JP2017123790A - 茶含有組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 摘栽直後の茶の風味や香りを留めた、茶ペースト又はエキスを製造する方法を提供することが、本発明の課題である。【解決手段】 生茶葉から茶を製造する工程途上の茶葉を食用油等の脂溶性の高い食品と共に粉砕することにより、加工しても香りや色をとどめた茶ペースト又はエキスを製造することができる。【選択図】 なし

Description

本発明は茶含有組成物の製造方法に関する。
生茶葉を殺青してから乾燥することにより緑茶が得られる。緑茶は、その風味や香りと共に鮮やかな緑色が好まれている。そのため、鮮やかな緑色を維持した緑茶を製造することを目的として、種々の製茶技術が検討されてきた。しかし最終的に保存のために乾燥する工程を含むために、乾燥と同時に茶葉の青色が劣化し赤みが増すことや、茶葉の青い香りが揮発して消失することは止められなかった。
なお、特開2006−141291号公報には、大葉などの緑黄色野菜を食用油中で粉砕し、粉砕した緑黄色野菜を製造すると、緑黄色野菜組織が食用油によりマスキングされ、色彩や香味風味を長期に亘って保持できることが開示されている。特開2006−141291号公報には生の緑黄色野菜を食用油中で粉砕することが開示されているものの、茶葉に関する開示はない。更にこの方法のように食用油につけるだけでは長時間保管することは困難であり、加熱すると青色が劣化し赤みが増すことは抑えられない。更に雑菌の繁殖も抑えられない。
緑茶は常温での保存が可能であるが、粉砕した緑茶(抹茶)の場合には表面積が増え、酸素に触れる面が増加するために、保存可能期間が3分の1程度になる。そのような抹茶の劣化を抑制するために、油で抹茶をマスキングする技術や抹茶を油でコーティングする技術が報告されている。そのような先行技術として、特開平7−79702号公報には、粉末抹茶を油中で混合して抹茶ペーストを製造することが開示されている。特開2008−188010号公報には、抹茶などの油脂性素材を油脂及び親油性乳化剤に分散した脂溶性素材分散油と、糖質を水及び親油性乳化剤に分散させた糖質水分散液を混合して、油脂を糖質で被覆した分散液を作製することが開示されている。
更なる改良技術として特開2001−107号公報、特開2003−092988号公報、特開2006−249078号公報には、粉砕した茶葉を食用油または食用油脂と共に粉砕することが開示されている。これらの先行技術においては、予め茶葉の粉砕を行った後に食用油または食用油脂中で処理を行っている。
なお、特開2001−192695号公報、特開2010−063384号公報、特開2010−259428号公報には、食用油中で茶葉を抽出することが開示されている。これらの文献では抽出を行うことを開示しており、粉砕を行ったものではない。
特開2006−141291号公報 特開平7−79702号公報 特開2008−188010号公報 特開2001−107号公報 特開2003−092988号公報 特開2006−249078号公報 特開2001−192695号公報 特開2010−063384号公報 特開2010−259428号公報
摘栽直後から茶の香りと色は加工するに従って変化する。茶に特有の問題として、カテキン酸化酵素による渇変と、香味配糖体の加水分解酵素による香りの変化がある。それを防ぐために酵素を失活させてから乾燥するという製茶方法が開発された。
また通常販売されている緑茶は水分含量5%以下に乾燥されているため、常温保管が可能である。また粉砕も容易であり、微粉砕も可能である。しかし、乾燥により茶葉の緑色が失われることや、粉砕により空気と同時に熱にさらされるため茶の品質が劣化することは避けられない。緑茶を微粉砕すると表面積が増加し、空気中での劣化が進みやすくなる。
緑茶の粉砕法は連続式とバッチ式の2つがある。石臼のように連続式の粉砕機による微粉砕では熱や空気にさらされる時間が短く品質は劣化しないが、1時間で40g程度しか粉砕できない。多量粉砕のため、ボールミル等のバッチ式の粉砕機が検討されているが、熱や空気のため茶の品質が劣化することは避けられない。
さらに、粉末茶の一般生菌を減らすため、水分量が多い状態で加熱すると80℃ 10分程度でも茶褐色に変色することが知られている。
そこで、本発明は、摘栽直後の茶の風味や香りと共に鮮やかな緑色を留めて、かつ一般生菌数を減らした茶含有組成物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の方法によれば、生茶葉から茶を製造する工程途上の茶葉を油脂の存在下で粉砕加工することにより、加熱などの加工をしても香りや色を留めた茶含有組成物を製造することができる。
本発明は好ましくは以下に記載するような態様により行われるが、これに限定されるものではない。
[態様1]
殺青後の茶葉を、未粉砕のまま油脂と混合し、液体の状態にある前記油脂の存在下で粉砕する工程を含む、茶含有組成物の製造方法。
