JP6951820B1 - 油脂含有組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

1−ヘキサノールや1−ペンタノールに起因する油脂の酸化臭が抑制された食品用油脂含有組成物を提供する。本組成物は、1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノールを含有する食用の油脂含有組成物であって、更にヘキサナールを含有すると共に、下記(A)及び(B)を充足する。(A)ヘキサナール含有量が10質量ppb以上100質量ppm以下である。(B)α/βが1以上10000以下、及び/又は、α/γが1以上10000以下である(但し、SPME−GC/MSにより試料温度80℃で測定されたヘキサナールのピーク面積(m/z=82)をα、1−ヘキサノールのピーク面積(m/z=84)をβ、1−ペンタノールのピーク面積(m/z=70)をγとする。)。

Description

本発明は、食品に用いられる油脂含有組成物及びその製造方法に関する。
油脂を含む食品は、不快な油脂の酸化臭を伴う場合がある。斯かる酸化臭を有する成分として1−ヘキサノールや1−ペンタノールが知られている。その油脂の酸化臭を抑制し、より原料油脂の風味や味を増強・持続させる方法として、酵母消化物を添加して加熱する方法が知られていた(特許文献1)。
国際公開第2018/147326号
しかしながら特許文献1の方法は酵母消化物の味が油脂に付与されてしまい、使い勝手の悪いものであった。本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、1−ヘキサノールや1−ペンタノールに起因する油脂の酸化臭が抑制された食品用油脂含有組成物の提供を目的とする。
本発明者等は鋭意検討の結果、組成物にヘキサナールを特定量含有させると共に、ヘキサナール含有量と1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノール含有量との比を所定の範囲に調整することにより、油脂の酸化臭が顕著に抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の趣旨は、例えば以下に関する。
[項1]1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノールを含有する食用の油脂含有組成物であって、更にヘキサナールを含有すると共に、下記(A)及び(B)を充足する油脂含有組成物。
(A)ヘキサナール含有量が10質量ppb以上100質量ppm以下である。
(B)α/βが1以上10000以下、及び/又は、α/γが1以上10000以下である。
但し、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法を用いて試料温度80℃で測定した場合における、ヘキサナールのピーク面積(m/z=82)をα、1−ヘキサノールのピーク面積(m/z=84)をβ、1−ペンタノールのピーク面積(m/z=70)をγとする。
[項2]さらに下記(C)を充足する、項1に記載の油脂含有組成物。
(C)α/(β+γ)が0.5以上5000以下である。
[項3]さらに下記(D)を充足する、項1又は2に記載の油脂含有組成物。
(D)β/γが0.2以上である。
[項4]さらに下記(E)を充足する、項1〜3の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
(E)不溶性食物繊維を乾燥質量換算で1質量%以上含有する。
[項5]さらに下記(F)を充足する、項1〜4の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
(F)でんぷんを乾燥質量換算で10質量%以上含有する。
[項6]さらに下記(G)を充足する、項1〜5の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
(G)タンパク質を乾燥質量換算で5.5質量%以上含有する。
[項7]さらに下記(H)を充足する、項1〜6の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
(H)全油脂分含量が乾燥質量換算で0.01質量%以上である。
[項8]さらに下記(I)を充足する、項1〜7の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
(I)乾量基準含水率が60質量%以下である。
[項9]さらに下記(J)を充足する、項1〜8の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
(J)レジスタントスターチ値が1.5%以上である。
[項10]組成物のPDI(protein dispersibility index)値が55質量%未満である、項1〜9の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
[項11]組成物の粉砕物の6%懸濁液を観察した場合に認められるでんぷん粒構造が、300個/mm2以下である、項1〜10の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
[項12]豆類を含有する、項1〜11の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
[項13]前記豆類が、微細化された状態の豆類である、項12に記載の油脂含有組成物。
[項14]前記豆類が、エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属、及びヒラマメ属から選ばれる1種以上の豆類である、項12又は13に記載の油脂含有組成物。
[項15]糊化度が30%以上である、項1〜14の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
[項16]糊化処理前後の糊化度の増加率が5%以上である、項15に記載の油脂含有組成物。
[項17]少なくとも固体表面のでんぷんが老化されてなる、項15又は16に記載の油脂含有組成物。
[項18]老化処理前後のレジスタントスターチ値の増加率が0%超である、項17に記載の油脂含有組成物。
[項19]固体状である、項1〜18の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
[項20]項19に記載の固体状の油脂含有組成物を粉砕してなる、粉砕油脂含有組成物。
[項21]項20に記載の粉砕油脂含有組成物を凝集してなる、粉砕油脂含有組成物凝集体。
[項22]項1〜19のいずれか一項に記載の油脂含有組成物、及び/又は、項20に記載の粉砕油脂含有組成物、及び/又は、項21に記載の粉砕油脂含有組成物凝集体を含む食品。
[項23]項1〜19の何れか一項に記載の油脂含有組成物を製造する方法であって、油脂含有食材を任意によりその他の成分と混合すると共に、前記の(A)及び(B)を満たすように、ヘキサナール、1−ヘキサノール、及び1−ペンタノールの含有量を調整することを含む方法。
[項24]ヘキサナール、1−ヘキサノール、及び1−ペンタノールの含有量の調整が、1−ヘキサノールと1−ペンタノールとの合計含有量が1質量ppb以上の油脂含有食材を糊化処理することにより行われる、項23に記載の方法。
[項25]項17又は18に記載の油脂含有組成物を製造する方法であって、項23又は24に記載の製造方法により得られた油脂含有組成物に対し、デンプンの老化処理を行うことを含む方法。
[項26]項20に記載の粉砕油脂含有組成物を製造する方法であって、項23〜25の何れか一項に記載の製造方法により得られた油脂含有組成物を粉末状とすることを含む製造方法。
[項27]項21に記載の粉砕油脂含有組成物凝集体を製造する方法であって、項26に記載の製造方法により得られた粉砕油脂含有組成物を凝集させることを含む製造方法。
本発明によれば、油脂の酸化臭が抑制された食品用油脂含有組成物が提供される。
以下、本発明を具体的な実施の形態に即して詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施の形態に束縛されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、任意の形態で実施することが可能である。
なお、本明細書において「乾燥質量換算」とは、水分が0質量%における質量換算値を指す。なお、試料中の水分量の測定は、後述の「乾量基準含水率」の測定法に準じた方法で測定することができる。
[食用油脂含有組成物]
本発明の一側面は、1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノールを含有する食用の油脂含有組成物であって、更にヘキサナールを含有すると共に、これらの含有量が後述の(A)及び(B)の要件を充足する組成物(以下適宜「本発明の組成物」という。)に関する。
・油脂:
本発明の組成物は、油脂を含有する。油脂の種類は制限されないが、本発明の組成物の原料となる食用植物等の食材に含まれる油脂であってもよく、当該食材とは別に添加される油脂であってもよい。なお、本発明の組成物の原料となる食用植物等の食材については後述する。別に添加される油脂の例としては、ごま油、菜種油、高オレイン酸菜種油、大豆油、パーム油、パームステアリン、パームオレイン、パーム核油、パーム分別油(PMF)、綿実油、コーン油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油、亜麻仁油、米油、椿油、荏胡麻油、香味油、ココナッツオイル、グレープシードオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、サラダ油、キャノーラ油、魚油、牛脂、豚脂、鶏脂、又はMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油、乳脂、ギー、カカオバター等の中から選択される1種又は2種以上を用いることができる。中でも、植物由来のものが好ましく、更に穀類由来のもの及び/又は豆類由来のものがより好ましく、豆類由来のものが更に好ましく、特にエンドウ由来のものが好ましく、黄色エンドウ由来のものが更に好ましい。なお、本発明の組成物に含まれる油脂は、1種の材料に由来するものであってもよく、2種以上の材料に由来するものであってもよい。また、油脂が常温下において液体状の油脂であることが好ましい。
本発明の組成物は、全油脂分含量が所定範囲内であることが好ましい。具体的に、全油脂分含量は、乾燥質量換算で0.01質量%以上であることが好ましく、中でも0.1質量%以上、中でも0.2質量%以上、特に0.5質量%以上であることが好ましい。全油脂分含量が前記下限を下回ると、酸化臭が強くないため本願の課題が小さい場合がある。一方、本発明の組成物における全油脂分含量の上限は、特に制限されるものではないが、乾燥質量換算で通常17質量%以下であることが好ましく、中でも15質量%以下、更には13質量%以下、更には10質量%以下、更には8.0質量%以下、更には7.0質量%以下、更には6.0質量%以下、更には5.0質量%以下、更には4.0質量%以下、特に3.0質量%以下であることが好ましい。全油脂分含量が前記上限を上回ると、酸化臭が強くなりすぎる場合がある。
なお、本発明において、組成物中の全油脂分含量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、組成物全体をサンプルとして用いて、ジエチルエーテルによるソックスレー抽出法で測定する。
・ヘキサナール:
本発明の組成物は、ヘキサナール(CAS登録番号:66−25−1)の含有量が所定範囲内であることを特徴の一つとする(適宜「要件(A)」という。)。ヘキサナールは、本発明の組成物の原料となる食用植物等の食材に含まれるものであってもよく、当該食材とは別に添加されるものであってもよく、本発明の組成物の製造に伴い生じるものであってもよい。
