JP7031038B2 - 銀粉の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、特許文献1に開示された製造方法では、粗大な銀の二次粒子の発生を完全には防止できないことが判明した。
すなわち、本発明において解決すべき技術課題とは、銀粉の表面処理剤の種類を変更することなく、従来よりも粒度分布が小さくなる銀粉の製造方法、そして、その銀粉をペースト化して電極形成を行った場合に低抵抗となる銀粉の製造方法を提供することである。
以上の知見を基に、本発明者は、以下に述べる本発明を完成させた。
(1)銀イオンを錯化剤によって銀錯体とし、当該銀錯体を還元して銀粉を得る銀粉の製造方法であって、
前記銀イオンを錯化する錯化剤としてアンモニウムイオンを用い、銀-アンミン錯体水溶液を形成する銀錯体化工程と、
前記銀錯体を含む水溶液に還元剤を添加し、当該還元剤により前記の銀錯体を還元して銀粉のスラリーを得る還元工程と、
前記銀粉のスラリーに、レーザー回折式粒度分布測定法により得られる体積基準の累積50%粒子径D50が1.5μm以下の表面処理剤のミセルを含むO/W型のエマルションを添加し、前記の銀粉を表面処理するエマルション添加工程と、
を含む、銀粉の製造方法が提供される。
(2)前記の(1)の製造方法において、エマルションに含まれる表面処理剤のミセルのレーザー回折式粒度分布測定法により得られる体積基準の累積50%粒子径D50は、0.4μm以下であることが好ましい。
(3)前記の(1)または(2)の製造方法において、エマルションに含まれる表面処理剤は、直鎖の炭素数が8以上の脂肪酸であることが好ましい。
(4)前記の(1)~(3)の製造方法において、エマルションに含まれる表面処理剤は、炭素数が12以上の長鎖脂肪酸であることが好ましい。
(5)前記の(1)~(4)の製造方法において、エマルションに含まれる表面処理剤は、パルミチン酸およびステアリン酸の1種または2種であることが好ましい。
(6)前記の(1)~(4)の製造方法において、エマルションに含まれる表面処理剤は、リノール酸またはリノレン酸のいずれかであることが好ましい。
本発明の銀粉の製造方法においては、出発物質として銀(1)イオンを含む水溶液に錯化剤を添加し、銀錯体を形成した水溶液を出発物質として使用する。銀イオンの供給源としては、工業的に用いられている公知の硝酸銀(1)、硫酸銀(1)、炭酸銀(1)、塩化銀(1)、酸化銀(1)等の無機銀塩を用いることができる。
本発明においては特に規定するものではないが、水溶液中の銀イオン濃度は、後述する還元剤添加前の段階で0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。銀イオン濃度が0.1質量%未満であると、1回の反応で製造できる銀粉の量が少なくなってしまうので好ましくない。また、銀イオン濃度が10質量%を超えると、銀粒子析出後の反応液の粘度が上昇し、反応液を均一に撹拌できなくなる恐れがあるので好ましくない。
[錯化剤]
銀イオンの錯化剤としてはアンモニア水、アンモニウム塩等のアンモニウムイオン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の塩等のキレート化合物を用いることができるが、銀イオンと錯体を形成し易く、洗浄が容易で不純物が残存し難いアンモニウムイオンを使用することが好ましい。錯化剤としてアンモニウムイオンを用いると、水溶液中で銀-アンミン錯体が形成される。その場合、アンミン錯体の配位数は2であるため、銀イオン1モル当たりアンモニウムイオンを2モル以上添加する。
本発明の銀粉の製造方法においては、銀錯体を還元して金属状態の銀を析出させるために、公知の還元剤を使用することができる。還元剤としては、ホルマリン、アスコルビン酸、ヒドラジン、アルカノールアミン、ヒドロキノン、シュウ酸、ギ酸、アルデヒド、アルコール、糖類等の有機物や金属の低級酸化物、水素化ほう素ナトリウム等が挙げられるが、反応性が有る程度安定しており、かつ銀を速やかに還元できるアスコルビン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、炭酸ヒドラジンのうち1種以上を使用することが好ましく、中でもホルムアルデヒド、ヒドラジンまたは炭酸ヒドラジンを使用することが好ましい。
還元剤の添加量は、銀の収率を高めるために、銀に対して1当量以上であるのが好ましく、還元力が弱い還元剤を使用する場合には、銀に対して2当量以上、例えば、10~20当量でもよい。
