JP6991557B2 - ペースト茶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はペースト茶の製造方法に関する。
緑茶の風味や香りと共に鮮やかな緑色は消費者に好まれており、緑茶の風味や色合いを加工食品や飲料に添加することができるペースト茶に対する需要がある。そのような目的で使用されるペースト茶は、緑色の変色がなく、且つ香りがよく、粒度が細かいことが求められる。
摘採直後の茶の香りと色は加工するに従い変化する。緑茶の製造は乾燥工程を含み、その間に沸点の低い香り成分は揮散して香りが弱くなってしまう。緑茶エキス粉末や緑茶飲料の製造時にペースト茶や茶搾汁液が使用されるが、それらの製造時においても同様の問題がある。よってそれを改善する手段として、できるだけ乾燥負荷の少ないペースト茶や茶搾汁液の製造方法が検討されている。茶搾汁液に関しては、搾汁後の乾燥だけでなく、冷凍での移送も考慮し技術開発が進んでいる。一方ペースト茶は水溶性のものだけではなく、脂溶性のビタミン類や不溶性の食物繊維も利用することができる点で優れているものの、保存性と含水条件下での粉砕の困難さから技術開発は進んでいなかった。
ペースト茶の製造技術として、特開平9-163930号公報と特願2016-003665号公報に開示された技術を挙げることができる。
特開平9-163930号公報には、茶の生葉を蒸熱して湿式粉砕を行い、これを目開き2mm以下の網目状の篩で裏ごし又は遠心篩機にかけて葉と茎を分離して得るペースト茶の製造方法が開示されている。特開平9-163930号公報に開示されたペースト茶の製造方法においては、目開き2mm以下の篩にかけて葉と茎を分離することにより、ペースト茶の中に含まれる茎や葉脈により食味が悪化することを避けている。特開平9-163930号公報の技術は茶の生葉を蒸熱して酵素を不活化しているために緑茶の鮮やかな色や香りが変化せず、ビタミンCなどの抗酸化成分が劣化しない点において優れている。その一方で目開き2mm以下の篩にかけるという工程は複雑であるために変質を引き起こす懸念があり、茎は粉砕できないので製造中の損失も多い。
特開2017-123790号公報には、殺青後の茶葉を、未粉砕のまま油脂と混合し、液体の状態にある前記油脂の存在下で粉砕する工程を含む、ペースト茶の製造方法が開示されている。特開2017-123790号公報の技術は油中で粉砕することを技術的特徴としており、油に懸濁しているために変色や香りの劣化が抑えられている。しかし油中での粉砕では繊維質の破壊が容易ではなく、微細なペーストを得ることが困難である。加えてこのペーストは油中に懸濁されているために使用方法に限界がある。
なおペースト茶に関連するものではないが、果実や野菜などの食品原料を凍結し、その凍結物を微粉砕したものをアルコール含有溶媒に投入し、食品原料の抽出液を効率的に得る方法が、特開2009-027981号公報に開示されている。特開2009-027981号公報の方法はアルコール含有溶媒の使用が不可欠であるので、やはり使用できる場合は限られてしまう。
特開2009-261256号公報には、野菜及び/又は果実のペーストに糖類を加え、乾燥粉末化した粉末食品が開示されており、野菜及び/又は果実を凍結し、凍結状態で磨砕することにより野菜及び/又は果実のペーストを形成することも開示されている。特開2009-261256号公報には野菜及び/又は果実の鮮やかな呈色を付与することの開示はあるものの、それらの香りについては変化を抑制することを意図しているわけではない。
特開平9-163930号公報 特開2017-123790号公報 特開2009-027981号公報 特開2009-261256号公報
既に述べたように生の茶葉からペースト茶を製造する際に茶葉の乾燥工程は茶の香り成分の揮散を伴うので、できるだけ乾燥を抑えることが好ましい。しかし茶葉には繊維質が多いために、乾燥を抑えて水分含量が多いままで微粉砕することは困難である。よって本発明の課題は、摘採直後の茶の風味や香りと共に鮮やかな緑色を留め、且つ粒度が細かく使用しやすいペースト茶を得るための手段を提供することである。
