JP4900794B2 - メソポーラス無機材料及びそのメソポーラス無機材料を担持した吸着フィルタの製造方法 - Google Patents

メソポーラス無機材料及びそのメソポーラス無機材料を担持した吸着フィルタの製造方法 Download PDF

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本発明は、メソポーラス無機材料及びそのメソポーラス無機材料を担持した吸着フィルタの製造方法に関するものであり、より詳しくは、ナノメートルサイズの孔径を有し、細孔配列が三次元高規則性を有するヘキサゴナル構造のメソポーラス無機材料と、そのメソポーラス無機材料を担持した吸着フィルタの製造方法に関するものである。
近年、地球温暖化が世界的に重要な問題となっている。国内においても、製品及びシステムの省エネルギー化及び環境対応化に対する積極的な取り組みが急速に行われている。このような状況の中、分散型エネルギーシステムである冷熱機器及び空調機器は、極めて普及率が高く、年間を通じて使用される電力消費量が多いこと等を理由に収益改善の手段として極めて効果が大きいと考えられている。
そうした背景のもと、低温域での水蒸気吸脱着挙動を有する多孔質材料を用いた冷凍機器やデシカント空調、調湿システム、蓄熱システム等は、優れた省エネルギー性システムの早期実現に対応できる技術として大きく期待されている。この多孔質材料には、一般的にポーラス材料が用いられる。このポーラス材料は、細孔径の大きさと細孔径の分布及び配列の規則性で分類されている。
例えば、非晶質であるシリカゲルや活性炭等は、細孔の大きさがミクロ孔からマクロ孔まで幅広い孔径範囲を有し、細孔配列に規則性がないという特徴がある。そのため、特定の操作湿度範囲における吸脱着量が少ないという課題を有する。一方、ゼオライトに代表される結晶性多孔質体は、細孔径が均一で規則的な配列構造であるという特徴がある。しかしながら、細孔直径が1.5nm(ナノメートル)以下と小さく、その孔径によって用途が限定されてしまうという課題を有する。また、水分子との相互作用が極めて強く(一部の疎水性ゼオライトを除く)、水蒸気吸着等温線は相対湿度の10%以下で飽和吸着に到達してしまうという特徴がある。そのため、水蒸気を脱着するには、さらに120℃以上の脱着温度が必要であるという材料の本質的な課題を有している。
ポーラス材料がより広範囲で応用されるために、孔径がより大きく、かつ細孔配列の均一性が高いポーラス材料が望まれている。しかしながら、従来のポーラス材料には細孔直径が2nm以上の結晶性多孔質は、天然にも人工合成材料にも存在していなかった。このような流れの中で、近年、ゼオライトでは実現されていなかった数nmの均一な細孔径を有する新しいメソポーラスシリカ材料(MCM−41、FSM−16)が次々に発表され、現在、様々な分野において応用の可能性が検討されている。
このメソポーラスシリカは、均一で規則的に配列したメソ孔(直径2〜50nm)を持つシリカ(二酸化珪素)系多孔質材料の総称であり、厚みが約1nmの隔壁で仕切られたシリンダー状の細孔がヘキサゴナル配列した規則的な配列構造を有していることを特徴とする。また、このメソポーラスシリカは、メソポーラスシリカのメソ孔内において、その孔径に応じた相対湿度において毛管凝縮が起こり、特定の狭い相対湿度範囲で大きな吸脱着量を示すという特異的な特徴も有している。そして、メソ孔径を有していることから、この他吸湿用途以外にも、ゼオライトの細孔では対応できない大きな分子の関与する吸着、触媒作用等への応用も期待されている。
しかしながら、実用上の利用に関しては、吸着剤として既に工業的に製造され、多くのアプリケーションに適用されているシリカゲルやゼオライトとは異なり、その製造方法が確立されていないという問題がある。また、再現性も低く、製造コストが多くかかるという問題もある。このような問題が未だ解決されておらず、メソポーラスシリカを工業的に利用及び製造するにはまだ程遠い技術レベルにあるというのが現状である。
たとえば、メソポーラス無機材料としてのメソポーラスシリカを製造する方法として、「構造誘導剤と有機シリコン化合物を均一混合して、リオトロピック型液晶相を形成させしめ、特有の立体構造を形成させ、更に酸水溶液を迅速に加え、リオトロピック型液晶−シリカ複合構造体を形成させ、次いで、この複合体から構造誘導体を除去することによりメソポーラスシリカを製造する」ようにしたものが開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2004−35368号公報(第8頁〜第10頁)
上記のメソポーラスシリカの製造方法では、溶媒揮発の工程において、ロータリーエバポレータを用いて緩やかに減圧しながら有機物除去を行い、さらに溶媒溜去後の生成物を30〜60℃で6〜24時間、乾燥させる方法を施している。このように、メソポーラスシリカの製造は、製造時間を非常に長く費やすとともに、産業用としての生産性及び再現性は低いものであった。したがって、メソポーラスシリカの製造方法には、さらなる生産効率改善の余地がある。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、ナノメートルサイズの孔径を有し、細孔配列が三次元高規則性を有するヘキサゴナル構造のメソポーラス無機材料と、そのメソポーラス無機材料を担持した吸着フィルタの製造方法を提供するものである。