[態様2]
殺青後の前記茶葉は緑茶である、態様1に記載の方法。
[態様3]
殺青後の前記茶葉を前記油脂の存在下で粉砕する前に乾燥する工程を含まない、態様1に記載の方法。
[態様4]
前記茶葉を粉砕する工程に先立ち、殺青した前記茶葉を乾燥させる工程を更に含み、乾燥させた前記茶葉を前記油脂の存在下で粉砕する態様1に記載の方法。
[態様5]
前記茶葉を、前記油脂に加え、酸化防止剤及び乳化剤の少なくとも一方と更に混合し、前記茶葉を、液体の状態にある前記油脂と、前記酸化防止剤及び前記乳化剤の少なくとも一方との存在下で粉砕する態様1から態様4のいずれか1に記載の方法。
[態様6]
殺青した前記茶葉を、水分量が5乃至70質量%の範囲内になるように乾燥させる態様4に記載の方法。
[態様7]
殺青した前記茶葉を、水分量が7乃至70質量%の範囲内になるように乾燥させる態様4に記載の方法。
[態様8]
前記油脂と混合した後に、粉砕した茶葉の水分含量が20%以下である態様1から態様7のいずれか1に記載の方法。
[態様9]
態様1から態様8のいずれか1項に記載の方法によって製造された茶含有組成物。
本発明の方法によれば、摘栽直後の茶の風味や香りと共に鮮やかな緑色を留めた茶含有組成物を製造することができる。
図1は、ペースト中の水分量を横軸に、80℃10分加熱によるペーストのA値の変化を縦軸にプロットしたグラフである。
以下本発明について詳細に説明する。以下の説明は、本発明を説明することを目的としたものであり、如何なる意味においても本発明を限定することを意図するものではない。
(1)本発明の方法について
本発明は、殺青後の茶葉を、未粉砕のまま油脂と混合し、液体の状態にある前記油脂の存在下で粉砕する工程を含んだ茶含有組成物の製造方法である。
本発明における「生の茶葉」とは、チャ(カメリア シネンシス)又はその栽培茶変種の若葉であり、加工されていない生の原料である。「生の茶葉」は加熱処理が行なわれていないことから通常100-1000万個/g程度の一般生菌が存在している。荒茶製造時に生の茶葉を殺青、つまり高温で加熱することにより、一般生菌は減少し、さらに、乾燥することにより、さらに一般生菌は減少する。なお本発明において茶の水分量は非常に大きい意味を持つ。そこで、本発明においては、流通による香味劣化及び衛生状態の劣化を防ぐ目的で充分に乾燥し仕上げたものを「緑茶」とする。特に、本発明における「緑茶」の水分量は5%以下である。(「緑茶」の規定の明確化のためにこの記載は残した方が良いと考えますが、如何でしょうか。鈴榮コメント)本発明における「茶葉」は生茶葉から緑茶までの製造工程上のものをいう。以下本願明細書において「生の茶葉」、「緑茶」、「茶葉」は上記で述べた定義に従う。
本発明において「殺青する」とは、生の茶葉を加熱することである。その工程によって、カテキン酸化酵素による渇変と、香味配糖体の加水分解酵素による香りの変化を抑制することができる。この工程は下記の実施例で述べるように、例えば生の茶葉を蒸気で30秒蒸すことにより行うことができるが、本発明における「殺青する」工程は、茶製品の製造において一般的に用いられている条件で行うことが可能であり、特定の条件に限定されるものではない。
本発明における「茶含有組成物」は、茶由来の成分を含んでいる組成物を広く包含するものであるが、典型的には粉末の茶葉が液体の油脂に分散した分散液又はペーストである。そのような茶の分散液やペーストは、他の食材、例えば焼菓子の生地や羊羹、プリン等の水菓子、アイスクリーム等の氷菓子の原料と混合して使用することができる。焼菓子では加工工程で高温になることが予測され、水菓子等では衛生確保のために加熱殺菌が必須であり、熱で変色しないことが必要とされる。氷菓子のように加熱せずに使用する場合は、一般生菌数が3000個/g以下と衛生的なペーストであることが必要とされる。
本発明における「油脂」は、茶を粉砕加工する際に存在して、茶組織をマスキングする作用を有する。本発明で用いられる油脂として、食用油、ポリエチレングリコール、グリセリン等を挙ることができる。本発明の油脂は茶組織をマスキングするものであれば特に限定されるものではなく、常温で固体である油脂も包含する。しかし本発明の油脂は好ましくは常温において液体である油脂であり、液体油脂の中に緑茶を混合して粉砕加工を行う。本発明の方法によれば、茶葉と油脂と混合しているために、多量粉砕を行うことが可能であり、且つそれによって茶の品質が劣化することがない。
更に本発明に用いられる油脂は好ましくは食用油脂であり、具体的には大豆油、ナタネ油、綿実油、コメ油、トウモロコシ油、ゴマ油、落花生油、ヒマワリ油、サフラワー油、椿油、オリーブ油、アマニ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、カカオ脂、バター等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。特に、キヤノーラ油、サラダ油、オリーブ油等と称される食用油やバターをブレンドした食用油の使用が好ましい。上記の油脂と共に粉砕された茶組織はマスキングされているために、加熱しても色が変わりにくいという利点がある。