還元剤の添加方法としては、還元析出した銀粉の凝集を防ぐために、銀イオン量に対して還元剤1当量/min以上の速さで添加するのが好ましい。また、還元の際には、還元剤の添加前から還元析出工程の終了まで、銀-アンミン錯体水溶液および銀粒子析出後の反応液を撹拌することが好ましい。また、還元剤を添加し、銀粒子を還元析出させる際の温度は、5℃以上80℃以下であるのが好ましく、5℃以上40℃以下であることがより好ましい。
本発明の銀粉の製造方法において前記の還元剤を用いると、レーザー回折法による体積基準の累積50%粒子径D50が0.3μm以上5μm以下の銀粉が得られる。当該銀粉は、本発明のエマルションを使用しない場合に比べて、レーザー回折法による体積基準の累積10%粒子径をD10、体積基準の累積90%粒子径をD90とした時の(D90-D10)/D50比、すなわち、粒子径分布の幅が狭くなり、粒度分布が小さくなる。
本発明の銀粉の製造方法においては、還元析出した銀粉の分散性を向上させるために、当該銀粉を表面処理剤で処理する。当該表面処理剤としては、疎水性の分散剤が好ましく、脂肪酸もしくはその塩を用いることができる。脂肪酸もしくはその塩を用いることで、銀への表面処理剤の吸着と銀粒子同士の分散性を両立することできる。脂肪酸の例(括弧内は炭素数)として、プロピオン酸(3)、カプリル酸(8)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、ベヘン酸(22)、アクリル酸(3)、オレイン酸(18)、リノール酸(18)、リノレン酸(18)、アラキドン酸(20)などを挙げることができるが、本発明においては、直鎖の炭素数が8以上の脂肪酸を用いることが好ましく、炭素数が12以上の長鎖脂肪酸を用いることがさらに好ましく、炭素数が16以上の長鎖脂肪酸を用いることがさらに好ましく、炭素数は20以下であることがより好ましい。表面処理剤としては、パルミチン酸(融点:62.9℃)およびステアリン酸(融点:69.6℃)の1種または2種を用いることが特に好ましい。また、リノール酸、リノレン酸はペースト化した際の粘度を低下させる面で特に好ましい。
炭素数8未満は水溶性があるためエマルション化する必要性が少なく、また、銀への表面処理剤の吸着が弱いためである。炭素数12以上とすることで銀粉に必要とされる分散性を得ることが容易なためである。パルミチン酸およびステアリン酸は入手が容易である。炭素数が20を超えると、ペースト化する際の粘度などの調整が難しくなるためである。なお、市販される上記に例示した脂肪酸は他の脂肪酸を含んでいてよい。例えばステアリン酸の試薬はステアリン酸が100wt%ではなく製造過程で分離が困難な他の脂肪酸も含まれているのが通常である。そのため、エマルション化に用いる上記の脂肪酸は、GC-MS分析で50wt%以上の主成分として当該脂肪酸を含むもの(純度50%以上ともいう)であれば良く、主成分以外に他の脂肪酸が含まれていても良いものとする。
表面処理剤として用いる前記の脂肪酸の多くは室温で固体であり、また水に難溶性でもあるので、予めエマルション化し液体状態にした状態で還元析出した銀粉のスラリーに添加し、銀粒子の表面に表面処理剤を付着させる。なお、エマルション化の際には、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤としては、花王(株)のレオドールTW-P120、エマルゲン350、エマルゲン120等が挙げられる。エマルション化において、脂肪酸はミセルを形成し微細な液滴として水溶液中に分散する。
エマルション中の脂肪酸の濃度は0.1質量%以上50質量%未満であることが好ましい。そして、銀粉の製造時において水溶液中に添加する際と同じように希釈した状態のエマルション中の脂肪酸の濃度としては0.1質量%以上5質量%とすることが好ましく、1質量%以上5質量%以下とすることがより好ましい。
本発明の銀粉の製造方法は、予め調製したエマルション中に含まれる脂肪酸と界面活性剤を含むミセルの体積基準の累積50%粒径D50を、1.5μm以下にすることを特徴とする。累積50%粒径D50は1.0μm以下であることが好ましく、累積50%粒径D50は0.7μm以下であることがより好ましく、粗大粒子を低減する効果を大きくするには0.4μm以下であることがさらに好ましい。本発明においては、ミセルの累積50%粒径D50の下限は特に規定するものではないが、例えば1nm以上である。なお、ミセルの累積50%粒径D50の測定方法については後述する。
