JP6798427B2 - 電動駆動装置、及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動駆動装置、及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、電動モータの回転を制御する電子制御装置を備えた電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置に関する。
車両には、電動機で生じる補助操舵力によって操舵を補助する電動パワーステアリング装置が搭載される。電動パワーステアリング装置は、電動駆動装置が出力する補助操舵トルクによって運転者の操舵をアシストする。電動駆動装置は、ECU(Electronic Control Unit)が電動モータに駆動電力を出力することによって補助操舵トルクを発生する。電動駆動装置には、電動モータとECUとが一体に組付けられた構造のものがある。例えば、特許文献1には、電動モータとECUとが一体に組付けられた電動駆動装置の一例が記載されている。特許文献1に記載の電動駆動装置において、スイッチング素子が発熱するので、スイッチング素子を接着剤や絶縁シートなどを介してヒートシンクと接触させ、放熱および冷却する。
国際公開第2015/122069号
スイッチング素子を接着剤や絶縁シートなどを介してヒートシンクと接触させると、放熱性が高いが、組立作業の時間を短くしにくい。そこで、両面実装が可能な樹脂基板の第1面に、スイッチング素子を備えたインバータ回路を配置し、樹脂基板の第2面に、磁気センサを配置することで、組立性を向上することが考えられる。しかしながら、インバータ回路とヒートシンクとの間には、樹脂基板があるので、樹脂基板からヒートシンクへ熱が移動しやくなるように、ヒートシンクと樹脂基板との間で放熱材が塗布されることが多い。しかしながら、放熱材は、磁気センサ又は磁気センサに対応する磁石に付着すると、磁気センサの誤動作の要因となる可能性がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、インバータ回路の放熱性を確保しつつ、磁気センサの誤動作を抑制できる電動駆動装置、及び電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するため、一態様に係る電動駆動装置は、シャフトと、前記シャフトと連動するモータロータと、前記モータロータを回転させるステータコアを備えるモータステータと、3相毎に少なくとも2系統の第1コイルグループ及び第2コイルグループとに分けられ、且つ前記ステータコアを3相交流で励磁する複数のコイルグループと、を含む電動モータと、前記シャフトの反負荷側の端部に固定された磁石と、第1貫通孔を有するヒートシンクと、前記第1コイルグループへ電流を供給する第1インバータ回路、前記第2コイルグループへ電流を供給する第2インバータ回路が第1実装面に実装され、前記磁石の回転を検出する磁気センサが第2実装面に実装された樹脂基板であるパワー基板と、前記第1インバータ回路及び前記第2インバータ回路の少なくとも1つが供給する電流を制御する電子部品が実装された制御基板と、を備え、前記ヒートシンクは、前記第1貫通孔に前記磁石が挿入された状態で前記電動モータの反負荷側に固定され、前記パワー基板及び前記制御基板が前記シャフトの軸方向に対して直交し、且つ、前記電動モータ側から前記パワー基板、前記制御基板の順に配置され、且つ、前記磁気センサが前記磁石の前記軸方向上に配置されるように前記パワー基板及び前記制御基板が前記ヒートシンクに保持され、前記パワー基板の少なくとも一部と前記ヒートシンクとが放熱材を介して接触し、前記ヒートシンクは、前記放熱材が前記第1貫通孔へ侵入することを抑制する溝部を備える。
これによれば、パワー基板の熱を効率よくヒートシンクに放熱できる。また、放熱材が第1貫通孔へ侵入することを抑制することができる。その結果、放熱材が、磁気センサ又は磁気センサに対応する磁石に付着しにくくなる。このため、磁気センサの誤動作が抑制される。そして、磁気センサの周囲は、第1貫通孔で囲まれるので、磁気センサに対する、第1コイル配線又は第2コイル配線の磁界の影響を抑制できる。したがって、磁気センサの検出精度を向上できる。また、組立の作業効率が向上する。そして、パワー基板と制御基板とを軸方向に並べて配置できる。したがって、電動駆動装置は、軸方向の厚みを抑制できる。その結果、電動駆動装置を小型化できる。
望ましい態様として、前記ヒートシンクの溝部が前記第1貫通孔の周りを囲んでいる。
これによれば、放熱材の塗布量が多めであっても、磁気センサが誤動作する可能性が小さいので、パワー基板の熱を効率よくヒートシンクに放熱できる。
望ましい態様として、前記軸方向に見て、前記第1インバータ回路と、前記第2インバータ回路とは前記パワー基板の前記第1実装面に間隔をあけて配置され、前記軸方向に見て、前記間隔と前記第2実装面側の前記第1貫通孔が重なるように、前記パワー基板がヒートシンクに保持されている。
第1インバータ回路及び第2インバータ回路が実装された第1実装面の部分の裏面は、ヒートシンクと放熱材を介して接触できる。したがって、第1インバータ回路及び第2インバータ回路で発生した熱をヒートシンクへ放熱できる効率が高まる。また、第1インバータ回路で発生する熱と、第2インバータ回路で発生する熱をパワー基板上で分散させることができる。これにより、樹脂基板で生じやすい、熱の不平衡により発生するパワー基板の反りを抑制することができる。
望ましい態様として、前記軸方向と平行な方向に前記ヒートシンクを貫通する第2貫通孔に挿入される第1絶縁部材と、前記軸方向と平行な方向に前記ヒートシンクを貫通する第3貫通孔に挿入される第2絶縁部材と、前記第1コイルグループと接続された複数の第1コイル配線と、前記第2コイルグループと接続された複数の第2コイル配線と、を備え、複数の前記第1コイル配線は、前記第1絶縁部材を貫通して前記パワー基板と接続され、複数の前記第2コイル配線は、前記第2絶縁部材を貫通して前記パワー基板と接続されている。
これによれば、第1コイル配線又は第2コイル配線が突出する方向及び位置を固定できる。さらに、第1コイル配線又は第2コイル配線とヒートシンクとが接触して短絡することを防ぐことができる。
望ましい態様として、前記パワー基板の前記第2実装面に実装された少なくとも一つの電子部品を備え、前記ヒートシンクは、前記電子部品を収容可能な凹部を備える。
これによれば、パワー基板の電動モータ側の実装面に電子部品を配置した場合でも、ヒートシンクの内部に電子部品を収容できる。さらに、電子部品をヒートシンクの内部に収容することで、電子部品の放熱を促進することができる。したがって、電子部品の寿命を向上させることができる。その結果、電動駆動装置は、軸方向の厚みを抑制しつつ、電子部品の寿命を向上させることができる。
望ましい態様として、前記凹部に挿入される前記第2実装面に実装された電子部品と、前記凹部の底部との間には、放熱材が介在している。
