JP7008004B2 - 無機酸化物中空粒子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、無機酸化物中空粒子及びその製造方法に関する。
無機酸化物中空粒子は、断熱性材料、遮熱性材料、触媒担体、建築材料等の分野で使用されている。このような中空粒子は、例えば、被噴霧溶液を圧縮空気と同時にノズルと呼ばれる噴霧装置の先端から炉内に噴霧された液滴(ミスト)に熱を加え、熱分解することにより製造することができる。
無機酸化物の中空粒子の中には、粒子径が小さく、粒子表面(殻)に孔がなく、内部の中空割合が大きく軽量なものが報告されている。これらの中空粒子は、熱伝導率が小さく、熱安定性にも優れているため、断熱材料用フィラー、遮熱材料用フィラー等として有用であることが知られている(特許文献1~3)。また、中空粒子の粒度分布として2つ以上のピーク山を有する多峰性の粒度分布を有することにより、塗膜の平滑性及び密着性を改善した中空粒子も報告されている(特許文献4)。
特開2015-218071号公報 特開2016-23095号公報 特開2016-121026号公報 特開2017-31235号公報
しかしながら、特許文献1~3に記載される中空粒子は、粒度分布においてピークが1つであり、最密充填性が低いため、断熱、遮熱の効果が必ずしも十分でなく、更なる性能の向上が求められている。
一方、特許文献4に記載される中空粒子は、2つ以上のピークを有する多峰性の粒度分布を有する中空粒子であり、最密充填性が高く、断熱、遮熱等の効果の向上を期待できる。しかしながら、この中空粒子は、2つのピークが大径粒子と小径粒子とから構成されるため、樹脂等に混合後、気泡の除去等を行うために振動を加えたり、移送中に振動が加わると、粒度の相違に起因して分離が起こりやすい。特に、このような分離が樹脂等と混合した後に起こると、樹脂中で中空粒子の分散が不均一になり、断熱、遮熱の効果の低下だけでなく、凹凸等により表面性状の悪化も避けられない。
本発明の課題は、粒度の相違による分離が起こり難く、最密充填性に優れる無機酸化物中空粒子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、無機酸化物中空粒子の粒度分布に着目し種々検討した結果、上記課題を解決するうえで、少なくとも二つの山を持つ多峰性の粒度分布を有すること、その粒度分布の形状が略台形であることが有効であるとの知見を得た。そして、2つ以上のピークを有する粒度分布を有する無機酸化物中空粒子において、最小ピークの強度と、ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度とが、最大ピークの強度に対して一定の関係を満たすときに、粒度の相違による分離が起こり難く、最密充填性に優れる無機酸化物中空粒子が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔5〕を提供するものである。
〔1〕粒度分布において2つ以上のピークを有する無機酸化物中空粒子であって、
最小ピークの強度が、最大ピークの強度を100としたときに50以上100未満であり、かつ
ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度が、最大ピークの強度を100としたときに30以上99以下である、
無機酸化物中空粒子。
〔2〕最大ピーク強度を与える粒子の粒子径が0.1~100μmである、〔1〕記載の無機酸化物中空粒子。
〔3〕最小ピーク強度を与える粒子の粒子径が0.1~100μmである、〔1〕又は〔2〕記載の無機酸化物中空粒子。
〔4〕ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度を与える粒子の粒子径が0.1~100μmである、〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の無機酸化物中空粒子。
〔5〕噴霧熱分解装置内に2以上のノズルを装着し、各ノズルから平均粒子径の異なるミストを噴霧する工程を含む、無機酸化物中空粒子の製造方法。
本発明の無機酸化物中空粒子は、粒度の相違による分離が起こり難く、最密充填性に優れるため、例えば、振動を与えて樹脂に細密充填を行うケースにおいても、極めて充填性や均質性の高い樹脂製品の製作が可能となる。また、本発明の製造方法によれば、このような特性を有する無機酸化物中空粒子を簡便に製造することができる。
実施例1で得られた無機酸化物中空粒子の粒度分布を示す図である。 実施例2で得られた無機酸化物中空粒子の粒度分布を示す図である。 実施例3で得られた無機酸化物中空粒子の粒度分布を示す図である。
〔無機酸化物中空粒子〕
