本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。図2は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。図1に示すように、車両101は、電動パワーステアリング装置100を搭載している。図2を参照して電動パワーステアリング装置100の概要を説明する。
電動パワーステアリング装置100は、運転者(操作者)から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール91と、ステアリングシャフト92と、ユニバーサルジョイント96と、インターミディエイトシャフト97と、ユニバーサルジョイント98と、第1ラックアンドピニオン機構99と、タイロッド72と、を備える。また、電動パワーステアリング装置100は、ステアリングシャフト92の操舵トルクを検出するトルクセンサ94と、電動モータ30と、電動モータ30を制御する電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)という。)10と、減速装置75と、第2ラックアンドピニオン機構70と、を備える。車速センサ82、電源装置83(例えば車載のバッテリ)、及びイグニッションスイッチ84は、車体に備えられる。車速センサ82は、車両101の走行速度を検出する。車速センサ82は、検出した車速信号SVをCAN(Controller Area Network)通信によりECU10に出力する。ECU10には、イグニッションスイッチ84がオンの状態で電源装置83から電力が供給される。
電動駆動装置1は、電動モータ30と、電動モータ30のシャフト31の反負荷側に固定したECU10とを備える。また、電動駆動装置1は、ECU10と電動モータ30とを接続するアダプタ60(図3参照)を備えてもよい。
図2に示すように、ステアリングシャフト92は、入力軸92Aと、出力軸92Bと、トーションバー92Cと、を備える。入力軸92Aは、一方の端部がステアリングホイール91に接続され、他方の端部がトーションバー92Cに接続される。出力軸92Bは、一方の端部がトーションバー92Cに接続され、他方の端部がユニバーサルジョイント96に接続される。なお、トルクセンサ94は、トーションバー92Cのねじれを検出することで、ステアリングシャフト92に加わる操舵トルクを検出する。トルクセンサ94は、検出した操舵トルクに応じた操舵トルク信号TをCAN通信によりECU10に出力する。ステアリングシャフト92は、ステアリングホイール91に付与された操舵力により回転する。
インターミディエイトシャフト97は、アッパーシャフト97Aと、ロアシャフト97Bとを有し、出力軸92Bのトルクを伝達する。アッパーシャフト97Aは、ユニバーサルジョイント96を介して出力軸92Bに接続される。一方、ロアシャフト97Bは、ユニバーサルジョイント98を介して第1ラックアンドピニオン機構99の第1ピニオンシャフト99Aに接続される。アッパーシャフト97Aとロアシャフト97Bとは、例えば、スプライン結合されている。
第1ラックアンドピニオン機構99は、第1ピニオンシャフト99Aと、第1ピニオンギヤ99Bと、ラックシャフト99Cと、第1ラック99Dと、を有する。第1ピニオンシャフト99Aは、一方の端部がユニバーサルジョイント98を介してロアシャフト97Bに接続され、他方の端部が第1ピニオンギヤ99Bに接続される。ラックシャフト99Cに形成された第1ラック99Dは、第1ピニオンギヤ99Bと噛み合う。ステアリングシャフト92の回転運動は、インターミディエイトシャフト97を介して第1ラックアンドピニオン機構99に伝達される。この回転運動は、第1ラックアンドピニオン機構99によりラックシャフト99Cの直線運動に変換される。タイロッド72は、ラックシャフト99Cの両端にそれぞれ接続される。
電動モータ30は、運転者の操舵をアシストするための補助操舵トルクを発生させるモータである。電動モータ30は、ブラシレスモータでもよいし、ブラシ及びコンミテータを有するブラシモータでも良い。
ECU10は、回転角度センサ23aを備える。回転角度センサ23aは、電動モータ30の回転位相を検出する。ECU10は、回転角度センサ23aから電動モータ30の回転位相信号を取得し、トルクセンサ94から操舵トルク信号Tを取得し、車速センサ82から車両101の車速信号SVを取得する。ECU10は、回転位相信号と操舵トルク信号Tと車速信号SVとに基づいて、アシスト指令の補助操舵指令値を算出する。ECU10は、算出された補助操舵指令値に基づいて、電流を電動モータ30に供給する。
減速装置75は、電動モータ30のシャフト31と一体に回転するウォームシャフト75Aと、ウォームシャフト75Aと噛み合うウォームホイール75Bと、を備える。したがって、シャフト31の回転運動は、ウォームシャフト75Aを介してウォームホイール75Bに伝達される。なお、実施形態1において、シャフト31の減速装置75側を負荷側端部といい、シャフト31の減速装置75とは反対側を反負荷側端部という。
第2ラックアンドピニオン機構70は、第2ピニオンシャフト71Aと、第2ピニオンギヤ71Bと、第2ラック71Cと、を有する。第2ピニオンシャフト71Aは、一方の端部がウォームホイール75Bと同軸、かつ一体に回転するように固定される。第2ピニオンシャフト71Aは、他方の端部が第2ピニオンギヤ71Bに接続される。ラックシャフト99Cに形成された第2ラック71Cは、第2ピニオンギヤ71Bと噛み合う。電動モータ30の回転運動は、減速装置75を介して第2ラックアンドピニオン機構70に伝達される。この回転運動は、第2ラックアンドピニオン機構70によりラックシャフト99Cの直線運動に変換される。
ステアリングホイール91に入力された運転者の操舵力は、ステアリングシャフト92、及びインターミディエイトシャフト97を介して、第1ラックアンドピニオン機構99に伝達される。第1ラックアンドピニオン機構99は、伝達された操舵力をラックシャフト99Cの軸方向に加わる力としてラックシャフト99Cに伝達する。この際、ECU10は、ステアリングシャフト92に入力された操舵トルク信号Tをトルクセンサ94から取得する。ECU10は、車速信号SVを車速センサ82から取得する。ECU10は、電動モータ30の回転位相信号を回転角度センサ23aから取得する。そして、ECU10は、制御信号を出力して電動モータ30の動作を制御する。電動モータ30が作り出した補助操舵トルクは、減速装置75を介して第2ラックアンドピニオン機構70に伝達される。第2ラックアンドピニオン機構70は、補助操舵トルクをラックシャフト99Cの軸方向に加わる力としてラックシャフト99Cに伝達する。このようにして、運転者のステアリングホイール91の操舵が電動パワーステアリング装置100によりアシストされる。
図3は、実施形態1に係るECUの配置例を示す模式図である。図3に示すように、ECU10、電動モータ30及びアダプタ60を備える電動駆動装置1は、第1ラックアンドピニオン機構99及び第2ラックアンドピニオン機構70近傍に配置されている。このように、電動パワーステアリング装置100は、第2ラックアンドピニオン機構70にアシスト力が付与されるラックアシスト方式であるがこれに限定されない。電動パワーステアリング装置100は、例えば、ステアリングシャフト92にアシスト力が付与されるコラムアシスト方式、及び第1ピニオンギヤ99Bにアシスト力が付与されるピニオンアシスト方式でもよい。
図4は、実施形態1に係る電動モータの断面を模式的に示す断面図である。図5は、実施形態1に係る電動モータの配線を示す模式図である。電動モータ30は、図4に示すように、ハウジング930と、ステータコア931を有するステータと、ロータ932と、を備える。ステータは、円筒状であるステータコア931と、複数の第1コイル37と、複数の第2コイル38を含む。ステータコア931は、環状のバックヨーク931aと、バックヨーク931aの内周面から突出する複数のティース931bと、を備える。ティース931bは、周方向に12個配置されている。ロータ932は、ロータヨーク932aと、マグネット932bとを含む。マグネット932bは、ロータヨーク932aの外周面に設けられている。マグネット932bの数は、例えば8つである。
図4に示すように、第1コイル37は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第1コイル37は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。全ての第1コイル37は、第1コイル系統に含まれる。実施形態1に係る第1コイル系統は、第1パワー回路25Aに含まれるインバータ回路251(図6参照)によって、電流が供給され、励磁される。第1コイル系統は、例えば第1コイル37を6つ含む。6つの第1コイル37は、2つの第1コイル37が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第1コイル37を1つのグループとした第1コイルグループGr1が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第1コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第1コイルグループGr1を備えている。なお、第1コイルグループGr1は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。
図4に示すように、第2コイル38は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第2コイル38は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。第2コイル38が集中巻きされるティース931bは、第1コイル37が集中巻きされるティース931bとは異なるティース931bである。全ての第2コイル38は、第2コイル系統に含まれる。第2コイル系統は、第2パワー回路25Bに含まれるインバータ回路251(図6参照)によって電流が供給され、励磁される。第2コイル系統は、例えば第2コイル38を6つ含む。6つの第2コイル38は、2つの第2コイル38が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第2コイル38を1つのグループとした第2コイルグループGr2が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第2コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第2コイルグループGr2を備えている。なお、第2コイルグループGr2は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。
図5に示すように、6つの第1コイル37は、第1U相電流I1uにより励磁される2つの第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ubと、第1V相電流I1vにより励磁される2つの第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbと、第1W相電流I1wにより励磁される2つの第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbと、を含む。第1U相コイル37Ubは、第1U相コイル37Uaに対して直列に接続されている。第1V相コイル37Vbは、第1V相コイル37Vaに対して直列に接続されている。第1W相コイル37Wbは、第1W相コイル37Waに対して直列に接続されている。第1コイル37のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向である。また、第1U相コイル37Ub、第1V相コイル37Vb及び第1W相コイル37Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
図5に示すように、6つの第2コイル38は、第2U相電流I2uにより励磁される2つの第2U相コイル38Ua及び第2U相コイル38Ubと、第2V相電流I2vにより励磁される2つの第2V相コイル38Va及び第2V相コイル38Vbと、第2W相電流I2wにより励磁される2つの第2W相コイル38Wa及び第2W相コイル38Wbと、を含む。第2U相コイル38Ubは、第2U相コイル38Uaに対して直列に接続されている。第2V相コイル38Vbは、第2V相コイル38Vaに対して直列に接続されている。第2W相コイル38Wbは、第2W相コイル38Waに対して直列に接続されている。第2コイル38のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向であり、第1コイル37の巻き方向と同じである。また、第2U相コイル38Ub、第2V相コイル38Vb及び第2W相コイル38Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
図4に示すように、3つの第1コイルグループGr1は、第1UVコイルグループGr1UVと、第1VWコイルグループGr1VWと、第1UWコイルグループGr1UWと、からなる。第1UVコイルグループGr1UVは、周方向で互いに隣接する第1U相コイル37Ub及び第1V相コイル37Vaを含む。第1VWコイルグループGr1VWは、周方向で互いに隣接する第1V相コイル37Vb及び第1W相コイル37Waを含む。第1UWコイルグループGr1UWは、周方向で互いに隣接する第1U相コイル37Ua及び第1W相コイル37Wbを含む。
図4に示すように、3つの第2コイルグループGr2は、第2UVコイルグループGr2UVと、第2VWコイルグループGr2VWと、第2UWコイルグループGr2UWと、からなる。第2UVコイルグループGr2UVは、周方向で互いに隣接する第2U相コイル38Ub及び第2V相コイル38Vaを含む。第2VWコイルグループGr2VWは、周方向で互いに隣接する第2V相コイル38Vb及び第2W相コイル38Waを含む。第2UWコイルグループGr2UWは、周方向で互いに隣接する第2U相コイル38Ua及び第2W相コイル38Wbを含む。
第1U相電流I1uにより励磁される第1コイル37は、第2U相電流I2uにより励磁される第2コイル38に、ステータコア931の径方向で対向している。以下の説明において、ステータコア931の径方向は、単に径方向と記載される。例えば、図4に示すように、径方向で第1U相コイル37Uaが第2U相コイル38Uaに対向し、第1U相コイル37Ubが第2U相コイル38Ubに対向している。