これによれば、凹部に挿入される第2実装面に実装された電子部品の熱を効率よくヒートシンクに放熱できる。
一態様に係る電動パワーステアリング装置は、上述した電動駆動装置を備え、前記電動駆動装置が補助操舵トルクを生じさせる。
本発明によれば、インバータ回路の放熱性を確保しつつ、磁気センサの誤動作を抑制できる電動駆動装置、及び電動パワーステアリング装置を提供することができる。
図1は、本実施形態の電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。 図2は、本実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。 図3は、本実施形態のECUの配置例を示す模式図である。 図4は、本実施形態の電動モータの断面を模式的に示す断面図である。 図5は、本実施形態の電動モータの配線を示す模式図である。 図6は、本実施形態の電動モータとECUとの関係を示す模式図である。 図7は、本実施形態のECUの分解斜視図である。 図8Aは、本実施形態の基板組立体の正面図である。 図8Bは、本実施形態の基板組立体の左側面図である。 図8Cは、本実施形態の基板組立体の右側面図である。 図8Dは、本実施形態の基板組立体の平面図である。 図8Eは、本実施形態の基板組立体の底面図である。 図8Fは、本実施形態の基板組立体の背面図である。 図8Gは、本実施形態の基板組立体の部分断面図である。 図9は、本実施形態の基板組立体の分解斜視図である。 図10は、本実施形態のパワー基板の平面図である。 図11Aは、本実施形態のヒートシンクの正面図である。 図11Bは、本実施形態のヒートシンクの左側面図である。 図11Cは、本実施形態のヒートシンクの右側面図である。 図11Dは、本実施形態のヒートシンクの平面図である。 図11Eは、本実施形態のヒートシンクの底面図である。 図11Fは、本実施形態のヒートシンクの背面図である。 図12は、本実施形態のシャフト、磁石、回転角度センサの位置関係を説明するための説明図である。 図13は、本実施形態のモータ接続端子片とコイル配線との接続を説明するための説明図である。 図14は、本実施形態のコネクタの固定について説明するための説明図である。 図15は、本実施形態のコネクタの密閉構造を説明するための説明図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(電動パワーステアリング装置)
図1は、本実施形態の電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。図2は、本実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。図1に示すように、車両101は、電動パワーステアリング装置100を搭載している。図2を参照して電動パワーステアリング装置100の概要を説明する。
電動パワーステアリング装置100は、運転者(操作者)から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール91と、ステアリングシャフト92と、ユニバーサルジョイント96と、インターミディエイトシャフト97と、ユニバーサルジョイント98と、第1ラックアンドピニオン機構99と、タイロッド72と、を備える。また、電動パワーステアリング装置100は、ステアリングシャフト92の操舵トルクを検出するトルクセンサ94と、電動モータ30と、電動モータ30を制御する電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)という。)10と、減速装置75と、第2ラックアンドピニオン機構70と、を備える。車速センサ82、電源装置83(例えば車載のバッテリ)、及びイグニッションスイッチ84は、車体に備えられる。車速センサ82は、車両101の走行速度を検出する。車速センサ82は、検出した車速信号SVをCAN(Controller Area Network)通信によりECU10に出力する。ECU10には、イグニッションスイッチ84がオンの状態で電源装置83から電力が供給される。
電動駆動装置1は、電動モータ30と、電動モータ30のシャフト31の反負荷側に固定されたECU10と、を備える。
図2に示すように、ステアリングシャフト92は、入力軸92Aと、出力軸92Bと、トーションバー92Cと、を備える。入力軸92Aは、一方の端部がステアリングホイール91に接続され、他方の端部がトーションバー92Cに接続される。出力軸92Bは、一方の端部がトーションバー92Cに接続され、他方の端部がユニバーサルジョイント96に接続される。なお、トルクセンサ94は、トーションバー92Cのねじれを検出することで、ステアリングシャフト92に加わる操舵トルクを検出する。トルクセンサ94は、検出した操舵トルクに応じた操舵トルク信号TをCAN通信によりECU10に出力する。ステアリングシャフト92は、ステアリングホイール91に付与された操舵力により回転する。
インターミディエイトシャフト97は、アッパーシャフト97Aと、ロアシャフト97Bとを有し、出力軸92Bのトルクを伝達する。アッパーシャフト97Aは、ユニバーサルジョイント96を介して出力軸92Bに接続される。一方、ロアシャフト97Bは、ユニバーサルジョイント98を介して第1ラックアンドピニオン機構99の第1ピニオンシャフト99Aに接続される。アッパーシャフト97Aとロアシャフト97Bとは、例えば、スプライン結合されている。
第1ラックアンドピニオン機構99は、第1ピニオンシャフト99Aと、第1ピニオンギヤ99Bと、ラックシャフト99Cと、第1ラック99Dと、を有する。第1ピニオンシャフト99Aは、一方の端部がユニバーサルジョイント98を介してロアシャフト97Bに接続され、他方の端部が第1ピニオンギヤ99Bに接続される。ラックシャフト99Cに形成された第1ラック99Dは、第1ピニオンギヤ99Bと噛み合う。ステアリングシャフト92の回転運動は、インターミディエイトシャフト97を介して第1ラックアンドピニオン機構99に伝達される。この回転運動は、第1ラックアンドピニオン機構99によりラックシャフト99Cの直線運動に変換される。タイロッド72は、ラックシャフト99Cの両端にそれぞれ接続される。
電動モータ30は、運転者の操舵をアシストするための補助操舵トルクを発生させるモータである。電動モータ30は、ブラシレスモータでもよいし、ブラシ及びコンミテータを有するブラシモータでも良い。
ECU10は、回転角度センサ23aを備える。回転角度センサ23aは、電動モータ30の回転位相を検出する。ECU10は、回転角度センサ23aから電動モータ30の回転位相信号を取得し、トルクセンサ94から操舵トルク信号Tを取得し、車速センサ82から車両の車速信号SVを取得する。ECU10は、回転位相信号と操舵トルク信号Tと車速信号SVとに基づいて、アシスト指令の補助操舵指令値を算出する。ECU10は、算出された補助操舵指令値に基づいて、電流を電動モータ30に供給する。
