JP6958467B2 - 車両用最終減速機 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用最終減速機にかかり、特に、ブリーザ室を有する車両用最終減速機の内部に貯留されるオイルの漏出抑制に関するものである。
底部にオイルが貯留されるハウジングと、ドライブピニオンギヤを有し、前記ハウジングに回転可能に支持され、動力源から駆動力が伝達されるドライブピニオンシャフトと、前記ハウジングの内部に回転可能に配置され、前記ドライブピニオンギヤと噛み合うリングギヤとを、備え、前記ドライブピニオンシャフトに伝達される駆動力を前記ドライブピニオンギヤおよび前記リングギヤを介して左右後輪に連結された一対の後輪車軸に配分して出力する車両用最終減速機が知られている。
例えば、特許文献1に記載のデファレンシャル装置がそれである。特許文献1のデファレンシャル装置(車両用最終減速機)にあっては、リングギヤおよびデファレンシャルケースによって掻き上げられたオイルがブリーザ室に侵入し、オイルがデファレンシャルケースの外部に漏出することを抑制するため、ハウジングの上方に、迷路構造のブリーザ室を形成することが記載されている。
特開2016−156434号公報
ところで、特許文献1において、車両用最終減速機の搭載上の制約から、最終減速機の上方にスペースがない場合には、ハウジングの上方に迷路構造のブリーザ室を形成することが困難となる。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ブリーザ室を有する車両用最終減速機において、複雑な構造のブリーザ室を形成することなくブリーザ室からのオイルの流出を抑制できる構造を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)底部にオイルが貯留されるハウジングと、ドライブピニオンギヤを有し、前記ハウジングに回転可能に支持され、動力源から駆動力が伝達されるドライブピニオンシャフトと、前記ハウジングの内部に回転可能に配置され、前記ドライブピニオンギヤと噛み合うリングギヤとを、備え、前記ドライブピニオンシャフトに伝達される駆動力を前記リングギヤを介して左右後輪に連結された一対の後輪車軸に配分して出力する車両用最終減速機であって、(b)前記ハウジングの内部を車両の前後方向において前後に仕切る中間壁と、車両の前後方向において後側に位置する後壁と、前記後壁から前記中間壁の下側に向けて伸びる底壁と、互いに対向するようにして前記中間壁、前記後壁、および前記底壁に連結される一対の側壁と、仕切壁とが、設けられ、(c)前記中間壁、前記後壁、前記底壁、および前記一対の側壁によってブリーザ室が形成されるとともに、前記仕切壁によって前記ブリーザ室が、車両の前後方向において前記リングギヤの回転軸心よりも後側に位置する副ブリーザ室と、該副ブリーザ室よりも上側に位置する主ブリーザ室とに、区分けされており、(d)前記副ブリーザ室は、該副ブリーザ室の上部において前記中間壁に形成された第1孔を介して前記ハウジングの内部における前記ブリーザ室の外部空間に連通されるとともに、前記中間壁と前記底壁との間に形成された開口を介して前記ハウジングの内部における前記ブリーザ室の外部空間に連通され、(e)前記主ブリーザ室は、前記ハウジングの外部に連通されるとともに、前記仕切壁に形成された第2孔を介して前記副ブリーザ室に連通され、(f)前記底壁は、該底壁の先端が、車両の前後方向において前記開口よりも前側に位置するように前記後壁から延出されていることを特徴とする。
また、第2発明の要旨とするところは、第1発明の車両用最終減速機において、前記第1孔は、前記後輪車軸の軸方向において、前記仕切壁に形成された前記第2孔に対して所定値だけ離れた位置に形成されていることを特徴とする。
また、第3発明の要旨とするところは、第1発明または第2発明の車両用最終減速機において、(a)前記第1孔は、前記リングギヤの非回転時において、前記ハウジングの底部に貯留されるオイルの油面よりも上側の位置に形成され、(b)前記開口は、前記リングギヤの非回転時において、前記ハウジングの底部に貯留されるオイルの油面よりも下側の位置に形成されていることを特徴とする。
また、第4発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明の何れか1に記載の車両用最終減速機において、前記中間壁、前記後壁、前記底壁、前記一対の側壁の一方、および前記仕切壁は、前記ハウジングとともに一体成形されていることを特徴とする。
第1発明の車両用最終減速機によれば、ハウジングの内部の空気は、副ブリーザ室を介して主ブリーザ室に移動する。ここで、ハウジングの内部の空気は、オイルとともに副ブリーザ室に流入するが、副ブリーザ室内において気液分離がなされる。また、リングギヤによって掻き上げられたオイルは、開口を通って副ブリーザ室に入り込もうとするが、底壁によってオイルの副ブリーザ室への入り込みが抑えられる。これにより、オイルが主ブリーザ室に侵入し、オイルがハウジングの外部に漏出することを抑制することができる。
また、第2発明の車両用最終減速機によれば、第1孔は、後輪車軸の軸方向において、仕切壁に形成された第2孔に対して所定値だけ離れた位置に形成されているため、第1孔から副ブリーザ室内に入り込んだオイルを含む空気が第2孔に到達するまでの間に気液分離され、オイルが主ブリーザ室に侵入してハウジングの外部に漏出することが抑制される。
また、第3発明の車両用最終減速機によれば、開口は、リングギヤの非回転時においてオイルの油面よりも下側の位置に形成されているため、リングギヤの非回転時にあっては、開口を介したハウジングの内部におけるブリーザ室の外部空間と副ブリーザ室との連通が遮断される。これに対して、第1孔が、リングギヤの非回転時において、オイルの油面よりも上側の位置に形成されていることから、ハウジングの内部におけるブリーザ室の外部空間と副ブリーザ室とが、第1孔を介して連通される。従って、リングギヤの非回転時であっても、ハウジングの内部の空気をハウジングの外部に排出することができる。
また、開口は、リングギヤの非回転時においてオイルの油面よりも下側の位置に形成されていることから、開口と主ブリーザ室との間の距離が長くなる。ここで、リングギヤの回転時にあっては、オイルの油面が低くなり、オイルを含む空気が開口を通って副ブリーザ室に流入する。このとき、開口と主ブリーザ室との間の距離が長くされているため、オイルを含む空気が副ブリーザ室内で気液分離され、オイルの主ブリーザ室内への侵入を抑制することができる。
また、第4発明の車両用最終減速機によれば、中間壁、後壁、底壁、側壁の一方は、ハウジングとともに一体成形されていることから、これらの壁を形成するにあたって製造工程の増加が抑制される。
本発明が好適に適用された4輪駆動車両の構成を概略的に説明する骨子図である。 図1の後輪用駆動力配分ユニットの断面図である。 図2の後輪用駆動力配分ユニットのハウジングの構造を説明する図である。 図3のハウジングを左下側からみたときの斜視図である。 一対の側壁の一方として機能する側壁の形状を説明する図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用された4輪駆動車両10の構成を概略的に説明する骨子図である。図1において、4輪駆動車両10は、エンジン12を動力源とし、エンジン12の動力を主駆動輪に対応する左右前輪14L、14R(特に区別しない場合には、前輪14という)に伝達する第1の動力伝達経路と、エンジン12の動力を副駆動輪に対応する左右後輪16L、16R(特に区別しない場合には、後輪16という)に伝達する第2の動力伝達経路とを有するFFベースの4輪駆動用動力伝達装置17(以下、動力伝達装置17という)を備えている。動力伝達装置17は、エンジン12の動力を左右前輪14へ出力するとともに、エンジン12の動力の一部をプロペラシャフト28を介して左右後輪16に出力することができる。