本発明の無機酸化物中空粒子は、粒度分布において2つ以上のピークを有しており、最小ピークの強度が、最大ピークの強度を100としたときに50以上100未満であり、かつピーク間の谷間の強度のうちの最小強度が、最大ピークの強度を100としたときに30以上99以下であるという特徴を有するものである。
ここで、本明細書において「粒度分布」とは、JIS R 1629「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に準拠して測定される、体積基準の粒度分布をいう。そして、粒度分布は、横軸を粒子径(μm)、縦軸を体積基準の頻度(%)とする分布曲線により表される。なお、レーザ回折・散乱法による粒子径分布測定装置として、例えば、マイクロトラック(日機装株式会社製)を使用することができる。
本発明の中空粒子は、無機酸化物中空粒子であれば特に限定されないが、例えば、アルミノシリケート中空粒子、アルミナ中空粒子、シリカ中空粒子、ムライト中空粒子、フライアッシュバルーン等が挙げられ、中でも、アルミノシリケート中空粒子が好ましい。
本発明の中空粒子は、粒度分布において2つ以上のピークを有するが、そのピークの数は2~5個が好ましく、2~4個がより好ましく、2又は3個が更に好ましい。2つのピークを有する粒度分布の例を図1に示し、3つのピークを有する粒度分布の例を図2、3に示す。ピークが1つ粒度分布を有する中空粒子は、最密充填性が低いため、断熱、遮熱の効果が不十分となる。
これらの複数のピークのうち最小ピークの強度は、最大ピークの強度を100としたときに50以上100未満であるが、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から、60以上100未満が好ましく、70~98がより好ましく、80~95が更に好ましく、また好ましくは60~90、好ましくは60~85、好ましくは65~78であってもよい。ここで、本明細書において「最大ピーク」とは、複数のピークのうちのピークの高さが最も高いピークをいい、当該ピークの頂点における高さ(縦軸の頻度)を「最大ピークの強度」とする。また、「最小ピーク」とは、複数のピークのうちのピークの高さが最も低いピークをいい、当該ピークの頂点における高さ(縦軸の頻度)を「最小ピークの強度」とする。
また、ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度は、最大ピークの強度を100としたときに30以上99以下であるが、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から、40~98が好ましく、60~97がより好ましく、80~95が更に好ましく、また好ましくは40~70、好ましくは40~65、好ましくは45~60であってもよい。ここで、本明細書において「ピーク間の谷間」とは、2つのピークの間の窪んだ部分をいい、当該窪んだ部分の中で最も低い部分における高さ(縦軸の頻度)を「ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度」とする。ピーク間の谷間は、1~4個が好ましく、1~3個がより好ましく、1又は2個が更に好ましい。
最大ピークは、粒度分布のうち粒子径の小さい側にあることが好ましく、最大ピークが粒度分布のうち粒子径の小さい側にあり、かつ最小ピークが最大ピークよりも粒子径の大きい側にあることが、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から更に好ましい。
最大ピーク強度を与える粒子の粒子径は、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から、0.1~100μmが好ましく、0.1~50μmがより好ましく、0.1~30μmが更に好ましく、0.1~5μmが更に好ましく、0.1~2.5μmが更に好ましい。ここで、本明細書において「最大ピーク強度を与える粒子の粒子径」とは、最大ピークの頂点に相当する粒子の粒子径をいう。
最小ピーク強度を与える粒子の粒子径は、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から、0.1~100μmが好ましく、0.1~50μmがより好ましく、0.1~30μmが更に好ましい。ここで、本明細書において「最小ピーク強度を与える粒子の粒子径」とは、最小ピークの頂点に相当する粒子の粒子径をいう。また、最小ピーク強度を与える粒子の粒子径は、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から、最大ピーク強度を与える粒子の粒子径に対して、通常1.5~15倍、好ましくは2~10倍の大きさであることが好ましい。
ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度を与える粒子の粒子径は、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から、0.1~100μmが好ましく、0.1~50μmがより好ましく、0.1~30μmが更に好ましい。ここで、本明細書において「ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度を与える粒子の粒子径」とは、ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度に相当する粒子の粒子径をいう。また、ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度を与える粒子の粒子径は、最大ピーク強度を与える粒子の粒子径よりも大きく、最小ピーク強度を与える粒子の粒子径よりも小さいことが分離の抑制、最密充填性の向上の観点から好ましい。例えば、ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度を与える粒子の粒子径は、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から、最大ピーク強度を与える粒子の粒子径に対して、通常1.5~5倍、好ましくは1.5~3倍の大きさであって、最小ピーク強度を与える粒子の粒子径に対して、通常0.1~0.9倍、好ましくは0.2~0.8倍の大きさである。
最大ピークの山の粒子は、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から、全粒子中に、好ましくは10~90体積%、より好ましくは20~80体積%、更に好ましくは30~70体積%である。
また、最小ピークの山の粒子は、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から、全粒子中に、好ましくは10~90体積%、より好ましくは20~80体積%、更に好ましくは30~70体積%である。
本発明の無機酸化物中空粒子は、このような粒度分布を有するため、粒度の相違による分離が起こり難く、最密充填性に優れている。本発明の無機化合物中空粒子を、例えば、容器(3cm×3cm×15cm)に高さ10cmまで詰め、容器をバイブレーターで振動させて、上層と下層に分離させ、下層の中空粒子について粒度分布を測定し、充填性について評価したときに、評価前後における最大ピーク強度と最小ピーク強度との比(最小ピーク/最大ピーク)の変化量を、通常30%以下、好ましくは15%以下とすることができる。具体的な評価方法は、後掲の実施例に記載に方法により行うことができる。
このように、本発明の無機酸化物中空粒子は、粒度の相違による分離が起こり難く、最密充填性に優れるため、例えば、断熱材料用フィラー、遮熱材料用フィラーとして有用である。
〔無機酸化物中空粒子の製造方法〕
本発明の無機酸化物中空粒子は、粒度分布において上記特性を有すれば、適宜の方法により製造することが可能であり、特に限定されない。例えば、粒度分布において2つのピークを有する無機酸化物中空粒子を製造する場合、噴霧熱分解装置内にノズルからミストを噴霧し噴霧熱分解法により第1の無機酸化物中空粒子を製造し、次いで第1の無機酸化物中空粒子とは仕様の異なるノズルを使用するか、あるいは第1の無機酸化物中空粒子とは異なる噴霧条件を採用して噴霧熱分解法により第2の無機酸化物中空粒子を製造し、粒度分布が上記特性を具備するように第1の無機酸化物中空粒子と第2の無機酸化物中空粒子とを混合する方法を挙げることができる。
また、粒度分布において3つピークを有する無機酸化物中空粒子を製造する場合、第1、2の無機酸化物中空粒子とは仕様の異なるノズルを使用するか、あるいは第1、2の無機酸化物中空粒子とは異なる噴霧条件を採用して噴霧熱分解法により第3の無機酸化物中空粒子を製造し、粒度分布が上記特性を具備するように第1~3の無機酸化物中空粒子を混合すればよい。
なお、粒度分布において4つ以上のピークを有する無機酸化物中空粒子を製造する場合には、上記と同様の操作を繰り返し行えばよい。
また、噴霧熱分解装置内に仕様の異なる2以上のノズルを装着して噴霧熱分解法により無機酸化物中空粒子を製造するか、あるいは噴霧熱分解装置内に2以上のノズルを装着し、各ノズルから互いに異なる噴霧条件でミストを噴霧することにより無機酸化物中空粒子を製造してもよい。
仕様の異なるノズルとしては、例えば、2流体ノズル,3流体ノズル,4流体ノズルを挙げることができる。ここで、流体ノズルの方式には、空気と原料化合物含有溶液とをノズル内部で混合する内部混合方式と、ノズル外部で空気と原料化合物含有水溶液を混合する外部混合方式があるが、いずれも採用できる。