特許文献1に記載の市販のステアリン酸エマルションに含まれるミセルの体積基準の累積50%粒径D50を測定したところ、4.0μmであった。本発明の銀粉の製造方法において、ミセルの粒径が従来よりも小さくすることにより、銀粉を含むスラリー中に表面処理剤を含むエマルションを添加した際に、エマルションがスラリー中に分散するスピードが速くなり、スラリー中の銀粒子表面に表面処理剤を均一に付着させることが可能となり、銀粒子同士の凝集を抑制する能力が向上する。そのため、ミセルの累積50%粒径D50を1.5μm以下にすることで、レーザー回折法による体積基準の累積10%粒子径をD10、体積基準の累積90%粒子径をD90とした時の(D90-D10)/D50比により数値化される粒子径分布の幅が狭くなり、粒度分布を小さくして従来よりも粒度を揃えることが可能となると考えられる。また、当該銀粉を導電性ペーストとした場合でも、銀粒子の表面に従来の大きいサイズの表面処理剤が付着している場合と比較し、小さいサイズの表面処理剤が付着している方が、導電性ペーストに使用される溶剤や樹脂や添加剤等との馴染みが良くなり、結果として、導電性ペーストを用いた電極の低抵抗化につながるものと考えられる。
前記のエマルションの調製方法としては、具体的には以下の3つの方法が挙げられる。
(1)表面処理剤のミセルの体積基準の累積50%粒径D50が2μm以上の市販のエマルション(元エマルション:中京油脂株式会社製のセロゾール920がこの条件を満たす)を出発原料とし、当該エマルションに含まれる表面処理剤の融点以上、かつ、界面活性剤が表面処理剤と分離する温度以上の温度に加熱し、公知の撹拌手段により撹拌し、表面処理剤のミセルの体積基準の累積50%粒径D50が1μm以下になった後に冷却する。その場合、撹拌手段としてはホモジナイザーを用いることが好ましい。
(2)表面処理剤のミセルの体積基準の累積50%粒径D50が2μm以上の市販のエマルション(元エマルション)を出発原料とし、当該エマルションに含まれる表面処理剤の融点未満、かつ、界面活性剤が表面処理剤と分離する温度で1min以上保持し、液中において表面処理剤の固体が生成したこと確認した後に、表面処理剤の融点以上に加熱し、公知の撹拌手段により撹拌して表面処理剤のミセルの体積基準の累積50%粒径D50が1μm以下になった後に冷却する。その場合、撹拌手段としてはホモジナイザーを用いることが好ましい。
なお、(2)に記載の調製方法の方が、ミセル粒径のより小さいエマルションを得ることができる。
(3)上記の表面処理剤である脂肪酸に、界面活性剤を添加し、それぞれの融点以上の温度で融解し、その後凝固しないように沸騰水を添加し、公知の撹拌手段により撹拌して表面処理剤のミセルの体積基準の累積50%粒径D50が1μm以下になった後に冷却する。その場合、撹拌手段としてはホモジナイザーを用いることが好ましい。
脂肪酸などの表面処理剤をエマルション化する場合、脂肪酸と界面活性剤を結合させてミセルを形成する。表面処理剤と結合してミセルを形成している非イオン系界面活性剤が、その表面処理剤と分離する温度を曇点と呼ぶ。ここで非イオン系界面活性剤が表面処理剤と分離する温度とは、エマルションの温度を上げていった際に、非イオン系界面活性剤との結合が切れた表面処理剤が確認され始める温度(下記の実施例2では脂肪酸の固体が見え始めたときの温度)である。前述の界面活性剤の場合、曇点はおよそ30~80℃であり、下記の実施例におけるセロゾールの曇点は60℃である。
ホモジナイザーは市販のものを使用することができる。シャフトの先端が固定外刃と回転内刃からなる構造を有し、内刃と外刃の窓の間で起こる超音波、高周波などの効果により微砕、均一化ができるものが好ましく、例えば日本精機製作所製のバイオミキサー(型式:BM-4)などを使用できる。
上記のホモジナイザーを用いた撹拌の条件は処理するエマルションの量にもよるが、例えばエマルション液量50mLに対するホモジナイザーの内刃の回転数は、7,000rpm以上とすることが好ましく、10,000rpm以上とすることがより好ましい。また、ホモジナイザーを用いた撹拌時間は、10sec以上が好ましく、1min以上とすることがより好ましい。液量に対する撹拌量(回転数×時間)が少なければ、その分、ミセル粒径が低減しにくくなるためである。
また、上記の冷却方法としては通常の冷却方法で良く、例えば室温での放冷や、温浴の温度調整機能を用いた徐冷または水冷を行って、室温または後述する銀粉の製造方法における銀粒子を含むスラリーの液温にまで冷却すればよい。
エマルションに含まれる表面処理剤のミセルの粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば日機装株式会社製のマイクロトラックMT3300EXII)を用いて測定する。分散媒は純水とし、体積基準の粒度分布測定を行う。前記の装置において自動算出される体積基準の累積10%粒径(D10)、累積50%粒径(D50)、累積90%粒径(D90)、および累積95%粒径(D95)、最大粒径(Dmax)を使用する。粒度分布の急峻さは、(D90-D10)/D50比で評価する。