動力伝達装置17は、自動変速機18と、エンジン12の動力を左右前輪14へ伝達する前輪用駆動力配分ユニット20と、プロペラシャフト28からの動力を左右後輪16に分配する後輪用駆動力配分ユニット34とを含んで構成されている。動力伝達装置17の2輪駆動状態では、第1の動力伝達経路が動力伝達可能となり、エンジン12から自動変速機18を介して伝達された動力が、前輪用駆動力配分ユニット20および左右前輪車軸22L、22Rを通して左右前輪14L、14Rへ伝達される。また、2輪駆動状態では、第2の動力伝達経路が遮断され、プロペラシャフト28および後輪用駆動力配分ユニット34には動力が伝達されない。動力伝達装置17が4輪駆動状態では、第1の動力伝達経路および第2の動力伝達経路が動力伝達可能となり、上記2輪駆動状態に加えて、エンジン12の動力の一部が、プロペラシャフト28および後輪用駆動力配分ユニット34を介して左右後輪16L、16Rに伝達される。なお、図1では図示されていないが、エンジン12と自動変速機18との間には、流体伝動装置であるトルクコンバータ或いはクラッチが設けられている。
自動変速機18は、例えば、複数の遊星歯車装置および摩擦係合装置(クラッチ、ブレーキ)を備えて構成され、それら摩擦係合装置を選択的に係合させることで変速段が選択される形式の有段式自動変速機、常時噛合型平行軸式変速機の変速段がシフトアクチュエータおよびセレクトアクチュエータによって選択される形式の有段式自動変速機、或いは、伝動ベルトが巻き掛けられた一対の有効径が可変の可変プーリの有効径を変化させることで変速比が連続的に変化させられる形式の無段変速機などで構成されている。なお、自動変速機18は公知の技術であるため、具体的な構造や作動の説明については省略する。
前輪用駆動力配分ユニット20は、前輪車軸22の軸線C1を中心にして回転可能に設けられ、前輪用差動機構23とトランスファ24とを備えて構成されている。前輪用差動機構23は、よく知られた差動歯車装置から構成され、自動変速機18の出力歯車18aと噛み合うリングギヤ23rと、そのリングギヤ23rとともに前輪車軸22の軸線C1を中心にして回転するデフケース23cと、デフケース23c内に収容されている傘歯歯車からなる差動機構23dとを有している。自動変速機18の出力歯車18aから出力される動力が、リングギヤ23rおよびデフケース23cを介して差動機構23dに伝達されると、左右前輪車軸22L、22Rの間で差回転を許容しつつ動力が伝達される。また、デフケース23cの軸線C1方向の一端が、トランスファ24の入力回転部材40にスプライン嵌合されている。
トランスファ24は、デフケース23cとともに軸線C1を中心にして回転する入力回転部材40と、プロペラシャフト28に動力伝達可能に連結されている出力回転部材42と、入力回転部材40と出力回転部材42との間を断接する第1噛合クラッチ44とを、含んで構成されている。第1噛合クラッチ44が遮断されると、入力回転部材40と出力回転部材42との間の動力伝達が遮断され、後輪用駆動力配分ユニット34側には、エンジン12の駆動力は伝達されない。すなわち、第1噛合クラッチ44が遮断されると、第2の動力伝達経路が遮断される。一方、第1噛合クラッチ44が接続されると、入力回転部材40と出力回転部材42とが接続され、エンジン12の駆動力の一部が、プロペラシャフト28および後輪用駆動力配分ユニット34などを介して左右後輪16に分配される。すなわち、第1噛合クラッチ44が接続されると、第2の動力伝達経路が動力伝達可能な状態となる。
入力回転部材40は、前輪車軸22Rの外周側に配置された円筒状部材であって、前輪車軸R22と同じく軸線C1を中心にして回転可能に設けられている。入力回転部材40の軸線C1方向の一端は、前輪用差動機構23のデフケース23cにスプライン嵌合されている。また、入力回転部材40の軸線C1方向の他端には、第1噛合クラッチ44を構成する外周噛合歯48が形成されている。
出力回転部材42は、入力回転部材40の外周側に配置された円筒状部材であって、前輪車軸22Rと同じく軸線C1を中心にして回転可能に設けられている。出力回転部材42の軸線C1方向の一端には、プロペラシャフト28の端部に連結されたドリブンピニオンギヤ26と噛み合うリングギヤ46が形成されている。また、出力回転部材42の軸線C1方向の他端には、第1噛合クラッチ44を構成する外周噛合歯50が形成されている。
第1噛合クラッチ44は、入力回転部材40と出力回転部材42との間を選択的に断接するための断接装置であり、入力回転部材40に一体的に形成されている外周噛合歯48と、出力回転部材42に一体的に形成されている外周噛合歯50と、外周噛合歯48と常時噛み合うとともに、軸線C1方向へ移動することで外周噛合歯50とも噛合可能な内周噛合歯58が形成されている円筒状のスリーブ52と、スリーブ52を軸線C1方向に移動させる推力を発生させるクラッチアクチュエータ54とを、含んで構成されている。クラッチアクチュエータ54は、電磁ソレノイドを含み電気的に制御可能なアクチュエータから構成されている。また、第1噛合クラッチ44には、内周噛合歯58と外周噛合歯50とを噛み合わせる際に、入力回転部材40と出力回転部材42とを回転同期させる図示しない同期機構(シンクロ機構)が備えられている。なお、図1は、第1噛合クラッチ44が遮断された状態を示しており、この状態でスリーブ52が軸線C1方向で左前輪14L側(紙面左側)に移動すると、外周噛合歯50と内周噛合歯58とが噛み合わされる。このとき、第1噛合クラッチ44が接続され、入力回転部材40と出力回転部材42とが動力伝達可能に接続される。
後輪用駆動力配分ユニット34は、プロペラシャフト28と左右後輪16L、16Rとの間の動力伝達経路上に設けられ、プロペラシャフト28から伝達される駆動力を左右後輪16に分配するとともに、プロペラシャフト28と後述する出力軸70との間の動力伝達経路を断接する機能を有している。後輪用駆動力配分ユニット34は、プロペラシャフト28と出力軸70との間の動力伝達経路を断接する第2噛合クラッチ62と、出力軸70と左右後輪16L、16Rとの間の伝達トルクをそれぞれ制御する電子制御カップリングである左カップリング64Lおよび右カップリング64Rとを、備えている。左カップリング64Lは、出力軸70と左後輪車軸36Lとの間に設けられ、右カップリング64Rは、出力軸70と右後輪車軸36Rとの間に設けられている。左カップリング64Lおよび右カップリング64Rのトルク容量がそれぞれ調整されることで、左右後輪16に伝達されるトルクが適宜調整される。
