用いた以外は、A-4と同様にして、酸化スズ被覆チタン酸バリウム粒子BT-4を製造した。
(異元素ドープ酸化スズ被覆BaTiO粒子:BT-5~BT-9)
チタン酸ストロンチウム粒子ST-1の代わりに、チタン酸バリウム粒子粉末(共立マテリアル製、平均粒径150nm)を用いた以外は、A-5~A-9と同様にして、Pドープ酸化スズ被覆チタン酸バリウム粒子BT-5、Wドープ酸化スズ被覆チタン酸バリウム粒子BT-6、Nbドープ酸化スズ被覆チタン酸バリウム粒子BT-7、Taドープ酸化スズ被覆チタン酸バリウム粒子BT-8、Fドープ酸化スズ被覆チタン酸バリウム粒子BT-9を得た。
(被覆量を増大させたNbドープ酸化チタン被覆BaTiO粒子:BT-10X、BT-10Y)
製造終了時の平均粒径がそれぞれ、200nm、240nmとなるように被覆条件を変更した以外は、BT-10と同様にして、BT-10X、BT-10Yをそれぞれ製造した。
[電子写真感光体の製造]
<導電層用塗布液の調製例>
(導電層用塗布液1)
ポリオール樹脂としてのブチラール樹脂(商品名:BM-1、積水化学工業製)15部、及び、ブロック化イソシアネート樹脂(商品名:TPA-B80E、80%溶液、旭化成製)15部を、メチルエチルケトン45部/1-ブタノール85部の混合溶剤に溶解させて溶液を得た。この溶液にカーボンブラック被覆チタン酸ストロンチウム粒子A-1を75部加え、これを分散媒体として平均粒径1.0mmのガラスビーズ120部を用いた縦型サンドミルに入れ、25±3℃雰囲気下において回転数1500rpm(周速5.5m/s)の条件で4時間分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュでガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液に、レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:SH28 PAINT ADDITIVE、東レ・ダウコーニング製)0.01部、及び、表面粗さ付与材として架橋型のポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子(商品名:テクポリマーSSX-102、積水化成品工業製、平均一次粒径:2.5μm)3部を添加して攪拌することによって、導電層用塗布液1を調製した。
(導電層用塗布液2~27)
導電層用塗布液の調製の際に用いた粒子の種類を、それぞれ表1に示すようにした以外は、導電層用塗布液1と同様にして、導電層用塗布液2~27を調製した。
(導電層用塗布液28)
結着材料としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ-325、DIC製、樹脂固形分:60%、硬化後の密度:1.3g/cm2)50部を、溶剤としての1-メトキシ-2-プロパノール35部に溶解させて溶液を得た。この溶液にPドープ酸化スズ被覆チタン酸バリウム粒子BT-5を75部加え、これを分散媒体として平均粒径1.0mmのガラスビーズ120部を用いた縦型サンドミルに入れ、分散液温度23±3℃、回転数1500rpm(周速5.5m/s)の条件で4時間分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュでガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液に、レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:SH28 PAINT ADDITIVE、東レ・ダウコーニング製)0.01部、及び、表面粗さ付与材としてシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、平均粒径:2μm、密度:1.3g/cm)10部を添加して攪拌し、PTFE濾紙(商品名:PF060、アドバンテック東洋製)を用いて加圧ろ過することによって、導電層用塗布液28を調製した。
(導電層用塗布液29)
導電層用塗布液の調製の際に用いたPドープ酸化スズ被覆チタン酸バリウム粒子BT-5を、Nbドープ酸化チタン被覆チタン酸ストロンチウム粒子A-10に変更した以外は、導電層用塗布液28と同様にして、導電層用塗布液29を調製した。
(導電層用塗布液32)
導電層用塗布液の調製の際に用いたPドープ酸化スズ被覆チタン酸バリウム粒子BT-5を、Nbドープ酸化チタン被覆BaTiO粒子BT-10に変更した以外は、導電層用塗布液28と同様にして、導電層用塗布液32を調製した。
<電子写真感光体の製造>
(電子写真感光体1)
押し出し工程及び引き抜き工程を含む製造方法により製造された、長さ257mm、直径24mmのアルミニウムシリンダー(JIS-A3003、アルミニウム合金)を支持体とした。
温度23℃/相対湿度50%の環境下で、導電層用塗布液1を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間170℃で乾燥及び熱硬化させることによって、膜厚が20μmの導電層を形成した。導電層の体積抵抗率を前述の方法で測定したところ、5×10Ω・cmであった。
次に、N-メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF-30T、ナガセケムテックス製)4.5部及び共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)1.5部を、メタノール65部/n-ブタノール30部の混合溶剤に溶解させることによって下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を6分間70℃で乾燥させることによって、膜厚が0.85μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX-1、積水化学工業製)5部及びシクロヘキサノン250部を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、分散処理時間:3時間の条件で分散処理を行い、次に、酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(CT-1)で示されるアミン化合物(電荷輸送物質)6.0部、下記式(CT-2)で示されるアミン化合物(電荷輸送物質)2.0部、ビスフェノールZ型のポリカーボネート(商品名:Z400、三菱エンジニアリングプラスチックス製)10部、並びに、下記式(B-1)で示される繰り返し構造単位及び下記式(B-2)で示される繰り返し構造単位を有し、下記式(B-3)で示される末端構造を有するシロキサン変性ポリカーボネート((B-1):(B-2)=95:5(モル比))0.36部を、o-キシレン60部/ジメトキシメタン40部/安息香酸メチル2.7部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間125℃で乾燥させることによって、膜厚が10.0μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0007034760000003