第1V相電流I1vにより励磁される第1コイル37は、第2V相電流I2vにより励磁される第2コイル38に、径方向で対向している。例えば、図4に示すように、径方向で第1V相コイル37Vaが第2V相コイル38Vaに対向し、第1V相コイル37Vbが第2V相コイル38Vbに対向している。
第1W相電流I1wにより励磁される第1コイル37は、第2W相電流I2wにより励磁される第2コイル38に、径方向で対向している。例えば、図4に示すように、径方向で第1W相コイル37Waが第2W相コイル38Waに対向し、第1W相コイル37Wbが第2W相コイル38Wbに対向している。
図6は、実施形態1に係る電動モータとECUとの関係を示す模式図である。図6に示すように、ECU10は、検出回路23と、制御回路24と、第1パワー回路25Aと、第2パワー回路25Bと、を備える。検出回路23は、回転角度センサ23aと、モータ回転数演算部23bと、を有する。制御回路24は、制御演算部241、ゲート駆動回路242と、遮断駆動回路243と、を有する。第1パワー回路25Aは、インバータ回路251と、電流遮断回路255と、を有する。第2パワー回路25Bは、インバータ回路251と、電流遮断回路255と、を有する。また、インバータ回路251は、複数のスイッチング素子252と、電流値を検出するための電流検出回路254と、を有する。
制御演算部241は、モータ電流指令値を演算する。モータ回転数演算部23bは、モータ電気角θmを演算し、制御演算部241に出力する。ゲート駆動回路242は、制御演算部241から出力されるモータ電流指令値が入力される。ゲート駆動回路242は、モータ電流指令値に基づいて、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bを制御する。
ECU10は、図6に示すように、回転角度センサ23aを備えている。回転角度センサ23aは、例えば、磁気センサである。回転角度センサ23aの検出値がモータ回転数演算部23bに供給される。モータ回転数演算部23bは、回転角度センサ23aの検出値に基づいてモータ電気角θmを演算し、制御演算部241に出力する。
制御演算部241には、トルクセンサ94で検出された操舵トルク信号Tと、車速センサ82で検出された車速SVと、モータ回転数演算部23bから出力されるモータ電気角θmと、が入力される。制御演算部241は、操舵トルク信号T、車速SV及びモータ電気角θmに基づいてモータ電流指令値を算出し、ゲート駆動回路242に出力する。
ゲート駆動回路242は、電流指令値に基づいて第1パルス幅変調信号を演算し、第1パワー回路25Aのインバータ回路251に出力する。インバータ回路251は、第1パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるようにスイッチング素子252をスイッチングして第1U相電流I1u、第1V相電流I1v及び第1W相電流I1wを含む3相交流を生成する。第1U相電流I1uが第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ubを励磁し、第1V相電流I1vが第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbを励磁し、第1W相電流I1wが第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbを励磁する。
ゲート駆動回路242は、電流指令値に基づいて第2パルス幅変調信号を演算し、第2パワー回路25Bのインバータ回路251に出力する。インバータ回路251は、第2パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるようにスイッチング素子252をスイッチングして第2U相電流I2u、第2V相電流I2v及び第2W相電流I2wを含む3相交流を生成する。第2U相電流I2uが第2U相コイル38Ua及び第2U相コイル38Ubを励磁し、第2V相電流I2vが第2V相コイル38Va及び第2V相コイル38Vbを励磁し、第2W相電流I2wが第2W相コイル38Wa及び第2W相コイル38Wbを励磁する。
インバータ回路251は、直流電力を交流電力に変換する電力変換回路である。上記のように、インバータ回路251は、複数のスイッチング素子252を有する。スイッチング素子252は、例えば、電界効果トランジスタである。インバータ回路251には、平滑用コンデンサ253が並列に接続される。平滑用コンデンサ253は、例えば、電解コンデンサである。回路基板20は、平滑用コンデンサ253として、並列に接続された2個の電解コンデンサ253A、253B(図17F参照)を備える。
また、上記のように、インバータ回路251は電流検出回路254を有する。電流検出回路254は、例えば、シャント抵抗を含む。電流検出回路254で検知した電流値は、制御演算部241に送出される。なお、電流検出回路254は、電動モータ30の各相の電流値を検出するように接続してもよい。
電流遮断回路255は、インバータ回路251と、第1コイル37又は第2コイル38との間に配置されている。電流検出回路254で検知した電流値が異常と判断される場合は、制御演算部241は、遮断駆動回路243を介して電流遮断回路255を駆動し、インバータ回路251から第1コイル37へ流れる電流を遮断できる。また、制御演算部241は、遮断駆動回路243を介して電流遮断回路255を駆動し、インバータ回路251から第2コイル38へ流れる電流を遮断できる。このように、第1コイル37へ流れる電流と、第2コイル38へ流れる電流は、制御演算部241にそれぞれ独立して制御される。また、制御演算部241には、操舵トルク信号T、車速信号SV等の入出力信号が、コネクタCNTを介して伝送される。
図7は、実施形態1に係る電動駆動装置の構成例を示す斜視図である。図8は、実施形態1に係る電動駆動装置の構成例を示す平面図である。図9は、実施形態1に係る電動駆動装置の構成例を示す底面図である。図10から図12は、実施形態1に係る電動駆動装置の構成例を示す分解斜視図である。図7から図12に示すように、電動駆動装置1は、電動モータ30と、電動モータ30の反負荷側に配置されるECU10と、ECU10と電動モータ30との間に配置されるアダプタ60と、を備える。電動モータ30は、ハウジング930を備える。ハウジング930は筒状であり、その内側にロータ932(図4参照)と、第1コイルグループGr1及び第2コイルグループGr2(図4参照)を含むステータと、シャフト31とを収容する。シャフト31の反負荷側の端部には、磁石32が取り付けられている。
アダプタ60は、円環部61と、円環部61からシャフト31の軸方向Axと交差する方向に突き出た突出部62と、を有する。円環部61と突出部62は一体に形成されている。また、アダプタ60には、アダプタ60をヒートシンク40に固定するためのボルトが通される、挿入孔60H1が設けられている。挿入孔60H1は、例えば4つ設けられている。また、アダプタ60には、ヒートシンク40に設けられたピン45CPが通される、挿入孔60H2が設けられている。挿入孔60H2は、例えば2つ設けられている。2つの挿入孔60H2にそれぞれピン45CPが通されることで、アダプタ60はヒートシンク40に位置合わせされる。
また、アダプタ60において、ヒートシンク40と対向する面には凹部60Lが設けられている。Z軸方向から見て、凹部60Lは、直線部60L1と曲線部60L2とで構成される環の形状を有する。凹部60Lで構成される環は、角張っていない、滑らかな形状となっている。アダプタ60は、放熱性の高いアルミニウム、銅などの金属で構成されている。これにより、アダプタ60は、ヒートシンク40の放熱を補助したり、電動モータ30が発する熱を外部に効率よく放熱したりすることができる。なお、実施形態1において、アダプタ60は金属製に限定されず、樹脂製であってもよい。
図13は、実施形態1に係るECU本体の構成例を示す斜視図である。図14は、実施形態1に係るECU本体の構成例を示す平面図である。図15は、実施形態1に係るECU本体の構成例を示す底面図である。図16は、実施形態1に係るECU本体の構成例を示す分解斜視図である。なお、図16の点線は、電源端子Tdc、TgndからECU本体10Aを経由して電動モータ30(図10参照)に至る電流経路を示している。図13から図16に示すように、ECU10は、ECU本体10Aと、蓋体50(図7参照)とを備える。ECU本体10Aは、回路基板20と、回路基板20を支持するヒートシンク40と、コネクタCNTと、を有する。ヒートシンク40に、回路基板20と、コネクタCNTとが取り付けられている。コネクタCNTは、ヒートシンク40の外側から回路基板20に接続している。Z軸方向から見て、電動モータ30の外側にコネクタCNTが配置されている。
回路基板20は、基板本体21と、基板本体21に実装された複数の電子部品と、を有する。基板本体21は、例えば、樹脂等で形成されたプリント基板である。1枚の基板本体21に実装された複数の電子部品には、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、電解効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、磁気センサ、電解コンデンサ、抵抗素子、ダイオード、サーミスタ等が含まれる。これら複数の電子部品により、図6に示した検出回路23、制御回路24、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bが構成されている。
図16に示すように、コネクタCNTは、電源端子Tdc、Tgndと、CAN通信を行うCAN端子Tcanと、CAN通信以外の方法でデータを入出力する入出力端子Tioと、を有する。電源端子Tdcは、電源装置83(図2参照)の電源電圧Vdcを供給する金属製端子である。電源端子Tgndは、電源装置83の負電源電圧(例えば、グランドなどの基準電圧)を供給する金属製端子である。第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bには、電源端子Tdc、Tgndを介して、電源装置83から電力を伝送する電力配線PW(図2参照)がそれぞれ接続される。また、CAN端子Tcan及び入出力端子Tioは、それぞれ金属製端子である。制御回路24の制御演算部241(図6参照)には、CAN端子Tcan、入出力端子Tioを介して、操舵トルク信号T、車速信号SV等の入出力信号を伝送する信号伝送配線が接続される。また、コネクタCNTには、コネクタCNTをヒートシンク40に固定するためのボルトが通される、挿入孔CNTHが設けられている。また、コネクタCNTにおいて、ヒートシンク40と対向する面には、凸部CNTLが設けられている。Z軸方向から見て、凸部CNTLは、電源端子Tdc、Tgnd、CAN端子Tcan、入出力端子Tioを囲んでいる。
図9に示したように、Z方向からの平面視で、コネクタCNTは、その長手方向がY方向となるように配置されている。また、Z方向からの平面視で、電動モータ30が有するハウジング930の平面形状は正円形である。Y方向において、ヒートシンク40の長さをL11とし、コネクタCNTの長さをL12とする。また、ハウジング930の直径をL13とする。図9に示すように、ハウジング930の直径L13よりもコネクタCNTの長さL12の方が大きい。また、コネクタCNTの長さL12よりもヒートシンク40の長さL11の方が大きい。L11>L12>L13となっている。
図17Aは、実施形態1に係る回路基板の構成例を示す正面図である。図17Bは、実施形態1に係る回路基板の構成例を示す平面図である。図17Cは、実施形態1に係る回路基板の構成例を示す底面図である。図17Dは、実施形態1に係る回路基板の構成例を示す左側面図である。図17Eは、実施形態1に係る回路基板の構成例を示す右側面図である。図17Fは、実施形態1に係る回路基板の構成例を示す背面図である。
図17Aから図17Fに示すように、基板本体21は、第1面21aと、第1面21aの反対側に位置する第2面21bとを有する。検出回路23、制御回路24、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bは、第1面21a又は第2面21bに実装された1個以上の電子部品で構成されている。例えば、図17Fに示すように、検出回路23は、基板本体21の第2面21bに実装された1個の電子部品で構成されている。
また、図17A及び図17Fに示すように、制御回路24は、基板本体21の第1面21a及び第2面21bにそれぞれ実装された複数個の電子部品で構成されている。例えば、制御回路24が有する制御演算部241(図6参照)は、第1面21aに実装された電子部品281で構成されている。電子部品281はCPUである。制御回路24が有するゲート駆動回路242(図6参照)は、第2面21bに実装された電子部品282A、282Bで構成されている。電子部品282A、282BはASICである。
また、図17Aに示すように、第1パワー回路25Aは、基板本体21の第1面21aに実装された複数個の電子部品で構成されている。例えば、第1パワー回路25Aが有するインバータ回路251(図6参照)は、スイッチング素子252(図6参照)として機能する6個の電子部品291と、電流検出回路254(図6参照)として機能する3個の電子部品292とで構成されている。電子部品291はFETである。電子部品292は抵抗素子(シャント抵抗)である。第1パワー回路25Aが有する電流遮断回路255(図6参照)は、3個の電子部品291で構成されている。
また、第1パワー回路25Aと同様に、第2パワー回路25Bも、基板本体21の第1面21aに実装された複数個の電子部品で構成されている。例えば、第2パワー回路25Bが有するインバータ回路251は、スイッチング素子252として機能する6個の電子部品291と、電流検出回路254として機能する3個の電子部品292とで構成されている。第2パワー回路25Bが有する電流遮断回路255は、3個の電子部品291で構成されている。
図17Aから図17Eに示すように、回路基板20は、基板本体21の第1面21aに実装されたチョークコイル49を含む。チョークコイル49は、上述した電源装置83からの電力配線PWの高周波成分を除去する。また、図17Bから図17Fに示すように、回路基板20は、基板本体21の第2面21bに実装された電解コンデンサ253A、253Bを含む。