後輪用駆動力配分ユニット34には、プロペラシャフト28に連結されたドライブピニオンシャフト32から駆動力から伝達される。ドライブピニオンシャフト32に伝達された駆動力は、ドライブピニオンシャフト32の軸端部に形成されているドライブピニオンギヤ30およびドライブピニオンギヤ30と噛み合うリングギヤ68を介して、左右後輪16L、16Rに連結された左右一対の後輪車軸36L、36Rに配分されて出力される。リングギヤ68は、たとえばハイポイドギヤが形成された傘歯車で構成されている。
第2噛合クラッチ62は、リングギヤ68と出力軸70との間を断接可能に設けられている。第2噛合クラッチ62は、リングギヤ68に連結され、内周側に内周噛合歯66が形成されている円筒状の円筒部100と、出力軸70上にスプライン嵌合されるとともに、内周噛合歯66と噛合可能な外周噛合歯78が形成されている断接スリーブ112(図2参照)と、断接スリーブ112を出力軸70の軸方向に移動させることによって、外周噛合歯78と内周噛合歯66とが噛み合う第2噛合クラッチ62の接続状態(係合状態)、および外周噛合歯78と内周噛合歯66とが噛み合わない第2噛合クラッチ62の遮断状態(非係合状態)に切り替える切替機構116とを、含んで構成されている。
上記のように構成される4輪駆動車両10において、2輪駆動走行中は、第1噛合クラッチ44および第2噛合クラッチ62が遮断されることで、トランスファ24とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路が切り離されるとともに、プロペラシャフト28と出力軸70との間の動力伝達経路が切り離される。このとき、プロペラシャフト28には回転が伝達されないため、プロペラシャフト28が回転停止する。従って、2輪駆動走行中にプロペラシャフト28が連れ回ることが防止され、プロペラシャフト28の連れ回りによる燃費低下が抑制される。また、4輪駆動走行中は、第1噛合クラッチ44および第2噛合クラッチ62が接続されることで、エンジン12の駆動力の一部が、トランスファ24およびプロペラシャフト28を介して後輪用駆動力配分ユニット34に伝達され、左右のカップリング64L、64Rのトルク容量に応じて左右後輪16のトルクが適宜分配される4輪駆動走行が可能となる。
図2は、図1の後輪用駆動力配分ユニット34の断面図である。後輪用駆動配分ユニット34は、非回転部材であるハウジング74内において、図2に示す回転軸線C2(以下、軸線C2)を中心にして設けられている。後輪用駆動力配分ユニット34は、底部にオイルが貯留されるハウジング74と、ドライブピニオンギヤ30を有し、ハウジング74に回転可能に支持され、エンジン12の駆動力が伝達されるドライブピニオンシャフト32と、ハウジング74の内部に軸線C2を中心にして回転可能に配置され、ドライブピニオンギヤ30と噛み合うリングギヤ68と、リングギヤ68と出力軸70との間に設けられている第2噛合クラッチ62と、出力軸70と左後輪車軸36Lとの間に設けられている左カップリング64Lと、出力軸70と右後輪車軸36Rとの間に設けられている右カップリング64Rとを、備えている。なお、後輪用駆動力配分ユニット34が、本発明の車両用最終減速機に対応している。
ハウジング74は、ドライブピニオンギヤ30を有するドライブピニオンシャフト32を回転可能に支持する第1ハウジング74aと、左カップリング64Lを主に収容する筒状の第2ハウジング74bと、右カップリング64Rを主に収容する第3ハウジング74cとを備えている。
軸線C2方向で第1ハウジング74aと第2ハウジング74bとの間には、円盤状の隔壁76Lが介挿されており、この隔壁76Lによって、ハウジング74内において、左カップリング64Lが収容される空間とリングギヤ68が収容される空間とが仕切られている。さらに、軸線C2方向で第1ハウジング74aと隔壁76Lとの間に、後述する複列アンギュラ玉軸受102の外輪79が介挿されている。第2ハウジング74b、隔壁76L、および外輪79は、ボルト77Lによって第1ハウジング74aに一体的に締結されている。よって、隔壁76Lおよび外輪79についても、非回転部材であるハウジング74の一部として機能する。なお、上記軸線C2方向は、後輪車軸36および出力軸70の軸方向、ならびに車両10の車幅方向に対応している。
また、軸線C2方向で第1ハウジング74aと第3ハウジング74cとの間には、円盤状の隔壁76Rが介挿されており、この隔壁76Rによって、ハウジング74内において、右カップリング64Rが収容される空間とリングギヤ68が収容される空間とが仕切られている。第3ハウジング74cおよび隔壁76Rは、ボルト77Rによって第1ハウジング74aに一体的に締結されている。よって、隔壁76Rについても、非回転部材であるハウジング74の一部として機能する。
以下、左カップリング64Lについて説明する。左カップリング64Lは、出力軸70とスプライン嵌合するクラッチドラム60Lと、左後輪車軸36Lとスプライン嵌合するクラッチハブ80Lと、クラッチドラム60Lとクラッチハブ80Lとの間に設けられている主摩擦係合要素82Lと、主摩擦係合要素82Lを押圧するための押圧機構84Lとを、備えている。
クラッチドラム60Lは、段付形状を有する有底円筒状の部材であり、軸線C2を中心にして回転可能に配置されている。具体的には、クラッチドラム60Lの軸線C2方向で有底部側(右後輪車軸36R側)に小径部61Lが形成され、クラッチドラム60Lの軸線C2方向で開口側(左後輪車軸36L側)に小径部61Lよりも大径の大径部63Lが形成されている。小径部61Lは、出力軸70の内周側に配置され、小径部61Lの外周面が出力軸70の内周面とスプライン嵌合させられている。従って、クラッチドラム60Lおよび出力軸70は、軸線C2を中心にして一体的に回転する。大径部63Lは、主摩擦係合要素82Lおよび押圧機構84Lを内部に収容するようにして形成されている。
クラッチハブ80Lは、円筒状に形成され、軸線C2を中心にして回転可能に配置されている。また、クラッチハブ80Lの内周面が左後輪車軸36Lにスプライン嵌合されることで、クラッチハブ80Lと左後輪車軸36Lとが一体的に回転する。
クラッチドラム60Lの大径部63Lとクラッチハブ80Lとの間に形成される空間に、主摩擦係合要素82Lおよび押圧機構84Lが収容されている。主摩擦係合要素82Lは、大径部63Lの内周面にスプライン嵌合されている複数枚の外側摩擦プレートと、クラッチハブ80Lの外周面にスプライン嵌合されている複数枚の内側摩擦プレートとが、交互に積層されて構成されている。
押圧機構84Lは、主摩擦係合要素82Lを押圧するピストンとして機能する第1カム部材86Lと、第2カム部材88Lと、第1カム部材86Lと第2カム部材88Lとの間に介挿されている複数個のボール90Lと、第2カム部材88Lの外周側に設けられている副摩擦係合要素92Lと、副摩擦係合要素92Lと軸線C2方向で隣り合う位置に設けられているアーマチュア94Lと、電磁ソレノイド96Lと、ケース98Lとを、備えている。
第1カム部材86Lは、円環状に形成されており、内周部がクラッチハブ80Lにスプライン嵌合させられている。また、第1カム部材86Lの外周部は、主摩擦係合要素82Lと軸線C2方向で隣り合う位置に配置されている。第1カム部材86Lの軸線C2方向で第2カム部材88Lと向かい合う側の面には、ボール90Lを収容するためのボール溝が複数個形成されている。
第2カム部材88Lは、円環状に形成されており、クラッチハブ80Lの外周面に摺動可能に嵌め付けられている。第2カム部材88Lの軸線C2方向で第1カム部材86Lと向かい合う側の面には、ボール90Lを収容するためのボール溝が複数個形成されている。また、第2カム部材88Lの外周部には、副摩擦係合要素92Lを構成する内側摩擦プレートがスプライン嵌合されている。