具体的に、本発明の組成物のヘキサナール含有量の下限は、10質量ppb以上である。中でも20質量ppb以上が好ましく、更には30質量ppb以上がより好ましく、更には50質量ppb以上が好ましく、更には80質量ppb以上が好ましく、特に100質量ppb以上であることが好ましい。ヘキサナール含有量が前記下限を下回ると、油脂の酸化臭が十分に抑制できない場合がある。一方、ヘキサナール含有量の上限は、100質量ppm以下である。中でも50質量ppm以下が好ましく、更には30質量ppm以下がより好ましく、更には20質量ppm以下がより好ましく、更には10質量ppm以下がより好ましく、更には5質量ppm以下がより好ましく、更には3質量ppm以下がより好ましく、更には2質量ppm以下がより好ましく、更には1質量ppm以下がより好ましい。ヘキサナール含有量が前記上限を上回ると、オフフレーバーが発生してしまう場合がある。
なお、本発明において、組成物中のヘキサナールの含有量は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC/MS)を用い、具体的には後述の実施例に記載の手順で測定する。
・香気成分のSPME−GC/MSピーク:
本発明の組成物は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC/MS)を用いて試料温度80℃で測定した場合における、ヘキサナールのピーク面積(m/z=82)をα、1−ヘキサノール(CAS登録番号:111−27−3)のピーク面積(m/z=84)をβ、1−ペンタノール(CAS登録番号:71−41−0)のピーク面積(m/z=70)をγとした場合に、α/βの値、及び/又は、α/γの値がそれぞれ所定範囲内であることを特徴の一つとする(適宜「要件(B)」という。)。
具体的には、ヘキサナールのピーク面積(α)と、1−ヘキサノールのピーク面積(β)との面積比(α/β)に関しては、下限としては1以上であればよいが、油脂の酸化臭を十分に抑制する観点からは、2以上が好ましく、中でも4以上、更には6以上、又は8以上、とりわけ10以上、特に20以上が好ましい。一方、α/β面積比の上限としては、10000以下であればよいが、オフフレーバーの発生の虞の観点から、5000以下が好ましく、中でも3000以下、更には2000以下、又は1000以下、又は800以下、とりわけ400以下、特には100以下が好ましい。
また、ヘキサナールのピーク面積(α)と、1−ペンタノールのピーク面積(γ)との面積比(α/γ)に関しては、下限としては1以上であればよいが、油脂の酸化臭を十分に抑制する観点からは、2以上が好ましく、中でも3以上、更には4以上、又は5以上、とりわけ10以上、特に20以上が好ましい。一方、α/γ面積比の上限としては、10000以下であればよいが、オフフレーバーの発生の虞の観点から、5000以下が好ましく、中でも3000以下、更には2000以下、又は1000以下、とりわけ800以下、特には600以下が好ましい。
なお、α/β面積比及びα/γ面積比は、少なくとも何れか一方が上記の要件を満たしていればよいが、両方が上記の要件を満たしていることが好ましい。
また、本発明の組成物は、ヘキサナールのピーク面積(α)と、1−ヘキサノールのピーク面積(β)及び1−ペンタノールのピーク面積(γ)の和との面積比{α/(β+γ)}が、所定の範囲を満たすことが好ましい。具体的に、油脂の酸化臭を十分に抑制する観点から、α/(β+γ)面積比の下限としては0.5以上が好ましく、中でも0.7以上、更には1.0以上、又は1.5以上、又は2以上、又は3以上、又は5以上、とりわけ7以上、特に10以上が好ましい。一方、オフフレーバーの発生の虞の観点から、α/(β+γ)面積比の上限としては5000以下が好ましく、中でも2500以下、更には1000以下、又は500以下、又は300以下、とりわけ200以下、特には100以下が好ましい。
また、本発明の組成物は、青臭い匂いを抑制する観点からは、1−ヘキサノールのピーク面積(β)の1−ペンタノールのピーク面積(γ)に対する面積比(β/γ)が、所定の範囲を満たすことが好ましい。具体的に、β/γの面積比の下限としては0.2以上が好ましく、中でも0.5以上、更には0.7以上、又は1以上、とりわけ5以上、特には10以上が好ましい。一方、オフフレーバーの発生の虞の観点から、β/γの面積比の上限としては5000以下が好ましく、中でも1000以下、更には500以下、又は300以下、とりわけ200以下、特に100以下が好ましい。
なお、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC/MS)による香気成分の分離濃縮及び測定、ピーク面積の測定などは、具体的には後述の実施例に記載の手順で行うものとする。
・不溶性食物繊維:
本発明の組成物は、不溶性食物繊維を含有することで、本発明の効果がより強く奏されるため好ましい。不溶性食物繊維の種類は制限されないが、例としては穀類由来のもの、豆類由来のもの、芋類由来のもの、野菜類由来のもの等の中から選択される1種又は2種以上を用いることができる。中でも、組成物のテクスチャの観点からは、穀類由来のもの及び/又は豆類由来のものがより好ましく、豆類由来のものが更に好ましく、特にエンドウ由来のものが好ましく、黄色エンドウ由来のものが更に好ましい。なお、本発明の組成物に含まれる不溶性食物繊維は、本発明の組成物の原料となる食材に含まれるものであってもよく、本発明の組成物の原料となる食材とは別に添加されるものであってもよい。また、本発明の組成物に含まれる不溶性食物繊維は、1種の材料に由来するものであってもよく、2種以上の材料に由来するものであってもよい。
本発明の組成物は、不溶性食物繊維の含有量が所定範囲内であることが好ましい。具体的に、不溶性食物繊維の含有量は、乾燥質量換算で1.0質量%以上であることが好ましく、更には2.0質量%以上、3.0質量%以上、4.0質量%以上、5.0質量%以上、6.0質量%以上、7.0質量%以上、8.0質量%以上、9.0質量%以上、又は10.0質量%以上であることが好ましい。不溶性食物繊維の含有量が前記下限を下回ると、本発明の効果が十分に奏されない場合がある。一方、本発明の組成物における不溶性食物繊維含有量の上限は、特に制限されるものではないが、乾燥質量換算で通常70質量%以下、中でも60質量%以下、更には50質量%以下、とりわけ40質量%以下であることが好ましい。不溶性食物繊維の含有量が前記上限を上回ると、油脂含有組成物の食感が悪くなる場合がある。
なお、本発明の組成物に含まれる不溶性食物繊維は、純品として組成物に添加されたものであってもよいが、本発明の組成物の原料となる食用植物等の食材に由来するものであることが好ましい。具体的には、本発明の組成物に含まれる全不溶性食物繊維含有量に対して、食用植物(特に豆類)に由来する不溶性食物繊維含有量の占める割合が、50質量%以上であることが好ましく、更には60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。
また、本発明の組成物中の不溶性食物繊維は、食用植物に含有された状態で組成物に配合されていることが好ましい。具体的には、組成物全体の総不溶性食物繊維含有量に対する、食用植物(特に豆類)に含有された状態で配合されている不溶性食物繊維含有量の比率が、通常50質量%以上、中でも60質量%以上、更には70質量%以上、とりわけ80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%であることが好ましい。
なお、本発明において、組成物中の不溶性食物繊維含有量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、プロスキー変法で測定する。
・でんぷん:
本発明の組成物は、でんぷんを含有することでフレーバーリリースが良くなるという効果が奏されるため好ましい。でんぷんの種類は制限されないが、例としては穀類由来のもの、種実類由来のもの、豆類由来のもの、芋類由来のもの、野菜類由来のもの等の中から選択される1種又は2種以上を用いることができる。中でも、組成物のテクスチャの観点からは、穀類由来のもの及び/又は豆類由来のものがより好ましく、豆類由来のものが更に好ましく、特にエンドウ由来のものが好ましく、黄色エンドウ由来のものが更に好ましい。なお、本発明の組成物に含まれるでんぷんは、本発明の組成物の原料となる食材に含まれるものであってもよく、本発明の組成物の原料となる食材とは別に添加されるものであってもよい。また、本発明の組成物に含まれるでんぷんは、1種の材料に由来するものであってもよく、2種以上の材料に由来するものであってもよい。
本発明の組成物は、でんぷんの含有量が所定範囲内であることが好ましい。具体的に、でんぷんの含有量は、乾燥質量換算で10質量%以上であることが好ましく、更には15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、又は50質量%以上であることが好ましい。でんぷんの含有量が前記下限を下回ると、フレーバーリリースが良くなるという効果が奏されない場合がある。一方、本発明の組成物におけるでんぷん含有量の上限は、特に制限されるものではないが、乾燥質量換算で通常90質量%以下、中でも85質量%以下、更には80質量%以下、とりわけ75質量%以下であることが好ましい。でんぷんの含有量が前記上限を上回ると、でんぷん自体の風味が強くなりすぎる場合がある。
なお、本発明の組成物に含まれるでんぷんは、純品として組成物に添加されたものであってもよいが、本発明の組成物の原料となる食用植物等の食材に由来するものであることが好ましい。具体的には、本発明の組成物に含まれる全でんぷん含有量に対して、食用植物に由来するでんぷん含有量の占める割合が、50質量%以上であることが好ましく、更には60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。
また、本発明の組成物中のでんぷんは、食用植物に含有された状態で組成物に配合されていることが好ましい。具体的には、組成物全体の総でんぷん含有量に対する、食用植物(特に豆類)に含有された状態で配合されているでんぷん含有量の比率が、通常50質量%以上、中でも60質量%以上、更には70質量%以上、とりわけ80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%であることが好ましい。
なお、本発明において、組成物中のでんぷん含有量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、AOAC996.11の方法に従い、80%エタノール抽出処理により、測定値に影響する可溶性炭水化物(ぶどう糖、麦芽糖、マルトデキストリン等)を除去した方法で測定する。
・でんぷんの糊化:
一態様によれば、本発明の組成物は、含有するでんぷんの少なくとも一部が糊化されていることが好ましい。具体的には、油脂の酸化臭を抑制すると共に、組成物を固形化して喫食性、取り扱い性、及び加工性を向上させる観点から、組成物中のでんぷんの糊化度が30%以上であることが好ましく、中でも40%以上、更には50%以上、とりわけ60%以上、特に70%以上であることが好ましい。一方、組成物中のでんぷんの糊化度の上限は特に制限されないが、あまりに高すぎるとでんぷんが分解し、組成物がべたべたした好ましくない品質となる場合がある。よって、組成物中のでんぷんの糊化度の上限は、99%以下であることが好ましく、中でも95%以下、更には90%以下であることが好ましい。なお、本発明において組成物の糊化度は、関税中央分析所報を一部改変したグルコアミラーゼ第二法(Japan Food Research Laboratories社メソッドに従う:https://www.jfrl.or.jp/storage/file/221.pdf)を用いて、総でんぷん含量に対する糊化でんぷん含量の割合として測定する。
また、本発明の組成物は、糊化処理前後の糊化度の増加率が所定範囲内であることが好ましい。この特徴については後述する。
・でんぷんの老化/レジスタントスターチ:
一態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも固体表面のでんぷんが老化されてなることが好ましい。でんぷんの老化については後述する。