図16、図17A及び図17Fに示すように、基板本体21には、第1面21aと第2面21bとの間を貫く複数の貫通孔21H1、21H2、21H3、21H6、21H7が設けられている。また、貫通孔21H6は、第1貫通孔21H6Aと、第2貫通孔21H6Bとを含む。貫通孔21H7は、貫通孔Hdc、Hgnd、Hcan、Hioを含む。貫通孔21H1には、回路基板20をヒートシンク40に固定するためのねじが挿入される。貫通孔21H2には、回路基板20に対してコネクタCNTを位置合わせするための棒状の連結部材CNTALが挿入される。貫通孔21H3には、回路基板20に対して第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323B(図25参照)を位置合わせするための、棒状の連結部材66AL(図24参照)が挿入される。第1貫通孔21H6Aには、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323B(図25参照)が挿入される。第2貫通孔21H6Bには、第2コイル配線321B、322B、323B(図25参照)が挿入される。
また、貫通孔Hdcには、電源端子Tdcが挿入される。貫通孔Hgndには、電源端子Tgndが挿入される。貫通孔Hcanには、CAN端子Tcanが挿入される。貫通孔Hioには、入出力端子Tioが挿入される。
ヒートシンク40は、回路基板20を支持する。ヒートシンク40の一方の面(第1面)40a側に、回路基板20が固定されている。ヒートシンク40は、放熱性の高いアルミニウム、銅などの金属で構成されており、回路基板20が発する熱を外部に効率よく放熱する。
図18は、実施形態1に係る回路基板において、第1面側に取り付けられた電子部品を、第2面側から透視して示す図である。実施形態1に係る回路基板20において、検出回路23、制御回路24、第1パワー回路25A、第2パワー回路25B、電解コンデンサ253A、253Bの相互の位置関係は、例えば以下の通りである。図18に示すように、回路基板20の法線方向(例えば、Z軸方向)から見て、検出回路23の配置位置と第1貫通孔21H6Aとの間に、第1パワー回路25Aに含まれる電子部品291、292の配置位置がある。同様に、Z軸方向から見て、検出回路23の配置位置と第2貫通孔21H6Bとの間に、第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292の配置位置がある。
また、Z軸方向から見て、第1パワー回路25Aに含まれる電子部品291、292の配置位置を挟んで第1貫通孔21H6Aの反対側に、制御回路24に含まれる電子部品282Aの配置位置がある。同様に、Z軸方向から見て、第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292の配置位置を挟んで第2貫通孔21H6Bの反対側に、制御回路24に含まれる電子部品282Bの配置位置がある。
また、Z軸方向から見て、電解コンデンサ253A、253Bの配置位置を挟んで、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292の配置位置の反対側に、検出回路23の配置位置がある。また、Z軸方向から見て、回路基板20の中心を通る直線20CLを挟んで、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292の配置位置の反対側に、検出回路23の配置位置がある。
また、回路基板20の中心を通る直線20CLで区分される一方の側に、第1貫通孔21H6Aと第2貫通孔21H6Bとが設けられている。これにより、第1コイル配線321A、322A、323Aの第2部位WP2(後述の図25参照)と、第2コイル配線321B、322B、323Bの第2部位WP2(後述の図25参照)は、回路基板20の中心を通る直線20CLで区分される一方の側に偏って配置される。
図19は、実施形態1に係るヒートシンクの構成例を示す正面図である。図20は、実施形態1に係るヒートシンクの構成例を示す背面図である。図16から図20に示すように、ヒートシンク40の平面視による形状(以下、平面形状)は略矩形である。ヒートシンク40は、第1面40aと、第1面40aの反対側に位置する第2面40bとを有する。ヒートシンク40は、第1面40aの底部41に設けられた第1隆起部411と、第2隆起部412A、412Bとを有する。第1隆起部411は、Z軸方向において、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25B(図17A参照)と重なる位置に設けられている。例えば、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25Bを構成する電子部品291、292は、基板本体21の第1面21a(図17A参照)に実装されている。第1隆起部411は、基板本体21(図17A参照)を挟んで、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25Bを構成する電子部品291、292の反対側に設けられている。また、第1隆起部411は、基板本体21の第2面21bに実装されたサーミスタ283(図17F参照)を収容するための凹部411aを有する。ヒートシンク40に回路基板20が取り付けられると、凹部411a内にサーミスタ283が配置される。
第2隆起部412Aは、ゲート駆動回路242を構成する電子部品282A(図17F)と対向する位置に設けられている。第2隆起部412Bは、ゲート駆動回路242を構成する電子部品282B(図17F参照)と対向する位置に設けられている。
図16及び図19に示すように、第1隆起部411において回路基板20と対向する面には、第1放熱材431が設けられている。また、第2隆起部412A、412Bにおいて、回路基板20と対向する面には、第2放熱材432が設けられている。例えば、第1放熱材431及び第2放熱材432は、シリコーンポリマーに熱伝導性フィラーを混合した材料であり、TIM(Thermal Interface Material)又は放熱グリスとも呼ばれる。
第1隆起部411と、第2隆起部412A、412Bとにおいて、回路基板20と対向する面には、TIMがそれぞれ塗布されている。第1隆起部411及び第2隆起部412A、412Bは、TIMを介して回路基板20と接している。これによれば、ECU10は、第1パワー回路25A、第2パワー回路25B又はゲート駆動回路242で発生した熱を、TIMを介してヒートシンク40へ効果的に放熱することができる。なお、第1隆起部411及び第2隆起部412A、412Bと、検出回路23を含む電子部品との間には隙間がある。このため、第1隆起部411及び第2隆起部412A、412Bと回路基板20との間でTIMが押圧されて塗り広がった場合でも、検出回路23を含む電子部品にTIMが接触することはない。
また、ヒートシンク40は、第1面40aの底部41に設けられた凹部413A、413Bを有する。凹部413Aは、電解コンデンサ253A(図17F参照)と対向する位置に設けられている。凹部413Bは、電解コンデンサ253B(図17F参照)と対向する位置に設けられている。ヒートシンク40に回路基板20が取り付けられると、凹部413A内に電解コンデンサ253Aが配置されるとともに、凹部413B内に電解コンデンサ253Bが配置される。
ヒートシンク40は、第1面40aに設けられた複数のねじ孔41Hを有する。ねじ孔41Hには、回路基板20(図16参照)をヒートシンク40に固定するためのねじが挿入される。ねじ孔41Hの内周面には、ねじ山が設けられている。
ヒートシンク40は、電動モータ30のシャフト31(図10参照)を通すための貫通穴46を有する。貫通穴46は、検出回路23を含む電子部品と対向する位置に設けられている。貫通穴46の両側に、第2隆起部412A、412Bが配置されている。
ヒートシンク40は、貫通穴47A、47B、47Cを有する。貫通穴47Aには、電源端子Tdc、Tgnd(図16参照)が挿入される。貫通穴47Bには、CAN端子Tcan(図16参照)が挿入される。貫通穴47Cには、入出力端子Tio(図16参照)が挿入される。また、ヒートシンク40は、貫通穴48を有する。貫通穴48には、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323B(図10参照)が挿入される。
図20に示すように、ヒートシンク40は、第2面40bの底部45に設けられた凸部40Lを有する。凸部40Lの形状と大きさは、アダプタ60の凹部60L(図11参照)の形状と大きさに対応している。具体的には、Z軸方向から見て、凸部40Lは、直線部40L1と曲線部40L2とで構成される環の形状を有する。直線部40L1と曲線部40L2との接続部40L12は、曲線となっている。また、直線部40L1同士の接続部40L11も、曲線となっている。これにより、凸部40Lで構成される環は、角張っていない、緩やかな形状となっている。凸部40Lが凹部60Lに嵌め込まれることで、アダプタ60はヒートシンク40に対して高精度に位置決めされる。
凸部40Lで囲まれる内側領域451は、アダプタ60(図10参照)と対向する位置に設けられている。アダプタ60は、ヒートシンク40と電動モータ30との間に配置されている。内側領域451の平面形状は、アダプタ60の被取付面の平面形状と略一致する。内側領域451の平面視による大きさは、アダプタ60の被取付面の平面視による大きさよりも若干大きい。また、内側領域451は、円形の第1内側領域451Aと、第1内側領域451Aの周縁に接続する第2内側領域451Bとを含む。Z軸方向から見て、第1内側領域451Aは電動モータ30と重なる位置にあり、第2内側領域451Bは電動モータ30から外れる位置にある。
凸部40Lの外周部には、凸部40Lに沿ってOリング456が配置されてもよい。上述したように、凸部40Lで構成される環は緩やかな形状であるため、Oリング456を凸部40Lの側面に密着させて配置することが可能である。また、凸部40Lと対応する位置にある、アダプタ60の凹部60Lには、第1接着剤656(図11参照)が配置される。凸部40Lの周辺にOリング456や第1接着剤656が配置されることで、ヒートシンク40とアダプタ60との密着性を高めることができ、内側領域451の密閉性を高めることができる。
また、ヒートシンク40は、第2面40bの底部45に設けられた凹部41Lを有する。凹部41Lの形状と大きさは、コネクタCNTの凸部CNTL(図16参照)の形状と大きさに対応している。凹部41Lに凸部CNTLが嵌め込まれて、ヒートシンク40にコネクタCNTが取り付けられる。なお、図示しないが、凹部41Lの外周部には、Oリングが配置されてもよい。また、凹部41Lには、接着剤が配置されてもよい。これにより、ヒートシンク40とコネクタCNTとの密着性を高めることができ、凹部41Lで囲まれる内側領域452の密閉性を高めることができる。
また、ヒートシンク40は、第2面40bに設けられたねじ孔45H1、45H2をそれぞれ複数ずつ有する。ねじ孔45H1には、アダプタ60をヒートシンク40に固定するためのねじが挿入される。ねじ孔45H2には、コネクタCNTをヒートシンク40に固定するためのねじが挿入される。ねじ孔45H1、45H2のそれぞれの内周面には、それぞれねじ山が設けられている。また、ヒートシンク40は、第2面40bに設けられたピン45CPを有する。例えば、ピン45CPは2つ設けられている。ピン45CPは、アダプタ60の挿入孔60H2(図12参照)と対向する位置に設けられている。
ヒートシンク40は、底部41、45を囲む外周部42を有する。図19に示すように、外周部42は、平面視で上側に位置する外周部42UEと、平面視で下側に位置する外周部42BEと、平面視で左側に位置する外周部42LEと、平面視で右側に位置する外周部42REとを有する。第1面40aにおいて、外周部42UE、42LE、42BE、42REには、溝部422が連続して設けられている。
図21は、実施形態1に係るヒートシンクにおいて、第1面側に設けられた第1隆起部、第2隆起部及び凹部を、第2面側から透視して示す図である。図22は、実施形態1に係るヒートシンクの第1面側に設けられた第1隆起部、第2隆起部及び凹部と、回路基板に取り付けられた電子部品とを、ヒートシンクの第2面側から透視して示す図である。図23は、実施形態1に係るECU本体において、凹部に電解コンデンサが配置されている状態を模式的に示す断面図である。図21から図23に示すように、Z軸方向から見て、第1隆起部411は、第1内側領域451Aにおいて第2内側領域451B寄りの周縁領域と、第2内側領域451Bとに重なっている。また、Z軸方向から見て、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25B(図17A参照)に含まれる電子部品291、292は、第1隆起部411と重なっている。
Z軸方向から見て、第2隆起部412A、412Bと、凹部413A、413Bは、第1内側領域451Aと重なっている。Z軸方向から見て、制御回路24に含まれる電子部品282A、282Bは、第2隆起部412A、412Bとそれぞれ重なっている。また、Z軸方向から見て、回路基板20に配置された電解コンデンサ253A、253Bは、凹部413A、413Bとそれぞれ重なっている。
図23に示すように、凹部413Aの底面には第3放熱材433が設けられている。第3放熱材433は、例えば第1放熱材431及び第2放熱材432と同様に、TIM又は放熱グリスである。電解コンデンサ253Aは凹部413Aに収容されている。電解コンデンサ253Aの頂部は第3放熱材433に接触している。また、図示しないが、凹部413Bの底面にも第3放熱材433が設けられている。電解コンデンサ253Bは凹部413Bに収容されており、電解コンデンサ253Bの頂部は第3放熱材433に接触している。電解コンデンサ253A、253Bにおいて、頂部とは、回路基板20と接続する側の反対側の部位のことである。電解コンデンサ253A、253Bの側面はヒートシンク40に近く、さらに、電解コンデンサ253A、253Bの頂部は第3放熱材433に接触している。これにより、電解コンデンサ253A、253Bの放熱性を高めることができる。
図24は、図8において電動駆動装置をA1−A2線で切断した断面を示す斜視図である。図25は、実施形態1に係る第1コイル配線及び第2コイル配線の構成例を示す斜視図である。図26は、図9において電動駆動装置をA3−A4線で切断した断面図である。図27は、図9において電動駆動装置をB1−B2線で切断した断面図である。
図24から図27に示すように、電動駆動装置1は、第1コイルグループGr1(図4参照)に接続する第1コイル配線321A、322A、323Aと、第2コイルグループGr2(図4参照)に接続する第2コイル配線321B、322B、323Bと、を備える。第1コイル配線321A、322A、323Aと、第2コイル配線321B、322B、323Bは、それぞれ、銅線又はアルミニウム線であって、いわゆる板状の平角線である。第1コイル配線321A、322A、323Aと、第2コイル配線321B、322B、323Bは、それぞれ、第1部位WP1と、第1部位WP1の一端に接続する第2部位WP2と、第1部位WP1の他端に接続する第3部位WP3と、を有する。