ボール90Lは、第1カム部材86Lに形成されているボール溝と、第2カム部材88Lに形成されているボール溝とに接触した状態で、第1カム部材86Lおよび第2カム部材88Lの間に挟まれるようにして配置されている。第1カム部材86Lおよび第2カム部材88Lのボール溝は、何れも周方向に沿って円弧状に形成されており、ボール溝の周方向の両端に向かうほどボール溝の深さが浅くなっている。第1カム部材86Lと第2カム部材88Lとの間に差回転が生じた際には、ボール90Lが各ボール溝の周方向の端部側に移動することで、第1カム部材86Lおよび第2カム部材88Lが、ボール90Lによって、軸線C2方向で互いに離れる方向に移動させられる。なお、第2カム部材88Lは、軸線C2方向への移動が規制されており、実際には、第1カム部材86Lが、第2カム部材88Lに対して離れる方向に移動させられる。
副摩擦係合要素92Lは、第2カム部材88Lの外周面にスプライン嵌合されている円板状の内側摩擦プレートと、クラッチドラム60Lの大径部63Lの内周面にスプライン嵌合されている円板状の外側摩擦プレートとから構成され、これら摩擦プレートは交互に積層されている。
アーマチュア94Lは、円板状に形成され、軸線C2方向において副摩擦係合要素92Lと隣り合う位置に配置されている。アーマチュア94の外周部は、クラッチドラム60Lの大径部63Lの内周面にスプライン嵌合されている。電磁ソレノイド96Lは、ケース98Lに回転不能に固定されている。
上記のように構成される左カップリング64Lにおいて、電磁ソレノイド96Lに電流が流れない状態では、副摩擦係合要素92Lおよび主摩擦係合要素82Lのトルク容量がゼロとなる。従って、クラッチドラム60Lとクラッチハブ80Lとの間でトルク伝達されないため、左後輪16Lには、エンジン12の駆動力が伝達されない。
また、電磁ソレノイド96Lに電流が流れると、電磁ソレノイド96L周辺に磁束が生じ、アーマチュア94Lが副摩擦係合要素92L側に引き付けられる。このとき、アーマチュア94Lが副摩擦係合要素92Lを押圧することから、副摩擦係合要素92Lがトルク容量を持つこととなる。副摩擦係合要素92Lがトルク容量を持ち、前後輪に差回転が生じると、第1カム部材86Lと第2カム部材88Lとの間に差回転が生じ、ボール90Lが第1カム部材86Lを主摩擦係合要素82L側に向かって押し付ける。このとき、第1カム部材86Lが主摩擦係合要素82L側に移動して主摩擦係合要素82Lを押圧する。よって、主摩擦係合要素82Lがトルク容量を持つこととなり、クラッチドラム60Lに伝達されたエンジン12の駆動力が、主摩擦係合要素82Lを介してクラッチハブ80Lに伝達される。また、電磁ソレノイド96Lの電流値が大きくなるほどアーマチュア94Lを引き付ける力が大きくなることから、第1カム部材86Lが主摩擦係合要素82Lを押圧する力が大きくなる。従って、電磁ソレノイド96Lの電流値が大きくなるほど、主摩擦係合要素82Lのトルク容量が増加し、クラッチドラム60Lから主摩擦係合要素82Lを介してクラッチハブ80Lに伝達される駆動力が増加する。
次に、右カップリング64Rについて説明する。右カップリング64Rは、出力軸70とスプライン嵌合するクラッチドラム60Rと、右後輪車軸36Rとスプライン嵌合するクラッチハブ80Rと、クラッチドラム60Rとクラッチハブ80Rとの間に設けられている主摩擦係合要素82Rと、主摩擦係合要素82Rを押圧するための押圧機構84Rとを備えている。ここで、右カップリング64Rの構造および作動については、前述した左カップリング64Lと基本的に変わらないため、その説明を省略する。なお、図2に示す、第1カム部材86Rが、左カップリング64Lにおいて第1カム部材86Lに相当し、第2カム部材88Rが、左カップリング64Lにおいて第2カム部材88Lに相当し、ボール90Rが、左カップリング64Lにおいてボール90Lに相当し、副摩擦係合要素92Rが、左カップリング64Lにおいて副摩擦係合要素92Lに相当し、アーマチュア94Rが、左カップリング64Lにおいてアーマチュア94Lに相当し、電磁ソレノイド96Rが、左カップリング64Lにおいて電磁ソレノイド96Lに相当し、ケース98Rが、左カップリング64においてケース98Lに相当している。
第2噛合クラッチ62は、ドライブピニオンギヤ30と噛み合うリングギヤ68と、クラッチドラム60L、60Rとスプライン嵌合する出力軸70との間を断接する断接装置である。リングギヤ68には、軸線C2と平行に伸びる円筒状の円筒部100が連結されており、複列アンギュラ玉軸受102によって片持ち状態で軸線C2を中心にして回転可能に支持されている。出力軸70は、円筒状に形成され、その両端がサイドベアリング104およびサイドベアリング106を介して左右の隔壁76L、76R(ハウジング74)に軸線C2を中心にして回転可能な状態で支持されている。
第2噛合クラッチ62は、内周側に内周噛合歯66が形成されている円筒部100と、内周部が出力軸70にスプライン嵌合されるとともに、外周部に外周噛合歯78が形成されている断接スリーブ112と、断接スリーブ112の軸線C2方向の位置を、第2噛合クラッチ62が接続される接続位置(係合位置)および第2噛合クラッチ62が遮断される遮断位置(解放位置)の何れかに切り替えるための切替機構116とを、含んで構成されている。第2噛合クラッチ62が接続される断接スリーブ112の接続位置(係合位置)とは、円筒部100の内周噛合歯66と断接スリーブ112の外周噛合歯78とが互いに噛み合う位置に対応している。また、第2噛合クラッチ62が遮断される断接スリーブ112の遮断位置(解放位置)とは、円筒部100の内周噛合歯66と断接スリーブ112の外周噛合歯78との噛合が解除される位置に対応している。なお、図2は、断接スリーブ112が遮断位置にある状態を示している。
切替機構116は、出力軸70に対して相対回転不能、且つ、軸線C2方向への相対移動可能に設けられている第1カム部材118と、第1カム部材118と軸線C2方向で対向する位置に配置されている第2カム部材120と、第1カム部材118と第2カム部材120との間に介挿されている複数個のボール122と、第2カム部材120の外周側に設けられ、内周部が第2カム部材120に相対回転不能に嵌合する断面L字状の環状部材124と、内周部が環状部材124の外周面にスプライン嵌合されている円板状の可動部材126と、可動部材126と軸線C2方向で隣り合う位置に配置され、外周部が隔壁76R(ハウジング74)にスプライン嵌合されている円板状の摩擦プレート127と、軸線C2方向で摩擦プレート127と隣り合う位置であって、可動部材126と反対側の位置に設けられている電磁ソレノイド128と、第1カム部材118によって軸線C2方向に移動させられるピストン130と、ピストン130にスラストベアリングを介して当接し、内周部が出力軸70にスプライン嵌合されているシンクロリング132と、ピストン130と第1カム部材118との間に配置されているホルダ134と、ホルダ134と第1カム部材118との間に介挿され、第1カム部材118を軸線C2方向で第2カム部材120側に向かって付勢するスプリング135と、サイドベアリング104と断接スリーブ112との間に介挿され、断接スリーブ112を軸線C2方向で第2カム部材120側に向かって付勢するスプリング136と、シンクロリング132とリングギヤ68との間に設けられている同期機構137とを、含んで構成されている。