生茶葉に含まれる酵素を失活する工程を行い、その後に生茶葉を凍結し、凍結状態で粉砕を行うことにより、茶葉特有の着色と香りの変質を防止して、茶特有の色と香りを留めたペースト茶を製造することができる。本発明の方法によれば、緑茶に含有される水分が粉砕効率の向上に寄与するので、茶葉の成分の損失が少ないので、高い生産効率も達成することができる。
本発明は好ましくは以下に記載するような態様により行われるが、これに限定されるものではない。
[態様1]
生茶葉の酵素を失活する工程、失活後の生茶葉を凍結する工程、および凍結状態で生茶葉を粉砕する工程を含むペースト茶の製造方法であって、凍結直前の茶葉の水分量が7%以上である方法。
[態様2]
前記失活する工程の前、同時、またはその後であって、前記凍結する工程前に前記生茶葉を乾燥する工程を更に含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記失活する工程の前に萎凋する工程を更に含む、態様1に記載の方法。
[態様4]
pH調整剤および/または酸化防止剤を添加する工程を更に含む、態様1~態様3のいずれか1に記載の方法。
[態様5]
[態様1]~[態様4]のいずれか1に記載の方法により製造されたペースト茶。
[態様6]
態様5に記載のペースト茶を含む緑茶粉末、緑茶飲料または緑茶含有食品。
本発明の方法によれば、摘栽直後の茶の風味や香りと共に鮮やかな緑色を留め、且つ粒度が細かく使用しやすいペースト茶を製造することができる。
図1は、実施例1、実施例2、比較例1のTICクロマトグラムを示した図である。 図2は、実施例1と実施例3のMICクロマトグラムを示した図である。
以下本発明について詳細に説明する。以下の説明は、本発明を説明することを目的としたものであり、如何なる意味においても本発明を限定することを意図するものではない。
1.本発明の方法について
本発明は、生茶葉の酵素を失活する工程、失活後の生茶葉を凍結する工程、および凍結状態で生茶葉を粉砕する工程を含むペースト茶の製造方法である。本発明の方法において凍結直前の茶葉の水分量は7%以上である。
本発明における「生の茶葉」とは、チャ(カメリア シネンシス)又はその栽培茶変種の若葉であり、加工されていない生の原料である。生の茶葉を殺青、つまり高温で加熱することにより茶葉の酵素が不活化される。本発明における「ペースト茶」は、茶由来の成分を含み、粉末の茶葉が溶媒に分散しているペーストを意味する。本発明において一般的には生の茶葉に由来する水分が溶媒として作用するが、それに限定されるものではない。
本発明において「酵素を失活する工程」とは、生の茶葉を加熱して殺青する工程である。その工程を行うことによって、カテキン酸化酵素による渇変と、香味配糖体の加水分解酵素による香りの変化を抑制することができる。この工程は下記の実施例で述べるように、例えば生の茶葉を蒸熱又は釜炒りすることにより行うことができる。茶葉を蒸熱する時間は特に限定されるものではないが、15秒~2分、好ましくは20秒~1分、より好ましくは30秒である。本発明における「酵素を失活する工程」工程は、茶製品の製造において殺青の目的で一般的に用いられている条件で行うことが可能であり、特定の条件に限定されるものではない。
本発明の方法は上記で述べた「酵素を失活する工程」の後に、「失活後の生茶葉を凍結する工程」を含む。この工程において生茶葉を冷凍する温度は、食品分野で冷凍の目的で通常に用いられている温度で行うことが可能であり、特定の温度に限定されるものではない。好適な態様として下記の実施例で述べるように、生の茶葉を-20℃で冷凍することができる。
その後「凍結状態で生茶葉を粉砕する工程」を行う。本発明で用いられる粉砕手段は、凍結状態の茶葉を粉砕できる手段であればよく、特に限定されるものではない。用いられる粉砕手段の例として、ブレンダー、ミキサー、ミル機、混練機、粉砕機、解砕機などの機器類が挙げられるが、それらに限定されるものではない。なお粉砕を行う間に温度が上昇することを防ぐために、粉砕工程は液体窒素の存在下で行われることが好ましい。粉砕工程を行う温度は特に限定されるものではないが、下記の実施例で述べるように、-50℃以下とすることが好ましい。