油脂と混合する茶葉に含まれる水分量と油脂の質量との比は、1:1000乃至1:3の範囲内、好ましくは1:20乃至1:4の範囲内であるが、それらに限定されるものではない。
本発明で用いられる粉砕手段は、油脂の存在下で茶を粉砕できる手段であればよく、特に限定されるものではない。用いられる粉砕手段の例として、ブレンダー、ミキサー、ミル機、混練機、粉砕機、解砕機などの機器類が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
本発明の方法において、好ましくは80℃以下、より好ましくは20℃乃至80℃の範囲内の温度で前記茶葉を粉砕するが、それらの限定されるものではない。
(2)茶葉として緑茶を用いる態様について
本発明の1態様において前記茶葉は緑茶である。既に述べたように緑茶は、茶葉の殺青及び十分な乾燥を行った製品である。下記の実施例1において、緑茶を植物油でコーティングした後、粉砕を行いペースト状にすることにより緑茶の劣化が抑えられることが示されている。比較例1では緑茶を粉砕した後に植物油と混合しているが、それとの比較より、植物油で緑茶をコーティングして粉砕を行うことの効果は明らかである。
(3)殺青の後に乾燥を行わない茶葉を用いる態様について
本発明の1態様において、茶葉は殺青の後に乾燥を行わない未乾燥品である。下記の実施例2では加熱により茶葉の酵素を失活させてから、粉砕していない茶葉を油でマスキングして粉砕した。これにより実施例2ではきれいな茶緑色が維持され、菌の繁殖も食品として適切な範囲内に抑えられた。一方比較例2−1では生の茶葉を加熱することなく油中で粉砕した。比較例2−1で得られたペーストは一般生菌数の数が多く食品として衛生面で問題があった。この結果は本発明の第2の態様において、生の茶葉を「殺青する」工程が必要であることを示している。
(4)殺青の後に乾燥を行なった茶葉を用いる態様について
本発明の1態様においては、茶葉を粉砕する工程に先立ち、殺青した茶葉を乾燥させる工程を更に含み、乾燥させた前記茶葉を前記油脂の存在下で粉砕する。
殺青した生の茶葉は水分量が80%程度と微生物の繁殖に適しており、乾燥することにより水分活性を下げることが必要とされている。一般的に水分量5%以下にしないとカビ等の微生物の増殖は抑制できないとされている。また、乾燥していない茶葉は非常に粉砕しにくく、且つ、粉砕や加熱により、変色、変質等の劣化が起こる。例えば、実施例2では80℃ 10分の加熱において、色差(A値)が4.0近く上昇している。
しかし、茶葉の乾燥を行うと、茶の香味成分の蒸発や、茶葉の褐変が起こることが懸念される。検討の結果、香味成分の蒸発や加熱による変色は、水分の蒸発が盛んなときには少ないことから、油脂の存在下で粉砕することにより、茶葉の水分量を5%まで下げなくても加熱加工により、衛生的な保管が可能になることを見出した。例えば、実施例1と実施例3−5を比較したとき、茶葉の水分量は5%と7%とわずか2%しか変わらないが、油と混合後の色差は−1.4と−5.4と大きく異なる。油と混合後のペーストの水分量はどちらも0.7%以下である。
よって本発明のこの態様においては粉砕加工を行う前に、茶葉の乾燥を行う。本発明のこの態様において粉砕加工前の茶葉の水分量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、更に好ましくは7%以下、更に好ましくは5%以下である。また本発明は、殺青した茶葉を水分量が5%乃至70%の範囲内になるように乾燥する態様、水分量が7%乃至70%の範囲内になるように乾燥する態様、水分量が5%以下になるように乾燥する態様を包含する。(請求項6、請求項7に対応する記載を追加しました。鈴榮コメント)茶葉の乾燥により、加熱による茶葉の劣化が抑えられることは実施例2と実施例3−1から3−5の比較で明らかである。
本発明において乾燥を行う手段は、食品分野で一般的に用いられているものであれば何でもよく、特に限定されるものではない。乾燥を行う条件も特に限定されるものではない。例えば好ましくは茶葉の温度を60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下に加熱する、という条件下で乾燥を行うことができる。さらに、通風条件下で乾燥すれば熱を加えても、水の蒸発により熱が消費されるため茶葉の温度が上昇しない。
下記の実施例3−1から実施例3−5では、粉砕加工を行う前に乾燥を行っている。実施例3−1から実施例3−5で得られたペーストの色は乾燥を行っていない実施例2と比較して少し悪くなったが、茶ペーストを加熱しても色の劣化は少なかった。よって青殺後に茶葉を乾燥する工程を加えても、最終製品の色は乾燥工程を含まない場合と比べて遜色がないことが示された。