粒度分布の測定においては、エマルションを、後述の銀粉の製造時において水溶液中に添加する際と同じ希釈倍率(例えば10倍)に純水希釈したものを測定することが好ましい。
本発明の銀粉の製造方法の実施形態においては、銀イオンを含む水溶液にアンモニウムイオンを添加して銀-アンミン錯体を形成し(銀錯体化工程)、得られた銀-アンミン錯体水溶液に還元剤を添加して、銀粒子を還元析出させる(還元工程)。還元剤により銀粒子を還元析出させた後、銀粒子を含むスラリー中に、表面処理剤のミセルの体積基準の累積50%粒径D50が1.5μm以下であるエマルションを添加して、銀粒子の表面に表面処理剤を付着させる(エマルション添加工程)。
添加するエマルションに含まれる脂肪酸の量は、銀-アンミン錯体水溶液中の銀の量に対して0.1質量%以上1.2質量%以下であることが好ましい。脂肪酸の量が銀の量に対して0.1質量%未満である場合には、粗大な銀粒子の発生頻度が高くなることがある。また、脂肪酸の量が銀の量に対して1.2質量%を超える場合にも、銀の粗大粒子の発生頻度が高くなることがある。より好ましくは、添加するエマルションに含まれる脂肪酸の量は、銀-アンミン錯体水溶液中の銀の量に対して0.1質量%以上1.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以下である
還元剤としては、銀粒子を還元析出させる還元剤であればよく、前述のように、アルコルビン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、炭酸ヒドラジンのうち1種以上を使用することができ、ホルムアルデヒド、ヒドラジンまたは炭酸ヒドラジンを使用するのが好ましい。
洗浄後に得られた塊状のケーキは、多くの水分を含有しているため、真空乾燥機などの乾燥機によって、乾燥した銀粉を得ることが好ましい。その際、乾燥の時点で銀粒子同士が焼結することを防止するために、乾燥温度は100℃以下であることが好ましい。また、得られた銀粉に乾式解砕処理や分級処理を施してもよい。
銀粉の粒度分布は、協立理工株式会社製のサンプルミルSK-M10を用いて解砕を行った後、銀粉0.1gをイソプロピルアルコール(IPA)中に分散させ、日本精機製作所製の超音波ホモジナイザー(型式:US-150T)で2分間撹拌を行った後、レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社製のマイクロトラックMT3300EXII)を用いて測定した。
銀ペーストは、後述する実施例および比較例で得られた銀粉86.2質量%、エポキシ樹脂(ADEKA製EP4901E)8.0質量%、硬化剤(味の素ファインテクノ株式会社製アミキュアMY-24)1.6質量%、溶剤(BCA:ブチルカルビトールアセテート)4.2質量%を、プロペラレス自公転式撹拌脱泡装置(株式会社シンキ―製のAR250)を用いて1,400rpmで30秒撹拌し混合した後、3本ロール(EXAKT社製の80S)を用いて、ロールギャップを100μm~20μmまで通過させて混錬し、導電性ペーストを得た。
上記の手順で得られた導電性ペーストについて、スクリーン印刷機(マイクロテック社製MT-320T)を用いて、スキージ圧0.18MPaの条件で、幅500μm、長さ37.5mmのラインパターンを印刷して導電性ペーストの膜を形成した。得られた膜を、大気循環式乾燥機を用い、200℃で40分間加熱硬化し、導電膜を形成した。得られた各導電膜について、表面粗さ計(東京精密株式会社製サーフコム480B-12)を用いて、アルミナ基板上で膜を印刷していない部分と導電膜の部分との段差を測定することにより、導電膜の平均厚みを測定した。一方、デジタルマルチメーター(ADVANTEST社製R6551)を用いて、各導電膜の抵抗値を測定した。導電膜のサイズ(膜厚、幅、長さ)より、導電膜の体積を求め、この体積と測定した抵抗値から、体積抵抗率を求めた。
また、スクリーン印刷を施した基板を樹脂に包埋し、株式会社日立ハイテクノロジーズ製イオンミリング装置ArBlade5000を用いて研磨により断面を出し、導電膜の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。