第1部位WP1は、シャフト31の軸方向Axと交差する方向(例えば、Y方向)において、筒状のハウジング930の外側まで突出している。第1部位WP1は、シャフト31の軸方向(例えば、Z方向)から見て、ハウジング930の外側まで突出している。第1部位WP1は、Y方向に平行である。第2部位WP2は、筒状のハウジング930の外側において、第1部位WP1から回路基板20に向けて突出している。第2部位WP2は回路基板20に接続している。第2部位WP2は、Z方向に平行である。
図25に示すように、第1コイル配線321A、322A、323Aと、第2コイル配線321Bとにおいて、第2部位WP2は、X−Y平面に平行な一方向(例えば、X方向)に一列に並んで配置されている。これにより、1コイル配線321A、322A、323Aに接続する第1パワー回路25Aと、第2コイル配線321B、322B、323Bに接続する第2パワー回路25Bとを隣り合って配置することができる。
また、第1コイル配線321A、322A、323Aと、第2コイル配線321B、322B、323Bとにおいて、第1部位WP1と第2部位WP2との間で屈曲している屈曲部WP12も、例えば、X軸方向に並んでいる。
第2部位WP2において、第1部位WP1と接続する側の反対側の端部は、2つの端子片WP21、WP22に分岐した構造となっている。第1コイル配線321A、322A、323Aの各々において、端子片WP21、WP22は、回路基板20に設けられた第1貫通孔21H6Aにそれぞれ挿入されている。これにより、第1コイル配線321A、322A、323Aはそれぞれ第1パワー回路25Aに接続されている。第2コイル配線321B、322B、323Bの各々においても、端子片WP21、WP22は回路基板20に設けられた第2貫通孔21H6Bにそれぞれ挿入されている。これにより、第2コイル配線321B、322B、323Bはそれぞれ第2パワー回路25Bに接続されている。
例えば、回路基板20に対する第2部位WP2の接続には、プレスフィットが用いられる。プレスフィットは、ソルダーレスの電気的な接続技術である。具体的には、プレスフィットでは、回路基板20に設けられた第1貫通孔21H6A及び第2貫通孔21H6Bに端子片WP21、WP22が挿入され、端子片WP21、WP22の外周が弾性変形可能なように撓む。これにより、第2部位WP2は、第1貫通孔21H6Aの内壁面の導体と、第2貫通孔21H6Bの内壁面の導体とに接続する。なお、実施形態1において、回路基板20に対する第2部位WP2の接続はプレスフィットに限定されるものではない。回路基板20に対する第2部位WP2の接続には、はんだが用いられてもよい。
第3部位WP3は、第1コイルグループGr1又は第2コイルグループGr2に接続する。第3部位WP3は、第1部位WP1の長手方向と交差する方向(例えば、Z方向)に平行である。第3部位WP3の長手方向の長さL3は、第1部位WP1の長手方向の長さL1よりも短く、かつ、第2部位WP2の長手方向の長さL2よりも短い。第3部位WP3は、シャフト31を中心とする仮想円の円周上に並ぶように配置されている。
図24及び図26に示すように、電動駆動装置1は、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各第1部位WP1を互いに連結する第1連結部材67を有する。また、電動駆動装置1は、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各第2部位WP2を互いに連結する第2連結部材68を有する。第1連結部材67及び第2連結部材68は、それぞれ絶縁性の樹脂からなる。第1連結部材67及び第2連結部材68によって、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bは、互いに離隔した状態で、X方向に隣り合って配置されている。
図27に示すように、電動モータ30は、例えば、第1コイルグループGr1に接続する3つの第1端子片371、372、373と、第2コイルグループGr2に接続する3つの第2端子片(図示せず)とを有する。ヒートシンク40がアダプタ60を介して電動モータ30に取り付けられると、第1コイル配線321A、322A、323Aの各第3部位WP3は、第1端子片371、372、373にそれぞれ押し当てられて接触する。また、第2コイル配線321B、322B、323Bの各第3部位WP3も、図示しない第2端子片にそれぞれ押し当てられて接触する。これにより、第1コイル配線321A、322A、323Aは第1端子片371、372、373を介して第1コイルグループGr1に接続し、第2コイル配線321B、322B、323Bは第2端子片を介して第2コイルグループGr2に接続する。なお、第3部位WP3と、第1端子片371、372、373又は第2端子片は、抵抗溶接又はレーザ溶接により接合されていてもよい。
図27に示すように、第1コイル配線321A、322A、323Aの各屈曲部WP12は、アダプタ60の突出部62の内側に配置されている。また、図示しないが、第2コイル配線321B、322B、323Bの各屈曲部WP12(図25参照)も、突出部62の内側に配置されている。
図28は、実施形態1に係るスナップフィットの一例を示す斜視図である。図28に示すように、ECU10は、蓋体50をヒートシンク40に取り付けるスナップフィット55、を備える。また、蓋体50は、天板51と、天板51の周縁に設けられた外周部52とを有する。外周部52は、天板51から起立している。例えば、蓋体50は金属製又は樹脂製であり、天板51及び外周部52は一体に形成されている。
スナップフィット55は、例えば、掛止部521と、掛止部521に掛け止められる被掛止部421とを有する。掛止部521は蓋体50の外周部52に設けられている。被掛止部421はヒートシンク40の外周部42に設けられている。例えば、図19に示したように、X方向(左右方向)で隣り合う外周部42LEと、外周部42REとに被掛止部421が設けられている。掛止部521は、ヒートシンク40に蓋体50が取り付けられたときに被掛止部421とZ方向で重なる位置に設けられている。
実施形態1において、ヒートシンク40に蓋体50を取り付ける工程では、まず、溝部422に第2接着剤56が配置される。次に、蓋体50の外周部52が溝部422に嵌め込まれる。例えば、外周部52においてヒートシンク40と対向する側の端部522が、溝部422に嵌め込まれる。次に、スナップフィット55の被掛止部421に掛止部521が掛け止められる。これにより、蓋体50は、ヒートシンク40に仮止めされる。第2接着剤56が硬化すると、蓋体50とヒートシンク40は、スナップフィット55及び第2接着剤56の両方によって固定される。
ヒートシンク40及び蓋体50は、回路基板20を収容する収容体を構成する。外周部52と溝部422との間には第2接着剤56が介在しているので、上記収容体の内部は気密性が高い。
また、蓋体50には弁53が設けられている。弁53は、上記収容体の内部と外部との圧力差に基づいて開閉する。例えば、温度変化により、上記の圧力差が大きくなると、弁53が開いて圧力差を小さくする。圧力差が小さくなると、弁53は閉じて収容体の内部を密閉する。このように、弁53は、収容体内部の圧力変化を小さくすることができる。
以上説明したように、実施形態1に係る電動駆動装置1は、電動モータ30と、電動モータ30を駆動制御するために、シャフト31の反負荷側に設けられたECU10と、を備える。ECU10は、シャフト31の反負荷側の端部の磁石32と、シャフト31の反負荷側であって、シャフト31の軸方向(例えば、Z方向)の延長線上に配置された回路基板20と、を含む。回路基板20は、磁石32の回転を検出する回転角度センサ23aを含む検出回路23と、制御回路24と、第1パワー回路25Aと、第2パワー回路25Bとを有する。回転角度センサ23aは、磁石32の回転を検出する磁気センサである。第1パワー回路25Aは、第1コイルグループGr1へ電流を供給する複数の電子部品291を含む。第2パワー回路25Bは、第2コイルグループGr2へ電流を供給する複数の電子部品291を含む。制御回路24は、第1パワー回路25Aが供給する電流を制御する電子部品282Aと、第2パワー回路25Bが供給する電流を制御する電子部品282B等を含む。
また、電動駆動装置1は、第1コイルグループGr1と回路基板20とを接続する第1コイル配線321A、322A、323Aと、第2コイルグループGr2と回路基板20とを接続する第2コイル配線321B、322B、323Bと、を備える。第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bは、ECU10に含まれてもよいし、電動モータ30に含まれてもよい。第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bは、シャフト31の軸方向と交差する方向(例えば、Y方向)において、ハウジング930の外側まで突出した第1部位WP1と、ハウジング930の外側において、第1部位WP1から回路基板20に向けて突出した第2部位WP2と、をそれぞれ有する。
この構造によれば、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bを回路基板20の外周寄りに配置することができ、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bと、回転角度センサ23aとの離隔距離を大きくすることができる。これにより、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bで発生した熱が回転角度センサ23aに伝わりにくくなるので、回転角度センサ23aの温度上昇が抑制される。回転角度センサ23aは、温度の変動を原因とする検出値の誤差が低減されるので、回転角度の検出精度が向上する。
また、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bと、回転角度センサ23aとの離隔距離も大きくすることができる。これにより、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各配線に電流が流れることで生じる磁界の、回転角度センサ23aへの影響が抑制される。回転角度センサ23aは、配線周りの磁界を原因とする検出値の誤差が低減されるので、回転角度の検出精度が向上する。
例えば、トルクセンサ94が大きな操舵トルクを検出すると、第1パワー回路25Aから第1コイル配線321A、322A、323Aを介して電動モータ30に電流I1U、I1V、I1W(図16参照)が大きく流れ、第2パワー回路25Bから第2コイル配線321B、322B、323Bを介して電動モータ30に電流I2U、I2V、I2W(図16参照)が大きく流れる。これにより、第1コイル配線321A、322A、323Aの周りと、第2コイル配線321B、322B、323Bの周りには、それぞれ、大電流に応じて強い磁界が生じる場合がある。しかしながら、実施形態1に係る電動駆動装置1では、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bは、それぞれ、回転角度センサ23aの近くを避けて迂回するように配置されている。これにより、第1コイル配線321A、322A、323Aの周りと、第2コイル配線321B、322B、323Bの周りとに強い磁界が生じても、この磁界が回転角度センサ23aの検出精度に極力影響しないようにすることができる。
また、図24から図26に示したように、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bは隣り合って配置されている。例えば、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bは、X方向に一列に並んで配置されている。これにより、第1コイル配線321A、322A、323Aに接続する第1パワー回路25Aと、第2コイル配線321B、322B、323Bに接続する第2パワー回路25Bとを隣り合って配置することができる。
また、第1コイル配線321A、322A、323Aの第2部位WP2は、第1パワー回路25Aに含まれる電子部品291、292よりも回路基板20の外周寄りの位置から、第1パワー回路25Aに接続している。これにより、第1コイル配線321A、322A、323Aに電流が流れることで生じる磁界の、回転角度センサ23aへの影響がさらに抑制される。
また、図18に示したように、Z軸方向から見て、検出回路23の配置位置と貫通孔21H6Aとの間に、第1パワー回路25Aに含まれる電子部品291、292の配置位置がある。これにより、第1パワー回路25Aから電動モータ30に至る電流経路を回転角度センサ23aから遠ざけることができる。
また、Z軸方向から見て、第1パワー回路25Aに含まれる電子部品291、292の配置位置を挟んで貫通孔21H6Aの反対側に、制御回路24に含まれる電子部品282Aの配置位置がある。これにより、第1パワー回路25Aから電動モータ30に至る電流経路を制御回路24から遠ざけることができる。
また、第2コイル配線321B、322B、323Bの第2部位WP2は、第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292よりも回路基板20の外周寄りの位置から、第2パワー回路25Bに接続している。これにより、第2コイル配線321B、322B、323B周りに生じる磁界の、回転角度センサ23aへの影響がさらに抑制される。
また、Z軸方向から見て、検出回路23の配置位置と第2貫通孔21H6Bとの間に、第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292の配置位置がある。これにより、第2パワー回路25Bから電動モータ30に至る電流経路を回転角度センサ23aから遠ざけることができる。
また、Z軸方向から見て、第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292の配置位置を挟んで第2貫通孔21H6Bの反対側に、制御回路24に含まれる電子部品282Bの配置位置がある。これにより、第2パワー回路25Bから電動モータ30に至る電流経路を制御回路24から遠ざけることができる。