Figure 0007034760000004
Figure 0007034760000005
以上の様にして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体1を製造した。
(電子写真感光体2~27)
電子写真感光体の製造の際に用いた導電層用塗布液を、導電層用塗布液1から、それぞれ導電層用塗布液2~27に変更した以外は、電子写真感光体1の製造と同様の操作で、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体2~27を製造した。
(電子写真感光体28、29、32)
電子写真感光体の製造の際に用いた導電層用塗布液を、導電層用塗布液1から、それぞれ導電層用塗布液28、29、32に変更し、導電層の乾燥温度を170℃から140℃に変更した以外は、電子写真感光体1の製造と同様の操作で、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体28、29、32を製造した。
(電子写真感光体30)
電子写真感光体の製造の際に、導電層上に下引き層を形成しなかった以外は、電子写真感光体17の製造と同様の操作で、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体30を製造した。
(電子写真感光体31)
電子写真感光体の製造の際に、導電層上に下引き層を形成しなかった以外は、電子写真感光体22の製造と同様の操作で、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体31を製造した。
(電子写真感光体C1)
カーボンブラック被覆チタン酸ストロンチウム粒子(A-1)の代わりに、チタン酸ストロンチウム粒子ST-1を用いて導電層用塗布液C1を製造して、感光体とした以外は、電子写真感光体例1の製造と同様にして、電子写真感光体例C1を製造した。
(電子写真感光体C2)
カーボンブラック被覆チタン酸ストロンチウム粒子(A-1)の代わりに、チタン酸ストロンチウム粒子ST-1:66部、とカーボンブラック9部を用いて導電層用塗布液C2を製造して、感光体とした以外は、電子写真感光体例1の製造と同様にして、電子写真感光体例C2を製造した。
(電子写真感光体C3)
カーボンブラック被覆チタン酸ストロンチウム粒子(A-1)の代わりに、Ag被覆酸化アルミニウム粒子(平均粒径100nm)を用いて導電層用塗布液C3を製造して、感光体とした以外は、電子写真感光体例1の製造と同様にして、電子写真感光体例C3を製造した。
[評価]
上記で製造した電子写真感光体1~32を実施例1~32、電子写真感光体C1~C3を比較例1~3とし、以下の評価を行った。
(繰り返し使用時の電位安定性の評価)
上記で製造した電子写真感光体をそれぞれ、キヤノン製のレーザービームプリンターLBP7200Cに装着して、温度23℃/相対湿度50%の環境下にて通紙耐久試験を行った。通紙耐久試験では、印字率2%の文字画像をレター紙に1枚ずつ出力する間欠モードでプリント操作を行い、1,000枚の画像出力を行った。そして、通紙耐久試験開始時並びに1,000枚画像出力終了に、帯電電位(暗部電位)と露光時の電位(明部電位)を測定した。電位測定は、白ベタ画像と黒ベタ画像を各1枚ずつ用いて行った。初期(通紙耐久試験開始時)の暗部電位(Vd)を-500V、初期(通紙耐久試験開始時)の明部電位(Vl)を-150Vとなるように、帯電・露光条件を設定した。1,000枚画像出力終了後の暗部電位をVd’、1,000枚画像出力終了後の明部電位をVl’とした。1,000枚画像出力終了後の暗部電位Vd’と初期の暗部電位Vdとの差である暗部電位変動量△Vd(=|Vd|-|Vd’|)と、1,000枚画像出力終了後の明部電位Vl’と初期の明部電位Vlとの差である明部電位変動量△Vl(=|Vl’|-|Vl|)とをそれぞれ求めた。結果を表1に示す。
(帯電電位の均一性の評価)
上記の通紙耐久試験開始時において、帯電のみを行って露光をしない状態とし(Vd=-500V)、現像バイアスを-400Vとして、シアントナー画像を出力する。そして、この画像を観察し、帯電ローラーの長手方向に対応して生じ得る筋ムラの有無及びその長さを観察することで、帯電電位の均一性を評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:筋ムラがなく、帯電電位の均一性が高かった
B:3mm未満の長さの筋ムラが観察された程度で、帯電電位の均一性は十分であった
C:3mm以上の長さの筋ムラが観察され、帯電電位の均一性が十分でなかった。
Figure 0007034760000006
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (7)

  1. 支持体と、導電層と、感光層と、をこの順に有する電子写真感光体であって、
    該導電層が、結着材料及び粒子を含有し、
    該粒子が、
    一般式(1)で表される芯材と、
    Figure 0007034760000007

    (一般式(1)において、M は、Sr、Li、Na、K及びBaから選択される何れかの元素であり、M は、Ti、Nb、Ta及びZrから選択される何れかの元素である。)
    該芯材を被覆し、かつ、導電性材料を含有する被覆層と、
    を有し、
    該導電性材料が、金属酸化物であり、
    該金属酸化物が、酸化チタンであり、
    該酸化チタンが、ニオブ及びタンタルから選択される何れかの元素でドープされてい
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記芯材が、SrTiO、BaTiO又はNaNbOである請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記芯材が、SrTiO又はBaTiOである請求項に記載の電子写真感光体。
  4. 前記一般式(1)中のMが、Ti及びZrから選択される何れかの元素である請求項1に記載の電子写真感光体。
  5. 前記導電層の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上1.0×1011Ω・cm以下である請求項1~4の何れか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 請求項1~5の何れか1項に記載の電子写真感光体、並びに、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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