市販のエマルションの一例であるステアリン酸エマルション(中京油脂株式会社製のセロゾール920、水を82%含有)の5gに純水を添加し、後述の銀粉製造時の希釈倍率に合わせて全液量を50mLとした後(10倍希釈)、日機装株式会社製のマイクロトラックMT3300EXIIを用いてエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行った。その粒度分布の測定結果を図1に示す。
10倍希釈したエマルション中に含まれるミセルの体積基準の累積10%粒径D10は0.8μm、累積50%粒径D50は4.0μm、累積90%粒径D90は9.8μmであった。それらの測定結果を表1に示す。
銀を54g含有する硝酸銀水溶液3,327gに、濃度28質量%の工業用アンモニア水162g(銀1モルに対しアンモニア5.3モル当量に相当する)を加えて、銀-アンミン錯体水溶液を得た。この銀-アンミン錯体水溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液6.0gを加え、液温を28℃に調整した後に、当該銀-アンミン錯体水溶液を撹拌しながら、ホルマリン水溶液(ホルムアルデヒド37質量%、メタノール8質量%含有)250gに純水108gを添加した水溶液を加え、銀-アンミン錯体を還元することにより、銀粒子を含むスラリーを得た。さらに、当該銀粒子を含むスラリーに上記のステアリン酸エマルションを10倍希釈したものを6.14g添加した後、撹拌を停止して表面処理を施した銀粒子を沈降させた。その銀粒子が沈殿した液をろ過し、通水後の液の電気電導度が0.2mS/m以下になるまで水洗し、73℃で真空乾燥させて、比較例1に係る銀粉を得た。得られた銀粉について、粒度分布の測定を行った。測定結果を表2に示す。
上記の市販のステアリン酸エマルション5gを100mLビーカーに分取し、ホットプレート上で90℃に加温した後に沸騰水を加え、全液量を50mLとした。その後、株式会社日本精機製作所製のホモジナイザー(バイオミキサーBM-4、シャフト先端の直径32mm)を用い、10,000rpmで1.5分間撹拌を行い、6時間放冷して室温まで冷却して実施例1のエマルションを得た。なお、加温した温度は、ステアリン酸(融点:69.6℃)とパルミチン酸(融点:62.9℃)の融点以上であり、かつ、曇点である60℃以上である。得られたエマルションは、ステアリン酸エマルション5gに対して全液量を50mLとなるように沸騰水を加えており10倍に希釈されている。
得られたエマルションについて、日機装株式会社製のマイクロトラックMT3300EXIIを用いてエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行った。その粒度分布の測定結果を図1に併せて示す。
エマルション中に含まれるミセルの体積基準の累積10%粒径D10は0.35μm、累積50%粒径D50は0.62μm、累積90%粒径D90は2.3μmであった。なお、ピークトップは0.5μmであった。それらの測定結果を表1に併せて示す。上記のエマルションの調整方法を用いることにより、市販のステアリン酸エマルションに含まれるミセルを微細化することができた。
前記の微細化したエマルションから6.14gを分取して銀粉が分散したスラリーに添加することを除き、比較例1と同様の手順により表面処理を施した実施例1に係る銀粉を得た。得られた銀粉について、粒度分布の測定を行った。測定結果を表2に併せて示す。
表2の結果より、比較例1の銀粉に対して、粒径の小さいエマルションを添加して得られた実施例1および後述する実施例2の銀粉は、(D90-D10)/D50の値が小さく、かつ、ピークが急峻であることが分かった。
上記の市販のステアリン酸エマルション5gを100mLビーカーに分取し、湯浴(恒温水槽)に入れて62.8℃に加温したところ、徐々に白色固体の発生が確認された。これは、セロゾールに含まれる乳化剤の曇点が60℃であるためである。上記の市販のステアリン酸エマルションに含まれる表面処理剤は脂肪酸のステアリン酸(融点:69.6℃)とパルミチン酸(融点:62.9℃)であり、それら脂肪酸の融点未満の温度で加温しているため、それら脂肪酸と界面活性剤との結合が切断され、白色固体が凝固したものであり、白色懸濁液はミセル形成時に脂肪酸の表面を覆っていた界面活性剤と、脂肪酸の固体と溶媒の水を含む懸濁液であると考えられる。加温から2分間で白色懸濁液の中での白色固体の生成がそれ以上起きない状態となったので、その状態で5分間保持した。