本発明に係る吸着フィルタの製造方法は、細孔配列が三次元高規則性を有するメソポーラス無機材料を担持した吸着フィルタの製造方法において、溶媒中に原料を溶解して原料混合溶液を作製する工程と、原料混合溶液中の溶媒を揮発させて無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液を作製する工程と、前駆体溶液をフィルタ基材に添着する工程と、フィルタ基材に添着した前駆体溶液中に残存している界面活性剤を除去する工程と、を有し、原料混合溶液は、メソポーラス無機材料におけるメソ細孔の鋳型として用いるための界面活性剤と、界面活性剤を溶解させるためのアルコール溶媒と、メソポーラス無機材料における骨格構造を形成するためのテトラエチルオルソシリケート及び硝酸ジルコニルと、テトラエチルオルソシリケート及び硝酸ジルコニルを加水分解反応させるための酸性水溶液とを混合し、界面活性剤を1モルとしたとき、テトラエチルオルソシリケートと硝酸ジルコニルとの混合モル比率を0.10〜0.30としたことを特徴とする。
本発明に係る吸着フィルタの製造方法は、細孔配列が三次元高規則性を有するメソポーラス無機材料を担持した吸着フィルタの製造方法において、溶媒中に原料を溶解して原料混合溶液を作製する工程と、原料混合溶液中の溶媒を揮発させて無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液を作製する工程と、前駆体溶液をフィルタ基材に添着する工程と、フィルタ基材に添着した前駆体溶液中に残存している界面活性剤を除去する工程と、を有し、原料混合溶液は、メソポーラス無機材料におけるメソ細孔の鋳型として用いるための界面活性剤と、界面活性剤を溶解させるためのアルコール溶媒と、メソポーラス無機材料における骨格構造を形成するためのテトラエチルオルソシリケート及び硝酸ジルコニルと、テトラエチルオルソシリケート及び硝酸ジルコニルを加水分解反応させるための酸性水溶液とを混合し、界面活性剤を1モルとしたとき、テトラエチルオルソシリケートと硝酸ジルコニルとの混合モル比率を0.10〜0.30としたので、フィルタ基材表面に析出形成するメソポーラス無機材料(メソポーラスシリカ)を粉砕処理または分級処理のいずれか、あるいは双方を行う必要がなくなり、その結果として吸着性能の大きな低下を回避することができる。
また、従来ではメソポーラスシリカの製造工程とデシカントロータの製造工程において、スラリー中のバインダ成分除去のための焼成工程をそれぞれの工程で行っていたが、本発明に係る吸着フィルタの製造方法では、デシカントロータに添着した後に、一括焼成処理することを可能としているため、製造コストが低減できるようになり、焼成処理によるメソポーラスシリカの構造劣化(孔径変動、構造崩壊等)を回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るメソポーラス無機材料を担持した吸着フィルタの製造方法の一例を示す概略説明図である。なお、実施の形態1においては、メソポーラス無機材料がメソポーラスシリカである場合を例に説明する。また、スプレードライ装置20を使用して吸着フィルタを製造する場合を例に示している。
まず、メソポーラスシリカを作製するための原料をアルコールに溶解した原料混合溶液11を用意する(後に詳述する)。図において、容器等に用意した原料混合溶液11は、スプレードライ装置20のポンプ12により所定の速度でノズル15に供給される。たとえば、所定の速度を5.0g/minでノズル15へ供給するとよい。ノズル15に供給された原料混合溶液11は、ヒータ14によって所定の温度に加熱される。たとえば、所定の温度を80〜160℃、さらに好ましくは140℃に設定しておくとよい。
そして、原料混合溶液11は、ヒータ14により加熱されると同時に、コンプレッサ13により送り込まれる圧縮空気と混合される。圧縮空気と混合された原料混合溶液11は、ミスト状態となってノズル15から噴霧される。たとえば、コンプレッサ12により送り込まれる圧縮空気を0.03〜0.075MPa、さらに好ましくは0.05MPaに設定しておくとよい。このように、温度及び圧力を所定の範囲に設定することで、原料混合溶液11がノズル15から噴霧される際に、無機有機複合ナノ構造を有したゲル状の微小粒子(前駆体溶液)に形態を変化させることができる。
実施の形態1に係る吸着フィルタの製造方法では、原料混合溶液11がノズル15から噴霧される際に、溶液中の溶媒を瞬時に揮発させることを可能としている。すなわち、原料混合溶液11から溶媒を揮発除去させる焼成処理を省略することを可能としているのである。こうすることによって、ゲル状の微小粒子の形状をいずれも球形状とすることができ、かつ、ほとんどのゲル状の微小粒子の粒径が20μm(マイクロメートル)以下とすることができる。