また、Z軸方向から見て、電解コンデンサ253A、253Bの配置位置を挟んで、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292の配置位置の反対側に、検出回路23の配置位置がある。これにより、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25Bと、回転角度センサ23aとの離隔距離をさらに大きくすることができる。
また、図18に示したように、Z軸方向から見て、回路基板20の中心を通る直線20CLを挟んで、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292の配置位置の反対側に、検出回路23の配置位置がある。これにより、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292は、回路基板20において直線20CLで区分される一方の領域に偏って配置される。また、回転角度センサ23aは、回路基板20において直線20CLで区分される他方の領域に配置される。これにより、回転角度センサ23aとの離隔距離をさらに大きくすることができる。
例えば、回路基板20には銅(Cu)等で構成される配線(図示せず)が設けられている。これらの配線の一部は、第1パワー回路25A又は第2パワー回路25Bに含まれる電子部品291、292に接続している。第1パワー回路25Aや第2パワー回路25Bは、検出回路23や制御回路24よりも大電流が流れるため、電子部品291、292に接続する配線にも大電流が流れて強い磁界が生じる場合がある。しかしながら、実施形態1に係る電動駆動装置1では、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bと、回転角度センサ23aとの離隔距離が大きい。このため、電子部品291、292に接続する配線の周りに強い磁界が生じても、この磁界が回転角度センサ23aの検出精度に極力影響しないようにすることができる。
図13に示したように、コネクタCNTは、ヒートシンク40の外側から回路基板20に接続している。図9に示したように、Z軸方向から見て、電動モータ30の外側にコネクタCNTが配置されている。これにより、コネクタCNTを回転角度センサ23aから遠ざけることができる。例えば、図16に示したように、コネクタCNTは電源端子Tdc、Tgndを有する。トルクセンサ94が大きな操舵トルクを検出すると、電源端子Tdcから第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bに電流PSC(図16参照)が大きく流れ、電源端子Tdc、Tgndの周りに強い磁界が生じる場合がある。しかしながら、実施形態1に係る電動駆動装置1では、Z軸方向から見て、電動モータ30の外側に電源端子Tdc、Tgndが配置されており、電源端子Tdc、Tgndと回転角度センサ23aとの離隔距離は大きい。このため、電源端子Tdc、Tgndの周りに強い磁界が生じても、この磁界が回転角度センサ23aの検出精度に極力影響しないようにすることができる。
また、電動駆動装置1は、回路基板20を支持するヒートシンク40を備える。これにより、回路基板20で生じる熱は、効率よく放熱される。
また、ヒートシンク40は、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bの少なくとも一方と対向し、かつ回路基板20側に隆起している第1隆起部411を有する。例えば、第1隆起部411は、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bの両方と対向している。ECU10において、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bは発熱量が比較的大きいが、第1隆起部411が第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bと対向することにより、回路基板20の放熱効率が高まる。これにより、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bで発生した熱を、効果的に放熱することができる。
また、電動駆動装置1は、第1隆起部411に設けられた第1放熱材431、を備える。これにより、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bで発生した熱を、より効果的に放熱することができる。
また、ヒートシンク40は、制御回路24と対向し、かつ回路基板20側に隆起している第2隆起部412A、412Bを有する。例えば、第2隆起部412Aは制御回路24に含まれる電子部品282Aと対向し、第2隆起部412Bは制御回路24に含まれる電子部品282Bと対向している。電子部品282Aは第1パワー回路25Aが供給する電流を制御し、電子部品282Bは第2パワー回路25Bが供給する電流を制御する。このため、電子部品282A、282Bは発熱量が比較的大きいが、第2隆起部412Aが電子部品282Aと対向し、第2隆起部412Bが電子部品282Bと対向することにより、回路基板20の放熱効率が高まる。これにより、制御回路24で発生した熱を効果的に放熱することができる。
また、電動駆動装置1は、第2隆起部412A、412Bに設けられた第2放熱材432を備える。これにより、電子部品282A、282Bで発生した熱を、より効果的に放熱することができる。
また、図23に示したように、電解コンデンサ253Aはヒートシンク40の凹部413Aに収容されている。同様に、電解コンデンサ253Bはヒートシンク40の凹部413Bに収容されている。これにより、ヒートシンク40に凹部が無い場合と比べて、ECU本体10の厚みを小さくすることができる。また、電解コンデンサ253A、253Bの各側面をヒートシンク40に近づけることができるので、電解コンデンサ253A、253Bの放熱性を高めることができる。
図25に示したように、第1コイル配線321A、322A、323Aと、第2コイル配線321B、322B、323Bは、第1部位WP1と第2部位WP2との間で屈曲している屈曲部WP12を有する。図27に示したように、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各屈曲部WP12は、アダプタ60の内側(例えば、突出部62の内側)に配置されている。これにより、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bを回転角度センサ23aからさらに遠ざけることができる。
上記のように、電動駆動装置1では、操舵トルクに応じて大電流が流れる電源端子Tdc、Tgnd、第1パワー回路25A、第2パワー回路25B、第1コイル配線321A、322A、323A、第2コイル配線321B、322B、323Bが、回転角度センサ23aから遠ざけられている。これにより、上記の各部に大電流が流れて、各部が発熱したり、各部の周りに強い磁界が生じたりしても、その熱や磁界が回転角度センサ23aの検出精度に極力影響しないようにすることができる。
また、図20に示したように、ヒートシンク40は、第2面40bの底部45に設けられた凸部40Lを有する。また、図11に示したように、アダプタ60は、ヒートシンク40と対向する面に設けられた凹部60Lを有する。そして、凸部40Lは、凹部60Lに嵌め込まれる。これにより、ヒートシンク40に対してアダプタ60を位置決めすることができる。なお、実施形態1では、ヒートシンク40に凹部が設けられ、アダプタ60に凸部が設けられ、ヒートシンク40の凹部にアダプタ60の凸部が嵌め込まれる態様でもよい。この態様でも、ヒートシンク40に対してアダプタ60を位置決めすることができる。
また、図11に示したように、アダプタ60の凹部60Lには、第1接着剤656が配置される。凹部60Lに第1接着剤656が配置される。第1接着剤656によってヒートシンク40とアダプタ60とが接着される。これにより、ヒートシンク40からアダプタ60が外れないようにすることができる。
また、電動駆動装置1は、回路基板20を覆う蓋体50と、蓋体50をヒートシンク40に固定するスナップフィット55と、を備える。スナップフィット55の掛止部521及び被掛止部421の一方は蓋体50の外周部52に設けられている。掛止部521及び被掛止部421の他方はヒートシンク40の外周部42に設けられている。これにより、蓋体50とヒートシンク40とを容易に固定することができる。
また、電動駆動装置1は、蓋体50に設けられた弁53を備える。蓋体50及びヒートシンク40は回路基板20を収容する収容体を構成している。弁53は、収容体の内部と外部の圧力差に基づいて開閉する。これにより、弁53は、温度変化による収容体内部の圧力変化を小さくすることができる。
また、ヒートシンク40は、外周部42に設けられた溝部422を有する。蓋体50の外周部52は溝部422に嵌められる。これにより、ヒートシンク40に対して蓋体50を高精度に位置決めすることができる。
また、電動駆動装置1は、溝部422に配置された第2接着剤56を備える。第2接着剤56によって、蓋体50とヒートシンク40とが接着される。これにより、蓋体50とヒートシンク40は、スナップフィット55及び第2接着剤56の両方によって固定される。
また、電動パワーステアリング装置100は、上述の電動駆動装置1を備え、電動駆動装置1が補助操舵トルクを生じさせる。
(実施形態1の変形例)
上記の実施形態1では、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323BはX方向に一列に並んでいる構成としたが、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの配置はこれに限定されない。例えば、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各第2部位WP2は、X方向に向かって千鳥足状に配置されていてもよい。
図29は、実施形態1の変形例1に係る電動駆動装置の構成を示す模式図である。図29に示すように、実施形態1の変形例1において、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各第2部位WP2は、X方向に二列で千鳥足状に配置されている。例えば、軸方向Axからの平面視で、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各第2部位WP2は、モータ30のハウジング930の外側に位置する。これら第2部位WP2は、X方向に向かって、直線320CLを挟んで一方の側と他方の側とに交互に配置されている。直線320CLは、モータ30のハウジング930の外側に位置し、X方向に平行な仮想線である。
図29に示す変形例1においても、第1コイル配線321A、322A、323Aの第2部位WP2と、及び第2コイル配線321B、322B、323Bの第2部位WP2は、X−Y平面に平行な一方向(例えば、X方向)に並んで配置される。このため、1コイル配線321A、322A、323Aに接続する第1パワー回路25Aと、第2コイル配線321B、322B、323Bに接続する第2パワー回路25Bとを隣り合って配置することができる。
また、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各第2部位WP2は、軸方向Axを中心とする円の円周方向に並んで配置されていてもよい。
図30は、実施形態1の変形例2に係る電動駆動装置の構成を示す模式図である。図30に示すように、実施形態1の変形例1において、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各第2部位WP2は、軸方向Axを中心とする円(仮想円)の円周方向に並んで配置されている。例えば、軸方向Axからの平面視で、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各第2部位WP2は、モータ30のハウジング930の外側に位置する。これら第2部位WP2は、ハウジング930の外周面に平行に配置されている。ハウジング930の平面形状は正円形であり、その中心は軸方向Axと重なる。
図30に示す変形例2においても、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bは、X−Y平面に平行な一方向(例えば、電動モータ30のハウジングと同心円の円周方向)に並んで配置される。このため、1コイル配線321A、322A、323Aに接続する第1パワー回路25Aと、第2コイル配線321B、322B、323Bに接続する第2パワー回路25Bとを隣り合って配置することができる。
また、上記の実施形態1では、ヒートシンク40の凹部413A、413Bに電解コンデンサ253A、253Bがそれぞれ収容されることを説明した。凹部413A、413Bの内周面の少なくとも一部は、電解コンデンサ253A、253Bの外周面と一致、またはほぼ一致するような形状であってもよい。
図31は、実施形態1の変形例3に係る凹部の構成を示す断面図である。図31に示すように、電界コンデンサ253Aの端面253AAは、凹部413の底面413AAに沿っている。端面253AAと底面413AAとの間の隙間の幅C1は一定であることが好ましい。すなわち、端面253AAは底面413AAと平行であることが好ましい。
図31に示すように、凹部413Aの底面413AAは、端面253AAに略平行である。凹部413Aの内周面413ABは、電解コンデンサ253Aの外周面に沿っている。凹部413Aの内周面413ABは、円筒状の曲面である。端面253AAに平行な平面で電解コンデンサ253A及びヒートシンク40を切った断面において、電解コンデンサ253Aの外周面253AB及び凹部413Aの内周面413ABは、それぞれ円を描いている。外周面253ABと内周面413ABとの間の隙間の幅C2は、一定であることが好ましい。
電解コンデンサ253Aは、端面253AAと外周面253ABとを繋ぐ凸状の湾曲面253ACを備える。また、凹部413Aは、底面413AAと内周面413ABとを繋ぐ凹状の湾曲面413ACを備える。湾曲面413ACは、電解コンデンサ253Aに対して凹の曲面である。図31に示す断面において、湾曲面413ACは円弧を描いている。湾曲面413ACが描く円弧の曲率半径は、電解コンデンサ253Aの湾曲面253ACが描く円弧の曲率半径よりも大きい。図31に示す断面において、凹部413Aの湾曲面413ACが描く円弧の中心は、電解コンデンサ253Aの湾曲面253ACが描く円弧の中心と同じであることが好ましい。図31に示す湾曲面253ACと湾曲面413ACとの間の隙間の幅C3は、一定であることが好ましい。