その後、ヒーター上にて95℃に加温し、白色固体となったステアリン酸とパルミチン酸とを融解させて油滴にした。白色懸濁液に前記の脂肪酸の油滴が浮いた状態のところに、ピペットを用いて沸騰水を10mL添加し、続いて全液量が50mLとなるまで沸騰水を添加した。その後、ビーカーを80℃の湯浴(恒温水槽)に移し、前記のホモジナイザーを用いて10,000rpmで1.5分間の撹拌を行った後に湯浴から取り出して6時間放冷し、室温まで冷却して実施例2のエマルションを得た。得られたエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行った結果を、図2に示す。なお、図2には比較のため、比較例1の測定結果を併せて示してある。
実施例2に係るミセルの体積基準の累積10%粒径D10は0.1μm、体積基準の累積50%粒径D50は0.2μm、累積90%粒径D90は0.5μmであり、実施例1のそれらよりもさらに微細化したエマルションが得られた。それらの測定結果を表1に示す。当該エマルションについて、調製より2週間後に粒度分布を測定したが、粒度分布はほとんど変化していなかった。
上記の手順で得られたエマルションから6.14gを分取して用いた以外は、実施例1と同様の手順により、実施例2に係る銀粉を得た。得られた銀粉について、粒度分布の測定を行った。測定結果を表2に併せて示す。
上記の市販のステアリン酸エマルション5gを100mLビーカーに分取し、純水を全液が50mLとなるまで添加し、室温で、前記ホモジナイザーを用いて10,000rpmで1.5分間の撹拌を行い、比較例2のエマルションを得た。得られたエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行った結果を図3に示す。なお、図3には比較のため、比較例1の測定結果を併せて示してある。
得られたエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行ったところ、ミセルの体積基準の累積10%粒径D10は0.4μm、体積基準の累積50%粒径D50は1.8μmで、累積90%粒径D90は10.5μmであった。
比較例1の粒度分布と比較すると、比較例2のD50は半減したものの、D90が大きくなっており、比較例2のように加温せずに撹拌すると、ミセルの分散と凝集の両方が起こることが分かった。それらの測定結果を表1に示す。
銀を41g含有する硝酸銀水溶液3100gに、濃度28質量%の工業用アンモニア水125g(銀1モルに対しアンモニア5.4モル当量に相当する)を加えて、銀-アンミン錯体水溶液を得た。この銀-アンミン錯体水溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.28gを加え、液温を25℃に調整した後に、撹拌しながら濃度80質量%の含水ヒドラジン10を純水101gで希釈した水溶液加え、銀粒子を含むスラリーを得た。さらに、得られた銀粒子を含むスラリーに対し、上記の実施例2で得られたエマルションから12.7gを分取して加えて撹拌した。その後、撹拌を止めて銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液をろ過し、通水後の液の電気電導度が0.2mS/m以下になるまで水洗し、73℃で真空乾燥させて、実施例3の銀粉を得た。
上記の市販のステアリン酸エマルション1.27gを10倍希釈した12.7gを用いた以外は実施例3と同じ手順で、比較例3に係る銀粉を得た。
表面処理剤であるステアリン酸(富士フイルム和光純薬製、純度95%)0.775gと界面活性剤(花王製エマルゲン350)0.075gを100mLビーカーに分取し、80℃程度に加熱し界面活性剤とステアリン酸を融解する。そこに沸騰水を全液が50mLまで添加し、前記のホモジナイザーを用いて10,000rpmで1.5分間の撹拌を行い実施例4のエマルションを得た。得られたエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行った結果を図4に示す。なお、図4には比較のため、比較例1の測定結果も併せて示してある。
このエマルションのミセルの体積基準の累積10%粒径D10は0.2μm、体積基準の累積50%粒径D50は0.5μm、累積90%粒径D90は17.6μmであり、市販のステアリン酸エマルションよりもミセルの累積50%粒径D50の小さいエマルションを得ることができた。それらの測定結果を表1に示す。
上記の実施例4のエマルションから12.7gを分取して用いた以外は、実施例3と同様にして、実施例4の銀粉を得た。
実施例3、実施例4で得られた銀粉を用いた場合の導電膜の体積抵抗率は56.2μΩ・cm、66.0μΩ・cmであり、比較例3で得られた銀粉を用いた導電膜の体積抵抗率74.0μΩ・cmよりも小さい値になった。