ノズル11から噴出した微小粒子は、噴霧領域に設置されたフィルタ基材である構造体16も内部壁面に均一に添着するようになっている。この吸着フィルタの製造方法は、ゲル状の球形粒子を壁面に噴霧塗布して高密度に固着させた後に、焼成処理によって細孔内に内包した界面活性剤(金属アルコキシド原料として含まれる有機高分子成分)を除去し、吸着フィルタを製造するようになっている。したがって、従来のような粉砕処理によって不定形状の微小粒子を作製し、添着させて吸着層(吸着フィルタ)を製造する方法に比べて、より充填度の高い吸着層を形成することができる。
実施の形態1に係る吸着フィルタの製造方法に用いるフィルタ基材には、セラミックスペーパーあるいはガラス繊維質等を用いるとよい。そのフィルタ基材をセル状のハニカム構造として、構造体16を構成するのが好ましい。また、構造体16におけるセルの内部壁面には、噴霧される無機有機複合ナノ構造体を有する粒子が均一に添着できるように予めバインダをコーティングしておくとよい。そうすれば、噴霧された無機有機複合ナノ構造体の粒子を効率良く構造体16の内部に添着させることができる。
なお、噴霧される無機有機複合ナノ構造体を有する粒子を均一に添着できるように予めコーティングするバインダには、水系のバインダを用いてもよく、非水系のバインダを用いてもよい。つまり、コーティングするバインダの種類によって、無機有機複合ナノ構造体を有する粒子の添着量及び均一性に対して悪影響を与えるということは無いからである。したがって、いずれのバインダであっても良好な添着状態を得ることができるようになっている。
次に、原料混合溶液11の作製についての一例を説明する。原料混合溶液11は、以下の手順を施されて作製させる。
手順(1)、界面活性剤をアルコール溶媒中に溶解して界面活性剤溶液を作製する。
手順(2)、骨格構造を形成する金属元素の原料である金属アルコキシドと、この金属アルコキシドの水和・イオン化反応を進行させるための酸触媒水溶液を混合して溶液を作製する。
手順(3)、手順(1)で作製した界面活性剤溶液と手順(2)で作製した溶液を混合する。
上記手順(1)において、メソ細孔形成の鋳型として使用する界面活性剤に、一般式CH3(CH2)nN(CH33X(n=9、11、13、15、17であり、Xはハロゲン化物イオン、HSO4 -、有機アニオン等)で表されるカチオン系界面活性剤を用いている場合を例に示している。このカチオン系界面活性剤をメソ細孔形成の鋳型として用いることが好ましい。このカチオン系界面活性剤の代表的なものとしては、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムがある。
カチオン系界面活性剤であるハロゲン化テトラアルキルアンモニウムの中でも特に、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド:CH3(CH215N(CH33Cl(以下、C16TACと略記)を使用した場合を例に説明する。すなわち、本発明の主な用途として挙げた相対湿度40〜60%で毛管凝縮を生じることができ、さらに相対湿度30%以下において脱着することが可能なメソポーラスシリカを製造するための鋳型としてC16TACを適用しているのである。
まず、界面活性剤C16TAC(東京化成製、製造番号SOO87、>98%)をアルコール溶媒中に入れて溶解させる。つまり、C16TACを溶解して、シリンダー状のミセル集合体(一般に、テンプレートと称されている)を作製するのである。この際に使用可能なアルコール溶媒としては、メタノールやエタノール、n−プロパノール等の1級アルコール、2−プロパノール、2−ブタノール等の2級アルコール、ターシャリーブチルアルコール等の3級アルコール等が挙げられる。また、アルコール以外の溶媒としては、アセトンやキシレン、トルエン、アセトニトリル等が挙げられる。実施の形態1においては、原料コスト及び取り扱いの容易さから最も好ましいエタノールを使用した場合を例に示している。
16TACとエタノールとの混合比は、C16TACを1モルとしたとき、エタノール(和光純薬製1級、054−00461、99.5%)を5〜55モルの範囲で調整可能としている。実施の形態1では、C16TACを1モルとしたとき、エタノールを50モルとしたときの場合を例に示している。なお、混合時にC16TACが溶解し難い場合には、エタノールを40℃程度まで加温することで容易に溶解させることができる。
上記手順(2)において、金属アルコキシドとして、Siアルコキシドであるテトラエチルオルソシリケート:(C25O)4Si (東京化成製、T0100、以下TEOSと略記する)及びジルコニウム添加剤の原料である硝酸ジルコニル:ZrO(NO32・2H2 (三津和化学製、No.59987(特級);Assay99%)からなる有機金属化合物を、加水分解触媒である酸触媒水溶液としての塩酸水溶液(10−3M)中に所定量を入れて溶解混合する。この原料の混合溶解を行う手順は、特に制限していない。したがって、制限塩酸水溶液中に硝酸ジルコニル及びTEOSを同時に混合し、原料の混合溶解を行っても何ら問題を生じないが、更に好ましくは、まず塩酸水溶液中に硝酸ジルコニルを入れて10〜20分間撹拌混合した後にTEOSを加える方がよい。
その理由は、硝酸ジルコニルの水和・イオン化を先に進行させることによって、ミセル化した界面活性剤のシリンダー状集合体の周囲に優先的に堆積させることができるからである。この結果、細孔壁表面における濃度を局所的に高めることができるようになり、耐水性向上や水吸着が生じ始める相対湿度を調整するためのチューニング材としての添加効果がより得られ易くなる。