また、異なる噴霧条件としては、例えば、ノズルから噴霧するミストの平均粒子径の制御、液滴径の異なるノズルチップの使用等を挙げることができる。
例えば、粒度分布において2つのピークを有する無機酸化物中空粒子を製造する場合には、噴霧熱分解装置内に仕様の異なる第1、2のノズルを装着し、噴霧熱分解法により無機酸化物中空粒子を製造すればよい。また、粒度分布において3つのピークを有する無機酸化物中空粒子を製造する場合には、噴霧熱分解装置内に仕様の異なる第1~3のノズルを装着し、噴霧熱分解法により無機酸化物中空粒子を製造すればよい。このように、所望するピーク数に応じて仕様の異なるノズルの設置本数を選択し、噴霧熱分解法により無機酸化物中空粒子を製造すればよい。
更に、粒度分布において2つのピークを有する無機酸化物中空粒子を製造する場合には、噴霧熱分解装置内に2つのノズルを装着し、各ノズルから互いに異なる噴霧条件でミストを噴霧してもよい。また、粒度分布において3つのピークを有する無機酸化物中空粒子を製造する場合には、噴霧熱分解装置内に3つのノズルを装着し、各ノズルから互いに異なる噴霧条件でミストを噴霧してもよい。このように、所望するピーク数に応じてノズルの設置本数を選択し、各ノズルから互いに異なる噴霧条件でミストを噴霧すればよい。この場合、使用するノズルは、同一でも異なっていてもよい。
中でも、本発明の無機酸化物中空粒子の好適な製造方法としては、噴霧熱分解装置内に2以上のノズルを装着し、各ノズルから平均粒子径の異なるミストを噴霧する工程を含む製造方法を挙げることができる。
被噴霧液体は、原料化合物を、水あるいはエタノール等の有機溶媒と混合して、調製できる。溶媒としては、水と有機溶媒を混合したものも用いることができる。例えば、アルミニウム化合物としては、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム酸化物、アルミニウム酸化物のゾルなどの化合物を用いることができる。ケイ素化合物としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、オルトケイ酸テトラエチル、ケイ素酸化物、シリカゾル等を用いることができる。
被噴霧液体中の原料化合物濃度は、各元素の総量として、0.01mol/L~2.0mol/Lが好ましく、0.1mol/L~1.0mol/Lがより好ましい。なお、被噴霧液体中には、リンゴ酸、クエン酸や乳酸等の有機酸を添加してもよい。
被噴霧液体の流量は、分離の抑制、最密充填性の向上、生産性の観点から、1~100L/hが好ましく、3~80L/hがより好ましく、5~60L/hが更に好ましい。
ミストの平均粒子径の制御は、例えば、ノズル径や空気の圧力によって調整することが可能である。好適なミストの平均粒子径の組み合わせは、以下のとおりである。
粒度分布において2つのピークを有する無機酸化物中空粒子を製造する場合には、平均粒子径が0.1~20μmの第1のミストと、平均粒子径が1~50μmの第2のミストとの組み合わせが好ましく、平均粒子径が0.5~10μmの第1のミストと、平均粒子径が5~35μmの第2のミストとの組み合わせが更に好ましい。また、第2のミストの平均粒子径は、分離の抑制、最密充填性の向上の観点から、第1のミストの平均粒子径に対して、通常2~10倍、好ましくは2~6倍の大きさである。
また、粒度分布において3つのピークを有する無機酸化物中空粒子を製造する場合には、平均粒子径が0.1~20μmの第1のミストと、平均粒子径が1~50μmの第2ミストと、平均粒子径が第1のミスト及び第2のミストとは異なる第3のミストとの組み合わせが好ましく、平均粒子径が0.5~10μmの第1のミストと、平均粒子径が5~35μmの第2ミストと、平均粒子径が第1のミスト及び第2のミストとは異なる第3のミストとの組み合わせが更に好ましい。また、第2のミストの平均粒子径は、第1のミストの平均粒子径に対して、通常2~15倍、好ましくは3~10倍、更に好ましくは4~8倍の大きさであり、第3のミストの平均粒子径は、第1のミストよりも大きく、第2のミストよりも小さいことが分離の抑制、最密充填性の向上の観点から好ましい。
噴霧されたミストは、例えば、100~1000℃の乾燥ゾーン、次いで800~1650℃の熱分解ゾーンを通過させることにより、熱分解され、無機酸化物中空粒子となる。なお、乾燥ゾーンの温度は、熱分解ゾーンの温度と同温度以下であることが好ましい。乾燥ゾーンの温度は、中空性を保つための点から、100~1000℃が好ましく、400~1000℃がより好ましく、400~900℃が更に好ましい。この乾燥ゾーンによりミストの外側が、乾燥されて無機化合物の膜を形成し、それを起点に内部液が乾燥されるため、粒子が中空形状に形成される。