第1カム部材118は、円環状に形成され、その内周部が出力軸70にスプライン嵌合されることで、出力軸70に対して相対回転不能、且つ、出力軸70に対して軸方向への相対移動が許容されている。第1カム部材118の軸線C2方向で第2カム部材120側には、ボール122を収容するためのボール溝が形成されている。また、第1カム部材118の軸線C2方向で第2カム部材120と反対側には、軸線C2と平行に伸びる円筒部が形成されている。第1カム部材118が軸線C2方向で第2カム部材120から離れる側に移動した場合には、この円筒部の軸端部がピストン130を押圧する。
第2カム部材120は、円環状に形成され、内周面が出力軸70の外周面に摺動可能に嵌め付けられている。第2カム部材120の外周面には、環状部材124とスプライン嵌合するためのスプライン歯が形成されている。また、第2カム部材120の軸線C2方向で第1カム部材118側には、ボール122を収容するためのボール溝が形成されている。
複数個のボール122は、第1カム部材118と第2カム部材120との間に挟まれるようにして設けられている。具体的には、ボール122は、第1カム部材118に形成されているボール溝、および第2カム部材120に形成されているボール溝に接触した状態で設けられている。これらボール溝は、それぞれ周方向に円弧状に形成されており、周方向の両端に向かうほど溝の深さが浅くなっている。第1カム部材118と第2カム部材120とが相対回転すると、ボール122がボール溝に沿って周方向の端部に移動する。このとき、第1カム部材118および第2カム部材120が、ボール122によって軸線C2方向で互いに離れる方向に移動させられる。なお、第2カム部材120は、軸線C2方向への移動が規制されており、実際には、第1カム部材118が、第2カム部材120に対して離れる方向に移動させられる。
環状部材124は、断面L字の環状に形成され、内周部が第2カム部材120にスプライン嵌合されることで、第2カム部材120と一体的に回転させられる。また、環状部材124の外周部には、可動部材126がスプライン嵌合されている。可動部材126は、円板状に形成され、内周部が環状部材124の外周面にスプライン嵌合されている。従って、可動部材126は、環状部材124に対して相対回転不能、且つ、軸線C2方向への相対移動可能となっている。摩擦プレート127は、軸線C2方向で可動部材126と電磁ソレノイド128との間に設けられ、その外周部が隔壁76R(ハウジング74)にスプライン嵌合されることで、常時回転停止させられているとともに、軸線C2方向への移動が許容されている。
電磁ソレノイド128は、摩擦プレート127と軸線C2方向で隣り合う位置に配置され、隔壁76R(ハウジング74)に回転不能に固定されている。電磁ソレノイド128に電流が流れると磁束が生じ、可動部材126が電磁ソレノイド128側に引き寄せられる。このとき、可動部材126と摩擦プレート127との間で摩擦力が生じることで、可動部材126、環状部材124、および第2カム部材120が回転速度低下もしくは回転停止させられる。
ピストン130は、円環状に形成され、内周部が出力軸70に対して摺動可能に嵌め付けられている。ピストン130の軸線C2方向でホルダ134と向かい合う側の軸端部には、ホルダ134の後述する掛止歯に掛け止めするための掛止歯が形成されている。ピストン130は、第1カム部材118の円筒部によって押し付けられることで軸線C2方向に移動させられる。
シンクロリング132は、円環状に形成され、その内周部が出力軸70にスプライン嵌合されることで、出力軸70に対して相対回転不能、且つ、軸線C2方向への相対移動が可能となっている。シンクロリング132の外周側には、同期機構137を構成する摩擦部材と摺動可能に接触するテーパ面が形成されている。
シンクロリング132とリングギヤ68との間には、リングギヤ68と出力軸70とを回転同期させるための同期機構137が設けられている。同期機構137は、例えばシンクロリング132に相対回転不能に嵌合するとともにリングギヤ68の内周面に摺動可能に接触するテーパ面が形成されている摩擦部材と、リングギヤ68に相対回転不能に嵌合するとともにシンクロリング132の外周面に摺動可能に接触する摩擦部材とを含んで構成されている。これら摩擦部材は、互いに摺動可能に接触させられている。ピストン130がシンクロリング132を押圧すると、シンクロリング132と接触する摩擦部材の接触面、リングギヤ68と接触する摩擦部材の接触面、および互いに接触する摩擦部材の接触面との間で摩擦力が発生し、これら摩擦力によってリングギヤ68と出力軸70とが回転同期させられる。
ホルダ134は、環状に形成され、その内周部が出力軸70に相対回転不能、且つ、軸線C2方向への相対移動不能に固定されている。ホルダ134の軸線C2方向でピストン130と向かい合う側には、ピストン130の掛止歯を掛け止めするための掛止歯が形成されている。ホルダ134の掛止歯は、周方向で周期的に変化する鋸歯状に形成されている。また、ホルダ134の掛止歯は、ピストン130の掛止歯が掛け止めされた際に、ピストン130が軸線C2方向で異なる位置で保持される第1掛止歯および第2掛止歯から構成されており、これら第1掛止歯および第2掛止歯は周方向で交互に配置されている。
第1掛止歯にピストン130の掛止歯が掛け止めされた場合には、断接スリーブ112の外周噛合歯78とリングギヤ68の内周噛合歯66との噛合が解除される位置にピストン130(および断接スリーブ112)が保持される。また、第2掛止歯にピストン130の掛止歯が掛け止めされた場合には、断接スリーブ112の外周噛合歯78とリングギヤ68の内周噛合歯66とが噛み合う位置にピストン130(および断接スリーブ112)が保持される。第1カム部材118によってピストン130が軸線C2方向でサイドベアリング104側に移動させられることで、ピストン130の掛止歯とホルダ134の第1掛止歯および第2掛止歯(以下、第1掛止歯および第2掛止歯を区別しない場合には掛止歯と称す)との掛け止めが解除され、再びピストン130が軸線C2方向でサイドベアリング104から離れる方向に移動したときには、ピストン130の掛止歯と掛け止めされるホルダ134の掛止歯が切り替わるように、ピストン130の掛止歯およびホルダ134の掛止歯の形状が設定されている。なお、上記掛止歯の切替が可能となる、ピストン130の掛止歯およびホルダ134の掛止歯の具体的な形状は、公知であるため詳細な説明を省略する。
スプリング136は、軸線C2方向でサイドベアリング104のインナレースと断接スリーブ112との間に介挿されており、断接スリーブ112、シンクロリング132、およびピストン130を軸線C2方向でサイドベアリング106側に向かって付勢している。従って、ピストン130は、第1カム部材118に押されて軸線C2方向でサイドベアリング104側に移動させられない間、スプリング136の付勢力によってホルダ134の第1掛止歯または第2掛止歯に掛け止めされる。