導電膜の断面をSEM観察したところ、実施例3により得られた銀粉を用いた導電膜に含まれる銀粒子は、比較例3のそれと比べて密に充填されていることが分かった。その理由として、エマルションの粒径を小さくすることは、単に粒度分布を急峻にするだけではなく、銀粒子の表面に付着する表面処理剤の偏在を抑制している可能性があることが推定される。
表面処理剤であるリノレン酸(富士フイルム和光純薬製、純度60%)1.75gと界面活性剤(花王製エマルゲン350)0.025gを100mLビーカーに分取し、80℃程度に加熱し界面活性剤を融解する。そこに沸騰水を全液が50mLまで添加し、前記のホモジナイザーを用いて10,000rpmで1.5分間の撹拌を行い実施例5のエマルションを得た。
このエマルションのミセルの体積基準の累積10%粒径D10は0.57μm、体積基準の累積50%粒径D50は1.34μm、累積90%粒径D90は2.93μmであり、ミセルの粒径の小さいエマルションを得ることができた。
銀を52g含有する硝酸銀水溶液3454gに、濃度28質量%の工業用アンモニア水157g(銀1モルに対してアンモニア5.4モル当量に相当する)を加えて、銀-アンミン錯体水溶液を得た。この銀-アンミン錯体水溶液に、濃度20質量%の水酸化ナトリウム水溶液9.6gを加え、液温を25℃に調整した後に、撹拌しながら濃度80質量%の含水ヒドラジン13gを純水128gで希釈した水溶液を加え、銀粒子を含むスラリーを得た。得られた銀粒子を含むスラリーに対し、上記のリノレン酸エマルション5.9gを分取して加えて撹拌した。その後撹拌を止めて銀粒子を沈降させ、この銀粒子が沈殿した液を濾過し、通水後の液の電気伝導度が0.2mS/m以下になるまで水洗し、73℃で真空乾燥させて、実施例5の銀粉を得た。得られた銀粉について、粒度分布の測定を行った。測定結果を表2に示す。
実施例5のリノレン酸エマルションに替えて、表面処理剤であるリノレン酸0.21gを、エタノール5.72gに溶解したものを5.9g添加した以外は、実施例5と同様にして、比較例4の銀粉を得た。リノレン酸は溶解しており、ミセルは測定できなかった。得られた銀粉について、粒度分布の測定を行った。測定結果を表2に併せて示す。
表面処理剤であるミリスチン酸(富士フイルム和光純薬製、和光特級)0.75gと界面活性剤(花王製、エマルゲン350)0.075gを100mLビーカーに分取し、80℃程度に加熱し界面活性剤を融解する。そこに沸騰水を全液が50mLまで添加し、日本精機製作所製のバイオミキサー(型式:BM-4)を用いて10,000rpmで3分間の撹拌を行い、ミセルのD50が1.03μmのミリスチン酸エマルションを得た。得られたエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行った結果を図5に示す。なお、図5には比較のため、比較例5の測定結果も併せて示してある。
上記エマルション14.9gを用いた以外は実施例3と同じ手順で、実施例6に係る銀粉を得た。得られた銀粉について、粒度分布の測定を行った。測定結果を表3に示す。
バイオミキサーの撹拌条件を3,000rpmで1.5分間とし、ミセルのD50が8.30μmのミリスチン酸エマルションを得た以外は、実施例6と同様にして比較例5の銀粉を得た。
表面処理剤であるラウリン酸(富士フイルム和光純薬製、和光一級)1gと界面活性剤(花王製、エマルゲン350)0.5gを100mLビーカーに分取し、80℃程度に加熱し界面活性剤を融解する。そこに沸騰水を全液が50mLまで添加し、日本精機製作所製のバイオミキサー(型式:BM-4)を用いて10,000rpmで1.5分間の撹拌を行い、ミセルのD50が0.27μmのラウリン酸エマルションを得た。得られたエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行った結果を図6に示す。なお、図6には比較のため、比較例6の測定結果も併せて示してある。
上記エマルション9.8gを用いた以外は、実施例3と同じ手順で、実施例7の銀粉を得た。得られた銀粉について、粒度分布の測定を行った。測定結果を表3に示す。
バイオミキサーの撹拌条件を3,000rpmで1.5分間とし、ミセルのD50が3.96μmのラウリン酸エマルションを得た以外は、実施例7と同様にして比較例6の銀粉を得た。
表面処理剤であるオレイン酸(日油株式会社製、NAA-34)1.75gと界面活性剤(花王製、エマルゲン350)0.525gを100mLビーカーに分取し、80℃程度に加熱し界面活性剤を融解する。そこに沸騰水を全液が50mLまで添加し、日本精機製作所製のバイオミキサー(型式:BM-4)を用いて10,000rpmで1.5分間の撹拌を行い、ミセルのD50が0.15μmのオレイン酸エマルションを得た。得られたエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行った結果を図7に示す。なお、図7には比較のため、比較例7の測定結果も併せて示してある。