このC16TACとTEOS及び硝酸ジルコニルとの混合比、すなわち、界面活性剤と有機金属化合物の混合モル比率は、C16TACを1モルとしたとき、TEOSと硝酸ジルコニルとの総モル数を0.15〜0.30モルの範囲で調整可能としている。それは、TEOSと硝酸ジルコニルとの総モル数が0.15モルを下回ると、メソ孔を形成することは可能であるが、細孔容積が小さいものとなってしまうからである。また、モル数に応じて細孔径も変化してしまう。さらに、総モル数が極端に少ないと、そもそもテンプレートを形成することができくなってしまう。したがって、均一な骨格構造を有したメソポーラスシリカを形成することができない。
反対に、TEOSと硝酸ジルコニルとの総モル数が0.30モルを上回ると、細孔径分布に変動が生じてしまうことになる。硝酸ジルコニル(Zr)の投入量は、TEOS(Si)との混合モル数が上記濃度0.15〜0.30モルになる範囲において、0.1〜5.0モル%とした場合を例に示している。たとえば、シリカの骨格構造中に硝酸ジルコニウムを5.0モル%添加してメソポーラスシリカを製造するとよい。なお、界面活性剤であるC16TACを1モルとしたとき、有機金属化合物であるTEOSと硝酸ジルコニルとの総モル数を0.10〜0.30モルの範囲に設定することが最適な混合モル比率であることが分かっている。
上記手順(3)において、手順(1)で作製した界面活性剤を溶解させたアルコール溶液と、手順(2)で作製した金属アルコキシドと酸触媒水溶液とを混合した水溶液とを混合し、室温で1時間攪拌して、原料混合溶液を作製する。この1時間の撹拌後の溶液においては、pHメーターによる測定値が1.1〜1.5の範囲となるように調整を施している。したがって、3次元規則構造性が高く、吸着性能に優れたメソポーラスシリカを再現良く製造するために必要な均一性の高い原料混合溶液11を作製することができる。
次に、原料混合溶液11の溶媒を揮発除去して無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液を作製する。なお、この前駆体溶液とは、たとえばアルコール溶媒中において、ミセル化した界面活性剤のシリンダー状集合体(テンプレート)の周囲に、金属アルコキシドの水和・イオン化反応で生成した金属水酸化物、あるいはそれらが縮重合したオリゴマーが集積化した構造の状態の溶液をいうものとする。
原料混合溶液11の溶媒を揮発除去する方法として、ロータリーエバポレータを使用する場合を例に説明する。つまり、この原料混合溶液11をナス型フラスコに移し、これをロータリーエバポレータを使用して減圧処理を施すことにより溶媒の揮発除去を行うようにする。この際、激しい沸騰を避けるため、減圧処理としてナス型フラスコ内圧力を60〜100hPa(ヘクトパスカル)の範囲で0.5〜3時間を要して段階的に圧力を下げていくことが重要である。この溶媒揮発除去の工程において、減圧処理の際にウォーターバスを使用して、25〜60℃の湯浴にて加温を施しながら溶媒揮発を行うようにすると、より効果的であることがわかった。なお、加温の温度範囲は、25〜80℃であればよい。
溶媒揮発除去の工程の終点は、pHの値によって管理することができる。すなわち、実施の形態1において、上記原料を用いて作製した原料混合溶液11では、溶媒除去後のpH値が0.1〜0.5の範囲となるように調整を施しているのである。ここで作製された無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液は、高温、高湿下を除く、低温の雰囲気下であれば長期保存することができるものである。
また、この無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液は、密閉容器中で保存すれば、長期保存もすることができるものである。したがって、無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液を量産する時においては、この前駆体溶液の作り置きによる保存が可能であるため、製造工程での原料投入から粉末完成までの連続的なバッチ処理を行う必要が不可欠ではなくなるため、生産性が極めて高いものとなる。
すなわち、このバッチ処理とは、一括処理のことであり、上述したように無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液は作り置きすることができるので、メソポーラスシリカの作製の都度、無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液を作製しなくて済むのである。したがって、3次元規則性が高く、水吸着性能に優れたメソポーラスシリカを再現良く製造するために必要な無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液を形成することができる。