比較例3は、殺青後の乾燥工程の後、サラダ油を加えて粉砕加工する前に、粉砕工程を加えたこと以外には、実施例3−5と同じ条件で行っている。比較例3で得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストは緑茶色であり、実施例3−5よりも黒味が強く、色の劣化が認められた。よって本発明において、油脂中で粉砕する前に粉砕する工程を含まないこと、即ち粉砕していない茶葉を油脂中で粉砕加工することの利点は明らかである。
(5)油脂に酸化防止剤または乳化剤を添加する態様について
本発明の1態様においては、油脂への酸化防止剤、乳化剤、またはその両方の添加を行う。
本発明で回避するべき茶の褐変反応は、加水分解反応である。よって乳化剤の添加により、茶葉中に存在していた水を、加水分解反応を生じる物質から隔離することができ、加水分解反応を抑制することができる。そのことは、乳化剤であるリュートーシュガーエステルS−370を添加した下記の実施例4−1〜実施例4−3と、リュートーシュガーエステルS−1170を添加した下記の実施例4−4に示されている。またその際に酸化防止剤の使用により色の劣化が抑制できる。
本発明で使用される乳化剤は、食品分野で一般的に使用されるものであれば特に限定されるものではない。具体的にはグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、サポニン、カゼインナトリウムなどがある。脂溶性物質が多いことから、W/O型の乳化剤が望ましい結果を得られる可能性が高い。実施例で使用したショ糖脂肪酸エステルの1つであるリュートーシュガーエステルS−370やリュートーシュガーエステルS−1170を使用することができるが、それらに限定されるものではない。
本発明で使用される酸化防止剤も、食品分野で一般的に使用されるものであれば特に限定されるものではない。具体的にはビタミンE、ビタミンC、エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、カテキンなどを使用することができるか、それらに限定されるものではない。
(6)本願発明で得られる茶含有組成物について
更に本発明は、上記の方法で得られた茶含有組成物を包含する。即ち本発明は1態様において、本発明の方法によって製造された茶含有組成物を提供する。(新たに作成した請求項9に相当する記載です。鈴榮コメント)本発明の方法で得られた茶含有組成物は製造中に起こる褐変が少なく、茶葉の緑色を留めている。特に、衛生確保のために加熱殺菌が必要な場合でも、大きな品質劣化がない。下記の実施例においては、得られたペーストについて80℃で10分間保管を行っている。
本技術分野で色を客観的に測定する指標として、色差を用いることができる。物体色の色差を表示する方法は、日本工業規格(JIS)Z8730に記載されている。物体色の色差は、JISZ8722に規定する分光測色方法に従い、日本電色工業株式会社製の分光色差計SE6000により測定し、色差式を用いて求める。
色差を用いると、標準とする白板を基準に、A値、B値という色彩を表す指標と、L値という白と黒を表す指標(明度)の差異により、全ての色を表示することができる。色彩を表す指標のうち、A値はプラスで赤を示し、マイナスで緑を示し、B値は青と黄を示す。緑茶の場合には、熱や酸化により変質すると褐変し赤みが増すために、A値は低い方が好ましい。当然使用した生の茶葉の品質によりA値は異なる。今回使用した生の茶葉は煎茶であったため、粉砕した茶葉に油脂を混合したペーストの自体の色差は比較例1に示すとおり、−0.28であった。そのA値は乾燥により上昇するものであるため、乾燥が不十分であると小さくなる。しかし、衛生管理のための殺菌のための加熱処理により、A値が増加する。本発明の方法により得られた茶含有組成物はA値が−0.28以下であり、褐変が起こっておらず、望ましい緑色を維持している。
さらに、熱による色の劣化においてはA値の変化が4以下である場合、より好ましくは2以下である場合、熱による色の劣化はない。本発明の方法により得られた茶含有組成物は熱による色の劣化が起こっておらず、望ましい緑色を維持している。
また本発明の方法で得られた茶含有組成物の水分量は、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下、更に好ましくは10%以下である。下記の実施例で作製したペースト状の茶含有組成物の水分量と、それを80℃10分間加熱した際のA値の変化をプロットしたグラフを図1に示す。図1より、茶含有組成物の水分量が増加するのに比例して80℃10分間加熱した際にA値の上昇が大きくなったが、20%以上の場合にはその傾向は顕著であった。よって本発明の方法で得られる茶含有組成物の水分量は、20%以下であることが好適である。
[実施例1]
緑茶10gとサラダ油100gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け緑茶ペーストは、黒味がかった若草色で、緑茶らしい香がした。色差を測定したところ、A値は−1.36であり、一般生菌数は3000であり、水分量は0.5%であった。このペーストは比較例1と比較して色鮮やかであった。