以下、切替機構116の作動について説明する。切替機構116において、電磁ソレノイド128に電流が流れると磁束が生じ、可動部材126が電磁ソレノイド128側に向かって引き付けられる。このとき、可動部材126と摩擦プレート127との間で摩擦力が生じ、可動部材126、環状部材124、および第2カム部材120が回転速度低下もしくは回転停止させられる。これより、第1カム部材118と第2カム部材120との間で差回転が生じることから、第1カム部材118がボール122に押されて軸線C2方向に移動し、第1カム部材118と当接するピストン130が、スプリング136の付勢力に抗って軸線C2方向でサイドベアリング104側に向かって移動させられる。
ピストン130が軸線C2方向でサイドベアリング104側に移動すると、ピストン130に連動して、シンクロリング132および断接スリーブ112についても軸線C2方向でサイドベアリング104側に移動させられる。シンクロリング132が移動する過渡期には、同期機構137において摩擦力が生じ、この摩擦力によってリングギヤ68、出力軸70、および断接スリーブ112が回転同期させられる。このとき、リングギヤ68の内周噛合歯66と断接スリーブ112の外周噛合歯78とが噛合可能な状態となる。この状態から、電磁ソレノイド128への電流供給が停止すると、第1カム部材118の押圧力がなくなるため、スプリング136の付勢力によって、断接スリーブ112、シンクロリング132、およびピストン130が軸線C2方向でサイドベアリング106側に移動させられ、ピストン130の掛止歯が例えばホルダ134の第2掛止歯に掛け止めされ、断接スリーブ112の外周噛合歯78とリングギヤ68の内周噛合歯66とが噛み合わされる。従って、第2噛合クラッチ62が接続され、リングギヤ68と出力軸70とが一体的に回転させられる。
また、第2噛合クラッチ62が接続された状態で再び電磁ソレノイド128に電流が流れると、ピストン130が軸線C2方向でサイドベアリング104側に移動させられ、ピストン130の掛止歯とホルダ134の第2掛止歯との掛け止めが解除される。次いで、電磁ソレノイド128に電流が供給されなくなると、ピストン130がスプリング136の付勢力によって軸線C2方向でサイドベアリング106側に移動させられ、ピストン130の掛止歯がホルダ134の第1掛止歯に掛け止めされ、断接スリーブ112の外周噛合歯78とリングギヤ68の内周噛合歯66との噛合が解除される。従って、第2噛合クラッチ62が遮断される。このように、電磁ソレノイド128への電流の供給および停止が行われる度に、ピストン130が掛け止めされるホルダ134の掛止歯が交互に切り替えられ、第2噛合クラッチ62の断接状態が交互に切り替えられる。
図3および図4は、図2の後輪用駆動力配分ユニット34のハウジング74を構成する第1ハウジング74aの構造を示す図である。図3は、第1ハウジング74aを左後輪16L側からみた図であり、図4は、図3のハウジング74を左下側からみた斜視図である。図3において、紙面左側が車両10の前方に対応し、紙面右側が車両10の後方に対応している。また、図3の紙面上方は、水平な路面における車載状態での車両の上方に対応し、紙面下方は、水平な路面における車載状態での車両の下方に対応している。また、図3に示す一点鎖線が、リングギヤ68の非回転時におけるハウジング74の底部に貯留されるオイルの底部からの油面の高さH1を示している。
図3に示すように、第1ハウジング74aは、軸線C2方向の両側が開口する筒状に形成されている。第1ハウジング74aの軸線C2方向の端部には、合わせ面150が形成されており、この合わせ面150に、図2に示す、第2ハウジング74b、隔壁76L、および外輪79が、ボルト77Lによって一体的に締結される。
車両の前後方向において後方の位置には、ブリーザ室152が形成されている。ブリーザ室152は、ハウジング74の内部と外部とを連通する空気の流通路であり、ハウジング74の内部の圧力が高くなった場合には、ハウジング74の内部の空気がブリーザ室152を通ってハウジング74の外部に排出される。これより、ブリーザ室152が形成されることで、ハウジング74の内部の圧力上昇が抑制される。
第1ハウジング74aには、第1ハウジング74aの内部を車両の前後方向において前後に仕切る中間壁154と、車両の前後方向において後側に位置する後壁156と、後壁156から中間壁154の下側に向けて伸びる底壁158と、軸線C2方向で互いに対向するようにして中間壁154、後壁156、および底壁158に連結される一対の側壁160a、160b(図5参照)とが、設けられており、ブリーザ室152は、これら中間壁154、後壁156、底壁158、および一対の側壁160a、160bによって、囲まれて形成されている。
後壁156は、第1ハウジング74aの外壁に沿って円弧状に形成されている。また、後壁156は、中間壁154の下端よりも下方に伸びている。
後壁156の上側の端部が、中間壁154に連結されている。中間壁154は、所定の厚みを有し、後壁156に対して車両の前後方向の前側に形成されている。中間壁154は、後壁156と連結された部位から下方に向かって、後壁156に対して所定の間隔を有して伸びている。また、中間壁154の下方の部位は、鉛直下方に直線状に伸びている。中間壁154には、側壁160b(図5参照)をネジ止めするための2個のネジ孔164a、164bが形成されている。
底壁158は、後壁156から、中間壁154の下側を車両の前後方向で前側に向かって伸びている。底壁158の先端は、車両の前後方向において中間壁154の下端およびブリーザ室152の下部に形成される後述する開口178よりも前側に位置するように後壁156から延出されている。また、底壁158の先端には、側壁160bをネジ止めするためのネジ孔164cが形成されている。
一対の側壁160a、160bは、軸線C2方向において中間壁154、後壁156、および底壁158の両側にそれぞれ位置し、中間壁154、後壁156、および底壁158の側面を塞ぐようにして、これらの壁に連結されている。側壁160aが、軸線C2方向において合わせ面150に対して反対側(図3において紙面奥側)に形成されている。この側壁160aは、第1ハウジング74aの鋳造時において、中間壁154、後壁156、および底壁158とともに一体成形される。
一方、側壁160bは、軸線C2方向において合わせ面150側に位置し、後輪用駆動力配分ユニット34の組付時において中間壁154、後壁156、および底壁158の側面にネジ止めされる。図5は、側壁160bの形状を示している。側壁160bは、薄板状のプレートから構成され、中間壁154、後壁156、および底壁158の側面を塞ぐように、これらの側面の形状に沿った円弧状に形成されている。側壁160bには、組付後においてネジ162(図2参照)が貫通する3箇所の貫通孔166が形成されている。3箇所の貫通孔166は、側壁160bの組付時において、ネジ孔164a〜164cの位置とそれぞれ対応する位置に形成されている。従って、側壁160bの組付時において、側壁160bの貫通孔166にネジ162が挿し通された状態で、ネジ162がネジ孔164a〜164cにネジ止めされることで、側壁160bが中間壁154、後壁156、および側壁158の側面と当接した状態で固定される。このように、中間壁154、後壁156、および側壁158の両側面が、側壁160a、160bによって塞がれることで、ブリーザ室152と、ハウジング74の内部におけるブリーザ室152の外部空間S1とが、区分けされる。