次に、構造体16のセル構造内に添着された無機有機複合ナノ構造体の粒子に含まれる界面活性剤(ここでは、C16TAC)の除去処理について説明する。界面活性剤を除去する方法としては、焼成法と抽出法の2通りが有効なものとして知られている。焼成法の場合、界面活性剤が分解可能な温度で焼成するのであれば、特に制限は無い。通常は、350〜800℃の温度範囲で1時間以上の焼成処理が行われる。より好ましい条件としては、550〜650℃で5〜6時間で焼成処理を行うと良い。なお、焼成処理に用いる炉は熱風循環式の脱脂炉が最適であり、本実施の形態においては、炉の排気口よりダクトを介して接続された脱臭装置あるいはスクラバーにより、炉内で発生する排ガスを回収する装置を備えている設備を用いた。
界面活性剤の焼成処理の際に発生する排ガスの処理コストの課題を解決する焼成処理以外の除去方法として、溶媒を用いて除去する抽出法がある。この抽出法で用いられる溶媒には、たとえば、アルコール系であるメタノールやエタノール、n−プロパノール等の1級アルコール、2−プロパノール、2−ブタノール等の2級アルコール、ターシャリーブチルアルコール等の3級アルコール等が挙げられる。
また、この抽出法で用いられるアルコール以外の溶媒には、たとえば、蒸留水や酸性水溶液の他、アセトン、キシレン、トルエン、アセトニトリル等が挙げられる。すなわち、無機有機複合ナノ構造体を上述した溶媒中に浸漬させて、無機有機複合ナノ構造体から有機物質を除去するのである。なお、界面活性剤の除去処理は、上述した焼成法及び抽出法の組み合わせによる方法も有効である。たとえば、溶媒による抽出除去後に焼成処理を行うことで、より低濃度まで界面活性剤を除去することができるということが分かっている。
以上説明したように、メソポーラスシリカを短時間で製造することができ、製造されるメソポーラスシリカは3次元規則構造性が高いものである。この3次元規則構造性の高いメソポーラスシリカは、所定の相対湿度範囲において急峻で、かつ、高い水吸着性能を顕著に有しているものである。なお、以上のように、メソポーラスシリカを製造すれば、高い再現性で、安定的にメソポーラスシリカを製造することが可能となる。
なお、実施の形態1においては、界面活性剤にカチオン性界面活性剤であるn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド:CH3(CH215N(CH33Clを用いた場合を例に説明しているが、これに限定するものではなく、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドと同様の2.7〜2.8nmの細孔径が形成できる界面活性剤であれば他の界面活性剤でもよい。たとえば、ノニオン性界面活性を用いても同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、実施の形態1では、界面活性剤に細孔径2.7〜2.9nmの鋳型となるようにC16TACを用いている場合を例に説明したが、これに限定するものではない。たとえば、細孔径が異なるメソポーラスシリカを作製したい場合には、CH3(CH211N(CH33Cl(以下、C12TACと略記)やCH3(CH213N(CH33Cl(以下、C14TACと略記)、CH3(CH217N(CH33Cln(以下、C18TACと略記)等の界面活性剤を用いてもよい。すなわち、実施の形態1に係る吸着フィルタの用途に応じて使い分けるようにすることが可能となっている。
図2は、各界面活性剤を鋳型にして形成したメソポーラスシリカの水吸着等温線図である。図において、縦軸は吸着量(g/g)を、横軸は相対湿度(p/p0)を表してる。また、白い丸印で表した等温線がC12TACを適用して製造したメソポーラスシリカの吸着等温線を、黒い丸印で表した等温線がC12TACを適用して製造したメソポーラスシリカの脱着等温線を表し、白い三角印で表した等温線がC14TACを適用して製造したメソポーラスシリカの吸着等温線を、黒い三角印で表した等温線がC14TACを適用して製造したメソポーラスシリカの脱着等温線を表している。
さらに、白い正方形印で表した等温線がC16TACを適用して製造したメソポーラスシリカの吸着等温線を、黒い正方形印で表した等温線がC16TACを適用して製造したメソポーラスシリカの脱着等温線を表し、白いひし形印で表した等温線がC18TACを適用して製造したメソポーラスシリカの吸着等温線を、黒いひし形印で表した等温線がC18TACを適用して製造したメソポーラスシリカの脱着等温線を表している。なお、各界面活性剤には、5%の硝酸ジルコニウム(Zr)を投入している場合を例に示している。
ゼオライト等の吸着剤の吸着等温線は、IUPAC(国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry))で分類されるI型(Langmuir型)となり、低い相対湿度領域において急激に吸着量が増加するが、それ以降の吸着量は飽和するという傾向を有している。また、シリカゲル等の吸着剤の吸着等温線は、IUPACで分類されるIII 型となり、低い相対湿度領域においての吸着量は飽和しないという傾向を有している。
一方、メソポーラスシリカの吸着等温線は、IUPACで分類されるV型となり、メソ細孔内への毛管凝縮に起因する狭い相対湿度範囲であるp/p0=0.3〜0.5において、吸着量の急激な増加とわずかに低湿度側にシフトした脱着特性を示し、非可逆的なヒステリシス特性を有している。また、メソポーラスシリカの水に対する飽和吸着量においてもゼオライトやシリカゲル等の吸着剤の2倍以上であり(但し、B型等のシリカゲルのように、メソポーラス無機材料よりも飽和吸着量が大きいものも存在する)、吸着材として極めて優れているという特性を有している。つまり、吸着条件が相対湿度30%以上、脱着条件が相対湿度30%以下において毛管凝縮が生じるので、湿度40%以上で最大限に水蒸気を吸着することができ、その吸着した水蒸気を低温で脱着することができるのである。