なお本発明において凍結工程直前の茶葉の水分量は7%以上であることが必要である。7%とは工場内での茶保存時の茶(荒茶)の水分量であり、保存により吸湿することのない水分量である。市場に流通している茶(仕上茶)は、荒茶を工場内で再度乾燥したものである。なお本明細書における水分量は質量/質量(%)で表された数値である。既に述べたように茶葉を乾燥すると香り成分が揮散するので、できるだけ茶葉の水分量が多い状態で凍結と粉砕を行うことが好ましいが、茶葉は繊維質が多いために水分量が多い状態で微粉砕を行うことは困難である。よって本発明において微粉砕を行うこと可能である限り凍結工程直前の茶葉の水分量は多い方が好ましく、茶葉の水分量が15%以上であることは好適であり、40%以上であることは更に好適である。なお乾燥工程を行わない生の茶葉は80%程度の水分量を有しており、当然に7%以上という水分量の要件を満足している。
更に本発明によれば粒度が細かいペースト茶を製造することが可能である。下記で示す実施例では、本発明の方法を用いれば10μm~40μmの平均粒子径を有するペースト茶が得られた。本発明においてペースト茶の平均粒子径(メジアン径)は10μm~100μm、好ましくは10μm~80μm、より好ましくは10μm~40μmである。なお本発明のペースト茶の粒子径は、島津レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD-3100により測定することができる。
2.生茶葉を乾燥する工程を含む態様について
本発明において生茶葉を乾燥する工程を含んでもよい。なおこの乾燥工程は、失活する工程の前、同時、またはその後であって、凍結工程前に行ってもよい。しかし上記1で述べたように茶葉を乾燥する工程は香り成分の揮発を伴うので、乾燥工程を行っても、凍結直前の茶葉の水分量は7%以上である。
この乾燥を行う手段は特に限定される訳ではないが、空気が流通する条件下に茶葉を放置するなど、本技術分野で一般的に用いられる手段によって行うことができる。
なお本発明の製造工程において、「酵素を失活する工程」の後に、揉捻工程(粗揉、中捻を含む)の工程を行ってもよい。揉捻は緑茶の製造で通常行われる工程であり、圧力をかけて揉むことによって茶葉の組織を破壊して含有成分を浸出しやすくして水分の均一化を図るために行われる。なおこの工程の間に茶葉の乾燥も起こるので、揉捻工程は乾燥工程を兼ねている。なお下記に述べる実施例において実施例2においては、「酵素を失活する工程」の後に粗揉、揉捻、中捻の工程を行っている。実施例1では「酵素を失活する工程」の後に乾燥を行わずに「冷凍状態で粉砕する工程」を行っているが、この実施例において凍結工程直前の茶葉の水分量は80%~85%であると考えられる。一方粗揉、揉捻、中捻を行っている実施例2の場合には、凍結工程直前の茶葉の水分量は20.5%であった。実施例1と実施例2を比較すると乾燥により実施例2では香り成分は減少しているものの穏やかな香味が感じられるという結果が得られた。
3.酵素を失活させる工程の前に萎凋する工程を含む態様について
萎凋は風通しの良い暗所に茶葉を放置し、萎れさせることによって茶葉の酵素による微発酵を促す工程である。萎凋は発酵茶、半発酵茶を製造する紅茶、烏龍茶の製造において用いられる工程であって、緑茶の製造工程では萎凋は行われないことが一般的である。
しかし萎凋を行って茶葉を部分発酵させることにより、通常の緑茶にはない好ましい香りをペースト茶に加えることが可能である。下記で述べる実施例3では酵素を失活させる工程の前に萎凋を行っており、その結果、ヘプタジエナ-ル、ヘキセノール、リナノール、ゲラニオールなど好ましい香り成分の増加が認められた。なお萎凋の工程でも茶葉の水分は減少する。下記の実施例3において凍結工程直前の茶葉の水分量は70%~75%であると考えられる。
4.pH調整剤および/または酸化防止剤を添加する工程を含む態様について
本発明の1態様においては、凍結状態で粉砕する工程においてpH調整剤、酸化防止剤、またはその両方の添加を行う。pH調整剤および/または酸化防止剤を添加することにより、茶葉の変色や香り成分の揮散を防ぐことができる。本発明で使用されるpH調整剤と酸化防止剤は、食品分野で一般的に使用されるものであれば特に限定されるものではない。