[実施例2]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50gにサラダ油100gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストは鮮やかな若草色で、青い生葉の香がした。色差を測定したところ、A値は−12.2であり、一般生菌数は30000であり、水分量は27%であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、若草色を維持したが、色差のA値は−8.4に、一般生菌数は2600に減少した。
[実施例3−1]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50gを揉みながら乾燥し35gになったところで、サラダ油100gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストは、若草色で、青い香がした。色差を測定したところ、A値は−10.6であり、一般生菌数は19000であり、水分量は18%であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、色差のA値は−8.6に、一般生菌数は3000に減少した。実施例3−1のペーストのA値は実施例2よりも小さかったが、ペーストを加熱した後の最終製品のA値は実施例2と同等であった。
[実施例3−2]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50gを揉みながら乾燥し30gになったところで、サラダ油100gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストの色差を測定したところ、A値は−9.5であり、水分量は14%であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、色差のA値は−6.0になった。
[実施例3−3]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50gを揉みながら乾燥し、17.5gになったところで、サラダ油100gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストの色差を測定したところ、A値は−7.9であり、水分量は8.3%であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、色差のA値は−6.0に減少した。
[実施例3−4]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50gを揉みながら乾燥し15gになったところで、サラダ油100gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストの色差を測定したところ、A値は−6.47であり、水分量は4.6%であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、色差のA値は−4.78に減少した。
[実施例3−5]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50gを揉みながら乾燥し11gになったところで、サラダ油100gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストの色差を測定したところ、A値は−5.38であり、水分量は0.7%であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、色差のA値は−3.44に減少した。
[実施例4−1]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50g、サラダ油100gと乳化剤(リュートーシュガーエステルS−370)2gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストは、鮮やかな若草色で、青い生葉の香がした。色差を測定したところ、A値は−12.2であり、一般性菌数は18500であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、色差のA値は−9.3に、一般生菌数は3000に減少した。
[実施例4−2]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50gを揉みながら乾燥し35gになったところで、サラダ油100gと乳化剤(リュートーシュガーエステルS−370)2gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストの色差を測定したところ、A値は−10.5であり、一般性菌数は18500であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、色差のA値は−9.1に、一般生菌数は3000に減少した。