以上のような吸着特性を有するメソポーラスシリカは、たとえば、ヒートポンプ式空調システムやデシカント式空調システム等において、シリカゲルやゼオライトを適用した場合に比べて、一旦吸着した水蒸気を低温で再生(脱着)することができるため、再生(脱着)に要するエネルギー量を著しく低減できる省エネシステムの実現に極めて有効な吸着剤である。
図3は、硝酸ジルコニウムの投入量を変化させたC16TACを用いて製造されたメソポーラスシリカのX線回折及び窒素吸着測定によって得られた面間隔距離d(nm)、孔径dP(nm)、隔壁厚みdW(nm)、細孔容積Vp(cc/g)、表面積SBET(m2/g)の細孔パラメータの関係を示す説明図である。図に示すように、作製されるメソポーラスシリカの細孔径は、2.7〜2.9nmの範囲にピークを有する細孔分布を特徴としていることがわかる。ここでは、細孔パラメータの算出に、DH法(Dollmore−Hell)を修正した方法を使用している。
図において、1.0%の硝酸ジルコニウムを投入したC16TACは、面間隔距離3.19、孔径2.70、隔壁厚み0.98、細孔容積0.72、表面積1227という細孔パラメータを有している。3.0%の硝酸ジルコニウムを投入したC16TACは、面間隔距離3.21、孔径2.77、隔壁厚み0.93、細孔容積0.76、表面積1228という細孔パラメータを有している。1.0%の硝酸ジルコニウムを投入したC16TACは、面間隔距離3.27、孔径2.96、隔壁厚み0.82、細孔容積0.79、表面積1223という細孔パラメータを有している。
0.5%の硝酸ジルコニウムを投入したC16TACは、面間隔距離3.33、孔径3.02、隔壁厚み0.83、細孔容積0.80、表面積1218という細孔パラメータを有している。0.1%の硝酸ジルコニウムを投入したC16TACは、面間隔距離3.36、孔径2.99、隔壁厚み0.88、細孔容積0.81、表面積1227という細孔パラメータを有している。したがって、硝酸ジルコニウムの投入量の割合によって、ヒートポンプ式空調システムやデシカント式空調システム等の用途に応じた使い分けが可能になる。
図4は、C18TAC及びC12TAC、C14TACを用いて製造されたメソポーラスシリカのX線回折及び窒素吸着測定によって得られた面間隔距離d(nm)、孔径dP(nm)、隔壁厚みdW(nm)、細孔容積Vp(cc/g)、表面積SBET(m2/g)の細孔パラメータの関係を示す説明図である。図に示すように、作製されるメソポーラスシリカの細孔径は、C18TAC場合で3.0〜3.3nmの範囲に、C12TACの場合で2.1〜2.3nmの範囲に、C14TACの場合で2.4〜2.6nmの範囲にそれぞれピークを有する細孔分布を特徴としていることがわかる。
図において、5.0%の硝酸ジルコニウムを投入したC18TACは、面間隔距離3.46、孔径3.06、隔壁厚み0.93、細孔容積0.78、表面積1131という細孔パラメータを有している。また、5.0%の硝酸ジルコニウムを投入したC12TACは、面間隔距離2.58、孔径2.16、隔壁厚み0.82、細孔容積0.57、表面積1391という細孔パラメータを有している。また、5.0%の硝酸ジルコニウムを投入したC14TACは、面間隔距離2.84、孔径2.46、隔壁厚み0.82、細孔容積0.67、表面積1478という細孔パラメータを有している。
なお、ここでは、5.0%の硝酸ジルコニウムを投入したC18TAC及びC12TAC、C14TACを例に示しているが、これに限定するものではない。たとえば、C16TACと同様に、硝酸ジルコニウムの投入量を変化させてもよい。そうすれば、硝酸ジルコニウムの投入量の割合によって、ヒートポンプ式空調システムやデシカント式空調システム等の用途に応じた使い分けが可能になる。
実施の形態1のような吸着フィルタの製造方法によれば、構造体16の内壁に20μm以下の微小粒子となったメソポーラスシリカを噴霧塗布して生成することが可能となる。したがって、従来のフィルタ製造で必須であったメソポーラスシリカの粉砕処理が必要なくなり、その結果として製造コストの低減および製造時間の短時間化が可能となる。また、セラミックスペーパー等のシートに直接噴霧するため、メソポーラスシリカの担持量の制御が極めて容易となった。さらに、得られるメソポーラスシリカは、3次元規則構造性が高く、所定の相対湿度範囲において急峻で、高い水吸着性能を有するものであるとともに、高い再現性によって安定的に製造することが可能となった。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係るメソポーラス無機材料を担持した吸着フィルタの製造方法の一例を示す概略説明図である。なお、基本的なことについては、実施の形態1と同様であるので、実施の形態1と同様な部分については同一符号を付して説明を省略するものとする。また、スプレードライ装置20を使用して吸着フィルタを製造する場合を例に示している。