減速装置75は、電動モータ30のシャフト31と一体に回転するウォームシャフト75Aと、ウォームシャフト75Aと噛み合うウォームホイール75Bと、を備える。したがって、シャフト31の回転運動は、ウォームシャフト75Aを介してウォームホイール75Bに伝達される。なお、本実施形態において、シャフト31の減速装置75側を負荷側端部といい、シャフト31の減速装置75とは反対側を反負荷側端部という。
第2ラックアンドピニオン機構70は、第2ピニオンシャフト71Aと、第2ピニオンギヤ71Bと、第2ラック71Cと、を有する。第2ピニオンシャフト71Aは、一方の端部がウォームホイール75Bと同軸、且つ一体に回転するように固定される。第2ピニオンシャフト71Aは、他方の端部が第2ピニオンギヤ71Bに接続される。ラックシャフト99Cに形成された第2ラック71Cは、第2ピニオンギヤ71Bと噛み合う。電動モータ30の回転運動は、減速装置75を介して第2ラックアンドピニオン機構70に伝達される。この回転運動は、第2ラックアンドピニオン機構70によりラックシャフト99Cの直線運動に変換される。
ステアリングホイール91に入力された運転者の操舵力は、ステアリングシャフト92、及びインターミディエイトシャフト97を介して、第1ラックアンドピニオン機構99に伝達される。第1ラックアンドピニオン機構99は、伝達された操舵力をラックシャフト99Cの軸方向に加わる力としてラックシャフト99Cに伝達する。この際、ECU10は、ステアリングシャフト92に入力された操舵トルク信号Tをトルクセンサ94から取得する。ECU10は、車速信号SVを車速センサ82から取得する。ECU10は、電動モータ30の回転位相信号を回転角度センサ23aから取得する。そして、ECU10は、制御信号を出力して電動モータ30の動作を制御する。電動モータ30が作り出した補助操舵トルクは、減速装置75を介して第2ラックアンドピニオン機構70に伝達される。第2ラックアンドピニオン機構70は、補助操舵トルクをラックシャフト99Cの軸方向に加わる力としてラックシャフト99Cに伝達する。このようにして、運転者のステアリングホイール91の操舵が電動パワーステアリング装置100によりアシストされる。
図3は、本実施形態のECUの配置例を示す模式図である。図3に示すように、ECU10及び電動モータ30を備える電動駆動装置1は、第1ラックアンドピニオン機構99及び第2ラックアンドピニオン機構70近傍に配置されている。このように、電動パワーステアリング装置100は、第2ラックアンドピニオン機構70にアシスト力が付与されるラックアシスト方式であるがこれに限定されない。電動パワーステアリング装置100は、例えば、ステアリングシャフト92にアシスト力が付与されるコラムアシスト方式、及び第1ピニオンギヤ99Bにアシスト力が付与されるピニオンアシスト方式でもよい。
図4は、本実施形態の電動モータの断面を模式的に示す断面図である。図5は、本実施形態の電動モータの配線を示す模式図である。電動モータ30は、図4に示すように、ハウジング930と、ステータコア931を有するステータと、ロータ932と、を備える。ステータは、円筒状であるステータコア931と、複数の第1コイル37と、複数の第2コイル38を含む。ステータコア931は、環状のバックヨーク931aと、バックヨーク931aの内周面から突出する複数のティース931bと、を備える。ティース931bは、周方向に12個配置されている。ロータ932は、ロータヨーク932aと、マグネット932bとを含む。マグネット932bは、ロータヨーク932aの外周面に設けられている。マグネット932bの数は、例えば8つである。
図4に示すように、第1コイル37は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第1コイル37は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。全ての第1コイル37は、第1コイル系統に含まれる。本実施形態の第1コイル系統は、パワー基板25の第1回路部256Aのインバータ回路251(図6参照)によって、電流が供給され、励磁される。第1コイル系統は、例えば第1コイル37を6つ含む。6つの第1コイル37は、2つの第1コイル37が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第1コイル37を1つのグループとした第1コイルグループGr1が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第1コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第1コイルグループGr1を備えている。なお、第1コイルグループGr1は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。
図4に示すように、第2コイル38は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第2コイル38は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。第2コイル38が集中巻きされるティース931bは、第1コイル37が集中巻きされるティース931bとは異なるティース931bである。全ての第2コイル38は、第2コイル系統に含まれる。第2コイル系統は、パワー基板25の第2回路部256Bのインバータ回路251(図6参照)によって電流が供給され、励磁される。第2コイル系統は、例えば第2コイル38を6つ含む。6つの第2コイル38は、2つの第2コイル38が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第2コイル38を1つのグループとした第2コイルグループGr2が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第2コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第2コイルグループGr2を備えている。なお、第2コイルグループGr2は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。
図5に示すように、6つの第1コイル37は、第1U相電流I1uにより励磁される2つの第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ubと、第1V相電流I1vにより励磁される2つの第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbと、第1W相電流I1wにより励磁される2つの第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbと、を含む。第1U相コイル37Ubは、第1U相コイル37Uaに対して直列に接続されている。第1V相コイル37Vbは、第1V相コイル37Vaに対して直列に接続されている。第1W相コイル37Wbは、第1W相コイル37Waに対して直列に接続されている。第1コイル37のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向である。また、第1U相コイル37Ub、第1V相コイル37Vb及び第1W相コイル37Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