また、これに伴い、本発明の組成物は、レジスタントスターチ値が所定量であることが好ましい。本明細書において「レジスタントスターチ」とは、特定条件下でD−グルコースに加水分解されないでんぷんを意味する。具体的には、試料に膵臓α−アミラーゼ/アミログルコシダーゼ(PAA/AMG)を添加してpH6.0に調整し、37℃で4時間反応させた後に、迅速型レジスタントスターチ測定法(RAPRS)によって測定した場合に検出される、D−グルコースに加水分解されないでんぷんを意味する。試料のレジスタントスターチ値は、試料中におけるでんぷん含量に対するレジスタントスターチ含量の質量比率として表される。例えば、組成物中のでんぷん含量が50質量%、レジスタントスターチ含量が1質量%である組成物中のレジスタントスターチ値は2%となる。斯かるレジスタントスターチ値は、RESISTANT STARCH ASSAY PROCEDURE(メガザイム社製)を用いて測定することができる。
本発明の組成物のレジスタントスターチ値は、1.5%以上であることが好ましく、更には2.0%以上、又は2.5%以上、とりわけ3.0%以上、特に3.5%以上であることが好ましい。組成物のレジスタントスターチ値が前記下限以上であることで、喫食時の素材の香りが感じられやすくフレーバーリリースが高い組成物になる傾向がある。その原理は不明であるが、レジスタントスターチが一定以上含有されることで、水中における成分溶出が抑制された性質となり素材の香気が感じやすい組成物となるため、前述の香気成分構成による油脂酸化臭抑制効果とあいまって、組成物のフレーバーリリースが向上すると考えられる。一方、レジスタントスターチ値の上限は限定されないが、通常30%以下、中でも20%以下、更には15%以下であることが好ましい。
また、本発明の組成物は、老化処理前後のレジスタントスターチ値の増加率が所定範囲内であることが好ましい。この特徴については後述する。
(でんぷん粒構造)
本発明の組成物は、特定の条件下で観察されるでんぷん粒構造の数が所定値以下であることで粉っぽさが感じられにくくなめらかな食感の組成物となるため好ましい。その原理は不明であるが、でんぷん粒構造が破壊された状態まで高温高圧強混練条件下(具体的には、後述するように、生地組成物における乾量基準含水率が所定値以上の条件下で、大気圧に対して更に所定値以上の圧力を印加しつつ、所定値以上の最高到達温度且つ所定値以上のSMEで混練処理された状態のでんぷんを用いることが好ましい。)で組成物を加工することで、でんぷんがマトリックス状に組成物全体に拡散して均質化することで、組成物の粉っぽさが感じられにくくなめらかな食感になると考えられる。
でんぷん粒構造とは、平面画像中で直径1〜50μm程度の円状の形状を有する、ヨウ素染色性を有する構造である。こうしたでんぷん粒構造は、例えば、組成物の粉砕物を水に懸濁してなる6%の水懸濁液を調製し、拡大視野の下で観察することができる。具体的には、組成物の粉砕物を目開き150μmの篩で分級し、150μmパスの組成物粉末3mgを水50μLに懸濁することにより、組成物粉末の6%懸濁液を調製する。本懸濁液を載置したプレパラートを作製し、位相差顕微鏡にて偏光観察するか、又はヨウ素染色したものを光学顕微鏡にて観察すればよい。拡大率は制限されないが、例えば拡大倍率100倍又は200倍とすることができる。プレパラートにおけるでんぷん粒構造の分布が一様である場合は、代表視野を観察することでプレパラート全体のでんぷん粒構造の割合を推定することができるが、その分布に偏りが認められる場合は、有限の(例えば2箇所以上、例えば5箇所又は10箇所の)視野を観察し、観察結果を合算することで、プレパラート全体の測定値とすることができる。
具体的に、本発明の組成物は、前記条件下で観察されたでんぷん粒構造の数が、通常300個/mm2以下、中でも250個/mm2以下、更には200個/mm2以下、とりわけ150個/mm2以下、又は100個/mm2以下、又は50個/mm2以下、又は30個/mm2以下、又は10個/mm2以下、特に0個/mm2であることが好ましい。
なお、本発明においてでんぷんの染色に用いるヨウ素溶液とは、ヨウ素を0.05mol/L含有するヨウ素−ヨウ化カリウム溶液(本発明において単に「0.05mol/Lヨウ素溶液」又は「0.05mol/Lヨウ素液」と称する場合がある。)の希釈液を指し、特に指定が無い場合、水93.7質量%、ヨウ化カリウム0.24mol/L(4.0質量%)、ヨウ素0.05mol/L(1.3質量%)混合ヨウ素−ヨウ化カリウム溶液(富士フイルム和光純薬社製「0.05mol/Lヨウ素溶液(製品コード091−00475)」)を希釈して用いる。また、当該「0.05mol/Lヨウ素溶液」を水で200倍に希釈することで得られる、「0.25mMヨウ素溶液」を用いることができる。
・タンパク質:
本発明の組成物は、タンパク質を含有することが好ましい。タンパク質の種類は制限されないが、穀類由来のもの及び/又は豆類由来のものがより好ましく、豆類由来のものが更に好ましく、特にエンドウ由来のものが好ましく、黄色エンドウ由来のものが更に好ましい。なお、本発明の組成物に含まれるタンパク質は、本発明の組成物の原料となる食材に含まれるものであってもよく、本発明の組成物の原料となる食材とは別に添加されるものであってもよい。また、本発明の組成物に含まれるタンパク質は、1種の材料に由来するものであってもよく、2種以上の材料に由来するものであってもよい。
本発明の組成物は、タンパク質の含有量が所定範囲内であることが好ましい。具体的に、タンパク質含有量は、乾燥質量換算で5.5質量%以上であることが好ましく、中でも6質量%以上、更には7質量%以上、とりわけ8質量%以上、又は9質量%以上、又は10質量%以上、又は11質量%以上、又は12質量%以上、又は13質量%以上、又は14質量%以上、又は15質量%以上、又は16質量%以上、又は17質量%以上、又は18質量%以上、又は19質量%以上、又は20質量%以上、又は21質量%以上、特に22質量%以上であることが好ましい。タンパク質の含有量が前記下限を下回ると、本発明の効果が十分に奏されない場合がある。一方、本発明の組成物におけるタンパク質含有量の上限は、特に制限されるものではないが、乾燥質量換算で通常85質量%以下であることが好ましく、中でも80質量%以下、更には75質量%以下、とりわけ70質量%以下、又は65質量%以下、特に60質量%以下であることが好ましい。タンパク質の含有量が前記上限を上回ると、油脂含有組成物の食感が悪くなる場合がある。
なお、本発明の組成物に含まれるタンパク質は、純品として組成物に添加されたものであってもよいが、本発明の組成物の原料となる食用植物等の食材に由来するものであることが好ましい。具体的には、本発明の組成物に含まれる全タンパク質含有量に対して、食用植物に由来するタンパク質含有量の占める割合が、50質量%以上であることが好ましく、更には60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。
本発明において、組成物中のタンパク質含有量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、改良ケルダール法によって定量した窒素量に、「窒素−タンパク質換算係数」を乗じて算出する方法で測定する(例えば大豆以外の豆類は、その他食品に該当する係数6.25を採用する)。
(タンパク質のPDI)
本発明の組成物に含まれるタンパク質は、100℃以上の高温で加熱されることでその溶解性が低下し、油脂酸化臭とフレーバーリリースの香りのバランスが良くなるためより好ましい。その原理は不明であるが、不溶化したタンパク質がでんぷん内部に空隙を生じさせることで素材の香りが揮発しやすくなりフレーバーリリースが向上することで香りのバランスが良くなると考えられる。具体的には、本発明の組成物におけるPDI(protein dispersibility index)値が55質量%未満であることが好ましい。中でも50質量%未満、更には45質量%未満、とりわけ40質量%未満、又は35質量%未満、又は30質量%未満、又は25質量%未満、又20質量%未満、又15質量%未満、特には10質量%未満であることが望ましい。一方、斯かる割合の下限は、特に制限されるものではないが、通常0質量%以上、更には2質量%以上、中でも4質量%以上である。
なお、PDI(protein dispersibility index)値とは、タンパク質の溶解性を表す指標であり、定法に従い組成物全体の全窒素割合に対する水溶性窒素割合の百分率(水溶性窒素割合/組成物全体の全窒素割合×100(%))として求めることができる。具体的には、測定試料に20倍量の水を加え、粉砕処理(マイクロテックニチオン社製ホモジナイザーNS−310E3を用いて8500rpmで10分間破砕処理する)し、得られた破砕処理液の全窒素割合に20を乗じた値を組成物全体の全窒素割合として測定する。次に破砕処理液を遠心分離(3000Gで10分間)し、得られた上清の全窒素割合に20を乗じた値を水溶性窒素割合として測定することで、組成物におけるPDI値を算出することができる。全窒素割合の測定方法は、食品表示法(「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号))に規定された燃焼法(改良デュマ法)を用いて測定する。
・食用植物/豆類:
本発明の組成物は、その原料となる食材として、食用植物を含有することが好ましい。食用植物の種類は特に限定されないが、穀類、種実類、豆類、芋類、野菜類等が挙げられる。中でも豆類が好ましい。豆類の種類は制限されないが、例えばエンドウ属、ダイズ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属、ヒラマメ属、ルピナス属、レンリソウ属、クラスタマメ属、トビカズラ属、イナゴマメ属、及びパルキア属の豆類等から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。中でも、エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属、ダイズ属、及びヒラマメ属の豆類から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。豆類の具体例としては、これらに限定されるものではないが、エンドウ(特に黄色エンドウ、白エンドウ、未熟の種子であるグリーンピース)、インゲンマメ(隠元豆)、キドニー・ビーン、赤インゲンマメ、白インゲンマメ、ブラック・ビーン、うずら豆、とら豆、ライマメ、ベニバナインゲン、キマメ、緑豆、ササゲ、アズキ、ソラマメ、ダイズ(特に大豆を未熟な状態で鞘ごと収穫したもので、豆が緑色の外観を呈することを特徴とする、大豆の未熟種子であるエダマメ)、ヒヨコマメ、レンズマメ、ヒラ豆、ブルーピー、紫花豆、レンティル、ラッカセイ、ルピナス豆、グラスピー、イナゴマメ(キャロブ)、ネジレフサマメノキ、ヒロハフサマメノキ、コーヒー豆、カカオ豆、メキシコトビマメ等が挙げられる。
本発明の組成物は、豆類の配合割合が所定量以上であることが好ましい。具体的には、組成物に占める豆類の割合が、乾燥質量換算で30質量%以上が好ましく、中でも50質量%以上、更には70質量%以上、とりわけ90質量%以上、特に実質的に100質量%であることが望ましい。豆類の配合割合が前記下限を下回ると、本発明の効果が十分に奏されない場合がある。
本発明の組成物が豆類を含有する場合、その態様は制限されない。一態様によれば、本発明の組成物は、豆類の粉末を主成分とする粉末状組成物である。別態様によれば、本発明の組成物は、豆類の粉末を主成分とする生地を糊化等により固形化した固形状組成物である。しかし、本発明の組成物の態様は、これらに限定されるものではなく、任意の態様とすることが可能である。また、本発明の組成物は、微細化された状態の豆類を含有してもよい。ここで、本発明において「微細化された状態の豆類」とは、超音波処理後の粒子径d90及び/又はd50が1900μm以下である豆類をいい、加工に伴って組成物中において溶融し混然一体となった状態で含有される微細化豆類も含まれる。
・その他の食材:
本発明の組成物は、前記の食用植物に加えて、任意の1又は2以上の食材を含んでいてもよい。斯かる食材の例としては、植物性食材(野菜類、芋類、きのこ類、果実類、藻類、穀類、種実類等)、動物性食材(魚介類、肉類、卵類、乳類等)、微生物性食材等が挙げられる。これら食材の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
・調味料、食品添加物等:
本発明の組成物は、任意の1又は2以上の調味料、食品添加物等を含んでいてもよいし、後述のように含有量が制限されていてもよい。調味料、食品添加物等の例としては、醤油、味噌、アルコール類、糖類(例えばブドウ糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖等)、糖アルコール(例えばキシリトール、エリスリトール、マルチトール等)、人工甘味料(例えばスクラロース、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK等)、ミネラル(例えばカルシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、亜鉛、マグネシウム等、及びこれらの塩類等)、香料、pH調整剤(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸及び酢酸等)、シクロデキストリン、酸化防止剤(例えばビタミンE、ビタミンC、茶抽出物、生コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、香辛料抽出物、カフェ酸、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテート、ルチン、ケルセチン、ヤマモモ抽出物、ゴマ抽出物等)、乳化剤(例としてはグリセリン脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リノシール酸エステル、キラヤ抽出物、ダイズサポニン、チャ種子サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等)、着色料、増粘安定剤等が挙げられる。
但し、昨今の自然志向の高まりからは、本発明の組成物は、いわゆる乳化剤、着色料、増粘安定剤(例えば、食品添加物表示ポケットブック(平成23年版)の「表示のための食品添加物物質名表」に「着色料」、「増粘安定剤」、「乳化剤」として記載されているもの)から選ばれる何れか1つを含有しないことが好ましく、何れか2つを含有しないことがより好ましく、3つ全てを含有しないことが更に好ましい。また、本発明の組成物における食品添加物(特に、「着色料」、「増粘安定剤」、「乳化剤」の合計含有量)含有量が1質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
・乾量基準含水率(含水率):
本発明の組成物は、乾量基準含水率(含水率)が所定範囲内であることが好ましい。具体的に、本発明の組成物の乾量基準含水率の上限は、制限されるものではないが、例えば60質量%以下、中でも50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は20質量%以下、又は15質量%以下であってもよい。乾量基準含水率が前記上限を上回ると、保存性が悪くなる場合がある。一方、本発明の組成物の乾量基準含水率の下限は、制限されるものではないが、工業上の生産効率という観点から、例えば0.5質量%以上、或いは1質量%以上、或いは2質量%以上とすることができる。
なお、本発明の組成物中に含まれる水分は、組成物の各種成分に由来するものであってもよいが、更に添加された水に由来するものであってもよい。
また、本明細書において「乾量基準含水率」とは、組成物の原料に由来する水分量と別途添加した水分量の合計量の、固形分の合計量に対する割合を意味する。その値は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、減圧加熱乾燥法で90℃に加温することで測定する。具体的には、あらかじめ恒量になったはかり容器(W0)に適量の試料を採取して秤量し(W1)、常圧において、所定の温度(より詳しくは90℃)に調節した減圧電気定温乾燥器中に、はかり容器の蓋をとるか、口を開けた状態で入れ、扉を閉じ、真空ポンプを作動させて、所定の減圧度において一定時間乾燥し、真空ポンプを止め、乾燥空気を送って常圧に戻し、はかり容器を取り出し、蓋をしてデシケーター中で放冷後、質量をはかる。そのようにして恒量になるまで乾燥、放冷、秤量する(W2)ことを繰り返し、乾量基準含水率(質量%)を次の計算式で求める。
Figure 0006951820
・組成物の形態:
本発明の組成物は、任意の形態とすることができる。例としては、これらに限定されるものではないが、一定の保形性を有さない液体状(液体組成物、分散体組成物、懸濁状組成物など)であっても、一定の保形性を有する固体状(湿潤半固体組成物、乾燥固体組成物、粉末状組成物、凝集体状組成物等)が挙げられる。中でも、固体状組成物であることが好ましく、乾燥固体組成物、粉末状組成物(又は粉砕組成物)、凝集体状組成物等が好ましい。これらの形態は、後述する本発明の組成物の製造方法の工程及び条件を適宜組み合わせることにより、実現することが可能である。
[食用油脂含有組成物の製造方法]
本発明の組成物の調製方法は、成分組成等の各種条件によっても異なり、特に制限されない。一般的には、例えば上述した本発明の組成物の成分を、適切な媒体(例えば水)に溶解又は分散させることで、液体組成物、分散体組成物、懸濁状組成物、湿潤半固体組成物等を得ることができ、これらを適宜乾燥し、必要に応じて加熱等の処理を加えることによって、湿潤半固体組成物、固体状組成物等を得ることができる。また、これらを適宜粉砕等することで、粉末状組成物(又は粉砕組成物)とすることができ、これを適宜凝集させることで、凝集体組成物とすることができる。
一例によれば、本発明の組成物は、油脂含有食材を任意によりその他の成分と混合すると共に、前記の要件(A)及び要件(B)を満たすように、ヘキサナール、1−ヘキサノール、及び1−ペンタノールの含有量を調整することを含む方法により、製造することが可能である。
前記の要件(A)及び要件(B)を満たすようにヘキサナール、1−ヘキサノール、及び1−ペンタノールの含有量を調整する手法は、特に制限されない。一例によれば、油脂含有食材をその他の成分と混合することにより、前記の要件(A)及び要件(B)を満たすようにヘキサナール、1−ヘキサノール、及び1−ペンタノールの含有量を調整することが可能である。別の例によれば、1−ヘキサノールと1−ペンタノールとの合計含有量が1質量ppb以上の油脂含有食材を糊化処理することにより、前記の要件(A)及び要件(B)を満たすようにヘキサナール、1−ヘキサノール、及び1−ペンタノールの含有量を調整することが可能である。
以下、一態様に係る本発明の組成物の製法の一例(これを以下便宜上「本発明の製造方法」というものとする。)について説明するが、本発明の組成物の製造方法は、何ら斯かる方法に限定されないことに留意されたい。
・本発明の製造方法の概要:
本発明の製造方法は、例えば下記の段階(i)を含む。
(i)油脂含有生地組成物を、不溶性食物繊維、でんぷん及び水分の各含有量が前記範囲内となるように調整する段階。
本発明の製造方法は、さらに、例えば下記の段階(ii)を含んでいてもよい。
(ii)前記段階(i)後の組成物を、所定の高温条件下で混練し、前記に記載範囲以上にまで糊化しつつ、ヘキサナール、1−ヘキサノール、1−ペンタノールの割合を調整する段階。
本発明の製造方法は、さらに、例えば下記の段階(iii)を含んでいてもよい。
(iii)前記段階(ii)後の組成物温度を、膨化しないように所定の温度未満まで降温させる段階。
本発明の製造方法は、さらに、例えば下記の段階(iv)を含んでいてもよい。
(iv)前記段階(ii)又は前記段階(iii)後の組成物を、所定値以上の乾量基準含水率を維持しつつ、レジスタントスターチ値を前記範囲内に調整する段階。
・段階(i):油脂含有生地組成物の調製
本段階ではまず、本発明の組成物の基礎となる、油脂を含有する生地組成物を調製する。生地組成物は、前述した本発明の組成物の構成要素、例えば食用植物、特に豆類と、任意により用いられるその他の食材、調味料、及びその他の成分とを混合した組成物である。ここで、油脂分、不溶性食物繊維、でんぷん、及び水分の各含有量が、それぞれ前記範囲内となるように調整する。
なお、原料として粉末状の食用植物、特に粉末状の豆類を用いる場合、生地組成物に用いる粉末全体の粒子径は、所定の範囲を満たすことが好ましい。具体的には、粉末状食用植物、特に粉末状豆類の超音波処理後の粒子径d50及び/又はd90が、480μm未満であることが好ましく、中でも450μm未満、更に400μm未満、更に300μm未満、更に200μm未満、特に100μm未満であることがより好ましい。
また、粉末状の食用植物、特に粉末状の豆類を用いる場合、その粉末全体の超音波処理後の粒子径d50及び/又はd90が、通常480μm未満であることが好ましく、中でも450μm未満、更に400μm未満、更に300μm未満、更に200μm未満、特に100μm未満となるように粉末状の食用植物、特に粉末状の豆類のd50及び/又はd90を前記所定値以下に調整することで、喫食時の粉っぽさを改善しつつ、表面状態が滑らかな組成物を安定的に生産できる。具体的には、エクストルーダーを用いて本発明の組成物(特にd50及び/又はd90が1000μm以上の表面状態を目視できる組成物)を製造する場合、吐出安定性が向上し、表面に凹凸が少ない組成物となるため好ましい。
なお、本明細書において「粒子径d50」及び「粒子径d90」とは、測定対象の粒子径分布を体積基準で作製し、ある粒子径から2つに分けたとき、大きい側の粒子頻度%の累積値の割合と、小さい側の粒子頻度%の累積値の割合との比が、それぞれ50:50及び10:90となる粒子径として定義される。また、本明細書において「超音波処理」とは、特に断りがない限り、周波数40kHzの超音波を出力40Wにて3分間の処理をすることを意味する。なお、超音波処理後の粒子径(d50、d90など)の測定条件については、具体的には後述の実施例に記載の手順で、エタノールを溶媒として測定する。
生地組成物の乾燥基準含水率は、特に制限されるものではなく、最終的な組成物の乾燥基準含水率等を考慮して適当に設定することが好ましい。但し、後述の段階(iv)での老化を促進するための手段の一例として、本段階(i)又は次段落(ii)若しくは(iii)の何れかにおいて水分を添加し、生地組成物における乾量基準含水率を所定値超となるように調整する方法を用いることでレジスタントスターチの生成を促進することが好ましい。具体的には後述する。
生地組成物中のでんぷん含有量は、乾燥質量換算で、10質量%以上とすることが好ましく、中でも15質量%以上、更には20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上、とりわけ35質量%以上、又は40質量%以上、又は45質量%以上、特に50質量%以上とすることが好ましい。一方、でんぷん含有量の上限は特に制限されないが、乾燥質量換算で、通常100質量%以下、更には90質量%以下とすることができる。
生地組成物中のでんぷんの糊化度は、糊化処理によって流動性を帯びた澱粉が組成物全体に満遍なく広がるとともに、組成物中のヘキサナール等の分布も均質化することで酸化臭を抑える効果が顕著に奏されることから、通常は70%以下とすることが好ましく、中でも60%以下、又は50%以下、更には40%以下、とりわけ30%以下、特に20%以下とすることが好ましい。一方、でんぷんの糊化度の下限は特に限定されないが、通常0%以上である。なお、組成物の糊化度は、グルコアミラーゼ第二法を用いて、総でんぷんに対する糊化でんぷんの質量比率として測定することができる。
生地組成物のレジスタントスターチ値は、制限されるものではないが、通常0%超、中でも0.5%以上、又は1.0%以上、更には1.5%以上、特に2.0%以上とすることが好ましい。一方、レジスタントスターチ値の上限は特に限定されないが、通常60%以下、中でも50%以下、更には40%以下とすることが好ましい。なお、組成物のレジスタントスターチ値は、前述の手法により測定することができる。
・段階(ii):高温条件下での混練・糊化処理
本段階では、前段の段階(i)で得られた油脂を含有する生地組成物を、所定の高温条件下で糊化しつつ、ヘキサナールの含有率と1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノールの含有率を調整する。この過程により、酸化臭の改善効果が奏される。