まず、メソポーラスシリカを作製するための原料をアルコールに溶解した原料混合溶液11を用意する。容器等に用意した原料混合溶液11は、スプレードライ装置20のポンプ12により所定の速度でノズル15に供給される。ノズル15に供給された原料混合溶液11は、ヒータ14によって所定の温度に加熱されると同時に、コンプレッサ13により送り込まれる圧縮空気と混合される。圧縮空気と混合された原料混合溶液11は、ミスト状態となってノズル15から噴霧される。
原料混合溶液11がノズル15から噴霧される際に、溶液中の溶媒を瞬時に揮発させることを可能としている。すなわち、原料混合溶液11を噴霧する際に、無機有機複合ナノ構造を有したゲル状の微小粒子(前駆体溶液)に形態を変化させることができるので、溶媒を揮発除去させる焼成処理を省略することを可能としているのである。こうすることによって、ゲル状の微小粒子の形状をいずれも球形状とすることができ、かつ、ほとんどのゲル状の微小粒子の粒径が20μm(マイクロメートル)以下とすることができる。
実施の形態1では、セル状のハニカム構造の構造体16にゲル状の微小粒子を噴霧する場合を例に説明したが、実施の形態2では、セラミックスペーパーあるいはガラス繊維質からなるフィルタ基材としてのシート31にゲル状の微小粒子を噴霧する場合を例に説明する。つまり、吸着フィルタの構造体を形成する前の段階で、ゲル状の微小粒子を添着させるのである。このゲル状の微小粒子は、ノズル15から噴出されて、噴霧領域に設置されたシート31の表面に均一に添着されるようになっている。
また、シート31の表面には、噴霧される無機有機複合ナノ構造体を有する粒子が均一に添着できるように予めバインダをコーティングしておくとよい。そうすれば、噴霧された無機有機複合ナノ構造体の粒子を効率良くシート31に添着させることができる。なお、噴霧される無機有機複合ナノ構造体を有する粒子を均一に添着できるように予めコーティングするバインダには、水系のバインダを用いてもよく、非水系のバインダを用いてもよい。コーティングするバインダの種類によって、無機有機複合ナノ構造体を有する粒子の添着量及び均一性に対して悪影響を与えるということは無い。したがって、いずれのバインダであっても良好な添着状態を得ることができるようになっている。
このスプレードライ装置20によって無機有機複合ナノ構造を有したゲル状の微小粒子が噴霧塗布されたシート31は、セル構造を形成する吸着フィルタの原紙となるものであり、アプリケーションに合わせた様々な形態の吸着フィルタの作製に使用することができる。すなわち、ヒートポンプ式空調システムやデシカント式空調システム等の用途に応じて吸着フィルタを作り分けることが可能となっているのである。
次に、シート31に添着された無機有機複合ナノ構造体の粒子に含まれる界面活性剤(ここでは、C16TAC)の除去処理について説明する。界面活性剤を除去する方法としては、焼成法と抽出法の2通りが有効なものとして知られている。焼成法の場合、界面活性剤が分解可能な温度で焼成するのであれば、特に制限は無い。通常は、350〜800℃の温度範囲で1時間以上の焼成処理が行われる。より好ましい条件としては、550〜650℃で5〜6時間で焼成処理を行うと良い。なお、焼成処理に用いる炉は熱風循環式の脱脂炉が最適であり、本実施の形態においては、炉の排気口よりダクトを介して接続された脱臭装置あるいはスクラバーにより、炉内で発生する排ガスを回収する装置を備えている設備を用いた。
界面活性剤の焼成処理の際に発生する排ガスの処理コストの課題を解決する焼成処理以外の除去方法として、溶媒を用いて除去する抽出法がある。この抽出法で用いられる溶媒には、たとえば、アルコール系であるメタノールやエタノール、n−プロパノール等の1級アルコール、2−プロパノール、2−ブタノール等の2級アルコール、ターシャリーブチルアルコール等の3級アルコール等が挙げられる。
また、この抽出法で用いられるアルコール以外の溶媒には、たとえば、蒸留水や酸性水溶液の他、アセトン、キシレン、トルエン、アセトニトリル等が挙げられる。すなわち、無機有機複合ナノ構造体を上述した溶媒中に浸漬させて、無機有機複合ナノ構造体から有機物質を除去するのである。なお、界面活性剤の除去処理は、上述した焼成法及び抽出法の組み合わせによる方法も有効である。たとえば、溶媒による抽出除去後に焼成処理を行うことで、より低濃度まで界面活性剤を除去することができるということが分かっている。
以上説明したように、メソポーラスシリカを短時間で製造することができ、製造されるメソポーラスシリカは3次元規則構造性が高いものである。この3次元規則構造性の高いメソポーラスシリカは、所定の相対湿度範囲において急峻で、かつ、高い水吸着性能を顕著に有しているものである。なお、以上のように、メソポーラスシリカを製造すれば、高い再現性で、安定的にメソポーラスシリカを製造することが可能となる。