中間壁154と後壁156との間には、これら壁の間を連結する仕切壁168が設けられている。仕切壁168は、軸線C2方向で中間壁154と同じ寸法を有している。仕切壁168は、車両の上下方向において軸線C2よりも上側に形成されている。この仕切壁168が形成されることによって、ブリーザ室152が、副ブリーザ室170と主ブリーザ室172とに区分けされている。副ブリーザ室170は、車両の前後方向においてリングギヤ68の回転軸心(軸線C2と同意)よりも後側に位置している。また、主ブリーザ室172は、副ブリーザ室170よりも上側であって、リングギヤ68の軸線C2よりも上側に位置している。
仕切壁168の軸線C2方向で合わせ面150側には、窪み174が形成されており、中間壁154、後壁156、および側壁158の側面に側壁160bが組み付けられた状態では、仕切壁168と側壁160bとの間に、副ブリーザ室170と主ブリーザ室172とを連通する連通孔176が形成される。これより、窪み174が、連通孔176として機能する。なお、連通孔176が、本発明の第2孔に対応している。
副ブリーザ室170の下側には、ハウジング74の内部におけるブリーザ室152の外部空間S1と副ブリーザ室170との間を連通する開口178が形成されている。開口178は、中間壁154の下端と底壁158との間に形成された隙間である。副ブリーザ室170は、この開口178を介してハウジング74の内部におけるブリーザ室152の外部空間S1に連通される。また、図4に示すように、中間壁154には、その中間壁154を貫通することで、ハウジング74の内部におけるブリーザ室152の外部空間S1と副ブリーザ室170とを連通する貫通孔180が形成されている。なお、貫通孔180が、本発明の第1孔に対応している。
貫通孔180は、副ブリーザ室170の上部に形成されている。具体的には、貫通孔180は、リングギヤ68の非回転時におけるハウジング74内の底部に貯留されるオイルの油面よりも上側の位置に形成されている。リングギヤ68の一部は、ハウジング74の底部に貯留されるオイルに浸漬されており、リングギヤ68が回転すると、ハウジング74の底部に貯留されるオイルがリングギヤ68によって掻き上げられる。これより、リングギヤ68の回転時は、ハウジング74の底部に貯留されるオイルの油面の高さが、リングギヤ68の非回転時のオイルの油面の高さH1よりも低くなる。ここで、貫通孔180が上述した位置に形成されることで、リングギヤ68の非回転状態にあっても、副ブリーザ室170が、貫通孔180を介してハウジング74の内部におけるブリーザ室152の外部空間S1に連通される。また、リングギヤ68の非回転状態にあっては、オイルの油面の高さH1が開口178よりも高くなることで、開口178は、ハウジング74の底部に貯留されるオイルの油面よりも下側に位置する、すなわち、リングギヤ68の非回転時において、開口178がオイル内に沈み込む。従って、リングギヤ68の非回転時は、開口178を介したハウジング74の内部におけるブリーザ室152の外部空間S1と副ブリーザ室170との間の連通が遮断されることとなる。
また、貫通孔180は、軸線C2方向(すなわち後輪車軸36の軸方向)において、仕切壁168に形成されている連通孔176に対して所定値Lだけ離れた位置に形成されている。具体的には、軸線C2方向で側壁160b側に形成されている連通穴176に対して、貫通孔180が、連通孔176に対して軸線C2方向で側壁160a側に所定値Lだけ離れた位置に形成されている。
主ブリーザ室172には、その上部において図4に示す外部連通孔182が形成されている。外部連通孔182は、図3に示すブリーザプラグのボス184の内部を通ってハウジング74の外部と連通している。このように、主ブリーザ室172は、外部連通孔182を介してハウジング74の外部に連通されていることから、主ブリーザ室172の空気が、外部連通孔182および図示しないブリーザプラグを経由してハウジング74の外部に排出可能となる。また、主ブリーザ室172は、仕切壁168に形成された連通孔176を介して副ブリーザ室170に連通されている。
上記のように構成されるブリーザ室152の作用・効果について説明する。リングギヤ68の非回転時にあっては、リングギヤ68によってハウジング74の底部に貯留されるオイルが掻き上げられないため、オイルがハウジング74の底部に溜まり、オイルの油面の高さH1が高くなる。このとき、副ブリーザ室170の開口178が貯留されているオイル内に沈み込むものの、中間壁154に形成されている貫通孔180を介してハウジング74の内部におけるブリーザ室152の外部空間S1と副ブリーザ室170とが連通される。従って、リングギヤ68の非回転時であっても、貫通孔180およびブリーザ室152を介してハウジング74の内部とハウジング74の外部空間(以下、外部空間S2)とが連通し、ハウジング74の内部の空気をハウジング74の外部空間S2に排出することができる。
また、リングギヤ68の回転時(前進走行時)は、リングギヤ68によってハウジング74の底部に貯留されるオイルが掻き上げられる。これより、ハウジング74の底部に貯留されるオイルの油面の高さが低くなり、副ブリーザ室170からオイルを含む空気が副ブリーザ室170に流入する。ここで、開口178は、リングギヤ68の非回転時においてハウジング74の底部に貯留されるオイルの油面よりも下側に位置することで、副ブリーザ室170の鉛直方向(上下方向)の長さは、オイルを含む空気が開口178から主ブリーザ172に到達する過渡期において、気液分離される値に設定されている。従って、この開口178から流入したオイルを含む空気は、主ブリーザ室172に到達する過渡期において、副ブリーザ室170内で気液分離される。これに関連して、副ブリーザ室170が鉛直方向に長くなり、リングギヤ68の非回転時では、開口178がハウジング74の底部に貯留されるオイル内に沈み込むが、このとき、貫通孔180を介してハウジング74の内部における外部空間S1と副ブリーザ室170が連通されるため、ハウジング74の内部の空気を、ハウジング74の外部空間S2に排出することができる。言い換えれば、貫通孔180が形成されることで、副ブリーザ室170の鉛直方向の長さを、副ブリーザ室170内に入り込んだオイルを含む空気が気液分離される値とすることができる。
また、リングギヤ68の回転時においても、貫通穴180を介してハウジング74の内部における外部空間S1と副ブリーザ室170とが連通される。この貫通孔180から副ブリーザ室170内に入り込んだオイルを含む空気は、連通孔176を経由して主ブリーザ室172内に侵入するが、貫通孔180が連通孔176に対して軸線C2方向において所定値Lだけ離れた位置に形成されているため、連通孔176に到達する過渡期において、オイルを含む空気が気液分離される。従って、主ブリーザ室172内にオイルが侵入することが抑制される。なお、前記所定値Lは、予め実験的または設計的に求められ、貫通孔180から副ブリーザ室170内に入り込んだオイルを含む空気が、連通孔176に到達する過渡期において気液分離される値に設定されている。