第3放熱材433は、回路基板20(図16参照)で生じる熱のヒートシンク40への伝導を促進するための材料である。第3放熱材433は、例えばシリコーンポリマーに熱伝導性フィラーを混合した材料である。第3放熱材433は、例えばペースト状である。例えば、第3放熱材433の粘度は45Pa・s程度である。第3放熱材433は、電解コンデンサ253Aと凹部413Aの内壁とに接している。より具体的には、第3放熱材433は、電界コンデンサ253Aの端面253AA、湾曲面253AC及び外周面253ABと、凹部413Aの底面413AA、湾曲面413AC及び内周面413ABとにそれぞれ接している。
空気よりも熱伝導率が高い第3放熱材433が電解コンデンサ253A及びヒートシンク40に接しているので、第3放熱材433がない場合と比較して、放熱効率が向上する。 電解コンデンサ253Aの軸方向の長さ及び外径には、製造誤差が生じる可能性がある。例えば、電解コンデンサ253Aにおいては、軸方向の長さの誤差は、外径に応じて異なるが、±0.3mm又は±0.5mm程度である。外径の誤差は、±0.5mm程度である。また、電解コンデンサ253Aの位置は、基板本体21の製造誤差(撓み)及びヒートシンク40に回路基板20を取り付ける際の組立誤差によって、設計上での位置からずれる可能性がある。
図31に示す幅C1は、電解コンデンサ253Aの軸方向の長さの製造誤差、基板本体21の製造誤差、及び組立誤差が生じた場合でも、所定の下限値(例えば0.5mm)以上であり所定の上限値(例えば1.5mm)以下であることが好ましい。幅C1が下限値以上であることにより、端面253AAと底面413AAとの間に所定量の第3放熱材433が介在しやすいので、放熱効率が向上する。幅C1が上限値以下であることにより、電解コンデンサ253Aの所定の放熱効率を得るために使用される第3放熱材433の量が減少する。
図31に示す幅C2は、電解コンデンサ253Aの外径の製造誤差、及び組立誤差が生じた場合でも、所定の下限値(例えば0.5mm)以上であり所定の上限値(例えば1.5mm)以下であることが好ましい。幅C2が下限値以上であることにより、外周面253ABと内周面413ABとの間に所定量の第3放熱材433が介在しやすいので、放熱効率が向上する。幅C2が上限値以下であることにより、電解コンデンサ253Aの所定の放熱効率を得るために使用される第3放熱材433の量が減少する。
図31に示す幅C3は、電解コンデンサ253Aの軸方向の長さ及び外径の製造誤差、基板本体21の製造誤差、及び組立誤差が生じた場合でも、所定の下限値(例えば0.5mm)以上であり所定の上限値(例えば1.5mm)以下であることが好ましい。幅C3が下限値以上であることにより、湾曲面253ACと湾曲面413ACとの間に所定量の第3放熱材433が介在しやすいので、放熱効率が向上する。幅C3が上限値以下であることにより、電解コンデンサ253Aの所定の放熱効率を得るために使用される第3放熱材433の量が減少する。
なお、上記の変形例3では、凹部413Aと、凹部413Aに収容される電界コンデンサ253Aとについて説明したが、この説明は、凹部413Bと、凹部413Bに収容される電界コンデンサ253Bとにも適用される。例えば、図31において、凹部413Aを凹部413Bに置き換え、電界コンデンサ253Aを電界コンデンサ253Bに置き換えてもよい。
以上、実施形態1について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。例えば、第1隆起部411と第2隆起部412A、412Bとが分離されている構成としたが、第1隆起部411と第2隆起部412A、412Bは繋がって一体化していてもよい。
(実施形態2)
本発明の実施形態では、ヒートシンクに環状の壁部が設けられていてもよい。また、壁部の環の内側に、シャフトが通される貫通穴が設けられていてもよい。これにより、シャフトの反負荷側の端部に設けられた磁石は、壁部で囲まれる。
図32は、実施形態2に係るECU本体の構成例を示す分解斜視図である。なお、図32の点線は、電源端子Tdc、TgndからECU本体10Aを経由して電動モータ30(図10参照)に至る電流経路を示している。実施形態2においても、ECU10(図10参照)は、ECU本体10Aと、蓋体50(図7参照)とを備える。ECU本体10Aは、回路基板20と、回路基板20を支持するヒートシンク40と、コネクタCNTと、を有する。ヒートシンク40に、回路基板20と、コネクタCNTとが取り付けられている。コネクタCNTは、ヒートシンク40の外側から回路基板20に接続している。Z軸方向から見て、電動モータ30の外側にコネクタCNTが配置されている。
図33は、実施形態2に係るヒートシンクの構成例を示す正面図である。図34は、実施形態2に係るヒートシンクの構成例を示す背面図である。図35は、実施形態2に係るヒートシンクにおいて、第1面側に設けられた第1隆起部、第2隆起部及び凹部を、第2面側から透視して示す図である。図36は、実施形態2に係るヒートシンクの第1面側に設けられた第1隆起部、第2隆起部及び凹部と、回路基板に取り付けられた電子部品とを、ヒートシンクの第2面側から透視して示す図である。
図32から図36に示すように、ヒートシンク40は、第1面40aの底部41に設けられた環状の壁部44と、複数のリブ442とを有する。シャフト31の軸方向Ax(Z軸方向)からの平面視で、壁部44は貫通穴46を囲んでおり、壁部44の環の内側は貫通穴46と重なっている。壁部44は、貫通穴46の外周に沿って設けられており、第1面40aの底部41から上方(回路基板20側)に向けて起立している。Z軸方向からの平面視で、壁部44の環は正円形である。Z軸方向からの平面視で、壁部44の環の中心は、貫通穴46の中心と一致又はほぼ一致している。また、壁部44の外周面44bには、後述のキャップ57(図38参照)を固定するための溝部trが設けられている。
リブ442は、壁部44の外周面44bと第1面40aの底部41とを連結している。Z軸方向からの平面視で、複数のリブ442は壁部44の周囲に等間隔で配置されている。
壁部44及び複数のリブ442は、ヒートシンク40と一体に形成されている。壁部44及び複数のリブ442は、ヒートシンク40と同様に、アルミニウム、銅などの金属で構成されている。これにより、壁部44は、壁部44の環の内側と外側との間で、磁気を遮蔽することができる。
図37は、実施形態2に係る電動駆動装置の構成例を示す断面図である。図38は、図37において、壁部とその周辺を拡大して示す断面図である。図38は、壁部にキャップが取り付けられた状態を示している。図39は、実施形態2に係る壁部及び複数のリブの構成例を示す平面図である。なお、図39では、Z軸方向からの平面視で、壁部44と、磁石32及び回転角度センサ23aとの位置関係を示すために、磁石32及び回転角度センサ23aを点線で示している。
図37及び図38に示すように、壁部44の外周面44bには、溝部trが設けられている。壁部44は、磁石32を側方から囲んでいる。壁部44の上面44aの方が、磁石32よりも回路基板20に近い位置にある。キャップ57は、壁部44において回路基板20側の端部(以下、上側端部)441に取り付けられる。
図39に示すように、実施形態2では、複数のリブ442として、例えば3つのリブ442A、442B、442Cが配置されている。3つのリブ442A、442B、442Cは、壁部44の周囲に等間隔で配置されている。例えば、Z軸方向からの平面視で、壁部44の環の中心は、シャフト31の軸方向Axと重なっている。軸方向Axを中心とする正円の円周に沿って、3つのリブ442A、442B、442Cが等間隔で配置されている。リブ442Aから円周方向に角度θ1だけ離れた位置にリブ442Bが配置されている。リブ442Bから円周方向に角度θ2だけ離れた位置にリブ442Cが配置されている。リブ442Cから円周方向に角度θ3だけ離れた位置にリブ442Aが配置されている。図39に示す例では、θ1=θ2=θ3=120°となっている。
図40Aは、実施形態2に係るキャップの構成例を示す平面図である。図40Bは、実施形態2に係るキャップの構成例を示す断面図である。図40Bは、図40Aに示す平面図をA5−A6線で切断した断面を示している。図40Cは、実施形態2に係るキャップの構成例を示す底面図である。図40Aから図40Cに示すように、キャップ57は、天板部571と、天板部571の外周を支持する縁部572と、を有する。また、図38(または、図40Aから図40C)に示すように、縁部572は、キャップ57の内側に突き出た突起部572c(または、突起部572d)を有する。天板部571と、縁部572及び突起部572c(または、突起部572d)は、一体に形成されている。
なお、突起部572cと突起部572dとの違いは、形状のみである。突起部572cと比べて、突起部572dは、下側の面(ヒートシンク40の第1面40a(図37参照)と対向する側の面)が斜面となっており、溝部treへの嵌め込みが容易な形状となっている。縁部572が有する突起部は、突起部572c及び突起部572dのいずれであってもよい。
キャップ57の材料は、樹脂である。例えば、キャップ57の材料は、弾性を有する樹脂である。弾性を有する樹脂として、ゴム弾性を有するエラストマー系樹脂が例示される。これによれば、縁部572及び突起部572c、572dは弾性変形が可能となるため、キャップ57を壁部44に着脱可能に取り付けることが容易となる。また、キャップ57の材料は、ビニル系樹脂又はポリエステル系樹脂であってもよい。
天板部571の材料と、縁部572及び突起部572c、572dの材料は、互いに異なっていてもよい。例えば、天板部571は、ビニル系樹脂又はポリエステル系樹脂からなるフィルムであり、縁部572及び突起部572c、572dはエラストマー系樹脂であってもよい。
また、キャップ57の材料は、無色透明又は有色透明であってもよい。特に、天板部571は透明であることが好ましい。透明とは、透光性(可視光を透過させる性質)を有することを意味する。天板部571が透明であれば、作業者(または、製造装置)は、壁部44の環の内側を、キャップ57を透して観察することができる。
図38に示すように、キャップ57が壁部44の上側端部441に被せられ、天板部571が壁部44の上面44aと接触すると、突起部572cは溝部treに係合する。これにより、壁部44にキャップ57が着脱可能に取り付けられる。壁部44にキャップ57が取り付けられ、ヒートシンク40の第1面40a側に回路基板20が取り付けられると、天板部571は、磁石32と回転角度センサ23aとに挟まれた状態となる。この状態で、天板部571は、回転角度センサ23aと磁石32の両方から離れている。回転角度センサ23aと磁石32との離隔距離をd11とし、天板部571の厚さをd12としたとき、離隔距離d11は厚さd12よりも大きい(d11>d12)。天板部571の厚さをd12は、例えば数十μm又は数百μmである。
以上説明したように、実施形態2に係る電動駆動装置1は、ヒートシンク40と、環状の壁部44とを有する。ヒートシンク40は、第1面40aと、第1面40aの反対側に位置する第2面40bとを有し、第1面40aの側で回路基板20を支持する。ヒートシンク40は、第1面40aと第2面40bとの間に設けられ、シャフト31が通される貫通穴46を有する。壁部44は、第1面40aと回路基板20との間に配置される。シャフト31の軸方向Ax(Z軸方向)からの平面視で、壁部44の環の内側に貫通穴46が位置する。これによれば、壁部44は回路基板20側に端部を有し、この端部にキャップ57を着脱可能に取り付けることが可能となる。これにより、ヒートシンク40の第1面40a側から壁部44の環の内側に異物が侵入することを防ぐことが可能となる。磁石32は壁部44の環の内側に位置するため、磁石32に異物が付着することが抑制される。
例えば、電動モータ30をクリーンルーム内で製造する場合を想定する。この場合、クリーンルーム内で電動モータ30を製造し、製造した電動モータ30をヒートシンク40に取り付け、壁部44にキャップ57を取り付ける。これにより、電動モータ30をクリーンルームの外側に搬出した場合でも、壁部44の環の内側を、クリーンルームの環境に維持することができる。壁部44にキャップ57を取り付けることによって、壁部44の環の内側は、クリーンな状態(コンタミネーションの少ない状態)に維持されたまま、ECU10の組立工程に引き継がれる。ECU10の組み立て工程では、ECU本体10Aの組み立てと、ECU本体10Aへの蓋体50の取り付け等が行われる。
また、ECU10の組み立て工程では、作業者(または、製造装置)は、キャップ57を取り外してもよいし、取り外さなくてもよい。キャップ57は壁部44に着脱可能に取り付けられているため、キャップ57を壁部44から取り外すこと、及び、キャップ57を壁部44に残しておくこと、のいずれも可能である。
また、キャップ57は透明である。これによれば、作業者(または、製造装置)は、壁部44の環の内側を、キャップ57を透して観察することができる。キャップ57によって壁部44の環の内側がクリーンな状態に維持され、この状態で、作業者(または、製造装置)は、壁部44の環の内側を観察したり、この環の内側に位置する磁石32を外観検査したりすることができる。
また、上記の外観検査の結果等に基づいて、作業者(または、製造装置)は、壁部44からキャップ57を一旦取り外し、手直しの処理等を行い、その後、壁部44にキャップ57を取り付けてもよい。壁部44に対してキャップ57が着脱可能であるため、このような処理も可能である。
また、電動駆動装置1は、壁部44の外周面44bと第1面40aとを連結する複数のリブ442、をさらに備える。これにより、壁部44とヒートシンク40との連結の強度を高めることができる。
また、複数のリブ442は、壁部44の周囲に沿って等間隔で配置される。これにより、壁部44の周囲において、壁部44とヒートシンク40との連結強度に偏りが生じないようにすることができる。
また、電動駆動装置1は、キャップ57を備える。キャップ57は、壁部44において回路基板20側の端部に取り付けられる。キャップ57は、磁石32と対向する天板部571と、天板部571の外周を支持する縁部572と、を有する。天板部571の材料は樹脂である。これによれば、磁石32から出る磁束はキャップ57の天板部571を透過することができ、この磁束を回転角度センサ23aは検出することができる。磁束を透過させるために壁部44の端部からキャップ57を取り外す必要はない。このため、電動駆動装置1の組立工程において、キャップ57を取り外す工程は必要なく、工程数の増大を抑制することができる。また、ヒートシンク40に回路基板20が取り付けられ、電動駆動装置1が完成した後も、キャップ57は壁部44に取り付けられた状態を維持する。これにより、磁石32への異物の付着は継続的に抑制される。