図5に示すように、6つの第2コイル38は、第2U相電流I2uにより励磁される2つの第2U相コイル38Ua及び第2U相コイル38Ubと、第2V相電流I2vにより励磁される2つの第2V相コイル38Va及び第2V相コイル38Vbと、第2W相電流I2wにより励磁される2つの第2W相コイル38Wa及び第2W相コイル38Wbと、を含む。第2U相コイル38Ubは、第2U相コイル38Uaに対して直列に接続されている。第2V相コイル38Vbは、第2V相コイル38Vaに対して直列に接続されている。第2W相コイル38Wbは、第2W相コイル38Waに対して直列に接続されている。第2コイル38のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向であり、第1コイル37の巻き方向と同じである。また、第2U相コイル38Ub、第2V相コイル38Vb及び第2W相コイル38Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
図4に示すように、3つの第1コイルグループGr1は、第1UVコイルグループGr1UVと、第1VWコイルグループGr1VWと、第1UWコイルグループGr1UWと、からなる。第1UVコイルグループGr1UVは、周方向で互いに隣接する第1U相コイル37Ub及び第1V相コイル37Vaを含む。第1VWコイルグループGr1VWは、周方向で互いに隣接する第1V相コイル37Vb及び第1W相コイル37Waを含む。第1UWコイルグループGr1UWは、周方向で互いに隣接する第1U相コイル37Ua及び第1W相コイル37Wbを含む。
図4に示すように、3つの第2コイルグループGr2は、第2UVコイルグループGr2UVと、第2VWコイルグループGr2VWと、第2UWコイルグループGr2UWと、からなる。第2UVコイルグループGr2UVは、周方向で互いに隣接する第2U相コイル38Ub及び第2V相コイル38Vaを含む。第2VWコイルグループGr2VWは、周方向で互いに隣接する第2V相コイル38Vb及び第2W相コイル38Waを含む。第2UWコイルグループGr2UWは、周方向で互いに隣接する第2U相コイル38Ua及び第2W相コイル38Wbを含む。
第1U相電流I1uにより励磁される第1コイル37は、第2U相電流I2uにより励磁される第2コイル38に、ステータコア931の径方向で対向している。以下の説明において、ステータコア931の径方向は、単に径方向と記載される。例えば、図4に示すように、径方向で第1U相コイル37Uaが第2U相コイル38Uaに対向し、第1U相コイル37Ubが第2U相コイル38Ubに対向している。
第1V相電流I1vにより励磁される第1コイル37は、第2V相電流I2vにより励磁される第2コイル38に、径方向で対向している。例えば、図4に示すように、径方向で第1V相コイル37Vaが第2V相コイル38Vaに対向し、第1V相コイル37Vbが第2V相コイル38Vbに対向している。
第1W相電流I1wにより励磁される第1コイル37は、第2W相電流I2wにより励磁される第2コイル38に、径方向で対向している。例えば、図4に示すように、径方向で第1W相コイル37Waが第2W相コイル38Waに対向し、第1W相コイル37Wbが第2W相コイル38Wbに対向している。
図6は、本実施形態の電動モータとECUとの関係を示す模式図である。図6に示すように、ECU10は、制御演算部241と、モータ回転数演算部22と、回転角度センサ23aと、ゲート駆動回路242と、遮断駆動回路243と、第1回路部256Aと、第2回路部256Bと、を備えている。
制御演算部241は、モータ電流指令値を演算する。モータ回転数演算部22は、モータ電気角θを演算し、制御演算部241に出力する。ゲート駆動回路242及びゲート駆動回路242には、制御演算部241から出力されるモータ電流指令値が入力される。ゲート駆動回路242は、モータ電流指令値に基づいて、第1回路部256A及び第2回路部256Bを制御する。
ECU10は、図6に示すように、回転角度センサ23aを備えている。回転角度センサ23aは、例えば、磁気センサである。回転角度センサ23aの検出値がモータ回転数演算部22に供給される。モータ回転数演算部22は、回転角度センサ23aの検出値に基づいてモータ電気角θを演算し、制御演算部241に出力する。
制御演算部241には、トルクセンサ94で検出された操舵トルク信号Tと、車速センサ82で検出された車速信号SVと、モータ回転数演算部22から出力されるモータ電気角θと、が入力される。制御演算部241は、操舵トルク信号T、車速信号SV及びモータ電気角θに基づいて電流指令値を算出し、ゲート駆動回路242に出力する。
ゲート駆動回路242は、電流指令値に基づいて第1パルス幅変調信号を演算し、第1回路部256Aのインバータ回路251に出力する。インバータ回路251は、第1パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるようにスイッチング素子252をスイッチングして第1U相電流I1u、第1V相電流I1v及び第1W相電流I1wを含む3相交流を生成する。第1U相電流I1uが第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ubを励磁し、第1V相電流I1vが第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbを励磁し、第1W相電流I1wが第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbを励磁する。
ゲート駆動回路242は、電流指令値に基づいて第2パルス幅変調信号を演算し、第2回路部256Bのインバータ回路251に出力する。インバータ回路251は、第2パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるようにスイッチング素子252をスイッチングして第2U相電流I2u、第2V相電流I2v及び第2W相電流I2wを含む3相交流を生成する。第2U相電流I2uが第2U相コイル38Ua及び第2U相コイル38Ubを励磁し、第2V相電流I2vが第2V相コイル38Va及び第2V相コイル38Vbを励磁し、第2W相電流I2wが第2W相コイル38Wa及び第2W相コイル38Wbを励磁する。
インバータ回路251は、直流電力を交流電力に変換する電力変換回路である。図6に示すように、インバータ回路251は、複数のスイッチング素子252を有している。スイッチング素子252は、例えば、電界効果トランジスタである。インバータ回路251には、平滑用コンデンサ253が並列に接続される。平滑用コンデンサ253は、例えば、電解コンデンサである。