具体的には本発明で使用されるpH調整剤として、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどを挙げることが挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
更に本発明で使用される酸化防止剤として、ビタミンE、ビタミンC、エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、カテキンなどを挙げることができるか、それらに限定されるものではない。
5.本発明で得られるペースト茶について
更に本発明は上記で述べた方法で得られたペースト茶を包含する。即ち本発明は1態様において、本発明の方法によって製造されたペースト茶を提供する。本発明の方法は製造中に起こる変色や香り成分の損失が少なく、茶本来の風味を損なわないペースト茶を提供することが可能である。
本発明のペースト茶は水、湯、茶に添加して飲用に供することができる。更に本発明のペースト茶を下記の6において述べるように、緑茶粉末、緑茶飲料または緑茶含有食品として使用することもできる。
6.本発明のペースト茶を含む緑茶粉末、緑茶飲料または緑茶含有食品について
更に本発明の方法によりペースト茶を製造することにより、加工食品や飲料に緑茶の風味や色合いを添加することができる材料を低コストで提供することができる。よって本発明は、本発明のペースト茶を含む緑茶粉末、緑茶飲料または緑茶含有食品を包含する。本発明のペースト茶を乾燥させることにより緑茶粉末を得ることができる。また本発明のペースト茶を種々の飲料に添加して、緑茶飲料を製造することができる。また、本発明のペースト茶を他の食材、例えば焼菓子の生地や羊羹、プリン等の水菓子、アイスクリーム等の氷菓子の原料と混合して、緑茶風味の食品を製造することもできる。また、乳化剤や油脂を混合して食品材料にすることもできる。
以下本発明の好適な実施例について具体的に説明する。
1.実施例1~3と比較例1~6のペースト茶の製造
(実施例1)
30秒間水蒸気にて蒸熱した茶の生葉5kgを-20℃で凍結し、液体窒素下にて粉砕し、4.7kgのペースト茶を得た。平均粒子径は34.3μmであった。粉砕時間中、温度は-50℃以下になるように液体窒素流量を調整した。1時間あたり90kg程度のペースト茶を生産することができた。なお、この実施例において凍結工程直前の茶葉の水分量は80%~85%であった。
(実施例2)
30秒間水蒸気にて蒸熱した茶の生葉5kgを、通常の工程通り、粗揉、揉捻、中揉を行い、1.1kgの茶を得た。平均粒子径は28.4μmであった。茶葉の質量が減少していることから判るように、粗揉、揉捻、中揉の工程において茶葉の乾燥が起こっている。凍結粉砕前の茶葉の水分量は20.5%であった。凍結した茶葉を液体窒素下にて粉砕し、1.05kgのペースト茶を得た。粉砕時間中、温度は-50℃以下になるように液体窒素流量を調整した。
(実施例3)
生の茶葉5kgを竹製むしろに薄く広げ、室温(25℃付近)で18時間乾燥することにより萎凋を行った。萎凋後に茶葉の質量は3kgに減少していた。萎凋後に茶葉を30秒間水蒸気にて蒸熱した後、-20℃で凍結し、液体窒素下にて粉砕し、2.7kgのペースト茶を得た。平均粒子径は34.0μmであった。粉砕時間中、温度は-50℃以下になるように液体窒素流量を調整した。この実施例において凍結工程直前の茶葉の水分量は70%~75%であった。
(比較例1)
30秒間水蒸気にて蒸熱した茶の生葉5kgを通常の工程通り、粗揉、揉捻、中揉、精揉を行った後乾燥し、0.9kgの荒茶を得た。凍結粉砕を行う前の茶葉の水分量は4.5%であった。液体窒素下にて粉砕し、0.85gの粉末を得た。粉砕時間中、温度は-50℃以下になるように液体窒素流量を調整した。平均粒子径は35.1μmであった。
(比較例2)