また、壁部44は、外周面44bに設けられた溝部treを有する。キャップ57の縁部572は、溝部treと重なる位置に設けられた突起部572cを有する。溝部treに突起部572cが係合する。これにより、壁部44にキャップ57が固定される。
また、壁部44及び複数のリブ442は、ヒートシンク40と一体に形成されている。壁部44及び複数のリブ442は、ヒートシンク40と同様に、アルミニウム、銅などの金属で構成されている。これによれば、壁部44とヒートシンク40との間、複数のリブ442とヒートシンク40との間、及び、壁部44と複数のリブ442との間には、それぞれ接合の境界は存在しないため、壁部44とヒートシンク40との連結の強度を高めることができる。また、壁部44の材料は、ヒートシンク40と同一であり、例えば金属である。壁部44の材料が金属であれば、壁部44の環の内側と外側との間で磁気は遮断される。これにより、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各配線に電流が流れることで生じる磁界が、壁部44の環の内側に影響することを防ぐことができる。回転角度センサ23aは、配線周りの磁界を原因とする検出値の誤差がさらに低減されるので、回転角度の検出精度がさらに向上する。
(実施形態2の変形例)
図41は、実施形態2の変形例1に係るキャップの構成を示す断面図である。図41に示すように、変形例1に係るキャップ57Aは、天板部571と、天板部571の外周を支持する縁部572と、を有する。また、縁部572は、キャップ57の内側に突き出た突起部572cを有する。
変形例1では、壁部44にキャップ57が取り付けられ、ヒートシンク40の第1面40a側に回路基板20が取り付けられると、縁部572の上面572aは回路基板20と接触する。例えば、回路基板20の貫通孔21H1(図32参照)にねじが挿入され、回路基板20がヒートシンク40に固定されると、回路基板20は縁部572の上面572aを押圧し、回路基板20と上面572aとが密着する。これにより、回路基板20はヒートシンク40及びキャップ57の両方で支持されるため、ヒートシンク40に対する回路基板20の振動が抑制される。
回路基板20には回転角度センサ23aが実装されているが、回路基板20の振動が抑制されることによって、回転角度センサ23aの振動も抑制される。これにより、磁石32と回転角度センサ23aとの離隔距離d11(図38参照)を一定に保つことができる。これにより、回転角度センサ23aは、磁石の回転角度を精度よく検出することができる。また、縁部572の材料は、樹脂でもよい。樹脂製の縁部572は、回路基板20の振動を吸収することができ、回路基板20の防振効果を高めることができる。
図42は、実施形態2の変形例2に係るキャップの構成を示す断面図である。図42に示すように変形例2に係るキャップ57Bは、天板部571と、天板部571の外周を支持する縁部572と、縁部572Bの上面572a(図43Aから図43C参照)に支持された弾性リング575と、を有する。弾性リング575の材料は、例えば、絶縁性の樹脂である。また、縁部572は、キャップ57Bの内側に突き出た突起部572cを有する。変形例2では、壁部44にキャップ57Bが取り付けられ、ヒートシンク40の第1面40a側に回路基板20が取り付けられると、回路基板20は弾性リング575をヒートシンク40の第1面40a側に押圧する。これにより、弾性リング575は、回路基板20及び縁部572とそれぞれ密着する。弾性リング575は、例えばOリングである。
図43Aは、実施形態2の変形例2に係るキャップの構成を示す平面図である。図43Bは、実施形態2の変形例2に係るキャップの構成を示す断面図である。図43Bは、図43Aに示す平面図をA7−A8線で切断した断面を示している。図43Cは、実施形態2の変形例2に係るキャップの構成を示す底面図である。なお、図43Aでは、変形例2に係るキャップ57Bの溝部574に弾性リング575が嵌め込まれている状態を示している。図43Aから図43Cに示すように、キャップ57Bにおいて、縁部572の上面572aには、溝部574が設けられている。Z軸方向からの平面視で、溝部574はリング形状である。リング形状の溝部574に、弾性リング575が嵌め込まれている。
変形例2では、ヒートシンク40の第1面40a側に回路基板20が取り付けられると、弾性リング575は回路基板20と接触する。例えば、回路基板20の貫通孔21H1(図32参照)にねじが挿入され、回路基板20がヒートシンク40に固定されると、回路基板20は弾性リング575を押圧し、回路基板20と弾性リング575とが密着する。これにより、回路基板20はヒートシンク40及びキャップ57の両方で支持されるため、ヒートシンク40に対する回路基板20の振動が抑制される。また、弾性リング575は、回路基板20の振動を吸収することができ、回路基板20の防振効果を高めることができる。
図44Aは、実施形態2の変形例3に係る壁部とその周辺を示す断面図である。図44Bは、実施形態2の変形例3に係る壁部にキャップが取り付けられた状態を示す断面図である。実施形態2では、ヒートシンクと壁部が別体に形成されていてもよい。例えば、図44Aに示すように、変形例3では、ヒートシンク40の第1面40aの底部41に凹部40cが設けられている。この凹部40cに、変形例3に係る壁部44Aの底部が嵌め込まれている。これにより、壁部44Aはヒートシンク40に固定されている。このような構成であっても、図44Bに示すように、壁部44Aにキャップ57を取り付けることが可能である。キャップ57は、ヒートシンク40の第1面40a側から壁部44の環の内側に異物が侵入することを防ぐことができる。これにより、磁石32に異物が付着することが抑制される。
また、変形例3では、ヒートシンク40と壁部44Aとを別々に製造することができるため、ヒートシンク40をより簡単な形状にすることが可能である。これにより、例えば鋳型を用いたヒートシンク40の製造が容易となる。
壁部44Aの材料は、アルミニウム、銅などの金属でもよいし、エンジニアリングプラスチック等の樹脂であってもよい。壁部44Aの材料が樹脂であれば、壁部44Aを射出成形で形成することができるので、壁部44Aの製造が容易となる。
また、図44A及び図44Bに示すように、壁部44Aの内周面44cには、磁気シールド層447が貼付又は塗布されていてもよい。これによれば、壁部44Aが樹脂製の場合でも、壁部44Aの内側と外側との間で磁気が遮蔽される。
図45は、実施形態2の変形例4に係る壁部とその周辺を示す断面図である。変形例4に係る壁部44Bの材料は樹脂である。樹脂製の壁部44Bは、樹脂製のキャップ57Aと一体に形成されている。このような構成であっても、このような構成であっても、キャップ57Aは、ヒートシンク40の第1面40a側から壁部44の環の内側に異物が侵入することを防ぐことができる。これにより、磁石32に異物が付着することが抑制される。また、電動駆動装置1の組立工程において、壁部44Bにキャップ57Aを取り付ける工程は必要ないため、工程数の増大を抑制することができる。
以上、実施形態2について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。例えば、壁部44、44Aの環は、正円形に限定されない。壁部44、44Aの環は楕円形でもよいし、三角形又は四角形以上の多角形でもよい。
(実施形態3)
本発明の実施形態において、環状の壁部にはキャップが設けられていなくてもよい。環状の壁部が回路基板に直接接触していてもよいし、環状の壁部と回路基板との間に弾性体が配置されていてもよい。弾性体は、環状の壁部と回路基板とに接触していてもよい。
図46は、実施形態3に係るECU本体の構成例を示す分解斜視図である。図47は、実施形態3に係る電動駆動装置の構成例を示す断面図である。図48は、図47において、壁部とその周辺を拡大して示す断面図である。図48は、壁部に弾性リング445が取り付けられた状態を示している。図49は、実施形態3に係る壁部及び複数のリブの構成例を示す平面図である。図49は、壁部44の上面44aに設けられている溝部446に弾性リング445が嵌め込まれている状態を示している。また、図49では、Z軸方向からの平面視で、弾性リング445と、磁石32及び回転角度センサ23aとの位置関係を示すために、磁石32及び回転角度センサ23aを点線で示している。
図46から図49に示すように、実施形態3において、環状の壁部44には、キャップを固定するための溝部tr(図32参照)は設けられていない。実施形態3において、壁部44の上面には、弾性リング445を嵌め込むための溝部446が設けられている。
図47から図49に示すように、壁部44は、磁石32を側方から囲んでいる。壁部44の上面44aの方が、磁石32よりも回路基板20に近い位置にある。また、壁部44の上面44aに弾性リング445が配置されている。例えば、壁部44の上面44aには、環状の溝部446が設けられている。Z軸方向からの平面視で、溝部446の形状は壁部44の形状と同じであり、例えば正円である。図49に示すように、壁部44の上面に弾性リング445が嵌め込まれている。
弾性リング445の材料は、例えば、絶縁性の樹脂である。ヒートシンク40の第1面40a側に回路基板20が取り付けられると、回路基板20は弾性リング445をヒートシンク40の第1面40a側に押圧する。これにより、弾性リング445は、回路基板20及び壁部44とそれぞれ密着する。弾性リング445は、例えばOリングである。
以上説明したように、実施形態3に係る電動駆動装置1は、ヒートシンク40と、環状の壁部44と、壁部44と回路基板20との間に配置される弾性リング445(弾性体)と、を有する。ヒートシンク40は、第1面40aと、第1面40aの反対側に位置する第2面40bとを有し、第1面40aの側で回路基板20を支持する。ヒートシンク40は、第1面40aと第2面40bとの間に設けられ、シャフト31が通される貫通穴46を有する。壁部44は、第1面40aと回路基板20との間に配置される。シャフト31の軸方向Ax(Z軸方向)からの平面視で、壁部44の環の内側に貫通穴46が位置する。
これによれば、弾性リング445が壁部44と回路基板20とにそれぞれ密着することにより、回路基板20の振動が抑制され、磁石32に対する回転角度センサ23aの振動が抑制される。これにより、回転角度センサ23aは、磁石32との離隔距離をより一定に保つことができる。回転角度センサ23aは磁石32の回転角度を精度よく検出することができる。
また、回路基板20が振動すると、回路基板20と各種部品(回転角度センサ23a、電子部品281、282A、282B、平滑用コンデンサ253A、253Bなど)との接合部に負荷がかかる。実施形態3では、回路基板20の振動が抑制されるため、接合部にかかる負荷を低減することができる。
また、シャフト31の軸方向Ax(Z軸方向)からの平面視で、弾性リング445の内側に貫通穴26が位置する。これによれば、弾性リング445が壁部44と回路基板20とにそれぞれ密着すると、壁部44の環は回路基板20で塞がれる。これにより、ヒートシンク40の第1面40a側から壁部44の環の内側に異物が侵入することを防ぐことが可能となる。磁石32は壁部44の環の内側に位置するため、磁石32に異物が付着すること(コンタミネーション)が抑制される。
また、壁部44は、上面44a(回路基板20と対向する面)に設けられた溝部446を有する。弾性リング445は溝部446に嵌め込まれる。これによれば、壁部44の上面44aに弾性リング445を配置することが容易となる。壁部44に対して弾性リング445が位置ズレすることを防ぐことができる。
また、弾性リング445は絶縁性である。これによれば、弾性リング445は、回路基板20と壁部44との間を絶縁することができる。例えば、壁部44が金属製の場合でも、弾性リング445は壁部44と回路基板20との間で電流が流れることを防ぐことができる。
(実施形態3の変形例)
図50は、実施形態3の変形例に係る壁部とその周辺を示す断面図である。実施形態3では、ヒートシンクと壁部とが別体に形成されていてもよい。例えば、図50に示すように、変形例では、ヒートシンク40の第1面40aの底部41に凹部40cが設けられている。この凹部40cに、変形例に係る壁部44Aの底部が嵌め込まれている。これにより、壁部44Aはヒートシンク40に固定されている。このような構成であっても、壁部44Aの溝部446に弾性リング445(図48参照)を嵌め込むことが可能である。弾性リング445が壁部44Aと回路基板20とにそれぞれ密着することにより、回路基板20の振動が抑制され、磁石32に対する回転角度センサ23aの振動が抑制される。これにより、回転角度センサ23aは、磁石32との離隔距離をより一定に保つことができる。回転角度センサ23aは磁石32の回転角度を精度よく検出することができる。
また、変形例では、ヒートシンク40と壁部44Aとを別々に製造することができるため、ヒートシンク40をより簡単な形状にすることが可能である。これにより、例えば鋳型を用いたヒートシンク40の製造が容易となる。
実施形態3においても、壁部44Aの材料は、アルミニウム、銅などの金属でもよいし、エンジニアリングプラスチック等の樹脂であってもよい。壁部44Aの材料が樹脂であれば、壁部44Aを射出成形で形成することができるので、壁部44Aの製造が容易となる。
また、図50に示すように、壁部44Aの内周面44cには、磁気シールド層447が貼付又は塗布されていてもよい。これによれば、壁部44Aが樹脂製の場合でも、壁部44Aの内側と外側との間で磁気が遮蔽される。
以上、実施形態3について説明したが、実施形態3においても、壁部44、44Aの環は、正円形に限定されない。壁部44、44Aの環は楕円形でもよいし、三角形又は四角形以上の多角形でもよい。
(実施形態4)
上記の実施形態1から3では、ヒートシンクにコネクタが取り付けられている態様を示した。しかしながら、本発明の実施形態において、コネクタの取り付け箇所は、ヒートシンクに限定されない。コネクタは、ヒートシンクではなく、蓋体に設けられていてもよい。
図51は、実施形態4に係る電動駆動装置の構成例を示す斜視図である。図52は、実施形態4に係る電動駆動装置の構成例を示す平面図である。図53は、実施形態4に係る電動駆動装置の構成例を示す底面図である。図54から図56は、実施形態4に係る電動駆動装置の構成例を示す分解斜視図である。図57は、実施形態4に係るECU本体の構成例を示す斜視図である。図58は、実施形態4に係るECU本体の構成例を示す底面図である。図59は、実施形態4に係るECU本体の構成例を示す分解斜視図である。なお、図59の点線は、電源端子Tdc、TgndからECU本体10Aを経由して電動モータ30(図54参照)に至る電流経路を示している。