生地組成物の糊化処理は、生地組成物を高温下で混練しながら行うことが好ましい。混練時の具体的な条件としては、下記式Iで求められるSME(specific mechanical energy)値を所定範囲とするように設定すること好ましい。
Figure 0006951820
N:混練時スクリュー回転数(rpm)
max:最大スクリュー回転数(rpm)
τ:混練時トルク/最大トルク(%)
τempty:空回し時トルク/最大トルク(%)
Q:総質量流量(kg/時間)
max:撹拌機(例えばエクストルーダー)最大パワー(kW)
具体的には、斯かるSME値を、限定されるものではないが、通常350kJ/kg以上とすることが好ましく、中でも400kJ/kg以上、更には450kJ/kg以上、又は500kJ/kg以上、又は550kJ/kg以上、又は600kJ/kg以上、とりわけ700kJ/kg以上、特に800kJ/kg以上としながら混練を行うことが好ましい。SME値を前記範囲に調節することで、糊化処理によって流動性を帯びた澱粉が組成物全体に満遍なく広がるとともに、組成物中のヘキサナール等の分布も均質化することで、酸化臭を抑える効果がより顕著に奏されることになる。
混練時のスクリュー回転数は、限定されるものではないが、本発明の効果を奏する観点からは、通常150rpm超とすることが好ましく、中でも200rpm超、更には250rpm超とすることがより好ましい。
混練時の温度は、限定されるものではないが、高温下で行うことが効果の奏功の観点からより好ましい。具体的には、生地組成物の温度を通常100℃以上とすることが好ましく、中でも110℃以上、更には120℃以上とすることがより好ましい。特に、豆類及び種実類に由来するでんぷんを用いる場合に、斯かる温度とすることがより有用である。一方、温度の上限は限定されないが、200℃以下が好ましく、中でも190℃以下、更には180℃以下、とりわけ170℃以下、特に160℃以下が好ましい。
混練時の加圧条件は、限定されるものではないが、高圧下で行うことが効果の奏功の観点からより好ましい。具体的には、混練時の圧力(大気圧に対して更に印加する圧力)は、通常0.1MPa以上とすることが好ましく、中でも0.3MPa以上、更には0.5MPa以上、とりわけ1MPa以上、又は2MPa以上、特に3MPa以上とすることが好ましい。圧力の上限は、特に制限はないが、例えば50MPa以下とすることができる。混練時の圧力は、混練部位における圧力を指し、途中に開放部を有さず出口付近まで混練を行うエクストルーダーを用いる場合、その出口圧力を測定することで測定することができる。
また、混練にエクストルーダーを用いる場合、エクストルーダーの内容量に対するフィード量の割合を、通常0.06g/分・cm3以上、中でも0.07g/分・cm3以上、又は0.08g/分・cm3以上、又は0.09g/分・cm3以上、又は0.10g/分・cm3以上、又は0.13g/分・cm3以上、又は0.15g/分・cm3以上、又は0.20g/分・cm3以上、更には0.25g/分・cm3以上、特に0.35g/分・cm3以上とすることが好ましい。一方、エクストルーダーの内容量に対するフィード量の割合の上限は特に規定されないが、通常5.00g/分・cm3以下である。なお、本明細書においてエクストルーダーの内容量は、スクリューを取り外した場合のバレル内体積を指し、スクリュー形状から算出することができる。例えば、スクリュー径11mm、スクリュー長41cmの二軸エクストルーダーの場合は、その内容量は約77.88cm3(0.55cm×0.55cm×3.14×41cm×2本)と算出される。
また、混練にエクストルーダーを用いる場合、エクストルーダーのL/D比を通常25以上とすることが好ましく、中でも30以上、更には35以上、とりわけ40以上とすることが好ましい。エクストルーダーのL/D比を前記下限値以上とすることで、喫食時の粉っぽさが改善しつつ、表面が滑らかな組成物を安定的に生産できる傾向がある。一方、エクストルーダーのL/D比の上限は特に規定されないが、通常300以下とすることが好ましく、中でも200以下、更には100以下とすることが好ましい。なお、本明細書においてエクストルーダーのL/D比は、エクストルーダーのD(diameter of screw)とL(length of screw)との比として規定される。さらに、超音波処理を行った場合におけるd50を前述で規定された数値以下に調整した原料(微細化された状態の豆類)を用いつつ、上述のエクストルーダーの内容量に対するフィード量及びL/Dを規定の範囲に調整した条件で組成物を製造することで、喫食時の粉っぽさを改善しつつ、表面が滑らかな組成物を安定的に生産できる傾向がさらに高まるため、より好ましい。
混練の時間は、混練の温度及び圧力、混練容器の大きさ等から適宜定めればよい。特に、組成物に印加される熱量は、主に用いられる装置の特性によって大きく異なることから、処理後の組成物の物性(特に不溶性成分及び/又は可溶性成分)が所定の範囲調整されるように加工することが好ましい。但し、一般的には、混練時間の下限は例えば通常0.1分間以上、好ましくは0.2分間以上、より好ましくは0.3分間以上、より好ましくは0.5分間以上、より好ましくは0.7分間以上、より好ましくは1分間以上、更に好ましくは2分間以上であり、混練時間の上限は例えば通常60分間以内、好ましくは30分間以内、更に好ましくは15分間以内とすることができる。
本段階における組成物の糊化処理は、糊化処理前後の組成物における糊化度の増加率が、通常0%超、中でも10%以上、又は20%以上、更には30%以上、更には40%以上、特に50%以上となるように行うことが好ましい。一方、糊化処理前後の組成物の糊化度の増加率の上限は、制限されるものではないが、通常100%以下、中でも90%以下、更には80%以下であることが好ましい。なお、本明細書において、糊化処理前後の糊化度の増加率とは、糊化処理前の組成物の糊化度を100%とした場合における、糊化処理後の組成物の糊化度の増加比率を指すものとする。
組成物中のヘキサナールの含有率と1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノールの含有率は、糊化処理前に調整してもよいし、糊化処理中に調整してもよいし、糊化処理後に調整してもよい。調整の手法は制限されないが、一例としては、組成物に外部からヘキサナールを添加することにより行う手法が挙げられる。但し、本発明では、1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノールを含有する状態の油脂含有生地組成物に所定の高温高圧下で糊化処理を行うことで、1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノールの一部をヘキサナールに変化させることにより、ヘキサナールの含有率と1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノールの含有率を所望の範囲に調整する手法を用いることが好ましい。すなわち、本発明におけるヘキサナールとしては、本発明の組成物の原料となる食用植物等の食材に含まれるものであってもよく、当該食材とは別に添加されるものであってもよく、本発明の組成物の製造に伴い生じるものであってもよく、それらが組み合わさった合計量が所定の含有量および/又は割合となっていればよい。当該成分を食材とは別に添加する場合、ヘキサナールが組成物に含有された状態であっても、精製抽出された高純度の試薬の状態であってもよい。尚、1−ヘキサノール及び1−ペンタノールについても同様である。
少なくとも以上の段階(i)及び(ii)を経ることで、本発明の油脂含有組成物が得られる。このように油脂含有生地組成物を糊化処理すると共に、ヘキサナールの含有率と1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノールの含有率を前記所望の範囲に調整することにより、最終的に得られる油脂含有組成物の酸化臭が抑制されることは、従来全く知られていなかった驚くべき知見である。
なお、本発明の製造方法は少なくとも以上の段階(i)及び(ii)を実施すればよいが、任意により以下の段階(iii)、更には段階(iv)を実施することで、得られる油脂含有組成物の物性を更に調節することができる。
・段階(iii):降温処理
前記段階(ii)における高温条件での混練処理後、降温せずに組成物を減圧すると、組成物中の水分が急激に蒸発して組成物が膨化する場合がある。よって、段階(ii)での高温条件での混練処理後、段階(iii)として、組成物を膨化しないように降温させることが好ましい。
本段階における降温処理の目標温度は、限定されるものではないが、組成物中の水分の急激な蒸発を防ぐ観点からは、通常110℃未満、中でも105℃未満、更には102℃未満、特に100℃未満まで降温することが好ましい。
本段階における降温処理は、一定の加圧条件下で行うことが好ましい。この場合、降温時の加圧条件は、組成物の膨化を防止できれば特に制限されないが、混練処理時の圧力と同様であることが好ましい。具体的には、降温時に印加すべき圧力(大気圧に対して更に印加する圧力)の下限は、通常0.1MPa以上とすることが好ましく、中でも0.3MPa以上、更には0.5MPa以上、とりわけ1MPa以上、又は2MPa以上、特に3MPa以上とすることが好ましい。一方、降温時に印加すべき圧力の上限は、限定されるものではないが、例えば50MPa以下、又は30MPa以下、又は15MPa以下、又は10MPa以下とすることができる。
なお、本処理を考慮すると、本発明の組成物は、膨化食品(特に膨化により密度比重が1.0未満となる膨化食品)ではないことが好ましい。
膨化を防止しつつ降温した後、通常は圧力を大気圧程度まで減圧することにより、本発明の組成物を得ることができる。
以上説明した段階(i)〜(iii)により、本発明の組成物を効率的に製造することができるが、これらの段階(i)〜(iii)、特に高温条件での混練処理(前記段階(ii))及び降温処理(前記段階(iii))については、エクストルーダーを用いることが好ましい。エクストルーダーを用いて前記の段階(ii)及び段階(iii)を実施すれば、圧力条件は通常は前記の範囲を充足するために管理不要であり、温度条件についても効率的に前記の範囲に調整、維持することが可能である。よって、エクストルーダーを用いることで、本発明の組成物をより効率的且つ簡便に製造することが可能となる。
・段階(iv):老化処理
前記段階(ii)又は(iii)後の組成物を、そのまま本発明の組成物としてもよいが、所定値以上の乾量基準含水率を維持しつつ、レジスタントスターチ値を前記範囲内に調整するには、更に段階(iv)として、老化処理を行うことで、少なくとも固体表面のでんぷんが老化されてなる組成物となるため好ましい。具体的には、本段階(iv)における組成物の糊化度の低下差分は、段階(ii)の混練後の組成物の糊化度に対して通常6%以上である(すなわち、糊化度が6%以上低下するまで老化処理を実施する)。斯かる糊化度の低下差分は、中でも7%以上、又は8%以上、又は9%以上、中でも10%以上低下させることが好ましい。一方、本段階(iv)における組成物の糊化度の低下率の上限は特に制限されないが、通常50%以下とすることができる。
また、段階(iv)の糊化度低下後の組成物中におけるでんぷん糊化度は、所定値以下であることが好ましい。具体的に、段階(iv)の糊化度低下後の組成物中のでんぷん糊化度は、通常90%以下、中でも85%以下、更には80%以下、又は75%以下、又は70%以下であることが好ましい。下限は特に規定されないが、通常10%以上、中でも20%以上、更には30%以上、とりわけ40%以上、特に50%以上であることが好ましい。
斯かる段階(iv)の老化を達成する手段は特に限定されないが、例えば、押出機(エクストルーダー)の混練部以降の構成における処理に伴って、或いは押出機による処理の完了後に後処理として、後述する保水処理を行うことで、組成物表面付近のでんぷんを老化させ、段階(iv)の老化を達成することができる。具体的には、前記段階(ii)以降で、組成物温度が90℃未満(当該温度下限は特に制限されないが、通常0℃超、又は4℃超である。)に低下してから、乾量基準含水率25質量%以上の状態で維持される時間を、通常0.1時間以上、中でも0.2時間以上、更には0.3時間以上、又は0.4時間以上、又は0.5時間以上、又は0.6時間以上、又は0.7時間以上、又は0.8時間以上、又は0.9時間以上、特に1.0時間以上に調節することができる。斯かる時間の上限は特に限定されないが、例えば通常20時間以下、更には15時間以下とすることができる。