図6に示すように、インバータ回路251は、電流値を検出するための電流検出回路254を備える。電流検出回路254は、例えば、シャント抵抗を備える。電流検出回路254で検知した電流値は、制御演算部241に送出される。なお、電流検出回路254は、電動モータ30の各相の電流値を検出するように接続してもよい。
電流遮断回路255は、インバータ回路251と、第1コイル37又は第2コイル38との間に配置されている。電流検出回路254で検知した電流値が異常と判断される場合は、制御演算部241は、遮断駆動回路243を介して電流遮断回路255を駆動し、インバータ回路251から第1コイル37へ流れる電流を遮断できる。また、制御演算部241は、遮断駆動回路243を介して電流遮断回路255を駆動し、インバータ回路251から第2コイル38へ流れる電流を遮断できる。このように、第1コイル37へ流れる電流と、第2コイル38へ流れる電流とは、制御演算部241にそれぞれ独立して制御される。
制御演算部241には、操舵トルク信号T、車速信号SVといった制御基板24への入出力信号を伝送する信号伝送配線がコネクタCNTを介して入力される。パワー基板25には、コネクタCNTを介して電源装置83から電力を伝送する電力配線PWが接続される。
図7は、本実施形態のECUの分解斜視図である。図8Aは、本実施形態の基板組立体の正面図である。図8Bは、本実施形態の基板組立体の左側面図である。図8Cは、本実施形態の基板組立体の右側面図である。図8Dは、本実施形態の基板組立体の平面図である。図8Eは、本実施形態の基板組立体の底面図である。図8Fは、本実施形態の基板組立体の背面図である。図8Gは、本実施形態の基板組立体の部分断面図である。図9は、本実施形態の基板組立体の分解斜視図である。図8Gは、図9のVIIIG−VIIIGの矢印方向にみた断面矢視図である。図10は、本実施形態のパワー基板の平面図である。なお、本実施形態においては、電動モータ30の反負荷側には、リヤブラケット33が配置されている。ECU10は、リヤブラケット33を介して電動モータ30に固定される。
図7に示すように、ECU10は、基板組立体200と、カバー210とを備える。カバー210は、金属製又は樹脂製である。図9に示すように、基板組立体200は、制御基板24と、パワー基板25と、基板間コネクタ257と、ヒートシンク40と、コネクタCNTと、を備える。
パワー基板25及び制御基板24は、樹脂等で形成されたプリント基板である。パワー基板25は、放熱性の高いアルミニウム、銅などの金属板の上に、樹脂層を積層し、樹脂層内に回路を形成した金属基板としてもよい。パワー基板25が金属基板である場合、ヒートシンク40への熱の伝導率が向上する。
図9に示すように、制御基板24は、図6に示す制御演算部241、ゲート駆動回路242及び遮断駆動回路243を構成する電子部品245を備える。また、制御基板24は、ヒートシンク固定孔246と、コネクタ固定孔247と、基板間コネクタ固定孔248と、を備える。
図10に示すように、パワー基板25は、第1回路部256Aと、第2回路部256Bと、を備える。第1回路部256A及び第2回路部256Bは、図6に示すインバータ回路251、電流検出回路254及び電流遮断回路255によって構成される。また、パワー基板25は、電源端子片271、272と、モータ接続端子片261A、262A、263A、261B、262B、263Bと、を備える。また、パワー基板25は、コイル配線貫通孔260と、基板間コネクタ固定孔258と、平滑用コンデンサ253と、ヒートシンク固定孔259、259Aと、回転角度センサ23aと、を備える。パワー基板25は、両面実装可能な樹脂基板である。
図9及び図10に示すように、電源端子片271、272は、パワー基板25の第1実装面25aに対して立設している。電源端子片271、272は、銅又はアルミニウムなどの良導体の板材である。
モータ接続端子片261A、262A、263A、261B、262B、263Bは、パワー基板25の第1実装面25aに対して立設している。モータ接続端子片261A、262A、263A、261B、262B、263Bは、銅又はアルミニウムなどの良導体の板材である。
基板間コネクタ257は、制御基板24とパワー基板25とを電気的に接続するコネクタである。基板間コネクタ257は、例えば、制御基板24及びパワー基板25と固定ピンによって固定される。具体的には、基板間コネクタ257は、基板間コネクタ257の固定フックが制御基板24の基板間コネクタ固定孔248に挿入されることで固定される。また、基板間コネクタ257は、基板間コネクタ257の固定フックがパワー基板25の基板間コネクタ固定孔258に挿入されることで固定される。制御基板24のゲート駆動回路242及び遮断駆動回路243は、基板間コネクタ257を介してスイッチング素子252を制御する。
コイル配線貫通孔260は、パワー基板25を軸方向Axに貫通する孔である。図8Eに示すように、回転角度センサ23aは、パワー基板25の電動モータ30側の第2実装面25bに実装されている。図8G及び図9に示すように、平滑用コンデンサ253は、パワー基板25の電動モータ30側の第2実装面25bに実装されている。ヒートシンク固定孔259、259Aは、パワー基板25を軸方向Axに貫通する孔である。図10に示すように、ヒートシンク固定孔259は、平面視で円形の孔である。また、ヒートシンク固定孔259Aは、平面視で楕円形の孔である。
図9に示すように、コネクタCNTは、電源端子Tdc、Tgndと、ボス50と、固定フック52と、を備える。電源端子Tdcは、電源装置83の電源電圧Vdcを供給する金属製端子である。電源端子Tgndは、電源装置83の負電源電圧(例えば、グランドなどの基準電圧)を供給する金属製端子である。
電源端子Tdcは、パワー基板25の電源端子片272(図8A参照)に押し当てられ、抵抗溶接又はレーザ溶接されている。これにより、電源端子Tdcの1つの面と、パワー基板25の電源端子片272の1つの面とが面接触している。
電源端子Tgndは、パワー基板25の電源端子片271(図8A参照)に押し当てられ、抵抗溶接又はレーザ溶接されている。これにより、電源端子Tgndの1つの面と、パワー基板25の電源端子片271の1つの面とが面接触している。
図9及び図8Dに示すように、ボス50は、コネクタCNTの四隅に形成された突起部である。ボス50は、略筒形状であり、軸方向Axに向かって貫通している。
図9に示すように、固定フック52は、コネクタCNTの四隅に形成された突起部である。固定フック52は、制御基板24に向かって突出している。固定フック52の先端には、制御基板24のコネクタ固定孔247よりも径が大きい係合部52Hが形成されている。図8A、図8B、図8C、及び図8Fに示すように、コネクタCNTは、固定フック52がコネクタ固定孔247に挿入され、係合部52Hがコネクタ固定孔247に係合することで固定される。