上記エマルション5.6gを用いた以外は、実施例3と同じ手順で、実施例8の銀粉を得た。得られた銀粉について、粒度分布の測定を行った。測定結果を表3に示す。
バイオミキサーの撹拌条件を3,000rpmで1.5分間とし、ミセルのD50が4.05μmのオレイン酸エマルションを得た以外は、実施例8と同様にして比較例7の銀粉を得た。
表面処理剤であるリノール酸(アルドリッチ社製、純度58-74%)1.75gと界面活性剤(花王製、エマルゲン350)0.525gを100mLビーカーに分取し、80℃程度に加熱し界面活性剤を融解する。そこに沸騰水を全液が50mLまで添加し、日本精機製作所製のバイオミキサー(型式:BM-4)を用いて10,000rpmで1.5分間の撹拌を行い、ミセルのD50が0.15μmのリノール酸エマルションを得た。得られたエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行った結果を図8に示す。なお、図8には比較のため、比較例8の測定結果も併せて示してある。
上記エマルション5.6gを用いた以外は、実施例3と同じ手順で、実施例9の銀粉を得た。得られた銀粉について、粒度分布の測定を行った。測定結果を表3に示す。
バイオミキサーの撹拌条件を3,000rpmで1.5分間とし、ミセルのD50が3.13μmのリノール酸エマルションを得た以外は、実施例9と同様にして比較例8の銀粉を得た。
表面処理剤であるリノレン酸(富士フイルム和光純薬製、純度60%)1.75gと界面活性剤(花王製エマルゲン350)0.025gを100mLビーカーに分取し、80℃程度に加熱し界面活性剤を融解する。そこに沸騰水を全液が50mLまで添加し、MICROFLUIDICS社製の高圧ホモジナイザー(LV1型、10mLシリンジ、バッチ式)を用いて138MPaで1パスし、ミセルのD50が0.57μmのリノレン酸エマルションを得た。得られたエマルションに含まれるミセルの粒度分布測定を行った結果を図9に示す。なお、図9には比較のため、比較例9の測定結果も併せて示してある。
上記エマルション5.6gを用いた以外は、実施例3と同じ手順で、実施例10の銀粉を得た。得られた銀粉について、粒度分布の測定を行った。測定結果を表3に示す。
表面処理剤であるリノレン酸(富士フイルム和光純薬製、純度60%)1.75gと界面活性剤(花王製エマルゲン350)0.025gを100mLビーカーに分取し、80℃程度に加熱し界面活性剤を融解する。そこに沸騰水を全液が50mLまで添加し、日本精機製作所製のバイオミキサー(型式:BM-4)を用いて10,000rpmで1.5分間の撹拌を行い、ミセルのD50が4.27μmのリノレン酸エマルションを得た。
上記エマルションを用いた以外は、実施例10と同様にして比較例9の銀紛を得た。
Claims (6)
- 銀イオンを錯化剤によって銀錯体とし、当該銀錯体を還元して銀粉を得る銀粉の製造方法であって、
前記銀イオンを錯化する錯化剤としてアンモニウムイオンを用い、銀-アンミン錯体水溶液を形成する銀錯体化工程と、
前記銀錯体を含む水溶液に還元剤を添加し、当該還元剤により前記の銀錯体を還元して銀粉のスラリーを得る還元工程と、
前記銀粉のスラリーに、レーザー回折式粒度分布測定法により得られる体積基準の累積50%粒子径D50が1.5μm以下の表面処理剤のミセルを含むO/W型のエマルションを添加し、前記の銀粉を表面処理するエマルション添加工程と、
を含む、銀粉の製造方法。 - 前記のエマルションに含まれる表面処理剤のミセルのレーザー回折式粒度分布測定法により得られる体積基準の累積50%粒子径D50が0.4μm以下である、請求項1に記載の銀粉の製造方法。
- 前記のエマルションに含まれる表面処理剤は、直鎖の炭素数が8以上の脂肪酸である、請求項1または2に記載の銀粉の製造方法。
- 前記のエマルションに含まれる表面処理剤は、炭素数が12以上の長鎖脂肪酸である、請求項3に記載の銀粉の製造方法。
- 前記のエマルションに含まれる表面処理剤は、パルミチン酸およびステアリン酸の1種または2種である、請求項4に記載の銀粉の製造方法。
- 前記のエマルションに含まれる表面処理剤は、リノール酸またはリノレン酸のいずれかである、請求項4に記載の銀粉の製造方法。
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