また、ハウジング74の内部におけるブリーザ室152の外部空間S1には、リングギヤ68が収容されており(図2参照)、このリングギヤ68が回転することで、ハウジング74の底部に貯留されているオイルが掻き上げられる。図3の矢印が、前進走行時におけるリングギヤ68の回転方向を示している。リングギヤ68が矢印で示す方向に回転すると、オイルがハウジング74の内壁に沿って駆け上がり、開口178からブリーザ室152内に侵入しようとする。これに対して、底壁158の先端が、車両の前後方向において開口178よりも前側に位置するように後壁156から延出されているため、掻き上げられたオイルが底壁158に衝突し、副ブリーザ室170の開口178からオイルが副ブリーザ室170内に入り込むことが抑制される。なお、底壁158の車両の前後方向の長さは、予め実験的または設計的に求められ、リングギヤ68によって掻き上げられたオイルが、開口178から副ブリーザ室170内へ入り込むことを抑制できる寸法に設定されている。
上述のように、本実施例によれば、ハウジング74の内部の空気は、副ブリーザ室170を介して主ブリーザ室172に移動する。ここで、ハウジング74の内部の空気は、オイルとともに副ブリーザ室170に流入するが、副ブリーザ室170内において気液分離がなされる。また、リングギヤ68によって掻き上げられたオイルは、開口178を通って副ブリーザ室170に入り込もうとするが、底壁158によってオイルの副ブリーザ室170への入り込みが抑えられる。これにより、オイルが主ブリーザ室172に侵入し、オイルがハウジング74の外部に漏出することを抑制することができる。また、ブリーザ室152は、副ブリーザ室170および主ブリーザ室172に区分けされるだけで済むことから、シンプルな構成とすることができる。
また、本実施例によれば、貫通孔180は、リングギヤ68の軸線C2の方向において、仕切壁168に形成された連通孔176に対して所定値Lだけ離れた位置に形成されているため、貫通孔180から副ブリーザ室170内に入り込んだオイルを含む空気が連通孔176に到達するまでの間に気液分離され、オイルが主ブリーザ室172に侵入してハウジング74の外部に漏出することが抑制される。
また、本実施例によれば、開口178は、リングギヤ68の非回転時においてオイルの油面よりも下側の位置に形成されているため、リングギヤ68の非回転時にあっては、開口178を介したハウジング74の内部におけるブリーザ室152の外部空間S1と副ブリーザ室170との連通が遮断される。これに対して、貫通孔180が、リングギヤ68の非回転時において、オイルの油面よりも上側の位置に形成されていることから、ハウジング74の内部におけるブリーザ室152の外部空間S1と副ブリーザ室170とが、貫通孔180を介して連通される。従って、リングギヤ68の非回転時であっても、ハウジング74の内部の空気をハウジング74の外部に排出することができる。
また、開口178は、リングギヤ68の非回転時においてオイルの油面よりも下側の位置に形成されていることから、開口178と主ブリーザ室172との間の距離が長くなる。ここで、リングギヤ68の回転時にあっては、オイルの油面が低くなり、オイルを含む空気が開口178を通って副ブリーザ室170に流入する。このとき、開口178と主ブリーザ室172との間の距離が長くされているため、オイルを含む空気が副ブリーザ室170内で気液分離され、オイルの主ブリーザ室172内への侵入を抑制することができる。
また、本実施例によれば、中間壁154、後壁156、底壁158、側壁160aは、ハウジング74とともに一体成形されていることから、これらの壁を形成するにあたって製造工程の増加が抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、後輪用駆動力配分ユニット34は、差動機構を備えない最終減速機であったが、差動機構を備えた最終減速機においても本発明を適用することができる。
また、前述の実施例では、中間壁154、後壁156、底壁158、側壁160aは、鋳造によって第1ハウジング74aと一体成形されるものであったが、これらの壁の少なくとも1つが別体で成形され、組付時においてネジ等で組み付けられるものであっても構わない。
また、前述の実施例では、連通孔176が、仕切壁168に形成された窪み174によって形成されているが、仕切壁168にドリル等で孔を空けることで連通孔176を形成しても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
12:エンジン(動力源)
16:左右後輪
30:ドライブピニオンギヤ
32:ドライブピニオンシャフト
34:後輪用駆動力配分ユニット(車両用最終変速機)
36:後輪車軸
68:リングギヤ
74:ハウジング
152:ブリーザ室
154:中間壁
156:後壁
158:底壁
160a、160b:一対の側壁
168:仕切壁
170:副ブリーザ室
172:主ブリーザ室
176:連通孔(第2孔)
178:開口
180:貫通孔(第1孔)

Claims (4)

  1. 底部にオイルが貯留されるハウジングと、ドライブピニオンギヤを有し、前記ハウジングに回転可能に支持され、動力源から駆動力が伝達されるドライブピニオンシャフトと、前記ハウジングの内部に回転可能に配置され、前記ドライブピニオンギヤと噛み合うリングギヤとを、備え、前記ドライブピニオンシャフトに伝達される駆動力を前記リングギヤを介して左右後輪に連結された一対の後輪車軸に配分して出力する車両用最終減速機であって、
    前記ハウジングの内部を車両の前後方向において前後に仕切る中間壁と、車両の前後方向において後側に位置する後壁と、前記後壁から前記中間壁の下側に向けて伸びる底壁と、互いに対向するようにして前記中間壁、前記後壁、および前記底壁に連結される一対の側壁と、仕切壁とが、設けられ、
    前記中間壁、前記後壁、前記底壁、および前記一対の側壁によってブリーザ室が形成されるとともに、前記仕切壁によって前記ブリーザ室が、車両の前後方向において前記リングギヤの回転軸心よりも後側に位置する副ブリーザ室と、該副ブリーザ室よりも上側に位置する主ブリーザ室とに、区分けされており、
    前記副ブリーザ室は、該副ブリーザ室の上部において前記中間壁に形成された第1孔を介して前記ハウジングの内部における前記ブリーザ室の外部空間に連通されるとともに、前記中間壁と前記底壁との間に形成された開口を介して前記ハウジングの内部における前記ブリーザ室の外部空間に連通され、
    前記主ブリーザ室は、前記ハウジングの外部に連通されるとともに、前記仕切壁に形成された第2孔を介して前記副ブリーザ室に連通され、
    前記底壁は、該底壁の先端が、車両の前後方向において前記開口よりも前側に位置するように前記後壁から延出されている
    ことを特徴とする車両用最終減速機。
  2. 前記第1孔は、前記後輪車軸の軸方向において、前記仕切壁に形成された前記第2孔に対して所定値だけ離れた位置に形成されている
    ことを特徴とする請求項1の車両用最終減速機。
  3. 前記第1孔は、前記リングギヤの非回転時における前記ハウジングの底部に貯留されるオイルの油面よりも上側の位置に形成され、
    前記開口は、前記リングギヤの非回転時において、前記ハウジングの底部に貯留されるオイルの油面よりも下側に位置する
    ことを特徴とする請求項1または2の車両用最終減速機。
  4. 前記中間壁、前記後壁、前記底壁、前記一対の側壁の一方、および前記仕切壁は、前記ハウジングとともに一体成形されている
    ことを特徴とする請求項1から3の何れか1に記載の車両用最終減速機。
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