熱分解ゾーンの温度は、800~1500℃が好ましく、800~1300℃が更に好ましい。この熱分解ゾーンでは、高温で急激に熱分解反応を進めることで、乾燥ゾーンにて形成された中空構造を強固にすることにより、中空室を区画する殻を有する無機酸化物中空粒子であって、殻の厚さの一定な無機酸化物中空粒子が得られる。
熱分解後、無機酸化物中空粒子を冷却し回収することで、目的の無機酸化物中空粒子が得られる。無機酸化物中空粒子の回収は、高性能サイクロン粉体回収機やバグフィルターを用いた粉体回収装置を用いることができる。また、無機酸化物中空粒子の回収にあたっては、フィルターを通過させることにより、粒子径の調整をしてもよい。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1
噴霧熱分解装置に二流体ノズルを2基設置し、蒸留水1L当たり硝酸アルミニウムを0.04mol、オルトケイ酸テトラエチルを0.16mol溶解したアルミニウム及びケイ素の混合水溶液を溶液タンクに投入した。投入された水溶液をポンプで各二流体ノズルに送液し、各二流体ノズルから平均粒子径が7μm及び33μmのミストを噴霧した。また、ミストは、フレームと接触しないように噴霧した。ミストが通過する加熱炉の内部温度は1000℃とした。その後、バグフィルターを用いてアルミノシリケート中空粒子を回収した。
実施例2
噴霧熱分解装置に二流体ノズルを3基設置し、各二流体ノズルから平均粒子径が3μm、6μm及び20μmのミストを噴霧したこと以外は、実施例1と同様の操作によりアルミノシリケート中空粒子を製造した。
実施例3
実施例2において、平均粒子径が3μmのミストを噴霧した二流体ノズルの噴霧条件を制御し、平均粒子径が3μmよりも微粒なミストを噴霧したこと以外は、実施例2と同様の操作によりアルミノシリケート中空粒子を製造した。
比較例1
平均粒子径が1μmであり、かつ粒度分布のピークがシャープなアルミノシリケート中空粒子と、平均粒子径10μmであり、かつ粒度分布のピークがシャープなアルミノシリケート中空粒子とをミキサータイプの混合機にて十分混合し、アルミノシリケート中空粒子を得た。
粒度分布の測定
実施例1~3、比較例1で得られたアルミノシリケート中空粒子について、JIS R1629「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に準拠して体積基準の粒度分布を測定した。なお、レーザ回折・散乱法による粒子径分布測定装置として、マイクロトラック(日機装株式会社製)を使用した。そして、得られた粒度分布から、各アルミノシリケート中空粒子の特性を分析した。その結果を表1に示す。なお、図1に実施例1で得られたアルミノシリケート中空粒子の粒度分布を、図2に実施例2で得られたアルミノシリケート中空粒子の粒度分布を、図3に実施例3で得られたアルミノシリケート中空粒子の粒度分布を、それぞれ示す。
充填性の評価
実施例1~3、比較例1で得られたアルミノシリケート中空粒子を、容器(3cm×3cm×15cm)に高さ10cmまで詰め、容器をバイブレーターで振動させて、上層と下層に分離させた。次いで、下層のアルミノシリケート中空粒子について粒度分布を測定した。そして、評価前後における最大ピーク強度と最小ピーク強度との比(最小ピーク/最大ピーク)の変化量を下記式(1)により算出し、以下の基準にて評価した。
|X-Y|/Y×100 (1)
〔式中、Xは、評価後の最小ピーク/最大ピークの比を示し、Yは、評価前の最小ピーク/最大ピークの比を示す。〕
評価基準
○:0~15%
△:16~30%
×:31~45%
Figure 0007008004000001

Claims (4)

  1. レーザ回折・散乱法により測定される体積基準の粒度分布において2以上のピークを有する無機酸化物中空粒子であって、
    最小ピークの強度が、最大ピークの強度を100としたときに50以上100未満であり、かつ
    ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度が、最大ピークの強度を100としたときに30以上99以下である、
    無機酸化物中空粒子(但し、酸化ホウ素及び二酸化ケイ素の混合酸化物を除く)
  2. 最大ピーク強度を与える粒子の粒子径が0.1~100μmである、請求項1記載の無機酸化物中空粒子。
  3. 最小ピーク強度を与える粒子の粒子径が0.1~100μmである、請求項1又は2記載の無機酸化物中空粒子。
  4. ピーク間の谷間の強度のうちの最小強度を与える粒子の粒子径が0.1~100μmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の無機酸化物中空粒子。
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