図11Aは、本実施形態のヒートシンクの正面図である。図11Bは、本実施形態のヒートシンクの左側面図である。図11Cは、本実施形態のヒートシンクの右側面図である。図11Dは、本実施形態のヒートシンクの平面図である。図11Eは、本実施形態のヒートシンクの底面図である。図11Fは、本実施形態のヒートシンクの背面図である。
図9及び図11Aから図11Fに示すように、ヒートシンク40は、第1貫通孔41と、第2貫通孔42Aと、第3貫通孔42Bと、凹部43と、締結孔43Hと、ボス44と、溝部45と、電子部品収容部46と、パワー基板固定孔47と、を備える。ヒートシンク40は、例えば、ダイキャストによって一体に形成される。ヒートシンク40は、例えば、材料がアルミニウムである。
図9、図11D、及び図11Eに示すように、第1貫通孔41、第2貫通孔42A、及び第3貫通孔43Aは、ヒートシンク40を軸方向Axに向けて貫通する開口部である。図11D及び図11Eに示すように、第1貫通孔41は、軸方向Axから見て、円形の開口部である。第1貫通孔41の直径は、磁石32の直径よりも大きい。第2貫通孔42A及び第3貫通孔42Bは、軸方向Axから見て、矩形の開口部である。
図9、図11Aから図11D、及び図11Fに示すように、ヒートシンク40には、軸方向Axに、ざぐり加工により形成された凹部43が4つ設けられている。凹部43の軸方向Axには、締結孔43Hがある。図7及び図11Eを参照して説明すると、締結孔43Hと、リヤブラケット33の締結孔314とは、重なり合い、ボルトが挿通することで、ヒートシンク40と電動モータ30とは締結される。凹部43には、締結孔43Hに挿入されるボルトが配置される。これにより、ドライバーが凹部43に挿入可能になる。これにより、カバー210の容積を最大限利用できるようにして放熱効率を向上させても、電動モータ30にヒートシンク40を固定できるようになる。
図9に示すように、ボス44は、ヒートシンク40の四隅に形成された突起部である。ボス44は、内部が空洞である。ボス44の内部には、ねじが切られている。図8D及び図9を参照して説明すると、ボス44と制御基板24のヒートシンク固定孔246とボス50とは重なり合い、固定ネジ50Mが締結されることで、制御基板24及びコネクタCNTがヒートシンク40に固定される。
図9及び図11Dに示すように、溝部45は、ヒートシンク40の電動モータ30側とは反対側の接触面48に形成された溝である。接触面48には、放熱材(TIM;Thermal Interface Material)49が塗布されている。放熱材49は、例えば、放熱グリスとも呼ばれ、シリコーンポリマーなどの絶縁性基材に熱伝導性フィラーを混合した放熱材である。熱伝導性フィラーには、カーボン、銀ペーストなどが用いられる。接触面48は、放熱材49を介してパワー基板25と接する。溝部45は、第1貫通孔41の周りあり、例えば、環状に形成されている。溝部45は、第1貫通孔41の周りあれば、四角形でも六角形でもよく、第1貫通孔41を囲んでいればよい。これによれば、放熱材49が第1貫通孔41に侵入することを抑制することができる。
図9及び図11Dに示すように、電子部品収容部46は、ヒートシンク40の接触面48に形成された凹部である。電子部品収容部46には、図9に示す平滑用コンデンサ253が収容される。パワー基板固定孔47は、ねじ穴である。図9を参照して説明すると、パワー基板固定孔47とヒートシンク固定孔259、259Aとは重なり合い、固定ネジが締結されることで、パワー基板25がヒートシンク40に固定される。
図12は、本実施形態のシャフト、磁石、回転角度センサの位置関係を説明するための説明図である。図12及び図7に示すように、磁石32は、シャフト31の反負荷側端部に固定されている。磁石32は、周方向に見て交互に配置されたS極及びN極を外周面に有する。回転角度センサ23aが磁石32の軸方向Axの延長線上に配置されるように、ヒートシンク40がパワー基板25を保持される。磁石32と、回転角度センサ23aとは、軸方向Axにおいて、対向していることが望ましい。
回転角度センサ23aは、例えば、スピンバルブセンサである。スピンバルブセンサは、反強磁性層等で磁化の向きが固定された強磁性体のピン層と、強磁性体のフリー層とで非磁性層を挟んだ素子で、磁束の向きの変化を検出できるセンサである。スピンバルブセンサには、GMR(Giant Magneto Resistance)センサ、TMR(Tunnel Magneto Resistance)センサがある。なお、回転角度センサ23aは、磁石32の回転を検出可能なセンサであればよい。回転角度センサ23aは、例えば、AMR(Anisotropic Magneto Resistance)センサ、又はホールセンサでもよい。
図13は、本実施形態のモータ接続端子片とコイル配線との接続を説明するための説明図である。図7に示すように、電動モータ30には、反負荷側に突出するコイル配線321A、322A、323A、321B、322B、323Bがある。コイル配線321A、322A、323A、321B、322B、323Bは、銅線又はアルミニウム線であって、いわゆる板状の平角線である。図7に示すように、コイル配線321A、322A、323Aは、第1絶縁部材330Aを貫通する。コイル配線321B、322B、323Bは、第2絶縁部材330Bを貫通する。第1絶縁部材330A及び第2絶縁部材330Bは、絶縁体のガイド部材である。すなわち、図13に示すように、第1絶縁部材330Aは、コイル配線321A、322A、323Aがコイル配線貫通孔260に挿入されるようにガイドする部材である。第2絶縁部材330Bは、第1絶縁部材330A同様に、コイル配線321B、322B、323Bがコイル配線貫通孔260に挿入されるようにガイドする部材である。これにより、コイル配線321A、322A、323A、321B、322B、323Bが突出する方向及び位置を固定できる。さらに、コイル配線321A、322A、323A、321B、322B、323Bとヒートシンク40とが接触して短絡することを防ぐことができる。
図13に示すように、モータ接続端子片261A、262A、263Aの平面は、コイル配線321A、322A、323Aの平面と対向し、平面同士が接するように押し当てられ、抵抗溶接又はレーザ溶接されている。モータ接続端子片261B、262B、263Bの平面は、コイル配線321B、322B、323Bの平面と対向し、平面同士が接するように押し当てられ、抵抗溶接又はレーザ溶接されている。
図6及び図8Aに示すように、電源装置83の電源電圧Vdcは、電源端子Tdc、Tgndを介して、パワー基板25に供給されている。また、パワー基板25に供給された電源装置83の電源電圧が、上述した基板間コネクタ257を介して、制御基板24に供給されている。
上述したように、図3に示す電動駆動装置1は、第1ラックアンドピニオン機構99及び第2ラックアンドピニオン機構70近傍に配置されている。このため、ECU10と電動モータ30との内部に、水分、塵ができるだけ入らないように、ECU10と電動モータ30との接合部分は、封止部材を介して封止する。また、コネクタCNTと、カバー本体211との間も防水性及び防塵性を高めるため、密閉構造を有している。