或いは、押出機内部の段階(iii)以降の工程で段階(iv)が充足されてもよく、押出機から押し出された以降の工程で段階(iv)が充足されてもよく、押出機内部と外部における処理とが合わさった一連の工程で段階(iv)が充足されてもよい。
斯かる段階(iv)における組成物の温度は、限定されるものではないが、通常90℃以下、中でも80℃以下、更には70℃以下、特に60℃以下とすることが好ましい。下限は特に限定されないが0℃超、又は4℃超である。また、段階(iv)における圧力も特に限定されないが、例えば常圧(大気圧)下で行うことができる。
なお、前記の老化を促進するための手段の一例として、前記(i)〜(iii)の何れかの段階において水分を添加し、前記段階(ii)の高温条件下混練・糊化処理前の生地組成物及び/又は当該処理以降の組成物(以下「混練・糊化処理前・以降の組成物」という)における乾量基準含水率を所定値超となるように調整する方法を用いることでレジスタントスターチの生成を促進することができるため好ましい。具体的には、組成物の乾量基準含水率を、通常47質量%超、中でも48質量%超、とりわけ49質量%超、特に50質量%超とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、例えば通常300質量%以下、又は200質量%以下、又は175質量%以下、又は150質量%以下、又は125質量%以下、又は100質量%以下となるように調整することができる。なお、生地組成物の乾量基準含水率の調整は、前述の通り前記(i)の段階で行ってもよく、(ii)以降の段階(例えば段階(iii)または段階(iv))で行ってもよいが、液体状の水によって加水を行うことでその割合を調整する場合は前記(i)の段階で加水を行うことにより行うことが好ましく、中でも、フィーダ投入時に予め生地組成物に対して加水を行うことがより好ましい。なお、混練・糊化処理前・以降の組成物に対して加水を行う際は、液体の水の状態でもスチームや加熱水蒸気やミストなどの高湿度気体の状態でも加水を行うことができる。中でも、混練・糊化処理前の生地組成物(より具体的には段階(i)の組成物)に対して加水を行う場合には液体状の水を用いて添加することが好ましく、混練・糊化処理以降の組成物(より具体的には段階(ii)又は段階(iii)以降の組成物)に対して加水を行う場合にはスチームや加熱水蒸気やミストなどの高湿度気体(具体的には相対湿度50RH%超)を用いて加水を行うことが好ましい。
一般に、単にでんぷんの糊化を行う目的のみであれば、生地組成物における乾量基準含水率は、40質量%以下程度で十分である。その後の乾燥工程を考慮すると、それ以上の加水(より具体的には段階(i)における組成物の乾量基準含水率として47質量%超)を行うことは、動機が存在しないどころか、乾燥工程における劣化臭の発生などを考慮するとむしろ阻害的な要因が存在すると言える。よって本段階(iv)のように、いったん糊化させたでんぷんを老化させレジスタントスターチを生成するという思想を有さなければ、生地組成物における乾量基準含水率を高めるという着想は困難である。更に、単に生地組成物における乾量基準含水率を高めた場合であっても、その後に組成物中の水分を乾燥させるという思想とは逆の、本段階(iv)のような水分を保持してレジスタントスターチを生成するという思想が無ければ、前述したような、特に段階(ii)以降で、組成物の温度が一定以下に低下してから、組成物の乾量基準含水率が25質量%未満となるまでに要する時間を所定値以上確保するという構成を採用することはできないと考えられる。
このように組成物の水分量を調整するための具体的な手段としては、制限されるものではないが、前記段階(i)のペースト生地組成物の調製時に加水を行う方法が好ましい。加水は水の状態でもスチームや加熱水蒸気やミストなどの高湿度気体の状態でも行うことができるが、水の状態で添加することが好ましい。更に、押出機を用いる場合は、その製造中に配合する水分の所定割合以上を、押出機内が20℃以上加温される前に他原料と混合することで、でんぷんが過加熱によってその特性が変化することを抑制できる場合があるため好ましい。具体的に、押出機内が20℃以上加温される前の段階で、製造中に配合する水分のうち通常50質量%以上、中でも60質量%以上、更には70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に実質的に100質量%を、他原料と混合することが好ましい。水分を他原料と混合する場合、原料を押出機に投入する前に、予め前記割合の水分を混合しておくことが好ましい。
また、前記段階(iii)以降の段階(具体的には段階(iv))で、押出機による押出後の組成物に対して加水を行い、組成物が乾量基準含水率25質量%に到達するまでの時間を所定時間より長くする方法も用いることができる。加水は、水の状態でもスチームや加熱水蒸気やミストなどの高湿度気体の状態でも行うことができるが、水の状態で添加することが好ましい。さらに、組成物の乾量基準含水率がいったん25質量%未満となった場合であっても、乾燥組成物に再加水して乾量基準含水率を高めることで、乾量基準含水率25質量%以上の時間の合計が所定の時間以上となるように調整することで保水処理を行うことができる。乾燥組成物に再加水する場合には、その後の保持時間の過半の温度が60℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがさらに好ましく、40℃以下であることがより好ましい。
また、前記段階(iii)以降の段階(具体的には段階(iv))で、押出機による押出後の組成物に対して高湿度気体などを用いて周辺湿度を高め、乾量基準含水率25質量%に到達するまでの時間を所定時間より長くする方法も用いることで、特に通常すみやかに水分が失われ組成物内部と比較して老化しにくい組成物表面付近のでんぷんが局所的に老化し、麺をはじめとする複数の組成物をまとめて喫食する組成物とした場合に、組成物同士が結着しにくく食べやすい組成物となるため好ましい。具体的にはダイ部から押し出された後の組成物を高湿度環境(例えば50RH%超)に保管したり、ミストをはじめとする高湿度気体を噴霧したりするなどの処理(湿潤処理とも称する)を施して、所定の糊化度低下を達成する方法を採用することができる。
老化処理の手法は制限されず、任意の手法を用いればよいが、組成物の乾量基準含水率を所定値以上の状態に一定時間以上保持する処理が好ましい。斯かる処理の例としては、湿潤処理が挙げられる。湿潤処理は、湿度を一定にした密閉装置内で処理を行っても、湿度を一定にした雰囲気を供給する装置で処理を行ってもよく、また組成物中から蒸発する水蒸気を組成物周辺に保持することによって相対湿度を保つことで湿潤処理を行う方法を用いてもよく、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。
組成物の乾量基準含水率を低下させる場合、乾量基準含水率低下前に湿潤処理を行ってもよい。なお、乾量基準含水率低下後に湿潤処理を行ってもよいが、乾量基準含水率低下前に湿潤処理を行う方が本発明の効果がより顕著に奏されるため、好ましい。
中でも、前記段階(iii)後の組成物を、下記の(式3)を満たすように湿潤処理することが好ましい。
Figure 0006951820
例えば雰囲気の相対湿度が95RH%(A)、湿潤処理時間が1時間(T)で湿潤処理を行った場合、A×T=95となる。
湿潤処理は、上記(式3)において、A×Tの下限であるBが40(即ちA×T≧40)となるように行うことが好ましい。中でもBが50(即ちA×T≧50)、更にはBが60(即ちA×T≧60)、更にはBが70(即ちA×T≧70)、更にはBが80(即ちA×T≧80)、とりわけBが90(即ちA×T≧90)となるように、湿潤処理を行うことが好ましい。
また、湿潤処理は、組成物中の乾量基準含水率が所定値以上、例えば20質量%以上、中でも25質量%以上、更には30質量%以上となるような状態で行うことが好ましい。
また、湿潤処理における雰囲気の相対湿度(A)は50RH%超であればよいが、60RH%超であることが好ましく、70RH%超であることがより好ましく、80RH%超であることが更に好ましく、90RH%超であることがより更に好ましい。
また、湿潤処理時の温度は特に限定されないが、通常組成物の温度が4℃以上で処理を行うことが好ましく、30℃以上がより好ましく、特に60℃以上で湿潤処理を行うことで本発明の効果がより顕著に奏されるため好ましい。かかる組成物の温度の上限は、99℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましく、90℃以下が更に好ましく、80℃以下が更に好ましく、70℃以下がより更に好ましい。
また、湿潤処理時の雰囲気温度が30℃以上であると、雰囲気中の飽和水蒸気量が高まり、同じ相対湿度でも効果がより顕著に奏されるため好ましい。斯かる雰囲気温度は、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。
こうした湿潤処理を行うことで、得られる油脂含有組成物及び当該組成物を含む食品は、喫食時のフレーバーリリースが高まるためより好ましい。特に前記段階(iii)後の組成物を、加熱した液中で調理して喫食に用いた場合、保管中に組成物からフレーバーリリースが損なわれやすい品質になるが、湿潤処理を行うことで、フレーバーリリースが保持されやすくなるため、より好ましい。
なお、老化処理は、老化処理前後の組成物のレジスタントスターチ値の増加率が、通常0%超、更には5%以上、又は10%以上、又は20%以上、又は30%以上、又は35%以上、又は40%以上、又は45%以上、又は50%以上、とりわけ80%以上、又は90%以上、特に100%以上となるように行うことが好ましい。なお、本明細書において組成物のレジスタントスターチ値の増加率とは、組成物中の老化処理後の組成物のレジスタントスターチ値と、老化処理前の組成物のレジスタントスターチ値との差分(「老化処理後の組成物のレジスタントスターチ値」―「老化処理前の組成物のレジスタントスターチ値」)を、老化処理前のレジスタントスターチ値で割って得られる比率とする。
・後処理
本発明の組成物には、適宜任意の後処理を加えてもよい。
中でも、本発明の組成物には、乾燥処理を加えることが好ましい。乾燥方法としては、一般的に食品の乾燥に用いられる任意の方法を用いることができる。例としては、天日乾燥、陰干し、エアドライ(例えば熱風乾燥、流動層乾燥法、噴霧乾燥、ドラム乾燥、低温乾燥等)、加圧乾燥、減圧乾燥、マイクロウェーブドライ、油熱乾燥等が挙げられる。中でも、植物が本来有する色調や風味の変化の程度が小さく、食品以外の香り(焦げ臭等)を比較的制御しやすいという点から、エアドライ(例えば熱風乾燥、流動層乾燥法、噴霧乾燥、ドラム乾燥、低温乾燥等)による方法が好ましい。
本発明の組成物は、乾燥処理を加えることで、「乾燥」状態の固体状組成物とすることができる。なお、本明細書において「乾燥」状態とは、乾量基準含水率が20質量%以下である状態を指す。
また、本発明の組成物を乾燥させる場合には、その水分活性値が0.95以下、中でも0.90以下、更には0.85以下、とりわけ0.80以下、とくに0.75以下となるまで乾燥することが好ましい。なお、水分活性値とは、食品中の自由水の割合を表す数値で、食品の保存性の指標とされるものであり、具体的には、サンプル上ヘッドスペースの平衡時蒸気圧(p)を、同じ温度の水の蒸気圧(p0)で割った値であり、換言すれば、ヘッドスペースの平衡相対湿度(ERH)を100で割った値である。水分活性値の測定法としては、一般的な水分活性測定装置(例えば電気抵抗式(電解質式)湿度センサを用いたノバシーナ社製「LabMaster−aw NEO」)を用いて測定することができる。