図51から図59に示すように、実施形態4に係るECU10は、ECU本体10Aと、蓋体50とを備える。ECU本体10Aは、回路基板20と、回路基板20を支持するヒートシンク40と、を有する。
図51及び図52に示すように、蓋体50は、天板51と、天板51の周縁に設けられた外周部52と、天板51に設けられたコネクタCNTと、を有する。外周部52は、天板51の周縁からヒートシンク40側に起立している。コネクタCNTは、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3を有する。また、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3は、それぞれ、外装部CNTEと、外装部CNTEの内側に配置された複数の端子CNTPとを有する。天板51は、ヒートシンク40に取り付けられた回路基板20と対向する第1面51aと、第1面51aの反対側に位置する第2面51bとを有する。第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3の各外装部CNTEは、天板51の第2面51bから、蓋体50の外側(例えば、天板51を挟んで回路基板20の反対側)へ突き出ている。第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3は、ヒートシンク40の外側から回路基板20に接続している。Z軸方向から見て、電動モータ30の外側に、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3がそれぞれ配置されている。
実施形態4では、天板51と外周部52とによって蓋体本体50Aが構成されている。天板51と外周部52は一体に形成されている。また、蓋体本体50Aと外装部CNTEも一体に形成されている。例えば、蓋体50は金属製又は樹脂製である。天板51と、外周部52及び外装部CNTEは、樹脂成形により一体に形成されている。端子CNTPは、金属製である。
第1コネクタCNT1は給電用である。第1コネクタCNT1は、例えば2本の端子CNTPを有する。第1コネクタCNT1が有する2本の端子CNTPのうち、一方が電源端子Tdc(図6参照)であり、他方が電源端子Tgnd(図6参照)である。電源端子Tdcは、電源装置83(図2参照)の電源電圧Vdcを供給する。電源端子Tgndは、電源装置83の負電源電圧(例えば、グランドなどの基準電圧)を供給する。第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bには、電源端子Tdc、Tgndを介して、電源装置83から電力を伝送する電力配線PW(図2参照)がそれぞれ接続される。
第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3は、信号又はデータの入出力用である。例えば、第2コネクタCNT2は、CAN通信を行うCAN端子である。第3コネクタCNT3は、CAN通信以外の方法でデータを入出力する入出力端子である。制御回路24の制御演算部241(図6参照)には、第2コネクタCNT2、第3コネクタCNT3を介して、操舵トルク信号T、車速信号SV等の入出力信号を伝送する信号伝送配線が接続される。
図59に示すように、基板本体21には、第1面21aと第2面21bとの間を貫く複数の貫通孔21H1、21H3、21H6、21H7が設けられている。貫通孔21H1には、回路基板20をヒートシンク40に固定するためのねじが挿入される。貫通孔21H3には、回路基板20に対して第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323B(図27参照)を位置合わせするための、棒状の連結部材66AL(図66参照)が挿入される。貫通孔21H6は、第1貫通孔21H6Aと、第2貫通孔21H6Bとを含む。第1貫通孔21H6Aには、第1コイル配線321A、322A、323A(図27参照)が挿入される。第2貫通孔21H6Bには、第2コイル配線321B、322B、323B(図27参照)が挿入される。
貫通孔21H7には、端子CNTP(図51参照)が挿入される。例えば、貫通孔21H7は、貫通孔Hdc、Hgnd、Hcan、Hioを含む。貫通孔Hdc、Hgndには、第1コネクタCNT1(図51参照)の端子CNTPが挿入される。貫通孔Hcanには、第2コネクタCNT2(図51参照)の端子CNTPが挿入される。貫通孔Hioには、第3コネクタCNT3(図51参照)の端子CNTPが挿入される。
図60及び図61は、回路基板に対するコネクタの接続例を示す模式図である。図60に示すように、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3(図51参照)の各端子CNTPは、回路基板20の第1面20a側に配置される。また、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3は、隣り合う複数の端子CNTPを互いに連結する連結部材CNTBを有する。連結部材CNTBによって、複数の端子CNTPは、互いに離隔した状態で、Y方向に隣り合って配置されている。例えば、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2、第3コネクタCNT3の各端子CNTPは、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2、第3コネクタCNT3ごとに、連結部材CNTBで連結されている。または、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2、第3コネクタCNT3の各端子CNTPは、1つの連結部材CNTBでまとめて連結されていてもよい。
図60に示すように、連結部材CNTBで連結された複数の端子CNTPは、その先端部TPを回路基板20に向けた状態で、基板本体の21の貫通孔21H7に挿入される。図61に示すように、複数の端子CNTPの各先端部TPが基板本体21の第2面21b側に到達すると、複数の端子CNTPは回路基板20にそれぞれ接続される。
図62は、実施形態4に係るヒートシンクの構成例を示す正面図である。図63は、実施形態4に係るヒートシンクの構成例を示す背面図である。図64は、実施形態4に係るヒートシンクにおいて、第1面側に設けられた第1隆起部、第2隆起部及び凹部を、第2面側から透視して示す図である。図65は、実施形態4に係るヒートシンクの第1面側に設けられた第1隆起部、第2隆起部及び凹部と、回路基板に取り付けられた電子部品とを、ヒートシンクの第2面側から透視して示す図である。
図59及び図62に示すように、ヒートシンク40は、第1面40a側に凹部47A、47B、47Cを有する。凹部47Aは、第1コネクタCNT(図54参照)と対向する位置に設けられている。凹部47Aには、例えば、第1コネクタCNT1が有する端子CNTP(例えば、電源端子Tdc、Tgnd)の先端部TP(図61参照)が配置される。凹部47Bは、第2コネクタCNT(図54参照)と対向する位置に設けられている。凹部47Bには、例えば、第2コネクタCNT2が有する端子CNTP(例えば、CAN端子)の先端部TPが配置される。凹部47Cは、第3コネクタCNT(図54参照)と対向する位置に設けられている。凹部47Cには、例えば、第3コネクタCNT3が有する端子CNTP(例えば、CAN端子以外の入出力端子)の先端部TPが配置される。また、図62から図65に示すように、ヒートシンク40は、貫通穴48を有する。貫通穴48には、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323B(図54参照)が挿入される。
図66は、図52において電動駆動装置をA9−A10線で切断した断面を示す斜視図である。図67は、図53において電動駆動装置をB3−B4線で切断した断面図である。図66及び図67に示すように、実施形態4においても、電動駆動装置1は、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bと、第1連結部材67と、第2連結部材68と、を有する。第1連結部材67は、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各第1部位WP1を互いに連結する。また、第2連結部材68は、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bの各第2部位WP2を互いに連結する。第1連結部材67及び第2連結部材68は、それぞれ絶縁性の樹脂からなる。第1連結部材67及び第2連結部材68によって、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bは、互いに離隔した状態で、X方向に隣り合って配置されている。
また、電動モータ30は、例えば、第1コイルグループGr1に接続する3つの第1端子片371、372、373と、第2コイルグループGr2に接続する3つの第2端子片(図示せず)とを有する。ヒートシンク40がアダプタ60を介して電動モータ30に取り付けられると、第1コイル配線321A、322A、323Aの各第3部位WP3は、第1端子片371、372、373にそれぞれ押し当てられて接触する。また、第2コイル配線321B、322B、323Bの各第3部位WP3も、図示しない第2端子片にそれぞれ押し当てられて接触する。これにより、第1コイル配線321A、322A、323Aは第1端子片371、372、373を介して第1コイルグループGr1に接続し、第2コイル配線321B、322B、323Bは第2端子片を介して第2コイルグループGr2に接続する。なお、第3部位WP3と、第1端子片371、372、373又は第2端子片は、抵抗溶接又はレーザ溶接により接合されていてもよい。
図27に示すように、第1コイル配線321A、322A、323Aの各屈曲部WP12は、アダプタ60の突出部62の内側に配置されている。第2コイル配線321B、322B、323Bの各屈曲部WP12も、突出部62の内側に配置されている。
図68は、実施形態4に係るスナップフィットの一例を示す斜視図である。
図68に示すように、実施形態4においても、ECU10は、蓋体50をヒートシンク40に取り付けるスナップフィット55、を備える。スナップフィット55は、例えば、掛止部521と、掛止部521に掛け止められる被掛止部421とを有する。掛止部521は蓋体50の外周部52に設けられている。被掛止部421はヒートシンク40の外周部42に設けられている。掛止部521は、ヒートシンク40に蓋体50が取り付けられたときに被掛止部421とZ方向で重なる位置に設けられている。ヒートシンク40に蓋体50を取り付ける工程は、実施形態1と同じである。
以上説明したように、実施形態4に係る電動駆動装置1は、電動モータ30と、電動モータ30を駆動制御するために、シャフト31の反負荷側に設けられたECU10と、を備える。ECU10は、シャフト31の反負荷側の端部の磁石32と、シャフト31の反負荷側であって、シャフト31の軸方向(例えば、Z方向)の延長線上に配置された回路基板20と、回路基板20を覆う蓋体50と、回路基板20に接続するコネクタCNTと、を含む。コネクタCNTの外装部CNTEは、蓋体50と一体に形成されている。
蓋体本体50Aと外装部CNTEとが一体に形成されていることにより、電動駆動装置1の部品点数の低減に寄与することができる。
また、蓋体50は、回路基板20と向かい合う第1面51aと、第1面51aの反対側に位置する第2面51bと、を有する。コネクタCNTの外装部CNTEは、第2面51bから蓋体50の外側へ突き出ている。これにより、電動駆動装置の外側にある信号伝送配線(例えば、操舵トルク信号T、車速信号SV等を伝送する信号伝送配線)を、コネクタCNTを介して、蓋体50側から回路基板20に接続することができる。
また、回路基板20の法線方向であるZ方向において、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3は、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bから離れている。Z方向からみて、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3は、第1コイル配線321A、322A、323A及び第2コイル配線321B、322B、323Bとは重なっていない。これにより、回路基板20において、第1コネクタCNT1、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3が接続する領域(例えば、貫通孔21H7)と、第1コイル配線321A、322A、323A又は第2コイル配線321B、322B、323Bが接続する領域(例えば、貫通孔21H6)とを互いに離して配置することができる。これにより、回路基板20において、貫通孔21H6、21H7の配置が過密となることを防ぐことができる。
また、Z軸方向から見て、電動モータ30の外側にコネクタCNTが配置されている。これにより、コネクタCNTを回転角度センサ23aから遠ざけることができる。例えば、第1コネクタCNT1は電源端子Tdcを含む。トルクセンサ94が大きな操舵トルクを検出すると、電源端子Tdcから第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bに電流PSC(図59参照)が大きく流れ、電源端子の周りに強い磁界が生じる場合がある。しかしながら、実施形態4に係る電動駆動装置1では、Z軸方向から見て、電動モータ30の外側に第1コネクタCNTP1が配置されているので、電源端子Tdcと回転角度センサ23aとの離隔距離は大きい。このため、電源端子Tdcの周りに強い磁界が生じても、この磁界が回転角度センサ23aの検出精度に極力影響しないようにすることができる。
以上、実施形態4について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。例えば、実施形態4では、第1コネクタCNT1と、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3が一列に並んでいる構成としたが、第1コネクタCNT1と、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3は、一列に並んでいなくてもよい。例えば、第1コネクタCNT1は、第2コネクタCNT2及び第3コネクタCNT3が並ぶ方向から外れた位置に設けられていてもよい。