[実施例4−3]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50gを揉みながら乾燥し15gになったところで、サラダ油100gと乳化剤(リュートーシュガーエステルS−370)2gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストの色差を測定したところ、A値は−7.2であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、色差のA値は−6.4に減少した。
[実施例4−4]
市販の緑茶 10gにサラダ油100gと乳化剤(リュートーシュガーエステルS−1170)2gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストの色差を測定したところ、A値は−1.3であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、色差のA値は−0.0に減少した。
比較例
[比較例1]
緑茶1kgをボールミルで1時間粉砕し、得られた緑茶粉砕物10gとサラダ油100gをブレンダーに入れて混合した。得られたサラダ油緑茶ペースト中の水分量は0.5%であり、外観及び香味は、赤黒味がかった若草色で、少し変質した香がした。色差を測定したところ、A値は−0.28であり、一般生菌数は3000であった。
[比較例2−1]
茶の生葉50gに、サラダ油100gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで粉砕した。得られたサラダ油漬け生茶葉ペーストは、黒味がかった若草色で、花のような発酵香の香がした。色差を測定したところ、A値は−7.6であり、一般生菌数は6300000であった。得られたペーストを80℃で10分加熱したところ、色差のA値は−2.6に、一般生菌数は750000に減少した。このペーストは褐色であり、衛生的なものとも言えないため、食品としての使用は問題があると判断した。
[比較例2−2]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50gに、サラダ油100gをブレンダーに入れて混合し、粉砕を試みた。しかし柔らかすぎたために、粉砕ができなかった。粉砕できなかったためにサラダ油によるマスキングが起こらず、保存中に空気に触れることにより劣化すると思われる。
[比較例3]
茶の生葉を蒸気で30秒蒸したもの50gを揉みながら乾燥し11gになったところで粉砕をした。粉砕後の蒸茶葉にサラダ油100gをブレンダーに入れて混合し、ペースト状になるまで更に粉砕した。得られたサラダ油漬け蒸茶葉ペーストは緑茶色であり、実施例3−4よりも黒味が強かった。色差を測定したところ、A値は−2.36であり、水分量は0.7%であった。
なお表1の中から、実施例1、実施例2、実施例3−1乃至実施例3−5の、ペースト中の水分量、ペーストのA値、80℃10分加熱後のペーストのA値、80℃10分加熱によるペーストのA値の変化の各値を抜き出した表を、下記の表2に示す。更に、ペースト中の水分量を横軸に、80℃10分加熱によるペーストのA値の変化を縦軸にプロットしたグラフを図1に示す。

Claims (9)

  1. 殺青後の茶葉を、未粉砕のまま油脂と混合し、液体の状態にある前記油脂の存在下で粉砕する工程を含む、茶含有組成物の製造方法。
  2. 殺青後の前記茶葉は緑茶である請求項1に記載の方法。
  3. 殺青後の前記茶葉を前記油脂の存在下で粉砕する前に乾燥する工程を含まない、請求項1に記載の方法。
  4. 前記茶葉を粉砕する工程に先立ち、殺青した前記茶葉を乾燥させる工程を更に含み、乾燥させた前記茶葉を前記油脂の存在下で粉砕する請求項1に記載の方法。
  5. 前記茶葉を、前記油脂に加え、酸化防止剤及び乳化剤の少なくとも一方と更に混合し、前記茶葉を、液体の状態にある前記油脂と、前記酸化防止剤及び前記乳化剤の少なくとも一方との存在下で粉砕する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 殺青した前記茶葉を、水分量が5乃至70質量%の範囲内になるように乾燥させる請求項4に記載の方法。
  7. 殺青した前記茶葉を、水分量が7乃至70質量%の範囲内になるように乾燥させる請求項4に記載の方法。
  8. 前記油脂と混合した後に、粉砕した茶葉の水分含量が20%以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法によって製造された茶含有組成物。
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