30秒間水蒸気にて蒸熱した茶の生葉500gをミキサーで粉砕した。水を添加しないと粉砕が進まないために、水を300ml添加してさらに粉砕した。これを目開き1mmの標準篩にあけ、ゴムベラで裏ごしを行い、500gの濃緑色のペースト茶を得た。粒度分布は60μmと400μmの2か所に山があり、均一な粉砕ではなかった。平均粒子径は185μmであった。
(比較例3)
30秒間水蒸気にて蒸熱した茶の生葉5kgを、通常の工程通り、粗揉、揉捻、中揉、精揉を行った後乾燥し、0.9kgの乾燥茶葉を得た。乾燥茶葉2gに水50gを加え、凍結後、ミキサーにて砕氷粉砕、ろ過し、液35gを得た。
(比較例4)
凍結させた生茶葉100gに冷水400g(0℃)とL-アスコルビン酸0.1mgを混合し、ミキサーにて60秒間粉砕搾汁し、420gの液を得た。最初、生茶葉だけでは強い青臭味はしなかったが、粉砕により青臭味が増加した。さらに、粉砕時間が長くなるにつれて赤味が増加し、花のような香りがしてきた。
(比較例5)
一番茶期に摘採された煎茶用茶生葉1kgを水蒸気で50秒間蒸した。急冷後、葉を粉砕機で細断し、圧搾袋に詰め、圧搾機を用いて170kgf/cm2 の圧力で圧搾した。濃緑色で粘性のある搾汁液が300g得られた。
(比較例6)
生葉の5kgを竹製むしろに薄く広げ、室温(25℃付近)で18時間乾燥した。茶葉の質量は3kgに減少していた。釜で殺青後、揉みながら乾燥し、0.9kgの乾燥茶葉を得た。この茶葉を凍結粉砕して粉末を得た。凍結粉砕前の茶葉の水分量は4.7%であった。平均粒子径は30.3μmであった。
(比較例7)
30秒間水蒸気にて蒸熱した茶の生葉5kgを通常の工程通り、粗揉、揉捻、中揉を行った後乾燥し、1.1kgの乾燥茶葉を得た。乾燥茶葉10gに植物油10gを加え、懸濁後ミキサーにて粉砕し、17gのペースト茶を得た。平均粒子径は123μmであった。
2.得られたペースト茶の官能評価
(1)実施例1~3および比較例1と6の比較
実施例1~3で得られたペースト茶および比較例1と6で得られた粉末の各2gを熱湯100mlに溶かして官能評価を行った。これらの実施例と比較例は全て5kgの生の茶葉を原料としてペースト茶を製造したが、沈査量が異なっていることに示されるように得られたペースト茶の濃度にはバラツキがある。それにもかかわらず、実施例1は香りも渋みも強く感じられた。実施例1と2を比較すると香味が穏やかになっていることがわかる。さらに、実施例3は萎凋により香味が変化して青みがあるが爽やかさが増しており、より好ましい香りに変化している。一方比較例1と6で得られた粉末においては青い香りは弱かった。
Figure 0006991557000001
(2)実施例1、実施例3と比較例3~5の比較
更に実施例1、実施例3で得られたペースト茶と、比較例3~5で得られた搾汁液を熱湯に溶かして評価した。実施例1のペースト茶10.4g、実施例3のペースト茶5.2gを50mlに希釈したもの、比較例3及び比較例4の搾汁液9.3g、比較例5の搾汁液1.2gを50mlに希釈したものを比較した。濃度をそろえるために上記で述べたようにペースト茶を希釈した。
Figure 0006991557000002
実施例1と比較例3、比較例4、比較例5の4種類を比較したところ、比較例3は適度な青みと旨みがありおいしかったが、青みエキスとするには香りと味が弱かった。比較例4は花のような青い香りがあったが、収れん味が強く、徐々に赤色が強くなった。比較例5では青い香りが維持されていたが、色としては実施例のほうが格段に鮮やかであった。
実施例3と比較例4を比較したところ、花のような青い香りも実施例3のほうが維持されていた。さらに、色は実施例3のほうが格段に鮮やかであった。
(3)実施例1と比較例2の比較
比較例2で得られたペースト茶は特開平9-163930号と同様に、篩にかけて葉と茎を分離している。比較例2で得られたペースト茶と実施例1で得られたペースト茶を比較すると、比較例2のペースト茶では茎が粉砕できていないのに対して実施例1のペースト茶は滑らかであった。茎にはテアニン等のアミノ酸が特異的に含まれていることから、実施例1のペースト茶ではアミノ酸が増加していることが推測できる。
3.ガスクロマトグラフィー質量分析による香気成分の測定
(1)測定方法