なお、本発明の油脂含有組成物は、これを粉砕して用いてもよい。即ち、前述の本発明の製造方法において、前記段階(iii)の降温後又は(iv)の老化処理後、さらに(v)前記組成物を粉砕し、粉砕組成物とする段階を設けてもよい。こうして得られる本発明の組成物の粉砕物(適宜「本発明の粉砕組成物」、「組成物粉砕物」又は「粉砕組成物」とも称する。)も、形状が変化しても本発明における好ましい成分的特徴を有するため、本発明の対象となる。本発明の組成物を粉砕して本発明の粉砕組成物とする場合、その粉砕条件は特に制限されず任意であるが、d90及び/又はd50が1000μm以下程度となるように粉砕することが好ましい。特に、超音波処理後の粒子径d50及び/又はd90が、480μm未満であることが好ましく、中でも450μm未満、更に400μm未満、更に300μm未満、更に200μm未満、特に100μm未満であることがより好ましい。その下限は特に限定されないが、通常1μm以上、特に5μm以上とすることができる。
さらに、本発明の組成物は、固体状の乾燥組成物を粉砕して、粉末状の組成物(本発明の粉砕組成物)とすることも好ましい。この場合、固体状乾燥組成物の粉末化に用いられる粉砕処理の手段は、特に限定されず、任意の手法を用いることも出来る。
また、本発明の粉砕組成物を原料として、前記の本発明の製造方法による高温強混練処理を再度実施することで、凝集体を形成してもよい。即ち、前述の本発明の製造方法において、前記段階(v)の粉砕後、さらに(vi)前記粉砕組成物を凝集させて、粉砕組成物凝集体とする段階を設けてもよい。こうして得られる本発明の粉砕組成物の凝集体(これを適宜「本発明の粉砕組成物凝集体」という。)は、形状が変化しても本発明における好ましい成分的特徴を有するため、本発明の油脂含有組成物として好適に利用できる。斯かる本発明の粉砕組成物凝集体も、本発明の対象となる。
また、本発明の組成物を粉砕して本発明の粉砕組成物とする場合、前述のように、粉末化に用いられる粉砕処理の手段は特に限定されない。粉砕時の温度も制限されず、高温粉砕、常温粉砕、低温粉砕の何れであってもよい。粉砕時の圧力も制限されず、高圧粉砕、常圧粉砕、低圧粉砕の何れであってもよい。斯かる粉砕処理のための装置の例としては、ブレンダー、ミキサー、ミル機、混練機、粉砕機、解砕機、磨砕機等の機器類が挙げられるが、これらの何れであってもよい。その装置としては、例えば乾式ビーズミル、ボールミル(転動式、振動式等)等の媒体攪拌ミル、ジェットミル、高速回転型衝撃式ミル(ピンミル等)、ロールミル、ハンマーミル等を用いることができる。
[油脂含有組成物含有食品]
本発明の別の側面は、先に説明した種々の本発明の組成物、即ち、油脂含有組成物、粉砕油脂含有組成物、及び/又は、粉砕油脂含有組成物凝集体を含む食品に関する。斯かる食品は、先に説明した種々の本発明の組成物をそのまま食品としたものでもよく、本発明の組成物に他の食材や成分を添加したものでもよく、本発明の組成物を食材として他の食品に添加したものでもよい。何れの態様の食品であっても、1−ヘキサノールや1−ペンタノールに起因する油脂の酸化臭の抑制という本発明の効果が発揮された、好ましい食品を得ることができる。
なお、先に説明した豆類を主体とした本発明の組成物は、前述した油脂の酸化臭の抑制という課題に加えて、組成物表面を老化させるか、又は規定量以上のレジスタントスターチを含有させることにより、水中における成分溶出が抑制された性質を有することから、特に成分が溶出しやすい調理環境である液中(特に水中)での加熱調理に供される加熱調理用途に用いる組成物又は加熱調理用組成物であることが好ましい。例えば組成物が麺やパスタ等の麺線又は麺帯状組成物であった場合、喫食のために水中における加熱調理(例えば90℃以上の水中で5分以上)された後においても、喫食が可能な形状が保持されるような性質を有するため、麺やパスタ等の麺線又は麺帯状組成物であることが好ましい。
本発明の組成物の例としては、これらに限定されるものではないが、パスタ、中華麺、うどん、稲庭うどん、きしめん、ほうとう、すいとん、ひやむぎ、素麺、蕎麦、蕎麦がき、ビーフン、フォー、冷麺の麺、春雨、オートミール、クスクス、きりたんぽ、トック、ぎょうざの皮等が挙げられる。
パスタの例としては、ロングパスタとショートパスタとが挙げられる。
ロングパスタとは、通常細長いパスタの総称であるが、本発明においては、うどんやそば等も包含する概念である。具体例としては、これらに限定されるものではないが、例えば、スパゲッティ(直径:1.6mm〜1.7mm)、スパゲッティーニ(直径:1.4mm〜1.5mm)、ヴァーミセリ(直径:2.0mm〜2.2mm)、カッペリーニ(直径:0.8mm〜1.0mm)、リングイネ(短径1mmほど、長径3mmほど)、タリアテッレ又はフェットチーネ(幅7mm〜8mmほどの平麺)、パッパルデッレ(幅10mm〜30mmほどの平麺)等が挙げられる。
ショートパスタとは、通常短いパスタの総称であるが、本発明においては、フレーゴラ(粒状のパスタ)やクスクス等の成型後更に小サイズに加工されたものも包含する概念である。具体例としては、これらに限定されるものではないが、マカロニ(直径が3mm〜5mm前後の円筒状)、ペンネ(円筒状の両端をペン先のように斜めにカットしたもの)、ファルファーレ(蝶のような形状)、コンキリエ(貝殻のような形状)、オレッキエッテ(耳のような形状のドーム型)等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。
[油脂含有組成物の調製方法]
各実施例、比較例、及び参考例の油脂含有組成物の試料は、所定の組成に調整された生地組成物を混練することにより糊化させ、更に後処理を行って老化させることにより製造した。
生地組成物は、後記表1中「生地組成物条件」に記載された組成及び物性を有する微細化豆類を原料粉末として用いて調製した。
糊化は、前記調製された生地組成物を、2軸エクストルーダーを用いて、後記表2中「糊化条件」に記載された条件で混練することにより行った。2軸エクストルーダーとしては、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、HAAKE Process11(スクリュー径11mm×2、スクリュー長41cm、セグメント式、同方向回転スクリュー)を使用した。なお、加工時のベントは行わず、出口付近まで混練を行いつつ降温処理を行い、出口圧力を「加圧条件」として測定した。
老化は、前記糊化後の各実施例、比較例、及び参考例の組成物に対して、後記表2中「老化条件」の「具体的な老化処理方法」に記載された後処理を施すことにより行った。なお、「具体的な老化処理方法」の各セルの記載中、「水浸漬」とは、糊化処理後の組成物を常温で水に1秒間浸漬したことを指し、「湿潤処理」とは、相対湿度100%RH、30℃の環境下で1時間晒したことを指し、「常温乾燥」とは、20℃で24時間乾燥したことを指し、「40℃、24時間乾燥」とは、老化を避ける目的で糊化処理後の組成物を40℃の恒温環境下で24時間乾燥処理したことを指す。
なお、試験例1−1〜1−17及び比較例1−1〜1−5の油脂含有組成物試料は、同一の組成及び製法にて得られた共通の油脂含有組成物試料に対し、各香気成分の標準品(ヘキサナール:東京化成工業株式会社社製、1−ヘキサノール:東京化成工業株式会社社製、1−ペンタノール:富士フイルム和光純薬株式会社社製)を種々異なる含量比で添加・混合することにより調製した。
以上の油脂含有組成物試料の生地組成物条件を後記表1に、糊化条件及び老化条件を後記表2にそれぞれ示す。
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[油脂含有組成物の物性・特性の分析]
上記手順で得られた各試験例、比較例、及び参考例の油脂含有組成物の試料について、下記の物性・特性の分析を行った。
・SPME−GC/MSによる香気成分の分離濃縮及び測定:
各試験例、比較例、及び参考例の油脂含有組成物の試料中の香気成分(ヘキサナール、1−ヘキサノール、及び1−ペンタノール)を、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC/MS)を用いて分離濃縮し、その含量を測定した。
(1)香気成分の分離濃縮方法:
各油脂含有組成物試料を検体として、各検体の25質量%水溶液中(サンプル1質量部:水3質量部)を、以下の条件下で固相マイクロ抽出法(SPME)に供することにより、検体中の香気成分を分離濃縮した。
<固相マイクロ抽出条件>
・SPMEファイバー:StableFlex 50/30μm、DVB/Carboxen/PDMS(SUPELCO社製)
・揮発性成分抽出装置:PAL3 RSI120(CTC Analytics社製)
・予備加熱:80℃、15分間。
・攪拌速度:300rpm
・揮発性成分抽出:80℃、20分間。
・脱着時間:10分間。
(2)香気成分の含量の測定方法:
固相マイクロ抽出法により分離濃縮された各油脂含有組成物試料の各香気成分について、ガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、以下の条件に従ってガスクロマトグラフ分析を行った。
<ガスクロマトグラフ条件>
・測定機器:Agilent 7980B GC System(Agilent Technologies社製)
・GCカラム:DB−WAX(Agilent Technologies社製)、長さ30m、口径0.25mm、膜厚0.25μm。
・キャリア:Heガス、ガス流量1.0mL/分間。
・温度条件:40℃で3分間保持→250℃まで10℃/分ずつ昇温→250℃で10分間保持。
<質量分析条件>
・測定機器:Agilent 7000C GC/MS Triple Quad(Agilent Technologies社製)
・イオン化方式:EI(イオン化電圧70eV)
・スキャン質量:m/z=29.0〜350.0
各試料について、下記表Aに示す各香気成分(ヘキサナール、1−ヘキサノール、1−ペンタノール)の確認イオンに基づいて各香気成分のピークを特定し、ピーク面積を求めた。得られた各香気成分のピーク面積から、水での希釈率を考慮して、各試料に含まれる各香気成分の濃度を算出した。
Figure 0006951820
・でんぷん含量、タンパク質含量、不溶性食物繊維含量、乾量基準含水率:
各試験例、比較例、及び参考例の油脂含有組成物の試料のでんぷん含量、タンパク質含量、不溶性食物繊維含量、及び乾量基準含水率は、以下の方法で測定した。
各試料のでんぷん含量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、AOAC996.11の方法に従い、80%エタノール抽出処理により、測定値に影響する可溶性炭水化物(ぶどう糖、麦芽糖、マルトデキストリン等)を除去した方法で測定した。
各試料のタンパク質含量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、改良ケルダール法によって定量した窒素量に、「窒素−タンパク質換算係数」を乗じて算出する方法で測定した。具体的には、大豆以外の豆類は、その他食品に該当する係数6.25を採用した。
各試料の不溶性食物繊維含量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、プロスキー変法で測定した。
各試料の乾量基準含水率は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、減圧加熱乾燥法で90℃に加温することで測定した。
・糊化度:
各試料の糊化処理前後の糊化度、糊化度差分は、グルコアミラーゼ第二法により測定した。
・レジスタントスターチ値:
レジスタントスターチ値は、前述のように、でんぷん含量に対するレジスタントスターチ含量の質量比率{(レジスタントスターチ含量)/(でんぷん含量)}(%)を意味する。
各試料の老化処理前後のレジスタントスターチ値は、RESISTANT STARCH ASSAY PROCEDURE(メガザイム社製)を用いて測定した。
・視野中のでんぷん粒構造の数の測定
各試験区の組成物をミルで粉砕した目開き150μmパスの組成物粉末3mgを、水50μLに懸濁した組成物粉末6%水懸濁液を作製した。その後、スライドグラスに懸濁液を滴下後、カバーガラスをかけ軽く押しつぶしてプレパラートを作製した。位相差顕微鏡(ECLIPSE80i、Nikon社製)にて、拡大倍率200倍でプレパラート中の代表的部位を偏光観察し、視野中のでんぷん粒構造の数を把握した。
・PDI値の測定