図14は、本実施形態のコネクタの固定について説明するための説明図である。図15は、本実施形態のコネクタの密閉構造を説明するための説明図である。図7及び図14に示すように、カバー210は、円筒のカバー本体211の正面に、コネクタCNTを露出させる貫通孔212を有している。貫通孔212の内壁219は、図15に示すように、カバー210の内側(軸方向Axの電動モータ30側)に突出する突起部221を備えている。コネクタCNTの外径側には、張り出し底部233と、張り出し底部233の径方向外側をカバー210の外側(軸方向Axの電動モータ30とは反対側)に屈曲させた堰部232を備える。張り出し底部233と、堰部232と、コネクタCNT本体との間には、凹状の貯留部231ができ、貯留部231に、突起部221の端部が挿入されている。
貯留部231の封止材が充填されると、貯留部231と、突起部221との間が封止され、カバー本体211と、コネクタCNTとの間には、密閉構造ができあがる。封止材は、ガスケット、接着剤、ゴムなどの弾性部材のOリングであってもよい。
図7に示すように、カバー210には、カバー本体211の取り付け部に設けられた締結孔213を有している。電動モータ30は、カバー210を固定する締結孔313を備えている。カバー210と、電動モータ30とは、締結孔213と締結孔313とに挿通するボルトで固定される。カバー本体211の外径は、電動モータ30の外径とほぼ直径が同じである。これにより、電動駆動装置1は、外側の他の部品との干渉が抑制された状態で、取り付けることができる(図3参照)。
図7及び図14に示すように、カバー210は、多孔質材料で通気を保ちつつ、防水性及び防塵性を高める内部圧力調整部218を備える。ところで、温度上昇など外部環境に起因して、カバー本体211が囲む内部空間の内部圧力が変化することがある。この場合でも、内部空間が内部圧力調整部218を介して外部との間に通気されているので、カバー本体211が囲む内部空間の内部圧力の変化が時間経過とともに抑制される。その結果、カバー本体211の破損、カバー本体211と、電動モータ30との接合部分の損傷が抑制され、電動駆動装置1の耐久性が向上する。
以上説明したように、電動駆動装置1は、電動モータ30と、電動モータ30を駆動制御するために、シャフト31の反負荷側に設けられたECU10と、を備える。ECU10は、パワー基板25と、制御基板24と、ヒートシンク40と、を備える。ヒートシンク40は、電動モータ30の反負荷側に固定される。ヒートシンク40は、パワー基板25及び制御基板24が軸方向Axと直交するようにパワー基板25及び制御基板24を保持する。これによれば、パワー基板25と制御基板24とを軸方向Axに並べて配置できる。したがって、電動駆動装置1は、ECU10の軸方向Axの厚みを抑制できる。
また、ヒートシンク40は、パワー基板25の平滑用コンデンサ253を収容する電子部品収容部46を備える。平滑用コンデンサ253は、電子部品の1つである。これによれば、パワー基板25の電動モータ30側にある第2実装面25bに平滑用コンデンサ253を配置した場合でも、ヒートシンク40の内部に平滑用コンデンサ253を収容できる。さらに、平滑用コンデンサ253をヒートシンク40の内部に収容することで、平滑用コンデンサ253の放熱を促進することができる。したがって、平滑用コンデンサ253の寿命を向上させることができる。その結果、電動駆動装置1は、軸方向Ax方向の厚みを抑制しつつ、平滑用コンデンサ253の寿命を向上させることができる。なお、パワー基板25の第2実装面25bに平滑用コンデンサ253以外の電子部品を実装して電子部品収容部46に収容してもよい。
平滑コンデンサ253と電子部品収容部46の底部との間には、放熱材49が塗布されている。空気よりも熱伝導率が高い放熱材49が平滑コンデンサ253の端面及び電子部品収容部46の底部に接しているので、放熱材49がない場合に比較して、放熱効率が向上する。なお、放熱材49は、必ずしも平滑コンデンサ253の電子部品収容部46の底部側端面の全面に接していなくてもよい。放熱材49は、少なくとも平滑コンデンサ253の電子部品収容部46の底部側端面の一部に接していればよい。ただし、放熱材49は、少なくとも平滑コンデンサ253の電子部品収容部46の底部側端面の中央に接していることが好ましい。また、放熱材49は、平滑コンデンサ253の電子部品収容部46の底部側端面だけでなく、平滑コンデンサ253の外周面に接していてもよい。
ここで、インバータは、ノイズの発生原因となることが知られている。インバータは、スイッチング制御によって交流電流を生成する。そして、インバータが生成する交流電流は、制御回路に誘導電圧を誘起する恐れがある。そのため、例えば、インバータと負荷との間に制御回路を配置した場合には、制御回路へのノイズの影響が懸念される。
それに対し、電動駆動装置1は、ヒートシンク40が電動モータ30側からパワー基板25、制御基板24の順番となるように、パワー基板25及び制御基板24を保持する。したがって、第1回路部256A及び第2回路部256B変換された交流電流は、制御基板24の近傍を流れずに、直接電動モータ30に供給される。これによれば、インバータ回路251が制御基板24へ与えるノイズの影響を抑制することができる。
また、図10に示すように、電動駆動装置1は、第1回路部256A及び第2回路部256Bが第1貫通孔41、第2貫通孔42A、及び第3貫通孔42Bと軸方向Axにおいて重ならない。換言すれば、電動モータ30側からヒートシンク40を見た場合に、第1回路部256A及び第2回路部256Bがヒートシンク40に全て覆われる。つまり、第1回路部256A及び第2回路部256Bの裏面は、ヒートシンク40の接触面48と放熱材49を介して接触している。これによれば、第1回路部256A及び第2回路部256Bのインバータ回路251で発生した熱をヒートシンク40へ効果的に放熱できる。
図10に示すように、第1回路部256Aと第2回路部256Bとは、平面視で見て、間隔をあけて配置されている。第1回路部256Aと第2回路部256Bとの間隔は、第1実装面25aに電子部品のない空き区画となっている。そして、軸方向Axで見て、第1のインバータ回路251を備える第1回路部256Aと第に2のインバータ回路を備える第2回路部256Bとの間隔(上述した空き区画)と、第1貫通孔41とが重なるように、パワー基板25が、上述したヒートシンク40に保持される。このように、第1回路部256Aと第2回路部256Bとは、平面視で見て、第1貫通孔41を間に挟む位置に配置されている。これによれば、第1回路部256Aで発生する熱と、第2回路部256Bで発生する熱をパワー基板25上で分散させることができる。したがって、電動駆動装置1は、パワー基板25上で発生する熱を分散させることができる。これにより、樹脂基板で生じやすい、熱の不平衡により発生するパワー基板25の反りを抑制することができる。