なお、実施の形態2においては、界面活性剤にカチオン性界面活性剤であるn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド:CH3(CH215N(CH33Clを用いた場合を例に説明しているが、これに限定するものではなく、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリドと同様の2.7〜2.8nmの細孔径が形成できる界面活性剤であれば他の界面活性剤でもよい。たとえば、ノニオン性界面活性を用いても同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、実施の形態2では、界面活性剤に細孔径2.7〜2.9nmの鋳型となるようにC16TACを用いている場合を例に説明したが、これに限定するものではない。たとえば、細孔径が異なるメソポーラスシリカを作製したい場合には、C12TACやC14TAC、C18TAC等の界面活性剤を用いてもよい。すなわち、実施の形態2に係る吸着フィルタの用途に応じて使い分けるようにすることが可能となっている。
実施の形態2のような吸着フィルタの製造方法によれば、シート31表面に20μm以下の微小粒子となったメソポーラスシリカを噴霧塗布して生成することが可能となる。したがって、従来のフィルタ製造で必須であったメソポーラスシリカの粉砕処理が必要なくなり、その結果として製造コストの低減および製造時間の短時間化が可能となる。また、セラミックスペーパー等のシートに直接噴霧するため、メソポーラスシリカの担持量の制御が極めて容易となった。さらに、得られるメソポーラスシリカは、3次元規則構造性が高く、所定の相対湿度範囲において急峻で、高い水吸着性能を有するものであるとともに、高い再現性によって安定的に製造することが可能となった。なお、このシート31によって、アプリケーションに応じた吸着フィルタを作ることが可能となる。
吸着フィルタの製造方法の一例を示す概略説明図である。 メソポーラスシリカの水蒸気吸着等温線図である。 メソポーラスシリカの細孔パラメータの関係を示す説明図である。 メソポーラスシリカの細孔パラメータの関係を示す説明図である。 吸着フィルタの製造方法の一例を示す概略説明図である。
符号の説明
11 原料混合溶液、12 ポンプ、13 コンプレッサ、14 ヒータ、15 ノズル、16 構造体、20 スプレードライ装置、31 シート。

Claims (7)

  1. 細孔配列が三次元高規則性を有するメソポーラス無機材料を担持した吸着フィルタの製造方法において、
    溶媒中に原料を溶解して原料混合溶液を作製する工程と、
    前記原料混合溶液中の溶媒を揮発させて無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液を作製する工程と、
    前記前駆体溶液をフィルタ基材に添着する工程と、
    前記フィルタ基材に添着した前駆体溶液中に残存している界面活性剤を除去する工程と、を有し、
    前記原料混合溶液は、
    メソポーラス無機材料におけるメソ細孔の鋳型として用いるための界面活性剤と、
    前記界面活性剤を溶解させるためのアルコール溶媒と、
    メソポーラス無機材料における骨格構造を形成するためのテトラエチルオルソシリケート及び硝酸ジルコニルと、
    前記テトラエチルオルソシリケート及び硝酸ジルコニルを加水分解反応させるための酸性水溶液とを混合し、
    前記界面活性剤を1モルとしたとき、前記テトラエチルオルソシリケートと硝酸ジルコニルとの混合モル比率を0.10〜0.30とした
    ことを特徴とする吸着フィルタの製造方法。
  2. 前記前駆体溶液をフィルタ基材に添着する工程において、
    前記前駆体溶液を噴霧し前記フィルタ基材に塗布して添着する
    ことを特徴とする請求項1に記載の吸着フィルタの製造方法。
  3. 前記前駆体溶液を、温度範囲80〜160℃で噴霧する
    ことを特徴とする請求項2に記載の吸着フィルタの製造方法。
  4. 前記前駆体溶液を、圧力範囲0.03〜0.075MPaで噴霧する
    ことを特徴とする請求項2に記載の吸着フィルタの製造方法。
  5. 前記原料混合溶液中の溶媒を揮発させて無機有機複合ナノ構造体の前駆体溶液を形成する工程は、
    前記原料混合溶液を圧力範囲60〜120hPaで減圧して溶媒を揮発させる処理、あるいは、前記原料混合溶液を温度範囲25〜80℃で加熱して溶媒を揮発させる処理のいずれか一方または双方を併用して行う
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸着フィルタの製造方法。
  6. 前記フィルタ基材に添着した前駆体溶液に残存している溶媒及び水分を除去する工程は、
    前記フィルタ基材を溶媒中へ浸漬させて界面活性剤を抽出除去する抽出処理、あるいは、前記フィルタ基材を加熱して界面活性剤を加熱除去する加熱処理のいずれか一方または双方を併用して行う
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸着フィルタの製造方法。
  7. 前記フィルタ基材に添着した前駆体溶液に残存している界面活性剤を除去する工程を、前記抽出処理と前記加熱処理とを併用して行う場合、
    まず抽出除去処理を行い、その後に加熱処理を行う
    ことを特徴とする請求項6に記載の吸着フィルタの製造方法。
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