各サンプルを適宜希釈し、20mLバイアルにサンプルを1.5gと水5mLを入れ抽出用サンプルとした。抽出操作は固相マイクロ抽出(SPME)ファイバー(シグマアルドリッチ社製,FIB-CWR-95/10-P3)を用い、60℃にて30分間抽出した。得られたサンプルを以下の条件によりガスクロマトグラフィー質量分析に供した。
ガスクロマトグラフィー条件:
使用機器:AOC6000(島津製作所製)
インジェクション:スプリットレスモード
注入口温度:240℃
カラム:HR-20M 30m×0.32mm×0.5μm
キャリア:ヘリウム
オーブン温度:35℃~10℃/min~240℃
質量分析条件:
使用機器:AOC6000(島津製作所製)
イオン化方式:電子イオン化(EI)法
測定範囲: m/z35-350
(2)測定結果
実施例1、2と比較例1のTICクロマトグラムにより香り成分を検出した結果を図1に示す。図1において上のチャートが実施例1のクロマトグラムであり、真ん中のチャートが実施例2のクロマトグラムであり、下のチャートが比較例1のクロマトグラムである。
図1のクロマトグラムに示されるとおり、実施例1は最も大きなピークが得られ、香り成分が豊富であることが示された。それに対し、実施例2ではピークの大きさは減少し、比較例1ではピークの大きさは更に減少した。この結果から、香り成分は当然原料の乾燥と共に減少していくことが示された。保持時間(RT)4.3付近のピークは実施例2で増加しているが、そのピークは加熱分解により生じるジメチルスルフィドに対応している。
さらに、実施例1と実施例3の違いについてm/z60-350のMICクロマトグラムを図2に示す。図2において上のチャートが実施例1のクロマトグラムであり、下のチャートが実施例3のクロマトグラムである。
実施例1と実施例3の比較から、質量が60%に減少しているにもかかわらず、香気成分の大きな減少は認められなかった。さらに、発酵により実施例3では、RT9.0、10.8、17.2、22.0のピークが増加している。これらは萎凋による茶葉の発酵により生成した香り成分のピークである。これらのピークはヘプタジエナール、ヘキセノール、リナロール、ゲラニオールに由来すると推測され、これらの成分は発酵した茶葉の好ましい香りに関係していると考えられる。
4.実施例で作製したペースト茶を用いた飲料の官能評価
(実施例4)
茶葉10gに温水1Lを加えて得られた茶抽出液に、実施例1のペースト茶を0.5g添加すると青臭味が増加した。この抽出液を加圧加熱して殺菌することも可能である。
(実施例5)
デキストリン、ビタミンC添加、緑茶抽出粉末(インスタント緑茶)100gに実施例1のペースト茶を1g混合した。混合前後の緑茶抽出粉末1gを熱湯100gに溶かして飲んだところ、混合前に比べて、爽快さが増し、きりっとした煎茶らしい味わいとなった。
(実施例6)
デキストリン、ビタミンC添加、緑茶抽出粉末(インスタント緑茶)100gに実施例3のペースト茶を1g混合した。実施例5と同様に混合前後を比較すると、混合前に比べて、爽快さに加えて、ほのかな甘やかな香りがした。味が複雑になり、嗜好性が増した。

Claims (6)

  1. 生茶葉の酵素を失活する工程、失活後の生茶葉を凍結する工程、および凍結状態生茶葉を液体窒素存在下で粉砕する工程を含むペースト茶の製造方法であって、凍結直前の茶葉の水分量が7%以上である方法。
  2. 前記失活する工程の前、同時、またはその後であって、前記凍結する工程前に前記生茶葉を乾燥する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記失活する工程の前に萎凋する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  4. pH調整剤および/または酸化防止剤を添加する工程を更に含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法により製造されたペースト茶。
  6. 請求項5に記載のペースト茶を含む緑茶粉末、緑茶飲料または緑茶含有食品。
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