各試験区の組成物に20倍量の水を加え、粉砕処理(マイクロテックニチオン社製ホモジナイザーNS−310E3を用いて8500rpmで10分間破砕処理する)し、得られた破砕処理液の全窒素割合に20を乗じた値を組成物全体の全窒素割合として測定した。次に破砕処理液を遠心分離(3000Gで10分間)し、得られた上清の全窒素割合に20を乗じた値を水溶性窒素割合として測定することで、組成物におけるPDI値を算出した。なお、全窒素割合は、食品表示法(「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号))に規定された燃焼法(改良デュマ法)を用いて測定した。
・粒子径d 50
本発明の原料粉末(微細化された状態の豆類)における、超音波処理を行った場合における粒子径d50の測定条件は、以下の条件で測定した。具体的には、測定時の溶媒としてはエタノールを用いる。測定に使用されるレーザ回折式粒度分布測定装置としては、マイクロトラック・ベル株式会社のMicrotrac MT3300 EXIIシステムを使用する。測定アプリケーションソフトウェアとしては、DMS2(Data Management System version2、マイクロトラック・ベル株式会社)を使用する。前記の測定装置及びソフトウェアを使用する場合、測定に際しては、同ソフトウェアの洗浄ボタンを押下して洗浄を実施したのち、同ソフトウェアのSetzeroボタンを押下してゼロ合わせを実施し、サンプルローディングでサンプルの濃度が適正範囲内に入るまでサンプルを直接投入する。超音波処理を行った場合のサンプルを測定する場合、超音波処理を行っていないサンプルを測定装置中で循環する測定溶媒(エタノール)中に投入し、サンプルローディングにて濃度を適正範囲内に調整した後、同ソフトの超音波処理ボタンを押下して超音波処理(測定サンプルに対して周波数40kHzの超音波を出力40Wにて3分間印加)を行う。その後、3回の脱泡処理を行った上で、再度サンプルローディング処理を行い、濃度が依然として適正範囲であることを確認した後、速やかに流速60%で10秒の測定時間でレーザ回折した結果を測定値とした。測定時のパラメータとしては、例えば分布表示:体積、粒子屈折率:1.60、溶媒屈折率:1.36(エタノール溶媒)、測定上限(μm)=2000.00μm、測定下限(μm)=0.021μmとして測定した。
・結果:
上記手順で測定された各試験例、比較例、及び参考例の油脂含有組成物試料の物性・特性を後記表3及び表4に示す。なお、2−12(粉末状)における粉砕組成物は、d90=100μmとなるように粉砕処理を実施した。
Figure 0006951820
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[油脂含有組成物試料(糊化・老化後)の官能評価]
上記のように調製した試験例1−1〜1−17及び2−1〜2−14、比較例1−1〜1−5、並びに参考例2−1〜2−6の糊化・老化後の各油脂含有組成物試料それぞれ1質量部を、9質量部の水中で90℃、5分間加熱調理したものについて、官能評価を行った。具体的には、各油脂含有組成物試料を紙皿に静置し、訓練された官能検査員10名が料理を観察及び試食し、その物性及び喫食時の食味について、「油脂の酸化臭」「喫食時のフレーバーリリース」、「表面状態」、及び「粉っぽさ」の各観点から、下記の基準で評価を行った(但し、粉砕組成物については、表面状態は評価しなかった。)。そして、官能検査員10名の評点の平均値を算出し、小数第1位を四捨五入して最終評点とした。なお、本発明における平均値(単に「平均」又は「算術平均値」と称する場合もある。)とは、特に指定が無い限り相加平均値を指す。
・「喫食時の油脂の酸化臭」の評価基準:
各油脂含有組成物試料の油脂の酸化臭を、下記の5段階で評価した。また、合わせて組成物中の青臭い臭いについても評価して、コメントを記載した。
5:油脂の酸化臭が抑えられ、好ましい
4:油脂の酸化臭がやや抑えられ、やや好ましい
3:油脂の酸化臭が感じられるものの、許容範囲
2:油脂の酸化臭が感じられ、やや好ましくない
1:油脂の酸化臭が強く感じられ、好ましくない
ここで、油脂の酸化臭とは、油脂を含む食品の酸化によって生じる喫食する際に好ましくない異臭(典型的には1−ヘキサノールや1−ペンタノールの香り)として評価した。また、青臭い香りとは、生の豆類などが有する好ましくない香り(典型的にはヘキサナールの香り)として評価した。
・「喫食時のフレーバーリリース」の評価基準:
各油脂含有組成物試料のフレーバーリリースを、下記の5段階で評価した。また、合わせて組成物中の油脂酸化臭とフレーバーリリースとのバランスについても評価して、コメントを記載した。
5:フレーバーリリースが強く、好ましい
4:フレーバーリリースがやや強く、やや好ましい
3:フレーバーリリースがやや弱いものの、許容範囲
2:フレーバーリリースがやや弱く、やや好ましくない
1:フレーバーリリースが弱く、好ましくない
ここで、フレーバーリリースとは、油脂含有組成物を喫食する際に鼻に抜ける好ましい香りを評価した。
・「表面状態」の評価基準:
各油脂含有組成物試料の表面状態を、下記の5段階で評価した。
5:表面がなめらかで、好ましい
4:表面がややなめらかで、やや好ましい
3:凹凸が認められるものの、許容範囲
2:凹凸がやや目立ち、やや好ましくない
1:凹凸が目立ち、好ましくない
ここで、表面状態とは、油脂含有組成物の表面におけるなめらかさ(凹凸度合い)を観察して評価した。
・「粉っぽさ」の評価基準:
各油脂含有組成物試料の粉っぽさを、下記の5段階で評価した。
5:粉っぽさが感じられず、好ましい
4:粉っぽさがやや感じられず、やや好ましい
3:粉っぽさが認められるものの、許容範囲
2:粉っぽさがやや目立ち、やや好ましくない
1:粉っぽさが目立ち、好ましくない
ここで、粉っぽさとは、油脂含有組成物の喫食時における、ざらざらとした食感を評価した。
・官能評価結果]
各試験例、比較例、及び参考例の組成物試料の製造条件、組成、物性、及び評価結果を、以下の表5に示す。なお、実施例1−1〜1−17及び比較例1−1〜1−5について、組成物形態を粉末状とした粉砕組成物(d90=400μm、200μm、100μm、10μm)においても、「喫食時の油脂の酸化臭」「喫食時のフレーバーリリース」「粉っぽさ」について同様の官能検査結果が得られた。
Figure 0006951820
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本発明の油脂含有組成物は、1−ヘキサノールや1−ペンタノールに起因する油脂の酸化臭が抑制されており、食品分野での種々の応用が期待される。

Claims (23)

  1. 1−ヘキサノール及び/又は1−ペンタノールを含有する食用の油脂含有組成物であって、更にヘキサナールを含有すると共に、下記(A)、(B)、(F)、(I)、及び(J)を充足する油脂含有組成物。
    (A)ヘキサナール含有量が10質量ppb以上100質量ppm以下である。
    (B)α/βが1以上10000以下、及び/又は、α/γが1以上10000以下である。
    但し、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法を用いて試料温度80℃で測定した場合における、ヘキサナールのピーク面積(m/z=82)をα、1−ヘキサノールのピーク面積(m/z=84)をβ、1−ペンタノールのピーク面積(m/z=70)をγとする。
    (F)でんぷんを乾燥質量換算で25質量%以上含有する。
    (I)乾量基準含水率が50質量%以下である。
    (J)レジスタントスターチ値が1.5%以上である。
  2. さらに下記(C)を充足する、請求項1に記載の油脂含有組成物。
    (C)α/(β+γ)が0.5以上5000以下である。
  3. さらに下記(D)を充足する、請求項1又は2に記載の油脂含有組成物。
    (D)β/γが0.2以上である。
  4. さらに下記(E)を充足する、請求項1〜3の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
    (E)不溶性食物繊維を乾燥質量換算で1質量%以上含有する。
  5. さらに下記(G)を充足する、請求項1〜4の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
    (G)タンパク質を乾燥質量換算で5.5質量%以上含有する。
  6. さらに下記(H)を充足する、請求項1〜5の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
    (H)全油脂分含量が乾燥質量換算で0.01質量%以上である。
  7. 組成物のPDI(protein dispersibility index)値が55質量%未満である、請求項1〜6の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
  8. 組成物の粉砕物の6%懸濁液を観察した場合に認められるでんぷん粒構造が、300個/mm2以下である、請求項1〜7の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
  9. 豆類を含有する、請求項1〜8の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
  10. 前記豆類が、微細化された状態の豆類である、請求項9に記載の油脂含有組成物。
  11. 前記豆類が、エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属、及びヒラマメ属から選ばれる1種以上の豆類である、請求項9又は10に記載の油脂含有組成物。
  12. 糊化度が30%以上である、請求項1〜11の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
  13. 糊化処理前後の糊化度の増加率が5%以上である、請求項12に記載の油脂含有組成物。
  14. 少なくとも固体表面のでんぷんが老化されてなる、請求項12又は13に記載の油脂含有組成物。
  15. 固体状である、請求項1〜14の何れか一項に記載の油脂含有組成物。
  16. 請求項15に記載の固体状の油脂含有組成物を粉砕してなる、粉砕油脂含有組成物。
  17. 請求項16に記載の粉砕油脂含有組成物を凝集してなる、粉砕油脂含有組成物凝集体。
  18. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の油脂含有組成物、及び/又は、請求項16に記載の粉砕油脂含有組成物、及び/又は、請求項17に記載の粉砕油脂含有組成物凝集体を含む食品。
  19. 請求項1〜15の何れか一項に記載の油脂含有組成物を製造する方法であって、
    (i)油脂含有食材を任意によりその他の成分と混合して、でんぷん含量が乾燥質量換算で25質量%以上である組成物を調製する段階、
    (ii)段階(i)後の組成物を100℃以上の高温条件下で混練すると共に、前記の(A)及び(B)を満たすように、ヘキサナール、1−ヘキサノール、及び1−ペンタノールの含有量を調整する段階、及び
    (iii)段階(ii)後の組成物に対して、組成物のレジスタントスターチ値の増加率が0%超となるように老化処理を行う段階
    を含むと共に、
    段階(i)及び/又は段階(ii)において、組成物の乾量基準含水率が47質量%超となるように調整することを含む方法。
  20. ヘキサナール、1−ヘキサノール、及び1−ペンタノールの含有量の調整が、1−ヘキサノールと1−ペンタノールとの合計含有量が1質量ppb以上の油脂含有食材を糊化処理することにより行われる、請求項19に記載の方法。
  21. 前記段階(iii)の老化処理後に、組成物を乾燥する段階を更に含む、請求項19又は20に記載の方法。
  22. 請求項16に記載の粉砕油脂含有組成物を製造する方法であって、請求項1921の何れか一項に記載の製造方法により得られた油脂含有組成物を粉末状とすることを含む製造方法。
  23. 請求項17に記載の粉砕油脂含有組成物凝集体を製造する方法であって、請求項22に記載の製造方法により得られた粉砕油脂含有組成物を凝集させることを含む製造方法。
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