電動駆動装置1は、平面視で、第1回路部256Aと第2回路部256Bとが軸方向Axに対して点対称に配置されていることがより好ましい。また、電動駆動装置1は、平面視で、第1回路部256Aと第2回路部256Bとが軸方向Axと交差する直線に対して線対称に配置されていることがより好ましい。これにより、パワー基板25で発生する熱をより均一に分散させることができる。
電動駆動装置1は、軸方向Axにおいて、電源端子片271、272がコネクタCNTの電源端子Tdc、Tgndと接触する位置で立設している。したがって、基板組立体200に、コネクタCNTが取り付けられることで、電源端子片271、272は、電力配線PWと接続することができる。また、電動駆動装置1は、モータ接続端子片261A、262A、263Aがコイル配線321A、322A、323Aと接触する位置で立設している。したがって、電動モータ30の反負荷側に基板組立体200を固定することで、容易に、モータ接続端子片261A、262A、263Aをコイル配線321A、322A、323Aと接続することができる。また、電動駆動装置1は、モータ接続端子片261B、262B、263Bがコイル配線321B、322B、323Bと接触する位置で立設している。これにより、電動モータ30の反負荷側に基板組立体200を固定することで、容易に、モータ接続端子片261B、262B、263Bをコイル配線321B、322B、323Bと接続できる。これにより、組立作業の効率が向上する。
また、電動パワーステアリング装置100は、電子制御装置(ECU10)と、電子制御装置(ECU10)に制御され補助操舵トルクを生じさせる電動モータ30と、を備える。これにより、電動パワーステアリング装置100は、組み立て作業の効率が向上する。
図7に示すように、電動モータ30の反負荷側に、基板組立体200を固定した後、基板組立体200の全体を覆うカバー210を電動モータ30の反負荷側に固定する。これにより、貫通孔212をコネクタCNTの一部が貫通し、上述したように、カバー本体211と、コネクタCNTとの間には、容易に密閉構造ができあがる。
図12に示すように、回転角度センサ23aは、ヒートシンク40の第1貫通孔41に挿入される。つまり、回転角度センサ23aは、軸方向Axのラジアル方向外側がヒートシンク40に覆われている。これにより、回転角度センサ23aに対するコイル配線321A、322A、323A、321B、322B、323Bの磁界の影響が抑制される。したがって、電動駆動装置1は、回転角度センサ23aへのノイズの影響を抑制できる。その結果、回転角度センサ23aの角度検出の精度を向上させることができる。
1 電動駆動装置
10 ECU
23a 回転角度センサ
24 制御基板
25 パワー基板
30 電動モータ
31 シャフト
32 磁石
37 第1コイル
38 第2コイル
40 ヒートシンク
41 第1貫通孔
42A 第2貫通孔
42B 第3貫通孔
46 電子部品収容部
100 電動パワーステアリング装置
101 車両
200 基板組立体
210 カバー
241 制御演算部
242 ゲート駆動回路
243 遮断駆動回路
251 インバータ回路
253 平滑用コンデンサ
256A 第1回路部
256B 第2回路部
261A、262A、263A、261B、262B、263B モータ接続端子片
271、272 電源端子片
321A、322A、323A、321B、322B、323B コイル配線
330A 第1絶縁部材
330B 第2絶縁部材
CNT コネクタ
Ax 軸方向
Gr1 第1コイルグループ
Gr2 第2コイルグループ
Tdc、Tgnd 電源端子

Claims (7)

  1. シャフトと、
    前記シャフトと連動するモータロータと、
    前記モータロータを回転させるステータコアを備えるモータステータと、3相毎に少なくとも2系統の第1コイルグループ及び第2コイルグループとに分けられ、且つ前記ステータコアを3相交流で励磁する複数のコイルグループと、を含む電動モータと、
    前記シャフトの反負荷側の端部に固定された磁石と、
    第1貫通孔を有するヒートシンクと、
    前記第1コイルグループへ電流を供給する第1インバータ回路、前記第2コイルグループへ電流を供給する第2インバータ回路が第1実装面に実装され、前記磁石の回転を検出する磁気センサが第2実装面に実装された樹脂基板であるパワー基板と、
    前記第1インバータ回路及び前記第2インバータ回路の少なくとも1つが供給する電流を制御する電子部品が実装された制御基板と、を備え、
    前記ヒートシンクは、前記第1貫通孔に前記磁石が挿入された状態で前記電動モータの反負荷側に固定され、
    前記パワー基板及び前記制御基板が前記シャフトの軸方向に対して直交し、且つ、前記電動モータ側から前記パワー基板、前記制御基板の順に配置され、且つ、前記磁気センサが前記磁石の前記軸方向上に配置されるように前記パワー基板及び前記制御基板が前記ヒートシンクに保持され、
    前記パワー基板の少なくとも一部と前記ヒートシンクとが放熱材を介して接触し、
    前記ヒートシンクは、前記放熱材が前記第1貫通孔へ侵入することを抑制する溝部を備える電動駆動装置。
  2. 前記ヒートシンクの溝部が前記第1貫通孔の周りを囲んでいる請求項1に記載の電動駆動装置。
  3. 前記軸方向に見て、前記第1インバータ回路と、前記第2インバータ回路とは前記パワー基板の前記第1実装面に間隔をあけて配置され、
    前記軸方向に見て、前記間隔と前記第2実装面側の前記第1貫通孔が重なるように、前記パワー基板がヒートシンクに保持されている請求項1又は2に記載の電動駆動装置。
  4. 前記軸方向と平行な方向に前記ヒートシンクを貫通する第2貫通孔に挿入される第1絶縁部材と、
    前記軸方向と平行な方向に前記ヒートシンクを貫通する第3貫通孔に挿入される第2絶縁部材と、
    前記第1コイルグループと接続された複数の第1コイル配線と、
    前記第2コイルグループと接続された複数の第2コイル配線と、を備え、
    複数の前記第1コイル配線は、前記第1絶縁部材を貫通して前記パワー基板と接続され、
    複数の前記第2コイル配線は、前記第2絶縁部材を貫通して前記パワー基板と接続されている請求項1から3のいずれか1項に記載の電動駆動装置。
  5. 前記パワー基板の前記第2実装面に実装された少なくとも一つの電子部品を備え、
    前記ヒートシンクは、前記電子部品を収容可能な凹部を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の電動駆動装置。
  6. 前記凹部に挿入される前記第2実装面に実装された電子部品と、前記凹部の底部との間には、放熱材が介在している請求項5に記載の電動駆動装置。
  7. 車両に補助操舵力を付与する請求項1から6のいずれか1項に記載の電動駆動装置を備える電動パワーステアリング装置。
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